IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立工機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-電動工具 図1
  • 特許-電動工具 図2
  • 特許-電動工具 図3
  • 特許-電動工具 図4
  • 特許-電動工具 図5
  • 特許-電動工具 図6
  • 特許-電動工具 図7
  • 特許-電動工具 図8
  • 特許-電動工具 図9
  • 特許-電動工具 図10
  • 特許-電動工具 図11
  • 特許-電動工具 図12
  • 特許-電動工具 図13
  • 特許-電動工具 図14
  • 特許-電動工具 図15
  • 特許-電動工具 図16
  • 特許-電動工具 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】電動工具
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20231017BHJP
   B25F 5/02 20060101ALI20231017BHJP
   B23D 49/14 20060101ALI20231017BHJP
   B27B 19/09 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
B25F5/00 A
B25F5/00 G
B25F5/02
B23D49/14
B27B19/09
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021113176
(22)【出願日】2021-07-07
(62)【分割の表示】P 2019562887の分割
【原出願日】2018-11-30
(65)【公開番号】P2021167064
(43)【公開日】2021-10-21
【審査請求日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】P 2017248335
(32)【優先日】2017-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018206112
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003258
【氏名又は名称】弁理士法人北澤・小泉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田所 直樹
(72)【発明者】
【氏名】伊縫 賢
【審査官】山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-193478(JP,A)
【文献】特開2015-100887(JP,A)
【文献】特開2017-148936(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/00 - 5/02
B25B 21/00 - 21/02
B23D 49/14
B27B 19/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前後方向に延びる軸を中心として回転する回転軸を有し、前記ハウジングに支持されたブラシレスモータと、
前記ブラシレスモータを制御するための制御回路と、
前記制御回路の少なくとも一部を搭載した回路基板と、を備え、
前記ハウジングは、上下方向に沿って延びる把持部を有する第1ハウジングと、前記ブラシレスモータを収容する筒形一体のモータケースと、を有し、
前記第1ハウジングは、2つの分割ハウジングを左右方向に組み付けることによって形成されるとともに、前記モータケースの少なくとも一部を覆うモータ支持部と、前記把持部の下端部から前方に延びる筒形状を有し前記下端部と前記モータ支持部とを接続する第1接続部と、前記把持部の上端部から前方に延びる筒形状を有し前記上端部と前記モータ支持部とを接続する第2接続部と、を有し、
前記ブラシレスモータはステータとロータを有し、
前記制御回路はスイッチング素子と、前記スイッチング素子を制御する制御部とを有し、
前記回路基板は前記スイッチング素子と前記制御部を搭載し、
前記モータケースの後部には、前記モータケースの内部と前記第1ハウジングの内部とを連通させる連通孔が形成され、
前記把持部の上下方向中心位置は、前記ロータの回転軸心よりも下方に位置し、
前記回路基板は、前記第1接続部の内部と前記モータ支持部の内部とを亘るように、かつ前記回路基板の少なくとも一部が前記モータケースの下方において前後方向で前記ステータとオーバーラップし、前記モータケースと前記第1ハウジングの内壁との間に形成される空間に位置するように前記第1ハウジングに収容され、
さらに前記回路基板は、前記回路基板の前端が前記把持部の下端よりも上方に位置するように、かつ前記回路基板の前端が前記回路基板の後端よりも上方に位置するように前後方向に対して傾斜しており、
前記回路基板からは前記ブラシレスモータを制御するための制御用配線が延出し、
前記制御用配線は上下方向における前記モータケースと前記回路基板との間を通るとともに、前記連通孔を経て前記モータケースの内部に延び、
前記回路基板の少なくとも一部は、前後方向において前記ブラシレスモータとオーバーラップするとともに、前記モータケースの後端よりも前方に位置することを特徴とする電動工具。
【請求項2】
前記ハウジングには、吸気孔と排気孔とが形成され、
前記ブラシレスモータの回転によって駆動して前記吸気孔から前記排気孔に流れて前記ブラシレスモータを冷却する冷却風を前記ハウジング内に発生させるファンをさらに備え、
前記スイッチング素子は、前記冷却風によって冷却されることを特徴とする請求項に記載の電動工具。
【請求項3】
前記回路基板の板厚方向は、左右方向と直交していることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の電動工具。
【請求項4】
前記回路基板の板厚方向は、さらに、前後方向及び上下方向の両方と交差していることを特徴とする請求項に記載の電動工具。
【請求項5】
前記回路基板は、前記第1接続部から前記モータ支持部に亘って前方斜め上方に延在していることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の電動工具。
【請求項6】
前記制御回路は、複数の基板に分割して搭載され、
前記複数の基板のうちの1つは、前記回路基板であることを特徴とする請求項に記載の電動工具。
【請求項7】
前記複数の基板は、少なくとも3つの基板であることを特徴とする請求項に記載の電動工具。
【請求項8】
前記ハウジングには、吸気孔と排気孔とが形成され、
前記ブラシレスモータの回転によって駆動して前記吸気孔から前記排気孔に流れて前記ブラシレスモータを冷却する冷却風を前記ハウジング内に発生させるファンをさらに備え、
前記複数の基板のうちの他の一つは、前記冷却風の経路上に位置するスイッチング基板であり、
前記スイッチング素子は、前記スイッチング基板に搭載されており、前記冷却風によって冷却され、
前記回路基板は、前記冷却風の経路外に位置することを特徴とする請求項又はに記載の電動工具。
【請求項9】
前記モータ支持部は、前記ブラシレスモータの下方に位置する壁部を有し、
前記回路基板の一部は、前記壁部と前記ブラシレスモータとの間に位置していることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の電動工具。
【請求項10】
ハウジングと、
前後方向に延びる軸を中心として回転する回転軸を有し、前記ハウジングに支持されたブラシレスモータと、
前記ブラシレスモータを制御するための制御回路と、
前記制御回路の少なくとも一部を搭載した回路基板と、を備え、
前記回路基板は、前記制御回路の一部を搭載した第1回路基板と、前記制御回路の他の一部を搭載した第2回路基板と、を有し、
前記ハウジングは、上下方向に沿って延びる把持部を有する第1ハウジングと、前記第1ハウジングとは別体として構成されるとともに前記ブラシレスモータを収容する筒形状のモータケースと、を有し、
前記把持部の上下方向中心位置は、前記ブラシレスモータの回転軸心よりも下方に位置し、
前記第1ハウジングは、2つの分割ハウジングを左右方向に組み付けることによって形成され、
前記第1回路基板と前記第2回路基板は前記モータケースよりも下方の位置で左右方向に延びるようにして前記第1ハウジングに収容され、
前記第1ハウジングは、前記ブラシレスモータの径方向で前記モータケースの少なくとも一部を覆う内壁を有し、
前記第1回路基板の少なくとも一部は、上下方向で前記モータケースと前記内壁との間に形成される空間に配置され、
前記第2回路基板は前記第1回路基板の後方に配置され、
前記第1回路基板の上下方向中心位置は、前記第2回路基板の上下方向中心位置よりも上方に位置することを特徴とする電動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動モータを駆動源として採用した電動工具が知られている。例えば、特許文献1には、ブラシ付きの電動モータと、被加工材を切断するためのブレードが取付可能なプランジャと、電動モータの回転をプランジャの往復動に変換する運動変換部とを備え、プランジャに取付けられたブレードを往復動させることで被加工材を切断する電動工具が開示されている。
【0003】
一方、近年、電動工具のメンテナンスフリー及び長寿命化が望まれており、当該メンテナンスフリー及び長寿命化を図るための様々な提案がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-180382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電動工具のメンテナンスフリー及び長寿命化を図るために、ブラシ付きの電動モータをブラシレスモータに変更することが考えられる。しかしながら、ブラシ付き電動モータを使用している電動工具(例えば、特許文献1)において、当該ブラシ付き電動モータに替えてブラシレスモータを採用した場合には、スイッチング素子や整流素子等の当該ブラシレスモータを駆動するための回路素子を設ける必要があり、これらの回路素子はブラシレスモータへの電力供給に伴って発熱してしまう。このため、このような電動工具において、ブラシレスモータを採用する場合には、電力供給に伴って発熱する回路素子を効果的に冷却する必要がある。また、高出力の電動工具においては、大電流に対応するために回路素子が大型化する傾向にあり、当該回路素子を収容することで電動工具が大型化する虞がある。
【0006】
そこで本発明は、ブラシレスモータを採用してメンテナンスフリー及び長寿命化を図り、且つブラシレスモータへの電力供給に伴って発熱する回路素子を効果的に冷却可能とした電動工具を提供することを目的とする。
【0007】
また、別の目的として、回路素子の配置による大型化を抑制した電動工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明は、吸気孔と排気孔とが形成されたハウジングと、前記ハウジングに支持されたブラシレスモータと、電源の電力を前記ブラシレスモータに供給する少なくとも1つの回路素子を有する電力供給回路と、前記ブラシレスモータの回転によって駆動して前記ハウジング内に前記吸気孔から前記排気孔に流れる冷却風を発生させるファンと、を備え、前記ハウジングは、把持部を有するとともに前記ブラシレスモータを支持する第1ハウジングを有し、前記吸気孔は、前記第1ハウジングに形成され、前記少なくとも1つの回路素子は、前記第1ハウジング内に配置され前記冷却風によって冷却されることを特徴とする電動工具を提供している。
【0009】
上記の構成によれば、第1ハウジングに吸気孔が形成され且つ第1ハウジング内にブラシレスモータへの電力供給に伴って発熱する回路素子が配置される。このため、温度の低い状態の冷却風によって当該回路素子を冷却することができる。これにより、ブラシレスモータを採用してメンテナンスフリー及び長寿命化を図りつつ、且つブラシレスモータへの電力供給に伴って発熱する回路素子を効果的に冷却することができる。
【0010】
また、上記構成において、往復動可能に前記ハウジングに支持された往復動部と、前記ブラシレスモータの回転を前記往復動部の往復動に変換する運動変換部と、をさらに備え、前記ハウジングは、前記運動変換部を収容する第2ハウジングをさらに有し、前記往復動部は、第1方向に延びる軸に沿って往復動可能に前記第2ハウジングに支持され、前記第1ハウジングは、前記ブラシレスモータを支持するモータ支持部と、前記把持部と前記モータ支持部とを接続する接続部と、をさらに有し、前記把持部は、前記第1方向と交差する第2方向に延び、前記第1方向において前記モータ支持部に関して前記往復動部の反対側に位置し、前記吸気孔は、前記モータ支持部に形成され、前記少なくとも1つの回路素子は、前記モータ支持部内に配置されていることが好ましい。
【0011】
このような構成によると、吸気孔がモータ支持部に形成され且つモータ支持部内にブラシレスモータへの電力供給に伴って発熱する回路素子が配置される。このため、温度の低い状態の冷却風によって当該回路素子を冷却することができ、当該回路素子を効果的に冷却することができる。
【0012】
また、上記構成において、前記第1ハウジングから延びるとともに前記電源と接続可能な電源コードをさらに備え、前記電力供給回路は、前記電源から前記電力供給回路に伝搬するノイズを低減するフィルタ素子をさらに有し、前記フィルタ素子は、前記接続部内または前記把持部内に配置されていることが好ましい。
【0013】
このような構成によると、冷却の優先度が低いフィルタ素子をモータ支持部ではなく接続部内または把持部内に配置しているため、ブラシレスモータへの電力供給に伴って発熱する回路素子(すなわち、冷却の優先度の高い回路素子)を優先的に冷却することができる。これにより、ブラシレスモータへの電力供給に伴って発熱する回路素子をより効果的に冷却することができる。
【0014】
また、上記構成において、前記電力供給回路は、前記ブラシレスモータを駆動するためのインバータ回路を有し、前記少なくとも1つの回路素子は、前記インバータ回路を構成する複数のスイッチング素子を含むことが好ましい。
【0015】
このような構成によると、冷却の優先度が高いスイッチング素子が効果的に冷却される。
【0016】
また、上記構成において、前記複数のスイッチング素子を制御して前記ブラシレスモータを駆動する制御部と、前記制御部が搭載された制御基板と、をさらに備え、前記制御基板の少なくとも一部は、前記接続部内に位置していることが好ましい。
【0017】
このような構成によると、冷却の優先度の低い制御部が搭載された制御基板の一部が冷却風の通らない接続部内に配置されているため、ブラシレスモータへの電力供給に伴って発熱する回路素子を優先的に冷却することができ、冷却効率をさらに向上させることができる。
【0018】
上記構成において、前記電力供給回路は、前記電源の電圧を平滑するコンデンサをさらに有し、前記コンデンサの少なくとも一部は、前記接続部内に配置されていることが好ましい。
【0019】
上記構成によれば、冷却風が通らない接続部内に、冷却の優先度の低いコンデンサの一部が配置されるため、ブラシレスモータへの電力供給に伴って発熱する回路素子を優先的に冷却することができ、冷却効率をさらに向上させることができる。また、デッドスペースとなる接続部内の空間を有効に使用することができ、第1ハウジングを小型化することができる。
【0020】
上記構成において、前記接続部は、前記把持部の前記第2方向における一端部と前記モータ支持部とを接続する第1接続部と、前記把持部の前記第2方向における他端部と前記モータ支持部とを接続する第2接続部と、を有し、前記フィルタ素子は、前記第1接続部及び前記第2接続部のいずれか一方に収容され、前記コンデンサの少なくとも一部は、前記第1接続部及び前記第2接続部のいずれか他方に収容されていることが好ましい。
【0021】
このような構成によれば、第1接続部及び第2接続部の内部を有効に利用できるため、第1ハウジングをより小型化することができる。
【0022】
また、上記構成において、前記ハウジングは、一体成形されたモータケースをさらに有し、前記モータケースは、前記モータ支持部に支持され、前記ブラシレスモータは、前記モータケースに収容されていることが好ましい。
【0023】
このような構成によると、モータケースが一体成形されているため、強固にブラシレスモータを軸支することができる。さらに、モータケースの変形及び破損を抑制しつつ高精度の軸支が可能となる。
【0024】
また、上記構成において、前記モータケースの前記第1方向における両端部のうちの前記把持部により近い方の端部には、前記モータ支持部の内部と前記モータケースの内部とを連通させる連通孔が形成され、前記冷却風は、前記少なくとも1つの回路素子を冷却した後、前記連通孔を通り前記モータケースの内部に流入することが好ましい。
【0025】
このような構成によると、モータケース内に配置された冷却対象を冷却することができる。
【0026】
また、上記構成において、前記電力供給回路から前記連通孔を通って前記モータケース内まで延びる配線をさらに備えていることが好ましい。
【0027】
このような構成によれば、モータケースに配線を通すための孔を別途形成せずとも配線をモータケース内に延ばすことができる。これにより、当該孔を形成する工程を削減することができる。
【0028】
また、上記構成において、前記電力供給回路は、前記ブラシレスモータを駆動するためのインバータ回路を有し、前記少なくとも1つの回路素子は、前記インバータ回路を構成する複数のスイッチング素子を含み、前記複数のスイッチング素子は、前記第1方向及び前記第2方向と直交する直交方向と直交する第3方向に並んで配置された第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子を含み、前記モータ支持部にはさらに、第2吸気孔が形成され、前記吸気孔と前記第2吸気孔とは、前記第3方向に並んで形成され、前記第1スイッチング素子は、前記直交方向から見て前記吸気孔と重なる部分を有し、前記第2スイッチング素子は、前記直交方向から見て前記吸気孔と重なる部分を有していることが好ましい。
【0029】
このような構成によると、第1吸気孔から排気孔に流れる冷却風は最も温度の低い状態で第1スイッチング素子を冷却し、第2吸気孔から排気孔に流れる冷却風は最も温度の低い状態で第2スイッチング素子を最初に冷却するため、第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子をより効果的に冷却することができる。
【0030】
また、上記構成において、前記少なくとも1つの回路素子が搭載された基板と、前記基板を収容した基板ケースと、をさらに備え、前記ブラシレスモータは、第1方向に延びる回転軸部を有し、前記ハウジングは、前記第1方向に延びる筒形状に一体成形されたモータケースをさらに有し、前記第1ハウジングは、前記モータケースを支持するモータケース支持部と、前記把持部と前記モータケース支持部とを接続する接続部と、をさらに有し、前記ブラシレスモータは、前記第1方向に延びる回転軸を有するとともに前記モータケースに支持され、前記基板ケースは、前記モータケース支持部内に配置され、前記少なくとも1つの回路素子の少なくとも一部又は前記基板ケースの少なくとも一部は、前記モータケースと前記第1方向においてオーバーラップしていることが好ましい。
【0031】
このような構成によると、基板ケースをモータケースにより近づけて配置することができる。これにより、第1ハウジングの第1方向における寸法の小型化ひいてはセーバーソー1の第1方向における寸法の小型化を図ることができる。
【0032】
また、上記構成においては、前記少なくとも1つの回路素子が搭載された基板と、前記基板を収容した基板ケースと、をさらに備え、前記ブラシレスモータは、第1方向に延びる回転軸部を有し、前記ハウジングは、前記第1方向に延びる筒形状に一体成形され前記ブラシレスモータを支持するモータケースをさらに有し、前記第1ハウジングは、2つの分割ハウジングを前記第1方向と直交する方向に組み付けることによって形成されており、前記基板ケースは、前記2つの分割ハウジングによって挟持され、前記モータケースには、前記第1ハウジングの内部と前記モータケースの内部とを連通させる連通孔が形成され、前記吸気孔の少なくとも一部は、前記第1方向において前記基板ケースと前記連通孔との間に位置していることが好ましい。
【0033】
このような構成によると、吸気孔の少なくとも一部は、第1方向において基板ケースと連通孔との間に位置している。これにより、吸気孔が第1方向において基板ケースと連通孔との間に位置する部分を有していない構成と比較して、冷却風をより円滑に流すことができ、冷却効率を向上させることができる。
【0034】
前記基板ケースは、前記モータケースに向けて開口する箱形状をなし、前記連通孔は、前記モータケースの前記第1方向における両端部のうちの前記把持部により近い方の端部に形成されていることが好ましい。
【0035】
このような構成によると、基板ケースの開口側を好適に冷却することができる。
【0036】
前記少なくとも1つの回路素子が搭載された基板と、前記基板を収容した基板ケースと、をさらに備え、前記ブラシレスモータは、第1方向に延びる回転軸部を有し、前記基板ケースは前記第1方向と略直交する方向に延び、かつ前記基板ケースの中心が前記回転軸部の中心からオフセットした位置にあることが好ましい。
【0037】
このような構成によると、基板ケースから突出する部品の配置が容易になる。また、ハウジングにおける基板ケースの中心よりも上側部分及び下側部分にそれぞれ吸気孔を形成する場合、いずれか一方の吸気孔から流入する空気の流れを阻害しないような配置とすることが容易となる。
上記課題を解決するために、本発明はさらに、ハウジングと、前後方向に延びる軸を中心として回転する回転軸を有し、前記ハウジングに支持されたブラシレスモータと、前記ブラシレスモータを制御するための制御回路と、前記制御回路の少なくとも一部を搭載した回路基板と、を備え、前記ハウジングは、上下方向に沿って延びる把持部を有する第1ハウジングと、前記ブラシレスモータを収容する筒形一体のモータケースと、を有し、前記第1ハウジングは、2つの分割ハウジングを左右方向に組み付けることによって形成されるとともに、前記モータケースの少なくとも一部を覆うモータ支持部と、前記把持部の下端部から前方に延びる筒形状を有し前記下端部と前記モータ支持部とを接続する第1接続部と、前記把持部の上端部から前方に延びる筒形状を有し前記上端部と前記モータ支持部とを接続する第2接続部と、を有し、前記ブラシレスモータはステータとロータを有し、前記制御回路はスイッチング素子と、前記スイッチング素子を制御する制御部とを有し、前記回路基板は前記スイッチング素子と前記制御部を搭載し、前記モータケースの後部には、前記モータケースの内部と前記第1ハウジングの内部とを連通させる連通孔が形成され、前記把持部の上下方向中心位置は、前記ロータの回転軸心よりも下方に位置し、前記回路基板は、前記第1接続部の内部と前記モータ支持部の内部とを亘るように、かつ前記回路基板の少なくとも一部が前記モータケースの下方において前後方向前記ステータとオーバーラップし、前記モータケースと前記第1ハウジングの内壁との間に形成される空間に位置するように前記第1ハウジングに収容され、さらに前記回路基板は、前記回路基板の前端が前記把持部の下端よりも上方に位置するように、かつ前記回路基板の前記前端が前記回路基板の後端よりも上方に位置するように前後方向に対して傾斜しており、前記回路基板からは前記ブラシレスモータを制御するための制御用配線が延出し、前記制御用配線は上下方向における前記モータケースと前記回路基板との間を通るとともに、前記連通孔を経て前記モータケースの内部に延び、前記回路基板の少なくとも一部は、前後方向において前記ブラシレスモータとオーバーラップするとともに、前記モータケースの後端よりも前方に位置することを特徴とする電動工具を提供する。
上記構成において、前記ハウジングには、吸気孔と排気孔とが形成され、前記ブラシレスモータの回転によって駆動して前記吸気孔から前記排気孔に流れて前記ブラシレスモータを冷却する冷却風を前記ハウジング内に発生させるファンをさらに備え、前記スイッチング素子は、前記冷却風によって冷却されることが好ましい。
上記構成において、前記回路基板の板厚方向は、左右方向と直交していることが好ましい。
上記構成において、前記回路基板の板厚方向は、さらに、前後方向及び上下方向の両方と交差していることが好ましい。
上記構成において、前記回路基板は、前記第1接続部から前記モータ支持部に亘って前方斜め上方に延在していることが好ましい。
上記構成において、前記制御回路は、複数の基板に分割して搭載され、前記複数の基板のうちの1つは、前記回路基板であることが好ましい。
上記構成において、前記複数の基板は、少なくとも3つの基板であることが好ましい。
上記構成において、前記ハウジングには、吸気孔と排気孔とが形成され、前記ブラシレスモータの回転によって駆動して前記吸気孔から前記排気孔に流れて前記ブラシレスモータを冷却する冷却風を前記ハウジング内に発生させるファンをさらに備え、前記複数の基板のうちの他の一つは、前記冷却風の経路上に位置するスイッチング基板であり、前記スイッチング素子は、前記スイッチング基板に搭載されており、前記冷却風によって冷却され、前記回路基板は、前記冷却風の経路外に位置することが好ましい。
上記構成において、前記モータ支持部は、前記ブラシレスモータの下方に位置する壁部を有し、前記回路基板の一部は、前記壁部と前記ブラシレスモータとの間に位置していることが好ましい。
上記課題を解決するために、本発明はさらに、ハウジングと、前後方向に延びる軸を中心として回転する回転軸を有し、前記ハウジングに支持されたブラシレスモータと、前記ブラシレスモータを制御するための制御回路と、前記制御回路の少なくとも一部を搭載した回路基板と、を備え、前記回路基板は、前記制御回路の一部を搭載した第1回路基板、及び前記制御回路の他の一部を搭載した第2回路基板と、を有し、前記ハウジングは、上下方向に沿って延びる把持部を有する第1ハウジングと、前記第1ハウジングとは別体として構成されるとともに前記ブラシレスモータを収容する筒形状のモータケースと、を有し、前記把持部の上下方向中心位置は前記ブラシレスモータの回転軸心よりも下方に位置し、前記第1ハウジングは、2つの分割ハウジングを左右方向に組み付けることによって形成され、前記第1回路基板と前記第2回路基板は前記モータケースよりも下方の位置で左右方向に延びるようにして前記第1ハウジングに収容され、前記第1ハウジングは、前記ブラシレスモータの径方向で前記モータケースの少なくとも一部を覆う内壁を有し、前記第1回路基板の少なくとも一部は、上下方向で前記モータケースと前記内壁との間に形成される空間に配置され、前記第2回路基板は前記第1回路基板の後方に配置され、前記第1回路基板の上下方向中心位置は、前記第2回路基板の上下方向中心位置よりも上方に位置することを特徴とする電動工具を提供する。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、ブラシレスモータを採用してメンテナンスフリー及び長寿命化を図り、且つブラシレスモータへの電力供給に伴って発熱する回路素子を効果的に冷却可能とした電動工具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明の第1の実施の形態によるセーバーソーの外観を示す側面図である。
図2】本発明の第1の実施の形態によるセーバーソーの内部構造を示す断面図である。
図3】本発明の第1の実施の形態によるセーバーソーのハンドルハウジング及びモータケースの内部構造を示す拡大部分断面図である。
図4】本発明の第1の実施の形態によるセーバーソーの基板部を示す斜視図である。
図5】本発明の第1の実施の形態によるセーバーソーの電気的構成を示す回路図である。
図6】本発明の第1の実施の形態によるセーバーソーの吸気孔、連通孔、整流回路ケース、及びスイッチング素子の位置関係について説明する図である。
図7】本発明の第1の実施の形態によるセーバーソーの基板収容部を示す図であり、図6のVII-VII線断面図である。
図8】本発明の第1の実施の形態によるセーバーソーにおける冷却風の流れを説明する図である。
図9】本発明の第2の実施の形態によるセーバーソーのハンドルハウジング及びモータケースの内部構造を示す拡大部分断面図である。
図10】本発明の第3の実施の形態によるセーバーソーのハンドルハウジング及びモータケースの内部構造を示す拡大部分断面図である。
図11】本発明の第3の実施の形態によるセーバーソーにおける第1冷却風及び第2冷却風の流れを説明する図である。
図12】本発明の第4の実施の形態によるセーバーソーのハンドルハウジング及びモータケースの内部構造を示す拡大部分断面図である。
図13】本発明の第4の実施の形態によるセーバーソーにおける第3冷却風及び第4冷却風の流れを説明する図である。
図14】本発明の第5の実施の形態によるセーバーソーのハンドルハウジングの外観を示す側面図である。
図15】本発明の第5の実施の形態によるセーバーソーのハンドルハウジング及びモータケースの内部構造を示す図である。
図16】本発明の第5の実施の形態によるセーバーソーの基板収容部の正面図である。
図17】本発明の第5の実施の形態によるセーバーソーにおける第5冷却風、第6冷却風、及び第7冷却風の流れを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施の形態にかかる電動工具について図1図17を参照しながら説明する。以降の説明においては、図中の矢印で示されている「上」を上方向、「下」を下方向、「前」を前方向、「後」を後方向、「右」を右方向、「左」を左方向と定義する。
【0041】
最初に、本発明の第1の実施形態にかかる電動工具の一例であるセーバーソー1について図1図8を参照しながら説明する。
【0042】
図1に示されているセーバーソー1は、木材、鋼材、パイプ等の被切断材を切断するための電動式の往復動工具である。図1及び図2に示されているように、セーバーソー1は、ハウジング2と、回転軸31を有するブラシレスモータ3と、センサ基板4と、ファン5と、基板部6と、運動変換部7と、被切断材を切断するためのブレードBを装着可能な往復動部8と、電力供給回路9(図5)と、制御部10(図5)とを備えている。セーバーソー1においては、ブラシレスモータ3を駆動源として用い、ブラシレスモータ3の回転によってブレードBが装着された状態の往復動部8を往復駆動させ、このブレードBの往復動によって切断作業を可能としている。
【0043】
図1及び図2に示されているように、ハウジング2は、セーバーソー1の外郭をなしており、ハンドルハウジング21と、モータケース22と、ギアケース23とを有している。また、ハウジング2には、複数の吸気孔2a及び複数の排気孔2b(本実施の形態においては、6つの吸気孔2a及び2つの排気孔2b)が形成されている。
【0044】
ハンドルハウジング21は、樹脂製であり、ハウジング2の後部を構成している。ハンドルハウジング21は、モータケース22の後部に接続されており、モータケース22を支持するとともにモータケース22の一部を覆っている。ハンドルハウジング21は、2つの分割ハウジングを左右方向に組み付けることにより形成された2つ割りのハウジングである。より詳細には、図7に示されているように、ハンドルハウジング21の左右方向における中心を通り且つ左右方向に直交する仮想平面に関して互いに略対称に構成された右側分割ハウジング21Aと左側分割ハウジング21Bとを組み付けることによって形成されている。このため、ハンドルハウジング21は、略左右対称に構成されている。ハンドルハウジング21は、本発明における「第1ハウジング」の一例である。右側分割ハウジング21A及び左側分割ハウジング21Bは、本発明における「2つの分割ハウジング」の一例である。
【0045】
図1図2及び図7に示されているように、ハンドルハウジング21は、把持部211と、接続部212と、モータ支持部213と、右側リブ部214と、左側リブ部215とを有している。
【0046】
把持部211は、作業者が把持可能な部分であり、図2に示されているように、上下方向に延びる略円筒形状を有している。把持部211内の上部には、スイッチ機構部211Aが収容されており、スイッチ機構部211Aの前方には、手動操作可能に構成されたトリガ211Bが設けられている。また、図3に示されているように、スイッチ機構部211Aからは信号線211Gが延びており、把持部211の下端部からは電源コード211Cが延びている。上下方向は、本発明における「第2方向」の一例である。
【0047】
スイッチ機構部211Aは、図5に示されているように、スイッチ211D及び信号出力部211Eを有している。スイッチ211Dは、トリガ211Bに対する操作に連動して閉状態(オン状態)と開状態(オフ状態)とが切替わるスイッチである。スイッチ211Dは、電力供給回路9の一部を構成しており、電力供給回路9におけるブラシレスモータ3への電力供給ライン上に接続されている。具体的には、トリガ211Bに対して引操作が行われると(すなわち、トリガ211Bが後方に押し込まれると)、スイッチ211Dは閉状態(オン状態)となり、ブラシレスモータ3への電力供給が可能な状態となる。一方、当該引操作が解除されると、スイッチ211Dは開状態(オフ状態)となり、ブラシレスモータ3への電力供給が不能な状態となる。
【0048】
信号出力部211Eは、制御部10に接続されており、トリガ211Bに対する引操作を検出して始動信号を制御部10に出力するように構成されている。具体的には、信号出力部211Eは、トリガ211Bに対して引操作が行われている場合は、始動信号を制御部10に出力し続け、当該引操作が解除された場合には、当該始動信号の出力を停止する。
【0049】
信号線211Gは、信号出力部211Eと制御部10とを電気的に接続する配線であり、スイッチ機構部211Aから基板部6の回路基板62に搭載された制御部10まで把持部211の内部及び第1接続部212Aの内部を通って延びている。信号出力部211Eから出力される始動信号は、信号線211Gを介して制御部10に入力される。
【0050】
図1に戻り、電源コード211Cは、外部電源Pに接続可能な図示せぬ接続プラグを有しており、外部電源P(図5)と接続可能に構成されている。本実施形態において、外部電源Pは、商用交流電源である。なお、外部電源Pは、交流電圧を出力する電源であればよく、商用交流電源に限定されない。例えば、外部電源Pは、交流電圧を発生させる発電機等であってもよい。
【0051】
図1及び図2に示されているように、接続部212は、第1接続部212A及び第2接続部212Bを有しており、把持部211とモータ支持部213とを接続している。第1接続部212Aは、把持部211の下端部の前部から前方に延びる略円筒形状を有しており、把持部211の下端部の前部とモータ支持部213の後下部とを接続している。第1接続部212Aの内部には、電力供給回路9を構成する後述のチョークコイル91D等を収容する空間が画成されている。第2接続部212Bは、把持部211の上端部の前部から前方に延びる略円筒形状を有しており、把持部211の上端部の前部とモータ支持部213の後上部とを接続している。把持部211の下端部は、本発明における「一端部」の一例である。また、把持部211の上端部は、本発明における「他端部」の一例である。
【0052】
モータ支持部213は、把持部211の前方に位置しており、モータケース22の後部に接続されるとともにモータケース22を支持している。また、モータ支持部213の内部には、基板部6等を収容する空間が画成されている。モータ支持部213は、本発明における「モータケース支持部」の一例である。
【0053】
図1に示されているように、モータ支持部213の右側壁213Aの下部には、吸気孔2aが上下方向に並んで3つ形成されている。3つの吸気孔2aのそれぞれは、前後方向に延びるとともに右側壁213Aを左右方向に貫通している。3つの吸気孔2aによって、モータ支持部213内とハウジング2の外部とが連通している。また、図2に示されているように、モータ支持部213の左側壁213Bの下部にも右側壁213Aと同様に、3つの吸気孔2aが形成されている。なお、上述したように、ハンドルハウジング21は略左右対称に構成されているため、左側壁213Bに形成された3つの吸気孔2aの配置及び形状は、右側壁213Aに形成された3つの吸気孔2aの配置及び形状と上述の仮想平面に関して対称である。このため、左側壁213Bに形成された3つの吸気孔2aの配置及び形状についての説明は省略する。
【0054】
図7に示されているように、右側リブ部214及び左側リブ部215は、基板部6の基板収容部61(後述)を左右から挟持しハウジング2内部において支持している。右側リブ部214は、第1右側リブ214A、第2右側リブ214B、及び第3右側リブ214Cを有しており、左側リブ部215は、左側壁213Bから右方に延びる第1左側リブ215A、第2左側リブ215B、及び第3左側リブ215Cを有している。
【0055】
第1右側リブ214Aは、右側壁213Aから左方に突出しており、基板収容部61の右端縁の上端部に係合している。第2右側リブ214B、右側壁213Aから左方に突出しており、基板収容部61の右端縁の上下方向略中央部に係合している。第3右側リブ214Cは、右側壁213Aから左方に突出しており、基板収容部61の右端縁の下端部に係合している。
【0056】
第1左側リブ215Aは、左側壁213Bから右方に突出しており、基板収容部61の左端縁の上端部に係合している。第2左側リブ215B、左側壁213Bから右方に突出しており、基板収容部61の左端縁の上下方向略中央部に係合している。第3左側リブ215Cは、左側壁213Bから右方に突出しており、基板収容部61の左端縁の下端部に係合している。
【0057】
基板収容部61は、第1右側リブ214A、第3右側リブ214C、第1左側リブ215A、及び第3左側リブ215Cの4つのリブによって、上下方向及び前後方向において位置決めされている。また、基板収容部61は、第2右側リブ214B及び第2左側リブ215Bの2つのリブによって、左右から挟持されるとともに左右方向において位置決めされている。
【0058】
モータケース22は、一体成形された樹脂製の部材であり、前後方向に延びる筒形状をなしている。より詳細には、図2及び図3に示されているように、前方に開口するとともに前後方向に延びる有底円筒形状を有している。モータケース22は、後壁部221と円筒部222とを有しており、ブラシレスモータ3、センサ基板4、及びファン5を収容している。
【0059】
図3に示されているように、後壁部221は、モータケース22の後部を構成しており、後面視において略円形状をなしている。後壁部221は、ベアリング支持部221Aを有している。ベアリング支持部221Aは、後壁部221の後面略中央から後方に突出するとともに後端部が閉塞された略円筒形状をなしており、その内部においてボールベアリング2Aを支持している。
【0060】
また、後壁部221には、後壁部221を前後方向に貫通し、モータケース22の内部とモータ支持部213の内部(ハンドルハウジング21の内部)とを連通させる複数の連通孔221aが形成されている。複数の連通孔221aは、ベアリング支持部221Aの半径方向外方においてベアリング支持部221Aの周方向に所定の間隔で形成されている。
【0061】
円筒部222は、後壁部221の周縁部から前方に延びる略円筒形状を有しており、円筒部222の前方に臨む開口端は、ギアケース23によって閉塞されている。円筒部222の前端部には、2つの排気孔2bが形成されている。
【0062】
2つの排気孔2bのうちの一方は、円筒部222の前端部の上部に形成されており、2つの排気孔2bのうちの他方は円筒部222の前端部の下部に形成されている。2つの排気孔のそれぞれは、円筒部222を上下方向に貫通しており、モータケース22の内部とハウジング2の外部とを連通させている。2つの排気孔2bのそれぞれは、円筒部222の前端部の一部を切り欠くことで形成されており、2つの排気孔2bのそれぞれの前方に臨む開口端は、ギアケース23によって閉塞されている。
【0063】
図1及び図2に示されているように、ギアケース23は、前後方向に延びる略円筒形状を有しており、モータケース22の前部に接続されている。ギアケース23は、金属製であり、運動変換部7及び往復動部8を収容するとともにボールベアリング2Bを支持している。また、図1に示されているように、ギアケース23の右前部には、ブレードBを往復動部8に着脱するための手動操作可能なレバー23Aが設けられている。さらに、ギアケース23の前端には、切断作業時に被切断材に当接させるベース23Bが設けられている。ギアケース23は、本発明における「第2ハウジング」の一例である。
【0064】
図2及び図3に示されているように、ブラシレスモータ3は、モータケース22内に収容されており、回転軸31と、ロータ32と、ステータ33とを有している。ブラシレスモータ3は、3相ブラシレスDCモータであり、セーバーソー1の駆動源すなわち往復動部8を駆動するための駆動源である。本実施の形態において、ブラシレスモータ3の定格出力は、例えば、約1500Wである。
【0065】
図2に示されているように、回転軸31は、前後方向に延びており、ボールベアリング2A及びボールベアリング2Bを介してモータケース22及びギアケース23に回転可能に支承されている。回転軸31の前端部には、回転軸31と一体に回転するピニオン31Aが設けられている。回転軸31は、本発明における「回転軸部」の一例である。
【0066】
ロータ32は、永久磁石を有しており、回転軸31と同軸一体回転するように回転軸31に同軸固定されている。また、ロータ32の後端には、センサマグネット32Aがロータ32と一体に回転するように設けられている。
【0067】
ステータ33は、前後方向に延びる略円筒形状をなしており、スター型接続されたステータコイルU、V、W(図5)を有している。ステータ33の外周部の上部及び下部のそれぞれは、モータケース22に対してボルト33Aによって固定されている。これにより、ブラシレスモータ3は、モータケース22内に収容された状態でモータケース22に対して固定され、モータケース22を介してモータ支持部213(ハンドルハウジング21)に支持される。
【0068】
センサ基板4は、前面視において円環形状をなす基板であり、ブラシレスモータ3のステータ33の後方に設けられている。センサ基板4の前面には、ロータ32の回転位置を検出するための3つのホール素子41が搭載されている。3つのホール素子41は、センサ基板4の前面に設けられており、回転軸31の周方向に略60°間隔で並んで配置されている。3つのホール素子41のそれぞれは、信号線41Aを介して制御部10に接続されており、センサマグネット32Aの回転位置を検出するための信号を制御部10に出力する。図3に示されているように、信号線41Aは、センサ基板4の下部から延出し、連通孔221aを通って制御部10に接続されている。
【0069】
図2に戻り、ファン5は、遠心ファンであり、ブラシレスモータ3のステータ33の前方に位置している。ファン5は、回転軸31と同軸一体回転するように回転軸31に同軸固定されている。ファン5は、回転軸31の回転と一体に回転駆動し、ハウジング2の内部において複数の吸気孔2aから複数の排気孔2bに流れる冷却風を発生させる。また、ファン5の前後方向における位置は、2つの排気孔2bの前後方向における位置と一致している、言い換えると、ファン5は、上下方向から見て2つの排気孔2bと重なっている。これにより、冷却風を2つの排気孔2bからハウジング2の外部に円滑に排出することができる。
【0070】
図2図4に示されているように、基板部6は、基板収容部61と回路基板62とを有している。基板収容部61は、樹脂製の箱形状の容器(詳細には、有底箱型容器)であり、前方に開口するよう(すなわち、モータケース22に向けて開口するよう)にモータ支持部213内に収容されている。基板収容部61は、図7に示されているように、前面視において上下方向を長手方向とする矩形状、すなわち長方形状をなしている。図3に示されているように、基板収容部61の上端は円筒部222の上端よりも下方且つベアリング支持部221Aの上端よりも上方に位置し、基板収容部61の下端は円筒部222の下端よりも下方に位置している。このため、基板収容部61の一部は、モータ支持部213の後壁部213Cとモータケース22との間に位置している。なお、後壁部213Cは、モータ支持部213の後端部を構成するとともに前後方向において把持部211と対向する壁部である。また基板収容部61は、長辺を上下方向に沿わせ、短辺を左右方向に沿わせるようにしてハンドルハウジング21に挟持されている。すなわち、基板収容部61の幅方向を、セーバーソー1の長手方向となる前後方向に沿わせることで、ハンドルハウジング21の前後方向の大型化、ひいてはセーバーソー1の前後方向(長手方向)の大型化を抑制している。基板収容部61は、本発明における「基板ケース」の一例である。
【0071】
回路基板62は、平板状の基板であり、厚み方向が前後方向と一致するように基板収容部61内に収容されている。回路基板62上には、電力供給回路9を構成する複数の回路素子(後述のダイオード92A、スイッチング素子Q1~Q6等)及び制御部10が搭載されている。なお、基板収容部61内には、回路基板62が基板収容部61内に収容された状態で、ウレタン樹脂61Aが充填されている。これにより、回路基板62上に搭載された複数の回路素子間の絶縁性を向上させている。回路基板62は、本発明における「基板」の一例である。
【0072】
図2に示されているように、運動変換部7は、傘歯ギア71と、ピン72と、ピンガイド73とを有している。運動変換部7は、ブラシレスモータ3の回転軸31の回転を前後方向の往復運動に変換し当該往復運動を往復動部8に伝達する機構である。すなわち、運動変換部7は、ブラシレスモータ3の回転を往復動部8の往復動に変換するように構成されている。
【0073】
傘歯ギア71は、ギアケース23内の下部において、上下方向に延びる回転軸心を中心として回転可能にギアケース23に支承されている。傘歯ギア71は、回転軸31のピニオン31Aと噛合している。
【0074】
ピン72は、上下方向に延びる略円柱形状をなしている。ピン72は、傘歯ギア71に圧入によって固定されており、傘歯ギア71の径方向において傘歯ギア71の回転軸心から離間して位置している。ピン72の上部は、傘歯ギア71の上面から上方に突出している。
【0075】
ピンガイド73は、左右方向に延びる略直方体をなす部材であって、ギアケース23内に前後方向に移動可能に設けられている。ピンガイド73には、ピン収容溝73aが形成されている。ピン収容溝73aは、ピンガイド73の下面から上方に窪むとともに左右方向に延びている。ピン収容溝73aの前後方向の幅は、ピン72の直径よりも僅かに大きく構成されており、ピン72の上端部がニードルベアリングを介してピン収容溝73aに収容されている。これにより、ピン72のピンガイド73に対する前後方向の相対移動は規制され、左右方向の相対移動は許容される。
【0076】
往復動部8は、ギアケース23内において前後方向に延びる軸Aに沿って往復動可能(すなわち、前後方向に往復動可能)にギアケース23に支持されている。往復動部8は、前後方向においてモータ支持部213に関して把持部211の反対側に位置している。往復動部8は、シャフト81とブレード装着部82とを有している。前後方向は、本発明における「第1方向」の一例である。軸Aは、本発明における「第1方向に延びる軸」の一例である。
【0077】
シャフト81は、前後方向に延びる略円筒形状をなしており、ギアケース23に前後方向に往復動可能に支持されている。また、シャフト81は、ピンガイド73と一体に前後方向に移動するようにピンガイド73に固定されている。
【0078】
ブレード装着部82は、シャフト81の前端部に設けられており、ブレードBを着脱可能に構成されている。
【0079】
次に、セーバーソー1の電気的構成について説明する。セーバーソー1は、図5に示されているように電力供給回路9及び制御部10を有している。
【0080】
電力供給回路9は、外部電源Pの電力をブラシレスモータ3に供給可能に構成されており、ノイズフィルタ回路91と、整流回路92と、第1プラスライン93と、スイッチ211Dと、第2プラスライン94と、マイナスライン95と、平滑回路96と、インバータ回路97と、定電圧電源回路98と、を有している。なお、整流回路92、第1プラスライン93、第2プラスライン94、マイナスライン95、平滑回路96の一部、インバータ回路97、及び定電圧電源回路98は、回路基板62に搭載されている。
【0081】
ノイズフィルタ回路91は、ノイズ低減のための回路であり、フィルタ回路基板91A(図2及び図3)に搭載されている。フィルタ回路基板91Aは、第1接続部212A内に配置されたフィルタ回路収容部91Fに収容されている。フィルタ回路収容部91Fは、上方に開口する有底箱形状の樹脂製の容器である。
【0082】
図5に示されているように、ノイズフィルタ回路91は、第1端子91B、第2端子91C、チョークコイル91D、及びコンデンサ91Eを有している。第1端子91B及び第2端子91Cは、電源コード211Cが外部電源Pに接続された状態で外部電源Pの電圧が印加される端子である。
【0083】
チョークコイル91D及びコンデンサ91Eは、外部電源Pから電力供給回路9に伝搬するノイズを低減するためのフィルタ素子である。チョークコイル91Dは、整流回路92と外部電源Pとの間に直列に接続されており、コンデンサ91Eは、外部電源Pと並列に接続されている。チョークコイル91D及びコンデンサ91Eのそれぞれは、本発明における「フィルタ素子」の一例である。
【0084】
図2及び図3に示されているように、チョークコイル91D及びコンデンサ91Eは、フィルタ回路収容部91Fに収容されたフィルタ回路基板91Aに搭載された状態でハンドルハウジング21の第1接続部212A内に配置(収容)されており、前後方向において電源コード211Cの基端部211Fと基板部6との間に位置している。このため、電気的には外部電源Pと整流回路92との間に直列に接続されるチョークコイル91Dが、整流回路92よりも電源コード211Cの近くに位置する。これにより、整流回路92がチョークコイル91Dよりも電源コード211Cの近くに位置する構成と比較すると、チョークコイル91Dと電源コード211C及び整流回路92とを接続する配線を短くすることができ、組み立てを容易にすることができる。
【0085】
図5に戻り、整流回路92は、4つのダイオード92A(4つの整流素子)を有するダイオードブリッジ回路であり、外部電源Pからノイズフィルタ回路91を介して出力される交流電圧を整流して平滑回路96に出力する。言い換えれば、整流回路92は、外部電源Pの交流電圧を直流電圧に変換して平滑回路96に出力する。また、整流回路92(4つのダイオード92A)は、電力供給回路9によるブラシレスモータ3への電力供給に伴って発熱する回路素子であり、当該電力供給に伴った発熱量が大きい。このため、整流回路92(4つのダイオード92A)は、冷却の優先度が高い回路素子である。
【0086】
整流回路92は、図3及び図4に示されているように、整流回路ユニット92Bとして回路基板62に搭載されている。整流回路ユニット92Bは、整流回路92、整流回路92を格納するケース、整流回路92に接続されるとともに当該ケースから突出する複数の端子等がユニット化されたものである。整流回路ユニット92Bは、回路基板62の前面の下部から前方に突出し且つ左右方向に延びるように回路基板62に搭載されている。整流回路ユニット92Bの後部は、ウレタン樹脂61Aに埋まっており、その他の部分はモータ支持部213内の空間に露出している。また、整流回路ユニット92Bの下面は、金属製の放熱フィン92Cに接続されている。整流回路92及び整流回路ユニット92Bはそれぞれ、本発明における「回路素子」の一例である。
【0087】
図5に戻り、第1プラスライン93は、整流回路92とスイッチ機構部211Aのスイッチ211Dとを接続しており、第2プラスライン94は、スイッチ211Dとインバータ回路97とを接続している。すなわち、第1プラスライン93と第2プラスライン94とはスイッチ211Dを介して接続されている。また、マイナスライン95は、図示せぬGNDに接続されており、且つ整流回路92とインバータ回路97とを接続している。スイッチ211Dがオン状態となると、第1プラスライン93と第2プラスライン94とが電気的に接続され、外部電源Pからインバータ回路97に電力供給が可能な状態となる。一方、スイッチ211Dがオフ状態となると、第1プラスライン93と第2プラスライン94とが非接続状態となり、外部電源Pからインバータ回路97への電力供給が不能な状態となる。
【0088】
平滑回路96は、整流回路92とインバータ回路97との間に接続され、整流回路92から出力される直流電圧を平滑し、インバータ回路97へ出力する。平滑回路96は、第1コンデンサ96A、第2コンデンサ96B、及び抵抗96Cを有している。
【0089】
第1コンデンサ96Aは、有極性の電解コンデンサであり、第1プラスライン93とマイナスライン95との間に接続されている。本実施の形態において、第1コンデンサ96Aは、静電容量が約180μFのコンデンサである。なお、本実施の形態において、第1コンデンサ96Aの静電容量は約180μFであるが、これに限定されず、静電容量が40~200μFの小型のコンデンサを採用可能である。第1コンデンサ96Aは、本発明における「コンデンサ」の一例である。
【0090】
図2及び図3に示されているように、第1コンデンサ96Aは、略円柱形状を有しており、モータ支持部213内において図示せぬリブ等に支持されている。第1コンデンサ96Aは、その軸方向が上下方向に略一致する姿勢で、基板部6(基板収容部61)の上方且つモータケース22よりも後方に配置(収容)されている。また、第1コンデンサ96Aの上端は、モータケース22の上端よりも上方に位置しており、第1コンデンサ96Aの下端は、モータケース22の上端よりも下方に位置している。
【0091】
図5に戻り、第2コンデンサ96Bは、無極性のフィルムコンデンサであり、第2プラスライン94とマイナスライン95との間に接続されている。スイッチ211Dがオン状態の場合、第1コンデンサ96A及び第2コンデンサ96Bは、並列に接続された状態となる。本実施の形態において、第2コンデンサ96Bは、静電容量が約4.7μFのコンデンサである。また、第2コンデンサ96Bは第1コンデンサ96Aよりも小型である。
【0092】
抵抗96Cは、放電用の抵抗であり、第2プラスライン94とマイナスライン95との間に接続され第2コンデンサ96Bと並列に接続されている。
【0093】
インバータ回路97は、3相ブリッジ形式に接続された6個のスイッチング素子Q1~Q6を有している。本実施の形態において、スイッチング素子Q1~Q6は、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であるが、これに限定されず、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等のスイッチング素子であってもよい。また、スイッチング素子Q1~Q6は、電力供給回路9によるブラシレスモータ3への電力供給に伴って発熱する回路素子であり、当該電力供給に伴った発熱量が大きい。このため、スイッチング素子Q1~Q6は、冷却の優先度が高い回路素子である。
【0094】
スイッチング素子Q1~Q6の各ゲートは、制御部10に接続されており、制御部10から入力される制御信号に基づいてスイッチング動作を行う。また、スイッチング素子Q1~Q6の各ドレイン又は各ソースは、ステータコイルU、V、Wに接続されている。より詳細には、スイッチング素子Q1~Q6の各ドレイン又は各ソースは、図3に示されている複数の配線2Cによって、センサ基板4上に形成された回路に接続され、当該回路を介してステータコイルU、V、Wに接続されている。複数の配線2Cは、各スイッチング素子Q1~Q6、すなわち電力供給回路9からモータケース22の連通孔221aを通ってモータケース22内まで延び、センサ基板4に接続されている。言い換えれば、複数の配線2Cは、モータ支持部213内からモータケース22の連通孔221aを通ってモータケース22内まで延びている。
【0095】
図3及び図4に示されているように、スイッチング素子Q1~Q6のそれぞれは、互いに同一形状を有しており、スイッチング素子本体97Cとスイッチング素子本体97Cに接続された放熱板97Dとを有している。スイッチング素子Q1~Q6のそれぞれのスイッチング素子本体97C及び放熱板97Dは、回路基板62の前面から前方に突出し且つ上下方向に延びるように回路基板62上に搭載されている。スイッチング素子Q1~Q6のそれぞれの放熱板97Dの前後方向の寸法は、スイッチング素子本体97Cの前後方向の寸法よりも長く構成されており、放熱板97Dの上下方向の寸法は、スイッチング素子本体97Cの上下方向の寸法と略同一である。また、スイッチング素子Q1~Q6のそれぞれの後部(すなわち、スイッチング素子本体97Cの後部及び放熱板97Dの後部)は、ウレタン樹脂61Aに埋まっており、その他の部分はモータ支持部213内の空間に露出している。
【0096】
図4に示されているように、スイッチング素子Q1~Q3は、回路基板62の前面の左部において上下方向に並んで配置されている。スイッチング素子Q1~Q3のそれぞれの放熱板97Dの左面は、例えばネジ等の金属製の固定部材を介して金属製の放熱フィン97Aに接続されている。各放熱フィン97Aの前後方向の寸法は、放熱板97Dの前後方向の寸法よりも僅かに長く構成されている。
【0097】
スイッチング素子Q4~Q6は、スイッチング素子Q1~Q3の右方において上下方向に並んで配置されている。上下方向に並んだスイッチング素子Q4~Q6で構成されるスイッチング素子列と上下方向に並んだスイッチング素子Q1~Q3で構成されるスイッチング素子列とは左右方向に並んでいる。また、スイッチング素子Q4、Q5、Q6はそれぞれ、スイッチング素子Q1、Q2、Q3と左右方向において対向している。スイッチング素子Q4~Q6のそれぞれの放熱板97Dの右面は、例えばネジ等の金属製の固定部材を介して金属製の放熱フィン97Bに接続されている。放熱フィン97Bは、スイッチング素子Q4~Q6に跨って上下方向に延びており、放熱フィン97Bの前後方向の寸法は、放熱フィン97Aと略同一に構成されている。
【0098】
図5に示されているように、定電圧電源回路98は、第1プラスライン93とマイナスライン95との間に接続されている。定電圧電源回路98は、ダイオード98A、コンデンサ98B、IPD回路98C、コンデンサ98D、及びレギュレータ98Eを有しており、整流回路92から出力される直流電圧を変換して安定化された基準電圧を生成し、制御部10等へ供給する。コンデンサ98B及びコンデンサ98Dは、図4に示されているように、放熱フィン97Bの右方において回路基板62の前面から前方に突出するように回路基板62上に搭載されている。
【0099】
制御部10は、図示せぬ演算部、ROM、RAM等を有しており、インバータ回路97を制御してブラシレスモータ3を駆動するように構成されている。制御部10は、3つのホール素子41のそれぞれから出力された信号に基づいてセンサマグネット32Aの回転位置を検出することでロータ32の回転位置を検出し、当該検出結果に基づいてスイッチング素子Q1~Q6のそれぞれのオン・オフを切換えるための制御信号を形成する。制御部10は、当該制御信号をスイッチング素子Q1~Q6に出力し、ステータコイルU、V、Wのうちの通電されるコイルを順次切替え、ロータ32を所定の回転方向に回転駆動させる。
【0100】
ここで、図6を参照しながら、モータ支持部213の左側壁213Bに形成された3つの吸気孔2a、複数の連通孔221a、整流回路ユニット92B、及びスイッチング素子Q1~Q3の位置関係について説明する。以下の説明においては、3つの吸気孔2aのうち最も下側に位置する吸気孔2aを「吸気孔2c」と称し、最も上側に位置する吸気孔2aを「吸気孔2d」と称し、残りの吸気孔2aを「吸気孔2e」と称す。また、モータケース22に形成された複数の連通孔221aのうち最も上側に位置する連通孔221aを「連通孔221b」と称し、最も下側に位置する連通孔221aを「連通孔221c」と称す。なお、図6においては、図の煩雑を避けるため、スイッチング素子Q1~Q3のそれぞれと放熱フィン97Aとを接続している固定部材の図示は省略している。図2及び図3についても同様である。
【0101】
図6に示されているように、吸気孔2cは、左右方向から見て整流回路ユニット92Bと重なる部分を有している。このため、モータ支持部213内において、当該重なる部分から連通孔221b及び連通孔221cに向かって流れる冷却風は、整流回路ユニット92B(整流回路92)を最初に冷却する。また、当該重なる部分から取り込まれる冷却風の向きは、回転軸31の軸方向と直交する方向(本実施の形態においては、右方向)となるため、当該重なる部分から取り込まれた直後の冷却風が整流回路ユニット92Bに当たり易い。これにより、整流回路92を効果的に冷却することができる。
【0102】
吸気孔2dは、スイッチング素子Q1(スイッチング素子本体97C及び放熱板97D)及びスイッチング素子Q1に接続された放熱フィン97Aと左右方向から見て重なる部分を有している。このため、モータ支持部213内において、当該重なる部分から連通孔221b及び連通孔221cに向かって流れる冷却風は、スイッチング素子Q1を最初に冷却する。また、当該重なる部分から取り込まれる冷却風の向きは、回転軸31の軸方向と直交する方向(本実施の形態においては、右方向)となるため、当該重なる部分から取り込まれた直後の冷却風がスイッチング素子Q1(スイッチング素子本体97C及び放熱板97D)及びスイッチング素子Q1に接続された放熱フィン97Aに当たり易い。これにより、スイッチング素子Q1を効果的に冷却することができる。また、吸気孔2d及び吸気孔2eのそれぞれの前部は、回転軸31の軸方向(すなわち、前後方向)においてモータケース22の後部とオーバーラップしている。
【0103】
吸気孔2cの後端と連通孔221bの後方に臨む開口端の上端Xとを結ぶ線分L1と、吸気孔2cの前端と連通孔221cの後方に臨む開口端の下端Yとを結ぶ線分L2との間にスイッチング素子Q1~Q3及び3つの放熱フィン97Aが位置している。また、吸気孔2d及び吸気孔2eに関しても同様なことが言える。このため、モータ支持部213内において吸気孔2c~2eから連通孔221b及び連通孔221cに向かって流れる冷却風は、スイッチング素子Q1~Q3及び3つの放熱フィン97Aを確実に通過する。これにより、スイッチング素子Q1~Q3を効果的に冷却することができる。
【0104】
また、吸気孔2c~2eのそれぞれの前部は、前後方向において基板収容部61と連通孔221c(又は連通孔221b)との間に位置している。言い換えれば、吸気孔2c~2eのそれぞれは、基板収容部61よりも前方且つ連通孔221c(又は連通孔221b)よりも後方に位置する部分を有している。これにより、吸気孔2c~2eのそれぞれが基板収容部61よりも前方に位置する部分を有していない構成(例えば、吸気孔2c~2eのそれぞれの全体が基板収容部61よりも後方に位置している構成)と比較して、冷却風をより円滑に流すことができ、冷却効率を向上させることができる。
【0105】
詳細には、本実施の形態のようにセーバーソー1の駆動源としてブラシレスモータ3を採用し且つ交流電源(本実施の形態においては、外部電源P)をブラシレスモータ3の電力として用いる構成においては、ブラシレスモータ3を駆動するために整流回路92及びスイッチング素子Q1~Q6(インバータ回路97)を設ける必要があり、回路基板62及び基板収容部61が大型化してしまう。このため、本実施の形態においては、大型の基板収容部61を効率良くハウジング2内に収容するために、基板収容部61をブラシレスモータ3又はモータケース22に支持させる構成ではなく、ハンドルハウジング21に挟持させる構成を採用している。しかしながら、ハンドルハウジング21に基板収容部61を挟持させる構成においては、本実施の形態のように、ハンドルハウジング21に基板収容部61を挟持するためのリブ等(本実施の形態においては、右側リブ部214及び左側リブ部215)を設けるか、あるいは基板収容部61を挟持するためにハンドルハウジング21の内壁を基板収容部61に接触又は近接させる必要があり、ハンドルハウジング21内の風路の一部が狭くなってしまうという問題がある。上述のように、ハンドルハウジング21の小型化のために基板収容部61の幅方向を前後方向に沿わせて配置する場合、基板収容部61の長辺部分と短辺部分がハンドルハウジング21の内壁と近接しやすくなるため、特にこの問題が生じやすい。
【0106】
本実施の形態においても、図7に示されているように、基板収容部61の左側面(長辺部分)とモータ支持部213の左側壁213Bの内面との間の空間Sが狭くなっており、当該狭くなった空間Sには、右側リブ部214及び左側リブ部215が設けられている。そして、本実施の形態においては、吸気孔2c~2eにおける基板収容部61よりも後方の部分からハウジング2の左右方向略中央部に位置する連通孔221c(又は連通孔221b)に向かって流れる冷却風(吸気孔2c~2eにおける基板収容部61よりも後方の部分からハンドルハウジング21内部に取り入れられた外気)は、上述の空間S(狭く、右側リブ部214及び左側リブ部215が設けられ、且つハンドルハウジング21内部において最も外側に位置する空間)を通過しなければならないため、当該冷却風が円滑に流れない虞がある。
【0107】
本実施の形態において、仮に、吸気孔2c~2eのそれぞれが基板収容部61よりも前方に位置する部分を有していない構成(例えば、吸気孔2c~2eのそれぞれの全体が基板収容部61よりも後方に位置している構成)を採用した場合、吸気孔2c~2eから取り込まれた冷却風の略全てが空間Sを通過しなければならず、当該冷却風全体の流れが悪くなり冷却効率が低下してしまう虞がある。これに対し、上述した本実施形態においては、吸気孔2c~2eのそれぞれは、基板収容部61よりも前方且つ連通孔221c(又は連通孔221b)よりも後方に位置する部分を有しているため、当該部分から取り込まれた冷却風は空間Sを通過することなく、すなわち、基板収容部61及び基板収容部61を挟持する構造に遮られることなく連通孔221c(又は連通孔221b)に到達することができる。これにより、冷却風の流れをより円滑にすることでき、冷却効率を向上させることができる。換言すれば、基板収容部61の挟持位置とモータケース22(連通孔221c)とを結ぶ空間に、吸気孔2aの一部と回路素子の一部とを設けたので、当該回路素子を円滑に冷却することができる。なお、基板収容部61の右側面とモータ支持部213の右側壁213Aとの間の空間Tと、右側壁213Aに形成された3つの吸気孔2aについても同様のことが言える。
【0108】
なお、上述したように、ハンドルハウジング21は左右対称に構成されているため、右側壁213Aに形成された3つの吸気孔2a、複数の連通孔221a、整流回路ユニット92B、及びスイッチング素子Q4~Q6の位置関係は、上述の左側壁213Bに形成された3つの吸気孔2a、複数の連通孔221a、整流回路ユニット92B、及びスイッチング素子Q1~Q3の位置関係と略同一である。このため、右側壁213Aに形成された3つの吸気孔2a、複数の連通孔221a、整流回路ユニット92B、及びスイッチング素子Q4~Q6の位置関係についての説明は省略する。
【0109】
次に、スイッチング素子Q1~Q6、3つの放熱フィン97A、放熱フィン97B、整流回路ユニット92B、及び放熱フィン92Cのモータケース22に対する位置関係について説明する。
【0110】
図6に示されているように、スイッチング素子Q1~Q3、整流回路ユニット92B(すなわち、整流回路92)、及び放熱フィン92Cのそれぞれの前端は、モータケース22の後端(すなわち、ベアリング支持部221Aの後端)よりも前方に位置している。すなわち、スイッチング素子Q1~Q3、整流回路ユニット92B、及び放熱フィン92Cのそれぞれは、モータケース22と回転軸31の軸方向(すなわち、前後方向)においてオーバーラップする部分を有している。より具体的には、スイッチング素子Q1の放熱板97D、スイッチング素子Q2の放熱板97D、スイッチング素子Q3の放熱板97D、整流回路ユニット92B、及び放熱フィン92Cのそれぞれの前部は、モータケース22の後端部(すなわち、ベアリング支持部221Aの後部)と回転軸31の軸方向においてオーバーラップしている。さらに、放熱フィン92Cは、回転軸31の軸方向においてボールベアリング2Aともオーバーラップしている。
【0111】
また、図6には現れていないが、3つの放熱フィン97A、スイッチング素子Q4~Q6、、放熱フィン97B、コンデンサ98B、及びコンデンサ98Dのそれぞれの前端も、モータケース22の後端よりも前方に位置している。すなわち、3つの放熱フィン97A、スイッチング素子Q4~Q6、放熱フィン97B、コンデンサ98B、及びコンデンサ98Dのそれぞれは、モータケース22と回転軸31の軸方向においてオーバーラップする部分を有している。より具体的には、3つの放熱フィン97A、スイッチング素子Q4の放熱板97D、スイッチング素子Q5の放熱板97D、スイッチング素子Q6の放熱板97D、放熱フィン97B、コンデンサ98B、及びコンデンサ98Dのそれぞれの前部は、モータケース22の後端部(すなわち、ベアリング支持部221Aの後部)と回転軸31の軸方向においてオーバーラップしている。
【0112】
このように、本実施の形態においては、スイッチング素子Q1~Q6、3つの放熱フィン97A、放熱フィン97B、整流回路ユニット92B、放熱フィン92C、コンデンサ98B、及び98Dのそれぞれを、回転軸31の軸方向においてモータケース22とオーバーラップさせることで、基板収容部61をモータケース22により近づけて配置することができる。換言すれば、箱状の基板収容部61から突出する部品を、回転軸31の軸方向においてモータケース22とオーバーラップさせることで、基板収容部61をモータケース22により近づけて配置することができる。これにより、ハンドルハウジング21の前後方向における寸法の小型化ひいてはセーバーソー1の前後方向における寸法の小型化を図ることができる。なお、ハンドルハウジング21においては、小型化によって吸気孔を設けるスペースが少なくなるため、基板収容部61に対する冷却性能の低下が懸念されるが、上述のように、モータ支持部213における基板収容部61とモータケース22との間の空間に連通するように吸気孔を設けているので、冷却性能の低下を抑制している。すなわち、本実施の形態においては、ハンドルハウジング21の小型化と、基板収容部61の好適な冷却とを実現している。また、基板収容部61をモータケース22により近づけて配置することができるので、スイッチング素子Q1~Q6とモータケース22内部のブラシレスモータ3とを接続する複数の配線2Cや回路基板62からブラシレスモータ3まで延びる各種配線を短くすることができる。特に、制御部10とセンサ基板4とを接続する信号線41Aを短くすることができるので、信号線41Aによって送受信される信号にノイズが入ってしまうことを抑制できる。なお、本実施の形態においては、スイッチング素子Q1~Q6のそれぞれの放熱板97Dが回転軸31の軸方向においてモータケース22とオーバーラップしているが、スイッチング素子本体97Cはモータケース22と回転軸31の軸方向においてオーバーラップしていない構成であった。しかしながら、本発明はこの構成に限定されず、スイッチング素子Q1~Q6のそれぞれのスイッチング素子本体97C及び放熱板97Dの両方が回転軸31の軸方向においてモータケース22とオーバーラップしている構成であってもよい。この場合、基板収容部61をモータケース22にさらに近づけて配置することができる。
【0113】
また、本実施の形態においては、回転軸31の中心軸位置に対して、基板収容部61の中心位置がオフセットしている。具体的には、基板収容部の61の中心が、回転軸31の中心軸位置(ベアリング支持部221Aの上下左右中心位置)よりも下方にずれている。こうすることで、基板収容部61から突出する部品を、回転軸31の軸方向においてモータケース22とオーバーラップさせることが容易となる。特に、本実施の形態のように、回路基板62の素子搭載面の大半を大型の回路素子が占めるような構成の場合に有効である。
【0114】
次に、セーバーソー1の動作について説明する。作業を行う場合、一般に、作業者は、ブレード装着部82にブレードBを装着した後、一方の手で把持部211を把持し他方の手でギアケース23の前部(小径部分)を把持する。この状態で、作業者が把持部211を把持した手の指でトリガ211Bに対して引操作を行うと、スイッチ211Dが閉状態(オン状態)となるとともに信号出力部211Eから始動信号が制御部10に出力される。
【0115】
当該始動信号が制御部10に出力されると、制御部10はブラシレスモータ3の駆動を開始し、回転軸31が回転を開始する。回転軸31が回転を開始すると、回転軸31の回転により傘歯ギア71が回転し、ピン72が傘歯ギア71の回転軸心を中心として周回運動を行う。この周回運動の前後方向の運動成分のみがピンガイド73に伝達され、ピンガイド73、往復動部8、及び往復動部8に装着されたブレードBが一体に前後方向に往復動を行う。この往復動を行うブレードBによって被切断材の切断が可能となる。
【0116】
次に、ファン5がハウジング2内に発生させる冷却風の流れについて図8を参照しながら説明する。ブラシレスモータ3の駆動が開始され回転軸31が回転を開始すると、ファン5も回転軸31と一体に回転を開始する。ファン5が回転すると、6つの吸気孔2aからモータ支持部213内に空気が取り込まれ、ハウジング2内において6つの吸気孔2aから2つの排気孔2bに流れる冷却風が発生する。図8の複数の破線矢印は、本実施形態においてハウジング2内に発生する冷却風の流れのうち代表的な流れを示している。
【0117】
図8に示されているように、ファン5の回転によって発生した冷却風は、最初に整流回路ユニット92B(整流回路92)及び6つのスイッチング素子Q1~Q6を冷却し、その後、モータ支持部213内から複数の連通孔221aを通ってモータケース22内に流入する。モータケース22内に流入した後、冷却風はステータ33の内部及びステータ33とモータケース22の内周面との隙間を通過しながらブラシレスモータ3を冷却し、その後、2つの排気孔2bからハウジング2の外部に排出される。
【0118】
このように、ファン5の回転によって発生する冷却風は、冷却の優先度が高い整流回路92(整流回路ユニット92B)及びスイッチング素子Q1~Q6を最初に冷却する。すなわち、温度が最も低い状態の冷却風によって、冷却の優先度が高い整流回路92及びスイッチング素子Q1~Q6が冷却される。このため、電力供給回路9によるブラシレスモータ3への電力供給に伴って発熱する回路素子すなわち整流回路92及びスイッチング素子Q1~Q6を効果的に冷却することができる。
【0119】
上述したように、本発明の第1の実施の形態によるセーバーソー1は、吸気孔2aと排気孔2bとが形成されたハウジング2と、ハウジング2に支持されたブラシレスモータ3と、外部電源Pの電力をブラシレスモータ3に供給可能に構成された電力供給回路9と、ブラシレスモータ3の回転によって駆動してハウジング2内に吸気孔2aから排気孔2bに流れる冷却風を発生させるファン5と、を備えている。また、電力供給回路9は、当該電力の供給に伴って発熱する少なくとも1つの回路素子(スイッチング素子Q1~Q6、整流回路92(ダイオード92A))を有しており、ハウジング2は、把持部211を有するとともにブラシレスモータ3を支持するハンドルハウジング21を有している。さらに、吸気孔2aは、ハンドルハウジング21に形成されており、当該少なくとも1つの回路素子は、ハンドルハウジング21内に配置されファン5が発生させる冷却風によって冷却される。
【0120】
上記構成によると、ハンドルハウジング21に吸気孔2aが形成され且つハンドルハウジング21内にブラシレスモータ3への電力供給に伴って発熱する回路素子(スイッチング素子Q1~Q6、整流回路92(ダイオード92A))が配置されている。このため、温度の低い状態の冷却風によって当該回路素子を冷却することができる。これにより、セーバーソー1において、ブラシレスモータ3を採用してメンテナンスフリー及び長寿命化を図りつつ、且つブラシレスモータ3への電力供給に伴って発熱する回路素子を効果的に冷却することができる。さらに、比較的軽量なブラシレスモータ3を採用することで重心位置がギアケース23に寄ってしまうところ、ハンドルハウジング21内に回路素子を集中して配置することで重心位置を保ち、作業性の悪化を抑制できる。
【0121】
また、本実施形態によるセーバーソー1は、往復動可能にハウジング2に支持された往復動部8と、ブラシレスモータ3の回転を往復動部8の往復動に変換する運動変換部7とをさらに備えており、ハウジング2は、運動変換部7を収容するギアケース23をさらに有している。さらに、往復動部8は、第1方向(前後方向)に延びる軸Aに沿って往復動可能に前記ギアケース23に支持され、ハンドルハウジング21は、ブラシレスモータ3を支持するモータ支持部213と、把持部211とモータ支持部213とを接続する接続部212と、をさらに有し、把持部211は、第1方向と交差する第2方向(本実施形態においては、上下方向)に延び、第1方向においてモータ支持部213に関して往復動部8の反対側に位置し、吸気孔2aは、モータ支持部213に形成され、少なくとも1つの回路素子(スイッチング素子Q1~Q6、整流回路92(ダイオード92A))は、モータ支持部213内に配置されている。
【0122】
このような構成によると、吸気孔2aがモータ支持部213に形成され且つモータ支持部213内にブラシレスモータ3への電力供給に伴って発熱する回路素子(スイッチング素子Q1~Q6、整流回路92(ダイオード92A))が配置される。このため、温度の低い状態の冷却風によって当該回路素子を冷却することができる。これにより、ブラシレスモータ3への電力供給に伴って発熱する回路素子を効果的に冷却することができる。
【0123】
また、本実施の形態においては、ハンドルハウジング21から延びるとともに外部電源Pと接続可能な電源コード211Cをさらに備え、電力供給回路9は、外部電源Pから電力供給回路9に伝搬するノイズを低減するチョークコイル91Dをさらに有し、チョークコイル91Dは、接続部212内に配置されている。
【0124】
このような構成によると、冷却の優先度が低いチョークコイル91Dをモータ支持部213ではなく接続部212内に配置しているため、ブラシレスモータ3への電力供給に伴って発熱する回路素子(スイッチング素子Q1~Q6、整流回路92(ダイオード92A))を優先的に冷却することができる。これにより、ブラシレスモータへの電力供給に伴って発熱する当該回路素子をより効果的に冷却することができる。
【0125】
また、セーバーソー1の電力供給回路9は、ブラシレスモータ3を駆動するためのインバータ回路97を有し、少なくとも1つの回路素子はインバータ回路97を構成する複数のスイッチング素子Q1~Q6を含んでいる。
【0126】
このような構成によると、冷却の優先度が高いスイッチング素子Q1~Q6を効果的に冷却することができる。
【0127】
また、本実施の形態においては、ハウジング2は、一体成形されたモータケース22をさらに有し、モータケース22は、モータ支持部213に支持され、ブラシレスモータ3は、モータケース22に収容されている。
【0128】
このような構成によると、モータケース22が一体成形されているため、ブラシレスモータ3を強固に軸支することができる。さらに、モータケース22の変形及び破損を抑制しつつブラシレスモータを高精度で軸支することができる。
【0129】
また、セーバーソー1のモータケース22の第1方向(前後方向)における両端部のうちの把持部211により近い方の端部、すなわち後端部(後壁部221)には、モータ支持部213の内部とモータケース22の内部とを連通させる連通孔221aが形成されており、冷却風は、少なくとも1つの回路素子(スイッチング素子Q1~Q6、整流回路92(ダイオード92A))を冷却した後、連通孔221aを通ってモータケース22の内部に流入する。
【0130】
このような構成によると、ファン5の回転駆動によって発生する冷却風によって回路素子だけでなくモータケース22内に配置された冷却対象(例えば、ブラシレスモータ3)をも冷却することができる。
【0131】
また、本実施の形態におけるセーバーソー1は、電力供給回路9から連通孔221aを通ってモータケース22内まで延びる配線2Cをさらに備えている。
【0132】
このような構成によれば、モータ支持部213内からモータケース22内に配線2Cを通すための孔を別途形成せずとも配線2Cをモータケース22内に延ばすことができる。これにより、当該孔を形成する工程を削減することができる。
【0133】
次に、本発明の第2の実施の形態による電動工具の一例であるセーバーソー101について、図9を参照しながら説明する。なお、第1の実施の形態によるセーバーソー1と同一の部分には同一の参照符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0134】
まず、セーバーソー101とセーバーソー1との相違点について説明する。セーバーソー101の平滑回路96は、第1コンデンサ96Aに替えて第1コンデンサ196Aを有している点でセーバーソー1の平滑回路96と異なる。また、セーバーソー101における電力供給回路9は、リアクトル109Aを有している点でセーバーソー1の電力供給回路9と異なる。さらに、セーバーソー101のハンドルハウジング21は、リアクトル収容部216を有している点でセーバーソー1のハンドルハウジング21と異なる。これらの点以外においては、セーバーソー101とセーバーソー1と同一である。なお、セーバーソー101におけるファン5が発生させる冷却風の流れにおいてもとセーバーソー1と同様である。
【0135】
第1コンデンサ196Aは、静電容量が約1200μFの大型のコンデンサであり、図9に示されているように、第2接続部212Bの内部とモータ支持部213の内部とに亘って前後方向に延びるように配置(収容)されている。言い換えれば、第1コンデンサ196Aの後部は第2接続部212B内に配置(収容)され、前部はモータ支持部213内に配置されている。
【0136】
リアクトル収容部216は、モータ支持部213の下前部から前方に延びる部分、すなわち、モータケース22の後部の下方且つ基板部6の下部の前方に位置する部分である。
【0137】
リアクトル109Aは、ブラシレスモータ3に流れる電流に含まれる高調波成分を低減する素子であり、リアクトル収容部216内に配置(収容)されている。ここで、リアクトル109Aを電力供給回路9内に設ける意義について説明する。セーバーソー101においては、上述のように静電容量が大きい第1コンデンサ196Aを採用している。このため、仮に電力供給回路9内にリアクトル109Aが設けられていない場合には、ブラシレスモータ3に流れる電流に高調波成分(高調波のノイズ)が多く含まれることになり、セーバーソー101の周りに配置された電気機器に悪影響を来たす恐れがある。この点、本実施の形態においては、電力供給回路9がリアクトル109Aを有しているため、当該高調波成分を低減することができる。
【0138】
上述したように、セーバーソー101においては、第1コンデンサ196Aの一部が第2接続部212B内(接続部212内)に配置されている。すなわち、冷却風が通らない第2接続部212B内に、冷却の優先度の低い第1コンデンサ196Aの一部を配置している。このため、冷却の優先度の高い回路素子(スイッチング素子Q1~Q6、整流回路92(ダイオード92A))の冷却効率を向上させることができる。さらに、第1コンデンサ196Aによって発生する高調波成分のノイズを低減するリアクトル109Aを冷却風が通らないリアクトル収容部216内に配置しているため、冷却の優先度の高い回路素子の冷却効率をさらに向上させることができる。また、デッドスペースとなる第2接続部212B内の空間を有効に使用することができ、ハンドルハウジング21を小型化することができる。
【0139】
また、セーバーソー101においては、第1接続部212A内にチョークコイル91Dが配置され、第2接続部212B内には第1コンデンサ196Aの一部が配置されている。このように、第1接続部212A及び第2接続部212Bの内部を有効に利用することで、ハンドルハウジング21を小型することができる。なお、セーバーソー101におけるセーバーソー1と同一の部材、要素は、セーバーソー1における同一の部材、要素と同一の作用効果を奏する。
【0140】
次に、本発明の第3の実施の形態による電動工具の一例であるセーバーソー201について、図10及び図11を参照しながら説明する。なお、第1の実施の形態によるセーバーソー1と同一の部分には同一の参照符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0141】
まず、セーバーソー201とセーバーソー1との相違点について説明する。セーバーソー201における基板部6の配置、複数の吸気孔2aの位置及び形状、及び冷却風の流れは、セーバーソー1のものと異なる。また、セーバーソー201のモータ支持部213の後壁部213Cは、複数の吸気孔213aが形成されている点でセーバーソー1の後壁部213Cと異なる。さらに、セーバーソー201の電力供給回路9は、第1コンデンサ96Aに替えて第3コンデンサ(不図示)を有している点でセーバーソー1の電力供給回路9と異なる。これらの点以外においては、セーバーソー201は、セーバーソー1と同一である。
【0142】
セーバーソー201の基板部6は、図10に示されているように、モータ支持部213内において、モータケース22の下方且つチョークコイル91Dの前方に配置(収容)されている。基板収容部61は、図10の矢印で示されている方向Cに延びており、基板部6の基板収容部61の開口は方向Cと直交する方向を向いている。また、回路基板62も方向Cに延びるように基板収容部61内に配置されている。方向Cは、左右方向に直交し且つ前方斜め上方に向かう方向である。方向Cは、本発明における「第3方向」の一例である。
【0143】
また、セーバーソー201においては、基板収容部61の前端は、モータケース22の後端よりも前方に位置しており、基板収容部61の前部が回転軸31の軸方向(すなわち前後方向)においてモータケース22とオーバーラップしている。すなわち、基板収容部61は、モータケース22と回転軸31の軸方向においてオーバーラップする部分を有している。これにより、基板収容部61をより前方に配置することができ、ハンドルハウジング21の前後方向における寸法の小型化ひいてはセーバーソー1の前後方向における寸法の小型化を図ることができる。
【0144】
セーバーソー201の電力供給回路9の第3コンデンサは、静電容量が約40μFの小型の電解コンデンサであり、回路基板62に搭載された状態で基板収容部61内に収容されている。
【0145】
セーバーソー201のモータ支持部213の右側壁213A及び左側壁213Bのそれぞれには、4つの吸気孔2aが形成されている。ハンドルハウジング21は左右対称であるため、左側壁213Bに形成された4つの吸気孔2aについてのみ説明する。
【0146】
左側壁213Bの形成された4つの吸気孔2aは、左側壁213Bの下部において方向Cに並んでおり、当該4つの吸気孔2aのそれぞれは、方向Cと直交する方向に延びる矩形状をなしている。以下の説明においては、当該4つの吸気孔2aを、方向Cにおいて上流側から「吸気孔2f」、「吸気孔2g」、「吸気孔2h」、「吸気孔2i」と称する。吸気孔2fは左右方向から見て整流回路ユニット92Bと重なる部分を有し、吸気孔2gは左右方向から見てスイッチング素子Q4と重なる部分を有し、吸気孔2hは左右方向から見てスイッチング素子Q5と重なる部分を有し、吸気孔2iは左右方向から見てスイッチング素子Q6と重なる部分を有している。言い換えれば、整流回路ユニット92Bは、左右方向から見て吸気孔2fと重なる部分を有し、スイッチング素子Q4は、左右方向から見て吸気孔2gと重なる部分を有し、スイッチング素子Q5は、左右方向から見て吸気孔2hと重なる部分を有し、スイッチング素子Q6は左右方向から見て、吸気孔2iと重なる部分を有している。吸気孔2g~2iのそれぞれは、本発明における「吸気孔」及び「第2吸気孔」の一例であり、スイッチング素子Q4~Q6のそれぞれは、本発明における「第1スイッチング素子」及び「第2スイッチング素子」の一例である。左右方向は、本発明における「直交方向」及び「第1方向と直交する方向」の一例である。
【0147】
また、セーバーソー201のモータ支持部213の後壁部213Cには、後壁部213Cを前後方向に貫通し、ハウジング2の外部とモータ支持部213の内部とを連通する複数の吸気孔213aが形成されている。複数の吸気孔213aのそれぞれは、左右方向に延びており、上下方向に並んで形成されている。
【0148】
ここで、セーバーソー201における冷却風の流れについて図11を参照しながら説明する。セーバーソー201においては、ファン5が回転すると、8つの吸気孔2aからモータ支持部213内に空気が取り込まれ、ハウジング2内において8つの吸気孔2aから2つの排気孔2bに流れる第1冷却風(図11の複数の破線矢印)が発生する。また同時に、複数の吸気孔213aからもモータ支持部213内に空気が取り込まれ、複数の吸気孔213aから2つの排気孔2bに流れる第2冷却風(図11の複数の実線矢印)が発生する。なお、図11の複数の破線矢印及び複数の実線矢印は、本実施形態においてハウジング2内に発生する第1冷却風及び第2冷却風の流れのうちの代表的な流れを示している。
【0149】
図11に示されているように、ファン5の回転によって発生した第1冷却風は、最初に整流回路ユニット92B(整流回路92)及び6つのスイッチング素子Q1~Q6を冷却し、その後、モータ支持部213内から複数の連通孔221aを通ってモータケース22内に流入する。
【0150】
一方、ファン5の回転によって発生した第2冷却風は、スイッチング素子Q1~Q6及び整流回路ユニット92B(整流回路92)を略冷却することなく、モータ支持部213内から複数の連通孔221aを通ってモータケース22内に流入する。
【0151】
第1冷却風及び第2冷却風は、モータケース22内に流入する際、連通孔221a付近で合流し、合流した第1冷却風及び第2冷却風は、ステータ33の内部及びステータ33とモータケース22の内周面との隙間を通過しながらブラシレスモータ3を冷却し、その後、2つの排気孔2bからハウジング2の外部に排出される。
【0152】
このように、セーバーソー201におけるブラシレスモータ3は、スイッチング素子Q1~Q6等を冷却した後の第1冷却風とスイッチング素子Q1~Q6等を略冷却していない第2冷却風とが混合された冷却風(混合冷却風)によって冷却される。この混合冷却風の温度は、第1冷却風単独の温度よりも低くなるため、第1冷却風のみでブラシレスモータ3を冷却する構成と比較して、ブラシレスモータ3をより効果的に冷却することができる。
【0153】
また、上述したように、本発明の第3の実施の形態にかかるセーバーソー201においては、スイッチング素子Q4は、左右方向から見て吸気孔2gと重なる部分を有し、スイッチング素子Q5は、左右方向から見て吸気孔2hと重なる部分を有し、スイッチング素子Q6は左右方向から見て、吸気孔2iと重なる部分を有している。これにより、吸気孔2gから排気孔2bに流れる第1冷却風は最も温度の低い状態でスイッチング素子Q4を冷却し、吸気孔2hから排気孔2bに流れる第1冷却風は最も温度の低い状態でスイッチング素子Q5を冷却し、吸気孔2iから排気孔2bに流れる第1冷却風は最も温度の低い状態でスイッチング素子Q6を冷却する。このため、スイッチング素子Q4~Q6をより効果的に冷却することができる。なお、スイッチング素子Q1~Q3に関しても同様のことが言える。セーバーソー201におけるセーバーソー1と同一の部材、要素は、セーバーソー1における同一の部材、要素と同一の作用効果を奏する。
【0154】
次に、本発明の第4の実施の形態による電動工具の一例であるセーバーソー301について、図12及び図13を参照しながら説明する。なお、第1の実施の形態によるセーバーソー1及び第3の実施の形態によるセーバーソー201と同一の部分には同一の参照符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0155】
まず、セーバーソー301とセーバーソー1との相違点について説明する。セーバーソー301は、セーバーソー1における基板部6に替えて、制御基板収容部306A、整流回路収容部306B、及びスイッチング基板306Cを有している点でセーバーソー1と異なる。セーバーソー301のセンサ基板4の位置は、セーバーソー1のセンサ基板4の位置と異なる。セーバーソー301のファン5は、マグネット305Aを備えている点でセーバーソー1のファン5と異なる。セーバーソー301における複数の吸気孔2aの位置及び形状、及びチョークコイル91D及び第1コンデンサ96Aの配置は、セーバーソー1のものと異なる。また、セーバーソー301のモータケース22は、連通孔322aが形成されている点でセーバーソー1のモータケース22と異なる。さらに、セーバーソー301の後壁部213Cは、複数の吸気孔213aが形成されている点でセーバーソー1の後壁部213Cと異なる。これらの点以外においては、セーバーソー301はセーバーソー1と同一である。なお、セーバーソー301の後壁部213Cに形成された複数の吸気孔213aは、セーバーソー201の後壁部213Cに形成された複数の吸気孔213aと同一であるので説明を省略する。
【0156】
図12に示されているように、制御基板収容部306Aは、後方斜め上方に開口する有底箱形状の容器であり、制御部10を搭載した制御基板306Eを収容している。制御基板収容部306A及び制御基板306Eは、第1接続部212Aの内部とモータ支持部213の内部とに亘って前方斜め上方に延びている。すなわち、制御基板収容部306A及び制御基板306Eのそれぞれの後部は、第1接続部212A内に配置(収容)されており、制御基板収容部306A及び制御基板306Eのそれぞれの前部は、モータ支持部213内に配置されている。
【0157】
整流回路収容部306Bは、制御基板収容部306Aの開口方向とは反対方向に開口する有底箱形状の容器であり、整流回路ユニット92B(整流回路92)が搭載された整流回路基板306Dを収容している。整流回路収容部306B及び整流回路ユニット92Bは、モータ支持部213内においてモータケース22の後部の下方に位置している。整流回路基板306Dは、本発明における「基板」の一例である。整流回路収容部306Bは、本発明における「基板ケース」の一例である。
【0158】
スイッチング基板306Cは、前面視において円環形状をなしており、ブラシレスモータ3のステータ33の前方に設けられている。スイッチング基板306Cの前面には、スイッチング素子Q1~Q6(スイッチング素子Q2、Q3、Q5、及びQ6は不図示)が搭載されている。
【0159】
セーバーソー301におけるセンサ基板4は、スイッチング基板306Cの前方に位置しており、スイッチング基板306Cから前方に延びるインシュレータによって支持されている。また、ファン5の後部には、前面視円環形状をなすマグネット305Aが設けられており、センサ基板4の前面に搭載された3つのホール素子41と前後方向に対向している。本実施形態における制御部10は、3つのホール素子41のそれぞれから出力される信号に基づいてマグネット305A(ファン5)の回転位置を検出することでロータ32の回転位置を検出する。
【0160】
連通孔322aは、モータケース22の円筒部222の下部に形成されており、円筒部222を上下方向に貫通すると共に前後方向に延びている。整流回路92及び制御部10から延びる複数の配線302Cは、連通孔322aを通ってモータケース22内まで延び、センサ基板4上に形成された回路に接続されている。
【0161】
セーバーソー301のモータ支持部213の右側壁213A及び左側壁213Bのそれぞれには、4つの吸気孔2aが形成されている。ハンドルハウジング21は左右対称であるため、左側壁213Bに形成された4つの吸気孔2aについてのみ説明する。
【0162】
左側壁213Bの形成された4つの吸気孔2aは、左側壁213Bの下部において方向Gに並んでいおり、当該4つの吸気孔2aのそれぞれは、方向Gと直交する方向に延びる矩形状をなしている。本実施形態において方向Gは、左右方向に直交し且つ前方斜め上方に向かう方向である。また、当該4つの吸気孔2aのうちの方向Gにおける最も下流側に位置する吸気孔2aは、左右方向から見て整流回路ユニット92Bと重なる部分を有している。すなわち、整流回路ユニット92B(整流回路92)は、吸気孔2aと左右方向から見て重なる部分を有している。
【0163】
セーバーソー301のチョークコイル91D及び第1コンデンサ96Aは、把持部211内に配置(収容)されており、スイッチ機構部211Aの下方且つ電源コード211Cの基端部211Fの上方に位置している。セーバーソー301のチョークコイル91Dは、本発明における「フィルタ素子」の一例である。
【0164】
ここで、セーバーソー301における冷却風の流れについて図13を参照しながら説明する。セーバーソー301においては、ファン5が回転すると、8つの吸気孔2aからモータ支持部213内に空気が取り込まれ、ハウジング2内において8つの吸気孔2aから2つの排気孔2bに流れる第3冷却風(図13の複数の破線矢印)が発生する。また同時に、複数の吸気孔213aからもモータ支持部213内に空気が取り込まれ、複数の吸気孔213aから2つの排気孔2bに流れる第4冷却風(図13の複数の実線矢印)が発生する。なお、図13の複数の破線矢印及び複数の実線矢印は、本実施形態においてハウジング2内に発生する第3冷却風及び第4冷却風の流れのうち代表的な流れを示している。
【0165】
図13に示されているように、ファン5の回転によって発生した第3冷却風は、最初に整流回路ユニット92B(整流回路92)を冷却し、その後、連通孔322aを通ってモータケース22内に流入する。
【0166】
一方、ファン5の回転によって発生した第4冷却風は、整流回路ユニット92Bを略冷却することなく、モータ支持部213内から複数の連通孔221aを通ってモータケース22内に流入する。モータケース22内に流入した第4冷却風は、ブラシレスモータ3を最初に冷却し、その後、ステータ33とスイッチング基板306Cとの間に形成された空間に到達する。
【0167】
モータケース22内に流入した第3冷却風と、ステータ33とスイッチング基板306Cとの間に形成された空間に到達した第4冷却風とは、スイッチング基板306C付近で合流する。合流した第3冷却風及び第4冷却風は、スイッチング基板306Cに搭載されたスイッチング素子Q1~Q6を冷却した後、センサ基板4(ホール素子41)を冷却し、その後、2つの排気孔2bからハウジング2の外部に排出される。
【0168】
このように、第3冷却風及び第4冷却風が回路素子(整流回路92(ダイオード92A)、スイッチング素子Q1~Q6、センサ基板4(ホール素子41))及びブラシレスモータ3を冷却する。これにより、ブラシレスモータ3を採用してメンテナンスフリー及び長寿命化を図り、且つブラシレスモータ3への電力供給に伴って発熱する回路素子を好適に冷却することができる。
【0169】
また、上述のように、本発明の第4の実施の形態によるセーバーソー301においては、制御部10を搭載した制御基板306Eの一部が第1接続部212A内に配置されている。すなわち、冷却風(第3冷却風及び第4冷却風)の通らない第1接続部212A内に冷却の優先度の低い制御部10を搭載した制御基板306Eを配置している。このため、冷却の優先度の高い回路素子(スイッチング素子Q1~Q6、整流回路92(ダイオード92A))の冷却効率を向上させることができる。
【0170】
さらに、セーバーソー301においては、チョークコイル91Dを把持部211内に配置している。すなわち、冷却風の通らない把持部211内に冷却の優先度の低いチョークコイル91Dを配置している。このため、冷却の優先度の高い回路素子(スイッチング素子Q1~Q6、整流回路92(ダイオード92A))の冷却効率をさらに向上させることができる。
【0171】
さらに、セーバーソー301においては、スイッチング基板306C及びセンサ基板4は、有底筒型形状に一体成形されたモータケース22内において開口端近傍(モータケース22内の前部)に配置されている。このため、スイッチング基板306C及びセンサ基板4を配置する際にブラシレスモータ3を固定するボルト33Aやネジボス等の影響がなく、大型の基板を配置することができる。なお、セーバーソー301におけるセーバーソー1と同一の部材、要素は、セーバーソー1における同一の部材、要素と同一の作用効果を奏する。また、セーバーソー301におけるセーバーソー201と同一の部材、要素は、セーバーソー201における同一の部材、要素と同一の作用効果を奏する。
【0172】
次に、本発明の第5の実施の形態による電動工具の一例であるセーバーソー401について、図14図17を参照しながら説明する。なお、第1の実施の形態によるセーバーソー1と同一の部分には同一の参照符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0173】
まず、セーバーソー401とセーバーソー1との主な相違点について説明する。セーバーソー401は、6つの吸気孔2aに替えて6つの第1吸気孔部424を有している点で、セーバーソー1と異なる。セーバーソー401は、4つの第2吸気孔部425及び4つの第3吸気孔部426を有している点で、セーバーソー1と異なる。セーバーソー401における基板収容部61の寸法は、セーバーソー1における基板収容部61の寸法とは異なる。また、セーバーソー401におけるスイッチング素子Q1~Q6、3つの放熱フィン97A、放熱フィン97B、整流回路ユニット92B(整流回路92)、放熱フィン92C、第1コンデンサ96Aの配置は、セーバーソー1におけるこれらの配置とは異なる。さらに、セーバーソー401は、セーバーソー401における信号線211Gが第2接続部212B内を通って回路基板62に搭載された制御部10に接続されている点で、セーバーソー1と異なる。
【0174】
図14及び図15に示されているように、セーバーソー401のハンドルハウジング21は、上述した6つの第1吸気孔部424、4つの第2吸気孔部425、及び4つの第3吸気孔部426を有している。なお、図15においては、セーバーソー401のハンドルハウジング21の内部及びモータケース22の内部を示すために、左側分割ハウジング21Bに右側分割ハウジング21Aを接合する前の状態を示しており、且つモータケース22に関しては断面を示している。
【0175】
6つの第1吸気孔部424は、ハンドルハウジング21のモータ支持部213に設けられている。第1吸気孔部424のそれぞれは、上下方向に所定の幅を有するとともに前後方向に延びており、第1吸気孔部424のそれぞれには、モータ支持部213の内部とハウジング2の外部とを連通させる複数の吸気孔424aが形成されている。6つの第1吸気孔部424のうちの3つは、モータ支持部213の左側壁213Bの下部に上下方向に並んで位置しており、残りの3つは、モータ支持部213の右側壁213Aの下部に上下方向に並んで位置している。すなわち、6つの第1吸気孔部424のうちの3つは左側分割ハウジング21Bに設けられており、残りの3つは右側分割ハウジング21Aに設けられている。
【0176】
4つの第2吸気孔部425は、ハンドルハウジング21のモータ支持部213に設けられている。第2吸気孔部425のそれぞれは、上下方向に所定の幅を有するとともに前後方向に延びており、第2吸気孔部425のそれぞれには、モータ支持部213の内部とハウジング2の外部とを連通させる複数の吸気孔425aが形成されている。4つの第2吸気孔部425のうちの2つは、モータ支持部213の左側壁213Bの上部に上下方向に並んで位置しており、残りの2つは、モータ支持部213の右側壁213Aの上部に上下方向に並んで位置している。すなわち、4つの第2吸気孔部425のうちの2つは左側分割ハウジング21Bに設けられており、残りの2つは右側分割ハウジング21Aに設けられている。
【0177】
4つの第3吸気孔部426は、ハンドルハウジング21の第1接続部212Aに設けられている。第3吸気孔部426のそれぞれは、上下方向に所定の幅を有するとともに前後方向に延びており、第3吸気孔部426のそれぞれには、第1接続部212Aの内部とハウジング2の外部とを連通させる複数の吸気孔426aが形成されている。4つの第3吸気孔部426のうちの2つは、第1接続部212Aの左側壁の前部に上下方向に並んで位置しており、残りの2つは、第1接続部212Aの右側壁の前部に上下方向に並んで位置している。すなわち、4つの第3吸気孔部426のうちの2つは左側分割ハウジング21Bに設けられており、残りの2つは右側分割ハウジング21Aに設けられている。
【0178】
セーバーソー401の基板収容部61の上下方向の寸法はセーバーソー1の基板収容部61の上下方向の寸法よりも短く構成されており、図15に示されているように、セーバーソー401の基板収容部61の上端は連通孔221bよりも下方に位置している。
【0179】
図16に示されているように、セーバーソー401におけるスイッチング素子Q1~Q6、3つの放熱フィン97A、放熱フィン97B、整流回路ユニット92B(整流回路92)、及び放熱フィン92Cは、回路基板62の上下方向における中心よりも下側の部分に実装されており、基板収容部61の上下方向における中心よりも下側に配置されている。なお、図16は、セーバーソー401の基板収容部61の正面図であるが、ハンドルハウジング21に関しては、図15に示されているXVI-XVI線に沿った断面を示している。また、図16においては、図の煩雑を避けるため、右側リブ部214及び左側リブ部215の図示を省略している。
【0180】
セーバーソー401におけるスイッチング素子Q1~Q3は、それらのスイッチング素子本体97Cがそれらの放熱板97Dよりも外側に位置するように(本実施の形態においては、左方に位置するように)、回路基板62の前面の左下部において上下方向に並んで配置されている。セーバーソー401における3つの放熱フィン97Aのそれぞれは、スイッチング素子Q1~Q3のうちの対応する一のスイッチング素子の放熱板97Dの右面に接続されている。また、スイッチング素子Q1~Q3のそれぞれのスイッチング素子本体97C及び放熱板97Dは、回転軸31の軸方向(すなわち、前後方向)において、モータケース22のベアリング支持部221Aとオーバーラップしている部分を有している。
【0181】
セーバーソー401におけるスイッチング素子Q4~Q6は、それらのスイッチング素子本体97Cがそれらの放熱板97Dの外側に位置するように(本実施の形態においては、右方に位置するように)、スイッチング素子Q1~Q3の右方において上下方向に並んで配置されている。セーバーソー401における放熱フィン97Bは、スイッチング素子Q4~Q6のそれぞれの放熱板97Dの左面に接続されている。また、スイッチング素子Q4~Q6のそれぞれのスイッチング素子本体97C及び放熱板97Dは、回転軸31の軸方向において、ベアリング支持部221Aとオーバーラップしている部分を有している。
【0182】
セーバーソー401における整流回路ユニット92B(整流回路92)は、回路基板62の前面の下部においてスイッチング素子Q4~Q6及び放熱フィン97Bの右方に、上下方向に延びるように搭載されている。セーバーソー401における放熱フィン92Cは、上下方向に延びており、整流回路ユニット92Bの左面に接続されている。また、整流回路ユニット92B及び放熱フィン97Bは、回転軸31の軸方向において、ベアリング支持部221Aとオーバーラップしている部分を有している。
【0183】
セーバーソー401における第1コンデンサ96Aは、その軸方向が左右方向に略一致する姿勢で、モータ支持部213内において基板収容部61の上方に配置されている。また、第1コンデンサ96Aは、回転軸31の軸方向において、モータケース22のベアリング支持部221Aとオーバーラップしている部分を有している。なお、セーバーソー401は、セーバーソー1におけるコンデンサ98B及びコンデンサ98Dに替えて、より容量の小さい2つのコンデンサを有しているが、当該2つのコンデンサは回路基板62に搭載された状態でウレタン樹脂61Aにその全体が覆われているため、図15図16、及び図17においては現れていない。
【0184】
セーバーソー401における信号線211Gは、図15に示されているように、スイッチ機構部211Aから基板部6の回路基板62に搭載された制御部10まで把持部211の内部及び第2接続部212Bの内部を通って延びている。
【0185】
次に、左側分割ハウジング21Bに設けられた3つの第1吸気孔部424、2つの第2吸気孔部425、及び2つの第3吸気孔部426とハンドルハウジング21内に配置された各部材との位置関係について説明する。なお、上述したように、ハンドルハウジング21は左右対称に構成されているため、右側分割ハウジング21Aに設けられた3つの第1吸気孔部424、2つの第2吸気孔部425、及び2つの第3吸気孔部426とハンドルハウジング21内に配置された各部材との位置関係についての説明は省略する。なお、以下の説明においては、左側分割ハウジング21Bに設けられている3つの第1吸気孔部424を上方から順に「第1吸気孔部424A」、「第1吸気孔部424B」、「第1吸気孔部424C」と称す。また、左側分割ハウジング21Bに設けられている2つの第2吸気孔部425のうちの上側の第2吸気孔部425を「第2吸気孔部425A」と称し、下側の第2吸気孔部425を「第2吸気孔部425B」と称する。さらに、左側分割ハウジング21Bに設けられている2つの第3吸気孔部426のうちの上側の第3吸気孔部426を「第3吸気孔部426A」と称し、下側の第3吸気孔部426を「第3吸気孔部426B」と称する。
【0186】
図15に示されているように、第1吸気孔部424Aは、スイッチング素子Q3、スイッチング素子Q3に接続されている放熱フィン97A、スイッチング素子Q6、放熱フィン97B、整流回路ユニット92B、及び放熱フィン92Cと左右方向から見て重なる部分を有している。すなわち、第1吸気孔部424Aの複数の吸気孔424aの一部は、スイッチング素子Q3、スイッチング素子Q3に接続されている放熱フィン97A、スイッチング素子Q6、放熱フィン97B、整流回路ユニット92B、及び放熱フィン92Cと左右方向から見て重なっている。
【0187】
第1吸気孔部424Bは、スイッチング素子Q2、スイッチング素子Q2に接続されている放熱フィン97A、スイッチング素子Q5、放熱フィン97B、整流回路ユニット92B、及び放熱フィン92Cと左右方向から見て重なる部分を有している。すなわち、第1吸気孔部424Bの複数の吸気孔424aの一部は、スイッチング素子Q2、スイッチング素子Q2に接続されている放熱フィン97A、スイッチング素子Q5、放熱フィン97B、整流回路ユニット92B、及び放熱フィン92Cと左右方向から見て重なっている。
【0188】
第1吸気孔部424Cは、スイッチング素子Q1、スイッチング素子Q1に接続されている放熱フィン97A、スイッチング素子Q4、放熱フィン97B、整流回路ユニット92B、及び放熱フィン92Cと左右方向から見て重なる部分を有している。すなわち、第1吸気孔部424Cの複数の吸気孔424aの一部は、スイッチング素子Q1、スイッチング素子Q1に接続されている放熱フィン97A、スイッチング素子Q4、放熱フィン97B、整流回路ユニット92B、及び放熱フィン92Cと左右方向から見て重なっている。
【0189】
また、第1吸気孔部424A、第1吸気孔部424B、及び第1吸気孔部424Cのそれぞれは、回転軸31の軸方向(すなわち、前後方向)において、基板収容部61の前方に位置し且つ連通孔221c(又は連通孔221b)の後方に位置する部分を有している。すなわち、第1吸気孔部424A、第1吸気孔部424B、及び第1吸気孔部424Cのそれぞれの複数の吸気孔424aの一部は、回転軸31の軸方向において、基板収容部61よりも前方に位置し且つ連通孔221c(又は連通孔221b)よりも後方に位置している。
【0190】
第2吸気孔部425Aは、基板収容部61及び第1コンデンサ96Aよりも上方に位置している。言い換えれば、第2吸気孔部425Aの複数の吸気孔425aは基板収容部61及び第1コンデンサ96Aよりも上方に位置している。
【0191】
第2吸気孔部425Bは、基板収容部61よりも上方に位置しており、第1コンデンサ96Aと上下方向(回転軸31の軸方向と直交する方向)においてオーバーラップする部分を有している。すなわち、第2吸気孔部425Bの複数の吸気孔425aは基板収容部61よりも上方に位置しており、第2吸気孔部425Bの複数の吸気孔425aの一部は、上下方向において第1コンデンサ96Aとオーバーラップしている。
【0192】
また、第2吸気孔部425A及び第2吸気孔部425Bは、回転軸31の軸方向(すなわち、前後方向)において基板収容部61の前方且つ連通孔221c(又は連通孔221b)の後方に位置する部分を有している。言い換えれば、第2吸気孔部425A及び第2吸気孔部425Bのそれぞれの複数の吸気孔425aの一部は、回転軸31の軸方向において基板収容部61よりも前方で且つ連通孔221c(又は連通孔221b)よりも後方に位置している。
【0193】
第3吸気孔部426Aは、チョークコイル91Dと左右方向から見て重なる部分を有している。すなわち、第3吸気孔部426Aの複数の吸気孔426aの一部は、チョークコイル91Dと左右方向から見て重なっている。第3吸気孔部426Bは、基板収容部61の下方に位置している。
【0194】
次に、セーバーソー401における冷却風の流れについて図17を参照しながら説明する。セーバーソー401においては、ファン5が回転すると、6つの第1吸気孔部424のそれぞれの複数の吸気孔424a及び4つの第2吸気孔部425のそれぞれの複数の吸気孔425aからモータ支持部213内に空気が取り込まれ、ハウジング2内で複数の吸気孔424aから2つの排気孔2bに向かって流れる第5冷却風(例えば、図17の破線矢印W1)及び複数の吸気孔425aから2つの排気孔2bに向かって流れる第6冷却風(例えば、図17の破線矢印W2)が発生する。また同時に、4つの第3吸気孔部426のそれぞれの複数の吸気孔426aからも第1接続部212Aに空気が取り込まれ、ハウジング2内で複数の吸気孔426aから2つの排気孔2bに向かって流れる第7冷却風(例えば、図17の破線矢印W3)が発生する。
【0195】
図17に示されているように、ファン5の回転によって発生した第5冷却風は、最初に基板収容部61に収容された回路基板62に搭載された各回路素子及び各部材、すなわち、スイッチング素子Q1~Q6、3つの放熱フィン97A、放熱フィン97B、整流回路ユニット92B(整流回路92)、及び放熱フィン92Cを冷却し、連通孔221cを通ってモータケース22内に流入する。その後、第5冷却風は、ブラシレスモータ3を冷却して2つの排気孔2bからハウジング2の外部に排出される。
【0196】
第6冷却風は、最初に第1コンデンサ96Aを冷却し、連通孔221bを通ってモータケース22内に流入し、その後、ブラシレスモータ3を冷却して2つの排気孔2bからハウジング2の外部に排出される。すなわち、第6冷却風は、回路基板62に搭載された各回路素子及び各部材(スイッチング素子Q1~Q6、3つの放熱フィン97A、放熱フィン97B、整流回路ユニット92B(整流回路92)、及び放熱フィン92C)を冷却することなく、ブラシレスモータ3に到達し、その後、2つの排気孔2bからハウジング2の外部に排出される。
【0197】
第7冷却風は、最初にフィルタ回路収容部91Fに収容されたフィルタ回路基板91Aに搭載された各回路素子及び各部材、すなわち、チョークコイル91D及びコンデンサ91E等を冷却し、基板収容部61の下方を通ってモータ支持部213内に流入する。モータ支持部213内に流入した後は、回路基板62に搭載された各回路素子及び各部材(すなわち、スイッチング素子Q1~Q6、3つの放熱フィン97A、放熱フィン97B、整流回路ユニット92B、及び放熱フィン92C)を冷却し、連通孔221cを通ってモータケース22内に流入する。その後、第7冷却風は、ブラシレスモータ3を冷却して2つの排気孔2bからハウジング2の外部に排出される。
【0198】
このように、本発明の第5の実施形態によるセーバーソー401においては、ブラシレスモータ3は、第5冷却風、第6冷却風、及び第7冷却風によって冷却されるため、ブラシレスモータ3の冷却効率を向上させることができる。また、上述したように、第6冷却風は、発熱量のあまり高くない第1コンデンサ96Aを冷却した後に、回路基板62に搭載された発熱量の高い回路素子(すなわち、スイッチング素子Q1~Q6及び整流回路ユニット92B(整流回路92))を冷却することなく、ブラシレスモータ3を冷却する。これにより、第1コンデンサ96Aを冷却しつつもブラシレスモータ3を温度の低い状態の第6冷却風で冷却することができ、ブラシレスモータ3の冷却効率の向上及び第1コンデンサ96Aの冷却を図ることができる。
【0199】
また、セーバーソー401においては、第7冷却風は、発熱量のあまり高くないチョークコイル91D及びコンデンサ91Eを冷却した後に、回路基板62に搭載された各回路素子及び各部材を冷却する。これにより、チョークコイル91D及びコンデンサ91Eの冷却しつつも発熱量の高い回路素子(すなわち、スイッチング素子Q1~Q6及び整流回路ユニット92B(整流回路92))を温度の低い状態の第5冷却風及び第7冷却風で冷却することができる。このため、本実施の形態においては、発熱量の高い回路素子の冷却効率を向上とチョークコイル91D及びコンデンサ91Eの冷却との両立を図ることができる。
【0200】
また、セーバーソー401においては、左側分割ハウジング21Bに設けられた3つの第1吸気孔部424、2つの第2吸気孔部425、2つの第3吸気孔部426のそれぞれの開口面積は、この順で大・中・小の関係になっている。すなわち、3つの第1吸気孔部424から流入する空気の量は2つの第2吸気孔部425よりも大きく、2つの第2吸気孔部425から流入する空気の量は2つの第3吸気孔部426よりも大きくしている。こうすることで、それぞれの吸気孔部から流入する空気の量を調節し、発熱量の大きな部品を優先して冷却することが可能となる。
【0201】
また、セーバーソー401においては、セーバーソー1と同様に回転軸31の中心軸位置に対して、基板収容部61の中心位置が下方にオフセットしている。こうすることで、基板収容部61の上端は、第2吸気孔部425及び連通孔221bよりも下方に位置している。このため、基板収容部61が第6冷却風の流れを妨げることがなく、第6冷却風をモータケース22内部に円滑に流入させることができる。また、セーバーソー401においては、整流回路ユニット92Bの配置を変更することで、基板収容部61の上下方向の寸法をセーバーソー1の基板収容部61の上下方向の寸法よりも短く構成しており、基板収容部61が第6冷却風の流れを妨げることを、より好適に抑制している。これにより、ブラシレスモータ3の冷却効率をより向上させることができる。
【0202】
また、セーバーソー401においては、回転軸31の中心軸位置に対して、基板収容部61の中心位置がオフセットしている。具体的には、基板収容部の61の中心が、回転軸31の中心軸位置(ベアリング支持部221Aの上下左右中心位置)よりも下方にずれている。こうすることで、基板収容部61から突出する部品を、回転軸31の軸方向においてモータケース22とオーバーラップさせることが容易となる。特に、本実施の形態のように、回路基板62の素子搭載面の大半を大型の回路素子が占めるような構成の場合に有効である。
【0203】
さらに、セーバーソー401においては、上述したように回路基板62に搭載された各回路素子及び各部材、すなわち、スイッチング素子Q1~Q6、3つの放熱フィン97A、放熱フィン97B、整流回路ユニット92B(整流回路92)、及び放熱フィン92Cは、基板収容部61の上下方向における中心よりも下側部分に集約されて配置されている。このため、第5冷却風及び第7冷却風を回路基板62に搭載された各回路素子及び各部材に確実に当てることができ、冷却効率をより向上させることができる。また、セーバーソー401におけるセーバーソー1と同一の部材、要素は、セーバーソー1における同一の部材、要素と同一の作用効果を奏する。
【0204】
本発明の実施の形態について説明したが、本発明による電動工具は、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲内で種々の変更が可能である。また、上記の実施の形態においては、運動変換部7を備えるセーバーソー1を例に説明したが、これに限られず、ブラシレスモータを採用している電動工具であれば本発明を適用することができる。本発明は、特に、ブラシレスモータにかかる負荷が大きくなる傾向にある電動工具(例えば、ブラシレスモータの回転を往復動に変換する運動変換部を備えるハンマドリル、ジグソー等)に好適である。また、上述した実施形態の構成の一部を省略してもよく、上述の実施形態の構成の少なくとも一部を上述の他の実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【0205】
また、本発明の第1、4の実施形態においては、モータケース22の一部と回路素子の一部とを、ベアリング支持部221Aの下方で前後方向にオーバーラップさせたが、これに限定されず、ベアリング支持部221Aの上方でオーバーラップさせても同様にハンドルハウジング21を小型にすることができる。
【0206】
また、本発明の第2の実施形態によるセーバーソー101においては、第1接続部212A内にチョークコイル91Dが配置され、第2接続部212B内に第1コンデンサ196Aの一部が配置されていたが、これに限定されず、第1接続部212A内に第1コンデンサ196Aの少なくとも一部が配置され、第2接続部212B内にチョークコイル91Dが配置される構成であってもよい。
【符号の説明】
【0207】
1、101、201、301、401…セーバーソー 2…ハウジング 2a…吸気孔 2b…排気孔 3…ブラシレスモータ 5…ファン 8…往復動部 9…電力供給回路 21…ハンドルハウジング 211…把持部 P…外部電源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17