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特許7367753配車車両抽出サーバ、配車車両抽出手段、配車車両抽出方法、ならびに、配車車両表示端末
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】配車車両抽出サーバ、配車車両抽出手段、配車車両抽出方法、ならびに、配車車両表示端末
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/04 20230101AFI20231017BHJP
   G06Q 50/30 20120101ALI20231017BHJP
【FI】
G06Q10/04
G06Q50/30
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021510559
(86)(22)【出願日】2019-03-29
(86)【国際出願番号】 IB2019000406
(87)【国際公開番号】W WO2020201798
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-10-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 起幸
(72)【発明者】
【氏名】河合 諭司
(72)【発明者】
【氏名】金子 庸平
【審査官】谷川 智秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-206177(JP,A)
【文献】特開2005-216155(JP,A)
【文献】国際公開第2018/230676(WO,A1)
【文献】特開2018-163578(JP,A)
【文献】特開2008-146500(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザがリクエスト操作を行う操作端末から、前記ユーザの属性情報を含む配車リクエストを取得し、前記配車リクエストの際のユーザ位置と配車車両の車両位置とを取得する通信部と、
前記配車リクエストを処理するコントローラと、
を備える配車車両抽出サーバであって、
前記コントローラは、
配車システムに登録された待合地点候補を取得し、
前記待合地点候補ごとに、
前記ユーザ位置から前記待合地点候補までの、前記ユーザの移動時間と、
前記車両位置から前記待合地点候補までの前記配車車両の移動時間と前記ユーザの移動時間との差分により得られる、前記ユーザの待機時間と、
前記ユーザが前記配車リクエストを行ってから前記配車車両に乗車して目的地に到着するまでの、前記ユーザのトータル時間と、
を算出し、
前記待合地点候補ごとに、前記ユーザの属性情報に応じた前記トータル時間に基づいて定まる上限値以下の前記ユーザの待機時間を有する前記配車車両を抽出し、
前記待合地点候補及び前記待合地点候補に対応して抽出された前記配車車両の組合せを出力し、
前記上限値は、前記トータル時間が増加するほど減少する単調減少関数で表されること
を特徴とする配車車両抽出サーバ。
【請求項2】
請求項1に記載の配車車両抽出サーバであって、
前記コントローラは、
前記待合地点候補と前記配車車両の組合せ毎に、前記トータル時間と前記待機時間を算出すること
を特徴とする配車車両抽出サーバ。
【請求項3】
請求項に記載の配車車両抽出サーバであって、
前記通信部を介して、前記組合せの情報を前記配車車両抽出サーバの外部に出力すること
を特徴とする配車車両抽出サーバ。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の配車車両抽出サーバであって、
前記車両位置から前記待合地点候補までの前記配車車両が移動するのに要する時間から、前記ユーザの移動時間を差し引いて得られる値が、0以上である場合に、当該値を前記待機時間とすること
を特徴とする配車車両抽出サーバ。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の配車車両抽出サーバであって、
前記通信部は、前記操作端末から前記ユーザ位置を取得すること
を特徴とする配車車両抽出サーバ。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の配車車両抽出サーバであって、
前記操作端末は、携帯端末であること
を特徴とする配車車両抽出サーバ。
【請求項7】
ユーザがリクエスト操作を行う操作端末から、前記ユーザの属性情報を含む配車リクエストを取得し、前記配車リクエストの際のユーザ位置と配車車両の車両位置とを取得する通信手段と、
配車システムに登録された待合地点候補を取得する取得手段と、
前記待合地点候補ごとに、
前記ユーザ位置から前記待合地点候補までの、前記ユーザの移動時間と、
前記車両位置から前記待合地点候補までの前記配車車両の移動時間と前記ユーザの移動時間との差分により得られる、前記ユーザの待機時間と、
前記ユーザが前記配車リクエストを行ってから前記配車車両に乗車して目的地に到着するまでの、前記ユーザのトータル時間と、
を算出する時間算出手段と、
前記待合地点候補ごとに、前記ユーザの属性情報に応じた前記トータル時間に基づいて定まる上限値以下の前記ユーザの待機時間を有する前記配車車両を抽出する抽出手段と、
前記待合地点候補及び前記待合地点候補に対応して抽出された前記配車車両の組合せを出力する出力手段と、
を備え、
前記上限値は、前記トータル時間が増加するほど減少する単調減少関数で表されること
を特徴とする配車車両抽出装置。
【請求項8】
ユーザがリクエスト操作を行う操作端末から、前記ユーザの属性情報を含む配車リクエストを取得し、前記配車リクエストの際のユーザ位置と配車車両の車両位置とを取得する通信部と、
前記配車リクエストを処理するコントローラと、
を備える配車車両抽出サーバに係る配車車両抽出方法であって、
前記コントローラは、
配車システムに登録された待合地点候補を取得し、
前記待合地点候補ごとに、
前記ユーザ位置から前記待合地点候補までの、前記ユーザの移動時間と、
前記車両位置から前記待合地点候補までの前記配車車両の移動時間と前記ユーザの移動時間との差分により得られる、前記ユーザの待機時間と、
前記ユーザが前記配車リクエストを行ってから前記配車車両に乗車して目的地に到着するまでの、前記ユーザのトータル時間と、
を算出し、
前記待合地点候補ごとに、前記ユーザの属性情報に応じた前記トータル時間に基づいて定まる上限値以下の前記ユーザの待機時間を有する前記配車車両を抽出し、
前記待合地点候補及び前記待合地点候補に対応して抽出された前記配車車両の組合せを出力し、
前記上限値は、前記トータル時間が増加するほど減少する単調減少関数で表されること
を特徴とする配車車両抽出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配車車両抽出サーバ、配車車両抽出手段、配車車両抽出方法、ならびに、配車車両表示端末に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ユーザが配車予約を行う際、ユーザの位置から所定範囲内に位置する配車車両の情報をユーザ端末に表示させ、ユーザが配車車両の呼び出し操作を行うことで、ユーザが選択した配車車両を呼び寄せることが可能な配車車両の呼び寄せシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-134641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、ユーザ端末に配車車両を表示する際、ユーザの位置から所定範囲の配車車両を一律で表示する。そのため、例えば、ユーザ自身が移動する場合や、ユーザが配車車両に乗車するまでの待ち時間を考慮するものとなっておらず、ユーザによっては適切ではない配車車両が表示される場合があった。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ユーザ自身の移動やユーザが配車車両に乗車するまでの待ち時間を考慮して、配車システムを利用するユーザの利便性を向上させることができる配車車両抽出サーバ、配車車両抽出手段、配車車両抽出方法、ならびに、配車車両表示端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様に係る配車車両抽出サーバ、配車車両抽出手段、配車車両抽出方法、ならびに、配車車両表示端末は、ユーザ位置からユーザが配車車両と待ち合わせる待合地点までのユーザの移動時間と、ユーザが配車リクエストを行ってから配車車両に乗車するまでの時間からユーザの移動時間を差し引いて得られるユーザの待機時間と、ユーザが配車リクエストを行ってから配車車両に乗車して目的地に到着するまでのユーザのトータル時間と、を算出し、トータル時間と待機時間に基づいて、配車車両を抽出する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザ自身の移動やユーザが配車車両に乗車するまでの待ち時間を考慮して、配車システムを利用するユーザの利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る配車車両抽出サーバ、配車車両表示端末を含む、配車システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、配車システムを利用するユーザのユーザ特性を示すグラフ図である。
図3A図3Aは、ユーザ位置、配車車両の位置、及び、待合地点の一例を示す図である。
図3B図3Bは、図3Aに示す位置関係において算出されるトータル時間とユーザの待機時間の対を、ユーザ特性を示すグラフ図にプロットした図である。
図4図4は、本発明の一実施形態に係る配車車両抽出の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。説明において、同一のものには同一符号を付して重複説明を省略する。
【0010】
[配車システムの構成]
図1は、本実施形態に係る配車車両抽出サーバ、配車車両表示端末を含む、配車システムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、配車システムは、無線又は優先のネットワーク400で互いに接続された、配車車両表示端末100(操作端末)と、配車車両抽出サーバ200と、配車車両300と、を備える。
【0011】
配車車両表示端末100は、ユーザからの配車リクエストを受け付け、受け付けた配車リクエストを送信する。配車車両表示端末100としては、例えば、ユーザが日常的に利用する携帯端末(スマートフォン、タブレットなど)が挙げられる。
【0012】
配車車両抽出サーバ200は、ユーザの配車リクエスト及び配車車両300の情報を取得し、取得した情報に基づいて、配車リクエストに沿った待合地点と配車車両300の組合せ(推奨組合せ)を抽出する。そして、抽出した、待合地点と配車車両300の組合せの情報を出力する。推奨組合せとは、待合地点と配車車両300の組合せの中から抽出された、推奨待合地点と推奨配車車両の組合せである。
【0013】
なお、待合地点とは、配車車両300を停車させてユーザの乗降が可能な場所であり、事前に配車システムに登録された地図データ上の地点であるとする。また、配車車両300は、ユーザが指定する目的地(ユーザの行き先)までの移動手段を提供する乗り物であって、例えば、自動運転車両が挙げられる。その他、配車車両300としては、例えば、有人/無人のタクシー、バス、トラックなど、種々の移動手段が挙げられる。配車システムには、複数個の待合地点、及び、複数台の配車車両が登録されているものとする。
【0014】
ネットワーク400は、例えば、インターネットが挙げられる。ネットワーク400は、4G/LTEや、5Gなどのモバイル通信機能を利用するものであってもよい。
【0015】
なお、図1では示していないが、サービサ(例えばDeNA(登録商標)、UBER(登録商標)などの配車サービス提供会社)の管理サーバが、ネットワーク400に接続されて、配車システムの一部を構成するものであってもよい。
【0016】
この場合、配車車両表示端末100から送信された配車リクエストが、サービサの管理サーバによって処理され、処理された後の配車リクエストが、配車車両抽出サーバ200に送信されるものであってもよい。また、配車車両300の情報が、サービサの管理サーバによって処理され、処理された後の配車車両300の情報が、配車車両抽出サーバ200に送信されるものであってもよい。
【0017】
さらに、配車車両抽出サーバ200から出力される配車車両300の情報が、サービサの管理サーバによって処理され、処理された後の情報が、配車車両表示端末100に送信されるものであってもよい。
【0018】
以下では説明の簡略化のために、サービサの管理サーバを省略し、ネットワーク400を介して配車車両表示端末100は配車車両抽出サーバ200と双方向に通信可能であるとし、さらに、ネットワーク400を介して配車車両300は配車車両抽出サーバ200と双方向に通信可能であるとする。
【0019】
[配車車両表示端末の構成]
次に、配車車両表示端末100について説明する。図1に示すように、本実施形態に係る配車車両表示端末100は、センサ150と、表示部160と、操作部170と、通信部110と、制御部130(コントローラ)と、を備える。
【0020】
センサ150は、複数のセンサ群からなり、配車車両表示端末100の位置情報を取得する位置検出センサを含む。例えば、位置検出センサは、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)などの絶対位置を計測するセンサである。
【0021】
その他、センサ150は、配車車両表示端末100の置かれた環境に関する環境情報を取得する環境センサを含んでいてもよい。例えば、環境センサは、温度センサ、湿度センサ、振動センサ、加速度センサ、マイクロフォンなどである。
【0022】
表示部160は、配車システムによって提供される配車車両300の情報や、ユーザが配車車両300と待ち合わせる待合地点に関する情報を表示する。配車車両300の情報及び待合地点に関する情報は、後述する通信部110により、ネットワーク400を介して配車車両抽出サーバ200から取得する。その他、表示部160は、待合地点まで向かうために必要な経路情報や、待合地点までユーザの移動をガイドするための案内情報を表示するものであってもよい。
【0023】
操作部170は、配車システムに対するユーザからの各種の指令に対応するユーザの操作を受け付ける。例えば、操作部170は、複数のボタンを備えた入力インターフェイスであってもよいし、タッチインターフェイスを備えたタッチパネルであってもよい。
【0024】
より具体的には、絵や記号で表現したアイコンをユーザが操作可能なように表示部160が表示し、表示されたアイコンをユーザがタッチ、ドラッグなどすることで、操作部170はユーザの操作を受け付けるものであってもよい。
【0025】
通信部110は、ネットワーク400との間で情報を送受信する。通信部110は、ネットワーク400から取得した情報を図示しないメモリ等に記憶し、また、配車リクエストや環境情報など所定の情報をネットワーク400に対して出力する。例えば、通信部110は、4G/LTEのモバイル通信機能を備えた車載デバイスであってもよいし、Wifi通信機能を備えた車載デバイスであってもよい。
【0026】
制御部130は、センサ150、表示部160、操作部170、通信部110と接続されており、制御部130には、センサ150、操作部170、通信部110からの情報が入力され、制御部130からは表示部160、通信部110への情報が出力される。
【0027】
なお、制御部130は、CPU(中央処理装置)、メモリ、及び入出力部を備える汎用のマイクロコンピュータである。制御部130には、配車車両表示端末100の一部として機能するためのコンピュータプログラム(配車車両表示プログラム)がインストールされている。コンピュータプログラムを実行することにより、制御部130は、表示部160及び通信部110の制御が行われる。
【0028】
制御部130が備える各種の情報処理は、ソフトウェアによって実現されるものであってもよいし、専用のハードウェアによって実現されるものであってもよい。
【0029】
制御部130が行う情報処理としては、特に、制御部130は、操作部170に対するユーザの操作に基づいて、ユーザからの配車リクエストを取得する。例えば、配車リクエストには、配車車両を利用してユーザが向かう予定の目的地の指定が含まれていてもよい。その他、配車リクエストには、配車車両の乗車可能人数、仕様、種別などの指定が含まれていてもよい。
【0030】
その他、配車リクエストには、ユーザの属性情報が含まれていてもよい。ユーザの属性情報には、ユーザの嗜好、年齢、性別、職種、身体的特徴、配車リクエストの前後でのイベントの有無、イベント種別などの情報が含まれていてもよい。例えば、配車車両表示端末100が、ユーザが日常的に利用する携帯端末(スマートフォン、タブレットなど)である場合には、配車車両表示プログラムとしてのアプリケーションが、SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)やその他のクラウドサービスなどと連携することにより、これらの属性情報を取得するものであってもよい。
【0031】
[配車車両抽出サーバの構成]
次に、配車車両抽出サーバ200について説明する。図1に示すように、本実施形態に係る配車車両抽出サーバ200は、通信部210(通信手段)と、データベース220と、制御部230(コントローラ)と、を備える。
【0032】
通信部210は、ネットワーク400との間で情報を送受信する。通信部210は、配車車両表示端末100から送信された配車リクエストや、配車車両300から送信された車両情報(例えば、配車車両の位置情報、燃料残量、配車サービス提供中か否かを示すステータス情報)など所定の情報をネットワーク400から取得し、取得した情報をデータベース220に記録する。
【0033】
データベース220は、通信部210によって取得した情報を記憶する。その他、データベース220は、ユーザの過去の配車リクエストや、配車システムの利用履歴、頻度などを記憶するものであってもよい。また、データベース220は、ユーザのユーザ特性を推定するための種々のパラメータテーブルを記憶するものであってもよい。
【0034】
制御部230(コントローラ、処理部の一例)は、CPU(中央処理装置)、メモリ、及び入出力部を備える汎用のマイクロコンピュータである。制御部230には、配車車両抽出サーバの一部として機能させるためのコンピュータプログラム(配車車両抽出プログラム)がインストールされている。コンピュータプログラムを実行することにより、制御部230は、複数の情報処理回路(231、233、235、237、239)として機能する。
【0035】
なお、ここでは、ソフトウェアによって制御部230が備える複数の情報処理回路(231、233、235、237、239)を実現する例を示す。ただし、以下に示す各情報処理を実行するための専用のハードウェアを用意して、情報処理回路(231、233、235、237、239)を構成することも可能である。また、複数の情報処理回路(231、233、235、237、239)を個別のハードウェアにより構成してもよい。
【0036】
制御部230は、複数の情報処理回路(231、233、235、237、239)として、待合地点設定部231、位置情報取得部233、時間算出部235、ユーザ特性決定部237、車両抽出部239を備える。
【0037】
位置情報取得部233(位置取得手段)は、通信部210を介して、配車リクエストの際の、ユーザ位置及び配車車両300の車両位置を取得する。
【0038】
待合地点設定部231(待合地点設定手段)は、位置情報取得部233によって取得したユーザ位置に基づいて、配車システムに登録されている待合地点の中から、ユーザ位置から所定の距離の範囲内にある待合地点を、時間算出部235による計算対象として選択する。また、位置情報取得部233によって取得したユーザ位置及び配車車両300の車両位置に基づいて、配車システムに登録されている配車車両の中から、ユーザ位置から所定の距離の範囲内にある配車車両を、時間算出部235による計算対象として選択する。
【0039】
配車システムに登録されている待合地点の全体を計算対象としない理由は、ユーザ位置からあまりに遠くに離れすぎた待合地点までユーザに移動してもらうことは現実的ではないためである。また、配車システムに登録されている配車車両の全体を計算対象としない理由は、ユーザ位置あるいは待合地点からあまりに遠くに離れすぎた配車車両は、待合地点まで到着するのに長い時間がかかってしまうことが想定され、現実的に、配車するのに適さないためである。さらに、また、計算対象を制限することで、トータルの計算コストを削減できることが挙げられる。
【0040】
もっとも、待合地点設定部231によって、計算対象の制限をかけずに、登録されている待合地点の全体を計算対象としても、本願発明は実施可能である。
【0041】
時間算出部235(時間算出手段)は、計算対象である待合地点及び配車車両を対象として、ユーザ位置から待合地点までのユーザの移動時間と、配車リクエストを行ってからユーザが配車車両に乗車するまでの時間から移動時間を差し引いて得られるユーザの待機時間とを算出する。なお、時間算出部235は、待合地点と配車車両の組合せ毎に、ユーザの移動時間、ユーザの待機時間、トータル時間を算出する。なお、ユーザの移動時間は、ユーザ位置から待合地点までの間、停止することなくユーザが移動した場合にかかる時間であるとする。
【0042】
例えば、計算対象である待合地点の中から、ある1つの待合地点とある1つの配車車両を選択して、その選択された待合地点と配車車両の組合せに対してユーザの移動時間、ユーザの待機時間、トータル時間を計算する場合を説明する。
【0043】
配車車両が待合地点まで移動するのに要する時間を「車両側移動時間TC」とし、ユーザが待合地点まで移動するのに要する時間を「ユーザ側移動時間TP」(ユーザの移動時間)とする。車両側移動時間TCは、待合地点と配車車両の車両位置、その他、道路事情や、道路の進行方向に対する配車車両の向きなどに基づいて算出される。またユーザ側移動時間TPは、待合地点とユーザ位置に基づいて算出される。
【0044】
最大値関数「Max(x,y)」を、大小関係「x≧y」の場合に「Max(x,y)=x」、大小関係「x<y」の場合に「Max(x,y)=y」となる関数として定義すると、配車リクエストを行ってからユーザが配車車両に乗車するまでの時間「利用前時間TS」は、式(1)のように計算される。
【0045】
TS=Max(TC,TP) …(1)
【0046】
なお、式(1)を導くために、ユーザと配車車両が待合地点で出会った後にユーザが配車車両に乗車するまでに要する時間は、車両側移動時間TCやユーザ側移動時間TPに比べて無視できるほど小さいと仮定している。
【0047】
よって、ユーザが待機する時間「ユーザ側待機時間TW」(ユーザの待機時間)は、式(2)のように計算される。
【0048】
TW=TS-TP …(2)
【0049】
したがって、待合地点、配車車両の車両位置、ユーザ位置が定まることで、ユーザ側待機時間TW(ユーザの待機時間)を算出できる。
【0050】
なお、ユーザの待機時間は、ユーザが待合地点で待機する時間の他に、ユーザが配車リクエストを行った時のユーザ位置で待機する時間や、ユーザ位置から待合地点まで移動する途中でユーザが立ち止まる場合の時間も含まれる。
【0051】
「TC>TP」である場合(例えば、配車車両よりも先にユーザが待合地点に到着する場合)には、「TW=TC-TP>0」となる。
【0052】
また、「TC≦TP」である場合(例えば、配車車両よりも後にユーザが待合地点に到着する場合もしくは配車車両とユーザが同時に到着する場合)には、「TW=0」となる。
【0053】
よって、ユーザ側待機時間TWは式(3)に基づいて計算することもできる。
【0054】
TW=Max(TC-TP,0) …(3)
【0055】
式(3)によれば、最大値関数「Max(x,y)」の評価において「TC-TP」の符号判定のみを行えばよいため、式(1)及び式(2)を用いてユーザ側待機時間TWを算出するよりも、計算コストを削減できる。
【0056】
その他、ユーザが待合地点から目的地まで配車車両に乗車している時間を「乗車時間TR」とすると、配車リクエストを行ってからユーザが配車車両に乗車して目的地に到着するまでの時間「トータル時間TA」は、式(4)のように計算される(途中の式変形において式(2)を用いた)。
【0057】
TA=TS+TR
=TP+TW+TR …(4)
【0058】
乗車時間TRは、待合地点及び目的地に基づいて算出される。したがって、待合地点、配車車両の車両位置、ユーザ位置、目的地が定まることで、トータル時間TAを算出できる。
【0059】
以上のように、時間算出部235は、待合地点と配車車両の組合せ毎に、ユーザの移動時間、ユーザの待機時間、トータル時間を算出する。
【0060】
ユーザ特性決定部237(ユーザ特性決定手段)は、ユーザの属性情報に基づいてユーザ特性を決定する。具体的には、配車リクエストを作成したユーザが要求するトータル時間及び待機時間に対する制約条件を、ユーザの属性情報に基づいて推定する。
【0061】
図2は、配車システムを利用するユーザのユーザ特性を示すグラフ図である。トータル時間及び待機時間に対する制約条件は、図2のようにトータル時間TAとユーザ側待機時間TWの2つの座標軸を有する座標系において、斜線で示す領域として表される。
【0062】
図2における斜線領域は、次の式(5-1)、式(5-2)、式(5-3)のすべてを満たす(TA,TW)の組として表現される。
【0063】
TA/TA_max+TW/TW_max≦1 …(5-1)
TW≧0 …(5-2)
TA≧0 …(5-3)
【0064】
ここで、値「TA_max」はトータル時間TAが取りうる最大値、値「TW_max」はユーザ側待機時間TWが取りうる最大値を表す。
【0065】
さて、ある待合地点と配車車両の組合せに対して算出されたユーザのトータル時間が「TA_PF」、算出されたユーザの待機時間が「TW_PF」であり、図2のグラフ図において、算出された結果が座標(TA_PF,TW_PF)を有する点PFとしてプロットされたとする。この場合、点PFは斜線領域内にはない点であるため、点PFに対応する待合地点と配車車両の組合せはユーザ特性を満たさないといえる。
【0066】
一方、ある待合地点と配車車両の組合せに対して算出されたユーザのトータル時間が「TA_PT」、算出されたユーザの待機時間が「TW_PT」であり、図2のグラフ図において、算出された結果が座標(TA_PT,TW_PT)を有する点PTとしてプロットされたとする。この場合、点PTは斜線領域内にある点であるため、点PTに対応する待合地点と配車車両の組合せはユーザ特性を満たしているといえる。
【0067】
すなわち、待合地点と配車車両の組合せに対して算出されたユーザのトータル時間及びユーザの待機時間が、式(5-1)、式(5-2)、式(5-3)のすべてを満たす場合には、待合地点と配車車両の組合せはユーザ特性を満たし、それ以外の場合には、ユーザ特性を満たさないといえる。
【0068】
配車システムに対するユーザの要求は、ユーザによって種々に異なる。例えば、ユーザの要求には、「時間に余裕があるので、配車車両が到着するまで待ってもよい要求」(「待機時間を長くする要求」)というものや、逆に、「時間に余裕がないので、目的地までの時間を短くしたい要求」(「トータル時間を短くする要求」)
というものがある。
【0069】
待機時間が長くなれば、トータル時間も長くなる傾向があるため、2つの要求は相反するものである。このように、配車システムに対するユーザの要求は、ユーザのトータル時間とユーザの待機時間との間のトレードオフの関係を含むものである。
【0070】
したがって、ユーザ特性決定部237は、ユーザの属性情報に基づいて、値「TW_max」や値「TA_max」をユーザの属性情報に基づいて調整することで、配車システムにおいて待合地点及び配車車両の抽出に用いるユーザ特性を推定または補正する。
【0071】
なお、図2における斜線領域の境界のうち第1象限における境界CLは、一次関数によって定義したが、これに限定されない。
【0072】
例えば、第1象限における境界を、トータル時間TAが増加するに伴ってユーザ側待機時間TWが減少するような種々の単調減少関数によって定義してもよい。この場合、ユーザ特性決定部237は、単調減少関数の形状を定義するパラメータをユーザの属性情報に基づいて調整する。
【0073】
その他、ユーザ特性決定部237は、環境情報(ユーザが置かれた環境の情報)やイベント種別(配車リクエストの前後でのイベントの種別)に基づいて、配車システムにおいて待合地点及び配車車両の抽出に用いるユーザ特性を推定または補正するものであってもよい。
【0074】
また、ユーザ特性決定部237は、ユーザからの明示的な指示に基づいて、ユーザ特性を決定するものであってもよい。
【0075】
車両抽出部239(抽出手段)は、時間算出部235で算出されたトータル時間及びユーザの待機時間に基づいて、配車リクエストに沿った推奨組合せを、待合地点及び配車車両の組合せの中から抽出する。
【0076】
具体的には、ユーザ特性決定部237で推定したユーザ特性、すなわち、トータル時間及び待機時間に対する制約条件を満たす、待合地点と配車車両の組合せを、推奨組合せとして抽出する。
【0077】
車両抽出部239における処理の例を、図3A及び図3Bを用いて説明する。図3Aは、ユーザ位置、配車車両の位置、及び、待合地点の一例を示す図である。図3Bは、図3Aに示す位置関係において算出されるトータル時間とユーザの待機時間の対を、ユーザ特性を示すグラフ図にプロットした図である。
【0078】
図3Aに示すように、配車システムに待合地点A、待合地点Bが登録されており、配車車両V1、配車車両V2が登録されている場合を考える。
【0079】
なお、配車リクエストの際のユーザ位置は地点Nで示され、地点Nからのトータル時間は、待合地点A、待合地点Bの順に、短くなるものとする。具体的には、待合地点Aは、目的地方向AR1とは逆方向の車線に位置する地点であるため、トータル時間が長くなり、待合地点Bは、目的地方向AR1と同じ方向の車線に位置する地点であるため、トータル時間が短くなる傾向があるとする。
【0080】
また、配車リクエストの際の配車車両V1、配車車両V2の位置関係は、図3Aに示すようになっているとする。待合地点と配車車両の位置関係に起因して、待合地点に各配車車両が到着する時間は異なる。待合地点Aまでの各配車車両の移動時間は、配車車両V1、配車車両V2の順に長くなり、待合地点Bまでの移動時間は、配車車両V2、配車車両V1の順に長くなるものとする。
【0081】
図3Aの例では、計算対象となる待合地点は2地点あり、計算対象となる配車車両は2台であるため、待合地点と配車車両の組合せの数は4組となる(2×2=4組)。したがって、時間算出部235によって、すべての待合地点と配車車両の組合せのそれぞれに対して時間の算出が行われる。
【0082】
そして、算出結果に基づいて、図3Bに示すように、4つの点(点P_A1、点P_A2、点P_B1、点P_B2)がユーザ特性を示すグラフ図にプロットされる。
【0083】
なお、図3Bでは、添字にて、どの待合地点と配車車両の組合せに対応する点であるかを明示している(例えば、点P_A1の添字はA1であるので、待合地点Aと配車車両V1の組合せに対応するとしている)。
【0084】
また、点P_A1、点P_A2が通る直線LA、及び、点P_B1、点P_B2が通る直線LBが傾いた線となっているのは、上述の式(4)で示されるように、ユーザ側待機時間TWが長くなれば、それだけトータル時間TAも長くなることに起因する。
【0085】
車両抽出部239は、プロットされた点がユーザ特性を示す斜線領域に含まれているか否か、すなわち、算出されたトータル時間と待機時間の対が、制約条件を満たしているか否かを判定する。
【0086】
そして、制約条件を満たすトータル時間と待機時間の対に対応する待合地点と配車車両の組合せを、推奨組合せとして抽出する。一方、制約条件を満たさないトータル時間と待機時間の対に対応する待合地点と配車車両の組合せを、推奨組合せとして抽出しない。
【0087】
図3Bに示す例では、点P_A1、点P_B2に対応する待合地点と配車車両の組合せが、推奨組合せとして抽出される。したがって、待合地点Aにおいて配車車両V1と待ち合わせる場合、待合地点Bにおいて配車車両V2と待ち合わせる場合の2つの場合が抽出される。
【0088】
車両抽出部239によって抽出される待合地点と配車車両の組合せは、ユーザ特性決定部237によって推定されたユーザ特性に応じて変動しうる。
【0089】
その他、車両抽出部239は、ユーザ特性に基づいて推奨組合せごとにスコア(推奨度合い)を付与するものであってもよい。例えば、図2に示すユーザ特性を表す斜線領域内において、原点に近い点であるほど高いスコアを付与することで、推奨組合せ同士の比較ができるようにしてもよい。
【0090】
車両抽出部239によって抽出された推奨組合せは、通信部210を介して、配車車両抽出サーバ200の外部に出力される。そして、出力された推奨組合せは、配車車両表示端末100の通信部110によって取得され、表示部160に表示される。
【0091】
上述の通り、配車車両抽出サーバは構成されるが、例えば、時間算出部235、ユーザ特性決定部237、車両抽出部239を、配車車両表示端末100の制御部130に備えて、配車車両表示端末100において推奨組合せの抽出を行ってもよい。
【0092】
その他、配車車両表示端末100においてユーザ特性を決定し、配車車両抽出サーバ200から配信される待合地点と配車車両の組合せの中から、配車車両表示端末100において推奨組合せの抽出を行ってもよい。
【0093】
[配車車両抽出の処理手順]
次に、本実施形態に係る配車車両抽出の処理手順を、図4のフローチャートを参照して説明する。図4に示す配車車両抽出の処理は、配車システムの運用開始とともに開始され、配車システムが運用状態にある間、繰り返し実行される。
【0094】
ステップS101において、配車車両抽出サーバ200は、通信部210を介して、配車車両表示端末100から送信された配車リクエストを取得する。
【0095】
ステップS103において、位置情報取得部233は、通信部210を介して、配車リクエストの際の、ユーザ位置及び配車車両300の車両位置を取得する。
【0096】
ステップS105において、待合地点設定部231は、配車システムに登録されている待合地点のうち、時間算出部235による計算対象となる待合地点を選択する。また、配車システムに登録されている配車車両300のうち、時間算出部235による計算対象となる配車車両を選択する。
【0097】
ステップS109において、時間算出部235は、ユーザ位置から待合地点までのユーザの移動時間と、配車リクエストを行ってからユーザが配車車両に乗車するまでの時間から移動時間を差し引いて得られるユーザの待機時間と、配車リクエストを行ってから配車車両に乗車してユーザが目的地に到着するまでのトータル時間とを算出する。
【0098】
ステップS111において、ユーザ特性決定部237は、ユーザの属性情報に基づいてユーザ特性を決定する。その際、ユーザの属性情報や環境情報に基づいて、配車システムにおいて待合地点及び配車車両の抽出に用いるユーザ特性を推定または補正する。
【0099】
ステップS113において、車両抽出部239は、時間算出部235で算出されたユーザの移動時間及びユーザの待機時間に基づいて、配車リクエストに沿った推奨組合せを、待合地点及び配車車両の組合せの中から抽出する。
【0100】
ステップS115において、車両抽出部239によって抽出された推奨組合せは、通信部210を介して、配車車両抽出サーバ200の外部に出力される。
【0101】
[ユーザ特性の推定・補正の例]
ユーザ特性決定部237が行う、ユーザ特性の推定・補正の例を説明する。
【0102】
配車システムに対するユーザの要求は、ユーザによって種々に異なる。そのため、配車システムにおいて待合地点及び配車車両の抽出に用いるユーザ特性を、ユーザに応じて推定・補正する必要がある。また、ユーザの要求は、ユーザが置かれた環境や、配車リクエストの前後での予定の有無や種類によっても種々に異なる。そのため、環境情報、イベント種別に応じて推定・補正する必要がある。
【0103】
したがって、ユーザ特性決定部237は、「ユーザの属性情報」「環境情報」「イベント種別」に基づいて、ユーザ特性を推定・補正する。
【0104】
第一に、「ユーザの属性情報」に基づくユーザ特性の推定・補正について説明する。
【0105】
例えば、学生、主婦、高齢者、子供などは、「時間に余裕があるので、配車車両が到着するまで待ってもよい要求」(「待機時間を長くする要求」)をしやすい傾向にある。また、会社員や役職者などは、「時間に余裕がないので、目的地までの時間が短くなるなら、配車車両が到着するまで待ってもよい要求」(「トータル時間を短くする要求」)をしやすい傾向にある。
【0106】
したがって、ユーザ特性決定部237は、ユーザの属性情報のうち、ユーザの嗜好、年齢、性別、職種、身体的特徴などに基づいて、ユーザが「待機時間を長くする要求」をしやすい性格タイプと「トータル時間を短くする要求」をしやすい性格タイプの、どちら寄りの傾向を有しているのかを推定する。
【0107】
より具体的には、ユーザの属性情報において「職業」の情報が取得できる場合、職業が、例えば学生、主婦、無職であるならば、「待機時間を長くする要求」をしやすい性格タイプであると推定する。一方、職業が、例えば会社員、役職者であるならば、「トータル時間を短くする要求」をしやすい性格タイプであると推定する。
【0108】
ユーザの属性情報に基づいて、「せっかち」なタイプであると判断される場合には、「トータル時間を短くする要求」をしやすい性格タイプであると推定する。一方、「のんびり」なタイプ(面倒くさがり、方向音痴など)であると判断される場合には、「待機時間を長くする要求」をしやすい性格タイプであると推定する。なお、「せっかち」「のんびり」といったタイプは、ユーザの予約履歴や配車履歴、事前のユーザに対するアンケートなどから判断するものであってもよい。
【0109】
このようにして、ユーザ特性決定部237は、ユーザが「待機時間を長くする要求」をしやすい性格タイプと、「トータル時間を短くする要求」をしやすい性格タイプの、どちら寄りの傾向を有しているのかを推定する。
【0110】
ユーザ特性決定部237は、ユーザが「トータル時間を短くする要求」をしやすい性格タイプを有する場合、ユーザ特性決定部237は、ユーザ特性決定部237は、図2の境界CLを定める値「TA_max」をデフォルト値よりも小さく調整する。
【0111】
逆に、ユーザ特性決定部237は、ユーザが「待機時間を長くする要求」をしやすい性格タイプを有する場合、ユーザ特性決定部237は、図2の境界CLを定める値「TW_max」をデフォルト値よりも大きく調整する。
【0112】
境界CLに対してデフォルト値と比較してどの程度の調整を行うかについては、要求レベルの強さに応じて変更するものであってもよい。
【0113】
このように、ユーザの属性情報に基づいて、値「TW_max」や値「TA_max」をユーザの属性情報に基づいて調整することで、ユーザ特性決定部237は、配車システムにおいて待合地点及び配車車両の抽出に用いるユーザ特性を推定または補正する。
【0114】
第二に、「環境情報」に基づくユーザ特性の推定・補正について説明する。
【0115】
例えば、晴れた温暖な気候の場合には、ユーザは、配車車両が到着するまで待つことにそれほど負担を感じることはないが、人間が快適と感じる温度から気温が離れている場合や、雨や雪が降っている場合、風が強い場合などには、配車車両が到着するまで待つことに大きな負担を感じる傾向にある。
【0116】
よって、ユーザ特性決定部237は、環境情報に基づいて、「トータル時間を短くする要求」と「待機時間を短くする要求」のどちら寄りの要求をユーザがし得るかを推定する。
【0117】
上記の例では、人間が快適と感じる温度から気温が離れている場合や、雨や雪が降っている場合、風が強い場合に、「待機時間を短くする要求」をユーザがし得ると推定する。
【0118】
そして、ユーザ特性決定部237は、「ユーザの属性情報」に基づくユーザ特性の推定・補正と同様に、境界CLを調整する。
【0119】
第三に、「イベント種別」に基づくユーザ特性の推定・補正について説明する。
【0120】
例えば、ユーザのカレンダ情報や、ユーザの出発地・目的地から、配車サービスを利用した後にユーザの傾向を推定できる場合がある。
【0121】
具体的には、配車サービスを利用した後の予定が「ライブ」「美容室」「病院での診察」「航空機フライト」「接待ゴルフ」などであることが判明したとする。この場合、予定に遅れることは許されないとしてユーザは行動すると考えられるため、ユーザは「トータル時間を短くする要求」をしやすいと推定される。
【0122】
一方、配車サービスを利用した後の予定が「帰宅」である場合や、特にない場合などには、ユーザは「待機時間を長くする要求」をしやすいと推定される。
【0123】
このように、ユーザのカレンダ情報や、ユーザの出発地・目的地から、イベント種別を判定し、イベント種別に応じたユーザの傾向に従って、ユーザ特性決定部237はユーザ特性の推定・補正を行う。ユーザ特性決定部237は、「ユーザの属性情報」に基づくユーザ特性の推定・補正と同様に、境界CLを調整する。
【0124】
ユーザ特性決定部237が行うユーザ特性の推定・補正には種々のバリエーションが想定され、上述した例に限定されない。
【0125】
[実施形態の効果]
以上詳細に説明したように、本実施形態に係る配車車両抽出サーバ、配車車両抽出手段、配車車両抽出方法、ならびに、配車車両表示端末によれば、ユーザがリクエスト操作を行う操作端末から配車リクエストを取得し、配車リクエストの際のユーザ位置と配車車両の車両位置とを取得し、ユーザ位置からユーザが配車車両と待ち合わせる待合地点までのユーザの移動時間と、ユーザが配車リクエストを行ってから配車車両に乗車するまでの時間からユーザの移動時間を差し引いて得られるユーザの待機時間と、ユーザが配車リクエストを行ってから配車車両に乗車して目的地に到着するまでのユーザのトータル時間と、を算出し、トータル時間と待機時間に基づいて、配車車両を抽出する。
【0126】
つまり、配車リクエストを行ってから配車車両に乗車してユーザが目的地に到着するまでのトータル時間とユーザの待機時間とに基づいて、配車車両が抽出されるため、配車システムを利用するユーザの利便性を向上させることができる。特に、ユーザ位置、配車車両の車両位置が動的に変化する場合であっても、その動的に変化した状況に対応して、配車リクエストに沿った配車車両をユーザに提案することが可能になる。
【0127】
さらには、ユーザからの要求における、トータル時間とユーザの待機時間のトレードオフの関係を考慮して配車車両を抽出でき、配車システムを利用するユーザの利便性を向上させることができる。
【0128】
また、本実施形態に係る配車車両抽出サーバ、配車車両抽出手段、配車車両抽出方法、ならびに、配車車両表示端末によれば、待合地点と配車車両の組合せ毎に、待機時間とトータル時間を算出し、待機時間とトータル時間に基づいて、推奨組合せを組合せの中から抽出するものであってもよい。これにより、ユーザ位置、配車車両の車両位置が動的に変化する場合であっても、その動的に変化した状況に対応して、配車リクエストに沿った待合地点と配車車両をユーザに提案することが可能になる。また、ユーザからの要求における、トータル時間とユーザの待機時間のトレードオフの関係を考慮して待合地点と配車車両を抽出でき、配車システムを利用するユーザの利便性を向上させることができる。
【0129】
さらに、本実施形態に係る配車車両抽出サーバ、配車車両抽出手段、配車車両抽出方法、ならびに、配車車両表示端末によれば、トータル時間と待機時間に関する制約条件を、属性情報に基づいて推定し、制約条件を満たす組合せを、推奨組合せとして抽出するものであってもよい。これにより、ユーザによって種々に異なるユーザ特性を、待合地点と配車車両の抽出結果に反映させることができ、ユーザごとにカスタマイズされた配車サービスの提供が可能になる。
【0130】
また、本実施形態に係る配車車両抽出サーバ、配車車両抽出手段、配車車両抽出方法、ならびに、配車車両表示端末によれば、ユーザ位置の周囲の環境情報を取得し、環境情報に基づいて、制約条件を補正するものであってもよい。これにより、ユーザの周囲環境の違いを、待合地点と配車車両の抽出結果に反映させることができ、ユーザごとにカスタマイズされた配車サービスの提供が可能になる。
【0131】
さらに、本実施形態に係る配車車両抽出サーバ、配車車両抽出手段、配車車両抽出方法、ならびに、配車車両表示端末によれば、推奨組合せの情報を出力、表示するものであってもよい。これにより、ユーザのみならず、配車サービスを提供するサービサに対して、配車リクエストに沿って抽出した待合地点と配車車両を提示でき、配車システムを利用するユーザの利便性を向上させることができる。
【0132】
また、本実施形態に係る配車車両抽出サーバ、配車車両抽出手段、配車車両抽出方法、ならびに、配車車両表示端末によれば、車両位置から待合地点までの配車車両が移動するのに要する時間から、移動時間を差し引いて得られる値が、0以上である場合に、当該値を待機時間とするものであってもよい。これにより、ユーザの待機時間を簡便な方法で算出でき、計算コストを削減することができる。
【0133】
さらに、本実施形態に係る配車車両抽出サーバ、配車車両抽出手段、配車車両抽出方法、ならびに、配車車両表示端末によれば、操作端末からユーザ位置を取得するものであってもよい。これにより、正確なユーザの位置に基づいて、配車リクエストに沿った配車車両をユーザに提案することが可能になる。
【0134】
また、本実施形態に係る配車車両抽出サーバ、配車車両抽出手段、配車車両抽出方法、ならびに、配車車両表示端末によれば、操作端末として携帯端末を用いてもよい。ユーザが保持する携帯端末の位置情報に基づいて、ユーザ位置を正確に評価することができ、正確なユーザの位置に基づいて、配車リクエストに沿った配車車両をユーザに提案することが可能になる。
【0135】
以上、実施形態に沿って本発明の内容を説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0136】
本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【0137】
上述した実施形態で示した各機能は、1又は複数の処理回路により実装され得る。処理回路は、電気回路を含む処理装置等のプログラムされた処理装置を含む。処理装置は、また、実施形態に記載された機能を実行するようにアレンジされた特定用途向け集積回路(ASIC)や従来型の回路部品のような装置を含む。
【符号の説明】
【0138】
100 配車車両表示端末
110 通信部
130 制御部
150 センサ
160 表示部
170 操作部
200 配車車両抽出サーバ
210 通信部
220 データベース
230 制御部
231 待合地点設定部
233 位置情報取得部
235 時間算出部
237 ユーザ特性決定部
239 車両抽出部
300 配車車両
400 ネットワーク
図1
図2
図3A
図3B
図4