(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】取引管理装置、取引管理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20231017BHJP
【FI】
G06Q30/0601 312
(21)【出願番号】P 2021558348
(86)(22)【出願日】2020-11-13
(86)【国際出願番号】 JP2020042408
(87)【国際公開番号】W WO2021100623
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-05-11
(31)【優先権主張番号】P 2019207688
(32)【優先日】2019-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】水口 弘司
【審査官】鈴木 香苗
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-531673(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0012326(US,A1)
【文献】国際公開第2010/058584(WO,A1)
【文献】特表2011-507779(JP,A)
【文献】特開2002-304447(JP,A)
【文献】特開2002-211752(JP,A)
【文献】中泉 拓也,分野別市場の検証-内航海運業界,IATSS Review [online],日本,公益財団法人国際交通安全学会,2004年03月,Vol.29 No.1,p.61-69,インターネット<URL:https://www.iatss.or.jp/common/pdf/publication/iatss-review/29-1-11.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一の商材に関する、複数の仕入先の各々の仕入条件、複数の販売先の各々の販売条件、および複数の運送手段の各々の運送条件を取得する取得手段と、
取得した複数の前記仕入条件、複数の前記販売条件、および複数の前記運送条件を用いて、複数の前記仕入先と複数の前記販売先の間の前記商材の複数の取引による総利益を多くするように、前記取引毎の、前記仕入先の仕入量、前記運送手段の積載地別の積載量および荷卸し地別の荷卸し量を含む取引内容を最適化して決定する決定手段と、
前記決定手段により決定された、複数の前記取引内容に基づき、複数の前記販売先と複数の前記仕入先間の複数の前記取引の前記総利益を算出する算出手段と、
前記販売条件および前記仕入条件の少なくとも一方の取引条件を緩和するための前記取引条件の変更を示すオペレータによる入力を受け付ける受付手段と、を備え
、
前記受付手段により前記取引条件の前記変更が受け付けられたとき、前記決定手段は、変更された前記取引条件を用いて、決定されていた前記取引内容を変更し、
前記算出手段は、さらに、変更された前記取引内容に基づき変更後の前記総利益を算出し、
前記販売先および前記仕入先の少なくとも一方の取引先別に、前記取引条件の緩和交渉が可能か否かを示す難易度が設定され、
前記受付手段は、前記取引先の前記難易度が基準を満たす場合に、当該取引先の前記取引条件の前記変更を示す情報を受け付ける、取引管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の取引管理装置において、
前記難易度は、前記取引先別の交渉成功率である、取引管理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の取引管理装置において、
前記難易度は、前記取引先別に蓄積された交渉結果を基に機械学習によって生成される、取引管理装置。
【請求項4】
請求項
1から3のいずれか一項に記載の取引管理装置において、
さらに、前記難易度は、前記取引条件の項目別に設定され、
前記受付手段は、前記取引条件の前記項目の前記難易度が基準を満たす場合に、当該項目の前記取引条件の前記変更を示す情報を受け付ける、取引管理装置。
【請求項5】
請求項
1から4のいずれか一項に記載の取引管理装置において、
前記変更前の前記総利益および前記変更後の前記総利益を、同一画面に提示する提示手段をさらに備え
、
前記提示手段は、
前記取引条件を緩和するための変更を行う前に前記決定手段により最適化された前記取引内容を変更前の取引内容として表示する画面と、前記取引条件を緩和するため変更された前記取引条件で前記決定手段により最適化された前記取引内容を緩和シミュレーションの結果として表示する画面と、前記取引先との交渉の結果、変更された取引条件で前記決定手段により最適化された取引内容を変更後の取引内容として表示する画面と、を提示するとともに、
前記変更前の前記取引内容に基づき前記算出手段により算出された前記変更前の前記総利益と、前記緩和シミュレーション後の前記取引内容に基づき前記算出手段により算出された前記緩和シミュレーション後の前記総利益と、前記変更後の前記取引内容に基づき前記算出手段により算出された前記変更後の前記総利益とを、同一画面に提示する、取引管理装置。
【請求項6】
請求項
5に記載の取引管理装置において、
前記決定手段は、前記変更後の前記取引条件を用いて、所定の制限の範囲内で、決定されていた前記取引内容を変更する、取引管理装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の取引管理装置において、
前記決定手段は、前記取引毎に、前記販売先の価格と前記仕入先の価格の差益が大きくなるように前記仕入先の前記仕入量を決定する、取引管理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の取引管理装置において、
前記決定手段は、前記差益が、プラスの場合は、前記仕入量を最大にし、マイナスの場合は、前記仕入量を最小にする、取引管理装置。
【請求項9】
取引管理装置が、
同一の商材に関する、複数の仕入先の各々の仕入条件、複数の販売先の各々の販売条件、および複数の運送手段の各々の運送条件を取得し、
取得した複数の前記仕入条件、複数の前記販売条件、および複数の前記運送条件を用いて、複数の前記仕入先と複数の前記販売先の間の前記商材の複数の取引による総利益を多くするように、前記取引毎の、前記仕入先の仕入量、前記運送手段の積載地別の積載量および荷卸し地別の荷卸し量を含む取引内容を最適化して決定
し、
決定された、複数の前記取引内容に基づき、複数の前記販売先と複数の前記仕入先間の複数の前記取引の前記総利益を算出し、
前記販売条件および前記仕入条件の少なくとも一方の取引条件を緩和するための前記取引条件の変更を示すオペレータによる入力を受け付け、
前記取引条件の前記変更が受け付けられたとき、変更された前記取引条件を用いて、決定されていた前記取引内容を変更し、
さらに、変更された前記取引内容に基づき変更後の前記総利益を算出し、
前記販売先および前記仕入先の少なくとも一方の取引先別に、前記取引条件の緩和交渉が可能か否かを示す難易度が設定され、
前記取引先の前記難易度が基準を満たす場合に、当該取引先の前記取引条件の前記変更を示す情報を受け付ける、取引管理方法。
【請求項10】
コンピュータに、
同一の商材に関する、複数の仕入先の各々の仕入条件、複数の販売先の各々の販売条件、および複数の運送手段の各々の運送条件を取得する手順、
取得した複数の前記仕入条件、複数の前記販売条件、および複数の前記運送条件を用いて、複数の前記仕入先と複数の前記販売先の間の前記商材の複数の取引による総利益を多くするように、前記取引毎の、前記仕入先の仕入量、前記運送手段の積載地別の積載量および荷卸し地別の荷卸し量を含む取引内容を最適化して決定する手順、
前記決定する手順により決定された、複数の前記取引内容に基づき、複数の前記販売先と複数の前記仕入先間の複数の前記取引の前記総利益を算出する手順、
前記販売条件および前記仕入条件の少なくとも一方の取引条件を緩和するための前記取引条件の変更を示すオペレータによる入力を受け付ける手順、を実行させ
、
前記受け付ける手順において前記取引条件の前記変更が受け付けられたとき、前記決定する手順において、変更された前記取引条件を用いて、決定されていた前記取引内容を変更し、
前記算出する手順において、さらに、変更された前記取引内容に基づき変更後の前記総利益を算出し、
前記販売先および前記仕入先の少なくとも一方の取引先別に、前記取引条件の緩和交渉が可能か否かを示す難易度が設定され、
前記受け付ける手順において、前記取引先の前記難易度が基準を満たす場合に、当該取引先の前記取引条件の前記変更を示す情報を受け付ける、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取引管理装置、取引管理方法、およびプログラムに関し、特に、複数の取引を総合的に管理する取引管理装置、取引管理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、需要家から調達したエネルギを卸売りする際に締結される取引契約に基づいて取引を管理する、エネルギ取引管理システムが記載されている。このシステムでは、設備運用管理装置は需要家の負荷設備の運用計画を作成する。エネルギ取引管理装置は、運用計画に基づくエネルギ消費量の予測値と調達量基準値との差分を求め調達エネルギ量とする。さらに、エネルギ取引管理装置は、予測値と卸売量基準値との差分を卸売エネルギ量とする。エネルギ取引管理装置は、調達すべきエネルギ量と卸売できるエネルギ量それぞれに対応する費用(調整額と卸売額)を算出し、その差分を損益として求め、損益が目標値以上の場合、卸売取引契約、運用計画、および運用計画の開始時刻を対応付けて取引計画を作成し出力する。
【0003】
電力会社などの電気事業者に各国から仕入れた燃料を販売する商社などにおいて、複数の仕入先と複数の販売先との取引の組み合わせをマッチングする。燃料は船舶なとの運送手段によって仕入先から販売先に運搬されるため、さらに、運送手段の手配および調整も一緒に行う。仕入先と販売先とは予め契約により取引条件が定められていて、その取引条件の範囲内で取引を成立させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多数の取引先が存在する場合、トレーダーは取引の組み合わせの計画を立案し、取引先と条件緩和の交渉などを行いながら取引条件の修正を繰り返す必要があった。
【0006】
この場合、トレーダーが各取引で利益を上げる努力をすることになるが、トレーダー個々人の経験や能力によって結果に差が出てしまう。また、個々の取引の利益を上げることが、必ずしも取引全体の総利益をあげることになるとは限らない。例えば、ある取引では多少の損失が出たとしても、他の取引でその損失を上回る利益が出れば、全体的には利益が上がる場合も考えられる。このため、複数の仕入先と複数の販売先の間における商材の取引全体を効率よく管理する必要がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複数の仕入先と複数の販売先の間における商材の取引全体を効率よく管理する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の各側面では、上述した課題を解決するために、それぞれ以下の構成を採用する。
【0009】
第一の側面は、取引管理装置に関する。
第一の側面に係る取引管理装置は、
同一の商材に関する、複数の仕入先の各々の仕入条件、複数の販売先の各々の販売条件、および複数の運送手段の各々の運送条件を取得する取得手段と、
取得した複数の前記仕入条件、複数の前記販売条件、および複数の前記運送条件を用いて、複数の前記仕入先と複数の前記販売先の間の前記商材の複数の取引による総利益を多くするように、前記取引毎の、前記仕入先の仕入量、前記運送手段の積載地別の積載量および荷卸し地別の荷卸し量を含む取引内容を最適化して決定する決定手段と、を有する。
【0010】
第二の側面は、少なくとも1つのコンピュータにより実行される取引管理方法に関する。
第二の側面に係る取引管理方法は、
取引管理装置が、
同一の商材に関する、複数の仕入先の各々の仕入条件、複数の販売先の各々の販売条件、および複数の運送手段の各々の運送条件を取得し、
取得した複数の前記仕入条件、複数の前記販売条件、および複数の前記運送条件を用いて、複数の前記仕入先と複数の前記販売先の間の前記商材の複数の取引による総利益を多くするように、前記取引毎の、前記仕入先の仕入量、前記運送手段の積載地別の積載量および荷卸し地別の荷卸し量を含む取引内容を最適化して決定する、ことを含む。
【0011】
なお、本発明の他の側面としては、上記第二の側面の方法を少なくとも1つのコンピュータに実行させるプログラムであってもよいし、このようなプログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な記録媒体であってもよい。この記録媒体は、非一時的な有形の媒体を含む。
このコンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されたとき、コンピュータに、取引管理装置上で、その取引管理方法を実施させるコンピュータプログラムコードを含む。
【0012】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【0013】
また、本発明の各種の構成要素は、必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等でもよい。
【0014】
また、本発明の方法およびコンピュータプログラムには複数の手順を順番に記載してあるが、その記載の順番は複数の手順を実行する順番を限定するものではない。このため、本発明の方法およびコンピュータプログラムを実施するときには、その複数の手順の順番は内容的に支障のない範囲で変更することができる。
【0015】
さらに、本発明の方法およびコンピュータプログラムの複数の手順は個々に相違するタイミングで実行されることに限定されない。このため、ある手順の実行中に他の手順が発生すること、ある手順の実行タイミングと他の手順の実行タイミングとの一部ないし全部が重複していること、等でもよい。
【発明の効果】
【0016】
上記各側面によれば、複数の仕入先と複数の販売先の間における商材の取引全体を効率よく管理する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施の形態に係る取引管理システムの概要を説明するための図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る取引管理装置の論理的な構成例を示す機能ブロック図である。
【
図3】
図2に示す取引管理装置を実現するコンピュータのハードウェア構成を例示するブロック図である。
【
図4】本実施形態の取引管理装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図5】取引条件のデータ構造の例をそれぞれ示す図である。
【
図7】本発明の実施の形態に係る取引管理装置の論理的な構成例を示す機能ブロック図である。
【
図9】本発明の実施の形態に係る取引管理装置の論理的な構成例を示す機能ブロック図である。
【
図10】本実施形態の取引管理装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図11】本発明の実施の形態に係る取引管理装置の論理的な構成例を示す機能ブロック図である。
【
図12】緩和シミュレーション結果画面の一例を示す図である。
【
図13】船舶航行経路結果画面の一例を示す図である。
【
図14】船舶スケジュール画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。以下の各図において、本発明の本質に関わらない部分の構成については省略してあり、図示されていない。
【0019】
実施形態において「取得」とは、自装置が他の装置や記憶媒体に格納されているデータまたは情報を取りに行くこと(能動的な取得)、および、自装置に他の装置から出力されるデータまたは情報を入力すること(受動的な取得)の少なくとも一方を含む。能動的な取得の例は、他の装置にリクエストまたは問い合わせしてその返信を受信すること、及び、他の装置や記憶媒体にアクセスして読み出すこと等がある。また、受動的な取得の例は、配信(または、送信、プッシュ通知等)される情報を受信すること等がある。さらに、「取得」とは、受信したデータまたは情報の中から選択して取得すること、または、配信されたデータまたは情報を選択して受信することであってもよい。
【0020】
(第1の実施の形態)
<システム概要>
図1は、本発明の実施の形態に係る取引管理システムの概要を説明するための図である。
トレーダーは、ある商材を複数の仕入先10(図ではBa、Bb、Bcの3つを示しているが、3つに限定されるものではない。)
と、複数の仕入先10からそれぞれ仕入れて販売する複数の販売先20(図ではSa、Sb、Scの3つを示しているが、3つに限定されるものではない。)
と、をマッチングして取引を成立させる。さらに、商材を仕入先10から販売先20に運送する運送手段30(図では自社船Ta、自社船Tb、スポット船TRaの3つを示しているが、3つに限定されるものではない。)もさらにマッチングして取引
内容を確定させる。
【0021】
取引対象の商材は、例えば、原油、液化天然ガス(Liquefied Natural Gas(LNG))、液化石油ガス(Liquefied Petroleum Gas:LPG)、石油製品、石炭などの燃料を含む。他の例では、化学品、鉄鉱石、非鉄金属、穀物なども含まれる。
運送手段30は、船舶、航空機、車両、列車などが含まれる。
【0022】
運送計画は、一年間分がまとめて立案され、何度か更新された後、確定される。なお運送計画は、一年間分に限定されず、他の期間でもよく、例えば、三ヶ月分、三年間分など数ヶ月分、数年間分などの期間でもよい。
したがって取引先数は膨大な件数になる。そのため、取引先となる複数の仕入先10と複数の販売先20の担当をトレーダー毎に例えば、取引先の地域別などに分担して交渉を行う。部門管理者が各担当者からの報告を受けて取りまとめて全体の取引を管理する。しかし、この方法の場合、各トレーダーが各取引で利益を上げる努力をすることになるが、トレーダー個々人の経験や能力によって結果に差が出てしまう。また、個々の取引の利益を上げることが、必ずしも取引全体の総利益をあげることになるとは限らない。例えば、ある取引では多少の損失が出たとしても、他の取引でその損失を上回る利益が出れば、全体的には利益が上がる場合も考えられる。
【0023】
また、気象条件により船舶や航空機の運行状況が変更になったり、欠航となったりした場合などに、計画の変更を余儀なくされることもあり、トレーダーにとって大きな負担となっていた。
【0024】
図1の例では、マッチング結果50は、仕入先10と販売先20と運送手段30を組み合わせたときの各取引の取引内容、利益および価格差と、全取引の取引総利益60と、を含んでいる。取引内容は、仕入先10については、名称(識別情報)、取引形態(例えば、FOB(Free On Board:本船甲板渡し)またはDES(Delivered Ex Ship:本船持込渡し)、商材の価格(単価など)、荷受渡日、積地、および商材の数量を含む。販売先20の取引内容は、名称(識別情報)、取引形態(例えば、FOBまたはDES)、商材の価格(単価など)、荷受渡日、揚地、および商材の数量を含む。さらに、運送手段30の取引内容として、使用船舶および航海日数などを含む。なお、仕入先10および販売先20の取引形態は対象商材によって異なり、例えば、LPGの場合、FOBとDESに加えてCFR(Cost and Freight:運賃込み条件)やCIF(Cost Insurance and Freight:運賃保険料込み条件)なども取り扱う場合もある。
【0025】
この例では、例えば、取引IDが002と081の取引に関しては、利益はマイナスになっている。しかし、取引全体の取引総利益60はプラスになっているので問題ではない。
【0026】
本発明の取引管理システムは、取引を全体で管理できるようにすることで、効率よく利益も上げることが可能になる。
【0027】
<機能構成例>
図2は、本発明の実施の形態に係る取引管理装置100の論理的な構成例を示す機能ブロック図である。
取引管理装置100は、取得部102と、決定部104と、を備える。
取得部102は、同一の商材に関する、複数の仕入先10の各々の仕入条件、複数の販売先20の各々の販売条件、および複数の運送手段30の各々の運送条件を取得する。
決定部104は、取得した複数の仕入条件、複数の販売条件、および複数の運送条件を用いて、複数の仕入先10と複数の販売先20の間の商材の複数の取引による総利益を多くするように、取引毎の取引内容を最適化して決定する。
取引内容は、少なくとも、仕入先10の仕入量、運送手段30の積載地別の積載量および荷卸し地別の荷卸し量を含む。
【0028】
仕入条件202および販売条件204は、各取引先(仕入先10または販売先20)と予め取り決めた取引条件であり、決定部104は、この取引条件の範囲に収まるように各取引の取引内容を決定する。
【0029】
同一の商材とは、例えば、取引先が同じものであり、一度の取引で一緒に取り扱うことができるものであれば、LNGなどのように成分や品質が異なるものや、LPGなどのようにプロパンとブタンなど種類が異なるものを含んでもよい。
【0030】
さらに、決定部104は、取引毎に、販売先20の価格と仕入先10の価格の差益が大きくなるように仕入先10の仕入量を決定する。これにより、取引内容を最適化することができる。
【0031】
決定部104は、差益が、プラスの場合は、仕入量を最大にし、マイナスの場合は、仕入量を最小にする。
【0032】
決定部104において、最適化は数理最適化処理により実現される。また、決定部104は、機械学習により最適化処理を行ってもよい。また、最適化処理は、上記した取引総利益60を増やすため以外にも行うことができる。例えば、納期を厳守するように最適化を行ってもよい。例えば、気象の悪化などの外乱にも頑健な計画になるように、余裕を持った取引内容を生成してもよい。例えば、決定部104は、納期を遵守し、かつ、燃費、到着日による市場変動なども考慮した上で、最も経済的な航行速度を、予めオペレータにより設定された、例えば、13~18.5ノットなどの範囲内で選択する。実際は航行速度18.5ノット以上で航行可能であるが、18.5より遅く設定することで余裕を持たせている。これにより、荒天や荷役開始までの待機時間、運河の渋滞などによる納期遅延リスクを回避することができる。
【0033】
取引管理装置100は、さらに、記憶装置110を備える。記憶装置110は、取引管理装置100の内部に設けられてもよいし、外部に設けられてもよい。つまり記憶装置110は、取引管理装置100と一体のハードウェアであってもよいし、取引管理装置100とは別体のハードウェアであってもよい。取引管理装置100と記憶装置110は通信ネットワークで接続されてもよい。
【0034】
取得部102により取得された複数の仕入先10の仕入条件202、複数の販売先20の販売条件204と、複数の運送手段30の運送条件206とは記憶装置110に記憶される。さらに、決定部104によりマッチングされた各取引の取引内容と、総利益などの情報も、記憶装置110に記憶される。取引内容と総利益の情報は、例えば、テキストデータファイル(例えば、JSON(JavaScript(登録商標) Object Notation)形式)、CVS(Concurrent Versions System)、表形式データファイルなどで記憶されてよい。あるいは、データベース形式で記憶されてもよい。
【0035】
<ハードウェア構成例>
図3は、
図2に示す取引管理装置100を実現するコンピュータ1000のハードウェア構成を例示するブロック図である。コンピュータ1000は、バス1010、プロセッサ1020、メモリ1030、ストレージデバイス1040、入出力インタフェース1050、およびネットワークインタフェース1060を有する。
【0036】
バス1010は、プロセッサ1020、メモリ1030、ストレージデバイス1040、入出力インタフェース1050、およびネットワークインタフェース1060が、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。ただし、プロセッサ1020などを互いに接続する方法は、バス接続に限定されない。
【0037】
プロセッサ1020は、CPU(Central Processing Unit) やGPU(Graphics Processing Unit)などで実現されるプロセッサである。
【0038】
メモリ1030は、RAM(Random Access Memory)などで実現される主記憶装置である。
【0039】
ストレージデバイス1040は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、メモリカード、又はROM(Read Only Memory)などで実現される補助記憶装置である。ストレージデバイス1040はコンピュータ1000の各機能を実現するプログラムモジュールを記憶している。プロセッサ1020がこれら各プログラムモジュールをメモリ1030上に読み込んで実行することで、そのプログラムモジュールに対応する各機能が実現される。また、ストレージデバイス1040は記憶装置110の各データも記憶してもよい。
【0040】
プログラムモジュールは、記録媒体に記録されてもよい。プログラムモジュールを記録する記録媒体は、非一時的な有形のコンピュータ1000が使用可能な媒体を含み、その媒体に、コンピュータ1000(プロセッサ1020)が読み取り可能なプログラムコードが埋め込まれてよい。
【0041】
入出力インタフェース1050は、コンピュータ1000と各種入出力機器とを接続するためのインタフェースである。
【0042】
ネットワークインタフェース1060は、コンピュータ1000を通信ネットワークに接続するためのインタフェースである。この通信ネットワークは、例えばLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)である。ネットワークインタフェース1060が通信ネットワークに接続する方法は、無線接続であってもよいし、有線接続であってもよい。
【0043】
そして、コンピュータ1000は、入出力インタフェース1050またはネットワークインタフェース1060を介して、必要な機器(例えば、ディスプレイ、キーボード、マウス、プリンタ等)に接続する。
【0044】
取引管理装置100を実現するコンピュータ1000は、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末などである。例えば、取引管理装置100は、コンピュータ1000に、当該取引管理装置100を実現するためのアプリケーションプログラムをインストールして起動することで実現される。
【0045】
他の例では、コンピュータ1000は、ウェブサーバであり、ユーザはパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末などのユーザ端末でブラウザを起動し、インターネットなどのネットワークを介して取引管理装置100の取引管理サービスを提供するウェブページにアクセスすることで、取引管理装置100の機能を利用できてもよい。
【0046】
さらなる他の例では、コンピュータ1000は、取引管理装置100の取引管理サービスを提供するSaaS(Software as a Service)などシステムのサーバ装置であってもよい。ユーザはパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末などのユーザ端末からインターネットなどのネットワークを介してサーバ装置にアクセスし、サーバ装置上で動作するプログラムにより取引管理装置100が実現されてもよい。
【0047】
<動作例>
図4は、本実施形態の取引管理装置100の動作例を示すフローチャートである。
まず、取得部102は、同一の商材に関する、複数の仕入先10の各々の仕入条件、複数の販売先20の各々の販売条件、および複数の運送手段30の各々の運送条件を取得する(ステップS101)。
【0048】
図5は、取引条件のデータ構造の例をそれぞれ示す図である。
図5(a)は仕入条件202、
図5(b)は販売条件204を示している。仕入条件202は、少なくとも、取引先ID、積地(例えば積地港)、積荷日、商材の価格、および商材の取引量を含む。販売条件204は、少なくとも、取引先ID、揚地(例えば
揚地港)、荷揚日、商材の価格、および商材の取引量を含む。
【0049】
取引先IDは、仕入先10および販売先20を識別するための情報と、個々を識別するための情報とを含む。積地港および揚地港は、それぞれ取引対象となる商材を積み荷する港および揚げ荷する港の指定または制約などを示す情報であり、港の名称および港を識別する識別情報の少なくともいずれか一つを含む。積荷日および荷揚日は、商材を積み荷または揚げ荷をする期間(開始日および終了日の少なくとも一方)を示す。
【0050】
価格は、商材の仕入または販売の単価の範囲(上限および下限の少なくとも一方)を示し、価格フォーミュラ(価格指標を含む)などで示されてもよい。取引量は、商材の量の範囲(上限および下限の少なくとも一方)を示す。取引量の単位は、商材の種類によって異なり、体積、重量、熱量などのいずれかの範囲(上限および下限の少なくとも一方)を含む。その他、取引条件には、商材の品質条件(ランクを示す情報や純度を示す情報など)を含んでもよい。
【0051】
図6は、運送条件206のデータ構造の例を示す図である。運送条件206は、少なくとも、運送手段ID、積地(例えば積地港)、積荷日、積載可能量、揚地(例えば
揚地港)、荷揚日、および運賃を含む。運送手段IDは、運送手段(例えば個々の船舶や航空機)を識別するための情報であり、運送手段の種類を示す情報(例えば、船舶および航空機を区別する情報、あるいは、自社船およびスポット船を区別する情報)を含んでもよい。自社船とは、商社などが保有する船、あるいは船主と一定期間の傭船契約を締結する船である。スポット船とは、他社が保有する船であり、賃料を払って一時的に利用する。
【0052】
積地港および揚地港は、当該運送手段が積荷および荷揚する港の指定または制約などを示す情報を含む。積荷日および荷揚日は、当該運送手段が商材を積み荷する期間および荷揚げする期間(開始日および終了日の少なくとも一方)を示す。積載可能量は、当該運送手段のタンク容量、およびタンク積載可能容量の少なくとも一方を含む。運賃は、自社船であれば、燃料費、人件費などの日割り費用、スポット船でれば、賃料などの費用である。
【0053】
図4に戻り、決定部104は、取得した複数の仕入先10の仕入条件202、複数の販売先20の販売条件204、および複数の運送手段30の運送条件206を用いて、複数の仕入先10と複数の販売先20の間の商材の複数の取引による総利益を
多くするように、取引毎の取引内容を
最適化して決定する(ステップS103)。
【0054】
決定部104は、各条件の範囲内で、
図1に示すように、取引総利益60が高くなるように最適化して、仕入先10と販売先20と運送手段30とをマッチングして組み合わせ、取引内容を決定する。
【0055】
本実施形態の取引管理装置100によれば、取得部102により複数の仕入先10の仕入条件202、複数の販売先20の販売条件204、および複数の運送手段30の運送条件206が取得され、決定部104により総利益が高くなるようにマッチングして取引内容が決定される。
【0056】
これにより、各取引先との契約で定められた取引条件の範囲内で取引全体の総利益をできる限り上げる組み合わせを効率よく作成できる。
【0057】
(第2の実施の形態)
図7は、本発明の実施の形態に係る取引管理装置100の論理的な構成例を示す機能ブロック図である。本実施形態の取引管理装置100は、取引内容を提示する構成を有する点以外は
図2の上記実施形態の取引管理装置100と同じである。本実施形態の取引管理装置100の構成は、矛盾のない範囲で、他の実施形態の取引管理装置100と組み合わせてもよい。
【0058】
<機能構成例>
取引管理装置100は、
図2の取引管理装置100と同じ、取得部102と、決定部104とを備えるとともに、さらに、提示部130を備える。
提示部130は、決定部104によって決定された取引内容を提示する。
図7の例では、提示部130は、表示部132に
図8の最適化結果画面300を表示する。さらに、提示部130は、取引内容を少なくとも含むマッチング結果50をプリンタに印字出力したり、データファイルとして記憶装置110に出力して記憶させたりしてもよい。
【0059】
表示部132は、取引管理装置100の表示装置であり、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)である。表示部132は、タッチパネルでもよい。表示部132は、取引管理装置100と一体のハードウェアであってもよいし、取引管理装置100とは別体のハードウェアであってもよい。
【0060】
図8は、最適化結果画面300の例を示す図である。
最適化結果画面300は、契約情報310と、マッチング明細320と、を含む。契約情報310は、仕入条件202および販売条件204を含む。なお、最適化結果画面300の詳細については後述する実施形態で説明する。
【0061】
この構成によれば、上記実施形態と同様な効果を奏するとともに、さらに、決定部104により決定された取引内容を提示部130によりユーザ(ここではトレーダーまたはその管理者)に提示することができる。最適化結果画面300は、複数の仕入先10と複数の販売先20と複数の運送手段30との全体のマッチング結果を一覧に含んでいるので、エリア別などの個別の取引内容ではなく、取引全体を管理できる。
【0062】
(第3の実施の形態)
図9は、本発明の実施の形態に係る取引管理装置100の論理的な構成例を示す機能ブロック図である。上記実施形態では、取引先と契約で定められた取引条件を元に取引内容を最適化していた。しかし、取引先との交渉により取引条件を緩和することも可能である。そこで、本実施形態の取引管理装置100は、取引条件を緩和したときのシミュレーションを行うとともに、実際に取引先との交渉の結果緩和された取引条件に基づいて最適化を行う構成を有する。本実施形態の取引管理装置100の構成は、矛盾のない範囲で、他の実施形態の取引管理装置100と組み合わせてよい。
【0063】
<機能構成例>
取引管理装置100は、
図2の取引管理装置100と同じ取得部102と、決定部104とを備えるとともに、さらに、算出部120と、受付部122と、を備える。
算出部120は、決定部104により決定された、複数の取引内容に基づき、複数の販売先20と複数の仕入先10間の複数の取引の取引総利益60を算出する。
【0064】
受付部122は、仕入条件202および販売条件204の少なくとも一方の取引条件を緩和するための取引条件の変更を示すオペレータによる入力を受け付ける。
受付部122により取引条件の変更が受け付けられたとき、決定部104は、変更された取引条件を用いて、決定されていた取引内容を変更する。
算出部120は、変更された取引内容に基づき変更後の取引総利益60を算出する。
【0065】
さらに、算出部120は、変更前の取引総利益60と変更後の取引総利益60の変化量を算出してもよい。また、算出部120は、変更前と変更後の取引毎の利益も算出する。
【0066】
ここで、条件の緩和とは、マッチングする上で仕入先10と販売先20と運送手段30のそれぞれの取引条件で合わない部分について条件をずらしたり、変更したり、範囲を広げたりすることである。さらに、条件の緩和には、商社側の利益が増えるように、取引条件の一部をずらしたり、変更したり、範囲を広げたりすることも含む。
【0067】
変更可能な項目は以下に例示されるが、これらに限定されない。
(a1)受渡期間の変更または絞り込み
(a2)受渡エリアの変更または絞り込み(地域→国→港など)
(a3)商材の受渡量の変更または絞り込み
(a4)商材の品質の変更
(a5)カーゴ数の変更
【0068】
また、
図11に示すように、取引管理装置100は、
図9の取引管理装置100の構成に加え、提示部130を備えてもよい。提示部130は、算出された変更前の取引総利益60、変更後の取引総利益60、および、変更前と変更後の変化量の少なくともいずれか一つを提示してもよい。
【0069】
さらに、提示部130は、変更前の取引総利益60および変更後の取引総利益60を同一画面に提示してもよい。
【0070】
さらに、決定部104は、変更後の取引条件を用いて、所定の制限の範囲内で、決定されていた取引内容、言い換えると初回最適化の結果を変更する。取引毎に、変更後の取引条件が適用可能か否かを指定した上で、緩和シミュレーションを行うことができる。これは、取引条件の緩和の交渉を行うことができる件数(例えば、全取引100件のうち、10件など)には制限があるためである。また、取引先によって交渉の余地がないもの、あるいは、緩和交渉ができない取引条件の項目なども存在するためである。
【0071】
具体的には、各取引の取引内容を示す情報は、固定フラグをさらに有している。固定フラグには、例えば、変更が可能な取引には「1」がセットされ、変更ができない取引には「0」がセットされる。
図8のマッチング明細320の最終列の固定欄322に、固定フラグが提示されている。
【0072】
固定フラグの「1」や「0」は、一例でありこれに限定されない。例えば、複数のパターンを設定し、決定部104は、パターン毎に最適化処理を行い複数のシミュレーション結果を出力してもよい。また、取引内容の項目別に固定することも可能である。例えば、利用船舶、受渡日、または船舶の転貸(自社船の貸し出し)などを固定に設定することができる。この場合、固定フラグを複数設け、それぞれ設定してもよい。例えば、上記したマッチングの固定フラグは「T」、利用船舶の固定フラグは「S」、受渡日の固定フラグは「D」などとしてもよい。また、船舶転貸の固定フラグは、船舶毎に転貸しないという指定を固定するフラグを設定できてもよい。後述する
図13の船舶航行経路結果画面500の一覧に図示されない転貸不可フラグ欄を船舶毎に設けてオペレータによりフラグを指定できてもよい。
【0073】
最適化結果画面300は、取引毎に、変更が可能か否かを示す固定フラグを変更するためのGUI(Graphical User Interface)を含んでもよい。受付部122は、取引条件の緩和が可能か否かの指定を取引毎に受け付け、各取引の取引内容を示す情報に対応付けて記憶させる。
【0074】
さらに、仕入先10および販売先20の少なくとも一方の取引先別に、取引条件の緩和交渉が可能か否かを示す難易度が設定されてもよい。
図5(a)の仕入条件202、および
図5(b)の販売条件204は、それぞれ取引先の交渉難易度をさらに含んでもよい。受付部122は、取引先の難易度(例えば、レベル1、2、3)が基準(例えば、レベル2未満)を満たす場合に、当該取引先の取引条件の変更を示す情報を受け付ける。
【0075】
難易度は高い程、条件緩和交渉が難しいことを示し、交渉が不可の取引先の難易度は最高レベル(例えば、レベル3)が設定される。取引先の難易度が所定値未満(レベル1とレベル2)の場合、取引先との交渉が可能とする。取引先の難易度が所定値以上(レベル3)の場合、取引先との交渉はできないものとする。交渉が可能な取引先の取引条件は変更可能であり、交渉が困難な取引先の取引条件は変更できないと判断する。
【0076】
この例では、難易度を3段階のレベルで示しているが、これに限定されない。例えば、取引先の交渉成功率(%)などで示してもよい。交渉成功率が所定値より高い(例えば、80%以上)場合に取引先の難易度が基準を満たす、言い換えると、当該取引先の取引条件の変更が可能であると判断してもよい。また、難易度は、取引先毎に交渉結果を蓄積して機械学習させることで生成してもよい。
【0077】
この構成において、取引管理装置100は、取引先の難易度が基準を満たす取引先に関する取引について、取引内容の変更が可能であることを示す「1」を固定フラグにセットする変更部(不図示)をさらに有してもよい。変更部は、さらに、取引先の難易度が基準を満たさない(難易度2以上)取引先に関する取引について、取引内容の変更ができないことを示す「0」を固定フラグにセットしてもよい。
【0078】
さらに、難易度は、取引条件の項目別に設定されてもよい。受付部122は、取引条件の項目の難易度が基準を満たす場合に、当該項目の取引条件の変更を示す情報を受け付ける。難易度は高い程、当該項目の条件緩和交渉が難しいことを示し、交渉が不可の取引も存在するものとする。取引条件の項目の難易度が所定値より低い場合、当該取引条件の項目の緩和交渉が可能とする。取引条件の項目の難易度が所定値以上の場合、当該取引条件の項目の緩和交渉はできないものとする。
【0079】
この構成において、変更部は、取引条件の項目の難易度が基準を満たす取引について、当該取引の取引内容の変更が可能であることを示す「1」を固定フラグにセットしてもよい。変更部は、さらに、取引条件の項目の難易度が基準を満たさない取引について、当該取引の取引内容の変更できないことを示す「0」を固定フラグにセットしてもよい。
【0080】
<動作例>
図10は、本実施形態の取引管理装置100の動作例を示すフローチャートである。本図では、
図4のフローチャートのステップS103のマッチング処理内で、オペレータによる取引条件を緩和するための変更を示す情報の入力を受け付け、変更された条件に従って取引総利益60を算出する処理の手順を示している。
【0081】
まず、算出部120は、
図4のステップS103で決定部104により決定された、複数の取引内容に基づき、複数の販売先20と複数の仕入先10間の複数の取引の取引総利益60を算出する(ステップS201)。そして、受付部122は、オペレータによる変更操作を受け付けると(ステップS203のYES)、変更された取引条件を用いて、ステップS103で決定されていた取引内容を変更する(ステップS205)。
【0082】
そして、算出部120は、ステップS205で変更された取引内容に従い、取引条件変更後、言い換えると、条件緩和を試行した後の取引総利益60を算出する(ステップS207)。そして、ステップS203に戻る。再度、変更を受け付けた場合(ステップS203のYES)、ステップS205およびステップS207の緩和シミュレーションを繰り返すことができる。取引条件の変更を受け付けなかった場合は(ステップS203のNO)、
図4の処理に戻り、処理を終了する。
【0083】
なお、フローチャート上は、変更前と変更後の処理を順番に行うように記載されているが、これに限定されない。変更前と変更後の処理を並列処理、あるいは、複数の変更パターンを並列処理してもよい。
【0084】
図4および
図10のフローチャートの処理は、例えば、1日1回実行し、最適化を繰り返してもよい。このとき、上記した固定フラグに「1」がセットされている取引について再最適化の対象とする。固定フラグに「0」がセットされている取引については再最適化の対象外とする。このように取引全体を最適化処理の対象としないことで、演算処理の負荷を効率よく低減することができ、演算処理にかかる時間を短縮することができる。
【0085】
さらに、算出部120は、変更前の取引総利益60と変更後の取引総利益60の変化量を算出してもよい(不図示)。さらに、提示部130は、変更前の取引総利益60、変更後の取引総利益60、および、変更前と変更後の変化量の少なくともいずれか一つを提示してもよい(不図示)。さらに、提示部130は、変更前の取引総利益60と変更後の取引総利益60を同一画面に表示してもよい(不図示)。
【0086】
図12は、本実施形態の緩和シミュレーション結果画面400の一例を示す図である。緩和シミュレーション結果画面400は、変更前の初回最適化結果と、取引条件を緩和したシミュレーション結果と、さらに、取引先との交渉の結果変更された取引条件に基づく最適化結果と、を同一画面に含んでいる。
【0087】
図の例では、各結果には、作成日時、総利益、総仕入価格、総販売価格、総運航費用、および総貸出利益が含まれている。
図12の例は、緩和シミュレーション結果の概要を示すタブが選択されているときの画面である。緩和シミュレーション結果画面400は、その他のタブ、すなわち、変更前の初回最適化結果と、取引条件を緩和したシミュレーション結果と、取引先との交渉の結果変更された取引条件に基づく最適化結果とを表示するためのタブもそれぞれ含んでいる。これらのタブを選択すると、例えば、
図8のそれぞれのタイミングで作成される最適化結果画面300が表示される。
【0088】
本実施形態の取引管理装置100によれば、受付部122により取引条件の変更を示す入力が受け付けられ、決定部104により変更された取引条件の範囲で再度最適化処理が行われ、算出部120により取引条件の変更前と変更後の取引内容に基づく取引総利益60がそれぞれ算出される。
【0089】
これにより、初回の取引内容から条件緩和交渉前にシミュレーションを行ったり、交渉後に正式な取引内容に基づく取引総利益60を算出したりすることを効率よく行うことができる。本実施形態の取引管理装置100によれば、上記実施形態と同様な効果を奏するとともに、さらに、条件緩和の交渉の立案、および計画の反映を効率よく行うことができる。さらに、気象条件などにより運送手段30の運行に変更が生じた場合にも、運送手段30の運送条件206を変更した上で、再度、取引内容の最適化を行うことかできるので、突発的な変更にも柔軟に対応できる。
【0090】
(第4の実施の形態)
本実施形態の取引管理装置100は、自社が保有または契約している運送手段30を第三者に貸し出すケースについて考慮する構成を有する点以外は上記いずれかの実施形態と同様である。本実施形態の取引管理装置100は、上記実施形態のいずれかと組み合わせることができる。ここでは、本実施形態の取引管理装置100は、
図11の第3実施形態の取引管理装置100と同じ構成を有するものとして説明する。
【0091】
決定部104は、運送手段30として、費用がかからない自社船を優先的に割り当てる。そして、決定部104は、自社船が不足する場合に、スポット船を利用するようにマッチングを行う。ただし、スポット船を利用する方が、利益がでる場合はこれに限定されない。例えば、スポット船は、荷揚後、乗り捨てすることができるので、復路の航行費用分をコスト削減できるためである。
【0092】
一方で、自社船が利用されない期間が存在すると、維持費の分だけ損失が発生することになる。そこで、本実施形態では、自社船を第三者に貸し出し、貸出利益を得ることも決定部104はマッチング条件として考慮する。
【0093】
決定部104は、自社が保有(契約)している運送手段30を第三者に貸し出すと仮定したときの取引総利益60が多くなるように、取引内容を最適化して決定する。
【0094】
決定部104は、例えば、自社船は、当該船舶の待機日数が一定期間(例えば30日)を超える場合であって、かつ、自社船の貸し出し(転貸)による利益が上がる場合に、最適化の対象として自社船の転貸を運送条件206の条件に含める。
【0095】
運送条件206には、自社が保有している運送手段30(自社船)に関する条件と、運送手段30を他社から都度契約する(スポット船の利用)ときの条件が含まれている。上記実施形態で説明した仕入条件202および販売条件204も、長期契約、スポット契約(スポット船利用などの場合)、ポートフォリオ契約、およびターム契約など契約のタイプ別にそれぞれ設定できてもよい。
【0096】
記憶装置110は、例えば、運送手段30の船舶情報として、船舶名称(識別情報を含む)、自社船/スポット船の区別、積載可能量、速度毎の燃費などの情報を記憶している。さらに、記憶装置110は、港情報として、港間移動距離、航路毎の利用運河、利用料、入港不可船舶などの情報を記憶している。さらに、記憶装置110は、価格指標毎の価格推移などの情報を記憶している。
【0097】
船舶関連のコストは、以下の内容を含んでいるが、これらに限定されない。
(b1)スポット船の傭船料:1日当たりの傭船料(シーズン毎のタリフ)×航行日数で算出
(b2)スポット船の傭船固定費用:積地までの移動費、返却地までの移動費、などの平均的な費用の合計
(b3)燃料費:航行速度毎の燃費をもとに算出
(b4)港利用料:港毎、船舶カテゴリ毎のタリフをもとに算出
(b5)運河通行料:パナマまたはスエズ運河の通行料タリフをもとに算出
【0098】
図13は、船舶航行経路結果画面500の一例を示す図である。
図14は、船舶スケジュール画面600の一例を示す図である。
提示部130は、船舶航行経路結果画面500および船舶スケジュール画面600を提示する。
図13の船舶航行経路結果画面500は、決定部104により決定された運送手段30の最適化の結果を含んでいる。船舶航行経路結果画面500は、自社船が貸し出されたときの貸出利益を示す貸出利益欄502を含む。例えば、レコード510とレコード512は、自社船を転貸している。このため、貸出利益が発生している。
【0099】
図14の船舶スケジュール画面600は、最適化された複数の船舶のスケジュールをチャート610で示している。図中、異なる船舶スケジュールは異なる線種(例えば、実線630、破線640、一点鎖線650など)で示されている。あるいは、異なる船舶のスケジュールは、異なる色で示されてもよい。
【0100】
船舶は、2019年11月下旬にUSAを出航し、実線630で示される積載航海(Laden)をして、2019年12月上旬に欧州に到着する。符号632で示される区間は、仕入先10が受渡可能な期間(Delivery Window:DW)を示している。符号634で示されている区間は、販売先20が受渡可能な期間DWを示している。仕入先10のDWと販売先20のDWは、異なる線種または異なる色の線で示される。
【0101】
そして、実線630で示される船舶は、欧州に到着後、2020年1月中旬まで他社に貸し出されている。この船舶の転貸の期間は、チャート610上にドット線636で示されている。
【0102】
そして、2020年1月中旬に欧州を出航し、実線638で示される空荷航海(Ballast)をして、2020年1月下旬にUSAに到着する。
【0103】
また、各船舶の線上でオペレータによる選択操作(タッチやクリック)を受け付けると、当該航海の詳細内容を示すウインドウ620が表示されてもよい。図では、一点鎖線650を選択操作したときに表示されたウインドウ620が示されている。
【0104】
本実施形態において、決定部104により、自社船を第三者に貸し出すと仮定したときの取引総利益60が多くなるように取引内容が最適化される。よって、本実施形態の取引管理装置100によれば、上記実施形態と同様な効果を奏するとともに、自社船を転貸することで利益が上がる場合に自社船の転貸を計画に含めて取引内容を最適化することができる。さらに、トレーダーは自社船の転貸を行うか否かの判断を算出部120により算出され、提示部130により提示された利益を見て判断することができる。
【0105】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
例えば、他の実施形態において、受付部122は、最適化処理の制限時間の指定を受け付けてもよい。さらに、最適化処理の結果のギャップを変えることで、演算処理にかかる時間を変更してもよい。算出部120は、ギャップ差を徐々に狭めていくように最適化処理を繰り返し、制限時間を超える時点で最適化処理を終了させてもよい。
【0106】
以上、実施形態および実施例を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態および実施例に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
なお、本発明において利用者または契約に関する情報を取得、利用する場合は、これを適法に行うものとする。
【0107】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下に限られない。
1. 同一の商材に関する、複数の仕入先の各々の仕入条件、複数の販売先の各々の販売条件、および複数の運送手段の各々の運送条件を取得する取得手段と、
取得した複数の前記仕入条件、複数の前記販売条件、および複数の前記運送条件を用いて、複数の前記仕入先と複数の前記販売先の間の前記商材の複数の取引による総利益を多くするように、前記取引毎の、前記仕入先の仕入量、前記運送手段の積載地別の積載量および荷卸し地別の荷卸し量を含む取引内容を最適化して決定する決定手段と、を備える、取引管理装置。
2. 1.に記載の取引管理装置において、
前記決定手段により決定された、複数の前記取引内容に基づき、複数の前記販売先と複数の前記仕入先間の複数の前記取引の前記総利益を算出する算出手段と、
前記販売条件および前記仕入条件の少なくとも一方の取引条件を緩和するための前記取引条件の変更を示すオペレータによる入力を受け付ける受付手段と、をさらに備え、
前記受付手段により前記取引条件の前記変更が受け付けられたとき、前記決定手段は、変更された前記取引条件を用いて、決定されていた前記取引内容を変更し、
前記算出手段は、さらに、変更された前記取引内容に基づき変更後の前記総利益を算出する、取引管理装置。
3. 2.に記載の取引管理装置において、
前記変更前の前記総利益および前記変更後の前記総利益を、同一画面に提示する提示手段をさらに備える、取引管理装置。
4. 3.に記載の取引管理装置において、
前記決定手段は、前記変更後の前記取引条件を用いて、所定の制限の範囲内で、決定されていた前記取引内容を変更する、取引管理装置。
5. 4.に記載の取引管理装置において、
前記販売先および前記仕入先の少なくとも一方の取引先別に、前記取引条件の緩和交渉が可能か否かを示す難易度が設定され、
前記受付手段は、前記取引先の前記難易度が基準を満たす場合に、当該取引先の前記取引条件の前記変更を示す情報を受け付ける、取引管理装置。
6. 5.に記載の取引管理装置において、
さらに、前記難易度は、前記取引条件の項目別に設定され、
前記受付手段は、前記取引条件の前記項目の前記難易度が基準を満たす場合に、当該項目の前記取引条件の前記変更を示す情報を受け付ける、取引管理装置。
7. 1.から6.のいずれか一つに記載の取引管理装置において、
前記決定手段は、前記取引毎に、前記販売先の価格と前記仕入先の価格の差益が大きくなるように前記仕入先の前記仕入量を決定する、取引管理装置。
8. 7.に記載の取引管理装置において、
前記決定手段は、前記差益が、プラスの場合は、前記仕入量を最大にし、マイナスの場合は、前記仕入量を最小にする、取引管理装置。
9. 1.から8.のいずれか一つに記載の取引管理装置において、
前記決定手段は、自社が保有している前記運送手段を第三者に貸し出すと仮定したときの前記総利益が多くなるように、前記取引内容を最適化して決定する、取引管理装置。
10. 1.から9.のいずれか一つに記載の取引管理装置において、
前記運送条件には、自社が保有している前記運送手段に関する条件と、前記運送手段を他社から都度契約するときの条件が含まれている、取引管理装置。
【0108】
11. 取引管理装置が、
同一の商材に関する、複数の仕入先の各々の仕入条件、複数の販売先の各々の販売条件、および複数の運送手段の各々の運送条件を取得し、
取得した複数の前記仕入条件、複数の前記販売条件、および複数の前記運送条件を用いて、複数の前記仕入先と複数の前記販売先の間の前記商材の複数の取引による総利益を多くするように、前記取引毎の、前記仕入先の仕入量、前記運送手段の積載地別の積載量および荷卸し地別の荷卸し量を含む取引内容を最適化して決定する、取引管理方法。
12. 11.に記載の取引管理方法において、
前記取引管理装置が、
決定された、複数の前記取引内容に基づき、複数の前記販売先と複数の前記仕入先間の複数の前記取引の前記総利益を算出し、
前記販売条件および前記仕入条件の少なくとも一方の取引条件を緩和するための前記取引条件の変更を示すオペレータによる入力を受け付け、
前記取引条件の前記変更が受け付けられたとき、変更された前記取引条件を用いて、決定されていた前記取引内容を変更し、
さらに、変更された前記取引内容に基づき変更後の前記総利益を算出する、取引管理方法。
13. 12.に記載の取引管理方法において、
前記取引管理装置が、さらに、
前記変更前の前記総利益および前記変更後の前記総利益を、同一画面に提示する、取引管理方法。
14. 13.に記載の取引管理方法において、
前記取引管理装置が、
前記変更後の前記取引条件を用いて、所定の制限の範囲内で、決定されていた前記取引内容を変更する、取引管理方法。
15. 14.に記載の取引管理方法において、
前記販売先および前記仕入先の少なくとも一方の取引先別に、前記取引条件の緩和交渉が可能か否かを示す難易度が設定され、
前記取引管理装置が、
前記取引先の前記難易度が基準を満たす場合に、当該取引先の前記取引条件の前記変更を示す情報を受け付ける、取引管理方法。
16. 15.に記載の取引管理方法において、
さらに、前記難易度は、前記取引条件の項目別に設定され、
前記取引管理装置が、
前記取引条件の前記項目の前記難易度が基準を満たす場合に、当該項目の前記取引条件の前記変更を示す情報を受け付ける、取引管理方法。
17. 11.から16.のいずれか一つに記載の取引管理方法において、
前記取引管理装置が、
前記取引毎に、前記販売先の価格と前記仕入先の価格の差益が大きくなるように前記仕入先の前記仕入量を決定する、取引管理方法。
18. 17.に記載の取引管理方法において、
前記取引管理装置が、
前記差益が、プラスの場合は、前記仕入量を最大にし、マイナスの場合は、前記仕入量を最小にする、取引管理方法。
19. 11.から18.のいずれか一つに記載の取引管理方法において、
前記取引管理装置が、
自社が保有している前記運送手段を第三者に貸し出すと仮定したときの前記総利益が多くなるように、前記取引内容を最適化して決定する、取引管理方法。
20. 11.から19.のいずれか一つに記載の取引管理方法において、
前記運送条件には、自社が保有している前記運送手段に関する条件と、前記運送手段を他社から都度契約するときの条件が含まれている、取引管理方法。
【0109】
21. コンピュータに、
同一の商材に関する、複数の仕入先の各々の仕入条件、複数の販売先の各々の販売条件、および複数の運送手段の各々の運送条件を取得する手順、
取得した複数の前記仕入条件、複数の前記販売条件、および複数の前記運送条件を用いて、複数の前記仕入先と複数の前記販売先の間の前記商材の複数の取引による総利益を多くするように、前記取引毎の、前記仕入先の仕入量、前記運送手段の積載地別の積載量および荷卸し地別の荷卸し量を含む取引内容を最適化して決定する手順、を実行させるためのプログラム。
22. 21.に記載のプログラムにおいて、
決定された、複数の前記取引内容に基づき、複数の前記販売先と複数の前記仕入先間の複数の前記取引の前記総利益を算出する手順、
前記販売条件および前記仕入条件の少なくとも一方の取引条件を緩和するための前記取引条件の変更を示すオペレータによる入力を受け付ける手順、
前記取引条件の前記変更が受け付けられたとき、変更された前記取引条件を用いて、決定されていた前記取引内容を変更する手順、
さらに、変更された前記取引内容に基づき変更後の前記総利益を算出する手順、をコンピュータに実行させるためのプログラム。
23. 22.に記載のプログラムにおいて、
前記変更前の前記総利益および前記変更後の前記総利益を、同一画面に提示する手順をコンピュータに実行させるためのプログラム。
24. 23.に記載のプログラムにおいて、
前記変更後の前記取引条件を用いて、所定の制限の範囲内で、決定されていた前記取引内容を変更する手順をコンピュータに実行させるためのプログラム。
25. 24.に記載のプログラムにおいて、
前記販売先および前記仕入先の少なくとも一方の取引先別に、前記取引条件の緩和交渉が可能か否かを示す難易度が設定され、
前記取引先の前記難易度が基準を満たす場合に、当該取引先の前記取引条件の前記変更を示す情報を受け付ける手順をコンピュータに実行させるためのプログラム。
26. 25.に記載のプログラムにおいて、
さらに、前記難易度は、前記取引条件の項目別に設定され、
前記取引条件の前記項目の前記難易度が基準を満たす場合に、当該項目の前記取引条件の前記変更を示す情報を受け付ける手順をコンピュータに実行させるためのプログラム。
27. 21.から26.のいずれか一つに記載のプログラムにおいて、
前記取引毎に、前記販売先の価格と前記仕入先の価格の差益が大きくなるように前記仕入先の前記仕入量を決定する手順をコンピュータに実行させるためのプログラム。
28. 27.に記載のプログラムにおいて、
前記差益が、プラスの場合は、前記仕入量を最大にし、マイナスの場合は、前記仕入量を最小にする手順をコンピュータに実行させるためのプログラム。
29. 21.から28.のいずれか一つに記載のプログラムにおいて、
自社が保有している前記運送手段を第三者に貸し出すと仮定したときの前記総利益が多くなるように、前記取引内容を最適化して決定する手順をコンピュータに実行させるためのプログラム。
30. 21.から29.のいずれか一つに記載のプログラムにおいて、
前記運送条件には、自社が保有している前記運送手段に関する条件と、前記運送手段を他社から都度契約するときの条件が含まれている、プログラム。
【0110】
この出願は、2019年11月18日に出願された日本出願特願2019-207688号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0111】
10 仕入先
20 販売先
30 運送手段
50 マッチング結果
60 取引総利益
100 取引管理装置
102 取得部
104 決定部
110 記憶装置
120 算出部
122 受付部
130 提示部
132 表示部
202 仕入条件
204 販売条件
206 運送条件
212 長期契約基礎情報
214 長期契約カーゴ別情報
216 スポット取引情報
218 マーケット取引見込情報
222 自社船スペック情報
224 スポット船スペック情報
230 移動距離情報
232 港情報
234 入港可否情報
236 運河通行料金情報
238 運河利用航路情報
240 価格指標情報
300 最適化結果画面
310 契約情報
320 マッチング明細
322 固定欄
400 緩和シミュレーション結果画面
500 船舶航行経路結果画面
502 貸出利益欄
600 船舶スケジュール画面
610 チャート
620 ウインドウ
1000 コンピュータ
1010 バス
1020 プロセッサ
1030 メモリ
1040 ストレージデバイス
1050 入出力インタフェース
1060 ネットワークインタフェース