(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法、および画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 1/00 20060101AFI20231017BHJP
G06T 3/40 20060101ALI20231017BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
G06T1/00 330A
G06T3/40 720
H04N7/18 K
H04N7/18 J
(21)【出願番号】P 2021566773
(86)(22)【出願日】2019-12-27
(86)【国際出願番号】 JP2019051634
(87)【国際公開番号】W WO2021131078
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】514315159
【氏名又は名称】株式会社ソシオネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小此木 克之
(72)【発明者】
【氏名】加藤 貴幸
【審査官】片岡 利延
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/175753(WO,A1)
【文献】特開2014-041398(JP,A)
【文献】特開2017-068826(JP,A)
【文献】特開2015-192198(JP,A)
【文献】特開2019-185381(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00
G06T 3/40
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影領域の一部が重複する複数の撮影画像を取得する取得部と、
実空間に対応する仮想空間に仮想的に配置される画像投影面である基準投影面に複数の前記撮影画像を投影した投影画像に含まれる、隣接する前記撮影画像の重複部分に、物体が含まれるか否かを判断する判断部と、
前記物体を含む前記重複部分に対応する、前記基準投影面における、前記物体を含む重複領域の調整処理を、前記基準投影面における底面の中心領域である基準位置を固定とした状態で実行する調整部と、
を備え
、
前記調整処理は、
前記基準投影面における、前記物体を含む前記重複領域の形状を、前記物体より前記基準位置側を通る形状に変形し、
前記基準投影面における前記物体を含む前記重複領域以外の領域の形状を変形しない、投影面変形処理である、
画像処理装置。
【請求項2】
前記調整処理が実行された前記画像投影面である調整投影面に、複数の前記撮影画像を投影した前記投影画像を生成する生成部、
を備える請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記物体は、立体物である、
請求項1または請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記基準投影面は、予め定められた形状を有する、
請求項1~請求項3の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記調整処理は、
前記基準投影面における、前記物体を含む前記重複領域を、前記物体より前記基準位置側を通る形状に変形する、投影面変形処理である、
請求項1~請求項4の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記調整処理は、
前記基準投影面における、前記物体を含む前記重複領域の水平方向の断面形状を、前記物体より前記基準位置側を通る形状に変形する、投影面変形処理である、
請求項1~請求項5の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記調整処理は、
前記基準投影面における、前記物体を含む前記重複領域の形状を、前記物体を構成する前記基準位置に最も近い検知点または前記検知点と前記基準位置との間を少なくとも通る形状に変形する、投影面変形処理である、
請求項1~請求項6の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記調整処理は、
前記基準投影面における、前記物体を含む前記重複領域の鉛直方向に沿った断面形状を、前記物体より前記基準位置側を通り、且つ、鉛直方向に平行な直線、鉛直方向に対して傾斜した直線、二次曲線、および、平方根曲線、の何れかである形状に変形する、投影面変形処理である、
請求項1~請求項
7の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記調整処理は、
前記基準投影面における、前記物体を含む前記重複領域内に設定される画像合成領域の位置および範囲を、前記画像合成領域が前記物体と重複しないように調整する画像合成調整処理である、
請求項1~請求項
8の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記画像合成調整処理は、
前記重複領域において、隣接する前記撮影画像の合成係数を調整する処理である、
請求項
9に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記合成係数は前記隣接する撮影画像の透過値である、
請求項1
0に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記画像合成調整処理は、
前記画像合成領域が前記物体と重複しないように、
前記重複領域内の前記画像合成領域以外の領域であって、前記隣接する撮影画像の一方が投影される領域において、前記合成係数を第1の値に設定し、
前記重複領域内の前記画像合成領域以外の領域であって、前記隣接する撮影画像の他方が投影される領域において、前記合成係数を前記第1の値と異なる第2の値に設定し、
前記重複領域内の前記画像合成領域において、前記合成係数を前記第1の値と前記第2の値の中間の値に設定する処理である、
請求項1
0または請求項1
1に記載の画像処理装置。
【請求項13】
コンピュータによって実行される画像処理方法であって、
撮影領域の一部が重複する複数の撮影画像を取得するステップと、
実空間に対応する仮想空間に仮想的に配置される画像投影面である基準投影面に複数の前記撮影画像を投影した投影画像に含まれる、隣接する前記撮影画像の重複部分に、物体が含まれるか否かを判断するステップと、
前記物体を含む前記重複部分に対応する、前記基準投影面における、前記物体を含む重複領域の調整処理を、前記基準投影面における底面の中心領域である基準位置を固定とした状態で実行するステップと、
を含
み、
前記調整処理は、
前記基準投影面における、前記物体を含む前記重複領域の形状を、前記物体より前記基準位置側を通る形状に変形し、
前記基準投影面における前記物体を含む前記重複領域以外の領域の形状を変形しない、投影面変形処理である、
画像処理方法。
【請求項14】
コンピュータに実行させるための画像処理プログラムであって、
撮影領域の一部が重複する複数の撮影画像を取得するステップと、
実空間に対応する仮想空間に仮想的に配置される画像投影面である基準投影面に複数の前記撮影画像を投影した投影画像に含まれる、隣接する前記撮影画像の重複部分に、物体が含まれるか否かを判断するステップと、
前記物体を含む前記重複部分に対応する、前記基準投影面における、前記物体を含む重複領域の調整処理を、前記基準投影面における底面の中心領域である基準位置を固定とした状態で実行するステップと、
を
含み、
前記調整処理は、
前記基準投影面における、前記物体を含む前記重複領域の形状を、前記物体より前記基準位置側を通る形状に変形し、
前記基準投影面における前記物体を含む前記重複領域以外の領域の形状を変形しない、投影面変形処理である、
画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法、および画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
移動体の周辺の複数の撮影画像を仮想的な投影面に投影することで、投影画像を生成する技術が開示されている。また、移動体周辺の物体までの距離をセンサにより検出し、検出した距離に応じて投影面の形状を変形する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、投影面に投影された撮影画像の重複部分に物体が存在する場合がある。この場合、投影画像における該物体の投影された領域には、該物体の消失または該物体の像の二重映りなどの現象が発生する場合があった。なお、上記特許文献1には、撮像画像の重複部分に物体が存在する場合に関する言及がなく、物体の消失または物体の像の二重映りなどの現象に対する言及もない。
【0005】
1つの側面では、本発明は、投影画像における、撮影画像の重複部分に含まれる物体の消失または物体の像の二重映りを抑制することができる、画像処理装置、画像処理方法、および画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の開示する画像処理装置は、一つの態様において、撮影領域の一部が重複する複数の撮影画像を取得する取得部と、実空間に対応する仮想空間に仮想的に配置される画像投影面である基準投影面に複数の前記撮影画像を投影した投影画像に含まれる、隣接する前記撮影画像の重複部分に、物体が含まれるか否かを判断する判断部と、前記物体を含む前記重複部分に対応する、前記基準投影面における、前記物体を含む重複領域の調整処理を、前記基準投影面における底面の中心領域である基準位置を固定とした状態で実行する調整部と、を備える。前記調整処理は、前記基準投影面における、前記物体を含む前記重複領域の形状を、前記物体より前記基準位置側を通る形状に変形し、前記基準投影面における前記物体を含む前記重複領域以外の領域の形状を変形しない、投影面変形処理である。
【発明の効果】
【0007】
本願の開示する画像処理装置の一つの態様によれば、投影画像における、撮影画像の重複部分に含まれる物体の消失または物体の像の二重映りを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る画像処理システムの全体構成を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る画像処理装置のハードウェア構成を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る画像処理装置の機能的構成を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る基準投影面の一例を示す模式図である。
【
図5】
図5は、従来技術に係る比較投影画像を示す模式図である。
【
図6A】
図6Aは、実施形態に係る投影面変形処理の説明図である。
【
図6B】
図6Bは、実施形態に係る投影面変形処理の説明図である。
【
図6C】
図6Cは、実施形態に係る投影面変形処理の説明図である。
【
図6D】
図6Dは、実施形態に係る投影面変形処理の説明図である。
【
図6E】
図6Eは、実施形態に係る投影面変形処理の説明図である。
【
図7A】
図7Aは、実施形態に係る構成面の投影面変形処理の説明図である。
【
図7B】
図7Bは、実施形態に係る構成面の投影面変形処理の説明図である。
【
図7C】
図7Cは、実施形態に係る構成面の投影面変形処理の説明図である。
【
図8A】
図8Aは、実施形態に係る調整投影面の模式図である。
【
図8B】
図8Bは、実施形態に係る調整投影面の模式図である。
【
図9A】
図9Aは、実施形態に係る調整投影面の断面形状の模式図である。
【
図9B】
図9Bは、実施形態に係る調整投影面の断面形状の模式図である。
【
図9C】
図9Cは、実施形態に係る調整投影面の断面形状の模式図である。
【
図9D】
図9Dは、実施形態に係る調整投影面の断面形状の模式図である。
【
図16】
図16は、実施形態に係る画像処理の流れを示すフローチャートである。
【
図17】
図17は、実施形態に係る投影面変形処理の流れを示すフローチャートである。
【
図18】
図18は、実施形態に係る重複領域調整処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら、本願の開示する画像処理装置、画像処理方法、および画像処理プログラムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は開示の技術を限定するものではない。そして、各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0010】
図1は、本実施形態の画像処理システム1の全体構成の一例を示す図である。画像処理システム1は、画像処理装置10と、撮影部12と、検出部14と、表示部16と、を備える。画像処理装置10と、撮影部12と、検出部14と、表示部16とは、データまたは信号を授受可能に接続されている。
【0011】
本実施形態では、画像処理装置10、撮影部12、検出部14、および表示部16は、移動体2に搭載された形態を一例として説明する。
【0012】
移動体2とは、移動可能な物である。移動体2は、例えば、車両、飛行可能な物体(有人飛行機、無人飛行機(例えば、UAV(Unmanned Aerial Vehicle)、ドローン))、ロボット、などである。また、移動体2は、例えば、人による運転操作を介して進行する移動体、または、人による運転操作を介さずに自動的に進行(自律進行)可能な移動体である。本実施形態では、移動体2が車両である場合を一例として説明する。車両は、例えば、二輪自動車、三輪自動車、四輪自動車などである。本実施形態では、車両が、自律進行可能な四輪自動車である場合を一例として説明する。
【0013】
なお、画像処理装置10、撮影部12、検出部14、および表示部16の全てが、移動体2に搭載された形態に限定されない。画像処理装置10は、静止物に搭載されていてもよい。静止物は、地面に固定された物である。静止物は、移動不可能な物や、地面に対して静止した状態の物である。静止物は、例えば、信号機、駐車車両、道路標識、などである。また、画像処理装置10は、クラウド上で処理を実行するクラウドサーバに搭載されていてもよい。
【0014】
撮影部12は、移動体2の周辺を撮影し、撮影画像データを取得する。以下では、撮影画像データを、単に、撮影画像と称して説明する。撮影部12は、例えば、公知のデジタルカメラである。なお、撮影とは、レンズなどの光学系によって結像された被写体の像を、電気信号に変換することを指す。撮影部12は、撮影画像を、画像処理装置10へ出力する。
【0015】
本実施形態では、移動体2に4つの撮影部12(撮影部12A~撮影部12D)が搭載された形態を一例として説明する。複数の撮影部12(撮影部12A~撮影部12D)は、各々の撮影領域E(撮影領域E1~撮影領域E4)の被写体を撮影し、撮影画像を取得する。なお、撮影部12の数は複数であればよく、4つに限定されない。本実施形態では、画像処理システム1が、4つの撮影部12を備える形態を一例として説明する。
【0016】
これらの複数の撮影部12は、撮影方向が互いに異なる。具体的には、これらの複数の撮影部12は、撮影領域Eの一部が重複し、且つ、撮影領域Eの一部が非重複となるように、撮影方向が予め調整されている。このため、例えば、互いに異なる撮影部12によって撮影される撮影領域Eは、隣接する撮影領域Eが重複する重複領域Dを有する。言い換えると、これらの撮影領域Eの各々の撮影画像は、重複領域Dに対応して、隣接する撮影画像間で重複する重複部分を有することとなる。
【0017】
図1には、重複領域Dとして、重複領域DA~重複領域DDを一例として示した。重複領域DAは、撮影領域E4と撮影領域E1との重複領域Dである。重複領域DBは、撮影領域E1と撮影領域E2との重複領域Dである。重複領域DCは、撮影領域E2と撮影領域E3との重複領域Dである。重複領域DDは、撮影領域E3と撮影領域E4との重複領域Dである。
【0018】
検出部14は、移動体2の周辺の複数の検知点の各々の位置情報を検出する。検知点とは、実空間における、検出部14によって個別に観測される点の各々を示す。例えば、検出部14は、検出部14の周囲に光や電波、音波を照射し、反射点で反射した反射光や反射波を受信する。この反射点が、検知点に相当する。
【0019】
検知点の位置情報とは、実空間における検知点の位置を示す情報である。実空間は、三次元空間である。例えば、検知点の位置情報は、検出部14から検知点までの距離と、検出部14を基準とした検知点の方向と、の少なくとも一方を含む情報である。これらの距離および方向は、例えば、検出部14を基準とする検知点の相対位置を示すベクトルなどで表すことができる。
【0020】
検出部14は、例えば、3D(Three-Dimensional)スキャナ、2D(Two Dimensions)スキャナ、距離センサ(ミリ波レーダ、レーザセンサ)、音波によって物体を探知するソナーセンサ、超音波センサ、などである。レーザセンサは、例えば、三次元LIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)センサである。また、検出部14は、単眼カメラで撮影された複数の画像から距離を測定する測距技術(SfM(Structure from Motionなど)を用いた装置や、複数のカメラで撮影された画像に基づいて距離を測定する測距技術(ステレオカメラなど)を用いた装置であってもよい。
【0021】
本実施形態では、移動体2に4つの検出部14(検出部14A~検出部14D)が搭載された形態を一例として説明する。複数の検出部14(検出部14A~検出部14D)の検出領域は、少なくとも一部が互いに異なる。本実施形態では、複数の検出部14(検出部14A~検出部14D)の検出領域は、複数の撮影部12(撮影部12A~撮影部12D)の各々の撮影領域Eの少なくとも一部を含む。本実施形態では、検出部14A~検出部14Dは、それぞれ、移動体2のフロント部分の両端部と、移動体2のリア部分の両端部と、に設けられた形態を一例として説明する。なお、検出部14は、少なくとも撮影領域Eを含む検出領域の検知点を検出すればよく、検出部14の数および設置位置は限定されない。
【0022】
表示部16は、各種の情報を表示する。表示部16は、例えば、公知のLCD(Liquid Crystal Display)または有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどである。
【0023】
次に、画像処理装置10のハードウェア構成を説明する。
図2は、画像処理装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0024】
画像処理装置10は、プロセッサ10Aと、メモリ10Bと、送受信I/F(インターフェース)10Cと、送受信I/F10Dと、表示I/F10Eと、を含む。プロセッサ10A、メモリ10B、送受信I/F10C、送受信I/F10D、および表示I/F10Eは、バス10Fにより相互に接続されており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成である。
【0025】
プロセッサ10Aは例えば、MPU(Micro-Processing Unit)であり、画像処理装置10を制御する演算装置である。プロセッサ10Aは、ハードウェアプロセッサの一例である。メモリ10Bは例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)およびフラッシュメモリ等の半導体メモリ素子である。ROMやフラッシュメモリは例えば、プロセッサ10Aによる各種の処理を実現するプログラム等を記憶する。RAMは例えば、プロセッサ10Aによる各種の処理に必要なデータを記憶する。送受信I/F10Cは、撮影部12に接続し、データを送受信するためのインターフェースである。送受信I/F10Dは、検出部14に接続し、データを送受信するためのインターフェースである。表示I/F10Eは、表示部16に接続し、データを送受信するためのインターフェースである。
【0026】
本実施形態の画像処理装置10で実行される画像処理を実行するためのプログラムは例えば、ROM等に予め組み込んで提供される。なお、本実施形態の画像処理装置10で実行されるプログラムは、画像処理装置10にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで記録媒体に記録されて提供するように構成してもよい。記録媒体は、コンピュータにより読取可能な媒体である。記録媒体は、CD(Compact Disc)-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R(Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード等である。
【0027】
次に、画像処理装置10の機能的構成を説明する。
【0028】
図3は、画像処理装置10の機能的構成の一例を示す図である。なお、
図3には、データの入出力関係を明確にするために、画像処理装置10に加えて、撮影部12、検出部14、および表示部16を併せて図示した。
【0029】
本実施形態の画像処理装置10は、撮影部12で得られた撮影画像を、基準投影面を調整した調整投影面に投影することで、投影画像を生成する。
【0030】
基準投影面とは、予め定められた基準の形状を有する投影面である。投影面とは、実空間に対応する仮想空間に仮想的に配置される画像投影面である。
【0031】
図4は、基準投影面40の一例を示す模式図である。基準投影面40の形状は、例えば、椀状、円柱状、などである。
図4には、碗状の基準投影面40を一例として示した。
【0032】
碗状とは、円形状の平面である底面400Aと、該底面400Aに連続する側壁面400Bと、からなる形状である。円形状とは、真円形状、円形状、楕円形状、を含む形状である。側壁面400Bは、一端部の開口が底面400Aに連続し、他端部が開口された形状である。また、該側壁面400Bは、底面400A側から該他端部の開口側に向かって、水平断面の直径が大きくなる形状を有する。水平断面とは、底面400Aの鉛直方向に対して直交する水平方向に沿った断面である。
【0033】
円柱状とは、円形状の底面400Aと、該底面400Aに連続する側壁面400Bと、からなる形状である。また、円柱状の基準投影面40を構成する側壁面400Bは、一端部の開口が底面400Aに連続し、他端部が開口された円筒状である。但し、円柱状の基準投影面40を構成する側壁面400Bは、底面400A側から該他端部の開口側に向かって、水平断面の直径が略一定の形状である。
【0034】
本実施形態では、基準投影面40の形状が、椀状である場合を一例として説明する。基準投影面40は、底面400Aを移動体2の下方の地面に略一致する面とし、該底面400Aの中心領域を移動体2の基準位置Sとした仮想空間に仮想的に形成される立体モデルである。
【0035】
底面400Aの中心領域の範囲は、例えば、移動体2を模式的に示したアイコンの占める範囲である。アイコンは、例えば、移動体2のフロント部分の両端部を結ぶ直線と、リア部分の両端部を結ぶ直線と、移動体2の全長方向に沿った一対の直線と、からなる矩形状の記号である。該アイコンの水平断面の中心は、底面400Aの中心に一致することが好ましい。基準位置Sとは、基準投影面40の底面400Aに仮想的に配置された、移動体2のアイコンの位置である。基準位置Sは、仮想空間における該アイコンの位置および範囲によって規定される。
【0036】
図3に戻り説明を続ける。画像処理装置10は、複数の撮影部12で得られた複数の撮影画像を、基準投影面40に対して調整処理を実行した調整投影面に投影することで、投影画像を生成する。
【0037】
ここで、基準投影面40に投影された隣接する撮影画像の重複部分に、物体が含まれる場合がある。物体とは、検出部14によって1または複数の検知点の群として検出される物であり、例えば、立体物、平面物、などである。立体物は、三次元形状の物体である。立体物は、例えば、柱などの固定された構造物、自動車や自転車などの移動可能な構造物、人や動物などの生物、などである。平面物は、二次元形状の物体である。平面物は、例えば、地面に形成されたラインなどである。本実施形態では、物体が立体物である場合を一例として説明する。
【0038】
重複部分に物体が含まれる場合、従来の投影画像である比較投影画像における、該物体の投影された領域には、該物体の消失または該物体の像の二重映りなどが発生する場合があった。物体の消失とは、実空間に存在する物体の少なくとも一部の領域が、投影画像において該実空間の物体を投影した領域に存在しないことを意味する。物体の二重映りとは、投影画像において実空間に存在する物体の像が、二重または複数重なった状態で投影された状態を意味する。
【0039】
図5は、従来技術の比較投影画像600の一例を示す模式図である。撮影部12Aの撮影領域E1と撮影部12Bの撮影領域E2との重複領域DAに、立体物である物体Bが含まれる場合を想定する。
図5には、物体Bとして、物体BAと物体BBとを示した。物体BAは、物体BBに比べて移動体2に近い位置に配置されている場合を想定する。
【0040】
この場合、撮影部12Bによる物体BAの撮影画像を基準投影面40に投影すると、該物体BAの像BA1’は、撮影部12Bに近い側から離れる方向に向かって傾斜して投影される。一方、撮影部12Aによる物体BAの撮影画像を基準投影面40に投影すると、該物体BAの像BA2’は、撮影部12Aに近い側から離れる方向に向かって傾斜して投影される。
【0041】
同様に、撮影部12Bによる物体BBの撮影画像を基準投影面40に投影すると、該物体BBの像BB1’は、撮影部12Bに近い側から離れる方向に向かって傾斜して投影される。一方、撮影部12Aによる物体BBの撮影画像を基準投影面40に投影すると、該物体BBの像BB2’は、撮影部12Aに近い側から離れる方向に向かって傾斜して投影される。
【0042】
このように、1つの物体Bを異なる撮影部12で撮影した撮影画像を基準投影面40へ投影する場合、該物体Bの像は、互いに異なる方向に傾斜した状態で基準投影面40へ投影される。
【0043】
ここで、後述するように、投影画像を生成する場合、例えば、基準投影面40において、重複領域DAの内、撮影領域E1に連続する一部の領域(第1の領域)については、撮影領域E1の撮影画像のみを投影し、撮影領域E2に連続する一部の領域(第2の領域)については、撮影領域E2の撮影画像のみを投影し、第1の領域と第2の領域の中間領域(第3の領域)については、重複領域DAを構成する2つの撮影領域E1、E2の撮影画像を合成し、合成された画像を投影する処理が行われる。
【0044】
このため、従来技術では、重複領域D内の移動体2に近い位置に存在する物体BAについては、基準投影面40上で、撮影領域E2の撮影画像に含まれる像BA1’が上記第1の領域に含まれ、撮影領域E1の撮影画像に含まれる像BA2’が上記第2の領域に含まれることから、基準投影面40上で、第1の領域において物体BAの像BA1’が投影されず、第2の領域において物体BAの像BA2’が投影されない場合があった。その結果、重複領域D内の移動体2に近い位置に存在する物体BAは消失してしまう場合があった。
【0045】
また、重複領域D内の移動体2から遠い位置に存在する物体BBについては、基準投影面40上で、撮影領域E2の撮影画像に含まれる像BA1’と撮影領域E1の撮影画像に含まれる像BA2’がいずれも上記第3の領域に含まれることから、基準投影面40上で、第3の領域において物体BBの像BB1’と像像BB2’の両方が投影される場合があった。その結果、重複領域D内の移動体2から遠い位置に存在する物体BBが二重映りして投影される場合があった。
【0046】
そこで、本実施形態の画像処理装置10は、撮影画像の重複部分に物体Bが含まれる場合、基準投影面40における重複領域Dの調整処理を実行する。以下、画像処理装置10の詳細を説明する。
【0047】
図3に戻り説明を続ける。画像処理装置10は、取得部20と、判断部22と、記憶部24と、調整部26と、生成部28と、表示制御部30と、を備える。
【0048】
上記複数の各部の一部または全ては、例えば、プロセッサ10Aなどの処理装置にプログラムを実行させること、すなわち、ソフトウェアにより実現してもよい。また、上記複数の各部の一部または全ては、IC(Integrated Circuit)などのハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。
【0049】
取得部20は、複数の撮影画像を撮影部12から取得する。上述したように、複数の撮影画像は、撮影領域Eの一部が重複する。また、取得部20は、検知点の位置情報を検出部14から取得する。複数の検出部14(検出部14A~検出部14D)は、それぞれ、1回のタイミングごとに、複数の検知点の各々の位置情報を検出する。このため、取得部20は、1回のタイミングごとに、複数の検知点の各々の位置情報と、複数の撮影部12の各々による撮影画像と、を取得する。
【0050】
取得部20は、複数の撮影画像および複数の検知点の各々の位置情報を、判断部22へ出力する。判断部22は、取得部20から複数の撮影画像および複数の検知点の各々の位置情報を受付ける。
【0051】
判断部22は、基準投影面40に複数の撮影画像を投影した投影画像に含まれる、隣接する撮影画像の重複部分に物体Bが含まれるか否かを判断する。
【0052】
例えば、判断部22は、取得部20から受付けた複数の撮影画像および複数の検知点の各々の位置情報と、基準投影面情報24Aおよび重複領域情報24Bと、を用いて、隣接する撮影画像の重複部分に物体Bが含まれるか否かを判断する。検知点の位置情報は、上述したように、検出部14から物体Bまでの距離および方向の少なくとも一方を示す情報である。
【0053】
基準投影面情報24Aは、基準投影面40の形状を表す情報である。重複領域情報24Bは、基準投影面40における重複領域D内に設定される画像合成領域Fの位置および範囲を表す情報である。例えば、複数の撮影部12の各々の撮影領域Eは予め設定されている。このため、複数の撮影領域Eの各々の、移動体2を基準とした重複領域Dの相対位置および範囲は予め定まり、移動体2を基準とした画像合成領域Fの相対位置および範囲は予め定めることができる。
【0054】
このため、基準投影面情報24Aおよび重複領域情報24Bは、記憶部24に予め記憶されている。記憶部24は、各種のデータを記憶する。記憶部24は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等である。なお、記憶部24は、画像処理装置10の外部に設けられた記憶装置であってもよい。また、記憶部24は、プログラムや各種情報を、LAN(Local Area Network)やインターネットなどを介してダウンロードして記憶または一時記憶した記憶媒体であってもよい。
【0055】
判断部22は、基準投影面情報24Aによって表される基準投影面40に、取得部20から受付けた位置情報によって規定される複数の検知点をマッピングする。マッピングする、とは、基準投影面40によって規定される仮想空間に、検知点を配置することを意味する。判断部22は、該仮想空間における、検知点の位置情報によって規定される方向および距離に対応する位置を公知の方法で特定し、特定した位置に検知点を配置すればよい。
【0056】
また、判断部22は、重複領域情報24Bを用いて、基準投影面40における重複領域Dの位置および範囲を特定する。そして、判断部22は、重複領域Dに、物体Bを構成する検知点が存在するか否かを判断する。この判断処理によって、判断部22は、投影画像において重複領域Dに物体Bが含まれるか否かを判断する。
【0057】
なお、判断部22は、基準投影面40にマッピングした複数の検知点の各々の位置情報を用いて、公知の方法により、物体Bを構成する検知点の群を特定すればよい。例えば、判断部22は、マッピングされた複数の検知点と、予め定めた物体Bの外形を構成する検知点の群と、のマッチング処理を行うことで、物体Bを構成する検知点の群を特定する。
【0058】
そして、判断部22は、特定した検知点の群によって構成される物体Bの少なくとも一部の領域が、重複領域Dに重複しているか否かを判別することで、重複領域Dに物体Bが含まれるか否かを判断する。
【0059】
判断部22は、重複領域Dに物体Bが含まれるか否かの判断結果を調整部26へ出力する。調整部26は、判断部22から判断結果を受付ける。
【0060】
調整部26は、判断結果が、重複領域Dに物体Bが含まれることを示す場合、調整処理を実行する。
【0061】
調整処理とは、基準投影面40における、物体Bを含む重複領域Dを調整する処理である。言い換えると、調整処理とは、基準投影面40に含まれる複数の重複領域Dの内、物体Bを含む重複領域Dを調整する処理である。
【0062】
重複領域Dを調整する、とは、基準投影面40における重複領域Dの構成面を変形する投影面変形処理、および、基準投影面40における重複領域D内に設定される画像合成領域Fの位置と範囲を調整する画像合成調整処理、の少なくとも一方を意味する。
【0063】
まず、調整部26が実行する調整処理の一例である、投影面変形処理について説明する。
【0064】
投影面変形処理は、基準投影面40における、物体Bを含む重複領域Dの構成面を、該物体Bより基準位置S側を通る形状に変形する処理である。基準投影面40における、物体Bを含む重複領域Dの構成面とは、基準投影面40の全領域の内、物体Bを含む重複領域Dを構成する面の領域を意味する。
【0065】
物体Bより基準位置S側を通る形状、とは、物体Bを構成する検知点の群の内、基準位置Sに最も近い検知点を少なくとも通る形状、または、該検知点と基準位置Sとの間を少なくとも通る形状、であることを意味する。
【0066】
【0067】
図6Aは、基準投影面40を鉛直方向に対して傾斜した方向(
図4中、矢印W方向参照)から視認した図である。調整部26は、基準投影面40における重複領域Dの構成面40Aを変形する変形処理を実行する。構成面40Aは、基準投影面40の一部の構成面であり、物体Bを含む重複領域Dに対応する構成面である。調整部26が、構成面40Aの変形処理を実行することで、
図6B~
図6Dに示すように、物体Bより移動体2の基準位置S側を通る調整構成面42Aを有する調整投影面42が生成される。
【0068】
図6B~
図6Dには、移動体2の周囲の複数の重複領域D(重複領域DA~重複領域DD)の内、重複領域DBに物体Bが存在する場合を一例として示した。
図6Bは、調整投影面42を鉛直方向に対して傾斜した方向(
図4中、矢印W方向参照)から視認した図である。
図6Cは、調整投影面42を鉛直方向から視認した平面図である。
図6Dは、調整投影面42を鉛直方向から視認した平面図の模式図である。
【0069】
図6Dに示すように、調整部26は、基準投影面40における、物体Bを含む重複領域DBの構成面40Aを、物体Bより移動体2の基準位置S側を通る形状に変形し、調整構成面42Aとする。このため、調整投影面42は、物体Bを含む重複領域DBの構成面40Aが、調整構成面42Aに変形された投影面となる(
図6A~
図6D参照)。
【0070】
なお、互いに異なる複数の重複領域Dの各々に物体Bが含まれる場合がある。この場合、調整部26は、該複数の重複領域Dの各々ごとに、投影面変形処理を実行すればよい。
【0071】
図6Eには、移動体2の周囲の複数の重複領域D(重複領域DA~重複領域DD)の内、重複領域DAおよび重複領域DBの各々に物体B1および物体B2がそれぞれ存在する場合を一例として示した。物体B1および物体B2は、物体Bの一例である。
図6Eは、調整投影面42を鉛直方向から視認した平面図の模式図である。
【0072】
この場合、調整部26は、基準投影面40における、物体B1を含む重複領域DBの構成面40A1を、物体B1より移動体2の基準位置S側を通る形状に変形し、調整構成面42A1とする。また、調整部26は、基準投影面40における、物体B2を含む重複領域DAの構成面40A2を、物体B2より移動体2の基準位置S側を通る形状に変形し、調整構成面42A2とする。構成面40A1および構成面40A2は、基準投影面40の構成面40Aの一例である。調整構成面42A1および調整構成面42A2は、調整構成面42Aの一例である。
【0073】
このように、調整部26は、基準投影面40における、物体Bを含む重複領域Dの構成面40Aを変形する、投影面変形処理を実行する。
【0074】
構成面40Aの変形は、仮想空間における、構成面40Aの位置座標を変更することで行えばよい。調整部26は、例えば、以下の方法で、基準投影面40の構成面40Aを調整構成面42Aに調整する。
【0075】
図7A~
図7Cは、構成面40Aの変形処理の一例の説明図である。
図7A~
図7Cはそれぞれ、基準投影面40を鉛直方向から視認した平面図の模式図である。
【0076】
図7A~
図7Cに示されているように、仮想空間において、基準投影面40の構成面40Aは、基準点50から放射上に延在する複数の分割線によって分割された複数の分割領域によって構成されている。
【0077】
基準点50とは、基準投影面40における位置座標の基準となる点である。本実施形態では、
図1に示すように、複数の重複領域Dの各々の移動体2(基準位置S)に最も近い点を、基準点50(基準点50A~基準点50D)として定める。基準点50Aは、撮影領域E1と撮影領域E4との重複領域DAにおける位置座標の基準とする基準点50である。基準点50Bは、撮影領域E1と撮影領域E2との重複領域DBにおける位置座標の基準とする基準点50である。基準点50Cは、撮影領域E2と撮影領域E3との重複領域DCにおける位置座標の基準とする基準点50である。基準点50Dは、撮影領域E3と撮影領域E4との重複領域DDにおける位置座標の基準とする基準点50である。
【0078】
図7Aに示すように、調整部26は、重複領域DAに含まれる物体Bを構成する複数の検知点Pを結ぶ直線と、基準投影面40の構成面40A2を構成する各分割領域の分割線と、の交点Qを特定する。
図7Aには、物体Bを構成する複数の検知点Pとして、検知点P1および検知点P2を一例として示した。検知点P1および検知点P2は、例えば、物体Bを構成する複数の検知点Pの内、基準位置Sに近い上位から2つの検知点Pである。また、交点Qが複数得られる場合は、複数の交点Qの中から、いずれか1つの交点を選択すればよく、例えば、基準点50からの距離が最も近い交点を選択すればよい。
【0079】
図7Bに示すように、次に、調整部26は、特定した交点Qのインデックスを検索する。インデックスとは、基準投影面40における位置を特定するための情報である。基準投影面40には、基準投影面40を複数領域に分割した分割領域ごとに、インデックスが予め付与されている。
図7Bには、括弧内の数値を、インデックスの一例として示した。例えば、調整部26が、交点Qのインデックスとして、インデックス“12”を検索したと想定する。
【0080】
図7Cに示すように、次に、調整部26は、基準点50から該インデックスによって特定される位置の交点Qまでの距離Lを算出する。
【0081】
図7Cに示す形態の場合、調整部26は、基準点50Aから交点Qまでの距離Lを算出する。ここで、距離Lは、底面400Aに対して平行な水平方向の距離である。そして、調整部26は、重複領域DAの構成面40A2が該交点Q、または、該交点Qと基準点50Aの間を少なくとも通る形状となるように、該距離Lを用いて、該構成面40A2の仮想空間における位置座標を変更する。詳細には、調整部26は、重複領域DAの構成面40A2における、基準点50Aとの水平方向の距離が該距離Lより大きい領域の位置座標を、基準点50Aとの水平方向の距離が該距離L以下となるように変更する。すなわち、調整部26は、重複領域DAの構成面40A2が、物体Bの位置、または、物体Bより基準位置Sに近い位置を通る面となるように、構成面40A2を変形する。
【0082】
このため、
図6B~
図6Eに示すように、基準投影面40における、物体Bを含む重複領域Dの構成面40Aが、物体Bより移動体2の基準位置S側を通る形状に変形された、調整構成面42Aとなる。このため、基準投影面40は、基準投影面40における重複領域Dの構成面40Aが調整構成面42Aに変形された、調整投影面42となる。
【0083】
なお、調整部26は、調整投影面42の断面形状を、物体Bより基準位置S側を通るN次曲線状となるように調整することが好ましい。Nは、2以上の整数である。
【0084】
なお、
図6B~
図6Eに示すように、調整部26は、物体Bを含む重複領域Dの構成面40Aの形状を、該物体Bより基準位置S側を通る形状に変形するが、基準投影面40における該重複領域Dの構成面40A以外の領域の構成面の形状は必ずしも変形しなくてよい。
【0085】
また、調整部26は、物体Bを含む重複領域Dの構成面40Aの形状を、該物体Bより基準位置S側を通る形状に変形し、さらに、基準投影面40における該重複領域Dの構成面40A以外の領域の構成面の形状を、変形後の構成面40Aである調整構成面42Aの形状に応じて変形してもよい。
【0086】
図8Aおよび
図8Bは、調整投影面42の一例の模式図である。
図8Aは、調整投影面42を鉛直方向から視認した平面図の模式図である。
図8Bは、調整投影面42を鉛直方向に対して傾斜した方向(
図4中、矢印W方向参照)から視認した図である。
【0087】
例えば、重複領域DAに物体B2が含まれ、重複領域DBに物体B1が含まれる場合を想定する。この場合、調整部26は、基準投影面40における、物体B1を含む重複領域DBの構成面40A1を、物体B1より移動体2の基準位置S側を通る形状に変形し、調整構成面42A1とする。同様に、調整部26は、基準投影面40における、物体B2を含む重複領域DAの構成面40A2を、物体B2より移動体2の基準位置S側を通る形状に変形し、調整構成面42A2とする。
【0088】
そして、調整部26は、基準投影面40における構成面40A1および構成面40A2以外の領域の構成面40Bを、調整構成面42A1および調整構成面42A2に応じた形状とすることで、調整構成面42Bに変形する。詳細には、調整部26は、領域40Bの形状を、調整構成面42A1および調整構成面42A2の曲率に対する変化率が所定値以下の範囲で変化する曲率の曲線となるように、変形する。この場合、調整投影面42は、重複領域Dに含まれる物体Bに応じて基準投影面40の全体の形状を調整した投影面となる。
【0089】
このように、調整部26は、基準投影面40の全体の形状を、重複領域Dに含まれる物体Bに応じて調整することで、調整投影面42を生成してもよい。
【0090】
なお、調整投影面42における調整構成面42Aの鉛直断面の形状は限定されない。鉛直断面とは、底面400Aの鉛直方向に沿って切断した断面である。例えば、調整構成面42Aの鉛直断面の形状は、重複領域Dに含まれる物体Bより基準位置S側を通り、且つ、鉛直方向に平行な直線、鉛直方向に対して傾斜した直線、二次曲線、平方根曲線、の何れかの形状であればよい。
【0091】
図9A~
図9Dは、調整投影面42の鉛直方向の断面形状の一例の模式図である。
【0092】
図9Aに示すように、調整部26は、例えば、調整投影面42における物体Bを含む重複領域Dの構成面40Aの鉛直断面の形状を、鉛直方向(矢印Z方向)に平行な直線形状に調整する。この場合、調整構成面42Aの鉛直方向に沿った断面形状は、鉛直方向に沿った直線状となる。
【0093】
図9Bに示すように、調整部26は、例えば、調整投影面42における物体Bを含む重複領域Dの構成面40Aの鉛直断面の形状を、鉛直方向(矢印Z方向)に対して傾斜した直線形状に調整する。この場合、調整構成面42Aの鉛直断面の形状は、鉛直方向に対して傾斜した直線状となる。
【0094】
図9Cに示すように、調整部26は、例えば、調整投影面42における物体Bを含む重複領域Dの構成面40Aの鉛直断面の形状を、二次曲線形状に調整する。この場合、調整構成面42Aの鉛直断面の形状は、二次曲線状となる。
【0095】
図9Dに示すように、調整部26は、例えば、調整投影面42における物体Bを含む重複領域Dの構成面40Aの鉛直断面の形状を、平方根曲線形状に調整する。この場合、調整構成面42Aの鉛直断面の形状は、平方根曲線状となる。
【0096】
このように、調整部26は、物体Bを含む重複領域Dの構成面40Aを、物体Bより基準位置S側を通り、且つ、鉛直方向に平行な直線、鉛直方向に対して傾斜した直線、二次曲線、平方根曲線、の何れかの形状に調整する変形処理を実行してもよい。
【0097】
次に、調整部26が実行する調整処理の一例である、画像合成調整処理について説明する。
【0098】
画像合成調整処理は、基準投影面40における、物体Bを含む重複領域D内に設定される画像合成領域Fの位置および範囲を、画像合成領域Fが該物体Bに非重複となるように調整する調整処理である。言い換えると、画像合成調整処理は、隣接する撮影領域Eの各々の撮影画像の一部を合成して投影面に投影するときの、撮影画像を合成して投影する重複領域D内の位置と範囲を変更する処理である。
【0099】
図10Aおよび
図10Bは、画像合成調整処理の一例の説明図である。
図10Aは、基準投影面40を鉛直方向から視認した平面図の模式図である。
図10Aには、重複領域情報24Bによって表される重複領域D内の画像合成領域Fの位置および範囲を示した。上述したように、重複領域情報24Bは、基準投影面40における重複領域D内に設定される画像合成領域Fの位置および範囲を表す情報である。
【0100】
図10Aには、撮影領域E1と撮影領域E4との重複領域D内に設定された画像合成領域Fである画像合成領域FAに、物体Bが含まれる場合を一例として示した。この場合、調整部26は、
図10Bに示すように、この画像合成領域FAを、該物体Bを含まない範囲である画像合成領域FA’に調整する。そして、調整部26は、調整後の画像合成領域FA’の位置および範囲を示す情報を生成する。
【0101】
調整後の画像合成領域FA’の位置および範囲を示す情報は、例えば、隣接する撮影領域Eの各々の撮影画像を合成して投影面へ投影するときの、合成係数を示す情報である。合成係数は、2つの撮影画像のブレンドの割合を表す情報である。合成係数は、例えば、透過値である。透過値は、α値と称される場合がある。本実施形態では、合成係数がα値である場合を想定して説明する。
【0102】
ここで、投影画像における画像合成領域Fは、隣接する撮影領域Eの撮影画像をブレンドする割合を調整することで規定される。詳細には、画像合成領域Fは、撮影画像の一部の領域の合成係数を、0より大きく且つ1未満の範囲とすることで実現される。
【0103】
合成係数が“0”である場合、重複領域Dを構成する2つの撮影領域Eの撮影画像の合成は行われず、2つの撮影領域Eの内、一方の撮影領域Eの撮影画像のみを投影することを意味する。同様に、合成係数が“1”である場合、重複領域Dを構成する2つの撮影領域Eの撮影画像の合成は行われず、2つの撮影領域Eの内、他方の撮影領域Eの撮影画像のみを投影することを意味する。これに対して、合成係数が0より大きく且つ1未満の領域は、重複領域Dを構成する2つの撮影領域Eの撮影画像を合成し、合成された画像を投影することを意味する。
【0104】
【0105】
図11Aに示すように、例えば、基準投影面40には、基準投影面40を複数領域に分割した分割領域ごとに、インデックスが予め付与されている。
図11Aには、基準点50を通る基準線51からの角度に応じたインデックスを一例として示した。基準線51は、例えば、移動体2のリア部分の両端部をつなぐ直線、フロント部分の両端部をつなぐ直線、および、移動体2の全長方向に沿った直線であり、且つ基準点50を通る直線である。
図11には、一例として、基準点50Aを通る基準線51Aおよび基準線51Bを、基準線51として示した。
【0106】
また、基準投影面40には、インデックスごとに、合成係数が予め設定されている。このため、重複領域情報24Bは、画像合成領域Fの位置および範囲を示す情報として、0より大きく且つ1未満の範囲の合成係数を付与されたインデックス、および、インデックスの各々に設定された合成係数の値、を含む。
【0107】
例えば、調整部26が画像合成領域FAを画像合成領域FA’に調整する場合を想定する。この場合、調整部26は、画像合成領域FA’の角度を算出する。例えば、調整部26は、
図11Aに示した角度θ1および角度θ2を、画像合成領域FA’の角度として算出する。角度θ2は、画像合成領域FA’の範囲を設定する角度である。画像合成領域FA’の角度は、画像合成領域FA’の占める範囲を、基準点50Aを中心とした角度で表した情報である。角度θ1は、基準線51Bと、重複領域DA’と、の成す角度であり、画像合成領域FA’の位置を設定する角度である。
【0108】
そして、調整部26は、基準投影面40における、画像合成領域FA’の角度θ1および角度θ2に応じたインデックスを検索する。例えば、調整部26は、インデックス“7”~インデックス“13”を画像合成領域FA’の角度θ1および角度θ2に応じたインデックスとして検索したと想定する。調整部26は、検索したインデックス“7”~インデックス“13”に、0より大きく且つ1未満の合成係数を設定する。そして、調整部26は、画像合成領域FA’以外の重複領域DAのインデックスに、該インデックスの領域に隣接する撮影領域Eの撮影画像のみを投影するための合成係数を付与する。例えば、調整部26は、インデックス“1”~インデックス“6”には、撮影領域E4の撮影画像のみを投影することを示す合成係数である“0”を設定する。また、調整部26は、インデックス“14”~インデックス“18”には、撮影領域E1の撮影画像のみを投影することを示す合成係数である“1”を設定する。そして、調整部26は、画像合成領域FA’であるインデックス“7”~“13”に、0から1に向かって線形に増加する合成係数を付与する。
【0109】
このため、
図11Bに示すように、調整後の画像合成領域FA’である角度θ2のインデックスには、0より大きく且つ1未満の合成係数が付与される。また、重複領域DAにおける画像合成領域FA’以外の領域であって、撮影領域E4に連続する領域のインデックスには、合成係数“0.0”が付与された状態となる。また、重複領域DAにおける画像合成領域FA’以外の領域であって、撮影領域E1に連続する領域のインデックスには、合成係数“1.0”が付与された状態となる。
【0110】
そして、調整部26は、インデックスの各々に付与された調整後の合成係数を示す合成係数情報を、調整後の画像合成領域FA’の位置および範囲を示す情報として、生成部28へ出力する。
【0111】
なお、調整部26は、調整処理として、基準投影面40の構成面40Aを変形する投影面変形処理、および、重複領域D内に設定される画像合成領域Fの位置および範囲を調整する画像合成調整処理、の少なくとも一方を実行すればよく、投影面変形処理および画像合成調整処理を組み合わせて実行することが可能である。
【0112】
図3に戻り説明を続ける。調整部26は、調整後の基準投影面40である調整投影面42の調整投影面情報、および、合成係数情報、の少なくとも一方を生成部28へ出力する。本実施形態では、調整部26が、調整投影面情報および合成係数情報の双方を、生成部28へ出力する形態を一例として説明する。
【0113】
生成部28は、調整部26から調整投影面情報、および、合成係数情報、の少なくとも一方を受けとり、受け取った情報に基づいて、調整投影面42に、取得部20で取得した複数の撮影画像を投影することで、投影画像を生成する。
【0114】
図12は、投影画像60の一例を示す模式図である。
図12は、投影画像60の一例として、投影画像60Aを示した。生成部28は、調整部26から受付けた調整投影面情報によって表される形状の調整投影面42に、取得部20で取得した複数の撮影画像の各々を投影する。調整投影面42は、物体Bを含む重複領域Dの構成面40Aが上記調整処理によって変形された投影面である。
【0115】
このため、投影画像60Aは、重複領域Dに含まれる物体Bの像の二重映りおよび消失を抑制した画像となる。
【0116】
図13Aおよび
図13Bは、従来技術の比較投影画像600の一例を示す模式図である。なお、
図13Aおよび
図13Bは、
図12に示す投影画像60Aの生成に用いた撮影画像を基準投影面40に投影した例である。
【0117】
図13Aに示すように、従来技術では、重複領域Dに存在する物体Bの像が二重映りした比較投影画像600Aとなる場合があった。また、
図13Bに示すように、従来技術では、重複領域Dに存在する物体Bが消失した比較投影画像600Bとなる場合があった。
【0118】
一方、本実施形態では、生成部28は、複数の撮影画像を調整投影面42へ投影することで、投影画像60を生成する。このため、
図12に示すように、生成部28は、重複領域Dに存在する物体Bの像の二重映りまたは消失の抑制された投影画像60を生成することができる。
【0119】
なお、合成係数情報を受け付けた場合には、生成部28は、合成係数情報によって表されるインデックスの各々に付与された合成係数に応じて、複数の撮影領域Eの各々の撮影画像の透過値を変更した上で、調整投影面42に投影すればよい。
【0120】
図14は、投影画像60の一例を示す模式図である。
図14には、投影画像60の一例として、投影画像60Cを示した。投影画像60Cは、合成係数情報によって表される合計係数に応じて透過値を調整した撮影画像を、調整投影面情報によって表される形状の調整投影面42に投影した投影画像60の一例である。言い換えると、投影画像60Cは、調整処理として投影面変形処理および画像合成調整処理を実行することで生成された投影画像60の一例であり、投影面40の形状を変更するとともに、画像合成領域Fの位置および範囲を物体Bに非重複となるように調整した投影画像60の一例である。
【0121】
このため、投影画像60Cは、重複領域Dに含まれる物体Bの像の二重映りおよび消失を抑制した画像となる。
【0122】
図15Aは、従来技術の比較投影画像600の一例を示す模式図である。
図15Aは、
図14に示す投影画像60Cの生成に用いた撮影画像を基準投影面40に投影した例である。
図15Bは、
図14に示す投影画像60Cの生成に用いた撮影画像を調整投影面42に投影した投影画像60Bの一例を示す模式図である。すなわち、
図15Bに示す投影画像60Bは、調整処理として変形処理を実行することで生成された投影画像60の一例である。
【0123】
図15Aに示すように、従来技術では、重複領域Dに存在する物体Bが消失した比較投影画像600Cとなる場合があった。一方、調整処理として投影面40の変形処理を実行した場合を想定する。この場合、
図15Bに示すように、投影画像60Bは、比較投影画像600Cに比べて、重複領域Dに含まれる物体Bの像の二重映りおよび消失の少なくとも一方(
図15Bの場合は、物体Bの消失)が抑制された投影画像となる。そして、調整処理として変形処理および重複領域調整処理を実行した場合を想定する。この場合、
図14に示すように、投影画像60Cは、
図15Bに示す投影画像60Bに比べて、重複領域Dに含まれる物体Bの像の二重映りおよび消失の他方(
図14の場合は、物体Bの像の二重映り)が更に抑制された投影画像となる。
【0124】
このため、調整部26は、変形処理および重複領域調整処理の双方を、調整処理として実行することが好ましい。
【0125】
図3に戻り説明を続ける。表示制御部30は、生成部28で生成された投影画像60を表示部16へ表示する制御を行う。このため、表示部16には、実空間に存在する物体Bの像の二重映りおよび消失の少なくとも一方の抑制された投影画像60が表示される。なお、表示制御部30は、投影画像60を仮想視点から視認した画像に変更するなどの各種画像処理を行った上で、表示部16に表示する表示制御を行ってもよい。
【0126】
次に、画像処理装置10が実行する画像処理の流れの一例を説明する。
【0127】
図16は、上述した、画像処理装置10が実行する画像処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0128】
取得部20は、複数の撮影画像を複数の撮影部12から取得する(ステップS100)。また、取得部20は、複数の検知点Pの各々の位置情報を検出部14から取得する(ステップS102)。
【0129】
判断部22は、記憶部24から基準投影面情報24Aおよび重複領域情報24Bを読取る(ステップS104)。
【0130】
判断部22は、ステップS104で読取った基準投影面情報24Aによって表される基準投影面40に、ステップS102で取得した位置情報によって規定される複数の検知点Pをマッピングする(ステップS106)。
【0131】
判断部22は、ステップS104で読取った重複領域情報24Bと、ステップS106のマッピング結果を用いて、重複領域Dに物体Bが含まれるか否かを判断する(ステップS108)。重複領域Dに物体Bが含まれると判断した場合(ステップS108:Yes)、ステップS110へ進む。
【0132】
ステップS110では、調整部26が、基準投影面40の構成面40Aの調整処理を実行する(ステップS110)。ステップS110の調整処理は、基準投影面40における、物体Bを含む重複領域Dを調整する処理である。上述したように、調整部26は、基準投影面40における重複領域Dの構成面を変形する変形処理、および、基準投影面40における重複領域D内に設定される画像合成領域の位置および範囲を調整する画像合成調整処理、の少なくとも一方を調整処理として実行する。調整処理の流れの詳細は後述する。
【0133】
ステップS110の処理によって、調整投影面42が生成され、基準投影面40の構成面40Aを変形処理した調整投影面42の調整投影面情報、および、画像合成調整処理によって生成された合成係数情報が生成される。
【0134】
次に、生成部28は、ステップS110で生成された調整投影面42に、ステップS100で取得した複数の撮影画像を、ステップS110で生成された合成係数情報によって示される合成係数で合成して投影する(ステップS112)。ステップS112の処理によって、生成部28は、投影画像60を生成する。そして、後述するステップS116へ進む。
【0135】
一方、ステップS108で否定判断すると(ステップS108:No)、ステップS114へ進む。ステップS114では、生成部28は、ステップS100で取得した撮影画像を基準投影面40へ投影する(ステップS114)。そして、ステップS116へ進む。
【0136】
ステップS116では、表示制御部30が、ステップS112で生成された投影画像60またはステップS116で生成された投影画像を表示部16へ表示する表示制御を行う(ステップS116)。
【0137】
次に、画像処理装置10は、画像処理を終了するかを判断する(ステップS118)。例えば、画像処理装置10は、画像処理の終了を示す指示入力を受付けたか否かを判別することで、ステップS118の処理を実行する。ステップS118で否定判断すると(ステップS118:No)、上記ステップS100へ戻る。一方、ステップS118で肯定判断すると(ステップS118:Yes)、本ルーチンを終了する。なお、ステップS118からステップS100へ戻る際、ステップS110において生成された調整投影面42を、新たな基準投影面40として処理を継続するようにしてもよい。
【0138】
次に、ステップS110の調整処理である変形処理の流れの一例を説明する。
【0139】
図17は、変形処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0140】
調整部26は、ステップS102(
図16参照)で位置情報を取得した検知点の内、重複領域Dに含まれる物体Bを構成する検知点Pを結ぶ直線と、基準投影面40の構成面40Aを構成する各分割領域の分割線と、の交点Qを特定する(ステップS200)。
【0141】
次に、調整部26は、ステップS200で特定した交点Qのインデックスを検索する(ステップS202)。そして、調整部26は、基準点50から該インテックスによって特定される交点Qまでの距離Lを算出する(ステップS204)。ここで、距離Lは、底面400Aに対して平行な水平方向の距離である。
【0142】
調整部26は、基準投影面40における物体Bを含む重複領域Dの構成面40Aと基準点50との距離が該距離L以下となるように、該構成面40Aの位置座標を変更する(ステップS206)。ステップS206の処理によって、基準投影面40における物体Bを含む重複領域Dの構成面40Aが調整構成面42Aに変形され、調整投影面42が生成される。そして、本ルーチンを終了する。
【0143】
次に、ステップS110の調整処理である画像合成調整処理の流れの一例を説明する。
【0144】
図18は、画像合成調整処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0145】
調整部26は、基準投影面40における物体Bを含む重複領域D内に設定される画像合成領域Fを、該物体Bを含まない角度の画像合成領域F’に調整し、該画像合成領域F’の角度(角度θ1、角度θ2)を算出する(ステップS300)。
【0146】
次に、調整部26は、ステップS300で算出した画像合成領域F’の角度に応じたインデックスを検索する(ステップS302)。
【0147】
次に、調整部26は、重複領域Dのインデックスの各々に設定された合成係数を、ステップS302で検索したインデックスの領域が画像合成領域F’となるように調整する(ステップS304)。ステップS304の処理によって、基準投影面40における、調整後の画像合成領域F’のインデックスには、0より大きく且つ1未満の合成係数が付与される。また、重複領域Dにおける調整後の画像合成領域F’以外の領域には、合成係数“0.0”または“1.0”が付与された状態となる。そして、調整部26は、インデックスの各々に付与された調整後の合成係数を示す合成係数情報を、調整後の画像合成領域F’の位置および範囲を示す情報として、生成部28へ出力する。そして、本ルーチンを終了する。
【0148】
以上説明したように、本実施形態の画像処理装置10は、取得部20と、判断部22と、調整部26と、を備える。取得部20は、撮影領域Eの一部が重複する複数の撮影画像を取得する。判断部22は、実空間に対応する仮想空間に仮想的に配置される画像投影面である、予め定められた形状の基準投影面40において、隣接する撮影画像の重複領域Dに、物体Bが含まれるか否かを判断する。調整部26は、基準投影面40における、物体Bを含む重複領域Dの調整処理を実行する。
【0149】
ここで、従来技術では、重複領域Dに着目した画像処理は行われていなかった。このため、従来技術では、投影面に投影された撮影画像の重複領域Dに物体Bが存在する場合、投影画像における該物体Bの投影された領域に、物体Bの消失または物体Bの像の二重映りなどが発生する場合があった。
【0150】
一方、本実施形態の画像処理装置10では、基準投影面40における、物体Bを含む重複領域Dの調整処理を実行する。
【0151】
このため、本実施形態の画像処理装置10は、調整部26による調整後の基準投影面40である調整投影面42に撮影画像を投影することで、撮影画像の重複領域Dに含まれる物体Bの消失または物体Bの像の二重映りを抑制することができる。
【0152】
以上、実施形態について説明したが、本願の開示する画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラムは、上述の実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述の実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【0153】
なお、上記実施形態の画像処理装置10は、各種の装置やシステムに適用可能である。例えば、上記実施形態の画像処理装置10は、監視カメラから得られる映像を処理する監視カメラシステム、または、車外の周辺環境の画像を処理する車載カメラシステム、例えば、車載サラウンドビューモニターシステム、駐車支援システム、自動運転システムなどに適用することができる。
【符号の説明】
【0154】
10 画像処理装置
20 取得部
22 判断部
26 調整部
28 生成部