IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電気株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-光送受信器および光送受信方法 図1
  • 特許-光送受信器および光送受信方法 図2
  • 特許-光送受信器および光送受信方法 図3
  • 特許-光送受信器および光送受信方法 図4
  • 特許-光送受信器および光送受信方法 図5
  • 特許-光送受信器および光送受信方法 図6
  • 特許-光送受信器および光送受信方法 図7
  • 特許-光送受信器および光送受信方法 図8
  • 特許-光送受信器および光送受信方法 図9
  • 特許-光送受信器および光送受信方法 図10A
  • 特許-光送受信器および光送受信方法 図10B
  • 特許-光送受信器および光送受信方法 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】光送受信器および光送受信方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/61 20130101AFI20231017BHJP
   H04B 10/50 20130101ALI20231017BHJP
【FI】
H04B10/61
H04B10/50
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022073970
(22)【出願日】2022-04-28
(62)【分割の表示】P 2020070488の分割
【原出願日】2014-03-11
(65)【公開番号】P2022093514
(43)【公開日】2022-06-23
【審査請求日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】P 2013053440
(32)【優先日】2013-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】山本 浩史
【審査官】対馬 英明
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-268015(JP,A)
【文献】特開2004-312550(JP,A)
【文献】特開2008-153863(JP,A)
【文献】国際公開第2012/113447(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/00-10/90
H04J 14/00-14/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を出力する光源と、
前記光が伝搬する光路を、第1の経路と第2の経路に分岐する光分岐部と、
前記光分岐部の後段に設けられ、前記第1の経路を伝搬する第1の光を減衰して、減衰された前記第1の光を出力する第1の光減衰部と、
前記第1の経路を伝搬する前記減衰された前記第1の光を変調して出力する変調部と、
前記第2の経路を伝搬する第2の光と光信号とを干渉させて受信するコヒーレント受信部と、を備え、
前記第1の光減衰部は、前記光の波長に応じて前記第1の経路を伝搬する前記第1の光の光パワーを調整する、
光送受信器。
【請求項2】
前記光源は波長可変光源であり、
前記第1の光減衰部は、前記波長可変光源から出力される出力光の波長に応じて前記第1の経路を伝搬する前記第1の光の光パワーを調整する、
請求項1に記載の光送受信器。
【請求項3】
前記第1の光減衰部は、前記第1の経路を伝搬する前記第1の光の光出力パワーに関する設定値に応じて前記第1の経路を伝搬する前記第1の光の光パワーを調整する、
請求項1又は2に記載した光送受信器。
【請求項4】
前記第1の光減衰部は、光遮断器として機能するように光パワーの減衰量を調整する、
請求項1から3のいずれか一項に記載した光送受信器。
【請求項5】
前記第2の経路を伝搬する前記第2の光の光パワーを調整する第2の光減衰部をさらに備える、
請求項1から4のいずれか一項に記載した光送受信器。
【請求項6】
前記第2の光減衰部は、外部からの前記光信号の受信特性に応じて前記第2の経路を伝搬する前記第2の光の光パワーを調整する、
請求項5に記載した光送受信器。
【請求項7】
前記光源は、外部からの前記光信号の受信特性に基づく光パワーの光を出力する、
請求項1から5のいずれか一項に記載した光送受信器。
【請求項8】
光を出力し、
前記光が伝搬する光路を、第1の経路と第2の経路に分岐し、
前記第1の経路と前記第2の経路に分岐した後段において、前記第1の経路を伝搬する第1の光を前記光の波長に応じて減衰して、減衰された前記第1の光を出力し
前記第1の経路を伝搬する前記減衰された前記第1の光を変調して出力し、
前記第2の経路を伝搬する第2の光と光信号とを干渉させて受信する、
光送受信方法。
【請求項9】
前記光は、波長可変光源より出力され、
前記波長可変光源から出力される前記光の波長に応じて前記第1の経路を伝搬する前記第1の光の光パワーを調整する、
請求項8に記載の光送受信方法。
【請求項10】
前記第1の経路を伝搬する前記第1の光の光出力パワーに関する設定値に応じて前記第1の経路を伝搬する前記第1の光の光パワーを調整する、
請求項8又は9に記載した光送受信方法。
【請求項11】
光遮断器としての機能を実現する光減衰量により前記第1の経路を伝搬する前記第1の光の光パワーを調整する、
請求項8から10のいずれか一項に記載した光送受信方法。
【請求項12】
前記第2の経路を伝搬する前記第2の光の光パワーを調整する、
請求項8から11のいずれか一項に記載した光送受信方法。
【請求項13】
出力される前記光は、外部からの前記光信号の受信特性に基づく光パワーである、
請求項8から12のいずれか一項に記載した光送受信方法。
【請求項14】
外部からの前記光信号の受信特性に応じて前記第2の経路を伝搬する前記第2の光の光パワーを調整する
請求項8から12のいずれか一項に記載した光送受信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信システムに使用される光送受信器および光送受信方法に関し、特に、デジタルコヒーレント技術が用いられる光送受信器および光送受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルコヒーレント光伝送技術の実用化が進み、多様な超高速クライアント信号を1波長100Gbit/s以上の超高速波長チャネルに多重収容する、高信頼な長距離大容量伝送が実現しつつある。
【0003】
一般的なデジタルコヒーレント光送受信器のブロック構成図を図11に示す。一般的なデジタルコヒーレント光送受信器には、光送信用の光源10000と、光受信用の光源20000が搭載されている。制御部50000が、光送信用の光源10000及び光受信用の光源20000の光出力パワーをそれぞれ調整することにより、送受信特性が最適化される。
【0004】
光送信機能用の光源10000から出力された光は、光変調器30000において光変調され、出力信号光として出力される。また、光受信用の光源20000から出力された光は、局部発振(LO:Local Oscillator)光として光受信器40000に入力された光信号と干渉する。
【0005】
ここで、光受信用の光源20000から出力される光の波長は、光受信器40000に入力された光信号と干渉することから、当該入力された光信号の波長と同じである必要がある。デジタルコヒーレント光送受信器においては、受信側の光源に波長可変光源を用いることにより、LO光の波長を、入力された光信号の波長に合わせて変更する。従って、波長多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)光信号が入力された場合においても、WDM信号の中から特定の波長を選択的に受信することができる。
【0006】
一方、デジタルコヒーレント光送受信器においては、低消費電力化及び小型化の要求が高まっている。デジタルコヒーレント光送受信器の低消費電力化及び小型化を実現する技術として、例えば、光送信機能用の光源と光受信機能用の光源を共通化し、デジタルコヒーレント光送受信器に搭載される光源を削減する技術が提案されている。
【0007】
特許文献1には、デジタルコヒーレント光送受信器ではないが、光源からの出力光を光スイッチにて光送信回路又は光受信回路に切り替える光通信用送受信器および光源からの出力光を光分岐回路にて光送信回路及び光受信回路に分岐する光通信用送受信器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開昭63-059125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1の光送受信器をデジタルコヒーレント光送受信器にそのまま適用することはできない。その理由は、光スイッチを使用して出力光を切り替える場合、光送信回路と光受信回路に光源から同時に光を入力させることはできない。また、光分岐回路を使用する場合、光送信回路と光受信回路に同時に光を入力させることはできるが、一方側で光源の光パワーを調整することにより、他方側の光パワーも変動してしまう。デジタルコヒーレント光送受信器では、一般的に、送信側と受信側で適切な光パワーは異なるため、送信側と受信側を同時に適切な光パワーに調整することは困難である。
【0010】
特に、光源に波長可変光源を使用する場合、波長によって送信側及び受信側の適切パワーが異なり、最適なパワー比も異なる。従って、それぞれの波長において送信側と受信側を同時に適切な光パワーに調整することは極めて困難である。
【0011】
本発明の目的は、上記課題を鑑み、光送信側及び光受信側の光源を共通化した場合においても、光送信機能及び光受信機能を同時に使用できる光送受信器および光送受信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の光送受信器は、光を出力する光源と、前記光が伝搬する光路を、第1の経路と第2の経路に分岐する光分岐部と、前記光分岐部の後段に設けられ、前記第1の経路を伝搬する第1の光を減衰する第1の光減衰部と、前記第1の経路を伝搬する前記第1の光を変調して出力する変調部と、前記第2の経路を伝搬する第2の光と光信号とを干渉させて受信するコヒーレント受信部と、を備え、前記第1の光減衰部は、前記光の波長に応じて前記第1の経路を伝搬する前記第1の光の光パワーを調整する。
【0013】
本発明の光送受信方法は、光を出力し、前記光が伝搬する光路を、第1の経路と第2の経路に分岐し、前記第1の経路と前記第2の経路に分岐した後段において、前記第1の経路を伝搬する第1の光を前記光の波長に応じて減衰し、前記第1の経路を伝搬する前記第1の光を変調して出力し、前記第2の経路を伝搬する第2の光と光信号とを干渉させて受信する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、光送信側及び光受信側の光源を共通化した場合においても、光送信機能及び光受信機能を同時に使用できる光送受信器および光送受信方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1の実施形態に係る光送受信器100のブロック構成図である。
図2】第1の実施形態に係る光送受信器100の動作を示すフローチャートである。
図3】第2の実施形態に係る光送受信器100aのブロック構成図である。
図4】第2の実施形態に係る光パワー調整部30のブロック構成図である。
図5】第2の実施形態に係る制御部60のメモリ内に格納されたデータテーブルの一例である。
図6】第2の実施形態に係る光送受信器100aの動作を示すフローチャートである。
図7】第3の実施形態に係る光送受信器100bのブロック構成図である。
図8】第3の実施形態に係る光送受信器100bの動作を示すフローチャートである。
図9】第4の実施形態に係る光通信システムのシステム構成図である。
図10A】第4の実施形態に係る端末側装置1000と局舎側装置2000が正常時に送受信する光信号の一例である。
図10B】第4の実施形態に係る端末側装置1000と局舎側装置2000が異常発生時に送受信する光信号の一例である。
図11】一般的なデジタルコヒーレント光送受信器のブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施形態)
本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る光送受信器100のブロック構成図である。本実施形態に係る光送受信器100は、光出力部1、光分岐部2、光パワー調整部3、光送信部4及び光受信部5を備える。
【0017】
次に、本実施形態に係る光送受信器100の動作を説明する。図2は、本実施形態に係る光送受信器100の動作を示すフローチャートである。光出力部1は、光を出力する(ステップS11)。光分岐部2は、光出力部1から出力された光を第1の分岐光と第2の分岐光に分岐する(ステップS12)。光パワー調整部3は、光出力部1から出力された光の特性に応じて、第1の分岐光の光パワーと第2の分岐光の光パワーとをそれぞれ独立に調整する(ステップS13)。ステップS13において、第1の分岐光又は第2の分岐光の少なくとも一方の光パワーが、光パワー調整部3によって調整される。
【0018】
光送信部4は、第1の分岐光を変調して光信号として出力する(ステップS14)。光受信部5は、第2の分岐光と光受信装器100の外部から入力された信号光とを干渉させて受信する(ステップS15)。
【0019】
本実施形態によれば、光出力部1から出力された光を光分岐部2において分岐し、光パワー調整部3においてそれぞれ独立に光パワーを調整するため、光送信部4及び光受信部5の両方で光出力部1から出力された光を使用することができる。従って、本実施形態に係る光受信装器100は、光送信側及び光受信側の光源を共通化した場合においても、光送信機能及び光受信機能を同時に使用できる。
【0020】
(第2の実施形態)
次に本発明の第2の実施形態について説明する。図3は、本実施形態に係る光送受信器100aのブロック構成図である。光送受信器100aは、波長可変光源10、光分岐部20、光パワー調整部30、光送信部40、光受信部50及び制御部60を備える。図3において、実線矢印は光の経路を、破線矢印は制御用の電気信号を表す。
【0021】
波長可変光源10は、波長変更が可能であり、WDM通信波長帯内の所定の波長の光を出力する。光分岐部20は、光カプラ等の光を分岐する光素子である。
【0022】
光パワー調整部30の詳細ブロック構成図を図4に示す。光パワー調整部30は、光減衰部31、32を有する。光減衰部31、32として、可変光アッテネータ等の光素子を用いることができる。
【0023】
光送信部40は、LN(Lithium-Niobate)変調器等の光変調機能を有する光回路である。光受信部50は、デジタルコヒーレント検波機能を有する光回路である。
【0024】
制御部60は、波長可変光源10から出力された光の光特性に応じて光パワー調整部30を制御する。例えば、制御部60は、マイコン等の演算素子を適用することができ、データテーブルが格納されたメモリを内部又は外部に有する。制御部60は、当該データテーブルに基づき、波長可変光源10の光出力パワー、波長、または、光パワー調整部30の光パワー調整量を制御する。
【0025】
制御部60のメモリ内に格納されたデータテーブルの一例を図5に示す。図5のデータテーブルには、波長可変光源10から出力される出力光波長ごとに、光出力パワーおよび光出力パワーに応じた光減衰部31、32の減衰量が格納されている。ここで、「出力光波長」は波長可変光源10の出力する光の波長、「光出力パワー」は出力する光のパワーに関連する情報、「減衰量1、2」はそれぞれ光減衰部31、32の制御値等である。「光出力パワー」として、波長可変光源10に設定する電圧値や電流値等を格納することができる。
【0026】
次に、本実施形態に係る光送受信器100aの動作について説明する。図6は、本実施形態に係る光送受信器100aの動作を示すフローチャートである。波長可変光源10は、WDM通信波長帯の中から、所定の波長の光を出力する(ステップS21)。光送受信器100aから送信される光信号の送信特性又は光送受信器100aが受信する光信号の受信特性が適切になるように、制御部60が波長可変光源10から出力される光の光パワーを調整することが望ましい。
【0027】
光分岐部20は、波長可変光源10から入力された光を、第1の分岐光と第2の分岐光に分岐する(ステップS22)。光パワー調整部30の光減衰部31は、第1の分岐光の光パワーを減衰させる(ステップS23)。一方、光パワー調整部30の光減衰部32は、第2の分岐光の光パワーを減衰させる(ステップS24)。ステップS23、S24において、光送受信器100aから送信される光信号の送信特性又は光送受信器100aが受信する光信号の受信特性が適切になるように、制御部60が光減衰部31、32の減衰量を調整する。
【0028】
光送信部40は、光減衰部31から入力された光を変調して光分岐挿入装置100aの外部に出力する(ステップS25)。また、光受信部50は、光減衰部32から入力された光と外部から入力された信号光とを干渉させて受信する(ステップS26)。
【0029】
本実施形態の光送受信器100aは、送受信する波長を自由に変更できる。そして、光送受信器100aは、各波長における光送受信特性が適切になるように、光減衰部31、32の減衰量を調整する。
【0030】
なお、光送受信器100aが光減衰部31、32を両方備えることに限定されず、光送受信器100aがいずれか一方の光減衰部を備える構成でも良い。この場合、制御部60は、光減衰部による調整を行わない方の特性(光送信特性または光受信特性)が適切になるように、波長可変光源10の光出力パワーを調整する。
【0031】
すなわち、制御部60は、光送信特性が適切になるように波長可変光源10を制御すると共に、光受信特性が適切になるように光減衰部32の減衰量を調整する。もしくは、制御部60は、光受信特性が適切になるように波長可変光源10を制御すると共に、光送信特性が適切になるように光減衰部31の減衰量を調整する。
【0032】
さらに、本実施形態の光送受信器100aは、光送信側又は光受信側に異常が生じた場合、異常が検知されていない側の動作を維持させながらシャットダウンさせることができる。例えば、制御部60は、光減衰部31、32の内、異常が生じた側の光減衰量を他の装置等に影響を与えないレベルまで十分大きくすることにより、異常が生じた側の光を実効的に遮断する。
【0033】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態について説明する。図7は、本実施形態に係る光送受信器100bのブロック構成図である。本実施形態に係る光送受信器100bは、第2の実施形態の光送受信器100a(図3)に、光スイッチ70を追加することによって構成されている。
【0034】
本実施形態において、光スイッチ70は、光送受信器100bの外部からの信号光を光カプラ80または光受信部50のどちらか一方へ出力する。
【0035】
光受信部50は、デジタルコヒーレント検波または直接検波のいずれか一方で入力した光信号を受信する。
【0036】
制御部60は、波長可変光源10をモニタしている。さらに、制御部60は、光スイッチ70の光経路の切り替え及び光受信部50の受信方法の切り替えを制御する。
【0037】
次に、本実施形態に係る光送受信器100bの動作について説明する。図8は、本実施形態に係る光送受信器100bの動作を示すフローチャートである。制御部60は、波長可変光源10をモニタしている(ステップS31)。波長可変光源10が正常に動作している場合(ステップS31:NO)、実施形態2の動作と同様に動作する。
【0038】
一方、波長可変光源10の故障を検出した場合(ステップS31:YES)、制御部60は、光受信部50の受信方法をデジタルコヒーレント検波から直接検波に変更する(ステップS32)。これにより、光受信部50は、強度変調光信号を受信する(ステップS33)。
【0039】
制御部60は、さらに、受信した強度変調光信号に基づいて、光スイッチ70の光経路を光受信部50から光カプラ80へ変更する(ステップS34)。これにより、光送受信器100bの外部からの信号光は光カプラ80へ入力される。光カプラ80は、波長可変光源10からの光の代わりに外部からの信号光を、光パワー調整部30を介して光送信部40へ出力する。
【0040】
光送信部40は、波長可変光源10から入力された光の代わりに、光送受信器100bの外部から入力された信号光を、強度変調して出力する(ステップS35)。光送受信器100bは、強度変調光信号を出力することにより、通信相手に状態通知等を送信する。なお、光送受信器100bに入力される信号光は、ループバックされ光送信部40において変調されるため、連続光であることが望ましい。
【0041】
本実施形態によれば、波長可変光源10が故障した場合においても、光受信部50は強度変調光信号を受信できる。さらに、波長可変光源10が故障した場合に光送受信器100bに入力された信号光を光送信部40にループバックさせることから、強度変調光信号を送信できる。従って、本実施形態に係る光送受信器100bは、光送信側及び光受信側の光源を共通化した構成において波長可変光源10が故障した場合においても、光送信機能及び光受信機能を同時に使用することができる。
【0042】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態の光通信システムは、第3の実施形態に係る光送受信器100bを備える。図9は、本実施形態に係る光通信システムのシステム構成図である。図9の光通信システムにおいて、光送受信器100bは、端末側装置1000に設置され、局者側装置2000と光送受信を行う。
【0043】
本実施形態に係る光通信システムにおいて、端末側装置1000は第3の実施形態で説明した光送受信器100bと同様に動作する。一方、局舎側装置2000は、端末側装置1000との間でコヒーレント光信号を送受信する。そして、端末側装置1000の光送受信器100bに何等かの異常が発生した場合、コヒーレント光信号の代わりに強度変調光信号を送受信することにより、端末側装置1000と局舎側装置2000との間で異常に関する情報を送受信する。
【0044】
端末側装置1000が正常に動作している時に送受信される光信号を図10Aに示す。図10Aにおいて、端末側装置1000が正常に動作している時は、端末側装置1000及び局舎側装置2000はデジタルコヒーレント光信号を送受信する。
【0045】
端末側装置1000において波長可変光源10が故障した時に送受信される光信号を図10Bに示す。図10Bにおいて、端末側装置1000の波長可変光源10が故障することにより、端末側装置1000は、デジタルコヒーレント光信号を送信できなくなると共に、局舎側装置2000からのデジタルコヒーレント光信号を受信できなくなる(t)。端末側装置1000は、波長可変光源10が故障した時、第3の実施形態で説明したように、光受信部50の受信方法をデジタルコヒーレント検波から直接検波に切り替える。
【0046】
一方、局舎側装置2000は、デジタルコヒーレント光信号を受信できないことから、端末側装置1000に何等かの異常が発生したと認識する(t)。この場合、局舎側装置2000は、デジタルコヒーレント光信号の送信を中止して強度変調光信号として、所定の周期の低ビットレートのパイロット信号を送信する(t)。局舎側装置2000はさらに、受信側回路(フロントエンド)の受信帯域を落とし、高周波ノイズをカットする事で最小受信感度を引き下げ、送受信間ダイナミックレンジを広げる。
【0047】
端末側装置1000は、受信方法を直接検波に切り替えることにより、局舎側装置2000から出力されたパイロット信号を受信することができる(t)。端末側装置1000は、局舎側装置2000から出力されたパイロット信号を受信した場合、受信したパイロット信号を用いて局舎側装置2000との同期を取る。
【0048】
そして、局舎側装置2000は、所定の期間についてパイロット信号を送信した後、パイロット信号の送信を終了してALL-High信号等の連続光の送信を開始する(t)。 ここで、局舎側装置2000は、光のループバックによる特性劣化への耐性を確保するために、ビットレートを落として低速通信で強度変調した連続光を端末側装置1000へ送信する。
【0049】
端末側装置1000は、局舎側装置2000から出力される強度変調光信号がパイロット信号から連続光に切り替わるタイミングに合わせて、光スイッチ70の光経路を光受信部50から光カプラ80へ切り替える(t)。これにより、局舎側装置2000から入力された連続光は光カプラ80へ導かれる。
【0050】
光カプラ80に入力された連続光は、光パワー調整部30において光パワーが調整された後、光送信部40において強度変調され、強度変調光信号として局舎側装置2000へ送信される。
【0051】
本実施形態によれば、低消費電力化及び小型化の実現に有利な光送受信器100bを使用するため、システム構築及び運用を容易且つ低コストで行うことができる。また、波長可変光源10の故障時においても端末側装置1000と局者側装置2000との光通信が可能であり、状態通知等の通信を行うことができる。なお、本実施形態における光通信システムは、ROADM(Reconfigurable Optical Add/Drop Multiplexer)通信システム等に適用することができる。
【0052】
以上に記載の実施形態は、本発明の例示であって、本発明においては実施形態に示す以外の様々な構成をとり得る。
【0053】
本願発明は上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本願発明は、デジタルコヒーレント光信号を扱う光送受信器だけでなく、各種光信号を送受信する光送受信器を含む通信ネットワークに広く適用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 光出力部
2 光分岐部
3 光パワー調整部
4 光送信部
5 光受信部
10 波長可変光源
20 光分岐部
30 光パワー調整部
40 光送信部
50 光受信部
60 制御部
31、32 光減衰部
70 光スイッチ
80 光カプラ
100、100a、100b 送受信器
1000 端末側装置
2000 局舎側装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11