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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】走行車システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20231017BHJP
   B66F 9/07 20060101ALI20231017BHJP
   B65G 1/04 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
G05D1/02 G
B66F9/07 C
B66F9/07 N
B65G1/04 537
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022509372
(86)(22)【出願日】2021-02-09
(86)【国際出願番号】 JP2021004822
(87)【国際公開番号】W WO2021192675
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-05-24
(31)【優先権主張番号】P 2020056010
(32)【優先日】2020-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】矢河 一馬
(72)【発明者】
【氏名】石川 和広
【審査官】大古 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-247931(JP,A)
【文献】特開2007-323112(JP,A)
【文献】特開2013-142033(JP,A)
【文献】特開2012-240827(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00 - 1/12
B66F 9/07
B65G 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に延在する第一レール部材と第二レール部材とを有する走行レールと、
前記走行レールを走行する第一走行車及び第二走行車と、
前記第一レール部材に設けられ、前記走行レールの延在方向に沿って延在する第一被検知部と、
前記第二レール部材に設けられ、前記走行レールの延在方向に沿って延在する第二被検知部と、
前記第一走行車に設けられ、前記第一被検知部を検知する第一検知部と、
前記第二走行車に設けられ、前記第二被検知部を検知する第二検知部と、を備え、
前記走行レールに沿って、前記第一走行車が走行可能かつ前記第二走行車が走行不能な第一領域と、前記第二走行車が走行可能かつ前記第一走行車が走行不能な第二領域と、前記第一領域と前記第二領域との間に設けられると共に前記第一走行車及び前記第二走行車の両方が走行可能な共有領域と、が形成され、
前記共有領域には、前記第一レール部材と前記第二レール部材とが隙間を介して又は互いに接触した状態で接続される接続部分が設けられており、
前記共有領域において前記第一走行車が前記第一レール部材の前記接続部分側の端部である第一位置に位置するとき、前記第一被検知部は前記第一検知部によって検知可能な位置に配置されると共に、前記第二被検知部は前記第一検知部によって検知不能な位置に配置されており、
前記共有領域において前記第二走行車が前記第二レール部材の前記接続部分側の端部である第二位置に位置するとき、前記第二被検知部は前記第二検知部によって検知可能な位置に配置されると共に、前記第一被検知部は前記第二検知部によって検知不能な位置に配置されている、走行車システム。
【請求項2】
前記第一被検知部及び前記第二被検知部は、前記走行レールの延在方向に互いに重複しないように配置されている、請求項1記載の走行車システム。
【請求項3】
前記第一被検知部及び前記第二被検知部は、前記走行レールの延在方向に沿って一直線上に配置されている、請求項1又は2記載の走行車システム。
【請求項4】
前記第一検知部及び前記第二検知部は、エンコーダであり、
前記第一被検知部及び前記第二被検知部は、前記エンコーダに取り付けられた歯車に歯合するラックであり、
前記第一走行車及び前記第二走行車の位置は、前記エンコーダの回転数に基づいて検出される、請求項1~3の何れか一項記載の走行車システム。
【請求項5】
前記第一検知部の検知結果に基づいて、前記第一走行車が前記第一位置に位置することを判断すると共に、前記第二検知部の検知結果に基づいて、前記第二走行車が前記第二位置に位置することを判断する第一制御部を更に備え、
前記第一制御部は、前記第一走行車が前記第一位置を超えて前記第二領域に侵入しないように制御すると共に、前記第二走行車が前記第二位置を超えて前記第一領域に侵入しないように制御する、請求項1~4の何れか一項記載の走行車システム。
【請求項6】
第三被検知部を検知する第三検知部と、
第四被検知部を検知する第四検知部と、を更に備え、
前記第三検知部及び前記第三被検知部の一方は、前記第一走行車及び前記共有領域の一方に設けられ、前記第三検知部及び前記第三被検知部の他方は、前記第一走行車及び前記共有領域の他方に設けられ、
前記第四検知部及び前記第四被検知部の一方は、前記第二走行車及び前記共有領域の一方に設けられ、前記第四検知部及び前記第四被検知部の他方は、前記第二走行車及び前記共有領域の他方に設けられ、
前記共有領域において前記第一走行車が前記第一レール部材の前記接続部分側の端部である第一位置に位置するとき、前記第三被検知部は前記第三検知部によって検知可能な位置に配置されると共に、前記第四被検知部は前記第三検知部によって検知不能な位置に配置されており、
前記共有領域において前記第走行車が前記第二レール部材の前記接続部分側の端部である第二位置に位置するとき、前記第四被検知部は前記第四検知部によって検知可能な位置に配置されると共に、前記第三被検知部は前記第四検知部によって検知不能な位置に配置されている、請求項1~5の何れか一項記載の走行車システム。
【請求項7】
水平方向に延在する第一レール部材と第二レール部材とを有する走行レールと、
前記走行レールを走行する第一走行車及び第二走行車と、
第三被検知部を検知する第三検知部と、
第四被検知部を検知する第四検知部と、を備え、
前記走行レールに沿って、前記第一走行車が走行可能かつ前記第二走行車が走行不能な第一領域と、前記第二走行車が走行可能かつ前記第一走行車が走行不能な第二領域と、前記第一領域と前記第二領域との間に設けられると共に前記第一走行車及び前記第二走行車の両方が走行可能な共有領域と、が形成され、
前記共有領域には、前記第一レール部材と前記第二レール部材とが隙間を介して又は互いに接触した状態で接続される接続部分が設けられており、
前記第三検知部及び前記第三被検知部の一方は、前記第一走行車及び前記共有領域の一方に設けられ、前記第三検知部及び前記第三被検知部の他方は、前記第一走行車及び前記共有領域の他方に設けられ、
前記第四検知部及び前記第四被検知部の一方は、前記第二走行車及び前記共有領域の一方に設けられ、前記第四検知部及び前記第四被検知部の他方は、前記第二走行車及び前記共有領域の他方に設けられ、
前記共有領域において前記第一走行車が前記第一レール部材の前記接続部分側の端部である第一位置に位置するとき、前記第三被検知部は前記第三検知部によって検知可能な位置に配置されると共に、前記第四被検知部は前記第三検知部によって検知不能な位置に配置されており、
前記共有領域において前記第走行車が前記第二レール部材の前記接続部分側の端部である第二位置に位置するとき、前記第四被検知部は前記第四検知部によって検知可能な位置に配置されると共に、前記第三被検知部は前記第四検知部によって検知不能な位置に配置されている、走行車システム。
【請求項8】
前記第三検知部は前記第一走行車に設けられ、前記第三被検知部は前記共有領域に設けられ、
前記第四検知部は前記第二走行車に設けられ、前記第四被検知部は前記共有領域に設けられている、請求項7記載の走行車システム。
【請求項9】
前記第三検知部及び前記第四検知部は、センサであり、
前記第三被検知部及び前記第四被検知部は、前記センサによって検知されるドグである、請求項6~8の何れか一項記載の走行車システム。
【請求項10】
前記第三検知部の検知結果に基づいて、前記第一走行車の走行を停止させると共に、前記第四検知部の検知結果に基づいて、前記第二走行車の走行を停止させる第二制御部を更に備える、請求項6~9の何れか一項記載の走行車システム。
【請求項11】
請求項1~10の何れか一項記載の走行車システムと、
前記第一領域を走行する前記第一走行車との間で物品が出し入れ可能に設けられた第一ストッカと、
前記第二領域を走行する前記第二走行車との間で物品が出し入れ可能に設けられた第二ストッカと、
前記走行レールの延在方向に沿って前記第一ストッカと前記第二ストッカとの間に配置され、前記共有領域に位置する前記第一走行車及び前記第二走行車を収容可能なメンテナンス領域と、を備える、ストッカシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一側面は、走行車システムに関する。
【背景技術】
【0002】
物品を搬送する走行車(スタッカクレーン)を備える自動倉庫が知られている。例えば特許文献1には、第一走行車及び第二走行車の二台が一本の走行レールを走行し、二台の走行車のそれぞれが走行する走行領域と、二台の走行車の両方が乗り入れる共有領域と、が設けられた自動倉庫が開示されている。このような共有領域においては、第一走行車及び第二走行車の一方が第一走行車及び第二走行車の他方の走行領域に侵入しないように自己の走行位置を検知する必要がある。
【0003】
そこで、このような走行車には、自己の走行位置を検知するためのロータリエンコーダが設けられている。例えば、特許文献1の物品保管設備には、走行レールにチェーン(被検知部)が設けられており、走行車は、ロータリエンコーダ(検知部)のスプロケットが当該チェーンに歯合された状態で走行し、走行時のスプロケットの回転を検知することで自己の走行位置を検知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4089154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような走行車が走行する走行レールを工場等の現場に設置する場合、1本の走行レールを設置するよりも分割された複数の走行レールを繋げる方が、走行レール間の隙間によって、走行レールが設置される現場寸法と製品寸法との誤差を吸収できる点で好ましい。一方、走行レールに沿って一方向に延在するチェーン等の被検知部は、走行方向に隙間をあけて設置するとロータリエンコーダとの歯合が外れるので自己位置を検知することができない。したがって、走行車が走行する走行レールを複数の走行レール部材から構成する場合において、第一走行車及び第二走行車が、自己位置を適切に検知するためには、一定の工夫が必要となる。
【0006】
そこで、本発明の一側面の目的は、走行レールが設置される現場寸法と製品寸法との誤差を吸収できると共に、第一走行車及び第二走行車が自己位置を適切に検知できる走行車システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る走行車システムは、水平方向に延在する第一レール部材と第二レール部材とを有する走行レールと、走行レールを走行する第一走行車及び第二走行車と、第一レール部材に設けられ、走行レールの延在方向に沿って延在する第一被検知部と、第二レール部材に設けられ、走行レールの延在方向に沿って延在する第二被検知部と、第一走行車に設けられ、第一被検知部を検知する第一検知部と、第二走行車に設けられ、第二被検知部を検知する第二検知部と、を備え、走行レールに沿って、第一走行車が走行可能かつ第二走行車が走行不能な第一領域と、第二走行車が走行可能かつ第一走行車が走行不能な第二領域と、第一領域と第二領域との間に設けられると共に第一走行車及び第二走行車の両方が走行可能な共有領域と、が形成され、共有領域には、第一レール部材と第二レール部材とが隙間を介して又は互いに接触した状態で接続される接続部分が設けられており、共有領域において第一走行車が第一レール部材の接続部分側の端部である第一位置に位置するとき、第一被検知部は第一検知部によって検知可能な位置に配置されると共に、第二被検知部は第一検知部によって検知不能な位置に配置されており、共有領域において第二走行車が第二レール部材の接続部分側の端部である第二位置に位置するとき、第二被検知部は第二検知部によって検知可能な位置に配置されると共に、第一被検知部は第二検知部によって検知不能な位置に配置されている。
【0008】
この構成によれば、第一レール部材と第二レール部材とによって走行レールが形成される。これにより、走行レールを配置するときには、現場の寸法に合わせて、第一レール部材と第二レール部材との間に隙間を設けることができるので、製品寸法との誤差を吸収できる。また、この構成では、共有領域において第一走行車が第一レール部材の端部に位置することと、第二走行車が第二レール部材の端部に位置することとを検知できる。走行レールが設置される現場寸法と製品寸法との誤差を吸収できると共に、第一走行車及び第二走行車が自己位置を適切に検知できる。
【0009】
本発明の一側面に係る走行車システムでは、第一被検知部及び第二被検知部は、走行レールの延在方向に互いに重複しないように配置されていてもよい。この構成によれば、第一被検知部及び第二被検知部の設置スペースを小さくすることができる。
【0010】
本発明の一側面に係る走行車システムでは、第一被検知部及び第二被検知部は、走行レールの延在方向に沿って一直線上に配置されていてもよい。この構成によれば、第一レール部材に取り付けられる第一被検知部からなるユニットと、第二レール部材に取り付けられる第二被検知部からなるユニットとを共通化することができる。
【0011】
本発明の一側面に係る走行車システムでは、第一検知部及び第二検知部は、エンコーダであり、第一被検知部及び第二被検知部は、エンコーダに取り付けられた歯車に歯合するラックであってもよい。この走行車システムによれば、第一検知部、第二検知部、第一被検知部、及び第二被検知部を容易に構成することができる。
【0012】
本発明の一側面に係る走行車システムは、第一検知部の検知結果に基づいて、第一走行車が第一位置に位置することを判断すると共に、第二検知部の検知結果に基づいて、第二走行車が第二位置に位置することを判断する第一制御部を更に備え、第一制御部は、第一走行車が第一位置を超えて第二領域に侵入しないように制御すると共に、第二走行車が第二位置を超えて第一領域に侵入しないように制御してもよい。この構成では、第一走行車及び第二走行車の一方が、共有領域から第一走行車及び第二走行車の他方の走行領域に侵入することを防止できる。
【0013】
本発明の一側面に係る走行車システムは、第三被検知部を検知する第三検知部と、第四被検知部を検知する第四検知部と、を更に備え、第三検知部及び第三被検知部の一方は、第一走行車及び共有領域の一方に設けられ、第三検知部及び第三被検知部の他方は、第一走行車及び共有領域の他方に設けられ、第四検知部及び第四被検知部の一方は、第二走行車及び共有領域の一方に設けられ、第四検知部及び第四被検知部の他方は、第二走行車及び共有領域の他方に設けられ、共有領域において第一走行車が第一レール部材の接続部分側の端部である第一位置に位置するとき、第三被検知部は第三検知部によって検知可能な位置に配置されると共に、第四被検知部は第三検知部によって検知不能な位置に配置されており、共有領域において第走行車が第二レール部材の接続部分側の端部である第二位置に位置するとき、第四被検知部は第四検知部によって検知可能な位置に配置されると共に、第三被検知部は第四検知部によって検知不能な位置に配置されていてもよい。
【0014】
この構成によれば、共有領域において第一走行車が第一レール部材の端部に位置することと、第二走行車が第二レール部材の端部に位置することとを検知できる。これにより、走行レールが設置される現場寸法と製品寸法との誤差を吸収できると共に、第一走行車及び第二走行車が自己位置をより適切に検知できる。
【0015】
本発明の一側面に係る走行車システムでは、水平方向に延在する第一レール部材と第二レール部材とを有する走行レールと、走行レールを走行する第一走行車及び第二走行車と、第三被検知部を検知する第三検知部と、第四被検知部を検知する第四検知部と、を備え、走行レールに沿って、第一走行車が走行可能かつ第二走行車が走行不能な第一領域と、第二走行車が走行可能かつ第一走行車が走行不能な第二領域と、第一領域と第二領域との間に設けられると共に第一走行車及び第二走行車の両方が走行可能な共有領域と、が形成され、共有領域には、第一レール部材と第二レール部材とが隙間を介して又は互いに接触した状態で接続される接続部分が設けられており、第三検知部及び第三被検知部の一方は、第一走行車及び共有領域の一方に設けられ、第三検知部及び第三被検知部の他方は、第一走行車及び共有領域の他方に設けられ、第四検知部及び第四被検知部の一方は、第二走行車及び共有領域の一方に設けられ、第四検知部及び第四被検知部の他方は、第二走行車及び共有領域の他方に設けられ、共有領域において第一走行車が第一レール部材の接続部分側の端部である第一位置に位置するとき、第三被検知部は第三検知部によって検知可能な位置に配置されると共に、第四被検知部は第三検知部によって検知不能な位置に配置されており、共有領域において第走行車が前記第二レール部材の接続部分側の端部である第二位置に位置するとき、第四被検知部は第四検知部によって検知可能な位置に配置されると共に、第三被検知部は第四検知部によって検知不能な位置に配置されている。
【0016】
この構成によれば、第一レール部材と第二レール部材とによって走行レールが形成される。これにより、走行レールを配置するときには、現場の寸法に合わせて、第一レール部材と第二レール部材との間に隙間を設けることができるので、製品寸法との誤差を吸収できる。また、この構成では、共有領域において第一走行車の走行を第一レール部材の端部で停止させ、第二走行車の走行を第二レール部材の端部で停止させることができる。これにより、走行レールが設置される現場寸法と製品寸法との誤差を吸収できると共に、第一走行車及び第二走行車が自己位置を適切に検知できる。
【0017】
本発明の一側面に係る走行車システムでは、第三検知部は第一走行車に設けられ、第三被検知部は共有領域に設けられ、第四検知部は第二走行車に設けられ、第四被検知部は共有領域に設けられていてもよい。この構成では、走行車側に設けられた検知部の検知結果を直接走行台車に設けられる第二制御部に伝達することによって走行制御することができる。また、各走行車において自己の走行台車の状態を検知するため、検知結果を他の走行車と取り違えることがない。
【0018】
本発明の一側面に係る走行車システムでは、第検知部及び第検知部は、センサであり、第被検知部及び第被検知部は、センサによって検知されるドグであってもよい。この走行車システムによれば、第検知部、第検知部、第被検知部、及び第被検知部を容易に構成することができる。
【0019】
本発明の一側面に係る走行車システムは、第三検知部の検知結果に基づいて、第一走行車の走行を停止させると共に、第四検知部の検知結果に基づいて、第二走行車の走行を停止させる第二制御部を更に備えてもよい。この構成では、第一走行車及び第二走行車の一方が、共有領域から第一走行車及び第二走行車の他方の走行領域に侵入することを防止できる。
【0020】
本発明の一側面に係るストッカシステムは、上記の走行車システムと、第一領域を走行する第一走行車との間で物品が出し入れ可能に設けられた第一ストッカと、第二領域を走行する第二走行車との間で物品が出し入れ可能に設けられた第二ストッカと、走行レールの延在方向に沿って第一ストッカと第二ストッカとの間に配置され、共有領域に位置する第一走行車及び第二走行車を収容可能なメンテナンス領域と、を備えている。この構成では、複数のストッカと複数の走行車とを有する自動倉庫等に走行車システムが適用される。これにより、走行レールが設置される現場寸法と製品寸法との誤差を吸収できると共に、第一走行車及び第二走行車が自己位置を適切に検知できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一側面によれば、走行レールが設置される現場寸法と製品寸法との誤差を吸収できると共に、第一走行車及び第二走行車が自己位置を適切に検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、一実施形態のストッカシステムの正面から見た断面図である。
図2図2は、図1に示されるストッカの物品収容領域をスタッカクレーンの走行方向から見た断面図である。
図3図3は、図1のストッカに含まれるスタッカクレーンの斜視図である。
図4図4(A)は上部走行レールの接続部分付近を拡大した側面図、図4(B)は下部走行レールの接続部分付近を拡大した側面図である。
図5図5(A)~図5(C)は、スタッカクレーンの走行位置を検知する構成の説明する説明図である。
図6図6は、スタッカクレーンの走行部を下方から見た斜視図である。
図7図7は、スタッカクレーンの補助走行部を上方から見た斜視図である。
図8図8は、下部走行レールに固定される第一下ドグ及び第二下ドグを見た斜視図である。
図9図9は、上部走行レールに固定される第一上ドグ及び第二上ドグを見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しつつ実施形態について詳細に説明する。なお、同一又は相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0024】
図1に示されるように、ストッカシステム1は、二つのストッカ(第一ストッカ)2A及びストッカ(第二ストッカ)2Bと、一実施形態の走行車システム10と、を含んで構成されている。
【0025】
図1及び図2に示されるように、ストッカ2A,2Bには、例えば、搬送装置によって搬送されてきた物品が保管される。物品は、例えば、半導体製造装置又は液晶製造装置等で処理されるウエハを収容するFOUP(Front-Opening Unified Pod)、及び半導体製造装置又は液晶製造装置等で用いられるレチクルを収容するレチクルポッド等の容器である。ストッカ2A,2Bは、ストッカ本体3と、ラック4A,4Bと、を有している。
【0026】
ストッカシステム1においては、二つのストッカ2A,2Bが、スタッカクレーン7(第一スタッカクレーン7A及び第二スタッカクレーン7B)の走行方向に配列されている。ストッカ本体3は、一方向に延在する所定の領域を囲う筐体状(例えば、中空の直方体状)に形成されている。ストッカ本体3の外形は、図示しないフレームとパネルとによって構成されている。ストッカ本体3は、ストッカ本体3の外側の床面GLよりも低い位置に、ストッカ本体3の内部領域の一部である床下領域3Sが形成されている。
【0027】
ストッカ2Aのストッカ本体3は、ラック4A,4Bを収容する物品収容領域(第一領域)11Aと、スタッカクレーン7の走行方向においてストッカ2Aの両端にメンテナンス領域12A,12Bと、を形成している。ストッカ2Bのストッカ本体3は、ラック4A,4Bを収容する物品収容領域(第二領域)11Bと、スタッカクレーン7の走行方向においてストッカ2Bの両端にメンテナンス領域12B,12Cと、を形成している。なお、図1におけるメンテナンス領域(共有領域)12Bは、ストッカ2Aの右端のメンテナンス領域と、ストッカ2Bの左端のメンテナンス領域とを共用している。
【0028】
物品収容領域11Aは、第一スタッカクレーン7Aが走行可能かつ第二スタッカクレーン7Bが走行不能な領域である。物品収容領域11Bは、第二スタッカクレーン7Bが走行可能かつ第一スタッカクレーン7Aが走行不能な領域である。メンテナンス領域12Bは、物品収容領域11Aと物品収容領域11Bとの間に設けられると共に第一スタッカクレーン7A及び第二スタッカクレーン7Bの両方が走行可能な領域である。
【0029】
図4図7に示されるように、走行車システム10は、下部走行レール(走行レール)31と、上部走行レール(走行レール)32と、第一スタッカクレーン(第一走行車)7Aと、第二スタッカクレーン(第二走行車)7Bと、第一下ラック(第一被検知部)35A及び第一上ラック(第一被検知部)35Bと、第二下ラック(第二被検知部)36A及び第二上ラック(第二被検知部)36Bと、第一下エンコーダ(第一検知部)85A及び第一上エンコーダ(第一検知部)85Bと、第二下エンコーダ(第二検知部)87A及び第二上エンコーダ(第二検知部)87Bと、を備える。
【0030】
図1に示されるように、下部走行レール31は、水平方向に延在する第一レール部材31Aと第二レール部材31Bとを有する。下部走行レール31は、地面に直接取り付けられたり、支持部材を介して取り付けられたりする。上部走行レール32は、水平方向に延在する第一レール部材32Aと第二レール部材32Bとを有する。上部走行レール32は、天井等に直接取り付けたり、吊り下げ部材を介して取り付けられたりする。下部走行レール31及び上部走行レール32は、ストッカ本体3の内部に配置され、鉛直方向に対向するように配置されている。
【0031】
図1及び図4に示されるように、第一レール部材31Aと第二レール部材31Bとは、隙間Gを介して又は互いに接触した状態で接続されている。第一レール部材32Aと第二レール部材32Bとは、隙間Gを介して又は互いに接触した状態で接続されている。これらの接続部分は、メンテナンス領域12Bに設けられている。
【0032】
図3及び図6に示されるように、スタッカクレーン7のそれぞれは、走行部71、マスト72、昇降台75、及び補助走行部90を備えている。走行部71は、走行用モータ78及び昇降用モータ82を有している。
【0033】
走行部71は、下部走行レール31に沿って走行する。走行部71は、下部走行レール31の側面を挟み込んだ状態で転動する一対の駆動輪71A,71Aと一対の従動輪71B,71Bとを含んでいる。走行用モータ78は、駆動輪71A,71Aの駆動源である。昇降用モータ82は、昇降台75の駆動源である。マスト72は、走行部71の上部に立設されている。昇降台75には、図示しない移載装置が搭載されており、この移載装置によって棚Sとの間で物品を移載すると共に、入出庫ポートとの間で物品を移載する。
【0034】
補助走行部90は、上部走行レール32に沿って走行する。補助走行部90は、上部走行レール32を挟み込んだ状態で転動する一対の駆動輪90A,90Aと一対の従動輪90B,90Bとを含んでいる。
【0035】
図1に示されるように、本実施形態の走行車システム10は、第一レール部材31A及び第一レール部材32Aを走行する第一スタッカクレーン(第一走行車)7Aと、第二レール部材31B及び第二レール部材32Bを走行する第二スタッカクレーン(第二走行車)7Bと、第一レール部材31A及び第一レール部材32Aを走行する第三スタッカクレーン7Cと、第二レール部材31B及び第二レール部材32Bを走行する第四スタッカクレーン7Dと、を備える。
【0036】
図1及び図2に示されるように、一つのストッカ2A,2Bの内部のそれぞれには、二台のスタッカクレーン7が走行する。本実施形態では、ストッカ2Aの内部を第一スタッカクレーン7Aと第三スタッカクレーン7Cとが走行し、ストッカ2Bの内部を第二スタッカクレーン7Bと第四スタッカクレーン7Dとが走行する。第一スタッカクレーン7A及び第三スタッカクレーン7Cのそれぞれは、第一レール部材31A及び第一レール部材32Aに沿って走行し、棚Sと入出庫ポートとの間で物品を搬送し、棚Sに対して物品の移載(荷積み及び荷下ろし)を行う。第二スタッカクレーン7B及び第四スタッカクレーン7Dのそれぞれは、第二レール部材31B及び第二レール部材32Bに沿って走行し、棚Sと入出庫ポートとの間で物品を搬送し、棚Sに対して物品の移載を行う。
【0037】
図4(B)に示されるように、第一下ラック35Aは、第一レール部材31Aに設けられ、下部走行レール31の延在方向に沿って延在する。第一下ラック35Aは、第一下エンコーダ85A(図5(C)参照)に取り付けられたスプロケット(歯車)(図示せず)に歯合する歯形が形成されている。図4(A)に示されるように、第一上ラック35Bは、第一レール部材32Aに設けられ、上部走行レール32の延在方向に沿って延在する。第一上ラック35Bは、第一上エンコーダ85B(図5(C)参照)に取り付けられたスプロケット(歯車)(図示せず)に歯合する歯形が形成されている。
【0038】
図4(B)に示されるように、第二下ラック36Aは、第二レール部材31Bに設けられ、下部走行レール31の延在方向に沿って延在する。第二下ラック36Aは、第二下エンコーダ87A(図6参照)に取り付けられたスプロケット(歯車)88Aに歯合する歯形が形成されている。図4(A)に示されるように、第二上ラック36Bは、第二レール部材32Bに設けられ、上部走行レール32の延在方向に沿って延在する。第二上ラック36Bは、第二上エンコーダ87B(図7参照)に取り付けられたスプロケット(歯車)88Bに歯合する歯形が形成されている。
【0039】
図6に示されるように、第一下ラック35A及び第二下ラック36Aは、下部走行レール31の延在方向に互いに重複しないように配置されている。また、第一下ラック35A及び第二下ラック36Aは、下部走行レール31の延在方向に沿って一直線上に配置されている。図7に示されるように、第一上ラック35B及び第二上ラック36Bは、上部走行レール32の延在方向に互いに重複しないように配置されている。また、第一上ラック35B及び第二上ラック36Bは、上部走行レール32の延在方向に沿って一直線上に配置されている。
【0040】
図5(C)に示されるように、第一下エンコーダ85Aは、第一スタッカクレーン7Aに設けられ、第一下ラック35Aを検知する。より詳細には、第一下エンコーダ85Aは、第一下ラック35Aに歯合するスプロケット(図示せず)の回転数を検知する。第一上エンコーダ85Bは、第一スタッカクレーン7Aに設けられ、第一上ラック35Bを検知する。より詳細には、第一上エンコーダ85Bは、第一上ラック35Bに歯合するスプロケット(図示せず)の回転数を検知する。
【0041】
図6に示されるように、第二下エンコーダ87Aは、第二スタッカクレーン7Bに設けられ、第二下ラック36Aを検知する。より詳細には、第二下エンコーダ87Aは、第二下ラック36Aに歯合するスプロケット88Aの回転数を検知する。図7に示されるように、第二上エンコーダ87Bは、第二スタッカクレーン7Bに設けられ、第二上ラック36Bを検知する。より詳細には、第二上エンコーダ87Bは、第二上ラック36Bに歯合するスプロケット88Bの回転数を検知する。
【0042】
図5(C)に示されるように、本実施形態の走行車システム10では、メンテナンス領域12Bにおいて第一スタッカクレーン7Aが第一レール部材31A及び第一レール部材32Aの接続部分側の端部(接続部分に面する端部)である第一位置P1に位置するとき、第一下ラック35Aは、第一下エンコーダ85Aによって検知可能な位置に配置され、第一上ラック35Bは、第一上エンコーダ85Bによって検知可能な位置に配置され、第二下ラック36Aは、第一下エンコーダ85Aによって検知不能な位置に配置され、第二上ラック36Bは、第一上エンコーダ85Bによって検知不能な位置に配置されている。
【0043】
図5(B)に示されるように、本実施形態の走行車システム10では、メンテナンス領域12Bにおいて第二スタッカクレーン7Bが第二レール部材31B及び第二レール部材32Bの接続部分側の端部(接続部分に面する端部)である第二位置P2に位置するとき、第二下ラック36Aは、第二下エンコーダ87Aによって検知可能な位置に配置され、第二上ラック36Bは、第二上エンコーダ87Bによって検知可能な位置に配置され、第一下ラック35Aは、第二下エンコーダ87Aによって検知不能な位置に配置され、第一上ラック35Bは、第二上エンコーダ87Bによって検知不能な位置に配置されている。
【0044】
図1に示されるように、ストッカ2Aとメンテナンス領域12Bとの境界部及びストッカ2Bとメンテナンス領域12Bとの境界部には、シャッタ13が設けられている。シャッタ13は、物品収容領域11Aとメンテナンス領域12Bとの間を第一スタッカクレーン7Aが行き来できる開状態、又は物品収容領域11Aとメンテナンス領域12Bとの間を遮蔽し、物品収容領域11Aとメンテナンス領域12Bとの間を第一スタッカクレーン7Aが行き来できない閉状態となるように開閉することができる。同様に、シャッタ13は、物品収容領域11Bとメンテナンス領域12Bとの間を第二スタッカクレーン7Bが行き来できる開状態、又は物品収容領域11Bとメンテナンス領域12Bとの間を遮蔽し、物品収容領域11Bとメンテナンス領域12Bとの間を第二スタッカクレーン7Bが行き来できない閉状態となるように開閉することができる。
【0045】
図1に示されるように、ストッカシステム1には、それぞれのストッカ2A,2Bの内部に配備される四台のスタッカクレーン7等の走行を制御するコントローラ(第一制御部・第二制御部)10Aが設けられている。ストッカ2A,2Bの内部に配備される四台のスタッカクレーン7は、当該コントローラによる制御によって、ラック4A,4Bの棚Sに物品を載置したり、棚Sから物品を取り出したりする。
【0046】
本実施形態のコントローラ10Aは、第一下エンコーダ85A及び第一上エンコーダ85Bの検知結果に基づいて、第一スタッカクレーン7Aが第一位置P1に位置することを判断すると共に、第二下エンコーダ87A及び第二上エンコーダ87Bの検知結果に基づいて、第二スタッカクレーン7Bが第二位置P2に位置することを判断する。
【0047】
より詳細には、コントローラ10Aは、第一位置P1に位置するときに検出する第一下エンコーダ85A及び/又は第一上エンコーダ85Bの回転数に基づいて、第一スタッカクレーン7Aが第一位置P1に位置することを判断する。また、コントローラ10Aは、第二位置P2に位置するときに検出する第二下エンコーダ87A及び/又は第二上エンコーダ87Bの回転数に基づいて、第二スタッカクレーン7Bが第二位置P2に位置することを判断する。
【0048】
より詳細には、更にコントローラ10Aは、上述した第一位置P1及び第二位置P2に位置することの判断に基づいて、第一スタッカクレーン7Aが第一位置P1を超えてストッカ2Bに侵入しないように制御すると共に、第二スタッカクレーン7Bが第二位置P2を超えてストッカ2Aに侵入しないように制御する。
【0049】
次に、本実施形態のストッカシステム1の作用効果について説明する。本実施形態のストッカシステム1によれば、第一レール部材31Aと第二レール部材31Bとによって下部走行レール31が形成され、第一レール部材32Aと第二レール部材32Bとによって上部走行レール32が形成される。これにより、下部走行レール31及び上部走行レール32を配置するときには、現場の寸法に合わせて、第一レール部材31Aと第二レール部材31Bとの間、第一レール部材32Aと第二レール部材32Bとの間に隙間Gを設けることができるので、製品寸法との誤差を吸収できる。
【0050】
本実施形態の走行車システム10によれば、メンテナンス領域12Bにおいて第一スタッカクレーン7Aが第一レール部材31A及び第一レール部材32Aの端部に位置することと、第二スタッカクレーン7Bが第二レール部材31B及び第二レール部材32Bの端部に位置することとを検知できる。これにより、第一スタッカクレーン7A及び第二スタッカクレーン7Bが自己位置を適切に検知できる。
【0051】
本実施形態の走行車システム10によれば、第一下ラック35A及び第二下ラック36Aと、第一上ラック35B及び第二上ラック36Bが、下部走行レール31及び上部走行レール32の延在方向に互いに重複しないように配置されている。これにより、第一下ラック35A、第二下ラック36A、第一上ラック35B、及び第二上ラック36Bの設置スペースを小さくすることができる。
【0052】
本実施形態の走行車システム10によれば、第一下ラック35A及び第二下ラック36Aは、下部走行レール31の延在方向に沿って一直線上に配置され、第一上ラック35B及び第二上ラック36Bは、上部走行レール32の延在方向に沿って一直線上に配置されている。この構成によれば、第一レール部材31Aに取り付けられる第一下ラック35Aからなるユニットと、第二レール部材31Bに取り付けられる第二下ラック36Aからなるユニットとを共通化することができる。また、第一レール部材32Aに取り付けられる第一上ラック35Bからなるユニットと、第二レール部材32Bに取り付けられる第二上ラック36Bからなるユニットとを共通化することができる。
【0053】
本実施形態では、複数のストッカ2A,2Bと複数のスタッカクレーン7とを備えるストッカシステム1に走行車システム10が適用されている。これにより、下部走行レール31及び上部走行レール32を配置するときには、現場の寸法に合わせて、第一レール部材31Aと第二レール部材31Bとの間、第一レール部材32Aと第二レール部材32Bとの間に隙間Gを設けることができるので、製品寸法との誤差を吸収できる。また、第一スタッカクレーン7Aが、メンテナンス領域12Bから第二スタッカクレーン7Bの走行領域(ストッカ2B)に侵入することを防止でき、第二スタッカクレーン7Bが、メンテナンス領域12Bから第一スタッカクレーン7Aの走行領域(ストッカ2A)に侵入することを防止できる。
【0054】
以上、一実施形態について説明したが、本発明の一側面は、上記実施形態に限られるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0055】
上記実施形態では、第一下ラック35A及び第一上ラック35Bと、第二下ラック36A及び第二上ラック36Bと、第一下エンコーダ85A及び第一上エンコーダ85Bと、第二下エンコーダ87A及び第二上エンコーダ87Bと、を備える例を挙げて説明したが、この構成に代えて又は加えて、図8及び図9に示されるように、第一下ドグ(第三被検知部)37A及び第一上ドグ(第三被検知部)38Aと、第二下ドグ(第四被検知部)37B及び第二上ドグ(第四被検知部)38Bと、第一下センサ(図示せず)(第三検知部)及び第一上センサ(第三検知部)(図示せず)と、第二下センサ(第四検知部)93及び第二上センサ(第四検知部)94と、が設けられている。
【0056】
図8に示されるように、第一下ドグ37Aは第一レール部材31Aに固定され、第二下ドグ37Bは第二レール部材31Bに固定されている。図9に示されるように、第一上ドグ38Aは第一レール部材32Aに固定され、第二上ドグ38Bは第二レール部材32Bに固定されている。第一下センサは、ブラケットを介して第一スタッカクレーン7Aの走行部71に取り付けられ、第二下センサ93は、ブラケット93Aを介して第二スタッカクレーン7Bの走行部71に取り付けられている。第一上センサは第一スタッカクレーン7Aの補助走行部90に固定され、第二上センサ94は第二スタッカクレーン7Bの補助走行部90に固定されている。第一下ドグ37Aを検出する第一下センサ、第一上ドグ38Aを検出する第一上センサ、第二下ドグ37Bを検出する第二下センサ93、及び第二上ドグ38Bを検出する第二上センサ94の例は、近接センサ又は光センサ等である。
【0057】
そして、変形例に係るストッカシステム1では、コントローラ(第一制御部・第二制御部)10Aは、第一下センサ及び第一上センサの検知結果に基づいて、第一スタッカクレーン7Aの走行を停止させると共に、第二下センサ93及び第二上センサ94の検知結果に基づいて、第二スタッカクレーン7Bの走行を停止させる。
【0058】
上記実施形態に構成に代えて第一下ドグ37A及び第一上ドグ38Aと、第二下ドグ37B及び第二上ドグ38Bと、第一下センサ及び第一上センサと、第二下センサ93及び第二上センサ94と、が設けられる構成では、メンテナンス領域12Bにおいて第一スタッカクレーン7Aが第一レール部材31A及び第一レール部材32Aの端部に位置することと、第二スタッカクレーン7Bが第二レール部材31B及び第二レール部材32Bの端部に位置することとを検知できる。
【0059】
更にこの変形例に係る構成では、メンテナンス領域12Bにおいて第一スタッカクレーン7Aの走行を第一レール部材31A及び第一レール部材32Aの端部で停止させ、第二スタッカクレーン7Bの走行を第二レール部材31B及び第二レール部材32Bの端部で停止させることができる。これにより、第一スタッカクレーン7Aが、メンテナンス領域12Bから第二スタッカクレーン7Bの走行領域(ストッカ2B)に侵入することを防止でき、第二スタッカクレーン7Bが、メンテナンス領域12Bから第一スタッカクレーン7Aの走行領域(ストッカ2A)に侵入することを防止できる。
【0060】
上記実施形態に構成に加えて第一下ドグ37A及び第一上ドグ38Aと、第二下ドグ37B及び第二上ドグ38Bと、第一下センサ及び第一上センサと、第二下センサ93及び第二上センサ94と、が設けられる構成では、何らかの要因で第一スタッカクレーン7A又は第二スタッカクレーン7Bの走行位置が正確に取得できなかった場合でも、第一スタッカクレーン7Aが、メンテナンス領域12Bから第二スタッカクレーン7Bの走行領域(ストッカ2B)に侵入することを防止でき、第二スタッカクレーン7Bが、メンテナンス領域12Bから第一スタッカクレーン7Aの走行領域(ストッカ2A)に侵入することを防止できる。
【0061】
上記実施形態及び変形例では、下部走行レール31及び上部走行レール32の両方のそれぞれに、第一下ラック35A及び第一上ラック35Bと、第二下ラック36A及び第二上ラック36Bと、が設けられている例を挙げて説明したが、この構成に限定されない。例えば、下部走行レール31及び上部走行レール32の一方に第一下ラック35A及び第一上ラック35B、又は第二下ラック36A及び第二上ラック36Bが設けられてもよい。下部走行レール31に第一下ラック35A及び第二下ラック36Aが設けられる構成の場合には、第一スタッカクレーン7Aに第一下エンコーダ85Aを設け、第二スタッカクレーン7Bに第二下エンコーダ87Aを設ければよい。また、上部走行レール32に第一上ラック35B及び第二上ラック36Bが設けられる構成の場合には、第一スタッカクレーン7Aに第一上エンコーダ85Bを設け、第二スタッカクレーン7Bに第二上エンコーダ87Bを設ければよい。
【0062】
上記実施形態及び変形例では、第一レール部材31Aと第二レール部材31Bとの間、及び第一レール部材32Aと第二レール部材32Bとの間に隙間Gが設けられる例を挙げて説明したが、隙間Gを設けることなく互いが接触するように設けられてもよい。また、第一レール部材31Aを複数の部材に分割し、部材同士間に隙間を設けてもよい。同様に、第一レール部材31A、第二レール部材31B、及び第二レール部材32Bも、複数の部材に分割し、部材同士間に隙間を設けてもよい。この構成では、より柔軟に走行レールが設置される現場寸法と製品寸法との誤差を吸収できる。
【0063】
なお、第一レール部材31Aを複数の部材に分割する場合には、第一下ラック35Aは、複数の部材が現場に据え付けられた後、複数の部材を跨ぐように取り付けられる。第一レール部材32A、第二レール部材31B、及び第二レール部材32Bを複数の部材に分割する場合も同様であり、第一上ラック35B、第二下ラック36A及び第二上ラック36Bのそれぞれも、同様の要領でそれぞれの複数の部材に取り付けられる。
【0064】
このように第一レール部材31A,32A及び/又は第二レール部材31B,32Bのそれぞれに複数の隙間が設けられる場合であっても、第一レール部材31Aと第二レール部材31Bとの接続部分となる隙間G及び第一レール部材32Aと第二レール部材32Bとの接続部分に該当する隙間Gは一箇所である。すなわち、メンテナンス領域12Bにおける第一レール部材31A,32Aの接続部分側端部(第一位置P1)とは、上述した1箇所の隙間Gに面する端部であり、第一レール部材31A,32Aにおける第一スタッカクレーン7Aの走行可能範囲の端部でもある。また、メンテナンス領域12Bにおける第二レール部材31B,32Bの接続部分側端部(第二位置P2)とは、上述した1箇所の隙間Gに面する端部であり、第二レール部材31B,32Bにおける第二スタッカクレーン7Bの走行可能範囲の端部でもある。
【0065】
上記変形例では、第一スタッカクレーン7A及び第二スタッカクレーン7Bに検知部である第二下センサ93及び第二上センサ94が設けられ、下部走行レール31及び上部走行レール32に被検知部である第一下ドグ37A、第二下ドグ37B、第一上ドグ38A、及び第二上ドグ38Bが設けられる例を挙げて説明したが、第一スタッカクレーン7A及び第二スタッカクレーン7Bに被検知部が設けられ、下部走行レール31及び上部走行レール32に検知部が設けられてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1…ストッカシステム、2A…ストッカ(第一ストッカ)、2B…ストッカ(第一ストッカ)、7A…第一スタッカクレーン、7B…第二スタッカクレーン、10…走行車システム、10A…コントローラ(第一制御部・第二制御部)、11A…物品収容領域(第一領域)、11B…物品収容領域(第二領域)、12B…メンテナンス領域(共有領域)、31…下部走行レール(走行レール)、31A,32A…第一レール部材、31B,32B…第二レール部材、32…上部走行レール(走行レール)、35A…第一下ラック(第一被検知部)、35B…第一上ラック(第一被検知部)、36A…第二下ラック(第二被検知部)、36B…第二上ラック(第二被検知部)、37A…第一下ドグ(第三被検知部)、37B…第二下ドグ(第四被検知部)、38A…第一上ドグ(第三被検知部)、38B…第二上ドグ(第四被検知部)、85A…第一下エンコーダ(第一検知部)、85B…第一上エンコーダ(第一検知部)、87A…第二下エンコーダ(第二検知部)、87B…第二上エンコーダ(第二検知部)、93…第二下センサ(第四検知部)、94…第二上センサ(第四検知部)、G…隙間、P1…第一位置、P2…第二位置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9