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特許7367920保管庫管理装置および保管庫管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】保管庫管理装置および保管庫管理システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20231017BHJP
   B65G 1/00 20060101ALN20231017BHJP
【FI】
B65G1/137 A
B65G1/00 521A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019138280
(22)【出願日】2019-07-26
(65)【公開番号】P2021020775
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000114891
【氏名又は名称】ヤマト科学株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000132194
【氏名又は名称】株式会社スズケン
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】安藤 井達
(72)【発明者】
【氏名】立花 弘之
(72)【発明者】
【氏名】百瀬 八州
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-177463(JP,A)
【文献】米国特許第05805451(US,A)
【文献】特開2000-130918(JP,A)
【文献】特開2006-099729(JP,A)
【文献】特開2008-254865(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00-1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保管対象物を保管するための市販の冷蔵庫に後付け可能とされる保管庫管理装置であって、
前記保管対象物が出し入れされる前記市販の冷蔵庫の開口部の周辺部分に沿うようにして取り付け可能に構成された本体と、
前記本体内に設けられ、前記保管対象物の出し入れに伴って、前記保管対象物に予め付されたICタグのタグ情報を読み取るタグ情報読み取り部と、
前記本体内に設けられたアンテナ部と、
前記本体内に設けられ、前記アンテナ部を介して、前記タグ情報読み取り部で読み取った前記タグ情報に基づいて、前記市販の冷蔵庫で保管される前記保管対象物を管理する管理制御部と、
を備えることを特徴とする保管庫管理装置。
【請求項2】
前記タグ情報読み取り部は、前記保管対象物の物品情報が前記タグ情報として事前に登録された前記ICタグから、無線通信により前記タグ情報を非接触で読み取るRFIDシステムによって構成されることを特徴とする請求項1に記載の保管庫管理装置。
【請求項3】
前記本体は、さらに、外部通信ユニットを備えることを特徴とする請求項1に記載の保管庫管理装置。
【請求項4】
前記本体は、さらに、表示ユニットを備えることを特徴とする請求項1に記載の保管庫管理装置。
【請求項5】
前記市販の冷蔵庫が、スライド式の開閉扉を備えることを特徴とする請求項1に記載の保管庫管理装置。
【請求項6】
前記本体は、前記市販の冷蔵庫の前記開口部の周辺部分に対応する内側部分に沿って取り付け固定されることを特徴とする請求項1に記載の保管庫管理装置。
【請求項7】
前記本体が、前記市販の冷蔵庫の前記開口部の周辺部分に対応する外側部分に沿って取り付け固定されることを特徴とする請求項1に記載の保管庫管理装置。
【請求項8】
前記本体が、前記市販の冷蔵庫の前記開口部の縁部分に対応する上面に沿って取り付け固定されることを特徴とする請求項1に記載の保管庫管理装置。
【請求項9】
前記市販の冷蔵庫と、
前記請求項1から8のいずれか1項に記載の保管庫管理装置と、
を備え、
前記市販の冷蔵庫で保管される前記保管対象物の在荷情報を、前記保管庫管理装置で管理することを特徴とする保管庫管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFID(Radio Frequency IDentification)システムを用いて、冷蔵庫などの保管庫内に収納された物品(ワーク)を管理するための収納品管理機能を備えた保管庫管理装置および保管庫管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薬品などの保管対象物を物品として収納・保管する保管庫として、例えば特許文献1に記載されたような冷蔵庫が提案されている。
【0003】
この特許文献1に記載の冷蔵庫は、出入り口を通過する物品の種別を含む物品情報を検出することによって、庫外に一時的に取り出された物品をも適切に管理できるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3639408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、引用文献1に記載の冷蔵庫は、出し入れする物品の物品情報を検出するための物品情報読み取り装置を予め装備している分だけ、物品を単に収納・保管するだけの冷蔵庫よりも高価であった。
【0006】
そこで、保管された物品を容易に管理できる保管庫として、より安価なシステムの開発が望まれていた。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、既存の冷蔵庫に容易に適用でき、システムをより安価に構成することが可能な保管庫管理装置および保管庫管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するため、本発明の一態様の保管庫管理装置は、保管対象物を保管するための市販の冷蔵庫に後付け可能とされる保管庫管理装置であって、前記保管対象物が出し入れされる前記市販の冷蔵庫の開口部の周辺部分に沿うようにして取り付け可能に構成された本体と、前記本体内に設けられ、前記保管対象物の出し入れに伴って、前記保管対象物に予め付されたICタグのタグ情報を読み取るタグ情報読み取り部と、前記本体内に設けられたアンテナ部と、前記本体内に設けられ、前記アンテナ部を介して、前記タグ情報読み取り部で読み取った前記タグ情報に基づいて、前記市販の冷蔵庫で保管される前記保管対象物を管理する管理制御部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様の保管庫管理装置によれば、後付けによって、収納品管理のための保管庫管理装置を既存の冷蔵庫に簡単に取り付けられるようになる。これにより、市販されている安価な冷蔵庫を、そのまま保管庫として流用(転用)できるようになる。
【0010】
本発明の他の態様の保管庫管理システムは、前記市販の冷蔵庫と、前記のいずれかに記載の保管庫管理装置と、を備え、前記市販の冷蔵庫で保管される前記保管対象物の在荷情報を、前記保管庫管理装置で管理することを特徴とする。
【0011】
本発明の他の態様の保管庫管理システムによれば、システム化が容易であり、かつ、システムとしての低廉化が容易に可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、既存の冷蔵庫に容易に適用でき、システムをより安価に構成することが可能な保管庫管理装置および保管庫管理システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る保管庫管理装置を市販の冷蔵庫と組み合わせてシステム化するようにした場合を例示する概略正面図である。
図2図1に示した、保管庫管理装置を市販の冷蔵庫と組み合わせてシステム化するようにした場合を例示する概略斜視図である。
図3】冷蔵庫の内部を、開閉扉を透過した状態で示す概略構成図である。
図4図1に示した、保管庫管理装置を市販の冷蔵庫と組み合わせてシステム化するようにした場合の回路構成例を示すブロック図である。
図5】本発明の第2の実施の形態に係る保管庫管理装置を市販の冷蔵庫と組み合わせてシステム化するようにした場合を例示するもので、(a)は概略正面図であり、(b)は概略側面図である。
図6】本発明の第3の実施の形態に係る保管庫管理装置を市販の冷蔵庫と組み合わせてシステム化するようにした場合を例示するもので、冷蔵庫の内部を、開閉扉を透過した状態で示す概略構成図である。
図7】本発明の第4の実施の形態に係る保管庫管理装置を市販の平型ショーケースと組み合わせてシステム化するようにした場合を例示するもので、開閉扉を透過した状態で示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の態様として、いくつかの実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0015】
なお、後述する各実施の形態においては、保管庫として、薬品などが収容された複数のボトル状の容器(以下、ボトルと略記する)を、好ましくは4℃程度で保管するために、例えば2℃から6℃の温度範囲で運転可能な冷蔵庫を例示して説明する。
【0016】
また、各実施の形態においては、市販されている冷蔵庫(既製品)として、温度管理された状態で、連続運転が可能な最もベーシックなタイプの冷蔵庫を例示して説明するが、これに限定されるものではない。
【0017】
<第1の実施の形態>
[保管庫管理システムの全体構成]
図1および図2は、本発明の第1の実施の形態に係る保管庫管理装置を市販の冷蔵庫と組み合わせてシステム化するようにした場合を概略的に示すもので、図1は保管庫システム(保管庫管理システム)の正面図であり、図2は保管庫システムの斜視図である。また、図3は、市販の冷蔵庫が転用される保管庫1の内部構造を概略的に示すものである。
【0018】
図1図3において、本実施の形態に係る保管庫システムは、保管庫1と、該保管庫1とは別体として設けられると共に、本体99が保管庫1に取り付け可能に構成された保管庫管理装置としての管理装置(例えば、RFIDシステム)と、から構成されている。
【0019】
本実施の形態において、管理装置は、図示していないが本体99の取り付け部分が所定の取り付け機構によって、保管庫1の開口部10の周辺部分(開口部付近)における、例えば冷蔵庫本体2の外側部分に沿って後付けにより取り付け固定されている。つまり、管理装置の本体99は、保管庫1に対して、例えば第三者などが簡単には取り外すことができないように強固に固着されるようになっている。
【0020】
保管庫1は、好ましくは4℃程度の低温状態を維持するように、例えば、温度調整された状態で物品(保管対象物)である薬品などのボトルBを収納・保管できる冷蔵庫であって、既存の冷蔵庫を容易に転用することが可能である。
【0021】
すなわち、保管庫1は、開口部10を有する冷蔵庫本体2と、開口部10を開閉するスライド式の開閉扉3と、を備える。スライド式の開閉扉3は、例えば、図示していないシリンダ型の鍵(シリンダ鍵)と錠(シリンダ錠)とによって施解錠することが可能とされている。
【0022】
保管庫1は、シリンダ鍵の管理を徹底することによって、保管上のセキュリティ性が確保される。例えば、保管庫1が通常の連続運転を行っている際に、認証を受けた使用者(認証者)以外の非認証者または第三者が開閉扉3を開けられないようにすることによって、保管されているボトルBが勝手に取り出されるのを防止できる。
【0023】
冷蔵庫本体2は、少なくとも外周部分が樹脂などの成形部材によって形成されている。
【0024】
冷蔵庫本体2は、好ましくは箱型の筐体であり、外周部分としての、上面4と、下面(底面)5と、左右の側面6,7と、背面(裏面)8と、前面(開口面)9と、を有している。また、冷蔵庫本体2は、図3に示すように、内部に収納室20を有する。
【0025】
収納室20は、ほぼ直方体形状とされて、上面20A、下面(底面)20B、左右の側面20C,20D、および、背面20Eを有する。なお、収納室20の前面は、開閉扉3の裏面(内側)となっている。
【0026】
冷蔵庫本体2には、図3に示すように、収納室20内の温度調整を行うための温度調整空気導入経路30が、収納室20の内面に沿って設けられている。温度調整空気導入経路30は、温度調整を効率良く行うために、後述する温度調整器31からの温度調整空気を収納室20内に循環させるためのものであって、省略することもできる。温度調整器31は、図示していない熱交換器とヒータとを有しており、収納室20内の温度調整を行うことができる。
【0027】
収納室20には、少なくとも1つ(ここでは、2段分)の棚板21が着脱自在に設けられている。上下方向の位置である、縦方向の棚板21の幅(間隔)を変更することによって、より高さのあるボトルBも収納可能であり、上下方向に複数のボトルBを積み重ねて収納させることもできる。
【0028】
棚板21の配置の位置や枚数などに特に制限はなく、収納されるボトルBを効果的に低温状態で保管できる範囲で任意に設定できる。つまり、保管庫1で保管されるボトルBは、あまり間隔を詰めず、隣接するボトルBとの間に適当な余裕(隙間)を持った状態で収納するのが望ましい。
【0029】
なお、収納室20内には、さらに、後述する制御用温度計60が配置されている。制御用温度計60は、収納室20の温度調整に用いられる測定温度情報Mを検出するためのもので、例えば熱電対を用いることができる。制御用温度計60としては、例えば、収納室20内において最も温度変化が大きい、温度変化に敏感な箇所に配置されるようになっている。
【0030】
測定温度情報Mは、例えば、保管されているボトルB内に収容されている薬品などの温度を直接的に測定するボトル温度計などを用いて取得するようにしても良い。または、ボトルB内に実際に収容されている薬品などは非常に高価な場合もあるため、測定温度情報Mとしては、ボトル温度計などを用いてダミーのボトル(図示省略)の内部の温度を間接的に測定するようにしても良い。
【0031】
ここで、ボトルBは、その内部に収容される薬品などの影響を受けにくく、また、影響しにくい、例えばガラス瓶などのガラス製の容器によって構成されている。
【0032】
収納室20に収納され、収納室20内で保管されるボトルBには、それぞれ、RFIDタグ(ICタグ)22が予め付されている。RFIDタグ22には、例えば、ボトルBの製造番号(ロット番号)や、ボトルB内に収容されている薬品などの種類(薬品名)、または、その薬品の使用期限などといったタグ情報(物品情報)が予め登録されている。
【0033】
なお、収納室20内では、ボトルB以外にも、RFIDタグを付すことによって、薬品などが収容されている箱体や、薬品以外の、各種の物品を保管することも可能である。
【0034】
そして、冷蔵庫本体2の前面9に対して、収納室20との間で、ボトルBを出し入れするための開口部10が矩形状に設けられている。
【0035】
冷蔵庫本体2および開口部10の開閉扉3は、外部に対する密封性と断熱性とを保持している。特に、スライド式の開閉扉3は、冷蔵庫本体2の前面9の開口部10を左右方向に半分ずつ開閉可能とすると共に、閉時には、開口部10を隙間なく閉じることができる。
【0036】
また、開閉扉3は、引き手(または、取っ手)3Aを備えると共に、閉時にも冷蔵庫本体2の収納室20内が見えるように、透光性を有する、例えばガラス窓3Rを備えている。そして、開閉扉3の、ガラス窓3Rの周辺部分および開口部10の周囲部分には、図示していない金属フィンガやパッキンなどが配置されている。したがって、開閉扉3は、開口部10を閉じることにより、収納室20を密閉状態に保持できる。
【0037】
一方、図1図3に示すように、管理装置は、ボトルBに予め付されたRFIDタグ22のタグ情報に基づいて、保管庫1で保管されるボトルBを管理するものである。
【0038】
本実施の形態において、管理装置は、例えば逆U字型のゲート形状の本体99を有し、開口部10の周辺部分に対応する、保管庫1の外側部分に沿うようにして固定されている。すなわち、管理装置は、予めユニット化されており、後付けにより、冷蔵庫本体2の上面4および左右の側面6,7に沿って取り付けることが可能に構成されている。
【0039】
管理装置の本体99をゲート形状とし、保管庫1の外側部分に沿って取り付ける構成とすることによって、収納室20との間でボトルBを出し入れする際に、該ボトルBが必ず本体99のゲート形状の部分を通過するようになる。これにより、収納室20との間でのボトルBの出し入れに伴って、該ボトルBからのタグ情報の読み取りをより確実に行うことが可能となる。
【0040】
管理装置は、詳細については後述するが、本体99内に、各ボトルBに予め付されたRFIDタグ22からタグ情報を非接触で読み取るタグリーダ(タグ情報読み取り部)28と、アンテナ部としてのアンテナ23と、を有している。また、管理装置は、例えば、RFIDタグ22から読み取ったタグ情報に基づいて、保管庫1で保管されるボトルBの在庫などの在荷情報を管理する在荷監視制御部(管理制御部)50を備えている。さらに、管理装置は、表示ユニット34や外部通信ユニット51などを備えている。
【0041】
表示ユニット34は、例えば、冷蔵庫本体2の上面4に対応する本体99上に設けられ、制御用温度計60によって検出された測定温度情報Mや、在荷監視制御部50で管理される在荷情報などを、目視可能にデジタル表示するものである。
【0042】
外部通信ユニット51は、管理装置の本体99内に配置され、例えば、管理装置と外部との間で通信を行うものである。
【0043】
在荷監視制御部50は、例えば、基準値記憶部61に予め記憶された各種の基準値に基づいて、ボトルBの期限切れなどを監視するようになっている。また、在荷監視制御部50は、制御用温度計60からの測定温度情報Mに基づいて、収納室20内の温度を監視する。そして、在荷監視制御部50は、例えば、制御用温度計60によって検出された測定温度情報Mや在荷情報などを、表示ユニット34により表示させたり、外部通信ユニット51を介して外部に送信したりする。
【0044】
アンテナ23は、上述したボトルBのRFIDタグ22からのタグ情報を受信するものである。より確実な読み取りを可能とするために、望ましくは、複数のアンテナ23が、冷蔵庫本体2の上面4および左右の側面6,7にそれぞれ沿うようにして、例えば管理装置の本体99内に配置されている。
【0045】
なお、各ボトルBに予め付されたRFIDタグ22からのタグ情報を受信するアンテナ23の配置数や配置位置などは、例えば受信感度に応じて、適宜、最適な状態となるように任意に設定できる。
【0046】
[保管庫管理システムの制御ブロック]
次に、図4を参照して、管理装置を市販の冷蔵庫と組み合わせてシステム化するようにした場合の回路構成例について説明する。
【0047】
図4に例示すように、保管庫1の冷蔵庫本体2内には、例えば市販されている最もベーシックなタイプの冷蔵庫として、保管庫制御部80、温度調整器31、制御用温度計60、および、異常警報部71などが設けられている。
【0048】
制御用温度計60は、最も温度変化が大きい、例えば、収納室20内の開口部10の近傍などに設けられる。制御用温度計60は、検出した測定温度情報Mを保管庫制御部80および管理装置の本体99内に設けられた在荷監視制御部50に供給するようになっている。制御用温度計60は、例えばブルートゥース(登録商標)などの無線通信により、測定温度情報Mを在荷監視制御部50に提供可能な構成としても良い。
【0049】
保管庫制御部80は、制御用温度計60からの測定温度情報Mに基づいて、庫内温度が常に一定の温度となるように温度調整器31を制御したり、一定の温度に制御できないような異常時に異常警報部71より警報を出力させたりすることが可能とされている。
【0050】
温度調整器31は、保管庫制御部80の制御に応じて温度調整を行うもので、収納室20内の温度が一定の低温状態(例えば、2℃~6℃程度)を連続して保持するように、図示していない熱交換器とヒータとを制御する。これにより、各ボトルBの温度が、好ましくは4℃程度に保持される。
【0051】
異常警報部71は、収納室20内の温度が所定温度(例えば、6℃)を上回ったときに異常警報灯を点灯して、温度の異常上昇を報知する。また、異常警報部71は、収納室20内の温度が所定温度(例えば、2℃)を下回ったときに異常警報灯を点灯して、温度の異常下降を報知する。また、異常警報部71は、収納室20内の温度が所定の制御温度(例えば、2℃~6℃)の範囲から外れたときに、異常警報音発生部より警報音を発生させる。
【0052】
さらに、異常警報部71としては、例えば、開閉扉3の開放が連続して予め設定された時間を経過した場合などに警報音を発生するようにしても良い。
【0053】
なお、認証を受けた使用者(認証者)により開閉扉3のロック(例えば、シリンダ錠)が解錠された場合に、その使用者を特定する使用者情報を、管理装置の表示ユニット34を用いて表示するようにしても良い。表示する使用者情報としては、例えば、登録番号や所属、使用者名といった固有の情報があげられる。
【0054】
管理装置は、例えば、各ボトルBに予め付されたRFIDタグ22からタグ情報を読み取るタグリーダ28と、アンテナ23と、在荷監視制御部50と、表示ユニット34と、外部通信ユニット51と、を本体99に備えている。また、在荷監視制御部50に接続される基準値記憶部61を備え、例えば、保存時の温度の基準となる基準値や、持ち出し時間の基準となる基準値などを記憶するようにしても良い。
【0055】
在荷監視制御部50は、アンテナ23を介して、タグリーダ28によりRFIDタグ22から読み取ったタグ情報に基づいて、収納室20で保管される全てのボトルBの在荷情報などを管理する。
【0056】
在荷情報とは、例えば、各ボトルBのロット番号や、収容されている薬品などの種類、または、その薬品の使用期限などに関する情報であって、各ボトルBの収納室20への出し入れに伴う日時(使用の履歴)などの管理状況を含むものであっても良い。
【0057】
ここで、タグ情報の読み取りは、タグリーダ28から不定期的(例えば、開閉扉3のロックの解錠を契機とする)に、アンテナ23を介して、保管されている各ボトルBに対して、所定の問い合わせが行われる。
【0058】
この問い合わせに対して、各ボトルBのRFIDタグ22からは、それぞれが記憶するタグ情報がアンテナ23へと送信される。こうして、タグリーダ28によるタグ情報の読み取りが行われる。
【0059】
表示ユニット34は、例えば、ボトルBの出し入れが行われる際の測定温度情報M、出し入れされるボトルBのRFIDタグ22から読み取ったタグ情報、または、タグ情報に基づく在荷情報などをデジタル表示する。また、当該ボトルBの出し入れを行った使用者の使用者情報をデジタル表示するようにしても良い。
【0060】
表示ユニット34においては、例えば在荷情報に基づいて、ボトルB内に収容されている薬品などの使用期限切れが間近に迫っていることを警告するようにしても良い。また、収納室20内より取り出されたボトルBが所定の持ち出し時間を経過した後に再び収納室20に収納されるような場合には、当該ボトルBは薬品としての効力が著しく低下しており、再度の保管には適さないことなどを注意喚起するようにしても良い。
【0061】
このように、管理装置は、ボトルBが保管庫1の収納室20内を出し入れされる際に、当該ボトルBのRFIDタグ22からタグ情報を非接触で読み取るもので、例えば、保管庫1とは別体のユニットとして単独で入手することが可能とされている。
【0062】
すなわち、管理装置は、保管庫1とは別体とされて、保管庫1に後付けで装備できるようにしたことによって、すでに所有する既存の冷蔵庫などを保管庫1として容易に転用することが可能となる。したがって、収納品管理のための管理機能を備えたシステムを、より安価に構成できる。
【0063】
しかも、保管庫1として転用可能な冷蔵庫は、市販されている最もベーシックなタイプの冷蔵庫をそのまま、ほとんど手を加えることなしに適用可能であり、システムの大幅な低廉化が可能となる。
【0064】
また、保管庫1で保管されるボトルBの出し入れに伴って、管理装置により、本体99の部分を通過するボトルBを常に監視できるようになるため、タグ情報を確実に読み取ることが可能となる。
【0065】
なお、本実施の形態においては、表示ユニット34を管理装置の本体99から独立した構成とすることもできる。すなわち、表示ユニット34は、本体99とは別の場所(例えば、遠隔地など)に設置することも可能である。
【0066】
また、外部通信ユニット51を介して、無線もしくは有線により保管庫システムからの在荷情報などを外部に出力させることで、遠隔地などにおいて、管理者などが複数の保管庫システムを集中管理できるように構成することもできる。
【0067】
上記したように、本実施の形態によれば、ボトルBを管理する管理装置を既存の冷蔵庫に容易に適用でき、ボトルBを管理するためのシステムをより安価に構成することが可能となる。
【0068】
すなわち、第1の実施の形態に係る管理装置は、保管庫1とは別体として設けられると共に、保管庫1の開口部10の外側の周辺部分に後付けにより取り付け可能に構成されている。これにより、市販(既製)の冷蔵庫やすでに所有する既存の冷蔵庫を、そのまま保管庫1として転用することが可能となる。しかも、冷蔵庫はベーシックなタイプで、安価なものとすることができる。したがって、保管庫1で保管されるボトルBを管理するためのシステムを非常に安価に構成できるなど、システムの大幅な低廉化が可能となる。
【0069】
また、ボトルBを出し入れする際には、該ボトルBが管理装置の本体99のゲート形状の部分を必ず通過するため、タグ情報のより確実な読み取りが可能となる。
【0070】
なお、上記した第1の実施の形態においては、保管庫1の開口部10の外側部分に沿うようにして、管理装置の本体99を取り付けた場合を例示して説明したが、これに限定されるものではない。
【0071】
<第2の実施の形態>
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る保管庫管理装置を市販の冷蔵庫と組み合わせてシステム化するようにした場合を例示するもので、(a)は概略正面図であり、(b)は概略側面図である。なお、上述した第1の実施の形態と同一部分には同一または類似の符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0072】
図5(a),図5(b)に示すように、例えば管理装置は、逆U字型のゲート形状の本体99が開口部10の直前の位置となるように、所定の取り付け機構(図示省略)によって、後付けにより保管庫1に取り付けることも可能である。
【0073】
このように、第2の実施の形態に係る構成とした場合においても、第1の実施の形態の場合と同様に、システムを非常に安価に構成することができると共に、タグ情報のより確実な読み取りが可能となる。
【0074】
<第3の実施の形態>
図6は、本発明の第3の実施の形態に係る保管庫管理装置を市販の冷蔵庫と組み合わせてシステム化するようにした場合を例示するもので、開閉扉を透過した状態で、保管庫1の内部構造を概略的に示すものである。なお、上述した第1の実施の形態と同一部分には同一または類似の符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0075】
図6に示すように、例えば、逆U字型のゲート形状を有する管理装置の本体99が、所定の取り付け機構(図示省略)によって、保管庫1の開口部10の周辺の内側部分に沿って後付けにより取り付けられるようにしても良い。収納室20に対して、本体99は、図示せぬ開閉扉の取り付け位置よりも奥側の位置に取り付け固定されている。
【0076】
すなわち、管理装置は、ほぼ直方体形状とされた収納室20の、上面20Aおよび左右の側面20C,20Dに沿って、後付けにより取り付けることが可能に構成されている。
【0077】
このように、第3の実施の形態に係る構成とした場合においても、第1の実施の形態の場合と同様に、システムを非常に安価に構成することができると共に、タグ情報のより確実な読み取りが可能となる。
【0078】
なお、第1~第3の実施の形態においては、管理装置の本体99の形状を逆U字型のゲート形状とした場合を例示して説明したが、これに限定されるものではない。本体99は、例えば、U字型形状、C字型形状、コの字型形状、二の字型形状、I字型形状、T字型形状、あるいは、O字(口の字)型形状などとしても良い。
【0079】
<第4の実施の形態>
図7は、本発明の第4の実施の形態に係る保管庫管理装置を市販の冷蔵庫と組み合わせてシステム化するようにした場合を例示するもので、例えば、スライド式の開閉扉を有するクローズ型の平型ショーケースを、開閉扉を透過した状態で示すものである。なお、上述した第1の実施の形態と同一部分には同一または類似の符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0080】
図7に示すように、例えば、形状が口の字型とされた管理装置の本体99が、平型ショーケースを保管庫1とする、その開口部10の周辺の外側部分に沿って、所定の取り付け機構(図示省略)によって、後付けにより取り付けられるようにしても良い。すなわち、管理装置は、予めユニット化されており、後付けにより、ケース本体を構成する箱型の筐体の各外面に沿って取り付けることが可能に構成されている。
【0081】
また、口の字型とされた管理装置の本体99は、例えば、平型ショーケースからなる保管庫1の開口部10の周辺の内側部分、つまり、ケース本体を構成する箱型の筐体の各内面に沿って、所定の取り付け機構(図示省略)により取り付けることも可能である。
【0082】
さらには、開口部10の縁部分、つまり、ケース本体を構成する箱型の筐体の開口面側に対応する上面に沿って、所定の取り付け機構(図示省略)により取り付けることも可能である。
【0083】
なお、スライド式の開閉扉3を備える保管庫1に限らず、例えば、観音開き(両開き)式の2枚ドアを備える冷蔵庫や、片開き式の1枚ドアを備える冷蔵庫にも同様に適用できる。
【0084】
また、保管庫1としては、冷蔵庫に限らず、例えば、所定の温度状態を維持するように温度調整された恒温槽、または、整理棚やキャビネットなどであっても良い。
【0085】
上述したように、本発明の一態様の管理装置は、ボトルBを保管するための保管庫1に適用されるものであって、ボトルBが出し入れされる保管庫1の開口部分に沿うようにして取り付け可能に構成された本体99と、本体99内に設けられ、ボトルBの出し入れに伴って、ボトルBに予め付されたRFIDタグ22のタグ情報を読み取るタグリーダ28と、本体99内に設けられたアンテナ部23と、本体99内に設けられ、アンテナ部23を介して、タグリーダ28で読み取ったタグ情報に基づいて、保管庫1で保管されるボトルBを管理する在荷監視制御部50と、を備える。
【0086】
本発明の一態様の管理装置によれば、後付けによって、収納品管理のための管理装置を既存の保管庫に簡単に取り付けられるようになる。これにより、市販されている安価な冷蔵庫などを、そのまま保管庫として流用できるようになる。したがって、保管されるボトルBを管理するためのシステムの低廉化を容易に実現できる。
【0087】
また、管理装置が、ボトルBの物品情報がタグ情報として事前に登録されたRFIDタグ22から、無線通信によりタグ情報を非接触で読み取るRFIDシステムによって構成される。
【0088】
これにより、ボトルBを出し入れする際に、ボトルBのタグ情報を、無線通信により非接触で読み取ることが可能となる。
【0089】
また、本体99は、さらに、外部通信ユニット51を備える。
【0090】
これにより、遠隔地などにおいてボトルの管理が可能となると共に、複数の保管庫システムを一括して集中管理することが可能となる。
【0091】
また、本体99は、さらに、表示ユニット34を備える。
【0092】
これにより、ボトルの在庫などの在荷情報を視覚によって容易に確認することが可能となる。
【0093】
また、保管庫1が、スライド式の開閉扉3を備える冷蔵庫である。
【0094】
これにより、スライド式の開閉扉3を備える冷蔵庫でのボトルBの管理が容易に可能とされる。
【0095】
また、本体99が、保管庫1の本体を構成する筐体の外側部分に対応する各面に沿って取り付け固定される。
【0096】
これにより、既存の保管庫1をそのまま用いて簡単に保管庫システムを構成することが可能となる。
【0097】
また、本体99が、保管庫1の本体を構成する筐体の内側部分に対応する各面に沿って取り付け固定される。
【0098】
これにより、既存の保管庫1をそのまま用いて簡単に保管庫システムを構成することが可能となる。
【0099】
また、本体99が、保管庫1の本体を構成する筐体の開口面側の縁部分に対応する上面に沿って取り付け固定される。
【0100】
これにより、既存の保管庫1をそのまま用いて簡単に保管庫システムを構成することが可能となる。
【0101】
本発明の他の態様の保管庫システムは、保管庫1と、前記のいずれかに記載の管理装置と、を備え、保管庫1で保管されるボトルBの在荷情報を、管理装置で管理する。
【0102】
本発明の他の態様の保管庫システムによれば、システム化が容易であり、かつ、システムとしての低廉化が容易に可能となる。
【0103】
その他、保管庫1は、開口部10に対応する部位がシャッタ部によって覆われてなる構成としても良い。
【0104】
以上、いくつかの実施の形態を例示して本発明の態様について説明したが、各実施の形態は一例であり、特許請求の範囲に記載される発明の範囲は、発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更できるものである。
【符号の説明】
【0105】
1 保管庫(冷蔵庫)
3 開閉扉(スライド式)
10 開口部
20 収納室
21 棚板
22 RFIDタグ(ICタグ)
23 アンテナ(アンテナ部)
28 タグリーダ(タグ情報読み取り部)
31 温度調整器
34 表示ユニット
50 在荷監視制御部(管理制御部)
51 外部通信ユニット
60 制御用温度計
99 管理装置の本体
B ボトル(保管対象物)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7