IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 中部電力株式会社の特許一覧 ▶ カワサキ機工株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-農作物の残留農薬分解装置及び方法 図1
  • 特許-農作物の残留農薬分解装置及び方法 図2
  • 特許-農作物の残留農薬分解装置及び方法 図3
  • 特許-農作物の残留農薬分解装置及び方法 図4
  • 特許-農作物の残留農薬分解装置及び方法 図5
  • 特許-農作物の残留農薬分解装置及び方法 図6
  • 特許-農作物の残留農薬分解装置及び方法 図7
  • 特許-農作物の残留農薬分解装置及び方法 図8
  • 特許-農作物の残留農薬分解装置及び方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】農作物の残留農薬分解装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A62D 3/19 20070101AFI20231017BHJP
   A23L 5/20 20160101ALI20231017BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20231017BHJP
   A23F 3/06 20060101ALN20231017BHJP
   H05B 7/18 20060101ALN20231017BHJP
   A01P 7/04 20060101ALN20231017BHJP
   A01N 43/56 20060101ALN20231017BHJP
   A01N 43/653 20060101ALN20231017BHJP
   A01N 41/10 20060101ALN20231017BHJP
   A01N 43/54 20060101ALN20231017BHJP
   A01N 47/34 20060101ALN20231017BHJP
   A62D 101/22 20070101ALN20231017BHJP
【FI】
A62D3/19
A23L5/20
H05H1/46 A
A23F3/06 B
H05B7/18 E
A01P7/04
A01N43/56 D
A01N43/653 C
A01N41/10 Z
A01N43/54 G
A01N47/34 C
A62D101:22
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019145733
(22)【出願日】2019-08-07
(65)【公開番号】P2021023676
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000213297
【氏名又は名称】中部電力株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000104375
【氏名又は名称】カワサキ機工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124420
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 清隆
(72)【発明者】
【氏名】河村 和彦
(72)【発明者】
【氏名】森 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】中村 守伸
(72)【発明者】
【氏名】久米 明
【審査官】塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105495067(CN,A)
【文献】国際公開第2017/073641(WO,A1)
【文献】特開2018-027025(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62D 3/19
A23L 3/00- 3/3598
H05H 1/46
A23F 3/06
H05B 7/18
A01P 1/00-23/00
A01N 1/00-65/48
A62D 101/22
A61L 2/00- 2/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
残留農薬が付着しており袋に詰められている農作物を挟むように並べられる一対以上の電極と、
前記農作物及び前記袋並びに各前記電極を内部に含む真空槽と、
前記真空槽の内部を真空状態にする真空ポンプと、
各前記電極に対して整合器を介して電気的に接続された高周波電源と、
を備えており、
前記整合器は、前記高周波電源が発生した高周波電力を、前記袋の表面側部分及び前記袋の内部においてプラズマが発生するように、各前記電極に対して24時間以上印加する
ことを特徴とする農作物の残留農薬分解装置。
【請求項2】
少なくとも1つの前記電極は、1以上の孔を有している
ことを特徴とする請求項1に記載の農作物の残留農薬分解装置。
【請求項3】
少なくとも1つの前記電極に、前記袋が載せられる
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の農作物の残留農薬分解装置。
【請求項4】
前記農作物は、茶である
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに記載の農作物の残留農薬分解装置。
【請求項5】
高周波電源に対し整合器を介して電気的に接続された一対以上の電極の間に、残留農薬が付着しており袋に詰められている農作物を配置する農作物配置工程と、
各前記電極の間を真空状態とする真空引き工程と、
前記整合器により、前記高周波電源が発生した高周波電力を、前記袋の表面側部分及び前記袋の内部においてプラズマが発生するように、各前記電極に対して24時間以上印加する高周波電力印加工程と、
を備えている
ことを特徴とする農作物の残留農薬分解方法。
【請求項6】
少なくとも1つの前記電極は、1以上の孔を有している
ことを特徴とする請求項5に記載の農作物の残留農薬分解方法。
【請求項7】
少なくとも1つの前記電極に、前記袋が載せられる
ことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の農作物の残留農薬分解方法。
【請求項8】
前記農作物は、茶である
ことを特徴とする請求項5ないし請求項7の何れかに記載の農作物の残留農薬分解方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茶葉等の農作物に残留した農薬を分解するための農作物の残留農薬分解装置、及びその装置において実行可能な農作物の残留農薬分解方法に関する。
【背景技術】
【0002】
農作物から農薬を除去する方法として、特開2006-325405号公報(特許文献1)に記載されたものが知られている。
この方法では、農作物が、温度180~280℃の過熱水蒸気の雰囲気に当てられて、加熱乾燥される。
特に、農作物が茶葉である場合、荒茶の製造工程における茶葉洗浄後で粗揉前に、即ち殺青ないし初期乾燥時に過熱水蒸気に当てられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-325405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の農薬除去方法では、農薬が付着している農作物の表面に対して、100℃より高温の過熱水蒸気を直接当てる必要がある。
よって、上記の農薬除去方法では、農作物を平らに並べる等の手間及びスペースが必要になる。又、上記の農薬除去方法では、単位時間当たりの処理量である処理能力の向上において、限界が存在する。更に、上記の農薬除去方法では、農作物に対して加熱乾燥処理が加わることとなり、農作物の質に影響が生じる可能性がある。加えて、上記の農薬除去方法では、茶葉の場合のように、農作物の加工工程で実施可能であるものの、製品加工後には実施不能であるという制限が生じてしまう。
そこで、本発明の主な目的の一つは、手間及びスペースがより少ない状態で農薬を分解可能である農作物の残留農薬分解装置,農作物の残留農薬分解方法を提供することである。
又、本発明の主な目的の一つは、優れた処理能力を有する農作物の残留農薬分解装置,農作物の残留農薬分解方法を提供することである。
更に、本発明の主な目的の一つは、大袋内といった一塊に集められた農作物に対して、農作物の外部のみならず内部においても農薬の分解を十分に行える農作物の残留農薬分解装置,農作物の残留農薬分解方法を提供することである。
加えて、本発明の主な目的の一つは、農作物の質を保持した例えば60℃以下の低温の状態で農薬の分解を行える農作物の残留農薬分解装置,農作物の残留農薬分解方法を提供することである。
又更に、本発明の主な目的の一つは、農作物の収穫後であれば時期を問わず実施可能であり、農作物に係る製品において農薬が検出された後においても実施可能である農作物の残留農薬分解装置,農作物の残留農薬分解方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、農作物の残留農薬分解装置において、残留農薬が付着しており袋に詰められている農作物を挟むように並べられる一対以上の電極と、前記農作物及び前記袋並びに各前記電極を内部に含む真空槽と、前記真空槽の内部を真空状態にする真空ポンプと、各前記電極に対して整合器を介して電気的に接続された高周波電源と、を備えており、前記整合器は、前記高周波電源が発生した高周波電力を、前記袋の表面側部分及び前記袋の内部においてプラズマが発生するように、各前記電極に対して24時間以上印加することを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、上記発明において、少なくとも1つの前記電極は、1以上の孔を有していることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、上記発明において、少なくとも1つの前記電極に、前記袋が載せられることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、上記発明において、前記農作物は、茶であることを特徴とするものである。
【0006】
請求項5に記載の発明は、農作物の残留農薬分解方法において、高周波電源に対し整合器を介して電気的に接続された一対以上の電極の間に、残留農薬が付着しており袋に詰められている農作物を配置する農作物配置工程と、各前記電極の間を真空状態とする真空引き工程と、前記整合器により、前記高周波電源が発生した高周波電力を、前記袋の表面側部分及び前記袋の内部においてプラズマが発生するように、各前記電極に対して24時間以上印加する高周波電力印加工程と、を備えていることを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明は、上記発明において、少なくとも1つの前記電極は、1以上の孔を有していることを特徴とするものである。
請求項7に記載の発明は、上記発明において、少なくとも1つの前記電極に、前記袋が載せられることを特徴とするものである。
請求項8に記載の発明は、上記発明において、前記農作物は、茶であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の主な効果の一つは、手間及びスペースがより少ない状態で農薬を分解可能である農作物の残留農薬分解装置,農作物の残留農薬分解方法が提供されることである。
又、本発明の主な効果の一つは、優れた処理能力を有する農作物の残留農薬分解装置,農作物の残留農薬分解方法が提供されることである。
更に、本発明の主な効果の一つは、大袋内といった一塊に集められた農作物に対して、農作物の外部のみならず内部においても農薬の分解を十分に行える農作物の残留農薬分解装置,農作物の残留農薬分解方法が提供されることである。
加えて、本発明の主な効果の一つは、農作物の質を保持した状態で農薬の分解を行える農作物の残留農薬分解装置,農作物の残留農薬分解方法が提供されることである。
又更に、本発明の主な効果の一つは、農作物の収穫後であれば時期を問わず実施可能であり、農作物に係る製品において農薬が検出された後においても実施可能である農作物の残留農薬分解装置,農作物の残留農薬分解方法が提供されることである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1形態に係る農作物の残留農薬分解装置の模式的な左側面図である。
図2図1における下部電極の上面図である。
図3】本発明に係る農作物の残留農薬分解装置の動作例ないし農作物の残留農薬分解方法に係るフローチャートである。
図4】本発明の第2形態に係る農作物の残留農薬分解装置の模式的な正面図である。
図5】本発明の実施例に係る(A)エチプロール,(B)テブコナゾールの分析結果を示すグラフである。
図6】本発明の実施例に係る(A)クロラントラニリプロール,(B)ピリフルキナゾンの分析結果を示すグラフである。
図7】本発明の実施例に係る(A)ルフェヌロン,(B)フルベンジアミドの分析結果を示すグラフである。
図8図5図7の6種の合計に関するグラフである。
図9】印加時間が144hまでである試料に係る(A)試料温度及び真空槽内圧力,(B)含水率,(C)6種合計の残留農薬濃度比と印加時間との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施の形態の例が、その変更例と共に、適宜図面に基づいて説明される。
尚、当該形態は、下記の例及び変更例に限定されない。
【0010】
[第1形態]
図1は、本発明の第1形態に係る農作物の残留農薬分解装置である農薬分解装置1の模式的な左側面図である。尚、農薬分解装置1における前後左右上下は、説明の便宜上定めたものである。
農薬分解装置1は、箱状の架台2と、その上に設置された真空槽4と、その内側下面の中央部に配置された断熱板6と、その中央部から上方に突き出るように配置された支持棒8を介して水平に設置された下部電極10と、真空槽4の内側上面の中央部から突き出るように配置された支持棒12を介して水平に設置された上部電極14と、下部電極10付近の温度を測定する温度センサ16と、これに接続された温度計18と、下部電極10及び上部電極14に対して整合器20を介して電気的に接続された高周波電源22と、配管24を介して真空槽4と接続された真空ポンプ26と、配管24の途中に設けられた真空排気バルブ28及び配管リークバルブ30と、各種の部材及び部分を制御する制御手段32と、を備えている。
【0011】
真空槽4は、金属製で直方体状の箱であり、開閉可能な扉34を前面に有している。扉34が閉められると、真空槽4は密閉される。扉34は、図示されない窓を有している。窓は、透明なガラス板と、その内面側に配置された金網と、を有しており、真空槽4の内部が視認可能となっており、万一エネルギーが強大化して生じた電磁波の、窓から外部への進出が防止されている。尚、扉34及び金網の少なくとも一方は、省略されても良い。
【0012】
図2に上面が示される下部電極10は、円盤状であり、その下面の中心部に支持棒8が接続されている。下部電極10の平坦な上面には、何れもポリテトラフルオロエチレン製である1個の大リング40及びその内部に配置された複数(7個)の小リング41を介して、袋に詰められた農作物42が載せられる。農作物42は、袋並びに大リング40及び各小リング41により、下部電極10に直接接触せず、下部電極10からの伝導伝熱の影響を受けない。農作物42は、例えば茶であり、より詳しくは茶葉である。農作物42は、茶葉に限定されない。農作物42に対し、前処理及び後処理の少なくとも一方が施されても良い。例えば、農薬分解の前に行う前処理として、収穫した茶葉を荒茶とする処理が施されても良い。荒茶は、重量比で5%程度の水分を有している。又、農薬分解の後で行う後処理として、例えば冷蔵処理及び仕上げ処理の少なくとも一方が施されても良い。大リング40及び各小リング41の個数及び配置の少なくとも一方は、上述のものに限られない。袋並びに大リング40及び各小リング41以外のものによって、農作物42が下部電極10から離されても良い。
袋入りの農作物42は、単数であっても、複数であっても良い。袋内には、1個の農作物42が入っていても良いし、複数の農作物42が入っていても良い。袋は、開口部あるいは網状部を有する皿であっても良いし、開口部のない箱であっても良い。袋並びに大リング40及び各小リング41は、高周波電場に耐えられるものとされている。袋並びに大リング40及び各小リング41が省略され、農作物42が下部電極10に直接置かれても良い。断熱板6は、省略されても良い。
農作物42は、水分を含んでおり、乾燥処理を施した後でも、微量の水分を含んでいる。
複数の農作物42を下部電極10上に並べる場合、複数の農作物42の配置は、周方向に沿ったものであっても良いし、縦横に沿ったものであっても良いし、他のものであっても良い。
【0013】
上部電極14は、下部電極10と同じ大きさの円盤状であり、その上面の中心部に支持棒12が接続されていて、下部電極10と対向している。上部電極14は、農作物42と接触せず、上部電極14と農作物42との間には、空間が存在する。尚、上部電極14及び下部電極10は、少なくとも一方が矩形板等の円盤以外の形状を呈していても良いし、互いに同じ大きさでなくても良く、同じ形状でなくても良い。一対の電極として、上部電極14及び下部電極10に代えて、前後に配置された電極、あるいは左右に配置された電極が用いられても良い。電極は、複数対設けられても良く、上部電極14の上に更に1以上の下部電極及び上部電極が設けられても良いし、上下の電極と左右の電極が組み合わせられても良い。農作物42は、少なくとも何れかの対の電極の間に配置されれば良く、電極とは別に設けられた支持台に載せられても良い。上部電極14及び下部電極10の少なくとも一方の支持は、電極の中央部に連結された支持棒によるものに限られず、電極の周縁を掴むフックによるもの等であっても良い。
上部電極14における支持棒12接続部以外の部分、即ち上部電極14の周縁には、複数の孔50が開けられており、上部電極14はパンチングが施されたものとなっている。孔50の配置は、枡目の交点への配置等規則的であっても良いし、ランダムであっても良いし、弧状になされても良いし、支持棒12の接続部分になされても良い。孔50は、省略されても良い。各孔50の大きさ及び形状の少なくとも一方は、どのようなものであっても良く、互いに揃えられていたり、複数種類の大きさ,形状を有するようにされたり、ランダムな大きさ,形状を有するようにされたりしても良い。複数の孔50は、好ましくは規則的に配置される、又、複数の孔50は、好ましくは大きさ及び形状の少なくとも一方が揃えられている。上部電極14に代えて、あるいは上部電極14と共に、下部電極10にパンチングが施されていても良い。
【0014】
温度センサ16は、その周辺の温度、即ち農作物42の温度を測定して温度計18に送信し、真空槽4外に配置された温度計18は、当該温度を表示する。
尚、温度センサ16が制御手段32に接続されるようにし、制御手段32が温度センサ16から得た温度に基づいた制御を行うようにしても良い。又、温度センサ16及び温度計18の少なくとも何れかは、省略されても良い。更に、温度センサ16に代えて、あるいはこれと共に、他の部分の温度を測る温度センサが設けられても良い。又、温度センサ16に代えて、あるいはこれと共に、圧力センサ、高周波進行波センサ、及び高周波反射波センサの少なくとも何れかといった、他の種類のセンサが設けられても良い。
【0015】
整合器20は、真空槽4の背面外側に配置されており、高周波電源22は、架台2内に配置されている。尚、これらの少なくとも一方は、別の箇所に配置されていても良い。
高周波電源22は、高周波電力の供給源である。整合器20は、高周波電源22からの高周波電力について、最適なプラズマを発生し得る周波数となるように調整して、上部電極14及び下部電極10に印加する。整合器20は、コイルとコンデンサとを含むインピーダンス調整回路を備え、当該回路により高周波電力のインピーダンスを調整するものである。高周波電力は、農作物42から蒸発した水蒸気をプラズマにする。尚、整合器20は、他の手法又は方式で高周波電力を調整するものであっても良い。
高周波電源22及び整合器20における高周波電力の周波数はどのようなものであっても良いところ、好ましくはそれぞれ3MHz(メガヘルツ)以上300MHz以下である。3MHz未満の場合、プラズマの発生量が少なく農薬の分解に時間を要することとなる。又、300MHzを上回る場合、比較的に制御が難しく大きなコストを要することとなる。
高周波電源22及び整合器20における高周波電力の出力は、農作物42の大きさ,量,水分量,種類の少なくとも何れか等を勘案し、適宜設定される。
尚、上部電極14及び下部電極10において、前者がアノードで後者がカソードであっても良いし、その逆であっても良く、上部電極14及び下部電極10の一方がアースに接続されるようにして、他方のみが整合器20及び高周波電源22に接続されるようにしても良い。又、上部電極14の上方に下部電極10と同様の電極が設けられる場合のように、複数対の電極において一方の電極が共有されても良い。
【0016】
真空ポンプ26は、架台2内に配置された多段ドライ真空ポンプであり、その作動により、配管24を介して、密閉された真空槽4内を真空状態にする。真空ポンプ26は、農作物42を低温に保持する。
尚、真空ポンプ26は、他の形式のポンプであっても良いし、他の箇所に配置されていても良い。又、真空ポンプ26及び真空槽4の間に、圧力調節バルブが設けられても良い。当該圧力調節バルブは、自動的に真空槽4の内圧を調整する自動圧力調節バルブであっても良い。
【0017】
制御手段32は、架台2外に配置されたコンピュータであり、整合器20,高周波電源22,真空ポンプ26と電気的に接続されている。
尚、制御手段32は、架台2内あるいは真空槽4外面に配置されていても良いし、コンピュータ以外であっても良いし、整合器20等の何れかと一体であっても良いし、整合器20等の複数の部材ないし部分に分散して設けられていても良い。
【0018】
農薬分解装置1は、高周波電力の上部電極14及び下部電極10への印加により発生するプラズマにより、農作物42に残留している農薬を分解する。
農薬分解装置1は、プラズマ発生用のガスのための注入加熱器あるいは気化器は備えておらず、あるいは備えていたとしても作動されない。
農薬分解装置1では、農作物42が含んでいる水分子あるいはそれを構成する酸素原子及び水素原子のプラズマが、上部電極14及び下部電極10の間において発生する。又、農薬分解装置1では、真空状態となった真空槽4においてもなお残存する僅かな空気中の窒素原子等のプラズマも、上部電極14及び下部電極10の間において発生し得る。更に、水分子等のプラズマ化の調整及び真空雰囲気の調整の少なくとも一方により、農作物42の乾燥等、水分の除去が施され得る。
【0019】
このような農薬分解装置1の動作例、農作物の残留農薬分解方法が、主に図3を用いて説明される。尚、処理のステップは適宜Sと省略される。
まず、真空槽4の扉34が開けられ、下部電極10上に、大リング40及び各小リング41を介して農作物42がセットされて、扉34が閉められる(農作物配置工程S1)。
次に、制御手段32は真空ポンプ26を起動し、真空槽4の内部を真空状態とする(真空引き工程S2)。制御手段32は、S2を、図示されないスイッチへの入力に基づいて行っても良いし、タイマーにより所定時刻の到来時に行っても良く、他のステップも適宜同様に行われても良い。
【0020】
続いて、制御手段32は、整合器20及び高周波電源22を制御して、上部電極14及び下部電極10に対する高周波電力の印加を指令する(高周波電力印加工程S3)。尚、制御手段32は整合器20のみを制御し、整合器20が専ら高周波電源22を制御しても良い。
このような高周波電力の印加により、上部電極14と下部電極10との間において、高周波電場が発生し、農作物42における水分子あるいはそれを構成する酸素原子及び水素原子のプラズマが、農作物42における袋の表面側部分及びその内部において発生する。又、真空状態となった真空槽4においてもなお残存する僅かな空気中の窒素原子等のプラズマも、上部電極14及び下部電極10の間において発生し得る。更に、水分子等のプラズマ化の調整及び真空雰囲気の調整の少なくとも一方により、農作物42の乾燥等、水分の除去が施されても良い。
又、上部電極14が孔50を有することにより、水分等に係るプラズマが、孔50のない場合に比べてより均一に発生すると共に、電極間においてより均一に拡散する。
かように発生したプラズマは、農作物42の全体に行き渡り、くまなく作用して、農薬が農作物42のどの部分に存在していたとしても、これを徐々に分解する。
【0021】
そして、制御手段32は、高周波電力の印加開始を起点とした所定時間の経過の有無をタイマー(図示略)の参照により判断し(S4)、当該所定時間が経過していないと(NO)、S3を継続し、当該所定時間の経過が把握されると(YES)、高周波電力の印加を終了する(S5)。尚、真空ポンプ26は、高周波電力の印加直前(S3直前)まで作動させても良いし、高周波電力の印加の終了(S5)まで作動させても良いし、他のタイミングにおいて中断,再作動,停止がなされても良い。
その後、真空排気バルブ28の操作等により、真空槽4内の圧力が大気圧まで戻され(排気工程S6)、扉34が開けられて、農作物42が取り出される(農作物取り出し工程S7)。
農薬を分解すべき他の農作物42が存在する場合には、適宜S1から処理が繰り返される。
【0022】
以上の第1形態に係る農薬分解装置1、及び農作物の残留農薬分解方法(農薬分解方法)は、次のような作用効果を奏する。
即ち、農薬分解装置1は、残留農薬が付着した農作物42を挟むように並べられる一対の上部電極14及び下部電極10と、農作物42並びに上部電極14及び下部電極10を内部に含む真空槽4と、真空槽4の内部を真空状態にする真空ポンプ26と、上部電極14及び下部電極10に対して整合器20を介して電気的に接続された高周波電源22と、を備えている。そして、整合器20は、高周波電源22が発生した高周波電力を、プラズマが発生するように、上部電極14及び下部電極10に対して印加する。
よって、農薬分解装置1では、上述の背景技術のように過熱水蒸気を直接当てるために農作物42を平らに並べる必要がなく、手間及びスペースがより少ない状態で農薬を分解可能である。
又、農薬分解装置1では、上述の背景技術のように農作物42に過熱水蒸気を直接満遍なく当てる必要がなく、優れた処理能力が具備される。
更に、農薬分解装置1では、農作物42の全体の周りで発生するプラズマの作用により農薬が分解され、農作物42の外部のみならず内部においても農薬の分解が十分に行われる。
加えて、農薬分解装置1では、上述の背景技術のように農作物42に過熱水蒸気による加熱乾燥処理が施されず、農作物42の質を保持した状態で農薬の分解が行われる。
又更に、農薬分解装置1は、農作物の収穫後であれば時期を問わず実施可能であり、農作物に係る製品において農薬が検出された後においても実施が可能である。
【0023】
又、農薬分解方法では、高周波電源22に対し整合器20を介して電気的に接続された上部電極14及び下部電極10の間に、残留農薬が付着した農作物42を配置する農作物配置工程S1と、上部電極14及び下部電極10の間を真空状態とする真空引き工程S2と、整合器20により、高周波電源22が発生した高周波電力を、プラズマが発生するように、上部電極14及び下部電極10に対して印加する高周波電力印加工程S3と、を備えている。
よって、農薬分解方法では、上述の背景技術のように過熱水蒸気を直接当てるために農作物42を平らに並べる必要がなく、手間及びスペースがより少ない状態で農薬を分解可能である。
又、農薬分解方法では、上述の背景技術のように農作物42に過熱水蒸気を直接満遍なく当てる必要がなく、優れた処理能力が具備される。
更に、農薬分解方法では、農作物42の全体の周りで発生するプラズマの作用により農薬が分解され、農作物42の外部のみならず内部においても農薬の分解が十分に行われる。
加えて、農薬分解方法では、上述の背景技術のように農作物42に過熱水蒸気による加熱乾燥処理が施されず、農作物42の質を保持した状態で農薬の分解が行われる。
又更に、農薬分解方法は、農作物の収穫後であれば時期を問わず実施可能であり、農作物に係る製品において農薬が検出された後においても実施が可能である。
【0024】
又、本発明に係る農薬分解装置1及び農薬分解方法において、上部電極14は、1以上の孔50を有している。よって、開口部としての孔50におけるエッジ効果により、プラズマがより広範囲で均一に効率良く発生し、より低コストで農薬分解が行え、農作物42に対し一層均一な農薬分解処理が施されることとなる。
更に、下部電極10に、農作物42が載せられる。よって、農作物42を載せる台がその分省略可能であり、低コストとなる。
加えて、農作物42は、茶である。よって、茶が、質を保持した状態で効率良く農薬分解処理される。外国では抹茶、粉茶等の日本茶の需要が近時伸びているところ、茶に係る農薬の残留農薬基準(最大農薬基準;MRL)が厳しいことが多く、これまでは外国向けに無農薬栽培等の特別な対応が必要となってコスト高を招いていた。これに対し、本発明に係る農薬分解装置1及び農薬分解方法を収穫後に施すならば、国内と同様の生産で済み、より低コストで外国における日本茶の需要増に答えることができる。又、茶は、一般に、二番茶以降で農薬の使用量が増加するところ、本発明に係る農薬分解装置1及び農薬分解方法で農薬を分解することができ、二番茶等の価値を向上することができる。
【0025】
尚、農薬分解処理は、農作物42において所定程度まで農薬分解が減少した時点で終了される等、農作物42における農薬分解の完了を待たず終了されても良い。又、当該終了後に、真空保存等の他の処理が農作物42に対して施されても良い。
又、農作物42に対して農薬分解と併行して水分の除去が施されれば、農薬分解水分除去装置、農薬分解水分除去方法が提供されることとなる。
【0026】
更に、農薬分解装置1において、農作物42を下部電極10に搬入し又搬出する搬送する搬送手段が設けられても良い。例えば、搬送手段は、ベルトコンベヤ及びロボットハンドの少なくとも何れかである。下部電極10及び搬送手段が傾斜等の移動を行って、搬送手段と下部電極10との間で農作物42が出し入れされても良い。真空槽4は、開放された一面等の開口部を有するものとされ、開口部に搬送手段等を当てることで下部電極10を含んで真空引き可能に閉塞され、排気後に搬送手段等から離れるように移動可能とされていても良い。
【0027】
[第2形態]
図4は、本発明の第2形態に係る農薬分解装置101の模式的な正面図である。
農薬分解装置101は、第1形態に係る農薬分解装置1と、架台、真空槽、下部電極及び上部電極並びに農作物の規模を除き、同様に成る。農薬分解装置1と同様に成る部材及び部分には、同じ符号が付され、適宜説明が省略される。
【0028】
農薬分解装置101の架台102及び下部電極110は、大袋内の農作物42を複数(4袋)、左右に並べられる大きさを有している。大袋は、例えば満載時にドラム缶程度の大きさを有している。上部電極114は、下部電極110と同様な大きさを呈している。上部電極114には、整合器20及び高周波電源22が接続されている。下部電極110は、アースされている。
真空槽104は、大袋内の農作物42を複数(4袋)収容可能な大きさを有している。尚、真空槽104の扉34は、左壁に配置されている。扉34は、大袋を出し入れ可能である。
【0029】
第2形態に係る農薬分解装置101の動作例、農作物の残留農薬分解方法は、第1形態の農薬分解装置1と同様である。
即ち、農作物42が配置される(S1)。農作物42は、例えば荒茶である。
次いで、真空槽104内が真空状態とされる(S2)。
更に、上部電極114に高周波電力が印加される(S3)。上部電極14と下部電極10との間に高周波電場が形成され、大袋内の農作物42の全体にプラズマが発生し作用して、農作物42に付着した農薬が分解される。
続いて、所定時間の経過により(S4でYES)、高周波電力の印加が完了する(S5)。又、真空槽4内の圧力が大気圧まで戻され(S6)、農作物42が取り出される(S7)。
【0030】
第2形態に係る農薬分解装置101、及び農作物の残留農薬分解方法は、第1形態と同様の作用効果を奏する。
特に、農薬分解装置101は、残留農薬が付着した大袋内の農作物42を挟むように並べられる一対の上部電極114及び下部電極110と、農作物42並びに上部電極114及び下部電極110を内部に含む真空槽104と、真空槽104の内部を真空状態にする真空ポンプ26と、上部電極114及び下部電極110に対して整合器20を介して電気的に接続された高周波電源22と、を備えている。そして、整合器20は、高周波電源22が発生した高周波電力を、プラズマが発生するように、上部電極114及び下部電極110に対して印加する。
よって、農薬分解装置101では、手間及びスペースがより少ない状態で、大量の農作物42に残留している農薬を優れた処理能力において分解可能である。
又、農薬分解装置101では、農作物42の全体の周りで発生するプラズマの作用により農薬が分解され、大袋内の農作物42における表面側のみならず内部においても農薬の分解が十分に行われる。
加えて、農薬分解装置101では、農作物42の質を保持した状態で農薬の分解が行われる。
【実施例
【0031】
次いで、上述の形態に即した、本発明の好適な実施例が説明される。
尚、本発明は、以下の実施例に限定されない。
【0032】
第1形態の農薬分解装置1において、茶葉に付着した農薬の分解が行われた。
茶葉の品種は「やぶきた」であり、二番茶葉の収穫前に、農薬が、乗用型茶園管理機により一定圧力,一定速度で散布された。茶葉は、農薬散布の3日後(中2日)に摘採された。
農薬は、2区画の茶畑(谷側区画,山側区画)に対して各3種類ずつ計6種類散布された。谷側区画に対しては、エチプロール含有殺虫剤(キラップ粒剤)、フルベンジアミド含有殺虫剤(フェニックス顆粒水和剤)、及びクロラントラニリプロール含有殺虫剤(サムコルフロアブル)が散布された。山側区画に対しては、テブコナゾール含有殺菌剤(オンリーワンフロアブル)、ピリフルキナゾン含有殺虫剤(コルト顆粒水和剤)、及びルフェヌロン含有殺虫剤(マッチ乳剤)が散布された。これらの農薬に関し、EU,米国,カナダにおけるMRLと共に、次の表1に示される。
これらの農薬は、他の一般的な農薬に対し、比較的に長期間残留するものである。
【0033】
【表1】
【0034】
谷側区画,山側区画の茶葉は、それぞれ摘採の翌日に乾燥処理され、更に碾茶荒茶として加工された。碾茶荒茶は、抹茶,粉末茶の原料となる。尚、加工において、蒸熱後に揉む工程は省略された。
そして、谷側区画の碾茶荒茶175g(グラム)、及び山側区画の碾茶荒茶175gがしっかり混合され、ポリパラフェニレンテレフタルアミド製の糸で縫われ、フッ素樹脂でコーティングされたガラスクロス製の袋(直径20cm(センチメートル)の円盤状)に入れられ、更に平らな状態で冷凍庫で凍結させて、農作物42の試料が作製された。
【0035】
そして、試料が、大リング40(内径15.3cm)及び各小リング41(内径3cm)を介して、下部電極10(直径20cm)の上に置かれた。上部電極14と下部電極10との間は、5.5cmとされた。又、真空槽4内が、真空ポンプ26により、101Pa(パスカル)まで減圧されて真空状態とされた。
更に、上部電極14及び下部電極10に対し、10W(ワット)の高周波電力が13.56MHzの周波数で印加されるようにし、種々の印加時間[h](Time,最大264時間)に対する試料の残留農薬[ppm]が、含有物質の分析により確認された。尚、温度センサ16は試料内にセットされ、試料温度(Sample temperature[℃])が測定された。試料温度は、144hまでの複数の所定の時間において測定された。又、試料温度と同様に、真空槽4内の圧力(Pressure[Pa])が合わせて測定された。圧力の測定は、真空ポンプ26に具備された圧力計により行われた。更に、複数の特定時間(最大144h)だけプラズマ処理された試料について、含水率(Normalized water Content)が測定された。含水率は、処理前の試料の含水量(ω)に対する処理後の含水量(ω)の比である(ω/ω)。
残留農薬の分析は、種類に応じ、LC/MSMS又はGC/MS(何れも株式会社島津製作所製)で行われた。残留農薬の分析は、印加時間経過後の試料を、アルミニウム製の密閉袋に移し入れて脱気密閉し、分析前に厚生労働省医薬品局食品安全部に係る指針に準拠して抽出,精製を施した状態で行われた。
【0036】
図5(A),(B)に、エチプロール,テブコナゾールの分析結果が示される。図6(A),(B)に、クロラントラニリプロール,ピリフルキナゾンの分析結果が示される。図7(A),(B)に、ルフェヌロン,フルベンジアミドの分析結果が示される。図8に、これら6種の物質の合計残留農薬濃度と印加時間との関係が示される。図9(A)に、試料温度(左縦軸)及び真空槽4内の圧力(右縦軸)と144hまでの印加時間(処理時間)との関係が示される。図9(B)に、含水率と144hまでの印加時間との関係が示される。図9(C)に、6種合計の残留農薬濃度比と144hまでの印加時間との関係が示される。6種合計の残留農薬濃度比は、処理前の残留農薬濃度に対する処理後の残留農薬濃度の比である。
図9(A)に示されるように、試料温度は、当初-18℃程度で、徐々に上昇し、24時間程度の経過(図9における長い縦線)の後、35℃程度に安定した。又、真空槽4内の圧力は、当初15Pa程度で、0Paに近づくように徐々に減圧された。更に、図9(A)に示されるように、試料の含水率は、24時間程度経過する前まで比較的急激に低下し、その後0.2未満で比較的に緩やかに低下し若しくは安定した。
又、図5図7に示されるように、何れの種類の農薬においても、印加時間が24時間程度までは残留農薬濃度が一定であり、印加時間が24時間を上回ると、印加時間に応じて残留農薬濃度が減少する。残留農薬濃度の減少の度合は、概ね一定であり、図8及び図9(C)に示されるように、6種合計の残留農薬濃度において24時間当たり1ppm程度ずつ減少するものとなっている。尚、印加時間が24時間程度まで残留農薬濃度が一定であることから、試料(農作物42)の温度が安定し、含水率が0近くで安定する(乾燥がほぼ完了する)ことで、プラズマによる農薬の分解が有効となるものと考えられる。
又、印加時間が264時間である碾茶荒茶を含む全ての碾茶荒茶において、外観及び質の変化は感受されなかった。
【0037】
かような結果によれば、農薬分解装置1において、残留農薬が分解され、残留農薬濃度が低減可能であることが示される。
試料の作製において、6種の農薬を所定時期に散布したことに対し、実際には、農薬は、農薬使用基準に定められた濃度,散布量,散布時期を守って散布される。農薬使用基準に準拠した茶葉における農薬の残留量は、1種類当たり、ドリフト等による0.03ppm程度の少量となる。よって、農薬使用基準に準拠した茶葉における残留農薬の分解は、分解効果が生ずる24時間後から更に12時間程度で、十分に行われる。即ち、1.5日程度の短期間の処理によって、上記表1に例示されるような海外の厳格なMRLに対応することができる。又、上述の背景技術のように過熱水蒸気を碾茶荒茶の一つ一つに当てる必要がない。よって、手間がかからず、又碾茶荒茶の変質が防止される。更に、碾茶荒茶として加工した後において、残留農薬が分解処理される。
【符号の説明】
【0038】
1,101・・農薬分解装置(農作物の残留農薬分解装置)、4,104・・真空槽、10,110・・下部電極、14,114・・上部電極、20・・整合器、22・・高周波電源、26・・真空ポンプ、42・・農作物、50・・孔、S1・・農作物配置工程、S2・・真空引き工程、S3・・高周波電力印加工程。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9