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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】作業台車
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/06 20060101AFI20231017BHJP
   B66F 11/04 20060101ALI20231017BHJP
   A01D 46/20 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
B66F9/06 B
B66F11/04
A01D46/20
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019173388
(22)【出願日】2019-09-24
(65)【公開番号】P2021050058
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】390029621
【氏名又は名称】ニューデルタ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 修
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-502891(JP,A)
【文献】特開平08-138435(JP,A)
【文献】米国特許第05310018(US,A)
【文献】特開2011-105474(JP,A)
【文献】特開2016-135693(JP,A)
【文献】実開昭63-031006(JP,U)
【文献】特開平11-314894(JP,A)
【文献】米国特許第04498556(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 1/00-5/04;
7/00-7/28;
9/00-11/04;
13/00-19/02
A01D 43/00-43/04;
43/08-46/30;
51/00
B62B 1/00-5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行可能な台車と、
前記台車の上方に配置される作業台と、
前記作業台を昇降可能に支持するリフト機構とを備え、
前記リフト機構は、
前記台車に立設される支柱と、
前記支柱に設けられ、上下方向に延在するラックと、
前記作業台に設けられ、前記ラックに噛合するピニオンとを有し、
前記支柱は、第1支柱と、前記第1支柱に対向する第2支柱と、第3支柱と、前記第3支柱に対向する第4支柱とを有し、
前記ラックは、前記第1支柱に設けられる第1ラックと、前記第2支柱に設けられる第2ラックと、前記第3支柱に設けられる第3ラックと、前記第4支柱に設けられる第4ラックとを有し、
前記ピニオンは、前記第1ラックに噛合する第1ピニオンと、前記第2ラックに噛合する第2ピニオンと、前記第3ラックに噛合する第3ピニオンと、前記第4ラックに噛合する第4ピニオンとを有し、
前記作業台を固定するロック機構を備え、
前記ロック機構は、
前記作業台に設けられ、前記第1ラック及び前記第2ラックに係合して前記作業台を固定する第1ロック位置と、前記第1ラック及び前記第2ラックから離間して前記作業台を昇降可能とする第1解除位置との間で変位可能な第1ロック部材と、
前記作業台に設けられ、前記第3ラック及び前記第4ラックに係合して前記作業台を固定する第2ロック位置と、前記第3ラック及び前記第4ラックから離間して前記作業台を昇降可能とする第2解除位置との間で変位可能な第2ロック部材と、
前記第1ロック部材に連結され、前記第1ロック部材を変位させる第1連結部材と、
前記第2ロック部材に連結され、前記第2ロック部材を変位させる第2連結部材と、
前記第1連結部材及び前記第2連結部材に連結され、前記第1連結部材及び前記第2連結部材を変位させるレバーとを有する、
ことを特徴とする作業台車。
【請求項2】
前記作業台に設けられ、前記第1ピニオン及び前記第2ピニオンを第1回動軸線を中心に回動可能に支持する第1回動軸部と、
前記作業台に設けられ、前記第3ピニオン及び前記第4ピニオンを前記第1回動軸線と平行な第2回動軸線を中心に回動可能に支持する第2回動軸部と、
前記作業台の前記第1回動軸部と前記第2回動軸部との間に設けられ、前記第1回動軸線と平行な第3回動軸線を中心に回動する第3回動軸部と、
前記第3回動軸部と前記第1回動軸部とを連動させる第1連動機構と、
前記第3回動軸部と前記第2回動軸部とを連動させる第2連動機構とを備えることを特徴とする請求項1に記載の作業台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降可能な作業台を備えた作業台車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、走行可能な台車と、台車の上方に配置される作業台と、作業台を昇降可能に支持するリフト機構とを備えた作業台車が知られている。例えば、特許文献1の作業台車は、作業台に作業者が搭乗可能に構成されており、作業者が作業台に搭乗した状態で圃場などを走行する。また、作業台を台車に対して上昇させることにより、作業者が高所における作業を行うことが可能となっている。そして、リフト機構がパンタグラフ構造で構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-171216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のようにリフト機構にパンタグラフ構造を採用する場合、強度を確保するためにパンタグラフの構造が複雑になったり、パンタグラフの材料を厚くしたりする必要がある。その結果、コストの上昇や重量の増加といった新たな課題が生じる。
【0005】
本発明は、簡単な構成で作業台を昇降可能に支持する作業台車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の作業台車は、走行可能な台車と、前記台車の上方に配置される作業台と、前記作業台を昇降可能に支持するリフト機構とを備え、前記リフト機構は、前記台車に立設される支柱と、前記支柱に設けられ、上下方向に延在するラックと、前記作業台に設けられ、前記ラックに噛合するピニオンとを有することを特徴とする。
【0007】
上記の作業台車において、前記作業台を固定するロック機構を備え、前記ロック機構は、前記作業台に設けられ、前記ラックに係合して前記作業台を固定するロック位置と、前記ラックから離間して前記作業台を昇降可能とする解除位置との間で変位可能なロック部材と、前記ロック部材を変位させるレバーとを有する構成としてもよい。
【0008】
また上記の作業台車において、前記支柱は、第1支柱と、前記第1支柱に対向する第2支柱と、第3支柱と、前記第3支柱に対向する第4支柱とを有し、前記ラックは、前記第1支柱に設けられる第1ラックと、前記第2支柱に設けられる第2ラックと、前記第3支柱に設けられる第3ラックと、前記第4支柱に設けられる第4ラックとを有し、前記ピニオンは、前記第1ラックに噛合する第1ピニオンと、前記第2ラックに噛合する第2ピニオンと、前記第3ラックに噛合する第3ピニオンと、前記第4ラックに噛合する第4ピニオンとを有する構成としてもよい。
【0009】
また上記の作業台車において、前記作業台に設けられ、前記第1ピニオン及び前記第2ピニオンを第1回動軸線を中心に回動可能に支持する第1回動軸部と、前記作業台に設けられ、前記第3ピニオン及び前記第4ピニオンを前記第1回動軸線と平行な第2回動軸線を中心に回動可能に支持する第2回動軸部と、前記作業台の前記第1回動軸部と前記第2回動軸部との間に設けられ、前記第1回動軸線と平行な第3回動軸線を中心に回動する第3回動軸部と、前記第3回動軸部と前記第1回動軸部とを連動させる第1連動機構と、前記第3回動軸部と前記第2回動軸部とを連動させる第2連動機構とを備える構成としてもよい。
【0010】
また上記の作業台車において、前記作業台を固定するロック機構を備え、前記ロック機構は、前記作業台に設けられ、前記第1ラック及び前記第2ラックに係合して前記作業台を固定する第1ロック位置と、前記第1ラック及び前記第2ラックから離間して前記作業台を昇降可能とする第1解除位置との間で変位可能な第1ロック部材と、前記作業台に設けられ、前記第3ラック及び前記第4ラックに係合して前記作業台を固定する第2ロック位置と、前記第3ラック及び前記第4ラックから離間して前記作業台を昇降可能とする第2解除位置との間で変位可能な第2ロック部材と、前記第1ロック部材に連結され、前記第1ロック部材を変位させる第1連結部材と、前記第2ロック部材に連結され、前記第2ロック部材を変位させる第2連結部材と、前記第1連結部材及び前記第2連結部材に連結され、前記第1連結部材及び前記第2連結部材を変位させるレバーとを有する構成としてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、作業台を昇降可能に支持するリフト機構としてラック・アンド・ピニオンを用いることにより、簡単な構成で作業台を昇降可能に支持する作業台車を実現することができる。また本発明によれば、作業台を任意の高さに調整することができ、使い勝手がよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態の作業台車の側面図である。
図2】後輪周辺の図であり、(a)は後輪周辺の側面図、(b)は後輪周辺の背面図である。
図3】作業台及びリフト機構の側面図である。
図4】作業台及びリフト機構の平面図である。
図5】作業台及びリフト機構の底面図である。
図6】作業台を固定する状態にあるロック機構の概略底面図である。
図7】作業を昇降可能とする状態にあるロック機構の概略底面図である。
図8】支柱とラックとの配置の変形例を示す図である。
図9】操作部を示す図である。
図10】制御装置及び制御装置に接続される部材の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本実施形態では作業台車として、トマト等を栽培するビニルハウス内において受粉作業や管理作業や収穫作業で使用される作業台車を例に説明する。以下の説明では、作業台車1に搭乗して操縦桿29を操縦する作業者から見た方向を基準とし、前後、左右、上下の各方向を定める。
【0014】
図1は、作業台車1の側面図である。図2は、後輪23周辺の図であり、(a)は後輪23周辺の側面図、(b)は後輪23周辺の背面図である。作業台車1は、台車2と、動力源であるモータ3と、モータ3へ電力を供給する電源であるバッテリ4と、台車2の上方に配置される作業台5と、作業台5を昇降可能に支持するリフト機構6と、台車2を走行させるために操作される操作部7と、モータ3及びバッテリ4を制御する制御装置8と、警報を表示する表示部9と、警報を放音するスピーカ10とを備える。
【0015】
台車2は、作業台車の下部に配置され、台車フレーム21と、左右一対の前輪22と、左右一対の後輪23とを有する。前輪22は前輪車軸24に軸支されている。前輪車軸24は左右方向に架設されており、その左右方向の中央部には操縦桿29の基部29Aが連結されている。
【0016】
後輪23は後輪車軸25に軸支されている。後輪車軸25は図1及び図2に示すように、台車フレーム21に固設された後輪支持部材26に支持されている。後輪支持部材26は、その上端が台車フレーム21に固設されており、下部に後輪車軸25を貫通させるための孔26Aが設けられている。また、一方の後輪支持部材26の上部には、モータ3が固設されている。
【0017】
モータ3は、台車2を走行させるための動力源であり、動力軸3Aを備える。動力軸3Aの端部には駆動スプロケット27が設けられている。また、後輪車軸25の中途部であって、駆動スプロケット27と左右方向において同一平面上に従動スプロケット28が設けられ、駆動スプロケット27と従動スプロケット28にチェーンが巻回されている。モータ3を駆動することにより、駆動スプロケット27、従動スプロケット28及び後輪車軸25を介して後輪23へ動力が伝達される。モータ3は正回転方向及び逆回転方向に駆動可能であり、これにより後輪23は正回転方向及び逆回転方向に回転可能である。
【0018】
バッテリ4は、台車フレーム21の前部に設けられている。バッテリ4は、制御装置8を介してモータ3に接続されており、モータ3へ電力を供給して台車2を走行可能としている。バッテリ4としては、作業台車1の仕様に応じて様々な電圧のものを用いることができ、例えば、12Vや24Vのものを用いることができる。
【0019】
作業台5は、台車2の上方において昇降可能に設けられている。作業台5は、上面部分に作業者が乗ることができるように平面視長方形に構成されており、前方及び側方には作業者をガードするガード部材51が設けられている。また、作業台5の前部には上下方向に貫通する孔5A(図4及び図5参照)が設けられており、孔5Aに操縦桿29が挿通支持されて上方へ突出して設けられている。
【0020】
操縦桿29は、前輪22の操舵を行うための部材であり、その基部29Aは、前輪車軸24の中央部に固設されている。操縦桿29は、基部29Aから上下方向中途部まで設けられた内筒部材291と、内筒部材291に嵌設され上下方向に摺動可能な外筒部材292とを有している。内筒部材291及び外筒部材292は平面視多角形状に形成されており、本実施形態においては四角形状に形成されている。これにより、外筒部材292を左右方向へ回動させた場合、外筒部材292の内周面と内筒部材291の外周面とが接触して合わせて回動し、基部29Aに連結された前輪車軸24も回動する。その結果、前輪22の操舵が行われる。
【0021】
また、外筒部材292はガード部材51に設けられた固定部511に、左右方向へ回動可能に固定されている。これにより、外筒部材292は、ガード部材51及び作業台5の昇降に合わせて上下に移動する。また、操縦桿29の中途部には、操作部7が設けられている。また、外筒部材292の中途部であって孔5Aの上面の高さと同じ位置には、ブレーキ操作部91が設けられている。作業者は、作業台に搭乗した際に、ブレーキ操作部91を足で操作することができる。
【0022】
図3は、作業台5及びリフト機構6の側面図、図4は、作業台5及びリフト機構6の平面図、図5は、作業台5及びリフト機構6の底面図である。図6は、作業台5を固定する状態にあるロック機構69の概略底面図、図7は、作業台5を昇降可能とする状態にあるロック機構69の概略底面図である。リフト機構6は、図3から図5に示すように、台車2に立設される4本の支柱61と、各支柱61に設けられ、上下方向に延在するラック62と、各ラック62に噛合するピニオン63と、第1回動軸部64と、第2回動軸部65と、第3回動軸部66と、第1連動機構67と、第2連動機構68とを有する。また、リフト機構6は、図6及び図7に示すように、作業台5を固定するロック機構69を有する。
【0023】
図3から図5に示すように、支柱61は台車フレーム21の四隅にそれぞれ立設される平面視四角形状の筒部材である。支柱61は、作業台5の左前部に形成された孔5Bを貫通して配置される第1支柱611と、作業台5の右前部に形成された孔5Cを貫通し、第1支柱611に対向して配置される第2支柱612と、作業台5の左後部に形成された孔5Dを貫通して配置される第3支柱613と、作業台5の右後部に形成された孔5Eを貫通し、第3支柱613に対向して配置される第4支柱614とで構成される。なお、支柱61の数には特に限定はなく、1以上であればよい。
【0024】
ラック62は、第1支柱611の左面に固設される第1ラック621と、第2支柱612の右面に固設される第2ラック622と、第3支柱613の左面に固設される第3ラック623と、第4支柱614の右面に固設される第4ラック624とで構成される。各ラック62は前端部に沿って上下方向にラック部が形成された板状部材である。ラック62の上下方向の長さが作業台5の昇降可能な範囲となる。なお、ラック62の数には特に限定はなく、1以上であればよい。
【0025】
ピニオン63は、作業台5の裏面側に設けられる。ピニオン63は、第1ラック621に噛合する第1ピニオン631と、第2ラック622に噛合する第2ピニオン632と、第3ラック623に噛合する第3ピニオン633と、第4ラック624に噛合する第4ピニオン634とで構成される。なお、ピニオン63の数はラック62と同数であれば特に限定はなく、1以上であればよい。
【0026】
第1回動軸部64は、作業台5の裏面側に第1回動軸線R1を中心に回動可能に取り付けられる棒状部材である。第1回動軸部64の左端部には第1ピニオン631が固設され、第1回動軸部64の右端部には第2ピニオン632が固設されている。よって、第1回動軸部64は、第1ピニオン631及び第2ピニオン632を第1回動軸線R1を中心に回動可能に支持する。
【0027】
第2回動軸部65は、作業台5の裏面側に第2回動軸線R2を中心に回動可能に取り付けられる棒状部材である。第2回動軸部65の左端部付近には第3ピニオン633が固設され、第2回動軸部65の右端部には第4ピニオン634が固設されている。よって、第2回動軸部65は、第3ピニオン633及び第4ピニオン634を第2回動軸線R2を中心に回動可能に支持する。また、第2回動軸部65の左端部は作業台5を貫通して外部に突出しており、作業台5を昇降させるための昇降レバー651が固設されている。
【0028】
第3回動軸部66は、作業台5の裏面側における第1回動軸部64と第2回動軸部65との間に設けられ、第1回動軸線R1と平行な第3回動軸線R3を中心に回動可能に取り付けられる棒状部材である。また、第3回動軸部66の左端部は作業台5を貫通して外部に突出しており、ここに上記の昇降レバー651を設ける構成としてもよい。
【0029】
第1連動機構67は、第3回動軸部66と第1回動軸部64とを連動させる機構である。本実施形態の第1連動機構67は、第1回動軸部64の中央部付近に固設された第1スプロケット671と、第3回動軸部66に固設された第2スプロケット672と、第1スプロケット671及び第2スプロケット672に巻回されたチェーン673とで構成される。これにより、第3回動軸部66と第1回動軸部64とは連動して回動する。
【0030】
第2連動機構68は、第3回動軸部66と第2回動軸部65とを連動させる機構である。本実施形態の第2連動機構68は、第2回動軸部65の中央部付近に固設された第3スプロケット681と、第3回動軸部66に固設された第4スプロケット682と、第3スプロケット681及び第4スプロケット682に巻回されたチェーン676とで構成される。これにより、第3回動軸部66と第2回動軸部65とは連動して回動する。
【0031】
このように、第1連動機構67及び第2連動機構68により、第1回動軸部64と第2回動軸部65と第3回動軸部66とが連動し、第1回動軸部64と第2回動軸部65とは同方向に回動する。よって、昇降レバー651が回動されると、各ピニオン63が回転し、その回転方向に応じて作業台5が昇降する。なお、第1連動機構67及び第2連動機構68は、上記の構成に限定されることはなく、ベルト、シャフト、ギヤ列等によって構成してもよい。
【0032】
作業台5の裏面側には、各支柱61の後面に当接するガイドローラ6A~6Dが回動可能に取り付けられている。ガイドローラ6A~6Dは、ピニオン63と同じ高さの位置に設けられており、ピニオン63の回動によって後方へ変位しようとするラック62を前方へ押し付け、ラック62がピニオン63から離間しないようにする。
【0033】
図6及び図7に示すように、ロック機構69は、ロック部材である第1ロック部材691及び第2ロック部材692と、連結部材である第1連結部材693及び第2連結部材694と、レバー695と、引張コイルばね696とを有する。第1ロック部材691と、第2ロック部材692と、第1連結部材693と、第2連結部材694と、レバー695とは、長尺の板状部材で形成され、各部材は適当な位置で作業台5に変位可能に支持されている。
【0034】
第1ロック部材691は、作業台5の裏面に沿って第1ラック621の前方位置から第2ラック622の前方位置まで左右方向に延びた状態に配置される。第1ロック部材691は、第1ラック621及び第2ラック622に係合して作業台5を固定する第1ロック位置(図6に示す位置)と、第1ラック621及び第2ラック622から離間して作業台5を昇降可能とする第1解除位置(図7に示す位置)との間で変位可能である。
【0035】
第2ロック部材692は、作業台5の裏面に沿って第3ラック623の前方位置から第4ラック624の前方位置まで左右方向に延びた状態に配置される。第2ロック部材692は、第3ラック623及び第4ラック624に係合して作業台5を固定する第2ロック位置(図6に示す位置)と、第3ラック623及び第4ラック624から離間して作業台5を昇降可能とする第2解除位置(図7に示す位置)との間で変位可能である。
【0036】
第1連結部材693は、第1ロック部材691に連結され、第1ロック部材691を変位させる部材である。第1連結部材693は、作業台5の裏面に沿って前後方向に延びた状態に配置され、前端部が第1ロック部材691に固定され、後端部がレバー695に回動可能に連結されている。
【0037】
第2連結部材694は、第2ロック部材692に連結され、第2ロック部材692を変位させる部材である。第2連結部材694は、作業台5の裏面に沿って前後方向に延びた状態に配置され、後端部が第2ロック部材692に固定され、前端部がレバー695に回動可能に連結されている。
【0038】
レバー695は、第1連結部材693及び第2連結部材694に連結され、第1連結部材693及び第2連結部材694を変位させる部材である。レバー695は、第1板部695Aから第5板部695Eと、第1連結部695Fから第4連結部695Jとを有する。
【0039】
第1板部695Aは、作業台5の左方へ突出した部分であり、作業者によって前後方向へ操作される。第2板部695Bは、第1板部695Aの右端部から作業台5の側面に沿って後方へ延びる部分である。第3板部695Cは、第2板部695Bの後端部から作業台5の内側面に沿って上方へ延びる部分である。
【0040】
第4板部695Dは、第3板部695Cの上端部から作業台5の裏面に沿って右方へ延びる部分である。第5板部695Eは、第4板部695Dの上面側に重なって作業台5に沿って配置される部材であり、第4板部695Dの右端部に第2連結部695Gを介して回動可能に連結される部材である。
【0041】
第1連結部695Fは、第4板部695Dの中途部を作業台5の裏面に回動可能に連結する部材である。第2連結部695Gは、第5板部695Eの中途部と第4板部695Dの右端部とを回動可能に連結する部材である。第3連結部695Hは、第1連結部材693の後端部と第5板部695Eの左端部とを回動可能に連結する部材である。
【0042】
第4連結部695Jは、第2連結部材694の前端部と第5板部695Eの右端部とを回動可能に連結する部材である。第1連結部695Fから第4連結部695Jは、例えば、ピンと孔とを嵌め合わせた構成を用いることができる。
【0043】
引張コイルばね696は、第1ロック部材691を第1ロック位置へ、第2ロック部材692を第2ロック位置へ向かって付勢する部材である。引張コイルばね696は、作業台5の裏面に沿って前後方向に延びた状態に配置され、前端部が作業台5の裏面に固定され、後端部が第4板部695Dの第1連結部695Fより右側部分に連結されている。これにより、引張コイルばね696は、第4板部695Dの第1連結部695Fより右側部分を前方へ向かって付勢する。なお、引張コイルばね696の替わりに、各種ばねやゴム等の弾性部材を用いることができる。
【0044】
このようなロック機構69によれば、レバー695が操作されていない状態では、引張コイルばね696の付勢力によって、図6に示すようにロックが解除された状態となる。すなわち、引張コイルばね696によって第4板部695Dの第1連結部695Fより右側部分が前方へ向かって付勢され、第4板部695Dは第1連結部695Fを中心に反時計回りに回動し、第2連結部695G及び第5板部695Eが後方へ変位する。
【0045】
これにより、第1連結部材693、第2連結部材694、第1ロック部材691及び第2ロック部材692が後方へ変位し、第1ロック部材691が第1ロック位置に、第2ロック部材692が第2ロック位置に変位する。よって、ロック機構69がリフト機構6の上下動を固定し、つまりロック機構69が作業台5の上下動を固定する。
【0046】
図6の状態において、レバー695の第1板部695Aが作業者によって後方向へ操作されると、図7に示すようにロック機構69はロックが解除された状態となる。すなわち、第4板部695Dは第1連結部695Fを中心に時計回りに回動し、第2連結部695G及び第5板部695Eが前方へ変位する。
【0047】
これにより、第1連結部材693、第2連結部材694、第1ロック部材691及び第2ロック部材692が前方へ変位し、第1ロック部材691が第1解除位置に、第2ロック部材692が第2解除位置に変位する。よって、ロック機構69がリフト機構6の上下動の固定を解除し、つまりリフト機構6による作業台5の上下動が可能となる。
【0048】
したがって、作業者はレバー695を後方向へ操作しながら昇降レバー651を所望の方向に回転させることにより、作業台5を昇降させることができる。そして、作業台5が所望の高さになると操作をやめることで、作業台5が停止し、作業台5はロック機構69によってロックされる。
【0049】
なお、上記の実施形態では、リフト機構6を手動で昇降させる構成としたが、モータ3等の動力源によって自動で昇降させる構成としてもよい。また、上記の実施形態では、ロック機構69のロックと解除との切り替えを手動で行う構成としたが、モータ3等の動力源によって自動で行う構成としてもよい。
【0050】
図8は、支柱61とラック62との配置の変形例を示す図である。ラック62におけるラック部の先端部が、支柱61の前端部より後方に配置されている。よって、ラック部が支柱61から前方へ突出ししていないため、作業時にトマト等の蔓や作業者の衣服がラック部に絡みにくくなる。
【0051】
図9は、操作部7を示す図である。操作部7は、直方体形状のケース71と、ケース71に配設される複数の操作具とを有している。操作具としては、電源スイッチ72と、走行動作スイッチ73と、走行スイッチ74と、速度ダイヤル75とがある。
【0052】
電源スイッチ72は、作業台車1の電源のオンとオフとを切り替えるトグルスイッチである。電源スイッチ72がオン操作されると、バッテリ4の残量が十分である場合には表示部9が点灯し、バッテリの残量が不十分である場合には表示部9が点滅し、オフ操作されると表示部9が消灯する。走行動作スイッチ73は、ブレーキ操作部91を押すと台車2が走行するか、ブレーキ操作部91を押すと台車2が停止するかを切り替えるレバーロック形トグルスイッチである。走行スイッチ74は、台車2の前進と後進とを切り替えるトグルスイッチである。速度ダイヤル75は、台車2の走行速度を調整するロータリスイッチである。
【0053】
図10は、制御装置8及び制御装置8に接続される部材の構成を示すブロック図である。制御装置8には、モータ3と、バッテリ4と、電源スイッチ72と、走行動作スイッチ73と、走行スイッチ74と、速度ダイヤル75と、表示部9と、スピーカ10と、外部機器100とが接続されている。制御装置8と表示部9とスピーカ10とは、ケース71に収容されている。本実施形態において、表示部9はLED(Light Emitting Diode)で構成されるが、液晶パネル等で構成されてもよい。
【0054】
外部機器100は、例えばパーソナルコンピュータや携帯情報端末であり、必要なときに制御装置8に接続される。外部機器100と制御装置8とは、有線又は無線で接続され、直接的に接続する他にもインターネット等の各種通信網を介して接続することができる。
【0055】
制御装置8は、CPU、ROM、RAM、HDD等がバスで接続される構成であってもよく、あるいはワンチップのLSI等からなる構成であってもよい。制御装置8には、各部の動作を制御するための種々のプログラムやデータが格納されている。
【0056】
制御装置8は以下のような制御を行うことができる。すなわち、制御装置8は、台車の速度帯域に基づく複数の仕様毎に、異なる警報を記憶しており、作業台車の仕様の入力を受けて該仕様を設定し、設定された仕様に応じた警報を出力する。その出力先は、表示部9やスピーカ10や外部機器100である。また、制御装置8は、電源スイッチ72のオン操作による制御装置8の起動に応じて前記警報を出力する。
【0057】
また、制御装置8は、バッテリ4の電圧、消費電流、制御装置内の温度の種別のうち少なくとも1つを取得し、取得した値が異常値であるか否かを判別し、異常値の種別毎に異なる警報を記憶しており、異常値であると判別した場合、異常値の種別に応じた警報を出力する。
【0058】
また、制御装置8は、制御装置8が取得した情報及び制御装置8が生成した情報を記憶し、それらの情報を外部機器100へ出力する。また、制御装置8は、操作具が所定時間操作されない場合に制御装置8における少なくとも一部の通電を切断する。
【0059】
これらの制御を実現するために、制御装置8は以下の構成を有している。すなわち、制御装置8は、記憶部81と、設定部82と、読出部83と、出力部84と、取得部85と、判別部86と、電源制御部87とを有する。
【0060】
記憶部81は、台車2の速度帯域に基づく複数の仕様毎に、異なる警報を記憶する。仕様は、作業台車1の種別毎に予め決められている。台車2の速度帯域に基づく複数の仕様としては、例えば、台車2の最高速度が最も遅い低速仕様、低速仕様より速い中速仕様、中速仕様より速い高速仕様とすることができる。各仕様によって、搭載されるバッテリ4の電圧や搭載されるモータ3の回転数等の組み合わせが異なる。
【0061】
警報としては、表示部9の点滅動作と、スピーカ10によるブザー音の放音とがある。異なる警報として表示部9の点滅動作を用いる場合、所定回数の点滅を断続的に繰り返すこととすることができる。また、異なる警報としてスピーカ10によるブザー音の放音を用いる場合、所定回数のブザー音を断続的に放音することとすることができる。例えば、低速仕様の警報は、表示部9の1回の点滅及びスピーカ10の1回のブザー音の繰り返しとすることができる。中速仕様の警報は、表示部9の2回の点滅及びスピーカ10の2回のブザー音の繰り返しとすることができる。高速仕様の警報は、表示部9の3回の点滅及びスピーカ10の3回のブザー音の繰り返しとすることができる。
【0062】
なお、警報としては、表示部9の点灯色を異ならせるものであってもよいし、スピーカ10から警報の内容を読み上げた音声を放音するものであってもよい。また、警報は表示部9とスピーカ10のどちらか一方を用いるものであってもよい。
【0063】
また、記憶部81は、異常値の種別毎に異なる警報を記憶する。種別とは、バッテリ4の電圧、消費電流、制御装置8内の温度のうち少なくとも1つを含むものである。異常値とは、バッテリ4の電圧が所定値以下になった場合、消費電流が所定値以上の過電流になった場合、制御装置8内の温度が所定値以上になった場合が挙げられる。
【0064】
例えば、バッテリ4の電圧が所定値以下に低下したときの警報は、表示部9の1回の遅い点滅及びスピーカ10の1回の長いブザー音の繰り返しとすることができる。バッテリ4の電圧が使用不可能な値にまで低下したときの警報は、表示部9の1回の速い点滅及びスピーカ10の1回の短いブザー音の繰り返しとすることができる。消費電流が所定値以上の過電流になった時の警報は、表示部9の2回の点滅及びスピーカ10の2回のブザー音の繰り返しとすることができる。制御装置8内の温度が所定値以上になった時の警報は、表示部9の3回の点滅及びスピーカ10の3回のブザー音の繰り返しとすることができる。
【0065】
なお、バッテリ4と制御装置8とが離れているため、制御装置8において測定したバッテリ4の電圧は実際のバッテリ4の電圧より低い値となる。したがって、制御装置8はバッテリ4の電圧の測定値を補整して用いる。
【0066】
また、記憶部81は、制御装置8が取得した情報及び制御装置8が生成した情報を記憶する。制御装置8が取得した情報としては、モータ4の出力値、バッテリ4の電圧値、消費電流値、制御装置8内の温度、操作具から入力される操作情報、ブレーキ操作部91の操作情報などがある。制御装置8が生成した情報としては、前進回数、後進回数、停止回数、モータ3の稼働時間、バッテリ4の電圧低下回数、消費過電流回数、制御装置8内の異常温度回数、設定部82に設定された仕様などがある。
【0067】
設定部82は、製造者、サービスマン又は使用者による本作業台車1の仕様の入力を受けて該仕様を設定する。仕様の入力は、制御装置8等に設けられ仕様の切替スイッチを切り替えることによって行うことができる。そして、仕様の切替スイッチの位置に応じた仕様が本作業台車1の仕様として設定部82に設定される。
【0068】
読出部83は、記憶部81から設定部82に設定された仕様に応じた警報を読み出す。例えば、設定部82が低速仕様に設定されている場合、低速仕様に対応した警報を読み出す。また、読出部83は、記憶部81から異常値の種別に応じた警報を読み出す。例えば、バッテリ4の電圧が所定値以下に低下した場合、バッテリ4の電圧低下に対応した警報を読み出す。
【0069】
出力部84は、出力データへの変換装置や出力端子等で構成され、読出部83が読み出した警報を表示部9やスピーカ10や外部機器100に出力する。出力部84は、電源スイッチ72のオン操作による制御装置8の起動に応じて、設定部82に設定された仕様に応じた警報を出力する。また、出力部84は、外部機器100からの要求に応じて、記憶部81に記憶されている、制御装置8が取得した情報及び制御装置8が生成した情報を外部機器100へ出力する。
【0070】
取得部85は、各種測定器等で構成され、バッテリ4の電圧、消費電流、制御装置8内の温度などを取得する。判別部86は、取得部85が取得した値が異常値であるか否かを判別する。電源制御部87は、操作具が所定時間操作されない場合に制御装置8における少なくとも一部の通電を切断する。
【0071】
このような制御装置8の構成によれば、記憶部81が台車2の速度帯域に基づく複数の仕様毎に、異なる警報を記憶しており、設定部82が作業台車1の仕様の入力を受けて該仕様を設定し、読出部83が記憶部81から設定部82に設定された仕様に応じた警報を読み出し、出力部84が設定された仕様に応じた警報を出力する。出力された警報は、表示部9の点滅やスピーカ10のブザー音によって報知される。また、この警報は、電源スイッチ72のオン操作による制御装置8の起動に応じて出力される。
【0072】
よって、作業台車1は異なる仕様に対応した制御装置8を備え、制御装置8で選択されている仕様を出力することにより、作業台車1の仕様と制御装置8で選択されている仕様とが一致しているかを容易に確認することができる。このような確認作業が必要な状況としては、出荷検査時、サービスマンによる不具合チェック時、使用者による仕様の切替スイッチの切替時などが挙げられる。
【0073】
また、上記の制御装置8の構成によれば、取得部85がバッテリ4の電圧、消費電流、制御装置内の温度の種別のうち少なくとも1つを取得し、判別部86が取得部85で取得した値が異常値であるか否かを判別し、記憶部81は異常値の種別毎に異なる警報を記憶しており、判別部86が異常値であると判別した場合、出力部84が異常値の種別に応じた警報を出力する。
【0074】
よって、作業台車1に故障などの不具合が生じた場合に、使用者やサービスマンが直接不具合の内容を知ることができ、直ぐに修理等の対応をとることができる。
【0075】
また、上記の制御装置8の構成によれば、記憶部81が、制御装置8が取得した情報及び制御装置8が生成した情報を記憶し、出力部84がそれらの情報を外部機器100へ出力する。よって、作業台車1に故障などの不具合が生じた場合に、使用者やサービスマンが外部機器100に表示される情報を参考に不具合を見つけることができ、直ぐに修理等の対応をとることができる。また、外部機器100に出力された情報を外部機器100から電子メール等によってサービスセンターへ転送することにより、詳細な分析が可能となる。
【0076】
また、上記の制御装置8によれば、電源制御部87が、操作具が所定時間操作されない場合に制御装置8における少なくとも一部の通電を切断する。これにより、消費電力が抑制され、バッテリ4が長持ちする。
【符号の説明】
【0077】
1 作業台車
2 台車
5 作業台
6 リフト機構
61 支柱
62 ラック
63 ピニオン
64 第1回動軸部
65 第2回動軸部
66 第3回動軸部
67 第1連動機構
68 第2連動機構
69 ロック機構
611 第1支柱
612 第2支柱
613 第3支柱
614 第4支柱
621 第1ラック
622 第2ラック
623 第3ラック
624 第4ラック
631 第1ピニオン
632 第2ピニオン
633 第3ピニオン
634 第4ピニオン
691 第1ロック部材(ロック部材)
692 第2ロック部材(ロック部材)
693 第1連結部材(連結部材)
694 第2連結部材(連結部材)
695 レバー
R1 第1回動軸線
R2 第2回動軸線
R3 第3回動軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10