(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】遊技機の操作装置
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20231017BHJP
【FI】
A63F7/02 308F
(21)【出願番号】P 2019137955
(22)【出願日】2019-07-26
【審査請求日】2022-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】500077959
【氏名又は名称】株式会社MRD
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊神 央人
【審査官】中村 祐一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-275433(JP,A)
【文献】特開2008-259600(JP,A)
【文献】特開平10-328359(JP,A)
【文献】特開2018-117987(JP,A)
【文献】特開2003-225379(JP,A)
【文献】特開2004-248883(JP,A)
【文献】特開2013-116168(JP,A)
【文献】特開2011-130794(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機に取り付けられるベース部材と、
遊技者によるスライド操作を受けて、前記ベース部材に対してスライドしながら回動するスライド操作部材と、
前記スライド操作部材の操作先端部において、前記スライド操作部材に対して空転可能に配置されたキャップ部材と、
前記スライド操作部材のスライド操作量を検出して、前記スライド操作量に応じた操作情報を制御装置に送信するセンサと、を備える遊技機の操作装置
であって、
前記操作装置は、遊技球の発射強度を調整するための操作ハンドル装置であり、かつ、前記ベース部材に対して前記スライド操作部材を前記遊技機の前後方向の前方に付勢して、前記スライド操作部材を初期位置に維持するための付勢部材を備えており、
前記スライド操作部材は、前記前後方向の前方の端部に前記操作先端部を有するとともに、前記ベース部材の中心軸線に沿ってスライドしながら前記中心軸線の回りに回動可能であり、かつ、前記付勢部材の付勢力に抗して、前記ベース部材に対して前記前後方向の後方に押し込み操作可能であり、
前記キャップ部材は、前記中心軸線の回りに空転可能に配置されており、かつ、前記スライド操作部材を押し込み操作する遊技者の手の平に当接して、前記スライド操作部材が押し込み操作されて回動するときの回動支点を形成するよう構成されている、遊技機の操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技者によって操作される遊技機の操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機等の遊技機においては、遊技領域への遊技球の発射強度を調整するための操作ハンドル、遊技領域における遊技の演出を行うための演出スイッチ等の操作装置が設けられている。操作装置は、遊技機に取り付けられるベース部材と、遊技者によって、ベース部材に対して回動操作される操作部材とを備える。
【0003】
また、特許文献1に記載された遊技機のハンドル装置は、遊技者によって回動操作可能なハンドルレバーと、ハンドルレバーの回動操作に伴ってハンドルレバーの軸部と連動して回動する回動部材と、回動部材の回動角度を検知する角度検知手段とを備える。このハンドル装置においては、ハンドルレバー及び回動部材が右方向に回動された後、回動部材に対してハンドルレバーが回動軸に沿って引き込まれる際に、ハンドルレバーの突起部が、回動部材の螺旋状のスリットの縁部を押圧して回動部材を回動させながら回動軸に沿って移動することにより、角度検知手段によって回動部材の回動角度が検知されるよう構成されている。
【0004】
特許文献1のハンドル装置においては、遊技者によって、ハンドルレバー及び回動部材が右方向に回動された後に、ハンドルレバーが回動することなく回動軸に沿って引き込まれることにより、遊技領域に打ち出す遊技球の打球力を調整することができる。これにより、ハンドルレバーを操作する遊技者の手にかかる負担を軽減するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の操作ハンドル装置は、遊技者が操作部材を回動させた状態において、付勢バネによって操作部材が元の位置に戻されないように、回動方向への力を維持する必要がある。また、特許文献1のハンドル装置は、遊技者によって、ハンドルレバーが回動される操作と、ハンドルレバーが引き込まれる操作とが別々に行われるものである。そのため、特許文献1のハンドル装置においても、遊技者は、ハンドルレバー及び回動部材を回動させるときには、ハンドルレバー及び回動部材が回動された位置から付勢バネの力によって元の位置に戻されないように、回動方向への力を維持する必要がある。従って、遊技者がハンドルレバー等の操作部材の回動位置を保持するための操作を容易にするためには、更なる工夫が必要とされる。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたもので、遊技者が操作部材の操作位置を保持するための操作を容易にすることができる遊技機の操作装置を提供しようとして得られたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、遊技機に取り付けられるベース部材と、
遊技者によるスライド操作を受けて、前記ベース部材に対してスライドしながら回動するスライド操作部材と、
前記スライド操作部材の操作先端部において、前記スライド操作部材に対して空転可能に配置されたキャップ部材と、
前記スライド操作部材のスライド操作量を検出して、前記スライド操作量に応じた操作情報を制御装置に送信するセンサと、を備える遊技機の操作装置であって、
前記操作装置は、遊技球の発射強度を調整するための操作ハンドル装置であり、かつ、前記ベース部材に対して前記スライド操作部材を前記遊技機の前後方向の前方に付勢して、前記スライド操作部材を初期位置に維持するための付勢部材を備えており、
前記スライド操作部材は、前記前後方向の前方の端部に前記操作先端部を有するとともに、前記ベース部材の中心軸線に沿ってスライドしながら前記中心軸線の回りに回動可能であり、かつ、前記付勢部材の付勢力に抗して、前記ベース部材に対して前記前後方向の後方に押し込み操作可能であり、
前記キャップ部材は、前記中心軸線の回りに空転可能に配置されており、かつ、前記スライド操作部材を押し込み操作する遊技者の手の平に当接して、前記スライド操作部材が押し込み操作されて回動するときの回動支点を形成するよう構成されている、遊技機の操作装置にある。
【発明の効果】
【0009】
前記一態様の遊技機の操作装置においては、遊技者によるスライド操作を受けて、ベース部材に沿ってスライドしながら回動するスライド操作部材を用いる。スライド操作部材は、遊技者によるスライド操作量が入力されるものであり、スライド操作部材のスライド操作量は、センサによって検出される。
【0010】
遊技者がスライド操作部材をスライド操作するときには、スライド操作部材はベース部材に対して自ら回動することができる。また、遊技者がスライド操作部材をスライド操作するときには、キャップ部材がスライド操作部材に対して空転することにより、スライド操作部材は、キャップ部材及びベース部材に対して回動することができる。これにより、遊技者は、キャップ部材に手の平が接触した状態で、スライド操作部材をスライド操作することができる。そのため、遊技者によるスライド操作部材のスライド操作が容易になる。
【0011】
また、遊技者は、スライド操作部材のスライド操作を止めるとともに、スライド操作部材の外周に軽く手を添えることによって、スライド操作部材の回動を止めた状態を維持することができる。これにより、スライド操作部材が任意の操作位置にあるときに、スライド操作部材の回動を軽い力で止めておくことができる。換言すれば、スライド操作部材のスライド位置を軽い力で維持することができる。
【0012】
それ故、前記一態様の遊技機の操作装置によれば、遊技者がスライド操作部材の操作位置を保持するための操作を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態1にかかる、遊技機の操作装置を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態1にかかる、スライド操作部材が初期位置にある操作装置を示す断面図である。
【
図3】
図3は、実施形態1にかかる、スライド操作部材が操作位置にある操作装置を示す断面図である。
【
図4】
図4は、実施形態1にかかる、スライド操作部材の操作先端部及びキャップ部材の周辺を拡大して示す断面図である。
【
図5】
図5は、実施形態1にかかる、スライド操作部材を付勢する付勢部材の周辺を拡大して示す断面図である。
【
図6】
図6は、実施形態1にかかる、操作装置が配置された遊技機を示す説明図である。
【
図7】
図7は、実施形態2にかかる、遊技機の操作装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
前述した遊技機の操作装置にかかる好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
<実施形態1>
遊技機6の操作装置1は、
図1~
図3に示すように、ベース部材2、スライド操作部材3、キャップ部材4及びセンサ5を備える。ベース部材2は、遊技機6に取り付けられる。スライド操作部材3は、遊技者によるスライド操作を受けて、ベース部材2に対してスライドしながら回動するよう構成されている。キャップ部材4は、スライド操作部材3の操作先端部30において、スライド操作部材3に対して空転可能に配置されている。センサ5は、スライド操作部材3のスライド操作量を検出して、スライド操作量に応じた操作情報を制御装置64に送信するよう構成されている。
【0015】
以下に、本形態の遊技機6の操作装置1について詳説する。
(遊技機6)
図6に示すように、本形態の遊技機6は、遊技球としてのパチンコ球による遊技を行うパチンコ遊技機である。遊技機6は、遊技球による遊技が行われる遊技盤61、遊技盤61の遊技領域に向けて遊技球を発射させる球発射装置62、球発射装置62による遊技球の発射強度を調整するための操作ハンドル装置としての操作装置1、遊技球を貯留する球皿63等を備える。操作ハンドル及び球皿63は、遊技機6の前面に位置する前面パネル60に配置されており、操作ハンドルは、球皿63の右側方に配置されている。
【0016】
本形態の操作装置1は、スライド操作部材3のスライド操作量によって球発射装置62から遊技領域へ遊技球を発射させる際の発射強度を調整するよう構成されている。スライド操作部材3の操作量はセンサ5によって読み取られ、センサ5における操作情報に応じて球発射装置62から発射される遊技球の発射強度が決定される。
【0017】
(軸方向L)
図2及び
図3に示すように、本形態の遊技機6において、ベース部材2に対してスライド操作部材3が回動する中心となる、操作装置1の中心軸線Oは、遊技機6の前後方向に平行に配置される。操作装置1において、中心軸線Oが延びる方向のことを軸方向Lといい、操作装置1における軸方向Lは、遊技機6の前後方向に向けられる。操作装置1の軸方向Lの先端側L1は、遊技機6における前後方向の前方側に位置し、操作装置1の軸方向Lの基端側L2は、遊技機6における前後方向の後方側に位置する。また、中心軸線Oの周りの方向を周方向Cという。
【0018】
(ベース部材2)
図1~
図3及び
図6に示すように、ベース部材2は、操作装置1における、スライド操作部材3の軸方向Lの基端側L2に位置して、遊技機6の前面パネル60の裏側に取り付けられる。ベース部材2は、スライド操作部材3のスライド及び回動を支持する支持軸部21を有する。支持軸部21の外周には、スライド操作部材3をスライド及び回動させるための螺旋状の溝211が形成されている。本形態の螺旋状の溝211は、3条に形成されている。螺旋状の溝211は、2条、4条等に形成してもよい。
【0019】
ベース部材2には、スライド操作部材3の軸方向Lへのスライドを案内するための案内シャフト22が複数配置されている。スライド操作部材3のスライド操作量を検出するセンサ5は、ベース部材2に配置されている。
【0020】
ベース部材2に対してスライド操作部材3が回動しながらスライドする構造は、螺旋状の溝211と、螺旋状の溝211に沿って移動するボール322、円筒状ころ、突起部等との組み合わせによって形成することができる。この構成により、スライド操作部材3が回動しながらスライドする動作を容易に形成することができる。
【0021】
(スライド操作部材3)
図1~
図3に示すように、スライド操作部材3は、軸方向Lの先端側L1の端部に操作先端部30を有するとともに、ベース部材2の中心軸線Oに沿ってスライドしながら中心軸線Oの回りに回動可能である。スライド操作部材3は、ベース部材2の支持軸部21に対してスライド及び回動可能に係合するスライド中心軸部31と、スライド中心軸部31の軸方向Lの先端側L1の部位に設けられ、遊技者の手が接触可能なスライドリング部33と、スライドリング部33の軸方向Lの基端側L2に位置し、スライド中心軸部31の外周側を覆うスライド筒部34とを有する。スライド中心軸部31の軸方向Lの基端側L2の端部には、支持軸部21における螺旋状の溝211に係合するボール(金属球)322が保持された保持部材32が配置されている。
【0022】
ボール322は、保持部材32の内部に保持されて、螺旋状の溝211に転がり接触するよう構成されている。ボール322は、螺旋状の溝211の条数と同じ数(本形態では3個)が保持部材32の保持溝321内に配置されている。ボール322を用いることにより、支持軸部21に対してスライド中心軸部31が回動しながらスライドする際に、支持軸部21とスライド中心軸部31との間に生じる摩擦が低減される。
【0023】
図4に示すように、スライドリング部33は、軸方向Lに略平行に形成されて、遊技者の手が接触する円環状の外周部331を有する。本形態のスライドリング部33の外周部331は、遊技者の指を係止する突起部を有しておらず、周方向Cの全周において一定の形状を有している。スライドリング部33は、スライド操作部材3の操作先端部30に配置されている。
【0024】
スライド中心軸部31には、ボール322を有する保持部材32を設ける以外にも、スライド中心軸部31の内周に、螺旋状の溝211に沿って移動する突起部を設けることができる。また、スライド中心軸部31の内周に螺旋状の溝を設けるとともに、支持軸部21の外周に、螺旋状の溝に沿って移動するボール又は突起部を設けることもできる。
【0025】
図4に示すように、スライド中心軸部31の軸方向Lの先端側L1の端部には、スライド筒部34に対するスライド中心軸部31の回動を円滑に行うためのベアリング36が配置されている。ベアリング36は、内周リング361と、内周リング361の外周側に同軸状に配置された外周リング362と、内周リング361と外周リング362との間に配置されて内周リング361及び外周リング362に転がり接触する鋼球363とを有する。
【0026】
ベアリング36の内周リング361は、スライド中心軸部31の軸方向Lの先端側L1の端部に形成された先端軸部311の外周に装着されている。スライドリング部33の軸方向Lの先端側L1には、外周リング362が装着されるベアリング保持部材35が配置されている。ベアリング保持部材35の軸方向Lの基端側L2には、スライドリング部33の内部に形成された円弧状貫通穴332を貫通する軸部351が設けられている。軸部351は、スライド筒部34の軸方向Lの先端側L1の端部に取り付けられている。円弧状貫通穴332は、ベアリング保持部材35の軸部351に対してスライドリング部33が周方向Cへ移動することを許容するように形成されている。
【0027】
スライド操作部材3におけるスライド中心軸部31、保持部材32及びスライドリング部33の回動可能量は、90~120°の範囲内に設定されている。スライドリング部33等の回動可能量は、スライド中心軸部31のスライド長さ及び支持軸部21に形成する螺旋状の溝211のピッチによって調整することができる。
【0028】
図2、
図3及び
図5に示すように、スライド筒部34は、支持軸部21、スライド中心軸部31及び保持部材32を覆うカバーとして設けられている。スライド筒部34の軸方向Lの基端側L2には、ベース部材2の案内シャフト22によって案内される案内部材37が配置されている。遊技者がスライド操作部材3に触れていないときには、案内部材37の前側ストッパー面371がベース部材2の先端側当接部23に当接することによって、スライド操作部材3が軸方向Lの先端側L1に最も引き出された初期位置301が決定される。
【0029】
スライド操作部材3は、ベース部材2に対して軸方向Lの先端側L1に最も引き出された初期位置301と、ベース部材2に対して軸方向Lの基端側L2に最も押し込まれた操作位置302との間で繰り返しスライド可能である。遊技者によってスライド操作部材3が軸方向Lの基端側L2へ押し込み操作されるときには、スライド筒部34、案内部材37、ベアリング保持部材35及びキャップ部材4が、軸方向Lの基端側L2へスライドする一方、スライド中心軸部31、保持部材32及びスライドリング部33が回動しながら軸方向Lの基端側L2へスライドする。
【0030】
(キャップ部材4)
図2~
図4に示すように、キャップ部材4は、スライド操作部材3の操作先端部30における軸方向Lの先端側L1において、中心軸線Oの回りに空転可能に配置されている。キャップ部材4は、スライド操作部材3を押し込み操作する遊技者の手の平に当接して、スライド操作部材3が押し込み操作されて回動するときの回動支点を形成する。
【0031】
キャップ部材4は、略半球状の形状に形成されている。キャップ部材4の裏面の中心部には、軸方向Lの基端側L2に突出するキャップ軸部41が形成されている。キャップ軸部41は、スライド中心軸部31の先端軸部311の内周側に挿通されている。キャップ部材4は、キャップ軸部41がスライド中心軸部31の先端軸部311の内周側を摺動することによって、スライド操作部材3に対して空転可能である。
【0032】
図2~
図4に示すように、キャップ部材4の裏面には、キャップ部材4に軸方向Lの先端側L1から加えられる荷重を、ベアリング保持部材35に伝達するための凸部42が形成されている。また、キャップ軸部41には、キャップ部材4に軸方向Lの先端側L1から加えられる荷重を、スライド中心軸部31に伝達するための段差部411が形成されている。
【0033】
遊技者からキャップ部材4に加わる荷重は、キャップ軸部41からスライド中心軸部31、保持部材32内のボール322からベース部材2の支持軸部21に伝わるとともに、凸部42、ベアリング保持部材35、スライド筒部34及び案内部材37に伝わる。これにより、遊技者からキャップ部材4に加わる荷重を、スライド中心軸部31とスライド筒部34とに分散して受けることができる。そのため、スライド中心軸部31、保持部材32及びスライドリング部33が回動する際の負荷を低減することができ、スライド操作部材3のスライド及び回動の操作が円滑になる。
【0034】
また、キャップ部材4とスライドリング部33との間、及びスライドリング部33とスライド筒部34との間には若干の隙間Sが形成されている。この構成により、遊技者がキャップ部材4を押し込んで(キャップ部材4に荷重を加えて)スライド操作部材3をスライド操作する際に、スライドリング部33は、キャップ部材4(詳しくはキャップ部材4の外周裏面部)とスライド筒部34とに当接(接触)しないようになっている。その結果、スライドリング部33の回動を妨げる摩擦力が発生しないようにすることができる。
【0035】
(付勢部材38)
図5に示すように、操作装置1は、ベース部材2に対してスライド操作部材3を遊技機6の軸方向Lの先端側L1に付勢して、スライド操作部材3を初期位置301に維持するための付勢部材38を備えている。付勢部材38は、引張ねじりコイルばねによって構成されている。付勢部材38の一端は、ベース部材2の先端側当接部23に取り付けられており、付勢部材38の他端は、案内部材37に取り付けられている。スライド操作部材3は、付勢部材38の付勢力に抗して、ベース部材2に対して軸方向Lの基端側L2に押し込み操作可能である。
【0036】
図3に示すように、遊技者による軸方向Lの基端側L2への押し込み操作によって、スライド操作部材3及びキャップ部材4が軸方向Lの基端側L2へスライド操作されるときには、案内部材37の軸方向Lの基端側L2へのスライドによって、付勢部材38が弾性変形する。そして、スライド操作部材3における案内部材37の後側ストッパー面372がベース部材2における基端側当接部24に当接して、スライド操作部材3のスライド操作量が最大となり、スライド操作部材3のスライドが操作位置302において停止される。一方、
図2に示すように、遊技者による押し込み操作が解除されるときには、付勢部材38が弾性復帰しようとする復元力によって、スライド操作部材3及びキャップ部材4が軸方向Lの先端側L1へ引き出され、スライド操作部材3が初期位置301に復帰する。
【0037】
(センサ5)
図1に示すように、本形態のセンサ5は、スライド操作部の軸方向Lへのスライド操作を、回動量に変換して検出する構成を有する。具体的には、センサ5は、ベース部材2に取り付けられて、入力軸511の回動量に応じて抵抗値が変化する可変抵抗器51、可変抵抗器51の入力軸511に取り付けられたピニオンギヤ52、及びスライド操作部材3に取り付けられてピニオンギヤ52に噛み合うラック53を有する。
【0038】
ラック53は、スライド操作部材3の案内部材37に取り付けられている。スライド操作部材3のスライド操作を受けてラック53が軸方向Lに移動するときには、ラック53の移動量に応じてピニオンギヤ52が回動し、この回動量が可変抵抗器51によって検出される。そして、可変抵抗器51の入力軸511の回動量が、スライド操作部材3のスライド操作量を示す操作情報として、遊技機6の制御装置64に送信される。遊技機6の制御装置64は、センサ5から操作情報を受信すると、この操作情報におけるスライド操作量に応じた発射強度で球発射装置62から遊技領域へ遊技球を発射させるよう構成されている。
【0039】
センサ5は、ラック&ピニオンを用いる構成以外にも、スライド操作部材3のスライド操作量を検出することができる種々の構成とすることができる。センサ5は、例えば、スライド操作部材3の軸方向Lへのスライド操作量を、距離の変化で検出する光センサによって構成することもできる。
【0040】
(操作装置1の動作)
図2に示すように、遊技者による操作を受けていない操作装置1においては、スライド操作部材3が、付勢部材38の付勢力を受けて初期位置301にある。この初期位置301において、スライド操作部材3及びキャップ部材4は、ベース部材2に対して軸方向Lの最も先端側L1に位置している。
【0041】
次いで、遊技者がスライド操作部材3を押し込み操作するときには、指をスライド操作部材3のスライドリング部33から離した状態で、手の平をキャップ部材4に当てて、キャップ部材4を介してスライド操作部材3を押し込むことができる。このとき、スライド操作部材3には、付勢部材38の付勢力が軸方向Lの先端側L1に作用している。そのため、遊技者は、付勢部材38の付勢力に抗してスライド操作部材3を軸方向Lの基端側L2へ押し込む。
【0042】
この押し込み操作がされるときには、キャップ部材4を支点にして、ベース部材2の支持軸部21に対してスライド中心軸部31、保持部材32及びスライドリング部33が回動しながらスライドする。また、このときには、スライド中心軸部31の保持部材32に保持されたボール322が、ベース部材2の支持軸部21における螺旋状の溝211に沿って転がり接触することにより、スライド中心軸部31及びスライドリング部33が円滑に回動しながらスライドすることができる。また、スライド筒部34、案内部材37、ベアリング保持部材35及びキャップ部材4は、スライド中心軸部31、保持部材32及びスライドリング部33のスライドに応じてスライドする。
【0043】
案内部材37がスライドするときには、案内部材37とともにラック53がスライドし、ラック53によって、ピニオンギヤ52を介して可変抵抗器51の入力軸511が回動する。これにより、スライド操作部材3のスライド操作量がセンサ5によって検出され、制御装置64を介して、球発射装置62による遊技球の発射強度が決定される。
【0044】
スライド操作部材3のスライド操作量は、スライド操作部材3が回動しながらスライドすることにより、スライド操作部材3の回動量と比例する。遊技者がスライド操作部材3をスライドさせるときには、スライド操作部材3を回動させることと同様の効果が得られる。
【0045】
遊技者は、スライド操作部材3をスライド操作して遊技球の発射強度を確定したいときには、スライドリング部33の外周を指で押さえる。これにより、スライド操作部材3をスライドさせることができなくなり、スライド操作部材3の軸方向Lにおけるスライド位置が固定される。
【0046】
また、遊技者がスライド操作部材3を軸方向Lの基端側L2へ押し込む強さを弱めたときには、付勢部材38の付勢力を利用して、スライド操作部材3が軸方向Lの先端側L1へ戻される。これにより、スライド操作部材3のスライド操作量を減らして遊技球の発射強度を弱めることができる。
【0047】
(作用効果)
本形態の遊技機6の操作装置1においては、遊技者によるスライド操作を受けて、ベース部材2の軸方向Lに沿ってスライドしながら、中心軸線Oの周りに回動するスライド操作部材3を用いる。スライド操作部材3は、遊技者によるスライド操作量が入力されるものであり、スライド操作部材3のスライド操作量は、センサ5によって検出される。
【0048】
遊技者がスライド操作部材3をスライド操作するときには、スライド操作部材3のスライド中心軸部31、保持部材32及びスライドリング部33は、ボール322と螺旋状の溝211との係合によって、ベース部材2の支持軸部21に対して自ら回動することができる。換言すれば、スライド中心軸部31、保持部材32及びスライドリング部33は、遊技者がキャップ部材4を押し込む操作を利用して回動することができる。
【0049】
また、遊技者がスライド操作部材3をスライド操作するときには、キャップ部材4がスライド操作部材3に対して空転することにより、スライド操作部材3のスライド中心軸部31、保持部材32及びスライドリング部33は、キャップ部材4及びベース部材2に対して回動することができる。換言すれば、キャップ部材4は、スライド操作部材3のスライド中心軸部31、保持部材32及びスライドリング部33に追従して回動しない。
【0050】
このような構成により、遊技者がキャップ部材4を手の平に当ててスライド操作部材3をスライド操作する際に、遊技者の手の平に対してキャップ部材4の回動による不適切な摩擦力が発生しない。そして、遊技者は、キャップ部材4に手の平が接触した状態で、不適切な負荷を受けることなくスライド操作部材3をスライド操作することができる。そのため、遊技者によるスライド操作部材3のスライド操作が容易又は快適になる。
【0051】
そして、遊技者は、スライド操作部材3のスライド操作を止めるとともに、スライド操作部材3のスライドリング部33の外周に軽く手を添えることによって、付勢部材38の付勢力に抗してスライド操作部材3のスライド中心軸部31、保持部材32及びスライドリング部33の回動を止めた状態を維持することができる。これにより、スライド操作部材3のスライドリング部33等が任意の操作位置にあるときに、スライドリング部33等の回動を軽い力で止めておくことができる。換言すれば、スライド操作部材3のスライド位置を軽い力で維持することができる。
【0052】
それ故、本形態の遊技機6の操作装置1によれば、遊技者がスライド操作部材3の操作位置を保持するための操作を容易にすることができる。
【0053】
<実施形態2>
本形態の操作装置1は、具体的な構造が実施形態1の操作装置1と異なる。
図7に示すように、本形態のスライド操作部材3のスライド中心軸部31の外周には、螺旋状の溝312が形成されている。また、ベース部材2におけるスライド中心軸部31の外周に配置された円筒部25には、螺旋状の溝312に配置されて、螺旋状の溝312に沿って移動する円筒状ころ251が配置されている。本形態の付勢部材38は、スライド中心軸部31の中心軸線Oを含む中心部に配置されたシャフト26の外周に配置されている。
【0054】
本形態のスライド操作部材3のスライドリング部33は、スライド中心軸部31の軸方向Lの先端側L1に配置されている。スライドリング部33の外形は、曲面を形成するよう規則的に並ぶ複数の多角形としての三角形333によって形成されている。スライドリング部33の曲面状の表面においては、隣り合う三角形333の辺同士が重なっている。スライドリング部33の外形は、短軸が操作装置1の軸方向Lに向けられた仮想上の扁球(偏楕円体)の三次元外形に倣って配置された複数の三角形333の表面によって形成されている。
【0055】
複数の三角形333の表面は、平坦状であってもよく、表面側に緩やかに膨らむ曲面状であってもよい。スライドリング部33の表面が、複数の三角形333が規則的に並ぶ形状によって形成されていることにより、スライドリング部33が任意の操作位置(回動位置)にあるときにおいても、遊技者の指が三角形333の平坦状又は曲面状の表面を押さえることができる。これにより、スライドリング部33が任意の操作位置にあるときにおいても、遊技者に、スライドリング部33のグリップ感を与えることができる。その結果、スライドリング部33等の回動を停止させる操作が良好になる。
【0056】
本形態の操作装置1における、その他の構成、作用効果等については、実施形態1の場合と同様である。また、本形態においても、実施形態1に示した符号と同一の符号が示す構成要素は、実施形態1の場合と同様である。
【0057】
(その他の操作装置1の構成)
操作装置1は、操作ハンドル装置とする以外にも、例えば、遊技機6における遊技に関連した演出に対して遊技者が操作入力を行うための演出入力装置とすることができる。また、操作装置1は、遊技機6において回動操作が行われる種々の演出装置とすることもできる。
【0058】
また、操作装置1を演出入力装置とする場合には、操作装置1は、球皿63に配置することができる。この場合には、操作装置1は、球皿63に対して上下方向にスライド可能にすることができる。そして、操作装置1のスライド操作部材3及びキャップ部材4は、初期位置301においては、球皿63に対して上方に向けて突出しており、遊技者によって下方に向けて押し下げられるようにスライド操作されて操作位置302に移動する。
【0059】
スライドリング部33、キャップ部材4等の内部には、LED(発光ダイオード)等による発光構造を設けることができる。これにより、遊技の趣向性が向上する。
【0060】
スライドリング部33の外周には、球発射装置62からの遊技球の発射を停止させるための発射停止スイッチを配置してもよい。発射停止スイッチが操作されると、制御装置64を介して球発射装置62の動作が停止される。
【0061】
キャップ部材4又はスライドリング部33には、静電容量等を検出して、遊技者の手が接触していることを検知するタッチセンサが設けられていてもよい。タッチセンサが遊技者の手を検知していないときには、球発射装置62からの遊技球の発射が停止される。スライドリング部33にタッチセンサが設けられたときには、遊技者がスライドリング部33から指を離すことによって、球発射装置62からの遊技球の発射を停止させることができる。
【0062】
本発明は、各実施形態のみに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲においてさらに異なる実施形態を構成することが可能である。また、本発明は、様々な変形例、均等範囲内の変形例等を含む。さらに、本発明から想定される様々な構成要素の組み合わせ、形態等も本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
1 操作装置
2 ベース部材
3 スライド操作部材
30 操作先端部
38 付勢部材
4 キャップ部材
5 センサ
6 遊技機