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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】リニアアンプ
(51)【国際特許分類】
   H03F 1/42 20060101AFI20231017BHJP
   H03F 3/45 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
H03F1/42
H03F3/45 109
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019183869
(22)【出願日】2019-10-04
(65)【公開番号】P2021061498
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】399011195
【氏名又は名称】ザインエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100110582
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 昌聰
(72)【発明者】
【氏名】小勝 秀行
【審査官】▲高▼橋 徳浩
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0012642(US,A1)
【文献】特開2007-325212(JP,A)
【文献】特開2008-182693(JP,A)
【文献】特開2010-011220(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F1/00-H03F3/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1信号入力端および第2信号入力端に入力された差動信号に応じた差動信号を出力するリニアアンプであって、
第1端子,第2端子および制御端子を各々有する第1トランジスタおよび第2トランジスタと、前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタそれぞれの制御端子に差動信号が入力されたときに前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタそれぞれの第1端子または第2端子より後段における差動信号のコモン電圧を出力するコモン電圧出力部と、を含む信号処理回路と、
前記第1信号入力端と第1基準電位端との間に設けられた第1抵抗器と、
前記第2信号入力端と前記第1基準電位端との間に設けられた第2抵抗器と、
前記第1信号入力端と前記第1トランジスタの制御端子との間に設けられた第3抵抗器と、
前記第2信号入力端と前記第2トランジスタの制御端子との間に設けられた第4抵抗器と、
前記第3抵抗器に対して並列に設けられた第1容量素子と、
前記第4抵抗器に対して並列に設けられた第2容量素子と、
第1端子,第2端子および制御端子を有し、これらのうち第1端子および第2端子を介して前記第1トランジスタの制御端子と第2基準電位端との間に設けられた第3トランジスタと、
第1端子,第2端子および制御端子を有し、これらのうち第1端子および第2端子を介して前記第2トランジスタの制御端子と前記第2基準電位端との間に設けられた第4トランジスタと、
前記コモン電圧および参照電圧を入力し、これらの間の電圧差に応じた電圧を前記第3トランジスタおよび前記第4トランジスタそれぞれの制御端子に与える差動増幅器と、
を備えるリニアアンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニアアンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
リニアアンプは、差動通信の伝送距離を伸ばす目的で設けられ伝送損失の回復等に用いられる。非特許文献1の第11頁にリニアアンプの回路例が示されている。リニアアンプは、用途によっては、入力差動信号の振幅に対する出力差動信号の振幅の線形性が高いことが要求される場合があり、また、広帯域に亘って一定のゲインを有することが要求される場合がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】MAXIM社、Multirate Clock and DataRecovery with Limiting Amplifier MAX3872データシート、Rev.3、2007年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えばUSB3.1 gen2、USB4等において用いられるリニアアンプは、線形性が高く且つ広帯域に亘って一定のゲインを有することが要求される。しかしながら、従来のリニアアンプは、これらの用途の場合の要求に応えることができない。
【0005】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、線形性が高く且つ広帯域に亘って一定のゲインを有することができるリニアアンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のリニアアンプは、第1信号入力端および第2信号入力端に入力された差動信号に応じた差動信号を出力するリニアアンプであって、(1) 第1端子,第2端子および制御端子を各々有する第1トランジスタおよび第2トランジスタと、第1トランジスタおよび第2トランジスタそれぞれの制御端子に差動信号が入力されたときに第1トランジスタおよび第2トランジスタそれぞれの第1端子または第2端子より後段における差動信号のコモン電圧を出力するコモン電圧出力部と、を含む信号処理回路と、(2) 第1信号入力端と第1基準電位端との間に設けられた第1抵抗器と、(3) 第2信号入力端と第1基準電位端との間に設けられた第2抵抗器と、(4) 第1信号入力端と第1トランジスタの制御端子との間に設けられた第3抵抗器と、(5)第2信号入力端と第2トランジスタの制御端子との間に設けられた第4抵抗器と、(6) 第3抵抗器に対して並列に設けられた第1容量素子と、(7) 第4抵抗器に対して並列に設けられた第2容量素子と、(8) 第1端子,第2端子および制御端子を有し、これらのうち第1端子および第2端子を介して第1トランジスタの制御端子と第2基準電位端との間に設けられた第3トランジスタと、(9) 第1端子,第2端子および制御端子を有し、これらのうち第1端子および第2端子を介して第2トランジスタの制御端子と第2基準電位端との間に設けられた第4トランジスタと、(10) コモン電圧および参照電圧を入力し、これらの間の電圧差に応じた電圧を第3トランジスタおよび第4トランジスタそれぞれの制御端子に与える差動増幅器と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明のリニアアンプは、線形性が高く且つ広帯域に亘って一定のゲインを有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1比較例のリニアアンプ1の構成を示す図である。
図2図2は、第2比較例のリニアアンプ2の構成を示す図である。
図3図3は、第1実施形態のリニアアンプ3の構成を示す図である。
図4図4は、第2実施形態のリニアアンプ4の構成を示す図である。
図5図5は、信号処理回路50の第1構成例を示す図である。
図6図6は、信号処理回路50の第2構成例を示す図である。
図7図7は、信号処理回路50の第3構成例を示す図である。
図8図8は、実施例および比較例それぞれについてゲインの周波数依存性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0010】
以下では、初めに比較例のリニアアンプの構成および問題点について説明し、その後に実施形態のリニアアンプの構成について説明する。
【0011】
図1は、第1比較例のリニアアンプ1の構成を示す図である。この図に示されるリニアアンプ1は、非特許文献1の第11頁に示されているものであって、差動信号伝送システムにおいて用いられる。リニアアンプ1は、信号入力端11,12に入力された差動信号に応じた差動信号を出力するものであって、抵抗器21,22および信号処理回路40を備える。
【0012】
信号処理回路40は、入力段にトランジスタ41,42を含む。トランジスタ41,42は、NPNバイポーラトランジスタである。抵抗器21は、信号入力端11と電源電位端との間に設けられている。抵抗器22は、信号入力端12と電源電位端との間に設けられている。電源電位端は電源電位VCCを供給する。抵抗器21,22は、終端抵抗として設けられたものであって、例えば50Ωの抵抗値を有する。トランジスタ41のベースは、信号入力端11と接続されている。トランジスタ42のベースは、信号入力端12と接続されている。
【0013】
このリニアアンプ1では、電源電位端から抵抗器21,22を介してトランジスタ41,42のベースにベース電流が供給されて、トランジスタ41,42が動作する。トランジスタ41,42のエミッタは、ベース電圧からベース・エミッタ間電圧VBE(例えば約0.8V)だけ低下した電圧で動作する。トランジスタ41,42のコレクタは例えば電源電位端に接続されている。信号入力端11,12に入力された差動信号は、トランジスタ41,42のベースに入力されて、トランジスタ41,42のエミッタから出力される。
【0014】
このリニアアンプ1は、以下に説明するとおり、線形性の向上に限界を有しており、例えばUSB3.1gen2、USB4等の高い線形性が要求される差動信号伝送システムに用いるには問題がある。トランジスタ41,42のエミッタ電圧はベース電圧に連動して変化するのに対して、トランジスタ41,42のコレクタ電圧は電源電位VCCに固定されていることから、ベース電圧の上昇に応じてコレクタ・エミッタ間電圧VCEが低下する。トランジスタ41,42のベースに大振幅(例えば0.5V以上)の差動信号が入力されると、VCEは0.3V以下となって飽和領域に近づくことから、電流増倍率hFEが急減することになる。hFEの低下はゲインの低下を意味しており、このことから、入力差動信号が大振幅である場合に出力差動信号の波形が歪み、線形性が失われる。
【0015】
USB3.0 gen1までのシステムでは大きな問題となることはないが、USB3.1 gen2以降の高速化・高度化したシステムでは、通信波形の高度の線形性が要求される。例えば、USB3.1 gen2のコンプライアンステストでは、所定のテストパターンを波形の形を変えることなく(例えば、1Vpp弱の振幅およびオーバーシュート波形を変えることなく)信号を伝送することが要求されている。第1比較例のリニアアンプ1は、このような要求に応えることができない。
【0016】
図2は、第2比較例のリニアアンプ2の構成を示す図である。図1に示された第1比較例のリニアアンプ1の構成と比較すると、この図2に示される第2比較例のリニアアンプ2は、容量素子25,26および抵抗器31,32を更に備える点で相違する。
【0017】
容量素子25は、信号入力端11とトランジスタ41のベースとの間に設けられている。容量素子26は、信号入力端12とトランジスタ42のベースとの間に設けられている。抵抗器31は、トランジスタ41のベースとバイアス電位端との間に設けられている。抵抗器32は、トランジスタ42のベースとバイアス電位端との間に設けられている。バイアス電位端は、電源電位VCCより低いバイアス電位Vbiasを供給する。電源電位VCCとバイアス電位Vbiasとの差は例えば0.8V程度である。
【0018】
このリニアアンプ2では、抵抗器21,22が終端抵抗として用いられる一方で、バイアス電位端から抵抗器31,32を介してトランジスタ41,42のベースにベース電流が供給されて、トランジスタ41,42が動作する。信号入力端11,12に入力された差動信号は、容量素子25,26を介してトランジスタ41,42のベースに入力されて、トランジスタ41,42のエミッタから出力される。
【0019】
この第2比較例のリニアアンプ2は、電源電位VCCより低いバイアス電位Vbiasをトランジスタ41,42のベースに与えることで、第1比較例のリニアアンプ1が有していた低線形性の問題を解消することができる。
【0020】
しかし、第2比較例のリニアアンプ2では、容量素子25,26および抵抗器31,32により高周波帯域フィルタが構成され、この高周波帯域フィルタにより入力差動信号のうち低周波帯域の成分が減衰してしまうことになる。通常、低周波域成分の追随性として周波数100kHzで信号ロスが3dB以下であることが要求される。トランジスタ41,42としてインピーダンスの比較的低いNPNバイポーラトランジスタを用いると、ベース電流による電圧降下を抑制するために抵抗器31,32の抵抗値は数kΩ以下の値でなければならず、容量素子25,26の容量値は1nF以上であることが必要となる。このように容量値が大きい容量素子はICチップ内に収めることが困難である。よって、第2比較例のリニアアンプ2は現実的には採用されることは困難である。
【0021】
以下に図3及び図4を用いて説明する実施形態のリニアアンプは、比較例のリニアアンプ1,2が有する上記問題点を解消し得るものであって、線形性が高く且つ広帯域に亘って一定のゲインを有することができる。
【0022】
本実施形態のリニアアンプは、第1信号入力端11および第2信号入力端12に入力された差動信号に応じた差動信号を出力するものであって、第1抵抗器21、第2抵抗器22、第3抵抗器23、第4抵抗器24、第1容量素子25、第2容量素子26、第3トランジスタ27、第4トランジスタ28、差動増幅器29および信号処理回路50を備える。
【0023】
信号処理回路50は、第1トランジスタ51および第2トランジスタ52を含み、また、コモン電圧を出力するコモン電圧出力部として抵抗器53を含む。トランジスタ51,52それぞれは、第1端子,第2端子および制御端子を有する。トランジスタ51,52それぞれの制御端子に差動信号が入力される。コモン電圧出力部としての抵抗器53は、トランジスタ51,52それぞれの第1端子または第2端子より後段における差動信号のコモン電圧を出力する。抵抗器53は、差動信号を伝送する一対の信号線の間に設けられている。その抵抗器53の中点の電圧がコモン電圧として出力される。
【0024】
抵抗器21は、信号入力端11と第1基準電位端との間に設けられている。抵抗器22は、信号入力端12と第1基準電位端との間に設けられている。抵抗器23は、信号入力端11とトランジスタ51の制御端子との間に設けられている。抵抗器24は、信号入力端12とトランジスタ52の制御端子との間に設けられている。容量素子25は、抵抗器23に対して並列に設けられている。容量素子26は、抵抗器24に対して並列に設けられている。
【0025】
トランジスタ27,28それぞれは、第1端子,第2端子および制御端子を有する。トランジスタ27は、第1端子および第2端子を介してトランジスタ51の制御端子と第2基準電位端との間に設けられている。トランジスタ28は、第1端子および第2端子を介してトランジスタ52の制御端子と第2基準電位端との間に設けられている。差動増幅器29は、コモン電圧および参照電圧VREFを入力し、これらの間の電圧差に応じた電圧をトランジスタ27,28それぞれの制御端子に与える。参照電圧VREFは外部から与えられてもよい。また、参照電圧VREFを出力する参照電圧発生部をリニアアンプが備えていてもよい。
【0026】
第1基準電位端および第2基準電位端のうち、一方は電源電位端であり、他方は接地電位端である。トランジスタ51,52は、同種のものであり、NPNバイポーラトランジスタ、PNPバイポーラトランジスタ、NMOSトランジスタおよびPMOSトランジスタの何れであってもよい。トランジスタ27,28は、同種のものであり、NPNバイポーラトランジスタ、PNPバイポーラトランジスタ、NMOSトランジスタおよびPMOSトランジスタの何れであってもよい。トランジスタ51,52とトランジスタ27,28とは、同種であってもよいし、別種であってもよい。
【0027】
バイポーラトランジスタの場合、第1端子および第2端子のうち一方はコレクタであり他方はエミッタであり、制御端子はベースである。MOSトランジスタの場合、第1端子および第2端子のうち一方はソースであり他方はドレインであり、制御端子はゲートである。
【0028】
抵抗器21,22は同じ抵抗値を有する。抵抗器23,24は同じ抵抗値を有する。容量素子25,26は同じ容量値を有する。抵抗器21,22それぞれの抵抗値より、抵抗器23,24それぞれの抵抗値は大きい。例えば、抵抗器21,22それぞれの抵抗値は50Ωであり、抵抗器23,24それぞれの抵抗値は数kΩである。
【0029】
図3は、第1実施形態のリニアアンプ3の構成を示す図である。この第1実施形態の構成は、抵抗器21,22が接続される第1基準電位端を電源電位端とし、トランジスタ27,28が接続される第2基準電位端を接地電位端とし、トランジスタ51,52をNPNバイポーラトランジスタとし、トランジスタ27,28をNMOSトランジスタとしたものである。
【0030】
このリニアアンプ3では、抵抗器21,22が終端抵抗として用いられている。抵抗器23,24および容量素子25,26は、信号入力端11,12とトランジスタ51,52のベースとをアイソレートしている。トランジスタ51,52それぞれのベース電圧は、電源電位端から抵抗器21,22、抵抗器23,24およびトランジスタ27,28を経て接地電位端へ流れる電流の大きさに依る。差動増幅器29は、抵抗器53の中点から出力されたコモン電圧および参照電圧VREFを入力し、これらの間の電圧差に応じた電圧をトランジスタ27,28それぞれの制御端子に与えることで、トランジスタ27,28を流れる電流を制御する。
【0031】
このようなコモンモードフィードバックにより、抵抗器53の中点のコモン電圧が参照電圧VREFと等しくなるようにトランジスタ27,28に電流が流れる。これにより、トランジスタ51,52のベースは、電源電位VCCより低い適切な電圧が与えられるので、高い線形性を有することができ、また、広帯域に亘って一定のゲインを有することができる。
【0032】
コモンモードフィードバックは、同相信号に対して働き、差動信号に対しては作用しない。したがって、トランジスタ27,27は、高インピーダンスとなり、ロスの原因とならない。この結果、容量素子25,26の容量値が数pF程度であっても、入力差動信号の低周波帯域の成分も減衰することなく伝送されるので、容量素子25,26をICチップ内に収めることが可能である。
【0033】
図4は、第2実施形態のリニアアンプ4の構成を示す図である。この第2実施形態の構成は、抵抗器21,22が接続される第1基準電位端を接地電位端とし、トランジスタ27,28が接続される第2基準電位端を電源電位端とし、トランジスタ51,52をNPNバイポーラトランジスタとし、トランジスタ27,28をPMOSトランジスタとしたものである。この第2実施形態のリニアアンプ4は、第1実施形態のリニアアンプ3と同様に動作し、同様の効果を奏する。
【0034】
次に、図5図7を用いて信号処理回路50の構成例について説明する。これらの構成例の信号処理回路50A~50Cは何れも、入力差動信号に応じた差動信号を信号出力端13,14から出力することができる。
【0035】
図5は、信号処理回路50の第1構成例を示す図である。この図に示される信号処理回路50Aは、トランジスタ51,52および抵抗器53に加えて電流源61,62を含む。トランジスタ51,52はNPNバイポーラトランジスタである。電流源61,62は同じ大きさの電流を流す。トランジスタ51のコレクタは信号出力端13と接続されている。トランジスタ52のコレクタは信号出力端14と接続されている。トランジスタ51のエミッタは、電流源61を介して接地電位端と接続されている。トランジスタ52のエミッタは、電流源62を介して接地電位端と接続されている。抵抗器53は、トランジスタ51,52それぞれのエミッタの間に設けられている。
【0036】
図6は、信号処理回路50の第2構成例を示す図である。この図に示される信号処理回路50Bは、トランジスタ51,52および抵抗器53に加えて、容量素子54、トランジスタ55,56および電流源61~64を含む。トランジスタ51,52,55,56はNPNバイポーラトランジスタである。電流源61~64は同じ大きさの電流を流す。トランジスタ51,52それぞれのコレクタは電源電位端と接続されている。トランジスタ55のコレクタは信号出力端13と接続されている。トランジスタ56のコレクタは信号出力端14と接続されている。トランジスタ51のエミッタは、電流源61を介して接地電位端と接続され、トランジスタ55のベースと接続されている。トランジスタ52のエミッタは、電流源62を介して接地電位端と接続され、トランジスタ56のベースと接続されている。トランジスタ55のエミッタは、電流源63を介して接地電位端と接続されている。トランジスタ56のエミッタは、電流源64を介して接地電位端と接続されている。抵抗器53および容量素子54は、トランジスタ55,56それぞれのエミッタの間に設けられている。
【0037】
図7は、信号処理回路50の第3構成例を示す図である。この図に示される信号処理回路50Cは、トランジスタ51,52および抵抗器53に加えて抵抗器65~68を含む。トランジスタ51,52はNPNバイポーラトランジスタである。抵抗器65,66は同じ抵抗値を有する。抵抗器67,68は同じ抵抗値を有する。トランジスタ51のエミッタは、抵抗器65を介して接地電位端と接続されている。トランジスタ52のエミッタは、抵抗器66を介して接地電位端と接続されている。トランジスタ51のコレクタは、抵抗器67を介して電源電位端と接続され、信号出力端13と接続されている。トランジスタ52のコレクタは、抵抗器68を介して電源電位端と接続され、信号出力端14と接続されている。抵抗器53は、トランジスタ51,52それぞれのコレクタの間に設けられている。
【0038】
次に、シミュレーション結果について説明する。図8は、実施例および比較例それぞれについてゲインの周波数依存性を示すグラフである。ここでは、リニアアンプ3(図3)において信号処理回路50として信号処理回路50B(図6)を採用した構成を実施例とした。リニアアンプ2(図2)において信号処理回路40として信号処理回路50B(図6)を採用した構成を比較例とした。実施例および比較例の何れも周波数20Gbpsまでの帯域でゲインが得られるように設計した。この図の横軸は周波数(単位:Hz)であり、縦軸は入力差動信号に対する出力差動信号のゲイン(単位:dB)である。この図に示されるように、比較例では100MHz以下の帯域ではゲインが低下しているのに対して、実施例では広い帯域で一定のゲインが得られた。このように、本実施形態のリニアアンプは、広帯域に亘って一定のゲインを有することができる。
【符号の説明】
【0039】
1~4…リニアアンプ、11,12…信号入力端、13,14…信号出力端、21~24…抵抗器、25,26…容量素子、27,28…トランジスタ、29…差動増幅器、31,32…抵抗器、40…信号処理回路、41,42…トランジスタ、50,50A,50B,50C…信号処理回路、51,52…トランジスタ、53…抵抗器(コモン電圧出力部)、54…容量素子、55,56…トランジスタ、61~64…電流源、65~68…抵抗器。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8