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特許7367975融着接続装置の管理システム、及び、融着接続装置の管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】融着接続装置の管理システム、及び、融着接続装置の管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0631 20230101AFI20231017BHJP
   G06Q 50/32 20120101ALI20231017BHJP
   G02B 6/255 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
G06Q10/0631
G06Q50/32
G02B6/255
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019566401
(86)(22)【出願日】2018-12-28
(86)【国際出願番号】 JP2018048566
(87)【国際公開番号】W WO2019142652
(87)【国際公開日】2019-07-25
【審査請求日】2021-09-21
(31)【優先権主張番号】P 2018005734
(32)【優先日】2018-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000110309
【氏名又は名称】住友電工オプティフロンティア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】大木 一芳
(72)【発明者】
【氏名】遊佐 英明
【審査官】加舎 理紅子
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-058474(JP,A)
【文献】特開2008-158648(JP,A)
【文献】特開2017-224076(JP,A)
【文献】特開2004-112853(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G02B 6/255
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
融着接続装置を使用して各接続技術者が行う融着接続作業の進捗を管理するためのシステムであって、
前記融着接続装置それぞれを使用する各接続技術者による融着接続作業に関する融着接続データを、各融着接続作業が実施される毎に取得する取得部と、
少なくとも一部に無線通信を含む通信手段を介して前記取得部から取得した前記融着接続データを、作業計画を示す作業計画データと対比して各融着接続作業の進捗状況を判定する判定部と、
前記判定部で判定した各融着接続作業の進捗状況を通知する通知部と、を備え、
前記取得部が前記融着接続装置に設けられている、
融着接続装置の管理システム。
【請求項2】
前記判定部は、前記融着接続データを前記作業計画データと対比し、各融着接続作業が前記作業計画から遅延しているか否かについて判定する、
請求項1に記載の融着接続装置の管理システム。
【請求項3】
前記通知部は、各融着接続作業が前記作業計画から遅延しているか否かについての進捗状況を、前記作業計画を管理するための管理装置に対して所定の周期で又は遅延の判定毎に通知する、
請求項2に記載の融着接続装置の管理システム。
【請求項4】
前記融着接続データは、使用された融着接続装置の識別情報、融着接続作業を実施した接続技術者の識別情報、融着接続の日付及び時刻、融着接続が行われた場所、融着接続された光ファイバの接続ロス、融着接続される光ファイバの端面角度、光ファイバの偏心量、融着接続時に選択した接続条件、光ファイバの種別を判別した結果、接続前後の光ファイバ観察画像、接続回数、補強条件、補強にかかった時間、及び、補強回数、の内の少なくとも1つの情報を含む、
請求項1~請求項3の何れか一項に記載の融着接続装置の管理システム。
【請求項5】
前記融着接続装置それぞれに対して個別の無線情報端末が割り当てられており、各融着接続装置は、対応する前記無線情報端末と無線接続可能な構成を有しており、
前記作業計画データは、前記無線情報端末と所定の通信回線を介して通信可能な管理サーバに格納されており、且つ、前記取得部が前記融着接続装置に設けられており、
前記無線情報端末は、前記取得部で取得した前記融着接続データを前記管理サーバに送信し、前記管理サーバ内に設けられた前記判定部により各融着接続作業の進捗状況が判定される、
請求項1~請求項4の何れか一項に記載の融着接続装置の管理システム。
【請求項6】
各作業計画に適した接続技術者の候補チームを選定する選定部を更に備え、
前記選定部は、前記作業計画データにおける工事期間、光ファイバの接続予定回数、及び、光ファイバの接続規格の内の少なくとも1つの情報に基づいて当該作業計画に適した前記候補チームを選定する、
請求項1~請求項5の何れか一項に記載の融着接続装置の管理システム。
【請求項7】
前記選定部が前記作業計画に適した前記候補チームを選定するための接続技術者データを含むチームデータベースを更に備える、
請求項6に記載の融着接続装置の管理システム。
【請求項8】
前記作業計画に沿った融着接続作業が完了した後に、当該作業計画によって行われた融着接続作業における融着接続データを前記チームデータベースに追加して、前記チームデータベースを更新する更新部を更に備える、
請求項7に記載の融着接続装置の管理システム。
【請求項9】
融着接続装置を使用して各接続技術者が行う融着接続作業の進捗を管理システムで管理するための管理方法であって、
前記融着接続装置が、前記融着接続装置それぞれを使用する各接続技術者による融着接続作業に関する融着接続データを、各融着接続作業が実施される毎に取得する工程と、
少なくとも一部に無線通信を含む通信手段を介して前記融着接続データを前記融着接続装置から取得した前記管理システムの判定部が、前記融着接続データを、作業計画を示す作業計画データと対比して各融着接続作業の進捗状況を判定する工程と、
前記管理システムの通知部が、前記判定する工程で判定した各融着接続作業の進捗状況を通知する工程と、
を備える、融着接続装置の管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、融着接続装置(fusion splicer)の管理システム、及び、融着接続装置の管理方法に関する。
本出願は、2018年1月17日出願の日本出願第2018-005734号に基づく優先権を主張し、前記日本出願に記載された全ての記載内容を援用する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、光ファイバ同士を融着接続するための融着接続装置を開示する。この融着接続装置には、光ファイバを載置するためのV溝、光ファイバ同士を融着するためのアーク放電用電極及び電極台、光ファイバ同士の融着接続状況をモニタする顕微鏡やモニタ、及び、融着された光ファイバの接続部に被せられる補強スリーブを加熱収縮させるための加熱器などが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-141357号公報
【発明の概要】
【0004】
本開示は、融着接続装置を使用して各接続技術者が行う融着接続作業の進捗を管理するシステムを提供する。この管理システムは、取得部と、判定部と、通知部と、を備える。取得部は、融着接続装置それぞれを使用する各接続技術者による融着接続作業に関する融着接続データを、各融着接続作業が実施される毎に取得する。判定部は、融着接続データを、作業計画を示す作業計画データと対比して各融着接続作業の進捗状況を判定する。通知部は、判定部で判定した各融着接続作業の進捗状況を通知する。
【0005】
本開示は、融着接続装置を使用して各接続技術者が行う融着接続作業の進捗を管理する管理方法を提供する。この管理方法は、融着接続装置それぞれを使用する各接続技術者による融着接続作業に関する融着接続データを各融着接続作業が実施される毎に取得する工程と、融着接続データを作業計画を示す作業計画データと対比して各融着接続作業の進捗状況を判定する工程と、判定する工程で判定した各融着接続作業の進捗状況を通知する工程と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、融着接続装置の一例を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示す融着接続装置における内部構造を示す斜視図である。
図3図3は、融着接続装置の管理システムの一例の概要を示す図である。
図4図4は、融着接続装置の管理システムの一例を示すブロック図である。
図5図5は、図4に示す融着接続装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図6図6は、図4に示す無線情報端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
図7図7は、図4に示す管理サーバ及び管理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図8図8は、管理システムにおける、融着接続作業のプロジェクト状況の表示画面の一例を示す図である。
図9図9は、図4に示す管理システムにより、融着接続装置を使用して各接続技術者が行う融着接続作業の進捗を管理する処理を示すシーケンス図である。
図10図10は、図4に示す管理システムにより、融着接続装置を使用して各接続技術者が行う融着接続作業の進捗を管理する処理を示すシーケンス図である。
図11図11は、図4に示す管理システムにより、融着接続装置を使用して各接続技術者が行う融着接続作業の進捗を管理する処理を示すシーケンス図である。
図12図12は、図9のシーケンス図における工事プロジェクト登録の処理フローを示すフローチャートである。
図13図13は、図12に示す工事プロジェクト登録処理における担当チームの自動アサインの処理フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[本開示が解決しようとする課題]
融着接続装置を使用して接続技術者が光ファイバの融着接続作業を行う作業現場では、日々の作業完了後に各作業現場の進捗状況(例えば作業の遅れ)を管理者が把握することが多い。このため、ある作業現場での融着接続作業が当初の作業計画から遅れた場合、その遅れを管理者が早期に知ることができず、作業の遅れを早期に是正することが難しくなることがある。そこで、融着接続装置を用いた融着接続作業の進捗に遅れ等があった場合でも、管理者がその進捗状況を早期に知ることができることが望まれている。
【0008】
[本開示の効果]
本開示によれば、融着接続作業の進捗状況を早期に知ることができる。
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態の内容を列記して説明する。本開示の一態様は、融着接続装置を使用して各接続技術者が行う融着接続作業の進捗を管理するシステムに関する。この管理システムは、融着接続装置それぞれを使用する各接続技術者による融着接続作業に関する融着接続データを各融着接続作業が実施される毎に取得する取得部と、融着接続データを作業計画を示す作業計画データと対比して各融着接続作業の進捗状況を判定する判定部と、判定部で判定した各融着接続作業の進捗状況を通知する通知部と、を備えている。
【0010】
本開示の別の一態様は、融着接続装置を使用して各接続技術者が行う融着接続作業の進捗を管理する管理方法に関する。この管理方法は、融着接続装置それぞれを使用する各接続技術者による融着接続作業に関する融着接続データを各融着接続作業が実施される毎に取得する工程と、融着接続データを作業計画データと対比して各融着接続作業の進捗状況を判定する工程と、判定する工程で判定した各融着接続作業の進捗状況を通知する工程と、を備えている。
【0011】
この融着接続装置の管理システム及び管理方法では、融着接続作業に関する融着接続データを各融着接続作業が実施される毎に取得する。そして、取得した融着接続データを作業計画データと対比して各融着接続作業の進捗状況を判定し、所定の通知先に通知する。このため、各融着接続作業の進捗状況(例えば作業の遅れ又は接続品質等)を管理者が早期に知ることができ、融着接続作業の進捗の遅れやその他の問題が発生した場合、管理者は早期に作業の遅れ等の進捗状況を発見して、その是正を図ることができる。
【0012】
一実施形態として、判定部は、融着接続データを作業計画データと対比し、各融着接続作業が作業計画から遅延しているか否かについて判定してもよい。この実施形態によれば、融着作業が遅延しているか否かを早期に知ることができ、早期にその是正を図ることができる。この場合において、通知部は、各融着接続作業が作業計画から遅延しているか否かについての進捗状況を、作業計画を管理するための管理装置に対して所定の周期で又は遅延の判定毎に通知するようにしてもよい。
【0013】
一実施形態として、融着接続データは、使用された融着接続装置の識別情報、融着接続作業を実施した接続技術者の識別情報、融着接続の日付及び時刻、融着接続が行われた場所、融着接続された光ファイバの接続ロス、融着接続される光ファイバの端面角度、光ファイバの偏心量、融着接続時に選択した接続条件(放電加熱時間又は放電パワー等)、光ファイバの種別を判別した結果、接続前後の光ファイバ観察画像、接続回数、融着接続部の補強条件、補強にかかった時間、及び、補強回数、の内の少なくとも1つの情報を含んでいてもよい。この実施形態によれば、融着作業の進捗情報を管理者がより具体的に認識することができ、より好適な遅延の是正を図ることが可能となる。
【0014】
一実施形態として、融着接続装置それぞれに対して個別の無線情報端末が割り当てられてもよく、各融着接続装置は、対応する無線情報端末と無線接続可能な構成を有していてもよい。作業計画データは、無線情報端末と所定の通信回線を介して通信可能な管理サーバに格納され、且つ、取得部が融着接続装置に設けられていてもよい。そして、無線情報端末は、取得部で取得した融着接続データを管理サーバに送信し、管理サーバ内に設けられた判定部により各融着接続作業の進捗状況が判定されてもよい。この実施形態によれば、融着接続装置に近接して配置できる無線情報端末を利用して融着接続データを融着接続装置から容易に取得することができ、また、作業計画データを管理サーバでまとめて管理することも可能となる。
【0015】
一実施形態として、各作業計画に適した接続技術者の候補チームを選定する選定部又は選定工程を更に備え、選定部又は選定工程は、作業計画データにおける工事期間、光ファイバの接続予定回数、又は、光ファイバの接続規格の内の少なくとも1つの情報に基づいて、当該作業計画に適した候補チームを選定してもよい。この実施形態によれば、管理者は、それぞれの作業計画に適した作業チームを容易に選定することができる。選定される候補チームは、1つの作業チームでもよいし、複数の作業チームでもよい。また、作業チームは、複数の接続技術者から構成されていてもよいし、一人の接続技術者から構成されてもよい。
【0016】
一実施形態として、選定部が作業計画に適した候補チームを選定するための接続技術者データを含むチームデータベースを更に備えてもよい。この場合において、管理システム又は管理方法は、作業計画に沿った融着接続作業が完了した後に、当該作業計画によって行われた融着接続作業における融着接続データをチームデータベースに追加して、チームデータベースを更新する更新部/更新工程を更に備えてもよい。これにより、それぞれの作業計画により適した作業チームを選定することが可能となる。
【0017】
なお、上述した何れの実施形態も、必要に応じて、他の実施形態と組み合わせることが可能である。
【0018】
[本開示の実施形態の詳細]
次に、本開示の一実施形態に係る融着接続装置の管理システム及びその管理方法の具体例について図面を参照して説明する。本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
まず、本実施形態に係る管理システムによって管理される、融着接続作業を行うための融着接続装置10について、図1及び図2を参照して、説明する。図1及び図2は、融着接続装置の外観を示す斜視図であり、図1は、風防カバーが閉じている状態の融着接続装置の外観を示し、図2は、風防カバーが開けられて融着接続装置の内部構造が見える状態の外観を示す。融着接続装置10は、光ファイバ同士を融着接続するための装置であり、図1及び図2に示すように、箱状の筐体2を備えている。筐体2の上部には、光ファイバ同士を融着接続するための融着機構3と、融着機構3で融着された光ファイバの融着接続部に被せられるファイバ補強スリーブを加熱収縮させる加熱器4と、起動ボタン5とが設けられている。融着接続装置10は、筐体2の内部に配置された顕微鏡カメラ(図示せず)によって撮像された光ファイバ同士の融着接続状況を表示するモニタ6を備えている。顕微鏡によって撮像される接続前の光ファイバ端面及び接続後の融着接続状況から、光ファイバのカット端面(端面角度)、光ファイバの偏心量、ファイバ種類の自動判別結果、及び、接続された光ファイバの推定ロス(dB)といった融着接続データを取得することができる。さらに、融着接続装置10は、融着機構3への風の進入を防止するための風防カバー7を備えている。
【0020】
融着機構3は、一対のファイバ位置決め部3aと、一対の放電電極3bと、一対の光ファイバホルダ3cを載置可能なホルダ載置部とを有している。融着対象の光ファイバそれぞれは、接続技術者によって、その端面が所定の角度(端面角度)範囲内になるように切断された後、光ファイバホルダ3cに保持固定され、当該光ファイバホルダ3cはそれぞれホルダ載置部に載置固定される。ファイバ位置決め部3aは、光ファイバホルダ3c同士の間に配置され、光ファイバホルダ3cのそれぞれに保持された光ファイバの先端を位置決めする。放電電極3bは、ファイバ位置決め部3a同士の間に配置され、アーク放電によって光ファイバの先端同士を融着するための電極である。融着接続装置10では、上述した構成により、光ファイバの融着接続を行うようになっているが、融着接続装置10を使用する接続技術者毎に、光ファイバの端面処理の正確性や作業速度、及び、光ファイバの融着接続処理の正確性や作業速度などが異なり、接続品質及び接続作業スピードに違いが出てしまい、作業計画に沿った融着接続を行えない場合もあり得る。
【0021】
次に、融着接続装置10を使用し作業計画に沿って接続技術者が光ファイバの融着接続作業を行う際に融着接続作業の進捗管理を行うことができる、管理システム1の構成について、図3及び図4を参照して説明する。図3は、融着接続装置の管理システムの一例の概要を示す図である。図4は、融着接続装置の管理システムの一例を示すブロック図である。図3及び図4に示すように、管理システム1は、複数の融着接続装置10と、各融着接続装置10それぞれに対して個別に割り当てられる無線情報端末20と、管理サーバ30と、管理装置40と、を備えて構成されている。融着接続装置10は、外部装置との間で例えばIEEE802.11に準拠した2.4GHz帯での無線通信を行えるように構成され、対応する無線情報端末20と無線接続可能になっている。無線情報端末20は、例えばスマートフォンであり、インターネットなどの電気通信回線(無線含む)を介して管理サーバ30に接続されている。また、パーソナルコンピュータ(PC)等から構成される管理装置40もインターネットなどの電気通信回線を介して管理サーバ30に接続されている。管理システム1ではこのように、融着接続装置10、無線情報端末20、管理サーバ30及び管理装置40が無線又は有線により相互に通信可能な状態で接続されており、後述する融着接続データなどの各種の情報を相互に送受信できるように構成されている。
【0022】
融着接続装置10は、その制御/通信部として、機能的には、無線情報端末20等の外部装置と無線通信するための無線通信部11と、融着接続装置10で行った融着接続作業に伴う融着接続データを作業毎に取得する情報取得部12と、融着接続装置10の装置の作動をロックするロック部13と、を備えている。管理システム1では、複数の(本実施形態では例えば3個の)融着接続装置10(接続技術者)から1つの作業チームが構成され、各作業チーム(作業チームA、作業チームB、及び作業チームC)によって1つの作業プロジェクトを実施する。融着接続装置10のそれぞれは、その制御/通信部として、図5に示すように、CPU10a、RAM10b、ROM10c、入力装置10d、無線通信モジュール10e、補助記憶装置10f、及び出力装置10g等の制御、通信用のハードウェアを備えるコンピュータを含むものとして構成される。これらの構成要素がプログラム等により動作することにより、融着接続装置10の制御/通信部の各機能が発揮される。また、融着接続装置10は、GPS10hなどの位置情報取得装置を備えていてもよく、GPS10hにより経度や緯度といった融着接続装置10の位置情報を取得することができる構成であってもよい。融着接続装置10は、制御機能や通信機能以外としては、各種の融着接続機構10i(放電電極3b等)を含む。
【0023】
無線通信部11は、無線情報端末20(通信部21)との間で無線通信を行う。無線通信部11は、例えば無線LANカードを含んで構成され、IEEE802.11に準拠した2.4GHz帯での無線通信を無線情報端末20との間で行う。無線通信部11は、各融着接続装置10に固有の無線アクセスポイント(無線AP)のSSID(識別子)を無線送信する。無線情報端末20(通信部21)がこのSSIDを受信して認識することにより、融着接続装置10と無線情報端末20との間の無線接続が確立される。SSIDの例としては、例えば、「T71C_420000001」等があり、他の無線通信可能な融着接続装置10とは異なるSSIDが付与されており、融着接続装置10毎に識別可能となっている。無線通信部11による無線通信は上述した通信規格に限られず、他の通信規格であってもよい。
【0024】
情報取得部12は、融着接続装置10による各融着接続作業に関する融着接続データを取得する。情報取得部12は、接続技術者が融着接続装置10を使用して光ファイバを融着する作業を行った場合における、融着接続の日付及び時刻、融着接続された場所、融着接続された光ファイバの接続ロス、融着接続される光ファイバの端面角度、光ファイバの偏心量、融着接続時に選択した接続条件(放電加熱時間及び放電パワー等)、光ファイバの種別を判別した結果、接続前後の光ファイバ観察画像、接続回数、補強条件、補強にかかった時間、又は、補強回数などといった情報を融着接続データとして取得する。情報取得部12は、融着接続作業に使用された融着接続装置10の識別情報(上述したSSID又は同様の識別情報)や、融着接続作業を実施した接続技術者の識別情報を、融着接続データとして取得してもよい。融着接続装置10の識別情報及び接続技術者の識別情報といった融着接続情報は、後述する無線情報端末20で取得してもよい。情報取得部12は、融着接続装置10による融着接続作業毎にこれらの融着接続データを取得し、取得した融着接続データを、無線通信部11を介して無線情報端末20に送信する。情報取得部12による無線情報端末20への融着接続データの送信は、融着接続作業毎に行ってもよいし、所定の周期(例えば、所定時間毎)で行ってもよい。
【0025】
ロック部13は、融着接続装置10の融着機構の動作を一時的にロックしたり、そのロックを解除したりする。融着接続装置10は、盗難防止等の目的のため、融着接続装置10を起動した後、無線情報端末20からの解除指示を受け取るまでは、融着接続装置10の融着機構の動作をロックする機能を有してもよい。ロック部13は、当該ロック機能を実現する。ロック部13は、融着接続装置10が起動された後、無線情報端末20(解除指示部23)からのロック解除信号を受信すると、当該ロック解除信号の認証を行い、受信したロック解除信号が適正な信号の場合、融着接続装置10の融着機構の動作ロックを解除する。
【0026】
融着接続装置10から融着接続データを受信する無線情報端末20は、例えばスマートフォンなどの携帯型無線通信端末又は無線通信機能を備えたパーソナルコンピュータ(PC)などの情報端末から構成される。無線情報端末20は、通信部21、作業管理部22、及び解除指示部23を備えている。解除指示部23は、上述したように融着接続装置10の融着機構の動作ロックを解除するための指示信号を生成する。解除指示部23は、対応する融着接続装置10用の解除信号を通信部21を介して融着接続装置10に送信して、動作ロックを解除させる。解除信号は、各無線情報端末20又は各接続技術者に固有の識別情報を含んでもよく、これにより、特定の融着接続装置10のみをロックから解除することができる。無線情報端末20は、図6に示すように、CPU20a、RAM20b、ROM20c、入力装置20d、無線通信モジュール20e、補助記憶装置20f、出力装置20g、及びGPS20h等のハードウェアを備えるコンピュータを含むものとして構成される。これらの構成要素がプログラム等により動作することにより、後述する無線情報端末20の各機能が発揮される。また、管理サーバ30及び管理装置40は、図7に示すように、同様のハードウェア構成により構成されていてもよい。具体的には、管理サーバ30及び管理装置40それぞれは、CPU30a、RAM30b、ROM30c、入力装置30d、無線通信モジュール30e、補助記憶装置30f、及び、出力装置30g等のハードウェアを備えるコンピュータを含むものとして構成される。
【0027】
通信部21は、例えば無線通信モジュール20eから構成され、融着接続装置10の無線通信部11との間で無線通信により各種の無線信号の送受信を行う。通信部21は、例えば、端末に内蔵される無線LANモジュールなどから構成され、無線通信部11の無線規格に対応するように、例えばIEEE802.11に準拠した2.4GHz帯での通信を行う。通信部21は、上述した融着接続装置10から各融着接続装置に個別に割り当てられたSSID(識別子)を無線信号により受信し、当該SSIDに対する認証を行うことで無線通信部11との間の無線通信を確立する。通信部21は、無線通信部11を介して、融着接続装置10の情報取得部12で取得した融着接続データを取得する。また、通信部21は、4G(LTE)などの所定の電気通信回線(無線やインターネットを含む)を介して、管理サーバ30とも接続され、管理サーバ30との間で各種のデータ/信号の送受信を行う。
【0028】
作業管理部22は、管理サーバ30の作業監視部32と協働して、各作業チームに割り当てられた融着接続作業の作業プロジェクトの進捗を無線情報端末20で管理する。作業管理部22は、管理サーバ30から割り当てられた各作業チーム毎に作業プロジェクトに沿って、融着接続前の各種作業の開始指示及びその完了予定時刻の報知(アラーム報知等)、融着接続装置10から送信された各融着接続データの管理サーバ30への送信、融着接続作業の開始指示及びその完了予定時刻の報知(アラーム報知)などを行う。
【0029】
無線情報端末20から接続技術者による融着接続作業に関する融着接続データを受信する管理サーバ30は、通信部31、判定部33及び通知部34を含む作業監視部32、工事プロジェクトDB35、選定部36、作業チームDB37、及び、更新部38を備えている。通信部31は、通信部21に対応しており、無線情報端末20の通信部21との間で電気通信回線(無線(4G等を含む)やインターネット回線を含む)を通じて情報の送受信を行う。また、通信部31は、管理装置40の通信部41にも対応しており、管理装置40の通信部41との間で電気通信回線等を通じて情報の送受信を行う。
【0030】
作業監視部32は、判定部33及び通知部34を含んで構成され、1又は複数の融着接続装置10から構成される各作業チームが、予め割り当てられた工事プロジェクトの作業計画通りに融着接続作業を進捗させているか否かを監視する。作業監視部32の判定部33は、融着接続装置10での各融着接続作業に関する融着接続データを、無線情報端末20を介して取得すると、その融着接続データに含まれる融着接続の時刻、場所、融着接続の品質(接続ロス)などを、工事プロジェクトDBに格納されている所定の工事プロジェクトの作業計画データに対比させる。そして、判定部33は、融着接続作業の進捗が作業計画に対して遅れているか否か、及び、融着接続される光ファイバの接続品質(接続の推定ロスや端面角度)が所望の要求を満たすか否か、について判定する。判定部33は、融着接続作業の遅れ又は接続品質の一方のみを判定してもよい。
【0031】
通知部34は、ある作業チームの融着接続作業が作業計画に対して遅延している又は所望の品質を満たさないと判定部33によって判定された場合には、通信部31を介して、遅延している又は品質を満たさない旨(異常)の情報を管理装置40に通知する。一方、通知部34は、ある作業チームの融着接続作業が作業計画に沿って行われている又は所望の品質を満たすと判定した場合には、通信部31を介して、作業計画に沿っている又は所望の品質を満たす旨(正常)の情報を管理装置40に通知する。判定部33による作業状況の判定は、融着接続データを各融着接続装置10から取得する度に行うようにしてもよいし、所定の周期(例えば1時間毎)で行うようにしてもよい。これにより、管理装置40を用いた管理者は、各作業チームによる融着接続作業の遅延及び接続品質の低下等を早期に又はリアルタイムに知ることが可能となる。図8には、このようなプロジェクト毎の接続時間及び接続品質を管理装置40でまとめて示す一覧画面の例を示す。図8では、推定ロスが所望の値を満たさない接続について色塗り(例えば赤又は黄色で表示)をしており、管理装置40でこの画面を見た管理者が異常な状況があった接続を容易に知ることができる。
【0032】
ここで図4に戻り、説明を続ける。選定部36は、ある工事プロジェクトがある場合に、その工事プロジェクトに割り当てる作業グループ(接続技術者のグループ)を、過去の作業結果から選定する。選定部36は、管理装置40の選定指示部44から、ある工事プロジェクトに対する作業チームの選定依頼を受け付けると、各作業チームにおける現在の融着接続作業の予定、融着接続の回数(実績)、融着接続の工期(実績)、及び、融着接続の接続品質などの情報が作業チーム毎に纏められた作業チームDB37にアクセスし、当該工事プロジェクトの接続条件(納期、品質等)に合致する作業チームを候補として選定する。選定部36は、この選定の際、1の作業チームを選定してもよいし、複数の作業チームを選定してもよい。選定部36は、選定した作業チームの候補を管理装置40に通知し、管理者に知らせる。
【0033】
更新部38は、作業計画に沿った融着接続作業が完了した後に、その作業計画によって行われた融着接続データを作業チームDB37に追加して、作業チームDB37の情報を更新する。更新部38は、各融着接続作業を行った接続技術者を示す識別番号に紐付けて、各融着接続データを各接続技術者のスキル及び経験を示す情報として、既存の情報に追加する。これにより、作業チームDB37を用いた好適な作業チームの選定がより好適になる。
【0034】
管理装置40は、例えば、パーソナルコンピュータなどの一般的な装置から構成され、通信部41、登録部42、状況表示部43、及び選定指示部44を備えている。通信部41は、一般的なインターネット通信を行う機能を有し、管理サーバ30と管理装置40との間での通信を確立する。
【0035】
登録部42は、工事プロジェクトを管理サーバ30の工事プロジェクトDB35に登録させる。登録部42は、管理装置40を管理する管理者の識別情報に紐付けて、工事プロジェクト名、この工事プロジェクトの工事期間、光ファイバの接続予定回数及び接続規格(希望接続品質)、及び、担当チーム等を工事プロジェクトDB35に登録させる。
【0036】
状況表示部43は、登録部42で登録した工事プロジェクトの進捗状況を管理装置40のモニタなどに表示させる。管理者は、状況表示部43による進捗状況の表示により、工事プロジェクトにおいて作業遅延などが発生した場合には早期に知ることができる。これにより、管理者は、必要に応じて、接続技術者の増員などのチームの再編などを行わせて、融着接続作業の遅延を是正することができる。図8に、状況表示部43による表示例を示す。
【0037】
選定指示部44は、工事プロジェクトを管理サーバ30に登録する際、担当する作業チームの選定処理を管理サーバ30に指示する。選定指示部44によって作業チームの選定処理の依頼がされると、管理サーバ30では、上述したように選定部36及び作業チームDB37により、ある工事プロジェクトに適した作業チームが選定され、その選定結果が管理装置40に通知される。
【0038】
次に、上述した構成を備えた管理システム1を用いて各作業チーム(例えば作業チームA)による融着接続作業の進捗を管理する方法について、図9図13を参照して説明する。図9図11は、管理システム1により、融着接続装置10を使用して各接続技術者が行う融着接続作業の進捗を管理する処理を示すシーケンス図である。図12は、図9のシーケンス図における工事プロジェクト登録の処理フローを示すフローチャートである。図13は、図12に示す工事プロジェクト登録処理における担当チームの自動アサインの処理フローを示すフローチャートである。
【0039】
まず、図9に示すように、管理者によって管理装置40が操作され、管理者は、まず初めに作業者(接続技術者)のユーザ登録を行う。ユーザの情報として、ユーザのID、パスワード、作業経験年数、及び、取り扱い可能な融着装置の種類を登録する。このステップは、新規に作業者を登録するときに実施する(ステップS1)。次に管理者は、管理する作業チームのチーム登録処理を行う。チームの情報として、チーム名を入力し、ユーザ登録したユーザ(接続技術者)の中からチームリーダー及びチームメンバーを選び、登録する。このステップは、新規にチームを作成する場合、又は、チーム名、リーダー又はメンバーの変更を行う場合に実施する(ステップS2)。次に、工事プロジェクトの登録処理(ステップS3)が管理サーバ30に対して行われる。ステップS1の管理者のユーザ登録処理では、複数の工事プロジェクトを統括的に管理する管理者によるユーザ登録が管理サーバ30に対して行われる。ステップS2のチーム登録処理では、管理者が管理する作業チームそれぞれの情報(所属する接続技術者や使用する融着接続装置等の情報)を、管理者のユーザ情報(識別情報)に紐付けて、管理サーバ30の作業チームDB37に登録させる。ステップS3の工事プロジェクト処理では、管理者が作業監視をしたい工事プロジェクト(図8に例示するAAプロジェクト、BBプロジェクト又はCCプロジェクト等)を登録させる。
【0040】
ステップS3による工事プロジェクトの登録依頼を受けた管理サーバ30では、ステップS4に進み、工事プロジェクトDB35への工事プロジェクトの登録処理を行う。この工事プロジェクトの登録処理は、例えば、図12に示すように、まず、工事プロジェクト名の入力処理を行い(ステップS50)、その後、その工事プロジェクトの工事期間の入力処理(ステップS51)、その工事プロジェクトにおける光ファイバの接続予定回数の入力処理(ステップS52)及びその接続規格(接続品質)の入力処理(ステップS53)、及び、その工事プロジェクトを担当する作業チームの選定・自動アサイン処理(ステップS54~S55)を行う。
【0041】
ステップS51の工事期間の入力処理では、例えば、ある融着接続作業にかかる工事期間、工事開始日及び工事終了日などの情報が、各工事プロジェクト名に紐付けられて工事プロジェクトDB35に登録される。ステップS52の光ファイバ接続予定回数の入力処理では、例えば、ある融着接続作業におけるトータルの融着接続予定回数(例えば100回、200回又は500回等)の情報が、各工事プロジェクト名に紐付けられて工事プロジェクトDB35に登録される。ステップS53の接続規格の入力処理では、例えば、ある融着接続作業における融着接続された光ファイバの推定ロスの許容範囲(0.02dB以下、0.03dB以下又は0.05dB以下等)や融着接続される光ファイバの端面角度の許容範囲(例えば0.5度以下又は3.5度以下等)といった接続品質に関する情報が、各工事プロジェクト名に紐付けられて工事プロジェクトDB35に登録される。
【0042】
また、ステップS54の担当チームの自動アサイン処理については、例えば図13に示す選定処理により、ある工事プロジェクトに適した作業チームを管理サーバ30の選定部36が選定する。具体的にはまずステップS60に示すようにチーム探索の処理を開始し、1の作業チームを選び、その融着接続作業を行う工期にその作業チームに別の工事が入っているか否かを判定する(ステップS61)。そのチームには既に別の工事が入っていれば、ステップS60に戻り、別のチームを選び、同じ処理を繰り返す。一方、その作業チームには別の工事が入っていないと判定されると、ステップS62に進み、その作業チームの実績データ(過去の融着接続回数、融着接続を行った工期、及び、融着接続の接続品質(推定ロスや端面角度等))を作業チームDB37から取得する。
【0043】
作業チームの実績を作業チームDB37から取得する処理が完了すると、ステップS63に進み、作業チームの実績を取得できたか否かを判定する。その実績を取得できた場合にはステップS64に進み、今回の工事プロジェクトにおける融着接続回数と実績の融着接続回数とを対比する。ステップS64の対比において、実績の融着接続回数の方が多い場合には、ステップS65に進む。一方、ステップS63及びステップS64において、Noと判定された場合には、ステップS60に戻り、別のチームでの対比を続ける。
【0044】
ステップS64で実績の融着接続回数の方が多いと判定された場合、今回の工事プロジェクトの工期と実績の工期とを対比する。ここでいう工期とは、光ファイバ敷設工事にかかる日数を指す。ステップS65の対比において、実績の工期の方が今回の工期よりも短い場合には、ステップS66に進む。続いて、ステップS66では、今回の工事プロジェクトの接続品質と実績の接続品質とを対比する。ステップS66の対比において、実績の接続品質のほうが今回の接続品質よりも高い場合には、ステップS67に進み、当該チームを候補チームとして選定する。ステップS66の品質比較では、接続品質として、接続ロス及び端面角度の対比を行い、実績の品質におけるこれらの数値が、今回の工事プロジェクトで要求される数値よりも低い場合に、実績の接続品質の方が今回の接続品質よりも高いと判定される。一方、ステップS65及びステップS66において、Noと判定された場合には、ステップS60に戻り、別のチームでの対比を行う。以上により、ある工事プロジェクトに適した作業チームが選定され、そのプロジェクトを担当する作業チームとして、管理サーバ30の工事プロジェクトDB35に工事プロジェクト名に紐付けられて登録される。
【0045】
ここで、図9に戻り、説明を続ける。ステップS4の工事プロジェクトの登録処理が終了すると、融着接続作業を行う接続技術者により、無線情報端末20にインストールされた融着接続作業の作業計画を管理するアプリが起動し(ステップS5)、接続技術者のユーザ入力の受付処理を行う(ステップS6)。既に登録されている作業チームの情報には、作業チームに所属する各接続技術者を示す識別情報が含まれており、この識別情報が接続技術者の認証に使用される。そして、接続技術者が無線情報端末20に各接続技術者に割り当てられた識別番号(必要に応じてパスワード)を入力すると、当該情報が管理サーバ30に送信され、ユーザ認証の処理が依頼される(ステップS7)。管理サーバ30では、工事プロジェクトDB35に登録された作業チームに所属する接続技術者であるか否かをその識別情報に基づいて判定し、認証ができた場合には、認証完了通知を無線情報端末20に対して行う(ステップS8)。図9では、1つの無線情報端末20(1人の接続技術者)の認証の例のみを記載しているが、作業チームに所属する各接続技術者に割り当てられた無線情報端末20で同様のユーザ認証処理を行う。
【0046】
作業チームに所属する接続技術者すべて(例えば3名)のユーザ認証処理が完了すると、管理サーバ30の作業監視部32により、登録された工事プロジェクトにおける融着接続の作業管理の監視処理が開始される(ステップS9)。作業監視部32は、監視作業が開始されると、まず工事プロジェクトにおける作業計画を含む情報を作業チームに属する各無線情報端末20に送信し、作業管理部22がこれらの情報を取得する。作業計画を含む情報を取得した作業管理部22は、各無線情報端末20において作業計画の管理処理を開始し(ステップS11)、作業開始をした旨の通知を管理サーバ30の作業監視部32に通知する(ステップS12)。これにより、作業監視部32において、その工事プロジェクトにおける融着接続作業が開始されたことを認識する。
【0047】
続いて、無線情報端末20は、融着接続する光ファイバの端面処理及びそれ以外の前処理作業を含む作業1の開始を接続技術者に指示するための音声アナウンス又は画面表示を行い(ステップS13)、作業1を開始した旨を管理サーバ30の作業監視部32に通知する(ステップS14)。作業監視部32では、作業1の開始情報を通知された場合には、管理装置40にその旨の情報を送信してもよい。
【0048】
続いて、作業1の開始指示がされてから所定の時間が経過して作業1の完了予定時間となると、アラーム報知等を行い、無線情報端末20を作業現場で保持している接続技術者に作業1の完了予定時間となったことを報知する(ステップS15)。また、作業1の完了予定時間となった旨のアラームを管理サーバ30の作業監視部32に通知する(ステップS16)。その後、接続技術者により作業1が完了した旨の入力が無線情報端末20に対して為されると、当該入力を受け付け(ステップS17)、作業1の完了通知を作業監視部32に対して行う(ステップS18)。作業監視部32では、この完了通知により、作業1が確実に終了したと判断する。無線情報端末20では、作業1の完了予定時間よりも早くに作業1が完了した場合には、接続技術者がその旨の入力をできるようにしてもよい。その場合、作業1の完了予定時間の経過に伴うアラーム報知処理を省略してもよい。
【0049】
続いて、作業1が完了すると、図10に示すステップS20に進み、融着接続作業の開始を接続技術者に指示するための音声アナウンス又は画面表示を無線情報端末20の作業管理部22が行う。この指示を受け、接続技術者は、融着接続装置10を起動させ(ステップS21)、無線情報端末20の解除指示部23により、融着接続装置10の融着接続機構の動作ロックを解除させる信号を融着接続装置10に対して送信する(ステップS22)。そして、解除信号を受け取ったロック部13により動作ロックを解除した融着接続装置10を用いて、接続技術者は、光ファイバの融着接続作業(第1回)を実施する(ステップS23)。
【0050】
融着接続装置10で融着接続作業が行われると、無線情報端末20から融着接続装置10に対して状況確認を行い(ステップS24)、情報取得部12によって、融着接続装置10での融着接続データを取得し、無線情報端末20の作業管理部22に送信する(ステップS25)。融着接続装置10で取得される融着接続データとしては、例えば、融着接続の日付及び時刻、融着接続された場所、融着接続された光ファイバの接続ロス、及び、融着接続される光ファイバの端面角度といった情報がある。また、これらの情報に無線情報端末20で追加できる融着接続データとしては、融着接続を行った融着接続装置10の識別情報及び接続技術者の識別情報といった情報がある。融着接続の日付、時刻及び場所についての情報は、無線情報端末20で追加するようにしてもよい。このような融着接続データを取得した無線情報端末20の作業管理部22は、取得した情報を、工事プロジェクト名に紐付けて管理サーバ30の作業監視部32に対して通知する(ステップS26)。
【0051】
無線情報端末20から個別の融着接続作業のデータである融着接続データを取得した管理サーバ30の作業監視部32は、判定部33によって、その融着接続における作業状況が正常であるか異常であるかを判定する(ステップS27)。判定部33での判定では、例えば、登録されたプロジェクトにおける作業計画よりも接続作業が遅延している又は要求されている接続品質を満たさない等の場合には異常と判定される。一方、例えば、登録されたプロジェクトにおける作業計画に沿って接続作業が行われている又は要求されている接続品質を満たしている等の場合には正常と判定される。管理サーバ30の作業監視部32の通知部34は、このような判定部33による判定結果(正常/異常)を管理装置40に通知し、状況表示部43により管理者に報知される(ステップS28)。図8は、このような報知を纏めた画面の一例である。
【0052】
続いて、融着接続作業の開始指示がされてから所定の時間が経過して融着接続作業(第1回)の完了予定時間となると、アラーム報知等を行い、接続技術者に完了予定時間となったことを報知する(ステップS29)。また、融着接続作業(第1回)の完了予定時間となった旨のアラームを管理サーバ30の作業監視部32に通知する(ステップS30)。完了予定時間よりも前の予め設定した時間に完了予定アラーム(事前通知アラーム)報知等を出してもよい。その後、必要に応じて、融着接続作業(第n回)及び融着接続データの通知等を同様に行い(ステップS31~ステップS34)、管理サーバ30での作業情報判定及び管理装置40への通知を行う(ステップS35~S36)。無線情報端末20では、融着接続作業の完了予定時間よりも早くに接続作業が完了した場合には、接続技術者がその旨の入力をできるようにしてもよい。その場合、完了予定時間の経過に伴うアラーム報知は省力されてもよい。
【0053】
続いて、融着接続作業が完了すると、接続技術者による完了の受け付けを無線情報端末20が受け付け、融着接続作業の完了を管理サーバ30の作業監視部32に通知する(ステップS38)。融着接続作業の完了を通知された管理サーバ30の作業監視部32は、作業1に伴う融着接続作業が完了した旨の報告を管理装置40に対して行う(ステップS39)。
【0054】
続いて、図11に記載のように、登録された作業プロジェクトに含まれる後続の作業(作業N(Nは2以上の整数))を、上述した作業1と同様に行い(ステップS40~ステップ43)、必要となる作業Nがすべて終了すると、無線情報端末20は、作業Nが完了した旨の接続技術者による入力を受け付ける(ステップS44)。すべての作業が完了した旨の入力を受け付けた無線情報端末20は、管理サーバ30の作業監視部32にすべての作業が完了した旨の報告を行う(ステップS45)。これらの報告がされた後、無線情報端末20の作業管理部22による作業プロジェクトの進捗管理、及び、管理サーバ30の作業監視部32による作業プロジェクトの進捗管理(作業監視)が終了する(ステップS46及びステップS47)。管理サーバ30は、すべての融着接続作業が終了した旨の情報を、管理装置40に通知してもよい。
【0055】
すべての融着接続作業が完了した後、管理サーバ30は、次回の作業チームを選定するために、更新部38により、今回の作業プロジェクトにおける各融着接続データを作業チームに紐付けて、作業チームDB37に追加し、作業チームDB37の内容を更新する。これにより、次回に作業チームを選定する際に、より好適な作業チームを選定することが可能となる。
【0056】
以上、本実施形態に係る管理システム1は、融着接続装置10及びそれに対応する無線情報端末20により、融着接続作業に関する融着接続データを各融着接続作業が実施される毎に取得する。そして、管理システム1は、取得した融着接続データを管理サーバ30で作業計画データと対比して各融着接続作業の進捗状況を判定し、その判定結果を管理装置40へ随時通知する。このため、各融着接続作業の進捗状況(例えば作業の遅れや接続品質の低下等)を管理者が早期に知ることができ、融着接続作業の進捗に遅れ等が発生した場合、管理者は早期に作業の遅れ等の進捗状況を発見して、その是正(例えば接続作業員の増員等)を図ることができる。
【0057】
管理システム1では、判定部33は、融着接続データを作業計画データと対比し、各融着接続作業が作業計画から遅延しているか否かについて判定する。このため、融着作業が遅延しているか否かを早期に知ることができ、早期にその是正を図ることができる。この場合において、通知部34は、各融着接続作業が作業計画から遅延しているか否かについての進捗状況を、作業計画を管理するための管理装置40に対して所定の周期で又は遅延の判定毎に通知してもよい。
【0058】
管理システム1では、融着接続データは、使用された融着接続装置10の識別情報、融着接続作業を実施した接続技術者の識別情報、融着接続の日付及び時刻、融着接続が行われた場所、融着接続された光ファイバの接続ロス、又は、融着接続される光ファイバの端面角度の内の少なくとも1つの情報を含んでいる。融着接続データがこのような具体的な情報を含んでいることから、融着作業の進捗情報を管理者がより具体的に認識することができ、より好適な遅延の是正を図ることが可能となる。
【0059】
管理システム1では、融着接続装置10それぞれに対して個別の無線情報端末20が割り当てられており、各融着接続装置10は、対応する無線情報端末20と無線接続可能な構成を有している。作業計画データは、無線情報端末20と所定の通信回線を介して通信可能な管理サーバ30に格納され、且つ、情報取得部12が融着接続装置10に設けられている。そして、無線情報端末20は、情報取得部12で取得した融着接続データを融着接続装置10から取得して(一部の融着接続データは無線情報端末20で追加取得して)管理サーバ30に送信する。管理サーバ30内に設けられた判定部33は、送信されてきた融着接続データに基づいて、各融着接続作業の進捗状況を判定する。このように、管理システム1は、融着接続装置10に近接して配置できる無線情報端末20を利用して融着接続データを融着接続装置10から容易に取得することができ、また、作業計画データを管理サーバ30でまとめて管理することも可能となる。
【0060】
管理システム1では、各作業計画に適した接続技術者の候補チームを選定する選定部36を更に備え、選定部36は、作業計画データにおける工事期間、光ファイバの接続予定回数、及び、光ファイバの接続規格の内の少なくとも1つの情報に基づいて、当該作業計画に適した候補チームを選定する。このため、管理者は、それぞれの作業計画に適した作業チームを容易に選定することができる。選定される候補チームは1つの作業チームでもよいし、複数の作業チームでもよい。また、作業チームは、複数の接続技術者から構成されていてもよいし、一人の接続技術者から構成されてもよい。
【0061】
管理システム1は、選定部36が作業計画に適した候補チームを選定するための接続技術者データを含む作業チームDB37を管理サーバ30に備えている。管理システム1は、更に、作業計画に沿った融着接続作業が完了した後に、当該作業計画によって行われた融着接続作業における融着接続データを作業チームDB37に追加して、作業チームDB37を更新する更新部38を更に備えている。これにより、それぞれの作業計画により適した作業チームを選定することが可能となる。
【0062】
以上、本実施形態に係る、融着接続装置による融着接続作業の進捗を管理する管理システム及びその管理方法について説明してきたが、本発明に係る管理システム及び管理方法は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形を適用することができる。例えば、上記実施形態では、融着接続装置10は、無線情報端末20を介して、融着接続データを管理サーバ30に送信していたが、無線情報端末20の上述した機能を融着接続装置10内に取り込む構成として、融着接続装置10から管理サーバ30に直接、融着接続データを送信するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1…管理システム、10…融着接続装置、11…無線通信部、12…情報取得部、13…ロック部、20…無線情報端末、21…通信部、22…作業管理部、23…解除指示部、30…管理サーバ、31…通信部、32…作業監視部、33…判定部、34…通知部、35…工事プロジェクトDB、36…選定部、37…作業チームDB、38…更新部、40…管理装置、41…通信部、42…登録部、43…状況表示部、44…選定指示部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13