(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】三次元モーション・ディスプレイ装置及び照明装置並びに情報発信方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20231017BHJP
G06F 3/04815 20220101ALI20231017BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20231017BHJP
F21V 3/02 20060101ALI20231017BHJP
F21V 3/00 20150101ALI20231017BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20231017BHJP
【FI】
G06F3/01 560
G06F3/04815
F21S2/00 670
F21V3/02 200
F21V3/00 320
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2020012383
(22)【出願日】2020-01-29
【審査請求日】2022-11-08
(31)【優先権主張番号】P 2019013413
(32)【優先日】2019-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】305027401
【氏名又は名称】東京都公立大学法人
(74)【代理人】
【識別番号】110004059
【氏名又は名称】弁理士法人西浦特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100091443
【氏名又は名称】西浦 ▲嗣▼晴
(74)【代理人】
【識別番号】100130432
【氏名又は名称】出山 匡
(74)【代理人】
【識別番号】100091649
【氏名又は名称】初瀬 俊哉
(72)【発明者】
【氏名】中安 翌
【審査官】池田 剛志
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-187050(JP,A)
【文献】特開平06-104486(JP,A)
【文献】特開平03-224587(JP,A)
【文献】特開平09-119991(JP,A)
【文献】中安 翌,Luminescent Tentacles: SMAアクチュエータアレイを用いたインタラクティブアート表現,日本バーチャルリアリティ学会論文誌,23巻1号,2018年03月31日,p.21-26,<URL:https://jstage.jst.go.jp/article/tvrsj/23/1/23_21/_pdf/-char/ja>,[2023年6月23日検索]
【文献】大久保 賢ほか,Hairlytop Interfaceの大面積Organic User Interfaceへの拡張,第18回 日本バーチャルリアリティ学会大会論文集 [CD-ROM],2013年09月,p.152-155
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/048-3/04895
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が固定端となり且つ他端が自由端となる可撓性を有する長尺状本体と、姿勢変更指令に応じて前記長尺状本体の姿勢を任意の方向に変更させる姿勢変更機構と、前記長尺状本体の前記他端に設けられて発光指令に応じて点灯する複数の発光手段とを有する複数本のリニアアクチュエータが集合して構成される1以上のリニアアクチュエータ集合群が、前記複数本のリニアアクチュエータ及び前記複数の発光手段を個別に駆動するための駆動回路を備えた実装基板に装着されてユニット化されていることを特徴とする三次元モーション・ディスプレイ装置
であって、
前記駆動回路は、電気コネクタを介して電源と電気的に接続され、
前記電気コネクタは、電球が装着されるソケットコンセントに装着可能な構成を有している三次元モーション・ディスプレイ装置。
【請求項2】
光透過性を有して前記電気コネクタに取付けられたカバー部材の内部に前記リニアアクチュエータ集合群及び前記実装基板が収納されている請求項
1に記載の三次元モーション・ディスプレイ装置。
【請求項3】
前記カバー部材は、外部から前記リニアアクチュエータ集合群が視覚により見える透過性を有する材料により形成されている請求項
2に記載の三次元モーション・ディスプレイ装置。
【請求項4】
前記カバー部材は、電球のガラス球と同じ形状を有している請求項
2または
3に記載の三次元モーション・ディスプレイ装置。
【請求項5】
一端が固定端となり且つ他端が自由端となる可撓性を有する長尺状本体と、姿勢変更指令に応じて前記長尺状本体の姿勢を任意の方向に変更させる姿勢変更機構と、前記長尺状本体の前記他端に設けられて発光指令に応じて点灯する複数の発光手段とを有する複数本のリニアアクチュエータが集合して構成される1以上のリニアアクチュエータ集合群が、前記複数本のリニアアクチュエータ及び前記複数の発光手段を個別に駆動するための駆動回路を備えた実装基板に装着されてユニット化されていることを特徴とする三次元モーション・ディスプレイ装置であって、
前記姿勢変更機構が、前記長尺状本体の内部にあって、前記長尺状本体の長手方向に延びる複数本の形状記憶合金線状体と、前記駆動回路中に含まれて前記姿勢変更指令に応じて前記形状記憶合金線状体に所望の駆動用電流を個別に供給する電流供給回路を備えており、
前記駆動回路は、前記発光指令に応じて、前記複数の発光手段をそれぞれ発光させる発光用電流を前記複数の発光手段に個別に供給する発光駆動回路を備えており、
前記電流供給回路及び前記発光駆動回路が、前記実装基板に実装されており、
前記発光駆動回路は、前記駆動用電流の立ち上がり及び立ち下がりの少なくとも一方に対して前記発光用電流の立ち上がり及び立ち下がりの少なくとも一方を調整可能に遅延させる遅延調整機能を有している三次元モーション・ディスプレイ装置。
【請求項6】
前記実装基板には、屋内配電線を介してまたは無線で送信される前記姿勢変更指令と前記発光指令を受信する受信回路が収納されている請求項
5に記載の三次元モーション・ディスプレイ装置。
【請求項7】
前記発光駆動回路は、前記遅延調整機能により、前記駆動用電流の立ち下がりよりも所定の時間遅れて対応する前記発光用電流を立ち下げることを特徴とする請求項
5に記載の三次元モーション・ディスプレイ装置。
【請求項8】
前記所定の時間は、前記電流供給回路から対応する前記形状記憶合金線状体に所望の電流を供給することを停止した後に前記形状記憶合金線状体が変形を停止するまでの時間である請求項
7に記載の三次元モーション・ディスプレイ装置。
【請求項9】
前記発光駆動回路は、前記遅延調整機能により、前記駆動用電流の立ち上がりよりも第1の時間遅れて対応する前記発光用電流を立ち上げ、前記駆動用電流の立ち下がりよりも第2の時間遅れて対応する前記発光用電流を立ち下げることを特徴とする請求項
7に記載の三次元モーション・ディスプレイ装置。
【請求項10】
前記第1の時間は、前記電流供給回路から対応する前記形状記憶合金線状体に所望の電流を個別に供給することを開始した後に前記形状記憶合金線状体が変形を開始するまでの時間であり、
前記第2の時間は、前記電流供給回路から対応する前記形状記憶合金線状体に所望の電流を個別に供給することを停止した後に前記形状記憶合金線状体が変形を停止するまでの時間である請求項
9に記載の三次元モーション・ディスプレイ装置。
【請求項11】
前記駆動用電流は、前記立ち上がりにおいて徐々に電流が増加し、前記立ち下がりにおいて徐々に電流が減少し、前記立ち上がり部と前記立ち下がり部の間に電流値が一定値になる部分を有している請求項
9に記載の三次元モーション・ディスプレイ装置。
【請求項12】
一端が固定端となり且つ他端が自由端となる可撓性を有する長尺状本体と、姿勢変更指令に応じて前記長尺状本体の姿勢を任意の方向に変更させる姿勢変更機構と、前記長尺状本体の前記他端に設けられて発光指令に応じて点灯する複数の発光手段とを有する複数本のリニアアクチュエータが集合して構成される1以上のリニアアクチュエータ集合群が、前記複数本のリニアアクチュエータ及び前記複数の発光手段を個別に駆動するための駆動回路を備えた実装基板に装着されてユニット化されていることを特徴とする三次元モーション・ディスプレイ装置であって、
前記実装基板は、1つの前記リニアアクチュエータ集合群に含まれる前記複数のリニアアクチュエータの前記一端が固定される固定回路基板と、前記複数のリニアアクチュエータにそれぞれ対応して設けられる個別駆動回路が実装された複数の個別回路基板とを備え、前記固定回路基板の下に前記複数の個別回路基板が積層された基板積層ユニットを備えてい
る三次元モーション・ディスプレイ装置。
【請求項13】
前記複数の個別回路基板は、前記固定回路基板の基板面と直交する方向に積層されて前記基板積層ユニットを構成している請求項
12に記載の三次元モーション・ディスプレイ装置。
【請求項14】
前記複数の個別回路基板は、前記固定回路基板の基板面と直交する方向にそれぞれの基板面が延びるように積層されて前記基板積層ユニットを構成している請求項
12に記載の三次元モーション・ディスプレイ装置。
【請求項15】
一端が固定端となり且つ他端が自由端となる可撓性を有する長尺状本体と、姿勢変更指令に応じて前記長尺状本体の姿勢を任意の方向に変更させる姿勢変更機構と、前記長尺状本体の前記他端に設けられて発光指令に応じて点灯する複数の発光手段とを有する複数本のリニアアクチュエータが集合して構成される1以上のリニアアクチュエータ集合群が、前記複数本のリニアアクチュエータ及び前記複数の発光手段を個別に駆動するための駆動回路を備えた実装基板に装着されてユニット化されていることを特徴とする三次元モーション・ディスプレイ装置であって、
前記実装基板は、
複数の前記リニアアクチュエータ集合群に含まれる複数のリニアアクチュエータの前記一端が固定される1つの固定回路基板と、
1つの前記リニアアクチュエータ集合群に含まれる前記複数のリニアアクチュエータそれぞれ
に対応して設けられる個別駆動回路が実装された複数の個別回路基板が積層された基板積層ユニットを複数備え、
前記固定回路基板の下に前記複数の基板積層ユニットが固定された構造を有してい
る三次元モーション・ディスプレイ装置。
【請求項16】
請求項1乃至
15のいずれか1項に記載の三次元モーション・ディスプレイ装置を光源として用いた照明器具。
【請求項17】
請求項1乃至
15のいずれか1項に記載の三次元モーション・ディスプレイ装置を用いた情報発信方法であって、
前記複数の長尺状本体の姿勢と前記複数の発光手段の発光パターンの組み合わせにより情報を発信することを特徴とする情報発信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数本のリニアアクチュエータを備えてなる三次元モーション・ディスプレイ装置及び該装置を用いた照明装置並びに情報発信方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2011-187050号公報(特許文献1)には、やわらかい動きや生物的な動きを表現することができる従来の三次元モーション・ディスプレイ装置が開示されている。この従来の三次元モーション・ディスプレイ装置は、一端が固定端となり且つ他端が自由端となる可撓性を有する長尺状本体と、姿勢変更指令に応じて長尺状本体の姿勢を任意の三軸方向に変更させる姿勢変更機構とを有する複数本のリニアアクチュエータがベースに固定された構造を有する。姿勢変更機構は、形状記憶合金等を用いた機械的な構造により長尺状本体の姿勢を変更するように構成されている。
【0003】
また本出願の発明者である中安翌が発表した「A. Luminescent Tentacles」(In SIGGRAPH ASIA 2016 Art Gallary, ACM)[非特許文献1]に示された三次元モーション・ディスプレイ装置では、複数の長尺状本体の先端に発光ダイオード(発光手段)を配置して、複数の長尺状本体の先端の発光ダイオードを発光させた状態で、複数の長尺状本体の姿勢を変更させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【文献】「A. Luminescent Tentacles」(In SIGGRAPH ASIA 2016 Art Gallary, ACM)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1には、複数の長尺状本体を平面的な基板(ベース)に相互に間隔をあけて複数並べて、これら複数の長尺状本体の姿勢を変えることにより、複数の長尺状本体により特定の形を表現する三次元モーション・ディスプレイ装置等が開示されている。しかしながら従来の三次元モーション・ディスプレイ装置は、汎用性を高めることが難しい問題があった。
【0007】
また非特許文献1に示された三次元モーション・ディスプレイ装置では、複数の長尺状本体を平面的な基板(ベース)に相互に間隔をあけて複数並べて、これら複数の長尺状本体の姿勢を変え且つ発光手段を発光させることにより華やかな演出ができる。しかしながら、この場合にも、汎用性を高めることが難しい問題があった。
【0008】
本発明の目的は、従来よりも汎用性を高めることができる三次元モーション・ディスプレイ装置及び該装置を用いた照明装置並びに該装置を用いた情報発信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の三次元モーション・ディスプレイ装置は、一端が固定端となり且つ他端が自由端となる可撓性を有する長尺状本体と、姿勢変更指令に応じて前記長尺状本体の姿勢を任意の方向に変更させる姿勢変更機構と、前記複数本の長尺状本体の前記他端に設けられて発光指令に応じて点灯する複数の発光手段とを有する複数本のリニアアクチュエータが集合して構成される1以上のリニアアクチュエータ集合群が、複数本のリニアアクチュエータ及び複数の発光手段を個別に駆動するための駆動回路を備えた実装基板に装着されてユニット化されている。本発明によれば、複数本のリニアアクチュエータが集合して構成されるリニアアクチュエータ集合群及び複数の発光手段を個別に駆動するための駆動回路を実装基板に装着してユニット化したので、従来のように、リニアアクチュエータをベースに1本1本設置する必要がない。また1つの実装基板を電気コネクタを介して電源と電気的に接続すると、複数の長尺状本体の姿勢変更機構及び発光手段への電力の一括供給が可能になる。その結果、本発明によれば、従来の三次元モーション・ディスプレイ装置と比べて、汎用性が高く、単純なオブジェとしての利用だけでなく、照明器具の光源として利用したり、複数の長尺状本体の姿勢と複数の発光手段の発光の組み合わせにより情報を提供する情報提供素子としても利用することができる。
【0010】
例えば、電気コネクタは、電球が装着されるソケットコンセントに装着可能な構成を有していてもよい。このような電気コネクタを用いると、市販されているソケットコンセントに電球のように装着するだけで、複数の長尺状本体の姿勢変更機構及び発光手段への電力の供給が可能になる。なお姿勢変更指令及び発光指令については、ソケットコンセントが接続される配電線を利用して供給してもよく、または無線で供給してもよい。
【0011】
光透過性を有して電気コネクタに取付けられたカバー部材の内部にリニアアクチュエータ集合群及び実装基板が収納される構成を採用してもよい。カバー部材は、外部から複数の長尺体が視覚により見える透過性を有する材料により形成されていてもよい。さらにカバー部材は、電球のガラス球と同じ形状を有していてもよい。三次元モーション・ディスプレイ装置をこのような形状にすれば、既存のソケットコンセントに直接装着して、ユニークな照明として利用することができ、また視覚により情報を認識することができる情報発信素子として利用することもできる。
【0012】
姿勢変更機構は、長尺状本体の内部にあって、長尺状本体の長手方向に延びる複数本の形状記憶合金線状体と、駆動回路中に含まれて姿勢変更指令に応じて形状記憶合金線状体に所望の駆動用電流を個別に供給する電流供給回路を備えた構造とすることができる。また駆動回路は、発光指令に応じて、複数の発光手段をそれぞれ発光させる発光用電流を複数の発光手段に個別に供給する発光駆動回路を備えている。これら電流供給回路及び発光駆動回路は、実装基板に実装されている。また実装基板には、屋内配電線を介してまたは無線で送信される姿勢変更指令と発光指令を受信する受信回路が収納されている。このような構造にすれば、外観をシンプルなものとすることができる。
【0013】
長尺状本体の内部に配置した形状記憶合金線状体は、駆動用電流が通電されてから時間遅れを持って変形し、また駆動用電流の通電が停止されてからも時間遅れを持って最初の形状に復帰する。そしてこの時間遅れは、温度の影響を大きく受ける。この時間遅れと温度を考慮せずに、リニアアクチュエータの動きに合わせて発光手段を発光させると、発光手段がリニアアクチュエータの動きと非同期で発光しているように観者には見える。その結果、三次元モーション・ディスプレイ装置を用いて使用者の意図する表現または動作をさせようとしても、リニアアクチュエータの動きと発光に観者は違和感を感じ取る可能性がある。本発明のように、発光駆動回路が遅延調整機能を有していると、この温度特性持った時間遅れを考慮して、駆動用電流の立ち上がり及び立ち下がりの少なくとも一方に対して発光用電流の立ち上がり及び立ち下がりの少なくとも一方を調整することができる。その結果、三次元モーション・ディスプレイ装置の動きと発光を同時に見る観者に違和感のない印象を与えることができる。
【0014】
動作と発光の時間遅れは、特に、駆動用電流の通電が停止されるのと一緒に発光を停止すると、発光停止後にも長尺状本体が動いているという違和感を観者に与える。この違和感に対して、複数の発光駆動回路は、それぞれ遅延調整機能により、駆動用電流の立ち下がりよりも所定の時間遅れて対応する発光用電流を立ち下げることにより対処ができる。この所定の時間は、電流供給回路から対応する形状記憶合金線状体に所望の電流を供給することを停止した後に形状記憶合金線状体が変形を停止するまでの時間であるのが好ましい。なお実際には、多少の時間誤差があってもよいのは勿論である。
【0015】
また動作と発光の時間遅れは、駆動用電流の通電が開始されるのと一緒に発光を開始すると、発光開始後にも長尺状本体が動き始めるという違和感を観者に与える場合がある。この違和感も考慮すると、発光駆動回路は、それぞれ遅延調整機能により、駆動用電流の立ち上がりよりも第1の時間遅れて対応する発光用電流を立ち上げ、駆動用電流の立ち下がりよりも第2の時間遅れて対応する前記発光用電流を立ち下げるようにするのが好ましい。このようにすると駆動用電流の通電開始時の違和感を含めて時間遅れに対処することができる。なおこの場合、第1の時間を、電流供給回路から対応する形状記憶合金線状体に所望の電流を個別に供給することを開始した後に形状記憶合金線状体が変形を開始するまでの時間とするのが好ましい。また第2の時間を、電流供給回路から対応する形状記憶合金線状体に所望の電流を個別に供給することを停止した後に形状記憶合金線状体が変形を停止するまでの時間とするのが好ましい。
【0016】
駆動用電流は、立ち上がりにおいて徐々に電流が増加し、立ち下がりにおいて徐々に電流が減少し、立ち上がり部と立ち下がり部の間に電流値が一定値になる部分を有しているのが好ましい。
【0017】
実装基板は、例えば、1つのリニアアクチュエータ集合群に含まれる複数のリニアアクチュエータの一端が固定される固定回路基板と、複数のリニアアクチュエータにそれぞれ対応して設けられる個別駆動回路が実装された複数の個別回路基板とを備え、固定回路基板の下に複数の個別回路基板が積層された基板積層ニットを備えた構造とすることができる。このような構造にすると、リニアアクチュエータの数に応じた個別回路基板を用意して積層することにより、駆動回路を構成することができるので、汎用性を高めることができる。
【0018】
複数の個別回路基板は、固定回路基板の基板面と直交する方向に積層されて基板積層ユニットを構成していてもよい。
【0019】
また複数の個別回路基板は、固定回路基板の基板面と直交する方向にそれぞれの基板面が延びるように積層されて基板積層ユニットを構成していよい。特に、このように基板積層ユニットを構成すると、個別回路基板と固定回路基板との間の半田付け作業が容易になり、価格を低減できる。
【0020】
また実装基板は、複数のリニアアクチュエータ集合群に含まれる複数のリニアアクチュエータの一端が固定される1つの固定回路基板と、1つのリニアアクチュエータ集合群に含まれる複数のリニアアクチュエータそれぞれ対応して設けられる個別駆動回路が実装された複数の個別回路基板が積層された積層回路基板を複数備え、固定回路基板の下に複数の積層回路基板が固定された構造を有していてもよい。このような構造にしても、リニアアクチュエータの数に応じた個別駆動回路を用意して積層することにより、複数の積層回路基板により駆動回路を構成することができるので、リニアアクチュエータの数に応じた個別駆動回路を用意して積層することにより、リニアアクチュエータの数がさらに多くなった場合でも汎用性を高めることができる。
【0021】
本発明の三次元モーション・ディスプレイ装置を用いて情報発信をする情報発信方法では、複数の長尺状本体の姿勢と複数の発光手段の発光パターンの組み合わせにより情報を発信する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の三次元モーション・ディスプレイ装置を花のオブジェに適用した例の概略斜視図である。
【
図2】三次元モーション・ディスプレイ装置の要部の拡大正面図である。
【
図3】(A)乃至(C)は、それぞれリニアアクチュエータの長尺状本体の構造を説明するために用いる図である。
【
図4】(A)及び(B)は、リニアアクチュエータの動作原理を説明するために用いる図である。
【
図5】複数のリニアアクチュエータの回路の具体的な構成を示すブロック図である。
【
図6】(A)はリニアアクチュエータの動きを示す図であり、(B)は姿勢変更指令が指令する電流値の時間変化を示す波形図であり、(C)は発光指令が指令する電流値の時間変化を示す図である。
【
図7】(A)乃至(C)は、本発明の他の実施の形態の三次元モーション・ディスプレイ装置を示す図である。
【
図8】(A)は本発明の三次元モーション・ディスプレイ装置の他の実施の形態の斜視図であり、(B)は固定回路基板にリニアアクチュエータを固定する態様を示す図であり、(C)は個別回路基板の斜視図である。
【
図9】(A)は本発明の三次元モーション・ディスプレイ装置のさらに他の実施の形態の斜視図であり、(B)は固定回路基板にリニアアクチュエータを固定する態様を示す図である。
【
図10】基板積層ユニットの異なる例を説明するための分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の三次元モーション・ディスプレイ装置1を花のオブジェに適用した例の概略斜視図である。この例では、花の萼(がく)に相当する部分に電気コネクタ2が配置され、花のオブジェの雄しべと雌しべに相当する部分に複数のリニアアクチュエータ3が集合して構成されたリニアアクチュエータ集合群4を配置したものである。
図2は、三次元モーション・ディスプレイ装置1の要部の拡大正面図であり、
図3(A)乃至(C)は、それぞれリニアアクチュエータの長尺状本体の構造を説明するために用いる図である。
【0024】
図3に示すように、リニアアクチュエータ3は、実装基板としての回路基板5と、回路基板5の上面に配置されて、下端が固定端となり上端が自由端となる長尺状本体7を有している。
図3(A)(B)及び(C)並びに
図4(A)及び(B)に示すように、長尺状本体7は長さ90mm、直径5mmであり、下端が回路基板5に固定されて回路基板5の上面に突設される。長尺状本体7の下端の端面からは、8本のエナメル線14が延びている。8本のエネメル線14のうち6本が後述する電流供給回路9に接続され、2本が後述する発光駆動回路13にそれぞれ接続されて、駆動用電流と発光用電流が流される。長尺状本体7の上端には、透光性を有する拡散光キャップ15が長尺状本体7の上端の端面を覆うように取り付けられている。拡散光キャップ15の内部に位置する長尺状本体7の上端には、LED12Aを発光源とする発光手段12が設けられている。
【0025】
長尺状本体7は、自立性の無いシリコンチューブ製の外装部の内部に自立性を有する長尺状芯材として超弾性形状記憶合金からなる線状バネ部材10(
図5)が配置されて自立性を補助するようにしている。長尺状本体7に設けられた中央貫通孔16は、長尺状本体7の中心に空けられている。中央貫通孔16には、下端が回路基板5に固定された線状バネ部材10が挿通されて、長尺状本体7を自立させている。また中央貫通孔16の上にはLED12Aが基板に実装された発光手段12が配置されており、LED12Aへの発光用電流を流すためのエナメル線14が中央貫通孔16を通っている。
【0026】
中央貫通孔16を囲むように、長尺状本体7の中心から半径方向にずれた位置に、周方向に間隔をあけて3組の一対の周辺貫通孔17、18及び19が設けられている。各周辺貫通孔17,18及び19の長尺状本体7の上端面の開口部周縁は、それぞれハトメ20が貼付されて、シリコンチューブの破損を防止している。各組の周辺貫通孔17,18及び19には、それぞれ形状記憶合金線状体21A、21B及び21Cが挿通されている。一対の周辺貫通孔17の一方に、形状記憶合金線状体21Aの先端を、周辺貫通孔17の下端側から上端側に通していき、上端側から突き出した形状記憶合金線状体21Aの先端を他方の周辺貫通孔17の上端から下端側に通し、先端及び後端を長尺状本体7の下端近くに固定することにより、形状記憶合金線状体21Aは長尺状本体7の上端及び下端に対し固定される。形状記憶合金線状体21Aの先端及び後端にはエナメル線14が接続されている。
【0027】
このような長尺状本体7は、
図3(C)に示すように、形状記憶合金線状体21A,21B及び/または21Cに電流を流すことにより、長尺状本体7を任意の方向に曲げることができる。例えば
図3(C)において、矢印で示した下方向D1に長尺状本体7を曲げる場合には、形状記憶合金線状体21Aのみに通電すると、形状記憶合金線状体21Aが緊張収縮して長尺状本体7の上端面を下端方向に引っ張り、長尺状本体7を
図4(C)の下方向D1に曲げる。逆方向D2に曲げるためには、形状記憶合金線状体21B及び21Cに同じ電流を流すと、長尺状本体7は形状記憶合金線状体21Bと21Cとの丁度中間に向かう
図3(C)の上方向D2に曲がることになる。各形状記憶合金線状体21A,21B及び21Cに流す電流の量やタイミングを適切に設定することにより、長尺状本体7は単に一方向に向かって曲がるだけでなく、旋回や振動やその組み合わせのような複雑な運動を実行することができることは明らかである。
【0028】
図5は、回路基板5に実装されて、三次元モーション・ディスプレイ装置1に設けられる複数のリニアアクチュエータ3の制御回路の具体的な構成を示すブロック図である。この制御回路は、複数のリニアアクチュエータ3は、長尺状本体7と、姿勢変更指令に応じてリニア長尺状本体7の姿勢を任意の方向に変更させる姿勢変更機構6を有する。三次元モーション・ディスプレイ装置1の外部に設けられるパーソナルコンピュータPC内には、指令発生装置22が構成されている。指令発生装置22は、各リニアアクチュエータ3に対する個別の姿勢変更指令S1及び発光指令S2を生成する。
【0029】
図5に示した姿勢変更機構6は、前述のように、長尺状本体7の内部にあって、長尺状本体7の長手方向に延びる複数本の形状記憶合金線状体21と、回路基板5に搭載され、複数本の形状記憶合金線状体21に個別に駆動用電流を流す複数の配線回路11と、回路基板5に搭載され、姿勢変更指令に応じて配線回路11を通して形状記憶合金線状体21に所望の駆動用電流を個別に供給する複数の電流供給回路9を備えている。本実施の形態では、電流供給回路9と配線回路11とにより個別駆動回路8が構成されている。
【0030】
また指令発生装置22は、他の複数本のリニアアクチュエータ3にも対応する複数の姿勢変更指令及び発光指令を個別に与える。LED12Aを備えた発光手段12は複数本の長尺状本体7のそれぞれの先端に設けられており、回路基板5に搭載された発光駆動回路13は、指令発生装置22からの発光指令に応じて、複数の発光手段12をそれぞれ発光させる発光用電流を複数の発光手段12に供給する。電流供給回路9及び発光駆動回路13には図示しない定電流回路CCから電流が供給される。
【0031】
図6(A)は、本発明の三次元モーション・ディスプレイ装置の一実施の形態に含まれるリニアアクチュエータ3の長尺状本体7の動きを示し、
図6(B)は、長尺状本体7の姿勢を制御するために形状記憶合金線状体21に個別に流す駆動用電流を電流供給回路9から供給するための姿勢変更指令S1が指令する電流値の時間変化を示す波形を示す図であり、
図6(C)は長尺状本体7の先端に設けられたLED12Aに供給される発光用電流を流すための発光指令S2が指令する電流値の時間変化を示す図である。
図5に示すように、長尺状本体7の変形は、長尺状本体7を変形させる動作原理上、姿勢変更指令S1で示される駆動用電流の通電後に時間遅れを持って開始され、且つ駆動用電流の通電が停止してから時間遅れを持って最初の形状に復帰する。
【0032】
リニアアクチュエータ3の動作原理を説明するための
図4(A)及び(B)を参照すると、円筒状に形成されたシリコンチューブ71を外装部とする長尺状本体7と、シリコンチューブ71の中心軸に沿って埋め込まれた超弾性形状記憶合金製の線状バネ部材10と、長尺状本体7の周縁近くを中心軸と平行に延び、長尺状本体7の上下端にその上下端が固定された形状記憶合金線状体21とを有するものとする。この状態では、長尺状本体7を構成するシリコンチューブ71は可撓性を有するが非自立性であり、可撓性と自立性を有する超弾性形状記憶合金製の線状バネ部材10のために、長尺状本体7には応力が加わらない限り、
図4(A)に示すように真っ直ぐな姿勢を保持することができる。形状記憶合金線状体21は、例えば70℃に加熱することにより長さ方向に緊張収縮する。加熱は、形状記憶合金線状体21に通電することにより実行することができる。収縮した形状記憶合金線状体21は長尺状本体7の上面を引っ張るので、
図4(B)に示すように長尺状本体7は右方向に曲がった姿勢に変形する。形状記憶合金線状体21への通電を停止すると、形状記憶合金線状体21が自然冷却して弛緩伸長し、線状バネ部材10の自立性により、長尺状本体7は
図4(A)の真っ直ぐな姿勢に復帰する。
【0033】
このような動作原理のリニアアクチュエータ3の動きには、通電開始から加熱されて緊張収縮するまで、及び通電停止から自然冷却して弛緩伸長するまでに、時間的遅れを伴わざるを得ない。これに対してLED12Aの発光にはこのような遅延がなく、LED12Aに発光駆動用電流を通電すると同時に発光し、通電を停止すると同時に消灯する。本実施の形態の三次元モーション・ディスプレイ装置1は、両者の動作の時間的ずれに基づく観者に与える違和感を解消しようとするものである。
【0034】
本実施の形態の三次元モーション・ディスプレイ装置では、複数の発光駆動回路13が、駆動用電流の立ち上がり及び立ち下がりに対して発光用電流の立ち上がり及び立ち下がりを調整可能に遅延させる遅延調整機能を有している。
【0035】
また、動作と発光の時間遅れは、特に、駆動用電流の通電が停止されるのと一緒に発光を停止すると、発光停止後にも長尺状本体7が動いているという違和感を観者に与える。この違和感に対して、本実施の形態では、複数の発光駆動回路13は、それぞれ遅延調整機能により、駆動用電流の立ち下がりよりも所定の時間遅れて対応する発光用電流を立ち下げることにより対処ができる。この所定の時間は、電流供給回路9から対応する形状記憶合金線状体21A,21Bまたは21Cに所望の電流を供給することを停止した後に形状記憶合金線状体21A,21Bまたは21Cが変形を停止するまでの時間である。
【0036】
また、動作と発光の時間遅れは、駆動用電流の通電が開始されるのと一緒に発光を開始すると、発光開始後に長尺状本体7が動き始めるという違和感を観者に与える場合がある。この違和感も考慮して、本実施の形態においては、複数の発光駆動回路13は、それぞれ遅延調整機能により、駆動用電流の立ち上がりよりも第1の時間t1遅れて対応する発光用電流を立ち上げ、駆動用電流の立ち下がりよりも第2の時間t2遅れて対応する発光用電流(S2)を立ち下げるようにしている。このようにすると駆動用電流の通電開始時の違和感を含めて時間遅れに対処することができる。本実施の形態では、第1の時間t1を、電流供給回路から対応する形状記憶合金線状体に所望の電流を個別に供給することを停止した後に形状記憶合金線状体が変形を停止するまでの時間とし、第2の時間t2を、電流供給回路9から対応する形状記憶合金線状体21に所望の電流を個別に供給することを開始した後に形状記憶合金線状体21が変形を開始するまでの時間としている。
【0037】
図6に示す長尺状本体7の動きと駆動用電流を指令する波形(S1)とを比較すると、前述したように、長尺状本体7は駆動用電流が立ち上がると同時ではなく、動き始めるまでに時間遅れを伴っている。また長尺状本体7は駆動用電流が立ち下がってから、時間遅れを伴って元の姿勢に戻る。
【0038】
発光駆動回路13は、
図6(B)の駆動用電流を指令する波形(S1)と
図6(C)発光用電流を指令する波形(S2)との比較より明らかなように、駆動用電流の立ち上がりよりも第1の時間t1だけ遅れて対応する発光用電流を立ち上げ、駆動用電流の立ち下がりよりも第2の時間t2だけ遅れて対応する発光用電流を立ち下げるようにしている。さらに本実施の形態においては、第2の時間t2は、電流供給回路9から対応する形状記憶合金線状体21A,21Bまたは21Cに所望の電流を個別に供給することを停止した後に形状記憶合金線状体21A,21Bまたは21Cが変形を停止するまでの時間teとほぼ等しく、第1の時間t1は、電流供給回路9から対応する形状記憶合金線状体21A,21Bまたは21Cに所望の電流を個別に供給することを開始した後に形状記憶合金線状体21A,21Bまたは21Cが変形を開始するまでの時間teとほぼ等しい。
【0039】
なお本実施の形態では、駆動用電流は、立ち上がりにおいて徐々に電流が増加し、立ち下がりにおいて徐々に電流が減少し、立ち上がり部と立ち下がり部の間に電流値が一定値になる期間(固定時間)を有している。
【0040】
以上述べたように本実施の形態の三次元モーション・ディスプレイ装置によると、長尺状本体7の内部に配置した形状記憶合金線状体21A,21B及び21Cの動きと、長尺状本体7の先端に配置した発光手段12の発光との非同期を解消することができる。これにより、三次元モーション・ディスプレイ装置を用いた使用者の意図する表現または動作を、違和感なく観者に伝達することができる。
【0041】
なお、上述の実施の形態においては、LEDの発光動作に対してアクチュエータの動きが遅れることへの対応を、各リニアアクチュエータに搭載された発光駆動回路13側を中心にして特定したものであるが、各リニアアクチュエータ3に電流を供給する電流供給回路9側を中心に特定することもできる。すなわち、複数の電流供給回路9は、発光用電流(S2)の立ち上がり及び立ち下がりの少なくとも一方に対して駆動用電流(S1)の立ち上がり及び立ち下がりの少なくとも一方を調整可能に進める進み調整機能を有していてもよい。そして、複数の電流供給回路9が、発光用電流の立ち上がり及び立ち下がりの一方に対して駆動用電流の立ち上がり及び立ち下がりの少なくとも一方を進めるようにしてもよい。
【0042】
図1及び
図2に示すように、本実施の形態の三次元モーション・ディスプレイ装置1は、一端が固定端となり且つ他端が自由端となる可撓性を有する長尺状本体7と、姿勢変更指令に応じて長尺状本体7の姿勢を任意の方向に変更させる姿勢変更機構6と、複数本の長尺状本体7の他端に設けられて発光指令に応じて点灯する複数の発光手段12とを有する複数本のリニアアクチュエータ3が集合して構成されるリニアアクチュエータ集合群4が、1つの電気コネクタ2に電気的に接続されてユニット化されている。
【0043】
本実施の形態によれば、複数本のリニアアクチュエータ3が集合して構成されるリニアアクチュエータ集合群4を1つの電気コネクタ2に電気的に接続して三次元モーション・ディスプレイ装置1をユニット化したので、従来のように、リニアアクチュエータをベースに1本1本設置する必要がない。また1つの電気コネクタ2を外部電源回路及び指令発生装置22に接続された外部コネクタに接続するだけで、複数の長尺状本体7の姿勢変更機構6及び発光手段12への電力の供給と指令の供給が可能になる。その結果、本実施の形態によれば、従来の三次元モーション・ディスプレイ装置と比べて、汎用性が高く、単純なオブジェとしての利用だけでなく、照明器具の光源として利用したり、複数の長尺状本体の姿勢と複数の発光手段の発光の組み合わせにより情報を提供する情報提供素子としても利用することができる。
【0044】
図7(A)及び(B)は、本発明の三次元モーション・ディスプレイ装置1を照明装置に適用した実施の形態の正面図を示している。
図7(B)の実施の形態では、電気コネクタ2は、電球が装着されるソケットコンセントに装着可能な構成を有している。このような電気コネクタを用いると、市販されているソケットコンセントに電球のように装着するだけで、複数の長尺状本体7の姿勢変更機構(6)及び発光手段(12)への電力の供給が可能になる。なおこの場合、姿勢変更指令及び発光指令については、ソケットコンセントが接続される配電線を利用して供給してもよく、または無線で供給してもよい。
【0045】
本実施の形態の照明装置では、外部から内部を視認できる光透過性を有して電気コネクタ2に取付けられたカバー部材23の内部にリニアアクチュエータ集合群4が収納される構成を有している。カバー部材23は、電球のガラス球と同じ形状を有している。三次元モーション・ディスプレイ装置1を、このような形状にすれば、既存のソケットコンセントに直接装着して、ユニークな照明として利用することができ、また視覚により情報を認識することができる情報発信素子として利用することもできる。
【0046】
例えば、
図7(A)及び(B)の照明装置を構成する三次元モーション・ディスプレイ装置1を用いて情報発信をする情報発信方法では、複数の長尺状本体7の姿勢と複数の発光手段(12)の発光パターンの組み合わせにより情報を発信する。例えば、スマートフォンを利用してメールの着信表示に利用する場合には、メールの発信元が仕事関係の場合で、普通で対応する必要がある場合には、リニアアクチュエータ集合群4の長尺状本体7の姿勢は固定して、発光手段(12)の色を青とし、優先で対応する必要がある場合には、リニアアクチュエータ集合群4の長尺状本体7の姿勢をランダムに変更しながら、発光手段(12)の色を青とし、最優先で対応する必要がある場合には、リニアアクチュエータ集合群4の長尺状本体7の姿勢をランダムに変更しながら、発光手段(12)の色を青の点滅とする等の表示変更により情報を発信することができる。
【0047】
また
図7(C)に示すように複数の三次元モーション・ディスプレイ装置1を並べて、それぞれの三次元モーション・ディスプレイ装置1のリニアアクチュエータ集合群4の複数の長尺状本体7の姿勢と複数の発光手段(12)の発光パターンの組み合わせにより情報を発信するようにしてもよいのは勿論である。
【0048】
図8(A)は本発明の三次元モーション・ディスプレイ装置の他の実施の形態の斜視図であり、
図8(B)は固定回路基板にリニアアクチュエータを固定する態様を示す図であり、
図8(C)は個別回路基板の斜視図である。なお、
図8(C)においては、LEDは図示を省略してある。本実施の形態では、実装基板5´は、例えば、1つのリニアアクチュエータ集合群に含まれる複数のリニアアクチュエータ3の長尺状本体7一端が固定される固定回路基板50と、複数のリニアアクチュエータ3にそれぞれ対応して設けられる個別駆動回路8が実装された複数の個別回路基板51とを備えている。固定回路基板50の下には、個別駆動回路8を備えたリニアアクチュエータの数に応じた個別回路基板51が積層されて構成された基板積層ユニット53が固定されている。固定回路5と複数の個別回路基板51は、各基板の外周部に沿って形成した複数の貫通孔hに接続用導体ピン52を貫通させて、各基板上の貫通孔hの周囲に形成した接続用電極に接続用導体ピン52を半田付けすることにより、相互に機械的及び電気的に接続されている。制御信号及び電力は、一番下の個別回路基板51からその上の個別回路基板51に接続用導体ピン52を介して伝達される。なおリニアアクチュエータ3の長尺状本体7の固定回路基板50への固定方法は任意である。例えば、形状記憶合金線状体21A,21B及び21Cの端部を、個別基板50の上に形成した電極に半田付け接続されたハトメを固定することにより、形状記憶合金線状体21A,21B及び21Cの張力を利用して長尺状本体7を固定するようにしてもよい。
【0049】
図9(A)は本発明の三次元モーション・ディスプレイ装置のさらに他の実施の形態の斜視図であり、
図9(B)は固定回路基板にリニアアクチュエータを固定する態様を示す図である。本実施の形態では、実装基板5´は、複数のリニアアクチュエータ集合群に含まれる複数のリニアアクチュエータ3の長尺状本体7の一端が固定される1つの上側の固定回路基板50と、1つのリニアアクチュエータ集合群に含まれる複数のリニアアクチュエータ3それぞれ対応して設けられる個別駆動回路8が実装された複数の個別回路基板51が積層された基板積層ユニット53A~53Dを複数備えている。複数の基板積層ユニット53A~53Dは、下側の固定回路基板54にも固定されている。本実施の形態では、上側の固定回路基板50の下と下側の固定回路基板54の上に配置する複数の基板積層ユニット53A~53Dの数を任意に増やすことができる。したがってリニアアクチュエータ3の数に応じた個別駆動回路51を複数用意して積層することに作った複数の基板積層ユニット53A~53Dを横方向に配置することにより駆動回路を構成する実装基板5´を構成することにより、リニアアクチュエータの数がさらに多くなった場合でも汎用性を高めることができる。
【0050】
図10は本発明の三次元モーション・ディスプレイ装置の他の実施の形態の分解斜視図である。なお、本実施の形態では、実装基板5´は、例えば、1つのリニアアクチュエータ集合群に含まれる複数のリニアアクチュエータ3の長尺状本体7の一端が固定される固定回路基板50と、複数のリニアアクチュエータ3にそれぞれ対応して設けられる個別駆動回路8が実装された複数の個別回路基板51と、複数の個別回路基板51が固定される第2の及び第3の固定回路基板50A及び50Bを備えている。第2の固定回路基板50Aと第3の固定回路基板50Bとの間には、個別駆動回路8を備えたリニアアクチュエータの数に応じた複数の個別回路基板51が固定回路基板50A及び50Bの基板面と直交する方向に積層されて構成された基板積層ユニット53が固定されている。第2及び第3の固定回路基板50A及び50Bと複数の個別回路基板51は、第2及び第3の固定回路基板50A及び50Bにそれぞれ形成した複数の貫通孔hに接続用端子tを貫通させて、各基板上の貫通孔hの周囲に形成した接続用電極に接続用端子tを半田付けすることにより、相互に機械的及び電気的に接続されている。第1の固定回路基板50と第2の固定回路基板50Aとは、それぞれの基板の外周部に沿って形成された複数の貫通孔h0に、接続用導体ピン52を貫通させて各貫通孔h0の周囲に形成した接続用電極に接続用導体ピン52を半田付けすることにより、相互に機械的及び電気的に接続されている。制御信号及び電力は、一番下の固定回路基板50Bからその上の個別回路基板51に伝達される。なおリニアアクチュエータ3の長尺状本体7の第1の固定回路基板50への固定方法は任意である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の三次元モーション・ディスプレイ装置によると、実装基板を外部電源回路及び指令発生回路に接続するだけで、複数の長尺状本体の姿勢変更機構及び発光手段への電力の供給と指令の供給が可能になる。その結果、従来の三次元モーション・ディスプレイ装置と比べて、汎用性が高く、単純なオブジェとしての利用だけでなく、照明器具の光源として利用したり、複数の長尺状本体の姿勢と複数の発光手段の発光の組み合わせにより情報を提供する情報提供素子としても利用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 三次元モーション・ディスプレイ装置
2 電気コネクタ
3 リニアアクチュエータ
4 リニアアクチュエータ集合群
5 回路基板(実装基板)
5´ 実装基板
6 姿勢変更機構
7 長尺状本体
8 個別駆動回路
9 電流供給回路
10 線状バネ部材
11 配線回路
12 発光手段
12A LED
13 発光駆動回路
14 エナメル線
15 拡散光キャップ
16 中央貫通孔
17,18,19 周辺貫通孔
20 ハトメ
21,21A,21B,21C 形状記憶合金線状体
22 指令発生装置
50,50A,50B, 固定回路基板
51 個別回路基板
53 基板積層ユニット