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特許7368008海上船舶用の船外ウォータージェットを伴う推進デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】海上船舶用の船外ウォータージェットを伴う推進デバイス
(51)【国際特許分類】
   B63H 11/08 20060101AFI20231017BHJP
   B63H 23/24 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
B63H11/08 A
B63H23/24
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021505409
(86)(22)【出願日】2019-07-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 IB2019056536
(87)【国際公開番号】W WO2020026166
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2022-06-03
(31)【優先権主張番号】18187392.8
(32)【優先日】2018-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521038821
【氏名又は名称】シーレンス エス.ピー.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ベニーニ,エルネスト
(72)【発明者】
【氏名】ゴッボ,ウィリアム
【審査官】高瀬 智史
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-37296(JP,A)
【文献】特開2000-168687(JP,A)
【文献】特公昭40-17261(JP,B1)
【文献】米国特許第5964626(US,A)
【文献】米国特許第3112610(US,A)
【文献】特開2009-161003(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0279559(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63H 11/08
B63H 23/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高速海上船舶用の船外ウォータージェットを伴う推進デバイス(1)であって、
流体力学的形状を伴う筐体(4)を備えるナセル(2)であって、前記筐体(4)は、前端(5)と後端(6)との間で延在方向(X)に従って軸方向に延在し、搬送チャネル(7)が設けられ、前記搬送チャネル(7)は、前記前端(5)に配置される入口部(8)と、前記後端(6)に配置される反対側の出口部(9)との間で前記延在方向(X)に沿って延在し、前記ナセル(2)は、船が進むことが意図される流体中に浸かるために、前記船の底面の外部に接続されることが意図される、ナセル(2)と、
前記筐体(4)の前記搬送チャネル(7)の内部に配置されるプロペラ(3)であって、前記筐体(4)の前記入口部(8)に対して実質的に横方向の特定の前進方向(V1)における推進を決定するために作動可能である、プロペラ(3)と、
を備え、
前記プロペラ(3)はポンプ(11)を備え、前記ポンプ(11)は、前記入口部(8)から前記出口部(9)に向かう流出向き(VF)に従って、前記搬送チャネル(7)を通って前記流体の流動を発生させるために作動可能であり、前記ポンプ(11)は前記筐体(4)の前記延在方向(X)に平行な回転軸(Y)を有する少なくとも1つのインペラ(18)が設けられ、
前記ナセル(2)は、
前記筐体(4)の少なくとも1つの前部(13)を含む動的吸入口(12)であって、前記前部(13)は、前記入口部(8)と前記ポンプ(11)との間で前記延在方向(X)に沿って軸方向に延在し、前記動的吸入口(12)で、前記流体の局所速度の減速及び前記流体の圧力上昇を生じさせるように、前記流出向き(VF)に従って増加する前記延在方向(X)に対して横方向に通路部を有する、動的吸入口(12)と、
前記筐体(4)の実質的に軸方向に対称な後部(15)を含む、排出ノズル(14)であって、前記後部(15)は、前記ポンプ(11)と前記出口部(9)との間で前記延在方向(X)に沿って軸方向に延在し、前記排出ノズル(14)で、前記流体の前記局所速度の増加及び前記流体の圧力低下を生じさせるように、前記流出向き(VF)に減少する前記延在方向(X)に対して横方向に通路部を有し、前記出口部(9)から流出する推進スラストジェットを生じさせる、排出ノズル(14)と、
前記筐体(4)の中間部(17)を含む中心体(16)であって、前記中間部(17)は、前記動的吸入口(12)と前記排出ノズル(14)との間で、前記延在方向(X)に沿って延在し、前記中間部(17)の内部で、前記ポンプ(11)を収容し、前記延在方向(X)に沿って一定エリアを有する前記延在方向(X)に対して横方向に通路部を有する、中心体(16)と、を備え、
前記動的吸入口(12)の前記前部(13)は、前記ナセル(2)の前記入口部(8)の縁を区切る円形の辺縁(27)によって、前記ナセル(2)の前記筐体(4)の外面に接続され、前記辺縁(27)の丸みにより、前記辺縁(27)の自体の形状に応じて、前記ナセル(2)の前記入口部(8)を起点とする通路部の限定された限局性の部分的な狭窄が決定され、
前記ポンプ(11)の前記インペラ(18)は、増加する翼弦を伴う翼を伴うブレード(19)が設けられ、前記翼弦は、前記インペラ(18)の半径に応じて増加する、推進デバイス(1)。
【請求項2】
前記筐体(4)の前記入口部(8)は、前記インペラ(18)の前記回転軸(Y)に実質的に直角な面にあることを特徴とする、請求項1に記載の推進デバイス(1)。
【請求項3】
前記ポンプ(11)は軸流ポンプまたは半軸流ポンプであることを特徴とする、請求項1または2に記載の推進デバイス(1)。
【請求項4】
前記ポンプ(11)は、前記筐体(4)の前記延在方向(X)に沿って連続して位置付けられる2つ以上の台(20,21)を備え、係る前記台(20,21)のそれぞれは、対応する前記インペラ(18)が設けられることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の推進デバイス(1)。
【請求項5】
前記ポンプ(11)は、
前記流体の第1の圧力上昇を発生させるように配置される第1の台(20)と、
前記第1の台(20)と前記排出ノズル(14)との間に位置付けられ、前記第1の圧力上昇よりも大きい前記流体の第2の圧力上昇を発生させるように配置される、第2の台(21)と、
を備えることを特徴とする、請求項4に記載の推進デバイス(1)。
【請求項6】
台(20,21)のそれぞれは対応する前記インペラ(18)を備え、第1の台(20)の前記インペラ(18)は、第2の台(21)の前記インペラ(18)の向きの反対向きに回転するように配置されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の推進デバイス(1)。
【請求項7】
前記推進デバイス(1)は、前記インペラ(18)の回転を作動させるために、前記ポンプ(11)に動作可能に接続される少なくとも1つの電気モータを備えることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の推進デバイス(1)。
【請求項8】
前記推進デバイス(1)は、独立して動作可能である複数の電気モータを備え、複数の前記電気モータのそれぞれは、前記ポンプ(11)の前第1の台(20)及び前記第2の台(21)のうちの対応するの前記インペラ(18)に接続されることを特徴とする、請求項5または6を引用する請求項7に記載の推進デバイス(1)。
【請求項9】
前記電気モータは、
前記インペラ(18)の前記回転軸(Y)と同軸に前記筐体(4)に固定された環状ステータ(25)と、
前記筐体(4)の前記搬送チャネル(7)の内部に回転可能に搭載される環状ロータ(26)であって、前記回転軸(Y)と同軸に配置され、前記環状ロータ(26)に固定された前記インペラ(18)を支え、前記環状ステータ(25)に結合される、環状ロータ(26)と、
を備えることを特徴とする、請求項7または8に記載の推進デバイス(1)。
【請求項10】
前記推進デバイス(1)は前記ナセル(2)の前記筐体(4)に固定されたブレード付きディフューザ(22)を備え、前記ディフューザ(22)は、前記流出向き(VF)に対して前記インペラ(18)の下流にある前記搬送チャネル(7)の内部に配置され、前記筐体(4)の前記延在方向(X)に沿って軸方向に前記流体を搬送するように配置されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の推進デバイス(1)。
【請求項11】
前記推進デバイス(1)は、前記ナセル(2)の前記筐体(4)に固定された複数の入口誘導羽根(23)を含み、前記入口誘導羽根(23)は、前記入口部(8)と前記ポンプ(11)との間で前記搬送チャネル(7)の内部に位置付けられ、前記インペラ(18)の回転に対する少なくとも1つの接線速度成分に従って、前記流体を転向するように配置されることを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の推進デバイス(1)。
【請求項12】
前記インペラ(18)は、前記回転軸(Y)と整合する中央ハブ(24)と、前記中央ハブ(24)に固定された複数のブレード(19)とを備えることを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載の推進デバイス(1)。
【請求項13】
前記インペラ(18)は、
前記回転軸(Y)の周りで回転するために、前記筐体(4)の前記搬送チャネル(7)内で回転可能に拘束される、前記回転軸(Y)の周りで延在する周辺リングと、
複数のブレード(19)であって、複数の前記ブレード(19)のそれぞれは、前記回転軸(Y)に向いている内部端と前記周辺リングに固定された外部端との間で延在する、複数のブレード(19)と、
を備えることを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載の推進デバイス(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の発見は、独立請求項の請求項1の前文に従って、海上船舶用の船外ウォータージェットを伴う推進デバイスに関する。
【0002】
本発明の推進デバイスは、船舶/船での利用のためのジェット推進システムの分野で装着されて利用される。
【0003】
利点をもたらすように、本発明の推進デバイスは、高速船舶の利用(好ましくは、30~40ノットよりも高速)に適応し、例えば、高速のスポーツ船/娯楽船または商業用ボートで使用されることが意図される。
【背景技術】
【0004】
推進技術の分野で周知のように、しばらくの間、プロペラ推進技術が使用されている。従来、この技術は船外構成を有し、プロペラは船の底面の外側にあり、プロペラを内燃エンジンに接続する機械トランスミッションシステムによって動く。この推進技術は、構造上の単純性及び順応性に関して重要な利点をもたらす場合でさえも、推進軸ごとの実現可能な速度ひいては動力集中に関してかなりの制限をもたらす。係る制限の理由は、プロペラがダクトなしのプロペラであるという事実に関連付けられ(すなわち、プロペラは、プロペラを外側環境から離しているケーシングを有しなく)、ひいては、プロペラシャフトごとの力に関して集中できる最大荷重は比較的小さくなる。
【0005】
また、比較的より最近に導入された海上船舶の分野でさえも広く一般的になっているものは、周囲水をポンプで汲み上げることによって、船を前進させるための作用原理及び反応原理を実質的に活用するウォータージェット推進技術である。
【0006】
現在、高速船/高速海上船舶(すなわち、30~40ノットよりも速い航行速度で動く船)の分野で普及するウォータージェットプロペラは、いわゆる斜状入口があるタイプ(または、平坦型の吸入口を有するタイプ)として知られているものである。
【0007】
前述のウォータージェットプロペラは、従来、船内構成(すなわち、船の底面の内部)に挿入され、船の底面には、入口部(多くの場合、「吸入口」、さらに簡単に「口」と呼ばれる)から延在する吸入口ダクトが構成され、ボートの後部/船尾に近接して構成され、それに続いて、さらに排出ノズルに接続されるポンプが位置する部分がある。吸入口ダクトの内部に、またはできれば、口から適切な距離に、水を、吸入口ダクトを通して速度が増加する排出ノズルまで移送するように水を加圧するために、エンジン(一般的に、内燃機関)に接続され、エンジンによって作動可能であるポンプが配置され、船の前進スラストを発生させる推進効果を生じさせる。
【0008】
既知の種類の船内にある船内型ウォータージェットプロペラは、それが容量の制約を強要するボートを自由にする場合でさえも、ボートによって要求される速度が速くなるほど大きくなる程度まで、プロペラの特定のスラスト及びキャビテーション防止マージンの推進効率のレベルに関する制限を受ける。
【0009】
実際には、船内ウォータージェットプロペラでは、吸入口ダクトの水流は、吸入口ダクトの全体長がかなり長いことによって円滑にならなく、吸入口ダクトから、ダクト自体の水圧降下の発生が多く続き、推進効率にかなりの悪影響をもたらす。
【0010】
また、船外ラム入口プロペラは既知であるが、全く、高速の帆走速度/航行速度での使用のために考案したものではない。より詳細には、既知の種類の船外ラム入口プロペラは、また、スラスター(バウスラスター、アジマススラスター等)と呼ばれ、円筒ダクトまたは円錐ダクトの1つ以上のダクトプロペラ使用を提供する。係るスラスタープロペラ(機械駆動システム及び電気システムの両方によってプロペラが作動する)は、とにかく、20ノットよりも速い帆走速度/航行速度を確実にするために十分なスラスト集中(すなわち、運ばれる流体流速ごとのスラスト)が可能ではなく、ひいては、スラスタープロペラは、例えば、旋回操縦動作のための、または低速の帆走/航行のための低速推進(20ノットよりも遅い速度)だけの使用に適切である。前述のプロペラスラスターは、プロペラスラスターがとる形状にかかわらず、技術的に、ウォータージェットの分類の範囲内に含めることができない。この理由として、プロペラスラスターは、いずれかのジェットプロペラを使用しないで、ダクトプロペラを伴う単純構成を使用しているためである。
【0011】
したがって、海上船舶推進技術の分野では、正確な設計上の選択に関して速度及び推進力の点で性能を向上させることを可能にする、ラム入口を伴う船外推進システムの必要性がある。
【0012】
特許文献の英国特許出願公告第759500号明細書では、吸入口を有するインテークカウルと、排出口を有する排出カウルとが設けられた中空円筒ステータを備える、浅喫水船舶用の既知の推進デバイスが開示されている。さらに、推進デバイスはロータを備え、ロータは、回転ブレードが設けられ、ステータに対して旋回し、電気エンジンに接続されるシャフトに搭載される。英国特許出願公告第759500号明細書で開示されている推進デバイスは、高速での利用には適切ではないが、低速船または低速平底船だけを対象としている。この理由として、具体的には、高速での引きずり現象を最小にするような適切な流体力学的構成がないためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】英国特許出願公告第759500号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
この状況では、したがって、本発明の根本的な課題は、高速の前進速度を確実にすることが可能である海上船舶用の船外ウォータージェットを伴う推進デバイスを提供することによって、既知の種類の前述の解決策によって明らかになる欠点を克服することである。
【0015】
本発明のさらなる目的は、高い推進効率を確実にすることが可能である海上船舶用の船外ウォータージェットを伴う推進デバイスを提供することである。
【0016】
本発明のさらなる目的は、キャビテーション現象に関連する問題を生じさせないことが可能である海上船舶用の船外ウォータージェットを伴う推進デバイスを提供することである。
【0017】
本発明のさらなる目的は、全体的に動作が効率的で信頼性が高い海上船舶用の船外ウォータージェットを伴う推進デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前述の目的に従った本発明の技術特徴は、下記に報告される「特許請求の範囲」の内容で明らかに確認でき、本発明の利点は、本発明のいくつかの単なる例示的実施形態及び非限定的実施形態を表す添付図を参照して、以下の「発明を実施するための形態」でより明白になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】具体的には、出口ステータ誘導羽根と、ハブあり型のインペラとを有する本発明の第1の実施形態による、子午線図に従った断面図の推進デバイスの図式表現を示す。
図2】具体的には、出口ステータ誘導羽根と、ハブなし型のインペラとを有する本発明の第2の実施形態による、子午線図に従った断面図の推進デバイスの図式表現を示す。
図3】具体的には、出口ステータ誘導羽根がなく、ハブあり型のインペラを有する本発明の第3の実施形態による、子午線図に従った断面図の推進デバイスの図式表現を示す。
図4】具体的には、出口ステータ誘導羽根がなく、ハブなし型のインペラを有する本発明の第4の実施形態による、子午線図に従った断面図の推進デバイスの図式表現を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
添付図を参照すると、参照符号1は、全体的に、本発明の目的である海上船舶用の船外ウォータージェットを伴う推進デバイスを示す。
【0021】
具体的には、本発明の推進デバイス1は、全体的に船外機付きボートである構成を実現するように配置され、推進デバイス1は、船が前進中に、推進デバイス1の前部に水が衝突できるように、船殻の底面の外部に設置される。
【0022】
本発明によると、推進デバイス1は、ナセル2(また、専門用語で「シャトル」と呼ばれる)と、ナセル2の内部に収容されるプロペラ3とを備える。より詳細には、ナセル2は筐体4を備え、筐体4は、好ましくは流体力学的形状(具体的には、実質的に管状)であり、実質的に水平に配置されることが意図される縦軸と全体的に軸方向に対称であるのが好ましいが、必ずしもそうではない。
【0023】
具体的には、筐体4は、延在方向Xに沿って前端5と反対側の後端6との間で軸方向に延在し、直線的に延在することで利点をもたらし、筐体4自体の縦軸と一致するのが好ましい。
【0024】
加えて、ナセル2の筐体4は搬送チャネル7が設けられ、搬送チャネル7は、筐体4の前端5に配置される入口部8と、筐体4の後端6に配置される反対側の出口部9との間で前述の延在方向Xに沿って延在する。
【0025】
ナセル2は船の底面の外部に接続されることが意図され、それにより、船自体が前進することが意図される水体の流体(具体的には、液体)の中に完全に浸かる。
【0026】
具体的には、ナセル2は、本質的に当業者に既知である方式で、例えば、支持フィン10によって船の底面に固定されることが意図される。
【0027】
プロペラ3は、ナセル2の筐体4の搬送チャネル7の内部に配置され、筐体4の出口部9から流出する流体の噴出を発生させるために作動可能であり、それに反応して、筐体4の入口部8に対して実質的に横方向の特定の前進方向V1における推進を決定する。
【0028】
本発明の根本的な考えによると、プロペラ3は少なくとも1つのポンプ11を備え、ポンプ11は、入口部8(前方)から筐体4の出口部9(後方)に向かう流出向きVFに従って、筐体4の搬送チャネル7を通って流体の流動を発生させるために作動可能である。
【0029】
具体的には、ポンプ11は、流体をかなり加圧するように配置され、ポンプ11の上流の流体と、ポンプ11の下流の流体との間で有効な及び有限の圧力上昇を実現することを可能にする。
【0030】
本発明に従った推進デバイス1のナセル2は、筐体4の入口部8から来る流体を受けるように適応する前方動的吸入口12を備える。
【0031】
より詳細には、動的吸入口12は筐体4の前部13(好ましくは、管状)を含み、前部13は適切な流体力学的方式で形成され、筐体4の入口部8とポンプ11との間で筐体4自体の延在方向Xに沿って軸方向に延在する。
【0032】
動的吸入口12(具体的には、動的吸入口12の前部13)は、筐体4の入口部8を起点に、ポンプ11に向かって延在する。好ましくは入口部8の横臥面が前進方向V1に直角であるように(しかし、必ずしもそうではない)、入口部8を配置し、それにより、係る入口部8(及び動的吸入口12)は、船の前進中に流体流に直接曝される。
【0033】
動的吸入口12の前部13は、筐体4の延在方向Xに対して横方向に取得された通路部を有し、通路部は、流体の流出向きVFに従って(すなわち、前端5から筐体4の後端6に向かう延在方向Xの向きに従って)実質的に増加する。このように、動的吸入口12の増加部分を伴う係る構成は、動的吸入口12の内部で、流体速度の平均的な減速及び結果として生じる流体自体の圧力上昇(すなわち、流体拡散)を生じさせる。当然ながら、本発明の特許の保護範囲から逸脱することなく、動的吸入口12に、増加しない部分(例えば、一定部分)を有し得る追加部分(前述の前部13の下流及び/または上流にある部分)を設けることができる。
【0034】
さらに利点をもたらすように、帆走速度/航行速度に応じて、プロペラデバイス1の適切な動作中の順応性を確実にする必要性により、動的吸入口12の前部13が、ナセル2の入口部8の縁を区切る適切な円形の辺縁27によって、ナセル2の筐体4の外面に接続されることが義務付けられる。辺縁27の丸みにより、全体として動的吸入口12の拡散機能の歪みを生じさせることなく、辺縁27の自体の形状に応じて、ナセル2の入口部8を起点とする通路部の限定された限局性の部分的な狭窄を決定できる。
【0035】
動作時、徐々に増加する通路部を伴う動的吸入口12は流体流を拡散し、流体流の速度を減速させ、圧力を回復し、場合により、ナセル2の搬送チャネル7の内側に到着する流体流の中に存在し得る起こり得る不均一性をなくすまたは軽減する。
【0036】
したがって、実質上、動的吸入口12の機能は、流体流を減速し、静圧を回復し、流体流動の均一性の維持を行い、流体流が、ナセル2の外側の影響を受けない流動速度よりも低速で、ポンプ11の前方に到着することを可能にする。
【0037】
また、ナセル2は後方排出ノズル14を備え、後方排出ノズル14は、帆走速度/航行速度よりもかなり高速でポンプ11から加圧された流体流を加速させるように適応し、したがって、前進方向V1における推進を可能にする反応効果の達成を可能にする。
【0038】
より詳細には、排出ノズル14は筐体4の実質的に軸方向に対称な後部15(好ましくは、管状)を含み、後部15は、ポンプ11と筐体4の出口部9との間で延在方向Xに沿って軸方向に延在する、具体的には、出口部9自体で終端する。
【0039】
排出ノズル14の後部15は、流出向きVFに減少する延在方向Xに対して横方向に取得された通路部を有し、それにより、排出ノズル14の内部で、流体の局所速度の増加と、結果として生じる流体の圧力低下を生じさせ、推進スラストジェットがナセル2の筐体4の出口部9から流出することを生じさせる。
【0040】
このように、具体的には、排出ノズル14は、推進の反応効果を達成することが可能であるように、効率的に、同時に極めて空間的にコンパクトな流体流を加速する機能がある。
【0041】
当然ながら、本発明の特許の保護範囲から逸脱することなく、排出ノズル14に、減少しない部分(例えば、一定部分)を有し得る追加部分(前述の後部15の下流及び/または上流にある部分)を設けることができる。
【0042】
利点をもたらすように、ナセル2は中心体16を備え、中心体16は、動的吸入口12と排出ノズル14との間で配置され、中心体16の内部でポンプ11を含む。
【0043】
より詳細には、前述の中心体16は筐体4の中間部17(好ましくは、管状)を備え、中間部17は、動的吸入口12の前部13と筐体14の後部15との間で延在方向Xに沿って軸方向に延在する。係る中間部17(その内部でポンプ11を収容する)は、筐体4の延在方向Xに対して横方向に取得された通路部を有し、係る延在方向Xに沿って実質的に一定エリアを有することで利点をもたらす(しかし、必ずしもそうではない)。
【0044】
利点をもたらすように、ポンプ11は、ナセル2の筐体4の延在方向Xに平行な回転軸Yを有する少なくとも1つのインペラ18が設けられている。
【0045】
適切になるように、筐体4の入口部8(好ましくは、出口部9も)は、具体的には、部分8,9を横断するインペラ18の回転軸Yに実質的に直角の対応する横臥面にある。ポンプ11のインペラ18に、翼を有するブレード19が設けられ、翼は、具体的には、例えば、ナセル2の内部で流体をかなり加圧するために、インペラ18の半径に応じて増加する、好ましくは増加する翼弦を伴い、ポンプ11の上流の流体と下流の流体との間で、有限圧力ジャンプを実現することを可能にする。
【0046】
利点をもたらすように、インペラ18に中央ハブ24を設けることができ、中央ハブ24は、中央ハブ24に固定されたブレード19(図1及び図3の例のようなブレード)を支える、または、中央ハブ24は「ハブなし」型(図2及び図4の例のような種類)であり得る。具体的には、「ハブなし」種類のインペラ18はハブがなく、回転軸Yの周りで回転するために筐体4の搬送チャネル7に回転可能に拘束される回転軸Yの周りに延在する周辺リングを備え、周辺リングはインペラ18に固定されたブレード19を支え、より詳細には、ブレード19のそれぞれは、回転軸Yに向いている(自由な)内部端と、前述の周辺リングに固定された外部端との間で延在する。
【0047】
好ましくは、ポンプ11は軸流ポンプまたは半軸流ポンプ(また、斜流ポンプと呼ばれる)であり得る。ロータのブレード18の形状は、軸流ポンプまたは斜流ポンプの従来の構成では、ブレードの運搬用ハブ24または円板の存在を提供する。しかしながら、ポンプ11がハブなしの場合、ブレード付き形状はさらに、ブレードがブレードの運搬用リングの周辺に固定されていることを除いて、軸流または斜流に対するインペラの流体力学的要件を満たす。
【0048】
軸または半軸の種類のポンプ11の配列は、ヘッドに対して比較的多い体積流量を処理して、推進効率の可能性がある最高値を確実にするために必須の係る条件を可能にし、その結果、消費量の減少を可能にする。
【0049】
利点をもたらすように、ポンプ11は、ナセル2の筐体4の延在方向Xに沿って連続して配置される2つ以上の台を備え、係る台のそれぞれは対応するインペラ18が設けられている。
【0050】
当然ながら、ポンプ11の異なる台のインペラ18は、具体的には、その動作中の特徴の機能と異なる構成を有し得る。
【0051】
好ましくは、添付図に示される実施形態によると、ポンプ11は、主にキャビテーション防止インデューサの機能がある第1の台20と、主に動力供給機能があるそれに続く第2の台21とを備える。
【0052】
具体的には、第1の台20は、(流出向きVFに対して)動的吸入口12のすぐ下流に、筐体4の延在方向Xに沿って位置付けられ、第1の台20は、例えば、第1の台20のブレードチャネルの内部で及び動的吸入口12の下流でキャビテーションを防止するための圧力で流体流動を部分的に加圧するために、流体の第1の圧力上昇を発生させるように配置され、比較的低いヘッドを維持する。第2の台21は、第1の台20と排出ノズル14との間に、具体的には、排出ノズル14のすぐ上流に位置付けられる。第2の台21は、第1の台20によって発生した第1の圧力上昇よりも大きい流体の第2の圧力上昇を発生させるように配置され、それにより、実質的にキャビテーションの問題が発生するリスクがなく、より大きいヘッドを取得し、所望の推進スラストを達成する。
【0053】
このように、具体的には、直列に配置された2つの台20,21は、ヘッドを2つの部分に分割することと、第1の台20にキャビテーション防止インデューサの機能を委ねることと、いずれの場合、流入する流動のキャビテーションを防止するように、ポンプ11のヘッド全体のぴったり50%よりも低い一部がキャビテーション防止に起因することとを可能にする一方、後続の第2の台21には実馬力供給機能があり、適切に加圧され、ひいては実質的にキャビテーションに影響されない流体流が横断する。
【0054】
係る2つの台の解決策(おそらく、この目的に最も適切な解決策)を参照すると、2つの台20,21の間の「接合」(すなわち、台20,21のそれぞれに起因する推進に必要なヘッドの全体部分)を定義することが重要である。具体的には、2つの台20,21の機能が異なるため、台20,21を横断する流動特徴に関して、台20,21の設計手順が異なる条件も問題となる。
【0055】
より具体的には、第1の台20のインペラ18は、低圧(プロペラデバイス1が動く外部環境の圧力と同等)で流動に曝され、ポンプ11によって要求されるNPSH(有効吸込ヘッド)を制限することによって、キャビテーション現象を防止するように構成され、他の条件は、先端における関連フレームの流速の厳密な制御によって同じになる。したがって、第1の台20のインペラ18は、「キャビテーション防止プレインデューサ」の機能(すなわち、「ブースター」の機能)があり、ブレードの機能停止の危険性を防止するために、同時に、キャビテーションの危険性を防止するために、ポンプ11のヘッドの比較的わずかな部分がキャビテーション防止に起因する。第2の台21のインペラ18は事前に加圧した流動を受け、より大きいヘッドレベルの荷重がかかり、具体的には、ブレード機能停止に対抗するように構成される。第2の台21は実馬力供給機能のタスクを行う。
【0056】
好ましくは、具体的には、図1及び図2の例を参照して、推進デバイス1は、ナセル2の筐体4に固定された少なくとも1つのブレード付きディフューザ22を備え、ディフューザ22は、流出向きVFに対してポンプ11のインペラ18の下流の搬送チャネル7の内部に配置される。具体的には、図1及び図2に例示される実施形態を参照すると、2つのブレード付きディフューザ22は、台20,21のそれぞれに1つずつ設けられ、対応する台20,21のインペラ18の下流に配置される。
【0057】
ブレード付きディフューザ22のそれぞれは、筐体4の延在方向Xに沿って軸方向に、インペラ18によって加圧された流体を搬送するように配置される。
【0058】
具体的には、ブレード付きディフューザ22は、流速の接線成分を実質的に相殺する機能があり、流体を軸方向に搬送する。
【0059】
利点をもたらすように、推進デバイス1は複数の入口誘導羽根23を含み、入口誘導羽根23は、ナセル2の筐体4に固定され、筐体4の入口部8とポンプ11との間で、搬送チャネル7の内部に(具体的には、動的吸入口12の内部に)位置付けられる。
【0060】
入口誘導羽根23は、回転軸Yの周りでポンプ11のインペラ18の回転に対する少なくとも1つの接線速度成分に従って、流体を転向するように配置される。
【0061】
詳細には、入口誘導羽根23は、具体的には、ポンプ11の第1の台20のインペラ18の上流に配置される固定式の複数のブレードを備える。入口誘導羽根23の機能は、構造的剛性に加えて、入口誘導の機能と同様であり得る。そのような場合、入口誘導羽根23は、対称であるまたは曲線の中線を伴う空気力学的翼によって形成され得る。両方の場合、入口誘導羽根23は流体流を転向する機能があり、入口における流体流に対する接線速度成分を第1の台20のインペラ18に与え、これは、第1の台20のインペラ18への入口における関連フレームの流速の大きさを減らす目的によって行われ、ポンプ11の機能停止及びキャビテーション挙動が発生しないように好影響を及ぼす。
【0062】
利点をもたらすように、推進デバイス1は、プロペラ3のポンプ11を作動させるために、プロペラ3に動作可能に接続された少なくとも1つのモータを備える。具体的には、モータは、インペラ18を回転軸Yの周りで回転させるために、ポンプ11のインペラ18に動作可能に接続される。
【0063】
推進デバイス1のモータは電気式であるのが好ましく、機械トランスミッション(プロペラシステムに類似するもの)によって、または直接駆動構成、具体的には、リム駆動構成(下文に詳細に説明されるもの)によって、ポンプ11のインペラ18に接続されることで利点をもたらし得る。
【0064】
具体的には、当該電気モータは船内構成を有し得、モータは船の底面の内部に配置され、機械トランスミッションによって、ポンプ11のインペラ18に接続され、または電気モータは船外構成を有し得、モータは、船の底面の外側に、具体的には、ナセル2の内部に配置される。船外構成では、例えば、電気モータは、(ハブを伴うインペラ18の場合)インペラ18のハブ24の内部に、または(ハブを伴うインペラの場合、ハブがないインペラ場合の両方で)リム駆動構成のインペラ18自体の周りに配置できる。
【0065】
具体的には、図2及び図4の例を参照すると、リム駆動構成の電気モータは、ナセル2の筐体4に固定され、インペラ18の回転軸Yと同軸に、インペラ18の周りに配置される、環状ステータ25と、筐体4の搬送チャネル7の内部に回転可能に搭載され、回転軸Yと同軸に配置され、環状ロータ26に固定されたインペラ18のブレード19を支える、環状ロータ26とを備える。ロータ26はステータ25に結合され、ステータ25に電流が供給されるとき、電気モータの既知の動作中の原理に従って、回転軸Yの周りでロータ26(ひいては、インペラ18)を回転させる磁場を発生する。好ましくは、「ハブなし」型のインペラ18の場合、ロータ26はインペラ18自体の周辺リングに関連付けられる、または係る周辺リングを構成する。
【0066】
好ましくは、複数の台を伴う複数のポンプまたはポンプ11の場合、推進デバイス1は、独立して動作可能である複数のモータを備え得、複数のモータのそれぞれは、2つの台20,21の上述の特定の機能(具体的には、キャビテーション防止機能及び動力供給機能)を設定するように、2つの台20,21の動作を設定するために、ポンプ11の対応する台20,21のインペラ18に接続される。
【0067】
利点をもたらすように、インペラ18のそれぞれは、対応する電気モータによって独立して作動可能であり、それにより、第1の台20のインペラ18に送られたトルクは、第2の台21のインペラ18に提供されたトルクの影響を受けない可能性があり、したがって、プロペラ3の動作中の過渡事象の発生中に、または公称条件と異なる帆走速度条件/航行速度条件で、最適な動力供給管理を可能にする。
【0068】
下文に、本発明のいくつかの可能な実施形態が詳細に説明され、添付図に示される。
【0069】
図1は、本発明の第1の実施形態を示し、ポンプ11のインペラ18は、対応するブレード19が固定されるハブ24が設けられている。具体的には、第1の実施形態では、ナセル2は、ブレード付きディフューザ22の固定式ブレードが設けられている。
【0070】
利点をもたらすように、図1の例を参照すると、ポンプ11の2つの台20,21は、それぞれ、一連のインペラ18(ブレード付き)と、ブレード付きディフューザ22として働く固定式ブレードの環状構造とから成る。利点をもたらすように、台20,21の両方のブレード付きディフューザ22のブレードは、特別に設計された空気力学的翼によって構成されるブレード部を使用することによって形成される。
【0071】
2つのインペラ18の作動は、機械トランスミッション駆動(例えば、プロペラシステムで使用される種類)によって達成できる、または、好ましくは及び代替として、ナセル2の外側にもしくはナセル2の内側にある電気モータによる直接駆動システムによって達成できる。直接駆動システムの場合、電気モータは、インペラ18のハブ24の内部に収容され得、運動の伝達は、縮小部材の介在によって、または縮小部材の介在なしで発生し得る。さらに、可能な実施形態を参照すると、電気モータの別の可能な設置は、さらに、ナセル2の内部にあり、インペラ18の外側に配置され、(リム駆動で)インペラ18に接続できる。
【0072】
したがって、詳述した2段構成は、第2の台21のブレード付きディフューザ22の下流で流体流を達成することを可能にし、軸方向に配置され、推進デバイス1の推進効率を最大にする。係る構成では、動的吸入口12の実質的に軸方向に対称な前部13は、ナセル2の入口部8から第1の台20のインペラ18を伴う接触表面に流動を誘導する機能があり、適切な流体流の減速を可能にし、結果として、静圧を回復させ、同時に、流動の最小圧力降下及び最小歪みレベルが発生する(インペラ18に入る流体流の不均一性を最小にする)。加えて、第2の台21の下流に設置された排出ノズル14は、第2の台21のインペラ18から、帆走速度/航行速度よりもかなり大きい速度値まで、加圧された流体流を加速させる機能があり、したがって、高速推進(30~40ノットよりも速い速度)を可能にする反応効果の達成を可能にする。
【0073】
図2に示される本発明の第2の実施形態によると、ポンプ11のインペラ18はハブがないもの(ハブなし型)である。具体的には、第2の実施形態でも、ナセル2は、ブレード付きディフューザ22の固定式ブレードが設けられている。
【0074】
インペラ18のハブなし構成の利点は、以下の考察を考慮して明らかになる。推進デバイス1の船外構成では、ナセル2のラジアルバルク要件を強要することで、インペラ18のハブの過度に細長いサイズを決定できる。実際には、同じ流速値(これは、かなり速い必要がある前述の値と同じ値)を仮定すると、前進するときその流体力学的抗力の同時に起きる減少に対して、プロペラ3の要部を減らすいずれかの試みは、場合によって、ハブサイズの大幅な減少及び危険をもたらす減少を生じさせる可能性がある。実際に、ポンプ11の内部の流体流の構成(例えば、「自由渦」モデルに従った構成)は、ハブのゾーン内の相対流の過剰な角度転向を示唆するであろう。したがって、ハブに隣接するブレード翼をブレード機能停止の危険性に曝す。同時に、先端ブレードに容易に影響を与え得るキャビテーションが起こり得る危険性があり、概して、(減速機の使用を回避することまたは少なくとも減速機の減速比を制限することを望む場合)高流速及び比較的速い回転動作速度の存在下において発生するとき、流体は、ポンプの比速度が高くなるにつれて速くなる相対速度によって影響を受ける。また、係る内容では、自由渦モデル(すなわち、軽度な強制渦と同等の渦配分)に従った流体流の構成は、かなり「厳密」に示され、ポンプによって要求されるNPSHを制限するための小さな誤差を可能にする。
【0075】
例えば、前述の理由により、同様に、例えば、プロペラ3の内部に貫通している比較的多くの物体を容易に排気することが可能である機会等の他の基準に基づいて、または、プロペラ3のノイズを減らすことを目的とする基準に基づいて、ハブがない(ハブなし型の)ポンプ11のインペラ18の構成は特に利点をもたらし、その一例は、図2に示される本発明の第2の実施形態によって表される。
【0076】
利点をもたらすように、第2の実施形態でも、好ましくは、ポンプ11の2つの台20,21が設けられ、台20,21のそれぞれは、一連のインペラ18(ブレード付き)と、ブレード付きディフューザ22として働く固定式ブレードの環状構造とから成る。運動をインペラ18に伝達するための機械駆動シャフトを収容するためのハブがない場合、この場合、電気モータを伴うシステムによって2つのインペラ18の作動が発生する。図2の例では、当技術分野で既に既知のリム駆動式の解決策が示され、電気モータのロータ26は、インペラ18のブレード19を収容するための支持物として働く。具体的には、台20,21の1つ以上のインペラ18のブレード19は、電気モータのロータ26のリングの表面と一体的に伴う台20,21の基部に固定される一方、電気モータのステータ25はナセル2の筐体4の内部に収容される。このように、インペラ18のブレード19は、従来の軸流ターボポンプのように、ハブに一体的に適合しハブの中心から周縁に向かって半径方向に延在するのではなく、ロータ26のリングに一体的に固定され、前述の反対側の方向に(すなわち、実質的に外側から内側に)延在する。利点をもたらすように、図2の第2の実施形態(及び下文に説明される図4に示される第4の実施形態)に例示されるハブなしの解決策では、インペラ18のブレード19は、有限の及び非ゼロの半径方向高さに近接して終端し、空気力学的翼が設けられた端(先端)は、実質的に円筒型の仮想面に配置される。
【0077】
好ましくは、図2の前述の第2の実施形態でも、ポンプ11は2つのポンプ構成または2段ポンプ構成を有し、その構成は、第2の台21のブレード付きディフューザ22の下流で流体流を達成することを可能にし、軸方向に配置され、推進デバイス1の推進効率を最大にする。
【0078】
図2の第2の実施形態でも、動的吸入口12及び排出ノズル14は、例えば、図1の第1の実施形態の説明で上記に示した技術的な効果及び利点を達成することを可能にする。
【0079】
したがって、このように考案した本発明は事前に決めた目的を実現する。
【0080】
図3及び図4は、各々、本発明の第3の実施形態及び第4の実施形態を示し、ポンプ11の2つのインペラ18は反対方向に回転する構成であり、各々、ハブあり型(図3の例)及びハブなし型(図4の例)のインペラ18を伴う。
【0081】
共通の特徴がある第3の実施形態及び第4の実施形態は、動作原理及び構造的考察に基づいて、既に、前述の段落で十分に言及及び説明され、好ましい第1の実施形態及び第2の実施形態の説明で詳述される。
【0082】
利点をもたらすように、前述の本発明の好ましい第3の実施形態及び第4の実施形態では、ポンプ11の2つのインペラ18は、それぞれの(反対方向に回転するインペラに対して)反対向きに回転し、したがって、図1及び図2の例に存在するブレード付きディフューザ22の構造をなくすことを可能にする。そのように、ヘッド集中を達成することが可能であり、プロペラ3の軸方向の延在をかなり減らし、重量及び容量の減少に関して明らかな利益をもたらす。さらなる利点として、反対方向に回転するインペラ18が装備される解決策は、第2の台21のインペラ18から流出する絶対流をほぼ完全な直線にすること(渦抑制)を可能にし、したがって、インペラ18は、ナセル2の縦軸の方向にほぼ平行に配置され、推進効率に関して明らかな利点をもたらす。また、反対方向に回転するインペラ18を使用して、ハブがない(ハブなし型の)ポンプ11のインペラ18の構成は特に利点をもたらし、その構成の例は、図4に示される第4の実施形態で表される。
【0083】
利点をもたらすように、図3及び図4の例で表されるように、ブレード付きディフューザを全体的になくすことができ、または、それを選択的になくすことができ、すなわち、図1及び図2の例に存在する1つ以上のブレード付きディフューザ22だけをなくすことができ、したがって、図1及び図2に例示される好ましい第1の実施形態及び第2の実施形態に説明されるものに関して、図3及び図4に例示される好ましい第3の実施形態及び第4の実施形態に説明されるものに関して、さらに、新しい変形及び異なる変形である研究結果を構成する。
【0084】
したがって、本発明は、上述の好ましい実施形態及び上記に説明した実施形態から派生する全ての可能な変形の両方で、事前に決めた目的を達成する。
図1
図2
図3
図4