(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】エレベータ負荷を判断するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
B66B 1/44 20060101AFI20231017BHJP
【FI】
B66B1/44 D
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022065085
(22)【出願日】2022-04-11
【審査請求日】2022-05-27
(32)【優先日】2021-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521314231
【氏名又は名称】アパナ インダストリーズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】APPANA INDUSTRIES LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100207837
【氏名又は名称】小松原 寿美
(72)【発明者】
【氏名】アマルナウト アパナ ジュニア
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-157161(JP,A)
【文献】特開2008-290805(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0300815(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102887403(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00-1/52;3/00;5/00-5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータかごの発送方法であって、
前記エレベータかごが複数の位置のうちの第1位置に位置すると判断することであって、規定位置カウントが前記複数の位置のそれぞれに対応
し、前記規定位置カウントのそれぞれが前記複数の位置の高さ位置を規定する、ことと、
前記第1位置における前記エレベータかごの位置カウントを判断すること
であって、前記位置カウントが前記第1位置における前記エレベータかごの第1高さ位置を規定する、ことと、
前記位置カウントと前記第1位置に対応する前記規定位置カウントとの差に基づいて、前記第1位置における前記エレベータかごの負荷を判断すること
であって、前記差が、前記第1位置の前記高さ位置と前記エレベータかごの前記第1高さ位置との間のオフセット距離に対応する、ことと、
前記第1位置における前記エレベータかごの前記負荷に基づいて前記エレベータかごの操作を制御することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1位置における前記エレベータかごの前記位置カウントを判断することに先立って、
前記エレベータかごが前記第1位置に到着した後に規定継続時間待機することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1位置における前記エレベータかごの前記位置カウントを判断することは、
前記規定継続時間の後の前記エレベータかごの移動に応答して、前記第1位置の
前記高さ
位置からの前記エレベータかごの
前記第1高さ位置との間の前記オフセット
距離を判断することを含む、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記オフセット
距離は、前記エレベータかごが前記第1位置に
停止している間に、前記エレベータかごが、当該エレベータかごの負荷の増加に起因して、重力方向にそって垂直下方に移動するときの、前記第1位置の前記高さ
位置から
の前記エレベータかごの直線
移動距離を含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
昇降機構は、前記エレベータかごに接続されているとともに、前記エレベータかごを前記複数の位置に対して移動させるように構成され
たケーブルアセンブリを含み、前記直線
移動距離が、前記エレベータかご
の前記負荷の増加により付与された力によって前記ケーブルアセンブリが伸長したときの、前記昇降機構の
前記ケーブルアセンブリの延長に対応する、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記エレベータかごの前記操作を制御することに先立って、
前記第1位置における前記エレベータかごの前記負荷を、
(1)1以上のエレベータかごによって輸送されるために前記第1位置に
位置する1以上の追加の乗員を示す位置占有を規定する第1閾値
と、(2)前記エレベータかごの許容容量を規定する第2閾値と
、比較することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記エレベータかごの前記負荷が前記第1閾値及び前記第2閾値を超過しない場合に、前記エレベータかごの操作が発送モードを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記エレベータかごが前記発送モードである場合に、前記エレベータかごを前記第1位置から前記複数の位置のうちの第2位置に発送することをさらに含む、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記エレベータかごの前記負荷が前記第1閾値及び前記第2閾値を超過する場合に、前記エレベータかごの操作が過負荷モードを含む、
請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記エレベータかごが前記過負荷モードである場合に、前記第1位置から前記複数の位置のうちの第2位置への前記エレベータかごの発送を停止することと、
少なくとも第2エレベータかごを前記第1位置に発送することと、
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記過負荷モードを示す警告を前記エレベータかごに送信することをさらに含む、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記エレベータかごの前記負荷が前記第1閾値を超過するとともに前記第2閾値を超過しない場合に、前記エレベータかごの操作がバイパスモードを含む、
請求項6に記載の方法。
【請求項13】
前記第1位置から前記複数の位置のうちの第2位置に前記エレベータかごを発送することと、
前記エレベータかごが追加の負荷を受容しないように、前記エレベータかごに対する呼び出し要求を前記エレベータかごが無視することと、
少なくとも1つの第2エレベータかごを前記第1位置に発送することと、
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記エレベータかごが前記第2位置にあると判断することと、
前記第2位置における前記エレベータかごの前記位置カウントを判断することと、
前記第2位置における前記エレベータかごの前記負荷を判断することと、
前記第2位置における前記エレベータかごの前記負荷に基づいて、前記エレベータかごの前記操作を再評価することと、
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
エレベータかごの発送システムであって、
複数のエレベータかごに動作可能に接続された少なくとも1つの位置装置であって、前記複数のエレベータかごのそれぞれの位置カウントを複数の位置のうちの1つに位置するときに判断するように構成されて
おり、前記位置カウントが前記複数の位置のうちの1つに位置するときの前記複数のエレベータかごのそれぞれの高さ位置を規定する、位置装置と、
前記複数の位置のそれぞれに対応する規定位置カウントで予めプログラムされた少なくとも1つの発送コントローラであって、前記規定位置カウントのそれぞれが前記複数の位置の高さ位置を規定する、少なくとも1つの発送コントローラと、
を備え、
前記少なくとも1つの発送コントローラは、前記複数のエレベータかごの少なくとも1つの前記位置装置に動作可能に接続され
ており、
前記少なくとも1つの発送コントローラは、
前記複数のエレベータかごのうちの第1エレベータかごが前記複数の位置のうちの第1位置に位置するときの前記第1エレベータかごの前記位置カウント
と前記第1位置に対応する前記規定位置カウントとの差に基づいて、前記第1エレベータかごの負荷を判断するように構成され
、前記差が、前記第1位置の前記高さ位置と前記第1エレベータかごの前記高さ位置との間のオフセット距離に対応し、
前記第1位置に位置するときの前記第1エレベータかごの前記負荷に基づいて、前記第1エレベータかごの操作を制御するように構成される、
システム。
【請求項16】
少なくとも1つの前記発送コントローラは、
前記第1位置における前記第1エレベータかごの前記負荷を、前記第1エレベータかごの許容容量を規定する閾値と比較するように構成されるとともに、
前記閾値に対する前記負荷の比較に基づいて、前記第1エレベータかごの前記操作を判断するように構成される、
請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
少なくとも1つの前記発送コントローラは、
前記第1エレベータかごの前記負荷が前記閾値未満の場合に、前記第1エレベータかごの前記操作が発送モードを含むと判断するように構成されるとともに、
前記第1位置から前記複数の位置のうちの第2位置に前記第1エレベータかごを発送することにより、前記発送モードに基づいて前記第1エレベータかごを制御するように構成される、
請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
少なくとも1つの前記発送コントローラは、
前記第1エレベータかごの前記負荷が前記閾値より大きい場合に、前記第1エレベータかごの前記操作が過負荷モードを含むと判断するように構成されるとともに、
前記第1位置からの前記第1エレベータかごの発送を禁止することにより、前記過負荷モードに基づいて前記第1エレベータかごを制御するように構成される、
請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
少なくとも1つの前記発送コントローラは、
前記第1エレベータかごの前記負荷が規定差違だけ前記閾値以下である場合に、前記第1エレベータかごの前記操作がバイパスモードを含むと判断するように構成され、かつ、
前記第1エレベータかごを前記第1位置から前記複数の位置のうちの第2位置に発送することにより、前記バイパスモードに基づいて前記第1エレベータかごを制御するように構成され、かつ、
前記第1エレベータかごが前記複数の位置から追加の呼び出し要求を受信できないようにするように構成される、
請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
複数のエレベータかごの発送システムであって、
プロセッサと、
前記プロセッサによって実行された場合に、前記プロセッサに複数の操作を実行させる命令を格納するメモリと、
を備え、
前記複数の操作は、
前記複数のエレベータかごのうちの第1エレベータかごが複数の位置のうちの第1位置に位置すると判断することであって、前記複数の位置のそれぞれが対応する規定位置カウントを含
み、前記規定位置カウントが前記複数の位置のそれぞれの高さ位置を規定する、ことと、
前記第1位置における前記第1エレベータかごの位置カウントを判断すること
であって、前記位置カウントが前記第1位置における前記エレベータかごの第1高さ位置を規定する、ことと、
前記位置カウントと前記第1位置に対応する前記規定位置カウントとの差に基づいて、前記第1エレベータかごの負荷を判断すること
であって、前記差が、前記第1位置の前記高さ位置と前記エレベータかごの前記第1高さ位置との間のオフセット距離に対応する、ことと、
前記第1位置における前記第1エレベータかごの前記負荷に基づいて、前記第1エレベータかごを操作することと、
を含む、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の態様は、概して、エレベータの交通量を制御するためのシステム及び方法に関し、特に、エレベータかごのグループに対する移動所要時間に基づいてエレベータかごを発送するエレベータ制御システムの例に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータシステムは、一般に、エレベータかごの負荷に基づく発送方法を採用することができる。このようなシステムでは、各エレベータかごの推定負荷は、エレベータかごの昇降路(すなわちエレベータシャフト)内に取り付けられた1以上の装置を用いて判断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第5631452号明細書
【文献】米国特許出願公開第2015/0274485号明細書
【文献】米国特許第5889239号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記1以上の装置は、エレベータかごの重量を検出するセンサ又はエンコーダを含むことができる。場合によっては、エレベータかごの昇降路に取り付けられた装置は、コストがかかったり、精度を維持するために修理又は繰り返しの手動較正を必要としたり、一般的にアクセスが困難であったりする。さらに、このような負荷計量装置は、エレベータかごの重量を判断することが必須となる特定の条件下、例えば、緊急事態(例えば火災)において、誤動作する可能性がある。各エレベータかごの昇降路内に取り付けられた負荷計量装置の設置を必要とすることなく、エレベータかごの占有重量を判断することができるシステムを提供することは、エレベータかごの占有重量に基づいてエレベータかごを乗車希望者に向けて発送し、それによって交通量を増加させ、乗車希望者の待ち時間を減少させることを含む、多数の利点を提供することができる。
【0005】
本開示に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、様々な例示的な実施形態を示し、明細書とともに、本開示の原理を説明するのに有用である。
本開示の態様は、添付の図面に示されている実施形態に関連して実施されてもよい。これらの図面は、本開示の異なる態様を示し、適切な場合、異なる図の同様の構造、構成要素、材料、及び/又は要素を示す参照符号には、同様の番号が付されている。具体的に示されているもの以外の構造、構成要素、及び/又は要素の様々な組み合わせが企図され、本開示の範囲内にあることが理解される。本明細書に記載される多くの態様及び実施形態が存在する。当業者は、特定の態様又は実施形態の特徴が、本開示に記載されている他の態様又は実施形態のいずれか又はすべての特徴と併せて使用されてもよいことを容易に認識するであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一例によれば、エレベータかごの発送方法は、前記エレベータかごが複数の位置のうちの第1位置に位置すると判断することであって、規定位置カウントが前記複数の位置のそれぞれに対応する、ことと、前記第1位置における前記エレベータかごの位置カウントを判断することと、前記位置カウントと前記第1位置に対応する前記規定位置カウントとの差に基づいて、前記第1位置における前記エレベータかごの負荷を判断することと、前記第1位置における前記エレベータかごの前記負荷に基づいて前記エレベータかごの操作を制御することと、を含む。
【0007】
別の例によれば、エレベータかごの発送システムは、複数のエレベータかごに動作可能に接続された少なくとも1つの位置装置であって、前記複数のエレベータかごのそれぞれの位置カウントを複数の位置のうちの1つに位置するときに判断するように構成されている、位置装置と、前記複数のエレベータかごの少なくとも1つの前記位置装置に動作可能に接続された少なくとも1つの発送コントローラと、を備え、少なくとも1つの前記発送コントローラは、前記複数のエレベータかごのうちの第1エレベータかごが前記複数の位置のうちの第1位置に位置するときの前記第1エレベータかごの前記位置カウントに基づいて、前記第1エレベータかごの負荷を判断するように構成されるとともに、前記第1位置に位置するときの前記第1エレベータかごの前記負荷に基づいて、前記第1エレベータかごの操作を制御するように構成される。
【0008】
さらに別の例によれば、複数のエレベータかごの発送システムは、プロセッサと、前記プロセッサによって実行された場合に、前記プロセッサに複数の操作を実行させる命令を格納するメモリと、を備え、前記複数の操作は、前記複数のエレベータかごのうちの第1エレベータかごが複数の位置のうちの第1位置に位置すると判断することであって、前記複数の位置のそれぞれが対応する規定位置カウントを含む、ことと、前記第1位置における前記第1エレベータかごの位置カウントを判断することと、前記位置カウントと前記第1位置に対応する前記規定位置カウントとの差に基づいて、前記第1エレベータかごの負荷を判断することと、前記第1位置における前記第1エレベータかごの前記負荷に基づいて、前記第1エレベータかごを操作することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】ネットワークを介して通信する1以上の装置を含む発送システムを示す図。
【
図2】
図1に示す発送システムと相互作用する、異なる位置にある複数のエレベータかごを含む作業環境の概略図。
【
図3】
図2に示す作業環境から見たエレベータかご内部の概略図であり、エレベータかごは、増加する占有重量に応じて移動する。
【
図4】
図1に示す発送システムからのコンピュータ装置のハードウェア構成要素の概略図。
【
図5】
図1に示す発送システムを備えたエレベータかごを発送する例示的な方法のフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の発送システムは、様々な実施形態の形態であってもよく、そのいくつかは、図によって示され、以下でさらに説明される。
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明はともに、例示的かつ説明的なものであり、特許請求するものとして特徴を制限するものではない。本明細書で使用される場合、「備える」、「含む」、又はそれらの他の変形は、要素のリストを含む処理、方法、物品、又は装置がそれらのみを含むというような排他的なものではなく、そのような処理、方法、物品、又は装置に明示的に記載されていない、又は固有ではない他の要素を含む場合があることを意図する。加えて、「例示的」という用語は、本明細書では、「理想的」ではなく「例」の意味で使用される。本明細書で開示又は請求されるすべての数値(すべての開示された値、限定、及び範囲を含む)は、開示された数値から(異なる変動が指定されない限り)+/-10%の変動を有する可能性があることに留意されたい。さらに、特許請求の範囲において、値、限定、及び/又は範囲は、値、限定、及び/又は範囲の+/-10%を意味する。
【0011】
図1は例示的な発送システム100を示し、発送システム100は、運行コントローラ105、呼び出し装置110、位置装置120、及び発送コントローラ125を備えてもよい。発送システム100の1以上の装置は、ネットワーク115を介して、任意の構成で、互いに通信されてもよい。例えば、発送システム100の装置は、有線接続又は無線接続などを介して互いに通信可能に接続されてもよい。いくつかの実施形態では、ネットワーク115は、ワイドエリアネットワーク(「WAN」)、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)、パーソナルエリアネットワーク(「PAN」)などであってもよい。ネットワーク115はさらにインターネットを含んでもよく、発送システム100の装置間で提供される情報及び/又はデータは、オンラインで(例えば、他の装置又はインターネットに接続されたネットワークから離れた位置から)発生してもよい。他の実施形態では、ネットワーク115はブルートゥース(登録商標)の技術及び/又は電波周波数を利用してもよい。
【0012】
運行コントローラ105は、輸送ユニットに動作可能に接続されてもよく、また、輸送ユニットの運行データを検出して、例えば発送コントローラ125などの発送システム100の1以上の装置に送信するように構成されてもよい。例えば、運行コントローラ105は、輸送ユニットの1以上のパラメータ(例えば、運行データ)を測定及び記録してもよく、パラメータには、現在位置、移動方向、移動速度、ドアの位置、状況などが含まれるが、これらに限定されない。運行コントローラ105は、コンピュータ装置を含んでもよく、コンピュータ装置は、運行データを生成、格納、及び送信するための1以上のハードウェア構成要素(例えば、プロセッサ、メモリ、センサ、通信モジュールなど)を有する。本明細書でさらに詳細に説明するように、運行コントローラ105は建物内に配置されるエレベータかごに動作可能に接続されていてもよく、発送システム100は各エレベータかごに対して少なくとも1つの運行コントローラ105を含んでもよい。
【0013】
引き続き
図1を参照すると、呼び出し装置110は、輸送ユニットの外側に配置されてもよく、また、輸送ユニットにアクセスするための1以上の乗車希望者からのユーザ入力を受信するように構成されてもよい。例えば、ユーザ入力は、輸送ユニットからの輸送を要求する呼び出しを示してもよい。呼び出し装置110は、例えば、発送コントローラ125などの発送システム100の1以上の装置に呼び出し要求を送信するように構成されてもよい。呼び出し装置110は、キーパッド、タッチスクリーンディスプレイ、マイク、ボタン、スイッチなどを含んでもよい。呼び出し装置110は、さらに、呼び出し要求の現在位置(例えば、第1位置)及び/又は行き先位置を示す複数位置からのユーザ入力を受信するように構成されてもよい。
【0014】
本明細書でさらに詳細に説明するように、呼び出し装置110は建物内に配置してもよく、発送システム100は建物の各フロアに対して少なくとも1つの呼び出し装置110を有してもよい。呼び出し装置110は、呼び出し要求に応答するために建物のフロアに到着するように割り当てられたエレベータかごを識別するメッセージを発送システム100の1以上の装置(例えば、発送コントローラ125)から送信するように構成されてもよい。メッセージは、例えば、文字、音声、図形などを含む、様々な適切な態様を介して、呼び出し装置110によって通信されてもよい。
【0015】
入力装置112は、輸送ユニットの内部に配置されてもよく、また、輸送ユニットの1以上の乗員からのユーザ入力を受け取るように構成されてもよい。例えば、ユーザ入力は、輸送ユニットのリダイレクトを要求するコマンドを示してもよい。入力装置112は、例えば、発送コントローラ125などの発送システム100の1以上の装置にコマンドを送信するように構成されてもよい。入力装置112は、キーパッド、タッチスクリーンディスプレイ、マイク、ボタン、スイッチなどを含んでもよい。本明細書で詳細に説明するように、入力装置112はエレベータかご内に配置されてもよく、発送システム100は建物内のエレベータかご毎に少なくとも1つの入力装置112を含んでもよい。他の実施形態では、入力装置112は、発送システム100から完全に省略されてもよい。
【0016】
さらに
図1を参照すると、位置装置120は搬送ユニットの外側に配置されてもよく、搬送ユニットのデータ(例えば、位置カウント等)を検出し、例えば、発送コントローラ125などの発送システム100の1以上の装置に送信するように構成されてもよい。例えば、位置装置120は、複数の位置のうち少なくとも1つに到着する輸送ユニットに応答して位置カウントを測定及び記録してもよい。位置装置120は、位置カウントデータを生成、格納、及び送信するための1以上のハードウェア構成要素(例えば、プロセッサ、メモリ、センサ、通信モジュール等)を有するコンピュータ装置を含んでもよい。
【0017】
本明細書でさらに詳細に説明するように、位置装置120は、建物内に配置されたエレベータかごの1以上の運行コントローラ105に動作可能に接続されてもよく、発送システム100は、各エレベータかごに対して少なくとも1つの位置装置120を含んでもよい。他の例では、1つの位置装置120は、建物内に配置された複数のエレベータかごに動作可能に接続されてもよく、発送システム100は、各建物に対して少なくとも1つの位置装置120を含んでもよい。位置装置120は、エレベータかごが位置する建物内の位置(フロア)からのエレベータかごのオフセットを検出及び/又は測定するように構成されてもよい。エレベータかごのオフセットは、エレベータかごの占有重量を示してもよく、これは、1以上の乗員、各人の所持物、手荷物、かばんなどに起因するキャビン内の現在の負荷を含んでもよい。
【0018】
発送コントローラ125は、輸送ユニットの外側に配置されてもよく、また、発送システム100の1以上の装置からデータ(例えば、運行データ、呼び出し要求、リダイレクトコマンド、位置カウントデータなど)を受信するように構成されてもよい。発送コントローラ125は、さらに、乗車を希望している乗車希望者から受信する呼び出し要求に応答して、複数の輸送ユニットのうちの少なくとも1つの輸送ユニットを発送することを判断するように構成してもよい。発送コントローラ125は、少なくとも1つの位置カウントデータに基づいて、乗車希望者を乗せるために少なくとも1つの輸送ユニットを発送するための1以上の処理(
図5参照)を実行するように動作可能なコンピュータ装置(
図4参照)を含んでもよい。本明細書でさらに詳細に説明するように、発送コントローラ125は建物内に配置される複数のエレベータかごに動作可能に接続されてもよく、発送システム100は各建物に対して少なくとも1つの発送コントローラ125を含んでもよい。
【0019】
ここで
図2を参照すると、発送システム100は、建物(例えば、施設、工場、店舗、学校、家、オフィス、及び他の様々な構造物)などの作業環境200で利用されてもよい。この例では、輸送ユニットは、建物内に1以上のエレベータかごを含んでもよい。作業環境200は単なる例示であり、発送システム100は、本開示の範囲から逸脱しない限り、本明細書に示され、説明される環境以外の様々な他の適切な環境で利用されてもよいことを理解されたい。本例では、作業環境200は、建物内の複数位置を規定する複数のフロア、例えば、第1フロア204A、第2フロア204B、第3フロア204C、及び第4フロア204Dを含んでもよい。他の実施形態では、作業環境200の構築は、追加の及び/又はより少ないフロアを含んでもよいことを理解されたい。
【0020】
作業環境200は、さらに、各エレベータシャフト内に配置される少なくとも1つのエレベータかごを有する1以上のエレベータシャフト(例えば、昇降路)を含んでもよい。この例では、作業環境200は、少なくとも1つの第1エレベータかご210を有する第1エレベータシャフト202と、少なくとも1つの第2エレベータかご220を有する第2エレベータシャフト212と、を含んでもよい。各エレベータシャフト202,212は、それぞれ複数のフロア204A~204Dの異なる位置に配置されてもよい。言い換えると、複数のフロア204A~204Dのそれぞれにおいて、第1エレベータシャフト202は、第1位置「A」に配置されてもよく、第2エレベータシャフト212は、第1位置「A」とは異なる第2位置「B」に配置されてもよい。図示は省略するが、作業環境200は、追加の(例えば複数の)エレベータシャフト、エレベータかご、エレベータシャフト及びエレベータかごが配置される位置を含んでもよい。したがって、作業環境200は、複数の第1エレベータかご210を含む複数の第1エレベータシャフト202、複数の第2エレベータかご220を含む複数の第2エレベータシャフト212などを含み得ることを理解されたい。
【0021】
各エレベータかご210,220は、エレベータかご210,220をエレベータシャフト202,212内でフロア204A~204Dに対して移動させるように構成された昇降機構に接続されてもよい。この例では、作業環境200の昇降機構は、各エレベータシャフト202,212内に配置され、その中に配置された各エレベータかご210,220に固定された少なくとも1つの滑車システム208を含んでもよい。滑車システム208は、エレベータシャフト202,212内でエレベータかご210,220を移動させるための様々な機械的及び/又は電気的機構を含んでもよく、こうした機構には、例えばモータ、ケーブル、釣り合いおもり、滑車などが含まれるが、これらには限られないことを理解されたい。
【0022】
この例では、各滑車システム208は、各エレベータかご210,220に接続されたケーブルアセンブリ205を含んでもよい。ケーブルアセンブリ205は、エレベータかご210,220をそれぞれエレベータシャフト202,212に対して昇降させるように構成してもよい。ケーブルアセンブリ205は、シールされたストランド、複数のワイヤ、複数のロープなどを含む種々の適切な装置を含んでもよいが、これらに限定されるものではない。さらに、ケーブルアセンブリ205は、金属(鋼)及び/又は他の複合材料などの様々な材料で形成されてもよい。いくつかの実施形態では、ケーブルアセンブリ205は、少なくとも部分的に可撓性を有してもよく、その結果、ケーブルアセンブリ205は、エレベータかご210,220の負荷などによるケーブルアセンブリ205への力の付与に応じて、長手方向に伸長及び/又は延長し得る。
【0023】
さらに
図2を参照すると、各エレベータかご210,220は、例えば、無線接続及び/又は有線接続209を介して、滑車システム208に動作可能に接続された少なくとも1つの運行コントローラ105を含んでもよい。運行コントローラ105は、滑車システム208の相対運動を検出することによって、エレベータかご210,220からの運行データを測定するように構成されてもよい。本実施形態では、運行コントローラ105は、エレベータかご210、22の使用中にケーブルアセンブリ205の延長及び/又は伸長の程度を示す運行データを測定することができる。各エレベータかご210,220は、さらに、キャビン内に位置する1以上の乗員10からのユーザ入力を受信するために、エレベータかご210,220のキャビン内に配置される少なくとも1つの入力装置112を含んでもよい。
【0024】
各フロア204A~204Dは、同フロア204A~204Dにおける各エレベータシャフト202,212の位置に、各エレベータかご210,220のエレベータドア207がそれぞれのフロア204A~204Dの位置にあるときに、エレベータかご210,220へのアクセスを提供する1以上の呼び出し装置110及びアクセスドア206を含んでもよい。呼び出し装置110は、フロア204A~204Dのうちの1つにおける、複数の位置のうちの1つの位置にいる、1以上の乗車希望者20からのユーザ入力を受信するように構成されてもよい。例えば、呼び出し装置110は、エレベータかご210,220のうちの少なくとも1つを介する輸送を要求する呼び出しを示すユーザ入力を受信するように構成されてもよい。呼び出し装置110は、呼び出し要求を発送コントローラ125に送信するように構成されてもよく、その呼び出し要求は、呼び出し要求が発信される作業環境200内の現在位置(例えば、第1フロア204Aの第1位置「A」)を示すデータを含んでもよい。呼び出し要求は、さらに、乗車希望者が輸送を求めている作業環境200内の行き先位置(例えば、第4フロア204D)を示すデータを含んでもよい。
【0025】
さらに
図2を参照すると、各エレベータシャフト202,212は、対応する運行コントローラ105と通信する少なくとも1つの位置装置120を含んでもよい。例えば、位置装置120は、運行コントローラ105とは別の位置及び/又は建物のフロアに配置してもよい。いくつかの実施形態では、位置装置120は、建物内の部屋(例えば、モータールーム)に配置されてもよいし、建物のまったく外側に配置されてもよい。他の実施形態では、位置装置120をエレベータシャフト202,212内に配置してもよい。位置装置120は、それぞれのエレベータシャフト202,212内の1以上のエレベータかごの位置カウントを検出するように構成してもよい。いくつかの実施形態では、位置装置120は、各エレベータシャフト202,212内に物理的に配置されたエレベータエンコーダを含んでもよい。各位置装置
120は、それぞれのエレベータシャフト202,212の対応する運行コントローラ
105及び/又は滑車システム208と通信してもよい。この例では、位置装置120は、エレベータシャフト202,212内の位置装置120の近接位置にある運行コントローラ
105及び/又は滑車システム208との有線接続を含んでもよい。
【0026】
エレベータかごの位置カウントは、エレベータシャフトに対するエレベータかごの現在の位置、特に、エレベータシャフトの底面によって規定される固定基準点から上方への高さの数値表現を含んでもよい。エレベータシャフトの底面は、第1フロア204A、又は第1フロア204Aの下方に位置する面を含んでもよい。エレベータかごの位置カウントは、エレベータシャフト内のエレベータかごの現在位置のリアルタイム表示を維持するために、発送コントローラ125によって参照されてもよい。以下に説明するように、発送コントローラ125は、各エレベータかご210,220の現在の負荷を判断するために、エレベータかご210,220の位置カウントを、予めプログラムされたフロア204A~204Dの位置カウント(例えば、規定位置カウントデータ144)と参照及び比較するように構成されてもよい。
【0027】
例えば、
図3に示すように、エレベータかご220のキャビンが乗員20及び/又は物22を含まない場合、エレベータかご220は、第1位置(例えば、フロア204)の高さと一致する第1高さE1に配置されてもよい。この場合、ケーブルアセンブリ205は、滑車システム208とエレベータかご220との取り付けインターフェースとの間に(例えば、キャビンを画定する上壁に沿って)規定された第1長さL1を有してもよい。キャビン内に1以上の乗員20及び/又は物22を受容することに応答して、エレベータかご220は、オフセット距離D1だけ第1高さE1(すなわち、第1位置の高さ)とは異なる第2高さE2に移動してもよい。別の言い方をすれば、エレベータかご220のキャビン内に1以上の乗員20及び/又は物22が存在するなどして、エレベータかご220の負荷が増加することに起因して、エレベータかご220は、複数のフロア204のうちの1つに停止している間に、少なくとも部分的に(例えば、重力方向に沿って垂直下方に)移動してもよい。
【0028】
ケーブルアセンブリ205は、エレベータかご220の増加した負荷によって付与された力を受け、それにより、ケーブルアセンブリ205が少なくとも部分的に伸長してもよい。ケーブルアセンブリ205に生じる延長の程度は、エレベータかご220によってケーブルアセンブリ205に付与される力に対応してもよい。さらに、エレベータかご220によって付与される力の量は、エレベータかご220の占有重量に少なくとも部分的に基づくなど、エレベータかご220の現在の負荷に対応してもよい。ケーブルアセンブリ205は、エレベータかご220がキャビン内に乗員20及び/又は物22を受容するときに、第1長さL1よりも大きい第2長さL2まで延長してもよい。この場合、ケーブルアセンブリ205は、第1長さL1と第2長さL2との差を規定する延長距離D2だけ伸長されてもよい。
【0029】
上述したように、位置装置120は、ネットワーク115を介して運行コントローラ105と通信してもよく、運行コントローラ105からエレベータかご220に対応する運行データを受信してもよい。位置装置120は、エレベータかご220の運行データに基づいて、エレベータかご220の位置カウントを判断するように構成されてもよく、運行データは、ケーブルアセンブリ205の延長距離D2及びオフセット距離D1(すなわち、エレベータかご220が位置するフロア204の高さからエレベータかご220までの直線距離)を示してもよい。例えば、運行コントローラ105は、滑車システム208を作動させてエレベータかご220を第1高さE1に再調整させることにより、キャビン内に受容した増加した負荷に基づくエレベータかご220の移動を許容するように構成されてもよい。運行コントローラ105によって測定され送信される運行データは、エレベータかご220が移動してエレベータかご220を第1高さE1に再配置するための直線距離に対応してもよい。位置装置120は、位置カウントデータなどの測定値を記録し、当該データ(例えば、位置カウントデータ142)を、ネットワーク115を介して各エレベータかご210,220のために発送コントローラ125に送信してもよい。
【0030】
ここで
図4を参照すると、発送コントローラ125は、発送コントローラ125がデータ(例えば、運行データ、呼び出し要求、コマンド、占有データなど)の受信、情報(例えば、乗車容量)の処理、及び/又は、1以上の処理の実行(
図5参照)を可能にする複数のハードウェア構成を組み込んだコンピュータ装置を含んでもよい。発送コントローラ125の例示的なハードウェア構成は、少なくとも1つのプロセッサ132、少なくとも1つの通信モジュール134、ユーザインターフェース136、及び少なくとも1つのメモリ138を含んでもよい。いくつかの実施形態では、発送コントローラ125は、コンピュータ、モバイルユーザ装置、リモートステーション、サーバ、クラウドストレージなどを含んでもよい。図示の実施形態では、発送コントローラ125は、発送システム100の他の装置とは別の装置として本明細書に示されて記載されているが、他の実施形態では、発送コントローラ125の1以上の態様は、発送システム100の1以上の他の装置と統合されていてもよい。別の言い方をすれば、本明細書に示されて記載されている発送コントローラ125の例示的なハードウェア構成は、運行コントローラ105、呼び出し装置110、入力装置112、及び/又は位置装置120のうちの1つ又は複数と一体化されていてもよい。
【0031】
プロセッサ132は、機械で読み取り可能な命令を実行可能な任意のコンピュータ装置を含んでもよく、その命令は、例えばメモリ138などの非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体に格納されていてもよい。一例として、プロセッサ132は、コントローラ、集積回路、マイクロチップ、コンピュータ、及び/又はプログラムを実行するために必要な計算及び論理演算を実行するように動作可能な他の任意のコンピュータ処理ユニットを含んでもよい。本明細書で詳細に説明するように、プロセッサ132は、例えば、操作ロジック140などの、メモリ138に格納された命令に従って1以上の操作を実行するように構成されてもよい。通信モジュール134は、例えばネットワーク115を介するなど、発送コントローラ125と発送システム100の他の1以上の装置との通信を容易にしてもよい。ユーザインターフェース136は、1以上の入力ポート及び1以上の出力ポートを含む1以上の入力装置及び出力装置を含んでもよい。ユーザインターフェース136は、例えば、入力ポートとして、キーボード、マウス、タッチスクリーンなどを含んでもよい。ユーザインターフェース136は、さらに、出力ポートとして、例えば、モニタ、ディスプレイ、プリンタなどを含んでもよい。ユーザインターフェース136は、様々なコマンドを示すユーザ入力を受信するように構成されてもよく、こうしたコマンドには、メモリ138に格納された規定位置カウントデータ144及び/又は閾値データ146を規定及び/又は調整するコマンドなどを含むが、これらに限定されない。
【0032】
引き続き
図4を参照すると、メモリ138は、発送システム100の動作をサポートする様々なプログラムされたアルゴリズム及びデータを含んでもよい。メモリ138は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、ハードドライブ、及び/又は機械で読み取り可能な命令を格納可能な任意の装置など、データ及びアルゴリズムを格納するのに適した任意のタイプのコンピュータ読み取り可能な媒体を含んでもよい。メモリ138は1又は複数のデータセットを含んでもよく、このデータセットは、例えば運行コントローラ105から受信された運行データ、位置装置120から受信された位置カウントデータ142、複数のフロア204A~204Dのそれぞれについての規定位置カウントデータ144、及び複数のエレベータかご210,220のそれぞれについて判断された負荷データ148などを含むが、これらに限定されない。
【0033】
発送コントローラ125は、位置カウントデータ142をメモリ138に格納し、エレベータかご210,220が位置する場所についての対応する規定位置カウントデータ144と関連付けて、エレベータかご210,220の負荷(すなわち、負荷データ148)を判断するように構成されてもよい。負荷データ148は、各エレベータかご210,220のリアルタイムの占有重量測定値を含んでもよい。メモリ138は、例えばユーザインターフェース136を介して、発送システム100のユーザによって事前にプログラムされかつ/又は調整可能な閾値データ146をさらに含んでもよい。閾値データ146は、操作ロジック140に従って複数のエレベータかご210,220の制御を開始するための1以上の許容レベルを規定してもよい。本明細書に記載されるように、発送コントローラ125は、位置カウントデータ142、規定位置カウントデータ144、閾値データ146、及び/又は負荷データ148のうちの1以上に基づいて、複数のモード(例えば、発送モード、バイパスモード、過負荷モード等である。)の少なくとも1つにおいて、複数のエレベータかご210,220の操作を制御するように構成されてもよい。
【0034】
一例では、操作ロジック140は、第1位置「A」から乗員を受容すると、発送システム100が各エレベータかご210,220の発送操作を判断することを可能にする実行可能命令を含んでもよい。さらに、操作ロジック140は、行先位置への輸送のための第1位置「A」での呼び出し要求の受信に応答して、複数のエレベータかご210,220のうちのどれを発送するかを判断してもよい。操作ロジック140は、各エレベータかご210,220の負荷に基づいて各エレベータかご210,220の操作モードを判断するのを容易にしてもよい。
【0035】
次に
図5を参照すると、発送システム100を使用して、エレベータかごの現在の負荷に基づいて複数のエレベータかごの操作を制御する方法300の一例が示されている。本明細書に示されて説明されている工程、およびそれらが提示される順序は単に例示的なものであり、本開示の範囲から逸脱することなく、さらなる工程が追加されたり、および/または、より少ない工程とされたりする、様々な構成が含まれてもよいことを理解されたい。
【0036】
まず、発送システム100は、作業環境200内の複数の位置のうちの第1位置「A」で呼び出し要求を受信してもよい。呼び出し要求は、例えば、第4フロア204Dの第2エレベータシャフト212に隣接する第1位置「A」で乗車希望者20が呼び出し装置110を作動させることに応答して発せられてもよい。呼び出し装置110は、ネットワーク115を介して発送コントローラ125に呼び出し要求を送信してもよく、呼び出し要求は、呼び出し要求が発信された第1位置「A」を示すデータを含んでもよい。呼び出し要求は、さらに、乗車希望者20が移動しようとする作業環境200内の行先位置(例えば、第1フロア204A)を示すデータを含んでもよい。複数のエレベータかご210,220のうちの少なくとも1つ、例えば第2エレベータかご220は、呼び出し要求に応答して第4フロア204Dに発送されてもよい。
【0037】
ステップ302において、再び
図2を参照すると、発送コントローラ125は、第2エレベータかご220が第4フロア204Dの位置に到着したと判断するように構成されてもよい。ステップ304において、発送コントローラ125は、位置装置120がエレベータかご220の位置カウントを判断する(ステップ306)のに先だって、規定継続時間が経過するのを許容してもよい。発送コントローラ125は、例えばエレベータかご220が第4フロア204Dに到着したときや、1以上のドア206,207が開いたときなどの、1以上の時点に応答して、規定継続時間を起算してもよい。
【0038】
図3を再び参照すると、乗車希望者20がエレベータかご220のキャビンに入るのに先立って、エレベータかご220は、第4フロア204Dの第1高さE1に配置されてもよい。言い換えると、エレベータシャフト212に対するエレベータかご220の高さは、第1位置(例えば、第4フロア204D)の第1高さE1と一致していてもよい。この場合、運行コントローラ105によって記録された運行データは、エレベータかご220の相対占有重量に伴って第1長さL1を有するケーブルアセンブリ205を示すことができる。1以上の乗車希望者20及び/又は物22が規定継続時間中にエレベータかご220に入ると、キャビン内の占有重量が増加することに伴って、エレベータかご220がエレベータシャフト212に対して少なくとも部分的に移動することがある。
【0039】
ステップ304で規定継続時間が完了すると、位置装置120は、エレベータかご220の位置カウントを判断し、位置カウントデータ142の形式で発送コントローラ125に送信してもよい。例えば、位置装置120は、エレベータかご220に接続された対応する運行コントローラ105で生成された運行データを受信し、(エレベータかご220の第2高さE2と第4フロア204Dの第1高さD1との間で規定される)オフセット距離D1及び/又は(ケーブルアセンブリ205の第2長さL2と第1長さL1との差によって規定される)延長距離D2に基づいて位置カウントを判断してもよい。
【0040】
ステップ308において、発送コントローラ125は、位置装置120からの位置カウントデータ142に基づいてエレベータかご220の現在の負荷を判断するように構成されてもよい。例えば、発送コントローラ125は、第1位置(例えば第4フロア204D)におけるエレベータかご220の位置カウントを、規定位置カウントデータ144の形式でメモリ138に格納された第1位置の規定位置カウントと比較してもよい。この例では、発送コントローラ125は、第4フロア204Dの規定位置カウントと第4フロア204Dのエレベータかご220の位置カウントとの差に基づいて、エレベータかご220の負荷を計算してもよい。複数のフロア204A~204Dの各々は、対応する規定位置カウントを含み得ることを理解されたい。
【0041】
例として、第4フロア204Dの規定位置カウントは、約2000カウントであってもよい。エレベータかご220内に乗員20及び/又は物22を受容することに先立って、位置装置120は、エレベータかご220の位置カウントが約2000カウントであると判断してもよい。したがって、発送コントローラ125は、位置カウントデータ142を第4フロア204Dでの規定位置カウントデータ144と比較し、エレベータかご220が0%の負荷を有すると判定してもよい。これに対して、キャビン内に乗員20及び/又は物22を受容すると、位置装置120は、エレベータかご220の位置カウントが約1995カウントであると判断してもよい。この場合、発送コントローラ125は、エレベータかご220が50%の負荷を有すると判断してもよい。さらに別の例では、位置装置120がエレベータかご220の第4フロア204Dにおける位置カウントが1990カウントであると判断した場合、発送コントローラ125はエレベータかご220が90%の負荷を有すると判断してもよい。
【0042】
さらに
図5を参照すると、ステップ310において、発送コントローラ125は、エレベータかご220の現在の負荷を閾値データ146、特に第1位置(例えば第4フロア204D)の少なくとも位置占有閾値と比較するように構成されてもよい。位置占有閾値は、フロアに位置する乗車希望者20を受容するために、第1位置に追加のエレベータかごを停車させる必要性を示す負荷測定値を規定してもよい。言い換えると、発送コントローラ125は、エレベータかご220内の現在の負荷が、追加の乗員20が第1位置に位置する可能性があることを示すとともに、その乗員20が1以上の追加のエレベータかごを使用した輸送を必要とする可能性があることを示すと判断してもよい。
【0043】
ステップ312において、発送コントローラ125は、さらに、エレベータかご220の現在の負荷をエレベータかご220のキャビン容量閾値と比較してもよい。キャビン容量閾値は、エレベータかご220のキャビン内に現在位置する乗車希望者20を受容するために、追加のエレベータかごを第1位置に移動させる必要性を示す負荷測定値を規定してもよい。言い換えると、キャビン容量閾値は、エレベータかご220内に受容された過剰な乗員20を輸送するために追加のエレベータかごが必要となる、エレベータかご220の最大許容負荷を規定する。発送コントローラ125は、建物内の複数のエレベータかごのそれぞれについて複数の閾値(閾値データ146)をメモリ138に格納することができ、複数のエレベータかごは、少なくともエレベータかごのサイズに基づいて、互いに類似した及び/又は異なる容量を有してもよいことを理解されたい。
【0044】
ステップ314において、発送コントローラ125は、エレベータかご220の現在の負荷が第4フロア204Dの位置占有閾値を超過するかどうかを判断するように構成されてもよい。エレベータかご220の現在の負荷が第4フロア204Dの位置占有閾値を超過すると判断することに応答して、発送コントローラ125は、少なくとも第2エレベータかご(例えば、エレベータかご210)を第1位置に発送するように構成されてもよい。この場合、発送コントローラ125は、追加の乗車希望者20が第4フロア204Dに位置する可能性があり、発送システム100への追加の呼び出し要求が第4フロア204Dから受信される可能性があると判断してもよい。
【0045】
したがって、ステップ316において、発送コントローラ125は、エレベータかご210を第1位置に発送して停車することにより、そのフロアにいる乗車希望者20からの呼び出し要求を予期して、過負荷モード(操作ロジック140)に従って少なくとも1つのエレベータかご(例えば、エレベータかご210)の操作を制御してもよい。いくつかの実施形態では、ステップ314において、現在の負荷が位置占有閾値を超過すると判断される程度に基づいて、1以上(例えば、複数)のエレベータかごを第1位置に発送してもよい。
【0046】
ステップ318において、少なくとも第2エレベータかごの第1位置への発送(ステップ316)、及び/又は、エレベータかご220の負荷が位置占有閾値を超えないこと(ステップ314)に応答して、発送コントローラ125は、エレベータかご220の現在の負荷がエレベータかご220のキャビン容量閾値を超過するかどうかを判断するように構成されてもよい。現在の負荷がキャビン容量閾値を超過すると判断することに応答して、発送コントローラ125は、ステップ320において、エレベータかご220の第1位置からの発送を禁止するように構成されてもよい。この場合、発送コントローラ125は、エレベータかご220のキャビン内に存在する乗員20及び/又は物22の数が安全許容レベルを超えていると判断してもよい。発送コントローラ125は、エレベータかご220の更なる操作を規制することによって、過負荷モード(操作ロジック140)に従ってエレベータかご220の操作を制御してもよい。
【0047】
ステップ322において、発送コントローラ125は、エレベータかご220のキャビンにメッセージを(例えば、入力装置112を介して)送信して、乗員に過負荷状態を通知してもよい。さらに、メッセージは、エレベータかご220内の1以上の乗員20にキャビンを出るように指示してもよい。他の実施形態では、ステップ322は完全に省略してもよい。
【0048】
ステップ324において、発送コントローラ125は、少なくとも1つのエレベータかごを第1位置に発送して、エレベータかご220を出る乗員20を受容することができる。いくつかの実施形態では、ステップ318において、現在の負荷がキャビン容量閾値を超過すると判断される程度に基づいて、1以上(例えば、複数)のエレベータかごを第1位置に発送してもよい。一例として、キャビン容量閾値は、エレベータかご220の最大許容負荷の約80%から90%の範囲であってもよい。少なくとも第2エレベータかごを第1位置に発送すると(ステップ326)、発送コントローラ125は、ステップ306でエレベータかご220の位置カウントを再評価するのに先立って、ステップ304で規定継続時間が経過することを許容してもよい。
【0049】
ステップ326において、エレベータかご220の負荷がキャビン容量閾値を超えないことに応答して(ステップ318)、発送コントローラ125は、エレベータかご220の現在の負荷がキャビン容量閾値に対する規定差違(predefined variance)(閾値データ146)内にあるかどうかを判断するように構成されてもよい。負荷が閾値に対する規定差違内にあると判断することに応答して、発送コントローラ125は、エレベータかご220が他の位置(例えば、フロア204A~204C)にいる乗車希望者20からの呼び出し要求を受信できないようにすることによって、バイパスモード(操作ロジック140)に従ってエレベータかご220の操作を制御してもよい。発送コントローラ125は、現在の負荷がエレベータかご220の安全許容負荷を超えていないのでエレベータかごの運転を完全に停止する必要はない、と判断してもよいが、現在の負荷は、さらなる乗員20がエレベータかご220に入るのを抑制するのに十分な程には大きい。
【0050】
発送コントローラ125は、エレベータかご220がバイパスモードに従って操作することを可能にすることができ、このバイパスモードでは、キャビン内の負荷がキャビン容量閾値からの規定差違を下回るように減少するまで、他の位置からの呼び出し要求はエレベータかご220によって無視される。一例として、規定差違は、キャビン容量閾値の約1.0%~約10.0%の範囲であってもよい。あるいは、ステップ326において、負荷が閾値に対する規定差違内にないと判断することに応答して、発送コントローラ125は、操作ロジック140の発送モードに従ってエレベータかご220の操作を制御してもよい。この場合、発送コントローラ125は、キャビン内の乗車希望者20から受信した行先位置入力に基づいて、エレベータかご220を第1位置から第2位置に発送してもよい。
【0051】
本明細書で使用されるすべての技術的及び科学的な用語は、特に明記しない限り、本開示の分野に属する当業者に一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書において、単数形で記載した場合には、文脈が明らかに他のことを示していない限り、複数であることを含む。
【0052】
上記の説明は例示的なものであり、限定的な意図で記載されたものではない。当業者は、本開示の一般的な範囲から逸脱することなく、様々な修正及び/又は変更を行うことができる。例えば、すでに記載されているように、上記の実施形態(及び/又はその態様)は、互いに組み合わせて使用されてもよい。さらに、上記の実施形態の一部は、本開示の範囲から逸脱することなく省略されてもよい。さらに、特定の状況又は材料を、それらの範囲から逸脱することなく、様々な実施形態の教示に適合させるために修正してもよい。上記の説明を検討すれば、他の多くの実施形態も当業者には明らかであろう。