(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】コーヒーメーカー
(51)【国際特許分類】
A47J 31/06 20060101AFI20231017BHJP
A47J 31/10 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
A47J31/06 160
A47J31/10
(21)【出願番号】P 2022516554
(86)(22)【出願日】2020-04-22
(86)【国際出願番号】 JP2020017334
(87)【国際公開番号】W WO2021214914
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2022-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】508157370
【氏名又は名称】バルミューダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笹田 圭史
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-145429(JP,U)
【文献】特開2002-282126(JP,A)
【文献】特開平07-194491(JP,A)
【文献】特開2002-058599(JP,A)
【文献】実開昭60-101018(JP,U)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0054906(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/00-31/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
漏斗部と、前記漏斗部の下部に設けられたプレート部と、前記漏斗部の下部に接続され前記プレート部から下方に膨出する膨出部と、を有するドリッパと、
装置本体に設けられ、水平面である上面に前記プレート部を載せて前記ドリッパをサーバー上方に保持するホルダであって、周縁の1箇所から径方向内側に向けて凹形状が形成され、当該凹形状が前記ドリッパの前記膨出部を受け入れる受入領域を規定するホルダと、
前記ホルダの前記上面に設けられたガイド要素と、前記プレート部の下面に設けられ前記ガイド要素と係合するフォロワ要素とを含むガイド機構であって、前記ガイド要素が前記フォロワ要素を案内して当該ドリッパをコーヒーの抽出を行うセット位置に送り、当該セット位置に保持するガイド機構と、
を含
み、
前記ガイド機構は、前記受入領域に進入した前記ドリッパを一旦止めるプリセット位置を規定し、前記ドリッパの回動によって前記ドリッパを前記プリセット位置から前記セット位置に送る、
コーヒーメーカー。
【請求項2】
請求項
1に記載のコーヒーメーカーであって、前記セット位置は、前記ドリッパの、前記受入領域への進入方向において、前記プリセット位置より奥に位置する、コーヒーメーカー。
【請求項3】
漏斗部と、前記漏斗部の下部に設けられたプレート部と、前記漏斗部の下部に接続され前記プレート部から下方に膨出する膨出部と、を有するドリッパと、
装置本体に設けられ、水平面である上面に前記プレート部を載せて前記ドリッパをサーバー上方に保持するホルダであって、周縁の1箇所から径方向内側に向けて凹形状が形成され、当該凹形状が前記ドリッパの前記膨出部を受け入れる受入領域を規定するホルダと、
前記ホルダの前記上面に設けられたガイド要素と、前記プレート部の下面に設けられ前記ガイド要素と係合するフォロワ要素とを含むガイド機構であって、前記ガイド要素が前記フォロワ要素を案内して当該ドリッパをコーヒーの抽出を行うセット位置に送り、当該セット位置に保持するガイド機構と、
を含
み、
前記ガイド機構は、前記ドリッパを左右のいずれに回動させた場合であっても当該ドリッパを前記セット位置に送る、
コーヒーメーカー。
【請求項4】
請求項
1または
2に記載のコーヒーメーカーであって、前記ガイド機構は、前記ドリッパを左右のいずれに回動させた場合であっても当該ドリッパを前記セット位置に送る、コーヒーメーカー。
【請求項5】
請求項
1、2、4のいずれか1項に記載のコーヒーメーカーであって、前記ガイド要素は、前記ホルダの前記上面に設けられたガイド突起であり、前記フォロワ要素は前記プレート部の前記下面に刻設されたフォロワ溝である、コーヒーメーカー。
【請求項6】
請求項
5に記載のコーヒーメーカーであって、前記フォロワ溝は、前記ドリッパが前記プリセット位置にあるときの前記ガイド突起と係合する位置から、前記セット位置にあるときの前記ガイド突起と係合する位置に向けて、徐々に前記膨出部に向けて近づく、コーヒーメーカー。
【請求項7】
請求項1から
6のいずれか1項に記載のコーヒーメーカーであって、前記ドリッパと前記ホルダの互いの上下方向の相対的な動きを拘束する上下拘束構造を有する、コーヒーメーカー。
【請求項8】
請求項
7に記載のコーヒーメーカーであって、前記上下拘束構造は、前記膨出部の側面と前記ホルダの前記受入領域を規定する内壁面の一方に設けられた溝と、他方に設けられ、前記溝と係合する突条とを含む、コーヒーメーカー。
【請求項9】
請求項
5または
6に記載のコーヒーメーカーであって、
前記ホルダの前記受入領域は、前記装置本体の前方に向いて開いており、
前記ドリッパは、前記漏斗部の側面に設けられた取っ手を有し、
前記取っ手は前記プリセット位置において前方に延び、前記セット位置では前方に直交する方向に延びる、
コーヒーメーカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挽いたコーヒー豆からコーヒーを抽出するコーヒーメーカーに関する。
【背景技術】
【0002】
挽いたコーヒー豆(以下、コーヒー粉と記す。)を収容するドリッパと、ドリッパを載せて、サーバー上方に保持するホルダを有し、ドリッパに湯を注いでコーヒーを抽出するコーヒーメーカーが知られている。下記特許文献1には、ドリッパ(フィルターホルダー3)をホルダ(フィルタホルダ支持ブラケット7)にセットすることで、ドリッパ(3)をサーバー(コーヒーポット6)上方に保持する装置が示されている。ドリッパ(3)は、ホルダ(7)に対して上方からセットされる。下記特許文献2には、ドリッパ(バスケット21)をホルダ(バスケットホルダ20)にセットすることで、ドリッパ(21)をサーバー(ボトル3)上方に保持するコーヒーメーカーが示されている。なお、( )内の部材名および符号は、下記特許文献1,2で使用されている部材名および符号であり、本願の実施形態の説明で用いられる符号とは関連しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平7-194491号公報
【文献】特開平10-174651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1,2に限らず、多くのコーヒーメーカーでは、ドリッパはホルダに対して上方からセットされる形式が多い。
【0005】
本発明は、デザインの自由度を高めるために、上方からではなく、水平方向からドリッパをセットする形式のコーヒーメーカーにおいて、ホルダから外れないようにドリッパを保持することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るコーヒーメーカーは、ドリッパと、ドリッパをサーバー上方に保持するホルダとを含む。ドリッパは、漏斗部と、漏斗部の下部に設けられたプレート部と、漏斗部の下部に接続されプレート部から下方に膨出する膨出部と、を有する。ホルダは、装置本体に設けられており、水平面である上面にドリッパのプレート部を載せてドリッパをサーバー上方に保持する。ホルダはまた、周縁の1箇所から径方向内側に向けて凹形状が形成され、当該凹形状がドリッパの膨出部を受け入れる受入領域を規定している。互いに対向するホルダの上面とプレート部の下面とにはガイド機構が設けられる。ガイド機構は、ホルダの上面に設けられたガイド要素と、プレート部の下面に設けられ、ガイド要素と係合するフォロワ要素と含む。ホルダ周縁の受入領域の開放端から受け入れたドリッパを、鉛直軸線周りに回動させることによって、ガイド要素がフォロワ要素を案内して、ドリッパをコーヒーの抽出を行うセット位置に送り、この位置でドリッパを保持する。
【0007】
ガイド機構は、受入領域に進入したドリッパを一旦止めるプリセット位置を規定し、ドリッパの回動によってドリッパをプリセット位置からセット位置に送るものとすることができる。セット位置は、ドリッパの受入領域への進入方向において、プリセット位置より奥に位置するものとすることができる。
【0008】
ガイド機構は、ドリッパを左右のいずれに回動させた場合であっても、ドリッパをセット位置に送るものとすることができる。
【0009】
ガイド要素は、ホルダの上面から突出したガイド突起とすることができ、前記フォロワ要素は前記プレート部の前記下面に刻設されたフォロワ溝とすることができる。
【0010】
フォロワ溝は、ドリッパがプリセット位置近傍にあるときのガイド突起と係合する位置から、セット位置にあるときのガイド突起と係合する位置に向けて、徐々に膨出部に向けて近づくように設けることができる。
【0011】
コーヒーメーカーは、ドリッパとホルダの互いの上下方向の相対的な動きを拘束する上下拘束構造を有するものとすることができる。
【0012】
上下拘束構造は、ドリッパの膨出部側面とホルダの受入領域を規定する内壁面の一方に設けられた溝と、他方に設けられ、前記の溝と係合する突条とを含むものとすることができる。
【0013】
ホルダが規定する受入領域は、装置本体の前方に向いて開いたものとすることができる。また、ドリッパは、漏斗部の側面に設けられた取っ手を有するものとできる。取っ手はプリセット位置において装置本体の前方に延び、セット位置では前方に直交する方向に延びるようにすることができる。
【発明の効果】
【0014】
ガイド機構によってセット位置に送られたドリッパは、ホルダの受入領域内に保持される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施形態のコーヒーメーカーの外観を示す斜視図であり、ドリッパをセットする前の状態を示す図である。
【
図2】本実施形態のコーヒーメーカーの外観を示す斜視図であり、ドリッパをセットした状態を示す図である。
【
図8】ドリッパを取っ手とは反対側から見た状態を示す図である。
【
図10】ドリッパのセット過程を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。
図1および
図2は、本実施形態のコーヒーメーカー10の外観を示す斜視図である。
図1は、ドリッパ12を装置本体14から離した状態を示す図であり、
図2はドリッパ12を装置本体14にセットした状態を示す図である。装置本体14は、サーバー16が載置される載置台18と、載置台18上に立設された柱状部20を有する。柱状部20から載置されたサーバー16に向かう向きを装置本体前方、または単に前方と記す。図中において前方を矢印FRで示す。また、鉛直方向において上方を矢印UPで示し、前方に向いて左側方を矢印LHと記す。
【0017】
装置本体14の柱状部20は、水を蓄えるタンク13と、水を加熱する加熱部(不図示)を内部に備え、頂部に加熱した水をドリッパ12に供給するノズル22が設けられている。ノズル22は、柱状部20から前方に向けて延出している。装置本体14の前方を向いた面、つまり前面には、ドリッパ12を、載置台18に載置されたサーバー16上方に保持するホルダ24が設けられている。ホルダ24は、装置本体14に対して固定されている。
【0018】
サーバー16は、頂部が開口した円錐台形状のサーバー本体26と、サーバー本体26の頂部の開口に装着される蓋28と、サーバー本体26の側面に固定されたサーバー取っ手30を含む。蓋28には、いくつかの貫通孔が設けられており、上面で受けたコービーをサーバー本体26の内部に流入させることができる。
【0019】
図3から
図5は、ドリッパ12を示す図であり、
図3は斜め上方から見下ろした状態を示す斜視図、
図4は斜め下方から見上げた斜視図、
図5は底面図である。ドリッパ12は、コーヒー粉を収容する漏斗部32と、漏斗部32の下部に設けられたプレート部34と、プレート部34から下方に膨出する膨出部36を有する。漏斗部32は、下方に向けてすぼまる略円錐形状を有し、上方に向けて開口したすり鉢状に窪んだコーヒー粉を収容する収容空間を規定している。漏斗部32の内壁面に沿って紙製等のフィルタが配置され、さらにその内側にコーヒー粉が収容される。プレート部34は、漏斗部32の下端において水平面内に配置されている。プレート部34は略円板形状であってよい。
【0020】
ドリッパ12の膨出部36は、プレート部34に固定された円筒形状の膨出部本体37と、膨出部本体37の下端に設けられ、膨出部本体37に対して上下方向に可動な弁体38を備えている。膨出部36の内部空間は、漏斗部32の収容空間と連通しており、フィルタによってろ過されたコーヒーは、膨出部36内に流れ込む。弁体38は、通常時には閉じており、下方から押し上げられると弁が開く。サーバー16を載置台18上に載置した状態でドリッパ12をホルダ24に保持させると、サーバー16の蓋28の上面によって膨出部36の弁体38が押し上げられ、弁が開放する。弁の開放によって、抽出されたコーヒーが膨出部36から流出し、蓋28の貫通孔を通ってサーバー本体26の内部に流れ込む。サーバー16が載置されていない状態では、弁は開放せず、コーヒーはドリッパ内に留まる。
【0021】
漏斗部32の側面には、ドリッパ取っ手40が設けられている。膨出部36の中心軸線は、ドリッパ12の使用時において鉛直方向に延びている。また、
図5に示すように、プレート部34は、膨出部と共通の中心軸線を有する略円板形状であってよい。プレート部の下面34aで規定される平面内で、中心軸線に対して直交し、取っ手40を通る線をドリッパ中心線Mと記す。ドリッパ12に関して、ドリッパ中心線Mに沿う方向において、ドリッパ取っ手40側を近位側PR、これと反対側を遠位側DIと記す。また、プレート部の下面34aで規定される平面と膨出部の中心軸線の交点を中心Oと記す。
【0022】
図6はホルダ24を示す斜視図、
図7はホルダ24を示す平面図である。ホルダ24は、柱状部20に固定されたブラケット42に固定的に支持されている。ホルダ24は、上面24aが水平となるように配置され、周縁から径方向内側に向けて凹形状が形成されている。この凹形状が、ドリッパ12の膨出部36を受け入れる受入領域44を規定する。受入領域44を規定する、ホルダ24の内壁面24bは、
図7に示すように、上方から見ると装置本体14の前方に向けて開いた略U字形である。この略U字形の中心線は前後方向に延びている。この中心線をホルダ中心線Nと記す。
【0023】
ホルダ24の外縁は、上方から見ると略円弧形状であり、この外縁のホルダ24の後方部分に、周壁46がホルダの上面24aから上方に向けて立設されている。周壁46には、ドリッパ12がセットされたとき、ドリッパのプレート部34の周縁が当接する。周壁46は、半円または劣弧形状であり、上方から見た時、周壁46の中心線は、ホルダの内壁面24bのU字形のホルダ中心線Nと一致している。
【0024】
ホルダの上面24aには、受入領域44を部分的に囲むように配置された円弧形状の摺動突条48が設けられている。ドリッパ12がホルダ24上に置かれたとき、摺動突条48の上面がプレート部34の下面34aに接し、プレート部の下面34aが直接ホルダの上面24aと接触しないようにしている。これにより、ドリッパ12をホルダ24に対して回動するときの摩擦を低減している。
【0025】
ドリッパ12は、装置本体14の前方から進入してホルダ24上に置かれる。このコーヒーメーカー10においては、さらにドリッパ12を鉛直軸周りに回動させることにより、ドリッパ12がコーヒー抽出時の位置であるセット位置に案内される。この案内のために、コーヒーメーカー10はガイド機構を備える。
【0026】
ガイド機構は、ホルダ24の上面24aに設けられたガイド要素であるガイド突起50(
図6,7参照)と、ドリッパ12のプレート部34の下面34aに形成されたフォロワ要素であるフォロワ溝52(
図4,5参照)を含む。ガイド突起50は、ホルダの上面24aから上方に向けて突出した円柱形状の突起であり、その高さは、摺動突条48よりも高い。また、ガイド突起50は、ホルダ中心線N上に設けられている(
図7参照)。
【0027】
フォロワ溝52は、プレート部34の下面34aに刻設されて形成されており、ドリッパ12をドリッパ取っ手40を前方に向けた状態で、装置本体14の前方からホルダ24に向けて挿入すると、ホルダ24のガイド突起50が凹に形成されたフォロワ溝52内に進入する。フォロワ溝52は、遠位側DIに向けて開いた受入部54と、受入部54から互いに反対向きに延びるフォロワ部56A,56Bとを含む。フォロワ溝52の形状は、ドリッパ中心線Mに関して対称である。受入部54の開口の幅(ドリッパ中心線Mに直交する方向の寸法)は、ガイド突起50の直径より、かなり大きく、例えば5倍以上である。フォロワ部56A,56Bは、湾曲しているが、ドリッパ12の中心Oを中心とする円周C上ではなく、ドリッパ中心線Mから離れるに従って円周Cの内側に入り込み、膨出部36に徐々に近づいていく。言い換えれば、フォロワ部56A,56Bは、ドリッパ中心線Mから離れるに従ってドリッパ12の中心Oからの距離が小さくなっている。ガイド機構の作用については後に詳述する。
【0028】
コーヒーメーカー10は、ホルダ24に対するドリッパ12の上下の動きを拘束する上下拘束構造を有する。
図8は、ドリッパ12を遠位側DI、つまりドリッパ取っ手40の反対側から水平方向に見た状態を示す図であり、
図9はホルダ24を前方から見た状態を示す図である。上下拘束構造は、ドリッパ12の膨出部36の側面に周方向に延びて設けられた拘束溝58と、ホルダ24の内壁面24bに設けられた拘束突条60とを含む。拘束溝58は膨出部36の全周にわたって設けられる。また拘束突条60は、水平面内を延び、ホルダの内壁面24bのU字形のほぼ全体にわたって設けられている。拘束溝58と拘束突条60は、互いに係合して、ドリッパ12の上下方向の動きを拘束する。この例とは逆に、ドリッパ側に突条を、ホルダ側に溝を設けてもよい。また、ホルダ24の周壁46の上縁に内向きのフランジを設け、このフランジとホルダの上面24aとによりプレート部34の外縁を挟んで、ドリッパ12を上下方向おいて拘束するようにしてもよい。さらにまた、ガイド突起とフォロワ溝を、ありほぞとあり溝や、T字突起とT字溝とし、このガイド機構によってドリッパ12上下方向の動きを拘束するようにしてもよい。
【0029】
図10は、ドリッパ12をセットする過程を説明する図である。上段は、ドリッパ12をセットする前の状態を示し、中段はセットの過程を示し、下段はセットが完了した状態を示す。また、中段および下段の右側の図は、下方から見たドリッパ12とホルダ24上のガイド突起50を示している。
【0030】
ユーザーがドリッパ12をセットする際、ドリッパ12は、ドリッパ取っ手40を前方に向けた状態で、装置本体14の前方からホルダ24に向けて挿入され、このとき膨出部36が受入領域44の前方に開いた開放端から進入する。この過程で、膨出部36の拘束溝58と、ホルダの内壁面24bの拘束突条60とが係合し、ホルダ24に対するドリッパ12の上下方向の動きを拘束する。
【0031】
ドリッパ12の進行に伴って、中段の右図に示すように、ガイド突起50がフォロワ溝52の受入部54に受け入れられる。受入部54は、間口が広く、ドリッパ12の向きが若干ずれていても、つまりドリッパ取っ手40が前方から少しずれた状態であっても、ガイド突起50を受け入れることができる。ドリッパ12の進行によって、ガイド突起50が、受入部54の奥の当接壁54aに当接すると、そこでドリッパ12が止まる。この位置を「プリセット位置」と記す。プリセット位置においては、ドリッパ12のプレート部34と、ホルダ24の周壁46との間には隙間がある。
【0032】
次に、ユーザーは、プリセット位置から、ドリッパ12を、上方から見て反時計回りに回動させる。このとき、ユーザーは、ドリッパ取っ手40を持ったまま、これを押してドリッパ12を回動させることができる。ドリッパ12の回動に伴い、フォロワ溝52のフォロワ部56Aがガイド突起と係合する。さらに、ドリッパ12が回動すると、前述のようにフォロワ部56Aは、徐々に膨出部36に近づいていくので、ガイド突起50に案内されてドリッパ12全体が奥に、つまり後方に動かされる。つまり、ドリッパ12の回動軸線は、ドリッパ12の回動と共に後方へ平行移動する。
【0033】
ドリッパ12をプリセット位置から90°回動させると、下段のようにフォロワ部56Aの端にガイド突起50が係合し、それ以上は回動できなくなる。この位置が「セット位置」である。また、このとき、プレート部34が周壁46に当接する。ドリッパ12は、セット位置ではプリセット位置よりも寸法dだけ奥に位置する。セット位置においてコーヒーの抽出を行う。
【0034】
セット位置においては、ガイド突起50とフォロワ部56Aが係合しているので、ドリッパ12は、前方に引き抜かれないようにホルダ24に保持される。ドリッパ12がセット位置にあるとき、サーバー16を前方に引き抜こうとすると、サーバー16の蓋28に接している膨出部36に前方に向く力が作用する。しかし、ガイド突起50とフォロワ部56Aの係合によって、ドリッパ12はホルダ24に保持された状態に維持される。
【0035】
ドリッパ12をプリセット位置からセット位置へと送るとき、ドリッパ12は、回動と共に装置本体の後方に向けて移動する。ユーザーはドリッパ取っ手40を持ってドリッパ12を回動させる。このとき、ユーザーは、ドリッパ取っ手40に対して後方に向けて力を作用させるので、ドリッパ12の後方への動きは、加えた力の結果として感じ、自然な印象を与えることができる。
【0036】
プリセット位置から時計回りに回動させた場合、ガイド突起50は、フォロワ部56Bと係合する。フォロワ部56Bは、フォロワ部56Aとドリッパ中心線Mに関して対称であり、セット位置は、ドリッパ12を時計回りに回動しても、反時計回りに回動しても同じ位置となる。これにより、利き腕に応じた回動が可能になる。なお、フォロワ部56A,56Bは、いずれか一方だけ設けられてもよい。
【0037】
受入領域44の開放の向きは、装置本体の前方でなく、側方を向いていてもよい。
【0038】
上述の実施形態では、ホルダの上面24aに突起を設け、プレート部の下面34aに溝を設けたが、これとは逆に、ホルダの上面にガイド要素である溝を設け、プレート部の下面にフォロワ要素である突起を設けるようにしてもよい。この場合、溝は、中心線Nから離れるに従って、プリセット位置にある膨出部の中心からの距離が大きくなるような形状とすることができる。
【符号の説明】
【0039】
10 コーヒーメーカー、12 ドリッパ、14 装置本体、16 サーバー、24 ホルダ、24a (ホルダの)上面、24b (ホルダの)内壁面、32 漏斗部、34 プレート部、36 膨出部、40 ドリッパ取っ手、44 受入領域、46 周壁、50 ガイド突起、52 フォロワ溝、54 受入部、56A,56B フォロワ部、58 拘束溝、60 拘束突条、M ドリッパ中心線、N ホルダ中心線。