(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】仮想テープ装置、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/06 20060101AFI20231017BHJP
【FI】
G06F3/06 303J
G06F3/06 301Z
(21)【出願番号】P 2022026527
(22)【出願日】2022-02-24
【審査請求日】2022-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】中島 真
(72)【発明者】
【氏名】田子 顕
(72)【発明者】
【氏名】早川 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 晋
(72)【発明者】
【氏名】八巻 貴志
(72)【発明者】
【氏名】松井 康尚
(72)【発明者】
【氏名】根岸 邦尚
【審査官】田名網 忠雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0255920(US,A1)
【文献】特開2007-293778(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0339896(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/06-3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープライブラリの投入口に物理テープが投入されたことを検知する投入検知手段と、
前記投入検知手段によって
前記投入口への前記物理テープの投入が検知されると、
投入された物理テープを仮想テープ
に読み込み、予め設定されている前記投入口と仮想ドライブとの対応関係に基づいて、前記物理テープが投入された前記投入口に関連付けられている前記仮想ドライブに前記仮想テープをロードするロード手段と、
前記仮想ドライブから前記仮想テープがアンロードされたことを検知するアンロード検知手段と、
前記アンロード検知手段によってアンロードが検知された仮想テープのデータを
前記物理テープに書き出す書き出し手段と、
を備えた仮想テープ装置。
【請求項2】
仮想テープ装置のコンピュータが、
テープライブラリの投入口に物理テープが投入されたことを検知し、
前記投入口への前記物理テープの投入が検知されると、
投入された物理テープを仮想テープ
に読み込み、予め設定されている前記投入口と仮想ドライブとの対応関係に基づいて、前記物理テープが投入された前記投入口に関連付けられている前記仮想ドライブに前記仮想テープをロードし、
前記仮想ドライブから前記仮想テープがアンロードされたことを検知し、
アンロードが検知された前記仮想テープのデータを
前記物理テープに書き出す、
制御方法。
【請求項3】
仮想テープ装置のコンピュータを、
テープライブラリの投入口に物理テープが投入されたことを検知する投入検知手段、
前記投入口への前記物理テープの投入が検知されると、
投入された物理テープを仮想テープ
に読み込み、予め設定されている前記投入口と仮想ドライブとの対応関係に基づいて、前記物理テープが投入された前記投入口に関連付けられている前記仮想ドライブに前記仮想テープをロードするロード手段、
前記仮想ドライブから前記仮想テープがアンロードされたことを検知するアンロード検知手段、
前記アンロード検知手段によってアンロードが検知された仮想テープのデータを
前記物理テープに書き出す書き出し手段、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想テープ装置、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、仮想テープ装置を使用した一般的な復元や退避の機能に関し、ジョブ実行タイミング毎に一括で処理する技術が開示されている。特許文献2には、仮想テープ装置を使用した退避機能にて条件により物理テープ2本にデータを書き出し、データ二重化を図る技術が開示されている。特許文献3には、仮想テープ装置に複数台のテープライブラリを接続し復元や退避動作の性能向上を図る技術が開示されている。特許文献4には、仮想テープ装置に使用した一般的な復元や退避の機能に関し、物理テープ上の先頭位置との間隔が短くなるような制御を行う技術が開示されている。
【0003】
こうした仮想テープ装置において、アクセス性能は高いが容量単価の高い一次ストレージとアクセス性能は低いが容量単価の低い二次ストレージを組み合わせて制御する機能を持つ装置もある。
【0004】
このような仮想テープ装置には、一次ストレージにディスクストレージ、二次ストレージに物理テープおよび物理ドライブを管理する機能を有する。そのうちの主な機能として、仮想テープの使用頻度等の条件により、管理された物理テープおよび物理ドライブを用いて仮想テープを移動する機能がある。この機能(以後、「マイグレーション」と表現する)により、使用頻度の高い仮想テープへのアクセス性能を維持した状態で、一次ストレージの空き容量を確保する。
【0005】
また、ホストシステム(上位装置)から物理テープに移動した仮想テープの使用要求が発生すると、マイグレーションにより仮想テープに関連づけられた物理テープから仮想テープを呼び戻す機能(以後、「リコール」と表現する)がある。
【0006】
さらに、ホストシステムの他、PCやサーバ等の管理端末からの指示のもと、仮想テープ装置で管理していない物理テープを用いて、仮想テープを物理テープへ書き出し、物理テープから仮想テープを読み込む機能がある。
【0007】
上記機能を持つ仮想テープ装置の構成例を
図8に示す。
図8において、仮想テープ装置101は上位装置102と管理ホスト103に接続されている。仮想テープ装置101は、ホストコマンド処理部104、仮想テープ管理部105、仮想テープ変換部106、物理ドライブ管理部107、ディスクストレージ108、およびテープライブラリ109で構成される。
【0008】
仮想ドライブ80-1~80-n、および仮想テープ81-1~81-nは、物理ドライブおよび物理テープをエミュレートしたもので、データはディスクストレージ108に記憶されている。
【0009】
物理ドライブ90-1~90-n、および、物理テープ91-1~91-nは、テープライブラリ109に格納されており、物理テープ91-1~91-nは物理ドライブ90-1~90-nにロードすることでデータを読み書きされる。
【0010】
管理ホスト103はユーザが仮想テープ装置101を管理したり、人手操作する端末である。管理ホスト103は、物理テープ91-1~91-nに書き出す仮想テープ81-1~81-nを仮想テープ管理部105に指定したり、物理テープ91-1~91-n から読み込む仮想テープ81-1~81-nを指定する機能を持つ。この機能は、テープライブラリ109に投入された管理外物理テープ92-1~92-nに対しても適用可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2009-230212号公報
【文献】特開2011-108091号公報
【文献】特許第5617540号公報
【文献】特許第5729479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
図8に示す構成例では、仮想テープ装置内で仮想テープとの関連づけがない管理外物理テープ92-1~92-nを読み書きする運用を行う際には、以下の操作が必要となる。この操作とは、管理ホスト103を用いて人手により物理テープから仮想テープの読み込み、仮想テープの読み書き終了後に物理テープへ書き出す操作である。このため仮想テープ装置により物理テープを直接読み書きする旧来運用をしようとすると、物理テープに記録するまでに人手操作が必要となり、その間、物理テープを使用したテープ運用が停止するという課題があった。
【0013】
また、上記特許文献に開示された技術においても、ホストからの仮想テープマウント要求を契機に物理テープから仮想テープを読み込んでいるため、物理テープが仮想テープ装置の管理外にある場合、人手作業が必要となるという課題があった。
【0014】
そこでこの発明は、人による操作を介することなく物理テープを運用可能な仮想テープ装置、制御方法、及びプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の態様によれば、仮想テープ装置は、テープライブラリの投入口に物理テープが投入されたことを検知する投入検知手段と、前記投入検知手段によって前記投入口への前記物理テープの投入が検知されると、投入された物理テープを仮想テープに読み込み、予め設定されている前記投入口と仮想ドライブとの対応関係に基づいて、前記物理テープが投入された前記投入口に関連付けられている前記仮想ドライブに前記仮想テープをロードするロード手段と、前記仮想ドライブから前記仮想テープがアンロードされたことを検知するアンロード検知手段と、前記アンロード検知手段によってアンロードが検知された仮想テープのデータを前記物理テープに書き出す書き出し手段と、を備えた。
【0016】
本発明の第2の態様によれば、制御方法は、仮想テープ装置のコンピュータが、テープライブラリの投入口に物理テープが投入されたことを検知し、前記投入口への前記物理テープの投入が検知されると、投入された物理テープを仮想テープに読み込み、予め設定されている前記投入口と仮想ドライブとの対応関係に基づいて、前記物理テープが投入された前記投入口に関連付けられている前記仮想ドライブに前記仮想テープをロードし、前記仮想ドライブから前記仮想テープがアンロードされたことを検知し、アンロードが検知された前記仮想テープのデータを前記物理テープに書き出す。
【0017】
本発明の第3の態様によれば、プログラムは、仮想テープ装置のコンピュータを、テープライブラリの投入口に物理テープが投入されたことを検知する投入検知手段、前記投入口への前記物理テープの投入が検知されると、投入された物理テープを仮想テープに読み込み、予め設定されている前記投入口と仮想ドライブとの対応関係に基づいて、前記物理テープが投入された前記投入口に関連付けられている前記仮想ドライブに前記仮想テープをロードするロード手段、前記仮想ドライブから前記仮想テープがアンロードされたことを検知するアンロード検知手段、前記アンロード検知手段によってアンロードが検知された仮想テープのデータを前記物理テープに書き出す書き出し手段、として機能させる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、人による操作を介することなく物理テープを運用可能な仮想テープ装置、制御方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1実施形態の仮想テープ装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】物理/仮想ドライブ対応テーブルの構成例を示す図である。
【
図3】自動物理テープ入出力部の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図4】本発明の第2実施形態の仮想テープ装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】物理/仮想ドライブ対応テーブルの構成例を示す図である。
【
図6】自動物理テープ入出力部の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態による仮想テープ装置を図面を参照して説明する。
【0021】
(第1実施形態)
図1は同実施形態による仮想テープ装置1の構成を示すブロック図である。
【0022】
仮想テープ装置1は、上位装置2と管理ホスト3とに接続する。仮想テープ装置1は、ホストコマンド処理部4、仮想テープ管理部5、仮想テープ変換部6、物理ドライブ管理部7、ディスクストレージ8、テープライブラリ9、物理/仮想ドライブ対応テーブル、自動物理テープ入出力部11、仮想ドライブ監視部12、およびテープライブラリ監視部13で構成される。
【0023】
ディスクストレージ8は、仮想ドライブ800-1~800-n、および仮想テープ810-1~810-nを含む。仮想ドライブ800-1~800-nは、物理ドライブをエミュレートしたものである。仮想テープ810-1~810-nは、物理テープをエミュレートしたものである。以下の説明において、仮想ドライブ800-1~800-nをそれぞれ区別しない場合には、仮想ドライブ800と表現する。また、仮想テープ810-1~810-nをそれぞれ区別しない場合には、仮想テープ810と表現する。物理テープは、リムーバブルメディアと呼ばれることがある。
【0024】
テープライブラリ9は、物理ドライブ900-1~900-n、および物理テープ910-1~910-nを含む。物理テープ910-1~910-nは、物理ドライブ900-1~900-nにロードされることでデータが読み書きされる。テープライブラリ9は、仮想テープ装置1の管理外にある外部から持ち込まれた管理外物理テープ920-1~920-nを投入するための投入口が設けられている。
【0025】
以下の説明において、物理ドライブ900-1~900-nをそれぞれ区別しない場合には、物理ドライブ900と表現する。また、物理テープ910-1~910-nをそれぞれ区別しない場合には、物理テープ910と表現する。管理外物理テープ920-1~920-nをそれぞれ区別しない場合には、管理外物理テープ920と表現する。
【0026】
テープライブラリ9は、上述した物理ドライブ900、および物理テープ910を格納したライブラリ機器で、物理ドライブ管理部7から指示された物理テープを物理ドライブにマウント・デマウントする。
【0027】
また、テープライブラリ9は、管理外物理テープ920をテープライブラリ9の投入口に投入することで、物理ドライブにマウント・デマウントすることもできる。
【0028】
なお、テープライブラリ9として、物理ドライブ900および物理テープ910を用いた構成例を示しているが、光ディスク等のリムーバブルデバイス、リムーバブルメディアを用いた構成としてもよい。
【0029】
上記構成において、ホストコマンド処理部4は上位装置2からの書き込み、読み込みコマンドを受け付け、仮想テープ管理部5に仮想テープのデータの書き込み、読み出し指示を行う。仮想テープ管理部5は、ディスクストレージ8内の仮想ドライブ800、および仮想テープ810を管理する。また、仮想テープ管理部5は、ホストコマンド処理部4からの指示により、仮想ドライブ800、および仮想テープ810の管理情報を構築するとともにデータの書き込み、読み込みを行う。
【0030】
さらに、仮想テープ管理部5は、マイグレーション機能およびリコール機能を制御している。本実施形態におけるマイグレーション機能について説明する。まず仮想テープ管理部5は、仮想テープ810の使用頻度を管理している。そして、仮想テープ管理部5は、仮想テープ変換部6に対し、使用頻度の低い仮想テープ810からデータを読み込んで、物理テープ910のいずれかに書き出しを指示する。仮想テープ管理部5は、物理テープへの書き出しを指示した仮想テープと書き出しされた物理テープを関連づける。そして、仮想テープ管理部5は、その仮想テープをディスクストレージ8から削除する。以上のように、マイグレーション機能は、頻度が低い仮想テープのデータを物理テープに書き出し、仮想テープを削除する機能である。
【0031】
次に、本実施形態におけるリコール機能について説明する。仮想テープ管理部5は、ホストコマンド処理部4からの指示により読み込み対象となった仮想テープ810が物理テープ910にマイグレーションされた仮想テープか否かを判定する。そして仮想テープ管理部5は、仮想テープ810が物理テープ910にマイグレーションされた仮想テープであるならば、仮想テープと関連づけされた読み込み対象の物理テープ910を特定する情報、および仮想テープを特定する情報を仮想テープ変換部6に送り、物理テープからの読み込みを指示する。仮想テープ管理部5は、読み込まれた仮想テープのデータをディスクストレージ8に書き出し、ホストコマンド処理部4に仮想テープのデータを送る。このように、リコール機能は、マイグレーションされた仮想テープのデータを、マイグレーションさせた物理テープから戻す機能である。
【0032】
さらに、仮想テープ管理部5は、管理ホスト3からの指示により仮想テープ810のデータを物理テープ910に書き出す。仮想テープ管理部5は、管理ホスト3からの指示により物理テープ910のデータを仮想テープ810に書き出す。
【0033】
仮想テープ変換部6は、仮想テープ810のデータ、書き出し対象の物理テープを特定する情報を仮想テープ管理部5から指示を受け付ける。この指示を受け付けると、仮想テープ変換部6は、仮想テープ810のデータを、書き出し対象の物理テープに記録するフォーマットに変換し、物理ドライブ管理部7に物理テープへの書き出しを指示する。
【0034】
また、仮想テープ管理部5から読み込み対象の物理テープを特定する情報、および仮想テープを特定する情報を受け付けると、物理ドライブ管理部7を用いて物理テープからデータを読み込み、仮想テープのフォーマットに変換する。
【0035】
物理ドライブ管理部7は、テープライブラリ9を制御して仮想テープ変換部6が変換した仮想テープのデータを物理テープに書き出す。また、物理ドライブ管理部7は、物理テープからデータを読み込んで仮想テープ変換部6に送る機能を持つ。
【0036】
物理/仮想ドライブ対応テーブル10は、投入口と仮想ドライブ800の関連づけを管理するテーブルである。
図2は、物理/仮想ドライブ対応テーブル10の構成例を示す図である。
【0037】
物理/仮想ドライブ対応テーブル10は、テープライブラリ投入口ID、仮想ドライブIDで構成される。テープライブラリ投入口IDにはテープライブラリ9に備わる全ての投入口を一意に示すID(例えば投入口#1など)が設定される。これは、管理ホスト3からの指示により設定される。物理/仮想ドライブ対応テーブル10は、自動物理テープ入出力部11により使用される。
【0038】
仮想ドライブIDには、投入口に対応する仮想ドライブが予め関連づけられている場合、その仮想ドライブを一意に示すIDが設定される。
図2において、仮想ドライブが関連づけられていないテープライブラリ投入口に対応する仮想ドライブIDはハイフンで示している。
図2では、投入口#0に対応する仮想ドライブ800-2が関連づけられており、その他のテープライブラリ投入口には仮想ドライブが関連づけられていないことが示されている。
【0039】
図1の説明に戻り、テープライブラリ監視部13は、監視対象となる投入口が自動物理テープ入出力部11から指定されると、物理ドライブ管理部7から指定された投入口の状態を取得し、状態変化を検出すると自動物理テープ入出力部11に返却する。テープライブラリ監視部13は、投入検知部と呼ばれることがある。
【0040】
仮想ドライブ監視部12は、ロードまたはアンロード監視対象となる仮想ドライブのIDを自動物理テープ入出力部11から指定されると、指定された仮想ドライブの状態を仮想テープ管理部5から取得する。仮想ドライブ監視部12は、状態変化を検出すると自動物理テープ入出力部11に返却する。仮想ドライブ監視部12は、アンロード検知部と呼ばれることがある。
【0041】
自動物理テープ入出力部11は、物理/仮想ドライブ対応テーブル10において、テープライブラリ投入口と仮想ドライブとが関連づけられている場合に、テープライブラリ監視部13に投入口の状態を監視させる。また、自動物理テープ入出力部11は、仮想ドライブ監視部12に仮想ドライブの状態を監視させる。
【0042】
自動物理テープ入出力部11は、テープライブラリ監視部13から投入口に物理テープが投入されたことを示す投入変更通知を受け付けた場合、以下の処理を行う。すなわち、自動物理テープ入出力部11は、仮想テープ管理部5に対して、読み込み対象となる投入口の物理テープを指定する。さらに、自動物理テープ入出力部11は、生成する仮想テープ名(例えばPV0000など)を指定し、物理テープからの読み込みを指示する。なお、仮想テープ名の指定方法は、任意のルールで定めてよい。自動物理テープ入出力部11は、読み込み完了を受け付けると、仮想テープ管理部5に、対象となる仮想ドライブへ仮想テープのロードを指示する。自動物理テープ入出力部11および仮想テープ管理部5は、ロード部および書き出し部と呼ばれることがある。
【0043】
その後、自動物理テープ入出力部11は、仮想ドライブ監視部12から仮想テープのアンロード状態へ変更されたことを示す通知を受けると、仮想テープ管理部5に対して、書き出し対象となる物理テープと仮想テープとを指定し、物理テープへの書き出しを指示する。自動物理テープ入出力部11は、書き出し完了を受け付けると、仮想テープ管理部5に仮想テープの削除を指示する。
【0044】
管理ホスト3は、ユーザが仮想テープ装置1を管理したり、人手操作する端末であり、物理テープ910に書き出す仮想テープ810を仮想テープ管理部5に指定する機能を持つ。管理ホスト3は、物理テープ910から読み込む仮想テープ810を指定する機能を持つ。この機能は、テープライブラリ9に投入された管理外物理テープ920に対しても適用可能である。
【0045】
次に、自動物理テープ入出力部11の処理の流れを説明する。
図3は、自動物理テープ入出力部11の処理の流れを示すフローチャートである。自動物理テープ入出力部11は、監視対象の投入口#0への物理テープ投入待ち状態とする(ステップS101)。自動物理テープ入出力部11は、投入変更通知をテープライブラリ監視部13から受け付けると、物理テープ投入待ち状態を解除する。そして、自動物理テープ入出力部11は、投入された物理テープから仮想テープの読み込みを仮想テープ管理部5に指示して、読み込み完了を待つ(ステップS102)。
【0046】
読み出し完了後、自動物理テープ入出力部11は、仮想テープ管理部5を用いて投入口に関連づけられている仮想ドライブ800(例えば、投入口#0に関連づけられている仮想ドライブ802)にステップS102で読み込んだ仮想テープをロードする(ステップS103)。仮想テープのロードにより仮想ドライブ800-2がレディ状態となったことが上位装置2に通知される。上位装置2により、仮想テープに対してデータの読み書きが開始される(ステップS104)。その間、自動物理テープ入出力部11は仮想ドライブ800-2に対する仮想テープのアンロード待ち状態に遷移する(ステップS105)。
【0047】
上位装置2による仮想テープの読み書きが終了すると、上位装置2の指示により仮想テープがアンロードされる。仮想ドライブ監視部12は、アンロードを検知して自動物理テープ入出力部11にアンロードを通知する。自動物理テープ入出力部11は、アンロード待ち状態を解除し、仮想テープの物理テープへの書き出しを仮想テープ管理部5に指示して、書き出し完了を待つ(ステップS106)。書き出しが完了すると、自動物理テープ入出力部11は、物理テープを投入口#0に移動し(ステップS107)、改めて投入口#0への物理テープ投入待ち状態に遷移する(ステップS101)。
【0048】
関連技術において、仮想テープ装置の仮想テープ操作を契機にした制御では管理外の物理テープを使用する際に人手操作が必要となっていた。これに対し、上述した構成に示されるように、物理テープ操作を契機とする構成を設けることで、仮想テープ装置の管理外の物理テープを使用した運用においても、物理テープの直接アクセスに対する仮想テープのメリットを享受しつつ、物理テープへの直接アクセスと同等の操作で運用可能となる。このように、本実施形態によれば、人による操作を介することなく物理テープを運用可能となる。副次的効果として、人手操作が減ることで、作業コストやヒューマンエラーを減らす効果もある。
【0049】
以下に、関連技術における仮想テープ装置運用と、本実施形態に係る物理テープの直接アクセス運用の違いを示す。
・関連技術における仮想テープ装置運用(リコール時):人手操作で物理テープからデータを取り込んで仮想テープを生成した後に、仮想ドライブにマウントする。
本実施形態に係る物理テープの直接アクセス運用:物理ドライブへのマウントで完了。
・関連技術における仮想テープ装置運用(マイグレーション時):ホストシステムで仮想テープの読み書き終了後、人手操作で仮想テープを物理テープに書き出す。
本実施形態に係る物理テープの直接アクセス運用:物理ドライブからテープを取り出して完了。
【0050】
(第2実施形態)
次に、仮想テープ装置の第2実施形態について説明する。
図4は第2実施形態における仮想テープ装置1000の構成を示すブロック図である。
図1で説明した構成と同様の構成には同じ符号が付されている。
【0051】
仮想テープ装置1000は、上位装置2と管理ホスト3とに接続する。仮想テープ装置1000は、ホストコマンド処理部4、仮想テープ管理部16、仮想テープ変換部6、物理ドライブ管理部7、ディスクストレージ8、物理/仮想ドライブ対応テーブル19、自動物理テープ入出力部17、仮想ドライブ監視部12、および物理ドライブ監視部18で構成される。
【0052】
ディスクストレージ8は、仮想ドライブ800、および仮想テープ810を含む。仮想ドライブ800は、物理ドライブをエミュレートしたものである。仮想テープ810は、物理テープをエミュレートしたものである。
【0053】
物理ドライブ900は、仮想テープ装置1000の管理外にある外部から持ち込まれた管理外物理テープ920-1~920-nを投入するための投入口が設けられている。管理外物理テープ920-1~920-nは、物理ドライブ900にロードされることでデータが読み書きされる。以下の説明において、管理外物理テープ920-1~920-nをそれぞれ区別しない場合には、管理外物理テープ920と表現する。
【0054】
なお、テープライブラリ9として、物理ドライブ900を用いた構成例を示しているが、光ディスク等のリムーバブルデバイス、リムーバブルメディアを用いた構成としてもよい。
【0055】
上記構成において、ホストコマンド処理部4は上位装置2からの書き込み、読み込みコマンドを受け付け、仮想テープ管理部16に仮想テープのデータの書き込み、読み出し指示を行う。仮想テープ管理部16は、ディスクストレージ8内の仮想ドライブ800、および仮想テープ810を管理する。また、仮想テープ管理部16は、ホストコマンド処理部4からの指示により、仮想ドライブ800、および仮想テープ810の管理情報を構築するとともにデータの書き込み、読み込みを行う。
【0056】
さらに、仮想テープ管理部16は、マイグレーション機能およびリコール機能を制御している。第2実施形態におけるマイグレーション機能について説明する。まず仮想テープ管理部16は、仮想テープ810の使用頻度を管理している。そして、仮想テープ管理部16は、仮想テープ変換部6に対し、使用頻度の低い仮想テープ810からデータを読み込んで、物理ドライブ900にロードされた物理テープに書き出しを指示する。仮想テープ管理部16は、物理ドライブ900への書き出しを指示した仮想テープと書き出しされた物理ドライブ900を関連づける。そして、仮想テープ管理部16は、その仮想テープをディスクストレージ8から削除する。以上のように、マイグレーション機能は、頻度が低い仮想テープのデータを物理テープに書き出し、仮想テープを削除する機能である。
【0057】
次に、本実施形態におけるリコール機能について説明する。仮想テープ管理部16は、ホストコマンド処理部4からの指示により読み込み対象となった仮想テープ810が物理ドライブ900にロードされた物理テープにマイグレーションされた仮想テープか否かを判定する。そして仮想テープ管理部16は、仮想テープ810が物理テープにマイグレーションされた仮想テープであるならば、仮想テープと紐づけされた読み込み対象の物理テープを特定する情報、および仮想テープを特定する情報を仮想テープ変換部6に送り、物理テープからの読み込みを指示する。仮想テープ管理部16は、読み込まれた仮想テープのデータをディスクストレージ8に書き出し、ホストコマンド処理部4に仮想テープのデータを送る。このように、リコール機能は、マイグレーションされた仮想テープのデータを、マイグレーションさせた物理テープから戻す機能である。
【0058】
さらに、仮想テープ管理部16は、管理ホスト3からの指示により仮想テープ810のデータを物理ドライブ900にロードされた物理テープに書き出す。仮想テープ管理部16は、管理ホスト3からの指示により物理ドライブ900にロードされた物理テープのデータを仮想テープ810に書き出す。
【0059】
仮想テープ変換部6は、仮想テープ810のデータ、書き出し対象の物理テープを特定する情報を仮想テープ管理部16から指示を受け付ける。この指示を受け付けると、仮想テープ変換部6は、仮想テープ810のデータを、書き出し対象の物理テープに記録するフォーマットに変換し、物理ドライブ管理部7に物理テープへの書き出しを指示する。
【0060】
また、仮想テープ管理部16から読み込み対象の物理テープを特定する情報、および仮想テープを特定する情報を受け付けると、物理ドライブ管理部7を用いて物理テープからデータを読み込み、仮想テープのフォーマットに変換する。
【0061】
物理ドライブ管理部7は、物理ドライブ900を制御して仮想テープ変換部6が変換した仮想テープのデータを物理テープに書き出す。また、物理ドライブ管理部7は、物理テープからデータを読み込んで仮想テープ変換部6に送る機能を持つ。
【0062】
物理/仮想ドライブ対応テーブル19は、物理ドライブ900と仮想ドライブ800の関連づけを管理するテーブルである。
図5は、物理/仮想ドライブ対応テーブル19の構成例を示す図である。
【0063】
物理/仮想ドライブ対応テーブル19は、物理ドライブID、仮想ドライブIDで構成される。物理ドライブIDには、物理ドライブ900を一意に示すID(例えば物理ドライブ900-1など)が設定される。これは、管理ホスト3からの指示により設定される。物理/仮想ドライブ対応テーブル19は、自動物理テープ入出力部17により使用される。
【0064】
仮想ドライブIDには、物理ドライブに対応する仮想ドライブが予め関連づけられている場合、その仮想ドライブを一意に示すIDが設定される。
図5において、仮想ドライブが関連づけられていない物理ドライブに対応する仮想ドライブIDはハイフンで示している。
図5では、物理ドライブ900-1に対応する仮想ドライブ802が関連づけられており、その他の物理ドライブには仮想ドライブが関連づけられていないことが示されている。
【0065】
図4の説明に戻り、物理ドライブ監視部18は、監視対象となる物理ドライブ900が自動物理テープ入出力部17から指定されると、物理ドライブ管理部7から指定された物理ドライブ900の状態を取得し、状態変化を検出すると自動物理テープ入出力部17に返却する。物理ドライブ監視部18は、投入検知部と呼ばれることがある。
【0066】
仮想ドライブ監視部12は、ロードまたはアンロード監視対象となる仮想ドライブIDを自動物理テープ入出力部17から指定されると、指定された仮想ドライブの状態を仮想テープ管理部16から取得する。仮想ドライブ監視部12は、状態変化を検出すると自動物理テープ入出力部17に返却する。仮想ドライブ監視部12は、アンロード検知部と呼ばれることがある。
【0067】
自動物理テープ入出力部17は、物理/仮想ドライブ対応テーブル19において、物理ドライブ900と仮想ドライブとが関連づけられている場合に、物理ドライブ監視部18に物理ドライブ900の状態を監視させる。また、自動物理テープ入出力部17は、仮想ドライブ監視部12に仮想ドライブの状態を監視させる。
【0068】
自動物理テープ入出力部17は、物理ドライブ監視部18から物理ドライブ900に物理テープが投入されたことを示す投入変更通知を受け付けた場合、以下の処理を行う。すなわち、自動物理テープ入出力部17は、仮想テープ管理部16に対して、読み込み対象となる投入口の物理テープを指定する。さらに、自動物理テープ入出力部17は、生成する仮想テープ名(例えばPV0000など)を指定し、物理テープからの読み込みを指示する。なお、仮想テープ名の指定方法は、任意のルールで定めてよい。自動物理テープ入出力部17は、読み込み完了を受け付けると、仮想テープ管理部16に、対象となる仮想ドライブへ仮想テープのロードを指示する。自動物理テープ入出力部17および仮想テープ管理部16は、ロード部および書き出し部と呼ばれることがある。
【0069】
その後、自動物理テープ入出力部17は、仮想ドライブ監視部12から仮想テープのアンロード状態へ変更されたことを示す通知を受けると、仮想テープ管理部16に対して、書き出し対象となる物理ドライブ900と仮想テープとを指定し、指定された物理ドライブ900にロードされた物理テープへの書き出しを指示する。自動物理テープ入出力部17は、書き出し完了を受け付けると、仮想テープ管理部16に仮想テープの削除を指示する。
【0070】
管理ホスト3は、ユーザが仮想テープ装置1000を管理したり、人手操作する端末であり、物理テープ910に書き出す仮想テープ810を仮想テープ管理部16に指定する機能を持つ。管理ホスト3は、物理ドライブ900にロードされた物理テープから読み込む仮想テープ810を指定する機能を持つ。
【0071】
次に、自動物理テープ入出力部17の処理の流れを説明する。
図6は、自動物理テープ入出力部17の処理の流れを示すフローチャートである。自動物理テープ入出力部17は、監視対象の物理ドライブ900の物理テープのロード待ち状態とする(ステップS201)。自動物理テープ入出力部17は、物理テープがロードされたことを示す通知を物理ドライブ監視部18から受け付けると、物理テープのロード待ち状態を解除する。そして、自動物理テープ入出力部17は、投入された物理テープから仮想テープの読み込みを仮想テープ管理部16に指示して、読み込み完了を待つ(ステップS202)。
【0072】
読み出し完了後、自動物理テープ入出力部17は、仮想テープ管理部16を用いて物理ドライブ900に関連づけられている仮想ドライブ800にステップS202でロードされた物理テープをロードする(ステップS203)。物理テープのロードにより仮想ドライブ802がレディ状態となったことが上位装置2に通知される。上位装置2により、仮想テープに対してデータの読み書きが開始される(ステップS204)。その間、自動物理テープ入出力部17は仮想ドライブ800に対する仮想テープのアンロード待ち状態に遷移する(ステップS205)。
【0073】
上位装置2による仮想テープの読み書きが終了すると、上位装置2の指示により仮想テープがアンロードされる。仮想ドライブ監視部12は、アンロードを検知して自動物理テープ入出力部17にアンロードを通知する。自動物理テープ入出力部17は、アンロード待ち状態を解除し、仮想テープの物理テープへの書き出しを仮想テープ管理部16に指示して、書き出し完了を待つ(ステップS206)。書き出しが完了すると、自動物理テープ入出力部17は、物理テープをアンロードし(ステップS207)、改めて物理ドライブ900への物理テープのロード待ち状態に遷移する(ステップS201)。
【0074】
以上説明したように、仮想テープ装置1000のように物理ドライブ900ののみを備えた構成であっても第1実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、関連技術において、仮想テープ装置の仮想テープ操作を契機にした制御では管理外の物理テープを使用する際に人手操作が必要となっていた。これに対し、上述した構成に示されるように、物理テープ操作を契機とする構成を設けることで、仮想テープ装置の管理外の物理テープを使用した運用においても、物理テープの直接アクセスに対する仮想テープのメリットを享受しつつ、物理テープへの直接アクセスと同等の操作で運用可能となる。このように、本実施形態によれば、人による操作を介することなく物理テープを運用可能となる。副次的効果として、人手操作が減ることで、作業コストやヒューマンエラーを減らす効果もある。
【0075】
図7は本実施形態による仮想テープ装置の最小構成を示す図である。本実施形態による仮想テープ装置2000は、投入検知部2001、ロード部2002、アンロード検知部2003、および書き出し部2004を備えればよい。
投入検知部2001は、リムーバブルメディアが投入されたことを検知する。
ロード部2002は、投入検知部2001によってリムーバブルメディアの投入が検知されると、仮想テープを生成し、仮想ドライブに仮想テープをロードする。
アンロード検知部2003は、仮想ドライブから仮想テープがアンロードされたことを検知する。
書き出し部2004は、アンロード検知部2003によってアンロードが検知された仮想テープのデータをリムーバブルメディアに書き出す。
このようにすることにより、人による操作を介することなく物理テープを運用可能となる。
【0076】
上述の仮想テープ装置は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0077】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0078】
1、1000、2000 仮想テープ装置
2 上位装置
3 管理ホスト
4 ホストコマンド処理部
5 仮想テープ管理部
6 仮想テープ変換部
7 物理ドライブ管理部
8 ディスクストレージ
9 テープライブラリ
10 仮想ドライブ対応テーブル
11 自動物理テープ入出力部
12 仮想ドライブ監視部
13 テープライブラリ監視部
16 仮想テープ管理部
17 自動物理テープ入出力部
18 物理ドライブ監視部
19 仮想ドライブ対応テーブル
800、800-1、800-n 仮想ドライブ
802 仮想ドライブ
810、810-1、810-n 仮想テープ
900 物理ドライブ
910、910-1、910-n 物理テープ
920、920-1、920-n 管理外物理テープ
2001 投入検知部
2002 ロード部
2003 アンロード検知部
2004 書き出し部