(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】エンドツーエンド細胞療法の自動化
(51)【国際特許分類】
C12N 5/10 20060101AFI20231017BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20231017BHJP
C12M 1/00 20060101ALN20231017BHJP
【FI】
C12N5/10
C12N5/0783
C12M1/00 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022056204
(22)【出願日】2022-03-30
(62)【分割の表示】P 2020524207の分割
【原出願日】2018-08-31
【審査請求日】2022-05-02
(32)【優先日】2017-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512190365
【氏名又は名称】ロンザ ウォーカーズヴィル,インコーポレーテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】503147734
【氏名又は名称】ロンザ ケルン ゲーエムベーハー
(73)【特許権者】
【識別番号】520070448
【氏名又は名称】オクタン バイオテック インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】OCTANE BIOTECH INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】シー, ヤーリン
(72)【発明者】
【氏名】マカフィー, エリカ
(72)【発明者】
【氏名】バンダパール, サマタ
(72)【発明者】
【氏名】シーホフ, アン
(72)【発明者】
【氏名】グレイッスナー, ティモ
(72)【発明者】
【氏名】オコナー, ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】アブラハム, エイタン
(72)【発明者】
【氏名】パープラ, ケリー
(72)【発明者】
【氏名】トレイナー, ヌアラ
(72)【発明者】
【氏名】スミス, ティモシー
【審査官】伊達 利奈
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-513499(JP,A)
【文献】特表2017-514517(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 5/00
C12M 1/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遺伝子修飾された免疫細胞培養物の自動化生成のための方法であって、
(a)活性化試薬を用いて、T細胞培養物を活性化して、活性化された免疫細胞培養物を生成する工程、
(b)ウイルスベクターを用いて、活性化されたT細胞培養物を形質導入して、形質導入されたT細胞培養物を生成する工程、
(c)形質導入されたT細胞培養物を拡大する工程、
(d)(c)の拡大したT細胞培養物を濃縮する工程、及び、
(e)(d)の濃縮されたT細胞培養物を回収して、遺伝子修飾されたT細胞培養物を生成する工程
を含み、
(a)~(e)は完全に密閉された細胞工学システムによって行われ、(a)~(e)は遺伝子修飾されたT細胞培養物を生成するプロセスを介して最適化されており、
前記細胞工学システムが、前記方法を開始する前に、(a)のT細胞培養物、前記活性化試薬、及び細胞培養培地を含み、
前記細胞工学システムが
細胞培養チャンバーを含む高温チャンバーと、
温度センサー、pHセンサー、グルコースセンサー、酸素センサー、二酸化炭素センサー、乳酸センサー/モニター、及び/又は光学密度センサーから選択される1つ以上のセンサーと、
細胞培養チャンバーに接続された1つ以上の流体経路と
を含み、
ここで、細胞培養チャンバーは、平坦で柔軟性がないチャンバーであり
前記流体経路は、ガス透過性チューブを有し、前記1つ以上のセンサーを介して、細胞培養チャンバー内の細胞を乱すことなく、再循環、老廃物の除去、均一なガス交換及び細胞培養チャンバーへの栄養の分配を提供し、
前記プロセスは自己調節プロセスであり、前記1つ以上のセンサーによるモニタリングと、前記モニタリングに基づいて、温度、pHレベル、グルコースレベル、酸素レベル、二酸化炭素レベル、及び前記形質導入
されたT細胞培養物の光学濃度のうち1つ以上を調節することを含む、
方法。
【請求項2】
少なくとも約1億個の生存可能な遺伝子修飾されたT細胞を生成する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも約20億個の生存可能な遺伝子修飾されたT細胞を生成する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
T細胞培養物がキメラ抗原受容体T(CAR T)細胞培養物である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記
ウイルスベクターがキメラ抗原受容体をコードする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記T細胞培養物が少なくとも1つのアクセサリー細胞を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記アクセサリー細胞が単球又は単球由来細胞を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記アクセサリー細胞が、CD28、CD40、CD2、CD40L及び/又はICOSを含む、T細胞受容体に対する抗原を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記活性化試薬が抗体又は樹状細胞を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記抗体が表面に固定化されている、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記表面がビーズの表面である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記抗体が可溶性抗体である、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記抗体が、抗CD3抗体及び抗CD28抗体の少なくとも1つを含む、請求項9~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記形質導入が、ウイルス感染、エレクトロポレーション、膜破壊、又はそれらの組み合わせ
によって行われる、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記
ウイルスベクターがレンチウイルスベクター又はレトロウイルスである、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記形質導入が、細胞培養培地中で
ウイルスベクターを混合し、及び培地中の
ウイルスベクターを活性化された免疫細胞培養物に均一に送達することを含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記拡大が、形質導入された免疫細胞培養物の供給、洗浄及びモニタリングの少なくとも1つ又は複数を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記形質導入された免疫細胞培養物の酸素レベルが免疫細胞培養物に対して最適化される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記細胞工学システムが、ステップ(a)~(e)のうちの1つ又は複数の間に酸素供給コンポーネントを通じて細胞培養培地を再循環させる、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記細胞工学システムによって提供される二酸化炭素レベルがステップ(c)の間に減少する、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記細胞工学システムが、形質導入されたT細胞培養物の供給、洗浄、モニタリング、及び選択のうちの1つ又は複数の複数回のラウンドを行うように構成されている、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記濃縮が、遠心分離、沈降後の上清除去、又は濾過を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記プロセスが、遠心分離又は濾過のパラメータを調節することをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記細胞工学システムが複数のチャンバーを含み、ステップ(a)~(e)の各々が細胞工学システムの複数のチャンバーの異なるチャンバーにおいて行われる、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記ステップ(a)の後に、活性化された免疫細胞培養物から活性化試薬を除去することをさらに含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記細胞工学システムが、前記方法を開始する前に、(a)の細胞培養物、活性化試薬、
ウイルスベクター、及び細胞培養培地を含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記細胞培養チャンバーに接続された前記1つ以上の流体経路に流体接続されたアクセスポートから前記ウイルスベクターを受けるステップをさらに含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、完全に密閉された細胞工学システムを利用して、キメラ抗原受容体T(CAR T)細胞を含む遺伝子修飾された免疫細胞を生成する自動化方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
[0002]先進的な細胞療法の臨床的採用の加速についての期待が高まるにつれて、これらの療法が世界中の患者に利益をもたらすことができる基礎となる製造戦略により多くの注目が集まっている。細胞療法は臨床的に大きな期待を抱いているが、償還に比べて高い製造コストは商業化への手強い障害となる。したがって、費用対効果、プロセス効率、及び製造物の一貫性の必要性は、多くの細胞療法分野、特にT細胞免疫療法の自動化の努力を推進している(例えば、Wang、2016年を参照されたい)。
【0003】
[0003]キメラ抗原受容体(CAR)T細胞を使用した免疫療法試験からの最近の成功した臨床結果は、以前に治療不可能な癌に苦しむ患者に新たな希望を提供する(例えば、Lu、2017年;Berdeja、2017年;Kebriaei、2016年を参照されたい)。これらの新規な治療薬が臨床試験段階から商業規模へと移行するにつれて、細胞製造に関連するチャレンジが生じている(例えば、Morrissey、2017年を参照されたい)。
【0004】
[0004]これらの細胞の生成は、患者特有の製造物のために、かなりの手動の関与を必要とする場合がある。CAR T細胞培養の自動化は、細胞の活性化、形質導入、及び拡大などの複数の高感受性ユニット操作のために特に困難である。活性化は特に重要であり、これは、このプロセスの効率が形質導入及び拡大に影響を与える可能性があるためである。
【0005】
[0005]これらの重要な免疫療法を広範な患者集団に転換するには、細胞の活性化、形質導入、及び拡大の商業的製造プラットフォームへの統合が重要である。これらの救命治療を世界の患者集団に適用するには、個別化された医療をサポートするために製造技術のシフトを行う必要がある。自動化の利点は、以前に説明されている(例えば、Trainor、2014年;Mahdavi、2015年を参照されたい)。これらの利点には、自動化の使用に関連する労働時間の節約、並びに製造物の一貫性の向上、部屋分類の削減、クリーンルームの設置面積の削減、トレーニングの複雑性の削減、及びスケールアップと追跡ロジスティクスの改善が含まれる。さらに、ソフトウェアを使用して、自動生成された電子バッチ記録を用いて、文書化プロセスを合理化し、すべての処理装置、試薬、患者識別、オペレーター識別、処理中のセンサーデータなどの履歴を提供することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0006]一部の実施形態では、本明細書において、遺伝子修飾された免疫細胞培養物の自動化生成のための方法が提供され、本方法は、活性化試薬を用いて、免疫細胞培養物を活性化して、活性化免疫細胞培養物を生成し;ベクターを用いて、活性化された免疫細胞培養物を形質導入して、形質導入された免疫細胞培養物を生成し;形質導入された免疫細胞培養物を拡大し;(c)の拡大した免疫細胞培養物を濃縮し;及び(d)の濃縮された免疫細胞培養物を回収して、遺伝子修飾された免疫細胞培養物を生成することを含み、さらに、拡大された免疫細胞培養物及び濃縮された免疫細胞培養物のいずれか又は両方を洗浄することをさらに含み、(a)~(e)は完全に密閉された細胞工学システムによって行われ、(a)~(e)は遺伝子修飾された免疫細胞培養物を生成するプロセスを介して最適化される。
【0007】
[0007]さらなる実施形態では、本明細書において、遺伝子修飾された免疫細胞培養物の好ましい表現型を促進する方法が提供され、本方法は、活性化試薬を用いて、免疫細胞培養物を活性化して、活性化免疫細胞培養物を生成し、活性化試薬及び活性化条件は、遺伝子修飾された免疫細胞培養物の表現型を促進し;ベクターを用いて、活性化された免疫細胞培養物を形質導入して、形質導入された免疫細胞培養物を生成し;形質導入された免疫細胞培養物を拡大し;(c)の拡大した免疫細胞培養物を濃縮し;及び(d)の濃縮された免疫細胞培養物を回収して、遺伝子修飾された免疫細胞培養物を生成することを含み、(a)~(e)は完全に密閉された自動化細胞工学システムによって行われる。
【0008】
[0008]追加の実施形態では、本明細書において、遺伝子修飾された免疫細胞培養物の自動化生成のための方法が提供され、本方法は、活性化試薬を用いて、免疫細胞培養物を活性化して、活性化免疫細胞培養物を生成し;ベクターを用いて、活性化された免疫細胞培養物を形質導入して、形質導入された免疫細胞培養物を生成し;形質導入された免疫細胞培養物を拡大し;(c)の拡大した免疫細胞培養物を濃縮し;及び(d)の濃縮された免疫細胞培養物を回収して、遺伝子修飾された免疫細胞培養物を生成することを含み、(a)~(e)は完全に密閉された自動化細胞工学システムによって行われ、(a)~(e)の各々は、最適化された細胞密度(細胞/mL)及び最適化された細胞密集度(細胞/cm2)を有する免疫細胞培養物を用いて行われる。
【0009】
[0009]追加の実施形態では、本明細書において、遺伝子修飾された免疫細胞培養物の自動化生成のための方法が提供され、本方法は、活性化試薬を用いて、免疫細胞培養物を活性化して、活性化免疫細胞培養物を生成し;ベクターを用いて、活性化された免疫細胞培養物を形質導入して、形質導入された免疫細胞培養物を生成し;形質導入された免疫細胞培養物を拡大し、形質導入された免疫細胞培養物は拡大中に振とうされず;(c)の拡大した免疫細胞培養物を濃縮し;及び(d)の濃縮された免疫細胞培養物を回収して、遺伝子修飾された免疫細胞培養物を生成することを含み、(a)~(e)は、完全に密閉された自動化細胞工学システムによって行われる。
【0010】
[0010]なおさらなる実施形態では、本明細書において、遺伝子修飾された免疫細胞培養物の自動化生成のための方法が提供され、本方法は、細胞工学システムによって行われ、活性化試薬を用いて免疫細胞培養物を活性化して、細胞工学システムの第1のチャンバーで活性化された免疫細胞培養物を生成し;活性化された免疫細胞培養物を形質導入し、形質導入が、活性化された免疫細胞培養物を第1のチャンバーからエレクトロポレーションユニットに移し;活性化された免疫細胞培養物をベクターでエレクトロポレーションして、形質導入された免疫細胞培養物を生成し;形質導入された免疫細胞培養物を細胞工学システムの第2のチャンバーに移すことを含み;形質導入された免疫細胞培養物を拡大し;(c)の拡大した免疫細胞培養物を濃縮し;及び(d)の濃縮された免疫細胞培養物を回収して、遺伝子修飾された細胞培養物を生成することを含む。
【0011】
[0011]追加の実施形態では、本明細書において、自動化細胞工学システムで使用するためのカセットが提供され、細胞培養培地を保存するための低温チャンバー;免疫細胞培養物の活性化、形質導入及び拡大を行うための高温チャンバー、高温チャンバーは熱障壁によって低温チャンバーから分離されて、高温チャンバーは細胞培養チャンバーを含み;及び細胞培養チャンバーに接続された1つ又は複数の流動経路、該流動経路は、細胞培養チャンバー内の細胞を乱すことなく、再循環、老廃物の除去、均一なガス交換及び細胞培養チャンバーへの栄養の分配を提供する。
【0012】
[0012]なおさらなる実施形態では、本明細書において、自動化細胞工学システムで使用するためのカセットが提供され、免疫細胞培養物を収容するように構成されたチャンバー体積を有する免疫細胞培養物の活性化、形質導入及び/又は拡大を行うための細胞培養チャンバー、免疫細胞培養物を収容せずに、培地及び他の作業流体に追加の体積を提供することにより、チャンバーの作業体積を増加させるためのサテライト体積、該サテライト体積は、免疫細胞培養物を乱すことなく、培地が培養チャンバーと交換されるように、1つ又は複数の流体経路を介して細胞培養チャンバーに流体接続される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】キメラ抗原受容体(CAR)T細胞の一般化された製造プロセスを示す図である。
【
図2】本明細書の実施形態で説明される例示的な細胞工学システムを含む実験室空間を示す図である。
【
図3】本明細書の実施形態で説明される細胞工学システムで行われることができるCAR T細胞生成プロセスを示す図である。
【
図4】コクーン(COCOON)システムとCD8+及びCD4+細胞の集団を維持するための制御方法との比較を示す図である。
【
図5】コクーンシステムとCD8+及びCD4+細胞集団におけるCAR T細胞の量の制御方法との比較を示す図である。
【
図6A】
図6A-6Cは、実施例1で使用されるコクーンシステムの概要を示す図である。
図6Aは、閉じた構成であるコクーンシステムを示す。
【
図6B】
図6A-6Cは、実施例1で使用されるコクーンシステムの概要を示す図である。
図6Bは、コクーンに挿入することができるカセットを示す。
【
図6C】
図6A-6Cは、実施例1で使用されるコクーンシステムの概要を示す図である。
図6Cは、オープン構成であるコクーンシステムを示す。
【
図6DE】コクーンシステムで利用される細胞培養チャンバーの位置及び配向を示す図である。
【
図6F】コクーンシステムで利用される細胞培養チャンバーのより詳細な図を示す。
【
図6G】コクーンシステムのプロセスフローの凡例を示す図である。
【
図6H】コクーンシステムを使用したガス移動データを示す図である。
【
図7A】
図7A-7Cは実施例1に記載された実験の結果を示し、コクーンシステムにおけるGFP形質導入及び手動操作を比較する図である。
図7Aは、平均回収量の比較を示す。
【
図7B】
図7A-7Cは実施例1に記載された実験の結果を示し、コクーンシステムにおけるGFP形質導入及び手動操作を比較する図である。
図7Bは、平均回収生存率の比較を示す。
【
図7C】
図7A-7Cは実施例1に記載された実験の結果を示し、コクーンシステムにおけるGFP形質導入及び手動操作を比較する図である。
図7Cは、平均形質導入効率の比較を示す。
【
図8A】
図8A-8Bは実施例1に記載された実験の結果を示し、コクーンシステム及びパーマライフ(PERMALIFE)バッグにおけるHER-2 CAR T形質導入を比較する図である。
図8Aは、生細胞収量の比較を示す。
【
図8B】
図8A-8Bは実施例1に記載された実験の結果を示し、コクーンシステム及びパーマライフ(PERMALIFE)バッグにおけるHER-2 CAR T形質導入を比較する図である。
図8Bは、生存率と形質導入効率の比較を示す。
【
図9A】
図9A-9Dは実施例1に記載された実験の結果を示し、コクーンシステム及びパーマライフバッグを比較する図である。
図9Aは、相対的なCAR T純度の比較を示す。
【
図9B】
図9A-9Dは実施例1に記載された実験の結果を示し、コクーンシステム及びパーマライフバッグを比較する図である。
図9Bは、CD8+細胞の割合の比較を示す。
【
図9C】
図9A-9Dは実施例1に記載された実験の結果を示し、コクーンシステム及びパーマライフバッグを比較する図である。
図9C及び9Dは、それぞれTNFα及びINFγの産生を示す。
【
図9D】
図9A-9Dは実施例1に記載された実験の結果を示し、コクーンシステム及びパーマライフバッグを比較する図である。
図9C及び9Dは、それぞれTNFα及びINFγの産生を示す。
【
図10A】実施例1に記載された実験の結果を示し、コクーンシステム(
図10A)及びパーマライフバッグ(
図10B)で培養したCAR T細胞による標的腫瘍細胞の殺傷を比較する図である。
【
図10B】実施例1に記載された実験の結果を示し、コクーンシステム(
図10A)及びパーマライフバッグ(
図10B)で培養したCAR T細胞による標的腫瘍細胞の殺傷を比較する図である。
【
図11A】
図11A-11Eは本明細書の実施形態に記載されたコクーンシステムの別の構成を示す図である。
図11Aは、コクーンシステムに充填することができる使い捨てのT細胞カセットを示す。
【
図11B】
図11A-11Eは本明細書の実施形態に記載されたコクーンシステムの別の構成を示す図である。
図11Bは、オープン構成であるコクーンシステムを示す。
【
図11C】
図11A-11Eは本明細書の実施形態に記載されたコクーンシステムの別の構成を示す図である。
図11Cは、コクーンに充填されたカセットを示す。
【
図11D】
図11A-11Eは本明細書の実施形態に記載されたコクーンシステムの別の構成を示す図である。
図11Dは、閉じた構成であるコクーンを示す。
【
図11E】
図11A-11Eは本明細書の実施形態に記載されたコクーンシステムの別の構成を示す図である。
図11Eは、コクーンとともに使用するためのカセットの詳細な図を示す。
【
図11F】カセットからサンプリングするためのシリンジ及びバッグの使用を示す図である。
【
図12A】
図12Aは、CAR T細胞生成プロセスのプロセス概要を示す図である。
【
図12B】
図12Bは、進行中のCAR T細胞培養物を含むコクーンカセット細胞増殖チャンバーを示す図である。
【
図12C】
図12Cは、インキュベーター内の細胞培養バッグを使用する手動で操作されるCAR T細胞生成プロセスを示す図である。
【
図13A】
図13A-13Hは、ダイナビーズ(DYNABEADS)又はOKT3によるT細胞活性化と同様に、パーマライフバッグ及びコクーンシステムを比較する、実施例2に記載された実験の結果を示す図である。
図13Aは、生細胞収量を比較する図である。
【
図13B】
図13A-13Hは、ダイナビーズ(DYNABEADS)又はOKT3によるT細胞活性化と同様に、パーマライフバッグ及びコクーンシステムを比較する、実施例2に記載された実験の結果を示す図である。
図13Bは、集団倍加レベル(PDL)を比較する図である。
【
図13C】
図13A-13Hは、ダイナビーズ(DYNABEADS)又はOKT3によるT細胞活性化と同様に、パーマライフバッグ及びコクーンシステムを比較する、実施例2に記載された実験の結果を示す図である。
図13Cは、生存したCD3+T細胞の収量を比較する図である。
【
図13D】
図13A-13Hは、ダイナビーズ(DYNABEADS)又はOKT3によるT細胞活性化と同様に、パーマライフバッグ及びコクーンシステムを比較する、実施例2に記載された実験の結果を示す図である。
図13Dは、CD3+細胞PDLを比較する図である。
【
図13E】
図13A-13Hは、ダイナビーズ(DYNABEADS)又はOKT3によるT細胞活性化と同様に、パーマライフバッグ及びコクーンシステムを比較する、実施例2に記載された実験の結果を示す図である。
図13Eは、CD3+サブセット(CD4+及びCD8+)の割合を比較する図である。
【
図13F】
図13A-13Hは、ダイナビーズ(DYNABEADS)又はOKT3によるT細胞活性化と同様に、パーマライフバッグ及びコクーンシステムを比較する、実施例2に記載された実験の結果を示す図である。
図13Fは、抗PD-1で測定した細胞の消耗を比較する図である。
【
図13G】
図13A-13Hは、ダイナビーズ(DYNABEADS)又はOKT3によるT細胞活性化と同様に、パーマライフバッグ及びコクーンシステムを比較する、実施例2に記載された実験の結果を示す図である。
図13G及び13Hは、それぞれダイナビーズ又はOKT3で活性化されたCD8+CD3+T細胞のサイトメトリープロットを示す図である。
【
図13H】
図13A-13Hは、ダイナビーズ(DYNABEADS)又はOKT3によるT細胞活性化と同様に、パーマライフバッグ及びコクーンシステムを比較する、実施例2に記載された実験の結果を示す図である。
図13G及び13Hは、それぞれダイナビーズ又はOKT3で活性化されたCD8+CD3+T細胞のサイトメトリープロットを示す図である。
【
図14A】
図14A-14Fは、実施例2に記載された実験の結果を示し、パーマライフバッグとコクーンシステムを比較する図である。
図14Aは、CD3+細胞の形質導入効率を比較する。
【
図14B】
図14A-14Fは、実施例2に記載された実験の結果を示し、パーマライフバッグとコクーンシステムを比較する図である。
図14Bは、生存したCAR T細胞の総数を比較する。
【
図14C】
図14A-14Fは、実施例2に記載された実験の結果を示し、パーマライフバッグとコクーンシステムを比較する図である。
図14Cは、T細胞サブセット(CD4+及びCD8+)の形質導入効率を比較する。
【
図14D】
図14A-14Fは、実施例2に記載された実験の結果を示し、パーマライフバッグとコクーンシステムを比較する図である。
図14Dは、サブセットごとに総CAR T細胞を比較する。
【
図14E】
図14A-14Fは、実施例2に記載された実験の結果を示し、パーマライフバッグとコクーンシステムを比較する図である。
図14E及び14Fは、それぞれコクーン及びパーマライフバッグ内のCD3+OKT3活性化細胞のサイトメトリープロットを示す。
【
図14F】
図14A-14Fは、実施例2に記載された実験の結果を示し、パーマライフバッグとコクーンシステムを比較する図である。
図14E及び14Fは、それぞれコクーン及びパーマライフバッグ内のCD3+OKT3活性化細胞のサイトメトリープロットを示す。
【
図15A】
図15A-15Fは、実施例2に記載された実験の結果を示し、パーマライフバッグとコクーンシステムを比較する図である。
図15Aは、TNFαを産生する細胞の割合を比較する。
【
図15B】
図15A-15Fは、実施例2に記載された実験の結果を示し、パーマライフバッグとコクーンシステムを比較する図である。
図15Bは、IFNγを産生する細胞の割合を比較する。
【
図15C】
図15A-15Fは、実施例2に記載された実験の結果を示し、パーマライフバッグとコクーンシステムを比較する図である。
図15C及び15Dは、それぞれTNFα及びIFNγを分泌するダイナビーズ活性化され、コクーン生成された細胞のサイトメトリープロットを示す。
【
図15D】
図15A-15Fは、実施例2に記載された実験の結果を示し、パーマライフバッグとコクーンシステムを比較する図である。
図15C及び15Dは、それぞれTNFα及びIFNγを分泌するダイナビーズ活性化され、コクーン生成された細胞のサイトメトリープロットを示す。
【
図15E】
図15A-15Fは、実施例2に記載された実験の結果を示し、パーマライフバッグとコクーンシステムを比較する図である。
図15E及び15Fは、それぞれパーマライフバッグ又はコクーンシステムから生成されたCAR T細胞の腫瘍殺傷効率を示す。
【
図15F】
図15A-15Fは、実施例2に記載された実験の結果を示し、パーマライフバッグとコクーンシステムを比較する図である。
図15E及び15Fは、それぞれパーマライフバッグ又はコクーンシステムから生成されたCAR T細胞の腫瘍殺傷効率を示す。
【
図16】コクーンとパーマライフの比較、及びダイナビーズ又はOKT3による活性化の概要を示す図である。
【
図17】本明細書の実施形態による、細胞工学システムとのエレクトロポレーションユニットの組み込みを示す図である。
【
図18】細胞工学システムからエレクトロポレーションユニットへの免疫細胞培養物のフローを示す図である。
【
図19】本明細書に記載されるヒト幹細胞実験の結果を示す図である。
【
図20】本明細書に記載されるヒト幹細胞実験の結果を示す図である。
【
図21】実施例4における分化した細胞表現型を
図21に示す。
【
図22】
図22は、実施例4における単一コロニーが多系統分化を形成し得ることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0037]本開示は、キメラ抗原受容体T(CAR T)細胞を生成する自動化方法を提供する。CAR T細胞の生成は、典型的には、患者固有の製造物のために手動での関与が必要である。CAR T細胞培養の自動化は、細胞の活性化、形質導入、及び拡大などの複数の高感受性ユニット操作のために特に困難である。したがって、本明細書では、完全に密閉された細胞工学システムを利用するCAR T細胞生成の自動化方法が開示される。
【0015】
自動化細胞処理
[0038]T細胞療法などの自家細胞治療の場合、マイクロロット(ロットごとに1人の患者)を製造するバッチには同種(ロットごとに複数の患者)プロセスを活用できる規模の経済性が欠如しているため、費用対効果、プロセス効率、及び精製物の一貫性の必要性が特に重大である(例えば、Jones、2012年;Trainor、2014年を参照されたい)。マイクロロットに必要とされるより大規模であり、局在化された労働力と施設は、特にスタッフの空室状況とトレーニングに関して、ロジスティクス、手動生成のGMPコンプライアンスにかなりの要求を課している。さらに、オペレーター間の技術のばらつきの潜在性は、放出基準を一貫して満たし、安全で信頼できる製造物を確保するという望ましくないリスクをもたらす場合がある。
【0016】
[0039]本明細書に記載されるように、自動化された製造の導入及び包括的な検証は、これらのロジスティクスであり、運用上のチャレンジに対する解決策を提供する。生成プロセスに自動化を導入するための重要なアプローチは、オペレーターが「ユニット操作」と呼ばれる物理的又は化学的な変更を生成材料に適用する主要なモジュール式ステップを識別することである。細胞製造の場合、これには、細胞分離、遺伝子操作、増殖、洗浄、濃縮、及び細胞回収などのステップが含まれる。製造業者は、多くの場合、自動化を導入するための直接的な機会として焦点プロセスのボトルネックを特定する。これは、市販のバイオリアクターの大部分の技術的操作範囲に反映され、個別のプロセスステップに焦点をあてる傾向がある。細胞製造におけるプロセスチャレンジ(無菌性の維持から試料の追跡まで)は、本明細書では、避けられないプロセスの変動を改善しながら、一貫性のあるセル出力を生成するエンドツーエンド自動化によって対処される。本明細書に記載される方法はまた簡素化を提供し、関連する電子記録はGMP規格への準拠を支援する(例えば、Trainor、2014年を参照されたい)。
【0017】
ユニット操作の自動化及び主要なプロセス感受性
[0040]癌免疫療法のための修飾された自己T細胞の臨床開発の最近の急速な進歩により、関連する転換及びスケールアップ/スケールアウトの意味合いの計画が導かれた。
【0018】
[0041]特定のプロトコールは、T細胞製造に関して変化し得るが、一般化されたキメラ抗原受容体T細胞(CAR T)プロセスが
図1に示される。
図1は、患者の血液試料の初期処理から自己T細胞療法用の出力細胞の処方まで、CAR T細胞製造のユニット操作を記載する。
【0019】
[0042]本明細書に記載されるように、細胞製造の自動化を達成するために、本明細書に記載される方法は、各遷移点での細胞の状態、及び特定のユニット操作による影響の理解を提供する。患者固有の治療のためのマイクロロット生成は、自動化の実施可能性に影響を与える重要なプロセス感受性を尊重する必要がある。本明細書に記載される自動化には、様々なプロセスステップが包含される。
【0020】
[0043]以下の表1は、T細胞自動化のために特定されたいくつかのプロセスステップのチャレンジを強調し、自動化戦略に対する感受性の影響に留意する。すべてのユニット操作では、汚染のリスクがあるため、それぞれの機器間の細胞のオープン転送が重要な感受性であることに留意されたい。
【表1】
【0021】
[0044]表1に列挙された感受性を中心とする手動プロセスの自動化を調節することは、細胞療法の性能の転換、維持又は改善の成功を支持することができる。
【0022】
自動化ユニット操作の統合
[0045]GMPロジスティクス、経済性及び自動化の患者の安全への影響を考慮するとともに、ユニット操作は、ユニット操作あたりの典型的な労働時間(オペレーターと品質保証モニターの両方の労働時間を含む)との関連で評価され得る。表2は、CAR T自動化の代表的なステップの名目上の手動処理タイムラインを示す。この表は、一般化されたCAR Tセルプロセスの各ユニット操作に必要なリソースコミットメントを強調する。各ステップについて、自動化プロセスの推定される残り労働時間が、削減の理由とともに特定される。
【表2】
【0023】
[0046]本明細書に記載される方法に基づいて、ユニット操作の自動化は、名目上の手動プロセスをほぼ40時間、元の時間の約4分の1に削減することができる。
【0024】
個別対完全に統合された自動化
[0047]自動化の価値には説得力のある証拠があるが(例えば、Trainor 2014;Levine 2017参照)、末端間のシーケンスにあるこれらの自動化ステップを自動転送と統合するという価値及び実用性について、その後の分析が必要である。個別のプロセス自動化の利点対エンドツーエンド統合の利点には、異なる視点がある。
【0025】
[0048]個別の自動化の主な利点は柔軟性である。これは次の分野に関連する:
1)固有のプロセス操作のメンテナンス
2)個々のユニットの動作検証に基づいた転換活動の加速
3)ドナー間の変動に対応するために処理ステップを変更する能力
【0026】
[0049]柔軟性の向上に関連する第1の点は、プロセスのより多くの制御をオペレーターに提供する。これは、プロセスに最終製造物に影響を与える可能性のある非常に感受性のステップがある状況において重要である。オールインワンシステムに切り替えると、製造物の結果に影響を与える制約が課される場合がある。個別のアプローチは、各ステップを行う方法を選択するための柔軟性を提供し、これは、高感受性のユニット操作では特に重要であり得る。また、個別のアプローチは、手動処理から自動化への段階的な転換を可能にし、これは、各ユニット操作が個別に試験され得る場合に同等性を実証するのに役立つ。さらに、特定のユニット操作を自動化することにより、細胞性能に基づいてなされる決定に柔軟性を提供する。例えば、細胞が急速に増殖している場合、1つの細胞培養バッグから2つに拡大する必要があり得る。最後に、個別のシステムを使用した自動化へのアプローチはまた、グループが、各ユニット操作に使用するためにどの機器を精選し得るようにする。
【0027】
[0050]機器の利用は、個別の自動化のための別の議論である。他のユニット操作よりも有意に時間がかかるユニット操作があり得る。エンドツーエンド処理システムでは、複数のユニット操作をすべて単一のシステムで実行する必要があり、したがって、培養プロセスの間、機器を占有する。
【0028】
[0051]個別の自動化には利点はある一方で、エンドツーエンドアプローチは、それほど魅力的な利益ではないが、異なるものを提供する。第1に、完全に統合されたシステムにより、汚染のリスクが大幅に削減される。個別のアプローチで必要とされる取り扱いが増加するため、オペレーターの介入により製造物が変動する可能性が大きい。第2に、前述したように、これは、必然的に人件費の増加をもたらす。
【0029】
[0052]個別アプローチにより提供される柔軟性は重要である。製造物を画定する上でプロセスが重要である状況では、エンドツーエンドシステムに独自の感受性を統合する柔軟性をもたせるべきである。これには、特定の供給戦略、酸素レベル、表面処理などが含まれ得る。このようなアプローチには、ソフトウェアと使い捨てコンポーネントの両方において柔軟性が必要である。システムは、特定のユニット操作が製造物仕様チェックポイントを満たしていることを確認するために、プロセスの様々なポイントで細胞及び培養試料を引き出すオプションを提供するべきである。変更が必要な場合、ソフトウェアは、これらの変更を実装して、理想的な条件を提供できるようにすべきである。使い易く柔軟性のあるソフトウェアは転換目的には非常に有益であるが、臨床標準(FDA 21 CFR Part 11)に準拠するためにソフトウェアを簡単にロックダウンできることが重要である。一度ロックダウンされると、オペレーターがプロトコールを変更する何らかの能力があれば制限されるべきである。しかしながら、固有のドナー変動性の問題に対処するためには、細胞増殖率に基づいて検証済みのプロトコールの範囲から選択するオプションが存在する必要がある。例えば、細胞が急速に増殖している場合、システムは、これに応答し、それに応じて食餌又は回収の時点を調節し得るべきである。
【0030】
[0053]エンドツーエンド統合対個別の自動化の選択はまた、臨床プロセスの長期的なビジョンに依存する。単一のオールインワンシステムにより、スペース効率が有意に向上し、高価なGMPクリーンルームで必要な設置面積を最小限にすえることができる。例えば、
図2に示されるように、完全に統合された自動化システムは、必要な設置面積を最大化して、高価なGMPクリーンルームスペースを削減するように設計される。
図2は、標準的なラボスペースで実行されている96人の患者固有のエンドツーエンドユニットを示す。
【0031】
[0054]単一のシステムはまた、データ追跡をより容易にするが、個別のシステムは、すべての電子データファイルを一緒にリンクする準拠ソフトウェアを提供しない場合がある。VINETI(Vineti Ltd)及びTRAKCEL(TrakCel Ltd)などのソフトウェアプラットフォームを使用すると、サプライチェーンのロジスティクスを電子的にモニタリング及び編成することができる。しかしながら、単一のオールインワン培養システムは、処理イベントと各ユニット操作に関連する培養条件のバイオモニタリングの両方の履歴をバッチ記録に組み込むことにより、さらに進化することができる。したがって、エンドツーエンド統合の利点は、有意な競争上の利点をもたらす。
【0032】
ユニット操作の統合のための商用プラットフォーム
[0055]多数の自己細胞療法、特に血液系の癌の免疫療法における臨床試験の成功は、予測される臨床需要を満たすために、新しい臨床プロトコールを堅牢な生成プラットフォームに転換することができることに重要性を強調している(例えば、Levine、2017年;Locke、2017年を参照されたい)。自己療法の場合、患者固有の各細胞治療の処理は、包括的な製造活動及び操作管理を適切に利用する。本明細書の方法は、プロセスの最適化、セキュリティ及び経済性を達成するために、ターンキー自動化システムのユニット操作を連結する。
【0033】
[0056]自己プロセスを設計する際のチャレンジは2要素である。第1に、物理的に分離され、最適化された機器の一部で個別の処理ステップが生じる可能性がある同種とは異なり、スケールアウトされた自己プラットフォームは、単一の閉じた自己完結型自動化環境で必要なすべてのステップを適切に行う。第2に、理論的にはすべての実行が、公知の品質及び予測可能なプロセス動作とともに、細胞バンクの高品質バイアルから始まる同種異系プロセスとは異なり、自己プロセスの出発原料は非常に多様であり、一般的に健康が損なわれた個人から来る。
【0034】
[0057]したがって、本明細書では、物理的撹拌、pH、供給、及びガス処理などの要因を制御することにより、培養条件を感知し、それに応じて洗練されたバイオリアクターとして応答することができる方法が提供される。さらに、同種異系治療と比較して自己治療に関連する技術移転には、有意に異なるチャレンジがある。自己製造物は、製造プロセスと患者の治療の間の安定性により大きな制限がある場合がある。サイトは、単一のセンターというよりはむしろグローバルに配置することができる。ロックダウン(例えば、完全に密閉された)オールインワンシステムを使用すると、サイト間の技術移転プロセスが有意に改善される。
【0035】
[0058]供給源の変動性を排除することはできないが、自動化は、標準化及び再現性を通じて最終自己製造物の変動性を除去するのに役立つ。この手法は、活性な細胞培養の状態をモニタリングするバイオセンサーを介して細胞性能の基準点を取得するために、主要な細胞システムプロバイダーによって採用される。エンドツーエンド統合では、プロセスの特定の段階からの出力は、プロセスの進行のために許容可能なパラメータ内に収まる必要がある。
【0036】
[0059]本明細書に記載されるように、実施形態では、提供される方法は、単一のターンキープラットフォームに複数のユニット操作を統合するコクーンプラットフォーム(Octane Biotech(Kingston、ON))を利用する。非常に特定の細胞処理目的で複数の細胞プロトコールが提供される。効率的であり、効果的な自動化転換を提供するために、記載されている本方法は、複数のユニット操作を組み合わせたアプリケーション固有/スポンサー固有の使い捨てカセットの概念を利用する-最終的な細胞治療製造物のコア要件にすべて焦点をあてている。
【0037】
[0060]本明細書に記載される方法は、完全に統合された、閉鎖された自動化システムにおいてCAR T細胞(活性化、ウイルス形質導入及び拡大、濃縮及び洗浄を含む)を拡大するために使用されている(
図3)。
【0038】
[0061]実施された実験において、10~14日間の培養物におけるCAR T細胞の倍数拡大は、約40~60に達した。CD4+とCD8+の両方のT細胞サブセットは、CAR T治療の成功に必要である。したがって、両方のT細胞サブセットの培養を維持する能力について、実行及び関連する対照をフローサイトメトリーで評価した。
図4は、すべての実行、並びにすべての対照が両方のT細胞サブセットを維持し得たことを示す。存在するCAR T細胞の割合はまた、T細胞サブセットの各集団で評価された(
図5)。すべての試料において、CD8+画分と比較してCD4+画分でNGFR(CAR構築物を示す)の検出が高かったが、すべての試料において、CD8+部分のNGFR+画分は、対のCD4+集団で見つかった画分の50%を超えていた。要約すると、本明細書に記載される方法を使用した自動化CAR Tプロセスは、T細胞サブセットの健康な集団をもたらす。
【0039】
自動化の利点
[0062]細胞療法の生成における単位操作の自動化は、同種及び自己の細胞療法の用途にわたって普遍的な利益の機会を提供する。患者固有の自己細胞製造物の固有のシナリオでは、これらの療法の最近の臨床的成功によりさらにより強調されているが、自動化の利点は、小ロットのGMPコンプライアンス、経済、患者の追跡可能性及びプロセスの逸脱の早期識別という非常に複雑なマイクロロットにより、特に魅力的である。関連する複雑な製造プロトコールの出現は、マイクロロット細胞生成における自動化されたユニット操作のエンドツーエンド統合の価値が重要な研究のポイントになっていないという事実に注目を集めている。しかしながら、差し迫った承認に続いてこれらの療法に期待される需要は、完全に閉鎖されたエンドツーエンドシステムの実装が、ハンズオンタイム及びフットプリントなどの製造ボトルネックに非常に必要な解決策を提供し得ることを示している。
【0040】
[0063]先進療法の開発者は、臨床翻訳の展開の初期に自動化を検討し、臨床試験プロトコールをスケールアップすることが推奨される。初期の自動化は、プロトコール開発に影響を与え、後の段階で手動プロセスから自動化プロセスに切り替える場合の比較可能性研究の必要性を回避し、長期的な商業化ルートの理解を深めることができる。
【0041】
CAR T細胞を含む遺伝子修飾された免疫細胞を生成する方法
[0064]実施形態では、本明細書では、遺伝子修飾された免疫細胞培養物の自動化生成法が提供される。本明細書で使用するとき、「遺伝子修飾された免疫細胞培養物」(又は遺伝子修飾された免疫細胞)とは、(例えば、抗原提示細胞との共培養を通じて)修飾又はプライムされた免疫系の細胞を指し、ヒトを含む動物の1つ又は複数の疾患の治療、予防、又は改善に有用な所望の表現型を有する細胞をもたらす。本明細書で使用するとき、「免疫細胞培養物」は、本明細書に記載される方法によって調製された細胞集合を指し、調査又は臨床試験で使用するため、並びに医学療法のためにヒト患者を含む哺乳動物に投与するための細胞集団を含むことができる。本明細書に記載させる方法を使用して生成することができる遺伝子修飾された免疫細胞培養物には、マスト細胞、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、B細胞、T細胞などが含まれ得る。
【0042】
[0065]本明細書に記載される様々な方法はまた、例えば、造血幹細胞を含む遺伝子修飾されたヒト幹細胞培養物の生成を含む、他の遺伝子修飾された細胞培養物に拡大することができる。
【0043】
[0066]例示的な実施形態では、本方法は、活性化試薬を用いて免疫細胞培養物を活性化して、活性化免疫細胞培養物を生成し、ベクターで活性化免疫細胞培養物を形質導入して、形質導入された免疫細胞培養物を生成し、形質導入された免疫細胞を拡大し、拡大された免疫細胞培養物を濃縮し、濃縮された免疫細胞培養物を回収して、遺伝子修飾された免疫細胞培養物を生成することを含む。適切には、本方法は、拡大された免疫細胞培養物若しくは濃縮された免疫細胞培養物のいずれか又は両方をさらに含む。実施形態では、本方法の様々なステップは、完全に密閉された細胞工学システムによって行われ、遺伝子修飾された免疫細胞培養物を生成するプロセスを介して最適化される。
【0044】
[0067]遺伝子修飾された免疫細胞を生成するためのプロセスを最適化する方法には、自動化された方法を開始する前の細胞培養条件の最適化、並びに増殖条件(例えば、ガス濃度、培地条件、温度、pH、老廃物及び栄養素濃度など)に対するリアルタイムの修飾を支援するための様々なセンサーなどからのフィードバックの使用が含まれる。
【0045】
[0068]実施形態では、最適化プロセスは自己調節プロセスであり、これは外部(ヒト)ユーザーからの入力を必要とせず、様々なコンピュータープログラム及び条件を介して、細胞培養に必要な修飾を決定することができるか、又は自動化プロセスを最適化する他の特性を決定することができるプロセスである。実施形態では、自己調節プロセスは、温度センサー、pHセンサー、グルコースセンサー、酸素センサー、二酸化炭素センサー、及び光学密度センサーのうちの1つ又は複数でモニタリングすることを含む。本明細書に記載されるように、完全に密閉された細胞工学システムにおけるこれらの様々なセンサーの使用は、システム内の様々な時間及び場所で生じ、協調して最適化を提供するように働く。例えば、自己調節プロセスは、モニタリングに基づいて、温度、pHレベル、グルコースレベル、酸素レベル、二酸化炭素レベル、及び形質導入されたT細胞培養物の光学密度のうちの1つ又は複数を調節(例えば、上昇又は低下)させることができる。
【0046】
[0069]最適化プロセスはまた、例えば、総細胞数、細胞の供給源、細胞の密度、細胞の年齢などを含む、開始細胞集団の固有の特徴に基づくことができる。自動化方法を開始する前に、開始細胞集団の特徴をコンピューター制御システムに入力することができる。この場合、システムは、例えば、酸素及び二酸化炭素の濃度、流量、インキュベーション時間、pHなど、本方法を最適化するための様々な初期変更を行う。あるいは、細胞プロセスのモニタリングにより、開始集団からの細胞培養シーケンスの進行の自動化された特徴付けが可能になり、最適化された最終細胞培養特性の条件をケースバイケースで調節することができる。
【0047】
[0070]例示的な実施形態では、本明細書に記載される方法は、少なくとも約5千万個の生存可能な遺伝子修飾された免疫細胞を生成する。適切な実施形態では、記載される方法は、少なくとも約1億個の生存可能な遺伝子修飾された免疫細胞、又は少なくとも約2億個の細胞、少なくとも約3億個の細胞、少なくとも約4億個の細胞、少なくとも約5億個の細胞、少なくとも約6億個の細胞、少なくとも約7億個の細胞、少なくとも約8億個の細胞、少なくとも約10億個の細胞、少なくとも約11億個の細胞、少なくとも約12億個の細胞、少なくとも約13億個の細胞、少なくとも約14億個の細胞、少なくとも約15億個の細胞、少なくとも約16億個の細胞、少なくとも約17億個の細胞、少なくとも約18億個の細胞、少なくとも約19億個の細胞、少なくとも約20億個の細胞、少なくとも約21億、少なくとも約22億個、少なくとも約23億個、少なくとも約24億個、少なくとも約25億個、少なくとも約26億個、少なくとも約27億個、少なくとも約28億個、少なくとも約29億個、又は少なくとも約30億個の遺伝子修飾された免疫細胞を生成する。
【0048】
[0071]本明細書に記載されるように、本方法により生成される遺伝子修飾された免疫細胞培養物は、適切には、キメラ抗原受容体T(CAR T)細胞培養物を含むT細胞培養物である。このような実施形態では、このようなCAR T細胞を生成するために利用されるベクターは、キメラ抗原受容体をコードするベクターである。適切には、免疫細胞培養物は、末梢血単核細胞及び/又は精製T細胞を含む。実施形態では、免疫細胞培養物は、少なくとも1つのアクセサリー細胞、適切には単球又は単球由来細胞を含む。本明細書に記載されるように、実施形態では、アクセサリー細胞は、CD28、CD40、CD2、CD40L及び/又はICOSを含むT細胞受容体に対する抗原を含む。
【0049】
[0072]適切には、活性化試薬は抗体又は樹状細胞を含む。実施形態では、抗体は、ポリスチレンプラスチック、シリコーン、又は例えばビーズの表面を含む他の表面を含むことができる表面に固定化される。
【0050】
[0073]他の実施形態では、活性化試薬は、抗CD3抗体及び抗CD28抗体の少なくとも1つを含む可溶性抗体である抗体を含む。例示的な抗体にはOKT3が含まれる。
【0051】
[0074]細胞を形質導入するための様々な方法は、例えば、ウイルス感染、エレクトロポレーション、膜破壊、又はそれらの組み合わせを含む自動化方法で利用することができる。
【0052】
[0075]例示的な実施形態では、本方法で利用されるベクターは、レンチウイルスベクター又はレトロウイルスである。適切には、形質導入は、細胞培養培地でベクターを混合し、培地中のベクターを活性化された免疫細胞培養物に均一に送達させることを含む。本明細書に記載されるように、細胞への均一な様式でのベクターの均一な送達は、所望の遺伝子修飾された免疫細胞の高出力の様々な細胞特性の最適化を提供する。
【0053】
[0076]本明細書に記載されるように、細胞を拡大する方法は、形質導入された免疫細胞培養物の供給、洗浄、モニタリング、及び選択のうちの少なくとも1つ又は複数を適切に含む。
【0054】
[0077]本明細書に記載される様々な方法は、形質導入された免疫細胞培養物の酸素レベルが免疫細胞培養物に対して最適化されるような方法で実施される。この最適化は、本明細書に記載されるように、所望の細胞表現型の促進を含む、所望の表現型特性を有する多数の生存細胞の生成を可能にする。実施形態では、酸素レベル又は濃度は、ステップ(a)から(e)のうちの1つ又は複数の間に酸素供給コンポーネント(oxygenation component;酸素供給構成要素)を通じて細胞培養培地を再循環する細胞工学システムによって最適化される。本明細書に記載されるように、酸素化(oxygenation;酸素供給)は、シリコーンベースのチューブコンポーネントを含む1つ又は複数の流体経路を通じて適切に生じる。
【0055】
[0078]さらなる実施形態では、細胞工学システムは、様々な方法プロセスの間に栄養素、老廃物、放出されたサイトカイン、及び/又は溶解ガスを再循環させる。この再循環は、所望の表現型(複数可)を有する多数の生存細胞の生成を支援する。適切には、細胞工学システムによって提供される二酸化炭素レベルは、細胞増殖などを最適化するように、拡大ステップの間に減少する。他の実施形態では、例えば、完全な培地交換が利用される場合、CO2レベルを上げることができる。
【0056】
[0079]細胞の増殖条件を最適化するための他のメカニズムには、細胞に提供される培地の流量を修飾及び制御することが含まれる。細胞が増殖し始めると、提供される培地の循環速度が増加し、これによりガス交換が改善され、細胞の状態とその時点の要件に応じて、酸素及び二酸化炭素が細胞培養物に投入又は取り出され得る。
【0057】
[0080]実施形態では、細胞工学システムは、供給、洗浄及びモニタリングのうちの1つ又は複数の複数回のラウンドを行うように構成され、実施形態では、形質導入された免疫細胞培養物の選択を行うように構成されている。これらの様々な活動は任意の順序で行うことができ、単独で又は別の活動と組み合わせて行うことができる。実施形態では、細胞の濃縮は、遠心分離、沈降後の上清除去、又は濾過を含む。適切には、最適化プロセスは、適切には自己調節プロセスにおいて、遠心分離又は濾過のパラメータを調節することをさらに含む。形質導入された細胞の選択は、例えば、磁気分離、濾過、プラスチック又は他の基質への付着などによって実施され得る。
【0058】
[0081]本明細書に記載される実施形態では、細胞工学システムは複数のチャンバーを含み、本方法の各ステップは細胞工学システムの複数のチャンバーの異なるチャンバーで行われる。
【0059】
[0082]適切には、本方法は、ステップ(a)の後に活性化免疫細胞培養物から活性化試薬を除去することをさらに含み、形質導入ステップに続いてベクターを除去することを含むことができる。活性化試薬は、細胞又は活性化試薬を洗浄、排出又は物理的に除去することにより、免疫細胞培養物から適切に除去される。ベクターは、洗浄することにより、又はベクターを表面(例えば、レトロネクチン又はフィブロネクチンでコーティングされた表面)に結合させ、次に細胞を別のチャンバーに移すことにより除去することができる。
【0060】
[0083]例示的な実施形態では、細胞工学システムは、本方法を開始する前に、細胞培養物、活性化試薬、ベクター、及び細胞培養培地を含む。他の実施形態では、活性化試薬及び/又はベクターは、生成方法の開始後、又はプロセス中の任意の適切な時間に別々に添加することができる。
【0061】
[0084]さらなる実施形態では、本明細書では、遺伝子修飾された免疫細胞培養物の好ましい表現型を促進する方法が提供され、本方法は、活性化試薬で免疫細胞培養物を活性化して、活性化免疫細胞培養物を生成し、活性化試薬及び活性化条件は、遺伝子修飾された免疫細胞培養物の表現型を促進し、活性化免疫細胞培養物をベクターで形質導入して、形質導入された免疫細胞培養物を生成し、形質導入された免疫細胞培養物を拡大し、拡大された免疫細胞培養物を濃縮し、及び(d)の濃縮された免疫細胞物を回収して、遺伝子修飾された免疫細胞培養物を生成することを含む。本明細書に記載されるように、本方法は、完全に密閉された自動化細胞工学システムによって適切に行われる。
【0062】
[0085]本明細書に記載されるように、適切な活性化試薬及び適切な活性化条件の選択は、遺伝子修飾された免疫細胞培養物の所望の表現型の促進を提供する。すなわち、免疫細胞培養物の表現型を特異的に選択及び促進することができ、その結果、本方法により生成される細胞の適切な大部分は、所望の好ましい表現型を有する。他の実施形態では、1つの細胞表現型対別の表現型の所望の比を制御及び促進して、所望の好ましい表現型バランスを提供することができる。
【0063】
[0086]本明細書に記載されるように、抗体、特に可溶性抗体である活性化試薬の使用により、遺伝子修飾された免疫細胞の所望の表現型を促進し得ることが見出された。適切には、利用される抗体は、可溶性抗体OKT3を含む、抗CD3抗体、抗CD28抗体、及び抗CD2抗体の少なくとも1つである。
【0064】
[0087]実施形態では、活性化条件は、活性化試薬と免疫細胞培養物の間の安定した接触を可能にする実質的に妨害されていない免疫細胞培養物を提供する。本明細書に記載されるように、実質的に妨害されない条件下で、及び平らで実質的に柔軟性のない細胞培養チャンバーの使用を介して、細胞を活性化し得ることが見出された。これにより、細胞を活性化試薬と均一に接触させ、必要な栄養素、溶存ガスなどと相互作用して、所望の促進された表現型を達成することができる環境が提供される。
【0065】
[0088]本明細書に記載される方法は、好ましい表現型を提供するために適切な活性化方法を選択することにより、最終の免疫細胞培養生成物の特性に影響を及ぼし得る。例えば、本明細書に記載されるビーズベースのプロセスを利用する活性化は、よりバランスのとれたCD4:CD8比を促進し、一方、可溶性抗CD3の使用はCD4よりも高いCD8集団を促進する。本明細書に記載される方法を使用して、他のレベルのCD8及びCD4もまた提供することができる。例示的な実施形態では、本明細書に記載されるように、本方法を利用して、CAR T細胞を調製することができる。適切には、本方法を利用して、CD8+細胞対CD4+細胞の比が、約0.5:1~約5:1、約0.8~約3:1、又は約1:1、約2:1を含む、約0.1:1~約10:1のCD8+細胞対CD4+比を有するCAR T細胞の表現型を促進することができる。
【0066】
[0089]さらなる実施形態では、遺伝子修飾された免疫細胞培養物の自動化生成法が提供され、本方法は、活性化試薬で免疫細胞培養物を活性化して、活性化免疫細胞培養物を生成し、活性化免疫細胞培養物をベクターで形質転換して、形質導入された免疫細胞培養物を生成し、形質導入された免疫細胞培養物を拡大し、(c)の拡大された免疫細胞培養物を濃縮し、及び(d)の濃縮された免疫細胞培養物を回収して、遺伝子修飾された免疫細胞培養物を生成することを含む。本明細書に記載されるように、本方法は、完全に密閉された自動化細胞工学システムによって適切に行われる。実施形態では、本方法の各ステップは、最適化された細胞密度(細胞/mL)及び最適化された細胞密集度(細胞/cm2)を有する免疫細胞培養物で行われる。
【0067】
[0090]本明細書に記載されるように、最適化された細胞密度(細胞培地1mLあたりの細胞)及び/又は細胞密集度(細胞が作用し、増殖する細胞培養チャンバーの面積(cm2)あたりの細胞)を利用することにより、生細胞の増加した生成、並びに細胞表現型のより良い制御などを提供し得ることが決定されている。
【0068】
[0091]実施形態では、最適化された細胞密度は、約0.05×106細胞/mL~約60×106細胞/mL、約0.05×106細胞/mL~約40×106細胞/mL、又は約0.05×106細胞/mL~約20×106細胞/mLである。最適化された細胞密度は、生成の方法の過程全体で変化し得、そのため、本方法の各段階(すなわち、活性化、形質導入、拡大、濃縮)で、細胞密度は、本方法の特定のステップに最良の細胞密度を提供するために制御又は操作される。細胞密度は、例えば、最適な開始細胞密度の選択、酸素及び/又は二酸化炭素濃度の増加若しくは減少、pH、温度、栄養素の調節、老廃物の除去などにより最適化することができる。例示的な細胞密度には、約0.05×106細胞/mL、約0.08×106細胞/mL、約1×106細胞/mL、約5×106細胞/mL、約10×106細胞/mL、約20×106細胞/mL、約30×106細胞/mL、約40×106細胞/mL、約50×106細胞/mL、又は約60×106細胞/mLなどが含まれる。
【0069】
[0092]実施形態では、最適化された細胞密集度は、約0.1×106細胞/cm2~約60×106細胞/cm2、又は約0.1×106細胞/cm2~約40×106細胞/cm2、又は約0.1×106細胞/cm2~約20×106細胞/cm2である。
最適化された細胞密集度は、生成方法の過程全体で変化し得、本方法の各段階(すなわち、活性化、形質導入、拡大、濃縮)で、細胞密集度を制御又は操作して、本方法の特定のステップに最良の細胞密集度を提供する。細胞密集度は、最適な開始細胞密集度の選択、細胞培養チャンバーの材料の選択、酸素及び/又は二酸化炭素濃度の増加若しくは減少、pH、温度、栄養素の調節、老廃物の除去などによって最適化することができる。例示的な細胞密集度には、約0.1×106細胞/cm2、約0.5×106細胞/cm2、約1×106細胞/cm2、約0.5×106細胞/cm2、約10×106細胞/cm2、約20×106細胞/cm2、約30×106細胞/cm2、約40×106細胞/cm2、約50×106細胞/cm2、又は約60×106細胞/cm2などが含まれる。
【0070】
[0093]実施形態では、本方法は、栄養素、老廃物、放出サイトカイン、及び/又は溶解ガスの再循環が、約0.05×106細胞/mL~約20×106細胞/mLの密度、及び約0.1×106細胞/cm2~約20×106細胞/cm2の密集度を有する細胞に均一に提供されことを含む。
【0071】
[0094]さらなる実施形態では、遺伝子修飾された免疫細胞培養物の自動化生成法が提供され、本方法は、活性化試薬で免疫細胞培養物を活性化して、活性化免疫細胞培養物を生成し、活性化免疫細胞培養物をベクターで形質導入して、形質導入された免疫細胞培養物を生成し、形質導入された免疫細胞培養物を拡大し、形質導入された細胞培養物は、拡大中に振とうされず、拡大された免疫細胞培養物を濃縮し、濃縮された免疫細胞培養物を回収して、遺伝子修飾された免疫細胞培養物を生成することを含む。本明細書に記載されるように、適切には、本方法は、完全に密閉された自動化細胞工学システムによって行われる。
【0072】
[0095]本明細書に記載されるように、驚くべきことに、細胞が振とうされない(すなわち、細胞が互いの上部に流れるようにするために回転又は振とうされない)条件下で細胞を拡大させることが見出された。本方法は、高い生細胞収量及び所望の表現型を含む最適な細胞特性と提供する。大きく、振とうされない細胞培養チャンバーは、細胞を振とうするか又は妨害する必要はなく、細胞老廃物を除去しながら、必要な試薬、栄養素、ガス交換などへの細胞の均一なアクセスを提供して、所望の結果を達成することができると判断された。実際、本明細書に記載されるように、遺伝子修飾された免疫細胞を自動化生成するこのような方法は、例えば、Miltenyiら、「Sample Processing System and Methods」、米国特許第8,727,132号に記載される細胞振とうを利用する方法と比較して、より多数の生存細胞、より多くの数/比の所望の細胞タイプ、及びより堅牢な細胞特性を生じさせることが見出された。
【0073】
[0096]適切には、本方法の拡大ステップは、免疫細胞培養物を振とうすることなく、形質導入された免疫細胞培養物の供給、洗浄、モニタリング、及び選択のうちの少なくとも1つ又は複数を含む。
【0074】
[0097]また、本明細書では、遺伝子修飾された免疫細胞培養物の自動生成法が提供され、本方法は、細胞工学システムによって行われ、活性化試薬で免疫細胞培養物を活性化して、細胞工学システムの第1のチャンバーで活性化免疫細胞培養物を生成し、活性化免疫細胞培養物を形質導入することを含む。例示的な方法では、形質導入は、活性化免疫細胞培養物を第一チャンバーからエレクトロポレーションユニットに移し、活性化免疫細胞培養物をベクターでエレクトロポレーションして、形質導入された免疫細胞培養物を生成し、形質導入された免疫細胞培養物を細胞工学システムの第2のチャンバーに移すことを含む。本方法は、形質導入された免疫細胞培養物を拡大し、拡大された免疫細胞培養物を濃縮し、及び(d)の濃縮免疫細胞培養物を回収して、遺伝子修飾された細胞培養物を生成することをさらに含む。
【0075】
[0098]例えば、
図17に示されるように、活性化免疫細胞培養物は、例えば、接続チューブ1704を介して、細胞工学システム600のカセット602からエレクトロポレーションユニット1706に移される。エレクトロポレーションユニット1706は、エレクトロポレーションプロセス中に細胞培養物を保持するエレクトロポレーションカートリッジ1708を適切に含む。エレクトロポレーションプロセス後、形質導入された免疫細胞培養物は、接続チューブ1704を介して細胞工学システム600に戻される。
図17はまた、エレクトロポレーションの前後に細胞培養物を保持するために使用される2つのオプションのリザーバー1710及び1712の使用を示し、異なるポンプ速度、必要とする圧力と流量の結果として、細胞工学システムとエレクトロポレーションユニット間の移動を支援する。しかしながら、このようなリザーバーを除去し、細胞培養物を細胞工学システム1702からエレクトロポレーションユニット1706に直接移すことができる。
【0076】
[0099]
図18は、1)細胞工学システムから第1のリザーバー、2)エレクトロポレーションユニット、3)第2リザーバー、最後に4)細胞工学システムへの細胞培養物のフロー図を示す。
【0077】
[00100]例示的な実施形態では、
図17及び
図18に示されるように、エレクトロポレーションユニット1706は、細胞工学システム1702の外側に配置される。このような実施形態では、形質導入は、第1の無菌の閉じた接続部(例えば、接続チューブ1704)を介して、活性化免疫細胞培養物を第1のチャンバーからエレクトロポレーションユニットに移し、活性化免疫細胞培養物をベクターでエレクトロポレーションして、形質導入された免疫細胞培養物を生成し、第2の無菌の閉じた接続部(例えば、接続チューブ1704)を介して、細胞工学システムの第2のチャンバーに形質導入された免疫細胞培養物を移す。
【0078】
[00101]また、複数の別個の細胞工学システム600(例えば、
図2を参照されたい)を単一のエレクトロポレーションユニットに接続し、細胞培養物が細胞工学システムからエレクトロポレーションユニットに移され、次に適切な細胞工学システムに戻されるように、適切な順序で実行することができることを理解されるべきである。
【0079】
[00102]他の実施形態では、エレクトロポレーションユニット1706は、システム全体が閉じた自己完結型システムであるように、細胞工学システム600内に配置することができる。細胞工学システム600の内部にエレクトロポレーションユニット1706を含める方法は、当業者に公知であり、様々な小型化戦略などを利用する。
【0080】
[00103]本明細書に記載される様々な方法は、遺伝子修飾された免疫細胞培養物の生成を可能にし、本方法の形質導入効率は、細胞培養用の柔軟なガス透過性バッグを利用する方法の形質導入効率より少なくとも20%高い。本明細書に記載され、実施例に示されるように、本明細書に記載される細胞工学システムを利用する方法は、細胞培養を実施するための柔軟なガス透過性バッグの使用に依存する従来の方法よりも優れている。さらなる実施形態では、本方法の形質導入効率は、細胞培養用の柔軟なガス透過性バッグを利用する方法の形質導入効率よりも少なくとも10%高く、より適切には少なくとも20%高く、少なくとも25%高く、少なくとも30%高く、少なくとも35%高く、又は実施形態では、少なくとも40%高い。
【0081】
[00104]適切には、本明細書に記載される方法は、柔軟なガス透過性バッグを用いた手動細胞培養物を利用する方法よりも少なくとも20%多い遺伝子修飾された免疫細胞を生成する。より適切には、本方法は、柔軟なガス透過性バッグを用いた手動細胞培養物を利用する方法よりも、遺伝子修飾された免疫細胞を少なくとも25%多く、遺伝子修飾された免疫細胞を少なくとも30%多く、遺伝子修飾された免疫細胞を少なくとも35%多く、遺伝子修飾された免疫細胞を少なくとも40%多く生成する。
【0082】
[00105]例示的な実施形態では、本明細書に記載される細胞工学システムは複数のチャンバーを含み、本明細書に記載される様々な方法の各ステップは、細胞工学システムの複数のチャンバーの異なるチャンバーで行われ、活性化試薬、ベクター、及び細胞培養培地の各々は、本方法を開始する前に複数のチャンバーの異なるチャンバーに含まれ、複数のチャンバーの少なくとも1つは、細胞を増殖させるための温度(例えば、約37℃)に維持され、複数のチャンバーの少なくとも1つは冷蔵温度(例えば、約4~8℃)に維持される。
【0083】
[00106]一部の実施形態では、本開示は、キメラ抗原受容体T細胞を生成する方法を提供し、本方法は、(a)抗CD3抗体及び抗CD28抗体の少なくとも1つを含む培養培地で適切に末梢血単核細胞培養物を活性化して、活性化されたT細胞培養物を生成し;(b)キメラ抗原受容体をコードするベクターであるレンチウイルスベクターで活性化T細胞培養物を形質導入して、形質導入されたT細胞培養物を生成し;(c)形質導入されたT細胞培養物を事前に定義された培養サイズに拡大し;(d)(c)の拡大されたT細胞培養物を約20mLから約500mL、適切には約50mLから約200mLの体積に濃縮し;及び(e)(d)の濃縮されたT細胞培養物を回収して、キメラ抗原受容体T(CAR T)細胞培養物を生成することを含み、活性化T細胞培養物は、ステップ(a)から(b)の間で実質的に乱されず、本方法は、ステップ(a)から(e)を行うための指示を適切に有する、完全に密閉された細胞工学システムによって行われる。適切には、ステップ(a)から(e)は、細胞工学システムの1つ又は複数のチャンバー内で行われる。本明細書に記載されるように、実施形態では、本方法は、細胞培養のために柔軟なガス透過性バッグを利用する方法よりも少なくとも20%多いCAR T細胞を生成する。例示的な実施形態では、本方法は、少なくとも20億個の生存可能なCAR T細胞を生成する。
【0084】
[00107]キメラ抗原受容体T細胞、又は「CAR T細胞」は、癌細胞をより特異的に標的とするためにキメラ抗原受容体(CAR)で修飾されているT細胞である。一般的に、CARには3つの部分:エクトドメイン、膜貫通ドメイン、及びエンドドメインが含まれる。エクトドメインは、細胞外液に曝露される受容体の領域であり、3つの部分:シグナル伝達ペプチド、抗原認識領域、及びスペーサーを含む。シグナル伝達ペプチドは、新生タンパク質を小胞体に誘導する。CARでは、シグナル伝達ペプチドは一本鎖可変断片(scFv)である。scFvは、短いリンカーペプチドで連結された免疫グロブリンの軽鎖(VL)及び重鎖(VH)を含む。一部の実施形態では、リンカーはグリシン及びセリンを含む。一部の実施形態では、リンカーはグルタミン酸及びリジンを含む。
【0085】
[00108]CARの膜貫通ドメインは、膜にまたがる疎水性αヘリックスである。一部の実施形態では、CARの膜貫通ドメインは、CD28膜貫通ドメインである。一部の実施形態では、CD28膜貫通ドメインは、高度に発現されたCARをもたらす。一部の実施形態では、CARの膜貫通ドメインはCD3-ζ膜貫通ドメインである。一部の実施形態では、CD3-ζ膜貫通ドメインは、ネイティブT細胞受容体に組み込まれるCARをもたらす。
【0086】
[00109]CARのエンドドメインは、一般的に、受容体の「機能的」末端と考えられている。エクトドメインの抗原認識領域、CARクラスターによる抗原認識の後、シグナルが細胞に伝達される。一部の実施形態では、エンドドメインはCD3-ζエンドドメインであり、3つの免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を含む。この場合、ITAMは、抗原結合後にT細胞に活性化シグナルを伝達し、T細胞免疫応答を引き起こす。
【0087】
[00110]CAR T細胞の生成中に、T細胞はヒト対象から取り出され、遺伝的に改変され、癌細胞を攻撃するために患者に再導入される。CAR T細胞は、患者自身の血液(自己由来)又は別の健康なドナー(同種異系)に由来し得る。一般的に、CAR T細胞は、健康な細胞では発現しない腫瘍において発現する抗原に特異的になるように発生される。
【0088】
[00111]T細胞の活性化。一部の実施形態では、本明細書に記載される方法によって生成される免疫細胞培養物はCAR T細胞培養物である。CAR T細胞を活性化して、活性化T細胞培養物を形成することができる。インビボでは、樹状細胞などの抗原提示細胞(APC)は、T細胞受容体(TCR)とAPC主要ヒストン適合性複合体(MHC)との相互作用により、T細胞活性化の刺激として作用する。TCRは、細胞傷害性T細胞(例えば、CD8+ナイーブT細胞)とヘルパーT細胞(例えば、CD4+ナイーブT細胞)の両方の活性化に役立つT細胞共受容体であるCD3と会合する。一般的に、T細胞の活性化は、2シグナルモデルに従い、TCR/CD3複合体、並びに共刺激受容体の刺激が必要である。T細胞の活性化については、例えば、Kochenderfer 2015;カロス2011にさらに記載されている。
【0089】
[00112]共刺激シグナルがないと、細胞はアネルギーの影響を受けやすくなり、反応しなくなる。したがって、T細胞の共刺激は、T細胞の増殖、分化、及び生存に重要である可能性がある。T細胞の共刺激分子の非限定的な例には、APCの膜のCD80及びCD86の受容体であるCD28;及びICOS-Lと相互作用する活性化T細胞に発現するCD28スーパーファミリー分子であるCD278又はICOS(誘導性T細胞共刺激因子)が含まれる。したがって、一部の実施形態では、共刺激分子はCD28である。他の実施形態では、共刺激分子はICOSである。インビボでは、共刺激シグナルは、APCのB7分子によって提示され、T細胞のCD28受容体に結合する。B7は、T細上のCD28又はCD152表面タンパク質と相互作用して、共刺激シグナルを生成できる、活性化APCに見られる末梢膜貫通タンパク質である。したがって、一部の実施形態では、共刺激分子はB7である。共刺激受容体は、例えば、Lafferty、1975年;Harding、1992年;Clavreul、2000年;Charron、2015年;Fathman、2007年;Greenwald、2005年にさらに記載されている。共刺激は、例えば、Carpenter、2000年;Andris、2004年にさらに記載されている。B7分子は、例えば、Fleischer、1996年;Schwartz、2003年にさらに記載されている。
【0090】
[00113]活性化の様々な方法は、T細胞活性化をシミュレートするためにインビトロで利用される。実施形態では、T細胞培養物は、活性化試薬で活性化される。さらなる実施形態では、活性化試薬は抗原提示細胞(APC)である。なおさらなる実施形態では、活性化試薬は樹状細胞である。樹状細胞は、抗原を処理し、それを細胞表面でT細胞に提示するAPCである。一部の実施形態では、活性化試薬はT細胞培養物と共培養される。共培養では、第2の細胞型の別々の精製及び培養を必要し得、労働要件及び変動源が増加する可能性がある。したがって、一部の実施形態では、代替の活性化方法が使用される。
【0091】
[00114]実施形態では、細胞は、活性化ステップ中に活性化試薬と安定した接触を維持する。細胞と活性化試薬の間の安定した接触を維持する1つの方法は、細胞の不必要な又は過度の運動を防ぐことによる。したがって、実施形態では、細胞培養は、活性化ステップ中に実質的に妨害されない。「実質的に妨害されていない」とは、細胞培養培地が交換されている間、細胞が、一般的には、細胞培養チャンバーの同じ領域、例えば、チャンバーの底部に残ることを意味する。細胞が異なる容器間を移動する場合、例えば、ある培養フラスコから別の培養フラスコに移される場合、細胞は乱され得、又は容器が柔軟性である場合に、細胞は乱され得る。例えば、培養バッグなどの柔軟な容器は、バッグを取り扱う場合に細胞を動かし得る。本明細書に記載されるように、本方法は、実質的に平らであり、低い細胞培養チャンバーを適切に利用して、様々な栄養素及びガスへの細胞の均一なアクセスを可能にし、また老廃物の除去及び培地の移動も容易にする。実質的に平らな細胞培養チャンバーはまた、細胞の増殖及び所望の細胞表現型(複数可)の生成を高めることができる方法の様々な段階の間に、細胞が互いに接触することを可能にする。
【0092】
[00115]一部の実施形態では、活性化試薬は抗体である。一部の実施形態では、細胞培養は、ビーズを含む、ポリマー表面などの表面に結合した抗体で活性化される。さらなる実施形態では、1つ又は複数の抗体は、抗CD3及び/又は抗CD28抗体である。
例えば、ビーズは、抗CD3及び抗CD28でコーティングされた、例えば、ダイナビーズなどの磁気ビーズであり得る。抗CD3及び抗CD28ビーズは、T細胞の活性化をサポートする刺激シグナルを適切に提供することができる。例えば、Riddell、1990年;Trickett、2003年を参照されたい。
【0093】
[00116]他の実施形態では、細胞培養物は可溶性抗体で活性化される。さらなる実施形態では、可溶性抗体は可溶性抗CD3抗体である。OKT3は、免疫グロブリンIgG2aアイソタイプのマウスモノクローナル抗体であり、CD3を標的とする。したがって、一部の実施形態では、可溶性抗CD3抗体はOKT3である。OKT3については、例えば、Dudley、2003年;Manger、1985年;Ceuppens、1985年;Van Wauwe、1980年;Norman、1995年にさらに記載されている。
【0094】
[00117]一部の実施形態では、T細胞活性化の共刺激シグナルは、アクセサリー細胞によって提供される。アクセサリー細胞には、例えば、T細胞のTCR/CD3複合体とCD3抗体の架橋を可能にするFc受容体が含まれ得る。一部の実施形態では、細胞培養物は、末梢血単核細胞(PBMC)の混合集団である。PBMCには、T細胞の活性化をサポートすることができるアクセサリー細胞が含まれ得る。例えば、CD28共刺激シグナルは、PBMCの単球に存在するB7分子によって提供され得る。したがって、一部の実施形態では、アクセサリー細胞には、単球又は単球由来細胞(例えば、樹状細胞)が含まれる。追加の実施形態では、アクセサリー細胞は、B7、CD28、及び/又はICOSを含む。アクセサリー細胞については、例えば、Wolf、1994年;Chai、1997年;Verwilghen、1991年;Schwartz、1990年;Ju、2003年;Baroja、1989年;Austyn、1987年;Tax、1983年にさらに記載されている。
【0095】
[00118]本明細書に記載されるように、活性化試薬は、生成されるCAR T細胞の表現型を決定し得、所望の表現型の促進を可能にする。一部の実施形態では、活性化試薬は、T細胞サブセット、すなわち、CD4+ヘルパーT細胞とCD8+細胞傷害性T細胞の比率を決定する。細胞傷害性CD8+T細胞は、典型的には、癌細胞(すなわち、抗腫瘍反応)、(例えば、ウイルスで)感染した細胞、又は他の方法で損傷した細胞の殺傷に関与する。CD4+T細胞は、典型的には、サイトカインを産生し、免疫応答の調節を支援し、場合によっては、細胞溶解をサポートし得る。CD4+細胞はAPCを活性化し、次に、APCは抗腫瘍反応のためにナイーブCD8+T細胞を刺激する。したがって、実施形態では、本開示の方法は、所定の表現型のCAR T細胞を生成すること(すなわち、所望の表現型の細胞を促進すること)をさらに含む。所定の表現型は、例えば、CD8+細胞対CD4+細胞の所定の比であり得る。一部の実施形態では、CAR T細胞の集団におけるCD8+細胞対CD4+細胞の比は、約1:1、約0.25:1、又は約0.5:1である。他の実施形態では、CAR T細胞の集団におけるCD8+細胞対CD4+細胞の比は、約2:1、約3:1、約4:1、又は約5:1である。
【0096】
[00119]実施形態では、活性化試薬は、活性化ステップ後に活性化T細胞培養物から除去される。活性化試薬、例えば、抗CD3抗体及び/又は抗CD28抗体は、細胞培養培地に存在し得る。したがって、一部の実施形態では、活性化試薬、例えば抗CD3抗体及び/又は抗CD28抗体を含む細胞培養培地は、活性化ステップ後に活性化T細胞培養物から除去される。一部の実施形態では、活性化試薬の除去には、可溶性抗体の除去が含まれる。例えば、可溶性抗体は、細胞培養培地を交換することによって除去することができる。可溶性抗体はまた、可溶性抗体に特異的な親和性方法によって除去することもできる。他の実施形態では、活性化試薬の除去には、抗体を含むビーズを除去することが含まれる。ビーズの除去には、例えば、ビーズの濾過又は磁石による除去が含まれ得る。
【0097】
[00120]活性化T細胞の形質導入。一部の実施形態では、遺伝子修飾された免疫細胞培養物は、キメラ抗原受容体をコードするベクターで形質導入されて、形質導入されたT細胞培養物を生成する活性化T細胞培養物である。一部の実施形態では、形質導入には、ウイルス感染、トランスポゾン、mRNAトランスフェクション、エレクトロポレーション、又はそれらの組み合わせが含まれる。一部の実施形態では、形質導入には、エレクトロポレーションが含まれる。したがって、実施形態では、細胞工学システムは、本明細書に記載されるように、エレクトロポレーションシステム又はエレクトロポレーションユニットを含む。追加の実施形態では、形質導入にはウイルス感染が含まれる。ベクターは、例えば、レンチウイルスベクター、ガンマレトロウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、又はアデノウイルスベクターなどのウイルスベクターであり得る。実施形態では、形質導入は、細胞培養物の活性化T細胞にウイルスベクターを導入することを含む。追加の実施形態では、ベクターは、ウイルス粒子として送達される。
【0098】
[00121]一部の実施形態では、形質導入ステップは、活性化T細胞にレンチウイルスベクターを形質導入することを含み、レンチウイルスベクターは、約0.5~約50、約0.5~約30、又は約0.5~約20の感染多重度(MOI)で導入される。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、約0.5~約8のMOIで導入される。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、約0.5~約6のMOIで導入される。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、約0.5~約4のMOIで導入される。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、約0.5~約2のMOIで導入される。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、約0.6~約1.5のMOIで導入される。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、約0.7~約1.3のMOIで導入される。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、約0.8~約1.1のMOIで導入される。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、約1、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、又は約2のMOIで導入される。
【0099】
[00122]一部の実施形態では、活性化ステップの後、T細胞培養物から細胞培養培地が除去され、次に、培地がベクター(例えば、レンチウイルスベクター)と混合され、細胞に均一に分配される。一部の実施形態では、除去された細胞培養培地は、希釈するために使用され、活性化されたT細胞培養物にベクターを均一に送達するために使用される。T細胞培養物におけるベクター(例えば、レンチウイルスベクター)の均一な分布及びその結果としての均一な曝露は、形質導入効率を改善する。一部の実施形態では、細胞培養物の体積は、活性化後、ベクターの添加前に減少する。体積の減少は、より高度な細胞-ベクターの接触を可能にすることができる。一部の実施形態では、活性化T細胞培養物は、形質導入中に実質的に妨害されない。一部の実施形態では、細胞培養物は、活性化及び形質導入ステップ中に実質的に妨害されず、すなわち、活性化試薬又はベクターが細胞に提供されている間、細胞は、一般的、チャンバーの同じ領域(例えば、細胞培養チャンバーの底部)にとどまる。これは、細胞への活性化試薬及び/又はベクターの均一な分布及び均一な曝露を促進し、したがって、活性化及び/又は形質導入効率を改善し得る。
【0100】
[00123]したがって、一部の実施形態では、細胞工学システムを使用する方法の形質導入効率は、細胞培養のための柔軟なガス透過性バッグを使用する方法の形質導入効率よりも高い。一部の実施形態では、本明細書に記載されるCAR T細胞の自動化生成法の形質導入効率は、柔軟なガス透過性バッグを利用する方法の形質導入効率より、少なくとも10%大きく、少なくとも15%大きく、少なくとも20%大きく、少なくとも25%大きく、少なくとも30%大きく、少なくとも35%大きく、少なくとも40%大きく、少なくとも45%大きく、少なくとも50%大きく、少なくとも55%大きく、少なくとも60%大きく、少なくとも65%大きく、少なくとも70%大きく、少なくとも75%大きく、少なくとも80%大きく、少なくとも85%大きく、少なくとも90%大きく、少なくとも95%大きく、又は少なくとも100%大きい。
【0101】
[00124]形質導入されたT細胞の拡大。一部の実施形態では、形質導入されたT細胞培養物(又は他の免疫細胞培養物)は、所定の培養サイズ(すなわち、細胞の数)まで拡大される。所定の培養サイズは、臨床使用、すなわち、患者への輸血、研究開発作業などに適した十分な数の細胞を含み得る。一部の実施形態では、患者への投与のためのCAR T細胞の臨床用量又は治療用量は、約105個の細胞、約106個の細胞、約107個の細胞、約108個の細胞、約109個の細胞、又は約1010個の細胞である。一部の実施形態では、本方法は、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、少なくとも60個、少なくとも70個、少なくとも80個、少なくとも90個、又は少なくとも100個の臨床用量のCAR T細胞を生成する。一部の実施形態では、形質導入されたT細胞培養物は、約0.1Lから約5L、約0.1Lから約2L、又は約0.2Lから約2Lの総体積まで拡大される。一部の実施形態では、形質導入されたT細胞培養物は、約0.1L、約0.2L、約0.3L、約0.4L、約0.5L、約0.6L、約0.7L、約0.8L、約0.9L又は約1.0Lの総体積に拡大される。また、細胞生成プロセスの段階に応じて、必要に応じて、プロセスを通じて体積を変えることができる。一部の実施形態では、所定の培養サイズは、細胞工学システムのユーザーによって入力される。ユーザーは、生成される所望の細胞数(例えば、1010個のCAR T細胞)として事前に所定の培養サイズを入力するか、又は生成される臨床用量又は治療用量の所望の数(例えば、10回の臨床用量又は治療用量のCAR T細胞)として所定の培養サイズを入力することができる。実施形態では、本明細書に記載される方法により生成されるCAR T細胞の数は、少なくとも約1億(すなわち、1×106)個の細胞、又は少なくとも約3億個、少なくとも約5億個、少なくとも約6億個、少なくとも約7億個、少なくとも約8億個、少なくとも約9億個、少なくとも約10億(すなわち1×109)個、少なくとも約11億個、少なくとも約12億個、少なくとも約13億個、少なくとも約14億個、少なくとも約15億個、少なくとも約16億個、少なくとも約17個、少なくとも約18億個、少なくとも約19億個、少なくとも約20億(すなわち2×109)個の細胞であり、例えば、少なくとも約21億個、少なくとも約22億個、少なくとも約23億個、少なくとも約24億個、少なくとも約25億個、少なくとも約26億個、少なくとも約27億個、少なくとも約28億個、少なくとも約29億個、又は少なくとも約30億個のCAR T細胞である。
【0102】
[00125]一部の実施形態では、形質導入されたT細胞培養物の拡大は、形質導入されたT細胞培養物の少なくとも1回のラウンドの供給、洗浄、モニタリング、及び選択を含む。細胞培養物の供給は、細胞培養物に培地及び/又は追加の栄養素を補足することを含み得る。細胞培養物の洗浄には、使用済みの培地(すなわち、栄養素が枯渇している、及び/又は細胞老廃物を含む培地)を除去し、細胞培養物に新鮮な培地を補充することが含まれる。細胞培養物のモニタリングには、細胞培養物の温度、pH、グルコース、酸素レベル、二酸化炭素レベル、及び/又は光学密度のモニタリングが含まれる。細胞培養物の選択は、例えば、生存率、種類、及び/又は形態などの所望の特性を有する細胞の選択、及び所望の特性を持たない細胞の除去を含み得る。一部の実施形態では、細胞工学システムは、所定の培養サイズを達成するために、形質導入されたT細胞培養物の供給、洗浄、モニタリング、及び/又は選択の複数回のラウンドを行うように構成される。一部の実施形態では、細胞工学システムは、所定の培養サイズを達成するために、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、又は少なくとも100ラウンドの、形質導入されたT細胞培養物の供給、洗浄、モニタリング、及び/又は選択を行う。
【0103】
[00126]実施形態では、所望の細胞表現型又は細胞の数などに応じて、供給、洗浄及びモニタリングのうちの1つ又は複数を取り除くことができ、又はイベントの順序を変更することができる。
【0104】
[00127]実施形態では、モニタリングは、温度センサー、pHセンサー、グルコースセンサー、酸素センサー、二酸化炭素センサー、及び/又は光学密度センサーによるモニタリングを含む。したがって、一部の実施形態では、細胞工学システムは、温度センサー、pHセンサー、グルコースセンサー、酸素センサー、二酸化炭素センサー、及び/又は光学密度センサーのうちの1つ又は複数を含む。追加の実施形態では、細胞工学システムは、所定の培養サイズに基づいて、細胞培養物の温度、pH、グルコース、酸素レベル、二酸化炭素レベル、及び/又は光学密度を調節するように構成される。例えば、細胞工学システムが、細胞培養物の現在の酸素レベルが低すぎて所望の細胞培養サイズに必要な増殖を達成できないと検出した場合、細胞工学システムは、例えば、酸素化細胞培養培地を導入することによって、細胞培養培地を酸素化細胞培養培地で置き換えることによって、又は細胞培養培地を酸素供給コンポーネント(すなわち、シリコーンチューブ)に流すことによって、細胞培養物の酸素レベルを自動的に増加させる。別の実施例では、細胞工学システムが、細胞培養物の現在の温度が高すぎること、及び細胞が急速に増殖しすぎている(例えば、細胞の過密の可能性が望ましくない特性につながる可能性がある)ことを検出した場合、細胞工学システムは、細胞の安定した増殖速度(又は必要に応じて指数関数的な増殖速度)を維持するために、細胞培養物の温度を自動的に下げる。なおさらなる実施形態では、細胞工学システムは、細胞増殖速度及び/若しくは細胞数、又はpH、酸素、グルコースなどの他のモニタリング因子に基づいて、細胞供給のスケジュール(すなわち、新鮮な培地及び/又は栄養素を細胞培養物に提供すること)を自動的に調節する。細胞工学システムは、培地(及び洗浄液などの他の試薬)を低温チャンバー(例えば、4℃又は-20℃)に保存するように構成され、細胞培養物に加温された培地を導入する前に、室温チャンバー又は高温チャンバー(例えば、それぞれ25℃又は37℃)で培地を温めるように構成され得る。
【0105】
[00128]実施形態では、洗浄は、濾過又は沈降によって細胞を洗浄することを含む。一部の実施形態では、洗浄ステップは、細胞培養容器又はフラスコを動かすことを必要としない、すなわち、細胞は、同じ細胞培養容器又はフラスコ内で洗浄され得る。さらなる実施形態では、細胞は、洗浄ステップの間、実質的に妨害されないままである。実施形態では、選択は、細胞培養物を1つ又は複数の選択試薬と混合することを含む。選択試薬は、所望の細胞型に特異的なビーズ、例えば磁気ビーズであり得、次に、ビーズに結合した細胞は、例えば、磁性チャンバーを通過することにより、非結合細胞から分離される。例えば、選択ビーズは、所望の細胞型に特異的な抗体、例えば、抗CD8抗体又は抗CD4抗体を含む。選択はまた、サイズに基づいて特定の細胞型を削除するか又は選択するために、濾過によって行うことができる。プラスチック接着による細胞の選択(すなわち、細胞が1つのチャンバーで開始し、不要な細胞が表面に付着し、次に、懸濁液中にまだある所望の細胞が別のチャンバーに移される)もまた利用することができる。
【0106】
[00129]適切には、拡大段階の間、細胞は、振とう及び回転されない。拡大中に細胞を比較的静止した位置に維持することは、全体的な細胞生成を助け、並びに所望の細胞表現型を提供するのに役立つと判断された。
【0107】
[00130]拡大された培養物の濃度。一部の実施形態では、拡大されたT細胞培養物(又は他の免疫細胞培養物)は、所定の濃度に濃縮される。所定の濃度は、患者に適切に注入することができる体積である。例えば、拡大されたT細胞培養物は、約1ml、約2ml、約5ml、約10ml、約15ml、約20ml、約25ml、約30ml、約35ml、約40ml、約45ml、約50ml、約55ml、約60ml、約65ml、約70ml、約75ml、約80ml、約85ml、約90ml、約95ml、又は約100mlに濃縮され得る。一部の実施形態では、濃縮は、遠心分離によって行われる。一部の実施形態では、濃縮は、濾過により実施される。一部の実施形態では、濾過は、限外濾過及び/又は透析濾過である。一部の実施形態では、所定の濃度は、細胞工学システムのユーザーによって入力される。他の実施形態では、所定の濃度は、ユーザーによって入力された異なるパラメータ、例えば、生成される臨床用量若しくは治療用量の回数又は体積;あるいは生成される細胞の数に基づいて、細胞工学システムによって決定される。一部の実施形態では、細胞工学システムは、入力パラメータに基づいて、生成される臨床用量又は治療用量の体積又は回数を自動的に調節する。一部の実施形態では、細胞工学システムは、所定の濃度に基づいて、遠心分離(例えば、速度、遠心分離の持続時間)又は濾過(例えば、フィルターサイズ、体積、持続時間)のパラメータを自動的に調節する。
【0108】
[00131]ポート位置及びチャンバーの設計に基づく沈降もまた利用することができる。すなわち、細胞を除去することなく、チャンバー内の液体量を約0.5mLに減らすことができる。
【0109】
[00132]CAR T細胞培養回収。一部の実施形態では、濃縮されたT細胞培養物(又は他の免疫細胞培養物)は、適切にキメラ抗原受容体(CAR)T細胞培養物を生成するために回収される。一部の実施形態では、回収には、撹拌、流体の流れ、及びCAR T細胞の洗浄が含まれる。一部の実施形態では、回収は、例えば、細胞老廃物、ビーズ(例えば、抗体を含むビーズ及び/又は細胞の分離のために使用されるビーズ)などの選択試薬、又は過剰なウイルスベクターを含む望ましくない生成物からの細胞の分離を含む。一部の実施形態では、回収は、CAR T細胞の1つ又は複数のフラスコ、バイアル又は容器への均一な分布を含む。一部の実施形態では、回収には、CAR T細胞を製剤化試薬、例えば、長期保存のためにCAR T細胞を安定化させる溶液に再懸濁することが含まれる。一部の実施形態では、回収には、CAR T細胞の凍結保存が含まれる。
【0110】
[00133]さらなる下流プロセス。一部の実施形態では、CART細胞は、患者での治療的使用の前にさらに下流の処理を受ける。例えば、凍結保存されたCAR T細胞は、潜在的なウイルス粒子の残留物を除去するために、滅菌濾過により濾過され得る。滅菌濾過後、CAR T細胞は、1つ又は複数のバイアル、フラスコ、容器(vessel)、又は容器(container)にパッケージされる前に、少なくとも1つ以上の濃縮ステップを行うことができる。パッケージされたCAR T細胞は、品質評価及び/又は品質管理試験に供される場合がある。一部の実施形態では、CART細胞は、患者への投与前に最小限の下流処理を受ける。例えば、一部の実施形態では、回収されたCAR T細胞は凍結保存されないが、回収後の短時間内に患者に移される。凍結保存ステップを回避すると、細胞の生存率が向上する場合がある。
【0111】
[00134]細胞工学システム。一部の実施形態では、本明細書に記載される方法は、完全に密閉された細胞工学システム600(
図6A、6Bを参照されたい)によって行われ、適切に、活性化、形質導入、拡大、濃縮、及び改修ステップを行うための指示書を有する。CAR T細胞を含む、遺伝子修飾された免疫細胞の自動化生成のための細胞工学システムが本明細書に記載され、全体で自動化細胞工学システム、コクーン、又はコクーンシステムとも呼ばれる。例えば、ユーザーは、細胞培養物及び試薬(例えば、活性化試薬、ベクター、細胞培養培地、栄養素、選択試薬など)及び細胞生成のパラメータ(例えば、開始細胞数、培地の種類、活性化試薬の種類、ベクターの種類、細胞の数又は生成される用量など)が事前に充填された細胞工学システムを提供することができる。細胞工学システムは、ユーザーからのさらなる入力なしに、CAR T細胞を含む、遺伝子修飾された免疫細胞培養物を生成する方法を実行することができる。自動化生成プロセスの終わりに、細胞工学システムは、生成された細胞を収集するために(例えば、警告メッセージを再生するか、又はモバイルアプリ警告を送信することにより)ユーザーに警告することができる。一部の実施形態では、完全に密閉された細胞工学システムは、滅菌細胞培養チャンバーを含む。一部の実施形態では、完全に密閉された細胞工学システムは、細胞培養物の非無菌環境への曝露を減らすことにより、細胞培養物の汚染を最小限に抑える。追加の実施形態では、完全に密閉された細胞工学システムは、ユーザーによる細胞の取り扱いを減らすことにより、細胞培養物の汚染を最小限に抑える。
【0112】
[00135]本明細書に記載されるように、細胞工学システムは、カセット602を適切に含む。したがって、実施形態では、本明細書に提供されるのは、自動化細胞工学システムで使用するためのカセットである。本明細書で使用するとき、「カセット」とは、本明細書に記載される方法の様々な要素を実施するための1つ又は複数のチャンバーを含み、適切には、細胞培地、活性化試薬、ベクターなどのうちの1つ又は複数も含む、細胞工学システムの大部分が自給式、取り外し可能及び交換可能な要素を指す。
【0113】
[00136]
図6Bは、本明細書の実施形態によるカセット602の実施形態を示す。実施形態では、カセット602は、細胞培養培地の保存に適した低温チャンバー604、並びに免疫細胞培養物の活性化、形質導入及び/又は拡大を適切に実行するための高温チャンバー606を含む。適切には、高温チャンバー606は、熱障壁1102によって低温チャンバー606から分離されている(
図11Bを参照されたい)。本明細書で使用するとき、「低温チャンバー」とは、冷蔵温度で細胞培地などを維持するために、室温未満、より適切には約4℃~約8℃に適切に維持されるチャンバーを指す。低温チャンバーは、約1L、約2L、約3L、約4L、又は約5Lの流体を含む、培地用のバッグ又は他のホルダーを含むことができる。追加の培地バッグ又は他の流体供給源をカセットの外部に接続し、アクセスポートを介してカセットに接続することができる。
【0114】
[00137]本明細書で使用するとき、「高温チャンバー」とは、室温より上に適切に維持され、細胞の増殖(proliferation)及び成長(growth)を可能にする温度、すなわち,約35~40℃、より適切には約37℃により適切に維持されるチャンバーを指す。
【0115】
[00138]実施形態では、
図6D及び
図6Eに示されるように、高温チャンバー606は、細胞培養チャンバー610(増殖チャンバー又は細胞増殖チャンバー全体とも呼ばれる)を適切に含む。
【0116】
[00139]カセットは、細胞培養チャンバーに接続された1つ又は複数の流体経路をさらに含み、流体経路は、細胞培養チャンバー内の細胞を乱すことなく、再循環、老廃物の除去及び均質なガス交換及び細胞培養チャンバーへの栄養素の分配を提供する。カセット602はまた、本明細書に記載されるように、カセットを通じて流体を駆動するためのペリスタポンプを含む1つ又は複数のポンプ605、並びに様々な流体経路を通る流れを制御するための1つ又は複数のバルブ607をさらに含む。
【0117】
[00140]例示的な実施形態では、
図6Dに示されるように、細胞培養チャンバー610は、容易に撓んだり又は曲がったりしない平らな柔軟性でないチャンバー(すなわち、プラスチックなどの実質的に非柔軟性の材料で作られている)である。柔軟性でないチャンバーを使用することにより、細胞を実質的に邪魔されない状態に維持することができる。
図6Eに示されるように、細胞培養チャンバー610は、免疫細胞培養物が細胞培養チャンバーの底部612にわたって広がることを可能にするように配向される。
図6Eに示されるように、細胞培養チャンバー610は、床又はテーブルと平行な位置に適切に維持され、細胞培養物を妨害されない状態に維持し、細胞培養チャンバーの底部612の広い領域にわたって細胞培養物を広げることができる。実施形態では、細胞培養チャンバー610の全体の厚さ(すなわち、チャンバーの高さ642)は薄く、約0.5cm~約5cmのオーダーである。適切には、細胞培養チャンバーは、約0.50ml~約300ml、より適切には約50ml~約200mlの体積を有するか、又は細胞培養チャンバー、は約180mlの体積を有する。低いチャンバー高さ642(5cm未満、適切には4cm未満、3cm未満、又は2cm未満)を使用すると、細胞に近接した効果的な培地及びガス交換が可能になる。ポートは、細胞を乱すことなく、流体の再循環を介して混合できるように構成されている。より高い高さの静的な容器は、濃度勾配を生成する場合があり、細胞近傍の領域は酸素及び新鮮な栄養素において制限される。制御された流体力学により、細胞の乱れなしに培地交換を行うことができる。細胞を喪失するリスクなしに、培地を追加のチャンバーから取り出すことができる(細胞が存在しない)。
【0118】
[00141]本明細書に記載されるように、例示的な実施形態では、カセットは、下記の任意の組み合わせを含む、細胞培養物、培養培地、活性化試薬、及び/又はベクターのうちの1つ又は複数で事前に充填される。さらなる実施形態では、これらの様々な要素は、適切な注入ポートなどを介して後に追加することができる。
【0119】
[00142]本明細書に記載されるように、実施形態では、カセットは、pHセンサー、グルコースセンサー、酸素センサー、二酸化炭素センサー、乳酸センサー/モニター、及び/又は光学密度センサーのうちの1つ又は複数を適切にさらに含む。カセットはまた、1つ又は複数のサンプリングポート及び/又は注入ポートを含むことができる。このようなサンプリングポート及び注入ポート(1104)の実施例を
図11に示す。これは、カートリッジを、エレクトロポレーションユニット又は追加の培地源などの外部装置に接続するためのアクセスポートを含むことができる。
図11Aはまた、細胞入力1105、細胞培地などを温めるために使用し得る試薬加温バッグ1106、並びに、例えば、細胞培地、ベクター、栄養素及び老廃物などを含む、培養培地において使用するための様々なコンポーネントを保持する培養ゾーン1107の配置を示す。
【0120】
[00143]
図11Bは、カセット602が取り外されたコクーン細胞工学システムを示す。
図11Bにおいて、ガス制御シール1120、加温ゾーン1121、アクチュエータ1122、所望に応じて細胞工学システムを揺動又は傾斜させるためのピボット1123、並びに低温チャンバー606を保持するための低温ゾーン1124を含む細胞工学システムのコンポーネントを見ることができる。また、バーコードリーダーを含むことができる例示的なユーザーインターフェース1130、及びタッチパッド又は他の同様の装置による入力を使用して受信する機能が示される。
図11Eは、カセット602の追加の詳細図を示し、追加の細胞培養体積が必要な場合に使用することができる二次チャンバー1150、並びに本明細書で生成される最終細胞培養物を回復するために使用することができる回収チャンバー1152の配置を含む。
【0121】
[00144]例示的な実施形態では、
図6Fに示されるように、細胞培養チャンバー610は、以下のうちの少なくとも1つをさらに含む:細胞培養チャンバーから気泡の除去を可能にするようにし及び/又は再循環ポートとして構成される遠位ポート620;再循環入口ポートとして機能するように構成された中間ポート622;及び細胞除去のための排出ポートとして機能するように構成された近位ポート624。
【0122】
[00145]なおさらなる実施形態では、本明細書において、自動化細胞工学システム600において使用するためのカセット602が提供され、免疫細胞培養物を収容するように構成されたチャンバー体積を有する免疫細胞培養物の活性化、形質導入及び/又は拡大を実施するための細胞培養チャンバー610、並びに免疫細胞培養物を収容せずに培地及び他の作動流体に追加の体積を提供することにより細胞培養チャンバーの作業体積を増加させるためのサテライト体積630(すなわち、サテライト体積はいずれもの細胞を含まない)を含む。適切には、サテライト体積は、細胞培養チャンバーに流体接続され、その結果、免疫細胞培養物を乱すことなく培地が培養チャンバーと交換される。例示的な実施形態では、サテライト体積はバッグであり、他の実施形態では、サテライト体積は非収量のチャンバーである。実施形態では、サテライト体積は約0.50ml~約300mlの間、より適切には約50ml~約200mlの間である。
図6D~6Eは、カセット602のサテライト体積630の位置を示す。
【0123】
[00146]
図6Gは、細胞培養チャンバー610とサテライト体積630の間の接続を示している概略図を示す。また
図6Gには、様々なセンサー(例えば、pHセンサー650、溶存酸素センサー651)、並びにサンプリング/試料ポート652、及び様々なバルブ(制御バルブ653、バイパスチェックバルブ654)、並びに1つ又は複数の流体経路640の配置が示され、コンポーネントを接続するシリコーンベースのチューブコンポーネントを適切に含む。本明細書に記載されるように、シリコーンベースのチューブコンポーネントの使用により、チューブコンポーネントを通じた酸素供給が可能になり、細胞培養のためのガス移動及び最適な酸素供給が促進される。また
図6Gには、ポンプチューブ657及びバッグ/バルブモジュール658とともに、カセットの流路における1つ又は複数の疎水性フィルター655又は親水性フィルター656の使用が示される。
【0124】
[00147]
図6Hは、コクーンシステムを使用したガス交換データを、従来のバッグと比較して示す。
【0125】
[00148]実施形態では、サテライト体積630は、免疫細胞培養物の細胞を喪失することなく、培地を除去することができるようにさらに構成される。すなわち、サテライト体積と細胞培養チャンバーの間の培地交換は、細胞が乱されず、細胞培養チャンバーから除去されないような方法で行われる。
【0126】
[00149]追加の実施形態では、
図6Gに示されるように、カセット602は、必要に応じて、追加の培地を保持するためのクロスフローリザーバー632などを適切にさらに含む。適切には、クロスフローリザーバーは、約0.50ml~約300mlの間、より適切には約100ml~約150mlの間の体積を有する。
【0127】
[00150]本明細書に記載される細胞工学システムは、3つの関連する体積である細胞培養チャンバー体積、作業体積、及び総体積を適切に有する。適切には、カセットで使用される作業体積は、プロセスステップに基づいて180mL~460mLの範囲であり、最大約500mL、約600mL、約700mL、約800mL、約900mL又は約1Lまで増加させることができる。実施形態では、カセットは、4×109細胞~10×109細胞を容易に達成することができる。プロセス中の細胞濃度は、0.3×106細胞/ml~約10×106細胞/mlまで変化する。本明細書に記載されるように、細胞は、細胞培養チャンバーに配置されているが、培地は、追加のチャンバー(例えば、クロスフローリザーバー及びサテライト体積)を介して継続的に再循環され、作業体積を増加させる。
【0128】
[00151]本明細書に記載されるように、液体で満たされた場合(例えば、細胞培養物)及びピックアップ又は移動された場合に形状を変える柔軟性のあるバッグとは異なり、「実質的に非収量のチャンバー」(例えば、例示的な細胞培養チャンバー610)は、典型的な取り扱い条件で液体を満たし、拾い上げ、又は移動した場合、形状は変化しない(例えば、曲げ、湾曲、変形など)。したがって、一部の実施形態では、実質的に非収量のチャンバーは、チャンバーが取り上げられ又は移動された場合でさえ、細胞がチャンバーの同じ領域に実質的にとどまることを可能にする。実質的に非収量のチャンバーはまた、バッグに関連する湾曲を有しない。したがって、一部の実施形態では、細胞は、バッグと比較して、実質的に非収量のチャンバー内でより均一に分布する。一部の実施形態では、活性化試薬及び/又はベクターは、バッグと比較して、実質的に非収量のチャンバー内でより均一に分布する。
【0129】
[00152]一部の実施形態では、細胞工学システムは複数のチャンバーを含む。さらなる実施形態では、本明細書に記載される細胞のための方法の活性化、形質導入、拡大、濃縮、及び回収の各ステップは、細胞工学システムの複数のチャンバーの異なるチャンバーで行われる。一部の実施形態では、細胞は、あるチャンバーから別のチャンバーへの移動中に実質的に乱されない。他の実施形態では、本方法のステップは、細胞工学システムの同じチャンバー内で行われ、細胞工学システムは、本方法の各ステップに必要なチャンバー環境を自動的に調節する。したがって、様々なステップ中に細胞が乱されないようにすることができる。
【0130】
[00153]一部の実施形態では、細胞工学システムは、細胞培養用の柔軟性のあるガス透過性バッグと比較して、改善されたガス交換を有する。一部の実施形態では、細胞工学システムはガス交換ラインを含む。ガス交換ラインは、例えば、シリコーンなどのガス透過性材料から作製され得る。一部の実施形態では、ガス交換ラインのガス透過係数は、柔軟性のあるガス透過バッグで使用される材料の透過係数よりも高い。一部の実施形態では、細胞工学システムは、細胞生成方法の間に実質的に非収量チャンバー全体に酸素を再循環させる。したがって、一部の実施形態では、細胞工学システムにおける細胞培養物の酸素レベルは、柔軟性のあるガス透過性バッグ内の細胞培養物の酸素レベルよりも高い。酸素レベルの増加は、細胞の成長及び増殖の増加をサポートする場合があるため、細胞培養の拡大ステップでは酸素レベルを高くすることが重要であり得る。
【0131】
[00154]一部の実施形態では、細胞工学システムは、細胞を乱すことなく、チャンバー全体にわたって培地を連続的に再循環させる。例えば、細胞工学システムは、細胞がチャンバーの同じ領域に残ったまま、栄養素を補充し、老廃物を除去し、放出されたサイトカインと溶解ガスをチャンバー内で継続的に循環させることができる。連続循環により、陽性因子の均一な分布と陰性因子の均一な除去が改善され、細胞を乱すことなく、不均一な分布によって引き起こされる局所的な影響が低減される。
【0132】
[00155]一部の実施形態では、細胞工学システムは、細胞生成方法(CAR T生成を含む)の間、チャンバー全体に二酸化炭素を提供する。CO2は、細胞培養の標的pHを維持するのに役立ち、これは、細胞の成長(growth)と増殖(proliferation)に重要である。一部の実施形態では、細胞工学システムは、細胞培養のCO2レベルをモニタリングし、測定されたCO2レベルに基づいて提供されるCO2の量を調節する。例えば、細胞培養が増加するにつれて、細胞によって生成されるCO2の量に対応する増加があり、細胞工学システムは提供されるCO2の量を減らす。細胞培養の所望のCO2レベルは、例えば、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、又は約10%のCO2であり、ユーザーによって定義され得る。細胞工学システムは、測定された細胞培養のCO2レベルに基づいて、提供されるCO2の量を絶えず調節しているため、細胞工学システムは、生成プロセス全体にわたって所望のCO2レベルを維持することができる。溶存CO2は、一般的に、溶液を酸性化するため(水と反応して炭酸を形成するため)、細胞培養のCO2量はまた培養物のpHに影響を与える可能性がある。したがって、細胞培養で安定したCO2レベルを維持すると、より安定したpHが得られる場合がある。よって、実施形態では、細胞培養物のpHレベルは、生成プロセスの間、実質的に一定のままである。さらなる実施形態では、形質導入された細胞培養物のpHレベルは、拡大ステップの間、実質的に一定のままである。
【0133】
[00156]CAR T細胞生成を含む遺伝子修飾された免疫細胞産生からの収量は、活性化及び形質導入効率、並びに細胞の増殖条件によって影響を受ける場合がある。活性化効率は、細胞と活性化試薬のより安定した接触により改善することができる。培養容器全体での細胞の運動は、細胞の不均一な分布につながり、したがって、活性化試薬が細胞培養チャンバーに添加された場合、局所的な効果を生み出す可能性がある。柔軟性のある培養バッグとは対照的に、非収量チャンバーで増殖させた細胞は、活性化プロセス中に影響を受けないままであり、これは、より高い活性化効率に寄与する可能性がある。
【0134】
[00157]活性化効率の改善はまた、より大きなベクター形質導入効率をもたらし得る。細胞が活性化され、活発に分裂している場合、ベクター(例えば、レンチウイルスベクター)はより効果的に細胞に組み込まれ得る。細胞培養チャンバー610内の細胞の均一な分布は、細胞へのベクターの均一な曝露を促進し得、一方、細胞は不均一に分布し、したがって、柔軟性のある細胞培養バッグ内で異なるベクター曝露を受ける場合がある。したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載されるCAR T細胞を含む遺伝子修飾された免疫細胞の自動化生成のための方法の形質導入効率は、柔軟性のあるガス透過性バッグを利用する方法の形質導入効率より、少なくとも10%大きい、少なくとも15%大きい、少なくとも20%大きい、少なくとも25%大きい、少なくとも30%大きい、少なくとも35%大きい、少なくとも40%大きい、少なくとも45%大きい、少なくとも50%大きい、少なくとも55%大きい、少なくとも60%大きい、少なくとも65%大きい、少なくとも70%大きい、少なくとも75%大きい、少なくとも80%大きい、少なくとも85%大きい、少なくとも90%大きい、少なくとも95%大きい、又は少なくとも100%大きい。
【0135】
[00158]細胞培養物の増殖条件はまた、細胞収量を改善し得る。例えば、高いガス透過性チューブ及び細胞培養チャンバー内の連続的な酸素の再循環によって促進される、細胞工学システムのより高い酸素レベルは、細胞増殖を増加させる可能性がある。細胞培養の状態を絶えずモニタリングし、それに応じて調節を行う細胞工学システムの能力はまた有利であり得る。例えば、細胞工学システムは、細胞培養物のCO2、O2、N2、及び/又はpHレベルをモニタリングし、CO2、O2、又はN2のレベルを調節することができる。栄養素はまた、タイムリーで一貫した方法で提供され、細胞培養物に均一に分配される。したがって、本明細書に記載されるCAR T細胞を含む遺伝子修飾された免疫細胞を生成する自動化方法は、有利には、手動方法、又は柔軟性のある培養バッグを利用する方法と比較して、より高い細胞収量をもたらす。したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載される細胞工学システムを利用するCAR T細胞を含む遺伝子修飾された免疫細胞の自動化生成のための方法は、細胞培養用の柔軟性のあるガス透過性バッグを利用する方法よりも、少なくとも10%多い、少なくとも15%多い、少なくとも20%多い、少なくとも25%多い、少なくとも30%多い、少なくとも35%多い、少なくとも40%多い、少なくとも45%多い、少なくとも50%多い、少なくとも55%多い、少なくとも60%多い、少なくとも65%多い、少なくとも70%多い、少なくとも75%多い、少なくとも80%多い、少なくとも85%多い、少なくとも90%多い、少なくとも95%多い、又は少なくとも100%多い細胞を生成する。実施形態では、本明細書に記載される方法によって生成される細胞の数は、少なくとも約21億、少なくとも約22億、少なくとも約23億、少なくとも約24億、少なくとも約25億、少なくとも約26億、少なくとも約27億、少なくとも約28億、少なくとも約29億、又は少なくとも約30億の細胞を含む、少なくとも約20億(すなわち、2×109)細胞である。
【0136】
追加の例示的な実施形態
[00159]実施形態1は、遺伝子修飾された免疫細胞培養物の自動化生成のための方法であり、本方法は、活性化試薬を用いて免疫細胞培養物を活性化して、活性化された免疫細胞培養物を生成し、ベクターを用いて、活性化された免疫細胞培養物を形質導入して、形質導入された免疫細胞培養物を生成し、形質導入された免疫細胞培養物を拡大し、拡大された免疫細胞培養物を濃縮し、及び濃縮された免疫細胞培養物を回収して、遺伝子修飾された免疫細胞培養物を生成することを含み、拡大された免疫細胞培養物及び濃縮された免疫細胞培養物のいずれか又は両方を洗浄することをさらに含み、ステップは、完全に密閉された細胞工学システムによって行われ、ステップは、遺伝子修飾された免疫細胞培養物を生成するプロセスを介して最適化される。
【0137】
[00160]実施形態2は、プロセスが自己調節プロセスであり、温度センサー、pHセンサー、グルコースセンサー、酸素センサー、二酸化炭素センサー、及び光学密度センサーのうちの1つ又は複数を用いてモニタリングし;並びにモニタリングに基づいて、形質導入されたT細胞培養物の温度、pHレベル、グルコースレベル、酸素レベル、二酸化炭素レベル、及び光学密度のうちの1つ又は複数を調節することを含む、実施形態1の方法を含む。
【0138】
[00161]実施形態3は、少なくとも約1億個の生存可能な遺伝子修飾された免疫細胞を生成する、実施形態1~2の方法を含む。
【0139】
[00162]実施形態4は、少なくとも約20億個の生存可能な遺伝子修飾された免疫細胞を生成する、実施形態1~3の方法を含む。
【0140】
[00163]実施形態5は、免疫細胞培養物がT細胞培養物である、実施形態1~4の方法を含む。
【0141】
[00164]実施形態6は、T細胞培養物がキメラ抗原受容体T(CAR T)細胞培養物である、実施形態5の方法を含む。
【0142】
[00165]実施形態7は、ベクターがキメラ抗原受容体をコードする、実施形態6の方法を含む。
【0143】
[00166]実施形態8は、免疫細胞培養物が末梢血単核細胞及び/又は精製T細胞を含む、実施形態1~7の方法を含む。
【0144】
[00167]実施形態9は、免疫細胞培養物が少なくとも1つのアクセサリー細胞を含む、実施形態1~8の方法を含む。
【0145】
[00168]実施形態10は、アクセサリー細胞が単球又は単球由来細胞を含む、実施形態9の方法を含む。
【0146】
[00169]実施形態11は、アクセサリー細胞が、CD28、CD40、CD2、CD40L及び/又はICOSを含む、T細胞受容体に対する抗原を含む、実施形態9の方法を含む。
【0147】
[00170]実施形態12は、活性化試薬が抗体又は樹状細胞を含む、実施形態1~11の方法を含む。
【0148】
[00171]実施形態13は、抗体が表面に固定化されている、実施形態12の方法を含む。
【0149】
[00172]実施形態14は、表面がビーズの表面である、実施形態13の方法を含む。
【0150】
[00173]実施形態15は、抗体が可溶性抗体である、実施形態12の方法を含む。
【0151】
[00174]実施形態16は、抗体が、抗CD3抗体及び抗CD28抗体の少なくとも1つを含む、実施形態12~15の方法を含む。
【0152】
[00175]実施形態17は、形質導入が、ウイルス感染、エレクトロポレーション、膜破壊、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態1~16の方法を含む。
【0153】
[00176]実施形態18は、ベクターがレンチウイルスベクター又はレトロウイルスである、実施形態1~17の方法を含む。
【0154】
[00177]実施形態19は、形質導入が、細胞培養培地中でベクターを混合し、及び培地中のベクターを活性化された免疫細胞培養物に均一に送達することを含む、実施形態1~18の方法を含む。
【0155】
[00178]実施形態20は、拡大が、形質導入された免疫細胞培養物の供給、洗浄及びモニタリングのうちの少なくとも1つ又は複数を含む、実施形態1~19の方法を含む。
【0156】
[00179]実施形態21は、形質導入された免疫細胞培養物の酸素レベルが免疫細胞培養物に対して最適化される、実施形態2~20の方法を含む。
【0157】
[00180]実施形態22は、細胞工学システムが、ステップ(a)~(e)のうちの1つ又は複数の間に酸素供給コンポーネントを通じて細胞培養培地を再循環させる、実施形態1~21の方法を含む。
【0158】
[00181]実施形態23は、細胞工学システムが、ステップ(a)~(e)の間に、栄養素、老廃物、放出されたサイトカイン、及び/又は溶解ガスを再循環させる、実施形態1~22の方法を含む。
【0159】
[00182]実施形態24は、細胞工学システムによって提供される二酸化炭素レベルがステップ(c)の間に減少する、実施形態2~23の方法を含む。
【0160】
[00183]実施形態25は、細胞工学システムが、形質導入された免疫細胞培養物の供給、洗浄、モニタリング、及び選択のうちの1つ又は複数の複数回のラウンドを行うように構成されている、実施形態1~24の方法を含む。
【0161】
[00184]実施形態26は、濃縮が、遠心分離、沈降後の上清除去、又は濾過を含む、実施形態1~25の方法を含む。
【0162】
[00185]実施形態27は、プロセスが、遠心分離又は濾過のパラメータを調節することをさらに含む、実施形態26の方法を含む。
【0163】
[00186]実施形態28は、細胞工学システムが複数のチャンバーを含み、ステップ(a)~(e)の各々が細胞工学システムの複数のチャンバーの異なるチャンバーにおいて行われる、実施形態1~27の方法を含む。
【0164】
[00187]実施形態29は、ステップ(a)の後に、活性化された免疫細胞培養物から活性化試薬を除去することをさらに含む、実施形態1~28の方法を含む。
【0165】
[00188]実施形態30は、細胞工学システムが、方法を開始する前に、(a)の細胞培養物、活性化試薬、ベクター、及び細胞培養培地を含む、実施形態1~29の方法を含む。
【0166】
[00189]実施形態31は、遺伝子修飾された免疫細胞培養物の好ましい表現型を促進する方法であって、本方法は、活性化試薬を用いて免疫細胞培養物を活性化して、活性化された免疫細胞培養物を生成し、活性化試薬及び活性化条件は、遺伝子修飾された免疫細胞培養物の表現型を促進し、ベクターを用いて、活性化された免疫細胞培養物を形質導入して、形質導入された免疫細胞培養物を生成し、形質導入された免疫細胞培養物を拡大し;拡大された免疫細胞培養物を濃縮し;及び濃縮された免疫細胞培養物を回収して、遺伝子修飾された免疫細胞培養物を生成することを含む、ステップは、完全に密閉された自動化細胞工学システムによって行われる。
【0167】
[00190]実施形態32は、活性化試薬が抗体又は樹状細胞を含む、実施形態31の方法を含む。
【0168】
[00191]実施形態33は、抗体が表面に固定化されている、実施形態32の方法を含む。
【0169】
[00192]実施形態34は、表面がビーズの表面である、実施形態33の方法を含む。
【0170】
[00193]実施形態35は、抗体が可溶性抗体である、実施形態32の方法を含む。
【0171】
[00194]実施形態36は、抗体が、抗CD3抗体、抗CD28抗体及び抗CD2抗体の少なくとも1つを含む、実施形態32~35の方法を含む。
【0172】
[00195]実施形態37は、可溶性抗体がOKT3である、実施形態36の方法を含む。
【0173】
[00196]実施形態38は、活性化条件が、活性化試薬と免疫細胞培養物との間の安定した接触を可能にする実質的に妨害されていない免疫細胞培養物を提供する、実施形態31~37の方法を含む。
【0174】
[00197]実施形態39は、少なくとも約1億個の生存可能な遺伝子修飾された免疫細胞を生成する、実施形態31~38の方法を含む。
【0175】
[00198]実施形態40は、少なくとも約20億個の生存可能な遺伝子修飾された免疫細胞を生成する、実施形態39の方法を含む。
【0176】
[00199]実施形態41は、免疫細胞培養物がT細胞培養物である、実施形態31~40の方法を含む。
【0177】
[00200]実施形態42は、T細胞培養物がキメラ抗原受容体T(CAR T)細胞培養物である、実施形態41の方法を含む。
【0178】
[00201]実施形態43は、ベクターがキメラ抗原受容体をコードする、実施形態42の方法を含む。
【0179】
[00202]実施形態44は、免疫細胞培養物が末梢血単核細胞及び/又は精製T細胞を含む、実施形態31~43の方法を含む。
【0180】
[00203]実施形態45は、細胞培養物が少なくとも1つのアクセサリー細胞を含む、実施形態31~44の方法を含む。
【0181】
[00204]実施形態46は、アクセサリー細胞が単球又は単球由来細胞を含む、実施形態45の方法を含む。
【0182】
[00205]実施形態47は、アクセサリー細胞が、CD28、CD40、CD2、CD40L及び/又はICOSを含む、T細胞受容体に対する抗原を含む、実施形態45の方法を含む。
【0183】
[00206]実施形態48は、T細胞培養物の表現型が、約0.1:1~約10:1のCD8+細胞:CD4+比を有する、実施形態41~47の方法を含む。
【0184】
[00207]実施形態49は、形質導入が、ウイルス感染、エレクトロポレーション、膜破壊、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態31~48の方法を含む。
【0185】
[00208]実施形態50は、ベクターがレンチウイルスベクター又はレトロウイルスである、実施形態31~49の方法を含む。
【0186】
[00209]実施形態51は、形質導入が、細胞培養培地中でベクターを混合し、及び培地中のベクターを活性化された免疫細胞培養物に均一に送達することを含む、実施形態31~50の方法を含む。
【0187】
[00210]実施形態52は、拡大が、形質導入された免疫細胞培養物の供給、洗浄及びモニタリングのうちの少なくとも1つ又は複数を含む、実施形態31~51の方法を含む。
【0188】
[00211]実施形態53は、形質導入された免疫細胞培養物の酸素レベルが、促進された表現型に対して最適化されている、実施形態31~52の方法を含む。
【0189】
[00212]実施形態54は、細胞工学システムが、ステップ(a)~(e)のうちの1つ又は複数の間に酸素供給コンポーネントを通じて細胞培養培地を再循環させる、実施形態31~53の方法を含む。
【0190】
[00213]実施形態55は、細胞工学システムが、ステップ(a)~(e)の間に、栄養素、老廃物、放出されたサイトカイン、及び/又は溶解ガスを再循環させる、実施形態31~54の方法を含む。
【0191】
[00214]実施形態56は、細胞工学システムによって提供される二酸化炭素レベルがステップ(c)の間に減少する、実施形態31~55の方法を含む。
【0192】
[00215]実施形態57は、細胞工学システムが、形質導入された免疫細胞培養物の供給、洗浄、モニタリング、及び選択の複数回のラウンドを行うように構成されている、実施形態31~56の方法を含む。
【0193】
[00216]実施形態58は、濃縮が、遠心分離、沈降後の上清除去、又は濾過を含む、実施形態31~57の方法を含む。
【0194】
[00217]実施形態59は、細胞工学システムが複数のチャンバーを含み、ステップ(a)~(e)の各々が細胞工学システムの複数のチャンバーの異なるチャンバーにおいて行われる、実施形態31~58の方法を含む。
【0195】
[00218]実施形態60は、ステップ(a)の後に、活性化された免疫細胞培養物から活性化試薬を除去することをさらに含む、実施形態31~59の方法を含む。
【0196】
[00219]実施形態61は、(b)における形質導入後にベクターを除去することをさらに含む、実施形態31~60の方法を含む。
【0197】
[00220]実施形態62は、細胞工学システムが、方法を開始する前に、(a)の細胞培養物、活性化試薬、ベクター、及び細胞培養培地を含む、実施形態31~61の方法を含む。
【0198】
[00221]実施形態63は、遺伝子修飾された免疫細胞培養物の自動化生成のための方法であって、方法は、活性化試薬を用いて免疫細胞培養物を活性化して、活性化された免疫細胞培養物を生成し、ベクターを用いて、活性化された免疫細胞培養物を形質導入して、形質導入された免疫細胞培養物を生成し、形質導入された免疫細胞培養物を拡大し、拡大された免疫細胞培養物を濃縮し、及び濃縮された免疫細胞培養物を回収して、遺伝子修飾された免疫細胞培養物を生成することを含み、ステップは、完全に密閉された自動化細胞工学システムによって行われ、及びステップの各々は、最適化された細胞密度(細胞/mL)及び最適化された細胞密集度(細胞/cm2)を有する免疫細胞培養物を用いて行われる。
【0199】
[00222]実施形態64は、(a)の最適化された細胞密度が約0.05×106細胞/mL~約60×106細胞/mLである、実施形態63の方法を含む。
【0200】
[00223]実施形態65は、(a)の最適化された細胞密集度が約0.1×106細胞/cm2~約60×106細胞/cm2である、実施形態63又は64の方法を含む。
【0201】
[00224]実施形態66は、活性化試薬が抗体又は樹状細胞を含む、実施形態63~65の方法を含む。
【0202】
[00225]実施形態67は、抗体が表面に固定化されている、実施形態66の方法を含む。
【0203】
[00226]実施形態68は、表面がビーズの表面である、実施形態67の方法を含む。
【0204】
[00227]実施形態69は、抗体が可溶性抗体である、実施形態66の方法を含む。
【0205】
[00228]実施形態70は、抗体が、抗CD3抗体及び抗CD28抗体の少なくとも1つを含む、実施形態66~69の方法を含む。
【0206】
[00229]実施形態71は、少なくとも約1億個の生存可能な遺伝子修飾された免疫細胞を生成する、実施形態63~70の方法を含む。
【0207】
[00230]実施形態72は、少なくとも約20億個の生存可能な遺伝子修飾された免疫細胞を生成する、実施形態63~71の方法を含む。
【0208】
[00231]実施形態73は、免疫細胞培養物がT細胞培養物である、実施形態63~72の方法を含む。
【0209】
[00232]実施形態74は、T細胞培養物がキメラ抗原受容体T(CAR T)細胞培養物である、実施形態73の方法を含む。
【0210】
[00233]実施形態75は、ベクターがキメラ抗原受容体をコードする、実施形態74の方法を含む。
【0211】
[00234]実施形態76は、免疫細胞培養物が末梢血単核細胞及び/又は精製T細胞を含む、実施形態64~75の方法を含む。
【0212】
[00235]実施形態77は、細胞培養物が少なくとも1つのアクセサリー細胞を含む、実施形態64~76の方法を含む。
【0213】
[00236]実施形態78は、アクセサリー細胞が単球を含む、実施形態77の方法を含む。
【0214】
[00237]実施形態79は、アクセサリー細胞が、CD28、CD40、CD2、CD40L及び/又はICOSを含む、T細胞受容体に対する抗原を含む、実施形態77の方法を含む。
【0215】
[00238]実施形態80は、形質導入が、ウイルス感染、エレクトロポレーション、膜破壊、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態63~79の方法を含む。
【0216】
[00239]実施形態81は、ベクターがレンチウイルスベクター又はレトロウイルスである、実施形態63~80の方法を含む。
【0217】
[00240]実施形態82は、形質導入が、細胞培養培地中でベクターを混合し、及び培地中のベクターを活性化された免疫細胞培養物に均一に送達することを含む、実施形態63~81の方法を含む。
【0218】
[00241]実施形態83は、拡大が、形質導入された免疫細胞培養物の供給、洗浄、モニタリング、及び選択のうちの少なくとも1つ又は複数を含む、実施形態63~82の方法を含む。
【0219】
[00242]実施形態84は、形質導入された免疫細胞培養物の酸素レベルが、細胞密度及び細胞密集度に対して最適化されている、実施形態63~83の方法を含む。
【0220】
[00243]実施形態85は、細胞工学システムが、ステップ(a)~(e)のうちの1つ又は複数の間に酸素供給コンポーネントを通じて細胞培養培地を再循環させる、実施形態63~84の方法を含む。
【0221】
[00244]実施形態86は、酸素再循環が、ステップ(a)~(c)の間にシリコーンチューブによって提供される、実施形態85の方法を含む。
【0222】
[00245]実施形態87は、細胞工学システムが、ステップ(a)~(e)の間に栄養素、老廃物、放出されたサイトカイン、及び/又は溶解ガスを再循環させる、実施形態63~86の方法を含む。
【0223】
[00246]実施形態88は、細胞工学システムによって提供される二酸化炭素レベルがステップ(c)の間に減少する、実施形態63~87の方法を含む。
【0224】
[00247]実施形態89は、栄養素、老廃物、放出されたサイトカイン、及び/又は溶解ガスの再循環が、約0.05×106細胞/mL~約60×106細胞/mLの密度、及び約0.1×106細胞/cm2~約60×106細胞/cm2の密集度を有する細胞を用いて均一に提供される、実施形態63~88の方法を含む。
【0225】
[00248]実施形態90は、細胞工学システムが、形質導入された免疫細胞培養物の複数回のラウンドの供給、洗浄、モニタリング、及び選択を行うように構成されている、実施形態63~89の方法を含む。
【0226】
[00249]実施形態91は、濃縮が、遠心分離、沈降後の上清除去、又は濾過を含む、実施形態63~90の方法を含む。
【0227】
[00250]実施形態92は、細胞工学システムが複数のチャンバーを含み、ステップ(a)~(e)の各々が細胞工学システムの複数のチャンバーの異なるチャンバーにおいて行われる、実施形態63~91の方法を含む。
【0228】
[00251]実施形態93は、ステップ(a)の後に、活性化された免疫細胞培養物から活性化試薬を除去することをさらに含む、実施形態63~92の方法を含む。
【0229】
[00252]実施形態94は、(b)における形質導入後にベクターを除去することをさらに含む、実施形態63~93の方法を含む。
【0230】
[00253]実施形態95は、細胞工学システムが、方法を開始する前に、(a)の細胞培養物、活性化試薬、ベクター、及び細胞培養培地を含む、実施形態63~94の方法を含む。
【0231】
[00254]実施形態96は、遺伝子修飾された免疫細胞培養物の自動化生成のための方法であって、本方法は、活性化試薬を用いて免疫細胞培養物を活性化して、活性化された免疫細胞培養物を生成し、ベクターを用いて、活性化された免疫細胞培養物を形質導入して、形質導入された免疫細胞培養物を生成し、形質導入された免疫細胞培養物を拡大し、形質導入された細胞培養物は拡大中に振とうされず、拡大された免疫細胞培養物を濃縮し、及び濃縮された免疫細胞培養物を回収して、遺伝子修飾された免疫細胞培養物を生成することを含み、ステップは、完全に密閉された自動化細胞工学システムによって行われる。
【0232】
[00255]実施形態97は、活性化試薬が抗体又は樹状細胞を含む、実施形態96の方法を含む。
【0233】
[00256]実施形態98は、抗体が表面に固定化されている、実施形態97の方法を含む。
【0234】
[00257]実施形態99は、表面がビーズの表面である、実施形態98の方法を含む。
【0235】
[00258]実施形態100は、抗体が可溶性抗体である、実施形態97の方法を含む。
【0236】
[00259]実施形態101は、抗体が、抗CD3抗体、抗CD28抗体及び抗CD2抗体の少なくとも1つを含む、実施形態96~100の方法を含む。
【0237】
[00260]実施形態102は、少なくとも約1億個の生存可能な遺伝子修飾された免疫細胞を生成する、実施形態96~101の方法を含む。
【0238】
[00261]実施形態103は、少なくとも約20億個の生存可能な遺伝子修飾された免疫細胞を生成する、実施形態102の方法を含む。
【0239】
[00262]実施形態104は、免疫細胞培養物がT細胞培養物である、実施形態96~103の方法を含む。
【0240】
[00263]実施形態105は、T細胞培養物がキメラ抗原受容体T(CAR T)細胞培養物である、実施形態104の方法を含む。
【0241】
[00264]実施形態106は、ベクターがキメラ抗原受容体をコードする、実施形態105の方法を含む。
【0242】
[00265]実施形態107は、免疫細胞培養物が末梢血単核細胞及び/又は精製T細胞を含む、実施形態96~106の方法を含む。
【0243】
[00266]実施形態108は、細胞培養物が少なくとも1つのアクセサリー細胞を含む、実施形態96~107の方法を含む。
【0244】
[00267]実施形態109は、アクセサリー細胞が単球又は単球由来細胞を含む、実施形態108の方法を含む。
【0245】
[00268]実施形態110は、アクセサリー細胞が、CD28、CD40、CD2、CD40L及び/又はICOSを含む、T細胞受容体に対する抗原を含む、実施形態109の方法を含む。
【0246】
[00269]実施形態111は、形質導入が、ウイルス感染、エレクトロポレーション、膜破壊、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態96~110の方法を含む。
【0247】
[00270]実施形態112は、ベクターがレンチウイルスベクター又はレトロウイルスである、実施形態96~111の方法を含む。
【0248】
[00271]実施形態113は、形質導入が、細胞培養培地中でベクターを混合し、及び培地中のベクターを活性化された免疫細胞培養物に均一に送達することを含む、実施形態96~112の方法を含む。
【0249】
[00272]実施形態114は、拡大が、免疫細胞培養物を振とうすることなしに、形質導入された免疫細胞培養物の供給、洗浄、モニタリング、及び選択のうちの少なくとも1つ又は複数を含む、実施形態96~113の方法を含む。
【0250】
[00273]実施形態115は、形質導入された免疫細胞培養物の酸素レベルが免疫細胞培養物に対して最適化されている、実施形態96~114の方法を含む。
【0251】
[00274]実施形態116は、細胞工学システムが、ステップ(a)~(e)のうちの1つ又は複数の間に酸素供給コンポーネントを通じて細胞培養培地を再循環させる、実施形態96~115の方法を含む。
【0252】
[00275]実施形態117は、細胞工学システムが、栄養素、老廃物、放出されたサイトカイン、及び/又は溶解ガスを再循環させる、実施形態96~116の方法を含む。
【0253】
[00276]実施形態118は、細胞工学システムによって提供される二酸化炭素レベルがステップ(c)の間に減少する、実施形態96~117の方法を含む。
【0254】
[00277]実施形態119は、細胞工学システムが、形質導入された免疫細胞培養物の複数回のラウンドの供給、洗浄、モニタリング、及び選択を行うように構成されている、実施形態96~118の方法を含む。
【0255】
[00278]実施形態120は、濃縮が、遠心分離、沈降後の上清除去、又は濾過を含む、実施形態96~119の方法を含む。
【0256】
[00279]実施形態121は、細胞工学システムが複数のチャンバーを含み、ステップ(a)~(e)の各々が細胞工学システムの複数のチャンバーの異なるチャンバーにおいて行われる、実施形態96~120の方法を含む。
【0257】
[00280]実施形態122は、ステップ(a)の後に、活性化された免疫細胞培養物から活性化試薬を除去することをさらに含む、実施形態96~121の方法を含む。
【0258】
[00281]実施形態123は、(b)における形質導入後にベクターを除去することをさらに含む、実施形態96~122の方法を含む。
【0259】
[00282]実施形態124は、細胞工学システムが、方法を開始する前に、(a)の細胞培養物、活性化試薬、ベクター、及び細胞培養培地を含む、実施形態96~123の方法を含む。
【0260】
[00283]実施形態125は、遺伝子修飾された免疫細胞培養物の自動化生成のための方法であって、細胞工学システムによって行われる本方法は、活性化試薬を用いて免疫細胞培養物を活性化して、細胞工学システムの第1のチャンバーで活性化された免疫細胞培養物を生成し;活性化された免疫細胞培養物を形質導入し、形質導入が、活性化された免疫細胞培養物を第1のチャンバーからエレクトロポレーションユニットに移し、活性化された免疫細胞培養物をベクターでエレクトロポレーションして、形質導入された免疫細胞培養物を生成し、形質導入された免疫細胞培養物を細胞工学システムの第2のチャンバーに移すことを含み、形質導入された免疫細胞培養物を拡大し、拡大した免疫細胞培養物を濃縮し、及び濃縮された免疫細胞培養物を回収して、遺伝子修飾された細胞培養物を生成することを含む。
【0261】
[00284]実施形態126は、形質導入が、第1の無菌の閉じた接続部を介して、活性化された免疫細胞培養物を第1のチャンバーからエレクトロポレーションユニットに移し、活性化された免疫細胞培養物をベクターでエレクトロポレーションを行い、形質導入された免疫細胞培養物を生成し、第2の無菌の閉じた接続部を介して、形質導入された免疫細胞培養物を細胞工学システムの第2のチャンバーに移すことを含む、実施形態125の方法を含む。
【0262】
[00285]実施形態127は、エレクトロポレーションユニットが細胞工学システムの外部に位置されている、実施形態126の方法を含む。
【0263】
[00286]実施形態128は、少なくとも約1億個の生存可能な遺伝子修飾された免疫細胞を生成する、実施形態125~127の方法を含む。
【0264】
[00287]実施形態129は、少なくとも約20億個の生存可能な遺伝子修飾された免疫細胞を生成する、実施形態128の方法を含む。
【0265】
[00288]実施形態130は、免疫細胞培養物がT細胞培養物である、実施形態125~129の方法を含む。
【0266】
[00289]実施形態131は、T細胞培養物がキメラ抗原受容体T(CAR T)細胞培養物である、実施形態130の方法を含む。
【0267】
[00290]実施形態132は、ベクターがキメラ抗原受容体をコードする、実施形態131の方法を含む。
【0268】
[00291]実施形態133は、免疫細胞培養物が末梢血単核細胞及び/又は精製T細胞を含む、実施形態125~132の方法を含む。
【0269】
[00292]実施形態134は、細胞培養物が少なくとも1つのアクセサリー細胞を含む、実施形態125~132の方法を含む。
【0270】
[00293]実施形態135は、アクセサリー細胞が単球又は単球由来細胞を含む、実施形態134の方法を含む。
【0271】
[00294]実施形態136は、アクセサリー細胞が、CD28、CD40、CD40L及び/又はICOSを含む、T細胞受容体に対する抗原を含む、実施形態134の方法を含む。
【0272】
[00295]実施形態137は、活性化試薬が抗体又は樹状細胞を含む、実施形態125~136の方法を含む。
【0273】
[00296]実施形態138は、抗体が表面に固定化されている、実施形態137の方法を含む。
【0274】
[00297]実施形態139は、表面がビーズの表面である、実施形態138の方法を含む。
【0275】
[00298]実施形態140は、抗体が可溶性抗体である、実施形態137の方法を含む。
【0276】
[00299]実施形態141は、抗体が、抗CD3抗体、抗CD28抗体及び抗CD2抗体の少なくとも1つを含む、実施形態138~140の方法を含む。
【0277】
[00300]実施形態142は、ベクターがレンチウイルスベクター又はレトロウイルスである、実施形態125~141の方法を含む。
【0278】
[00301]実施形態143は、拡大が、形質導入された免疫細胞培養物の供給、洗浄、モニタリング、及び選択のうちの少なくとも1つ又は複数を含む、実施形態125~142の方法を含む。
【0279】
[00302]実施形態144は、形質導入された免疫細胞培養物の酸素レベルが免疫細胞培養物に対して最適化されている、実施形態125~143の方法を含む。
【0280】
[00303]実施形態145は、細胞工学システムが、ステップ(a)~(e)のうちの1つ又は複数の間に酸素供給コンポーネントを通じて細胞培養培地を再循環させる、実施形態125~144の方法を含む。
【0281】
[00303]実施形態146は、細胞工学システムが、ステップ(a)~(e)の間に、栄養素、老廃物、放出されたサイトカイン、及び/又は溶解ガスを再循環させる、実施形態125~145の方法を含む。
【0282】
[00305]実施形態147は、細胞工学システムによって提供される二酸化炭素レベルがステップ(c)の間に減少する、実施形態125~146の方法を含む。
【0283】
[00306]実施形態148は、細胞工学システムが、形質導入された免疫細胞培養物の複数回のラウンドの供給、洗浄、モニタリング、及び選択を行うように構成されている、実施形態125~147の方法を含む。
【0284】
[00307]実施形態149は、濃縮が、遠心分離、沈降後の上清除去、又は濾過を含む、実施形態125~148の方法を含む。
【0285】
[00308]実施形態150は、細胞工学システムが複数のチャンバーを含み、ステップ(a)~(e)の各々が細胞工学システムの複数のチャンバーの異なるチャンバーにおいて行われる、実施形態125~149の方法を含む。
【0286】
[00309]実施形態151は、ステップ(a)の後に、活性化された免疫細胞培養物から活性化試薬を除去することをさらに含む、実施形態125~150の方法を含む。
【0287】
[00310]実施形態152は、(b)における形質導入後にベクターを除去することをさらに含む、実施形態125~151の方法を含む。
【0288】
[00311]実施形態153は、細胞工学システムが、方法を開始する前に、(a)の細胞培養物、活性化試薬、ベクター、及び細胞培養培地を含む、実施形態125~152の方法を含む。
【0289】
[00312]実施形態154は、方法のステップ(c)における形質導入効率が、細胞培養に柔軟性であり、ガス透過性のバッグを利用する方法の形質導入効率よりも少なくとも20%高い、実施形態1~153の方法を含む。
【0290】
[00313]実施形態155は、柔軟性であり、ガス透過性のバッグを用いた手動の細胞培養を利用する方法よりも少なくとも20%多く、遺伝子修飾された免疫細胞を生成する、実施形態1~154の方法を含む。
【0291】
[00314]実施形態156は、細胞工学システムが複数のチャンバーを含み、ステップ(a)~(e)の各々が細胞工学システムの複数のチャンバーの異なるチャンバーにおいて行われ、(a)の各々、活性化試薬、ベクター、及び細胞培養培地は、前記方法を開始する前に複数のチャンバーの異なるチャンバーに含まれ、複数のチャンバーの少なくとも1つが細胞を増殖させる温度で維持され、複数のチャンバーの少なくとも1つが冷蔵温度に維持されている、実施形態1~155の方法を含む。
【0292】
[00315]実施形態157は、細胞培養培地を保存するための低温チャンバー、免疫細胞培養物の活性化、形質導入及び拡大を行うための高温チャンバーを含む、自動化細胞工学システムにおいて使用するカセットであって、高温チャンバーは熱障壁によって低温チャンバーから分離されて、高温チャンバーは細胞培養チャンバーを含み;及び細胞培養チャンバーに接続された1つ又は複数の流動経路、前記流動経路は、細胞培養チャンバー内の細胞を乱すことなしに、再循環、老廃物の除去、均一なガス交換及び細胞培養チャンバーへの栄養の分配を提供する。
【0293】
[00316]実施形態158は、細胞培養チャンバーが、低いチャンバー高を有する平坦であり、柔軟性がないチャンバーである、実施形態157のカセットを含む。
【0294】
[00317]実施形態159は、免疫細胞培養物が細胞培養チャンバーの底部全体に広がることを可能にするように、細胞培養チャンバーが配向されている、実施形態157又は実施形態158のカセットを含む。
【0295】
[00318]実施形態160は、細胞培養物、培養培地、活性化試薬、及びベクターで予め充填されている、実施形態157~159のカセットを含む。
【0296】
[00319]実施形態161は、pHセンサー、グルコースセンサー、酸素センサー、二酸化炭素センサー、及び/又は光学密度センサーのうちの1つ又は複数をさらに含む、実施形態157~160のカセットを含む。
【0297】
[00320]実施形態162は、1つ又は複数のサンプリングポート及び/又は注入ポートをさらに含む、実施形態157~161のカセットを含む。
【0298】
[00321]実施形態163は、細胞培養チャンバーが、細胞培養チャンバーからの気泡の除去を可能にするように構成された、及び/又は再循環ポートとしての遠位ポート、再循環入口ポートとして機能するように構成された中間ポート、並びに細胞除去のための排出ポートとして機能するように構成された近位ポートの少なくとも1つをさらに含む、実施形態157~162のカセットを含む。
【0299】
[00322]実施形態164は、カートリッジを外部デバイスに接続するためのアクセスポートをさらに含む、実施形態157~163のカセットを含む。
【0300】
[00323]実施形態165は、外部デバイスがエレクトロポレーションユニット又は追加の培地源を含む、実施形態164のカセットを含む。
【0301】
[00324]実施形態166は、免疫細胞培養物を収容するように構成されたチャンバー体積を有する免疫細胞培養物の活性化、形質導入及び/又は拡大を行うための細胞培養チャンバー、免疫細胞培養物を収容せずに、培地及び他の作業流体に追加の体積を提供することにより、チャンバーの作業体積を増加させるためのサテライト体積を含む、自動化細胞工学システムにおいて使用するカセットであって、サテライト体積は、免疫細胞培養物を乱すことなく、培地が培養チャンバーと交換されるように、1つ又は複数の流体経路を介して細胞培養チャンバーに流体接続されている。
【0302】
[00325]実施形態167は、サテライト体積がバッグである、実施形態166のカセットを含む。
【0303】
[00326]実施形態168は、サテライト体積が非変形性チャンバーである、実施形態166のカセットを含む。
【0304】
[00327]実施形態169は、サテライト体積が、免疫細胞培養物の細胞を失うことなく、培地除去を可能にするようにさらに構成されている、実施形態166~168のカセットを含む。
【0305】
[00328]実施形態170は、クロスフローリザーバーをさらに含む、実施形態166~169のカセットを含む。
【0306】
[00329]実施形態171は、細胞培養チャンバーが約0.50ml~約300mlの間の体積を有する、実施形態166~170のカセットを含む。
【0307】
[00330]実施形態172は、細胞培養チャンバーが約50ml~約200mlの間の体積を有する、実施形態171のカセットを含む。
【0308】
[00331]実施形態173は、細胞培養チャンバーが約180mlの体積を有する、実施形態172のカセットを含む。
【0309】
[00332]実施形態174は、サテライト体積が約0.50ml~約300mlの間である、実施形態166~173のカセットを含む。
【0310】
[00333]実施形態175は、サテライト体積が約150ml~約200mlの間である、実施形態174のカセットを含む。
【0311】
[00334]実施形態176は、クロスフローリザーバーが約0.50ml~約300mlの間の体積を有する、実施形態166~175のカセットを含む。
【0312】
[00335]実施形態177は、クロスフローリザーバーが約100ml~約150mlの間の体積を有する、実施形態176のカセットを含む。
【0313】
[00336]実施形態178は、作業体積が約180mL~約1Lである、実施形態166~177のカセットを含む。
【0314】
[00337]実施形態179は、作業体積が約180mL~約460mLである、実施形態178のカセットを含む。
【0315】
[00338]実施形態180は、1つ又は複数の流体経路が、チューブ構成要素を通じて酸素供給を可能にするシリコーンベースのチューブ構成要素を含む、実施形態157~179のカセットを含む。
【実施例】
【0316】
実施例1-コクーンシステムを使用したCAR T細胞の自動化生成
[00339]この実施例では、GFP及びHER-2レンチウイルスを使用して、以下のプロセスパラメータを用いてT細胞を形質導入した:6000万の末梢血単核細胞(PBMC)の接種の開始、CD3/CD28活性化、IL-2及びIL-7を培養拡大のためにT細胞増殖培地に補充した。使い捨てカセットの1回使用のセンサーを用いて、温度、pH、及び光学密度(OD)をリアルタイムでモニタリングした。流体チャネルを介して接続された複数のカセットチャンバーにより、プロセスコンポーネントの自動供給と追加が可能にした。一部のチャンバーは、培地及び試薬保存のために4℃に温度制御されるが、一方、他のチャンバーには、細胞の加温、混合、洗浄、及び濃縮のための要素が含まれ、完全に密閉されたプロセスが可能である。処理中の試料は、細胞数及び生存率のために作製された。回収プロセスの終わりに、以下のパネル:CD4、CD8、NGFR、IFN-γ、TNF-αなどを用いてFACS分析を行った。この実施例において使用されたコクーンシステムの概要を
図6に示す。
図6Aは、パラメータを調節するか又は細胞培養をモニタリングするために使用することができる外部ユーザーの制御ディスプレイとともに、閉じた構成のコクーンシステムを示す。無菌の1回使用の細胞培養「カセット」をコクーンに充填することができる(
図6C)。カセットの詳細図(
図6B)に示されるように、各カセットには、細胞増殖のために37℃に維持される上部チャンバー、並びに培地、ウイルスベクター、及び他の温度応答性試薬を保存するために4℃に維持される下部チャンバーが含まれる。カセットは、流体が、内部の流体経路を介して交換され、またポンプでカセット内に送り込まれるか又はカセットから吸い出され得るように構成されている。カセットに取り付けられたセンサーは、細胞培養物のpH及び光学密度などをモニタリングすることができる。
【0317】
[00340]結果を
図7~10に示す。
図7A、7B、及び7Cは、それぞれ、対照としてG-REX(WilsonWolf)細胞培養プレートを使用した細胞の手動操作及び拡大と比較した、自動化コクーンシステムを用いたGFP形質導入の平均回収量、平均回収生存率、及び平均形質導入効率を示す。G-REXプレートにはガス透過性の底があり、典型的には、ユーザーはG-REXを使用する場合に4~5日ごとに培地交換を行う。
【0318】
[00341]
図8A及び8Bは、それぞれ、生存細胞、並びにHER-2 CAR-T形質導入の生存率及び形質導入効率を示す。10日間の培養では、HER-2 CAR-T細胞は約22億個に達し、コクーンシステムにおいて97%の生存率及び65%の形質導入(n=4)であった。
【0319】
[00342]また、自動化コクーンシステムの性能は、対照としてパーマライフ細胞培養バッグ(OriGen)を使用して、細胞の手動操作及び増殖と比較された。パーマライフバッグは、不活性なフッ素化エチレンプロピレン(FEP)で作られた密封可能であり、ガス透過性の細胞培養バッグであって、ユーザーによる細胞の供給及び回収を容易にするバルブを備える。
図9Aは、CD3+細胞の割合で評価した、パーマライフバッグと比較したコクーンシステムを使用した相対的なT細胞純度レベルを示す。
図9Bは、パーマライフ Bag対照と比較して、コクーンシステムで培養されたCD8+細胞の割合が高いことを示す。
図9C及び9Dは、トランスフェクト細胞がそれぞれTNF-α及びINF-γを産生することを示す。
【0320】
[00343]
図10A及び10Bは、それぞれコクーンシステム及びパーマライフバッグで培養されたCAR T細胞による標的腫瘍細胞の効果的であり、特異的な殺傷を示す。
【0321】
[00344]結論として、コクーンシステムは、完全に密閉された細胞工学システムであり、労働集約的なCAR Tプロセスを完全に自動化され、高度に制御されたシステムに変換する実施可能な解決策であり、したがって、スケーラビリティ、高収量、製造コストの削減、プロセス制御を改善して高品質のCAR-Tセルを生成することを可能にする。
【0322】
実施例2-コクーンシステムにおける活性化方法の比較
[00345]この実施例は、コクーン自動化製造システム及びパーマライフバッグにおけるCAR T細胞の臨床規模生成における異なる活性化方法を使用して細胞培養性能を比較する。
【0323】
[00346]磁性抗CD3/抗CD28ダイナビーズ活性化因子ビーズを使用して、T細胞を活性化することができる。これらのビーズは、効果的なT細胞の活性化をサポートするために必要な2つの刺激シグナルを提供する。ナイーブT細胞を活性化する別の方法では、可溶性抗CD3抗体(OKT3)を利用することができる。OKT3は、元々、免疫抑制剤として使用されていたモノクローナルIgG2a抗体である。共刺激シグナルは、アクセサリー細胞によって提供され得る。末梢血単核細胞(PBMC)の混合集団からT細胞培養を開始すると、OKT3を使用した場合、T細胞の活性化をサポートするために必要なアクセサリー細胞を提供することができる。
【0324】
[00347]OKT3及びダイナビーズは、別個の活性化メカニズムを利用するため、一方の方法の他方に対する選択は、最終製造物の特性に影響を与える可能性がある;具体的には、T細胞サブセット、CD4+ヘルパーT細胞及びCD8+細胞傷害性T細胞の比率。細胞傷害性CD8 T細胞は、抗腫瘍応答に関与する。CD4細胞はサイトカインを産生し、免疫応答の調節を助ける。殺傷はCD8細胞と比較して遅延するが、CD4細胞もまた細胞溶解をサポートすることが実証されている。CD4細胞はAPCにシグナルを送り、したがって、APCを活性化し、続いてナイーブCD8 T細胞をプライムする。臨床データが限られているため、CD8細胞とCD4細胞の理想的な標的比率は十分に理解されていない。研究は、CD8細胞とCD4細胞の組み合わせが、CD8細胞単独の送達よりも好ましいことを示している(例えば、Church、2014年;Feldmann、2012年;Reusch、2015年を参照されたい)。
【0325】
[00348]インビトロ活性化の両方の方法には利点及び欠点がある。抗体結合したビーズは一貫性を提供し、TCR/CD3複合体とCD28共刺激経路の安定した同時活性化を確実にする。ビーズアプローチの主な欠点は、この製造物に関連する高コストである。ビーズはまた、移植前に培養から効果的に除去する必要があり得る。OKT3は、T細胞を活性化するための低コストオプションを提供する。可溶性抗CD3アプローチに関連する主な欠点は、アクセサリー細胞への依存性、及び培養環境への感受性である。患者の試料には、前の刺激後にT細胞を機能的に不活性化する可能性のある、非常に多様なアクセサリー細胞及び負の相互作用を有する場合がある。細胞の増殖、表現型及び機能における各々の活性化方法の影響を理解するために、ダイナビーズ及びOKT3によって活性化されたT細胞を臨床規模の自動化プラットフォームで培養した。
【0326】
[00349]コクーンは、ガス及び温度の環境制御を提供する。これには、リンクされた冷蔵ゾーンだけでなく、37℃ゾーンも含まれる。コクーンとカセットの間に流体が接触しないため、実行間に必要なクリーニングが最小限に抑えられる。播種の日にすべての試薬をカセットに充填し、必要になるまでコクーンの冷蔵ゾーンおいて保管することができる。細胞に送達する前に、流体を37℃に温める。レンチウイルスの安定性により、これは形質導入の日に解凍され、滅菌コネクターを介してカセットに送達される。ガス交換(酸素供給とCO2緩衝化)は、ガス透過性チューブを介した培養液の再循環を介して達成される。埋め込まれたバイオセンサーは、溶存酸素及びpHに関するリアルタイムのデータを提供した。T細胞は、他の細胞又は活性化試薬との安定した接触を必要とするため、ガス交換のための培地交換、洗浄及び再循環は、細胞を乱すことなく灌流を介して行うことができる。ロッキングは、効率的な回収を促進するために使用することができる。
【0327】
方法
[00350]細胞培養。末梢血単核細胞(PBMC)(Lonza)をDNase(Sigma)で解凍し、37℃で<2×106細胞/mLの密度で一晩回復させた。Solution 17(Chemometec)を含む、Blood Assayプロトコールを備えたNUCLEOCOUNTER 200を使用して、細胞のカウントを行った。形質導入のマーカーとして低親和性の神経増殖因子受容体(NGFR)でコードされた第三世代のレンチウイルスベクターを使用して、細胞を形質導入した。このレンチウイルスは、McMaster University(Hamilton、Canada)のBramson Lab由来のプロトコール及びプライマーに基づいて、LonzaのcGMPウイルス製造施設(Houston、Texas)で製造された。1の感染多重度(MOI)がすべての条件で使用された。ウイルス力価は、HEK293TM細胞を使用し、フローサイトメトリーを用いてNGFRを検出することにより決定された。活性化培地は、22IU/mLのIL-2(Cedarlane)及び1%ペニシリン-ストレプトマイシン(Sigma)を補足したX-VIVO 15(Lonza)からなった。可溶性抗CD3で活性化した条件では、OKT3(Biolegend)を最終濃度50ng/mLの活性化培地に添加された。ダイナビーズで活性化した条件では、1:1の比のビーズと細胞を活性化培地に添加した。拡大培地は、29IU/mLのIL-2(Cedarlane)、男性AB血漿由来の5%ヒト血清(Sigma)、1%GLUTAMAX(Thermo Fisher)及び1%ペニシリン-ストレプトマイシン(Sigma)を補足したX-VIVO 15(Lonza)からなった。
【0328】
[00351]自動化されたCAR T細胞生成。0日目に、60×106のPBMCをカセットの投入バッグに入れた。また、抗CD3/抗CD28ビーズを使用して活性化された条件では、60×106の抗CD3/抗CD28 ダイナビーズ(ThermoFisher)を細胞と1:1のビーズ:細胞比で投入バッグに加えた。投入バッグをカセットに接続し、コクーン(Octane Biotech Inc.)に持ち込んだ。オペレーターのサインインに続いて、カセットをコクーンに充填した。1日目に、ウイルス(Lonza Houston)を解凍し、次に、1のMOIでカセットアクセスポートを介して細胞培養チャンバーに移した。ウイルスを細胞に送達させる前に、活性化培地を使用して培地を希釈した。活性化培地を培養チャンバーから取り出し、細胞を乱すことなくウイルスとともに戻した。4日目には、拡大培地が追加され、総作業体積が増加した。6日目と8日目に部分的な培地交換を拡大培地で行った。拡大ステップの後、コクーンは、細胞を除去する前に最終体積を100mL未満に減らした。培養を通じて、データは、コクーンにより継続的に回収された。これには、ドアを開閉するたびなどに、すべてのポンプ及びアクチュエータのステップが含まれる。熱値、ガス濃度、流体pH、及び溶存酸素などの包括的なセンサーデータが回収された。オペレーターは、電話又は外部コンピューターを使用して、培養の状態をリモートでモニタリングすることができた。
【0329】
[00352]手動CAR T細胞生成。パーマライフ細胞培養バッグでコクーンと並行してCAR T細胞の手動生成を行った。0日目に、60×106のPBMCを活性化培地に0.27×106細胞/mLで0日目に播種した。これらの培養は、自動化培養と同じドナー細胞と活性化及び拡大用の同じ培地を利用した。培養は、パーマライフバッグ(PL240、Origen)で開始し、6日目に細胞が拡大するにつれて、より大きなパーマライフバッグ(PL325、Origen)に移した。体積が増加するにつれて、8日目に細胞をPL240及びPL325バッグに拡大した。1日目に、1のMOIでレンチウイルスをバッグに加えた。コクーン培養と同等の体積で細胞に供給した。しかしながら、コクーン条件とは異なり、廃棄に送られた培地はなかった。使用した体積は、培養物を2×106細胞/mL未満に維持した。10日目に、培養体積を質量で取得し、全細胞の試料をカウント及び分析のためにバッグから取り出した。機能アッセイにおいて使用する前に、細胞を遠心分離して、残留物及び体積を減らした。
【0330】
[00353]非形質導入及び非活性化条件。蛍光活性化細胞選別(FACS)分析に使用される非形質導入及び非活性化の陰性対照は、以前に記載されたプロトコールに従って小規模で培養された。簡単に説明すると、5%ヒトAB血清(Sigma)及び22ng/mLのIL-2(Cedarlane)を補足したX-VIVO 15(Lonza)を含む96ウェルプレートに1×105個の細胞を播種した。活性化されたが、形質導入されていない対照は、同様のプロトコールを使用してセットアップされた。細胞を播種した後、等量の培地を加えた。可溶性抗CD3で活性化した条件には、最終濃度50ng/mLの100ng/mL OKT3(Biolegend)を補足した。抗CD3/抗CD28ビーズで活性化された条件には、ダイナビーズが1:1の比率で添加された。活性化された培養物を4日目に96ウェルプレートから24ウェルに拡大し、それらの増殖に基づいてT25及びT75フラスコに移し、4日目から2日ごとに供給した。
【0331】
[00354]フローサイトメトリー。開始集団の表現型を調べるために、細胞を次の一次抗体で染色した:パシフィックブルーCD3(クローンUCHT1、BD Biosciences)、PE CD14(クローン61D3、ThermoFisher)、APCeFluor780 CD4(クローンOKT4、ThermoFisher)、PerCP-Cy5.5 CD8a(クローンRPA-T8、ThermoFisher)、BV605 CD279(PD-1、クローンEH12.2H7 BioLegend)及びLIVE/DEAD定着性バイオレット死細胞染色(ThermoFisher)。HER2形質導入の効率を評価するため、単球(CD14)の染色の代わり以外に細胞を上記のように染色し、細胞をBV421 CD271(C40-1457 NGFR、BD Biosciences)及びLIVE/DEAD定着性グリーン死細胞染色(ThermoFisher)で染色した。次に、細胞を固定して洗浄した。SA3800 Sony Spectral Analyzerで条件ごとに20,000を超えるイベントが取得された。FlowJo 10.4.2を使用してFACS分析を行った。非形質導入条件及び非活性化条件を使用して、蛍光マイナス1(FMO)対照とともにゲートを設定した。
【0332】
[00355]腫瘍細胞株。HER2陰性腫瘍細胞であるLOX-IMVI細胞(National Cancer Institute)は、転移性メラノーマ黒色腫に由来し、前述のように10%FBS(Sigma)を含むRPMI(Sigma)で拡大された。HER2陽性腫瘍細胞であるSKOV-3(ATCC)細胞は、卵巣漿液性嚢胞腺癌に由来し、前述のように10%FBSを含むMcCoy’s5a(改変)培地(ThermoFisher)で拡大された。0.25%トリプシンを5~10分間使用して、コンフルエンス前に細胞を継代した。低い継代数を凍結保存し、ALAMARBLUE又はICSアッセイで使用する前に腫瘍株を2~3回継代した。
【0333】
[00356]サイトカイン分泌アッセイ。前述のように(例えば、Atkuri、2005年;Avgoustiniatos、2008年)、50,000個のLOX IMVI又はSKOV-3腫瘍細胞を各培養条件で3重にして丸底96ウェルプレートに播種した。翌日、T細胞は、37℃で4時間、タンパク質輸送阻害剤ブレフェルジンA(Golgi Plug, BD Biosciences)とともに腫瘍株のウェルあたり8:1で播種された。細胞を4℃で一晩保存した。次に、細胞を染色及び分析のためにプールした。上記のように、細胞は、表面表現型CD3、CD4、CD8a、NGFR、及びLIVE/DEAD定着性グリーン死細胞染色で染色された。細胞内サイトカイン染色(ICS)は、BD Cytofix/Cytoperm固定化/透過化溶液キット(554714、BD Biosciences)による固定及び透過処理後に完了した。試験した活性化サイトカインには、APC IFNγ(クローンB27、BD Biosciences)及びPETNFα(クローンMAb11、BD Biosciences)が含まれる。Sony SA3800では、ICS分析のために230,000を超える事象(最大500,000)が回収された。SKOV-3とLOX-IMVI腫瘍株のサイトカイン産生の違いは、TNFα又はIFNγを分泌する集団の割合として報告された。FMO制御とともにゲートを設定するために、非形質導入及び非活性化条件が使用された。
【0334】
[00357]細胞毒性アッセイ。細胞毒性は、前述のように試験された(例えば、Atkuri、2005年;Avgoustiniatos、2008年)。接着性腫瘍細胞株を96ウェルの平底組織培養処理プレートに2×104細胞/ウェル(SKOV-3又はLOX-IMVI)で一晩プレートした。コクーン及び対照条件からのCAR T細胞は、様々なエフェクター(E)T細胞対腫瘍(T)のE:T比(0.25:1~8:1)で腫瘍細胞のウェルに添加され、37℃で一晩、同時インキュベートされた。ウェルは、温められたPBS又はRPMI培地で3回洗浄され、いずれもの非接着細胞を除去した。ALAMARBLUE細胞生存率試薬(Life Technologies)の10%溶液を100μL添加し、ウェルを37℃で3時間インキュベートした。ミトコンドリアの還元時に蛍光を発する生細胞の代謝指標であるALAMARBLUEは、Tecan Infinite M200 Proプレートリーダー(Tecan、Maennendorf、Switzerland)で蛍光(励起530nm、発光595nm)によって測定された。腫瘍細胞の生存率は、未処理の標的細胞と比較した実験ウェルでの蛍光の損失として計算された。各条件は3重にして試験された。
【0335】
結果
[00358]自動化プラットフォームであるコクーンを利用して、2つの異なる活性化方法を用いてCAR T細胞の臨床規模の生成を達成する実施可能性を実証した。プラットフォームは、1回使用の使い捨てのコクーンカセット(
図11A、11E)とコクーン制御システム(
図11B)からなる。
図11Fは、シリンジ1170又はバッグ1172をカセット602サンプリングに使用する方法を示す。カセットは、プロセスに必要なすべての試薬をカセットの冷蔵ゾーンに事前に充填して保存し、培養ゾーンで細胞処理を行うことができるように、複数の試薬バッグで設計される。カセットは、細胞の活性化、形質導入、拡大、リアルタイムの溶存酸素とpHモニタリング、洗浄、及び細胞濃度など、閉じたシステムとしてリンクされた複数のユニット操作をサポートする。カセットの下部には、培養に必要な様々な試薬及び老廃物を保持するための複数のバッグが含まれる。コクーンは、カセットの制御システムを提供する。これには、流体及び細胞の移動の制御、並びに制御センサーの揺動、撹拌、及びリモートモニタリングが含まれる。アクチュエータは、流体に接触することなく自動化バルブ制御を可能にする。アクチュエータの相互作用がなければ、バルブは閉じたままになり、制御されていない流体運動を防ぎながら、カセットを部屋間又は顕微鏡に移動させることができる。必要な試薬をカセットの流体リザーバーに充填した後、様々なユニット操作が行われるカセットの培養ゾーンにスナップする。ウイルスの滅菌試料の除去又は注入では、ICUスピロス(Spiros)コネクターを利用する。試料の除去又はウイルスの添加の前に、事前にプログラムされたプロトコールで定義されているように、特定の時間にオペレーターが進める。オペレーターのサインインと通知の確認後、コクーンが自動的に開き、試料の除去又はウイルスの添加が可能になる。オペレーターは、ドアが自動的に閉じて環境制御が再開される前に、アクションが完了したことを認識する。カセットがコクーンに充填され(
図11C)、外殻が閉じられると(
図11D)、カセットの下部は熱障壁によって上部から分離される。下部は冷蔵温度に維持され、上部は37℃に維持される。閉じたコクーンにより、ガスと熱の制御が可能になる。細胞は37℃に維持され、試薬はコールドゾーンに維持されて安定性が延長される。不透明な殻は、培地成分の分解に関連する光誘発毒性を防ぐ。細胞に移す前に、培地を温めるために、37℃のゾーンに予熱チャンバーが位置される。すべての培養ステップは、PBMC充填から最終濃度及び細胞回収まで自動化され得る。
図11Aに示されるように、カセットには、アクティベーション後にウイルスを充填するために使用することができる一連のアクセスポートがある。リアルタイム溶存酸素及びpHセンサーがカセットに組み込まれ、コクーンソフトウェアにフィードバックを提供する。リアルタイムのデータ及び履歴グラフをモニタリングして、これらの要因が標的範囲内に維持されていることを確認することができる。
【0336】
[00359]コクーンプロセスステップの概要は、
図12Aに示される。ガス透過性パーマライフバッグは、並行対照培養及びCAR T細胞の拡大に使用された(例えば、Lu、2016年)。
図12B(コクーン)及び12C(パーマライフバッグ)は、カセットの上部チャンバーで培養されたコクーン内の細胞を含む2つの形式の細胞分布を実証する。両方のシステムで同等体積の培地を使用した。パーマライフ細胞培養バッグは、一般的に行われているように、総体積が増加するにつれて面積が拡大する、流加培養プロセスを利用した。コクーンカセットは固定領域を利用し、最初の流加培養の供給戦略を採用し、培養6日目と8日目に部分的な培地交換を使用した。
【0337】
[00360]活性化方法の影響及び自動化プラットフォームの性能を評価するために、以下の基準を使用した:生存率、細胞数、表現型、消耗、形質導入効率、機能性細胞内サイトカイン分泌、及び細胞毒性。結果を
図16に要約し、本明細書において検討する。
【0338】
[00361]ドナー2として別段の指示がない限り、すべての条件について同じドナー細胞を使用した。すべての条件は、60×106のPBMCを播種し、同じ培地体積及び組成物を与えた。開始細胞集団には、66.6%のCD3+T細胞及び12.0%のCD14+細胞が含まれていた。CD3+細胞のうち、71.2%がCD4+であり、28.1%がCD8+細胞であった。2番目のドナーを使用して、ドナー間の変動の影響を決定した。このPBMCの2番目の集団には、元々、75.0%のCD3+T細胞及び4.5%のCD14+細胞が含まれていた。CD3+細胞のうち、65.0%はCD4+であり、32.9%はCD8+細胞であった。
【0339】
[00362]OKT3及びダイナビーズで活性化されたコクーン培養物からの10日目の生細胞収量は、それぞれ2.55×10
9±0.1×10
9及び2.15×10
9±0.1×10
9であった。OKT3及びダイナビーズで活性化されたパーマライフバッグ培養物からの生細胞収量は、それぞれ2.08×10
9±0.1×10
9及び1.53×10
9±0.1×10
9であった(
図13A)。すべての条件での生存率は95%を超えていた(
図13A)。集団倍加レベル(PDL)は、コクーンでは5.2~5.4(36~43倍)、パーマライフバッグでは4.7~5.1(25~35倍)であった(
図13B)。
【0340】
[00363]すべての条件は、T細胞の高レベルの純度を示し、生存細胞の88%超がCD3を発現した。パーマライフバッグで増殖したビーズ活性化PBMCを除き、10日間で生成された総生存T細胞は20億を超えていた(
図13C)。活性化法に関係なく、コクーン条件ではバッグに比べて総T細胞収量が多くなった。10日目のコクーンカセットT細胞の収量は、2.0~2.4×10
9であった。パーマライフバッグは、1.5~2.0×10
9のT細胞を生成した(
図13C)。同じドナー細胞を使用すると、CD3+細胞のPDLは、それぞれダイナビーズ又はOKT3を使用して活性化されたコクーンで5.7及び5.9(51及び60倍)であった(
図13D)。ダイナビーズとOKT3をそれぞれ使用して活性化したパーマライフバッグでは、CD3+細胞のPDLは5.2及び5.6(38及び49倍)であった。
【0341】
[00364]ヘルパーT細胞又は細胞傷害性T細胞をそれぞれ示すCD4及びCD8の糖タンパク質を発現するCD3+T細胞の割合を
図13Eに示す。T細胞亜集団に関連する最も重要な結果は、ダイナビーズ活性化した細胞と比較してOKT3で活性化された条件でのCD8細胞の数の増加であった。OKT3活性化は、83~86%のCD8+及び6~11%のCD4+細胞をもたらし、一方、ダイナビーズ活性化条件は、48~56%のCD8+及び41~48%のCD4+細胞の亜集団をもたらした。同じドナーによるすべての培養物では、消耗関連マーカーであるPD-1は10%未満であり、これは、低レベルの細胞消耗を示した(
図13F)。2番目のドナーは、ダイナビーズを含むコクーンで培養すると、細胞の21%でPD-1を発現した。
図13G及び13Hは、OKT3活性化条件と比較して、ダイナビーズ活性化条件におけるCD8+細胞の有意差を強調する代表的な等高線図を示す。
【0342】
[00365]高い形質導入効率は、コクーン中のCD3+細胞の62~78%、及びNGFRを発現するパーマライフバッグ中のCD3+細胞の42~60%を有するT細胞HER2特異性の代理表面マーカーCD271(NGFR)発現により決定された(
図14A)。形質導入効率は、バッグ培養に比べてコクーンの方が大きかった。高い形質導入及び拡大により、生存可能なCAR T細胞の総数は、コクーンでは1.26~1.66×10
9、パーマライフバッグでは0.62~1.20×10
9の範囲であった(
図14B)。CD4及びCD8亜集団におけるCAR T細胞の割合及び総数をそれぞれ
図14C及び14Dに示す。形質導入されたCD4細胞の割合は、NGFRが発現しているコクーンにおいて、CD4細胞の75.4~80.9%及びCD8細胞の64~73.2%であり、CD8細胞よりも大きかった。パーマライフバッグでは、54.7~79.9%のCD4細胞及び36.1~58.9%のCD8細胞がNGFRを発現した。CD8細胞の拡大はCD4細胞よりも有意に大きかったため、CD8+形質導入細胞の総数は、ダイナビーズ活性化したバッグ培養を除くすべての条件でCD4+形質導入細胞よりも有意に大きかった(
図14D)。コクーンでは、0.25~0.64×10
9の形質導入CD4細胞及び0.66~1.43×10
9の形質導入CD8細胞が存在した。パーマライフバッグ条件では、0.09~0.41×10
9の形質導入CD4細胞及び0.25~1.06×10
9の形質導入CD8細胞が存在した。コクーン条件及びパーマライフバッグ条件での形質導入効率の代表的な等高線図をそれぞれ
図14E及び14Fに示す。
【0343】
[00366]細胞の機能性試験は、細胞内サイトカイン放出アッセイ及びALAMARBLUE殺傷アッセイを使用して行われた(Nociari、1998年を参照されたい)(
図15)。すべての場合において、細胞は、1型TヘルパーCD4+細胞及び細胞傷害性CD8+細胞に特徴的なTNFα及びIFNγの産生を実証した(
図15A及び15B)(例えば、Romagnani、1991年を参照されたい)。より高い割合のCD4+細胞がTNFαを分泌した。TNFα分泌細胞の生成は、同じドナー細胞のバッグ培養と比較して、コクーン条件で大きかった。ダイナビーズ活性化条件は、OKT3活性化条件よりも高い割合でTNFα及びIFNγ分泌形質導入細胞を生成した。ALAMARBLUE殺傷アッセイは、CAR T細胞による卵巣癌細胞株SKOV-3 HER2+腫瘍細胞の効果的な殺傷を実証した(
図15C及び15D)。殺傷効果の傾向は、エフェクターT細胞の連続希釈に続き、パーマライフとコクーンの生成細胞の両方からの強い応答を示した。HER2腫瘍細胞であるLOX IMVIはまたT細胞に曝露されて、HER2特異性を実証した。CAR T細胞に応答したHER2陰性培養では、殺傷傾向は確認されなかった。
【0344】
検討
[00367]活性化方法。CAR T細胞産生の評価には、可溶性抗CD3(OKT3)、並びにビーズ結合した抗CD3/抗CD28 ダイナビーズを使用した活性化が含まれた。OKT3で活性化された培養物は、ダイナビーズで活性化された培養物と比較して19~36%の改善された増殖を実証した(
図13A)。活性化の方法はまた、最終的な表現型に有意差を生じさせた(
図13E)。ダイナビーズ活性化条件では、CD3+CD8+が84.5%であったOKT3活性化条件と比較して、CD3+CD8+細胞が平均52.7%であった。これは、ダイナビーズで活性化された条件の場合、OKT3で活性化された場合の9.8:1と比較して、CD8+とCD4+の比率が約1.2:1であることを表す。CD8+細胞数の増加は、細胞がバッグ又はコクーン条件で培養されたかどうかに関係なく見出された。
【0345】
[00368]OKT3活性化による改善された収量は、予想外の結果であった。ダイナビーズは、TCR/CD3複合体及びCD28共刺激受容体に結合することによりT細胞を活性化する。共刺激用の抗CD28抗体を有するダイナビーズとは異なり、可溶性抗CD3による活性化は単球に依存して、CD28に対するリガンドであるB7受容体、CD80及びCD86を提示する(例えば、Fleischer、1996年を参照されたい)。しかしながら、B7受容体はまたCTLA-4に結合し、この阻害経路を刺激するため、したがって、T細胞の増殖を阻害することができる。活性化法に基づいた、改善された総細胞収量は、細胞がバッグ又はコクーン条件で培養されたかどうかに関係なく見出された。ビーズ結合した抗CD3/抗CD28抗体は、ヘルパーT細胞(CD4+細胞)の拡大を促進し、OKT3は、細胞傷害性T細胞(CD8+細胞)の拡大を促進し得る(例えば、Fleischer、1996年;Laux、2000年;Li、2010年;Zhu、2007年を参照されたい)。
【0346】
[00369]より高い細胞収量、及び具体的には、CD8+細胞優位性は、OKT3及び単球を使用して活性化された場合、追加の受容体の刺激に起因し得る。CD4+T細胞の95%がCD28を発現し、一方、CD8細胞の50%のみがCD28を発現することが以前に報告されている(Ledbetter、1990年を参照されたい)。その結果、ダイナビーズは、CD8+細胞の最大50%のみを活性化することができる。OKT3で活性化された培養物は、ビーズではなく、単球に存在する他の共刺激リガンドの恩恵を受ける可能性がある。
【0347】
[00370]例えば、単球は、CD58(LFA-3)及びCD40受容体を発現し、これらはCD2及びCD40Lのリガンドである。これらの受容体の刺激は、T細胞の増殖を促進することが公知である。これらのアクセサリー細胞はまた、CD137と相互作用し、CD8+細胞の拡大を刺激し得るCD137Lを発現する場合がある。これらの他の受容体との相互作用は、ダイナビーズ活性化と比較して、より生理学的な抗原提示を代表する可能性がある。
【0348】
[00371]OKT3活性化は他の細胞に依存するため、ドナー変動性の影響は、ダイナビーズによる活性化よりも重要である可能性がある。この研究の開始細胞集団は、0日目に12.0%のCD14+細胞及び66.6%のCD3+細胞で構成された。単球感受性が最終収量及び表現型に与える影響を調べるために用量研究を行うことができた。
【0349】
[00372]自動化。コクーンは、OKT3又はダイナビーズのいずれかで活性化した場合、手動条件と比較して、生存可能なCAR T細胞のより大きな収量を生じさせた。ダイナビーズで活性化した場合、COCOO培養は、バッグ培養よりも40%多い増殖を生じさせた。OKT3培養では、コクーンはバッグ培養よりも23%多く細胞を生じさせた。コクーン条件はまた、形質導入効率がより高く、その結果、CAR T細胞の総収量がより高いことを実証した(
図14)。ダイナビーズ活性化条件では、コクーンの総CAR T細胞収量はバッグの2倍超であった。OKT3活性化条件では、CAR T細胞の収量はコクーンでバッグよりも約40%多くなった。
【0350】
[00373]パーマライフバッグと比較してコクーンの改善された収量は、活性化の増加であり得る。これは培養領域全体の分布に起因している可能性がある。コクーンは、バッグが柔軟であるのに対し、固体の非降伏チャンバーを利用する。細胞の沈降後、バッグの湾曲が細胞の不均一な分布を引き起こすことが観察された。これは、活性化剤及び/又は細胞の不均一な分布を引き起こした可能性がある。別の考えられる原因は、活性化期中の撹拌量に関係している可能性がある。活性化の翌日に細胞が形質導入されたため、活性化がまだ進行中であるか、又は活性化剤が細胞に取り込まれなかった可能性がある。形質導入ステップ中に、バッグ培養物をインキュベーターからバイオセーフティキャビネットに移動して、滅菌技術を使用して細胞を送達する。バッグの運動は、バッグ内のウイルス分布を促進する;しかしながら、インキュベーターからインキュベーターへのバッグの移動中にも細胞が乱される。安定した接触は、細胞の活性化に重要である可能性があるため、この運動は細胞に負の影響を与えた可能性がある。コクーン培養物の細胞は、活性化又は形質導入のステップ間で妨げられない。コクーンでは、活性化に使用される培地は、形質導入前に培養から除去される。少量の培地がチャンバー内に残っているため、細胞はチャンバーの底にとどまり、体積の移動中に邪魔されない。チャンバーから取り出された培地は、ウイルスを希釈及び混合するために使用され、次に、細胞集団に移動して戻される。このプロセスの間、細胞は影響を受けないままである。
【0351】
[00374]効率的な活性化は、より効率的な形質導入と相関し得る。つまり、細胞が活性化されて活発に分裂している場合、レンチウイルスはより効果的に統合される可能性がある。これを評価するために、形質導入前に試料を採取して、活性化効率を決定することができる。改善された形質導入効率はまた、細胞へのウイルスの均一な分布に関係している可能性がある。コクーン培養では、ウイルスは培地と混合され、細胞に均一に分布する。平らであり、柔軟性のない容器を使用すると、均一な分布を改善し、その結果、細胞集団間でウイルスの均一な曝露に役立つ。
【0352】
[00375]改善された性能の別の理由は、ガス交換に関係している可能性がある。酸素レベルの増加は、増殖の増加をサポートする可能性がある。シリコーンガス交換ラインを介した培養上清の再循環を使用することにより、自動化プラットフォームで高い酸素レベルが維持された。ガス交換は、バッグの材料であるフッ素化エチレンプロピレン(FEP)を介した拡散により、バッグの状態で達成される。シリコーンの透過係数は、FEPの透過係数よりも有意に大きい(例えば、Avgoustiniatos、2008年を参照されたい)。コクーンプロトコールは、十分な酸素濃度を確保するために作成された。これは、培養期間を通じて生成されたバイオセンサーのデータによって確認された。
【0353】
[00376]シリコーンチューブを介したガス交換はまた、pHレベルをサポートする。つまり、培養の開始時に、培地はCO2が豊富な環境とのガス交換によって標的pHを維持する。培養中の細胞数が増加すると、細胞は乳酸及びCO2を生成し、CO2環境の必要性を取り除く。コクーン環境のCO2は、培養期間中に減少し、pHの維持に役立った。パーマライフバッグは、培養プロセス全体を通じて5%CO2環境で保存される従来のプロトコールに従った。
【0354】
[00377]細胞を乱すことのない連続再循環のさらなる利点は、正及び負の因子のより均一な分布である。これには、栄養素、老廃物、放出されたサイトカイン、及び溶存ガスが含まれる。継続的な再循環は、因子を均等に分散させることにより、局所的な影響を減らし、培地の効率を改善するのに役立つ。
【0355】
[00378]自動化転換。この実施例では、閉じた自動化生成システムであるコクーンを使用して、ビーズ結合した抗体又は可溶性OKT3のいずれかによって活性化されたCAR T細胞を生成した。結果は、低濃度のウイルスを使用して、高い形質導入効率でコクーンから臨床的に関連する収量を生成し得ることを実証している。さらに、細胞の表現型は、活性化法によって駆動することができる。
【0356】
[00379]結果は、活性化法の影響を比較するために、主に単一のドナーから生成された。条件間の変動性は非常に低かった。異なるドナーを用いて試験を繰り返した場合、同じ活性化法を使用した場合にドナー間で結果は同様であった。この研究は、臨床的に関連性があり、スケーラブルで使いやすい方法でCAR T細胞の生成を効果的に自動化する効率的な方法を実証する。
【0357】
実施例3-細胞工学システムを用いたエレクトロポレーションによる形質導入
背景
[00380]オクタンコクーン(商標)システムは、細胞治療製造物を製造するための自動化された、閉じたエンドツーエンドバイオリアクターシステムである。オクタンの自動化細胞及び組織工学システム(ACTES)は、3つの主なコンポーネント:基本機器、ソフトウェア、及びカスタマイズ可能な使い捨てカセットで構成されている。コクーン(商標)システムは、上流と下流の細胞培養プロセスの両方で、自動化された単離、拡大、濃縮、及びバッファー交換が可能である。
【0358】
[00381]エレクトロポレーションユニットは、初代細胞、幹細胞、ニューロン、及び静止期又は非増殖細胞を含む、エレクトロポレーション及び他の非ウイルス法を介して低いトランスフェクション効率を有することが従来公知である細胞のトランスフェクションを可能にする。本システムには、エレクトロポレーションユニット、エレクトロポレーション溶液、エレクトロポレーションカートリッジ、及び最適化されたエレクトロポレーションプロトコールが含まれる。エレクトロポレーションユニットは、コアユニット、及び様々なニーズに対応する1~3個の追加機能アドオンユニットで構成される。例えば、エレクトロポレーションユニットを使用して、20μL~100μLの様々な細胞数、及び1mL~20mLの体積で1×107~1×109のトランスフェクションを行うことができる。
【0359】
[00382]本明細書には、エレクトロポレーションユニット及びオクタンコクーン(商標)システムを使用する、自動化された、完全に閉じられた、無菌であり、堅牢なトランスフェクション及び細胞拡大手順が記載される。概念実証(PoC)の評価では、それぞれのエレクトロポレーションソフトウェア及びオクタンコクーン(商標)ACTESソフトウェアは、互いに独立して動作する。他の実施形態では、ソフトウェアはシステム間で完全に統合されている。
方法
[00383]エレクトロポレーションユニット及びコクーン(商標)システムを使用した末梢血単球細胞(PBMC)トランスフェクション及び拡大の評価は、3つの主要な焦点領域に分割された。
【0360】
[00384]コクーン(商標)カセットの細胞濃度、オクタンコクーン(商標)とエレクトロポレーションユニット間の細胞移動、コクーン(商標)とエレクトロポレーションユニット間で移動した、トランスフェクトされた細胞の拡大、及びコクーン(商標)カセット内の細胞濃度。
【0361】
[00385]コクーン(商標)ACTESカセットは、その培養チャンバー内で約450mLの培養培地を再循環する。細胞増殖チャンバーは、典型的には、260cm2の領域内に最大180 mLの培地を一定量保持する。260cm2の増殖チャンバーの180mL容量を超える追加の培地体積は、コクーン(商標)カセットの様々なサテライトリザーバー及びチャンバーから提供される。これらのサテライトリザーバーからの追加の培地は、使い捨てのコクーン(商標)の培養物分内で再循環して、新鮮な栄養素を提供し、260cm2の増殖チャンバー内の細胞から老廃物を除去することができる。
【0362】
[00386]エレクトロポレーションユニットがトランスフェクトすることができる例示的な体積は20mLである。20mLの体積は、適切なエレクトロポレーション溶液の少なくとも90%で適切に構成される必要がある。したがって、PoC研究では、元の培養体積を10mLに減らし、次に、追加の90mLの補足されたP3初代細胞エレクトロポレーション溶液で希釈し、最終体積10mL~18mLに濃縮した。
【0363】
[00387]記載された概念実証の研究は、以下を利用した:
[00388]透過ラインの端部に追加された、Nordson EFDの20ゲージ、内径0.024インチ/内径0.036インチの流量制限器。
【0364】
[00389]1×108のPBMCを1×108のCD3+:CD28+ダイナビーズ(Invitrogen)で刺激し、最大10日間、複数のGREX 100(Wilson Wolf)培養容器を使用して、5%ヒト血清A/B(Sigma)及び10ng/mLのIL-2(Peprotech)を補足したX-VIVO 15培地(Lonza)で構成される完全なT細胞培地で拡大した。細胞の試験濃度を250mLのコニカルバイアルに移し、空気を加湿した5%CO2の37℃のインキュベーター内で2~4時間馴染ませた。馴染ませた細胞懸濁液の上清を10mLに減らし、過剰な上清を廃棄した。90mLの補足P3の初代細胞エレクトロポレーション溶液(Lonza)を、濃縮された細胞懸濁液に加えて、最終体積を100mLにした。次に、100mLの細胞懸濁液を10mLの体積に濃縮した。細胞の対照試料を37℃でインキュベートした。
【0365】
[00390]希釈前の細胞培養物、希釈培養物、及び最終濃縮の細胞懸濁液に対してNucleocounter NC-200(Chemometec)を使用して、二重でカウントを行った。体積は、血清ピペット及びKrosFloスケールを使用して測定された。残留試験試料は、初期の培養前希釈、上清、及び最終濃縮の細胞懸濁液から得られた。ヒト血清ELISAキット(Bethyl Laboratories)を使用して、希釈及び濃縮後に残った血清の割合を決定した。FACS分析は、CD4+及びCD8+発現について対照細胞及び濃縮された細胞懸濁液で行われた。
【0366】
[00391]コクーン(商標)トランスフェクションプロトコールの体積減少の首尾よい実証は、以下記のように定義された:細胞の≧85%の回復、細胞生存率の≦10%の減少、及び初期濃度の≦10%の残留ヒト血清。
【0367】
[00392]オクタンコクーン(商標)とエレクトロポレーションユニット間の細胞移動
[00393]コクーン(商標)とエレクトロポレーションユニット間の細胞の移動には、いくつかの使い捨て消耗品が必要である:コクーン(商標)カセット、エレクトロポレーションカートリッジ、2つの修飾エレクトロポレーションリザーバー、及び2つの接続チューブセット(
図17参照)。
【0368】
[00394]修飾エレクトロポレーションリザーバーは、ルアーロック接続端部を有する入口及び出口溶接可能チューブ、リザーバーへの無菌細胞移動のための外部入口リザーバーチューブに接続されたリザーバーハウジング内の細胞投入ポート、LVリザーバーの投入チューブのルアーロック基質付加ポート、及び体積の移動中に空気を逃がすためのキャップのベントフィルターを含む。培養物の無菌性又は細胞の健康を損なうことなく、制御された方法でコクーン(商標)外への流体及び細胞懸濁液の移動を自動化し得るポートを備えたコクーン(商標)カセットが設計される。
【0369】
[00395]コクーン(商標)とエレクトロポレーションユニット間の細胞の無菌移動の首尾よい実証は以下を実証した:移動され、トランスフェクトされた細胞の上清は無菌試験と通過した、トランスフェクション前後の培養試料においてマイコプラズマは検出されなかった、トランスフェクション後であって、コクーン(商標)カセット増殖チャンバーへの送達後にコクーン(商標)カセットにおいて、トランスフェクションまでの細胞/体積の90%以上の回復、コクーン(商標)とエレクトロポレーションユニット細胞の移動運動の間のトランスフェクトされていない細胞の生存率の5%以下の変化、並びにコクーン(商標)とエレクトロポレーションユニット間の自動化移動の有無にかかわらずにトランスフェクトされた細胞と比較した場合、CD3+、CD4+、及びCD8+細胞の20%以下の変化。
【0370】
[00396]コクーン(商標)ACTESカセットは、BD Q-Syteメスルアーロックエンドを備えた2つのサンプリングポート、並びにこれらの場所に無菌的に接続された、コクーン(商標)カセットからの接続チューブセットを介した細胞懸濁液の自動化移動を可能にするカニューレを備えた入口及び出口ポートを有する。PoCの研究中、コクーン(商標)カセット、エレクトロポレーションリザーバー、エレクトロポレーションカートリッジ、及び接続チューブセット間のコネクション(接続部;connection)は無菌的に接続され、コクーン(商標)とエレクトロポレーションシステム間の滅菌ループを次のように作製した。
【0371】
[00397]ICU Medicalのスピロス(登録商標)オスルアーロック終端コネクターを備えた接続チューブセットを、コクーン(商標)の2つのBD Q-Syteメスルアーロックサンプリングポートに接続した。コクーン(商標)カセットからエレクトロポレーションリザーバーへの滅菌経路を作製するために、接続チューブセットの他のスピロス(登録商標)オスルアーロックコネクション(ICU Medical)をエレクトロポレーションリザーバーのメスルアーロック入口チューブに接続した。修飾エレクトロポレーションリザーバーをエレクトロポレーションカートリッジに接続するために、修飾エレクトロポレーションリザーバードレーンラインのメスルアーロック端部をエレクトロポレーションカートリッジ入口のスピロス(登録商標)オスルアーロックコネクション(ICU Medical)に取り付けた。トランスフェクトされた細胞を回収するために、エレクトロポレーションカートリッジのスピロス(登録商標)オスルアーロック出力コネクションは、2番目のエレクトロポレーションリザーバーのメスルアーロックコネクター入口に接続された。2番目のエレクトロポレーションリザーバードレインラインのメスルアーロック端部は、コクーン(商標)カセットの2番目の自動化サンプリングポートにある接続チューブセットのスピロス(登録商標)オスルアーロックコネクターに接続された。
【0372】
[00398]実施形態において、コクーン(商標)ポンプは、トランスフェクトされた細胞をコクーン(商標)増殖チャンバーに移し、細胞の無菌移動が可能な第2のエレクトロポレーションリザーバー又は他の回収容器を利用して、コクーン(商標)カセットの増殖チャンバーへの送達前に新たにトランスフェクトされた細胞を回収する。修飾エレクトロポレーションリザーバーの入口及び出口のPVCチューブライン間の無菌ルアーロックコネクションの代わりに、無菌溶接技術を使用することができ、PVCチューブを備えた接続チューブセットが可能である。
【0373】
[00399]本明細書に記載される細胞工学システム(コクーン)はまた、コクーン(商標)機器の中空シャフトを通じて内部コクーン(商標)環境から誘導されるチューブを介して、コクーン(商標)カセットとエレクトロポレーションユニット間の無菌の閉じた接続部を可能にする。「トランペットアーム」と呼ばれるこの中空シャフトは、主要なプロセスパラメータの制御を失うことなく、外部環境からコクーン(商標)培養チャンバーの内部環境へのアクセスを提供する。コクーン(商標)とエレクトロポレーションユニット間の細胞運動は、ペリスタポンプ及び2つの独立した制御システムのソフトウェアを使用したが、複合システムのソフトウェアも利用して、独立したポンプシステムを制御することができる。
【0374】
[00400]トランスフェクション前に、細胞/流体を手動で滅菌エレクトロポレーションリザーバーに移して、拡大前(0日)トランスフェクション手順を模倣するか、又はコクーン(商標)ポンプ、ソフトウェア、及び接続チューブセット(前述)を用いて、コクーン(商標)カセット増殖チャンバーから移して、拡大後トランスフェクション手順を滅菌エレクトロポレーションリザーバーに模倣した。次に、コクーン(商標)ポンプ及びソフトウェアは、コクーン(商標)カセットからエレクトロポレーションリザーバーの入口への細胞/流体の移動を自動化した。エレクトロポレーションシステムは、エレクトロポレーションリザーバーから、エレクトロポレーションカートリッジを経由して、2番目のエレクトロポレーションリザーバーまで、最大20mLの事前にプログラムされたポンプ運動を実行した。その後、コクーン(商標)ポンプは、回収された、トランスフェクトされた細胞/緩衝液を2番目のエレクトロポレーションリザーバーからコクーン(商標)カセットの増殖チャンバーに移した。
【0375】
[00401]第2のエレクトロポレーションリザーバーを組み込んで、トランスフェクトされた細胞を回収し、コクーン(商標)ポンプによってコクーン(商標)増殖チャンバーに移す準備ができるまでそれらを保持した。エレクトロポレーションユニットポンプのみを使用して、トランスフェクトされた細胞をエレクトロポレーションユニットからコクーン(商標)増殖チャンバーに移動させるには、「接続チューブセットクリアリング」プログラムを利用することができる。さらに、接続チューブセットの長さは一貫している必要がある。
【0376】
[00402]前述のコクーン(商標)カセット、接続チューブセット、及び修飾エレクトロポレーションリザーバーコネクションを使用して(
図17)、11mLのリン酸緩衝液(Lonza)は、コクーン(商標)ポンプを使用してコクーン(商標)カセットから修飾エレクトロポレーションリザーバーに移された。エレクトロポレーションプログラムを使用して、PBS溶液の模擬トランスフェクションを行い、11mL体積を2番目の修飾エレクトロポレーションリザーバーに移動した。次に、コクーン(商標)ポンプ及びソフトウェアを使用して、11mL体積を2番目の修飾エレクトロポレーションリザーバーからコクーン(商標)カセットの出力バッグに移した。コクーン(商標)リザーバーからサテライトバッグに移動される量は、1回の実行で11mLと推定された。実際の体積は、最初の修飾エレクトロポレーションリザーバー、2番目の修飾エレクトロポレーションリザーバー、及びコクーン(商標)出力バッグに移した後、血清ピペットを使用して測定された。通過基準は、最初の修飾エレクトロポレーションリザーバーからコクーン(商標)出力バッグへの≧90%の流体回収率で確立された。
細胞懸濁液試験
[00403]1×10
8及び5×10
8の総生存可能なPBMCは、滅菌コクーン(商標)ACTESカセットの5%ヒト血清A/B(Sigma)及び10ng/mLのIL-2(Peprotech)が補足されたX-VIVO 15培地(Lonza)で構成される450mLの完全T細胞培地で拡大される。3日目に、440mLの培養上清を取り出し、無菌性及びマイコプラズマ試験のために保持する。細胞は、90mLの補足P3エレクトロポレーション溶液(Lonza)で希釈される。次に、細胞をコクーン(商標)カセットで約10mLの細胞懸濁液に濃縮し、コクーン(商標)サテライトバッグに移す。追加10mLの補足P3エレクトロポレーション溶液で増殖チャンバーを洗浄し、コクーン(商標)サテライトバッグの細胞懸濁液に添加するオプションが評価される。Nucleocounter NC-200(Chemometec)、マイコプラズマを使用して重複した細胞数を測定するために、サテライトバッグ内の濃縮細胞から試料を取り出し、無菌状態を保持する。次に、前述のように、コクーン(商標)ポンプ及び接続チューブセットを介して、細胞を修飾エレクトロポレーションリザーバーに移す。エレクトロポレーションユニットポンプ及びEO-210プログラムを使用して、T細胞にpmax GFPベクター(Lonza)をトランスフェクトし、トランスフェクトされた細胞を2番目の修飾エレクトロポレーションリザーバーに移す。次に、コクーン(商標)ポンプは、修飾エレクトロポレーションリザーバーからコクーン(商標)ACTESカセットの増殖チャンバーに細胞を移す。重複細胞数、マイコプラズマ、及び無菌性試験のために、ACTESカセット増殖チャンバーから細胞の試料を取り出す。この手順は、細胞がトランスフェクトされないが、代わりに模擬エレクトロポレーションプログラムCA-100を使用してエレクトロポレーションユニットを通過する対照培養物で繰り返される。この手順は、3人の異なるドナーを使用して評価される;新たに単離されたものと凍結保存されたPBMCロットの両方である。
【0377】
[00404]細胞生存率の変化は、トランスフェクトされていない細胞培養物で測定される。細胞の回復、無菌性、及びマイコプラズマ負荷は、すべての培養物で評価される。フローサイトメトリーを使用して、GFP、CD3+、CD4+、CD8+、及び追加のマーカー発現を評価する。
【0378】
[00405]コクーン(商標)とエレクトロポレーションユニット間の細胞懸濁液の無菌的移動は、運動前及び運動後の無菌であり、マイコプラズマを含まない上清を提供し、トランスフェクション後であり、コクーン(商標)カセット増殖チャンバーへの送達後のコクーン(商標)カセットのトランスフェクション前の細胞の≧90回復、非トランスフェクション細胞の生存率の≦5%の変化、トランスフェクション後のCD3+、CD4+、及びCD8+細胞比の≦20%の変化をもたらす。
【0379】
コクーン(商標)とエレクトロポレーションユニット間で移動されたトランスフェクトされた細胞の拡大
[00406]1×108及び5×108の総生存可能なPBMCをコクーン(商標)カセットで拡大及び濃縮し、エレクトロポレーションLVユニットの滅菌コネクションを介してトランスフェクトし、「オクタンコクーン(商標)とエレクトロポレーションLVユニット間の細胞間の移動、細胞懸濁液テスト」に関する方法セクションで前述したように、コクーン(商標)に滅菌的に移す。トランスフェクトされた細胞は、最も関連性の高い、最適化された自動化コクーン(商標)プロトコールを使用して、コクーン(商標)カセット増殖チャンバーで最大15日間培養される。対照は、T-225フラスコ(Corning)又はGREX 100(Wilson Wolf)培養容器で3日間拡大される。3日目に、対照培養を無菌的及び手動で濃縮し、エレクトロポレーションLVユニットEO-210プログラムを介してトランスフェクトし、最大15日間の継続的な拡大のために元の容器に戻す。この手順は、新たに単離され又は凍結保存されたPBMCロットからの3人の異なるドナーを使用して評価される。
【0380】
[00407]コクーン(商標)とエレクトロポレーションユニットとの間で移入された、トランスフェクトされた細胞の拡大は、FACSを介して決定した場合、トランスフェクションの24時間後及び回収日の対照培養物と比較した場合、トランスフェクション効率の±10%の変動、対照培養物の≧80%の最終細胞濃度、対照培養と比較した場合、最終細胞生存率の±5%の変動、GFP+、CD3+、CD4+、及びCD8+発現における対照培養物と比較した場合、±10%の変動をもたらし、移入されたトランスフェクトされた細胞の上清は無菌試験に通過し、トランスフェクション前後の培養試料においてマイコプラズマは検出されなかった。
【0381】
結果
[00408]コクーン(商標)カセットの細胞濃度
[00409]2人のドナー由来の細胞を濃縮して、4.4×10
8及び4.2×10
8の総生細胞で10mLの体積に沈降させた。次に、これら2つの細胞懸濁液を90mLの補足されたエレクトロポレーション溶液(NFS)で希釈し、濃縮した。濃縮後の細胞回収率は92%及び87%であった。トランスフェクション前の細胞生存率は92%及び74%であり、5%未満減少した。両方の実行では、最初の培養上清の6%及び8%が最終の濃縮された細胞懸濁液において検出された。
【表3】
【0382】
[00410]濃縮されなかった対照培養と比較して、濃縮後のCD4+:CD8+プロファイルに差はなかった。
【0383】
[00411]結果は、コクーン(商標)サテライトバッグからコクーン(商標)出力バッグへの流体の回収を実証した。トランスフェクトされた細胞の拡大は、コクーン(商標)とエレクトロポレーションユニットの間で移された。エレクトロポレーションユニットで首尾よくエレクトロポレーションが行われて、形質導入細胞がもたらされる。
【0384】
[00412]本明細書では、エレクトロポレーションユニットとコクーン(商標)システムとの間の閉ループを使用した自動化された、完全に閉じたトランスフェクションが提供される。コクーン(商標)システムで細胞を濃縮する方法を使用することができる。
【0385】
実施例4-造血幹細胞の拡大
[00413]CD34+は、臍帯血の拡大に焦点を置かれた。この特定の用途は、単一の十分に一致した臍帯を成人の治療に使用するために、低いCD34+数を含む臍帯血試料由来のCD34+の拡大であった。したがって、他の一部のプロトコールと比較して、開始の細胞数及び濃度は非常に低かった。開始の数及び濃度が大きくなると、細胞の拡大が小さくなることと予想される。
【0386】
[00414]選択され及び拡大されたCD34+細胞
[00415]経時的に追跡される全有核細胞(TNC)
[00416]開始の細胞濃度は、他の多くのプロトコールよりも低かった(0.1M細胞/ml)
[00417]細胞拡大は、回収プロトコールに基づいて変化することがわかった(
図19)。
【0387】
[00418]細胞表現型の変化は、培養期間中に追跡される
[00419]TNCの25.3%は、12日間の拡大後、CD34+である(
図20)。
【0388】
[00420]分化した細胞表現型を
図21に示す。
図22は、単一コロニーが多系統分化を形成し得ることを示す。
【0389】
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【0390】
[00421]本明細書に記載の方法及び用途に対する他の適切な修飾及び適応が、実施形態の範囲から逸脱することなく行われ得ることは、関連分野の当業者には容易に明らかである。
【0391】
[00422]特定の実施形態について本明細書において例示し及び説明したが、特許請求の範囲は、説明し及び図示した特定の形態又は部分の配置に限定されないことを理解されたい。本明細書において、例示的な実施形態が開示され、特定の用語が使用されているが、それらは一般的であり、説明的な意味でのみ使用され、限定の目的ではない。上記の教示に照らして、実施形態の修飾及び変形は可能である。したがって、実施形態は、具体的に説明したものとは他に実施し得ることを理解されたい。
【0392】
[00423]本明細書で言及されるすべての刊行物、特許、及び特許出願は、あたかも個々の刊行物、特許、又は特許出願の各々が参照により組み込まれることが具体的であり、個別に示されるのと同程度に参照により本明細書に組み込まれる。
【0393】
好適な実施形態
本願発明の好適な実施形態は、以下の1~26である。
1. (a)活性化試薬を用いて、免疫細胞培養物を活性化して、活性化免疫細胞培養物を生成し;
(b)ベクターを用いて、活性化された免疫細胞培養物を形質導入して、形質導入された免疫細胞培養物を生成し;
(c)形質導入された免疫細胞培養物を拡大し;
(d)(c)の拡大した免疫細胞培養物を濃縮し;及び
(e)(d)の濃縮された免疫細胞培養物を回収して、遺伝子修飾された免疫細胞培養物を生成する
ことを含む、遺伝子修飾された免疫細胞培養物の自動化生成のための方法であって、拡大された免疫細胞培養物及び濃縮された免疫細胞培養物のいずれか又は両方を洗浄することをさらに含み、
(a)~(e)は完全に密閉された細胞工学システムによって行われ、(a)~(e)は遺伝子修飾された免疫細胞培養物を生成するプロセスを介して最適化される、自動化生成のための方法。
2. プロセスが自己調節プロセスであり、
(a)温度センサー、pHセンサー、グルコースセンサー、酸素センサー、二酸化炭素センサー、及び光学密度センサーの1つ又は複数を用いてモニタリングし;並びに
(b)モニタリングに基づいて、形質導入されたT細胞培養物の温度、pHレベル、グルコースレベル、酸素レベル、二酸化炭素レベル、及び光学密度の1つ又は複数を調節する
ことを含む、実施形態1に記載の方法。
3. 少なくとも約1億個の生存可能な遺伝子修飾された免疫細胞を生成する、実施形態1又は実施形態2に記載の方法。
4. 少なくとも約20億個の生存可能な遺伝子修飾された免疫細胞を生成する、実施形態1~3のいずれか一項に記載の方法。
5. 免疫細胞培養物がT細胞培養物である、実施形態1~4のいずれか一項に記載の方法。
6. T細胞培養物がキメラ抗原受容体T(CAR T)細胞培養物である、実施形態5に記載の方法。
7. ベクターがキメラ抗原受容体をコードする、実施形態6に記載の方法。
8. 免疫細胞培養物が末梢血単核細胞及び/又は精製T細胞を含む、実施形態1~7のいずれか一項に記載の方法。
9. 免疫細胞培養物が少なくとも1つのアクセサリー細胞を含む、実施形態1~8のいずれか一項に記載の方法。
10. アクセサリー細胞が単球又は単球由来細胞を含む、実施形態9に記載の方法。
11. アクセサリー細胞が、CD28、CD40、CD2、CD40L及び/又はICOSを含む、T細胞受容体に対する抗原を含む、実施形態9に記載の方法。
12. 活性化試薬が抗体又は樹状細胞を含む、実施形態1~11のいずれか一項に記載の方法。
13. 抗体が表面に固定化されている、実施形態12に記載の方法。
14. 表面がビーズの表面である、実施形態13に記載の方法。
15. 抗体が可溶性抗体である、実施形態12に記載の方法。
16. 抗体が、抗CD3抗体及び抗CD28抗体の少なくとも1つを含む、実施形態12~15のいずれか一項に記載の方法。
17. 形質導入が、ウイルス感染、エレクトロポレーション、膜破壊、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態1~16のいずれか一項に記載の方法。
18. ベクターがレンチウイルスベクター又はレトロウイルスである、実施形態1~17のいずれか一項に記載の方法。
19. 形質導入が、細胞培養培地中でベクターを混合し、及び培地中のベクターを活性化された免疫細胞培養物に均一に送達することを含む、実施形態1~18のいずれか一項に記載の方法。
20. 拡大が、形質導入された免疫細胞培養物の供給、洗浄及びモニタリングの少なくとも1つ又は複数を含む、実施形態1~19のいずれか一項に記載の方法。
21. 形質導入された免疫細胞培養物の酸素レベルが免疫細胞培養物に対して最適化される、実施形態2~20のいずれか一項に記載の方法。
22. 細胞工学システムが、ステップ(a)~(e)のうちの1つ又は複数の間に酸素供給コンポーネントを通じて細胞培養培地を再循環させる、実施形態1~21のいずれか一項に記載の方法。
23. 細胞工学システムが、ステップ(a)~(e)の間に、栄養素、老廃物、放出されたサイトカイン、及び/又は溶解ガスを再循環させる、実施形態1~22のいずれか一項に記載の方法。
24. 細胞工学システムによって提供される二酸化炭素レベルがステップ(c)の間に減少する、実施形態2~23のいずれか一項に記載の方法。
25. 細胞工学システムが、形質導入された免疫細胞培養物の供給、洗浄、モニタリング、及び選択のうちの1つ又は複数の複数回のラウンドを行うように構成されている、実施形態1~24のいずれか一項に記載の方法。
26. 濃縮が、遠心分離、沈降後の上清除去、又は濾過を含む、実施形態1~25のいずれか一項に記載の方法。
27. プロセスが、遠心分離又は濾過のパラメータを調節することをさらに含む、実施形態26に記載の方法。
28. 細胞工学システムが複数のチャンバーを含み、ステップ(a)~(e)の各々が細胞工学システムの複数のチャンバーの異なるチャンバーにおいて行われる、実施形態1~27のいずれか一項に記載の方法。
29. ステップ(a)の後に、活性化された免疫細胞培養物から活性化試薬を除去することをさらに含む、実施形態1~28のいずれか一項に記載の方法。
30. 細胞工学システムが、前記方法を開始する前に、(a)の細胞培養物、活性化試薬、ベクター、及び細胞培養培地を含む、実施形態1~29のいずれか一項に記載の方法。
31. (a)活性化試薬を用いて免疫細胞培養物を活性化して、活性化された免疫細胞培養物を生成し、活性化試薬及び活性化条件は、遺伝子修飾された免疫細胞培養物の表現型を促進し;
(b)ベクターを用いて、活性化された免疫細胞培養物を形質導入して、形質導入された免疫細胞培養物を生成し;
(c)形質導入された免疫細胞培養物を拡大し;
(d)(c)の拡大された免疫細胞培養物を濃縮し;及び
(e)(d)の濃縮された免疫細胞培養物を回収して、遺伝子修飾された免疫細胞培養物を生成する
ことを含む、遺伝子修飾された免疫細胞培養物の好ましい表現型を促進する方法であって、(a)~(e)は、完全に密閉された自動化細胞工学システムによって行われる、方法。
32. 活性化試薬が抗体又は樹状細胞を含む、実施形態31に記載の方法。
33. 抗体が表面に固定化されている、実施形態32に記載の方法。
34. 表面がビーズの表面である、実施形態33に記載の方法。
35. 抗体が可溶性抗体である、実施形態32に記載の方法。
36. 抗体が、抗CD3抗体、抗CD28抗体及び抗CD2抗体の少なくとも1つを含む、実施形態32~35のいずれか一項に記載の方法。
37. 可溶性抗体がOKT3である、実施形態36に記載の方法。
38. 活性化条件が、活性化試薬と免疫細胞培養物との間の安定した接触を可能にする実質的に妨害されていない免疫細胞培養物を提供する、実施形態31~37のいずれか一項に記載の方法。
39. 少なくとも約1億個の生存可能な遺伝子修飾された免疫細胞を生成する、実施形態31~38のいずれか一項に記載の方法。
40. 少なくとも約20億個の生存可能な遺伝子修飾された免疫細胞を生成する、実施形態39に記載の方法。
41. 免疫細胞培養物がT細胞培養物である、実施形態31~40のいずれか一項に記載の方法。
42. T細胞培養物がキメラ抗原受容体T(CAR T)細胞培養物である、実施形態41に記載の方法。
43. ベクターがキメラ抗原受容体をコードする、実施形態42に記載の方法。
44. 免疫細胞培養物が末梢血単核細胞及び/又は精製T細胞を含む、実施形態31~43のいずれか一項に記載の方法。
45. 細胞培養物が少なくとも1つのアクセサリー細胞を含む、実施形態31~44のいずれか一項に記載の方法。
46. アクセサリー細胞が単球又は単球由来細胞を含む、実施形態45に記載の方法。
47. アクセサリー細胞が、CD28、CD40、CD2、CD40L及び/又はICOSを含む、T細胞受容体に対する抗原を含む、実施形態45に記載の方法。
48. T細胞培養物の表現型が、約0.1:1~約10:1のCD8+細胞:CD4+比を有する、実施形態41~47のいずれか一項に記載の方法。
49. 形質導入が、ウイルス感染、エレクトロポレーション、膜破壊、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態31~48のいずれか一項に記載の方法。
50. ベクターがレンチウイルスベクター又はレトロウイルスである、実施形態31~49のいずれか一項に記載の方法。
51. 形質導入が、細胞培養培地中でベクターを混合し、及び培地中のベクターを活性化された免疫細胞培養物に均一に送達することを含む、実施形態31~50のいずれか一項に記載の方法。
52. 拡大が、形質導入された免疫細胞培養物の供給、洗浄及びモニタリングの少なくとも1つ又は複数を含む、実施形態31~51のいずれか一項に記載の方法。
53. 形質導入された免疫細胞培養物の酸素レベルが、促進された表現型に対して最適化される、実施形態31~52のいずれか一項に記載の方法。
54. 細胞工学システムが、ステップ(a)~(e)のうちの1つ又は複数の間に酸素供給コンポーネントを通じて細胞培養培地を再循環させる、実施形態31~53のいずれか一項に記載の方法。
55. 細胞工学システムが、ステップ(a)~(e)の間に、栄養素、老廃物、放出されたサイトカイン、及び/又は溶解ガスを再循環させる、実施形態31~54のいずれか一項に記載の方法。
56. 細胞工学システムによって提供される二酸化炭素レベルがステップ(c)の間に減少する、実施形態31~55のいずれか一項に記載の方法。
57. 細胞工学システムが、形質導入された免疫細胞培養物の供給、洗浄、モニタリング、及び選択の複数回のラウンドを行うように構成されている、実施形態31~56のいずれか一項に記載の方法。
58. 濃縮が、遠心分離、沈降後の上清除去、又は濾過を含む、実施形態31~57のいずれか一項に記載の方法。
59. 細胞工学システムが複数のチャンバーを含み、ステップ(a)~(e)の各々が細胞工学システムの複数のチャンバーの異なるチャンバーにおいて行われる、実施形態31~58のいずれか一項に記載の方法。
60. ステップ(a)の後に、活性化された免疫細胞培養物から活性化試薬を除去することをさらに含む、実施形態31~59のいずれか一項に記載の方法。
61. (b)における形質導入後にベクターを除去することをさらに含む、実施形態31~60のいずれか一項に記載の方法。
62. 細胞工学システムが、前記方法を開始する前に、(a)の細胞培養物、活性化試薬、ベクター、及び細胞培養培地を含む、実施形態31~61のいずれか一項に記載の方法。
63. (a)活性化試薬を用いて免疫細胞培養物を活性化して、活性化された免疫細胞培養物を生成し;
(b)ベクターを用いて、活性化された免疫細胞培養物を形質導入して、形質導入された免疫細胞培養物を生成し;
(c)形質導入された免疫細胞培養物を拡大し;
(d)(c)の拡大された免疫細胞培養を濃縮し;及び
(e)(d)の濃縮された免疫細胞培養物を回収して、遺伝子修飾された免疫細胞培養物を生成する
ことを含む、遺伝子修飾された免疫細胞培養物の自動化生成のための方法であって、
(a)~(e)は、完全に密閉された自動化細胞工学システムによって行われ、及び
(a)~(e)の各々は、最適化された細胞密度(細胞/mL)及び最適化された細胞密集度(細胞/cm2)を有する免疫細胞培養物を用いて行われる、自動化生成のための方法。
64. (a)の最適化された細胞密度が約0.05×106細胞/mL~約60×106細胞/mLである、実施形態63に記載の方法。
65. (a)の最適化された細胞密集度が約0.1×106細胞/cm2~約60×106細胞/cm2である、実施形態63又は実施形態64に記載の方法。
66. 活性化試薬が抗体又は樹状細胞を含む、実施形態63~65のいずれか一項に記載の方法。
67. 抗体が表面に固定化されている、実施形態66に記載の方法。
68. 表面がビーズの表面である、実施形態67に記載の方法。
69. 抗体が可溶性抗体である、実施形態66に記載の方法。
70. 抗体が、抗CD3抗体及び抗CD28抗体の少なくとも1つを含む、実施形態66~69のいずれか一項に記載の方法。
71. 少なくとも約1億個の生存可能な遺伝子修飾された免疫細胞を生成する、実施形態63~70のいずれか一項に記載の方法。
72. 少なくとも約20億個の生存可能な遺伝子修飾された免疫細胞を生成する、実施形態63~71のいずれか一項に記載の方法。
73. 免疫細胞培養物がT細胞培養物である、実施形態63~72のいずれか一項に記載の方法。
74. T細胞培養物がキメラ抗原受容体T(CAR T)細胞培養物である、実施形態73に記載の方法。
75. ベクターがキメラ抗原受容体をコードする、実施形態74に記載の方法。
76. 免疫細胞培養物が末梢血単核細胞及び/又は精製T細胞を含む、実施形態64~75のいずれか一項に記載の方法。
77. 細胞培養物が少なくとも1つのアクセサリー細胞を含む、実施形態64~76のいずれか一項に記載の方法。
78. アクセサリー細胞が単球を含む、実施形態77に記載の方法。
79. アクセサリー細胞が、CD28、CD40、CD2、CD40L及び/又はICOSを含む、T細胞受容体に対する抗原を含む、実施形態77に記載の方法。
80. 形質導入が、ウイルス感染、エレクトロポレーション、膜破壊、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態63~79のいずれか一項に記載の方法。
81. ベクターがレンチウイルスベクター又はレトロウイルスである、実施形態63~80のいずれか一項に記載の方法。
82. 形質導入が、細胞培養培地中でベクターを混合し、及び培地中のベクターを活性化された免疫細胞培養物に均一に送達することを含む、実施形態63~81のいずれか一項に記載の方法。
83. 拡大が、形質導入された免疫細胞培養物の供給、洗浄、モニタリング、及び選択の少なくとも1つ又は複数を含む、実施形態63~82のいずれか一項に記載の方法。
84. 形質導入された免疫細胞培養物の酸素レベルが、細胞密度及び細胞密集度に対して最適化される、実施形態63~83のいずれか一項に記載の方法。
85. 細胞工学システムが、ステップ(a)~(e)の1つ又は複数の間に酸素供給コンポーネントを通じて細胞培養培地を再循環させる、実施形態63~84のいずれか一項に記載の方法。
86. 酸素再循環が、ステップ(a)~(c)の間にシリコーンチューブによって提供される、実施形態85に記載の方法。
87. 細胞工学システムが、ステップ(a)~(e)の間に栄養素、老廃物、放出されたサイトカイン、及び/又は溶解ガスを再循環させる、実施形態63~86のいずれか一項に記載の方法。
88. 細胞工学システムによって提供される二酸化炭素レベルがステップ(c)の間に減少する、実施形態63~87のいずれか一項に記載の方法。
89. 栄養素、老廃物、放出されたサイトカイン、及び/又は溶解ガスの再循環が、約0.05×106細胞/mL~約60×106細胞/mLの密度、及び約0.1×106細胞/cm2~約60×106細胞/cm2の密集度を有する細胞を用いて均一に提供される、実施形態63~88のいずれか一項に記載の方法。
90. 細胞工学システムが、形質導入された免疫細胞培養物の複数回のラウンドの供給、洗浄、モニタリング、及び選択を行うように構成されている、実施形態63~89のいずれか一項に記載の方法。
91. 濃縮が、遠心分離、沈降後の上清除去、又は濾過を含む、実施形態63~90のいずれか一項に記載の方法。
92. 細胞工学システムが複数のチャンバーを含み、ステップ(a)~(e)の各々が細胞工学システムの複数のチャンバーの異なるチャンバーにおいて行われる、実施形態63~91のいずれか一項に記載の方法。
93. ステップ(a)の後に、活性化された免疫細胞培養物から活性化試薬を除去することをさらに含む、実施形態63~92のいずれか一項に記載の方法。
94. (b)における形質導入後にベクターを除去することをさらに含む、実施形態63~93のいずれか一項に記載の方法。
95. 細胞工学システムが、前記方法を開始する前に、(a)の細胞培養物、活性化試薬、ベクター、及び細胞培養培地を含む、実施形態63~94のいずれか一項に記載の方法。
96. (a)活性化試薬を用いて免疫細胞培養物を活性化して、活性化された免疫細胞培養物を生成し;
(b)ベクターを用いて、活性化された免疫細胞培養物を形質導入して、形質導入された免疫細胞培養物を生成し;
(c)形質導入された免疫細胞培養物を拡大し、形質導入された細胞培養物は拡大中に振とうされない。
(d)(c)の拡大された免疫細胞培養物を濃縮し;及び
(e)(d)の濃縮された免疫細胞培養物を回収して、遺伝子修飾された免疫細胞培養物を生成する
ことを含む、遺伝子修飾された免疫細胞培養物の自動化生成のための方法であって、(a)~(e)は、完全に密閉された自動化細胞工学システムによって行われる、自動化生成のための方法。
97. 活性化試薬が抗体又は樹状細胞を含む、実施形態96に記載の方法。
98. 抗体が表面に固定化されている、実施形態97に記載の方法。
99. 表面がビーズの表面である、実施形態98に記載の方法。
100. 抗体が可溶性抗体である、実施形態97に記載の方法。
101. 抗体が、抗CD3抗体、抗CD28抗体及び抗CD2抗体の少なくとも1つを含む、実施形態96~100のいずれか一項に記載の方法。
102. 少なくとも約1億個の生存可能な遺伝子修飾された免疫細胞を生成する、実施形態96~101のいずれか一項に記載の方法。
103. 少なくとも約20億個の生存可能な遺伝子修飾された免疫細胞を生成する、実施形態102に記載の方法。
104. 免疫細胞培養物がT細胞培養物である、実施形態96~103のいずれか一項に記載の方法。
105. T細胞培養物がキメラ抗原受容体T(CAR T)細胞培養物である、実施形態104に記載の方法。
106. ベクターがキメラ抗原受容体をコードする、実施形態105に記載の方法。
107. 免疫細胞培養物が末梢血単核細胞及び/又は精製T細胞を含む、実施形態96~106のいずれか一項に記載の方法。
108. 細胞培養物が少なくとも1つのアクセサリー細胞を含む、実施形態96~107のいずれか一項に記載の方法。
109. アクセサリー細胞が単球又は単球由来細胞を含む、実施形態108に記載の方法。
110. アクセサリー細胞が、CD28、CD40、CD2、CD40L及び/又はICOSを含む、T細胞受容体に対する抗原を含む、実施形態109に記載の方法。
111. 形質導入が、ウイルス感染、エレクトロポレーション、膜破壊、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態96~110のいずれか一項に記載の方法。
112. ベクターがレンチウイルスベクター又はレトロウイルスである、実施形態96~111のいずれか一項に記載の方法。
113. 形質導入が、細胞培養培地中でベクターを混合し、及び培地中のベクターを活性化された免疫細胞培養物に均一に送達することを含む、実施形態96~112のいずれか一項に記載の方法。
114. 拡大が、免疫細胞培養物を振とうすることなしに、形質導入された免疫細胞培養物の供給、洗浄、モニタリング、及び選択の少なくとも1つ又は複数を含む、実施形態96~113のいずれか一項に記載の方法。
115. 形質導入された免疫細胞培養物の酸素レベルが免疫細胞培養物に対して最適化される、実施形態96~114のいずれか一項に記載の方法。
116. 細胞工学システムが、ステップ(a)~(e)のうちの1つ又は複数の間に酸素供給コンポーネントを通じて細胞培養培地を再循環させる、実施形態96~115のいずれか一項に記載の方法。
117. 細胞工学システムが、栄養素、老廃物、放出されたサイトカイン、及び/又は溶解ガスを再循環させる、実施形態96~116のいずれか一項に記載の方法。
118. 細胞工学システムによって提供される二酸化炭素レベルがステップ(c)の間に減少する、実施形態96~117のいずれか一項に記載の方法。
119. 細胞工学システムが、形質導入された免疫細胞培養物の複数回のラウンドの供給、洗浄、モニタリング、及び選択を行うように構成されている、実施形態96~118のいずれか一項に記載の方法。
120. 濃縮が、遠心分離、沈降後の上清除去、又は濾過を含む、実施形態96~119のいずれか一項に記載の方法。
121. 細胞工学システムが複数のチャンバーを含み、ステップ(a)~(e)の各々が細胞工学システムの複数のチャンバーの異なるチャンバーにおいて行われる、実施形態96~120のいずれか一項に記載の方法。
122. ステップ(a)の後に、活性化された免疫細胞培養物から活性化試薬を除去することをさらに含む、実施形態96~121のいずれか一項に記載の方法。
123. (b)における形質導入後にベクターを除去することをさらに含む、実施形態96~122のいずれか一項に記載の方法。
124. 細胞工学システムが、前記方法を開始する前に、(a)の細胞培養物、活性化試薬、ベクター、及び細胞培養培地を含む、実施形態96~123のいずれか一項に記載の方法。
125. 遺伝子修飾された免疫細胞培養物の自動化生成のための方法であって、細胞工学システムによって行われる前記方法は、
(a)活性化試薬を用いて免疫細胞培養物を活性化して、細胞工学システムの第1のチャンバーで活性化された免疫細胞培養物を生成し;
(b)活性化された免疫細胞培養物を形質導入し、形質導入が、
i.活性化された免疫細胞培養物を第1のチャンバーからエレクトロポレーションユニットに移し;
ii.活性化された免疫細胞培養物をベクターでエレクトロポレーションして、形質導入された免疫細胞培養物を生成し;
iii.形質導入された免疫細胞培養物を細胞工学システムの第2のチャンバーに移す
ことを含み;
(c)形質導入された免疫細胞培養物を拡大し;
(d)(c)の拡大した免疫細胞培養物を濃縮し;及び
(e)(d)の濃縮された免疫細胞培養物を回収して、遺伝子修飾された細胞培養物を生成する
ことを含む、自動化生成のための方法。
126. 形質導入が、
i.第1の無菌の閉じた接続部を介して、活性化された免疫細胞培養物を第1のチャンバーからエレクトロポレーションユニットに移し;
ii.活性化された免疫細胞培養物をベクターでエレクトロポレーションして、形質導入された免疫細胞培養物を生成し;
iii.第2の無菌の閉じた接続部を介して、形質導入された免疫細胞培養物を細胞工学システムの第2のチャンバーに移す
ことを含む、実施形態125に記載の方法。
127. エレクトロポレーションユニットが細胞工学システムの外部に位置される、実施形態126に記載の方法。
128. 少なくとも約1億個の生存可能な遺伝子修飾された免疫細胞を生成する、実施形態125~127のいずれか一項に記載の方法。
129. 少なくとも約20億個の生存可能な遺伝子修飾された免疫細胞を生成する、実施形態128に記載の方法。
130. 免疫細胞培養物がT細胞培養物である、実施形態125~129のいずれか一項に記載の方法。
131. T細胞培養物がキメラ抗原受容体T(CAR T)細胞培養物である、実施形態130に記載の方法。
132. ベクターがキメラ抗原受容体をコードする、実施形態131に記載の方法。
133. 免疫細胞培養物が末梢血単核細胞及び/又は精製T細胞を含む、実施形態125~132のいずれか一項に記載の方法。
134. 細胞培養物が少なくとも1つのアクセサリー細胞を含む、実施形態125~132のいずれか一項に記載の方法。
135. アクセサリー細胞が単球又は単球由来細胞を含む、実施形態134に記載の方法。
136. アクセサリー細胞が、CD28、CD40、CD40L及び/又はICOSを含む、T細胞受容体に対する抗原を含む、実施形態134に記載の方法。
137. 活性化試薬が抗体又は樹状細胞を含む、実施形態125~136のいずれか一項に記載の方法。
138. 抗体が表面に固定化されている、実施形態137に記載の方法。
139. 表面がビーズの表面である、実施形態138に記載の方法。
140. 抗体が可溶性抗体である、実施形態137に記載の方法。
141. 抗体が、抗CD3抗体、抗CD28抗体及び抗CD2抗体の少なくとも1つを含む、実施形態138~140のいずれか一項に記載の方法。
142. ベクターがレンチウイルスベクター又はレトロウイルスである、実施形態125~141のいずれか一項に記載の方法。
143. 拡大が、形質導入された免疫細胞培養物の供給、洗浄、モニタリング、及び選択のうちの少なくとも1つ又は複数を含む、実施形態125~142のいずれか一項に記載の方法。
144. 形質導入された免疫細胞培養物の酸素レベルが免疫細胞培養物に対して最適化される、実施形態125~143のいずれか一項に記載の方法。
145. 細胞工学システムが、ステップ(a)~(e)のうちの1つ又は複数の間に酸素供給コンポーネントを通じて細胞培養培地を再循環させる、実施形態125~144のいずれか一項に記載の方法。
146. 細胞工学システムが、ステップ(a)~(e)の間に、栄養素、老廃物、放出されたサイトカイン、及び/又は溶解ガスを再循環させる、実施形態125~145のいずれか一項に記載の方法。
147. 細胞工学システムによって提供される二酸化炭素レベルがステップ(c)の間に減少する、実施形態125~146のいずれか一項に記載の方法。
148. 細胞工学システムが、形質導入された免疫細胞培養物の複数回のラウンドの供給、洗浄、モニタリング、及び選択を行うように構成されている、実施形態125~147のいずれか一項に記載の方法。
149. 濃縮が、遠心分離、沈降後の上清除去、又は濾過を含む、実施形態125~148のいずれか一項に記載の方法。
150. 細胞工学システムが複数のチャンバーを含み、ステップ(a)~(e)の各々が細胞工学システムの複数のチャンバーの異なるチャンバーにおいて行われる、実施形態125~149のいずれか一項に記載の方法。
151. ステップ(a)の後に、活性化された免疫細胞培養物から活性化試薬を除去することをさらに含む、実施形態125~150のいずれか一項に記載の方法。
152. (b)における形質導入後にベクターを除去することをさらに含む、実施形態125~151のいずれか一項に記載の方法。
153. 細胞工学システムが、前記方法を開始する前に、(a)の細胞培養物、活性化試薬、ベクター、及び細胞培養培地を含む、実施形態125~152のいずれか一項に記載の方法。
154. 前記方法のステップ(c)における形質導入効率が、細胞培養に柔軟性であり、ガス透過性のバッグを利用する方法の形質導入効率よりも少なくとも20%高い、実施形態1~153のいずれか一項に記載の方法。
155. 柔軟性であり、ガス透過性のバッグを用いた手動の細胞培養を利用する方法よりも少なくとも20%多く、遺伝子修飾された免疫細胞を生成する、実施形態1~154のいずれか一項に記載の方法。
156. 細胞工学システムが複数のチャンバーを含み、ステップ(a)~(e)の各々が細胞工学システムの複数のチャンバーの異なるチャンバーにおいて行われ、(a)の各々、活性化試薬、ベクター、及び細胞培養培地は、前記方法を開始する前に複数のチャンバーの異なるチャンバーに含まれ、複数のチャンバーの少なくとも1つが細胞を増殖させる温度で維持され、複数のチャンバーの少なくとも1つが冷蔵温度に維持される、実施形態1~155のいずれか一項に記載の方法。
157. (a)細胞培養培地を保存するための低温チャンバー;
(b)免疫細胞培養物の活性化、形質導入及び拡大を行うための高温チャンバー、
高温チャンバーは熱障壁によって低温チャンバーから分離されて、
高温チャンバーは細胞培養チャンバーを含み;及び
(c)細胞培養チャンバーに接続された1つ又は複数の流動経路、前記流動経路は、細胞培養チャンバー内の細胞を乱すことなしに、再循環、老廃物の除去、均一なガス交換及び細胞培養チャンバーへの栄養の分配を提供する
を含む、自動化細胞工学システムにおいて使用するカセット。
158. 細胞培養チャンバーが、低いチャンバー高を有する平坦であり、柔軟性がないチャンバーである、実施形態157に記載のカセット。
159. 免疫細胞培養物が細胞培養チャンバーの底部全体に広がることを可能にするように、細胞培養チャンバーが配向されている、実施形態157又は実施形態158に記載のカセット。
160. 細胞培養物、培養培地、活性化試薬、及びベクターで予め充填されている、実施形態157~159のいずれか一項に記載のカセット。
161. pHセンサー、グルコースセンサー、酸素センサー、二酸化炭素センサー、及び/又は光学密度センサーのうちの1つ又は複数をさらに含む、実施形態157~160のいずれか一項に記載のカセット。
162. 1つ又は複数のサンプリングポート及び/又は注入ポートをさらに含む、実施形態157~161のいずれか一項に記載のカセット。
163. 細胞培養チャンバーが
細胞培養チャンバーからの気泡の除去を可能にするように構成された、及び/又は再循環ポートとしての遠位ポート;
再循環入口ポートとして機能するように構成された中間ポート;並びに
細胞除去のための排出ポートとして機能するように構成された近位ポート
の少なくとも1つをさらに含む、実施形態157~162のいずれか一項に記載のカセット。
164. カートリッジを外部デバイスに接続するためのアクセスポートをさらに含む、実施形態157~163のいずれか一項に記載のカセット。
165. 外部デバイスがエレクトロポレーションユニット又は追加の培地源を含む、実施形態164に記載のカセット。
166. (a)免疫細胞培養物を収容するように構成されたチャンバー体積を有する免疫細胞培養物の活性化、形質導入及び/又は拡大を行うための細胞培養チャンバー、
(b)免疫細胞培養物を収容せずに、培地及び他の作業流体に追加の体積を提供することにより、チャンバーの作業体積を増加させるためのサテライト体積
を含む、自動化細胞工学システムにおいて使用するカセットであって、サテライト体積は、免疫細胞培養物を乱すことなく、培地が培養チャンバーと交換されるように、1つ又は複数の流体経路を介して細胞培養チャンバーに流体接続される、カセット。
167. サテライト体積がバッグである、実施形態166に記載のカセット。
168. サテライト体積が非変形性チャンバーである、実施形態166に記載のカセット。
169. サテライト体積が、免疫細胞培養物の細胞を失うことなく、培地除去を可能にするようにさらに構成されている、実施形態166~168のいずれか一項に記載のカセット。
170. クロスフローリザーバーをさらに含む、実施形態166~169のいずれか一項に記載のカセット。
171. 細胞培養チャンバーが約0.50ml~約300mlの体積を有する、実施形態166~170のいずれか一項に記載のカセット。
172. 細胞培養チャンバーが約50ml~約200mlの間の体積を有する、実施形態171に記載のカセット。
173. 細胞培養チャンバーが約180mlの体積を有する、実施形態172に記載のカセット。
174. サテライト体積が約0.50ml~約300mlの間である、実施形態166~173のいずれか一項に記載のカセット。
175. サテライト体積が約150ml~約200mlの間である、実施形態174に記載のカセット。
176. クロスフローリザーバーが約0.50ml~約300mlの間の体積を有する、実施形態166~175のいずれか一項に記載のカセット。
177. クロスフローリザーバーが約100ml~約150mlの間の体積を有する、実施形態176に記載のカセット。
178. 作業体積が約180mL~約1Lである、実施形態166~177のいずれか一項に記載のカセット。
179. 作業体積が約180mL~約460mLである、実施形態178に記載のカセット。
180. 1つ又は複数の流体経路が、チューブ構成要素を通じて酸素供給を可能にするシリコーンベースのチューブ構成要素を含む、実施形態157~179のいずれか一項に記載のカセット。