(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 12/72 20110101AFI20231017BHJP
G06K 7/00 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
H01R12/72
G06K7/00 021
G06K7/00 056
(21)【出願番号】P 2019159250
(22)【出願日】2019-09-02
【審査請求日】2022-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117341
【氏名又は名称】山崎 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】中村 智裕
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第201274327(CN,Y)
【文献】特開2004-111125(JP,A)
【文献】特開平11-297415(JP,A)
【文献】特開2009-093957(JP,A)
【文献】米国特許第07435119(US,B2)
【文献】特開2009-283357(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R12/00-12/91
H01R24/00-24/86
G06K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板に搭載されるコネクタであって、
前記コネクタは、カバーと、ベースと、ヒンジ機構と、端子と、金属部材とを備えており、
前記カバーは、前記ヒンジ機構により前記ベースに取り付けられており、
前記ヒンジ機構は、前後方向において前記ベースの後端よりも前記ベースの前端に近く、
前記カバーには、被ロック部が設けられており、
前記金属部材は、前記ベースに保持されており、
前記金属部材は、ロック部と、連結部と、補強部とを有しており、
前記ロック部は、第1規制部と、第2規制部とを有しており、
前記第2規制部は、前記前後方向と直交する上下方向において、前記第1規制部の前端から下方に延びており、
前記連結部は、前記第1規制部と前記補強部とを一体に連結しており、
前記連結部と前記第2規制部とは、前記前後方向において互いに所定距離だけ離れており、
前記連結部は、立設部を有しており、
前記立設部は、前記上下方向において、前記第1規制部から少なくとも下方に延びており、
前記補強部は、前記コネクタが前記回路基板に搭載された際に前記回路基板に半田付けされるものであり、
前記上下方向と直交する面内において、前記補強部は、前記立設部から前記所定距離の2倍以内の領域と、少なくとも部分的に重なって
おり、
前記連結部は、付加的立設部を更に有しており、
前記立設部と前記付加的立設部とは、前記前後方向において互いに離れて位置しており、
前記補強部は、前記前後方向において、前記立設部と前記付加的立設部との間に位置している
コネクタ。
【請求項2】
請求項
1記載のコネクタであって、
前記補強部は、前記立設部と交差する方向に延びている
コネクタ。
【請求項3】
請求項1
又は請求項
2記載のコネクタであって、
前記金属部材は、半田付け部を更に有しており、
前記半田付け部は、前記コネクタが前記回路基板に搭載された際に前記回路基板に半田付けされるものであり、
前記立設部は、前記前後方向において、前記半田付け部と前記補強部との間に位置している
コネクタ。
【請求項4】
請求項
3記載のコネクタであって、
前記金属部材は、付加的半田付け部を更に有しており、
前記付加的半田付け部は、前記コネクタが前記回路基板に搭載された際に前記回路基板に半田付けされるものであり、
前記補強部は、前記前後方向において、前記立設部と前記付加的半田付け部との間に位置している
コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カバーを備えるコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
図19から
図21までに示されるように、特許文献1には、この種のコネクタ900が開示されている。コネクタ900は、カバー910と、ベース920と、ヒンジ機構930と、端子950と、金属部材960とを備えている。カバー910は、ヒンジ機構930によりベース920に取り付けられている。ヒンジ機構930は、X方向においてベース920の-X端922よりもベース920の+X端924に近い。カバー910には、被ロック部912が設けられている。金属部材960は、ベース920に保持されている。金属部材960は、ロック部970と、半田付け部980とを有している。ロック部970は、第1規制部972と、第2規制部974とを有している。第2規制部974は、第1規制部972の+X端9722から-Z方向に延びている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のコネクタ900において端子950の数を増加させた場合、端子950のバネの反力の増大が想定される。ここで、端子950の数を増加させたコネクタ900において、カード990を収容した状態でカバー910を閉じた場合、増大した反力によってカバー910の被ロック部912はロック部970の第1規制部972に対して+Z方向に向かう力を付与するため、金属部材960を支持するベース920の破損や変形が生じる可能性がある。
【0005】
よって本発明は、端子数が増加してもベースの破損や変形を生じにくいコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1のコネクタとして、
回路基板に搭載されるコネクタであって、
前記コネクタは、カバーと、ベースと、ヒンジ機構と、端子と、金属部材とを備えており、
前記カバーは、前記ヒンジ機構により前記ベースに取り付けられており、
前記ヒンジ機構は、前後方向において前記ベースの後端よりも前記ベースの前端に近く、
前記カバーには、被ロック部が設けられており、
前記金属部材は、前記ベースに保持されており、
前記金属部材は、ロック部と、連結部と、補強部とを有しており、
前記ロック部は、第1規制部と、第2規制部とを有しており、
前記第2規制部は、前記前後方向と直交する上下方向において、前記第1規制部の前端から下方に延びており、
前記連結部は、前記第1規制部と前記補強部とを一体に連結しており、
前記連結部と前記第2規制部とは、前記前後方向において互いに所定距離だけ離れており、
前記連結部は、立設部を有しており、
前記立設部は、前記上下方向において、前記第1規制部から少なくとも下方に延びており、
前記補強部は、前記コネクタが前記回路基板に搭載された際に前記回路基板に半田付けされるものであり、
前記上下方向と直交する面内において、前記補強部は、前記立設部から前記所定距離の2倍以内の領域と、少なくとも部分的に重なっている
コネクタを提供する。
【0007】
また、本発明は、第2のコネクタとして、第1のコネクタであって、
前記連結部は、付加的立設部を更に有しており、
前記立設部と前記付加的立設部とは、前記前後方向において互いに離れて位置しており、
前記補強部は、前記前後方向において、前記立設部と前記付加的立設部との間に位置している
コネクタを提供する。
【0008】
また、本発明は、第3のコネクタとして、第1又は第2のコネクタであって、
前記補強部は、前記立設部と交差する方向に延びている
コネクタを提供する。
【0009】
また、本発明は、第4のコネクタとして、第1から第3までのいずれかのコネクタであって、
前記金属部材は、半田付け部を更に有しており、
前記半田付け部は、前記コネクタが前記回路基板に搭載された際に前記回路基板に半田付けされるものであり、
前記立設部は、前記前後方向において、前記半田付け部と前記補強部との間に位置している
コネクタを提供する。
【0010】
また、本発明は、第5のコネクタとして、第4のコネクタであって、
前記金属部材は、付加的半田付け部を更に有しており、
前記付加的半田付け部は、前記コネクタが前記回路基板に搭載された際に前記回路基板に半田付けされるものであり、
前記補強部は、前記前後方向において、前記立設部と前記付加的半田付け部との間に位置している
コネクタを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明のコネクタにおいては、金属部材は、第1規制部を有するロック部と、連結部と、コネクタが回路基板に搭載された際に回路基板に半田付けされる補強部とを有している。連結部は、第1規制部と補強部とを一体に連結している。連結部は、前後方向と直交する上下方向において、第1規制部から少なくとも下方に延びる立設部を有している。上下方向と直交する面内において、補強部は、立設部から所定距離の2倍以内の領域と、少なくとも部分的に重なっている。即ち、ロック部の直下又はその近傍において補強部が回路基板に半田付けされている。これにより、本発明のコネクタにおいては、接続対象物を収容した状態でカバーを閉じた際、端子のバネの反力はカバーの被ロック部をロック部の第1規制部に対して押し付けるが、第1規制部に加えられたこの力は連結部及び補強部を介して回路基板に確実に受け止められるため、金属部材を保持するベースの破損や変形が抑制されている。即ち、本発明のコネクタは、端子数が増加してもベースの破損や変形を生じにくくなっている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施の形態によるコネクタを示す斜視図である。図において、カバーは閉状態にある。
【
図2】
図1のコネクタを示す側面図である。図において、回路基板を点線で示しており、コネクタの一部を拡大して示している。
【
図4】
図3のコネクタをA-A線に沿って示す断面図である。
【
図5】
図1のコネクタを示す別の斜視図である。図において、カバーは開状態にある。
【
図7】
図1のコネクタを示す別の斜視図である。図において、カバーは省略されている。
【
図9】
図7のコネクタに含まれる金属部材のうち、+Y側に位置する金属部材を示す斜視図である。
【
図11】
図10の金属部材をB-B線に沿って示す断面図である。
【
図12】
図9の金属部材を示す側面図である。図において、回路基板を点線で示しており、ロック部及びその周辺を拡大して示している。
【
図13】
図9の金属部材を示す下面図である。図において、金属部材の一部を拡大して示している。
【
図14】
図12の金属部材において第1規制部に上方に向かう力を加えたときの状態を示す側面図である。図において、金属部材は一部のみを示しており、回路基板の一部を点線で示している。
【
図16】補強部を設けていない金属部材を比較例として示す側面図である。図において、比較例の金属部材は一部のみを示しており、回路基板の一部を点線で示している。
【
図17】
図16の金属部材において第1規制部に上方に向かう力を加えたときの状態を示す側面図である。図において、回路基板の一部を点線で示している。
【
図19】特許文献1のコネクタを示す斜視図である。図において、カバーは開状態となっている。
【
図20】
図19のコネクタを示す斜視図である。図において、カードは省略されており、カバーは閉状態となっている。
【
図21】
図20のコネクタの一部を拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図5及び
図6を参照して、本発明の本実施の形態によるコネクタ100は、マイクロSD(Secure Digital)カードのような接続対象物(図示せず)を接続するために用いられるコネクタである。また、
図2に示されるように、本実施の形態のコネクタ100は、回路基板700に搭載されるものである。
【0014】
図5に示されるように、コネクタ100は、カバー200と、ベース300と、ヒンジ機構400と、複数の端子500と、2つの金属部材600とを備えている。なお、本発明はこれに限定されず、端子500は一つであってもよく、金属部材600は一つであってもよい。
【0015】
図1を参照して、本実施の形態のカバー200は、金属製である。カバー200は、ヒンジ機構400によりベース300に取り付けられている。カバー200には、被ロック部210が設けられている。
【0016】
図5に示されるように、本実施の形態の被ロック部210は、カバー200の幅方向における両端に位置している。本実施の形態において、幅方向はY方向である。
【0017】
図7を参照して、本実施の形態のベース300は、絶縁体からなるものである。ベース300は、前後方向において、前端310及び後端320を有している。前端310は、ベース300の最前端であり、後端320はベース300の最後端である。本実施の形態において、前後方向はX方向である。また、前方は+X方向であり、後方は-X方向である。
【0018】
図7に示されるように、ベース300は、底板330と、2つの側壁340,350と、後壁360とを有している。
【0019】
図7に示されるように、本実施の形態の底板330は、上下方向と直交する略平板形状を有している。
図7及び
図8から理解されるように、底板330は、上下方向におけるベース300の下端325を規定している。本実施の形態において、上下方向はZ方向である。また、上方は+Z方向であり、下方は-Z方向である。
【0020】
図3に示されるように、本実施の形態の側壁340,350は、ベース300の幅方向両端に夫々位置している。
図7に示されるように、側壁340,350の夫々は、底板330から上下方向において上方に延びている。
【0021】
図7に示されるように、本実施の形態の後壁360は、前後方向においてベース300の最後端に位置している。後壁360は、上下方向において底板330から上方に延びている。
【0022】
図7に示されるように、ベース300の底板330、側壁340,350及び後壁360は、収容部380を構成している。収容部380は、接続対象物を収容する空間である。
【0023】
図1に示されるように、本実施の形態のヒンジ機構400は、前後方向においてベース300の後端320よりもベース300の前端310に近くに位置している。ヒンジ機構400は、軸410と、軸受420とで構成されている。
【0024】
図3に示されるように、本実施の形態の軸410は、カバー200に設けられている。軸410は、幅方向内側に突出した円柱状の突起である。
【0025】
図7を参照して、本実施の形態の軸受420はベース300の側壁340,350に設けられている。軸受420は、幅方向内側に凹み、且つ、前後方向に延びる長孔である。
図1に示されるように、軸410は、軸受420に受容されている。軸410は、軸受420内で前後方向に移動可能となっている。
【0026】
図7を参照して、本実施の形態の端子500は、導電体からなるものである。端子500は、ベース300の底板330に埋め込まれている。端子500は、接続対象物のパッド(図示せず)に接触する接点部510を有している。接点部510は、収容部380内に位置している。
【0027】
図3に示されるように、本実施の形態の金属部材600は、ベース300に保持されている。2つの金属部材600は、ベース300の幅方向両端付近に夫々位置している。
図9を参照して、金属部材600は、金属製である。より詳しくは、金属部材600は、打ち抜いた1枚の金属板を曲げ加工して形成されている。2つの金属部材600は、互いの鏡像となる形状を有している。
【0028】
図9に示されるように、金属部材600は、主部605と、ロック部610と、連結部630と、補強部650と、半田付け部660と、付加的半田付け部670とを有している。
【0029】
図10及び
図12から理解されるように、本実施の形態の主部605は、上下方向と直交する平板形状を有している。主部605は、金属部材600の幅方向内端を規定している。
【0030】
図12に示されるように、本実施の形態のロック部610は、第1規制部612と、第2規制部616とを有している。
【0031】
図12に示されるように、本実施の形態の第1規制部612は、上下方向において下方を向いた面を有している。第1規制部612は、前後方向において前端6122を有している。前端6122は、第1規制部612の最前端である。
【0032】
図12に示されるように、本実施の形態の第2規制部616は、前後方向及び上下方向の双方と交差する面である。より詳しくは、第2規制部616は、上方及び後方を向いた面である。第2規制部616は、
前後方向と直交する上下方向において、第1規制部612の前端6122から下方に延びている。
【0033】
図12に示されるように、本実施の形態の連結部630は、前後方向において第1規制部612の後方に位置している。連結部630は、第1規制部612と補強部650とを一体に連結している。連結部630と第2規制部616とは、前後方向において互いに所定距離PDだけ離れている。
図13に示されるように、連結部630は、幅方向において主部605の外側に位置している。連結部630は、幅方向において主部605と接続されている。
【0034】
図12に示されるように、連結部630は、基部631と、立設部632と、付加的立設部634と、接続部638とを有している。
【0035】
図12に示されるように、本実施の形態の基部631は、連結部630の下端を規定している。
図13に示されるように、基部631は、幅方向において主部605の外側に位置している。基部631は、幅方向において主部605と接続されている。基部631は、立設部632と、補強部650とを連結している。また、基部631は、付加的立設部634と、補強部650とを連結している。即ち、基部631は、立設部632と、付加的立設部634とを連結している。
【0036】
図12及び
図13に示されるように、本実施の形態の立設部632は、上下方向に延びる平板形状を有している。立設部632は、前後方向と直交する上下方向において、第1規制部612から下方に延びている。なお、本発明はこれに限定されず、立設部632は、前後方向と直交する上下方向において、第1規制部612から少なくとも下方に延びていればよい。立設部632と第2規制部616とは、前後方向において互いに所定距離PDだけ離れている。より詳しくは、立設部632は、前後方向において、第2規制部616から所定距離PDだけ離れて後方に位置している。立設部632は、連結部630の前端を規定している。立設部632は、上下方向において、基部631から上方に延びている。立設部632は、前後方向において、半田付け部660と補強部650との間に位置している。より詳しくは、立設部632は、前後方向において、半田付け部660の後方に位置しており、補強部650の前方に位置している。
【0037】
図12及び
図13に示されるように、本実施の形態の付加的立設部634は、上下方向に延びる平板形状を有している。付加的立設部634は、連結部630の後端を規定している。付加的立設部634は、上下方向において、基部631から上方に延びている。立設部632と付加的立設部634とは、前後方向において互いに離れて位置している。より詳しくは、付加的立設部634は、立設部632から前後方向において後方に離れて位置している。付加的立設部634は、上下方向において、接続部638から下方に延びている。付加的立設部634は、前後方向において、補強部650と付加的半田付け部670との間に位置している。より詳しくは、付加的立設部634は、前後方向において、補強部650の後方に位置しており、付加的半田付け部670の前方に位置している。
【0038】
図11及び
図12に示されるように、本実施の形態の接続部638は、幅方向と交差する平板形状を有している。接続部638は、連結部630の上端を規定している。接続部638は、立設部632と付加的立設部634とを互いに接続している。接続部638は、前後方向において、半田付け部660と付加的半田付け部670との間に位置している。より詳しくは、付加的立設部634は、前後方向において、半田付け部660の後方に位置しており、付加的半田付け部670の前方に位置している。
【0039】
図2に示されるように、本実施の形態の補強部650は、コネクタ100が回路基板700に搭載された際に回路基板700に半田付けされるものである。
図4に示されるように、補強部650の下端は、上下方向において、ベース300の下端325よりも下方に位置している。
【0040】
図11及び
図13に示されるように、補強部650は、上下方向と直交する平板形状を有している。補強部650は、幅方向において主部605の外側に位置している。補強部650は、幅方向においてロック部610よりも外側まで延びている。補強部650は、基部631の幅方向外側に位置している。即ち、補強部650は、基部631から幅方向外側に延びている。補強部650は、立設部632と交差する方向に延びている。補強部650は、幅方向において立設部632よりも外側まで延びている。補強部650は、付加的立設部634と交差する方向に延びている。補強部650は、幅方向において付加的立設部634よりも外側まで延びている。補強部650は、前後方向において、立設部632と付加的立設部634との間に位置している。より詳しくは、補強部650は、前後方向において、立設部632の後方に位置しており、付加的立設部634の前方に位置している。補強部650は、接続部638と交差する方向に延びている。補強部650は、幅方向において接続部638よりも外側まで延びている。補強部650は、幅方向において半田付け部660よりも外側まで延びている。補強部650は、前後方向において、立設部632と付加的半田付け部670との間に位置している。
【0041】
図13に示されるように、上下方向と直交する面内において、補強部650は、立設部632から所定距離PD(
図12参照)の2倍以内の領域ARと、完全に重なっている。なお、本発明はこれに限定されず、上下方向と直交する面内において、補強部650は、立設部632から所定距離PDの2倍以内の領域ARと、少なくとも部分的に重なっていればよい。これにより、補強部650は、ロック部610の直下又はその近傍に位置することとなる。
【0042】
図2に示されるように、本実施の形態の半田付け部660は、コネクタ100が回路基板700に搭載された際に回路基板700に半田付けされるものである。半田付け部660の下端は、上下方向において、ベース300の下端325よりも下方に位置している。
【0043】
図12及び
図13に示されるように、半田付け部660は、上下方向と直交する平板形状を有している。半田付け部660は、幅方向において主部605の外側に位置している。半田付け部660は、幅方向において主部605と接続されている。半田付け部660は、主部605から幅方向外側に延びている。半田付け部660は、前後方向においてロック部610の前方に位置している。半田付け部660は、前後方向において連結部630の前方に位置している。半田付け部660は、立設部632と交差する方向に延びている。半田付け部660は、付加的立設部634と交差する方向に延びている。半田付け部660は、接続部638と交差する方向に延びている。半田付け部660は、前後方向において補強部650の前方に位置している。上下方向と直交する面内において、半田付け部660は、立設部632から所定距離PDの2倍以内の領域ARと、重なっていない。即ち、上下方向と直交する面内において、半田付け部660の外周は、立設部632から所定距離PDの2倍以内の領域ARの外側に位置している。
【0044】
図2に示されるように、本実施の形態の付加的半田付け部670は、コネクタ100が回路基板700に搭載された際に回路基板700に半田付けされるものである。付加的半田付け部670の下端は、上下方向において、ベース300の下端325よりも下方に位置している。
【0045】
図12及び
図13に示されるように、付加的半田付け部670は、上下方向と直交する平板形状を有している。付加的半田付け部670は、前後方向において主部605の後方に位置している。付加的半田付け部670は、前後方向において連結部630の後方に位置している。付加的半田付け部670は、前後方向において主部605と接続されている。付加的半田付け部670は、主部605から前後方向において後方に延びている。付加的半田付け部670は、前後方向においてロック部610の後方に位置している。付加的半田付け部670は、立設部632と交差する方向に延びている。付加的半田付け部670は、付加的立設部634と交差する方向に延びている。付加的半田付け部670は、接続部638と交差する方向に延びている。付加的半田付け部670は、前後方向において補強部650の後方に位置している。
【0046】
図1、
図2、
図5、
図6及び
図12を参照して、コネクタ100に接続対象物(図示せず)を接続する操作について説明する。
【0047】
まず初めに、
図6を参照して、接続対象物を矢印880の方向からカバー200に対して装着する。その後、カバー200を矢印890の方向に回動させてベース300に重ね合わせる。このとき、カバー200の軸410(
図1参照)は、ベース300の軸受420の前端に位置している。
【0048】
カバー200をベース300に重ね合わせた後、カバー200を下方へ押し付けつつ後方にスライドさせる。すると、接続対象物のパッド(図示せず)が端子500の接点部510に圧接されると共に被ロック部210がロック部610の下方に挿入される。この状態で下方への押し下げ力を解除すると、カバー200は端子500のバネの反力で上方に持ち上げられて、カバー200は
図2に示される閉状態となる。
【0049】
このとき、ロック部610の第1規制部612は、被ロック部210に対して上方から接触している。即ち、端子500のバネの反力は、接続対象物を介して被ロック部210を第1規制部612に対して押し付けている。また、ロック部610の第2規制部616は、前後方向において被ロック部210の前方に位置している。即ち、カバー200が閉状態にあるとき、被ロック部210は、ベース300に対して上方への移動が規制されており、且つ、前方への移動も規制されている。
【0050】
上述のように、本実施の形態のコネクタ100の金属部材600は、コネクタ100が回路基板700に搭載された際に回路基板700に半田付けされる補強部650を有しており、この補強部650は、ロック部610の直下又はその近傍において回路基板700に半田付けされるように構成されている。これにより、カバー200が閉状態であっても、端子500のバネの反力により第1規制部612に加えられたこの力は連結部630及び補強部650を介して回路基板700に確実に受け止められるため、金属部材600を保持するベース300の破損や変形が抑制されている。なお、補強部650のこの効果は、端子500の数の増加に伴って端子500全体のバネ力が増大した場合に特に有効である。
【0051】
図1、
図2、
図5、
図6及び
図12を参照して、カバー200の開放及び接続対象物の取り出しの操作について説明する。
【0052】
まず
図2の矢印895で示すようにカバー200を下方へ押圧すると、カバー200は、接続対象物を介して端子500を付勢しつつ少し下方に移動する。このとき、被ロック部210は、第1規制部612から上下方向において下方に離れ、且つ、第2規制部616の下方に位置する状態となる。
【0053】
次に、カバー200を下方へ押し付けつつ前方にスライドさせると、被ロック部210がロック部610を超えて前方に移動して、カバー200はロック解除状態となる。
【0054】
このとき、ロック部610の第2規制部616は、被ロック部210の後方に位置している。即ち、カバー200がロック解除状態にあるとき、被ロック部210は、ベース300に対して上方への移動を規制されていない。
【0055】
このロック解除状態において、カバー200の押圧を止めると、カバー200の後端は端子500のバネの反力で少し上方に押し上げられる。ここで、カバー200を矢印890(
図6参照)と逆の方向に回動することにより、カバー200は、
図5及び
図6に示される開状態となる。この開状態において、接続
対象物は、上述の装着方法と逆の方法で取り出される。
【0056】
本実施の形態の金属部材600の第1規制部612に対して上方に向かう力Fが負荷された場合の金属部材600の変形について、比較例の金属部材800の場合と対比しながら以下に詳述する。なおここで、この上方に向かう力Fは、接続対象物を装着したカバー200が閉状態にあるときの端子500のバネの反力として想定される力である。
【0057】
図12及び
図16を参照して、本比較例の金属部材800は、補強部650を有さない以外は本実施の形態の金属部材600と概ね同様の構成を有している。より詳しくは、金属部材800は、打ち抜いた1枚の金属板を曲げ加工して形成されており、主部805と、ロック部810と、連結部830と、半田付け部860と、付加的半田付け部870とを有している。また、ロック部810は、第1規制部812と、第2規制部816とを有している。第1規制部812は、前後方向において前端8122を有している。第2規制部816は、
前後方向と直交する上下方向において、第1規制部812の前端8122から下方に延びている。ここで、本比較例の主部805、ロック部810、半田付け部860及び付加的半田付け部870は、本実施の形態の主部605、ロック部610、半田付け部660及び付加的半田付け部670と、夫々同様の構造を有している。また、本比較例の第1規制部812、前端8122及び第2規制部816は、本実施の形態の第1規制部612、前端6122及び第2規制部616と、夫々同様の構造を有している。本比較例の連結部830は、補強部650を有さない以外は、本実施の形態の連結部630と概ね同様の構成を有している。
【0058】
図14及び
図15は、本実施の形態の金属部材600の第1規制部612に対して上方に向かう力Fが負荷された場合の金属部材600の変形状態を示している。また、
図17及び
図18は、比較例の金属部材800の第1規制部812に対して上方に向かう力Fが負荷された場合の金属部材800の変形状態を示している。
【0059】
図12及び
図14を参照して、無負荷状態での金属部材600の第1規制部612の前端6122と回路基板700との距離をHA、力Fが負荷された状態での金属部材600の第1規制部612の前端6122と回路基板700との距離をH1とすると、本実施の形態の金属部材600の前端6122の力Fによる変位量D1は、H1-HAとなる。また、
図16及び
図17を参照して、無負荷状態での金属部材800の第1規制部812の前端8122と回路基板700との距離をHB、力Fが負荷された状態での金属部材800の第1規制部812の前端8122と回路基板700との距離をH2とすると、比較例の金属部材800の前端8122の力Fによる変位量D2は、H2-HBとなる。ここで、上述のように、比較例の金属部材800は、本実施の形態の金属部材600と概ね同様の構成を有していることから、HA=HBとなっている。
図14及び
図17を参照して、本実施の形態の前端6122の変位量D1は、比較例の前端8122の変位量D2よりも、小さくなっている。より具体的には、本実施の形態の前端6122の変位量D1は、比較例の前端8122の変位量D2の1/2以下となっている。これらのことから、本実施の形態の金属部材600は、補強部650を有さない比較例の金属部材800と比較して、端子500のバネの反力により第1規制部612に加えられた力が回路基板700に、より確実に受け止められるため、金属部材600を保持するベース300の破損や変形が、より確実に抑制されることが分かる。
【0060】
以上、本発明について、実施の形態を掲げて具体的に説明してきたが、本発明はこれに限定されるわけではなく、種々の変形が可能である。
【0061】
本実施の形態の補強部650は、前後方向において立設部632の後方に位置していたが、本発明はこれに限定されない。即ち、補強部650は、上下方向と直交する面内において領域ARと少なくとも部分的に重なっている限り、前後方向において立設部632の前方に位置していてもよく、前後方向において立設部632と同じ位置であってもよい。
【0062】
本実施の形態の補強部650は、基部631から幅方向外側に延びていたが、本発明はこれに限定されない。即ち、補強部650は、上下方向と直交する面内において領域ARと少なくとも部分的に重なっている限り、基部631から幅方向内側に延びていてもよく、基部631から前後方向に延びていてもよい。
【0063】
本実施の形態の連結部630は、基部631と、立設部632と、付加的立設部634と、接続部638とを有していたが、本発明はこれに限定されず、連結部630は、立設部632を有していればよい。即ち、連結部630は、基部631と、付加的立設部634と、接続部638とを有さなくてもよい。ここで、連結部630が立設部632のみで構成されている場合、補強部650は、立設部632から直接延びていればよい。また、連結部630が、基部631及び立設部632のみで構成されている場合、補強部650は、上下方向と直交する面内において領域ARと少なくとも部分的に重なっている限り、基部631から延びていればよい。
【符号の説明】
【0064】
100 コネクタ
200 カバー
210 被ロック部
300 ベース
310 前端
320 後端
325 下端
330 底板
340 側壁
350 側壁
360 後壁
380 収容部
400 ヒンジ機構
410 軸
420 軸受
500 端子
510 接点部
600 金属部材
605 主部
610 ロック部
612 第1規制部
6122 前端
616 第2規制部
630 連結部
631 基部
632 立設部
634 付加的立設部
638 接続部
650 補強部
660 半田付け部
670 付加的半田付け部
700 回路基板
800 金属部材
805 主部
810 ロック部
812 第1規制部
8122 前端
816 第2規制部
830 連結部
860 半田付け部
870 付加的半田付け部
880 矢印
890 矢印
895 矢印
AR 領域
F 力
H1 距離
H2 距離
HA 距離
HB 距離
PD 所定距離