(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/55 20210101AFI20231017BHJP
H01M 50/176 20210101ALI20231017BHJP
H01M 50/571 20210101ALI20231017BHJP
H01M 50/553 20210101ALI20231017BHJP
H01M 50/588 20210101ALI20231017BHJP
H01M 50/593 20210101ALI20231017BHJP
H01M 50/562 20210101ALI20231017BHJP
【FI】
H01M50/55 101
H01M50/176
H01M50/571
H01M50/553
H01M50/588
H01M50/593
H01M50/562
(21)【出願番号】P 2018162756
(22)【出願日】2018-08-31
【審査請求日】2021-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高林 洋志
(72)【発明者】
【氏名】室屋 陽平
【審査官】森 透
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-071265(JP,A)
【文献】特開2018-055799(JP,A)
【文献】特開2016-085961(JP,A)
【文献】特開2017-041299(JP,A)
【文献】特開2015-088443(JP,A)
【文献】特開2016-192322(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50-50/598
H01M 50/176
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高さ方向における一方端側に開口を有する外装体と、
前記開口を封止すると共に貫通孔を有する封口板と、
前記外装体内に収容されると共に、正極及び負極を含む電極体と、
前記貫通孔に挿通され
、前記負極と電気的に接続された端子と、
を備え、
前記端子は、第1材質で構成される第1領域、及び前記第1材質とイオン化傾向が異なる第2材質で構成される第2領域を有し、
前記電極体から前記封口板へ向かって前記第2領域、前記第1領域の順に配置され、
前記端子は、前記貫通孔の内径よりも大きな外径を有するフランジ部を有し、
前記フランジ部は前記封口板の外面側に配置され、
前記フランジ部と前記封口板の外面の間には絶縁部材が配置され、
前記第1領域と前記第2領域の境界部において外部に露出する露出部は、前記フランジ部の外周縁において前記封口板から遠い側の角部に位置し、
前記境界部は、第1部分と
、前記第1部分より外側に位置
し、かつ前記露出部を有する第2部分とを有し、
前記封口板の厚さ方向において、前記第1部分より前記第2部分は前記封口板から遠くなっており、
前記第1材質は、アルミニウム、又はアルミニウム合金であり、
前記第2材質は、銅、又は銅合金である、二次電池。
【請求項2】
前記角部には、外側に凸の湾曲面で構成されるアール部が設けられており、前記露出部は前記アール部に位置する、請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記角部には、前記高さ方向に対して斜めに傾斜する傾斜面で構成されるC面部が設けられており、前記露出部は前記C面部に位置する、請求項1に記載の二次電池。
【請求項4】
高さ方向における一方端側に開口を有する外装体と、
前記開口を封止すると共に貫通孔を有する封口板と、
前記外装体内に収容されると共に、正極及び負極を含む電極体と、
前記貫通孔に挿通され
、前記負極と電気的に接続された端子と、
を備え、
前記端子は、第1材質で構成される第1領域、及び前記第1材質とイオン化傾向が異なる第2材質で構成される第2領域を有し、
前記電極体から前記封口板へ向かって前記第2領域、前記第1領域の順に配置され、
前記端子は、前記貫通孔の内径よりも大きな外径を有するフランジ部を有し、
前記フランジ部は前記封口板の外面側に配置され、
前記フランジ部と前記封口板の外面の間には絶縁部材が配置され、
前記第1領域と前記第2領域の境界部において外部に露出する露出部は、前記フランジ部の外周縁において前記封口板から遠い側の角部に位置し、
前記フランジ部の上面には、前記フランジ部の上面と前記フランジ部の側面が交わる部分の近傍に突出部が設けられており、
前記露出部は前記突出部に含まれ、
前記第1材質は、アルミニウム、又はアルミニウム合金であり、
前記第2材質は、銅、又は銅合金である、二次電池。
【請求項5】
前記絶縁部材は、前記封口板の外面に沿って配置されるベース部と、
前記ベース部から突出し、前記フランジ部の側面と対向する突出絶縁部を有する請求項1~
4のいずれかに記載の二次電池。
【請求項6】
高さ方向における一方端側に開口を有する外装体と、
前記開口を封止すると共に貫通孔を有する封口板と、
前記外装体内に収容されると共に、正極及び負極を含む電極体と、
前記貫通孔に挿通され
、前記負極と電気的に接続された端子と、
を備え、
前記端子は、第1材質で構成される第1領域、及び前記第1材質とイオン化傾向が異なる第2材質で構成される第2領域を有し、
前記電極体から前記封口板へ向かって前記第2領域、前記第1領域の順に配置され、
前記端子は、前記貫通孔の内径よりも大きな外径を有するフランジ部を有し、
前記フランジ部は前記封口板の外面側に配置され、
前記フランジ部と前記封口板の外面の間には絶縁部材が配置され、
前記絶縁部材は、前記封口板の外面に沿って配置されるベース部と、前記ベース部から突出し、前記フランジ部の側面と対向する突出絶縁部を有し、
前記第1領域と前記第2領域の境界部において外部に露出する露出部は、前記フランジ部の側面に位置し、
前記露出部は、前記突出絶縁部における前記フランジ部の上面側の端部よりも前記フランジ部の上面側に位置し、
前記境界部は、第1部分と
、前記第1部分より外側に位置
し、かつ前記露出部を有する第2部分とを有し、
前記封口板の厚さ方向において、前記第1部分より前記第2部分は前記封口板から遠くなっており、
前記第1材質は、アルミニウム、又はアルミニウム合金であり、
前記第2材質は、銅、又は銅合金である、二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、二次電池としては、特許文献1に記載されているものがある。この二次電池は、略直方体の凹部を有する外装体と、開口を封止する封口板を備える。封口板には、一対の貫通孔が設けられ、一方の貫通孔には、負極端子が挿通される。負極端子は、アルミニウムで構成される第1領域と、銅で構成される第2領域を有している。第2領域は、第1領域よりも高さ方向の凹部側に配置され、その上端面は、第1領域の高さ方向の下端面に接合されている。第1領域と第2領域の境界部は、封口板の上面よりも上側に位置し、接合部は、負極端子の側面に外部に露出する露出部を有する。この二次電池は、負極端子の高さ方向上側にアルミニウムで構成される第1領域を設けることで、負極端子を軽いアルミニウム製のバスバーに容易に溶接できるようにし、バスバーの軽量化を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
二次電池の腐食を調査するため、二次電池に塩水を吹き付ける塩水噴霧試験を実行すると、塩水の一部が負極端子の露出部に付着する。そして、その塩水の一部が、ガルバニック腐食を誘発し、イオン化傾向が銅より高いアルミニウムが負極端子の露出部周辺で塩水内に溶けだし、アルミニウムで構成される部分の腐食が露出部周辺で進行する。
【0005】
そこで、本開示の目的は、材質が異なる2以上の領域を有する端子において、異なる領域間の境界部周辺での腐食を抑制できる二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本開示の一形態の二次電池は、高さ方向における一方端側に開口を有する外装体と、前記開口を封止すると共に貫通孔を有する封口板と、前記外装体内に収容されると共に、正極及び負極を含む電極体と、前記貫通孔に挿通され、前記正極又は前記負極と電気的に接続された端子と、を備え、前記端子は、第1材質で構成される第1領域、及び前記第1材質とイオン化傾向が異なる第2材質で構成される第2領域を有し、前記端子は、前記貫通孔の内径よりも大きな外径を有するフランジ部を有し、前記フランジ部は前記封口板の外面側に配置され、前記フランジ部と前記封口板の外面の間には絶縁部材が配置され、前記第1領域と前記第2領域の境界部において外部に露出する露出部は、前記フランジ部の外周縁において前記封口板から遠い側の角部に位置する。
【0007】
なお、上述の「角部」とは、フランジ部の上面とフランジ部の側面が交わる部分の近傍を意味する。上述の「角部」は、フランジ部の上面とフランジ部の側面が交わる部分から2mm以内の領域とすることができる。
【0008】
また、本開示の一形態の二次電池は、高さ方向における一方端側に開口を有する外装体と、前記開口を封止すると共に貫通孔を有する封口板と、前記外装体内に収容されると共に、正極及び負極を含む電極体と、前記貫通孔に挿通され、前記正極又は前記負極と電気的に接続された端子と、を備え、前記端子は、第1材質で構成される第1領域、及び前記第1材質とイオン化傾向が異なる第2材質で構成される第2領域を有し、前記端子は、前記貫通孔の内径よりも大きな外径を有するフランジ部を有し、前記フランジ部は前記封口板の外面側に配置され、前記フランジ部と前記封口板の外面の間には絶縁部材が配置され、前記絶縁部材は、前記封口板の外面に沿って配置されるベース部と、前記ベース部から突出し、前記フランジ部の側面と対向する突出絶縁部を有し、前記第1領域と前記第2領域の境界部において外部に露出する露出部は、前記フランジ部の側面に位置し、前記露出部は、前記突出絶縁部における前記フランジ部の上面側の端部よりも前記フランジ部の上面側に位置する。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る二次電池によれば、材質が異なる2以上の領域を有する端子において、異なる領域間の境界部周辺での腐食を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の一実施形態の二次電池の斜視図である。
【
図2】二次電池における正極端子側の部分拡大上面図である。
【
図3】
図2のA-A線断面図であり、(a)は、正極端子と正極側の外部導電部材の溶接前の状態を示す断面図であり、(b)は、正極端子と正極側の外部導電部材の溶接後の状態を示す断面図である。
【
図4】二次電池における負極端子側の部分拡大上面図である。
【
図5】
図4のB-B線断面図であり、(a)は、負極端子と負極側の外部導電部材の溶接前の状態を示す断面図であり、(b)は、負極端子と負極側の外部導電部材の溶接後の状態を示す断面図である。
【
図6】上記二次電池の負極端子の第1領域と第2領域の境界部の外端周辺を示す拡大模式断面図であり、
図5(b)にRで示す領域におけるフランジ部の一部と封口板側絶縁部材の一部の拡大模式断面図である。
【
図7】第1参考例の二次電池における
図6に対応する模式断面図であり、第1参考例の二次電池の問題点について説明する模式断面図である。
【
図8】第2参考例の二次電池における
図6に対応する模式断面図であり、第2参考例の二次電池の問題点について説明する模式断面図である。
【
図9】第1変形例の二次電池における
図6に対応する模式断面図である。
【
図10】第2変形例の二次電池における
図6に対応する模式断面図である。
【
図11】第3変形例の二次電池における
図6に対応する模式断面図である。
【
図12】第4変形例の二次電池における
図6に対応する模式断面図である。
【
図13】第5変形例の二次電池における
図6に対応する模式断面図である。
【
図14】第6変形例の二次電池における
図6に対応する模式断面図である。
【
図15】第7変形例の二次電池における
図6に対応する模式断面図である。
【
図16】2つの二次電池において、一方の二次電池の正極端子と、他方の二次電子の負極端子を、バスバーを用いて電気的に接続している状態を示す模式平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本開示に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて新たな実施形態を構築することは当初から想定されている。また、以下の実施例では、図面において同一構成に同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、複数の図面には、模式図が含まれ、異なる図間において、各部材における、縦、横、高さ等の寸法比は、必ずしも一致しない。また、以下では、二次電池が、角形のリチウムイオン電池である場合を例に説明を行うが、二次電池は、角形でなくてもよく円筒形等でもよい。また、二次電池は、リチウムイオン電池以外の充電可能な電池、例えば、金属リチウム電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ナトリウムイオン電池等でもよい。また、以下の説明及び図面において、X方向は、角形の二次電池の厚さ方向であり、+X方向は、X方向の一方向であり、-X方向は、X方向の他方向である。また、Y方向は、角形の二次電池の幅方向であり、+Y方向は、Y方向において負極端子から正極端子に向かう方向であり、-Y方向は、Y方向において正極端子から負極端子に向かう方向である。また、Z方向は、角形の二次電池の高さ方向であり、+Z方向は、Z方向において底側から端子側に向かう方向であり、-Z方向は、Z方向において端子側から底側に向かう方向である。X方向、Y方向、及びZ方向は、互いに直交する。また、以下の説明で、フランジ部の外周縁において封口板から遠い側の角部は、フランジ部の上面とフランジ部の側面が交わる部分の近傍を意味し、フランジ部の上面とフランジ部の側面が交わる部分から2mm以内の領域(外周面部)とすることができる。
【0012】
図1に示すように、二次電池10は、略直方体形状の角形のリチウムイオン電池である。二次電池10は、外装体12、電極体14、及び非水電解液を備え、電極体14と非水電解液は、外装体12内、詳しくは外装体12が画定する略直方体形状の凹部15に収納されている。
【0013】
より詳しくは、外装体12は、Z方向における一方端側である+Z方向が開口し、例えば、金属材料を所定の形状に成形して形成され、その金属材料としては、アルミニウム系金属(アルミニウム、アルミニウム合金)、又は鉄系金属(鉄、鉄主体の鉄合金)等を好適に採用できる。また、電極体14は、正極と負極とがセパレータを介して巻回された巻回構造を有し、扁平形に成形される。電極体14の+Y方向の端部は、正極集電体16に電気的に接続され、電極体14の-Y方向の端部は、負極集電体18に電気的に接続される。なお、本実施例では、電極体が、巻回構造を有する場合について説明するが、電極体は、正極と負極を、セパレータを挟んだ状態で交互に配置する積層構造を有してもよい。
【0014】
正極は、正極芯体としての金属箔と、その両面に設けられた正極活物質層を有する。正極芯体としては、アルミニウム系金属箔を用いることが好ましく、例えば、アルミニウムの金属箔、又はアルミニウム合金の金属箔を用いると好ましい。また、正極活物質は、リチウムイオンの吸蔵と排出が可能なリチウム遷移金属酸化物を含有する。他方、負極は、負極芯体としての金属箔と、その両面に設けられた負極活物質層を有する。負極芯体としては銅系金属箔を用いることが好ましく、例えば、銅の金属箔、又は銅合金の金属箔を用いると好ましい。また、例えば、負極活物質は炭素質材料やケイ素材料等で構成される。セパレータはイオン透過性の多孔質膜等で構成される。
【0015】
非水電解液としては、例えば、非水溶媒としてエチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、又はジメチルカーボネート(DMC)等を用い、これにヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)等の電解質塩を添加したものを好適に使用できる。但し、これらの組成物は、例示であり、二次電池10の仕様により、それら以外の組成物を用いることができる。
【0016】
正極集電体16は、電極体14において+Y方向端部に露出する正極芯体に接続される導電性リード端子材であり、例えば、アルミニウム系金属板を加工して形成される。正極集電体16と正極芯体は、溶接により接合される。また、負極集電体18は、電極体14において-Y方向端部に露出する負極芯体に接続される導電性リード端子材であり、例えば、銅系金属板を加工して形成される。負極集電体18と負極芯体は、溶接により接合される。
【0017】
二次電池10は、外装体12と相まって筐体(ケース)35を構成する封口板20を更に備える。封口板20は、外装体12の開口を塞ぐように外装体12の+Z側に配置され、外装体12と溶接によって接合され一体化される。電極体14、正極集電体16、及び負極集電体18は、筐体35内に収納される。封口板20には、ガス排出弁22、注液穴、及び注液穴を封止する封止栓24が設けられる。ガス排出弁22は、筐体35内の圧力が閾値圧力を超えるときに内部圧を開放する。また、注液穴は、筐体35内に非水電解液を注入するために設けられ、封止栓24は、非水電解液の注入後に注液穴を封止する。封口板20は、例えば、所定形状に加工されたアルミニウム板で構成される。
【0018】
二次電池10の正極端子30は、封口板20の+Y方向の端部側に設けられる。正極端子30は、樹脂製の正極側の絶縁部材32を介して封口板20と電気的に絶縁される。正極端子30は、電極体14の正極芯体に電気的に接続される。詳しくは、正極端子30は、封口板20に設けられた正極端子取付孔に挿入されて、正極芯体に電気的に接続されている正極集電体16と電気的に接続される。また、正極端子30は、二次電池10の外側において外部導電部材34と電気的に接続される。二次電池10は、外部導電部材34において正極端子30と間隔をおいた位置にボルト36を更に備え、ボルト36は、外部導電部材34と電気的に接続される。正極端子30と正極集電体16の接続については後で詳細に説明する。
【0019】
二次電池10の負極端子40は、封口板20の-Y方向の端部側に設けられる。負極端子40は、樹脂製の負極側の絶縁部材42を介して封口板20と電気的に絶縁される。負極端子40は、電極体14の負極芯体に電気的に接続される。詳しくは、負極端子40は、封口板20に設けられた負極端子取付孔に挿入されて、負極芯体に電気的に接続されている負極集電体18と電気的に接続される。また、負極端子40は、二次電池10の外側において外部導電部材44と電気的に接続される。二次電池10は、外部導電部材44において負極端子40と間隔をおいた位置にボルト46を更に備え、ボルト46は、外部導電部材44と電気的に接続される。
【0020】
次に、封口板20への正極端子30と負極端子40の取付について、
図2乃至
図7を用いて詳述する。先ず、正極端子30側の接続構造について説明する。
図2に示すように、二次電池10は、正極側の絶縁部材32、正極側の外部導電部材34、及び正極側のボルト36を、+Z側におけるY方向の正極端子30側に備える。また、
図3(a)に示すように、正極端子取付孔50が封口板20に設けられ、正極端子30が正極端子取付孔50に挿入される。封口板20は、+Z方向に開口する凹部21を有する。凹部21は、正極端子取付孔50の上部に連通するように正極端子取付孔50の外周側に設けられ、正極端子取付孔50の上部から径方向外側に広がる。凹部21には、正極側の絶縁部材32の一部が配置される。なお、凹部21は必須の構成ではなく、正極側の絶縁部材32は凹部21内に配置される部分を有さなくてもよい。
【0021】
正極集電体16は、集電体貫通孔52を有し、正極端子30は、集電体貫通孔52に挿入される。正極端子取付孔50と集電体貫通孔52は、互いの中心軸が組立時に位置合わせされる。正極端子30は、フランジ部60と、フランジ部60よりも-Z側に設けられた環状の挿入部62を含む。フランジ部60は、正極端子取付孔50の内径よりも大きな外径を有する。フランジ部60は、正極端子30において封口板20の外面側に配置される鍔状の部分である。フランジ部60の外径は、封口板20に設けられる凹部21の内径よりも小さく、Z方向から見たとき、フランジ部60の全ては、凹部21に重なる。正極端子30においてフランジ部60よりも-Z側に設けられる部分は、環状の挿入部62を含み、正極端子取付孔50と集電体貫通孔52に挿入される。なお、フランジ部60の-Z側の端面を一点鎖線で示した。以下の図においても同様である。
【0022】
フランジ部60の+Z側の面である他方面に設けられる突起部64は、正極端子30と正極側の外部導電部材34とを溶接するときの溶接端部である。なお、
図3(a)に示す例では、正極端子30が環状の突起部64を有しているが、複数の突起部を同一円周上に周方向に間隔をおいて設けてもよく、突起部を上面に凹部を有さない柱状としてもよい。また、突起部64を設けなくてもよい。挿入部62の-Z方向の先端部66は、拡径するようにカシメられ、Z方向から見たとき正極集電体16に重なる環状部を有する。その結果、正極端子30及び正極集電体16が、封口板20に固定接続される。なお、カシメられた先端部66と正極集電体16を溶接で接続すると好ましい。また、挿入部62は必ずしも環状である必要はなく、凹部を有さない柱状とすることもできる。
【0023】
二次電池10は、更に、集電体側絶縁体54と封口板側絶縁体56を備える。集電体側絶縁体54は、正極集電体16と封口板20との間を電気的に絶縁する一体の絶縁部材である。
図3(a)に示すように、集電体側絶縁体54は、正極集電体16の+Z側の端面と、正極集電体16の外周面を覆う。集電体側絶縁体54は、樹脂部品で構成してもよく、正極集電体16の所定箇所を樹脂コーティングすることで構成してもよい。
【0024】
他方、封口板側絶縁体56は、正極端子30と封口板20との間を電気的に絶縁する一体の絶縁部材である。封口板側絶縁体56は、内周面被覆部56a、ベース部56b、及び突出絶縁部56cを含む。内周面被覆部56aは、筒状の形状を有し、封口板20の正極端子取付孔50の内周面を被覆する。内周面被覆部56aは、正極端子30が封口板20の正極端子取付孔50の内周面に電気的に接続するのを防止する。また、ベース部56bは、内周面被覆部56aの+Z方向の端部から径方向外方に広がり、封口板20の外面に沿って配置される。ベース部56bは、凹部21の底面上に配置される。ベース部56bは、フランジ部60と封口板20の外面(+Z方向の上面)の間に配置され、フランジ部60の-Z方向の下面が封口板20の外面に電気的に接続するのを防止する。また、突出絶縁部56cは、筒状の形状を有し、ベース部56bの径方向外方側の端部からフランジ部60の外周面に沿うように+Z方向に突出する。突出絶縁部56cは、フランジ部60の側面と対向する。封口板側絶縁体56は、樹脂部品で構成してもよく、正極端子30の所定箇所を樹脂コーティングすることで構成されてもよい。
【0025】
正極側の外部導電部材34は、アルミニウム系金属で構成された板部材である。また、正極側のボルト36は、隣接する二次電池10の端子間を電気的に接続するバスバーを締結するために用いられる。外部導電部材34の-Y側の端部にボルト取付部を設けてボルト36を固定し、外部導電部材34の+Y側の端部を正極端子30と溶接で電気的に接続する。
【0026】
本実施例の二次電池10では、正極端子30とボルト36の位置をずらすことで、ボルト36により図示しないバスバーを締結する際、トルクが正極端子30に直接加わることを防止できる。よって、正極端子30と封口板20間の密封性の低下や、正極端子30と正極集電体16の接続部の損傷等を抑制できる。なお、正極端子30を封口板20と電気的に絶縁する場合について説明したが、仕様によっては、正極端子30を封口板20に電気的に接続してもよい。
【0027】
図3(b)に示すように、外部導電部材34は、突起部64に溶接され、突起部64に電気的に接続される。その溶接には、例えば、レーザ溶接や抵抗溶接を採用できる。ナゲット70は、突起部64と外部導電部材34との間の溶接によって形成された溶接部である。ナゲット70の形成は、突起部64の高さの範囲内で行われることが好ましく、その場合、樹脂部品等である封口板側絶縁体56に溶接の熱の影響が及ぶことを抑制でき、封口板側絶縁体56の熱変形や特性変化を抑制できる。
【0028】
アルミニウム系金属で構成される正極端子30は、+Z側の端部においてアルミニウム系金属で構成される外部導電部材34に溶接により接合される。その結果、正極端子30側での溶接は、アルミニウム系金属同士で行われ、異種金属接触による腐食が生じない。また、アルミニウム系金属の融点は比較的低いので、アルミニウム系金属間の溶接によって発生する熱も比較的少なく、更には、アルミニウム系金属は、銅系金属に比べ熱伝導性も低い。よって、当該溶接が、樹脂材料等で構成される正極側の絶縁部材32、集電体側絶縁体54、及び封口板側絶縁体56に与える影響を小さくできる。
【0029】
次に負極端子40側の構造について説明する。
図4に示すように、二次電池10は、負極側の絶縁部材42、負極側の外部導電部材44、及び負極側のボルト46を、+Z側におけるY方向の負極端子40側に備える。
【0030】
図3及び
図5を参照して、負極側構造を正極側構造と比較すると、端子構造のみが大きく異なり、他の構造は類似する。すなわち、負極端子40のみが、負極端子40側における要素のうちで正極端子30側における要素と大きく異なり、負極側構造における他の要素は、正極側構造における他の要素と類似する。
【0031】
詳しくは、
図5(a)及び
図5(b)に示すように、封口板20に設けられる貫通孔である負極端子取付孔51は、正極端子取付孔50と同様の構成を有し、Z方向に延びる。また、負極集電体18に設けられる集電体貫通孔53は、正極集電体16に設けられる集電体貫通孔52と同様の構成を有する。また、凹部23も正極側で説明した凹部21と同様の構造を有し、負極側の集電体側絶縁体55は、正極側の集電体側絶縁体54と同様の構成を有する。また、負極側の封口板側絶縁体57は、正極側の封口板側絶縁体56と類似の構成を有する。また、負極側の外部導電部材44は、正極側の外部導電部材34と同様に、アルミニウム系金属の板部材である。また、負極側のボルト46も、正極側のボルト36と同様の構成を有する。
【0032】
なお、ボルト46の-Z方向側である下方側において、封口板20と負極側の絶縁部材42とが互いに嵌合する嵌合部43が設けられる。この嵌合部43を設けることで、ボルト46を他の部材とで締結する際、負極端子40にトルクが懸ることを抑制できる。正極端子30側の
図3では、この嵌合部の図示を省略したが、負極端子40側と同様に、ボルト36の下方側に、封口板20と正極側の絶縁部材32が互いに嵌合する嵌合部を設けると好ましい。このように、負極端子40を除いて、他の要素は、正極端子30側の対応する要素と同様の構成を有するので、これ以上の説明を省略する。
【0033】
負極端子40は、フランジ部80と、フランジ部80よりも-Z側に設けられた環状の挿入部82を含む。フランジ部80は、負極端子取付孔51の内径よりも大きな外径を有する。フランジ部80は、負極端子40において封口板20の外面側に配置される鍔状の部分である。フランジ部80の外径は、封口板20に設けられる凹部23の内径よりも小さく、Z方向から見たとき、フランジ部80の全ては、凹部23に重なる。負極端子40においてフランジ部80よりも-Z側に位置する部分は、環状の挿入部82を含み、負極端子取付孔51と集電体貫通孔53に挿入される。負極端子40は、正極端子30と同様の構造で、封口板20に対して絶縁される。詳しくは、負極側の封口板側絶縁体57も、内周面被覆部57a、ベース部57b、及び突出絶縁部57cを含む。内周面被覆部57aは、筒状の形状を有し、封口板20の負極端子取付孔51の内周面を被覆する。内周面被覆部57aは、負極端子40が封口板20の負極端子取付孔51の内周面に電気的に接続するのを防止する。また、ベース部57bは、内周面被覆部57aの+Z方向の端部から径方向外方に広がり、封口板20の外面に沿って配置される。ベース部57bは、凹部23の底面上に配置される。ベース部57bは、フランジ部80と封口板20の外面(+Z方向の上面)の間に配置され、フランジ部80の-Z方向の下面が封口板20の外面(+Z方向の上面)に電気的に接続するのを防止する。また、突出絶縁部57cは、筒状の形状を有し、ベース部57bの径方向外方側の端部からフランジ部80の外周面に沿うように+Z方向に突出する。突出絶縁部57cは、フランジ部80の側面と対向する。なお、凹部23は必須の構成ではない。
【0034】
負極端子40は、複合材であることが正極端子30と大きく異なる。詳しくは、負極端子40は、アルミニウム系金属(アルミニウム、又はアルミニウム合金)で構成される第1領域92と、銅系金属(銅、又は銅合金)で構成される第2領域90を有し、第1領域92は、第2領域90よりも+Z側に位置する。アルミニウム系金属は、第1材質の一例であり、銅系金属は、第2材質の一例である。フランジ部80は、第1領域92の-Z側の一部と、第2領域90の+Z側の一部が接合された構造を有する。フランジ部80の+Z側の面である他方面側はアルミニウム系金属で構成され、フランジ部80の-Z側の面である一方面側は、銅系金属で構成される。環状の挿入部82は、第2領域90に含まれる。
【0035】
図5(a)に示すように、フランジ部80の+Z側の面に設けられる突起部84は、負極端子40と負極側の外部導電部材44とを溶接するときの溶接端部である。
図5(a)に示す例では、負極端子40が環状の突起部84を有しているが、複数の突起部を同一円周上に周方向に間隔をおいて設けてもよく、突起部を上面に凹部を有さない柱状としてもよい。また、突起部84を設けなくてもよい。突起部84は、アルミニウム系金属からなる第1領域92に含まれ、突起部84の材料は、負極側の外部導電部材44の材料であるアルミニウム系金属と一致する。
【0036】
挿入部82の-Z側先端部に設けられる先端部86は、拡径するようにカシメられ、Z方向から見たとき負極集電体18に重なる。本実施例では、先端部86は、所定の厚さを有する円環状の部分であるが、先端部86は、周方向に間隔をおいて配置される複数の部分で構成されてもよく、凹部を有さない柱状とすることもできる。先端部86は、第2領域90に含まれる。先端部86は、溶接で負極集電体18に接合されると好ましい。
【0037】
図5(b)に示すように、外部導電部材44は、突起部84に溶接され、突起部84に電気的に接続される。その溶接には、例えば、レーザ溶接や抵抗溶接を採用できる。ナゲット74は、突起部84と外部導電部材44との間の溶接によって形成された溶接部である。ナゲット74の形成は、突起部84の高さの範囲内で行われることが好ましく、その場合、樹脂材料等で構成される封口板側絶縁体57に溶接の熱の影響が及ぶことを抑制でき、封口板側絶縁体57の熱変形や特性変化を抑制できる。突起部84を外部導電部材44に溶接することで、負極端子40と外部導電部材44をより確実に接続でき、二次電池10の信頼性を良好なものにできる。
【0038】
また、負極端子40における第1領域92と第2領域90との間の境界部93は、封口板20の+Z側の面である上面よりも+Z側に位置し、非水電解液に曝されることがない。したがって、負極の電位が低い値となっても、第1領域92を構成するアルミニウム系金属と非水電解液に含まれるリチウムが合金化することを確実に防止できる。
【0039】
また、アルミニウム系金属の融点は比較的低いので、アルミニウム系金属間の溶接によって発生する熱も比較的少ない。更には、アルミニウム系金属は銅系金属に比べ熱伝導性が低い。よって、溶接時に発生する熱が負極端子40を介して封口板側絶縁体57に伝わりにくく、封口板側絶縁体57が熱劣化することを抑制できる。
【0040】
また、第1領域92と第2領域90との間の境界部93は、カシメ処理が行われる箇所である先端部86から離れた位置にあるので、境界部93にカシメ処理による応力が加わることを抑制できる。また、銅系金属は、アルミニウム系金属よりも高い機械的強度を有するが、本実施例では、負極端子40において封口板20及び負極集電体18を挟み込む部分(フランジ部80の下面部、挿入部82、及び先端部86)が銅系金属により構成される。よって、負極端子40及び負極集電体18を、より確実に封口板20に固定できる。
【0041】
次に、二次電池10を用いて組電池を形成する方法について簡単に説明する。組電池は、不図示のバスバーを用いて形成される。バスバーは、例えば、次のようにボルト36に固定する。詳しくは、バスバーは、導電性材料、例えば、アルミニウム系金属(アルミニウム、又はアルミニウム合金)で形成される。また、バスバーとして、例えば、平面視が矩形の板状であり、貫通孔を長手方向の一方側端部と他方側端部に1つずつ設けたものを用いる。そして、バスバーの一方側端部の貫通孔を、一方の二次電池10の正極側のボルト36に挿通した後、不図示のナットをボルト36の外周面に形成された雄ねじ部79(
図1参照)に締め込む。また、バスバーの他方側端部の貫通孔を、他方の二次電池10の負極側のボルト46に挿通した後、不図示のナットをボルト46の外周面に形成された雄ねじ部89(
図1参照)に締め込む。このようにして、一方の二次電池10の正極端子30と、他方の二次電池10の負極端子40を電気的に接続する。この電気的な接続を繰り返すことによって、二次電池10を予め定めた所定数直列接続した組電池(不図示)を形成できる。
【0042】
なお、複数の二次電池10を並列接続するときは、2つの二次電池10の正極端子30同士をバスバーで電気的に接続し、2つの二次電池10の負極端子40同士を他のバスバーで電気的に接続すればよい。このようにして、複数の二次電池10を、並列、直列、又は並列及び直列の両方を用いて、電気的に接続して組電池を形成する。但し、二次電池10は、単独で用いられてもよい。
【0043】
次に、負極端子40において第1領域92と第2領域90の境界部93の外端に存在する露出部の配置位置について詳細に説明する。
図6に示すように、負極端子40のフランジ部80は、封口板側絶縁体57の突出絶縁部57cに隙間を介してY方向に対向する。境界部93はフランジ部80に含まれる。また、境界部93において外部に露出する露出部94は、フランジ部80の外周縁91において封口板20から遠い側の角部95に位置する。本明細書では、角部95を、フランジ部80の上面97とフランジ部80の側面99が交わる部分の近傍の外面部として定義する。角部95は、フランジ部80の上面97とフランジ部80の側面99が交わる部分から2mm以内の領域(外面部)とすることができる。角部95には、外側に凸の湾曲面で構成されるアール部96が設けられている。露出部94は、アール部96に位置する。また、露出部94は、突出絶縁部57cのZ方向の電極体14側とは反対側の端81よりもZ方向の電極体14側とは反対側に位置する。
【0044】
次に、境界部93の外端を構成する露出部94が
図6に示す角部95に配置することの優位性を、二次電池10を、
図7に示す第1参考例の二次電池910と比較することで説明する。
図1を参照して、塩水等の水溶液が、負極側の外部導電部材44と負極端子40との間等を通過して、フランジ部80の上面(+Z側の端面)97に到達することがある。
【0045】
このような背景において、
図7に示すように、第1参考例の二次電池910では、負極端子940が、第1材質で構成される第1領域992と、第1材質とはイオン化傾向が異なる第2領域990を有する。そして、第1領域992と第2領域990の境界部993における露出部994が、フランジ部980の上面960上であって角部から離れた個所に位置する。したがって、塩水等の水溶液915は、Z方向上側を向いた+Z側の端面960上に溜まり易いため、水溶液915が露出部994に付着し易く、上述のガルバニック腐食が生じ易い。
【0046】
これに対し、本実施例の二次電池10では、露出部94が、塩水等の水溶液が溜まりにくい角部95に位置しているので、負極端子40が、第1材質で構成される第1領域92と、第1材質とイオン化傾向が異なる第2材質で構成される第2領域90を接合してなる部分を含んでも、露出部94が、塩水等の水溶液に接触しにくい。よって、ガルバニック腐食が露出部94周辺で生じにくく、負極端子40の劣化を抑制できる。また、角部95が、外側に凸の湾曲面で構成されるアール部96に一致するので、角部95の損傷を抑制できると共に、角部95に応力が集中することも抑制できる。
【0047】
更には、本実施例のように、露出部94が、突出絶縁部57cの+Z方向側の端(Z方向の電極体14側とは反対側の端)81よりも+Z方向側(Z方向の電極体14側とは反対側)に位置すると好ましい。詳しくは、
図8に示す第2参考例の二次電池1010では、負極端子1040が、第1材質で構成される第1領域1092と、第1材質とはイオン化傾向が異なる第2領域1090を有する。また、負極端子1040のフランジ部1080が、第1領域1092と第2領域1090の境界部1093を含んでいる。また、境界部1093の露出部1094が、封口板側絶縁体57の突出絶縁部57cにおけるZ方向の電極体14側とは反対側の端81よりもZ方向の電極体14側に位置している。塩水等の水溶液は、突出絶縁部57cとフランジ部1080の間に存在する隙間において水溶液膜1015を形成し易い。そして、二次電池1010では、露出部1094が、突出絶縁部57cと対向する位置に存在するため、水溶液膜1015が、露出部1094を覆い易い。、その結果、ガルバニック腐食が生じ易い。
【0048】
これに対し、本実施例の二次電池10のように、露出部94が、突出絶縁部57cの+Z側の端81よりも+Z側に位置すると、露出部94が、突出絶縁部57cとフランジ部80との間に生じ易い水溶液膜に接触しない。よって、ガルバニック腐食を更に効果的に抑制できる。
【0049】
なお、本開示は、上記実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載された事項およびその均等な範囲において種々の改良や変更が可能である。
【0050】
例えば、上記実施形態では、露出部94が、負極端子40の角部95に設けられるアール部に位置する場合について説明した。しかし、
図9に示すように、二次電池110の負極端子140が、第1材質で構成される第1領域192と、第1材質とイオン化傾向が異なる第2材質で構成される第2領域190を接合する接合部を含んでもよい。また、第1領域192と第2領域190の境界部193が、負極端子140のフランジ部180に含まれてもよく、境界部193の露出部194が、フランジ部180の外周縁191において封口板20から遠い側の角部195に位置してもよい。また、角部195には、Z方向に対して斜めに傾斜する傾斜面で構成されるC面部196が設けられてもよく、露出部194はC面部196に位置してもよい。
【0051】
本変形例によれば、露出部194が位置するC面部196が、+Y方向の端側に行くにしたがって斜め下側に傾斜しているので、塩水等の水溶液が重力でC面部196を下方側に移動し易く、C面部196上に溜まりにくい。よって、露出部94がアール部96に位置する上記実施例の場合と同様に、水溶液が露出部194に付着しにくく、ガルバニック腐食が露出部194周辺で生じることを抑制できる。なお、上記実施例と同様に、本変形例でも、露出部194が、負極側の封口板側絶縁体57における突出絶縁部57cのZ方向の電極体14側とは反対側の端81よりもZ方向の電極体14側とは反対側に位置すると好ましく、この場合、上記ガルバニック腐食を更に効果的に抑制できる。
【0052】
また、
図10に示すように、二次電池210の負極端子240が、第1材質で構成される第1領域292と、第1材質とイオン化傾向が異なる第2材質で構成される第2領域290を接合する接合部を含んでもよい。また、第1領域292と第2領域290の境界部293が、負極端子240のフランジ部280に含まれてもよい。また、
図10に示すように、フランジ部280が、フランジ部280の外周縁291において封口板20から遠い側にYZ切断面で尖った角299を有し、境界部293の露出部294が、その角299を含む角部295に位置してもよい。また、露出部294が、負極側の封口板側絶縁体57における突出絶縁部57cのZ方向の電極体14側とは反対側の端81よりもZ方向の電極体14側とは反対側に位置すると好ましい。
【0053】
本変形例でも、露出部294が、水溶液が落下し易くて溜まりにくい角部295に位置するので、露出部294が、フランジ部280の上面に溜まる水溶液に起因するガルバニック腐食を起こしにくい。また、露出部294が、突出絶縁部57cの+Z側の端81よりも+Z側に位置するため、露出部294が、突出絶縁部57cとフランジ部980との間に生成され易い水溶液膜に起因して腐食することも抑制できる。よって、負極端子240のガルバニック腐食による劣化を抑制できる。
【0054】
また、
図11に示すように、二次電池310の負極端子340が、第1材質で構成される第1領域392と、第1材質とイオン化傾向が異なる第2材質で構成される第2領域390を接合する接合部を含んでもよい。また、第1領域392と第2領域390の境界部393が、負極端子340のフランジ部380に含まれてもよい。また、
図11に示すように、フランジ部380が、フランジ部380の外周縁391において封口板20から遠い側にYZ切断面で尖った角399を有してもよく、角399が、フランジ部380の上面とフランジ部380の側面が交わる部分でもよい。また、境界部393において外部に露出する露出部394が、角399から2mm以内の領域である角部395に位置してもよい。また、露出部394が、フランジ部380の側面に位置すると共に、突出絶縁部57cの+Z側の端81よりも+Z側に位置してもよい。更には、
図11に示す変形例と異なり、第1領域と第2領域の境界部において外部に露出する露出部は、角部に含まれなくてもよい。そして、角部に含まれない露出部が、フランジ部の側面に位置すると共に、突出絶縁部におけるフランジ部の上面側の端部よりもフランジ部の上面側に位置してもよい。
【0055】
これらの変形例でも、フランジ部380の上面に溜まる水溶液が、露出部394に付着しにくく、突出絶縁部57cとフランジ部380との間に生成され易い水溶液膜も、露出部394に付着しにくい。よって、負極端子340のガルバニック腐食による劣化を抑制できる。
【0056】
また、上記実施例では、フランジ部80の角部95が、Z方向に略直交する方向に広がるフランジ部80の上面97に滑らかに繋がる場合について説明した。しかし、負極端子は、フランジ部の上面から+Z側に突出する突出部を有してもよい。
【0057】
詳しくは、
図12に示すように、二次電池410の負極端子440が、第1材質で構成される第1領域492と、第1材質とイオン化傾向が異なる第2材質で構成される第2領域490を接合する接合部を含んでもよい。また、負極端子440は、フランジ部480における上面(Z方向の+Z側の端面)497から+Z側に突出する突出部499を有してもよい。また、その突出部499は、その上面497における径方向外方側の端部から+Z側に突出してもよい。また、突出部499は、フランジ部480の上面とフランジ部480の側面が交わる部分495の近傍に設けられてもよい。また、突出部499の外周面432は、フランジ部480の外周面433に面一となっている状態で滑らかに繋がり、外周面433と一体に形成されてもよい。また、境界部493の露出部494が、突出部499に含まれてもよい。また、境界部493の露出部494が、突出絶縁部57cの+Z側の端81よりも+Z側に位置すると好ましい。なお、
図12において、フランジ部480の+Z側の面の径方向内側に設けられる突出部484は、負極端子440と負極側の外部導電部材(不図示)とを溶接するときの溶接端部である。
【0058】
本変形例によれば、露出部494が、突出部499に含まれるので、突出部499が存在しない場合との比較において、露出部494と突出絶縁部57cの+Z側の端81とのZ方向距離を大きくできる。したがって、突出絶縁部57cとフランジ部480との間に生成され易い水溶液膜が、露出部494に接触することを確実に防止できる。
【0059】
また、突出部499がフランジ部480の上面497における径方向外方側から+Z側に突出するので、突出部499の径方向内方側に凹部425を形成できる。したがって、水溶液をこの凹部425に溜めることができ、その結果、水溶液が凹部425の側壁を乗り越えにくくなって、水溶液が突出部499の角部に到達しにくくなる。よって、この理由からも露出部494のガルバニック腐食を抑制できる。
【0060】
なお、
図13に示すように、第1領域592と第2領域590の境界部593における露出部594は、突出部599の上面における径方向内側箇所555に含まれてもよい。また、
図14に示すように、負極端子640において、突出部699は、先端側が+Z側に凸の湾曲面でもよく、この湾曲面の形成で、塩水等の水溶液が突出部699の先端側から下方に落下し易いようにしてもよい。そして、第1領域692と第2領域690の境界部693における露出部694が、突出部699の先端側にに位置してもよい。また、
図15に示すように、負極端子740において、第1領域792と第2領域790の境界部793における露出部794は、フランジ部780の側面(外周面)に位置すると共に、突出絶縁部57cの+Z側の端81よりも+Z側の箇所に位置してもよい。より詳しくは、露出部794は、負極端子740の外周面において突出部799よりも-Z側であって突出絶縁部57cの+Z側の端81よりも+Z側の箇所に位置してもよい。この場合でも、突出部799を形成した結果、突出絶縁部57cの+Z側の端81と露出部794とのZ方向距離を長くできる。よって、突出部799が存在しない場合と比較して、突出絶縁部57cとフランジ部780との間に生成され易い水溶液膜が露出部794に接触することを効果的に抑制でき、負極端子740のガルバニック腐食を抑制できる。
【0061】
また、第1領域92を構成する第1材質として、アルミニウム又はアルミニウム合金を用い、第2領域90を構成する第2材質として、銅又は銅合金(銅合金には、銅にニッケルメッキを施した金属が含まれる)を用いる場合について説明した。しかし、第1領域を構成する第1材質と、第2領域を構成する第2材質は、互いにイオン化傾向が異なる導通性材質であれが、如何なる材質であってもよく、例えば、第2領域を構成する第2材質として、銅系金属の代わりに、ニッケルやステンレスを用いてもよい。
【0062】
また、2つの二次電池10を、ボルト36,46、導電性部材であるバスバー、及びナットを用いて電気的に接続して組電池を構成する場合について説明した。しかし、
図16に示すように、二次電池810は、ボルトを有さなくてもよい。そして、例えば、導電性部材であるバスバー880の長手方向の一方側を一方の二次電池810の正極端子830に接合すると共に、バスバー880の長手方向の他方側を他方の二次電池810の負極端子840に接合してもよい。この場合、バスバー880として、材質がアルミニウム系金属(アルミニウム、アルミニウム合金)であるものを用いると好ましい。また、バスバー880として、平面視が矩形の板状であり、貫通孔を長手方向の一方側端部と他方側端部に1つずつ設けたものを用いると好ましい。そして、バスバー880の一方側端部の貫通孔を一方の二次電池810の正極端子830に挿通した後、バスバー880の一方側端部と一方の二次電池810の正極端子830をレーザ溶接等の溶接で接合してもよい。また、バスバー880の他方側端部の貫通孔を他方の二次電池810の負極端子840に挿通した後、バスバー880の他方側端部と他方の二次電池810の負極端子840をレーザ溶接等の溶接で接合してもよい。又は、貫通孔がないバスバーを用いてもよく、板状のバスバーを電極端子(正極端子、又は負極端子)上に載置して、貫通溶接を実行することで、バスバーと電極端子を電気的に接続してもよい。なお、ボルト36,46を有する二次電池10と同様に、組電池は、ボストを有さない複数の二次電池810を、並列、直列、又は並列及び直列の両方を用いて電気的に接続することで形成できる。又は、ボストを有さない複数の二次電池810は、単独で用いられることもできる。
【0063】
また、フランジ部の平面視の形状は特に限定されない。フランジ部の平面視の形状は、方形状であっても円形であってもよい。フランジ部の平面視の形状は、方形状の角部がアール化、あるいはC面カットされていてもよい。
【0064】
また、今までは、イオン化傾向が異なる材質からなる第1領域92,192,292,392,492,592,692,792と第2領域90,190,290,390,490,590,690,790を有する端子が、負極端子40,140,240,340,440,640,740,840である場合を例に説明を行ってきた。しかし、イオン化傾向が異なる材質からなる第1領域と第2領域とを有する端子は、正極端子のみでもよく、負極端子と正極端子の両方の端子でもよい。
【符号の説明】
【0065】
10,110,210,310,410,810 二次電池、 12 外装体、 14 電極体、 15 凹部、 20 封口板、 30,830 正極端子、 35 筐体、 40,140,240,340,440,640,740,840 負極端子、 56 正極側の封口板側絶縁体(正極側絶縁部)、 57 負極側の封口板側絶縁体(負極側絶縁部)、 57c 突出周壁(突出絶縁部)、 81 突出周壁の高さ方向の電極体側とは反対側の端、 90,190,290,390,490,590,690,790 第2領域、 92,192,292,392,492,592,692,792 第1領域、 93,193,293,393,493,593,693,793 境界部、 94,194,294,394,494,594,694,794 露出部、 95,195,295,395 角部、495 フランジ部の上面とフランジ部の側面が交わる部分、 497 +Z側の端面、 499,599,699,799 突出部、880 バスバー。