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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】ファスナーストリンガーの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A44B 19/42 20060101AFI20231017BHJP
   A44B 19/24 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
A44B19/42
A44B19/24
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019025845
(22)【出願日】2019-02-15
(65)【公開番号】P2020130443
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2022-01-27
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006828
【氏名又は名称】YKK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】大角 美幸
【審査官】横山 綾子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭49-062568(JP,A)
【文献】特開平5-277006(JP,A)
【文献】特開昭54-100842(JP,A)
【文献】実開平6-24514(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44B 19/00-19/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファスナーテープ(11)と、前記ファスナーテープ(11)の一側縁部(11a)に取り付けられるコイル状のファスナーエレメント(20)と、前記ファスナーエレメント(20)を前記ファスナーテープ(11)に固定する固定糸(31,32)と、を備えるファスナーストリンガー(10)の製造方法であって、
前記ファスナーテープ(11)の全体、前記ファスナーエレメント(20)、前記固定糸(31,32)の部材の内、少なくとも前記ファスナーエレメント(20)が第1樹脂製であり、
前記ファスナーテープ(11)の全体、前記固定糸(31,32)の部材の内、第1樹脂製に選択されていない部材が第2樹脂製であり、
第1樹脂製に選択された部材は第1染料により染色可能であり、第2樹脂製に選択された部材は第2染料により染色可能であり、
前記ファスナーテープ(11)に前記固定糸(31,32)を用いて前記ファスナーエレメント(20)を固定する固定工程(ST1)と、
前記固定工程(ST1)で得られた前記ファスナーストリンガー(10)のうち、少なくとも前記ファスナーエレメント(20)を含む第1樹脂製に選択された各部材を、第1染料を用いて、前記ファスナーエレメント(20)が前記ファスナーテープ(11)に前記固定糸(31、32)により取り付けられた状態で第1の色に染色する第1染色工程(ST2)と、
前記固定工程(ST1)で得られた前記ファスナーストリンガー(10)のうち、第2樹脂製に選択された各部材を、第2染料を用いて、前記ファスナーエレメント(20)が前記ファスナーテープ(11)に前記固定糸(31、32)により取り付けられた状態で第1の色とは異なる第2の色に染色する第2染色工程(ST3)と、を備え
前記第1樹脂製に選択された部材はポリエステルであり、前記第2樹脂製に選択された部材はカチオン染料で染色可能なポリエステルであることを特徴とするファスナーストリンガー(10)の製造方法。
【請求項2】
ファスナーテープ(11)と、前記ファスナーテープ(11)の一側縁部(11a)に取り付けられるコイル状のファスナーエレメント(20)と、前記ファスナーエレメント(20)を前記ファスナーテープ(11)に固定する固定糸(31,32)と、を備えるファスナーストリンガー(10)の製造方法であって、
前記ファスナーテープ(11)の全体、前記ファスナーエレメント(20)、前記固定糸(31,32)の部材の内、少なくとも前記ファスナーエレメント(20)が第1樹脂製であり、
前記ファスナーテープ(11)の全体、前記固定糸(31,32)の部材の内、第1樹脂製に選択されていない部材が第2樹脂製であり、
第1樹脂製に選択された部材は第1染料により染色可能であり、第2樹脂製に選択された部材は第2染料により染色可能であり、
前記ファスナーテープ(11)に前記固定糸(31,32)を用いて前記ファスナーエレメント(20)を固定する固定工程(ST1)と、
前記固定工程(ST1)で得られた前記ファスナーストリンガー(10)のうち、少なくとも前記ファスナーエレメント(20)を含む第1樹脂製に選択された各部材と第2樹脂製に選択された各部材のそれぞれを、第1染料と第2染料を混ぜた染料により同時に染色する染色工程と、を備え、
第1樹脂製に選択された各部材は第1染料により第1の色に染色され、第2樹脂製に選択された各部材は第2染料により第1の色とは異なる第2の色に染色され
前記第1樹脂製に選択された部材はポリエステルであり、前記第2樹脂製に選択された部材はカチオン染料で染色可能なポリエステルであることを特徴とするファスナーストリンガー(10)の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スライドファスナーのァスナーストリンガーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のファスナーストリンガーとして、図8に示すファスナーストリンガー100が知られている。このファスナーストリンガー100は、ファスナーテープと、ファスナーテープに縫い付けられるファスナーエレメントと、を備え、ファスナーテープとファスナーエレメントの色が互いに異なるように構成されている。また、ファスナーエレメントには、芯紐が挿通されている。また、芯紐、及びファスナーエレメントをファスナーテープに縫い付けるミシン糸(上糸、下糸)は、ファスナーエレメントと同色である。なお、図8に示すファスナーストリンガー100は、2本であり、それぞれのファスナーエレメントを互いに噛合させた状態である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、従来のファスナーストリンガー100の製造方法について説明する。まず、ファスナーテープにファスナーエレメントをミシン糸で縫い付けて、ファスナーストリンガーを作成した後、そのファスナーストリンガーを第1の色で染色する。次に、染色されたファスナーストリンガーを分解して、第1の色で染色されたファスナーエレメントを得る。このとき、分解されたファスナーテープとミシン糸は破棄される。また、上記と並行して、第1の色で染色されたミシン糸と第2の色で染色されたファスナーテープをそれぞれ用意する。そして、第2の色で染色されたファスナーテープに第1の色で染色されたファスナーエレメントを第1の色で染色されたミシン糸でそれぞれ縫い付けて、ファスナーストリンガー100を得る。
【0004】
このように、従来のファスナーストリンガーの製造方法では、第1の色で染色されたファスナーストリンガーを分解する工程(分解工程)、第1の色で染色されたファスナーエレメントを第2の色で染色されたファスナーテープに再縫着する工程(再縫製工程)、及び不要なファスナーテープとミシン糸の破棄が生じるため、製造コストが高くなってしまっていた。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、低コストでファスナーストリンガーの各部材の色分けを行うことができるファスナーストリンガー及びファスナーストリンガーの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1)ファスナーテープと、前記ファスナーテープの一側縁部に取り付けられるコイル状のファスナーエレメントと、前記ファスナーエレメントを前記ファスナーテープに固定する固定糸と、を備えるファスナーストリンガーであって、前記ファスナーテープの全体、前記ファスナーエレメント、前記固定糸の部材の内、少なくとも前記ファスナーエレメントが第1樹脂製であり、前記ファスナーテープの全体、前記固定糸の部材の内、第1樹脂製に選択されていない部材が第2樹脂製であり、第1樹脂は第1染料により染色可能であり、第2樹脂は第2染料により染色可能であり、第1樹脂製に選択された部材が第1染料により染色され、第2樹脂製に選択された部材が第2染料により染色されることを特徴とするファスナーストリンガー。
(2)第1樹脂はポリエステルであり、第2樹脂はセルロース系繊維であることを特徴とする(1)に記載のファスナーストリンガー。
(3)ファスナーテープと、前記ファスナーテープの一側縁部に取り付けられるコイル状のファスナーエレメントと、前記ファスナーエレメントを前記ファスナーテープに固定する固定糸と、を備えるファスナーストリンガーの製造方法であって、前記ファスナーテープの全体、前記ファスナーエレメント、前記固定糸の部材の内、少なくとも前記ファスナーエレメントが第1樹脂製であり、前記ファスナーテープの全体、前記固定糸の部材の内、第1樹脂製に選択されていない部材が第2樹脂製であり、第1樹脂は第1染料により染色可能であり、第2樹脂は第2染料により染色可能であり、前記ファスナーテープに前記ファスナーエレメントを固定する固定工程と、第1樹脂製に選択された部材を第1染料により染色する第1染色工程と、第2樹脂製に選択された部材を第2染料により染色する第2染色工程と、を備えることを特徴とするファスナーストリンガーの製造方法。
(4)ファスナーテープと、前記ファスナーテープの一側縁部に取り付けられるコイル状のファスナーエレメントと、前記ファスナーエレメントを前記ファスナーテープに固定する固定糸と、を備えるファスナーストリンガーの製造方法であって、前記ファスナーテープの全体、前記ファスナーエレメント、前記固定糸の部材の内、少なくとも前記ファスナーエレメントが第1樹脂製であり、前記ファスナーテープの全体、前記固定糸の部材の内、第1樹脂製に選択されていない部材が第2樹脂製であり、第1樹脂は第1染料により染色可能であり、第2樹脂は第2染料により染色可能であり、前記ファスナーテープに前記ファスナーエレメントを固定する固定工程と、第1樹脂製に選択された部材と第2樹脂製に選択された部材のそれぞれを、第1染料と第2染料を混ぜた染料により同時に染色する染色工程と、を備えることを特徴とするファスナーストリンガーの製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明のファスナーストリンガーによれば、第1樹脂製に選択された部材が第1染料により染色され、第2樹脂製に選択された部材が第2染料により染色されるため、従来の製造方法で必要であった分解工程、再縫着工程、及び部材破棄が不要となり、低コストでファスナーストリンガーの各部材の色分けを行うことができる。
【0008】
本発明のファスナーストリンガーの製造方法によれば、第1樹脂製に選択された部材を第1染料により染色する第1染色工程と、第2樹脂製に選択された部材を第2染料により染色する第2染色工程と、を備えるため、従来の製造方法で必要であった分解工程、再縫着工程、及び部材破棄が不要となり、低コストでファスナーストリンガーの各部材の色分けを行うことができる。
【0009】
本発明のファスナーストリンガーの製造方法によれば、第1樹脂製に選択された部材と第2樹脂製に選択された部材のそれぞれを、第1染料と第2染料を混ぜた染料により同時に染色する染色工程を備えるため、従来の製造方法で必要であった分解工程、再縫着工程、及び部材破棄が不要となり、低コスト且つ短時間でファスナーストリンガーの各部材の色分けを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係るファスナーストリンガーの一実施形態が採用されたスライドファスナーを説明する表面図である。
図2図1に示すスライドファスナーの拡大断面図である。
図3図1のファスナーエレメントの周辺の表面図である。
図4図3の裏面図である。
図5】本発明に係るファスナーストリンガーの変形例を説明する表面図である。
図6図5の裏面図である。
図7】本発明に係るファスナーストリンガーの製造方法の一実施形態を説明する図である。
図8】従来のファスナーストリンガーの製造方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るファスナーストリンガーの一実施形態が採用されたスライドファスナーについて、図面に基づいて詳細に説明する。なお、以後の説明において、上側とは図1の紙面に対して手前側、下側とは図1の紙面に対して奥側、前側とは図1の紙面に対して上側、後側とは図1の紙面に対して下側、左側とは図1の紙面に対して左側、右側とは図1の紙面に対して右側とする。また、左右方向は幅方向とも言う。また、上面は表面であり、下面は裏面である。
【0012】
スライドファスナーSFは、図1に示すように、左右一対のファスナーストリンガー10と、左右のファスナーストリンガー10のファスナーエレメント20を噛合・分離させるスライダーSLと、左右のファスナーストリンガー10の前端側にそれぞれ取り付けられる上止部P1と、左右のファスナーストリンガー10の後端側に取り付けられる下止部P2と、を備える。そして、スライダーSLを前方に移動させることにより、左右のファスナーエレメント20が噛合され、スライダーSLを後方に移動させることにより、左右のファスナーエレメント20が分離される。なお、下止部P2は、蝶棒、箱棒、及び箱体からなる開き具であってもよい。
【0013】
ファスナーストリンガー10は、図1及び図2に示すように、ファスナーテープ11と、ファスナーテープ11の一側縁部11aの上面に取り付けられるファスナーエレメント20と、ファスナーエレメント20に挿通される芯紐21と、ファスナーエレメント20をファスナーテープ11に縫い付ける上糸(固定糸)31及び下糸(固定糸)32と、を備える。なお、上糸31及び下糸32は、ミシン糸である。
【0014】
ファスナーテープ11は、合成樹脂の糸を織る又は編むことにより作成されるテープであり、織り機又は編み機を用いて、所定の幅、所定の厚さ、及び所定の組織となるように作成される。また、本実施形態のファスナーテープ11は、その全体が1種類の合成樹脂の糸により構成されている。これは、例えば、ファスナーテープ11がポリエステルの糸により構成される場合は、レーヨンの糸は含まれないという意味である。また、織り機で作成される場合は、ポリエステルの経糸とポリエステルの緯糸により、表裏面全体がポリエステルの糸によるファスナーテープ11が織成される。
【0015】
ファスナーエレメント20は、合成樹脂製のモノフィラメントからなるコイル状のファスナーエレメントであり、ファスナーテープ11の一側縁部11aの上面に上糸31及び下糸32により縫い付けられている。また、ファスナーエレメント20の内部には、芯紐21が挿通されている。なお、芯紐21は、ファスナーエレメント20を成形する工程でファスナーエレメント20の内部に挿通される。
【0016】
そして、本実施形態では、ファスナーエレメント20、芯紐21、上糸31、下糸32が、第1樹脂であるポリエステル製であり、ファスナーテープ11の全体が、第2樹脂であるレーヨン製である。なお、ファスナーテープ11は、レーヨンと同じセルロース系繊維であるテンセル(登録商標:コートルズ社)製、キュプラ製、コットン製などであってもよい。また、第2樹脂は、カチオン染料で染色可能なポリエステルであってもよい。
【0017】
第1樹脂であるポリエステルは、分散染料などの第1染料により染色可能であり、第2樹脂であるレーヨン(又はテンセル(登録商標:コートルズ社))は、反応染料、直接染料、スレン染料などの第1染料とは異なる第2染料により染色可能である。このため、図3及び図4に示すように、ポリエステル製のファスナーエレメント20、芯紐21、上糸31、下糸32が第1染料により第1の色に染色され、レーヨン製のファスナーテープ11の全体が第2染料により第1の色とは異なる第2の色に染色される。なお、図面において、「/」の模様を示した部分が、第1の色に染色された部分であり、「・」の模様を示した部分が、第2の色に染色された部分である。
【0018】
以上説明したように、本実施形態のファスナーストリンガー10によれば、ポリエステル製のファスナーエレメント20、芯紐21、上糸31、下糸32が第1染料により第1の色に染色され、レーヨン製のファスナーテープ11の全体が第2染料により第2の色に染色されるため、従来の製造方法で必要であった分解工程、再縫着工程、及び部材破棄が不要となり、低コストでファスナーストリンガー10の各部材の色分けを行うことができる。
【0019】
なお、本実施形態の変形例として、ファスナーエレメント20、芯紐21、ファスナーテープ11の全体を、第1樹脂であるポリエステル製にし、上糸31及び下糸32を、第2樹脂であるレーヨン製にしてもよい。この場合、図5及び図6に示すように、ポリエステル製のファスナーエレメント20、芯紐21、ファスナーテープ11の全体が第1染料により第1の色に染色され、レーヨン製の上糸31及び下糸32が第2染料により第2の色に染色される。
【0020】
また、ファスナーストリンガー10の各部材の樹脂材料(色分け)の組み合わせは上記に限定されず、少なくともファスナーエレメント20の樹脂材料がポリエステルであればよく、その他の部材(ファスナーテープ11、芯紐21、上糸31、下糸32)の樹脂材料は、ポリエステル及びレーヨン(又はテンセル(登録商標:コートルズ社)などのセルロース系繊維)のどちらであってもよい。また、第1染料と第2染料によって染め分けできる材料であれば、例えば、第1樹脂をナイロン、第2樹脂をコットンとする組み合わせでもよい。
【0021】
次に、図7を参照して、本発明に係るファスナーストリンガーの製造方法の一実施形態について説明する。なお、図7は、図3及び図4のファスナーストリンガーを製造する場合を示している。
【0022】
本実施形態の製造方法は、図7に示すように、ファスナーテープ11にファスナーエレメント20及び芯紐21をミシン糸である上糸31及び下糸32により縫い付ける縫着工程(固定工程)ST1と、ポリエステル製のファスナーエレメント20、芯紐21、上糸31、下糸32(第1樹脂製に選択された部材)を第1染料により染色する第1染色工程ST2と、レーヨン製などのセルロース系繊維のファスナーテープ11の全体(第2樹脂製に選択された部材)を第1染料とは異なる第2染料により染色する第2染色工程ST3と、を備える。
【0023】
以上説明したように、本実施形態のファスナーストリンガーの製造方法によれば、ポリエステル製のファスナーエレメント20、芯紐21、上糸31、下糸32を第1染料により染色する第1染色工程ST2と、レーヨン製のファスナーテープ11の全体を第2染料により染色する第2染色工程ST3と、を備えるため、従来の製造方法で必要であった分解工程、再縫着工程、及び部材破棄が不要となり、低コストでファスナーストリンガー10の各部材の色分けを行うことができる。
【0024】
なお、図7に示す染色方法は、第1染料によるポリエステル染色と第2染料によるレーヨン染色を別々に行う二浴染めであるが、これに限定されず、第1染料と第2染料を混ぜて、ポリエステル染色とレーヨン染色を同時に行う一浴染めでファスナーストリンガーの各部材をそれぞれ染色してもよい。この場合、二浴染めと比較して、工数を少なくして製造コストを更に低減することができると共に、染色時間を約半分にすることができる。
【0025】
なお、本発明は上記実施形態に例示したものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
例えば、上記実施形態では、ファスナーエレメントをファスナーテープに上糸及び下糸で固定する構成のファスナーストリンガーに本発明を適用する場合を例示したが、これに限定されず、ファスナーエレメントをファスナーテープに織り込む又は編み込むことで固定する構成のファスナーストリンガーに本発明を適用してもよい。また、この場合、上糸、下糸、及び芯紐は、ファスナーストリンガーの構成に含まれておらず、ファスナーエレメントを固定する固定糸は、ファスナーテープを構成する糸の一部である。そして、固定糸とファスナーテープを構成する固定糸以外の糸に使用される樹脂材料の種類(第1樹脂と第2樹脂の選択)は、同じであっても、異なっていてもよい。
【符号の説明】
【0026】
SF スライドファスナー
SL スライダー
10 ファスナーストリンガー
11 ファスナーテープ
11a 一側縁部
20 ファスナーエレメント
21 芯紐
31 上糸(固定糸、ミシン糸)
32 下糸(固定糸、ミシン糸)
ST1 縫着工程(固定工程)
ST2 第1染色工程
ST3 第2染色工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8