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特許7368095プリンタ、プリンタの制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】プリンタ、プリンタの制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06K 17/00 20060101AFI20231017BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20231017BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20231017BHJP
   B41J 25/20 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
G06K17/00 025
G06K7/10 268
B41J29/42 F
B41J25/20
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019066732
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020163721
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新井 秀和
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】特許第5304975(JP,B1)
【文献】特開2006-099502(JP,A)
【文献】特開2001-096814(JP,A)
【文献】特開2018-097686(JP,A)
【文献】特開2010-134675(JP,A)
【文献】特開2008-077500(JP,A)
【文献】特開2013-020501(JP,A)
【文献】特開2009-140254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/10
G06K 17/00
B41J 29/42
B41J 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFIDを有する印字媒体ごとに印字を行なうプリンタであって、
前記印字媒体は、帯状の台紙に複数の前記印字媒体が所定の間隔で仮着されてロール状に巻回された連続体として、前記プリンタに装填可能に構成され、
前記連続体を搬送し、前記印字媒体に印字を行う印字部と、
前記印字部により搬送される前記連続体の前記台紙に仮着されている複数の前記印字媒体が有する前記RFIDの電波強度を、搬送方向下流側の前記印字媒体から搬送方向上流側の前記印字媒体に向かって一つずつ順次取得する電波強度取得部と、
前記電波強度取得部が取得した前記電波強度に基づいて閾値を設定する閾値設定部と、
前記電波強度取得部が取得した前記電波強度と前記閾値設定部により設定された前記閾値とに基づいて、前記RFIDが正常であるか否かを判別する判別部と、を備える、
プリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプリンタであって、
前記閾値設定部は、前記電波強度取得部により取得された複数の前記RFIDからの前記電波強度に基づいて前記閾値を設定する、
プリンタ。
【請求項3】
請求項1に記載のプリンタであって、
前記閾値設定部は、前記電波強度取得部により取得された複数の前記RFIDからの前記電波強度の平均値又は下限値に基づいて前記閾値を設定する、
プリンタ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一つに記載のプリンタであって、
前記電波強度取得部により取得された前記電波強度を、前記RFIDごとに表示部に表示させる表示制御部を、更に備える、
プリンタ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一つに記載のプリンタであって、
前記判別部は、
前記印字媒体に印字を行なうときに、前記電波強度取得部が取得した前記電波強度と、前記閾値設定部により設定された前記閾値とを比較し、
比較の結果、前記RFIDが正常であると判別した場合に、印字を行う、
プリンタ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一つに記載のプリンタであって、
前記判別部は、
前記印字媒体に印字を行なうときに、前記電波強度取得部が取得した前記電波強度と、前記閾値設定部により設定された前記閾値とを比較し、
比較の結果、前記RFIDが正常でないと判別した場合に、印字を中止する
プリンタ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一つに記載のプリンタであって、
前記判別部は、
前記印字媒体に印字を行なうときに、前記電波強度取得部が取得した前記電波強度と、前記閾値設定部により設定された前記閾値とを比較し、
比較の結果、前記RFIDが正常でないと判別した場合に、当該RFIDを有する印字媒体への印字を中止することなく、その旨をさらに印字する
プリンタ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一つに記載のプリンタであって、
前記判別部は、
前記印字媒体に印字を行なうときに、前記電波強度取得部が取得した前記電波強度と、前記閾値設定部により設定された前記閾値とを比較し、
比較の結果、前記RFIDが正常でないと判別した場合に、当該RFIDを有する印字媒体への印字を中止することなく、当該RFIDにその旨を書き込む
プリンタ。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一つに記載のプリンタであって、
前記電波強度取得部は、前記連続体に仮着された複数の前記印字媒体それぞれの前記RFIDからの前記電波強度と、当該RFIDの前記連続体での位置とを記録し、
前記判別部は、
前記印字媒体に印字を行なうときに、印字開始位置にあるRFIDの記録された前記電波強度を取得し、取得した前記電波強度に対応した書き込み電波強度で前記印字開始位置にあるRFIDに書き込みを行なう
プリンタ。
【請求項10】
RFIDを有する印字媒体ごとに印字を行なうプリンタの制御方法であって、
前記印字媒体は、帯状の台紙に複数の前記印字媒体が所定の間隔で仮着されてロール状に巻回された連続体として、前記プリンタに装填可能に構成され、
前記連続体を搬送しながら、前記連続体の前記台紙に仮着されている複数の前記印字媒体が有する前記RFIDの電波強度を、搬送方向下流側の前記印字媒体から搬送方向上流側の前記印字媒体に向かって一つずつ順次取得し
取得した前記電波強度に基づいて閾値を設定し、
取得した前記電波強度と設定された前記閾値とに基づいて、前記RFIDが正常であるか否かを判別する、
プリンタの制御方法。
【請求項11】
RFIDを有する印字媒体ごとに印字を行なうプリンタのコンピュータが実行可能なプログラムであって、
前記印字媒体は、帯状の台紙に複数の前記印字媒体が所定の間隔で仮着されてロール状に巻回された連続体として、前記プリンタに装填可能に構成され、
前記プログラムは、
前記連続体を搬送しながら、前記連続体の前記台紙に仮着されている複数の前記印字媒体が有する前記RFIDの電波強度を、搬送方向下流側の前記印字媒体から搬送方向上流側の前記印字媒体に向かって一つずつ順次取得させ
取得した前記電波強度に基づいて閾値を設定させ、
取得した前記電波強度と設定された前記閾値とに基づいて、前記RFIDが正常であるか否かを判別させる手順を前記コンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、プリンタの制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
識別情報が書き込まれたICチップから非接触通信によって情報を送受信するRFID(Radio Frequency Identification)技術が種々の分野に適用されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、RFID仕様の無線タグ回路素子が組み込まれたタグラベルに非接触で信号の送受信を行なうと共に印字を行うプリンタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-86923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、RFID仕様の無線タグ回路素子(RFIDインレット)は、個体差やラベル等への固定状態、プリンタの構造等によって通信状況が変動するため、例えばRFIDインレットへの書き込みは成功したが、後の読み取り時にエラーが発生する場合等があった。したがって、RFIDを使用する前にRFIDの精査を行う必要があった。
【0005】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたもので、効率良くRFIDの精査を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様によれば、RFIDを有する印字媒体ごとに印字を行なうプリンタであって、印字媒体は、帯状の台紙に複数の印字媒体が所定の間隔で仮着されてロール状に巻回された連続体として、プリンタに装填可能に構成され、連続体を搬送し、印字媒体に印字を行う印字部と、印字部により搬送される連続体の台紙に仮着されている複数の印字媒体が有するRFIDの電波強度を、搬送方向下流側の印字媒体から搬送方向上流側の印字媒体に向かって一つずつ順次取得する電波強度取得部と、電波強度取得部が取得した電波強度に基づいて閾値を設定する閾値設定部と、電波強度取得部が取得した電波強度と閾値設定部により設定された閾値とに基づいて、RFIDが正常であるか否かを判別する判別部と、を備える、プリンタが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様に係るプリンタによれば、効率良くRFIDの精査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係るプリンタの概略構成図である。
図2】本発明の実施形態に係るプリンタの制御ブロック図である。
図3】ラベルの平面図である。
図4】コントローラの構成ブロック図である。
図5】表示部における電波強度の表示の説明図である。
図6】電波強度取得処理のフローチャートである。
図7】閾値算出処理のフローチャートである。
図8】判別処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面に従って本発明の実施形態のプリンタ1について詳説する。図1は、本発明の実施形態に係るプリンタ1の概略構成図である。
【0010】
プリンタ1は、インクリボンRを熱してインクリボンRのインクを印字媒体Mごとに転写することで印字を行う熱転写方式のものである。印字媒体Mは、例えば、帯状の台紙に複数のラベルが所定の間隔で連続して仮着され、ロール状に巻回された連続体MLとして構成される。
【0011】
印字媒体Mは、RFID(Radio Frequency Identification)仕様のICチップC及びアンテナAを有するRFIDインレット110が組み込まれたRFID媒体として構成されている。なお、プリンタ1は、ICチップC及びアンテナAを有さない印字媒体に印字を行なうこともできる。
【0012】
プリンタ1は、価格、バーコード、その他の商品情報、物品あるいはサービスに関する管理情報等の可変情報を必要に応じて印字媒体Mの印字領域に印字するとともに、RFIDインレット110ごとに可変情報に対応する情報を電子データとして書き込む。
【0013】
なお、本実施形態では、印字媒体Mの一例として、裏面に接着剤を保持し、その接着剤によって対象物に貼付することが可能なラベルを用いて説明するが、これに限られず、タグやリストバンド等、対象物に固定部品を用いて固定するようなものであってもよい。
【0014】
プリンタ1は、図1に示すように、例えば、印字機構10と、リボン供給軸20と、リボン巻取軸30と、媒体供給軸40と、通信部50と、上流側位置検出センサ71と、下流側位置検出センサ72と、制御部としてのコントローラ60と、を備える。
【0015】
印字機構10は、ヘッドユニット11と、プラテンローラ12と、を備え、印字媒体Mへの印字と連続体ML及びインクリボンRの搬送を行う。
【0016】
ヘッドユニット11は、サーマルヘッド13の発熱素子を下面から露出させた状態でサーマルヘッド13を保持する。プラテンローラ12は、サーマルヘッド13の直下に配置され、印字媒体Mに印字を行う印字部15をサーマルヘッド13と共に構成する。
【0017】
ヘッドユニット11は、支持軸14により図1の矢印の方向に揺動可能に支持される。ヘッドユニット11は、サーマルヘッド13がプラテンローラ12から離間するヘッドオープン位置と、サーマルヘッド13がプラテンローラ12に当接するヘッドクローズ位置と、に移動させることができる。図1では、ヘッドユニット11はヘッドクローズ位置である。
【0018】
リボン供給軸20は、印字部15に供給されるインクリボンRをロール状に保持する。リボン供給軸20から印字部15に供給されたインクリボンRは、サーマルヘッド13とプラテンローラ12との間に挟持される。
【0019】
媒体供給軸40は、印字部15に供給される連続体MLをロール状に保持する。媒体供給軸40から印字部15に供給された連続体MLは、サーマルヘッド13とプラテンローラ12との間にインクリボンRと共に挟持される。
【0020】
印字媒体M及びインクリボンRがサーマルヘッド13とプラテンローラ12との間に挟持された状態でサーマルヘッド13の発熱素子への通電が行われると、発熱素子の熱によってインクリボンRのインクが印字媒体Mに転写され、印字媒体Mへの印字が行われる。また、プラテン駆動モータ(図示せず)によってプラテンローラ12が正回転すると、連続体ML及びインクリボンRが下流側へと搬送される。
【0021】
使用済のインクリボンRは、プラテン駆動モータとのギアの連結によってリボン巻取軸30が回転すると、その外周に巻き取られる。なお、ヘッドユニット11がヘッドオープン位置になっている場合は、リボン巻取軸30を回転させることで、インクリボンRのみをフィードすることができる。
【0022】
以下では、サーマルヘッド13によるインクリボン転写型のプリンタ1を説明するが、これには限定されず、例えば、印字媒体Mが感熱紙であって、サーマルヘッド13により熱を加えることで印字媒体Mに印字を行なう感熱発色方式を用いたプリンタであってもよい。
【0023】
上流側位置検出センサ71は、透過型光電センサや反射型光電センサを備える。連続体MLには、印字媒体Mに対応して所定の間隔(ピッチ)で位置検出用のアイマークが印刷されている。反射型光電センサはアイマークを検出することで印字部15に対する印字媒体Mの相対的位置を検出する。透過型光電センサは、連続体MLにおける印字媒体Mと印字媒体Mとの間隙(ギャップ)等を検出することで、印字部15に対する印字媒体Mの相対的位置を検出する。
【0024】
下流側位置検出センサ72は、透過型光電センサや反射型光電センサを備え、連続体MLの先頭位置を検出する。
【0025】
上流側位置検出センサ71及び下流側位置検出センサ72は、印字部15の位置、より詳しくは、サーマルヘッド13が印字媒体Mに印字を行なう位置であって、プラテンローラ12とサーマルヘッド13とが連続体MLを挟持する位置、との相対位置が決まっている。上流側位置検出センサ71及び下流側位置検出センサ72は、印字媒体Mの位置を検出することにより、印字部15に対する印字媒体Mの相対的な位置を検出することができる。連続体MLに印字媒体Mに対応して所定の間隔(ピッチ)で印刷されている位置検出用のアイマークや連続体MLにおける印字媒体Mと印字媒体Mとの間隙が、印字媒体Mに印字を開始する位置(印字開始位置)を設定するための基準となる。
【0026】
コントローラ60には、入出力インターフェースを介して、外部コンピュータからの印字指示データ、上流側位置検出センサ71及び下流側位置検出センサ72の検出信号等が入力される。コントローラ60は、サーマルヘッド13の発熱素子への通電、各駆動モータへの通電、通信部50のアンテナ151への通電及び印字媒体M(RFIDインレット110)のICチップCとの通信(読み取り、書き込み)等を制御する。
【0027】
コントローラ60は、印字を行う際は、図1に示すように、これから印字する印字媒体Mの位置を印字開始位置に位置合わせした状態で、印字処理を実行する。印字開始位置は、連続体MLのアイマークの位置を基準にして設定される。
【0028】
図2は、本実施形態のコントローラ60の構成ブロック図である。
【0029】
コントローラ60は、例えば、CPU(central processing unit:中央演算装置)51、ROM(read only memory)52、RAM(random access memory)53、搬送制御回路54、印字制御回路55、用紙検出回路57、IOポート59及び電源部61を備えて構成される。これらはバス65を介して相互に接続されており、相互に各種データの送受信が行なえるように構成されている。
【0030】
CPU51は、ROM52に記憶されているプログラムを実行することによって、コントローラ60全体を統括的に制御すると共に、各部に所要の処理や制御を実行させるコンピュータである。CPU51は、ROM52に記憶されているプログラムを実行することによって、図4で説明する各部の機能を実現する。CPU51が実行する各種プログラムは、例えばCD-ROMや不揮発性メモリ等の非一過性の記録媒体に記憶されたものを用いてもよい。
【0031】
ROM52には、CPU51が読み出して実行するプログラムが記憶される。RAM53には、CPU51が実行する処理に必要な各種情報や印字に必要な印字データ、印字フォーマット、登録情報などが記憶される。
【0032】
搬送制御回路54は、CPU51からの指示信号に従いプラテンローラ12を駆動する駆動モータを制御して、プラテンローラ12の回転/停止を制御する。これにより、用紙搬送路の連続体MLの搬送が制御される。
【0033】
印字制御回路55は、CPU51から供給される印字すべき文字、図形及びバーコードなどの印字データに対応する印字信号を生成し、生成された印字信号をサーマルヘッド13に供給することで、印字媒体Mに印字が行なわれる。
【0034】
用紙検出回路57は、上流側位置検出センサ71及び下流側位置検出センサ72が取得した情報に基づいて用紙搬送路の連続体MLが有するアイマークやギャップ等の被検出部を検出してCPU51にその情報を送る。CPU51は、用紙検出回路57からの情報に基づいて搬送制御回路54による連続体ML及びインクリボンRの搬送を制御すると共に、サーマルヘッド13による印字のタイミングを制御して印字媒体Mの適切な位置へと印字を実行する。
【0035】
IOポート59は、表示部28及び入力部27へと接続され、CPU51から供給される表示データを表示部28に出力する。また、IOポート59は、ユーザによる入力部27への操作に対応した操作信号をCPU51に送る。また、IOポート59は、通信部50との間で情報を送受信し、RFIDインレット110のICチップCとの通信(読み取り、書き込み)を行なう。
【0036】
表示部28は、例えば液晶ディスプレイにより構成される。入力部27は、表示部28に備えられたタッチパネルや、ボタン、DIP-SW等により構成される。
【0037】
電源部61は、電源スイッチに対する押下操作を監視し、電源スイッチの操作に基づいて、各部への電力供給の実施と停止とを切り替えることにより、プリンタ1の電源をオン/オフする。
【0038】
通信部50は、例えば、アンテナ151と、通信コントローラ152とを備える。アンテナ151は、通信コントローラ152の制御に基づいて電波信号を出力し、印字媒体MのRFIDインレット110との間で通信を行なう。通信コントローラ152は、コントローラ60の指示に基づいて、アンテナ151への給電を制御する。
【0039】
次に、印字媒体Mについて説明する。図3は、印字媒体Mを備える連続体MLを説明する平面図である。
【0040】
連続体MLは、例えば、帯状の台紙107と、台紙107上に仮着した複数枚のラベル片(印字媒体M)とにより構成される。
【0041】
台紙107の裏面側には、印字媒体Mの搬送方向下流側の先端に相当する位置に、位置検出用のアイマーク109があらかじめ印刷されている。互いに隣り合う印字媒体Mとの間にはギャップ120が設けられている。
【0042】
アイマーク109は、台紙107と比較して濃色(例えば黒色)で所定の矩形形状に印刷されている。上流側位置検出センサ71は、アイマーク109が台紙107と比較して濃色であることを利用してアイマーク109の位置を検出することにより、印字開始位置を設定できる。
【0043】
ギャップ120は、印字媒体Mが存在する箇所と比較して台紙107の厚みしかないため、透過率が高い。上流側位置検出センサ71及び下流側位置検出センサ72は、ギャップ120の透過率が高いことを利用してギャップ120の位置を検出することにより、印字開始位置を設定できる。
【0044】
RFIDインレット110は、例えば、印字媒体Mの搬送方向の中央付近に備えられる。
【0045】
RFIDインレット110は、例えば、ICチップCと、アンテナAとを備えて構成される。RFIDインレット110のICチップCは、通信部50のアンテナ151から出力された信号をアンテナAが受け取ることにより動作を開始し、この信号に対する応答を、アンテナAを介して出力する。
【0046】
以上のように構成されたプリンタ1において、次に、その動作を説明する。本実施形態のプリンタ1は、印字媒体Mに印字を行なうと共に、印字媒体MのRFIDインレット110に記録されるデータの読み取り、及びRFIDインレット110への書き込みを行なう。プリンタ1は、例えば、印字媒体Mが印字開始位置にある場合に、通信部50のアンテナ151がRFIDインレット110に対応する位置となるように構成されている。従って、印字媒体Mが印字開始位置にある状態で、RFIDインレット110と通信を行なってから、印字処理を実行することができる。
【0047】
RFIDインレット110は、例えば、製造工場からの出荷時において、適切な信号強度となるように調整されている。従来、プリンタ1は、RFIDインレット110に対しての書き込みを行なった後、書き込みデータの検証を行なうことで、書き込みが成功したか失敗したかの判定を行なっている。
【0048】
しかしながら、印字媒体Mに取り付けられているRFIDインレット110は、印字媒体Mへ固定状態、経年変化等により、プリンタ1とRFIDインレット110と間の信号強度にばらつきが生じる。また、印字媒体Mや、連続体MLの製造工場や製造メーカによって、RFIDインレット110と通信部50のアンテナ151との位置にばらつきも発生する。
【0049】
したがって、RFIDインレット110への書き込みが正常に行なわれない場合や、正常に書き込みが行なわれたにもかかわらず、後の読み取り時に正常でない場合が生じうる。書き込みが正常に行なわれない場合は、前述の検証処理において発見することができるが、書き込みが正常に行なわれた場合は、読み取り時に正常でない場合が起きうることを事前に推測することが、従来行なわれていなかった。
【0050】
そこで、本実施形態のプリンタ1は、印字媒体Mに備えられるRFIDインレット110それぞれの電波強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)に基づいて、RFIDインレット110が正常であるか否かを判別することができるように、次のように構成される。
【0051】
図4は、本実施形態のコントローラ60の機能ブロック図である。図4に示す機能ブロック図は、本実施形態におけるRFIDインレット110が正常であるか否かを判別する機能の概要を仮想的なユニットとして示したものであり、必ずしも物理的な構成であることを意味しない。各部の実際の動作は図6以降で詳述する。
【0052】
コントローラ60は、例えば、電波強度取得部81と、閾値設定部82と、判別部83と、表示制御部84とを備える。
【0053】
電波強度取得部81は、プリンタ1に連続体MLが装填された状態で、印字媒体Mに備えられるRFIDインレット110のRSSI値を取得する。電波強度取得部81の処理は、例えば、ユーザの指示によって実行される。
【0054】
閾値設定部82は、電波強度取得部81により取得したRSSI値を解析して、RFIDインレット110が正常であるか否かを判断するための指標となる閾値を設定する。閾値設定部82の処理は、例えば、RFIDインレット110のRSSI値を取得した後に実行される。
【0055】
判別部83は、閾値設定部82により設定された閾値を用いてRFIDインレット110が正常であるか否かを判別する。判別部83の処理は、例えば、印字媒体Mに対する印字を行なうときに実行される。
【0056】
表示制御部84は、電波強度取得部81によりRFIDインレット110から取得したRSSI値を、表示部28に表示させる。ここで、図5は、表示制御部84により表示部28に表示されるRFIDインレット110のRSSI値の一例を示す説明図である。
【0057】
表示制御部84は、RFIDインレット110から取得したRSSI値を図5に示すような表示態様で表示部28に表示させる。なお、図5の例において、表示制御部84は、電波強度取得部81により取得された現在値の他に、閾値設定部82により、既に取得済みのRSSI値から平均値や閾値を算出済みである場合、これらの情報も同時に表示させてもよい。これにより、現在値が、平均値や閾値と比較して、どの程度の差があるのかを利用者に容易に把握させることができる。
【0058】
電波強度取得部81、閾値設定部82、判別部83、および表示制御部84は、例えば、一つのプリンタ1に備えられていてもよいし、各部がそれぞれ異なるプリンタ1に備えられていてもよい。例えば、プリンタ1で連続体MLを用いて、電波強度取得部81、閾値設定部82により閾値を設定してもよい。この場合、その後、設定された閾値を他のプリンタ1のRAM53へ記憶させて、この連続体MLと同仕様の他の連続体MLを他のプリンタ1に装填してから、判別部83により、当該連続体のRFIDインレット110が正常であるか否かの判別を行なってもよい。
【0059】
図6は、電波強度取得部81により実行される処理のフローチャートである。コントローラ60は、プリンタ1に連続体MLが装填された状態で、表示部28にメニューを表示する。コントローラ60は、表示部28に表示されたメニューから、入力部27を介して電波強度取得処理を実行する旨の指示が入力されたことを検出した場合に、図6のフローチャートに示す処理を実行する。
【0060】
電波強度取得部81の処理の前提として、連続体MLの先端部が印字開始位置(印字部15のプラテンローラ12とサーマルヘッド13とに挟持される位置)まで差し込まれた状態とする。
【0061】
電波強度取得部81は、当該位置にある印字媒体MのRFIDインレット110に対して、通信部50を介して信号を送信する。RFIDインレット110は、送信された信号に応答して信号を出力する。RFIDインレット110からの応答を受信したとき、電波強度取得部81は、通信部50を介して受信した信号の電波強度(RSSI値)を取得する(ステップS110)。
【0062】
次に、電波強度取得部81は、取得したRSSI値を、連続体MLにおける印字媒体Mの先頭位置からの一連の番号、又は、RFIDインレット110の固有の番号と関連付けて、RAM53に記憶する(ステップS120)。
【0063】
次に、コントローラ60は、プラテンローラ12を動作させて、次の印字媒体M(搬送方向上流側の印字媒体M)を印字開始位置へと搬送する(ステップS130)。
【0064】
印字媒体Mを搬送したとき、次の印字媒体Mが存在するか否か、すなわち、連続体MLの終端であるか否かを判定する(ステップS140)。
【0065】
電波強度取得部81は、次の印字媒体Mが存在する場合は、ステップS110に戻り、次の印字媒体Mについて、通信部50を介して信号を送信し、信号に対するRFIDインレット110からの受信した信号の信号強度(RSSI値)を取得する。取得したRSSI値は、連続体MLにおける印字媒体Mの先頭位置からの一連の番号、又は、RFIDインレット110の固有の番号と関連付けて、RAM53に記憶される。
【0066】
なお、表示制御部84は、ステップS110においてRFIDインレット110から取得したRSSI値を、表示部28に表示するようにしてもよい(図5参照)。このとき、後述する平均値や閾値が既に算出されている場合は、これらを表示させてもよい。
【0067】
ステップS140において、連続体MLの終端となり、次の印字媒体Mが存在しない場合は、本フローチャートによる処理を終了する。プリンタ1が連続体MLの巻戻し機能を有している場合に、コントローラ60は、プラテンローラ12を動作させて、印字媒体Mを逆向きに搬送して連続体MLを巻き戻してもよい。
【0068】
なお、図6に示す処理では、連続体MLに仮着されている全ての印字媒体MについてRSSI値を取得するようにしたが、これに限られない。例えば、数個~数十個の印字媒体MのRSSI値を取得するようにしてもよい。
【0069】
図7は、閾値設定部82により実行される処理のフローチャートである。閾値設定部82は、電波強度取得部81の処理により複数の印字媒体MについてRSSI値が記憶された後、図7に示すフローチャートを実行する。
【0070】
図7に示す閾値設定部82の処理は、電波強度取得部81の処理の後に直ちに実行してもよいし、表示部28に表示されたメニューから、入力部27を介してユーザからの指示が入力されたことを検出した場合に実行してもよい。
【0071】
まず、閾値設定部82は、取得した全てのRSSI値から、最大値及び最低値を抽出すると共に、平均値を算出する(ステップS210)。
【0072】
次に、閾値設定部82は、最低値及び平均値から、RFIDインレット110が正常であるか否かを判断するための指標となる閾値を算出する(ステップS220)。そして、算出した閾値をRAM53に記憶する(ステップS230)。
【0073】
ここで、閾値について説明する。RFIDインレット110には、読み書きを適切に行なうための電波強度の範囲が予め規定されている。RFIDインレット110のRSSI値がこの範囲から外れている場合(特に下回っている場合)は、正常に読み書きが行なえないため、書き込みが失敗する。
【0074】
また一方で、規定の範囲内であっても、電波強度が規定の下限に近いRFIDインレット110は、正常に書き込みを完了する。しかし、このようなRFIDインレット110は、読み取り時にデータを読み取れない等の問題が発生したり、長期間にわたってデータを保持できないといった問題が発生しうる。
【0075】
そこで、規定の範囲の下限に対して余裕分をもった電波強度を閾値として設定することにより、このような問題が発生する可能性のあるRFIDインレット110を判別することができる。
【0076】
閾値は、例えば、最大値、最小値及び平均値により正規分布を取り、下位の数パーセントに相当する部分がNGとなるように、閾値を決定する。または、RFIDインレット110の電波強度の規定の範囲から数パーセント以内の値を閾値として決定してもよい。
【0077】
閾値は、運用に応じて高くすることも低くすることもできる。例えば、RFIDインレット110の使用期間が短い用途である場合は、長期にわたってデータを保持する必要がないため、閾値を比較的緩く(規定値の下限に近く)設定することができる。
【0078】
また一方で、データの損失が許されないようなクリティカルな運用や、長期に渡ってRFIDインレット110にデータを保持しておく必要がある場合には、閾値を比較的厳しく(規定値の下限よりも離れて)設定することもできる。
【0079】
図8は、判別部83により実行される処理のフローチャートである。
【0080】
まず、判別部83は、設定された閾値に基づいてRFIDインレット110が正常であるか否かを判別する処理(「フィルタ機能」とも呼ぶ)を実行するか否かを判断する(S300)。なお、図8に示すフローチャートは、所定の周期(例えば10ms)で実行することができる。
【0081】
判別部83は、例えば、表示部28に表示されたメニューからユーザがフィルタ機能を有効にするか無効とするかの指示を取得する。ユーザの指示が有効である場合はステップS310に移行し処理を続行する。ユーザの指示が無効である場合は、本フローチャートによる処理を行なわない。言い換えると、閾値に基づいてRFIDインレット110が正常であるかの判断を行なうことなく、印字コマンドに基づいた印字処理及びRFIDインレット110の書き込み処理を実行する。このように、ユーザによりフィルタ機能が無効にされた場合は、RFIDインレット110が正常であるかの判断を行なわない分、印字処理の速度が向上する。
【0082】
次に、判別部83は、閾値設定部82により設定した閾値に基づいて、RFIDインレット110が正常であるか否かを判別する。
【0083】
前述したように、判別部83の処理は、電波強度取得部81及び閾値設定部82の処理を行なうプリンタ1とは異なるプリンタで行なってもよい。例えば、工場やサービスセンタで連続体MLを用いて予め閾値を設定しておく。その後、設定された閾値を無線通信やメモリカード等により使用場所に設置されたプリンタ1のRAM53に記憶させて、同仕様の連続体MLが装填された状態で、以下の処理を実行してもよい。
【0084】
判別部83は、例えば、印字コマンドの発行があるか否かを判断し、待機する(ステップS310)。
【0085】
判別部83は、印字コマンドが発行されたと判断した場合は、ステップS320に移行して、印字コマンドに基づいた印字処理を実行する。ここで、印字コマンドにRFIDインレット110への書き込み指示がある場合には、通信部50を介してRFIDインレット110と通信を行なう。通信を行なう際に、判別部83は、通信部50を介して、電波強度取得部81によりRFIDインレット110のRSSI値を取得する(ステップS320)。
【0086】
次に、判別部83は、電波強度取得部81により取得したRSSI値と、前述の図7の処理において閾値設定部82により決定された閾値とを比較し、正常であるか否か判別する(ステップS330)。
【0087】
判別部83は、比較の結果、取得したRSSI値が閾値以上である場合には、当該RFIDインレット110は正常であると判別する。判別部83は、RFIDインレット110が正常であると判別した場合は、ステップS340に移行して、通信部50を介して、当該RFIDインレット110に書き込み処理を実行する。
【0088】
判別部83は、比較の結果、取得したRSSI値が閾値に満たない場合には、当該RFIDインレット110は正常でない、すなわち、問題が発生する可能性が高い(または既に問題が発生している)と判別して、ステップS350に移行する。
【0089】
ステップS350では、判別部83は、当該RFIDインレット110に対して、NG処理を実行する。具体的には、判別部83は、RSSI値が閾値に満たないRFIDインレット110を使用禁止とする。一例として、ステップS310の印字コマンド発行に対応する印字を中止し、当該印字媒体Mを使用禁止とする。このとき、判別部83は、表示制御部84により当該印字媒体Mを使用禁止とする旨の表示を表示部28に表示してもよい。また、判別部83は、印字媒体Mの印字領域に、RFIDインレット110に問題があるために使用禁止とした旨の印字制御を行なってもよい。
【0090】
次に、ステップS360に移行し、判別部83は、連続して複数回(例えば2回以上)、RFIDインレット110が正常でないと判別されたか否か(NGとなったか)を判断する。連続して複数回正常でないと判断されていない場合は、ステップS310に戻り、処理を繰り返す。なお、判別部83は、上述したNG処理により使用禁止となったRFIDインレット110があった場合には、連続体MLを搬送して、次の印字媒体MのRFIDインレット110に対して、使用禁止となったRFIDインレット110に書き込む予定の内容を書き込むように制御してもよい。
【0091】
判別部83は、連続して複数回RFIDインレット110が正常でないと判別した場合は、RFIDインレット110の印字媒体Mを備える連続体ML全体が正常でないと判断し、当該連続体MLの全ての印字媒体Mに対する印字を中止する(ステップS370)。このとき、判別部83は、表示制御部84により当該連続体MLを使用禁止とした旨の表示を表示部28に表示してもよい。また、判別部83は、印字開始位置にある印字媒体Mの印字領域に、RFIDインレット110に問題があるために連続体MLを使用禁止とした旨の印字を行なってもよい。ステップS370の処理の後、本フローチャートによる処理を終了する。
【0092】
以上のような処理によって、判別部83は、印字媒体MのRFIDインレット110が正常であるか否かを判別することができる。
【0093】
なお、ステップS350のNG処理では、RSSI値が閾値に満たない場合に印字媒体Mを使用禁止として印字を中止したが、これに限られず、当該印字媒体Mに印字コマンドに対応する印字を行なうと共に、当該RFIDインレット110にその旨を書き込むように制御してもよい。または、RSSI値が閾値に満たない場合に、当該印字媒体Mに印字コマンドに対応する印字を行なうと共に、その旨を文字または記号として印字してもよい。
【0094】
上述したように、RSSI値が閾値に満たないRFIDインレット110を有する印字媒体Mに印字等による目印を付けておくことで、後に、当該RFIDインレット110の電波強度が相対的に低いことをユーザが判別することが容易となる。これにより、RSSI値が閾値に満たないRFIDインレット110に対する読み取り電波強度を上げたり、当該RFIDインレット110の使用期限を短く設定する、といった処理を行なうことができる。
【0095】
さらに、電波強度取得処理において、連続体MLの各印字媒体MのRFIDインレット110のRSSI値を、連続体MLにおける印字媒体Mの先頭位置からの一連の番号と共に記録し(RSSI値ログ機能)。印字コマンドが発行されたとき、現在の印字開始位置にある印字媒体MのRFIDインレット110のRSSI値を記録領域から読み出して、RSSI値が相対的に低いか事前に判断してもよい。
【0096】
RSSI値が閾値を超えてNGではない(正常な)RFIDインレット110であったとしても、判別部83は、当該RFIDインレット110に対する書き込み時の電波強度を相対的に強くして書き込みを行なうよう制御することができる。このように、後の読み取り時にエラーが発生する可能性があるRFIDインレット110に対して予め電波強度を強くして書き込むことにより、後に読み取り時にエラーが発生する可能性を低減することができる。
【0097】
以上述べたように、本実施形態によれば、RFID(RFIDインレット110)を有する印字媒体Mごとに印字を行なうプリンタ1であって、印字媒体Mに備えられるRFIDインレット110からの電波強度(RSSI値)を取得する電波強度取得部81と、電波強度取得部81により取得された電波強度と閾値とに基づいて、RFIDインレット110が正常であるか否かを判別する判別部83と、を備えて構成される。
【0098】
これによれば、RFIDインレット110の電波強度に基づいて、RFIDインレット110が正常であるか否かを事前に判別することができる。従って、RFIDインレット110への書き込みが正常に行なわれたにもかかわらず、後の読み取り時に正常でない場合が起きることを事前に防止することができる。
【0099】
また、電波強度取得部81により取得された複数のRFIDインレット110ごとの電波強度の平均値又は下限値に基づいて閾値を設定する閾値設定部82を、更に備えるので、電波強度に基づいて閾値を設定し、この閾値に基づいてRFIDインレット110が正常であるか否かを事前に判別することができる。従って、RFIDインレット110への書き込みが正常に行なわれたにもかかわらず、後の読み取り時に正常でない場合が起きることを事前に防止することができる。
【0100】
また、電波強度取得部81により取得された電波強度を、RFIDインレット110ごとに表示部28に表示させる表示制御部(コントローラ60)を更に備えるので、RFIDインレット110の電波強度を視覚的に容易に把握することができ、ユーザの利便性が向上する。
【0101】
また、電波強度取得部81は、連続体MLに仮着された複数の印字媒体MそれぞれのRFIDインレット110の電波強度を取得する。
【0102】
これによれば、複数の印字媒体MのRFIDインレット110から取得した電波強度に基づいて閾値を設定することができるので、RFIDインレット110が正常であるか否かをより正確に判別することができる。
【0103】
また、判別部83は、印字媒体Mに印字を行なうときに、設定した閾値と、印字時に取得した当該印字媒体MのRFIDインレット110からの電波強度と、を比較し、比較の結果、RFIDインレット110が正常でないと判別した場合に、例えば、印字を中止する。
【0104】
これによれば、書き込みが正常に行なわれたとしても、後の読み取り時にエラーが発生する可能性のあるRFIDインレット110を事前に除外できるので、RFIDインレット110が正常でない印字媒体Mを事前に判別することができる。
【0105】
また、判別部83は、印字媒体Mに印字を行なうときに、設定した閾値と、印字時に取得した当該印字媒体MのRFIDインレット110からの電波強度と、を比較し、比較の結果、RFIDインレット110が正常でないと判別した場合に、印字を中止することなく、当該RFIDインレット110を有する印字媒体Mにその旨をさらに印字することもできる。
【0106】
これによれば、書き込みが正常に行なわれたとしても、後の読み取り時にエラーが発生する可能性のあるRFIDインレット110を有する印字媒体Mを、印字内容を確認する作業において、目視により判別することができる。
【0107】
また、判別部83は、印字媒体Mに印字を行なうときに、設定した閾値と、印字時に取得した当該印字媒体MのRFIDインレット110からの電波強度と、を比較し、比較の結果、RFIDインレット110が正常でないと判別した場合に、印字を中止することなく、当該RFIDインレット110にその旨を書き込むことができる。
【0108】
これによれば、書き込みが正常に行なわれたとしても、後の読み取り時にエラーが発生する可能性のあるRFIDインレット110にその旨を記録しておくので、RFIDインレット110が正常であるか否かを、印字時だけでなく、読み取り時においても判別することができる。
【0109】
また、電波強度取得部81は、連続体MLに仮着された複数の印字媒体MそれぞれのRFIDインレット110の電波強度と、RFIDインレット110の連続体MLでの位置とを記録し、印字媒体Mに印字を行なうときに、印字開始位置にあるRFIDインレット110の位置に対応して記録された電波強度を取得し、取得した電波強度に対応した書き込み電波強度でRFIDインレット110に書き込みを行なうことができる。
【0110】
これによれば、読み取り時にエラーが発生する可能性があるRFIDインレット110に対して予め電波強度を強くして書き込むことにより、後に読み取り時にエラーが発生する可能性を低減することができる。
【0111】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
なお、本発明の実施形態は、以下の態様を含む。
第1の態様
RFIDを有する印字媒体ごとに印字を行なうプリンタであって、
前記RFIDからの電波強度を取得する電波強度取得部と、
前記電波強度取得部により取得された電波強度と閾値とに基づいて、前記RFIDが正常であるか否かを判別する判別部と、を備える、
プリンタ。
第2の態様
第1の態様に記載のプリンタであって、
前記電波強度取得部により取得された複数の前記RFIDからの電波強度の平均値又は下限値に基づいて前記閾値を設定する閾値設定部を、更に備える、
プリンタ。
第3の態様
第1又は第2の態様に記載のプリンタであって、
前記電波強度取得部により取得された前記電波強度を、前記RFIDごとに表示部に表示させる表示制御部を、更に備える、
プリンタ。
第4の態様
第1から第3のいずれか一つの態様に記載のプリンタであって、
複数の前記印字媒体が仮着された連続体が前記プリンタに装填され、
前記電波強度取得部は、前記連続体に仮着された複数の前記印字媒体それぞれの前記RFIDからの電波強度を取得する
プリンタ。
第5の態様
第1から第4のいずれか一つの態様に記載のプリンタであって、
前記判別部は、
前記印字媒体に印字を行なうときに、前記閾値と、印字時に取得した当該印字媒体のRFIDからの電波強度と、を比較し、
比較の結果、前記RFIDが正常でないと判別した場合に、印字を中止する
プリンタ。
第6の態様
第1から第5のいずれか一つの態様に記載のプリンタであって、
前記判別部は、
前記印字媒体に印字を行なうときに、前記閾値と、印字時に取得した当該印字媒体のRFIDからの電波強度と、を比較し、
比較の結果、前記RFIDが正常でないと判別した場合に、当該RFIDを有する印字媒体への印字を中止することなく、その旨をさらに印字する
プリンタ。
第7の態様
第1から第6のいずれか一つの態様に記載のプリンタであって、
前記判別部は、
前記印字媒体に印字を行なうときに、前記閾値と、印字時に取得した当該印字媒体のRFIDからの電波強度と、を比較し、
比較の結果、前記RFIDが正常でないと判別した場合に、当該RFIDを有する印字媒体への印字を中止することなく、当該RFIDにその旨を書き込む
プリンタ。
第8の態様
第4から第7のいずれか一つの態様に記載のプリンタであって、
前記電波強度取得部は、前記連続体に仮着された複数の前記印字媒体それぞれの前記RFIDからの電波強度と、当該RFIDの前記連続体での位置とを記録し、
前記判別部は、
前記印字媒体に印字を行なうときに、印字開始位置にあるRFIDの記録された電波強度を取得し、取得した電波強度に対応した書き込み電波強度で前記印字開始位置にあるRFIDに書き込みを行なう
プリンタ。
第9の態様
RFIDを有する印字媒体ごとに印字を行なうプリンタの制御方法であって、
前記印字媒体に備えられる前記RFIDからの電波強度を取得し、
取得した電波強度と閾値とに基づいて、前記RFIDが正常であるか否かを判別する、
プリンタの制御方法。
第10の態様
RFIDを有する印字媒体ごとに印字を行なうプリンタのコンピュータが実行可能なプログラムであって、
前記印字媒体に備えられる前記RFIDからの電波強度を取得させ、
取得した電波強度と閾値とに基づいて、前記RFIDが正常であるか否かを判別させる、
手順を前記コンピュータに実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0112】
1 プリンタ
10 印字機構
11 ヘッドユニット
12 プラテンローラ
13 サーマルヘッド
14 支持軸
15 印字部
20 リボン供給軸
27 入力部
28 表示部
30 リボン巻取軸
40 媒体供給軸
50 通信部
51 中央演算装置
52 ROM
53 RAM
54 搬送制御回路
55 印字制御回路
57 用紙検出回路
59 IOポート
60 コントローラ(制御部)
61 電源部
65 バス
71 上流側位置検出センサ
72 下流側位置検出センサ
100 プリンタ
107 台紙
109 アイマーク
110 RFIDインレット
120 ギャップ
151 アンテナ
152 通信コントローラ
A アンテナ
C ICチップ
M 印字媒体
ML 連続体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8