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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】ワーク挿入装置および包装体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 5/04 20060101AFI20231017BHJP
   B65D 73/02 20060101ALI20231017BHJP
   B65B 53/00 20060101ALI20231017BHJP
   B65B 15/00 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
B65B5/04
B65D73/02 L
B65B53/00 C
B65B15/00
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019084426
(22)【出願日】2019-04-25
(65)【公開番号】P2020179894
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2022-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】羽田 繁
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03470675(US,A)
【文献】特開平08-244832(JP,A)
【文献】特開昭49-028496(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 5/00
B65D 73/00
B65B 53/00
B65B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装材の熱収縮性の筒状フィルムにワークを挿入するワーク挿入装置であって、
前記包装材は、両端側が開口された前記筒状フィルムが台紙に貼着され、
前記ワークおよび前記包装材が載置される載置台と、
前記筒状フィルムの開口された一側から前記筒状フィルムの内部にガイド部材を挿入することによって前記筒状フィルムを開口すると共に芯出しするガイド進退部と、
前記筒状フィルムの開口された他側から前記筒状フィルムの内部に向けて前記ワークを押し出すワーク押出部と、
前記載置台に載置された前記台紙が前記載置台に貼りつくように前記台紙を吸引する第2吸引部を備え、
前記第2吸引部は、前記ガイド進退部が前記筒状フィルムを開口する際に、前記台紙を吸引し、前記ガイド進退部が前記筒状フィルムを芯出しする際に、前記台紙の吸引を解除し、前記ワーク押出部が前記ワークを押し出す際に、前記台紙を吸引する動作を行うように構成される、ワーク挿入装置。
【請求項2】
包装材の熱収縮性の筒状フィルムにワークを挿入して前記筒状フィルムを前記ワークの形状に収縮させる包装体の製造方法であって、
前記包装材は、両端側が開口された前記筒状フィルムが台紙に貼着され、
前記ワークおよび前記包装材を載置台に載置し、
前記筒状フィルムの天井部を吸引することによって前記筒状フィルムを立ち上げ、前記載置台に載置された前記台紙が前記載置台に貼りつくように前記台紙を吸引し、前記筒状フィルムの開口された一側から前記筒状フィルムの内部にガイド部材を挿入することによって前記筒状フィルムを開口する開口工程と、
前記開口工程の後に、前記載置台に載置された前記台紙の吸引を解除し、前記筒状フィルムの内部にガイド部材をさらに挿入することによって前記筒状フィルムを芯出しする芯出し工程と、
前記芯出し工程の後に、前記載置台に載置された前記台紙が前記載置台に貼りつくように前記台紙を吸引し、前記筒状フィルムの開口された他側から前記筒状フィルムの内部に向けて前記ワークを押し出す押出工程と、
前記押出工程の後に、前記ワークが挿入された前記筒状フィルムを前記ワークの形状に収縮させる収縮工程と、を含む、包装体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク挿入装置および包装体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワーク挿入装置は、包装材にワークを挿入する装置として公知である。例えば、特許文献1には、台紙に筒状フィルムが貼着された包装材の筒状フィルムにワークを挿入するワーク挿入装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5884233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
台紙に筒状フィルムが貼着された包装材では、台紙における筒状フィルムの貼着位置のズレについては、所定範囲であれば許容される。台紙における筒状フィルムの貼着位置のズレが大きい包装材では、台紙を基準としてワークを筒状フィルムに挿入する場合には、ワークを筒状フィルムに挿入することが困難である。そのため、筒状フィルムの開口径を必要以上に大きくしなければならない。
【0005】
本発明の目的は、台紙における筒状フィルムの貼着位置のズレが大きい包装材であってもワークを筒状フィルムに挿入することができるワーク挿入装置および包装体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、包装材の熱収縮性の筒状フィルムにワークを挿入するワーク挿入装置であって、包装材は、両端側が開口された筒状フィルムが台紙に貼着され、ワークおよび包装材が載置される載置台と、筒状フィルムの開口された一側から筒状フィルムの内部にガイド部材を挿入することによって筒状フィルムを開口すると共に芯出しするガイド進退部と、筒状フィルムの開口された他側から筒状フィルムの内部に向けてワークを押し出すワーク押出部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、台紙における筒状フィルムの貼着位置のズレが大きい包装材であっても、ガイド部材によって筒状フィルムを芯出しすることによってワークを筒状フィルムに挿入することができる。
【0008】
本発明に係るワーク挿入装置において、筒状フィルムの天井部を吸引することによって筒状フィルムを立ち上げる第1吸引部をさらに備え、第1吸引部は、ガイド進退部が筒状フィルムを開口する際に、筒状フィルムを立ち上げる動作を行うように構成されていてもよい。
【0009】
この構成によれば、第1吸引部で筒状フィルムの天井部を吸引することによって、ガイド部材が筒状フィルムを開口するときのサポートをすることができる。
【0010】
本発明に係るワーク挿入装置において、載置台に載置された台紙が載置台に貼りつくように台紙を吸引する第2吸引部をさらに備え、第2吸引部は、ガイド進退部が筒状フィルムを開口する際に、台紙を吸引し、ガイド進退部が筒状フィルムを芯出しする際に、台紙の吸引を解除し、ワーク押出部がワークを押し出す際に、台紙を吸引する動作を行うように構成されていてもよい。
【0011】
この構成によれば、ガイド部材が筒状フィルムを開口するとき、および、ワーク押出部がワークを押し出すときは、第2吸引部で包装材の台紙を固定し、ガイド部材が筒状フィルムを芯出しするときは、第2吸引部で包装材の台紙の固定を解除することによって、ガイド部材が筒状フィルムを開口および芯出しするときのサポートをすることができる。
【0012】
本発明は、包装材の熱収縮性の筒状フィルムにワークを挿入して筒状フィルムをワークの形状に収縮させる包装体の製造方法であって、包装材は、両端側が開口された筒状フィルムが台紙に貼着され、ワークおよび包装材を載置台に載置し、筒状フィルムの天井部を吸引することによって筒状フィルムを立ち上げ、載置台に載置された台紙が載置台に貼りつくように台紙を吸引し、筒状フィルムの開口された一側から筒状フィルムの内部にガイド部材を挿入することによって筒状フィルムを開口する開口工程と、開口工程の後に、載置台に載置された台紙の吸引を解除し、筒状フィルムの内部にガイド部材をさらに挿入することによって筒状フィルムを芯出しする芯出し工程と、芯出し工程の後に、載置台に載置された台紙が載置台に貼りつくように台紙を吸引し、筒状フィルムの開口された他側から筒状フィルムの内部に向けてワークを押し出す押出工程と、押出工程の後に、ワークが挿入された筒状フィルムをワークの形状に収縮させる収縮工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るワーク挿入装置および包装体の製造方法によれば、台紙における筒状フィルムの貼着位置のズレが大きい包装材であってもワークを筒状フィルムに挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】ハブラシおよび包装材の構成を示す斜視図である。
図2】本発明に係るワーク挿入装置を含むフィルム装着システムの全体構成を示す平面図である。
図3】包装材供給装置の構成を示す斜視図である。
図4】フィルム装着工程の処理手順を示すフローチャートである。
図5】ハブラシ挿入装置の全体構成を示す平面図である。
図6】ハブラシ挿入工程の処理手順を示すフローチャートである。
図7】フィルム開口工程の動作を示す斜視図(a)および正面図(b)である。
図8】フィルム開口工程の動作を示す異なるタイミングの斜視図(a)および正面図(b)である。
図9】フィルム芯出し工程の動作を示す斜視図(a)および正面図(b)である。
図10】ハブラシ挿入行程の動作を示す斜視図である。
図11】包装材の変形例の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。この説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等にあわせて適宜変更することができる。また、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて用いることは当初から想定される。
【0016】
本実施形態の筒状フィルム7は、筒状に形成された熱収縮性のフィルムからなる。本実施形態の包装材5は、台紙6に筒状フィルム7を貼着したものであって、ワークとしての例えばハブラシ3を包装するものである。本実施形態の台紙6は、例えば紙製とされるがこれに限定されない。例えば、プラスチックまたは合成紙(合成樹脂を主原料とする紙状のもの)から構成されてもよい。また、包装材5は、後述するフィルム装着工S500とは別工程で製造され、後述する格納庫95に格納される。
【0017】
まず、図1を用いて、ハブラシ3および筒状フィルム7の構成について説明する。図1(a)は、折り畳み状態の筒状フィルム7の構成を示す斜視図である。図1(b)は、天井部7Aが持ち上げられた筒状フィルム7の構成を示す斜視図である。図1(c)は、ハブラシ3および開口状態の筒状フィルム7の構成を示す斜視図である。
【0018】
ワーク挿入装置としてのハブラシ挿入装置100(図2参照)は、筒状フィルム7の内部に、ワークとしての例えばハブラシ3を挿入する装置である。ハブラシ挿入装置100の詳細は、後述する。ハブラシ3は、ブラシ部分に例えばケースが被着される。本実施形態では、本発明のワークをハブラシ3としたが、これに限定されない。本発明のワークとしては、包装材に包装されるものであって長尺状かつ径差の大小が著しいもの、例えばボールペン、フォーク等が含まれる。
【0019】
以下では、ハブラシ3の長手方向において、ブラシ部分が設けられる側を前側とする。筒状フィルム7の長手方向において、ハブラシ3の前側が収納または載置される側を同様に前側とする。水平面において長手方向と直交する方向を幅方向とする。長手方向および幅方向と直交する鉛直方向を上下方向とする。
【0020】
筒状フィルム7は、底部7Bが台紙6に貼着され、包装材5を構成する。筒状フィルム7は、両端側に開口部7F,7Rを有する筒状に形成される。筒状フィルム7の長手方向の長さは、ハブラシ3の長手方向の長さより十分に長い。
【0021】
筒状フィルム7は、ハブラシ挿入装置100において、「折り畳み状態」から「開口状態」に変形される。図1(c)に示すように、開口状態とは、筒状フィルム7の内部にマンドレル22(図5参照)が挿入されることによって、筒状フィルム7がハブラシ3を収納可能な略直方体形状に立ち上がった状態である。筒状フィルム7は、開口状態において、天井部7Aと、底部7Bと、側部7Cと、を有する。
【0022】
図1(a)に示すように、折り畳み状態とは、筒状フィルム7が略シート状に折り畳まれた状態である。具体的には、側部7Cが倒れて、天井部7Aが底部7Bに近接する状態である。包装材5は、筒状フィルム7が折り畳まれた状態でフィルム装着システム500(図2参照)に供給される。筒状フィルム7には、折り畳み状態では、ハブラシ3の挿入方向に沿って複数の折り目7Xが形成される。折り目7Xは、開口状態では、天井部7Aと側部7Cとの境界の角部7Yまたは底部7Bと側部7Cとの境界の角部7Yを形成する。
【0023】
図1(b)に示すように、筒状フィルム7は、ハブラシ挿入装置100において、「折り畳み状態」から「開口状態」に変形されるときに、天井部7Aが持ち上げられる。
【0024】
次に、図2および図3を用いて、フィルム装着システム500の全体構成について説明する。図2は、フィルム装着システム500の全体構成を示す平面図である。図3は、包装材供給装置90の構成を示す斜視図である。
【0025】
フィルム装着システム500は、ハブラシ3に包装材5の筒状フィルム7(図1参照)を装着するシステムである。フィルム装着システム500は、複数の載置台としてのバケット50と、搬送装置60と、ハブラシ供給部80と、包装材供給装置90と、ワーク挿入装置としてのハブラシ挿入装置100と、検査部110と、シュリンク装置120と、を備える。
【0026】
搬送装置60は、複数のバケット50を各装置および各部間を間欠運転によって搬送する。搬送装置60は、例えば爪付きチェーンコンベヤで構成される。ハブラシ供給部80では、作業者Wの手作業によってハブラシ3が供給される。供給されるハブラシ3は、バケット50に形成されるハブラシ載置部52(図3参照)に載置される。
【0027】
図3に示すように、包装材供給装置90は、格納部95に格納される包装材5をバケット50に供給する装置である。格納部95では、包装材5の筒状フィルム7が折り畳み状態で格納される。包装材供給装置90では、搬送部91に設けられた2つの吸引部92,92によって包装材5を吸引してバケット50の台紙載置部51まで搬送する。
【0028】
ハブラシ挿入装置100は、包装材5の筒状フィルム7の内部にハブラシ3を挿入する装置である。ハブラシ挿入装置100は、第1吸引部10(図7参照)と、ガイド進退部としてのマンドレル進退装置20と、ワーク押出部としてのハブラシ押出部30と、を有する。ハブラシ挿入装置100および各部の詳細は、後述する。
【0029】
検査部110では、筒状フィルム7にハブラシ3が挿入された状態での異常の有無が検査される。具体的には、カメラによって筒状フィルム7にハブラシ3が挿入された状態を撮影し、検査者が撮影された映像に基づいて異常の有無を判断する。
【0030】
シュリンク装置120は、ハブラシ3が挿入された筒状フィルム7をハブラシ3の形状に収縮させる。具体的には、シュリンク装置120では、筒状フィルム7に熱風を吹き付けることによって、筒状フィルム7がハブラシ3の形状に収縮される。
【0031】
続いて、図2および図4を用いて、フィルム装着工程S500の処理手順について説明する。図4は、フィルム装着工程S500の処理手順を示すフローチャートである。
【0032】
フィルム装着工程S500は、フィルム装着システム500によってハブラシ3に筒状フィルム7を装着する工程である。フィルム装着工程S500は、ハブラシ供給工程S80と、包装材供給工程S90と、ハブラシ挿入工程S100と、検査工程S110と、シュリンク工程S120と、を含む。
【0033】
ハブラシ供給工程S80では、ハブラシ供給部80において、作業者Wの手作業によってハブラシ3がバケット50に供給される。包装材供給工程S90では、包装材供給装置90によって、包装材5がバケット50に供給される。ハブラシ挿入工程S100では、ハブラシ挿入装置100によって、包装材5の筒状フィルム7(図1参照)にハブラシ3が挿入される。ハブラシ挿入工程S100の詳細は、後述する。
【0034】
検査工程S110では、検査部110において、検査者によって筒状フィルム7にハブラシ3が挿入された状態での異常の有無が検査される。シュリンク工程S120では、シュリンク装置120によって、ハブラシ3が挿入された筒状フィルム7がハブラシ3の形状に収縮される。
【0035】
次に、図5を用いて、ハブラシ挿入装置100の全体構成について説明する。図5は、ハブラシ挿入装置100の全体構成を示す平面図である。
【0036】
ハブラシ挿入装置100は、包装材5の筒状フィルム7の内部にハブラシ3を挿入する装置である。ハブラシ挿入装置100は、第1吸引部10(図7参照)と、マンドレル進退装置20と、ハブラシ押出部30と、複数の載置台としてのバケット50と、抑え部材としてのガイドストッパ55と、第2吸引部70(図7参照)と、を有する。
【0037】
ハブラシ挿入装置100には、バケット50に対する作業位置として、フィルム開口位置P101と、フィルム芯出し位置P102と、ハブラシ押出位置P103と、が含まれる。それぞれの位置では、2つのバケット50が配置される。
【0038】
ハブラシ挿入装置100では、搬送装置60によってバケット50が2つおきに間欠運転される。具体的には、フィルム開口位置P101に位置していた2つのバケット50は、次のタイミングでフィルム芯出し位置P102に進む。同様に、フィルム芯出し位置P102に位置していた2つのバケット50は、このタイミングでハブラシ押出位置P103に進む。
【0039】
第1吸引部10は、フィルム開口位置P101において包装材5の筒状フィルム7の天井部7Aを上方に持ち上げる(図7参照)。第1吸引部10は、例えば2つの吸着部11を含む。具体的には、第1吸引部10は、吸着部11によって筒状フィルム7の天井部7Aを吸着すると共に上方に移動し、筒状フィルム7の天井部7Aを上方に持ち上げる。
【0040】
マンドレル進退装置20は、例えば3つのマンドレル進退部21と、搬送装置25と、を有する。搬送装置25は、搬送装置60に隣接して設けられる。搬送装置25の搬送方向と搬送装置60の搬送方向とは、並行している。搬送装置25は、例えば爪付きチェーンコンベヤで構成される。搬送装置25は、3つのマンドレル進退部21を搬送装置60と同じタイミングの間欠運転で搬送する。
【0041】
具体的には、搬送装置25によって、フィルム開口位置P101に位置していたマンドレル進退部21は、次のタイミングでフィルム芯出し位置P102に進む。同様に、搬送装置25によって、フィルム芯出し位置P102に位置していたマンドレル進退部21は、このタイミングでハブラシ押出位置P103に進む。
【0042】
マンドレル進退部21は、2つのガイド部材としてのマンドレル22と、シリンダ23と、を含む。マンドレル22は、長尺状に形成され、例えば筒状フィルム7の長手方向の長さと略同一長さとする。マンドレル22は、本体部22Aと、先端部22Bと、を含む。
【0043】
本体部22Aの長手方向に垂直な断面形状は、開口状態の筒状フィルム7の内部形状の長手方向に垂直な断面形状より若干小さい。先端部22Bは、本体部22Aの先端側に形成され、本体部22Aに対し先細り形状となるように形成される。シリンダ23は、筒状フィルム7の長手方向に沿ってマンドレル22を進退させる。
【0044】
マンドレル進退部21は、フィルム開口位置P101において、第1吸引部10によって筒状フィルム7の天井部7Aが上方に持ち上げられた後に、筒状フィルム7の前側の開口部7Fから筒状フィルム7の内部にマンドレル22を挿入して筒状フィルム7の開口部7Fを開口する。
【0045】
ここで、「開口する」とは、第1吸引部10によって筒状フィルム7の天井部7Aが上方に持ち上げられた状態において、筒状フィルム7の前側の開口部7Fから少なくともマンドレル22の先端部22Bが筒状フィルム7の内部に挿入されることである。
【0046】
マンドレル進退部21は、フィルム芯出し位置P102において、筒状フィルム7の内部にマンドレル22が挿入された状態からマンドレル22をさらに前進させる。これにより、マンドレル進退部21は、筒状フィルム7を芯出しする。
【0047】
ここで、「芯出し」とは、筒状フィルム7の内部にマンドレル22が挿入され、マンドレル22の中心位置と開口状態の筒状フィルム7の中心位置とが略一致するように、包装材5の位置を補正することである。ここで、「中心位置」とは、長手方向に垂直な断面形状の中心位置のことである。また、「位置を補正する」とは、筒状フィルム7の中心位置がマンドレル22の中心位置と略一致するように、バケット50の台紙載置部51において包装材5を移動させることである。
【0048】
マンドレル進退部21は、ハブラシ押出位置P103において、筒状フィルム7の内部にマンドレル22が挿入された状態からマンドレル22を後退させる。これにより、芯出しされた筒状フィルム7にハブラシ3を挿入可能とする。
【0049】
ハブラシ押出部30は、2つのプッシャ31と、シリンダ32と、を含む。プッシャ31は、棒状に形成される。シリンダ32は、ハブラシ3の長手方向に沿ってプッシャ31を進退させる。ハブラシ押出部30は、ハブラシ3を前進させることによって、ハブラシ押出位置P103まで進んだ包装材5の筒状フィルム7の後側の開口部7Rに向けてハブラシ3を押し出す。
【0050】
バケット50には、包装材5の台紙6が載置される台紙載置部51と、ハブラシ3が載置されるハブラシ載置部52と、が形成される。バケット50は、上方から見て長方形状のプレート状に形成される。台紙載置部51およびハブラシ載置部52は、長手方向に垂直な断面視において溝形状に形成される。
【0051】
台紙載置部51は、上方から見て包装材5の台紙6よりも若干大きい長方形状に形成される。ハブラシ載置部52は、上方から見てハブラシ3が載置されると共にプッシャ31が摺動することができる十分な幅に形成される。ハブラシ載置部52の前側には、誘導部52Aが形成される。誘導部52Aは、ハブラシ3を筒状フィルム7の内部に誘導する。誘導部52Aは、上方から見て台紙載置部51に向かって先細りとなる台形状に形成される。誘導部52Aの前端側(台紙載置部51と接する側)は、開口状態の筒状フィルム7の幅方向の長さ以下となるように形成される。
【0052】
ガイドストッパ55は、プレート状に形成され、筒状フィルム7の後側の開口部7Rに当接する。ガイドストッパ55は、フィルム開口位置P101からフィルム芯出し位置P102にわたってバケット50の台紙載置部51とハブラシ載置部52との境界に立設される。
【0053】
筒状フィルム7がマンドレル22によって開口または芯出しされるときには、溝形状に形成される台紙載置部51の長手方向の縁によって筒状フィルム7の台紙6の長手方向の後方への動きが規制される。ガイドストッパ55は、筒状フィルム7の台紙6が台紙載置部51の長手方向の縁を乗り越えるような場合には、その動きを規制する。そのため、ガイドストッパ55は、特に設けなくてもよい。
【0054】
第2吸引部70(図7参照)は、バケット50の下に配置され、バケット50の台紙載置部51に載置された台紙6が台紙載置部51に貼りつくように吸引する。具体的には、第2吸引部70は、外部に設けられた吸引装置によってバケット50の台紙載置部51に形成された吸引孔51A(図7(b)参照)から空気を吸引し、台紙載置部51に載置された台紙6が台紙載置部51に吸着される。吸引装置は、例えば圧縮機が好適に用いられる。第2吸引部70は、各位置のバケット50の吸引または吸引の解除を選択することができる。具体的には、第2吸引部70は、フィルム開口位置P101およびハブラシ押出位置P103では、吸引し、フィルム芯出し位置P102では、吸引を解除する。
【0055】
続いて、図5および図6を用いて、ハブラシ挿入工程S100の処理手順について説明する。図6は、ハブラシ挿入工程S100の処理手順を示すフローチャートである。
【0056】
本発明の包装体の製造方法としてのハブラシ挿入工程S100は、ハブラシ挿入装置100によって、ハブラシ3を包装材5の筒状フィルム7の内部に挿入する工程である。ハブラシ挿入工程S100は、フィルム開口工程S101と、フィルム芯出し工程S102と、ハブラシ押出工程S103と、を含む。
【0057】
フィルム開口工程S101では、第1吸引部10によって、筒状フィルム7の天井部7Aが上方へ持ち上げられ、その後に、マンドレル進退部21によって、筒状フィルム7の前側の開口部7Fが開口される。(図7参照)。フィルム芯出し工程S102では、マンドレル進退部21によって、筒状フィルム7が芯出しされる。ハブラシ押出工程S103では、ハブラシ押出部30によって、ハブラシ3が筒状フィルム7の後側の開口部7Rに向けて押し出される。
【0058】
次に、図7および図8を用いて、フィルム開口工程S101の動作について説明する。図7(a)および図8(a)は、フィルム開口工程S101の動作を示す斜視図である。図7(b)および図8(b)は、フィルム開口工程S101の動作を示す正面図である。フィルム開口工程S101の動作は、図7図8の順に移行する。
【0059】
フィルム開口工程S101では、筒状フィルム7が折り畳み状態から開口状態に変形される。図7(a)に示すように、フィルム開口位置P101まで進んだバケット50では、台紙載置部51に包装材5の台紙6が載置され、ハブラシ載置部52にハブラシ3が載置されている。このとき、図7(b)に示すように、第2吸引部70によって、台紙載置部51の底面に形成される吸引孔51Aから空気が吸引され、包装材5の台紙6が台紙載置部51に吸着されている。
【0060】
図7(a)および図7(b)に示すように、フィルム開口工程S101では、第1吸引部10が吸着部11によって、筒状フィルム7の天井部7Aを吸着すると共に上方へ持ち上げられる。これにより、筒状フィルム7の天井部7Aが持ち上げられ、側部7C(図8(b)参照)が立ち上がる。
【0061】
図8(a)および図8(b)に示すように、フィルム開口工程S101では、第1吸引部10によって筒状フィルム7の天井部7Aが上方へ持ち上げられた後に、マンドレル進退部21によってマンドレル22が前進される。前進したマンドレル22は、筒状フィルム7の内部において、筒状フィルム7の前側の開口部7Fから少なくともマンドレル22の先端部22Bが筒状フィルム7に挿入される。これにより、筒状フィルム7の前側の開口部7Fが開かれる。
【0062】
フィルム開口工程S101では、第2吸引部70によって台紙載置部51の吸引孔51Aから空気が吸引されることによって、包装材5の台紙6が台紙載置部51に吸引される。そのため、吸着部11によって筒状フィルム7の天井部7Aが上方へ持ち上げられるときに、筒状フィルム7全体が持ち上げられることはない。同様に、筒状フィルム7の前側の開口部7Fからマンドレル22が挿入されるときに、台紙6が台紙載置部51から外れることはない。
【0063】
続いて、図9を用いて、フィルム芯出し工程S102の動作について説明する。図9(a)は、フィルム芯出し工程S102の動作を示す斜視図である。図9(b)は、S102の動作を示す正面図である。
【0064】
フィルム芯出し工程S102では、筒状フィルム7が芯出しされる。バケット50は、フィルム開口位置P101から筒状フィルム7の内部にマンドレル22が少なくとも先端部22Bが挿入された状態でフィルム芯出し位置P102まで搬送される。このとき、台紙載置部51の底面に形成される吸引孔51Aの吸引が解除されることによって、包装材5の台紙6における台紙載置部51への吸着が解除される。
【0065】
フィルム芯出し工程S102では、マンドレル進退部21によってマンドレル22がさらに前進される。少なくとも先端部22Bが挿入されていたマンドレル22は、先端部22Bが筒状フィルム7の後側の開口部7Rの近傍に到達するまで挿入される。これにより、筒状フィルム7が芯出しされると共に筒状フィルム7の開口形状が整えられる。
【0066】
フィルム芯出し工程S102では、第2吸引部70によって台紙6が台紙載置部51へ吸着されていないため、台紙載置部51内において包装材5が微小な範囲で移動することができる。これにより、マンドレル22の中心位置と筒状フィルム7の中心位置が少しずれていても、マンドレル22が挿入されたときに、位置を補正するように包装材5がハブラシ載置部52内において移動することができる。
【0067】
続いて、図10を用いて、ハブラシ押出工程S103の動作について説明する。図10は、ハブラシ押出工程S103の動作を示す斜視図である。ハブラシ押出工程S103の動作は、図10(a)、図10(b)、図10(c)の順に移行する。
【0068】
ハブラシ押出工程S103では、ハブラシ押出部30によって、ハブラシ3が筒状フィルム7の内部に向けて押し出される。バケット50は、フィルム芯出し位置P102から筒状フィルム7の内部に先端部22Bが筒状フィルム7の後側の開口部7Rの近傍に到達するまで挿入された状態でハブラシ押出位置P103まで搬送される。このとき、第2吸引部70によって台紙載置部51の底面に形成される吸引孔51A(図9(b)参照)から空気が吸引されることによって、包装材5の台紙6が台紙載置部51に吸着される。
【0069】
ハブラシ押出工程S103では、マンドレル進退部21によってマンドレル22が後退される。そして、ハブラシ押出部30によってプッシャ31が前進し、芯出しされた筒状フィルム7の後側の開口部7Rから筒状フィルム7の内部に向けてハブラシ3が押し出される。
【0070】
ハブラシ押出工程S103では、ハブラシ載置部52の誘導部52Aが先細りとなるように形成されることによって、プッシャ31によって押し出されたハブラシ3がスムーズに筒状フィルム7の内部に向かって押し出される。
【0071】
ハブラシ押出工程S103では、第2吸引部70によって台紙6が台紙載置部51へ吸着されているため、フィルム芯出し工程S102において芯出しされた筒状フィルム7の位置がずれることはない。
【0072】
ハブラシ挿入装置100の効果について説明する。ハブラシ挿入装置100によれば、筒状フィルム7の前側の開口部7Fからマンドレル22を挿入して筒状フィルム7を開口すると共に芯出しし、筒状フィルム7の後側の開口部7Rに向けてハブラシ3を押し出す。これにより、台紙6における筒状フィルム7の貼着位置のズレが大きい包装材5であってもハブラシ3を筒状フィルム7に挿入することができる。
【0073】
また、筒状フィルム7に折り目7Xが形成されることによって、筒状フィルム7を開口状態に変形したときに、筒状フィルム7を常に略同一の直方体形状に変形することができる。これにより、フィルム開口工程S101における筒状フィルム7の開口状態の形状のばらつきを低減することができる。
【0074】
なお、本実施形態では、搬送装置60および搬送装置25の運転を間欠運転としたが、これに限定されない。例えば、搬送装置60および搬送装置25の運転を連続運転としても、同様の作用および効果を奏する。
【0075】
図11を用いて、包装材5の変形例として筒状フィルム107を備える包装材105の構成を示す。図1(a)は、折り畳み状態の筒状フィルム107の構成を示す斜視図である。図1(b)は、天井部が持ち上げられた筒状フィルム107の構成を示す斜視図である。図1(c)は、ハブラシ3および開口状態の筒状フィルム107の構成を示す斜視図である。
【0076】
筒状フィルム107は、本実施形態の筒状フィルム7の折り畳み形状が異なる変形例である。筒状フィルム107は、底部107Bが台紙106に固着され、包装材105を構成する。筒状フィルム107の側部107Cは、V字形状に形成され、上下方向において、下端部(底部107Bとの境界)、中央部、上端部(天井部107Aとの境界)には、長手方向に沿って折り目107Xが形成される。
【符号の説明】
【0077】
3 ハブラシ(ワーク)、7 筒状フィルム、7F 前側の開口部、7R 後側の開口部、7X 折り目、10 第1吸引部、21 マンドレル進退部(ガイド進退部)、22 マンドレル(ガイド部材)、30 ハブラシ押出部(ワーク押出部)、50 バケット(載置台)、51 台紙載置部、52 ハブラシ載置部、52A 誘導部、70 第2吸引部、100 ハブラシ挿入装置(ワーク挿入装置)、S500 フィルム装着工程(包装体の製造方法)
図1
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図11