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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20231017BHJP
   H01L 29/778 20060101ALI20231017BHJP
   H01L 29/812 20060101ALI20231017BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20231017BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20231017BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20231017BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20231017BHJP
   H01L 29/423 20060101ALI20231017BHJP
   H01L 29/49 20060101ALI20231017BHJP
   H01L 29/41 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
H01L29/80 H
H01L29/06 301F
H01L29/78 301B
H01L29/78 301V
H01L29/78 301W
H01L21/28 301B
H01L29/58 G
H01L29/44 Y
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019095931
(22)【出願日】2019-05-22
(65)【公開番号】P2020191378
(43)【公開日】2020-11-26
【審査請求日】2022-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】蔵口 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】梶原 瑛祐
(72)【発明者】
【氏名】新留 彩
(72)【発明者】
【氏名】大野 浩志
(72)【発明者】
【氏名】加藤 大望
(72)【発明者】
【氏名】向井 章
【審査官】恩田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-073499(JP,A)
【文献】国際公開第2014/050054(WO,A1)
【文献】特開2008-124440(JP,A)
【文献】特開2012-178464(JP,A)
【文献】特開2013-157407(JP,A)
【文献】特開2018-157008(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0158917(US,A1)
【文献】国際公開第2012/043334(WO,A1)
【文献】国際公開第2006/132418(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/338
H01L 29/06
H01L 21/336
H01L 21/28
H01L 29/423
H01L 29/41
H01L 29/778
H01L 29/812
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、
第2電極と、
第3電極であって、前記第3電極は、第1部分と、前記第1部分と連続する第2部分を含み、前記第1電極から前記第2電極への第1方向における前記第1部分の位置は、前記第1方向における前記第1電極の位置と、前記第1方向における前記第2電極の位置との間にあり、前記第1方向における前記第2部分の位置は、前記第1方向における前記第1部分の前記位置と、前記第1方向における前記第2電極の前記位置との間にある、前記第3電極と、
Alx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含む第1半導体層であって、前記第1半導体層は、第1部分領域、第2部分領域、第3部分領域、第4部分領域及び第5部分領域を含み、前記第1部分領域から前記第1電極への第2方向は、前記第1方向と交差し、前記第2部分領域から前記第2電極への方向は、前記第2方向に沿い、前記第3部分領域から前記第1部分への方向は、前記第2方向に沿い、前記第3部分領域は、前記第1方向において前記第1部分領域と前記第2部分領域との間にあり、前記第4部分領域は、前記第1方向において、前記第1部分領域と前記第3部分領域との間にあり、前記第5部分領域は、前記第1方向において、前記第3部分領域と前記第2部分領域との間にある、前記第1半導体層と、
Alx2Ga1-x2N(0<x2≦1、x1<x2)を含む第2半導体層であって、前記第2半導体層は、第1半導体領域及び第2半導体領域を含み、前記第4部分領域から前記第1半導体領域への方向は、前記第2方向に沿い、前記第5部分領域から前記第2半導体領域への方向は、前記第2方向に沿う、前記第2半導体層と、
前記第1電極と電気的に接続された第1導電部であって、前記第1導電部の少なくとも一部は、前記第2方向において、前記第2半導体領域の少なくとも一部と、前記第2部分と、の間にある、前記第1導電部と、
第1絶縁部分を含む第1絶縁層であって、前記第1絶縁部分は、前記第2方向において、前記第2半導体領域の前記少なくとも一部と、前記第1導電部の前記少なくとも一部と、の間にある、前記第1絶縁層と、
第1絶縁領域及び第2絶縁領域を含む第2絶縁層であって、前記第1絶縁領域は、前記第2方向において、前記第1導電部の前記少なくとも一部と、前記第2部分と、の間にあり、前記第2絶縁領域は、前記第1方向において前記第1部分と前記第1導電部との間にある、前記第2絶縁層と、
第2導電部と、
を備え、
前記第2半導体領域は、前記第2絶縁領域に対向する端部を含み、
前記第1導電部は、前記第2絶縁領域に対向する端部を含み、
前記第2半導体領域の前記端部の前記第1方向における位置と、前記第1導電部の前記端部の前記第1方向における位置と、の間の前記第1方向に沿う第1距離は、前記第2絶縁領域の前記第1方向に沿う第2絶縁領域厚さよりも短
前記第2導電部は、前記第1電極と電気的に接続され、
前記第3電極は、前記第1部分と連続する第3部分をさらに含み、
前記第1方向における前記第3部分の位置は、前記第1方向における前記第1電極の前記位置と、前記第1方向における前記第1部分の前記位置との間にあり、
前記第2導電部の少なくとも一部は、前記第2方向において、前記第1半導体領域の少なくとも一部と、前記第3部分と、の間にあり、
前記第1絶縁層は、第2絶縁部分を含み、
前記第2絶縁部分は、前記第2方向において、前記第1半導体領域の前記少なくとも一部と、前記第2導電部の前記少なくとも一部と、の間にあり、
前記第2絶縁層は、第3絶縁領域及び第4絶縁領域を含み、
前記第3絶縁領域は、前記第2方向において、前記第2導電部の前記少なくとも一部と、前記第3部分と、の間にあり、
前記第4絶縁領域は、前記第1方向において前記第1部分と前記第2導電部との間にある、半導体装置。
【請求項2】
前記第1半導体領域は、前記第4絶縁領域に対向する端部を含み、
前記第2導電部は、前記第4絶縁領域に対向する端部を含み、
前記第1半導体領域の前記端部の前記第1方向における位置と、前記第2導電部の前記端部の前記第1方向における位置と、の間の前記第1方向に沿う第2距離は、前記第4絶縁領域の前記第1方向に沿う第4絶縁領域厚さよりも短い、請求項記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2距離は、前記第4絶縁領域厚さの1/2以下である、請求項記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1部分と前記第1半導体領域との間の前記第1方向に沿う距離と、前記第1部分と前記第2導電部との間の前記第1方向に沿う距離と、の差は、前記第4絶縁領域厚さの1/2以下である、請求項またはに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1距離は、前記第2絶縁領域厚さの1/2以下である、請求項1~4のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1部分と前記第2半導体領域との間の前記第1方向に沿う距離と、前記第1部分と前記第1導電部との間の前記第1方向に沿う距離と、の差は、前記第2絶縁領域厚さの1/2以下である、請求項1~5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1導電部は、第1導電部分、第2導電部分及び第3導電部分を含み、
前記第2導電部分は、前記第2方向において前記第1絶縁部分と前記第1導電部分との間にあり、
前記第3導電部分から前記第1導電部分への方向は、前記第1方向に沿い、
前記第2導電部分と前記第1半導体層との間の前記第2方向に沿う距離は、前記第3導電部分と前記第1半導体層との間の前記第2方向に沿う距離よりも短い、請求項1~のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1導電部は、第4導電部分をさらに含み、
前記第1導電部分は、前記第1方向において、前記第3導電部分と前記第4導電部分との間にあり、
前記第2導電部分の前記第1方向における位置は、前記第3導電部分の前記第1方向における位置と、前記第4導電部分の前記第1方向における位置と、の間にあり、
前記第2導電部分と前記第1半導体層との間の前記第2方向に沿う前記距離は、前記第4導電部分と前記第1半導体層との間の前記第2方向に沿う距離よりも短い、請求項記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第2絶縁層は、第5絶縁領域をさらに含み、
前記第1導電部分は、前記第1方向において前記第2絶縁領域と前記第5絶縁領域との間にあり、
前記第2導電部分は、前記第1方向において、前記第1絶縁層と対向する、請求項またはに記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1絶縁部分は、前記第2方向において前記第2導電部分に対向し、
前記第1絶縁部分の一部は、前記第1方向において前記第2半導体層の一部に対向する、請求項のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1導電部は、ポリシリコン、WN及びTiNよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、請求項1~1のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第2絶縁層は、前記第3部分領域と前記第1部分との間に設けられた部分をさらに含む、請求項1~1のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第1電極は、前記第1部分領域と電気的に接続され、
前記第2電極は、前記第2部分領域と電気的に接続された、請求項1~1のいずれか1つに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置において、安定した動作が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6268366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、安定した動作を得ることができる半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの実施形態によれば、半導体装置は、第1電極、第2電極、第3電極、第1半導体層、第2半導体層、第1導電部、第1絶縁層及び第2絶縁層を含む。前記第3電極は、第1部分と、前記第1部分と連続する第2部分を含む。前記第1電極から前記第2電極への第1方向における前記第1部分の位置は、前記第1方向における前記第1電極の位置と、前記第1方向における前記第2電極の位置との間にある。前記第1方向における前記第2部分の位置は、前記第1方向における前記第1部分の前記位置と、前記第1方向における前記第2電極の前記位置との間にある。前記第1半導体層は、Alx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含む。前記第1半導体層は、第1部分領域、第2部分領域、第3部分領域、第4部分領域及び第5部分領域を含む。前記第1部分領域から前記第1電極への第2方向は、前記第1方向と交差する。前記第2部分領域から前記第2電極への方向は、前記第2方向に沿う。前記第3部分領域から前記第1部分への方向は、前記第2方向に沿う。前記第3部分領域は、前記第1方向において前記第1部分領域と前記第2部分領域との間にある。前記第4部分領域は、前記第1方向において、前記第1部分領域と前記第3部分領域との間にある。前記第5部分領域は、前記第1方向において、前記第3部分領域と前記第2部分領域との間にある。前記第半導体層は、Alx2Ga1-x2N(0<x2≦1、x1<x2)を含む。前記第2半導体層は、第1半導体領域及び第2半導体領域を含む。前記第4部分領域から前記第1半導体領域への方向は、前記第2方向に沿う。前記第5部分領域から前記第2半導体領域への方向は、前記第2方向に沿う。前記第1導電部は、前記第1電極と電気的に接続される。前記第1導電部の少なくとも一部は、前記第2方向において、前記第2半導体領域の少なくとも一部と、前記第2部分と、の間にある。前記第1絶縁層は、第1絶縁部分を含む。前記第1絶縁部分は、前記第2方向において、前記第2半導体領域の前記少なくとも一部と、前記第1導電部の前記少なくとも一部と、の間にある。前記第2絶縁層は、第1絶縁領域及び第2絶縁領域を含む。前記第1絶縁領域は、前記第2方向において、前記第1導電部の前記少なくとも一部と、前記第2部分と、の間にある。前記第2絶縁領域は、前記第1方向において前記第1部分と前記第1導電部との間にある。前記第2半導体領域は、前記第2絶縁領域に対向する端部を含む。前記第1導電部は、前記第2絶縁領域に対向する端部を含む。前記第2半導体領域の前記端部の前記第1方向における位置と、前記第1導電部の前記端部の前記第1方向における位置と、の間の前記第1方向に沿う第1距離は、前記第2絶縁領域の前記第1方向に沿う第2絶縁領域厚さよりも短い。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1(a)及び図1(b)は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図2図2は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図3図3(a)~図3(f)は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する模式的断面図である。
図4図4は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図5図5(a)及び図5(b)は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図6図6は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1(a)及び図1(b)は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図1(b)は、図1(a)の一部を拡大して示している。
【0009】
図1(a)に示すように、実施形態に係る半導体装置110は、第1電極51、第2電極52、第3電極53、第1半導体層11、第2半導体層12、第1導電部61、第1絶縁層41及び第2絶縁層42を含む。
【0010】
第1電極51から第2電極52への第1方向をX軸方向とする。X軸方向に対して垂直な方向をZ軸方向とする。X軸方向及びZ軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。
【0011】
1の例において、第1~第3電極51~53は、Y軸方向に沿って延びる。
【0012】
第3電極53は、第1部分53a及び第2部分53bを含む。第2部分53bは、第1部分53aと連続する。第1方向(例えば、X軸方向)における第1部分53aの位置は、第1方向における第1電極51の位置と、第1方向における第2電極52の位置との間にある。第1方向における第2部分53bの位置は、第1方向における第1部分53aの位置と、第1方向における第2電極52の位置との間にある。
【0013】
第2部分53bは、例えば、第3電極53の1つの突出部分である。この突出部分は、第1部分53aから第2電極52に向かって突出する。
【0014】
第1半導体層11は、Alx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含む。1つの例において、第1半導体層11は、GaNである。
【0015】
第1半導体層11は、第1部分領域11a、第2部分領域11b、第3部分領域11c、第4部分領域11d及び第5部分領域11eを含む。第1部分領域11aから第1電極51への第2方向は、第1方向と交差する。第2方向は、例えば、Z軸方向である。
【0016】
第2部分領域11bから第2電極52への方向は、第2方向(例えばZ軸方向)に沿う。第3部分領域11cから第1部分53aへの方向は、第2方向(例えばZ軸方向)に沿う。第3部分領域11cは、第1方向(X軸方向)において、第1部分領域11aと第2部分領域11bとの間にある。第4部分領域11dは、第1方向(X軸方向)において、第1部分領域11aと第3部分領域11cとの間にある。第5部分領域11eは、第1方向(X軸方向)において、第3部分領域11cと第2部分領域11bとの間にある。第1~第5部分領域11a~11eは、互いに連続している。
【0017】
半導体層1は、Alx2Ga1-x2N(0<x2≦1、x1<x2)を含む。
【0018】
図1(b)に示すように、第2半導体層12は、第1半導体領域sr1及び第2半導体領域sr2を含む。第4部分領域11dから第1半導体領域sr1への方向は、第2方向(例えばZ軸方向)に沿う。第5部分領域11eから第2半導体領域sr2への方向は、第2方向(例えばZ軸方向)に沿う。
【0019】
図1(a)に示すように、第1導電部61は、第1電極51と電気的に接続される。図1(a)に示すように、この例では、第1導電部61は、配線71(例えば導電部材)により、第1電極51と電気的に接続される。配線71は、図1(a)に例示する断面の位置ではなく、別の位置に設けられても良い。図1(a)は、配線71の接続関係を例示しており、配線71の空間的な位置は、図1(a)と異なっても良い。
【0020】
図1(b)に示すように、第1導電部61の少なくとも一部は、第2方向(例えば、Z軸方向)において、第2半導体領域sr2の少なくとも一部と、第2部分53bと、の間にある。
【0021】
図1(b)に示すように、第1絶縁層41は、第1絶縁部分ip1を含む。第1絶縁部分ip1は、第2方向(例えばZ軸方向)において、第2半導体領域sr2の上記の少なくとも一部と、第1導電部61の上記の少なくとも一部と、の間にある。
【0022】
図1(b)に示すように、第2絶縁層42は、第1絶縁領域ir1及び第2絶縁領域ir2を含む。第1絶縁領域ir1は、第2方向(例えば、Z軸方向)において、第1導電部61の上記の少なくとも一部と、第2部分53bと、の間にある。第2絶縁領域ir2は、第1方向(X軸方向)において、第1部分53aと第1導電部61と、の間にある。例えば、第2絶縁領域ir2は、第1方向において、第1部分53aと第1絶縁部分ip1との間にある。例えば、第2絶縁領域ir2は、第1方向において、第1部分53aと第2半導体領域sr2との間にある。
【0023】
図1(a)に示すように、第1電極51は、第1部分領域11aと電気的に接続される。第2電極52は、第2部分領域11bと電気的に接続される。この例では、第1電極51と第1部分領域11aとの間に、第1コンタクト領域51Rが設けられている。第2電極52と第2部分領域11bとの間に、第2コンタクト領域52Rが設けられている。第1コンタクト領域51Rにおける不純物濃度は、第1部分領域11aにおける不純物濃度よりも高い。第2コンタクト領域52Rにおける不純物濃度は、第2部分領域11bにおける不純物濃度よりも高い。不純物は、例えば、シリコンなどである。これらのコンタクト領域は、必要に応じて設けられ、省略されてもよい。
【0024】
この例では、基体15及び中間層14が設けられている。基体15は、例えば、シリコン基板である。基体15と第2半導体層12との間に第1半導体層11が設けられる。基体15と第1半導体層11との間に中間層14が設けられる。中間層14は、例えば、バッファ層である。中間層14は、例えば、積層された複数のAlGaN層(AlN層またはGaN層を含む)などを含む。第1半導体層11及び第2半導体層12は、例えば、半導体部材10に含まれる。中間層14が半導体部材10に含まれても良い。
【0025】
第1電極51と第3電極53との間のX軸方向に沿う距離は、第3電極53と第2電極52との間のX軸方向に沿う距離よりも短い。
【0026】
第1電極51は、例えば、ソース電極である。第2電極52は、例えば、ドレイン電極である。第3電極53は、例えば、ゲート電極である。第3電極53に印加される電圧により、第1電極51と第2電極52との間に流れる電流が制御できる。
【0027】
図1(a)及び図1(b)に示すように、例えば、第1半導体層11の第2半導体層12に近い領域に、キャリア領域10Eが形成される。キャリア領域10Eは、例えば、2次元電子ガスである。半導体装置110は、例えば、HEMT(High Electron Mobility Transistor)である。
【0028】
第3電極53と第2電極52との間の領域においてキャリア領域10Eは、実質的に第2電極52と電気的に接続される。第3電極53の第2部分53b(突出部分)と、キャリア領域10Eとの間に、大きな電気容量が形成される。その結果、例えば、ゲート-ソース間の容量Cgsに対するゲート-ドレイン間の容量Cgdの比(Cgd/Cgs)が高い。この場合、セルフターンオンが生じやすくなる。
【0029】
実施形態においては、第1電極51と電気的に接続された第1導電部61が設けられている。第2電極52(例えばドレイン電極)と接続されているキャリア領域10Eと、第3電極53(例えばゲート電極)と、の間に、第1電極51(例えばソース電極)に接続されている第1導電部61が存在する。このため、電界が遮蔽され、例えば、第3電極53と第2電極52との間の電気容量(例えば、ゲート-ドレイン間の容量Cgd)を小さくできる。例えば、比(Cgd/Cgs)を低くできる。これにより、例えば、セルフターンオンが抑制できる。実施形態によれば、安定した動作を得ることができる半導体装置を提供できる。
【0030】
図1(b)に示すように、実施形態においては、第1導電部61の第2絶縁領域ir2の側の端の位置(X軸方向における位置)は、第2半導体領域sr2の第2絶縁領域ir2の側の端の位置(X軸方向における位置)と実質的に同じである。例えば、第1導電部61は、第2絶縁領域ir2と接している。第2半導体領域sr2は、第2絶縁領域ir2と接している。このため、キャリア領域10Eの生成が抑制されている領域は、第2絶縁領域ir2に接する。例えば、小さなドレイン電圧で、第2絶縁領域ir2に接する領域のキャリア領域の生成が抑制される。第3電極53に近い領域において、キャリア領域10Eが確実に抑制できる。
【0031】
一方、第2半導体領域sr2が第2絶縁領域ir2と接しており、第1導電部61が第2絶縁領域ir2から離れている第1参考例が考えられる。第1参考例においては、第1導電部61が第2絶縁領域ir2から離れている領域において、キャリア領域10Eが生じる。このため、キャリア領域10Eの抑制が不十分である。比(Cgd/Cgs)を十分に低くすることが困難である。
【0032】
第2半導体領域sr2が、第3電極53の第1部分53aに接し、第1導電部61と第1部分53aとの間に絶縁層が設けられる第2参考例が考えられる。第2参考例においても、第1導電部61と第1部分53aとの間の領域において、キャリア領域10Eが生じる。このため、キャリア領域10Eの抑制が不十分である。その結果、比(Cgd/Cgs)を十分に低くすることが困難である。
【0033】
実施形態においては、例えば、第1導電部61の第2絶縁領域ir2の側の端の位置が、第2半導体領域sr2の第2絶縁領域ir2の側の端の位置と実質的に同じである。これにより、第3電極53の近傍において、キャリア領域10Eを確実に抑制できる。比(Cgd/Cgs)を確実に低くできる。例えば、セルフターンオンが抑制できる。安定した動作が得られる。
【0034】
例えば、図1(b)に示すように、第2半導体領域sr2は、第2絶縁領域ir2に対向する端部sre2を含む。第1導電部61は、第2絶縁領域ir2に対向する端部61eを含む。端部sre2の第1方向(X軸方向)における位置は、端部61eの第1方向における位置と、実質的に同じである。図1(b)に示す例では、これらの位置の間の第1方向における距離は、実質的に0である。
【0035】
図2は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図2に示すように、実施形態に係る半導体装置111においては、第3電極53の第1部分53aの側面は、X-Y平面に対して傾斜している。半導体装置111におけるこれ以外の構成は、半導体装置110と同様である。
【0036】
後述するように、例えば、第1半導体層11及び第2半導体層12を含む半導体部材10に凹部(例えばトレンチ)が形成され、このトレンチに絶縁膜及び導電部材が形成されることで、第3電極53が形成される。この凹部の側面が傾斜すると、半導体装置111が形成される。凹部の側面がX-Y平面に対して実質的に垂直であると、半導体装置110が形成される。
【0037】
凹部の側面の傾斜に伴って、端部sre2の第1方向(X軸方向)における位置が、端部61eの第1方向における位置からシフトしても良い。このシフト量は、非常に小さく、実用的には無視できる。
【0038】
図2に示すように、例えば、第2半導体領域sr2の端部sre2の第1方向(X軸方向)における位置と、第1導電部61の端部61eの第1方向における位置と、の間の第1方向に沿う距離を第1距離d1とする。第1距離d1は、例えば、第2絶縁領域ir2の第1方向(X軸方向)に沿う第2絶縁領域厚さtir2よりも短い。これにより、キャリア領域10Eが実用的に抑制できる。比(Cgd/Cgs)を実用的に低くできる。実用的に安定した動作が得られる。
【0039】
例えば、第1距離d1は、第2絶縁領域厚さtir2の1/2以下であることが好ましい。これにより、キャリア領域10Eをより確実に抑制できる。比(Cgd/Cgs)をより確実に低くできる。
【0040】
図1(b)に示す例(半導体装置110)においては、第1距離d1は0である。
【0041】
図1(b)及び図2に示すように、第1部分53aと第2半導体領域sr2との間の第1方向に沿う距離を距離dsr2とする。第1部分53aと第1導電部61との間の第1方向に沿う距離を距離d61とする。距離dsr2は、距離d61と実質的に同じである。例えば、距離dsr2と距離d61との差は、第2絶縁領域厚さtir2の1/2以下であることが好ましい。この差は、第2絶縁領域厚さtir2の1/4以下でも良い。
【0042】
図1(a)及び図1(b)に示すように、半導体装置110は、第2導電部62をさらに含む。第2導電部62は、第1電極51と電気的に接続される。図1(a)に示すように、この例では、第2導電部62は、配線72(例えば導電部材)により、第1電極51と電気的に接続される。配線72は、図1(a)に例示する断面の位置ではなく、別の位置に設けられても良い。図1(a)は、配線72の接続関係を例示しており、配線72の空間的な位置は、図1(a)と異なっても良い。
【0043】
図1(b)及び図2に示すように、第3電極53は、第3部分53cをさらに含む。第3部分53cは、第1部分53aと連続する。第1方向(X軸方向)における第3部分53cの位置は、第1方向における第1電極51の位置と、第1方向における第1部分53aの位置との間にある。第1部分53aのX軸方向における位置は、第3部分53cのX軸方向における位置、第2部分53bのX軸方向における位置と、の間にある。
【0044】
第3部分53cは、例えば、第3電極53の別の突出部分である。この突出部分は、第1部分53aから第1電極51に向かって突出する。
【0045】
図1(b)及び図2に示すように、第2導電部62の少なくとも一部は、第2方向(例えばZ軸方向)において、第1半導体領域sr1の少なくとも一部と、第3部分53cと、の間にある。第2導電部62の少なくとも一部は、第2方向(例えばZ軸方向)において、第1半導体領域sr1の少なくとも一部、及び、第3部分53cと重なる。
【0046】
第1絶縁層41は、第2絶縁部分ip2を含む。第2絶縁部分ip2は、第2方向(例えば軸方向)において、第1半導体領域sr1の上記の少なくとも一部と、第2導電部62の上記の少なくとも一部と、の間にある。
【0047】
第2絶縁層42は、第3絶縁領域ir3及び第4絶縁領域ir4を含む。第3絶縁領域ir3は、第2方向(例えばZ軸方向)において、第2導電部62の上記の少なくとも一部と、第3部分53cと、の間にある。
【0048】
第4絶縁領域ir4は、第1方向(X軸方向)において、第1部分53aと第2導電部62との間にある。例えば、第4絶縁領域ir4は、第1方向において、第1部分53aと第2絶縁部分ip2との間にある。例えば、第4絶縁領域ir4は、第1方向において、第1部分53aと第1半導体領域sr1との間にある。
【0049】
第2導電部62により、例えば、ゲート-ソース間の容量Cgsが大きくなる。例えば、比(Cgd/Cgs)が低くできる。セルフターンオンが抑制できる。
【0050】
図1(b)及び図2に示すように、第1半導体領域sr1は、第4絶縁領域ir4に対向する端部sre1を含む。第2導電部62は、第4絶縁領域ir4に対向する端部62eを含む。第1半導体領域sr1の端部sre1の第1方向(X軸方向)における位置と、第2導電部62の端部62eの第1方向における位置と、の間の第1方向に沿う距離を第2距離d2とする。第2距離d2は、例えば、実質的に0でも良い。第2距離d2は、例えば、第4絶縁領域ir4の第1方向に沿う第4絶縁領域厚さtir4さよりも短い。
【0051】
例えば、第1電極51と第3電極53との間の領域(第3電極53に近い領域)において、キャリア領域10Eを抑制し易い。
【0052】
例えば、第2距離d2は、第4絶縁領域厚さtir4の1/2以下であることが好ましい。キャリア領域10Eを抑制し易くなる。
【0053】
例えば、第1部分53aと第1半導体領域sr1との間の第1方向(X軸方向)に沿う距離を距離dsr1とする。第1部分53aと第2導電部62との間の第1方向に沿う距離を距離d62とする。距離dsr1は、距離d62と実質的に同じである。例えば、距離dsr1と距離d62との差は、第4絶縁領域厚さtir4の1/2以下であることが好ましい。この差は、第4絶縁領域厚さtir4の1/4以下でも良い。キャリア領域10Eを抑制し易くなる。
【0054】
図1(b)及び図2に示すように、第2絶縁層42は、部分42aを含む。部分42aは、第3部分領域11cと第1部分53aとの間に設けられる。第2絶縁層42の部分42aは、例えば、ゲート絶縁膜として機能する。これにより、例えば、しきい値電圧を高くできる。例えば、ノーマリオフ動作が安定して得られる。
【0055】
第2絶縁層42の部分42aは、第1方向(X軸方向)において、第1半導体層11に対向しても良い。第3電極53の第1部分53aの一部から第2半導体層12への方向は、第1方向(X軸方向)に沿う。第1部分53aの一部から第1半導体層11の一部への方向が、第1方向に沿っても良い。
【0056】
第2絶縁層42は、第5絶縁領域ir5及び第6絶縁領域ir6を含んでも良い。第1導電部61は、第1方向(X軸方向)において、第2絶縁領域ir2と第5絶縁領域ir5との間にある。第2導電部62は、第1方向(X軸方向)において、第4絶縁領域ir4と第6絶縁領域ir6との間にある。第2方向(Z軸方向)において、第1絶縁層41の第1絶縁部分ip1は、第2半導体領域sr2と第5絶縁領域ir5との間にある。第2方向において、第1絶縁層41の第2絶縁部分ip2は、第1半導体領域sr1と第6絶縁領域ir6との間にある。
【0057】
第1絶縁層41は、例えば、シリコン及び窒素を含む。第2絶縁層42は、例えば、シリコン及び酸素を含む。第1絶縁層41における窒素の濃度は、第2絶縁層42における窒素の濃度よりも高い。第2絶縁層42における酸素の濃度は、第1絶縁層41における酸素の濃度よりも高い。
【0058】
図1(a)及び図2に示すように、半導体装置110及び111は、第3導電部63を含んでも良い。第3導電部63は、第1電極51と電気的に接続される。この例では、導電部材51La~51Lc(例えば、配線)が設けられている。これらの導電部材は、第1電極51及び第3導電部63と電気的に接続されている。第2方向(Z軸方向)において、第1電極51は、第1部分領域11aと導電部材51Laとの間にある。第2方向において、第3導電部63は、第1半導体層11と導電部材51Lcとの間にある。導電部材51Lbは、導電部材51Laを導電部材51Lcと接続する。第2方向(Z軸方向)において、第3電極53は、第3部分領域11cと導電部材51Lbとの間にある。
【0059】
この例では、導電部材53L(例えば、配線)が設けられている。導電部材53Lは、第3電極53と電気的に接続される。Z軸方向において、第1半導体層11と、導電部材53Lの少なくとも一部と、の間に、第3電極53がある。Z軸方向において、第3電極53と導電部材51Lbとの間に、導電部材53Lがある。
【0060】
例えば、第2方向(例えばZ軸方向)における第1導電部61の位置は、第2方向における第1半導体層11(例えば第5部分領域11e)の位置と、第2方向における第3導電部63の位置と、の間にある。
【0061】
第3導電部63により、電界の集中が抑制される。第3導電部63は、例えば、フィールドプレートとして機能する。
【0062】
この例では、第1導電部61の少なくとも一部は、第2方向(Z軸方向)において、第1半導体層11(例えば第5部分領域11e)と第3導電部63と、の間にある。例えば、第1導電部61の少なくとも一部は、第2方向(Z軸方向)において、第1半導体層11(例えば第5部分領域11e)及び第3導電部63と重なる。例えば、第1導電部61の一部は、Z軸方向において、第3電極53の第2部分53bと重なる。例えば、第1導電部61の別の一部は、Z軸方向において、第3導電部63と重なる。この例では、第2部分53bから第3導電部63への方向は、第1方向(X軸方向)に沿う。このような構成により、例えば、第2電極52(例えばドレイン電極)に高電圧を印加した時に、第1導電部61での電界集中が緩和できる。これにより、例えば、耐圧が向上する。
【0063】
図1(a)及び図2に示すように、半導体装置110及び111は、絶縁部材80を含む。図1(a)に示すように、絶縁部材80は、第1~第3層部分81~83を含んでも良い。例えば、第1~第3層部分81~83は、互いに連続している。第1~第3層部分81~83の間の境界は、明確でも良く、不明確でも良い。絶縁部材80は、シリコン酸化物、シリコン窒化物及びアルミニウム酸化物よりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0064】
例えば、第1絶縁層41と第3層部分83との間に、第2絶縁層42がある。第2絶縁層42と第3層部分83との間に、第1層部分81がある。第1層部分81と第3層部分83との間に、第2層部分82がある。例えば、Z軸方向において、第1層部分81の一部と、第2絶縁層42の第2絶縁領域ir2と、の間に、第3電極53の第2部分53bがある。Z軸方向において、第2層部分82の一部は、第1層部分81と導電部材51Lbとの間にある。導電部材51Lbは、第2層部分82と第3層部分83との間にある。絶縁部材80により、導電性の複数の部分が、互いに絶縁される。絶縁部材80により、導電性の部分が保護される。
【0065】
半導体装置110及び111において、第1導電部61が省略され、第2導電部62が設けられても良い。この場合、例えば、ゲート-ソース間の容量Cgsを大きくできる。比(Cgd/Cgs)を低くできる。例えば、セルフターンオンが抑制できる。安定した動作が得られる。
【0066】
以下、半導体装置110の製造方法の例について、説明する。
図3(a)~図3(f)は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する模式的断面図である。
これらの図においては、基体15及び中間層14は省略されている。
【0067】
図3(a)に示すように、第1半導体層11となる第1半導体膜11fの上に、第2半導体層12となる第2半導体膜12fが設けられている。この例では、第1コンタクト領域51R及び第2コンタクト領域52Rが設けられている。第2半導体膜12fの上、及び、これらのコンタクト領域の上に、第1絶縁層41となる絶縁膜41fが形成される。絶縁膜41fは、例えば、SiN膜である。この上に、導電膜60fが形成される。後述するように、導電膜60fは、第1導電部61及び第2導電部62となる。
【0068】
図3(b)に示すように、導電膜60fの上に、開口部を有するマスク層75(例えばレジスト層)を形成し、開口部を介して、導電膜60fの一部を除去する。これにより、第1導電部61及び第2導電部62が形成される。
【0069】
図3(c)に示すように、マスク層75をマスクとして用いて、絶縁膜41fの一部、第2半導体膜12fの一部、及び、第1半導体膜11fの一部を除去する。孔75h(例えばトレンチ)が形成される。孔75hの底部において、第1半導体膜11fが露出する。第1半導体層11及び第2半導体層12が形成される。
【0070】
図3(d)に示すように、第2絶縁層42となる絶縁膜42fを形成する。絶縁膜42fは、例えば、SiO膜である。
【0071】
図3(e)に示すように、孔75hの残り空間、及び、絶縁膜42fの上に、導電膜を形成し、その導電膜の上に、開口部を有するマスク層76(例えばレジスト層)を形成し、マスク層76をマスクとして用いて、その導電膜を加工する。これにより、第3電極53が形成される。
【0072】
図3(f)に示すように、マスク層76を除去する。この後、絶縁膜41f及び絶縁膜42fの一部を除去し、第1電極51及び第2電極52を形成する。その後、絶縁部材80及び第3導電部63などを形成することで、半導体装置110が形成される。
【0073】
上記の孔75hの形成において、孔75hの側面を傾斜させることで、半導体装置111が形成できる。
【0074】
上記の製造方法においては、第1導電部61(及び第2導電部62)の形成の後に、第3電極53が形成される。第3電極53の特性を安定化させるために、熱処理が行われる。この熱処理により、第1導電部61(及び第2導電部62)の特性が劣化しにくいことが好ましい。
【0075】
例えば、第1導電部61及び第2導電部62の少なくともいずれかは、ポリシリコン、WN及びTiNよりなる群から選択された少なくとも1つを含むことが好ましい。これらの材料の耐熱性は高い。熱処理による劣化が抑制できる。
【0076】
第3電極53は、例えば、Ti、W、WN及びTiNよりなる群から選択された少なくとも1つを含むことが好ましい。これらの材料は、耐熱性が高い。安定した特性が得やすい。
【0077】
導電部材53L(図1(a)参照)は、例えば、Al、Cu、TiN及びTiよりなる群から選択された少なくとも1つを含むことが好ましい。低い電気抵抗が得られる。
【0078】
第3導電部63(図1(a)参照)は、例えば、Al、Cu、TiN及びTiよりなる群から選択された少なくとも1つを含むことが好ましい。低い電気抵抗が得られる。
【0079】
導電部材51La~51Lc(図1(a)参照)は、Cu、Al、TiN及びTiよりなる群から選択された少なくとも1つを含むことが好ましい。低い電気抵抗が得られる。
【0080】
第1電極51及び第2電極52(図1(a)参照)は、例えば、Al及びTiよりなる群から選択された少なくとも1つを含むことが好ましい。これにより、例えば、接触抵抗を低くすることができる。
【0081】
図4は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図4に示すように、実施形態に係る半導体装置112においては、第3導電部63のZ軸方向における位置が、半導体装置110におけるそれとは異なる。半導体装置112におけるそれ以外の構成は、半導体装置110と同様である。
【0082】
半導体装置112においては、第2方向(Z軸方向)における第2部分53bの位置は、第2方向における第1半導体層11(例えば第5部分領域11e)の位置と、第2方向における第3導電部63の位置と、の間にある。例えば、導電部材53Lから第3導電部63への方向は、第1方向(X軸方向)に沿う。このように、第3導電部63の位置は、変更が可能である。
【0083】
半導体装置112においても、比(Cgd/Cgs)を低くできる。例えば、セルフターンオンが抑制できる。安定した動作が得られる。半導体装置112において、第3電極53の側面が、X-Y平面に対して傾斜しても良い。
【0084】
(第2実施形態)
図5(a)及び図5(b)は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図5(b)は、図5(a)の一部を拡大して示している。
【0085】
図5(a)に示すように、実施形態に係る半導体装置120は、第1電極51、第2電極52、第3電極53、第1半導体層11、第2半導体層12、第1導電部61、第1絶縁層41及び第2絶縁層42を含む。半導体装置120において、第1導電部61の形状が、半導体装置110におけるそれとは異なる。半導体装置120におけるそれ以外の構成は、半導体装置110と同様である。
【0086】
図5(b)に示すように、半導体装置120において、第1導電部61は、第1導電部分61a、第2導電部分61b及び第3導電部分61cを含む。第2導電部分61bは、第2方向(例えばZ軸方向)において、第1絶縁部分ip1と第1導電部分61aとの間にある。第3導電部分61cから第1導電部分61aへの方向は、第1方向(X軸方向)に沿う。
【0087】
第2導電部分61bと第1半導体層11(例えば第5部分領域11e)との間の第2方向(例えばZ軸方向)に沿う距離は、第3導電部分61cと第1半導体層11(例えば第5部分領域11e)との間の第2方向(例えばZ軸方向)に沿う距離よりも短い。
【0088】
第2導電部分61bは、第1導電部61の突出部である。この突出部は、第1半導体層11に向かって、他の部分から突出する。
【0089】
このような第1導電部61により、比(Cgd/Cgs)をより低くできる。例えば、セルフターンオンをより抑制できる。安定した動作が得られる。
【0090】
図5(b)に示すように、この例では、第1導電部61は、第4導電部分61dをさらに含む。第1導電部分61aは、第1方向(X軸方向)において、第3導電部分61cと第4導電部分61dとの間にある。第2導電部分61bの第1方向(X軸方向)における位置は、第3導電部分61cの第1方向における位置と、第4導電部分61dの第1方向における位置と、の間にある。第2導電部分61bと第1半導体層11(例えば第5部分領域11e)との間の第2方向(Z軸方向)に沿う距離は、第4導電部分61dと第1半導体層11(例えば第5部分領域11e)との間の第2方向に沿う距離よりも短い。例えば、第1導電部61の突出部(第2導電部分61b)を安定した形状で形成し易くなる。例えば、比(Cgd/Cgs)を安定して低くできる。例えば、セルフターンオンを安定して抑制できる。安定した動作が得易くなる。
【0091】
この例では、第2絶縁層42は、第5絶縁領域ir5を含む(図5(b)参照)。第1導電部分61aは、第1方向(X軸方向)において、第2絶縁領域ir2と第5絶縁領域ir5との間にある。第2導電部分61bは、第1方向において、第1絶縁層41と対向する。例えば、突出部(第2導電部分61b)は、第1絶縁層41に埋め込まれている。
【0092】
第1絶縁部分ip1は、第2方向(Z軸方向)において第2導電部分61bに対向する。第1絶縁部分ip1の一部ipp1は、第1方向(軸方向)において、第2半導体層12の一部に対向する。第1絶縁部分ip1の一部ipp1は、第1絶縁層41の下方向への突出部である。
【0093】
このような形状は、例えば、第1絶縁層41に凹部(例えばトレンチ)を形成し、その凹部の中、及び、第1絶縁層41の上に、第1導電部61となる導電膜60f(例えば、図3(a)参照)を形成することで得られる。
【0094】
図6は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図6に示すように、実施形態に係る半導体装置121においては、第3導電部63のZ軸方向における位置が、半導体装置120におけるそれとは異なる。半導体装置121におけるそれ以外の構成は、半導体装置120と同様である。
【0095】
半導体装置121においては、第2方向(Z軸方向)における第2部分53bの位置は、第2方向における第1半導体層11(例えば第5部分領域11e)の位置と、第2方向における第3導電部63の位置と、の間にある。例えば、導電部材53Lから第3導電部63への方向は、第1方向(X軸方向)に沿う。このように、第3導電部63の位置は、変更が可能である。
【0096】
半導体装置121においても、比(Cgd/Cgs)を低くできる。例えば、セルフターンオンが抑制できる。安定した動作が得られる。
【0097】
半導体装置120及び121において、第3電極53の側面が、X-Y平面に対して傾斜しても良い。
【0098】
半導体装置120及び121においては、第2導電部62が設けられている。半導体装置120及び121においては、第2導電部62が省略されても良い。
【0099】
実施形態によれば、安定した動作を得ることができる半導体装置を提供することができる。
【0100】
本願明細書において、「電気的に接続される状態」は、複数の導電体が物理的に接してこれら複数の導電体の間に電流が流れる状態を含む。「電気的に接続される状態」は、複数の導電体の間に、別の導電体が挿入されて、これらの複数の導電体の間に電流が流れる状態を含む。
【0101】
本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
【0102】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、半導体装置に含まれる半導体層、電極、導電部及び絶縁層などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0103】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0104】
その他、本発明の実施の形態として上述した半導体装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての半導体装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0105】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0106】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0107】
10…半導体部材、 10E…キャリア領域、 11…第1半導体層、 11a~11e…第1~第5部分領域、 11f…第1半導体膜、 12…第2半導体層、 12f…第2半導体膜、 14…中間層、 15…基体、 41、42…第1、第2絶縁層、 41f、42f…絶縁膜、 42a…部分、 51~53…第1~第3電極、 51La~51Lc…導電部材、 51R、52R…第1、第2コンタクト領域、 53L…導電部材、 53a~53c…第1~第3部分、 60f…導電膜、 61~63…第1~第3導電部、 61a~61d…第1~第4導電部分、 61e、62e…端部、 71、72…配線、 75、76…マスク層、 75h…孔、 80…絶縁部材、 81~83…第1~第3層部分、 110、111、112、120、121…半導体装置、 d1、d2…第1、第2距離、 d61、d62…距離、 dsr1、dsr2…距離、 ip1、ip2…第1、第2絶縁部分、 ir1~ir6…第1~第6絶縁領域、 sr1、sr2…第1、第2半導体領域、 sre1、sre2…端部、 tir2…第2絶縁領域厚さ、 tir4…第4絶縁領域厚さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6