(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】評価プログラム、評価方法および評価装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0242 20230101AFI20231017BHJP
G06Q 20/06 20120101ALI20231017BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20231017BHJP
【FI】
G06Q30/0242
G06Q20/06 300
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2019106139
(22)【出願日】2019-06-06
【審査請求日】2022-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】517050880
【氏名又は名称】カレンシーポート株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 泰明
(72)【発明者】
【氏名】今村 健
(72)【発明者】
【氏名】由水 葵
(72)【発明者】
【氏名】杉井 靖典
【審査官】松野 広一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-146467(JP,A)
【文献】特開2010-039517(JP,A)
【文献】特開2001-306979(JP,A)
【文献】特開2019-029933(JP,A)
【文献】国際公開第2019/035459(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/148841(WO,A1)
【文献】特開2016-071657(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単位ごとに区別して電子通貨を管理し、複数の前記単位それぞれに複数のコンテンツを対応づけて発行した前記電子通貨の
分散台帳に示された取引経過における前記電子通貨の所有履歴に基づいて、前記電子通貨に対応付けられた前記コンテンツを評価し、
前記コンテンツの評価結果を出力する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする評価プログラム。
【請求項2】
前記評価する処理は、前記電子通貨の分散台帳に示された取引経過における前記電子通貨の所有履歴に基づいて、前記所有履歴が示す所有者の数に応じて評価する、
ことを特徴とする請求項
1に記載の評価プログラム。
【請求項3】
前記評価する処理は、前記電子通貨の分散台帳に示された取引経過における前記電子通貨の所有履歴に基づいて、前記所有履歴が示す所有者の属性に応じた重み付けを前記評価に行う、
ことを特徴とする請求項
1または2に記載の評価プログラム。
【請求項4】
前記評価する処理は、前記電子通貨の分散台帳に示された取引経過における前記電子通貨の所有履歴に基づいて、前記所有履歴が示す所有者が電子通貨を所有した時間に応じた重み付けを前記評価に行う、
ことを特徴とする請求項1乃至
3のいずれか一項に記載の評価プログラム。
【請求項5】
前記評価は、前記電子通貨の取引経過により当該電子通貨に対応付けられたコンテンツの広告費用である、
ことを特徴とする請求項1乃至
4のいずれか一項に記載の評価プログラム。
【請求項6】
複数の単位ごとに区別して電子通貨を管理し、複数の前記単位それぞれに複数のコンテンツを対応づけて発行した前記電子通貨の
分散台帳に示された取引経過における前記電子通貨の所有履歴に基づいて、前記電子通貨に対応付けられた前記コンテンツを評価し、
前記コンテンツの評価結果を出力する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする評価方法。
【請求項7】
複数の単位ごとに区別して電子通貨を管理し、複数の前記単位それぞれに複数のコンテンツを対応づけて発行した前記電子通貨の
分散台帳に示された取引経過における前記電子通貨の所有履歴に基づいて、前記電子通貨に対応付けられた前記コンテンツを評価する評価部と、
前記コンテンツの評価結果を出力する出力部と、
を有することを特徴とする評価装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、評価プログラム、評価方法および評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、利用者の所持する電子機器上に保存されて、商品の対価として利用可能な通貨として取引できる電子通貨が知られている。こうした電子通貨においては、一般に事前に法定通貨等でデポジットして入金された金額と同じ金額を価値として有する電子情報が与えられ、取引の際には当該金額から商品の価額を差し引いた値を残金として保存する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-97725号公報
【文献】特開2018-116578号公報
【文献】特開2018-195224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術では、電子通貨は商品やサービスへの対価として用いられるものであり、コンテンツを紐付けた電子通貨の流通によりコンテンツを伝搬させるような用途は想定されていなかった。このため、例えば、広告を紐付けた電子通貨を流通させた場合の広告効果を評価することは困難であるという問題がある。
【0005】
1つの側面では、電子通貨によるコンテンツの伝播を評価できる評価プログラム、評価方法および評価装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの案では、評価プログラムは、評価する処理と、出力する処理とをコンピュータに実行させる。評価する処理は、複数の単位ごとに区別して電子通貨を管理し、複数の単位それぞれに複数のコンテンツを対応づけて発行した電子通貨の取引経過に基づいて、電子通貨に対応付けられたコンテンツを評価する。出力する処理は、コンテンツの評価結果を出力する。
【発明の効果】
【0007】
1つの実施態様によれば、電子通貨によるコンテンツの伝播を評価できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態にかかる電子通貨システムの構成の一例を示す概念図である。
【
図2】
図2は、コンピュータ端末の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、表示手段の画面構成の一例を示す説明図である。
【
図4A】
図4Aは、電子通貨の額面の一例を示す説明図である。
【
図4B】
図4Bは、電子通貨のトークンを例示する説明図である。
【
図5】
図5は、実施形態にかかる電子通貨取引システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施形態にかかる評価装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、利用者情報DBの一例を示す説明図である。
【
図8】
図8は、実施形態にかかる評価装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、集計結果の出力画面例を示す説明図である。
【
図10】
図10は、電子通貨の取引経過の一例を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、実施形態にかかる評価プログラム、評価方法および評価装置を説明する。実施形態において同一の機能を有する構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。なお、以下の実施形態で説明する評価プログラム、評価方法および評価装置は、一例を示すに過ぎず、実施形態を限定するものではない。また、以下の各実施形態は、矛盾しない範囲内で適宜組みあわせてもよい。
【0010】
実施形態として、電子通貨を用いた電子通貨取引システムの構成の一例を
図1に示す。
図1に示すように、電子通貨取引システム100は、消費者たる利用者Pと、商品を販売する提供者たる加盟店Qと、電子通貨50の発行者あるいは配布者たる両替所(発行所)Rと、の各端末11P、11Q、11Rをネットワーク9で互いに接続することで構成される電子取引システムであり、電子通貨50を通貨として商品と取引可能な決済手段である。
【0011】
電子通貨取引システム100は、電子通貨50を所定の最小分割数に沿って分割可能な状態で発行するための通貨発行手段たる発行手段10と、利用者Pの端末11Pにインストールされて電子通貨50の残額を記憶するための記憶手段たるアプリ12とを有する。また、電子通貨取引システム100は、加盟店Qにおいてアプリ12を提示して商品を購入する際に、アプリ12から電子通貨50を引き出すとともに、引き出された電子通貨50と商品の価格との差額を電子通貨50の釣銭として支払う釣銭支払い手段20を有している。
【0012】
電子通貨取引システム100においては、電子通貨50は所謂ブロックチェーンと呼ばれる分散台帳方式で取引経過が記憶される。電子通貨50のブロックチェーンには、順序付けてリンクされた各ブロックにより、各取引の内容が取引記録として記憶される。例えば、各ブロックには、取引の日時を示すタイムスタンプとともに、電子通貨取引システム100において登録された利用者P、加盟店Qを識別する識別情報(ユーザ番号)による、取引における元の所有者と、新たな所有者の情報(所有履歴)が記憶される。したがって、リンクに沿って各ブロックを読み出すことで、取引による所有移転の経緯を調べることができる。
【0013】
また、電子通貨50は、本実施形態では代替可能性のあるファンジブルトークンと、代替不可能なノンファンジブルトークンとが組み合わされたコンポーザブルノンファンジブルトークンとして与えられる一連の文字コードで表される。このような電子通貨50の仕組みについては後に詳述する。ここで「ファンジブルトークン」とは、同一の規格の電子通貨50において代替可能な価値を有し、トークンが同一価値であるため互換性があるものを指す。一方、本実施形態における電子通貨50は、後述するように額面54として示される代替可能な価値に加えて、固有の代替不可能なコンテンツ51が価値として組み合わされたデータ構造となっているため、「ノンファンジブルトークン(NFT)」であると言える。
【0014】
また、電子通貨取引システム100は、ネットワーク9より電子通貨50の分散台帳(ブロックチェーン)を取得し、電子通貨50のブロックチェーンに記憶された電子通貨50の取引経過に基づいて、電子通貨50に対応付けられたコンテンツ51を評価する評価装置30を有している。
【0015】
電子通貨取引システム100を構成する各端末11P、11Q、11R、発行手段10および評価装置30は、パーソナルコンピュータなどのコンピュータ端末により実現される。
【0016】
図2は、コンピュータ端末の構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、コンピュータ200は、CPU(Central Processing Unit)201、通信装置202、メインメモリ203および記憶装置204を有する。また、CPU201、通信装置202、メインメモリ203および記憶装置204は、バス205に接続される。
【0017】
CPU201は、メインメモリ203に展開されたプログラム206に従って、データを加工・演算したり、コンピュータ200の動作を制御したりするものである。通信装置202は、外部機器やネットワーク9と接続する通信インターフェースなどである。メインメモリ203は、コンピュータ200の記憶領域としてはたらき、各機能を実現させるためのプログラム206やデータを記憶する。記憶装置204は、HDD(Hard Disk Drive)などであり、プログラム206を記憶する。
【0018】
CPU201は、記憶装置204に記憶されたプログラム206を読み出して、メインメモリ203に展開して実行することで、各種の処理を行う。例えば、評価装置30は、CPU201がプログラム206を実行することで、取得部35A、評価部35Bおよび出力部35C(
図6参照)として機能する。
【0019】
プログラム206は、記憶装置204に記憶されていなくてもよい。例えば、コンピュータ200が読み取り可能な記憶媒体に記憶されたプログラム206を、コンピュータ200が読み出して実行するようにしてもよい。コンピュータ200が読み取り可能な記憶媒体は、例えば、CD-ROMやDVD(Digital Versatile Disc)、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の可搬型記録媒体、フラッシュメモリ等の半導体メモリ、ハードディスクドライブ等が対応する。また、公衆回線、インターネット、LAN等に接続された装置にプログラム206を記憶させておき、コンピュータ200がこれらからプログラム206を読み出して実行するようにしてもよい。
【0020】
また、コンピュータ200は、かかる構成に限定されるものではなく、設計されるシステムの目的に合わせて適宜変更してよい。例えば、コンピュータ200は、利用者から操作情報等の各種情報の入力を受け付ける入力装置や、利用者に対して表示画面等の各種画面を表示する表示装置を有してもよい。
【0021】
電子通貨50は、
図3に示すように、分割可能な最小分割数がそれぞれ異なる複数の券種を有している。例えばこれらの券種は、法定通貨の紙幣や硬貨と同様の額面とすることができるし、全く異なる分割数であってもよい。
【0022】
ここでいう「分割可能な最小分割数」は券種に記載された額面54であって、アプリ12に記憶された電子通貨50の残額(所持額)からそれぞれの券種に対応した額面54の分だけ分割して支払い可能な数のことである。
【0023】
具体的には、アプリ12には、ウォレット内の所持額として各券種(10000円、5000円、500円、100円…)が表示される。例えば、アプリ12において、所持額の中から合計6000円の支払いを行うときには、最小分割数は1000円と5000円となる。かかる最小分割数は、発行手段10が発行した所定の券種毎に特有のものであって、発行するときに予め定められている。
【0024】
発行手段10は、任意の発行者からの指示に基づいて、電子通貨50を所定枚数、券種毎に定められた額面54に沿って発行するプログラムであってもよいし、当該プログラムに従って動作するコンピュータであってもよい。
【0025】
発行手段10は、
図4Aに示すように、絵や音楽等のデジタルデータとして製作されたデジタルコンテンツとしてのコンテンツ51と、
図4Bに示すように当該コンテンツ51のデジタルデータから導出されたハッシュ52と、発行者情報53と、券種毎に設定された固有の最小分割数たる額面54と、を含むデータ構造を有するトークンを電子通貨50として生成する。
【0026】
発行手段10は、かかるコンテンツ51に特有のハッシュ52をIPFS(Inter Planetary File System)のURIアドレスとして格納する。
【0027】
このように、電子通貨50は、額面54と、URIアドレスとが関連付けられることで、額面54とコンテンツ51とが1対1で対応した状態でネットワーク9上に保存されている。
【0028】
また、電子通貨50において、額面54と、コンテンツ51とが1対1で対応することから、コンテンツ51は、電子通貨50を用いた取引により電子通貨50が流通することで多くの利用者Pに伝播される。このため、企業、地域、クラブチーム等のロゴ、イメージキャラクター、関連する人物写真などをコンテンツ51として適用することで、電子通貨50の流通を利用した広告効果を期待することができる。なお、本実施形態では、「ハート」、「ダイヤ」、「スペード」、「クラブ」のロゴをコンテンツ51の一例としている。
【0029】
なお、発行手段10は、両替所Rの端末11Rが行ってもよいし、電子通貨取引システム100上の別の端末であってもよく、かかる配置については適宜システム設計に合わせて変更してよい。
【0030】
アプリ12には、利用者Pが保管する電子通貨50のそれぞれの券種が、額面54毎に保存されている。また、アプリ12は、電子通貨50のメタ・データ構造の中から、コンテンツ51の保管されたURIを取り出して当該URIを表示する表示機能を有している。
【0031】
なお、アプリ12には、利用者Pが有する電子通貨50のそれぞれのコンテンツ51を表示するようなUIとしても良いし、額面54のみを表示する形式としてもよく、アプリ12における電子通貨50の表示方法については限定されるものではない。
【0032】
また、アプリ12は、後述するような取引において、使用できない(残数がゼロとなった)券面の電子通貨50を残数が1以上の電子通貨50と比べて暗く表示するなど、使用可能か使用不可能かを明確に表示するとしてもよい。
【0033】
釣銭支払い手段20は、アプリ12等が加盟店Qにネットワーク9を介してつながる際に、商品の価格である対価55と、アプリ12において選ばれた単数あるいは複数の電子通貨50の額面54を確認する。
【0034】
釣銭支払い手段20は、電子通貨50を受け取ると、かかる電子通貨50の額面54の総和から、加盟店Qで販売した商品の対価55を差し引いて、かかる差引金額を釣銭として、電子通貨50のそれぞれの額面54に分解して支払う。
【0035】
釣銭支払い手段20は、かかる動作を行うように端末上に配置されたプログラムであってもよいし、かかるプログラムを利用して動作する端末であってもよい。最も好ましくは、加盟店Qの端末11Q上にインストールされたプログラムであり、アプリ12と通信によって情報をやり取り可能なプログラムである。
【0036】
なお、釣銭支払い手段20は、利用者Pの端末11P上にインストールされてもよい。この場合、利用者P同士の端末11Pによる電子通貨50を用いた取引での支払いに用いることができる。
【0037】
このような電子通貨取引システム100を用いて支払いを行い、釣銭を受け取る場合のシステムの動作について
図5を用いて説明する。
【0038】
まず、発行者からの依頼に基づいて、発行手段10が額面54の電子通貨50をトークンとして仮発行する(S101)。かかるS101は、電子通貨50の仮発行ステップであり、
図4Bに既に示したように、発行手段10が絵や音楽等のデジタルデータとして製作されたコンテンツ51と、当該コンテンツ51のデジタルデータから導出されたハッシュ52と、発行者情報53と、券種毎に設定された固有の最小分割数たる額面54と、を含むデータ構造を有するトークンを電子通貨50として生成する。
【0039】
ここで「トークン」とは例えば英数字や二進数等を用いて表現された一連のデータ構造であって、端末11間で送受信され、データ構造内部に埋め込まれた上述した情報を読み取り可能なデジタルデータを指す。
【0040】
本実施形態においては、コンテンツ51からハッシュ52を導出するとともに、かかるハッシュ52を「トークン」内に読み取り可能な情報として記録することを「紐づけ」と呼称する。言い換えれば発行手段10は、電子通貨50そのものであるデータ構造としての「トークン」と、デジタルコンテンツたるコンテンツ51と、を紐づけする定義付手段13を含んでいる。
【0041】
発行手段10は、コンテンツ51に特有のハッシュ52をIPFS(Inter Planetary File System)のURIアドレスとして格納する(S102)。このとき格納されるのは、ネットワーク9内であれば何処でもよいし、端末11Rをサーバーとして、端末11R上に配置してもよい。
【0042】
利用者Pが、法定通貨やその他金銭あるいは電子通貨によってデポジットを行うと、かかるデポジット金額によって定められた電子通貨50が、利用者Pのアプリ12に支払われて保存される(S103)。アプリ12は、かかるデポジットされた電子通貨50の残額を、額面54と当該額面54を有する電子通貨50の枚数として記憶する。
【0043】
アプリ12は、利用者Pが所有する電子通貨50から、
図4Bに示したようなメタ・データを読み取り、額面54とその枚数などを取得する(S104)。なお、かかるS104においてアプリ12は、コンテンツ51のアドレス等を読み取り、アプリ12のウォレット内の画面上に表示してもよい(
図3参照)。
【0044】
本実施形態のアプリ12上においては、利用者Pは電子通貨50の額面54と、枚数と、が確認できるようになっており、さらにかかる額面54と対応するコンテンツ51が確認できるようになっている。
【0045】
具体的には、アプリ12はS102においてURIアドレスとして格納されたハッシュ52から、コンテンツ51へとアクセスすることができる。このように、アプリ12は、額面54の異なる券種に対応したデジタルコンテンツを表示する表示手段としての機能を有している。
【0046】
また、このようなアプリ12は、一般には利用者Pの携帯端末である端末11Pにインストールされる態様であるから、かかる表示手段も一般的には携帯端末上に存在することとなるが、かかる構成に限定されるものではない。
【0047】
このような電子通貨50を所持する利用者Pが、加盟店Qにおいて電子通貨50を用いて商品の購入を行うときには、利用者Pの端末11Pと加盟店Qの端末11Qとの間でネットワーク9を介して通信を行う。このとき、端末11Qは決済手段として、商品の対価55を提示する(S105)。
【0048】
利用者Pは、アプリ12上において、端末11Qから提示された対価55に基づいて、額面54の合計値が対価55以上の数となるように支払いに使用する電子通貨50の券種を選択する(S106)。
【0049】
S105において支払われるべき券種が全て選択されると、アプリ12は電子通貨50を使用したものとして支払い情報を端末11Qへ送信し、支払い決済が行われる(S107)。
【0050】
S107における支払い決済処理は、アプリ12または端末11Qを介して電子通貨50のブロックチェーン上に取引記録が記録されるとともに、アプリ12において当該額面54の券種が指定の枚数だけ使用されたとみなす。
【0051】
すなわち、利用者Pの所持する電子通貨50の全金額のうち、支払いに用いられた電子通貨50については、S105で選択された券種のそれぞれに使用済のチェックが記録される。このときかかる端末11Qあるいはアプリ12は、商品の対価55に対して電子通貨50を支払うことで決済を行う決済手段としての機能を有している。
【0052】
釣銭支払い手段20は、購入した商品の価格である対価55の数字と、アプリ12において選ばれた単数あるいは複数の電子通貨50の額面54の合計を確認し、差額として釣銭を算出する(S108)。
【0053】
釣銭支払い手段20は、S107において算出された差額を端末11Qの有する複数の額面54の券種のうち何れかを用いてアプリ12に支払いを行う(S109)。
【0054】
このとき、端末11Qの所持する電子通貨50の中からどの券種(あるいはデジタルコンテンツ)を受け取るかを利用者Pがアプリ12を介して選択してもよいし、ランダムで配布されるとしてもよい。
【0055】
具体的には、対価55が3000円の商品を買う場合に、額面54が10000円の券種を用いて支払いを行うこととすれば、7000円分の電子通貨50を、1000円の額面54の券種2つと5000円の額面54の券種1つとを「釣銭」として支払う。
【0056】
すなわち、端末11Qは、S107において受信した支払い情報に示される電子通貨50の総量から、取引対象の対価55に対応する総量を差し引き、差分量がある場合、差分量をいずれの額面54の組み合わせで返還するかを決定して支払いに関する決済処理を行う処理部としての機能を有している。
【0057】
このように釣銭の支払いが行われると、釣銭支払い手段20はかかる電子通貨50の取引をブロックチェーン上に記録する(S110)。アプリ12は支払われた「釣銭」として受け取った券種について、コンテンツ51を取得して表示する。
【0058】
アプリ12は他の取引の有無について確認を行い(S111)、他の取引が生じた場合にはS104に戻って同様の処理をサブルーチンとして繰り返す。
【0059】
以上、最も基本的な電子通貨50を用いた商品の取引方法について述べたが、かかる支払いは、サービスの対価として支払われるものであってもよい。
【0060】
このように、額面54に対してデジタルコンテンツたるコンテンツ51が紐づいていることとすれば、例えば両替所Rは自身の著作物(例えばロゴ、イメージキャラクター、人物写真など)を用いて自由にデジタルコンテンツと紐づけられた電子通貨50を発行することが可能となる。
【0061】
また、電子通貨50にはその内部にハッシュ52がデータ構造として含まれているから、コンテンツ51と紐づいた形で記憶される。さらに、コンテンツ51がハッシュ52に基づいて導出されるURI上に配置されるから、かかる電子通貨50の特定の券種を表す一連のデータによってコンテンツ51を入手することができる。
【0062】
さらに、ハッシュ52の元となる電子通貨50のデータ構造の中には、発行者の情報である発行者情報53が含まれているから、コンテンツ51の偽造を抑制することができる。
【0063】
さて、従来の仮想通貨等の電子通貨取引システムにおいては、対価と同じだけの電子通貨を支払うことが前提であった。しかしながら、本実施形態においては、釣銭支払い手段20を有することによって、単にデジタルデータのやり取りによって商品またはサービスの提供を得るのみならず、「釣銭」を受け取ることで、所持していなかった電子通貨50の券種についても取引を介して得ることが可能となる。
【0064】
言い換えると、本実施形態においては、電子通貨取引システム100は利用者Pと加盟店Qとの間の取引または利用者P同士の取引において、商品(またはサービス)の対価55の支払いにあたり、対価55と支払う額面54とが不均衡かつ額面54の方が大きい第1の取引をまず行う。次いで、第1の取引における対価55と額面54との差額を釣銭として支払う第2の取引を行うことで、第1の取引によって生じた不均衡を解消する。
【0065】
このように、コンテンツ51と額面54とを紐づけた上で、電子通貨50において現金決済と同様に『釣銭』を算出するための釣銭支払い手段20を備えることによれば、電子通貨50自体に蒐集性の付加価値を生ずることができる。さらに、かかる蒐集性によって電子通貨50を用いた取引を活発にさせる効果を奏する。
【0066】
本実施形態においては、電子通貨50は利用者Pと、商品またはサービスを取り扱う加盟店Qとの間で商品の対価55として取引可能な電子通貨である。この電子通貨50は、額面54で指定される最小分割数によって分割可能な複数の券種を有し、券種のそれぞれに電子通貨50と対応したコンテンツ51が関連付けられている。
【0067】
また本実施形態においては、券種には、それぞれに割り当てられるハッシュ52と、ハッシュ52を含むURI上に格納されたデジタルコンテンツとしてコンテンツ51とが与えられる。
【0068】
かかる構成により、コンテンツ51と額面54とを紐づけられるから、電子通貨50に蒐集性を付加出来て、電子通貨50を用いた取引を活発化させることができる。また、電子通貨50を用いた取引により電子通貨50が流通することで、電子通貨50は、多くの利用者Pに伝播される。このため、企業、地域、クラブチーム等のロゴ、イメージキャラクター、関連する人物写真などをコンテンツ51として適用することで、電子通貨50の流通を利用した広告効果を期待することができる。
【0069】
また、本実施形態においては、電子通貨50はコンテンツ51のハッシュ52を基礎とするチェックディジットが含まれる。かかる構成により、発行者以外の発行者情報を持つ電子通貨50を弾くことができることから、電子通貨50の偽造を抑制する。
【0070】
また本実施形態においては、発行手段10は額面54をコンテンツ51に紐づけるための定義付手段13を含んでいる。かかる構成により、定義付手段13により額面54とコンテンツ51とがハッシュ52等を用いて紐づけされるから、電子通貨50がコンテンツ51を含む形で配布され、電子通貨50にコレクション性を付与することができる。
【0071】
また本実施形態においては、電子通貨50を所有者それぞれについて識別可能な資産として分散型台帳に記録するための記録手段を有する。かかる構成により、電子通貨50をブロックチェーン上に記録することができるから、改ざん防止等に寄与する。
【0072】
また本実施形態においては、アプリ12は、利用者Pの所持する電子通貨50を券種の額面54ごとに記録する表示手段としての機能を有している。かかる構成により、同一の額面54を持つ電子通貨50をファンジブルトークンとして扱うことができる。
【0073】
また本実施形態においては、券種を額面54毎に表示する表示手段としてのアプリ12を有し、アプリ12は、利用者Pの所持する券種の数量がゼロになったとき、当該券種に紐づけられたコンテンツ51を、数量が1以上の券種に紐づけられたコンテンツ51とは識別可能に表示する。
【0074】
かかる構成により、アプリ12において、消費した券種と、未だ消費していない券種とが明示できるので、例えばコンテンツ51を釣銭として受け取る場合に券種や額面54の選択をしやすくすることができる。
【0075】
また本実施形態においては、アプリ12は、電子通貨50の券種のうち、支払いに使用可能な券種として、アプリ12において利用者Pの所有する数量が1以上の券種を操作対象として表示する。かかる構成により、所持していない券種について支払うことができなくなる。
【0076】
次に、評価装置30について詳細に説明する。
図6は、実施形態にかかる評価装置30の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0077】
図6に示すように、評価装置30は、通信部31と、表示部32と、操作部33と、記憶部34と、制御部35とを有する。なお、評価装置30は、
図6に示す機能部以外にも既知のコンピュータが有する各種の機能部、例えば音声出力デバイス等の機能部を有することとしてもかまわない。
【0078】
通信部31は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。通信部31は、ネットワーク9などを介して他の情報処理装置(例えば端末11)と有線または無線で接続され、制御部35の制御のもとで他の情報処理装置と通信を行う通信インターフェースである。通信部31は、例えば、ネットワーク9を介して他の情報処理装置から電子通貨50に関するブロックチェーンを受信する。
【0079】
表示部32は、各種情報を表示するための表示デバイスである。表示部32は、例えば、表示デバイスとして液晶ディスプレイ等によって実現される。表示部32は、制御部35から入力された表示画面等の各種画面を表示する。
【0080】
操作部33は、評価装置30のユーザから各種操作を受け付ける入力デバイスである。操作部33は、例えば、入力デバイスとして、キーボードやマウス等によって実現される。操作部33は、ユーザによって入力された操作を操作情報として制御部35に出力する。なお、操作部33は、入力デバイスとして、タッチパネル等によって実現されるようにしてもよく、表示部32の表示デバイスと、操作部33の入力デバイスとは、一体化されるようにしてもよい。
【0081】
記憶部34は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、ハードディスクや光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部34は、例えば、利用者情報DB34Aを記憶する。利用者情報DB34Aは、電子通貨取引システム100において利用が登録された利用者Pや加盟店Qなどに関する利用者情報を管理するデータベースである。
【0082】
図7は、利用者情報DB34Aの一例を示す説明図である。
図7に示すように、利用者情報DB34Aは、利用者P、加盟店Q各々の利用者情報について、例えば利用者P、加盟店Qを識別するユーザ番号ごとに、「種別」、「性別」、「年齢」等の利用者P、加盟店Qの属性を示す情報を記憶する。「種別」は、利用者P、加盟店Qのいずれであるかを示す。「性別」は、利用者Pが男性であるか女性であるかを示す。「年齢」は、利用者Pの年齢を示す。これらの情報は、電子通貨取引システム100における利用者P、加盟店Qの利用登録時において予め利用者情報DB34Aに登録される。
【0083】
制御部35は、評価装置30の動作を制御する処理部であり、CPU201がメインメモリ203に展開したプログラム206を実行する(
図2参照)ことにより実現される。制御部35は、取得部35Aと、評価部35Bと、出力部35Cとを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部35の内部構成は、
図7に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。
【0084】
取得部35Aは、電子通貨50それぞれの取引経過を取得する処理部である。具体的には、取得部35Aは、ネットワーク9に接続する他の情報処理装置より、所謂ブロックチェーンと呼ばれる分散台帳方式で記憶される電子通貨50の取引経過を取得する。取得部35Aは、電子通貨50それぞれの取引経過を示すブロックチェーンを評価部35Bに出力する。
【0085】
評価部35Bは、電子通貨50それぞれについて、取得部35Aが取得した電子通貨50の取引経過に基づいて、電子通貨50に対応付けられたコンテンツ51を評価する処理部である。
【0086】
具体的には、評価部35Bは、電子通貨50における「トークン」より電子通貨50に対応付けられたコンテンツ51を特定する。次いで、評価部35Bは、電子通貨50の取引経過を示すブロックチェーンを解析し、電子通貨50が渡った利用者P(加盟店Qを含む)と、利用者Pが電子通貨50を所有していた所有時間を特定する。
【0087】
例えば、評価部35Bは、ブロックチェーンのリンクに沿って各ブロックにおける取引内容を読み出し、取引における元の所有者と、新たな所有者の情報(所有履歴)をもとに、所有者の移転経緯を特定する。また、評価部35Bは、各ブロックのタイムスタンプをもとに、取引間において電子通貨50が所有された所有時間を特定する。
【0088】
次いで、評価部35Bは、電子通貨50について特定した所有履歴をもとに、例えば電子通貨50が渡った人数を、電子通貨50に対応付けられたコンテンツ51の伝播を示す評価結果とする。また、評価部35Bは、電子通貨50について特定した所有時間を、電子通貨50に対応付けられたコンテンツ51の伝播を示す評価結果としてもよい。また、評価部35Bは、コンテンツ51の伝播に応じた人数と広告効果が比例するものとみなし、コンテンツ51の伝播に対応した広告費(例えば電子通貨50の所有人数×一人あたりの費用)を評価結果としてもよい。
【0089】
また、評価部35Bは、上記の評価結果において、電子通貨50の所有者の属性に応じた重み付けや、所有時間に応じた重み付けを行ってもよい。例えば、電子通貨50に対応付けられたコンテンツ51が所定の属性を有する所有者を対象としている場合には、所定の属性について重み値を大きくし、他の属性については重み値を小さくして評価してもよい。また、電子通貨50の所有時間が長いほど電子通貨50に対応付けられたコンテンツ51の所有者に対する影響度が大きいことから、所有時間の長さに応じた重み付けを行ってもよい。
【0090】
具体的には、評価部35Bは、ブロックチェーンの各ブロックに示された所有者を示すユーザ番号をもとに、利用者情報DB34Aを参照して所有者の属性を特定する。次いで、評価部35Bは、特定した属性に応じて、評価結果への重み付けを行う。例えば、評価部35Bは、広告費を計算する際の一人あたりの費用について、所有者の属性に応じた重み値をかけ合わせてもよい。
【0091】
一例として、評価部35Bは、電子通貨50の所有者が加盟店Qである場合には評価から除くように重み値0を掛け合わせ、広告費の評価対象を利用者Pの人数(加盟店Qを除く)としてもよい。また、評価部35Bは、電子通貨50に対応付けられたコンテンツ51が所定の属性(例えば、女性、男性、年代など)を有する所有者を対象とする場合には、所定の属性について重み値を大きくし、他の属性については重み値を小さくしてもよい。
【0092】
また、電子通貨取引システム100においては、同じコンテンツ51が対応付けられた電子通貨50が複数出回ることから、評価部35Bは、コンテンツ51ごとに評価結果を集計してもよい。制御部35は、上記のようにして得られたコンテンツ51の評価結果を制御部35へ出力する。
【0093】
出力部35Cは、評価部35Bの評価結果の出力を行う処理部である。具体的には、出力部35Cは、評価部35Bの評価結果を表示部32の表示画面などに表示して出力する。なお、出力部35Cにおける出力は、表示部32の表示画面への表示だけでなく、ファイル出力や印字出力などであってもよい。
【0094】
図8は、実施形態にかかる評価装置30の動作の一例を示すフローチャートである。
図8に示すように、処理が開始されると、評価装置30は、電子通貨50ごとのループ処理を行い(S201~207)、各電子通貨50に対応付けられたコンテンツ51の評価結果を得る。
【0095】
具体的には、ループ処理が開始されると(S201)、評価部35Bは、電子通貨50における「トークン」より電子通貨50に紐付くコンテンツ51を特定する(S202)。
【0096】
次いで、評価部35Bは、電子通貨50の分散台帳(ブロックチェーン)を取得部35Aより取得する(S203)。次いで、評価部35Bは、分散台帳(ブロックチェーン)からリンクに沿って各ブロックにおける取引内容を読み出し、取引経過を取得する(S204)。
【0097】
次いで、評価部35Bは、ブロックチェーンの各ブロックに示されたユーザ番号をもとに、電子通貨50の各取引に関する所有者の利用者情報(属性)を利用者情報DB34Aより取得する(S205)。
【0098】
次いで、評価部35Bは、電子通貨50のブロックチェーンに基づき、電子通貨50が渡った利用者P(人数)、所有時間などを、1つの電子通貨50に紐付くコンテンツ51の評価として内部メモリなどに記録する(S206)。このとき、評価部35Bは、S205において取得した、電子通貨50の所有者の属性に応じた重み付けを行う。
【0099】
上記のループ処理を発行した複数の電子通貨50それぞれに行った後(S207)、評価部35Bは、コンテンツ51ごとに内部メモリに記録した評価を集計する(S208)。例えば、評価部35Bは、コンテンツ51ごとに、対応する電子通貨50の所有者の総人数(閲覧数)、所有時間の平均値、閲覧数に応じた広告費などを集計する。
【0100】
次いで、出力部35Cは、評価部35Bによるコンテンツ51ごとの評価の集計結果を表示部32の表示画面などに出力し(S209)、処理を終了する。
【0101】
図9は、集計結果の出力画面例を示す説明図である。
図9に示すように、出力部35Cは、「ハート」、「ダイヤ」、[スペード」、「クラブ」…などのコンテンツ51ごとに、電子通貨50が渡った人数301、その所有時間302、閲覧数に応じた広告費303などの集計結果を出力画面300に表示する。
【0102】
具体的には、電子通貨50が渡った人数301としては、コンテンツ51に対応する電子通貨50を所有した所有者の総人数の他、総人数に占める属性ごとの割合(人数の内訳)を表示してもよい。これにより、流通する電子通貨50に紐付けられたコンテンツ51を閲覧した人の総人数や、総人数に対する属性ごとの内訳などを容易に知ることができる。また、人数301については、所定の属性(広告効果のある属性)を有する所有者の人数を評価対象の人数として表示してもよい。例えば、評価対象の人数としては、加盟店Qが所有者である場合を除いた人数を表示してもよい。
【0103】
また、所有時間302としては、総数に対する平均値の他、1日以下、一週間内、一週間以上などの区分ごとの割合を表示してもよい。これにより、流通する電子通貨50に紐付けられたコンテンツ51が利用者Pの目に触れる期間、すなわちコンテンツ51が各利用者Pに与える影響度を容易に知ることができる。
【0104】
図10は、電子通貨50の取引経過の一例を説明する説明図である。
図10に示す取引経過の例において、コンテンツ51が対応付けられた電子通貨50は、発行所R1より利用者P1に発行される(S301)。これにより、電子通貨50の最初の所有者は利用者P1となる。
【0105】
次いで、電子通貨50は、利用者P1、P2の取引により利用者P2に対して送金される(S302)。これにより、利用者P2が電子通貨50の新たな所有者となる。
【0106】
次いで、電子通貨50は、利用者P2、加盟店Qの取引により加盟店Qに対して支払われる(S303)。これにより、加盟店Qが電子通貨50の新たな所有者となる。
【0107】
次いで、電子通貨50は、加盟店Q、利用者P3との間の取引において、釣り銭としての加盟店Qからの支払いや(S304)、対価としての利用者P3からの支払により(S305)、加盟店Q→利用者P3→加盟店Qのように所有者が移転する。次いで、加盟店Qが電子通貨50の換金依頼を発行所R1に行うことで、電子通貨50が償却される(S306)。
【0108】
このように、電子通貨50は、発行から償却までの期間において、複数の取引を経て多くの利用者P、加盟店Qの間を流通することとなる。図示例では、電子通貨50は、利用者P1→利用者P2→加盟店Q→利用者P3→加盟店Qの順に流通している。この電子通貨50の流通により、電子通貨50に対応付けられたコンテンツ51は、多くの利用者Pに伝播される。
【0109】
したがって、評価装置30は、電子通貨50の取引経過に基づく評価を行うことで、電子通貨50に対応付けられたコンテンツ51の伝播を評価することができる。例えば、評価装置30は、電子通貨50の取引過程において電子通貨50が渡った人数を求め、電子通貨50に対応付けられたコンテンツ51の広告費を求めてもよい。
図10の例では、加盟店Qを除いた利用者P1~P3の3人分を広告効果があった人数とし、3人×(一人あたりの広告費)としてコンテンツ51の広告費を求めてもよい。
【0110】
以上のように、評価装置30は、評価部35Bと、出力部35Cとを有する。評価部35Bは、複数の単位ごとに区別して電子通貨50を管理し、複数の単位それぞれに複数のコンテンツ51を対応づけて発行した電子通貨50の取引経過に基づいて、電子通貨50に対応付けられたコンテンツ51を評価する。出力部35Cは、評価部35Bによるコンテンツ51の評価結果を、例えば表示部32に出力する。このように、評価装置30は、電子通貨50の取引経過に基づく評価により、電子通貨50が流通することによる、電子通貨50に対応付けられたコンテンツ51の伝播を評価することができる。
【0111】
また、評価部35Bは、電子通貨50の分散台帳(ブロックチェーン)に示された取引経過における電子通貨50の所有履歴に基づいて電子通貨50に対応付けられたコンテンツ51を評価する。このように、評価装置30は、電子通貨50のブロックチェーンをもとにコンテンツ51の伝播を評価することができる。
【0112】
また、評価部35Bは、電子通貨50のブロックチェーンをもとに、電子通貨50の所有履歴が示す所有者の数(例えば人数)に応じて評価する。これにより、評価装置30は、電子通貨50に対応付けられたコンテンツ51が伝播した数(例えば人数)に対応する評価結果を得ることができる。
【0113】
また、評価部35Bは、電子通貨50の所有履歴に基づいたコンテンツ51の評価において、利用者情報DB34Aに記憶された所有者の属性に応じた重み付けを行う。これにより、評価装置30は、例えば電子通貨50の所有者が利用者Pまたは加盟店Qのいずれであるか、男性または女性であるか、どの世代に属するかなどの所有者の属性に応じて評価を変えることができる。一例として、加盟店Q側への伝播を考慮しない場合、電子通貨50の所有者が加盟店Qであるときは重みを0としてもよい。また、女性をターゲットとしたコンテンツ51の伝播を評価する場合電子通貨50の所有者が女性であるときは重みを大きくし、電子通貨50の所有者が男性であるときは重みを小さく(例えば0)してもよい。
【0114】
また、評価部35Bは、電子通貨50の所有履歴に基づいたコンテンツ51の評価において、タイムスタンプなどの情報をもとに所有者が電子通貨50を所有した時間(所有時間)に応じた重み付けを行う。これにより、評価装置30は、所有者による電子通貨50の所有時間の長短に応じて評価を変えることができる。一例として、電子通貨50の所有時間が長いほど所有者に対するコンテンツ51の影響が大きいものとし、評価装置30は、所有時間の長さに応じて重みを大きくしてもよい。
【0115】
また、評価装置30は、電子通貨50に対応付けられたコンテンツ51の伝播の評価において、電子通貨50の取引経過により電子通貨50に対応付けられたコンテンツ51が広められたことに対する広告費用を評価としてもよい。例えば、電子通貨50に対応付けられたコンテンツ51について、伝播した人数が多いほど広告効果が大きいことから、評価装置30は、伝播した人数に応じた広告費を評価としてもよい。また、電子通貨50の所有時間が長いほど所有者に対するコンテンツ51の広告効果が大きいことから、評価装置30は、所有時間の長さに応じた広告費を評価としてもよい。
【0116】
以上の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0117】
(付記1)複数の単位ごとに区別して電子通貨を管理し、複数の前記単位それぞれに複数のコンテンツを対応づけて発行した前記電子通貨の取引経過に基づいて、前記電子通貨に対応付けられた前記コンテンツを評価し、
前記コンテンツの評価結果を出力する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする評価プログラム。
【0118】
(付記2)前記評価する処理は、前記電子通貨の分散台帳に示された取引経過における前記電子通貨の所有履歴に基づいて、前記コンテンツを評価する、
ことを特徴とする付記1に記載の評価プログラム。
【0119】
(付記3)前記評価する処理は、前記電子通貨の分散台帳に示された取引経過における前記電子通貨の所有履歴に基づいて、前記所有履歴が示す所有者の数に応じて評価する、
ことを特徴とする付記1または2に記載の評価プログラム。
【0120】
(付記4)前記評価する処理は、前記電子通貨の分散台帳に示された取引経過における前記電子通貨の所有履歴に基づいて、前記所有履歴が示す所有者の属性に応じた重み付けを前記評価に行う、
ことを特徴とする付記1乃至3のいずれか一に記載の評価プログラム。
【0121】
(付記5)前記評価する処理は、前記電子通貨の分散台帳に示された取引経過における前記電子通貨の所有履歴に基づいて、前記所有履歴が示す所有者が電子通貨を所有した時間に応じた重み付けを前記評価に行う、
ことを特徴とする付記1乃至4のいずれか一に記載の評価プログラム。
【0122】
(付記6)前記評価は、前記電子通貨の取引経過により当該電子通貨に対応付けられたコンテンツの広告費用である、
ことを特徴とする付記1乃至5のいずれか一に記載の評価プログラム。
【0123】
(付記7)複数の単位ごとに区別して電子通貨を管理し、複数の前記単位それぞれに複数のコンテンツを対応づけて発行した前記電子通貨の取引経過に基づいて、前記電子通貨に対応付けられた前記コンテンツを評価し、
前記コンテンツの評価結果を出力する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする評価方法。
【0124】
(付記8)前記評価する処理は、前記電子通貨の分散台帳に示された取引経過における前記電子通貨の所有履歴に基づいて、前記コンテンツを評価する、
ことを特徴とする付記7に記載の評価方法。
【0125】
(付記9)前記評価する処理は、前記電子通貨の分散台帳に示された取引経過における前記電子通貨の所有履歴に基づいて、前記所有履歴が示す所有者の数に応じて評価する、
ことを特徴とする付記7または8に記載の評価方法。
【0126】
(付記10)前記評価する処理は、前記電子通貨の分散台帳に示された取引経過における前記電子通貨の所有履歴に基づいて、前記所有履歴が示す所有者の属性に応じた重み付けを前記評価に行う、
ことを特徴とする付記7乃至9のいずれか一に記載の評価方法。
【0127】
(付記11)前記評価する処理は、前記電子通貨の分散台帳に示された取引経過における前記電子通貨の所有履歴に基づいて、前記所有履歴が示す所有者が電子通貨を所有した時間に応じた重み付けを前記評価に行う、
ことを特徴とする付記7乃至10のいずれか一に記載の評価方法。
【0128】
(付記12)前記評価は、前記電子通貨の取引経過により当該電子通貨に対応付けられたコンテンツの広告費用である、
ことを特徴とする付記7乃至11のいずれか一に記載の評価方法。
【0129】
(付記13)複数の単位ごとに区別して電子通貨を管理し、複数の前記単位それぞれに複数のコンテンツを対応づけて発行した前記電子通貨の取引経過に基づいて、前記電子通貨に対応付けられた前記コンテンツを評価する評価部と、
前記コンテンツの評価結果を出力する出力部と、
を有することを特徴とする評価装置。
【0130】
(付記14)前記評価部は、前記電子通貨の分散台帳に示された取引経過における前記電子通貨の所有履歴に基づいて、前記コンテンツを評価する、
ことを特徴とする付記13に記載の評価装置。
【0131】
(付記15)前記評価部は、前記電子通貨の分散台帳に示された取引経過における前記電子通貨の所有履歴に基づいて、前記所有履歴が示す所有者の数に応じて評価する、
ことを特徴とする付記13または14に記載の評価装置。
【0132】
(付記16)前記評価部は、前記電子通貨の分散台帳に示された取引経過における前記電子通貨の所有履歴に基づいて、前記所有履歴が示す所有者の属性に応じた重み付けを前記評価に行う、
ことを特徴とする付記13乃至15のいずれか一に記載の評価装置。
【0133】
(付記17)前記評価部は、前記電子通貨の分散台帳に示された取引経過における前記電子通貨の所有履歴に基づいて、前記所有履歴が示す所有者が電子通貨を所有した時間に応じた重み付けを前記評価に行う、
ことを特徴とする付記13乃至16のいずれか一に記載の評価装置。
【0134】
(付記18)前記評価は、前記電子通貨の取引経過により当該電子通貨に対応付けられたコンテンツの広告費用である、
ことを特徴とする付記13乃至17のいずれか一に記載の評価装置。
【符号の説明】
【0135】
9…ネットワーク
10…発行手段
11、11P、11Q、11R…端末
12…アプリ
13…定義付手段
20…釣銭支払い手段
30…評価装置
31…通信部
32…表示部
33…操作部
34…記憶部
34A…利用者情報DB
35…制御部
35A…取得部
35B…評価部
35C…出力部
50…電子通貨
51…コンテンツ
52…ハッシュ
53…発行者情報
54…額面
55…対価
100…電子通貨取引システム
200…コンピュータ
201…CPU
202…通信装置
203…メインメモリ
204…記憶装置
205…バス
206…プログラム
300…出力画面
301…人数
302…所有時間
303…広告費
P、P1~P3…利用者
Q…加盟店
R…両替所
R1…発行所