(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/329 20060101AFI20231017BHJP
H01L 29/866 20060101ALI20231017BHJP
H01L 29/861 20060101ALI20231017BHJP
H01L 29/868 20060101ALI20231017BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20231017BHJP
H01L 27/06 20060101ALI20231017BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20231017BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
H01L29/90 D
H01L29/91 F
H01L27/06 102A
H01L27/04 B
(21)【出願番号】P 2019114393
(22)【出願日】2019-06-20
【審査請求日】2022-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱澤 靖史
【審査官】多賀 和宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-233772(JP,A)
【文献】特開2017-108051(JP,A)
【文献】特開2013-089677(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0082768(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0276447(US,A1)
【文献】特開昭62-014476(JP,A)
【文献】特開2009-277756(JP,A)
【文献】特開2002-043586(JP,A)
【文献】特開2006-041476(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/329、21/822、21/8234
H01L 29/861、29/864、29/866、29/868、29/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面およびその反対側の第2面を有する第1導電型の半導体層と、
前記半導体層に埋め込まれた第2導電型の第2半導体層と、
前記半導体層に形成され、前記第1面に交差する方向の断面視において、前記第1面から前記半導体層の厚さ方向に延び、前記第2半導体層を貫通する第1トレンチおよび第2トレンチと、
前記第1トレンチの少なくとも側面に形成された第1絶縁膜と、
前記第2トレンチの少なくとも側面に形成された第2絶縁膜と、
前記第2半導体層、前記第1トレンチおよび前記第2トレンチによって区画された前記半導体層の第1部分に形成され、前記第1トレンチの深さ方向に延び、かつ前記第2半導体層および前記第1絶縁膜に接している第2導電型の第1シンカー層と、
前記半導体層の前記第1部分に形成され、前記第2トレンチの深さ方向に延び、かつ前記第2半導体層および前記第2絶縁膜に接している第2導電型の第2シンカー層と、
前記半導体層の前記第1面に形成され、前記第1シンカー層との間のpn接合によってツェナーダイオードを形成する第1導電型のダイオード不純物領域と、
前記ダイオード不純物領域に電気的に接続された第1配線と、
前記第2シンカー層に電気的に接続された第2配線とを含む、半導体装置。
【請求項2】
前記第1シンカー層は、前記第1トレンチの深さ方向
において前記第2半導体層まで形成され、その全体が前記第1絶縁膜に接している、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2シンカー層は、前記第2トレンチの深さ方向
において前記第2半導体層まで形成され、その全体が前記第2絶縁膜に接している、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1トレンチの深さ方向に直交する方向における前記第1シンカー層の厚さは、0.5μm~5μmである、請求項1~3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2トレンチの深さ方向に直交する方向における前記第2シンカー層の厚さは、0.5μm~5μmである、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2半導体層の厚さは、2μm~10μmである、請求項1~5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1トレンチの底面に形成され、前記半導体層よりも高い不純物濃度を有する第1導電型の第1不純物領域と、
前記第1絶縁膜を介して前記第1トレンチに埋め込まれ、前記第1不純物領域に接する第1導電体とを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第2トレンチの底面に形成され、前記半導体層よりも高い不純物濃度を有する第1導電型の第2不純物領域と、
前記第2絶縁膜を介して前記第2トレンチに埋め込まれ、前記第2不純物領域に接する第2導電体とを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1絶縁膜は、前記第1トレンチの側面および底面に形成されており、
前記第1絶縁膜を介して前記第1トレンチに埋め込まれた第1導電体を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第2絶縁膜は、前記第2トレンチの側面および底面に形成されており、
前記第2絶縁膜を介して前記第2トレンチに埋め込まれた第2導電体を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1面に沿う方向の平面視において、前記第2シンカー層は、前記第1シンカー層を取り囲む環状に形成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第1面に沿う方向の平面視において、前記第1シンカー層および前記第2シンカー層は、互いに平行な直線状に形成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項13】
第1面およびその反対側の第2面を有する第1導電型の半導体層であって、内部に第2導電型の第2半導体層が埋め込まれた半導体層を、マスクを介して選択的に除去することによって、前記第1面に交差する方向の断面視において、前記第1面から前記半導体層の厚さ方向に延び、前記第2半導体層を貫通する第1トレンチおよび第2トレンチを形成する工程と、
前記半導体層上の前記マスクを残した状態で、前記第1トレンチおよび前記第2トレンチの各側面に、第2導電型の不純物を注入する工程と、
前記第1トレンチの少なくとも側面に第1絶縁膜を形成する工程と、
前記第2トレンチの少なくとも側面に第2絶縁膜を形成する工程と、
前記第2導電型の不純物を熱拡散させることによって、前記第1トレンチの深さ方向に延び、かつ前記第2半導体層および前記第1絶縁膜に接する第2導電型の第1シンカー層、および前記第2トレンチの深さ方向に延び、かつ前記第2半導体層および前記第2絶縁膜に接する第2導電型の第2シンカー層を形成する工程と、
前記第1シンカー層に接するように、前記半導体層の前記第1面に第1導電型のダイオード不純物領域を形成する工程と、
前記ダイオード不純物領域に電気的に接続されるように第1配線を形成する工程と、
前記第2シンカー層に電気的に接続されるように第2配線を形成する工程とを含む、半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記第2導電型の不純物を注入する工程は、前記半導体層の前記第1面の法線方向に対して3°~7°のチルト角をもって不純物を注入する工程を含む、請求項13に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LSI等に作りこまれるツェナーダイオードは、降伏電圧の経時変化を抑制するため、いわゆるバルクツェナー型が主流である。バルクツェナー型では、シリコン酸化膜の界面ではなく、シリコンの内部で降伏現象が起きる。
たとえば、特許文献1は、p型の半導体基板と、p型半導体基板の所定領域に、n+埋込層およびp+分離拡散層で仕切られたn型不純物領域と、n型不純物領域内に所定の拡散深さで形成されたp型のアノード拡散層と、該アノード拡散層内に所定の拡散深さで形成されたn型のカソード拡散層と、該カソード拡散層の直下に接続し、かつアノード拡散層を貫通してn型不純物領域内に達する拡散深さで形成されたp+型の定電圧決定拡散層とを備える、定電圧ダイオードを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の定電圧ダイオードの製造工程に関して、p+型の定電圧決定拡散層を形成するために専用のマスクレイヤが必要になり、コストの増加が懸念される。
本発明の目的は、半導体層の内部で降伏現象を起こすことができるツェナーダイオードを低コストで作製することができる半導体装置およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一の局面に係る半導体装置は、第1面およびその反対側の第2面を有する第1導電型の半導体層と、前記半導体層に埋め込まれた第2導電型の第2半導体層と、前記半導体層に形成され、前記第1面に交差する方向の断面視において、前記第1面から前記半導体層の厚さ方向に延び、前記第2半導体層を貫通する第1トレンチおよび第2トレンチと、前記第1トレンチの少なくとも側面に形成された第1絶縁膜と、前記第2トレンチの少なくとも側面に形成された第2絶縁膜と、前記第2半導体層、前記第1トレンチおよび前記第2トレンチによって区画された前記半導体層の第1部分に形成され、前記第1トレンチの深さ方向に延び、かつ前記第2半導体層および前記第1絶縁膜に接している第2導電型の第1シンカー層と、前記半導体層の前記第1部分に形成され、前記第2トレンチの深さ方向に延び、かつ前記第2半導体層および前記第2絶縁膜に接している第2導電型の第2シンカー層と、前記半導体層の前記第1面に形成され、前記第1シンカー層との間のpn接合によってツェナーダイオードを形成する第1導電型のダイオード不純物領域と、前記ダイオード不純物領域に電気的に接続された第1配線と、前記第2シンカー層に電気的に接続された第2配線とを含む。
【0006】
本発明の一の局面に係る半導体装置の製造方法は、第1面およびその反対側の第2面を有する第1導電型の半導体層であって、内部に第2導電型の第2半導体層が埋め込まれた半導体層を、マスクを介して選択的に除去することによって、前記第1面に交差する方向の断面視において、前記第1面から前記半導体層の厚さ方向に延び、前記第2半導体層を貫通する第1トレンチおよび第2トレンチを形成する工程と、前記半導体層上の前記マスクを残した状態で、前記第1トレンチおよび前記第2トレンチの各側面に、第2導電型の不純物を注入する工程と、前記第1トレンチの少なくとも側面に第1絶縁膜を形成する工程と、前記第2トレンチの少なくとも側面に第2絶縁膜を形成する工程と、前記第2導電型の不純物を熱拡散させることによって、前記第1トレンチの深さ方向に延び、かつ前記第2半導体層および前記第1絶縁膜に接する第2導電型の第1シンカー層、および前記第2トレンチの深さ方向に延び、かつ前記第2半導体層および前記第2絶縁膜に接する第2導電型の第2シンカー層を形成する工程と、前記第1シンカー層に接するように、前記半導体層の前記第1面に第1導電型のダイオード不純物領域を形成する工程と、前記ダイオード不純物領域に電気的に接続されるように第1配線を形成する工程と、前記第2シンカー層に電気的に接続されるように第2配線を形成する工程とを含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一の局面に係る半導体装置によれば、半導体層の内部に形成されたダイオード不純物領域と第1シンカー層との間のpn接合によって、ツェナーダイオードの構造が形成されている。このような構造を有するツェナーダイオードは、ダイオード不純物領域と第1シンカー層との濃度関係によって定まる降伏電圧(ツェナー電圧)を有している。
たとえば、ダイオード不純物領域がp型であり、第1シンカー層、第2半導体層(埋め込み層)および第2シンカー層がn型である場合のツェナーダイオードの動作を説明する。この場合、第1配線(アノード)を低電位側、第2配線(カソード)を高電位側として、第1配線と第2配線との間に電圧が与えられると、ツェナーダイオードには逆方向電圧が与えられる。この逆方向電圧が、降伏電圧を上回ると、ダイオード不純物領域と第1シンカー層との界面(半導体層の内部)で降伏現象が起こり、電流が流れるようになる。その後の電流は、第2シンカー層から第2半導体層および第1シンカー層を通って、第1配線(アノード)に流れる。このように、ツェナーダイオードの降伏現象が半導体層の内部で起きるため、降伏電圧の経時変化を抑制することができる。
【0008】
また、ツェナーダイオードを構成する第1シンカー層および第2シンカー層が、第1トレンチおよび第2トレンチの形成時に使用したマスクを利用した不純物注入によって形成される。したがって、第1シンカー層および第2シンカー層を形成するための専用のマスクレイヤを追加する必要がない。そのため、コストの増加を抑制することができる。
また、半導体層の第1面から第1トレンチおよび第2トレンチの各底部に向かう第1シンカー層および第2シンカー層の深さを決定する因子が、第1トレンチおよび第2トレンチの各側面に対する第2導電型の不純物の注入範囲である。したがって、第1シンカー層および第2シンカー層を第2半導体層に接触させるために、第2導電型の不純物の注入範囲を第1トレンチおよび第2トレンチの各底部まで広げるだけでよく、工程が単純であり、かつコストの増加を抑制することができる。
【0009】
これに対し、半導体層の表面部に選択的に不純物を注入し、その不純物を熱拡散によって第2半導体層に接触させるやり方では、高温長時間の熱拡散が必要となる。そのため、当該熱処理によって第2半導体層が膨満し、結果として、第1トレンチおよび第2トレンチをより深く形成しなければならず、コストの増加を招くおそれがある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の模式的な斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の二点鎖線IIで囲まれた部分を透視して示す前記半導体装置の模式的な平面図である。
【
図3】
図3は、
図2のIII-III断面を示す断面図である。
【
図4A】
図4Aは、前記半導体装置の製造工程の一部を示す図である。
【
図5】
図5は、前記半導体装置の動作を説明するための図である。
【
図6】
図6は、前記半導体装置の変形例を説明するための図である。
【
図7】
図7は、前記半導体装置の変形例を説明するための図である。
【
図8】
図8は、前記半導体装置の変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<本発明の実施形態>
まず、本発明の実施形態を列記して説明する。
本発明の一実施形態に係る半導体装置は、第1面およびその反対側の第2面を有する第1導電型の半導体層と、前記半導体層に埋め込まれた第2導電型の第2半導体層と、前記半導体層に形成され、前記第1面に交差する方向の断面視において、前記第1面から前記半導体層の厚さ方向に延び、前記第2半導体層を貫通する第1トレンチおよび第2トレンチと、前記第1トレンチの少なくとも側面に形成された第1絶縁膜と、前記第2トレンチの少なくとも側面に形成された第2絶縁膜と、前記第2半導体層、前記第1トレンチおよび前記第2トレンチによって区画された前記半導体層の第1部分に形成され、前記第1トレンチの深さ方向に延び、かつ前記第2半導体層および前記第1絶縁膜に接している第2導電型の第1シンカー層と、前記半導体層の前記第1部分に形成され、前記第2トレンチの深さ方向に延び、かつ前記第2半導体層および前記第2絶縁膜に接している第2導電型の第2シンカー層と、前記半導体層の前記第1面に形成され、前記第1シンカー層との間のpn接合によってツェナーダイオードを形成する第1導電型のダイオード不純物領域と、前記ダイオード不純物領域に電気的に接続された第1配線と、前記第2シンカー層に電気的に接続された第2配線とを含む。
【0012】
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記第1シンカー層は、前記第1トレンチの深さ方向の全体にわたって前記第1絶縁膜に接していてもよい。
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記第2シンカー層は、前記第2トレンチの深さ方向の全体にわたって前記第2絶縁膜に接していてもよい。
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記第1トレンチの深さ方向に直交する方向における前記第1シンカー層の厚さは、0.5μm~5μmであってもよい。
【0013】
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記第2トレンチの深さ方向に直交する方向における前記第2シンカー層の厚さは、0.5μm~5μmであってもよい。
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記第2半導体層の厚さは、2μm~10μmであってもよい。
本発明の一実施形態に係る半導体装置は、前記第1トレンチの底面に形成され、前記半導体層よりも高い不純物濃度を有する第1導電型の第1不純物領域と、前記第1絶縁膜を介して前記第1トレンチに埋め込まれ、前記第1不純物領域に接する第1導電体とを含んでいてもよい。
【0014】
本発明の一実施形態に係る半導体装置は、前記第2トレンチの底面に形成され、前記半導体層よりも高い不純物濃度を有する第1導電型の第2不純物領域と、前記第2絶縁膜を介して前記第2トレンチに埋め込まれ、前記第2不純物領域に接する第2導電体とを含んでいてもよい。
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記第1絶縁膜は、前記第1トレンチの側面および底面に形成されており、前記半導体装置は、前記第1絶縁膜を介して前記第1トレンチに埋め込まれた第1導電体を含んでいてもよい。
【0015】
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記第2絶縁膜は、前記第2トレンチの側面および底面に形成されており、前記半導体装置は、前記第2絶縁膜を介して前記第2トレンチに埋め込まれた第2導電体を含んでいてもよい。
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記第1面に沿う方向の平面視において、前記第2シンカー層は、前記第1シンカー層を取り囲む環状に形成されていてもよい。
【0016】
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記第1面に沿う方向の平面視において、前記第1シンカー層および前記第2シンカー層は、互いに平行な直線状に形成されていてもよい。
本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法は、第1面およびその反対側の第2面を有する第1導電型の半導体層であって、内部に第2導電型の第2半導体層が埋め込まれた半導体層を、マスクを介して選択的に除去することによって、前記第1面に交差する方向の断面視において、前記第1面から前記半導体層の厚さ方向に延び、前記第2半導体層を貫通する第1トレンチおよび第2トレンチを形成する工程と、前記半導体層上の前記マスクを残した状態で、前記第1トレンチおよび前記第2トレンチの各側面に、第2導電型の不純物を注入する工程と、前記第1トレンチの少なくとも側面に第1絶縁膜を形成する工程と、前記第2トレンチの少なくとも側面に第2絶縁膜を形成する工程と、前記第2導電型の不純物を熱拡散させることによって、前記第1トレンチの深さ方向に延び、かつ前記第2半導体層および前記第1絶縁膜に接する第2導電型の第1シンカー層、および前記第2トレンチの深さ方向に延び、かつ前記第2半導体層および前記第2絶縁膜に接する第2導電型の第2シンカー層を形成する工程と、前記第1シンカー層に接するように、前記半導体層の前記第1面に第1導電型のダイオード不純物領域を形成する工程と、前記ダイオード不純物領域に電気的に接続されるように第1配線を形成する工程と、前記第2シンカー層に電気的に接続されるように第2配線を形成する工程とを含む。
【0017】
本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法では、前記第2導電型の不純物を注入する工程は、前記半導体層の前記第1面の法線方向に対して3°~7°のチルト角をもって不純物を注入する工程を含んでいてもよい。
<本発明の実施形態の詳細な説明>
次に、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体装置1の模式的な斜視図である。
半導体装置1は、たとえば、チップ状のLSIである。半導体装置1は、LSIの回路の構成要素の一つとして、ツェナーダイオード28(後述)が作りこまれたダイオード領域2を有している。
図1では省略されているが、半導体装置1は、ダイオード領域2以外に、その他の機能素子(たとえば、LDMOS等)が作り込まれた領域を有していてもよい。
【0019】
図2は、
図1の二点鎖線IIで囲まれた部分を透視して示す半導体装置1の模式的な平面図である。
図3は、
図2のIII-III断面を示す断面図である。
半導体装置1は、半導体基板3と、本発明の第2半導体層の一例としての埋め込み層4と、エピタキシャル層5とを含む。半導体基板3上に埋め込み層4が形成され、埋め込み層4上にエピタキシャル層5が形成されている。埋め込み層4は、半導体基板3とエピタキシャル層5との間に挟まれている。
【0020】
半導体基板3は、主面6と、半導体基板3の厚さ方向において主面6の反対側を向く裏面7とを有する。主面6は、埋め込み層4に接する面である。裏面7は、その全面が、半導体装置1の外部に露出している。
半導体基板3は、この実施形態ではシリコン(Si)基板から構成されているが、他の素材(たとえば、炭化シリコン(SiC)等)から構成された基板であってもよい。半導体基板3は、この実施形態ではp-型である。半導体基板3は、たとえば、1×1014cm-3~1×1016cm-3の不純物濃度を有している。また、半導体基板3の厚さは、たとえば、研削前で500μm~800μmである。
【0021】
埋め込み層4は、第1接合面8と、埋め込み層4の厚さ方向において第1接合面8の反対側を向く第2接合面9とを有する。第1接合面8は、エピタキシャル層5に接する面である。第2接合面9は、半導体基板3の主面6に接する面である。
埋め込み層4は、この実施形態ではシリコン(Si)から構成されているが、他の素材(たとえば、炭化シリコン(SiC)等)から構成されていてもよい。埋め込み層4は、この実施形態ではn+型である。埋め込み層4は、たとえば、1×1017cm-3~1×1021cm-3の不純物濃度を有している。また、埋め込み層4の厚さは、たとえば、2μm~10μmである。
【0022】
エピタキシャル層5は、素子主面10と、エピタキシャル層5の厚さ方向において素子主面10の反対側を向く接合面11とを有する。素子主面10は、後述するツェナーダイオード28、さらに、LDMOS等の機能素子が形成された面である。接合面11は、埋め込み層4の第1接合面8に接する面である。
エピタキシャル層5は、この実施形態ではシリコン(Si)から構成されているが、他の素材(たとえば、炭化シリコン(SiC)等)から構成されていてもよい。エピタキシャル層5は、半導体基板3と同じ導電型を有しており、この実施形態ではp-型である。エピタキシャル層5は、たとえば、1×1014cm-3~5×1017cm-3の不純物濃度を有している。また、エピタキシャル層5の厚さは、たとえば、3μm~20μmである。
【0023】
図2を参照して、ダイオード領域2は、半導体基板3、埋め込み層4およびエピタキシャル層5に形成された素子分離構造によって、その他の素子領域から分離されている。より具体的には、半導体基板3、埋め込み層4およびエピタキシャル層5には、素子分離構造の一例としての第2トレンチ13が形成されている。第2トレンチ13は、
図2に示すように、エピタキシャル層5の素子主面10に沿う平面視において環状に形成されている。これにより、第2トレンチ13に取り囲まれた領域がダイオード領域2として設定されている。第2トレンチ13は、この実施形態では、四角環状に形成されているが、たとえば、円環状であってもよい。
【0024】
また、ダイオード領域2には、第1トレンチ12が形成されている。第1トレンチ12は、
図2に示すように、平面視において直線状に形成されている。第1トレンチ12は、第2トレンチ13に取り囲まれており、かつ第2トレンチ13から分離されている。
第1トレンチ12および第2トレンチ13は、
図3に示すように、エピタキシャル層5の素子主面10に交差する方向の断面視において、素子主面10からエピタキシャル層5の厚さ方向に延びている。第1トレンチ12および第2トレンチ13は、埋め込み層4を貫通し、半導体基板3の厚さ方向途中部に底部を有している。これにより、ダイオード領域2には、埋め込み層4、第1トレンチ12および第2トレンチ13によって区画されたエピタキシャル層5の一部からなる本発明の第1部分の一例としてのフローティング領域14が形成されている。また、第1トレンチ12および第2トレンチ13の深さは、たとえば、5μm~30μmである。
【0025】
第1トレンチ12の内面には、第1絶縁膜15が形成されている。第1絶縁膜15は、この実施形態では、第1トレンチ12の側面16に形成されており、第1トレンチ12の側面16は第1絶縁膜15で覆われている。一方、第1トレンチ12の底面17(半導体基板3の一部)は、第1絶縁膜15で覆われていない。この第1トレンチ12の底面17には、第1不純物領域18が形成されている。第1不純物領域18は、半導体基板3と同じ導電型を有しており、この実施形態ではp+型である。第1不純物領域18の不純物濃度は、半導体基板3よりも高く、たとえば、1×1018cm-3~5×1020cm-3である。
【0026】
第1トレンチ12には、第1絶縁膜15を介して第1導電体19が埋め込まれている。第1導電体19は、第1トレンチ12の底面17から開口端まで埋め込まれ、底面17において第1不純物領域18に接している。第1導電体19は、この実施形態では、不純物がドープされたポリシリコン(たとえば、p+型ポリシリコン)からなっている。
第2トレンチ13の内面には、第2絶縁膜20が形成されている。第2絶縁膜20は、この実施形態では、第2トレンチ13の側面21に形成されており、第2トレンチ13の側面21は第2絶縁膜20で覆われている。一方、第2トレンチ13の底面22(半導体基板3の一部)は、第2絶縁膜20で覆われていない。この第2トレンチ13の底面22には、第2不純物領域23が形成されている。第2不純物領域23は、半導体基板3と同じ導電型を有しており、この実施形態ではp+型である。第2不純物領域23の不純物濃度は、半導体基板3よりも高く、たとえば、1×1018cm-3~5×1020cm-3である。
【0027】
第2トレンチ13には、第2絶縁膜20を介して第2導電体24が埋め込まれている。第2導電体24は、第2トレンチ13の底面22から開口端まで埋め込まれ、底面22において第2不純物領域23に接している。第2導電体24は、この実施形態では、不純物がドープされたポリシリコン(たとえば、p
+型ポリシリコン)からなっている。
図3を参照して、フローティング領域14には、第1シンカー層25および第2シンカー層26が形成されている。
【0028】
第1シンカー層25は、第1トレンチ12の深さ方向に延び、かつ埋め込み層4および第1絶縁膜15に接している。より具体的には、第1シンカー層25は、
図2に示すように第1トレンチ12を取り囲む環状に形成されており、かつ、
図3に示すように第1トレンチ12の深さ方向
において埋め込み層4まで形成され、その全体が第1絶縁膜15に接している。また、第1シンカー層25は、第1トレンチ12の深さ方向に直交する方向において、0.5μm~5μmの厚さt
1を有している。
【0029】
第1シンカー層25の素子主面10側の端部には、ダイオード不純物領域27が形成されている。ダイオード不純物領域27は、エピタキシャル層5の素子主面10から露出している。ダイオード不純物領域27は、
図2に示すように第1トレンチ12を取り囲む環状に形成されており、第1絶縁膜15に接している。
第1シンカー層25は、埋め込み層4と同じ導電型を有しており、この実施形態ではn型である。一方、ダイオード不純物領域27は、エピタキシャル層5と同じ導電型を有しており、この実施形態ではp
+型である。これにより、第1シンカー層25とダイオード不純物領域27との間には、pn接合が形成されている。このpn接合によって、ダイオード領域2には、ツェナーダイオード28が形成されている。
【0030】
第1シンカー層25の不純物濃度は、ツェナーダイオード28の降伏電圧を決定する要素であるため、所望の濃度に設定されている。この実施形態では、第1シンカー層25の不純物濃度は、たとえば、1×1017cm-3~5×1020cm-3である。一方、ダイオード不純物領域27の不純物濃度は、エピタキシャル層5よりも高く、たとえば、1×1019cm-3~5×1020cm-3である。
【0031】
第2シンカー層26は、第2トレンチ13の深さ方向に延び、かつ埋め込み層4および第2絶縁膜20に接している。より具体的には、第2シンカー層26は、
図2に示すように第2トレンチ13に沿って環状に形成されており、かつ、
図3に示すように第2トレンチ13の深さ方向
において埋め込み層4まで形成され、その全体が第2絶縁膜20に接している。これにより、第1シンカー層25は、第2シンカー層26に取り囲まれている。また、第2シンカー層26は、第2トレンチ13の深さ方向に直交する方向において、0.5μm~5μmの厚さt
2を有している。
【0032】
第2シンカー層26の素子主面10側の端部には、コンタクト領域29が形成されている。コンタクト領域29は、エピタキシャル層5の素子主面10から露出している。コンタクト領域29は、
図2に示すように第2トレンチ13に沿って環状に形成されており、第2絶縁膜20に接している。
第2シンカー層26は、埋め込み層4と同じ導電型を有しており、この実施形態ではn型である。コンタクト領域29も同様に、埋め込み層4と同じ導電型を有しており、この実施形態ではn
+型である。第2シンカー層26の不純物濃度は、たとえば、1×10
17cm
-3~5×10
20cm
-3である。一方、コンタクト領域29の不純物濃度は、第2シンカー層26よりも高く、たとえば、5×10
19cm
-3~5×10
20cm
-3である。
【0033】
エピタキシャル層5上には、絶縁膜30が形成されている。この絶縁膜30は、層間絶縁膜、フィールド絶縁膜と称してもよい。絶縁膜30には、ダイオード不純物領域27を選択的に露出させる複数の第1コンタクト開口31、およびコンタクト領域29を選択的に露出させる複数の第2コンタクト開口32が形成されている。絶縁膜30は、たとえば、酸化シリコン(SiO2)や窒化シリコン(SiN)からなっていてもよい。
【0034】
第1コンタクト開口31および第2コンタクト開口32には、それぞれ、導電性の第1コンタクトプラグ33および第2コンタクトプラグ34が埋め込まれている。第1コンタクトプラグ33および第2コンタクトプラグ34は、たとえば、タングステン(W)からなっていてもよい。
絶縁膜30上には、本発明の第1配線の一例としてのアノード配線35および本発明の第2配線の一例としてのカソード配線36が形成されている。アノード配線35は、第1コンタクトプラグ33を介して、ダイオード不純物領域27に電気的に接続されている。カソード配線36は、第2コンタクトプラグ34を介して、コンタクト領域29に電気的に接続されている。アノード配線35およびカソード配線36は、たとえば、アルミニウム(Al)やその合金からなっていてもよい。なお、アノード配線35およびカソード配線36は、それぞれ、アノード電極およびカソード電極と称してもよい。
【0035】
図4A~
図4Fは、半導体装置1の製造工程の一部を示す図である。
半導体装置1を製造するには、
図4Aに示すように、埋め込み層4が形成されたエピタキシャル層5の素子主面10に、マスク37が形成される。マスク37は、たとえば、酸化シリコン(SiO
2)等からなるハードマスクであってもよい。次に、このマスク37を介して、エピタキシャル層5および埋め込み層4を選択的にエッチングすることによって、第1トレンチ12および第2トレンチ13が同時に形成される。この段階では、第1トレンチ12および第2トレンチ13の底部は、埋め込み層4の厚さ方向途中部に位置している。
【0036】
次に、
図4Bに示すように、エピタキシャル層5上のマスク37を残した状態で、第1トレンチ12および第2トレンチ13の各側面16,21に、n型不純物が注入される。
図4Bでは、n型不純物の注入箇所が「×」で示されている。n型不純物は、この実施形態では、エピタキシャル層5の素子主面10の法線n方向に対して3°~7°のチルト角θをもって注入される。これにより、第1トレンチ12および第2トレンチ13の側面16,21に対して、n型不純物を効率よく注入することができる。たとえば、5V~9Vの降伏電圧を有するツェナーダイオード28を形成する場合、1×10
14~5×10
15cm
-2のドーズ量で、5°前後のチルト角θをもって回転注入すればよい。また、n型不純物としては、リン(P)等を使用することができる。
【0037】
次に、
図4Cに示すように、エピタキシャル層5上のマスク37を残した状態で、第1トレンチ12および第2トレンチ13に追加エッチングが行われる。これにより、第1トレンチ12および第2トレンチ13がさらに掘り下げられ、第1トレンチ12および第2トレンチ13の底部が半導体基板3に達することとなる。この後、マスク37が除去される。
【0038】
次に、
図4Dに示すように、第1トレンチ12の内面(側面16および底面17)、第2トレンチ13の内面(側面21および底面22)およびエピタキシャル層5の素子主面10に絶縁膜38が形成される。絶縁膜38は、第1トレンチ12の内面に形成された第1絶縁膜15と、第2トレンチ13の内面に形成された第2絶縁膜20とを含んでいる。絶縁膜38は、たとえば、熱酸化処理によって形成される。これにより、絶縁膜38の形成時の熱によって、第1トレンチ12および第2トレンチ13の各側面16,21のn型不純物が拡散し、第1シンカー層25および第2シンカー層26が形成される。
【0039】
なお、絶縁膜38は、CVD法で形成されてもよい。この場合、絶縁膜38の形成工程とは別の工程として、n型不純物を拡散させるための熱処理工程を追加してもよい。
次に、
図4Eに示すように、第1トレンチ12の底面17上の第1絶縁膜15の部分、および第2トレンチ13の底面22上の第2絶縁膜20の部分が、エッチングによって除去される。次に、第1トレンチ12および第2トレンチ13に、それぞれ、第1導電体19および第2導電体24が埋め込まれる。この後、エピタキシャル層5の素子主面10上の絶縁膜38の部分が除去される。これにより、エピタキシャル層5の素子主面10が露出する。
【0040】
次に、
図4Fに示すように、エピタキシャル層5の素子主面10に、n型不純物およびp型不純物が、それぞれ選択的に注入される。次に、エピタキシャル層5が熱処理されることによって、n型不純物およびp型不純物が拡散し、n
+型のコンタクト領域29およびp
+型のダイオード不純物領域27が形成される。このとき、第1トレンチ12および第2トレンチ13の各底面17,22には、第1導電体19および第2導電体24中のp型不純物が半導体基板3の内部に拡散することによって、第1不純物領域18および第2不純物領域23が形成される。
【0041】
次に、エピタキシャル層5上に絶縁膜30が形成され、この絶縁膜30に、第1コンタクト開口31および第2コンタクト開口32が形成される。次に、第1コンタクト開口31および第2コンタクト開口32に、それぞれ、第1コンタクトプラグ33および第2コンタクトプラグ34が埋め込まれる。その後、絶縁膜30上に、アノード配線35およびカソード配線36が形成されることによって、前述のダイオード領域2の構造が得られる。
【0042】
この半導体装置1によれば、エピタキシャル層5の内部に形成されたダイオード不純物領域27と第1シンカー層25との間のpn接合によって、ツェナーダイオード28の構造が形成されている。このような構造を有するツェナーダイオード28は、ダイオード不純物領域27と第1シンカー層25との濃度関係によって定まる降伏電圧(ツェナー電圧)を有している。
【0043】
図5を参照して、アノード配線35を低電位側、カソード配線36を高電位側として、アノード配線35とカソード配線36との間に電圧が与えられると、ツェナーダイオード28には逆方向電圧が与えられる。この逆方向電圧が、降伏電圧を上回ると、ダイオード不純物領域27と第1シンカー層25との界面(エピタキシャル層5の内部)で降伏現象が起こり、電流が流れるようになる。その後の電流は、矢印で示すように、第2シンカー層26から埋め込み層4および第1シンカー層25を通って、アノード配線35に流れる。このように、ツェナーダイオード28の降伏現象がエピタキシャル層5の内部で起きるため、降伏電圧の経時変化を抑制することができる。
【0044】
また、ツェナーダイオード28を構成する第1シンカー層25および第2シンカー層26が、第1トレンチ12および第2トレンチ13の形成時に使用したマスク37を利用したn型不純物注入によって形成される(
図4B)。したがって、第1シンカー層25および第2シンカー層26を形成するための専用のマスクレイヤを追加する必要がない。そのため、コストの増加を抑制することができる。
【0045】
また、エピタキシャル層5の素子主面10から第1トレンチ12および第2トレンチ13の各底部に向かう第1シンカー層25および第2シンカー層26の深さを決定する因子が、第1トレンチ12および第2トレンチ13の各側面16,21に対するn型の不純物の注入範囲である。したがって、第1シンカー層25および第2シンカー層26を埋め込み層4に接触させるために、n型不純物の注入範囲を第1トレンチ12および第2トレンチ13の各底部まで広げるだけでよく、工程が単純であり、かつコストの増加を抑制することができる。
【0046】
これに対し、たとえば、エピタキシャル層5の表面部に選択的に不純物を注入し、その不純物を熱拡散によって埋め込み層4に接触させるやり方では、高温長時間の熱拡散が必要となる。そのため、当該熱処理によって埋め込み層4が膨満し、結果として、第1トレンチ12および第2トレンチ13をより深く形成しなければならず、コストの増加を招くおそれがある。
【0047】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
たとえば、前述の実施形態では、第1トレンチ12および第2トレンチ13は、互いに離れて形成されており、第1シンカー層25および第2シンカー層26は、それぞれ、第1トレンチ12および第2トレンチ13に沿って環状に形成されている。これに対し、
図6に示すように、第1トレンチ12および第2トレンチ13は、断面視において互いに離れているが、平面視において互いに連続して形成されていてもよい。
【0048】
より具体的には、エピタキシャル層5、埋め込み層4および半導体基板3に平面視四角環状のトレンチ39が形成されている。このトレンチ39の互いに対向する一対の部分を、第1トレンチ12および第2トレンチ13と称してもよい。この場合、第1シンカー層25は、平面視において第1トレンチ12に沿って延びる直線状に形成され、第2シンカー層26は、平面視において第2トレンチ13に沿って延びる直線状に形成されていてもよい。これにより、第1シンカー層25および第2シンカー層26は、平面視において、互いに平行な直線状であってもよい。
【0049】
また、
図7に示すように、第1絶縁膜15は、第1トレンチ12の側面16および底面17に一体的に形成され、第2絶縁膜20は、第2トレンチ13の側面21および底面22に一体的に形成されていてもよい。この場合、第1不純物領域18および第2不純物領域23は、形成されていなくてもよい。
また、
図8に示すように、半導体基板3上に絶縁膜40が形成されていることによって、埋め込み層4およびエピタキシャル層5は、SOI(Silicon On Insulator)構造であってもよい。
【0050】
また、前述の実施形態では、アノード(第1シンカー層25)を取り囲むようにカソード(第2シンカー層26)が形成されていたが、これらの配置を入れ替わっていてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 半導体装置
3 半導体基板
4 埋め込み層
5 エピタキシャル層
7 裏面
10 素子主面
12 第1トレンチ
13 第2トレンチ
14 フローティング領域
15 第1絶縁膜
16 (第1トレンチ)側面
17 (第1トレンチ)底面
18 第1不純物領域
19 第1導電体
20 第2絶縁膜
21 (第2トレンチ)側面
22 (第2トレンチ)底面
23 第2不純物領域
24 第2導電体
25 第1シンカー層
26 第2シンカー層
27 ダイオード不純物領域
28 ツェナーダイオード
35 アノード配線
36 カソード配線
37 マスク
39 トレンチ