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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】ウエーハ外観検査装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/956 20060101AFI20231017BHJP
【FI】
G01N21/956 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019150100
(22)【出願日】2019-08-20
(65)【公開番号】P2021032598
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000219314
【氏名又は名称】東レエンジニアリング株式会社
(72)【発明者】
【氏名】仲田 朋宏
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-155610(JP,A)
【文献】特開2007-333491(JP,A)
【文献】特開2002-267615(JP,A)
【文献】特開2001-099788(JP,A)
【文献】特開2002-277412(JP,A)
【文献】特開平11-274254(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0276664(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84-21/958
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象ウエーハに形成された繰り返しパターン又は検査対象ウエーハに設定された無パターン区画の外観画像を撮像し、当該撮像された画像を予め登録された基準画像と比較して検査する、ウエーハ外観検査装置において、
前記繰り返しパターン又は前記無パターン区画毎に設定された検査対象部位を撮像する撮像部と、
前記撮像部で撮像された画像を処理する画像処理部と、
前記検査対象部位の画像に対する、良否判定の基準となる前記基準画像を予め登録しておく基準画像登録部と、
前記検査対象部位を撮像された検査画像を前記基準画像と比較して、当該検査対象部位に潜む欠陥を検査する比較検査部とを備え、
前記比較検査部は、
前記検査対象部位内に潜む欠陥を検査するミクロ検査モードと、
複数の前記検査対象部位を跨がって前記検査対象ウエーハに潜在する欠陥を検査するマクロ検査モードと、
前記マクロ検査モードの実行に先立ち、前記検査対象ウエーハに潜在する欠陥を検査するための良否判定の基準となるマクロ検査用基準画像を生成するマクロ検査用基準画像生成モードを備え、
前記マクロ検査用基準画像生成モードでは、
前記撮像部にて、検査基準となる基準ウエーハに形成された繰り返しパターン又は基準ウエーハに設定された無パターン区画を分割撮像し、
前記画像処理部にて、当該分割撮像された基準画像同士を繋ぎ合わせてラージサイズのマクロ検査用基準画像を生成した後、当該ラージサイズのマクロ検査用基準画像を圧縮処理してスモールサイズのマクロ検査用基準画像を生成し、
前記スモールサイズのマクロ検査用基準画像を前記基準画像登録部に予め登録し、
前記マクロ検査モードでは、
前記撮像部にて、前記繰り返しパターン又は前記無パターン区画を分割撮像し、
前記画像処理部にて、当該分割撮像された検査画像同士を繋ぎ合わせてラージサイズのマクロ検査用検査画像を生成した後、当該ラージサイズのマクロ検査用検査画像を圧縮処理してスモールサイズのマクロ検査用検査画像を生成し、
前記比較検査部にて、前記スモールサイズのマクロ検査用検査画像を前記スモールサイズのマクロ検査用基準画像と比較して、前記検査対象ウエーハに潜在する欠陥を検査する
ことを特徴とする、ウエーハ外観検査装置。
【請求項2】
検査対象ウエーハに形成された繰り返しパターン又は検査対象ウエーハに設定された無パターン区画の外観画像を撮像し、当該撮像された画像と予め登録された基準画像とを比較して検査する、ウエーハ外観検査方法において、
前記検査対象ウエーハを保持するウエーハ保持手段と、
前記繰り返しパターン又は前記無パターン区画毎に設定された所定範囲を撮像する撮像手段と、
前記ウエーハ保持部と前記撮像部を相対移動させる相対移動手段と、
前記撮像部で撮像された画像を処理する画像処理手段とを用い、
検査基準となる基準ウエーハを保持するステップと、
前記繰り返しパターン又は前記無パターン区画を、逐次撮像場所を変更しながら分割撮像し、当該分割撮像された基準画像同士を繋ぎ合わせてラージサイズのマクロ検査用基準画像を生成した後、当該ラージサイズのマクロ検査用基準画像を圧縮してスモールサイズのマクロ検査用基準画像を生成するステップと、
前記検査対象ウエーハを保持するステップと、
前記繰り返しパターン又は前記無パターン区画を、逐次撮像場所を変更しながら分割撮像し、当該分割撮像された検査画像同士を繋ぎ合わせてラージサイズのマクロ検査用検査画像を生成した後、当該ラージサイズのマクロ検査用検査画像を圧縮してスモールサイズのマクロ検査用検査画像を生成するステップと、
前記スモールサイズのマクロ検査用検査画像を前記スモールサイズのマクロ検査用基準画像と比較して、前ウエーハをマクロ検査するステップとを有する
ことを特徴とする、ウエーハ外観検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエーハ上に形成されたデバイスチップ等の繰返し外観パターン又は検査対象ウエーハに設定された無パターン区画の外観画像を撮像し、当該撮像された検査画像と予め登録された基準画像とを比較して、当該デバイスチップ等の検査を行うウエーハ外観検査装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスは、1枚の半導体ウエーハ上に多数の半導体デバイス回路(つまり、デバイスチップの繰り返し外観パターン)が形成された後、個々のチップ部品に個片化され、当該チップ部品がパッケージングされて、電子部品として単体で出荷されたり電気製品に組み込まれたりする。
【0003】
そして、個々のチップ部品が個片化される前に、ウエーハ上に形成されたデバイスチップの繰り返し外観パターンを撮像された検査画像と基準画像とを比較して、配線パターン等の欠落やショート、線幅異常、異物の付着等がないかどうか検査(いわゆる、外観検査。パターン検査、ミクロ検査とも言う)が行われている(例えば、特許文献1)。
【0004】
一方、比較的大きなサイズの傷や汚れ、異物の付着がないかどうかを目視による検査(いわゆる、マクロ検査)が行われている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-155610号公報
【文献】特開平9-186209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ミクロ検査と同様にマクロ検査も検査装置での自動化が求められていた。しかし、従来の自動検査装置は、ミクロ検査に特化したものであり複数のチップを跨いでの検査に対応していなかったため、マクロ検査の範疇である比較的大きなサイズの傷や汚れ、異物の付着等を検査することができなかった。
【0007】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、
ミクロ検査のために取得した小さな区画の拡大画像に基づいて、マクロ検査の範疇である比較的大きなサイズの傷や汚れ、異物の付着等を自動的に検査することができる検査装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するために、本発明に係る一態様は、
検査対象ウエーハに形成された繰り返しパターン又は検査対象ウエーハに設定された無パターン区画の外観画像を撮像し、当該撮像された画像を予め登録された基準画像と比較して検査する、ウエーハ外観検査装置において、
繰り返しパターン又は無パターン区画毎に設定された検査対象部位を撮像する撮像部と、
撮像部で撮像された画像を処理する画像処理部と、
検査対象部位の画像に対する、良否判定の基準となる基準画像を予め登録しておく基準画像登録部と、
検査対象部位を撮像された検査画像を基準画像と比較して、当該検査対象部位に潜む欠陥を検査する比較検査部とを備え、
比較検査部は、
検査対象部位内に潜む欠陥を検査するミクロ検査モードと、
複数の検査対象部位を跨がって検査対象ウエーハに潜在する欠陥を検査するマクロ検査モードと、
マクロ検査モードの実行に先立ち、検査対象ウエーハに潜在する欠陥を検査するための良否判定の基準となるマクロ検査用基準画像を生成するマクロ検査用基準画像生成モードを備え、
マクロ検査用基準画像生成モードでは、
撮像部にて、検査基準となる基準ウエーハに形成された繰り返しパターン又は基準ウエーハに設定された無パターン区画を分割撮像し、
画像処理部にて、当該分割撮像された基準画像同士を繋ぎ合わせてラージサイズのマクロ検査用基準画像を生成した後、当該ラージサイズのマクロ検査用基準画像を圧縮処理してスモールサイズのマクロ検査用基準画像を生成し、
スモールサイズのマクロ検査用基準画像を基準画像登録部に予め登録し、
マクロ検査モードでは、
撮像部にて、繰り返しパターン又は無パターン区画を分割撮像し、
画像処理部にて、当該分割撮像された検査画像同士を繋ぎ合わせてラージサイズのマクロ検査用検査画像を生成した後、当該ラージサイズのマクロ検査用検査画像を圧縮処理してスモールサイズのマクロ検査用検査画像を生成し、
比較検査部にて、スモールサイズのマクロ検査用検査画像をスモールサイズのマクロ検査用基準画像と比較して、検査対象ウエーハに潜在する欠陥を検査する
【0009】
また、本発明に係る別の一態様は、
検査対象ウエーハに形成された繰り返しパターン又は無パターン区画の外観画像を撮像し、当該撮像された画像と予め登録された基準画像とを比較して検査する、ウエーハ外観検査方法において、
ウエーハを保持するウエーハ保持手段と、
繰り返しパターン又は無パターン区画毎に設定された所定範囲を撮像する撮像手段と、
ウエーハ保持部と撮像部を相対移動させる相対移動手段と、
撮像部で撮像された画像を処理する画像処理手段とを用い、
検査基準となる基準ウエーハを保持するステップと、
基準ウエーハに形成された繰り返しパターンを、逐次撮像場所を変更しながら分割撮像し、当該分割撮像された基準画像同士を繋ぎ合わせてラージサイズのマクロ検査用基準画像を生成した後、当該ラージサイズのマクロ検査用基準画像を圧縮してスモールサイズのマクロ検査用基準画像を生成するステップと、
検査対象ウエーハを保持するステップと、
検査対象ウエーハに形成された繰り返しパターンを、逐次撮像場所を変更しながら分割撮像し、当該分割撮像された検査画像同士を繋ぎ合わせてラージサイズのマクロ検査用検査画像を生成した後、当該ラージサイズのマクロ検査用検査画像を圧縮してスモールサイズのマクロ検査用検査画像を生成するステップと、
スモールサイズのマクロ検査用検査画像をスモールサイズのマクロ検査用基準画像と比較して、検査対象ウエーハをマクロ検査するステップとを有している。
【0010】
この様なウエーハ外観検査装置および方法によれば、ミクロ検査のために取得した小さな区画の拡大画像に基づいて、マクロ検査の範疇である比較的大きなサイズの傷や汚れ、異物の付着等を自動的に検査することができる。
【発明の効果】
【0011】
1つの検査装置でミクロ検査もマクロ検査も自動で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明を具現化する形態の一例の全体構成を示す概略図である。
図2】本発明を具現化する形態の一例における撮像の様子を示す概念図である。
図3】本発明を具現化する形態の一例における基準ウエーハおよび検査対象となるウエーハとデバイスチップの配置例を示す平面図である。
図4】本発明を具現化する形態の一例におけるラージサイズのマクロ検査用画像のイメージを示す画像図である。
図5】本発明を具現化する形態の一例におけるスモールサイズのマクロ検査用画像および差分のイメージを示す画像図である。
図6】本発明を具現化する形態の一例におけるフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明を実施するための形態について、図を用いながら説明する。なお、以下の説明では、直交座標系の3軸をX、Y、Zとし、水平方向をX方向、Y方向と表現し、XY平面に垂直な方向(つまり、重力方向)をZ方向と表現する。また、Z方向は、重力に逆らう方向を上、重力がはたらく方向を下と表現する。また、Z方向を中心軸として回転する方向をθ方向とする。
【0014】
図1は、本発明を具現化する形態の一例の全体構成を示す概略図である。図1には、本発明に係るウエーハ外観検査装置1を構成する各部が概略的に示されている。
【0015】
ウエーハ外観検査装置1は、検査対象ウエーハWに形成されたデバイスチップCの繰り返し外観パターンを撮像し、基準画像Pfと比較して、当該検査対象ウエーハWおよび当該デバイスチップCの検査を行うものである。
【0016】
具体的には、ウエーハ外観検査装置1は、検査対象ウエーハW上に設定した撮像領域Fの撮像場所を逐次変えながら、ウエーハW全面に亘って検査対象部位を撮像し、撮像された画像を処理して検査画像Pxを生成する。そして、検査画像Pxを基準画像Pdと比較することで、デバイスチップCの回路パターンにショートや断線等が無いか、異物やキズ等が付いていないか等、ウエーハW全面に亘って所望の検査(つまり、ミクロ検査)を自動的に行うものである。さらに、ウエーハ外観検査装置1は、検査画像Px(いわゆる、分割画像)を処理してマクロ検査用検査画像Pm(いわゆる、全体画像)を生成し、当該マクロ検査用検査画像Pmを予め登録されたマクロ検査用基準画像Pfと比較して、ウエーハW全体のマクロ検査を自動的に行うものである。
【0017】
より具体的には、ウエーハ外観検査装置1は、ウエーハ保持部2、撮像部3、相対移動部4、チップレイアウト登録部5、基準画像登録部6、画像処理部7、比較検査部8、制御部CN等を備えている。
【0018】
ウエーハ保持部2は、ウエーハWを保持するものである。
具体的には、ウエーハ保持部2は、ウエーハWを下面側から水平状態を保ちつつ支えるものである。より具体的には、ウエーハ保持部2は、上面が水平な載置台20を備えている。
載置台20は、ウエーハWと接触する部分に溝部や孔部が設けられており、これら溝部や孔部は、切替バルブなどを介して真空ポンプなどの負圧発生手段と接続されている。そして、ウエーハ保持部2は、これら溝部や孔部を負圧状態若しくは大気解放状態に切り替えることで、ウエーハWを保持したり保持解除したりすることができる。
【0019】
撮像部3は、検査対象部位を撮像し、当該検査対象部位が含まれた画像を撮像するものである。
【0020】
ここで、検査対象部位が含まれた画像とは、検査対象ウエーハWに形成された検査対象となるデバイスチップCの繰返し外観パターンの一部または全部の部位を含んで撮像された画像であり、デバイスチップC毎の検査対象部位を分割して撮像したもの(つまり、デバイスチップC毎の検査対象部位の内外に、撮像領域Fが多数設定されている)や、1つまたは複数のデバイスチップCの検査対象部位を含む広い範囲を撮像したもの(つまり、撮像領域F内にデバイスチップC毎の検査対象部位が1つまたは複数設定されている)を言う。なお、デバイスチップCの配列(個数やピッチなど)や要求される検査精度等が検査品種毎に異なるため、撮像部3で撮像する範囲(つまり、撮像エリア)のサイズや位置、間隔等は、それぞれの検査品種に適応させて登録されている。
【0021】
具体的には、撮像部3は、鏡筒30、照明部31、ハーフミラー32、複数の対物レンズ33a,33b、レボルバー機構34、撮像カメラ35等を備えている。
【0022】
鏡筒30は、照明部31、ハーフミラー32、対物レンズ33a,33b、レボルバー機構34、撮像カメラ35等を所定の姿勢で固定し、照明光や観察光を導光するものである。鏡筒30は、連結金具など(不図示)を介して装置フレーム1fに取り付けられている。
【0023】
照明部31は、撮像に必要な照明光L1を放出するものである。具体的には、照明部31は、レーザダイオードやメタルハライドランプ、キセノンランプ、LED照明などが例示できる。
【0024】
ハーフミラー32は、照明部31から放出された照明光L1を反射させてウエーハW側に照射し、ウエーハW側から入射した光(反射光、散乱光)L2を撮像カメラ35側に通過させるものである。
【0025】
対物レンズ33a,33bは、ワークW上の撮像エリアの像を、それぞれ異なる所定の観察倍率で撮像カメラ35の撮像素子36に結像させるものである。
【0026】
レボルバー機構34は、対物レンズ33a,33bのいずれを使用するか切り替えるものである。具体的には、レボルバー機構34は、手動または外部からの信号制御に基づいて、所定の角度ずつ回転および静止するものである。
【0027】
撮像カメラ35は、ワークW上の撮像領域Fを撮像し、撮像素子36に結像させた画像を取得するものである。取得した画像は、映像信号や映像データとして外部に出力され、画像処理部7で処理されて検査画像Pxや基準画像Pdが生成される。なお、これら検査画像Pxや基準画像Pdは、ワークW全体を広く一括撮像したものではなく、ワークWを所定の区画領域毎に分割して撮像したものであるため、分割撮像された検査画像Px、分割撮像された基準画像Pdと言う。
【0028】
相対移動部4は、ウエーハ保持部2と撮像部3とを相対移動させるものである。
具体的には、相対移動部4は、X軸スライダー41と、Y軸スライダー42と、回転機構43とを備えて構成されている。
【0029】
X軸スライダー41は、装置フレーム1f上に取り付けられており、Y軸スライダー42をX方向に任意の速度で移動させ、任意の位置で静止させるものである。具体的には、X軸スライダーは、X方向に延びる1対のレールと、そのレール上を移動するスライダー部と、スライダー部を移動および静止させるスライダー駆動部とで構成されている。スライダー駆動部は、制御部CNからの信号制御により回転し静止するサーボモータやパルスモータとボールネジ機構を組み合わせたものや、リニアモータ機構などで構成することができる。また、X軸スライダー41には、スライダー部の現在位置や移動量を検出するためのエンコーダが備えられている。なお、このエンコーダは、リニアスケールと呼ばれる直線状の部材に細かな凹凸が所定ピッチで刻まれたものや、ボールネジを回転させるモータの回転角度を検出するロータリエンコーダ等が例示できる。
【0030】
Y軸スライダー42は、制御部CNから出力される制御信号に基づいて、回転機構43をY方向に任意の速度で移動させ、任意の位置で静止させるものである。具体的には、Y軸スライダーは、Y方向に延びる1対のレールと、そのレール上を移動するスライダー部と、スライダー部を移動および静止させるスライダー駆動部とで構成されている。スライダー駆動部は、制御部CNからの信号制御により回転し静止するサーボモータやパルスモータとボールネジ機構を組み合わせたものや、リニアモータ機構などで構成することができる。また、Y軸スライダー42には、スライダー部の現在位置や移動量を検出するためのエンコーダが備えられている。なお、このエンコーダは、リニアスケールと呼ばれる直線状の部材に細かな凹凸が所定ピッチで刻まれたものや、ボールネジを回転させるモータの回転角度を検出するロータリエンコーダ等が例示できる。
【0031】
回転機構43は、載置台20をθ方向に任意の速度で回転させ、任意の角度で静止させるものである。具体的には、回転機構43は、ダイレクトドライブモータなどの、外部機器からの信号制御により任意の角度に回転/静止させるものが例示できる。回転機構43の回転する側の部材の上には、ウエーハ保持部2の載置台20が取り付けられている。
【0032】
相対移動部4は、この様な構成をしているため、検査対象となるウエーハWを保持したまま、ウエーハWを撮像部3に対してXYθ方向にそれぞれ独立させて又は複合的に、所定の速度や角度で相対移動させたり、任意の位置・角度で静止させたりすることができる。
【0033】
図2は、本発明を具現化する形態の一例における撮像の様子を示す概念図である。
図2には、ウエーハWに対して撮像部3の撮像カメラ35を矢印Vsで示す方向に相対移動させながら、ウエーハW上に離間配置されている複数のデバイスチップC(2,1)~C(5,1)の撮像場所を逐次変えて、検査対象部位を撮像(つまり、ウエーハWを分割撮像)する様子が示されている。なお現時刻では、デバイスチップC(4,1)の検査対象部位を含む撮像領域Fを撮像カメラ35の撮像素子に結像させて撮像している様子が図示されている。
【0034】
図3は、本発明を具現化する形態の一例における基準ウエーハWfおよび検査対象となるウエーハWとデバイスチップCの配置例を示す平面図である。
図3(a)には、検査基準となる基準ウエーハWfと、当該基準ウエーハWf上に形成されたデバイスチップCの繰返し外観パターンの配置イメージが示されている。また、図3(a)には、当該基準ウエーハWfに対して分割撮像された基準画像PdとデバイスチップCとの位置関係が示されている。
図3(b)には、検査対象となるウエーハW上に形成されたデバイスチップCの繰返し外観パターンの配置イメージと、当該ウエーハWに潜む汚れXの一例が示されている。また、図3(b)には、当該ウエーハWに対して分割撮像された検査画像PxとデバイスチップCとの位置関係が示されている。なお、ウエーハWに潜む汚れXは、マクロ検査における検出対象の欠陥の一類型であり、分割撮像された検査画像Pxの複数に亘って跨ぐように広く分布している。
【0035】
チップレイアウト登録部5は、ウエーハWの基準姿勢および基準位置に対する当該ウエーハのデバイスチップCの配置情報を規定するチップレイアウトを登録するものである。
【0036】
なお、チップレイアウトには、ウエーハWのノッチWkを真下に向けた状態を基準姿勢とし、この姿勢でのウエーハWの中心をXY方向の基準位置(原点とも言う)として、デバイスチップCの繰り返し外観パターンの縦横配列やピッチ、オフセット情報など(つまり、配置情報)が規定されている。
【0037】
具体的には、チップレイアウト登録部5には、検査品種毎にチップレイアウトを規定するデータが登録されている。そのため、当該チップレイアウトに基づいて撮像を行えば、図3に示すような基準画像Pdや検査画像Pxを分割撮像して取得することができる。
【0038】
基準画像登録部6は、検査の基準となる基準画像を登録するものである。
具体的には、基準画像登録部6には、分割撮像された基準画像Pd(いわゆる、分割画像)と、スモールサイズのマクロ検査用基準画像Pf(いわゆる、全体画像)が登録されている。
【0039】
分割撮像された基準画像Pdは、ウエーハW上に形成されたデバイスチップCの繰り返し外観パターンが正常である状態の基準を示すものである。
具体的には、分割撮像された基準画像Pdは、ミクロ検査において、分割撮像された検査画像Pxとの比較対象となり、各画素や画素群について輝度値の差分や分散値等が予め設定された範囲内であれば正常と判定し、当該範囲外であれば異常と判定するための基準となるものである。
より具体的には、基準画像Pdは、予め選定された良品画像を代表する1つの画像や、複数の良品画像を予め選定し平均化したもの、良品学習法に基づいて生成したもの等が例示できる。
【0040】
一方、スモールサイズのマクロ検査用基準画像Pfは、ウエーハW全体として正常である状態の基準を示すものである。具体的には、基準画像登録部6には、検査品種毎にスモールサイズの基準画像Pfのデータが登録されている。
【0041】
画像処理部7は、撮像部3で撮像された画像を処理するものである。
具体的には、画像処理部7は、撮像部3の撮像カメラ35で撮像された画像を取得し、撮像領域Fの中から検査に必要な部位を抽出(トリミングとも言う)する処理を行って検査画像Pxや基準画像Pdを生成したり、複数の分割画像同士を繋ぎ合わせて1つの画像を生成する処理をしたり、圧縮処理(画像を構成する画素数を間引いて低解像度化したり、輝度値等の分解能を下げたりする処理)をしたりする機能を備えている。また、画像処理部7は、傾き補正や明るさ補正、シェーディング補正、画像の湾曲補正等の処理を行う機能を備えており、適宜処理を行うように構成されている。
【0042】
より具体的には、画像処理部7は、分割撮像された基準画像Pdを繋ぎ合わせして1つの全体画像(つまり、ラージサイズのマクロ検査用基準画像PF)を生成したり、分割撮像された検査画像Pxを繋ぎ合わせして1つの全体画像(つまり、ラージサイズのマクロ検査用検査画像PM)を生成したりする。さらに、画像処理部7は、ラージサイズのマクロ検査用基準画像PFを圧縮処理して、スモールサイズのマクロ検査用基準画像Pfを生成し、ラージサイズのマクロ検査用検査画像PMを圧縮処理して、スモールサイズのマクロ検査用検査画像Pmを生成する。
【0043】
図4は、本発明を具現化する形態の一例におけるラージサイズのマクロ検査用画像のイメージを示す画像図である。
図4(a)には、ラージサイズのマクロ検査用基準画像PFのイメージが例示されており、図4(b)には、ラージサイズのマクロ検査用検査画像PMのイメージが例示されている。なお、ラージサイズのマクロ検査用検査画像PMには、ウエーハWに潜む汚れXが含まれている。
【0044】
図5は、本発明を具現化する形態の一例におけるスモールサイズのマクロ検査用画像および差分のイメージを示す画像図である。
図5(a)には、スモールサイズのマクロ検査用基準画像Pfのイメージが例示されており、図5(b)には、スモールサイズのマクロ検査用検査画像Pmのイメージが例示されている。なお、スモールサイズのマクロ検査用検査画像Pmには、ウエーハWに潜む汚れXが含まれている。
図5(c)は、スモールサイズのマクロ検査用検査画像Pmをスモールサイズのマクロ検査用基準画像Pfと比較(つまり、輝度値を差分)した後のイメージが例示されている。
【0045】
比較検査部8は、画像処理部7で生成されたマクロ検査用検査画像Pmをマクロ検査用基準画像Pfと比較して、検査対象部位に対して検査するものである。
具体的には、画像処理部7は、デバイスチップCの繰返し外観パターンの検査対象部位が含まれた検査画像Pkと基準画像Pfの対応する画素同士を比較し、各画素や画素群について輝度値の差分や分散値等が予め設定された範囲内であれば正常と判定し、当該範囲外であれば異常と判定する。
【0046】
そのため、画像処理部7にて検査画像Pkと基準画像Pfとを比較処理し、輝度値の差分が基準範囲外にあるところを抽出することで、汚れXを検出(つまり、マクロ検査)することができる。
【0047】
本発明に係るチップレイアウト登録部5、基準画像登録部6、画像処理部7、比較検査部8は、画像処理機能を備えたコンピュータCP(つまり、ハードウェア)と、その実行プログラム等(つまり、ソフトウェア)で構成されている。
より具体的には、チップレイアウト登録部5や基準画像登録部6は、コンピュータCPの記憶部(レジスタ、メモリー等)や記録媒体(HDD、SSD等)などの一部にて構成されている。画像処理部7は、コンピュータCPの画像処理部(いわゆる、GPU)にて構成されている。比較検査部8は、コンピュータCPの演算処理部および実行プログラムで構成されている。
【0048】
コンピュータCPは、例えば、以下の様な機能や役割を担っている。
・検査品種毎の撮像倍率および撮像位置、撮像ルートT、撮像間隔(ピッチ、インターバル)、送り速度等の情報(いわゆる、検査手順)の登録
・検査品種毎の検査条件(検査対象部位の輝度値や分散値等の正常範囲など)の登録
・ユーザインターフェース(キーボード、SW、モニタ等)と接続されて、各種情報の入出力
・制御部CNや外部のホストコンピュータ等と接続されて、信号やデータの入出力
なお、検査品種毎の検査手順や検査条件は、レシピ情報、検査レシピとも呼ばれる。
【0049】
制御部CNは、例えば、以下の様な機能や役割を担っている。
・ウエーハ保持部2に対して、ウエーハWの保持/解除の信号を出力
・レボルバー機構34を制御して、使用する対物レンズ(撮像倍率)を切り替える
・照明部31に対して、発光トリガを出力する
・撮像カメラ35に対して、撮像トリガを出力する
・相対移動部4の駆動制御:X軸スライダー41、Y軸スライダー42、回転機構43の現在位置をモニタリングしつつ、駆動用信号を出力する
・相対移動部4(X軸スライダー41、Y軸スライダー42、回転機構43)の現在位置情報をコンピュータCPに出力する
・検査レシピに基づいて各部を制御
【0050】
なお、制御部9から撮像部3への撮像トリガの出力は、下記の様な方式が例示できる。
・X方向にスキャン移動させながら、所定距離移動する毎に照明光L1を極短時間発光(いわゆる、ストロボ発光)させる方式。
・或いは、所定位置に移動および静止させて照明光L1を照射して撮像する(いわゆる、ステップ&リピート)方式。
【0051】
また、撮像トリガとは、撮像カメラ35や画像処理部7に対する画像取り込み指示、照明光L1の発光指示などを意味する。具体的には、撮像トリガとして、(ケース1)撮像カメラ35で撮像可能な時間(いわゆる、露光時間)の間に、照明光L1をストロボ発光させたり、(ケース2)照明光L1が照射されている時間内に、撮像させたり、する。或いは、撮像トリガは、撮像カメラ35に対する指示に限らず、(ケース3)画像を取得する画像処理装置に対する画像取込指示でも良い。そうすることで、撮像カメラ35から映像信号や映像データが逐次出力される形態にも対応できる。
【0052】
より具体的には、制御部CNは、コンピュータやプログラマブルロジックコントローラ等(つまり、ハードウェア)と、その実行プログラム等(つまり、ソフトウェア)で構成されている。
【0053】
[基準画像登録および検査フロー]
図6は、本発明を具現化する形態の一例におけるフロー図である。
図6(a)には、ウエーハ外観検査装置1を用いてウエーハWのマクロ検査を行うためのマクロ検査用基準画像Pfを登録する手順が、一連のフローとしてステップ毎に示されている。なお、これら一連のフローが実行できるように、コンピュータCPや制御部CNの実行プログラムが登録されている。
図6(b)には、ウエーハ外観検査装置1を用いてウエーハWに配置されているデバイスチップCを撮像・検査する手順が、一連のフローとしてステップ毎に示されている。
【0054】
検査に先立ち、マクロ検査用基準画像を以下の手順にて生成し、登録しておく。この一連のフローを行うモードを「マクロ検査用基準画像生成モード」と呼ぶ。
【0055】
先ず、登録するレシピを選択し、基準ウエーハWfを載置台20に載置する(ステップs1)。そして、基準ウエーハWfをアライメントする(ステップs2)。
【0056】
基準ウエーハWfを相対移動させながら基準画像Pdを撮像し(ステップs3)、当該基準画像Psを基準画像登録部6に登録する(ステップs4)。
【0057】
そして、基準ウエーハWf全体に亘って撮像を行ったかどうかを判定し(ステップs5)、撮像が終了していなければ上述のステップs2~s5を繰り返す。一方、撮像が終了していれば、基準画像Pdを繋ぎ合わせてラージサイズのマクロ検査用基準画像PFを生成し、当該基準画像PFを圧縮処理してスモールサイズのマクロ検査用基準画像Pfを生成する(ステップs6)。そして、当該基準画像Pfを基準画像登録部6に登録する(ステップs7)。
【0058】
そして、基準ウエーハWfを払い出し(ステップs8)、次の基準ウエーハWfについて同様の処理を行うかどうかを判定する(ステップs9)。同様の処理を行う場合は、上述のステップs2~s9を繰り返し、同様の処理を行わない場合は、一連のフローを終了する。
【0059】
以下、通常の検査を行う手順「ミクロ検査/マクロ検査モード」について説明する。
【0060】
先ず、検査レシピを選択してウエーハWの検査モードや順序を決定し、検査対象となるウエーハWを載置台20に載置する(ステップs11)。そして、検査対象となるウエーハWをアライメントする(ステップs12)。
【0061】
検査対象となるウエーハWを相対移動させながら検査画像Pxを撮像する(ステップs13)。ミクロ検査を行うかどうかを判断し(ステップs14)、ミクロ検査を行う場合、予め登録しておいた検査基準に基づいて各検査画像Pxに対してミクロ検査を行う(ステップs15)。
【0062】
そして、ウエーハW全体に亘って撮像を行ったかどうかを判定し(ステップs16)、撮像が終了していなければ上述のステップs12~s16を繰り返す。一方、撮像が終了していれば、マクロ検査を行うかどうかを判断する(ステップs20)。マクロ検査を行う場合、予め登録しておいた検査基準に基づいてスモールサイズのマクロ検査用検査画像Pmをスモールサイズのマクロ検査用基準画像Pfと比較して、マクロ検査を行う(ステップs21)。
【0063】
そして、検査対象となるウエーハWを払い出し(ステップs30)、次の検査対象となるウエーハWについて同様の処理を行うかどうかを判定する(ステップs31)。同様の処理を行う場合は、上述のステップs12~s31を繰り返し、同様の処理を行わない場合は、一連のフローを終了する。
【0064】
本発明に係るウエーハ外観検査装置1およびウエーハ外観検査方法によれば、ミクロ検査のために取得した小さな区画の拡大画像に基づいて、マクロ検査の範疇である比較的大きなサイズの傷や汚れ、異物の付着等を自動的に検査することができる。そのため、1つの検査装置でミクロ検査もマクロ検査も自動で行うことができる。
【0065】
[変形例]
なお上述では、ウエーハ外観検査装置1に「マクロ検査用基準画像生成モード」を備えた構成を例示した。このような構成であれば、1つの検査装置で、スモールサイズのマクロ検査用基準画像Pfの生成と登録を行い、マクロ検査を行うためのことができるので好ましい。
【0066】
しかし、ウエーハ外観検査装置1には「マクロ検査用基準画像生成モード」を備えず、外部記録媒体(HDD,SSD,メモリーカード等)や電気通信回線等を介して、分割撮像された基準画像Pdを外部のコンピュータや処理システム等へ出力し、当該外部のコンピュータや処理システム等を用いてラージサイズのマクロ検査用基準画像PFを生成し、スモールサイズのマクロ検査用基準画像Pfを生成する構成であってもよい。この場合、生成されたスモールサイズのマクロ検査用基準画像Pfは、外部記録媒体(HDD,SSD,メモリーカード等)や電気通信回線等を介して、ウエーハ外観検査装置1に受け渡し、基準画像登録部6に登録する構成とする。このような構成であれば、1つの検査装置でミクロ検査もマクロ検査も自動で行うことができる。
【0067】
なお上述では、ウエーハ外観検査装置1として、検査対象ウエーハWに形成されたデバイスチップCの繰り返し外観パターンの外観画像を撮像し、基準画像Pfと比較して、当該検査対象ウエーハWおよび当該デバイスチップCの検査を行う構成および手順を例示した。しかし、本発明を適用する上で、検査対象は、ウエーハWに形成されたデバイスチップCの繰り返し外観パターンに限らず、ウエーハWに設定された無パターン区画であっても良い。この場合、基準画像Pdとして、ウエーハWに設定された無パターン区画が正常である状態の基準を示すものを予め登録しておく。そして、撮像部3では、検査対象となるウエーハWに設定された無パターン区画を撮像し、上述と同様の手順にて比較検査部8で検査を行う。











【符号の説明】
【0068】
1 ウエーハ外観検査装置
2 ウエーハ保持部
3 撮像部
4 相対移動部
5 検査レシピ登録部
6 基準画像登録部
7 画像処理部
8 比較検査部
1f 装置フレーム
20 載置台
30 鏡筒
31 照明部
32 ハーフミラー
33a,33b 対物レンズ
34 レボルバー機構
35 撮像カメラ
41 X軸スライダー
42 Y軸スライダー
43 回転機構
CN 制御部
CP コンピュータ
W ウエーハ(検査対象)
Wf 基準ウエーハ
C デバイスチップ
F 撮像領域
X 検出対象(汚れ等)
Pd 分割撮像された基準画像
PF マクロ検査用基準画像(ラージサイズ)
Pf マクロ検査用基準画像(スモールサイズ)
Px 撮像された検査画像
PM マクロ検査用検査画像(ラージサイズ)
Pm マクロ検査用検査画像(スモールサイズ)
L1 照明光
L2 ウエーハ側から入射した光(反射光、散乱光)
図1
図2
図3
図4
図5
図6