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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】リリーフバルブ
(51)【国際特許分類】
   F16K 17/04 20060101AFI20231017BHJP
【FI】
F16K17/04 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019187632
(22)【出願日】2019-10-11
(65)【公開番号】P2021063532
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000185488
【氏名又は名称】株式会社オティックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 康行
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-064017(JP,A)
【文献】特開平11-125348(JP,A)
【文献】実開平01-166777(JP,U)
【文献】特公昭50-016016(JP,B1)
【文献】特開2012-017800(JP,A)
【文献】特表2009-504994(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 11/00-11/22
21/14
F16K 1/00- 1/54
17/00-17/168
31/12-31/165
31/36-31/42
39/00-51/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプによって送られるオイルが通過する配管に設けられるリリーフバルブであって、
上記配管と連通する内部空間と、外部へと通じるメインリーク部とを備えたハウジングと、
上記内部空間において移動可能に収容されたバルブ部と、を有し、
上記バルブ部は、外部に通じる予備リーク部を有するメインバルブと、
上記メインバルブに対して移動可能に取り付けられた予備バルブと、を有し、
上記予備バルブは、上記予備リーク部を閉じる方向に付勢されており、上記メインバルブは、上記メインリーク部を閉じる方向に付勢されており、
上記配管内の圧力が第1の圧力閾値を上回ったとき、上記メインバルブが上記メインリーク部を開放する方向に移動し、上記配管内の圧力が、上記第1の圧力閾値よりも大きい第2の圧力閾値を上回ったとき、上記予備バルブが、上記予備リーク部を開放する方向に移動
上記予備バルブと上記メインバルブとは、共通の付勢部材によって、同一方向に付勢されており、
上記メインバルブは、付勢された側を向くと共に、上記配管内の上記オイルの圧力を受けるメイン受圧面を有し、上記予備バルブは、付勢された側を向くと共に、上記配管内の上記オイルの圧力を受ける予備受圧面を有し、
上記予備受圧面よりも上記メイン受圧面の方が、上記付勢部材による付勢方向への投影面積が大きく、
上記配管内の圧力が上記第1の圧力閾値以下のとき、上記メイン受圧面と上記予備受圧面との双方が、上記配管内の上記オイルに面している、リリーフバルブ。
【請求項2】
ポンプによって送られるオイルが通過する配管に設けられるリリーフバルブであって、
上記配管と連通する内部空間と、外部へと通じるメインリーク部とを備えたハウジングと、
上記内部空間において移動可能に収容されたバルブ部と、を有し、
上記バルブ部は、外部に通じる予備リーク部を有するメインバルブと、
上記メインバルブに対して移動可能に取り付けられた予備バルブと、を有し、
上記予備バルブは、上記予備リーク部を閉じる方向に付勢されており、上記メインバルブは、上記メインリーク部を閉じる方向に付勢されており、
上記配管内の圧力が第1の圧力閾値を上回ったとき、上記メインバルブが上記メインリーク部を開放する方向に移動し、上記配管内の圧力が、上記第1の圧力閾値よりも大きい第2の圧力閾値を上回ったとき、上記予備バルブが、上記予備リーク部を開放する方向に移動
上記予備バルブと上記メインバルブとは、共通の付勢部材のみによって、同一方向に付勢されており、
上記メインバルブは、付勢された側を向くと共に、上記配管内の上記オイルの圧力を受けるメイン受圧面を有し、上記予備バルブは、付勢された側を向くと共に、上記配管内の上記オイルの圧力を受ける予備受圧面を有し、
上記予備受圧面よりも上記メイン受圧面の方が、上記付勢部材による付勢方向への投影面積が大きく、
上記付勢部材は、上記予備バルブを直接付勢すると共に、上記予備バルブを介して、間接的に、上記メインバルブを付勢している、リリーフバルブ。
【請求項3】
上記メインバルブは、上記配管と上記内部空間とを連通させると共に、上記予備リーク部と連通する貫通孔を有し、上記予備バルブは、上記貫通孔に嵌入配置される軸部と、該軸部よりも上記付勢部材側に形成されると共に該軸部よりも外周側に突出した鍔部とを有し、上記付勢部材は、上記鍔部を直接付勢すると共に、上記鍔部を介して、間接的に、上記メインバルブを付勢しており、上記配管内の圧力が上記第2の圧力閾値以下のとき、上記軸部は、上記予備リーク部を閉じるように配置されている、請求項2に記載のリリーフバルブ。
【請求項4】
上記予備リーク部は、上記メインリーク部に接続されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のリリーフバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リリーフバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車のモータやエンジンにオイルを供給するオイルポンプ装置には、リリーフバルブを備えたものがある。リリーフバルブは、供給されるオイルの圧力が所定値以上となった場合に、リリーフ経路にオイルを逃がすことによって、オイルの圧力が上昇することを防いでいる。
【0003】
特許文献1には、予備を含む2個のリリーフバルブを設けたオイルポンプ装置が開示されている。2個のリリーフバルブを設けることにより、一方のリリーフバルブに故障が生じたとしても、予備のリリーフバルブを正常に作動させることにより、オイルの圧力が上昇しすぎることを防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-177030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたオイルポンプ装置は、予備を含む2個のリリーフバルブを備えるため、リリーフバルブの搭載スペースが大きくなりやすい。また、配管への取付工数が増えることとなる。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、搭載スペースの小型化及び取付工数の低減を図ることができるリリーフバルブを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様は、ポンプによって送られるオイルが通過する配管に設けられるリリーフバルブであって、
上記配管と連通する内部空間と、外部へと通じるメインリーク部とを備えたハウジングと、
上記内部空間において移動可能に収容されたバルブ部と、を有し、
上記バルブ部は、外部に通じる予備リーク部を有するメインバルブと、
上記メインバルブに対して移動可能に取り付けられた予備バルブと、を有し、
上記予備バルブは、上記予備リーク部を閉じる方向に付勢されており、上記メインバルブは、上記メインリーク部を閉じる方向に付勢されており、
上記配管内の圧力が第1の圧力閾値を上回ったとき、上記メインバルブが上記メインリーク部を開放する方向に移動し、上記配管内の圧力が、上記第1の圧力閾値よりも大きい第2の圧力閾値を上回ったとき、上記予備バルブが、上記予備リーク部を開放する方向に移動
上記予備バルブと上記メインバルブとは、共通の付勢部材によって、同一方向に付勢されており、
上記メインバルブは、付勢された側を向くと共に、上記配管内の上記オイルの圧力を受けるメイン受圧面を有し、上記予備バルブは、付勢された側を向くと共に、上記配管内の上記オイルの圧力を受ける予備受圧面を有し、
上記予備受圧面よりも上記メイン受圧面の方が、上記付勢部材による付勢方向への投影面積が大きく、
上記配管内の圧力が上記第1の圧力閾値以下のとき、上記メイン受圧面と上記予備受圧面との双方が、上記配管内の上記オイルに面している、リリーフバルブにある。
本発明の第二の態様は、ポンプによって送られるオイルが通過する配管に設けられるリリーフバルブであって、
上記配管と連通する内部空間と、外部へと通じるメインリーク部とを備えたハウジングと、
上記内部空間において移動可能に収容されたバルブ部と、を有し、
上記バルブ部は、外部に通じる予備リーク部を有するメインバルブと、
上記メインバルブに対して移動可能に取り付けられた予備バルブと、を有し、
上記予備バルブは、上記予備リーク部を閉じる方向に付勢されており、上記メインバルブは、上記メインリーク部を閉じる方向に付勢されており、
上記配管内の圧力が第1の圧力閾値を上回ったとき、上記メインバルブが上記メインリーク部を開放する方向に移動し、上記配管内の圧力が、上記第1の圧力閾値よりも大きい第2の圧力閾値を上回ったとき、上記予備バルブが、上記予備リーク部を開放する方向に移動し、
上記予備バルブと上記メインバルブとは、共通の付勢部材のみによって、同一方向に付勢されており、
上記メインバルブは、付勢された側を向くと共に、上記配管内の上記オイルの圧力を受けるメイン受圧面を有し、上記予備バルブは、付勢された側を向くと共に、上記配管内の上記オイルの圧力を受ける予備受圧面を有し、
上記予備受圧面よりも上記メイン受圧面の方が、上記付勢部材による付勢方向への投影面積が大きく、
上記付勢部材は、上記予備バルブを直接付勢すると共に、上記予備バルブを介して、間接的に、上記メインバルブを付勢している、リリーフバルブにある。
【発明の効果】
【0008】
上記リリーフバルブは、ハウジングの内部空間にメインバルブと予備バルブとを有する。それゆえ、メインバルブが正常に作動しなくなったとしても、メインバルブに取り付けられた予備バルブが正常に作動することにより、オイルの過度な圧力上昇を防ぐことができる。それゆえ、配管に予備のリリーフバルブを設ける必要がない。その結果、リリーフバルブの搭載スペースの小型化及び取付工数の低減を図ることができる。
【0009】
以上のごとく、上記態様によれば、搭載スペースの小型化及び取付工数の低減を図ることができるリリーフバルブを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態1における、配管内の圧力が第1の圧力閾値以下のときのリリーフバルブの断面図。
図2図1におけるII-II線矢視断面相当図。
図3】実施形態1における、配管内の圧力が第1の圧力閾値を上回ったときのリリーフバルブの断面図。
図4】実施形態1における、配管内の圧力が第2の圧力閾値を上回ったときのリリーフバルブの断面図。
図5】実施形態2における、配管内の圧力が第1の圧力閾値以下のときのリリーフバルブの断面図。
図6】実施形態2における、配管内の圧力が第2の圧力閾値を上回ったときのリリーフバルブの断面図。
図7】実施形態3における、配管内の圧力が第1の圧力閾値以下のときのリリーフバルブの断面図。
図8】実施形態3における、配管内の圧力が第2の圧力閾値を上回ったときのリリーフバルブの断面図。
図9】実施形態3における、Z方向における上側から見たメインバルブの平面図。
図10】比較形態における、配管内の圧力が所定の圧力閾値以下のときのリリーフバルブの断面図。
図11】比較形態における、配管内の圧力が所定の圧力閾値を上回ったときのリリーフバルブの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上記予備バルブと上記メインバルブとは、共通の付勢部材によって、同一方向に付勢されているものとすることができる。この場合には、1個のリリーフバルブに対し、複数の付勢部材を用いることなく、バルブ部を付勢することができる。その結果、取付工数の低減を図ることができると共に、部品点数を減少させることができる。
【0012】
上記メインバルブは、付勢された側を向くと共に、上記配管内の上記オイルの圧力を受けるメイン受圧面を有し、上記予備バルブは、付勢された側を向くと共に、上記配管内の上記オイルの圧力を受ける予備受圧面を有し、上記予備受圧面よりも上記メイン受圧面の方が、上記付勢部材による付勢方向への投影面積が大きいものとすることができる。この場合には、予備受圧面が受けるオイルの圧力よりも、メイン受圧面が受けるオイルの圧力の方が大きくなる。それゆえ、配管内のオイルの圧力が上昇した際、メインバルブに異常がない限り、予備リーク部が開放されることなく、メインリーク部が開放されるよう構成しやすい。すなわち、所定の第1の圧力閾値未満の圧力にて予備リーク部が開放されることを防ぐことができる。
【0013】
上記予備リーク部は、上記メインリーク部に接続されているものとすることができる。この場合には、予備リーク部からのオイルの排出経路を、メインリーク部からのオイルの排出経路と共通化して、排出経路を簡素化することができる。
【0014】
(実施形態1)
リリーフバルブの実施形態につき、図1図3を参照して、説明する。
本形態のリリーフバルブ1は、図1に示すごとく、ポンプ(図示略)によって送られるオイルが通過する配管11に設けられる。リリーフバルブ1は、ハウジング2と、バルブ部3とを有する。ハウジング2は、配管11と連通する内部空間21と、外部へと通じるメインリーク部24とを備える。バルブ部3は、内部空間21において移動可能に収容されている。また、バルブ部3は、メインバルブ31と、予備バルブ32とを有する。メインバルブ31は、外部に通じる予備リーク部314を有する。予備バルブ32は、メインバルブ31に対して移動可能に取り付けられている。
【0015】
予備バルブ32は、予備リーク部314を閉じる方向に付勢されている。メインバルブ31は、メインリーク部24を閉じる方向に付勢されている。配管11内の圧力が第1の圧力閾値を上回ったとき、メインバルブ31がメインリーク部24を開放する方向に移動する。また、配管11内の圧力が、第1の圧力閾値よりも大きい第2の圧力閾値を上回ったとき、予備バルブ32が、予備リーク部314を開放する方向に移動する。
【0016】
本形態におけるリリーフバルブ1は、例えば、ハイブリッド自動車に搭載されるモータ等に供給されるオイルの供給経路に設けられる。本形態において、リリーフバルブ1が設けられている配管11は、一方がオイルを吐出するポンプに接続されており、もう一方がモータ(図示略)に接続されている。ポンプによって吐出されたオイルは、図1に示した矢印Oilの方向に沿って流れ、モータに供給される。
【0017】
本形態において、ハウジング2は、図1に示すごとく、リリーフバルブ1の中心軸Cに平行な方向Zと、配管11内のオイルが流れる方向とが直交するように、配管11に接続されている。
なお、本明細書において、中心軸Cに平行な方向を、適宜、Z方向という。また、Z方向におけるリリーフバルブ1のハウジング2と配管11とが接続される側を下側といい、その反対側であって、天板部26がある側を上側という。
【0018】
ハウジング2は、略円柱形状の内部空間21を有する。ハウジング2は、Z方向の下側に、開口部25を備えた底板部27を有する。開口部25を介して、配管11内と内部空間21とが連通している。また、ハウジング2は、上側に天板部26と、天板部26の外周端から配管11に向かって立設された側壁部22とを有する。側壁部22は、筒状を呈する。
【0019】
メインリーク部24は、内部空間21と連通すると共に、外部へと通じている。メインリーク部24は、ハウジング2の側壁部22の下端部において、内部空間21に接続されている。メインリーク部24は、配管11に沿うように設けられている。
【0020】
また、ハウジング2の内部空間21には、メインバルブ31と予備バルブ32とを有するバルブ部3が収容されている。メインバルブ31は、図1に示すごとく、Z方向において、底板部27に当接する底壁部311と、底壁部311の外周端縁からZ方向における上側に向かって立設された筒状部312とを有する。メインバルブ31は、筒状部312の外周側に、外周面316を有する。メインバルブ31は、該メインバルブ31の外周面316が、ハウジング2の側壁部22の内周面23に対してZ方向に摺動することができるよう配設されている。
【0021】
また、メインバルブ31は、図1図2に示すごとく、付勢された側を向くと共に、配管11内のオイルの圧力を受けるメイン受圧面315を有する。予備バルブ32は、付勢された側を向くと共に、配管11内のオイルの圧力を受ける予備受圧面321を有する。また、予備受圧面321よりもメイン受圧面315の方が、付勢部材4による付勢方向への投影面積が大きい。本形態において、予備バルブ32及びメインバルブ31が付勢されている方向は、Z方向である。
【0022】
また、メインバルブ31は、図1図2に示すごとく、底壁部311にメイン受圧面315を有する。メイン受圧面315は、配管11内のオイルに面している。メイン受圧面315は、図2に示すごとく、環状を呈する。また、底壁部311は、図1図2に示すごとく、メイン受圧面315の外周側に、ハウジング2の底板部27と当接する当接面317を有する。当接面317は、図2に示すごとく、環状を呈する。当接面317とメイン受圧面315とは、同一面上にある。
【0023】
底壁部311は、図1に示すごとく、配管11と内部空間21とを連通させる貫通孔313を有する。貫通孔313は、Z方向に沿って形成されている。貫通孔313の直径は、図1図2に示すごとく、開口部25の直径よりも小さい。
【0024】
また、底壁部311には、図1に示すごとく、予備リーク部314が形成されている。予備リーク部314は、貫通孔313と連通している。
【0025】
また、予備リーク部314は、メインリーク部24に接続されている。つまり、予備リーク部314を介して、貫通孔313と、メインリーク部24とが連通している。予備リーク部314は、図2に示すごとく、配管11の長手方向に沿って形成されている。
【0026】
貫通孔313には、図1に示すごとく、予備バルブ32の軸部322が嵌入配置される。軸部322が嵌入されることにより、メインバルブ31に形成されている予備リーク部314の一方の開口が閉じられている。軸部322は、その外周面が、貫通孔313の内周面318と摺動可能に配置されている。軸部322は、略円柱形状を呈する。
【0027】
予備バルブ32は、図1に示すごとく、軸部322の上側に鍔部323を有する。鍔部323は、軸部322よりも外周側に突出するよう形成されている。鍔部323は、Z方向から見ると略円形の板状を呈する。鍔部323のZ方向と直交する方向における直径は、軸部322の直径よりも大きい。また、鍔部323の直径は、メインバルブ31に形成されている貫通孔313の直径よりも大きい。
【0028】
また、予備バルブ32は、図1図2に示すごとく、軸部322の下面に、配管11内のオイルに面する予備受圧面321を有する。予備受圧面321は、図2に示すごとく、略円形を呈する。
【0029】
バルブ部3は、図1に示すごとく、付勢部材4によって、Z方向の下側に付勢されている。付勢部材4は、例えば、コイルバネである。
【0030】
本形態において、付勢部材4は、Z方向において、上端が天板部26に当接しており、下端が予備バルブ32に当接している。そして、付勢部材4は、Z方向に圧縮変形された状態にて、内部空間21に配設されている。つまり、予備バルブ32は、付勢部材4によって、Z方向における下側に向かって付勢されている。
【0031】
また、鍔部323は、Z方向における下側を向くシール面324を有する。シール面324は、Z方向において、メインバルブ31の底壁部311に当接している。鍔部323が付勢部材4によって下側に向かって付勢されることにより、シール面324は、底壁部311に押圧されている。
【0032】
予備バルブ32とメインバルブ31とは、共通の付勢部材4によって、同一方向に付勢されている。つまり、付勢部材4は、予備バルブ32を直接付勢すると共に、予備バルブ32のシール面324を介して、下側に向かって、間接的に、メインバルブ31を付勢している。メインバルブ31が付勢部材4によって付勢されることにより、Z方向において、当接面317と底板部27とが圧接している。
【0033】
次に、メインバルブ31が正常な場合における、バルブ部3の動作について説明する。
バルブ部3は、配管11内の圧力が第1の圧力閾値を上回ったとき、図3に示すごとく、Z方向における上側に向かって移動する。具体的には、配管11内のオイルが、バルブ部3のメイン受圧面315と予備受圧面321とを、付勢部材4による付勢方向と反対の方向である上側に向かって押すことにより、バルブ部3が上側に移動する。このとき、メインバルブ31が予備バルブ32と一体となって、上側に向かって移動する。そして、バルブ部3が上側に移動することにより、メインバルブ31によって閉じられていたメインリーク部24が開放される。そして、配管11内のオイルは、図3の矢印Oilに示すように、メインリーク部24を通って、リリーフバルブ1の外部へと排出される。オイルがリリーフバルブ1の外部に排出され、配管11内の圧力が第1の圧力閾値以下となると、バルブ部3は、下側に移動し、再びメインリーク部24を閉じる。また、リリーフバルブ1の外部に移動したオイルは、オイルを吐出するポンプへと戻り、再び循環する。
【0034】
次に、本実施形態の作用効果につき説明する。
本形態のリリーフバルブ1は、ハウジング2の内部空間21にメインバルブ31と予備バルブ32とを有する。それゆえ、メインバルブ31が正常に作動しなくなったとしても、メインバルブ31に取り付けられた予備バルブ32が正常に作動することにより、オイルの過度な圧力上昇を防ぐことができる。それゆえ、配管11に予備のリリーフバルブ1を設ける必要がない。その結果、リリーフバルブ1の搭載スペースの小型化及び取付工数の低減を図ることができる。
【0035】
より具体的には、図4に示すごとく、例えば、異物の噛み込み等によりメインバルブ31が正常に作動しなくなったとしても、第2の圧力閾値を上回る配管11内の圧力によって、予備バルブ32が、メインバルブ31に対しZ方向の上側に移動することができる。すなわち、メインバルブ31に上述のような異常が生じると、配管11内の圧力が第1の圧力閾値を超えてもメインリーク部24が直接開放されないおそれがある。この場合、配管11内の圧力がさらに上昇するおそれがあるが、第2の圧力閾値を超えたとき、予備バルブ32が移動し、予備リーク部314が開放される。これにより、図4の矢印Oilに示すごとく、予備リーク部314及びメインリーク部24を介してオイルを排出することができる。その結果、メインバルブ31が正常に作動しなくなったとしても、予備バルブ32が正常に作動することにより、配管11内の過度な圧力上昇を防ぐことができる。
【0036】
仮に、図10に示すごとく、予備バルブ32がないリリーフバルブ9を想定する。この場合、バルブ部3が正常に作動するときは、配管11内の圧力が所定の圧力閾値を上回ることにより、図11に示すごとく、バルブ部3が上側に移動し、メインリーク部24を介してオイルを外部に排出することができる。しかし、バルブ部3が正常に作動しなくなったとき、配管11内の圧力が所定の圧力閾値を上回っても、バルブ部3によって閉じられたメインリーク部24が開放されず、オイルを排出することができない。それゆえ、バルブ部3に異常が発生した際、配管11内の圧力上昇を防ぐため、配管11に予備のリリーフバルブ9を設ける必要がある。一方、本形態におけるリリーフバルブ1の場合、予備のリリーフバルブ1を設ける必要がない。つまり、上記のごとく、メインバルブ31が正常に作動しなくなったとしても、予備バルブ32が正常に作動することにより、配管11内の圧力上昇を防ぐことができる。その結果、リリーフバルブ1の搭載スペースの小型化及び取付工数の低減を図ることができる。
【0037】
また、本形態のリリーフバルブ1は、予備バルブ32とメインバルブ31とが、共通の付勢部材4によって、同一方向に付勢されている。それゆえ、1個のリリーフバルブ1に対し、複数の付勢部材4を用いることなく、バルブ部3を付勢することができる。その結果、取付工数の低減を図ることができると共に、部品点数を減少させることができる。
【0038】
また、本形態のリリーフバルブ1は、予備受圧面321よりも、メイン受圧面315の方が、Z方向への投影面積が大きい。それゆえ、予備受圧面321が受けるオイルの圧力よりも、メイン受圧面315が受けるオイルの圧力の方が大きくなる。それゆえ、配管11内のオイルの圧力が上昇した際、メインバルブ31に異常がない限り、予備リーク部314が開放されることなく、メインリーク部24が開放されるよう構成しやすい。すなわち、所定の第1の圧力閾値未満の圧力にて予備リーク部314が開放されることを防ぐことができる。
【0039】
また、予備リーク部314は、メインリーク部24に接続されている。それゆえ、予備リーク部314からのオイルの排出経路を、メインリーク部24からのオイルの排出経路と共通化して、排出経路を簡素化することができる。
【0040】
また、予備バルブ32は、軸部322よりも外周側に突出した鍔部323を有する。それゆえ、鍔部323に付勢部材4を設置することにより、予備バルブ32を容易に付勢しやすい。その結果、リリーフバルブ1を容易に組み付けることができる。
【0041】
また、予備バルブ32は鍔部323を備えるため、鍔部323の下面をシール面324とすることができる。それゆえ、付勢部材4によって予備バルブ32を付勢することにより、予備リーク部314を塞ぐと共に、内部空間21へのオイルのリークを防ぐことができる。
【0042】
以上のごとく、本実施形態によれば、搭載スペースの小型化及び取付工数の低減を図ることができるリリーフバルブ1を提供することができる。
【0043】
(実施形態2)
本形態のリリーフバルブ1は、図5図6に示すごとく、予備バルブ32の形状を略球状とした形態である。
【0044】
本形態において、予備バルブ32は、図5に示すごとく、メインバルブ31の貫通孔313に嵌入されることなく、貫通孔313の上側の開口を塞ぐように配置される。予備バルブ32の予備受圧面321は、曲面となっている。また、予備バルブ32は、予備リーク部314の開口を直接閉じていない。予備バルブ32は、貫通孔313の上側の開口を閉じることにより、配管11に対し、予備リーク部314を閉じている。
【0045】
メインバルブ31の底壁部311は、リリーフバルブ1の径方向において、貫通孔313に近付くに従って、Z方向における厚みが小さくなるように、上側の面が中心軸Cに対して傾斜している。また、予備バルブ32のシール面324は、Z方向における、予備リーク部314と、貫通孔313の上側の開口との間において、底壁部311の上側の面と圧接している。
【0046】
また、付勢部材4の内周の直径は、予備バルブ32の直径よりも小さい。付勢部材4の内側には、予備バルブ32の上側の一部が収容されている。
その他は、実施形態1と同様である。
なお、実施形態2以降において用いた符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
【0047】
本形態においては、予備バルブ32が貫通孔313の周囲における底壁部311の上面に圧接することにより、配管11に対し、予備リーク部314を閉じることとなる。それゆえ、図6に示すごとく、予備バルブ32がメインバルブ31に対しZ方向に移動する際、予備バルブ32とメインバルブ31とが引っ掛かりにくい。その結果、予備バルブ32の作動異常が生じにくい。
その他、実施形態1と同様の作用効果を有する。
【0048】
(実施形態3)
本形態のリリーフバルブ1は、図7図8に示すごとく、実施形態1のリリーフバルブ1に対して、予備リーク部314の形状を変更した形態である。
【0049】
予備リーク部314は、貫通孔313の内周面318の一部を、リリーフバルブ1の径方向であって、中心軸Cから離れる方向に後退させることにより形成される。また、予備リーク部314は、メインリーク部24に接続されていない。予備リーク部314は、図9に示すごとく、貫通孔313の外周に沿って、略弧状に形成されている。
【0050】
また、天板部26には、図7図8に示すごとく、ハウジング2の内部空間21と外部とを連通させる天板孔261が形成されている。
その他は、実施形態1と同様である。
【0051】
本形態のリリーフバルブ1は、メインバルブ31が正常に作動しなくなった状況において、図8に示すごとく、予備バルブ32が、メインバルブ31に対し上側に移動したとき、予備バルブ32によって閉じられていた予備リーク部314が開放される。すなわち、予備リーク部314が、配管11と内部空間21とを連通させることとなる。そして、図8の矢印Oilに示すごとく、予備リーク部314、内部空間21、天板孔261、外部の順に、オイルを排出することができる。
【0052】
また、本形態のリリーフバルブ1は、製造時において、予備リーク部314を切削加工等によって形成することができる。それゆえ、予備リーク部314の加工を容易に行うことができる。また、本形態においては、予備リーク部314を介するオイル排出経路と、メインリーク部24を介するオイルの排出経路とを分けることができる。それゆえ、予備リーク部314を介するオイルの排出を検出することによって、メインバルブ31の異常を検知することも可能となる。
その他、実施形態1と同様の作用効果を有する。
【0053】
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 リリーフバルブ
11 配管
2 ハウジング
21 内部空間
24 メインリーク部
3 バルブ部
31 メインバルブ
314 予備リーク部
32 予備バルブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11