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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】毛髪供給装置
(51)【国際特許分類】
   A41G 3/00 20060101AFI20231017BHJP
【FI】
A41G3/00 N
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019206745
(22)【出願日】2019-11-15
(65)【公開番号】P2021080580
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003399
【氏名又は名称】JUKI株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000126218
【氏名又は名称】株式会社アートネイチャー
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】小浜 次郎
(72)【発明者】
【氏名】飯島 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】市田 徹
(72)【発明者】
【氏名】飯村 ほのか
【審査官】遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-040084(JP,A)
【文献】特開昭63-219666(JP,A)
【文献】米国特許第03013567(US,A)
【文献】米国特許第02686305(US,A)
【文献】国際公開第2001/044552(WO,A1)
【文献】特許第6533350(JP,B1)
【文献】特開2018-090952(JP,A)
【文献】特開2004-285526(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41G 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
植毛用毛髪の束から当該植毛用毛髪を1本ずつ引き出すための供給動作を行う毛髪供給装置において、
前記植毛用毛髪の束を保持し、複数本の前記植毛用毛髪の毛先を前記束の前記植毛用毛髪と異なる方向に向けて選り分ける供給部と、
選り分けられた複数本の前記植毛用毛髪の毛先の三次元上の位置を検出する検出部と、
前記植毛用毛髪の毛先を捕捉するためのヘッドと、
前記ヘッドを三次元上の任意の位置に搬送する搬送機構と、
前記供給動作の動作制御を行う制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記検出部によって検出された複数本のうちの一本の前記植毛用毛髪の毛先の三次元上の位置で前記ヘッドが当該植毛用毛髪の毛先を捕捉するように前記搬送機構を制御することを特徴とする毛髪供給装置。
【請求項2】
前記検出部は、二次元上の位置を検出するセンサを複数本の前記植毛用毛髪の毛先が向けられた方向に沿って走査して、複数本の前記植毛用毛髪の毛先の三次元上の位置を検出することを特徴とする請求項1に記載の毛髪供給装置。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記ヘッドに捕捉された前記植毛用毛髪が前記検出部による検出範囲を通過して前記束から引き出されるように前記搬送機構を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の毛髪供給装置。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記束の前記植毛用毛髪とは異なる方向に毛先を向けた状態の複数本の前記植毛用毛髪の中から最も前記ヘッド側に延出された植毛用毛髪を選択して保持するように前記搬送機構を制御することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の毛髪供給装置。
【請求項5】
前記供給部は、
前記植毛用毛髪の束を保持する束保持部と、
前記束保持部に保持された前記植毛用毛髪の束から、複数本の前記植毛用毛髪を前記束の前記植毛用毛髪とは異なる方向に毛先を向けた状態で選り分ける分離部とを備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の毛髪供給装置。
【請求項6】
前記束保持部は、互いの間隔が漸減して交わる二つの当接面に前記植毛用毛髪の束が押し当てられて保持する当接部材を有し、
前記分離部は、前記植毛用毛髪の束の外周から挿入して、複数本の前記植毛用毛髪を選り分ける分離板を有することを特徴とする請求項5に記載の毛髪供給装置。
【請求項7】
前記分離板は、前記植毛用毛髪の束に挿入された状態で平板面を回動させる動作によって複数本の前記植毛用毛髪を前記束の前記植毛用毛髪と異なる方向に向けることを特徴とする請求項6に記載の毛髪供給装置。
【請求項8】
前記分離板は、前記平板面に、前記選り分けられた複数本の前記植毛用毛髪の各々の毛先が広がった状態を許容する凹部を備えることを特徴とする請求項7に記載の毛髪供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年は、植毛を行うメッシュ状のベース素材の個々のメッシュ穴に対して複数の鉤針を用いて植毛用毛髪の結節を形成し、植毛を行う植毛装置が開発され、かつらの製造の自動化が進められている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-040084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記植毛装置により、従来手作業で行われていた植毛作業を自動化し、安定的、連続的にベース素材に対する植毛を行うことが可能である。
しかしながら、植毛装置は、植毛用毛髪を一本づつ供給を受ける必要があり、安定的、連続的な植毛作業の実現のためには、安定的、連続的な植毛用毛髪の供給が不可欠となる。
一般に、植毛用毛髪は、植毛作業において、大量の本数が必要となるので、束になった状態で流通している。従って、このような植毛用毛髪の束から一本一本植毛用毛髪を取り出して適正に植毛装置に供給することが求められるが、このような供給作業の自動化は実現されていなかった。
【0005】
本発明は、植毛用毛髪の束から植毛用毛髪を1本ずつ供給することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、
植毛用毛髪の束から当該植毛用毛髪を1本ずつ引き出すための供給動作を行う毛髪供給装置において、
前記植毛用毛髪の束を保持し、複数本の前記植毛用毛髪の毛先を前記束の前記植毛用毛髪と異なる方向に向けて選り分ける供給部と、
選り分けられた複数本の前記植毛用毛髪の毛先の三次元上の位置を検出する検出部と、
前記植毛用毛髪の毛先を捕捉するためのヘッドと、
前記ヘッドを三次元上の任意の位置に搬送する搬送機構と、
前記供給動作の動作制御を行う制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記検出部によって検出された複数本のうちの一本の前記植毛用毛髪の毛先の三次元上の位置で前記ヘッドが当該植毛用毛髪の毛先を捕捉するように前記搬送機構を制御することを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の毛髪供給装置において、
前記検出部は、二次元上の位置を検出するセンサを複数本の前記植毛用毛髪の毛先が向けられた方向に沿って走査して、複数本の前記植毛用毛髪の毛先の三次元上の位置を検出することを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の毛髪供給装置において、
前記制御装置は、
前記ヘッドに捕捉された前記植毛用毛髪が前記検出部による検出範囲を通過して前記束から引き出されるように前記搬送機構を制御することを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の毛髪供給装置において、
前記制御装置は、
前記束の前記植毛用毛髪とは異なる方向に毛先を向けた状態の複数本の前記植毛用毛髪の中から最も前記ヘッド側に延出された植毛用毛髪を選択して保持するように前記搬送機構を制御することを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の毛髪供給装置において、
前記供給部は、
前記植毛用毛髪の束を保持する束保持部と、
前記束保持部に保持された前記植毛用毛髪の束から、複数本の前記植毛用毛髪を前記束の前記植毛用毛髪とは異なる方向に毛先を向けた状態で選り分ける分離部とを備えることを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項5に記載の毛髪供給装置において、
前記束保持部は、互いの間隔が漸減して交わる二つの当接面に前記植毛用毛髪の束が押し当てられて保持する当接部材を有し、
前記分離部は、前記植毛用毛髪の束の外周から挿入して、複数本の前記植毛用毛髪を選り分ける分離板を有することを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の発明は、請求項6に記載の毛髪供給装置において、
前記分離板は、前記植毛用毛髪の束に挿入された状態で平板面を回動させる動作によって複数本の前記植毛用毛髪を前記束の前記植毛用毛髪と異なる方向に向けることを特徴とする。
【0013】
請求項8記載の発明は、請求項7に記載の毛髪供給装置において、
前記分離板は、前記平板面に、前記選り分けられた複数本の前記植毛用毛髪の各々の毛先が広がった状態を許容する凹部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、束から選り分けられた複数本の植毛用毛髪の毛先の三次元上の位置が検出され、その検出位置にヘッドが搬送されるので、植毛用毛髪の束から植毛用毛髪を1本ずつ適正に供給することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】発明の実施の形態である毛髪供給装置の全体構成を示す斜視図である。
図2】毛髪供給装置の全体構成を示す平面図である。
図3】毛髪供給装置の制御系を示すブロック図である。
図4】毛髪供給装置の支持板上の構成の斜視図である。
図5】分離板が待機状態にある供給部の斜視図である。
図6】分離板が傾倒状態にある供給部の斜視図である。
図7】供給部の平面図である。
図8】分離板の拡大図である。
図9】分離板を右方から見た図である。
図10】分離板が傾倒状態にある供給部の平面図である。
図11】分離板を回動させる構成の斜視図である。
図12】ヘッドが一本の植毛用毛髪を引き出した状態における毛髪供給装置の支持板上の構成の斜視図である。
図13】ヘッド及び搬送機構の斜視図である。
図14図14(A)~図14(C)はヘッドにより植毛用毛髪の吸引動作を順番に示した断面図である。
図15図13と異なる方向から見た搬送機構の斜視図である。
図16】把持装置の斜視図である。
図17】植毛装置に対して植毛用毛髪の束から自動的に植毛用毛髪を1本ずつ取り出して供給する動作制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[実施形態の全体構成]
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態である毛髪供給装置10について詳細に説明する。
図1は毛髪供給装置10の全体構成を示す斜視図、図2は毛髪供給装置10の全体構成を示す平面図、図3はその制御系を示すブロック図である。
この毛髪供給装置10は、図示しない植毛装置に対して、植毛用毛髪Mの束Bから自動的に植毛用毛髪Mを1本ずつ取り出して供給するためのものである。
植毛用毛髪Mは、人間の毛髪に限らず、天然繊維、人工繊維を含む人間の毛髪に見立てた他のあらゆる繊維を対象としている。
【0017】
図示のように、毛髪供給装置10は、植毛用毛髪Mの束Bの一部である複数本の植毛用毛髪Mの毛先を束Bと異なる方向(例えば、後述するヘッド60側)に向けて選り分ける供給部20と、選り分けられた複数本の植毛用毛髪Mの毛先の三次元上の位置を検出する検出部50と、一本の植毛用毛髪Mの毛先を捕捉するためのヘッド60と、ヘッド60を三次元上の任意の位置に搬送する搬送機構70と、ヘッド60により引き出された植毛用毛髪Mの毛先とは逆側の端部を保持する保持手段としての把持装置80と、植毛用毛髪Mの供給動作を実行させるペダル14と、植毛用毛髪Mの供給動作の動作制御を行う制御装置100と、上記各構成を支持する基台12とを備えている。
【0018】
なお、以下の説明において、図1に示すように、装置を水平面に設置した状態で水平となり、互いに直交する二方向をX軸方向及びY軸方向とし、X軸方向の一方を「左」側、他方を「右」側、Y軸方向の一方を「前」側、他方を「後」側とする。また、X軸方向及びY軸方向に直交する鉛直上下方向をZ軸方向とし、その一方を「上」側、他方を「下」側とする。
【0019】
[基台]
基台12は、略直方体形状をなし、その上面はX-Y平面に沿った水平面となっている。そして、基台12の上面には、Y軸方向に沿って長尺な矩形の支持板121が設けられ、当該支持板121の上面に毛髪供給装置10の各構成が載置支持されている。
また、基台12の底部には、六本の支持脚122(二本は図示略)が設けられているが、基台12の底部には、装置の移動を可能とするキャスターを設けてもよい。
【0020】
[供給部]
図4は支持板121上の各構成の斜視図、図5及び図6は供給部20の斜視図、図7は平面図である。
供給部20は、図4図7に示すように、支持板121の上面における前側部分に設置されている。この供給部20は、植毛用毛髪Mの束Bを保持する束保持部30と、束保持部30に保持された植毛用毛髪Mの束Bから、複数本の植毛用毛髪Mを所定方向(ヘッド60側、例えば、後方)に毛先を向けた状態で選り分ける分離部40とを備えている。
【0021】
植毛用毛髪Mの束Bは、長さを揃えた数百~数千本の植毛用毛髪Mが略円柱状に束ねられている。
束保持部30は、支持板121の上面右端部寄りの位置において、Y-Z平面に沿った状態で立設された支持壁123により右端部が支持された本体プレート31と、本体プレート31の左端部に連結された側壁板32とを備えている。
本体プレート31は、X-Z平面に沿った矩形の平板であり、側壁板32は、本体プレート31の左端部から後方に伸びるY-Z平面に沿った平板である。側壁板32は、脚部を有し、支持板121の上面に立設されている。
【0022】
さらに、束保持部30は、本体プレート31の後方に設けられ、植毛用毛髪Mの束Bを支える当接部材としての受け板33と、受け板33側に植毛用毛髪Mの束Bを押し付ける加圧板34とを備えている。
【0023】
受け板33は、平面視で略V字状に曲成されており、V字の開口部が前方を向くように本体プレート31及び側壁板32に支持されている。
そして、受け板33は、V字の内側に互いの間隔が後方に向かって漸減する二つの当接面331を有している。これらの当接面331は、いずれもX-Y平面に対して垂直であり、V字の谷となる部分で交差しており、これら二つの当接面331の交差部分はZ軸方向に沿っている。そして、このV字の谷部分に植毛用毛髪Mの束Bが押し当てられることにより、植毛用毛髪Mの束BはZ軸方向に沿った状態で保持される。
【0024】
加圧板34は、X-Y平面に沿った矩形の平板であり、その後端部中央には、略V字状の切り欠き部341が形成されている。また、加圧板34の前端部は、左右両端部において本体プレート31に設けられた二つのスライドガイド35によってY軸方向沿って滑動可能に支持されている。さらに、加圧板34は、本体プレート31に固定装備された保持用エアシリンダー36のプランジャーが連結されており、Y軸方向沿った往復移動動作が付与される。
【0025】
加圧板34の後端部の左右両端部は、受け板33の二つの当接面331にそれぞれ形成されたX-Y平面に平行なスリット孔332に挿入可能である。これにより、加圧板34の後端部を受け板33のV字の谷の近傍まで後退させることができる。
加圧板34の後端部に形成された略V字状の切り欠き部341の谷部分と、前述した受け板33の略V字状の谷部分とは、X軸方向について配置が一致している。
従って、加圧板34は、保持用エアシリンダー36によって後退移動方向に加圧されると、受け板33の略V字状の谷部分に配置された植毛用毛髪Mは、加圧板34の略V字状の切り欠き部341の谷部分に嵌まった状態で加圧保持される。
【0026】
束保持部30に保持された植毛用毛髪Mの束Bは、その後側部分(二つの当接面331側となる部分)から順に取り出されて供給先に供給される。従って、植毛用毛髪Mの束Bは、植毛用毛髪Mの本数が徐々に減り、その断面積は漸減する。
そして、植毛用毛髪Mの束Bの断面積が小さくなると、受け板33の略V字状の谷部分と加圧板34の略V字状の切り欠き部341の谷部分との間において保持することが困難となる。
このため、加圧板34の上面には、X軸方向の幅が小さな補助加圧板342が装備されている。この補助加圧板342は、加圧板34と同様に、後端部に小さな略V字状の切り欠き部343が形成されている。補助加圧板342は、Y軸方向に沿った長穴が形成され、止めネジによって加圧板34に固定されている。従って、加圧板34に対して、補助加圧板342は、Y軸方向に沿って移動し、固定位置を調整することができる。
補助加圧板342は、X軸方向の幅がより小さいので、その後端部を受け板33側により接近させることができる。このため、植毛用毛髪Mの束Bの断面積が小さくなった場合には加圧板34の後端部よりも補助加圧板342の後端部が後方となるように位置を調節することで、本数が少なくなった植毛用毛髪Mの束Bの保持を行うことを可能とする。
【0027】
分離部40は、植毛用毛髪Mの束Bの外周から挿入して、複数本の植毛用毛髪Mを後方に毛先を向けた状態で選り分ける分離板41を備えている。
図8は分離板41の拡大図、図9は分離板41を右方から見た図である。分離板41は、X軸方向に沿って長尺であり、X軸方向に平行な平板面を有する長尺平板であり、その先端部が右方に向かって延出されている。分離板41の先端部は、先の薄い楔状をなし、分離板41の平板面411がX-Z平面に沿った状態で、保持された植毛用毛髪Mの束Bの外周に突き通すことができる。
【0028】
分離板41は、X軸方向に沿った支軸42の右端部に固定支持されている。支軸42は、側壁板32に対して、X軸回りに回動可能且つX軸方向に沿って滑動可能となるように支持されている。
分離板41は、その平板面がX-Z平面に沿った状態で、植毛用毛髪Mの束Bの左方に待機しており(待機状態とする)、待機状態から右方に進出することにより、植毛用毛髪Mの束Bに差し込まれる(進出状態とする)。
植毛用毛髪Mの束Bは、加圧板34からの加圧力により、受け板33の二つの当接面331による谷部分の底部(狭小部333とする)近くまで押し込まれており、分離板41は、受け板33のすぐ上側であって、平面視で受け板33の狭小部333よりも僅かに前側で植毛用毛髪Mの束Bに差し込まれる。従って、分離板41は、受け板33の狭小部333に入り込んだ僅か数本分の植毛用毛髪Mを当該分離板41よりも後方に選り分ける「少数分離」を行うことができる。
【0029】
さらに、分離板41は、支軸42と共にX軸回りに回動可能であり、進出状態において、左側から見て時計方向に90°回転動作が付与される。このとき、分離板41は、受け板33のすぐ上側に位置しているので、後側に選り分けられた数本分の植毛用毛髪Mは、図6に示すように、分離板41の平板面411によって、左側から見て時計方向に90°押し倒され、その上端部の毛先が後方を向いた状態とされる(傾倒状態とする)。
【0030】
このとき、図9に示すように、分離板41の平板面411は、支軸42による回動中心Oに対してオフセットされた配置となっている。即ち、進出直後の状態では、分離板41の平板面411は、回動中心Oを中心とする半径方向外側であって回動中心Oの上側に位置し、傾倒状態(二点鎖線で図示)では回動中心Oの後側に移動する。このため、傾倒時に分離板41の平板面411の半径方向外側の先端部をより後方に移動させることができ、小数分離で選り分けた植毛用毛髪Mを効果的に後方に押し倒すことができる。
なお、傾倒時の分離板41の平板面411の少なくとも後端部、より好ましくは全体が平面視で狭小部333よりも後方となると、より効果的に選り分けた植毛用毛髪Mを後方に向けることができる。また、傾倒時の分離板41の下面(平板面411)が受け板33の上端部と同じ高さ或いはより近い高さまで下降することが好ましい。
また、分離板41の平板面411のオフセット配置により、傾倒時に回動中心Oよりも前方への突出が抑えられ、当該回動中心Oよりも前方となる部位の植毛用毛髪Mの束Bに対する干渉を抑制し、分離板41の円滑な回動動作を確保することが可能となる。
【0031】
なお、分離板41は、進出直後の状態で回動中心Oの下方にオフセットして、左側から見て反時計方向に90°回動させてもよい。その場合は、小数分離で選り分けた植毛用毛髪Mを蹴り出すように後方に倒すことができる。
また、分離板41は、回動式に限らず、X-Z平面に沿った状態で植毛用毛髪Mの束Bに差し込まれ、そのまま後方に平行移動して、分離板44の下端部と受け板33の上端部との間で、選り分けられた小数の植毛用毛髪Mを後方に倒す構成としても良い。
【0032】
また、分離板41の平板面411には、選り分けられた複数本の植毛用毛髪Mの各々の毛先が広がった状態を許容する凹部としての凹溝412が形成されている。凹溝412は、図8に示すように、分離板41が傾倒状態でない時(通常状態(前述した進出直後の状態)とする)に上下方向に沿った状態となる溝であり、下から上に向かって幅が漸増する形状となっている。このため、分離板41が傾倒状態となるように回動すると、凹溝412は、後方に向かって広がる状態となり、凹溝412内で押し倒された複数本の植毛用毛髪Mが、図10に示すように、凹溝412の角度範囲で、毛先が後方に向かって広がった状態を許容する。
【0033】
上記分離板41を支持する支軸42は、右端部近傍において連結板43と連結されている。
この連結板43は、側壁板32により支軸42の前側に固定支持された進出用エアシリンダー44のプランジャーに連結されている。進出用エアシリンダー44は、プランジャーが左右に往動するように側壁板32に固定支持されている。従って、進出用エアシリンダー44の作動により、連結板43を介して分離板41を右方に進出させて、待機状態から進出状態に切り替えることができる。また、進出用エアシリンダー44は、分離板41を進出状態から待機状態にも切り替えることができる。
【0034】
また、支軸42は、スプラインナット45を介して側壁板32に支持されている。スプラインナット45は、側壁板32に対してX軸回りに回動可能に支持されている。そして、スプラインナット45は、支軸42のX軸方向に沿った滑動動作を許容しつつ、支軸42と共にX軸回りに連動回転を行う。
【0035】
スプラインナット45は、図11に示すように、従動腕46の一端部に抱き締め固定されており、従動腕46の他端部は、リンク部材47を介して回動用エアシリンダー48のプランジャーに連結されている。
従動腕46は、スプラインナット45を軸としてX軸回りに回動可能であり、リンク部材47は、その両端部がそれぞれX軸回りに回動可能に従動腕46と回動用エアシリンダー48のプランジャーとに連結されている。
回動用エアシリンダー48は、プランジャーを上方に向けて側壁板32に取り付けられている。そして、回動用エアシリンダー48のプランジャーを上方に進出させると、リンク部材47を介して、従動腕46をスプラインナット45及び支軸42と共に左方から見て時計方向に90°回転させることができる。
従って、回動用エアシリンダー48は、進出状態の分離板41を傾倒状態に切り替えることができる。また、回動用エアシリンダー48は、分離板41を傾倒状態から通常状態に戻すことができる。
【0036】
また、受け板33の後端部の下方には、エアーノズル49が設けられている。このエアーノズル49は、傾倒状態の分離板41の平板面411の凹溝412の下方において、ノズル先端部が上方を向いた状態で配置されており、凹溝412にエアーの吹き付けを行うことができる。エアーノズル49は、図示しない高圧空気の供給源に接続されており、電磁弁49a(図3参照)を制御することにより所定のタイミングでエアーの吹き付けを行うことができる。
エアーノズル49は、傾倒状態の分離板41の平板面411の凹溝412に下方からエアーを吹き付けることにより、凹溝412内で押し倒されている複数本の植毛用毛髪Mが重ならないように分散させることができる。
【0037】
[検出部]
検出部50は、図4に示すように、支持壁123に支持され、供給部20の後方に配置されている。そして、検出部50は、変位センサ51と、変位センサ51をY軸方向に沿って搬送する搬送ユニット52とを備えている。
搬送ユニット52は、例えば、ボールネジ機構とその駆動源となるセンサ搬送モーター53(図3参照)とを備えている。
そして、センサ搬送モーター53の駆動により、ボールネジ機構のボールネジが回転し、変位センサ51を支持するブラケット54がY軸方向に沿って移動し、変位センサ51をY軸方向の任意の位置に移動位置決めさせることができる。
なお、搬送ユニット52は、変位センサ51をY軸方向の任意の位置に移動位置決めさせることができればよく、ボールネジ機構以外の周知の直動機構を用いても良い。
【0038】
図12は変位センサ51の検出領域Dを示す斜視図である。
変位センサ51は、検出光の光源511とその反射光を受光する受光素子512(図3参照)とを備えている。
変位センサ51の光源511は、図12に示すように、X-Z平面に沿ってレーザー光からなる検出光を鉛直下方に向かって照射する。
一方、受光素子512は、平面的なイメージセンサであり、受光素子512及び図示しない光学系は、光軸が鉛直下方に対して幾分前方に傾斜しており、検出範囲は、X軸方向及びY軸方向について幾分幅を有している。
従って、変位センサ51の検出領域Dは、X-Z平面に沿った検出光に対する受光素子512の検出範囲が重なるX-Z平面に沿った領域(図12の斜線で示した台形の領域)となっている。
変位センサ51は、この平面的な検出領域Dに植毛用毛髪Mが交差すると散乱光が生じ、検出領域D上の交差位置を検出することが可能である。つまり、変位センサ51は、X-Z平面に沿った二次元上の位置を検出するセンサを構成している。
【0039】
そして、変位センサ51は、搬送ユニット52により、検出領域Dに直交するY軸方向に沿って移動することが可能であることから、検出領域DをY軸方向に沿って走査することにより、植毛用毛髪Mの三次元上の位置を検出することが可能となっている。
例えば、図10に示すように、検出領域Dを前方に走査すると、複数本ある植毛用毛髪Mの毛先が検出領域Dに交差した状態となり、それぞれの植毛用毛髪Mの三次元上の毛先位置を検出することができる。
【0040】
[ヘッド]
図13はヘッド60及び搬送機構70の斜視図、図14(A)~図14(C)はヘッド60による植毛用毛髪Mの吸引動作を示した断面図である。
植毛用毛髪Mの毛先を保持するヘッド60は、搬送機構70に支持されており、ヘッド60及び搬送機構70は、供給部20の後方に配置されている。
ヘッド60は、植毛用毛髪Mの毛先を吸引するノズル61と、ノズル61と接続された空気室を形成するノズルケーシング62と、ノズル61からノズルケーシング62の空気室621に吸引された植毛用毛髪Mを把持する把持部材63と、把持部材63に把持圧を付与するアクチュエーターとしての第一把持用エアシリンダー64と備えている。
【0041】
ノズル61は、植毛用毛髪Mがある程度余裕を持って挿通可能な内径の管状体である。前端側の開口部は、前方に向かうにつれて幾分外径が広がる形状であっても良い。
【0042】
ノズルケーシング62は、上部が開口し、内怪が一定の円形有底穴からなる空気室621と、前端外部から空気室621に貫通したノズル61の取付孔622と、後端外部から空気室621に貫通し、イジェクターやポンプ等からなる負圧源に接続される吸気孔623とが形成されている。吸気孔623は、負圧源による吸引状態と吸引停止状態とを切り替える電磁弁61a(図3参照)を有する図示しない吸気経路に接続されている。
【0043】
空気室621の内部には、当該空気室621内を上下方向に往動可能な円柱又は円板状の把持部材63が格納されている。
把持部材63は、ノズルケーシング62の上部に設けられた第一把持用エアシリンダー64のプランジャーに連結されている。
【0044】
第一把持用エアシリンダー64は、プランジャーを下方に向けてノズルケーシング62の上部に固定装備されている。第一把持用エアシリンダー64とノズルケーシング62の間は、気密性を有する図示しないシール材が介挿されており、上方開口部から空気室621内への外気の流入が防止されている。
【0045】
第一把持用エアシリンダー64は、空気室621内において、把持部材63を上方に退避した状態(図14(A)及び図14(B))と空気室621の底部に圧接した状態(図14(C))とに切り替えることができる。
これにより、ノズル61から空気室621内に吸引した植毛用毛髪Mを把持部材63が把持することを可能としている。
【0046】
また、空気室621から吸気源までの間には、流量検出部としての流量計625(図3参照)が設けられており、ノズル61によって植毛用毛髪Mを吸引する際の吸気流量を検出している。制御装置100は、流量計625の検出流量に基づいて、ノズル61において植毛用毛髪Mを一本吸引しているか、一本も吸引していないか、或いは、二本以上吸引しているかを判別することができる。
【0047】
[搬送機構]
図15図13と異なる方向から見た搬送機構70の斜視図である。図13及び図15に示すように、搬送機構70は、ヘッド60をX軸方向に沿って搬送するX軸搬送ユニット71と、X軸搬送ユニット71を介してヘッド60をZ軸方向に沿って搬送するZ軸搬送ユニット72と、X軸搬送ユニット71及びZ軸搬送ユニット72を介してヘッド60をY軸方向に沿って搬送するY軸搬送ユニット73とを備えている。
【0048】
X軸搬送ユニット71は、例えば、ボールネジ機構とその駆動源となるX軸搬送モーター711(図3参照)とを備えている。そして、X軸搬送モーター711の駆動により、ヘッド60を支持するブラケット712がX軸方向に沿って移動し、ヘッド60をX軸方向の任意の位置に移動位置決めさせることができる。
同様に、Z軸搬送ユニット72は、例えば、ボールネジ機構とその駆動源となるZ軸搬送モーター721(図3参照)とを備えている。そして、Z軸搬送モーター721の駆動により、X軸搬送ユニット71を支持するブラケット722がZ軸方向に沿って移動し、ヘッド60をZ軸方向の任意の位置に移動位置決めさせることができる。
【0049】
さらに、Y軸搬送ユニット73は、例えば、ボールネジ機構とその駆動源となるY軸搬送モーター731(図3参照)とを備えている。そして、Y軸搬送モーター731の駆動により、Z軸搬送ユニット72を支持するブラケット732がY軸方向に沿って移動し、ヘッド60をY軸方向の任意の位置に移動位置決めさせることができる。
なお、X軸搬送ユニット71とZ軸搬送ユニット72は、ヘッド60による植毛用毛髪Mの毛先の吸引のための位置決めに専ら用いられる。これに対して、Y軸搬送ユニット73は、ヘッド60による植毛用毛髪Mの毛先の吸引のための位置決めに加えて、植毛用毛髪Mをヘッド60が把持した時に植毛用毛髪Mを束Bから後方に引き出すための引き出し動作にも用いられるため、その可動範囲は、X軸搬送ユニット71とZ軸搬送ユニット72に比べて広く設定されている。
【0050】
また、上記X軸搬送ユニット71、Z軸搬送ユニット72、Y軸搬送ユニット73は、ヘッド60を三次元上の任意の位置に移動位置決めさせることができればよく、各ユニット71,72,73は、ボールネジ機構以外の周知の直動機構を用いても良い。
【0051】
[把持装置]
図16は把持装置80の斜視図である。把持装置80は、図1図2及び図8に示すように、供給部20及び検出部50の後方であって、搬送機構70によるヘッド60のY軸方向の可動域内の幾分右側に配置されている。
この把持装置80は、ヘッド60により捕捉される植毛用毛髪Mの毛先とは逆側の端部を把持する把持装置80と、植毛用毛髪Mを把持する上把持部材81及び下把持部材82と、上把持部材81を昇降させる第二把持用エアシリンダー83と、第二把持用エアシリンダー83と上把持部材81及び下把持部材82を支持する把持部材支持ブラケット84と、把持部材支持ブラケット84を介して上把持部材81及び下把持部材82をX軸方向に沿って移動させる退避用エアシリンダー85と、把持装置80の全体構成を支持するベース86とを備えている。
【0052】
下把持部材82は、把持部材支持ブラケット84に固定的に支持されており、上把持部材81は、第二把持用エアシリンダー83を介して把持部材支持ブラケット84に対して昇降動作を行うように支持されている。
下把持部材82は、把持部材支持ブラケット84の上端部近傍から左方に延出されており、その左端部上面が植毛用毛髪Mを把持する把持面となっている。
【0053】
上把持部材81は、把持部材支持ブラケット84の上端部近傍であって下把持部材82の真上となる位置で左方に延出されており、その左端部下面が植毛用毛髪Mを把持する把持面となっている。
上把持部材81は、第二把持用エアシリンダー83により下降動作が付与されると、その把持面が下把持部材82の把持面に圧接し、互いの把持面の間にある植毛用毛髪Mを把持することができる。
【0054】
また、上把持部材81の把持面は、Z軸方向について弾性的に支持されているか又は把持面そのものが弾性材料からなる。従って、上把持部材81と下把持部材82とで植毛用毛髪Mを把持した状態で植毛用毛髪Mをある程度の張力で引っ張ると、植毛用毛髪Mを摺動させながら移動させることが可能である。
ヘッド60の把持装置80に対する受け渡し位置は、ノズル61の中心が受け板33の狭小部333の上端部を通過するY軸線上となる位置であって、把持装置80の上把持部材81及び下把持部材82における把持位置よりも幾分ノズル61の先端部が後方となる位置である。
これにより、ヘッド60が植毛用毛髪Mの後端部を把持し、把持装置80がヘッド60の把持している位置の前側となる位置で植毛用毛髪Mを把持した状態で、搬送機構70がヘッド60を張設位置まで後退移動させることにより、上把持部材81及び下把持部材82の把持面を摺動しながら植毛用毛髪Mをほぼ全長に渡って一定の張力で引き延ばした状態とすることができる。
【0055】
第二把持用エアシリンダー83は、プランジャーを上方に向けた状態で把持部材支持ブラケット84に支持されており、プランジャーは上把持部材81に連結されている。
【0056】
ベース86は、支持板121の上面において検出部50の後方且つ右方に配置されている。
退避用エアシリンダー85は、そのプランジャーを左方に向けてベース86の上部に載置装備されており、その左端部上側においてプランジャーに連結された把持部材支持ブラケット84を支持している。
そして、退避用エアシリンダー85は、把持部材支持ブラケット84を介して上把持部材81及び下把持部材82を可動域の右端部となる退避位置と左端部となる把持位置との間でX軸方向に沿って移動させることができる。
【0057】
退避位置では、上把持部材81及び下把持部材82は、ヘッド60の可動域の右方外側となり、搬送機構70により搬送されるヘッド60に干渉しない位置に退避した状態となる。
把持位置では、上把持部材81及び下把持部材82は、束保持部30の受け板33の狭小部333の上端部から後方に向かって引き延ばしたY軸方向に沿った植毛用毛髪Mを把持することが可能な位置となる。
【0058】
[毛髪供給装置の制御系]
毛髪供給装置10の制御装置100は、図3に示すように、図示しない植毛装置に対して植毛用毛髪Mの束Bから自動的に植毛用毛髪Mを1本ずつ取り出して供給する動作制御を行うためのプログラムが格納されたROM(Read Only Memory)102と、演算処理の作業領域地となるRAM(Random Access Memory)103と、各種設定データなどを記憶する記憶手段としての書き換え可能な不揮発性のデータメモリ104と、ROM102内のプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)101とを備えている。
【0059】
また、CPU101は、モーター駆動回路53a,711a,721a,731aを介してセンサ搬送モーター53、X軸搬送モーター711、Z軸搬送モーター721、Y軸搬送モーター731の駆動を制御する。
さらに、CPU101は、保持用エアシリンダー36、進出用エアシリンダー44、回動用エアシリンダー48、第一把持用エアシリンダー64、第二把持用エアシリンダー83、退避用エアシリンダー85のそれぞれを作動させる電磁弁36a,44a,48a,64a,83a,85aを制御するための駆動回路36b,44b,48b,64b,83b,85bと接続されている。
また、CPU101は、エアーノズル49のエアーの吐出を行う電磁弁49a、ヘッド60の吸引状態と吸引停止状態とを切り替える電磁弁61aを制御するための駆動回路49b,61bと接続されている。
【0060】
また、CPU101は、インターフェイス51a,625aを介して変位センサ51の光源511及び受光素子512、流量計625と接続されている。
さらに、CPU101は、インターフェイス14aを介して植毛用毛髪Mの供給動作を開始させるペダル14と接続されている。
また、CPU101は、インターフェイス15aを介して各種の情報を表示する表示部としての機能と各種の入力を行うための入力部としての機能とを備えた操作パネル15と接続されている。
【0061】
[植毛用毛髪の供給動作制御]
図17は図示しない植毛装置に対して植毛用毛髪Mの束Bから自動的に植毛用毛髪Mを1本ずつ取り出して供給する動作制御のフローチャートである。以下、この植毛用毛髪Mの供給動作制御について詳細に説明する。
【0062】
なお、供給部20において、保持用エアシリンダー36の作動により、受け板33の当接面331と加圧板34の切り欠き部341との間で、植毛用毛髪Mの束Bが挟持された状態にあることを前提とする。
かかる状態において、CPU101は、ペダル14による供給動作の開始の入力を検出すると(ステップS1)、分離板41による複数本の植毛用毛髪Mの毛先を後方に向けた状態で選り分ける動作(小数分離)と選り分けられた植毛用毛髪Mの毛先位置の測定動作とを実行する(ステップS3)。
【0063】
即ち、図5に示す状態から進出用エアシリンダー44により分離板41を右方に進出移動させて、植毛用毛髪Mの束Bの狭小部333に押し込まれている部分に突き通して複数本の植毛用毛髪Mを選り分ける。さらに、図6に示すように、回動用エアシリンダー48により分離板41を90°回動させて選り分けられた複数本の植毛用毛髪Mの毛先が後方に向くように押し倒すとともに、エアーノズル49によって下方からエアーを吹き付けることにより、押し倒されている複数本の植毛用毛髪Mが重ならないように分散させる。
【0064】
そして、変位センサ51を受発光状態として、センサ搬送モーター53により、検出領域Dが後方に向けられた植毛用毛髪Mの毛先が通常は届かない程度に十分に後方となる待機位置から、検出領域Dが狭小部333近傍となる停止位置まで、変位センサ51の前進移動を行う。待機位置から停止位置までの距離は、停止位置の検出領域Dが狭小部333に達する距離以下とする。
これにより、図10に示すように、変位センサ51のX-Z平面に沿った検出領域Dが前進移動を行い、当該検出領域D内に侵入した複数本の植毛用毛髪Mの毛先のX-Z平面上の位置を検出する。このとき、変位センサ51は前進移動を行っているので、微小時間のサンプリング間隔でX-Z平面上の位置を連続的に検出することにより、複数本の植毛用毛髪Mの毛先の三次元上の位置を取得することができる。
【0065】
そして、複数本の植毛用毛髪Mの毛先の三次元上の位置が検出されると、その中から一本の植毛用毛髪Mのみを選出する。例えば、CPU101は、毛先が最も後方(ヘッド60側)まで伸びている植毛用毛髪Mを選出する。
なお、植毛用毛髪Mの選出は、上記に限らず、複数の中から一本を選出するあらゆる方法を選択可能である。例えば、複数の植毛用毛髪Mの中で、Y軸方向に対して最も傾きが小さい植毛用毛髪Mを選択しても良い。
なお、三次元上の位置が検出される植毛用毛髪Mの本数が1本のみの場合もあるが、その場合に、選出する処理は行わなくとも良い。
また、希に植毛用毛髪Mの毛先の三次元上の位置が一本も検出されない場合をあり得るが、その場合にはCPU101が報知等のエラー処理を行っても良い。或いは、分離板41の進出と回動による選り分け動作のリトライを行っても良い。
【0066】
植毛用毛髪Mが選択されと、CPU101は、電磁弁61aを制御してヘッド60のノズル61における吸引を開始する(ステップS5)。
そして、CPU101は、X軸搬送モーター711、Z軸搬送モーター721、Y軸搬送モーター731を制御して、待機位置にあったヘッド60をノズル61の先端位置が選出された一本の植毛用毛髪Mの毛先の検出位置に位置決めされるように搬送する(ステップS7)。
なお、ヘッド60の待機位置は、ノズル61の先端位置が後方に向けられた植毛用毛髪Mの毛先が通常は届かない程度に十分に後方となる位置であれば良いが、ここでは、さらに、ノズル61の中心が、受け板33の狭小部333の上端部を通過するY軸線上となる位置とする。
【0067】
そして、CPU101は、ヘッド60が選出された一本の植毛用毛髪Mの毛先に到達すると、流量計625の検出流量から、ノズル61に一本の植毛用毛髪Mが吸い込まれているか否かを判定するための確認制御を実行する(ステップS9)。
ノズル61における流量については、実測値等に基づいて、予め、ノズル61において一本の植毛用毛髪Mが吸引されている際の流量の取り得る下限閾値及び上限閾値が定められており、検出流量が下限閾値から上限閾値の範囲内となるか否かにより、上記判定が行われる。これらの閾値は、予め、データメモリ104に記録しておくか、操作パネル15から任意に設定可能としても良い。
【0068】
そして、検出流量が下限閾値から上限閾値の範囲外となる場合には(ステップS9:NO)、CPU101は、吸引を停止してヘッド60及び変位センサ51をそれぞれの待機位置に戻し(ステップS27)、さらに、分離板41を待機状態に戻す動作制御を実行する(ステップS29)。
そして、ステップS3に処理を戻し、植毛用毛髪Mの選り分け動作(小数分離)と植毛用毛髪Mの毛先位置の測定動作とヘッド60による一本の植毛用毛髪Mの吸引動作のリトライを実行する。
【0069】
一方、検出流量が下限閾値から上限閾値の範囲内となる場合には(ステップS9:YES)、CPU101は、ヘッド60が吸引位置まで前進移動するよう搬送機構70を制御する(ステップS11)。
ヘッド60の吸引位置とは、ノズル61の中心が受け板33の狭小部333の上端部を通過するY軸線上となる位置であって、植毛用毛髪Mの毛先位置から規定距離だけ前進移動した位置である。規定距離は、ノズル61が吸引した植毛用毛髪Mの毛先を把持部材63が把持可能な位置まで空気室621内へ挿入可能な距離とする。
【0070】
そして、CPU101は、ヘッド60の吸引位置において、ステップS9と同じ確認制御を再度、実行する(ステップS13)。
この場合も、検出流量が下限閾値から上限閾値の範囲外となる場合には(ステップS13:NO)、ステップS27に処理を進めて、植毛用毛髪Mの束Bからの分離、毛先検出、植毛用毛髪Mの吸引のリトライを実行する。
【0071】
また、検出流量が下限閾値から上限閾値の範囲内となる場合には(ステップS13:YES)、CPU101は、第一把持用エアシリンダー64を制御して把持部材63を下降させて、空気室621内の植毛用毛髪Mの毛先を把持し(ステップS15)、電磁弁61aを制御してヘッド60のノズル61における吸引を終了する(ステップS17)。
【0072】
その後、CPU101は、変位センサ51を待機位置に戻し、ヘッド60を把持装置80に対する受け渡し位置に移動させる(ステップS19)。
ヘッド60の把持装置80に対する受け渡し位置は、ノズル61の中心が受け板33の狭小部333の上端部を通過するY軸線上となる位置であって、把持装置80の上把持部材81及び下把持部材82における把持位置よりも幾分ノズル61の先端部が後方となる位置である。
【0073】
ヘッド60を把持装置80に対する受け渡し位置に移動させると、把持された植毛用毛髪Mは、受け板33の狭小部333の上端部からY軸方向に沿って真っ直ぐに引き出された状態となるので、受け渡し位置に到るまで及び受け渡し位置において植毛用毛髪Mが変位センサ51の検出領域Dを通過する配置を維持することができる。
従って、CPU101は、検出領域Dを通過した植毛用毛髪Mに対して変位センサ51による検出を行い、植毛用毛髪Mの引き出し動作の適否を判定する(ステップS21)。
即ち、変位センサ51の検出により、一本分の植毛用毛髪Mの断面が適正な位置に検出されるか等を判定する。
例えば、把持状態の植毛用毛髪Mが外れて検出領域D内に植毛用毛髪Mが検出されない、把持から植毛用毛髪Mが外れて明らかに異常な位置に植毛用毛髪Mが検出される、複数の植毛用毛髪Mを把持して複数本分の断面が検出される等の場合により、非適正と判定する。
【0074】
そして、引き出し動作が非適正と判定した場合には(ステップS21:NO)、把持状態を解除して、ステップS27に処理を進めて、植毛用毛髪Mの束Bからの分離、毛先検出、植毛用毛髪Mの吸引のリトライを実行する。
【0075】
また、引き出し動作が適正と判定した場合には(ステップS21:YES)、CPU101は、把持装置80の退避用エアシリンダー85を制御して、上把持部材81及び下把持部材82をその退避位置から把持位置に移動させると共に、第二把持用エアシリンダー83を制御して、上把持部材81及び下把持部材82による植毛用毛髪Mの把持を行う(ステップS23)。
【0076】
そして、CPU101は、ヘッド60は張設位置まで後退移動するよう搬送機構70を制御して(ステップS25)、植毛用毛髪Mの供給動作制御を終了する。
なお、ヘッド60の張設位置とは、前述した受け渡し位置から、植毛用毛髪Mの長さに対して把持装置80の把持代及びヘッド60の把持代を減じた長さより幾分短い距離だけ後方に移動した位置である。植毛用毛髪Mの長さ、把持装置80の把持代及びヘッド60の把持代については、予め、データメモリ104に記録しておくか、設定データとして操作パネル15から予め設定可能としても良い。
ヘッド60を張設位置まで搬送することにより、把持装置80とヘッド60との間で、植毛用毛髪Mがほぼ全長に渡って張設された状態となり、図示しない植毛装置に対して植毛用毛髪Mを受け渡すことが可能となる。
【0077】
なお、植毛用毛髪Mの供給動作制御は、上記ステップS25のヘッド60は張設位置までの後退移動で終了としないで追加の処理を付加しても良い。
例えば、ステップS25の張設状態において、電磁弁61aを制御してノズル61を吸引状態とし、第一把持用エアシリンダー64を制御して把持部材63の把持状態を解除する。
そして、張設状態にある植毛用毛髪Mが図示しない植毛装置により取り上げられて、ヘッド60のノズル61内の植毛用毛髪Mが引き抜かれたことを流量計625により検出する。
この検出により、ノズル61の吸引を停止すると共に、把持装置80の把持状態を解除し、上把持部材81及び下把持部材82とヘッド60とをそれぞれの待機位置に戻してから植毛用毛髪Mの供給動作制御を終了としてもよい。
これにより、次の植毛用毛髪Mを供給する必要がある場合に、次の植毛用毛髪Mの供給動作を速やかに開始することができ、連続的な植毛用毛髪Mの供給を行うことが可能となる。
【0078】
[実施形態の技術的効果]
上記毛髪供給装置10では、供給部20により、植毛用毛髪Mの束Bから複数本の植毛用毛髪Mの毛先が後方に向けて選り分けられ、制御装置100のCPU101が、検出部50によって検出された複数本のうちの一本の植毛用毛髪Mの毛先の三次元上の位置でヘッド60が当該植毛用毛髪Mの毛先を捕捉するように搬送機構70を制御している。
このため、植毛用毛髪Mの束Bから一本の植毛用毛髪Mを自動的に取り出すことができ、植毛用毛髪Mを一本ずつ安定的に植毛装置に供給することが可能となる。
【0079】
さらに、毛髪供給装置10では、検出部50が、二次元上の位置を検出する変位センサ51を複数本の植毛用毛髪Mの毛先が向けられた方向に沿って走査して、複数本の植毛用毛髪Mの毛先の三次元上の位置を検出する構成としている。
このため、比較的容易な構成により、精度の良い良好な三次元検出を実現することが可能となる。
【0080】
また、制御装置100のCPU101は、ヘッド60に捕捉された植毛用毛髪Mが変位センサ51の検出領域Dを通過して束Bから引き出されるように搬送機構70を制御している。
このため、ヘッド60による植毛用毛髪Mの引き出し後も、適正に一本の植毛用毛髪が引き出されているかを検出部50の検出により判定することが可能となり、搬送不良の発生を低減し、より安定的な植毛用毛髪Mの供給を行うことが可能となる。
【0081】
また、制御装置100のCPU101は、束Bとは異なる方向に毛先を向けた状態の複数本の植毛用毛髪Mの中から最もヘッド60側に延出された植毛用毛髪Mを選択して保持するように搬送機構70を制御している。
このため、選り分けられた複数の植毛用毛髪Mの中から一本の植毛用毛髪Mを適正に選出することが可能となる。
また、最もヘッド60側に延出された植毛用毛髪Mを選択すれば、ヘッド60による捕捉が容易となるので、二本以上の植毛用毛髪Mの捕捉を抑制することができ、安定的に植毛用毛髪Mの供給動作を行うことが可能となる。
【0082】
また、毛髪供給装置10は、供給部20が、植毛用毛髪Mの束Bを保持する束保持部30と、植毛用毛髪Mの束Bから複数本の植毛用毛髪Mを束Bとは異なる方向に毛先を向けた状態で選り分ける分離部40とを備えている。
これにより、植毛用毛髪Mの供給時に、複数本の植毛用毛髪Mの中から一本の植毛用毛髪Mを取り出せば良いので、植毛用毛髪Mの束Bから直接的に一本の植毛用毛髪Mを取り出す作業に比べて格段に容易に一本ずつの植毛用毛髪Mの供給を行うことが可能となる。
【0083】
また、束保持部30は、二つの当接面331に植毛用毛髪Mの束Bが押し当てられて保持する受け板33を有し、分離部40は、植毛用毛髪Mの束Bにおける当接面331側(後側)となる部分に挿入して複数本の植毛用毛髪Mを選り分ける分離板41を有している。
このため、植毛用毛髪Mの束Bの断面形状にかかわらず、二つの当接面331の間となる狭い領域に押し込まれた複数の植毛用毛髪Mを容易に選り分けることが可能となる。
【0084】
さらに分離板41は、植毛用毛髪Mの選り分けに際し、植毛用毛髪Mの束Bに挿入された状態で平板面411を回動させる動作を行うので、複数本の植毛用毛髪Mを容易に束Bと異なる方向に向けることが可能となる。このため、束Bから複数本の植毛用毛髪Mの毛先を離隔することができ、当該複数本の植毛用毛髪Mから一本の植毛用毛髪Mを容易に捕捉することが可能となる。
また、分離板41の回動角度によって、複数本の植毛用毛髪Mの毛先の方向を容易に調整することが可能である。
【0085】
また、分離板41は、平板面411に、選り分けられた複数本の植毛用毛髪Mの各々の毛先が広がった状態を許容する凹溝412を備えている。このため、複数本の植毛用毛髪Mを束Bと異なる方向に向けたときに、平板面411と直交する方向から見て、各植毛用毛髪Mが重なることを抑制し、ばらけるように促すことができるので、複数の植毛用毛髪Mの中から一本の植毛用毛髪Mを容易且つ安定的に取り出すことが可能となる。
【0086】
また、毛髪供給装置10は、ヘッド60が、ノズル61と吸引された植毛用毛髪Mを把持する把持部材63と、把持部材63に把持圧を付与する第一把持用エアシリンダー64とを有するので、ノズル61により複数本の中から一本の植毛用毛髪Mのみを容易に捕捉すると共に強固に把持することができ、束Bから植毛用毛髪Mの引き抜きをより確実に行うことが可能となる。
従って、一本の植毛用毛髪Mの供給を良好に安定的に行うことが可能となる。
【0087】
また、毛髪供給装置10は、制御装置100のCPU101が流量計625により検出されるノズル61からの外気吸引の検出流量からノズル61に一本の植毛用毛髪Mが吸引されているか否かを判定し、吸引されていない場合に、再吸引動作を行わせる確認制御を実行する。
このため、ヘッド60による植毛用毛髪Mの捕捉時に、適正に一本の植毛用毛髪が引き出されているかを判定することができ、搬送不良の発生を低減し、より安定的な植毛用毛髪Mの供給を行うことが可能となる。
【0088】
また、制御装置100のCPU101は、検出部50によって検出された植毛用毛髪Mの毛先の三次元上の位置にノズル61を位置させてノズル61による植毛用毛髪Mの毛先の吸引を行う際に、搬送機構70により、吸引した植毛用毛髪Mを把持部材63が把持可能となる位置までヘッド60を供給部20側に向かって前進移動させる制御を行うので、植毛用毛髪Mを十分に吸引することが可能となり、植毛用毛髪Mの束Bからの一本の植毛用毛髪Mの引き出しをより確実に行うことができ、より安定的な植毛用毛髪Mの供給を行うことが可能となる。
【0089】
さらに、ノズル61による植毛用毛髪Mの毛先の吸引の際のヘッド60の前進移動の前後それぞれの場合に、上述した確認制御を行っている。このため、植毛用毛髪Mの吸引開始時と完了時とで適正に一本の植毛用毛髪が引き出されているかを判定することができ、搬送不良の発生をさらに効果的に低減し、より安定的な植毛用毛髪Mの供給を行うことが可能となる。
【0090】
また、毛髪供給装置10は、分離板41の回動後に、平板面411にエアーの吹き付けを行うエアーノズル49を備えているので、複数本の植毛用毛髪Mを平板面411と直交する方向から見て、各植毛用毛髪Mが重なることを抑制し、ばらけるように促すことができるので、複数の植毛用毛髪Mの中から一本の植毛用毛髪Mを安定的に取り出すことが可能となる。
【符号の説明】
【0091】
10 毛髪供給装置
20 供給部
30 束保持部
33 受け板(当接部材)
331 当接面
333 狭小部
34 加圧板
341 切り欠き部
342 補助加圧板
343 切り欠き部
36 保持用エアシリンダー
40 分離部
41 分離板
411 平板面
412 凹溝(凹部)
44 進出用エアシリンダー
48 回動用エアシリンダー
49 エアーノズル
50 検出部
51 変位センサ
511 光源
512 受光素子
52 搬送ユニット
53 センサ搬送モーター
60 ヘッド
61 ノズル
62 ノズルケーシング
621 空気室
625 流量計(流量検出部)
63 把持部材
64 第一把持用エアシリンダー(アクチュエーター)
70 搬送機構
711 X軸搬送モーター
721 Z軸搬送モーター
731 Y軸搬送モーター
80 把持装置
81 上把持部材
82 下把持部材
83 第二把持用エアシリンダー
85 退避用エアシリンダー
100 制御装置
101 CPU
104 データメモリ
B 植毛用毛髪の束
D 検出領域
M 植毛用毛髪
図1
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