(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】フラックススイッチングモータ、ファンモータ、およびスティック型の掃除機
(51)【国際特許分類】
H02K 1/17 20060101AFI20231017BHJP
H02K 19/10 20060101ALI20231017BHJP
H02K 7/14 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
H02K1/17
H02K19/10 A
H02K7/14 A
(21)【出願番号】P 2019222922
(22)【出願日】2019-12-10
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 昌亨
(72)【発明者】
【氏名】吉田 実
(72)【発明者】
【氏名】小坂 卓
(72)【発明者】
【氏名】加藤 諒
【審査官】若林 治男
(56)【参考文献】
【文献】特許第5791713(JP,B2)
【文献】特開2001-309622(JP,A)
【文献】特開平10-150752(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0062267(US,A1)
【文献】特開2008-278699(JP,A)
【文献】国際公開第2019/186615(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/17
H02K 19/10
H02K 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラックススイッチングモータであって、
シャフトに固定されるボス部、および、マグネットを有さずに前記ボス部から放射状に突出する複数の突極部を有し、前記シャフトと共に一方向にのみ回転するロータと、
環状のバックヨーク部から前記ロータに向かって放射状に突出する複数のティース部を有し、前記ロータの周囲にエアギャップを隔てて配置されるステータと、
を備え、
前記ステータは、
前記ティース部の各々の間に設けられた空間からなり、周方向に等間隔で並ぶ複数の電機子スロットと、
前記ティース部の各々の側部を構成する一対の対向コア部の間に設けられた空間からなり、周方向に等間隔で並ぶ複数の界磁スロットと、
同じ磁極面が周方向に対向するように前記界磁スロットの各々に嵌入された複数のステータマグネットと、
前記電機子スロットを通じて前記ティース部の各々に巻回して形成された複数のコイルと、
を有し、
前記突極部の突端における2つの隅部のうち、反回転方向側に位置している隅部には、反回転方向側に向かって前記エアギャップを漸増させる曲面部が形成され、
前記一対の対向コア部の両突端における4つの隅部のうち、前記界磁スロットに臨んで回転方向側に位置している隅部を除く、前記電機子スロットに臨んで回転方向側および反回転方向側に位置している各隅部、並びに、前記界磁スロットに臨んで反回転方向側に位置している隅部の3箇所に、周方向に突出する鍔部が設けられている、フラックススイッチングモータ。
【請求項2】
請求項1に記載のフラックススイッチングモータにおいて、
前記ステータマグネットは、その径方向内側の端部よりも径方向外側の端部の方が周方向に幅広く形成されている、フラックススイッチングモータ。
【請求項3】
請求項2に記載のフラックススイッチングモータにおいて、
前記ステータマグネットの径方向内側の端部は、前記一対の対向コア部の突端よりも径方向外側に位置している、フラックススイッチングモータ。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1つに記載のフラックススイッチングモータにおいて、
前記ステータマグネットの各々に、樹脂成分を40vol.%以上含む、異方性のSm-Fe-Nボンド磁石が用いられている、フラックススイッチングモータ。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載のフラックススイッチングモータにおいて、
外径が100mm以下、かつ全高が50mm以下である、フラックススイッチングモータ。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つに記載のフラックススイッチングモータにおいて、
前記突極部の個数、および、前記突極部の個数と前記電機子スロットの個数との差、の双方が偶数とされている、フラックススイッチングモータ。
【請求項7】
ファンモータであって、
インペラと、
前記インペラを回転させる駆動モータと、
を備え、
前記駆動モータに、請求項1~6のいずれか1つに記載されている前記フラックススイッチングモータが用いられている、ファンモータ。
【請求項8】
請求項7に記載のファンモータにおいて、
吸込仕事率が250W以上である、ファンモータ。
【請求項9】
スティック型の掃除機であって、
バッテリーで駆動するファンモータに、請求項8に記載されている前記ファンモータが用いられている、スティック型の掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示する技術は、フラックススイッチングモータ、ファンモータ、およびスティック型の掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、掃除機本体、ホース、電気コードなどが省略された、いわゆるスティック型の掃除機が注目されている。スティック型の掃除機では、小型のファンを高速で回転させて高い吸引力を発生させる必要がある。そのため、ある程度のトルクを確保しながら、小型軽量で、50000r/min以上の高速回転、さらには100000r/min以上の超高速回転が実現できるモータが求められている。
【0003】
ロータが、マグネットを有さずに鋼板のみで構成されていて、ステータのコイルに通電することで、ロータがステータに引き寄せられて回転する、スイッチドリラクタンスモータ(SRモータ)がある。SRモータは、ロータにマグネットが組み付けられている永久磁石型モータと比べると、ロータを高速回転させても、マグネットが外れて破損するおそれが無い。
【0004】
しかし、SRモータを高出力にするには、コイルを構成している電線の巻数の増加や断面積の拡大が必要になる。そのため、SRモータの小型軽量化、高出力化は難しい。
【0005】
ロータがマグネットを有していないモータにはまた、コイルと共に、複数のマグネットを、ステータに特定の構成で設置したフラックススイッチングモータがある(例えば、特許文献1~3)。
【0006】
フラックススイッチングモータは、ステータに配置されたマグネットから流れる磁束によって励磁されるロータのティースと、ステータに配置されたコイルによって励磁されるステータのティースとが、互いに引き寄せあう力で回転するモータである。磁力による吸引力は、SRモータよりも強いので、フラックススイッチングモータは小型軽量化、高出力化するのに好適である。
【0007】
モータの高出力化、低振動化を図るために、ロータやステータのティース(突極)の突端に、鍔状の突出部を設けることは、これらのモータでも行われている。
【0008】
例えば、特許文献3のフラックススイッチングモータでは、ステータのティースのうち、電機子スロット側の突端に、電機子スロットに向かって突出するツバ部211cが形成されている。
【0009】
特許文献4には、ステータのティース突端のうち、その周方向の両側に、または、その周方向のロータ回転方向側にのみ、突出部を形成したSRモータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2002-199679号公報
【文献】特許第5791713号公報
【文献】特開2018-102122号公報
【文献】特開2001-309622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明者らは、スティック型の掃除機向けに、小型軽量で高出力なフラックススイッチングモータの開発を行っており、これまでも様々な提案をしている(例えば、特願2019-071170、特願2019-079575)。
【0012】
本発明者らは、更なる小型軽量化、高出力化とともに、低振動化も図るべく、ロータやステータのティースの突端に突出部を設けることについて検討した。ところが、フラックススイッチングモータの場合、ステータに配置されているマグネットからロータのティース突端に磁束が流れるので、高出力化と低振動化とを両立させることは容易でない。
【0013】
そこで、開示する技術の主たる目的は、小型軽量化、高出力化の向上と共に、低振動化も可能になるフラックススイッチングモータを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
開示する技術は、フラックススイッチングモータに関する。
【0015】
前記フラックススイッチングモータは、シャフトに固定されるボス部、および、マグネットを有さずに前記ボス部から放射状に突出する複数の突極部を有し、前記シャフトと共に一方向にのみ回転するロータと、環状のバックヨーク部から前記ロータに向かって放射状に突出する複数のティース部を有し、前記ロータの周囲にエアギャップを隔てて配置されるステータと、を備える。
【0016】
前記ステータは、前記ティース部の各々の間に設けられた空間からなり、周方向に等間隔で並ぶ複数の電機子スロットと、前記ティース部の各々の側部を構成する一対の対向コア部の間に設けられた空間からなり、周方向に等間隔で並ぶ複数の界磁スロットと、同じ磁極面が周方向に対向するように前記界磁スロットの各々に嵌入された複数のステータマグネットと、前記電機子スロットを通じて前記ティース部の各々に巻回して形成された複数のコイルと、を有している。
【0017】
前記突極部の突端における2つの隅部のうち、反回転方向側に位置している隅部には、反回転方向側に向かって前記エアギャップを漸増させる曲面部が形成されている。そして、前記一対の対向コア部の両突端における4つの隅部のうち、前記界磁スロットに臨んで回転方向側に位置している隅部を除く、前記電機子スロットに臨んで回転方向側および反回転方向側に位置している各隅部、並びに、前記界磁スロットに臨んで反回転方向側に位置している隅部の3箇所に、周方向に突出する鍔部が設けられている。
【0018】
フラックススイッチングモータの場合、ステータマグネットから突極部に磁束が流れるので、高出力化と低振動化とを両立させることは難しいが、本発明者らが様々な磁気解析を行ったところ、フラックススイッチングモータでも、特定の条件を満たすことで、高出力化と低振動化とが両立できることを見出した。
【0019】
そこで、このフラックススイッチングモータは、その特定の条件、すなわち、突極部の突端における2つの隅部のうち、反回転方向側に位置している隅部に、反回転方向側に向かってエアギャップを漸増させる曲面部が形成されていること、および、一対の対向コア部の両突端における4つの隅部のうち、界磁スロットに臨んで回転方向側に位置している隅部を除く、3箇所の隅部に、周方向に突出する鍔部が設けられていること、を満たすように構成されている。
【0020】
従って、小型軽量化、高出力化の向上と共に、低振動化も可能になるフラックススイッチングモータが実現できる。
【0021】
前記フラックススイッチングモータはまた、前記ステータマグネットは、その径方向内側の端部よりも径方向外側の端部の方が周方向に幅広く形成されている、としてもよい。
【0022】
そうすれば、ステータマグネットの周方向に面する側面の表面積が相対的に大きくなるので、ステータとステータマグネットとの接触面積が増加する。その結果、ステータマグネットで発生する磁束がステータに流れ易くなるので、ロータが励磁され易くなって、より高出力化できる。
【0023】
前記フラックススイッチングモータはまた、前記ステータマグネットの径方向内側の端部は、前記一対の対向コア部の突端よりも径方向外側に位置している、としてもよい。
【0024】
そうすれば、ステータマグネットがティース部からの漏れ磁束に曝される量が減少し、不可逆減磁、つまり磁力の低下を抑制できることから、モータ出力の安定化が可能となる。また、漏れ磁束がステータマグネットを通過する際に発生する渦電流も同様に低減できることから、モータの高効率化も図れる。
【0025】
前記フラックススイッチングモータはまた、ステータマグネットの各々に、樹脂成分を40vol.%以上含む、異方性のSm-Fe-Nボンド磁石が用いられている、としてもよい。
【0026】
樹脂成分が40容量%以上であれば、ステータマグネットを軽量にできる。Nd-Fe-Bボンド磁石よりも比重の小さいSm-Fe-Nボンド磁石を採用することで、更に軽量にできる。そして、異方性の磁石の採用によって磁力を強めることができるため、モータの出力密度の大幅なアップが実現可能となる。更に、絶縁体である樹脂成分を多く含むマグネットの採用によって、ステータマグネットに生じる渦電流損が減少するので、樹脂量を増やしてもモータの高効率化が実現可能となる。
【0027】
前記フラックススイッチングモータはまた、外径が100mm以下、かつ全高が50mm以下である、としてもよい。
【0028】
すなわち、ミニサイズとすることで、その性能を効果的に活用できる。
【0029】
前記フラックススイッチングモータはまた、前記突極部の個数、および、前記突極部の個数と前記電機子スロットの個数との差、の双方が偶数とされている、としてもよい。
【0030】
そうすれば、偏心回転を抑制できるので、よりいっそう低振動化が図れる。
【0031】
上述したフラックススイッチングモータを、インペラを回転させる駆動モータに用いて、ファンモータを構成するのが好ましい。
【0032】
ファンモータであれば、所定方向に高速で回転することが求められる。フラックススイッチングモータは、その要求に合致するため、極めて効果的である。
【0033】
その場合、吸込仕事率は250W以上である、とするのが好ましい。
【0034】
このようなファンモータを、スティック型の掃除機に用いれば、利便性に優れた掃除機が実現可能になる。
【発明の効果】
【0035】
開示する技術によれば、小型軽量化、高出力化の向上と共に、低振動化も可能になるフラックススイッチングモータが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】開示する技術の具体的な適用事例(スティック型の掃除機)を示す概略図である。
【
図4】駆動モータ(フラックススイッチングモータ)を示す概略斜視図である。
【
図5】ステータを示す概略図である(コイルは省略)。
【
図8】ロータおよびステータの要部の構造を説明するための図である。
【
図9】磁気解析を行った主な鍔部の設置パターンを示す図である。(a)は、鍔部が4箇所のパターン(比較例1)、(b)は、鍔部が3箇所のパターン(実施例)、(c)は、鍔部が2箇所のパターン(比較例2)
【
図11A】所定の電気角における実施例および比較例1の要部の概略コンター図である。
【
図11B】所定の電気角における実施例および比較例2の要部の概略コンター図である。
【
図12】駆動モータの変形例を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、開示する技術の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物あるいはその用途を制限するものではない。
【0038】
説明で用いる上下の方向は、便宜上、
図2に矢印で示す方向による。また、軸方向は回転軸Pが延びる方向を意味し、周方向は回転軸Pの周囲の方向を意味し、径方向は、回転軸Pを中心とする半径または直径の方向を意味する。
【0039】
<開示する技術の適用例>
図1に、開示する技術に好適な、スティック型の掃除機1を例示する。この掃除機1は、コードレスタイプであり、内蔵するバッテリー8の電力で駆動できるように構成されている。
【0040】
この掃除機1に、開示する技術を適用した小型のファンモータ(ミニファンモータ2)が搭載されている。掃除機1は、吸込部3、管部4、本体部5、ダストケース6、把手部7などで構成されている。
【0041】
吸込部3は、下面に吸込口3aを有し、回動自在なローラ3bにより、床面に沿ってスライド自在に構成されている。管部4は、伸縮可能な細長い筒状の部材からなる。管部4は、その下端部は吸込部3に接続され、その上端部は本体部5に接続されている。管部4は、吸込口3aと本体部5とを連通させている。
【0042】
本体部5は、管部4よりもやや大きなサイズに形成されている。本体部5に、ミニファンモータ2、バッテリー8、制御部9などが収容されている。制御部9は、ミニファンモータ2の駆動を制御する。バッテリー8は、充電可能な二次電池であり、ミニファンモータ2に電力を供給する。
【0043】
把手部7は、ユーザが把持する部分であり、本体部5と一体に設けられている。把持部は、本体部5の後側から後方に突き出すように設けられている。掃除機1は、ユーザが把持部を片手で持った状態で扱えるように構成されている。
【0044】
把持部の下側にダストケース6が設置されている。ダストケース6は、本体部5から脱着可能に構成されている。ミニファンモータ2は、ダストケース6に隣接した位置に配置されている。ミニファンモータ2は、制御部9の制御に従い、バッテリー8から供給される電力によって駆動する。ミニファンモータ2が駆動すると、強力な吸引力が形成される。それにより、吸込口3aから吸い込まれるダストが、管部4を通ってダストケース6に集積される。
【0045】
(ミニファンモータ2)
図2にミニファンモータ2を示す。ミニファンモータ2は、ファンとモータとが一体に構成されている小型の装置である。ファンは、いわゆる遠心ファンである。回転軸Pを中心にインペラ20が回転することにより、吸気口31から空気を吸い込んで、径方向の外側に向けて空気を吐出する。
【0046】
本体部5に収容できるように、ミニファンモータ2の外径Dおよび全高Hは、非常に小さく設計されている。具体的には、外径Dは100mm以下が好ましく、全高Hは50mm以下が好ましい。例えば、図例のミニファンモータ2の場合、外径Dは略70mm、全高Hは略40mm程度の大きさ(いわゆる手のひらサイズ)である。従って、その重量も軽く、手のひらに載せても苦にならないレベルである。
【0047】
しかも、バッテリー8の電力を用いて、掃除機1として十分な性能が得られるように、高効率で高出力が得られるように構成されている。図例のミニファンモータ2の場合、600Wの消費電力で、50000r/min以上の高速回転、さらには100000r/min以上の超高速回転で駆動でき、250W以上の吸込仕事率が得られるように構成されている。
【0048】
図2とともに、
図3に分解して示すように、ミニファンモータ2は、ハウジング10と、インペラ20と、シュラウド30と、基板40と、駆動モータ50と、を備えている。この駆動モータ50に、開示する技術を適用したフラックススイッチングモータが用いられている。
【0049】
ハウジング10は、第1ハウジング10aと第2ハウジング10bとを上下に突き合わせることによって構成されている。ハウジング10は、上下一対の環状枠と、これら環状枠を連結する複数の柱状枠とを有し、カゴ状に形成されている。そのハウジング10の内部に、駆動モータ50が収容されている。
【0050】
インペラ20は、略円錐形状を有しており、ハウジング10の上側に配置されている。インペラ20の外周面には、複数のベーン21が設けられている。インペラ20は、シャフト51の先端部に回転不能な状態で取り付けられている。
【0051】
シュラウド30は、インペラ20に被さるようにハウジング10の上側に固定されている。シュラウド30の中央部に、円形に開口した吸気口31が形成されている。
【0052】
基板40は、円板状の部材からなり、ハウジング10の下側に取り付けられている。基板40の上面および下面には、コンデンサ41や半導体素子42などの電機部品が設けられている。
【0053】
(駆動モータ50)
駆動モータ50は、シャフト51、ロータ52、およびステータ53を有しており、上述したように、駆動モータ50はフラックススイッチングモータである。
【0054】
すなわち、ステータ53には特定の配置で複数のステータマグネット62が設置されている。そして、ロータ52は磁性体のみで構成されていて、これらステータマグネット62により、ロータ52が磁化されるように構成されている。シャフト51は、一方向にのみに回転可能であり、この駆動モータ50では、反時計回りの方向(CCW方向)に回転するように構成されている。
【0055】
(シャフト51)
図4に示すように、シャフト51は、円柱状の部材からなる。シャフト51の軸心は回転軸Pに一致している。
図3に示すように、シャフト51は、ハウジング10の内部に位置する基端部51aと、ハウジング10の上方に突出する先端部51bとを有している。基端部51aの上部および下部に、一対のベアリング54,54が装着されており、これらベアリング54,54を介して、シャフト51はハウジング10に回転可能な状態で軸支されている。基端部51aの中間部に、ロータ52がシャフト51と一体に設けられている。
【0056】
(ロータ52)
ロータ52は、円柱形状をしたボス部52aと、ボス部52aの外周面から放射状に突出する偶数個(本実施形態では6つ)の突極部52bとを有している。ロータ52にはマグネットは設置されていない。鉄材のみで形成されている。具体的には、ロータ52は、上述した略星形状をした複数の鉄板(磁性体)を上下方向に積層することによって形成されている。
【0057】
ボス部52aの中心に形成されている軸孔に基端部51aを圧入することにより、ロータ52がシャフト51に固定されている。各突極部52bは、ボス部52aの外周面から径方向の外側に向かって突出している。各突極部52bは、周方向に等間隔で配置されている。
【0058】
各突極部52bは、周方向に対向した状態で互いに平行して径方向に延びる一対の突極側面521,521と、これら突極側面521,521に連なって円弧状に緩やかに湾曲した突極端面522とを有している。突極端面522は、突極部52bの突端を構成しており、その2つの隅部には曲面部91や段差部90が設けられているが、それについては後述する。各突極部52bには、軸方向に貫通するスリット52cが形成されている。
【0059】
(ステータ53)
図4に示すように、ステータ53は、複数の部材で略円環状に構成されている。ステータ53は、ロータ52の周囲に所定のエアギャップGを隔てた状態で、ハウジング10に設置されている(いわゆるインナーロータ型)。ステータ53は、ステータコア60、ステータマグネット62、インシュレータ70、およびコイル80を有している。
【0060】
図5に、コイル80を省略したステータ53を示す。
図6に、更にインシュレータ70を省略した状態である、ステータコア60およびステータマグネット62を示す。
【0061】
ステータ53は、環状のバックヨーク部60aと、バックヨーク部60aから内側に放射状に延びる複数(本実施形態では8つ)のティース部60bと、を有している。各ティース部60bは、周方向に等間隔で配置されている。
【0062】
ティース部60bの幅(周方向の大きさ)は、突端部分を除いて略同じ大きさに形成されている(突端部分の幅は狭い)。各ティース部60bの突端と、ロータ52の突極部52bの突端との間に、所定の大きさのエアギャップGが形成されるように、ステータ53の内径およびロータ52の外径が設計されている。
【0063】
図6に示すように、ステータコア60は、上面視(上方から見た場合を意味)が略U形状をした複数(本実施形態では8つ)の要素コア61で構成されている。各要素コア61は、略U形状をした複数の鉄板(磁性体)を上下方向に積層することによって形成されている。
【0064】
各要素コア61は、上面視が円弧状の連結コア部61aと、連結コア部61aの両端から対向状に延出される一対の対向コア部61b,61bとを有している。連結コア部61aは、バックヨーク部60aの一部を構成し、各対向コア部61bは、ティース部60bの側部を構成する。
【0065】
すなわち、各要素コア61は、周方向に等間隔で配置されている。それにより、互いに隣接している2つの要素コア61,61の間には、周方向に等間隔で並ぶ一定の空間(界磁スロットKS)が設けられている。それにより、一方の要素コア61の対向コア部61bは、他方の要素コア61の対向コア部61bと、この界磁スロットKSを隔てて周方向に対向している。
【0066】
これら一対の対向コア部61b,61bが各ティース部60bの側部を構成しており、界磁スロットKSにステータマグネット62が嵌入されることにより、これら一対の対向コア部61b,61bとステータマグネット62とが一体化されて、ティース部60bが構成されている。そして、連結コア部61aとステータマグネット62とが一体化されることにより、バックヨーク部60aが構成されている。
【0067】
隣接する2つのティース部60b,60bの間にも、周方向に等間隔で並ぶ一定の空間(電機子スロットDS)が設けられている。従って、電機子スロットDSと界磁スロットKSとは、周方向に等間隔で交互に並ぶように配置されている。本実施形態では、電機子スロットDS、界磁スロットKS、ティース部60b、およびステータマグネット62は、いずれも8つ(偶数)である。
【0068】
各ステータマグネット62は、樹脂成分を40vol.%以上含む異方性のSm-Fe-Nボンド磁石を用いて、略板形状に形成されている。Nd-Fe-Bボンド磁石よりも比重の小さいSm-Fe-Nボンド磁石を採用することで、駆動モータ50を軽量化でき、また、異方性の磁石の採用によって磁力を強めることができるため、駆動モータ50の出力密度の大幅なアップが実現可能となる。更に、絶縁体である樹脂成分を40vol.%以上とすることで、ステータマグネット62に生じる渦電流が減少することから、樹脂量を増やしても駆動モータ50を高効率化できる。
【0069】
各ステータマグネット62は、その径方向内側の端部よりも径方向外側の端部の方が周方向に幅広く形成されている。すなわち、各ステータマグネット62は、径方向外側に向かうほど遠ざかる一対の傾斜した矩形の側面62a,62aと、幅の狭い矩形の内側端面62bと、幅の広い矩形の外側端面62cと、を有している。側面62aの一方がN極を構成し、他方の側面62aがS極を構成している。
【0070】
各ステータマグネット62は、同じ磁極の側面62aが周方向に対向するように配置した状態で、各界磁スロットKSに嵌入されている。各ステータマグネット62の側面62aの各々は、隣接している2つの要素コア61,61の、対向している各対向コア部61b,61bと面接触している。各ステータマグネット62の側面62aは、傾斜しているので、傾斜していない場合に比べて、その表面積は大きくなっている。それにより、より強い磁力を生じることが可能になるので、駆動モータ50を高出力化できる。
【0071】
各ステータマグネット62の径方向内側の端部(内側端面62b)は、その両側に位置する対向コア部61bの突端よりも奥方(径方向外側)に位置している。駆動モータ50の回転時には、ティース部60bの突端と突極部52bの突端との間に、磁路(磁束の流路)が形成されるが、その際、ステータマグネット62の内側端面62bよりも各対向コア部61bの突端を突出させることで、ステータマグネット62に向かう磁束、つまりはステータマグネット62が曝される磁束の量を抑制できる。従って、ステータマグネット62の不可逆減磁、および渦電流の発生を抑制できる。
【0072】
図5に示すように、円環状に連結されたステータコア60の周囲には、プラスチック製(絶縁素材)のインシュレータ70が装着されている。具体的には、ティース部60bの上面、ティース部60bの両側面の一部、バックヨーク部60aの一部(電機子スロットDSに面する部分)などが、インシュレータ70によって被覆されている。ティース部60bの突端(エアギャップGに臨んでいる部分)に位置するステータコア60は、インシュレータ70から露出している。
【0073】
図4に示すように、各ティース部60bのインシュレータ70で被覆されている部分に、コイル80が設置されている。この駆動モータ50は、ミニファンモータ2に用いられているため、そのサイズは非常に小さい。コイル80もそれに応じた微小なサイズとなっている。
【0074】
図7に、コイル80を示す。コイル80は、高い磁力を発生でき、かつ、組み立てが容易なように工夫されている。
【0075】
すなわち、各コイル80は、所定の内法を有するように形成されている。そして、各ティース部60bが、コイル80の内法に嵌合する外法を有し、各ティース部60bに、所定形状に形成された各コイル80が装着できるように構成されている。
【0076】
各コイル80は、銅等の電気導体を絶縁膜で被覆して構成された電線を巻回して形成されている。すなわち、各ティース部60bの両側に位置する電機子スロットDSを通じて、各ティース部60bに電線が巻回できるようにコイル80が形成されている。その電線には、長方形の横断面を有する平角線80aが用いられている。平角線80aを、その横断面の短辺側に曲げることにより、コイル80が形成されている(エッジワイズ巻き)。
【0077】
平角線80aであれば、隙間無く巻回できるので、丸線に比べて高い占積率が得られる。しかも、エッジワイズ巻きであれば、厚みの小さい短辺側が巻回されていくので、巻回方向(軸方向)におけるコイル80のサイズも小さくでき、モータ50の小型化が可能となる。
【0078】
また、平角線80aの周方向の側面積を小さく出来ることから、各要素コア61から漏れ出るフリンジング磁束に平角線80aが曝されることで発生する渦電流を抑制でき、モータ50の高効率化ができる。更に、短辺側が小さくても、長辺側を大きくすることで、平角線80aの断面積を大きく、つまり電線を太くできる。従って、大きな電流を流すことができるので、高い磁力を発生できる。
【0079】
各ティース部60bに装着された各コイル80の端部は、絶縁膜が除かれた状態で、基板40の所定の端子に接続されている。基板40には、バッテリー8から電力が供給されている。基板40には、その電力を切り替える複数のスイッチング素子が設置されていて、これらスイッチング素子を制御部9が制御することにより、各コイル80には、所定の電流(交流)が供給されるようになっている。
【0080】
この駆動モータ50の場合、A相およびB相からなる2相の異なるコイル80群が構成されている。
図4に模様別で示すように、A相およびB相の各コイル80群は、周方向に交互に並ぶように配置されている。これら各相のコイル80群に、位相の異なる2つの電流(交流)が供給される。
【0081】
誘起電圧の変化などから、ステータ53に対するロータ52の回転位置が検出され、その回転位置に基づいて、各コイル80群への通電状態を切り替える制御が行われる。それにより、ステータ53に、ロータ52を回転させる磁界(回転磁界)が形成される。その回転磁界と、各ステータマグネット62によって磁化された突極部52bとの磁気的な吸引力(マグネットトルク)により、ロータ52は、反時計回りに回転する。
【0082】
この駆動モータ50では、突極部52bの個数、および、突極部52bの個数と電機子スロットDSの個数との差、の各々が偶数とされている。それにより、回転軸Pに対して、磁気構造が点対称となるため、偏心回転が防止できる。従って、駆動時の騒音や振動を抑制できる。
【0083】
(ロータ52およびステータ53の細部構造)
モータの高出力化、低振動化を目的として、ロータやステータのティース部(突極部)の突端に、突起や凹みを設けることは知られている。
【0084】
そこで、本発明者らは、駆動モータ50の小型軽量化、高出力化を促進し、更に低振動化も図るべく、ロータ52の突極部52bの突端、およびステータ53のティース部60b(対向コア61b)の突端の形状について検討した。
【0085】
ところが、フラックススイッチングモータの場合、ステータマグネット62から突極部52bに磁束が流れるので、高出力化と低振動化とを両立させることは難しく、様々な磁気解析を行った。その結果、フラックススイッチングモータでも、特定の条件を満たすことで、高出力化と低振動化とが両立できることを見出した。
【0086】
図8に、その条件を適用した駆動モータ50の要部を示す。ロータ52の突極部52bの突端の形状に関しては、その2つの隅部Cr1,Cr2のうち、回転方向側に位置している隅部Cr1には、回転方向に向かってエアギャップGを一様に増加させる段差部90が形成されている。そして、その反回転方向側に位置している隅部Cr2には、反回転方向側に向かってエアギャップGを漸増させる曲面部91が形成されている。
【0087】
段差部90は、回転方向側の隅部Cr1を構成している突極端面522を薄くカットすることによって形成されている。段差部90には、突極端面522から一段下がる略平坦な段差面が形成されている。従って、突極端面522でのエアギャップGよりも段差部90でのエアギャップGの方が僅かに大きい。
【0088】
このような段差部90を、突極部52bの回転方向側の隅部Cr1に設けることで、この駆動モータ50は、2相でありながら、始動時の安定性の確保、CCW方向への回転方向の一律化が可能になっている。なお、駆動モータ50が3相である場合は、この段差部90は必須ではない。
【0089】
曲面部91は、反回転方向側の隅部Cr2を構成している突極側面521を薄くカットするとともに、隅部Cr2の角を丸めることによって形成されている。従って、曲面部91でのエアギャップGは、反回転方向に向かうに従って、突極端面522のエアギャップGから徐々に増加した後、急増するように構成されている。なお、曲面部91の主体は丸められた隅部Cr2であるため、突極側面521のカットされた段差は省略してもよい。
【0090】
このような曲面部91を、突極部52bの反回転方向側の隅部Cr2に設けることで、突極部52bがステータ53のティース部60bから離れていく時に、エアギャップGが徐々に増加して、ステータマグネット62から突極部52bに流れる磁束の密度が減少していくので、負のトルクおよびリップルを低減できる。段差部90や曲面部91を設けることで、ロータ52の鉄量が削減されるので、軽量化も図れる。
【0091】
ステータ53のティース部60bの突端の形状に関しては、一対の対向コア部61b,61bの両突端における4つの隅部Cs1,Cs2,Cs3,Cs4のうち、電機子スロットDSに臨んで回転方向側および反回転方向側に位置している各隅部Cs1,Cs4、並びに、界磁スロットKSに臨んで反回転方向側に位置している隅部Cs2の3箇所に、周方向に突出する鍔部92が設けられている。つまり、界磁スロットKSに臨んで回転方向側に位置している隅部Cs3を除く、3箇所の隅部Cs1,Cs2,Cs4にのみ鍔部92が設けられている。
【0092】
これら隅部Cs1,Cs2,Cs3,Cs4に鍔部92をもうけるパターンは複数あるが、本発明者らが磁気解析を行った結果、この3箇所Cs1,Cs2,Cs4に設けるパターンが、高出力化および低振動化を図るのに最適であることを見出した。
【0093】
(磁気解析の概要)
図9に、磁気解析を行った主なパターンを示す。同図の(a)は、一対の対向コア部61b,61bの両突端における4つの隅部Cs1,Cs2,Cs3,Cs4に鍔部92を設けるパターンであり(鍔部92が4箇所、比較例1)、同図の(b)は、本実施形態のパターンであり(鍔部92が3箇所、実施例)、同図の(c)は、一対の対向コア部61b,61bの両突端における4つの隅部Cs1,Cs2,Cs3,Cs4のうち、反回転方向側の各隅部Cs2,Cs4に鍔部92を設けるパターン(鍔部92が2箇所、比較例2)である。
【0094】
図10に、これら3つのパターンで、平均トルク(mNm)とリップル率(%)とを比較した表を示す。平均トルクの数値の大小によって出力が評価でき、リップル率の数値の大小によって振動が評価できる。なお、
図10では、具体的な数値を記号に置き換えて示している(二重丸印>丸印>三角印>バツ印)。
【0095】
図10の表に示すように、実施例は、平均トルクおよびリップル率ともに、比較例1,比較例2よりも優れていた。実施例は、比較例1と比べると、特にリップル率に関して優れており、比較例2と比べると、特に平均トルクに関して優れていることが確認された。
【0096】
図11Aに、所定の電気角における実施例および比較例1の各要部のコンター図を簡略化して示す。破線は磁束密度の等値線を表しており、線が太いほどその値は高くなっている。
【0097】
比較例1では、界磁スロットKSに臨む回転方向側の隅部Cs3に設けられた鍔部92に起因して、その隅部Cs3の磁束密度が高くなっている。一方、界磁スロットKSに臨む回転方向側の隅部Cs3に鍔部92の無い実施例では、比較例1ほどの磁束密度の増加は認められない。
【0098】
比較例1では、鍔部92の存在により、突極部52bの隅部Cr2に曲面部91が形成されていても、エアギャップGが小さくなる。そのため、ステータマグネット62から突極部52bに流れる磁束の密度が増加し、負のトルクおよびリップルが低減できない。
【0099】
対して、実施形態では、突極部52bの隅部Cr2に形成された曲面部91によってエアギャップGが徐々に大きくなっていくので、ステータマグネット62から突極部52bに流れる磁束の密度が低下し、負のトルクおよびリップルを効果的に抑制できる。その結果、
図10に示すように、実施例では、比較例1に比べて、高出力化、低振動化が実現可能となっている。
【0100】
図11Bに、
図11Aと同様に、所定の電気角における実施例および比較例2の各要部のコンター図を簡略化して示す。
【0101】
実施例では、電機子スロットDSに臨む回転方向側の隅部Cs1に設けられた鍔部92に起因して、その隅部Cs1の磁束密度が高くなっている。一方、電機子スロットDSに臨む回転方向側の隅部Cs1に鍔部92の無い比較例2では、実施例ほどの磁束密度の増加は認められない。
【0102】
実施例では、鍔部92の存在により、段差部90によってエアギャップGが拡大していても、ステータマグネット62から突極部52bに流れる磁束の密度が増加し、正のトルクが増加する。その結果、
図10に示すように、実施例では、比較例2に比べて、高出力化、低振動化が実現可能となっている。
【0103】
このような磁気解析の結果に基づき、上述したように、ロータ52の突極部52bの突端、およびステータ53のティース部60b(対向コア部61b)の突端が形成されているので、フラックススイッチングモータである駆動モータ50でも、小型軽量化、高出力化の向上と共に、低振動化も可能になっている。
【0104】
<変形例>
図12に、駆動モータ50の変形例を示す。本変形例の駆動モータ50では、4つの突極部52bを有するロータ52が用いられている。コイル80は8つであるが、この駆動モータ50では、1つの電流(交流)の通電状態を切り替えることで、回転磁界を形成する(いわゆる単相)。
【0105】
ミニファンモータ2の場合、50000r/min以上の高速回転、さらには100000r/min以上の超高速回転が求められる。突極部52bが多いとそれだけ、1回転の間に行われる通電切替制御が増加する。そのため、回転数が大幅に高くなると、通電切替制御が煩雑になり、制御が不安定になったり制御不能になったりするおそれがある。従って、突極部52bが少ない本変形例の駆動モータ50は、超高速回転に有利である。
【0106】
なお、開示する技術にかかるフラックススイッチングモータ等は、上述した実施形態に限定されず、それ以外の種々の構成をも包含する。
【0107】
例えば、上述した実施形態では、スティック型の掃除機への適用例を示したが、開示する技術が適用できるのは、それに限らない。例えば、ジューサーミキサーやフードプロセッサーなどその他の家電製品、ロボット等の駆動にも適用できる。
【0108】
コイルの電線は平角線が好ましいが、それに限るものではない。通常の丸線であってもよい。
【0109】
上述した実施形態では、二相8スロット6突極のフラックススイッチングモータを示した。そして、変形例では、単相8スロット4突極のフラックススイッチングモータを示したが、開示するフラックススイッチングモータは、これら相数、スロット数、突極数に限らない。例えば、三相12スロット10突極のフラックススイッチングモータであってもよい。
【符号の説明】
【0110】
1 掃除機
2 ファンモータ
3 吸込部
10 ハウジング
20 インペラ
350 駆動モータ
52 ロータ
52a ボス部
52b 突極部
521 突極側面
522 突極端面
52c スリット
53 ステータ
60 ステータコア
60a バックヨーク部
60b ティース部
61 要素コア
61a 連結コア部
61b 対向コア部
62 ステータマグネット
62a 側面
62b 内側端面
62c 外側端面
70 インシュレータ
80 コイル
80a 平角線
90 段差部
91 曲面部
92 鍔部
P 回転軸
G エアギャップ
KS 界磁スロット
DS 電機子スロット
Cr1,Cr2 隅部(突極部)
Cs1~Cs4 隅部(ティース部)