(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】双方向DC/DCコンバータ回路および蓄電システム
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20231017BHJP
【FI】
H02M3/28 H
H02M3/28 Q
(21)【出願番号】P 2019226311
(22)【出願日】2019-12-16
【審査請求日】2022-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000004606
【氏名又は名称】ニチコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 直久
【審査官】白井 孝治
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-012786(JP,A)
【文献】特開2014-171313(JP,A)
【文献】特開2014-054134(JP,A)
【文献】特開2013-094034(JP,A)
【文献】国際公開第2017/038363(WO,A1)
【文献】特開2016-195496(JP,A)
【文献】国際公開第2019/054046(WO,A1)
【文献】特開2003-164151(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00~ 3/44
H02J 7/00~ 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池を充電する充電動作と前記蓄電池を放電させる放電動作とを行う双方向DC/DCコンバータ回路であって、
一対の第1入出力端および一対の第2入出力端と、
第1スイッチング素子および第2スイッチング素子が直列接続された第1アームと第3スイッチング素子および第4スイッチング素子が直列接続された第2アームとを有し、前記第1アームと前記第2アームとが
前記一対の第1入出力端間に並列接続された第1フルブリッジ回路と、
第5スイッチング素子および第6スイッチング素子が直列接続された第3アームと第7スイッチング素子および第8スイッチング素子が直列接続された第4アームとを有し、前記第3アームと前記第4アームとが
前記一対の第2入出力端間に並列接続された第2フルブリッジ回路と、
1次巻線および2次巻線を有し、前記1次巻線が前記第1フルブリッジ回路に接続され、前記2次巻線が前記第2フルブリッジ回路に接続された絶縁トランスと、
前記1次巻線と前記第1フルブリッジ回路との間に設けられた共振用コンデンサと、
前記第1フルブリッジ回路に接続された動作切替回路と、
前記動作切替回路、前記第1フルブリッジ回路および前記第2フルブリッジ回路を制御
し、前記蓄電池の電池電圧に応じて前記動作切替回路を制御することで前記第1フルブリッジ回路の動作を切り替える制御部と
、を備え、
前記共振用コンデンサは、一端が前記第3スイッチング素子および前記第4スイッチング素子の接続点に接続され、他端が前記1次巻線の一端側に接続され、
前記動作切替回路は、第1開閉スイッチと、第2開閉スイッチと、前記一対の第1入出力端間に直列接続された第1コンデンサおよび第2コンデンサと、前記一対の第1入出力端間に直列接続された第3コンデンサおよび第4コンデンサとを有し、
前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの接続点は、前記第1開閉スイッチを介して前記1次巻線の他端に接続され、
前記第3コンデンサと前記第4コンデンサとの接続点は、前記第2開閉スイッチを介して前記共振用コンデンサの一端に接続され、
前記1次巻線の他端は、前記第1スイッチング素子および前記第2スイッチング素子の接続点に接続され、
前記2次巻線は、一端が前記第7スイッチング素子および前記第8スイッチング素子の接続点に接続され、他端が前記第5スイッチング素子および前記第6スイッチング素子の接続点に接続され、
前記蓄電池は、前記一対の第2入出力端に接続され、
前記
制御部は、
前記第1開閉スイッチと前記第2開閉スイッチとを制御することで、
前記充電動作開始時でかつ前記電池電圧が所定の第1閾値以下の場合に前記動作をハーフブリッジ動作に切り替え、
前記充電動作開始時でかつ前記電池電圧が前記第1閾値よりも大きい場合に前記動作をフルブリッジ動作に切り替え、
前記放電動作開始時でかつ前記電池電圧が所定の第2閾値以下の場合に前記動作を倍電圧整流動作に切り替え、
前記放電動作開始時でかつ前記電池電圧が前記第2閾値よりも大きい場合に前記動作をブリッジ整流動作に切り替えることを特徴とする双方向DC/DCコンバータ回路。
【請求項2】
前記制御部は、
前記充電動作開始時でかつ前記電池電圧が前記第1閾値以下の場合に、前記第1開閉スイッチを開状態、前記第2開閉スイッチを閉状態にするとともに、前記第3スイッチング素子および前記第4スイッチング素子をオフ状態にして、前記第1スイッチング素子および前記第2スイッチング素子をスイッチング動作させ、かつ前記第2フルブリッジ回路をブリッジ整流動作させる一方、
前記充電動作開始時でかつ前記電池電圧が前記第1閾値よりも大きい場合に、前記第1開閉スイッチおよび前記第2開閉スイッチを開状態にするとともに、前記第1フルブリッジ回路をフルブリッジ動作させ、かつ前記第2フルブリッジ回路をブリッジ整流動作させることを特徴とする請求項
1に記載の双方向DC/DCコンバータ回路。
【請求項3】
前記制御部は、
前記放電動作開始時でかつ前記電池電圧が前記第2閾値以下の場合に、前記第1開閉スイッチを閉状態、前記第2開閉スイッチを開状態にするとともに、前記第2フルブリッジ回路をフルブリッジ動作させ、かつ前記第1スイッチング素子および前記第2スイッチング素子をオフ状態にして、前記第3スイッチング素子および前記第4スイッチング素子をスイッチング動作させる一方、
前記放電動作開始時でかつ前記電池電圧が前記第2閾値よりも大きい場合に、前記第1開閉スイッチおよび前記第2開閉スイッチを開状態にするとともに、前記第2フルブリッジ回路をフルブリッジ動作させ、かつ前記第1フルブリッジ回路をブリッジ整流動作させることを特徴とする請求項
1または2に記載の双方向DC/DCコンバータ回路。
【請求項4】
蓄電池と、
前記蓄電池を充電する充電動作と前記蓄電池を放電させる放電動作とを行う請求項1~
3のいずれかに記載の双方向DC/DCコンバータ回路と、
前記蓄電池と前記双方向DC/DCコンバータ回路との間に設けられ、前記充電動作時に降圧動作を行い、前記放電動作時に昇圧動作を行う双方向チョッパ回路と、
入力された交流電圧を直流電圧に変換して前記双方向DC/DCコンバータ回路に出力するAC/DC変換動作と、前記双方向DC/DCコンバータ回路から入力された直流電圧を交流電圧に変換して出力するDC/AC変換動作とを行う双方向インバータ回路と、
を備え
、
前記蓄電池は、前記双方向チョッパ回路を介して前記双方向DC/DCコンバータ回路の前記一対の第2入出力端に接続され、
前記双方向インバータ回路は、前記双方向DC/DCコンバータ回路の前記一対の第1入出力端に接続されることを特徴とする蓄電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、双方向DC/DCコンバータ回路および蓄電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
図3に、従来の蓄電システム1’のブロック図を示す。蓄電システム1’は、従来の絶縁型の双方向DC/DCコンバータ回路10’と、蓄電池2と、リレー回路3と、双方向インバータ回路4と、双方向チョッパ回路(非絶縁型のDC/DCコンバータ回路)5と、制御部6とを備える。
【0003】
蓄電システム1’は、低価格の深夜電力を利用して蓄電池2を充電し、昼間に蓄電池2を放電させて蓄電池2の放電電力を使用することで、電力会社から購入する高価格の昼間電力を削減することができる。
【0004】
商用電力系統が通電状態にある系統通電時は、リレーS1~S4とリレーS7がオン状態になり、リレーS5,S6がオフ状態になる。充電動作時において、商用電力系統から供給された交流電圧は、リレー回路3を介して双方向インバータ回路4に入力され、双方向インバータ回路4で直流電圧に変換される。変換された直流電圧は双方向DC/DCコンバータ回路10’で絶縁されて(双方向DC/DCコンバータ回路10’の入出力電圧比は1:1)、双方向チョッパ回路5に入力される。双方向チョッパ回路5は、入力された直流電圧を蓄電池2が必要とする直流電圧に降圧して、蓄電池2を充電する。
【0005】
放電動作時において、蓄電池2の放電電圧は双方向チョッパ回路5で昇圧され、双方向DC/DCコンバータ回路10’で絶縁されて(双方向DC/DCコンバータ回路10’の入出力電圧比は1:1)、双方向インバータ回路4に入力される。双方向インバータ回路4は、入力された直流電圧を交流電圧に変換し、リレー回路3を介して商用電力系統に出力する。
【0006】
一方、商用電力系統が停電状態にある系統停電時は、リレーS1~S4がオフ状態になり、リレーS5,S6とリレーS7とがオン状態になる。蓄電システム1’は、上記の放電動作時と同様に、蓄電池2の放電電圧を自立出力ラインLa,Lbに出力する。自立出力ラインLa,Lbには、系統停電時に優先的に動作させたい家庭内負荷(例えば、冷蔵庫などの家電製品)が接続される。
【0007】
ところで、蓄電池2には電池電圧が高いものや低いものが存在するため、双方向チョッパ回路5の蓄電池2側の入出力電圧範囲が大きくなり、双方向チョッパ回路5の電力の変換効率が低下するという問題がある。
【0008】
上記の問題を解決するために、特許文献1に記載の双方向DC/DCコンバータ回路は、出力側回路の整流動作をブリッジ整流動作と倍電圧整流動作に切り換えるための短絡回路を、1次側と2次側の双方に備えている。
【0009】
特許文献1に記載の双方向DC/DCコンバータ回路を
図3の蓄電システム1’に適用した場合、双方向DC/DCコンバータ回路の入出力電圧比は、1:1または1:2になる。このため、放電動作時においては、双方向チョッパ回路5の変換効率の低下を抑制できる。
【0010】
しかしながら、充電動作時においては、特許文献1に記載の双方向DC/DCコンバータ回路では、双方向チョッパ回路5の変換効率の低下を抑制できない。また、特許文献1に記載の双方向DC/DCコンバータ回路は、上記のとおり1次側と2次側の双方に短絡回路を備えるため、回路全体の大型化を招くという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その課題とするところは、蓄電池との間に設けられる双方向チョッパ回路の変換効率の低下を抑制可能な双方向DC/DCコンバータ回路および蓄電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明に係る双方向DC/DCコンバータ回路は、
蓄電池を充電する充電動作と前記蓄電池を放電させる放電動作とを行う双方向DC/DCコンバータ回路であって、
第1スイッチング素子および第2スイッチング素子が直列接続された第1アームと第3スイッチング素子および第4スイッチング素子が直列接続された第2アームとを有し、前記第1アームと前記第2アームとが並列接続された第1フルブリッジ回路と、
第5スイッチング素子および第6スイッチング素子が直列接続された第3アームと第7スイッチング素子および第8スイッチング素子が直列接続された第4アームとを有し、前記第3アームと前記第4アームとが並列接続された第2フルブリッジ回路と、
1次巻線および2次巻線を有し、前記1次巻線が前記第1フルブリッジ回路に接続され、前記2次巻線が前記第2フルブリッジ回路に接続された絶縁トランスと、
前記1次巻線と前記第1フルブリッジ回路との間に設けられた共振用コンデンサと、
前記第1フルブリッジ回路および前記第2フルブリッジ回路を制御する制御部と、
前記蓄電池の電池電圧に応じて前記第1フルブリッジ回路の動作を切り替える動作切替回路と、を備え、
前記動作切替回路は、
前記充電動作開始時でかつ前記電池電圧が所定の第1閾値以下の場合に前記動作をハーフブリッジ動作に切り替え、
前記充電動作開始時でかつ前記電池電圧が前記第1閾値よりも大きい場合に前記動作をフルブリッジ動作に切り替え、
前記放電動作開始時でかつ前記電池電圧が所定の第2閾値以下の場合に前記動作を倍電圧整流動作に切り替え、
前記放電動作開始時でかつ前記電池電圧が前記第2閾値よりも大きい場合に前記動作をブリッジ整流動作に切り替えることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、充電動作時には、第1フルブリッジ回路の動作をハーフブリッジ動作とフルブリッジ動作とに切り替え、放電動作時には、第1フルブリッジ回路の動作を倍電圧整流動作とブリッジ整流動作とに切り替えるので、双方向チョッパ回路の変換効率の低下を抑制することができる。さらに、この構成によれば、動作切替回路は1次側にのみ設けられているので、回路全体の大型化を回避することができる。
【0015】
上記双方向DC/DCコンバータ回路において、
前記共振用コンデンサは、一端が前記第3スイッチング素子および前記第4スイッチング素子の接続点に接続され、他端が前記1次巻線の一端側に接続され、
前記動作切替回路は、第1開閉スイッチと、第2開閉スイッチと、直列接続された第1コンデンサおよび第2コンデンサと、直列接続された第3コンデンサおよび第4コンデンサとを有し、
前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの接続点は、前記第1開閉スイッチを介して前記1次巻線の他端に接続され、
前記第3コンデンサと前記第4コンデンサとの接続点は、前記第2開閉スイッチを介して前記共振用コンデンサの前記一端に接続されるよう構成できる。
【0016】
上記双方向DC/DCコンバータ回路において、
前記制御部は、
前記充電動作開始時でかつ前記電池電圧が前記第1閾値以下の場合に、前記第1開閉スイッチを開状態、前記第2開閉スイッチを閉状態にするとともに、前記第3スイッチング素子および前記第4スイッチング素子をオフ状態にして、前記第1スイッチング素子および前記第2スイッチング素子をスイッチング動作させ、かつ前記第2フルブリッジ回路をブリッジ整流動作させる一方、
前記充電動作開始時でかつ前記電池電圧が前記第1閾値よりも大きい場合に、前記第1開閉スイッチおよび前記第2開閉スイッチを開状態にするとともに、前記第1フルブリッジ回路をフルブリッジ動作させ、かつ前記第2フルブリッジ回路をブリッジ整流動作させるよう構成できる。
【0017】
上記双方向DC/DCコンバータ回路において、
前記制御部は、
前記放電動作開始時でかつ前記電池電圧が前記第2閾値以下の場合に、前記第1開閉スイッチを閉状態、前記第2開閉スイッチを開状態にするとともに、前記第2フルブリッジ回路をフルブリッジ動作させ、かつ前記第1スイッチング素子および前記第2スイッチング素子をオフ状態にして、前記第3スイッチング素子および前記第4スイッチング素子をスイッチング動作させる一方、
前記放電動作開始時でかつ前記電池電圧が前記第2閾値よりも大きい場合に、前記第1開閉スイッチおよび前記第2開閉スイッチを開状態にするとともに、前記第2フルブリッジ回路をフルブリッジ動作させ、かつ前記第1フルブリッジ回路をブリッジ整流動作させるよう構成できる。
【0018】
上記課題を解決するために、本発明に係る蓄電システムは、
蓄電池と、
前記蓄電池を充電する充電動作と前記蓄電池を放電させる放電動作とを行う双方向DC/DCコンバータ回路と、
前記蓄電池と前記双方向DC/DCコンバータ回路との間に設けられ、前記充電動作時に降圧動作を行い、前記放電動作時に昇圧動作を行う双方向チョッパ回路と、
入力された交流電圧を直流電圧に変換して前記双方向DC/DCコンバータ回路に出力するAC/DC変換動作と、前記双方向DC/DCコンバータ回路から入力された直流電圧を交流電圧に変換して出力するDC/AC変換動作とを行う双方向インバータ回路と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、蓄電池との間に設けられる双方向チョッパ回路の変換効率の低下を抑制可能な双方向DC/DCコンバータ回路および蓄電システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】本発明に係る双方向DC/DCコンバータ回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る双方向DC/DCコンバータ回路および蓄電システムの実施形態について説明する。
【0022】
図1に、本発明の一実施形態に係る蓄電システム1を示す。蓄電システム1は、本発明の一実施形態に係る絶縁型の双方向DC/DCコンバータ回路10と、蓄電池2と、リレー回路3と、双方向インバータ回路4と、双方向チョッパ回路(非絶縁型のDC/DCコンバータ回路)5と、制御部6とを備える。
【0023】
蓄電池2は、少なくとも1つの電池ユニットを備える。蓄電池2は、電池ユニットに取り付けられたバッテリーマネージメントシステム(BMS)を備えてもよい。バッテリーマネージメントシステムは、電池ユニットの電池情報(例えば、電池電圧)を取得し、制御部6に送信する。なお、バッテリーマネージメントシステムは、制御部6に含まれていてもよい。
【0024】
リレー回路3は、制御部6の制御下でオン/オフするリレーS1~S6を備える。リレーS1は、商用電力系統に接続される単相3線式のU相の電力ラインに介装されている。リレーS2は、W相の電力ラインに介装されている。リレーS3は、O相の電力ラインと自立出力ラインLaとを接続する電力ラインに介装されている。リレーS4は、リレーS2よりも商用電力系統側において、W相の電力ラインと自立出力ラインLbとを接続する電力ラインに介装されている。リレーS5は、リレーS3が介装された電力ラインとの接続点よりも双方向インバータ回路4側において、自立出力ラインLaに介装されている。リレーS6は、リレーS4が介装された電力ラインとの接続点よりも双方向インバータ回路4側において、自立出力ラインLbに介装されている。
【0025】
商用電力系統が通電状態にある系統通電時は、リレーS1~S4がオン状態になり、リレーS5,S6がオフ状態になる。一方、商用電力系統が停電状態にある系統停電時は、リレーS1~S4がオフ状態になり、リレーS5,S6がオン状態になる。自立出力ラインLa,Lbには、系統停電時に優先的に動作させたい家庭内負荷(例えば、冷蔵庫などの家電製品)が接続される。
【0026】
双方向インバータ回路4は、U,O,W相の電力ラインにそれぞれ接続される系統接続端Tu,To,Twと、自立出力ラインLa,Lbにそれぞれ接続される自立出力端Tla,Tlbと、双方向DC/DCコンバータ回路10の第1入出力端T1,T1’にそれぞれ接続される直流端T3,T3’とを備える。双方向インバータ回路4は、制御部6の制御下で、交流入力電圧を直流出力電圧に変換するAC/DC変換動作と、直流入力電圧を交流出力電圧に変換するDC/AC変換動作とを行う。
【0027】
双方向チョッパ回路5は、蓄電池2と双方向DC/DCコンバータ回路10との間に設けられる。双方向チョッパ回路5は、制御部6の制御下で、降圧動作および昇圧動作を行う。例えば、双方向チョッパ回路5は、双方向DC/DCコンバータ回路10から入力された直流電圧を蓄電池2が必要とする直流電圧に降圧して、蓄電池2を充電する。また、双方向チョッパ回路5は、蓄電池2を放電させ、蓄電池2の放電電圧を昇圧して双方向DC/DCコンバータ回路10に出力する。
【0028】
双方向チョッパ回路5は、スイッチ手段SW9,SW10と、コイルL2と、コンデンサC4とを備える。スイッチ手段SW9,SW10は、スイッチング素子Q9,Q10と、スイッチング素子Q9,Q10に逆並列接続されたダイオードD9,D10とを含む。
【0029】
スイッチング素子Q9,Q10は、電力用半導体スイッチング素子で構成される。スイッチング素子Q9,Q10として、例えば、バイポーラトランジスタ、MOSFET(金属酸化膜半導体型電界効果トランジスタ)またはIGBT(絶縁ゲートトランジスタ)等のパワートランジスタが使用される。ダイオードD9,D10は、それぞれスイッチング素子Q9,Q10の寄生ダイオードおよび/または外付けのダイオードである。
【0030】
スイッチング素子Q9,Q10は直列接続され、一端(+側)が双方向DC/DCコンバータ回路10の第2入出力端T2に接続され、他端(-側)が双方向DC/DCコンバータ回路10の第2入出力端T2’に接続される。スイッチング素子Q9とスイッチング素子Q10との接続点は、コイルL2を介してコンデンサC4の一端(+側)に接続される。コンデンサC4の他端(-側)は、第2入出力端T2’に接続される。
【0031】
コンデンサC4の一端(+側)と蓄電池2の一端(+側)とを接続する電力ラインにはリレーS7が介装されている。リレーS7は、制御部6の制御下でオン/オフする。
【0032】
制御部6は、蓄電池2から電池ユニットの電池情報(例えば、電池電圧)を取得しつつ、リレー回路3と、双方向インバータ回路4と、双方向チョッパ回路5とを制御するよう構成される。なお、制御部6が後述するコンバータ制御部14を含む場合、制御部6は双方向DC/DCコンバータ回路10も制御する。
【0033】
図2に示すように、双方向DC/DCコンバータ回路10は、双方向電流共振回路を構成し、第1入出力端T1,T1’と、第2入出力端T2,T2’と、絶縁トランスTR1と、共振用コイルL1と、共振用コンデンサC2と、第1フルブリッジ回路11と、第2フルブリッジ回路12と、電解コンデンサC3と、動作切替回路13と、コンバータ制御部14とを備える。
【0034】
絶縁トランスTR1は、1次巻線N1および2次巻線N2を有する。本実施形態では、1次巻線N1と2次巻線N2は同極性であり、1次巻線N1と2次巻線N2の巻数比は1:1である。1次巻線N1は第1フルブリッジ回路11および動作切替回路13に接続され、2次巻線N2は第2フルブリッジ回路12に接続される。
【0035】
第1フルブリッジ回路11は、4つのスイッチ手段SW1~SW4で構成される。各スイッチ手段SW1~SW4は、本発明の「第1~第4スイッチング素子」に相当するスイッチング素子Q1~Q4と、スイッチング素子Q1~Q4に逆並列接続されたダイオードD1~D4とを含む。
【0036】
スイッチング素子Q1~Q4は、電力用半導体スイッチング素子で構成される。スイッチング素子Q1~Q4として、例えば、バイポーラトランジスタ、MOSFETまたはIGBT等のパワートランジスタが使用される。ダイオードD1~D4は、それぞれスイッチング素子Q1~Q4の寄生ダイオードおよび/または外付けのダイオードである。
【0037】
第1フルブリッジ回路11では、直列接続されたスイッチング素子Q1,Q2が第1アームを構成し、直列接続されたスイッチング素子Q3,Q4が第2アームを構成する。第1アームと第2アームとは、並列接続されている。第1アームの中間接続点(スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との接続点)は、1次巻線N1の他端に接続される。第2アームの中間接続点(スイッチング素子Q3とスイッチング素子Q4との接続点)は、共振用コンデンサC2および共振用コイルL1を介して1次巻線N1の一端に接続される。なお、共振用コイルL1は、絶縁トランスTR1の漏れインダクタおよび/または外付けのインダクタである。
【0038】
第2フルブリッジ回路12は、4つのスイッチ手段SW5~SW8で構成される。各スイッチ手段SW5~SW8は、本発明の「第5~第8スイッチング素子」に相当するスイッチング素子Q5~Q8と、スイッチング素子Q5~Q8に逆並列接続されたダイオードD5~D8とを含む。
【0039】
スイッチング素子Q5~Q8は、スイッチング素子Q1~Q4と同様に、電力用半導体スイッチング素子で構成される。ダイオードD5~D8は、それぞれスイッチング素子Q5~Q8の寄生ダイオードおよび/または外付けのダイオードである。
【0040】
第2フルブリッジ回路12では、直列接続されたスイッチング素子Q5,Q6が第3アームを構成し、直列接続されたスイッチング素子Q7,Q8が第4アームを構成する。第3アームと第4アームとは、並列接続されている。第3アームの中間接続点(スイッチング素子Q5とスイッチング素子Q6との接続点)は、2次巻線N2の他端に接続される。第4アームの中間接続点(スイッチング素子Q7とスイッチング素子Q8との接続点)は、2次巻線N2の一端に接続される。
【0041】
スイッチング素子Q5、Q7の接続点およびスイッチング素子Q6、Q8の接続点は、電解コンデンサC3を介して第2入出力端T2,T2’に接続される。電解コンデンサC3の一端(+側)は第2入出力端T2に接続され、電解コンデンサC3の他端(-側)は第2入出力端T2’に接続される。
【0042】
動作切替回路13は、第1開閉スイッチS8と、第2開閉スイッチS9と、直列接続された第1コンデンサC11および第2コンデンサC12と、直列接続された第3コンデンサC13および第4コンデンサC14とを有する。第1開閉スイッチS8および第2開閉スイッチS9は、例えば、コンバータ制御部14の制御下で閉状態(オン状態)と開状態(オフ状態)とが切り替わるリレーで構成される。
【0043】
第1コンデンサC11と第2コンデンサC12との接続点は、第1開閉スイッチS8を介して、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との接続点および1次巻線N1の他端に接続される。第3コンデンサC13と第4コンデンサC14との接続点は、第2開閉スイッチS9を介して、スイッチング素子Q3とスイッチング素子Q4との接続点および共振用コンデンサC2の一端に接続される。第1コンデンサC11と第3コンデンサC13の接続点は第1入出力端T1に接続され、第2コンデンサC12と第4コンデンサC14の接続点は第1入出力端T1’に接続される。
【0044】
コンバータ制御部14は、制御回路と、スイッチング素子Q1~Q8を駆動する第1駆動回路と、第1開閉スイッチS8および第2開閉スイッチS9を駆動する第2駆動回路とを含む。制御回路は、例えば、マイコンまたはFPGA(Field-Programmable Gate Array)等の制御ICによって構成され、蓄電池2から電池ユニットの電池情報(例えば、電池電圧)を取得しつつ、スイッチング素子Q1~Q8の制御指令信号(例えば、PWM信号)と、第1開閉スイッチS8および第2開閉スイッチS9のオンオフ切替信号とを生成する。第1駆動回路は、制御指令信号に基づいてスイッチング素子Q1~Q8をオン/オフさせる。第2駆動回路は、オンオフ切替信号に基づいて第1開閉スイッチS8および第2開閉スイッチS9をオン/オフさせる。コンバータ制御部14は、制御部6に含まれていてもよい。
【0045】
蓄電池2を充電する充電動作時および蓄電池2を放電させる放電動作時において、コンバータ制御部14は、蓄電池2から電池ユニットの電池電圧を所定の周期で取得する。なお、双方向チョッパ回路5のコンデンサC4に並列接続された電池電圧検出回路(
図1では図示せず)が存在する場合、コンバータ制御部14は電池電圧検出回路から電池電圧を取得してもよい。
【0046】
充電動作開始時でかつ電池電圧が所定の第1閾値以下の場合、コンバータ制御部14は、第1フルブリッジ回路11の動作をハーフブリッジ動作に切り換えるため、第2開閉スイッチS9をオン状態にし、第1開閉スイッチS8をオフ状態にする。第1フルブリッジ回路11では、共振用コイルL1と、共振用コンデンサC2と、第3コンデンサC13または第4コンデンサC14とによる電流共振が行われる。
【0047】
コンバータ制御部14は、スイッチング素子Q3,Q4をオフ状態にして、スイッチング素子Q1,Q2をスイッチング動作させる(例えば、適切なデットタイムを設けてデューティ50%で交互にスイッチング動作させる)。さらに、コンバータ制御部14は、2次巻線N2に発生する電圧に同期させてスイッチング素子Q5~Q8をスイッチングさせることで、第2フルブリッジ回路12に同期整流のブリッジ整流動作をさせる。
【0048】
第1フルブリッジ回路11にハーフブリッジ動作をさせることで、絶縁トランスTR1に印加される電圧が第3コンデンサC13および第4コンデンサC14で分圧されるため、第1コンデンサC11および第2コンデンサC12の両端電圧に対し、電解コンデンサC3の両端電圧は半分の値になる。すなわち、双方向DC/DCコンバータ回路10の入出力電圧比は、1:0.5になる。
【0049】
充電動作開始時でかつ電池電圧が所定の第1閾値よりも大きい場合、コンバータ制御部14は、第1フルブリッジ回路11の動作をフルブリッジ動作に切り換えるため、第1開閉スイッチS8および第2開閉スイッチS9をオフ状態にする。第1フルブリッジ回路11では、共振用コイルL1と共振用コンデンサC2とによる電流共振が行われる。
【0050】
コンバータ制御部14は、スイッチング素子Q1~Q4をスイッチング動作させる(例えば、スイッチング素子Q1,Q4をペアにし、スイッチング素子Q2,Q3をペアにして、適切なデットタイムを設けてデューティ50%で交互にスイッチング動作させる)。さらに、コンバータ制御部14は、2次巻線N2に発生する電圧に同期させてスイッチング素子Q5~Q8をスイッチングさせることで、第2フルブリッジ回路12に同期整流のブリッジ整流動作をさせる。
【0051】
第1フルブリッジ回路11にフルブリッジ動作をさせることで、第1コンデンサC11および第2コンデンサC12の両端電圧に対し、電解コンデンサC3の両端電圧は同じ値になる。すなわち、双方向DC/DCコンバータ回路10の入出力電圧比は、1:1になる。
【0052】
上記のとおり、充電動作時の電池電圧によって、第1フルブリッジ回路11の動作をハーフブリッジ動作とフルブリッジ動作とに切り換えることで、双方向チョッパ回路5に印加される電圧を可変できる。これにより、双方向チョッパ回路5の降圧電圧比が削減可能になり、双方向チョッパ回路5の変換効率の低下を抑制することができる。なお、充電動作中に第1フルブリッジ回路11の動作の切り換えが必要になった場合は、充電動作をいったん停止させ、動作の切り換えを行った後に充電動作を再開してもよい。
【0053】
本実施形態では、共振用コンデンサC2の静電容量に対して、第3コンデンサC13および第4コンデンサC14の静電容量が十分に大きい。このため、第1フルブリッジ回路11の動作をハーフブリッジ動作からフルブリッジ動作に切り換えたときの、電流共振に寄与するコンデンサの静電容量の変化量が小さくなる。その結果、共振周期が大きく変化するのを防ぐことができる。
【0054】
例えば、共振用コンデンサC2の静電容量を0.1[uF]とし、第3コンデンサC13および第4コンデンサC14の静電容量をそれぞれ1[uF]とした場合、フルブリッジ動作時の電流共振に寄与するコンデンサの静電容量は0.1[uF]である。一方、ハーフブリッジ動作の上記静電容量は0.1[uF]/(0.1[uF]+1[uF])=0.09[uF]である。このように、静電容量の変化量が小さい場合、共振周期が大きく変化することはない。
【0055】
放電動作開始時でかつ電池電圧が所定の第2閾値以下の場合、コンバータ制御部14は、第1フルブリッジ回路11の動作を倍電圧整流動作に切り替えるため、第1開閉スイッチS8をオン状態にし、第2開閉スイッチS9をオフ状態にする。なお、第2閾値は、第1閾値と同じ値でもよいし、第1閾値とは異なる値でもよい。
【0056】
コンバータ制御部14は、スイッチング素子Q5~Q8をスイッチング動作させる(例えば、スイッチング素子Q5,Q8をペアにし、スイッチング素子Q6,Q7をペアにして、適切なデットタイムを設けてデューティ50%で交互にスイッチング動作させる)。すなわち、コンバータ制御部14は、第2フルブリッジ回路12にフルブリッジ動作をさせる。
【0057】
コンバータ制御部14は、スイッチング素子Q1,Q2をオフ状態にする一方、2次巻線N2に発生する電圧に同期させてスイッチング素子Q3,Q4をスイッチングさせることで、第1フルブリッジ回路11に同期整流の倍電圧整流動作をさせる。第1フルブリッジ回路11に倍電圧整流動作をさせることで、電解コンデンサC3の両端電圧に対し、第1コンデンサC11および第2コンデンサC12の両端電圧は2倍の値になる。すなわち、双方向DC/DCコンバータ回路10の入出力電圧比は、1:2になる。
【0058】
放電動作開始時でかつ電池電圧が所定の第2閾値よりも大きい場合、コンバータ制御部14は、第1フルブリッジ回路11の動作をブリッジ整流動作に切り替えるため、第1開閉スイッチS8および第2開閉スイッチS9をオフ状態にする。
【0059】
コンバータ制御部14は、スイッチング素子Q5~Q8をスイッチング動作させる(例えば、スイッチング素子Q5,Q8をペアにし、スイッチング素子Q6,Q7をペアにして、適切なデットタイムを設けてデューティ50%で交互にスイッチング動作させる)。すなわち、コンバータ制御部14は、第2フルブリッジ回路12にフルブリッジ動作をさせる。
【0060】
コンバータ制御部14は、2次巻線N2に発生する電圧に同期させてスイッチング素子Q1~Q4をスイッチングさせることで、第1フルブリッジ回路11に同期整流のブリッジ整流動作をさせる。第1フルブリッジ回路11にブリッジ整流動作をさせることで、電解コンデンサC3の両端電圧に対し、第1コンデンサC11および第2コンデンサC12の両端電圧は同じ値になる。すなわち、双方向DC/DCコンバータ回路10の入出力電圧比は、1:1になる。
【0061】
上記のとおり、放電動作時の電池電圧によって、第1フルブリッジ回路11の動作を倍電圧整流動作とブリッジ整流動作とに切り換えることで、双方向チョッパ回路5の出力電圧を双方向DC/DCコンバータ回路10側で可変できる。これにより、双方向チョッパ回路5の昇圧電圧比が削減可能になり、双方向チョッパ回路5の変換効率の低下を抑制することができる。なお、放電動作中に第1フルブリッジ回路11の動作の切り換えが必要になった場合は、放電動作をいったん停止させ、動作の切り換えを行った後に放電動作を再開してもよい。
【0062】
以上、本発明に係る双方向DC/DCコンバータ回路および蓄電システムの実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0063】
例えば、本発明に係る双方向DC/DCコンバータ回路は、蓄電池を充電する充電動作と蓄電池を放電させる放電動作とを行う双方向DC/DCコンバータ回路であって、第1フルブリッジ回路と、第2フルブリッジ回路と、絶縁トランスと、共振用コンデンサと、制御部と、動作切替回路とを備え、動作切替回路が、
(1)充電動作開始時でかつ電池電圧が所定の第1閾値以下の場合に、第1フルブリッジ回路の動作をハーフブリッジ動作に切り替え、
(2)充電動作開始時でかつ電池電圧が第1閾値よりも大きい場合に、第1フルブリッジ回路の動作をフルブリッジ動作に切り替え、
(3)放電動作開始時でかつ電池電圧が所定の第2閾値以下の場合に、第1フルブリッジ回路の動作を倍電圧整流動作に切り替え、
(4)放電動作開始時でかつ電池電圧が第2閾値よりも大きい場合に、第1フルブリッジ回路の動作をブリッジ整流動作に切り替えるのであれば、適宜構成を変更できる。
【0064】
また、本発明に係る蓄電システムは、蓄電池と、上記本発明に係る双方向DC/DCコンバータ回路と、蓄電池と双方向DC/DCコンバータ回路との間に設けられ、充電動作時に降圧動作を行い、放電動作時に昇圧動作を行う双方向チョッパ回路と、入力された交流電圧を直流電圧に変換して双方向DC/DCコンバータ回路に出力する第1変換動作と、双方向DC/DCコンバータ回路から入力された直流電圧を交流電圧に変換して出力する第2変換動作とを行う双方向インバータ回路とを備えるのであれば、適宜構成を変更できる。
【符号の説明】
【0065】
1 蓄電システム
2 蓄電池
3 リレー回路
4 双方向インバータ回路
5 双方向チョッパ回路
6 制御部
10 双方向DC/DCコンバータ回路
11 第1フルブリッジ回路
12 第2フルブリッジ回路
13 動作切替回路
14 コンバータ制御部