(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】長手方向に調節可能なポールのための締め付け装置
(51)【国際特許分類】
A45B 9/02 20060101AFI20231017BHJP
A63C 19/00 20060101ALI20231017BHJP
F16B 7/04 20060101ALI20231017BHJP
F16B 7/14 20060101ALI20231017BHJP
A45B 7/00 20060101ALI20231017BHJP
F16L 37/05 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
A45B9/02 C
A63C19/00 Z
F16B7/04 301B
F16B7/14 Z
A45B7/00 B
F16L37/05
(21)【出願番号】P 2019566913
(86)(22)【出願日】2018-06-04
(86)【国際出願番号】 EP2018064559
(87)【国際公開番号】W WO2018224417
(87)【国際公開日】2018-12-13
【審査請求日】2021-03-08
(32)【優先日】2017-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】507189965
【氏名又は名称】レキスポルト アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エベルハルト ハイム
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2017-0018227(KR,A)
【文献】特表2012-516166(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0055762(KR,A)
【文献】特開2009-189666(JP,A)
【文献】特開2007-209418(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0186023(US,A1)
【文献】実開昭61-191510(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2014/0216510(US,A1)
【文献】特表2001-527450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45B 7/00-9/00
A63C 19/00
F16B 7/00
F16L 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の管部(2)に固定される締め付け装置の開口に押し込まれ得る第2の管部(3)のポジティブロックによる軸方向の開放可能な固定のための前記締め付け装置(1)を有する、ウォーキングポール、トレッキングポール、ノルディックウォーキングポール、クロスカントリスキーポール又はスキーポールであって、
少なくとも3つ又は少なくとも4つの管部を有するたたみ込みポールに関し、前記たたみ込みポールの組み立てられた状態の前記複数の管部は、前記ポールの軸(36)に沿って方向付けられた差し込み接続を介して互いに連結され、一緒にたたみ込まれた状態の前記複数の管部は、少なくとも1つの荷重ケーブルを介して互いに連結され、ポールのハンドルは最上部の管部に配置され、ポール先端は最下部の管部に配置され、
前記差し込み接続のうちの1つが前記締め付け装置によって実現され、前記締め付け装置(1)が前記第1の管部(2)に固定され、前記第1の管部(2)の内径より小さいか又はそれとほぼ同じ外径を有する前記第2の管部(3)は、前記第1の管部(2)に移動可能に取り付けられ、外部の前記締め付け装置(1)により軸方向相対位置が固定され得、
さらなる前記差し込み接続は、一体として差し込まれた状態の前記管部が1つの軸方向に単純に固定されている、単純な差し込み接続として形成されており、
ここで前記複数の管部は、前記少なくとも1つの荷重ケーブルを介して互いに連結され、前記荷重ケーブルは、前記最下部の管部に固定され、かつ前記第1の管部(2)に固定され、その他の管部の内部空間(26、38)を貫通して配置され、
前記たたみ込みポールは、前記たたみ込まれた状態から、前記さらなる差し込み接続が互いに差し込まれ、続いて解除された前記締め付け装置(1)において、前記荷重ケーブルが張力を受けるまで、前記第2の管部(3)が前記第1の管部(2)から引き抜かれ、前記組み立てられた状態に移行できるように形成されており、
前記締め付け装置(1)は、環状のプラスチックスリーブ(4)を有し、前記環状のプラスチックスリーブには、ポールの軸(36)に対して垂直に配置される軸(8)を介して外側にあるばね要素(10)の復元力に対して傾動可能に、締め付けレバー(6)が接合され、
前記プラスチックスリーブ(4)は、前記軸(8)用の貫通孔(31)及び/又は凹部を備える2つの突起(29、30)を有し、前記締め付けレバー(6)は、前記軸(8)の周りを傾動可能にこれら突起の間に取り付けられ、前記プラスチックスリーブ(4)は径方向貫通孔(19)を有し、
前記締め付けレバー(6)は、前記締め付け装置(1)を解放するために外側からアクセス可能な圧力領域(7)を備える第1のレバーアーム(12)と、前記軸(8)の反対側に配置される第2のレバーアーム(11)とを有し、前記第2のレバーアーム(11)は、前記ポールの軸(36)に対して実質的に径方向に配置された締め付け突起(9)を有し、前記締め付け突起(9)は、前記プラスチックスリーブ(4)内の前記径方向貫通孔(19)を介して前記プラスチックスリーブの軸方向貫通孔(37)に入り、前記第1の管部(2)と前記第2の管部(3)との軸方向固定のため前記第2の管部(3)に連結されたガイドインサート(20)に設けられた溝(22)又は凹部にポジティブロック式に係合し、
前記ガイドインサート(20)は前記第2の管部(3)に固定され、前記ガイドインサート(20)は、第1の領域(24)が前記第2の管部(3)の内部空間(38)に入り、その中に固定され、第2の領域(21)が前記第2の管部(3)の端部を越えて突出して、前記第1の管部(2)の内部空間(26)に入り、前記第2の領域(21)の外径は、前記第1の管部(2)の前記内部空間(26)の内径と実質的に等しいか、それよりほんのわずかに小さく、少なくとも1つの周方向の溝(22)が前記第2の管部(3)
側の前記第2の領域(21)の3分の1又は4分の1
の領域内に前記締め付け突起(9)のために設けられている、
前記締め付け装置(1)を有するポール。
【請求項2】
各々が前記2つの突起(29、30)の外側に、いずれも前記軸(8)用の貫通孔(28)を備えて、前記締め付けスリーブの前記突起から離れる方向に向いて周囲に回り込んで配置された、環状の金属バンド(5)をさらに有する、請求項1に記載のポール。
【請求項3】
前記金属バンドは、前記プラスチックスリーブ(4)のくぼみ(16)内、又は外周くぼみ(16)内に配置されている、請求項2に記載のポール。
【請求項4】
前記金属バンドは、少なくとも円周領域において、前記ポールの軸(36)に対して平行な幅が、4~15mmの範囲、又は5~10mmの範囲であり、及び/又は、前記金属バンドは、ステンレス鋼から成る、請求項2又は3に記載のポール。
【請求項5】
前記締め付けレバー(6)が、前記軸(8)方向に見て、実質的にL字状の外形を有し、その下部横方向リムは、その露出した端部で前記締め付け突起(9)を形成し、その上部縦方向リムは、前記圧力領域(7)を提供し、又は、
前記締め付けレバー(6)が、前記軸(8)方向に見て、実質的にL字状の外形を有し、その下部横方向リムは、その露出した端部で前記締め付け突起(9)を形成し、その上部縦方向リムは、前記圧力領域(7)を提供し、前記突起(29、30)に面する前記締め付けレバー(6)の2つのエッジ領域上に前記第1の管部(2)又は前記第2の管部(3)の方向に反転領域(33)が設けられ、前記反転領域の各々は、前記軸(8)用の貫通孔(32)を有して前記突起(29、30)が伸びる主方向に対して実質的に平行に伸び、
及び/又は、
前記締め付けレバー(6)は、前記軸(8)に沿った幅が、少なくとも2mm、又は少なくとも4mm、又は4~12mmの範囲である、ストリップ形状に形成されている、
請求項1から4のいずれか一項に記載のポール。
【請求項6】
前記第2のレバーアーム(11)は、前記ポールの軸(36)に対して実質的に径方向に配置されたストリップ形状の締め付け突起(9)を有し、前記締め付け突起は、前記プラスチックスリーブ(4)内の長手方向の前記径方向貫通孔(19)を介して前記プラスチックスリーブの軸方向貫通孔(37)に入り
、前記第1の管部(2)及び前記第2の管部(3)の軸方向固定のため前記第2の管部(3)に連結された
前記ガイドインサート(20)の
前記周方向の溝(22)にポジティブロック式に係合する、請求項1から5のいずれか一項に記載のポール。
【請求項7】
前記締め付け突起(9)は、湾曲領域(34)を有し、又は、
前記締め付け突起(9)は、湾曲領域(34)を有し、前記湾曲領域は、実質的に円弧状の外形を備え、若しくは前記溝(22)の直径に適合する、請求項1から6のいずれか一項に記載のポール。
【請求項8】
前記締め付け突起(9)は、前記ポールの軸(36)に対して垂直な幅が、2~10mmの範囲、又は3~7mmの範囲である、請求項1から7のいずれか一項に記載のポール。
【請求項9】
前記締め付けレバー(6)は、前記ポールの軸(36)に対して垂直な幅が、4~15mmの範囲、又は8~12mmの範囲である、請求項1から8のいずれか一項に記載のポール。
【請求項10】
前記締め付けレバーの復元力は、2つのリム(39)を有する渦巻きばね(10)の形態のばね要素を介して提供され、前記軸(8)が、前記ばね要素(10)の螺旋領域の開口を貫通し、第1のリムは、前記プラスチックスリーブ(4)の外側面上に置かれ、第2のリムは、前記締め付けレバー(6)の内側面上、又は前記圧力領域(7)と反対側の前記締め付けレバー(6)の内側面上に配置されている、請求項1から9のいずれか一項に記載のポール。
【請求項11】
前記締め付け装置(1)を解放するため外側からアクセス可能な前記圧力領域(7)を備える前記第1のレバーアーム(12)及び前記軸(8)の反対側に配置された前記締め付けレバー(6)の前記第2のレバーアーム(11)は、一体で、剛体として形成されている、請求項1から10のいずれか一項に記載のポール。
【請求項12】
前記締め付けレバー(6)は、全体を一体に、繊維強化材料を含むプラスチック材料で、射出成形されているか、又は、金属から成り、板状の金属から打ち抜かれて成形されている、若しくは、圧力ダイカストで成形されている、請求項1から11のいずれか一項に記載のポール。
【請求項13】
前記ハンドルは、前記第1の管部(2)に固定され、前記ポール先端は、前記第2の管部(3)と同じ直径若しくはそれより小さい直径を有する前記最下部の管部に設けられている、請求項1から12のいずれか一項に記載のポール。
【請求項14】
前記外部の締め付け装置(1)は、自動ラッチ式で固定されるように構成されている、
請求項1に記載のポール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウォーキング用、ノルディックウォーキング用のポールの分野に関するが、最も広い意味ではクロスカントリースキー又はアルペンスキー、アルピニズムなどの他の種類のスポーツ用のポールの分野にも関する。
【背景技術】
【0002】
長さを調節可能なポールの構造は、これに限らないが、特に、ウォーキング又はノルディックウォーキングの分野で知られている。調節機能は、一方で、ポールの長さが要求に合うように調節するために使用され、他方で、ポールをできるだけ小さい収容サイズに縮めるように、すなわち、ポールを、例えば、リュックサックなどに収容できる程度の長さに縮めることができるように、使用され得る。小さい直径を有する内管がわずかに大きい直径を有する外管に移動可能に取り付けられ、管部の相対位置が固定機構で固定され得るこうした構造は、例えば、特許文献1や、特許文献2又は特許文献3で知られている。
【0003】
こうした構造を用いる場合、個々の管部の直径が異なっていることが必要であり、特に、管が実際に互いに大きく移動でき、小さい収容サイズが達成され得ることを保証できることも必要である。
【0004】
したがって、ポールは、特に、通常最も細い管を配置する下部領域では、非常に細くなるので、一部の用途に対する固有の剛性を十分に有さないということが起こり得るし、これら書類に開示される構造をユーザが熱心に見ることもあまりない。というのも、個々のポールの管部の相対位置は、互いに対するこれらポールの管部の回転が確保される必要があり、そのため、手動で加える対応する回転力が必要であるからである。
【0005】
それぞれの管部の軸の位置の相対的な固定が内部固定機構で実現されない代替の機構は、例えば、特許文献4や、特許文献5、特許文献6又は特許文献7で知られている。しかし、これらの外部構造は、3つ以上のポール管を互いに移動可能に取り付けることには適さない場合が多く、その結果、十分小さい収容サイズも実現されない。
【0006】
継手を備える二つの部分からなる締め付けレバーがスリーブに固定され、締め付けレバーのフロントアームが、立て軸に対して垂直にのみ移動可能で内管の穴に係合可能なように取り付けられるピンの形態で形成されている、締め付け機構は、全く異なる分野、すなわち、傘立ての分野の特許文献8で知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】DE29706849
【文献】DE49708829
【文献】EP1450906
【文献】WO2010/085905
【文献】DE69401765
【文献】EP1217224
【文献】EP098898
【文献】DE202004002426
【発明の概要】
【0008】
目的は、それに対応するものとして、ウォーキングポール、トレッキングポール、ノルディックウォーキングポール、クロスカントリスキーポール又はスキーポール用の、外管に固定される締め付け装置の開口に押し込まれ得る内管部をポジティブロックにより軸方向に開放可能に固定するための、特に弾性荷重ケーブルで張力をかけられるたたみ込みポール用の、改良された締め付け装置を提供することである。
【0009】
提案される締め付け装置は、環状のプラスチックスリーブを有する。プラスチックスリーブの上には、締め付けレバーが、ポールの軸に対して垂直に配置される軸の外側にあるばね要素の復元力に対して傾動可能に接合されている。
【0010】
締め付けレバーは、金属又はプラスチックによって、場合によっては、繊維強化フォーム又はそれら材料の組み合わせによって、構成され得る。
【0011】
プラスチックスリーブは、軸用の貫通孔及び/又は凹部を備える2つの突起をさらに有し、締め付けレバーは、これら突起の間に、前記軸の周りを傾動可能に取り付けられる。
【0012】
プラスチックスリーブは、締め付けレバーの一方のレバーアーム端が通過できるように設けられた、径方向貫通孔をさらに有する。
【0013】
締め付けレバーは、締め付け装置を解放するため外側からアクセス可能な圧力領域を備える第1のレバーアームと、軸の反対側に配置された第2のレバーアームとを有する。第2のレバーアームは、ポールの軸に対して実質的に径方向に配置された締め付け突起を有する。この締め付け突起は、プラスチックスリーブの径方向貫通孔を通ってプラスチックスリーブの軸方向貫通孔に入り、内管の、あるいは2つの管の軸方向固定のために内管に連結されたガイドインサートの、溝又は凹部にポジティブロック式に係合する。
【0014】
この小さい機構は、自動ラッチであるように形成されるのが好ましい。
【0015】
締め付けレバーは、例えば、軸に沿って幅が、少なくとも2mm、好ましくは少なくとも4mm、特に好ましくは、4~12mmの範囲である、ストリップ形状に形成され得る。
【0016】
第2のレバーアームはさらに、ポールの軸に対して実質的に径方向に配置されたストリップ形状の締め付け突起を有してもよく、その締め付け突起は、プラスチックスリーブの径方向長手方向の貫通孔を通ってプラスチックスリーブの軸方向貫通孔に入り、内管の、あるいは2つの管の軸方向固定のために内管に連結されたガイドインサートの、部分的な周方向の溝にポジティブロック式に係合する。
【0017】
異なる長さに調整するために、内管又は内管に連結されたガイドインサートにいくつかの溝又は凹部が設けられてもよい。
【0018】
好ましくは、内管あるいは内管に連結されたガイドインサートに、溝又は凹部が、1つ、2つ、3つ又は4つ設けられている。
【0019】
第1の好ましい実施形態では、締め付け装置は、さらに(締め付けレバーの反対側に)環状の金属バンドを備えることを特徴とする。この金属バンドは、2つの突起の両方の外側に、いずれにも軸を通す軸用の貫通孔を備えて、かつ、締め付けスリーブの突起から離れる方向に周囲を回るように配置されている。
【0020】
金属バンドは、くぼみ内、好ましくはプラスチックスリーブの外周くぼみ内に配置され得る。
【0021】
金属バンドのポールの軸に対して平行な幅は、少なくとも円周領域で、好ましくは4~15mmの範囲、さらに好ましくは5~10mmの範囲である。
【0022】
金属バンドは、ステンレス鋼又は別のステンレス金属合金から成るのが好ましい。
【0023】
金属バンド及び/又は締め付けレバーは、好ましくは、打ち抜き及び再成形法、又は圧力ダイカスト法で製造された構成部品であるのが好ましい。締め付けレバーは、プラスチック製の場合、スリーブと同様に射出成形法で製造することもできる。
【0024】
プラスチックスリーブ自体は、熱可塑性プラスチック、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、PET、ポリウレタン、ポリアミド、ポリカーボネート、又はこれらの材料の混合物から成るのが好ましく、その材料は、特にグラスファイバーで、強化され得る。プラスチックスリーブは、通常は射出成形法で製造される。
【0025】
締め付けレバーは、軸方向に見て、実質的にL字状の外形を有するのが好ましく、その下部横方向リムは、その露出した端部で締め付け突起を形成し、その上部縦方向リムは、圧力領域を構成する。突起に面する2つのエッジ領域上には管の方向に曲がった領域が設けられるのが好ましく、この領域は、いずれも軸用の貫通孔を有し、突起が伸びる主方向に対して実質的に平行に伸びる。
【0026】
締め付け突起は、湾曲領域を有するのが好ましく、湾曲領域は、好ましくは実質的に円弧状の外形を備え、特に好ましくは、それ自体が好ましくは少なくとも周方向に円弧状に形成される溝の直径に適合する。
【0027】
締め付け突起のポールの軸に対して垂直な幅は、好ましくは2~10mmの範囲、好ましくは3~7mmの範囲である。
【0028】
締め付けレバーのポールの軸に対して垂直な幅は、好ましくは4~15mmの範囲、さらに好ましくは8~12mmの範囲である。
【0029】
締め付けレバーの復元力は、2つのリムを有する渦巻きばねの形態のばね要素を介して提供されるのが好ましい。軸が、ばね要素の螺旋領域の開口を貫通するのが好ましく、第1のリムは、プラスチックスリーブの外側面上に配置され、第2のリムは、締め付けレバーの内側面上、好ましくは圧力領域と反対側の締め付けレバーの内側面上に配置されるのが好ましい。
【0030】
内管に固定されるガイドインサートを備えてもよく、そのガイドインサートは、第1の領域で内管の内部空間に入り、その中に固定され、第2の領域で内管の端部を越えて突出して、外管の内部空間に入る。第2の領域の外径は、外管の内部空間の内径と実質的に等しいか、それよりほんのわずかに小さいのが好ましく、内管に面する第2の領域の3分の1又は4分の1に、少なくとも1つの周方向の溝が締め付け突起用に設けられることが好ましい。
【0031】
締め付け装置を解放するため外側からアクセス可能な圧力領域を備える第1のレバーアームと、軸の反対側に配置された締め付けレバーの第2のレバーアームとは、通常は一体で、好ましくは剛体として形成される。
【0032】
締め付けレバーは、全体を一体にプラスチック材料で、好ましくは繊維強化材を備えて、射出成形されてもよく、又は金属から成り、金属板から打ち抜かれ成形されるか、圧力ダイカストで成形されてもよい。本発明はさらに、上述され、特許請求の範囲に定義されるような、締め付け装置を備えたウォーキングポール、トレッキングポール、ノルディックウォーキングポール、クロスカントリスキーポール又はスキーポールに関する。
【0033】
ポールは、締め付け装置が固定された少なくとも1つの外管及び少なくとも1つの内管のほか、好ましくは追加で、好ましくは外管に固定されたハンドルと、好ましくは、内管に、又は内管に直接若しくは間接的に連結され内管と同じ直径若しくはそれより小さい直径を有するさらなる管部に、ポール先端を有するのが好ましい。
【0034】
こうした管は、少なくとも3つの、好ましくは少なくとも4つの管部を有するたたみ込みポールに関することを特徴とすることができ、個々の部分は、弾性張力要素を介して互いに連結されている。
【0035】
たたみ込みポールの組み立てられた状態の管部は、ポールの軸に沿って方向付けられた差し込み接続を介して互いに連結されるのが好ましく、一緒にたたみ込まれた状態の少なくとも2つの管部は、単に可動連結要素を介して互いに連結され、ポールのハンドルは管部最上部に配置され、ポール先端は管部最下部に配置される。差し込み接続のうちの1つは締め付け機構で実現され、締め付け機構は第1の管部に固定され、第1の管部の内径より小さいか又はそれとほぼ同じ外径を有し、第1の管部自体に移動可能に取り付けられる第2の管部は、外部締め付け機構により軸方向相対位置を固定され得る。
【0036】
さらなる差し込み接続は、一体に押し込まれた状態の管部が1つの軸方向にのみ固定されている、単なる差し込み接続として形成され得る。
【0037】
管部は、少なくとも1つの荷重ケーブルを介して互いに連結され得る。この荷重ケーブルは、少なくとも一部の領域において弾性であることが好ましく、例えば、管部最下部に固定され、かつ管部最上部に固定されて、少なくとも2つの中心管部の内部空間を貫通して配置されている。
【0038】
たたみ込みポールは、一緒にたたみ込まれた状態から、さらなる差し込み接続が互いに差し込まれ、続いて解除された締め付け機構において荷重ケーブルが張力を受けるまで第2の管部が第1の管部から引き抜かれて好ましくは自動ラッチ式で外部締め付け機構が固定され、組み立てられた状態に移行できるように形成され得る。
【0039】
さらなる実施形態は、従属請求項に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】
図1は、ポール管を有する締め付け装置の様々な図、すなわち、a)斜視図、b)旋回レバーの領域の図、及びc)
図1bのA-A線に沿った断面図である。
【
図5】
図5は、ポール管のない締め付け装置を様々な図、すなわち、a)上からの図、すなわち、大きい断面を有する管の側からの図、b)下からの図、すなわち、小さい断面を有する管の側からの図、c)側面図、d)上から貫通孔への斜視図、及びe)下から貫通孔への斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明の好ましい実施形態を、説明の目的だけを果たして制限的に解釈されない図面に基づいて以下に説明する。
【0042】
図1は、ポール管2及びポール管3が直に隣り合う締め付け装置を示す。斜視図を、
図1a)に示す。締め付け装置1は、通常、射出成形法により熱可塑性プラスチック材料で製造される環状のプラスチックスリーブ4を有する。金属バンド5は、中央領域のプラスチックスリーブの周りに周方向に配置される。2つの突起29及び30は、金属バンドの自由端の間のプラスチックスリーブ上に形成され、いずれをも軸8が通過し、それら突起は径方向に突き出て、その間に、通常金属から成る締め付けレバー6用の空間を形成する。締め付けレバー6は、上部領域に、すなわち、より大きい直径を備える外管2に面する領域に、圧力領域7を有し、両方の管2、3の軸方向相対位置を固定するために、下部領域でポジティブロック式に内側ポール管3又はその上に配置された構成要素に係合する。
【0043】
図1b)は、プラスチックスリーブが、どのように上部領域13、金属バンド5が配置された中央領域17、及び内管3に面する下部領域14を有するかを表す。上部領域13は、ある広がりを有する外管2の自由端の受け入れ開口を形成し、下部領域14は、内管3の受け入れ開口として機能する。外管2は、プラスチックスリーブに固定される。これは、
図1c)の断面図から明らかである。外管の自由端は、プラスチックスリーブ4の拡径された領域18に入れられ、そこで、ポジティブロック式に及び/又は摩擦式に及び/又は固着式に、固定される。スリーブのわずかに拡張した外径を有して構成された中央領域17の外流領域には、金属バンド5が配置される外周くぼみ16が外側にある。
【0044】
締め付けレバー6は、実質的にL字形状であり、上部垂直領域を、圧力領域7を介してちょうど上部を外側から作動させることができる。この領域はまた、外側からわずかにくぼむように構成されてもよい。レバーは、上部レバーアーム12及び下部レバーアーム11を有し、軸8はその間に位置する。
【0045】
下部レバーアーム11は、その径方向内側自由端に、内管3に固定されるガイドインサート20の周方向の溝22にポジティブロック式及び自動ラッチ式に係合する締め付け突起9を形成している。
【0046】
レバー6は、スリーブに対して渦巻きばねで張力をかけられ、それにより、
図1cに示すように、掛かった位置に留まる。渦巻きばね10は、(通常、金属から成る)軸ピン8の周りにその螺旋領域ではまり、ばねのリムのうちの一方は上部レバーアーム12の内側に位置し、図の左側に表される他方のリムは、ある程度レバー6の後ろに位置する上部スリーブ領域13の外側面上に位置する。
【0047】
したがって、上部領域13の外側壁とレバー6の圧力領域7との間に、ギャップ15が残る。例えば、圧力領域7を指で押した場合、レバーは、図に表される状況では反時計回り方向に数度だけ旋回し、締め付け突起9は、溝22から径方向に引き出され、両方の管3の間で固定されていた軸方向の位置は解放される。下部レバーアーム11は、このポジティブロックを提供することができるように、締め付けスリーブの中央領域又は下部領域に設けられた貫通孔19に入る。
【0048】
同じ締め付け装置を、
図2の分解図に示す。ここで、個々の構成要素は、その形状及び構造で明らかである。特に、レバー6について、中央領域にいずれも管に面する2つの反転領域33がどのようにあるのか、反転領域33に軸8用の貫通孔32がどのようにあるのかを認めることができる。図はまた、両方の突起29及び30内の軸用の貫通孔31のほか、これらの突起の間及び下部レバーアーム11用の軸の下に所定の大きさを有する貫通孔19、並びに、溝22内のポジティブロック係合を示す。
【0049】
図2の構成要素は、
図3の断面図に示されている。この図より、戻りばね10が、締め付け機構の解放の間互いに押し当てられる必要があり、これに対応して復元力を時計回り方向に与える、2つのリム39をどのように有するかを特に簡単に認識することができる。
【0050】
このばねの動きの結果、締め付け機構は、自動ラッチになる。
【0051】
図4は、管部又はガイドインサートのない同様の分解斜視図を示す。とりわけこの図により、どのように金属バンド5の内側面27が、外周くぼみ16に係合し、プラスチックスリーブの熱可塑性構成部品と接触するか認識することができる。金属バンド構造体は、金属バンドがプラスチック部分の表面を越えて突出しないように、その全長にわたってある程度くぼみ内に位置する。
【0052】
最後に、
図5に締め付けスリーブを、様々な図、a)上からの図、b)下からの図、c)側面からの図、d)上から貫通孔への斜視図、及びe)これも貫通孔への斜視図であるが下からの図、として示す。
【0053】
特にこれらの図に基づいて、締め付け突起9の径方向内側の対向エッジ領域が、好ましくは湾曲領域34として形成されることを認識することができる。例えば、
図3から明らかなように、溝は、ガイドインサート20に周方向の溝22として形成されるので、締め付け突起9の前縁が円周領域をできるだけ長くにわたってこの溝内に位置させることで、支持力は、それに対応して、できるだけ長い領域にわたって、確実に分散され得る。
【符号の説明】
【0054】
1 締め付け装置
2 大径を有するポール管、外管
3 小径を有するポール管、内管
4 1の環状のプラスチックスリーブ
5 環状の金属バンド
6 締め付けレバー
7 6の圧力領域
8 6の軸
9 6の締め付け突起
10 6の戻りばね
11 6の下部レバーアーム
12 6の上部レバーアーム
13 4の上部領域
14 4の下部領域
15 11と13の間のギャップ
16 5のための17内の外周くぼみ
17 4の中央領域
18 4の2のための拡径領域
19 4の9/11のための径方向貫通孔
20 3のガイドインサート
21 20の3を越えて突出する領域
22 21の締め付け溝
23 20の軸方向貫通孔
24 20の3のための小径を有する領域、3のプラグ領域
25 3のための肩
26 2の内部空間
27 5の内側面
28 5の8のための貫通孔
29 第1の突起
30 第2の突起
31 8のための29/30の貫通孔
32 8のための6の貫通孔
33 6の32のための反転領域
34 9の湾曲領域
35 8の連結ヘッド
36 ポールの軸
37 ポール管用の1の軸方向貫通孔
38 3の内部空間
39 10のリム