(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】機上ドメスティックネットワークのための電力供給方法及びアーキテクチャ
(51)【国際特許分類】
H02J 3/34 20060101AFI20231017BHJP
B64D 41/00 20060101ALI20231017BHJP
B64D 11/00 20060101ALN20231017BHJP
【FI】
H02J3/34
B64D41/00
B64D11/00
(21)【出願番号】P 2019566928
(86)(22)【出願日】2018-06-19
(86)【国際出願番号】 EP2018066302
(87)【国際公開番号】W WO2018234330
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-06-10
(32)【優先日】2017-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】519381447
【氏名又は名称】ラテレック
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ベレンジャー,サージ
(72)【発明者】
【氏名】ルミール,グレゴワール
(72)【発明者】
【氏名】ルビエール,ヨアン
【審査官】佐藤 卓馬
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0210606(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0326134(US,A1)
【文献】特開平07-147777(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/34
B64D 41/00
B64D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上ドメスティックタイプの電圧レベルを必要とするドメスティック機器と呼ばれる機器を使用する旅客キャビン上に設置されたドメスティックネットワーク(3)のための電力供給システムであって、1次電力源(21,22)が少なくとも2つの1次ネットワーク(11,12)を通じて供給される状態で、方法は、
- 各1次ネットワーク(11,12)は少なくとも1つのインタフェース(41,42;40)を通して前記ドメスティックネットワーク(3)に結合された状態で、1次交流をドメスティックレベル電圧及び周波数に変換するためのインタフェース(41,42;40)を通して前記キャビン内の前記ドメスティック機器に電力供給するための単一機上ドメスティックネットワーク(3)に並列に前記1次ネットワーク(11,12)を接続すること、
- 前記1次電力源(21,22)の可用性に従って前記1次電力源(21,22)の共有を調節し(L2)、前記ドメスティックネットワーク(3)にわたって一貫性のあるサービスレベルを供給するために、各インタフェース(41,42;40)によって供給される電気パラメータ(L1)のレベルデータを測定する(80)ことによって変換インタフェース(41,42;40)を並列化すること、
- 各1次ネットワークの品質及び前記ドメスティックネットワークのドメスティック品質についての基準を、各1次ネットワーク(11,12)に上流でリンクしかつ前記ドメスティックネットワーク(3)に下流でリンクする各変換インタフェース(41,42;40)において、フィルタリングし、前記レベルを補償し、力率(D1,D2)を補正することによって維持することを含むことを特徴とする、電力供給システム。
【請求項2】
各変換インタフェース(41,42;40)は、対応する前記1次ネットワーク(11,12)のアビオニクス中性点及び前記ドメスティックネットワーク(3)の中性点(10F)を分離するガルバニック絶縁変電部(73)を統合する、請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項3】
各変換インタフェース(41,42;40)は、前記ガルバニック絶縁(73)のそれぞれ上流及び下流に2つの機能ステージ(E1,E2)を備え、各機能ステージ(E1,E2)は、前記1次ネットワーク及び前記ドメスティックネットワークにそれぞれ関連する品質基準を維持するように専用である1つのレベル(D1,D2)、及び、前記ガルバニック絶縁(73)に関連する電圧及び/または周波数変換のためのものである1つのレベル(7;71,72)の2つの適応レベルを備える、請求
項2に記載の電力供給システム。
【請求項4】
最大抽出可能電流強度設定点(I
M)は、各1次電力源(21,22)上で利用可能な電力データに基づいて各変換インタフェース(41,42;40)に供給され、前記電力データは前記レベルデータの一部である、請求項1から3のいずれか一項に記載の電力供給システム。
【請求項5】
各変換インタフェース(41,42;40)によって供給される前記電気パラメータ(L1)の前記レベルデータは、前記変換インタフェース(41,42;40)の間で共有され(T1)、前記共有は、各1次電力源(21,22)の可用性に従って、各インタフェース(41,42;40)における各1次電力源(21,22)の寄与を調節する、請求項1から4のいずれか一項に記載の電力供給システム。
【請求項6】
前記電気パラメータ(L1)の前記レベルデータは、集中化され(6)て、前記1次電力源(21,22)の前記共有を調節し、それにより、前記機上ドメスティックネットワーク(3)にわたって一貫性のあるかつ一定のサービスレベルを提供する、請求項1から4のいずれか一項に記載の電力供給システム。
【請求項7】
前記電気パラメータ(L1)の前記レベルデータは、対応する1次電力源(21,22)によって供給される電力の伝送を調節する各変換インタフェース(41,42;40)によって独立に処理される(9)、請求項1から4のいずれか一項に記載の電力供給システム。
【請求項8】
少なくとも1つの補助電源は、前記1次ネットワーク(11,12)の電力の可用性に従って前記機上ドメスティックネットワーク(3)に電力を供給するために使用される、請求項1から7のいずれか1項に記載の電力供給システム。
【請求項9】
地上ドメスティックタイプの電圧レベルを必要とするドメスティック機器と呼ばれる機器を使用する乗り物キャビンのための電力供給ネックワークアーキテクチャにおいて、電力を分配するための少なくとも2つの1次ネットワーク(11,12)はそれぞれ発電機(21,22)によって電力供給される電力供給ネックワークアーキテクチャであって、前記1次ネットワーク(11,12)は、複数の変換器ユニット(41,42;40)を介して前記ドメスティック機器に電力供給するための単一キャビンのドメスティックネットワーク(3)に並列に接続され、1つの1次ネットワーク(11,12)について少なくとも1つの変換器ユニット(41,42;40)があること、電圧、電流強度、周波数、及び力率を測定するためのセンサ(80)は、各変換器ユニット(41,42;40)の出力に配置され、測定値は、各1次ネットワーク(11,12)において利用可能な電力に従って、前記ドメスティックネットワーク(3)の電源を共有するための調節手段(6;9)に送信されること、各変換器ユニット(41,42;40)は、上流電力処理ステージ(E1)及び下流電力処理ステージ(E2)を備え、それぞれは、対妨害デバイス(D1,D2)を統合して、それぞれ、対応する前記1次ネットワーク(11,12)にリンクされ、前記ドメスティックネットワーク(3)にリンクされる電気ネットワークをフィルタリングし、補償し、保護すること、及び、前記対妨害デバイス(D1,D2)は、前記上流電力処理ステージ(E1)及び前記下流電力処理ステージ(E2)において分配されるドメスティックレベルの前記電圧及び周波数を適応させるためのアダプター(71,72)のセット(7)に結合され、アダプターの前記セット(7)は、前記1次ネットワーク(11,12)と前記ドメスティックネットワーク(3)との間で中性ラインスプリッター(73)を同様に統合することを特徴とする、電力供給ネックワークアーキテクチャ。
【請求項10】
前記上流電力処理ステージ(E1)において、前記アダプター(71,72)のアダプター(71)は周波数変調器(71)であり、前記下流電力処理ステージ(E2)において、前記アダプター(71,72)のアダプター(72)は電圧変換器(72)である、請求項9に記載のネックワークアーキテクチャ。
【請求項11】
アダプターの各セットは、前記上流電力処理ステージ(E1)において、1次電力伝送バス(B1,B2)を介して前記対妨害デバイス(D1)に下流でリンクする前記周波数変調器(71)を、また、前記下流電力処理ステージ(E2)において、電力伝送キャビンバス(B3,B4)を介して前記対妨害デバイス(D2)に上流でリンクする前記電圧変換器(72)を備える、請求項10に記載のネックワークアーキテクチャ。
【請求項12】
ガルバニック絶縁変圧器(73)は、前記電圧変換器(72)及び前記周波数変調器(71)を結合し、一方の前記1次電力伝送バス(B1,B2)の中性ライン(N
P)と、他方の前記電力伝送キャビンバス(B3,B4)の中性ライン(N
C)との間のスプリッターとして働き、前記中性ライン(N
P、N
C)は、前記1次ネットワーク(11,12)のアビオニクス中性点(10A)及び前記ドメスティックネットワーク(3)の浮動中性点(10F)にそれぞれ接続される、請求項11に記載のネックワークアーキテクチャ。
【請求項13】
前記ドメスティックネットワーク(3)の前記電源を共有するための前記調節手段(6;9)は、
- 各前記変換器ユニット(41,42;40)内に統合され、かつ、前記変換器ユニット(41,42;40)の前記センサ(80)及び前記1次電力伝送バス(B1,B2)及び前記電力伝送キャビンバス(B3,B4)に対してサーボ制御ループ(L1,L2)で接続される、ローカルデータ処理と調節制御ユニット(9)との間の相互接続(T1)、
- 全ての前記変換器ユニット(41,42;40)の前記センサ(80)に接続される(T2)集中化データ処理及び調節制御ユニット(6)、及び、
- 対応する前記変換器ユニット(41,42;40)の前記センサ(80)にリンクされる(L1,L2)各ローカルデータ処理及び調節制御ユニット(9)によるローカル管理
の間で選択される、請求項11又は12に記載のネックワークアーキテクチャ。
【請求項14】
前記調節手段(6;9)は、前記1次電力伝送バス(B1,B2)及び前記電力伝送キャビンバス(B3,B4)にわたって各変換器ユニット(41,42;40)の上流及び下流に分配される接触子(8a,8b)、ならびに、各変換器ユニット(41,42;40)の前記対妨害デバイス(D1,D2)の回路遮断器(8c)を制御する、請求項11から13のいずれか一項に記載のネックワークアーキテクチャ。
【請求項15】
各前記対妨害デバイス(D1,D2)は、誘導性及び/または容量性タイプのフィルタ及び少なくとも1つの力率補正器を備える、請求項9から14のいずれか一項に記載のネックワークアーキテクチャ。
【請求項16】
請求項9から15のいずれか一項に記載のネックワークアーキテクチャを装備する航空機であって、各発電機(21,22)は推進エンジンに結合される、航空機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地上ドメスティックタイプの電圧レベルと同様の電圧レベルを必要とする電子機器のための旅客キャビン内に設置されるドメスティックネットワークのための電力供給(electric power supply)方法及びアーキテクチャに関係する。本方法及び本アーキテクチャは、発電機であって、各発電機が推進エンジンに結合されている発電機によって供給される電力から、航空機の旅客キャビン内に機上電力を特に分配するために実装される。本発明は、同様に、そのようなアーキテクチャを装備する航空機、特に、現在運行中である従来の発電を有する商用飛行機または次世代に関係する。
【0002】
本発明の分野は、機上電気ネットワーク内のドメスティック電力供給に関係し、より具体的には、航空機キャビン内のドメスティック電源に関係する。本発明は、同様に、電動乗り物、鉄道、または海上輸送を含む任意のタイプの輸送乗り物上の電気システムに適用可能である。
【背景技術】
【0003】
キャビンシステムのドメスティック負荷は、輸送を管理することには重要でない機器の負荷に関係する。このカテゴリーにおいて、旅客が所有する一般公衆パーソナル電子機器用の負荷、旅客インフライトエンターテインメントシステム(IFE:In-Flight Entertainment system)、及びカンフォート機器(comfort equipment)(個人用照明、換気、調理設備または「ギャラリー(galley)」など)を挙げることができる。これらの負荷のための電源は、2つの形態:パーソナル電子機器のための、欧州における広範な配電である50Hzで120Vの交流電圧、または、米国における標準配電のための60Hzで120Vの交流電圧、ならびに、エアロノーティクスタイプの400Hzで115Vの交流電圧及びIFEシステム及びカンフォート機器のための28Vの直流電圧で提供される。
【0004】
ドメスティック機器の負荷に電力供給するために、機上システムの電気ネットワークは、したがって、直流/交流(DC/AC)または交流/交流(AC/AC)タイプ変換器を通して配電して、ドメスティック機器に適応する電圧レベルをローカルに作り出す。
【0005】
特に、アビオニクス用途において、配電(electric distribution)ネットワークは、飛行管理にとって重要であるアビオニクスシステムの技術機器(ランディングギアアクチュエータ、空調システム圧縮機、加圧システムの油圧回路のポンプなど)、ならびに、この管理にとって重要でなくかつ上記で述べられるキャビンシステムの、ドメスティック機器と呼ばれる機器(IFEシステム及びコンフォート機器)に電力供給する。
【0006】
供給源において、航空機の両翼上の推進エンジンによって駆動される航空機の発電機は、従来、400Hzの周波数、または360~800Hzの範囲内の周波数で115及び230ボルトの調整済み3相電圧の交流(AC)、及び、整流器を介した28ボルトの電圧の直流(DC)を供給する。電力は、その後、アビオニクスネットワークを形成する1次配電ネットワークのバスバーにわたって電力センターから配電され、その後、飛行機システムにわたって、2次電気ボックスから、バスバー、ケーブル、及びハーネスで構成される2次配電ネットワーク内に再配電される。それらのロケーション及びそれらの負荷に従って種々のバスバーにわたって分配される飛行機システムの技術機器は、2次ネットワークによって供給される電圧及び周波数レベルを基準に設計される。
【0007】
このアビオニクス用途において、ドメスティックタイプ機器用の負荷のための電源は、パワーエレクトロニクス(インバーター、変換器、変圧器など)を修正するための中間コンポーネントを必要とするDC/ACまたはAC/AC変換器を使用して2次配電ネットワークからローカルに作成される。
【0008】
従来技術
技術負荷の場合、大電力負荷のための電源が、1つでかつ同じ1次及び2次配電ネットワークによって管理されることが知られている。この管理は、例えば、特許文書、欧州特許出願公開第2432093号明細書に示され、その特許文書は、各2次電力センター内に統合された2次変換器に結合された単一1次配電バスバーを使用することを推奨し、それにより、この2次電力センターに接続される飛行機システムの機器に適応電圧を供給する。さらに、特許文書、仏国特許出願公開第3005377号明細書または米国特許出願公開第7950606号明細書は、電力供給される負荷のできる限り近くに2次電力センターを位置付けるため、2次電力センターの数を増加させるための準備をする。これらの解決策では、ドメスティック機器の電源の適応は改善され得ない。
【0009】
さらに、ドメスティック機器に電力供給するために変換の数をローカルに増加させることは、旅客によって使用され得るパーソナル電子機器の量を制限し、一方、そのような機器(スマートフォン、タブレット、カメラ、携帯コンピュータ、仮想現実ヘルメットなど)の数及び多様性はかなり増加する。
【0010】
さらに、1次及び2次配電ネットワークからの特定のかつローカルの変換器の数のこの増加は、1次及び2次ネットワークの、高調波歪率、交流電圧の周波数レベル、電圧レベルの変動、力率などによる、品質基準に関する適合性の問題を引き起こし、汚染のリスクが変換器の数と共に増加する。
【0011】
さらに、ローカルに統合された変換アーキテクチャは、飛行機認証(airplane certification)に疑問を差し挟まずフリートが改装されるときに必要となる旅客キャビンの再構成を容易にしない。
【0012】
さらに、従来技術の解決策は、キャビンネットワーク内で電力を再配電するために、1次配電ネットワークによって供給される電力を、アビオニクス保護基準の枠内の電圧及び周波数に強制的に変換する。しかしながら、これらの基準は、高負荷機器(ランディングギアアクチュエータ、空調圧縮機、ポンプ、翼ユニット着氷防止アクチュエータなど)のための大電力配電(high-power distribution)の安全性に適用され、そのため、変換には、認証基準に関する適合性が保証できるように、大き過ぎるパワーエレクトロニクス機器(例えば、自動変圧器)の使用を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】欧州特許出願公開第2432093号明細書
【文献】仏国特許出願公開第3005377号明細書
【文献】米国特許出願公開第7950606号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、これらの欠点を克服することを目標とし、特に、本発明は、アビオニクスネットワーク、またはより一般的には、1次ネットワークの品質基準を損なうことなく、一般公衆電子機器の電力供給についての品質基準に適合しながら、キャビン改装中の電源再構成を容易にしながら、有意の量の一般公衆電子機器に対する適応を可能にすることを目標とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
このため、本発明は、中間コンポーネント(整流器、キャパシタなど)のサイズ決定に左右されないように、適応式変換によって、発電機のできる限り近くに接続されるドメスティックネットワークを介する配電から一般公衆電子機器に電力供給するために備える。
【0016】
このため、本発明の主題は、地上ドメスティックタイプの電圧レベルを必要とするドメスティック機器と呼ばれる機器を使用する旅客キャビン上に設置されるドメスティックネットワークのための電力供給システムである。1次電力源が少なくとも2つの1次ネットワークを通じて供給される状態で、その方法は、
- 各1次ネットワークは少なくとも1つのインタフェースを通してドメスティックネットワークに結合された状態で、1次交流をドメスティックレベル電圧及び周波数に変換するためのインタフェースを通してキャビン内の上記ドメスティック機器に電力供給するための単一機上ドメスティックネットワークに並列に1次ネットワークを接続すること
- 1次電力源の可用性に従って1次電力源の共有を調節し、ドメスティックネットワークにわたって一貫性のあるサービスレベルを供給するために、各インタフェースによって供給される電気パラメータのレベルデータを測定することによって変換インタフェースを並列化すること、
- 各1次ネットワークの品質及びドメスティックネットワークのドメスティック品質についての基準を、各1次ネットワークに上流でリンクしかつドメスティックネットワークに下流でリンクする各変換インタフェースにおいて、フィルタリングし、レベル補償し、力率を補正することによって維持すること、を含む。
【0017】
フリートを構成する種々のタイプの飛行機に本解決策を適用することは、同様に、フリートの管理及び修正の容易さをもたらす。有利には、旅客キャビンは、その後、旅客が携行する任意のタイプの機器に対処する自然容量を有するネットワークを統合する。さらに、無制御電力に関連する陳腐化の問題が取り除かれる。
【0018】
好ましい実施形態によれば、
- 各変換インタフェースは、対応する1次ネットワークのアビオニクス中性点及びドメスティックネットワークの中性点を分離するガルバニック絶縁変電部(galvanic isolation electric transformation)を統合し、
- 有利には、変電部の出力は、各変換インタフェースを自己給電し、ドメスティックネットワークの中性点は浮動であり、
- 各変換インタフェースは、ガルバニック絶縁のそれぞれ上流及び下流に2つの機能ステージを備え、各機能ステージは、1次ネットワーク及びドメスティックネットワークにそれぞれ関連する品質基準を維持するように専用である1つのレベル、及び、ガルバニック絶縁に関連する電圧及び/または周波数変換のためのものである1つのレベルの2つの適応レベルを備え、
- 最大抽出可能電流強度設定点は、各1次電力源上で利用可能な電力データに基づいて各変換インタフェースに供給されることができ、
- 各変換インタフェースによって供給される電気パラメータのレベルデータは、変換インタフェースの間で共有され、この共有により、各電力源の可用性に従って、各インタフェースにおける各電力源の寄与が調節され、
- 電気パラメータのレベルデータは、集中化されて、電力源の共有を調節し、それにより、機上ドメスティックネットワークにわたって一貫性のあるかつ一定のサービスレベルを提供し、
- 電気パラメータのレベルデータは、対応するソースによって供給される電力の伝送を調節する各変換インタアフェースによって独立に処理され、
- 少なくとも1つの補助電源は、1次ネットワークの電力の可用性に従って機上ドメスティックネットワークに電力を供給するために使用される。
【0019】
本発明は、同様に、地上ドメスティックタイプの電圧レベルを必要とするドメスティック機器と呼ばれる機器を使用する乗り物キャビンのための電力供給ネットワークアーキテクチャに関係する。本アーキテクチャは、電力を分配するための少なくとも2つの1次ネットワークを備え、各1次ネットワークはそれぞれ発電機によって電力供給される。本アーキテクチャにおいて、複数の変換器ユニットを介して上記ドメスティック機器に電力供給するための単一キャビンドメスティックネットワークに並列に接続され、1つの1次ネットワークについて少なくとも1つの変換器ユニットがある。電圧、電流強度、周波数、及び力率を測定するためのセンサは、各変換器ユニットの出力に配置され、測定値は、各1次ネットワークにおいて利用可能な電力に従って、ドメスティックネットワークの電源を共有するための調節手段に送信される。各変換器ユニットは、上流電力処理ステージ及び下流電力処理ステージを備え、それぞれは、それぞれ、対応する1次ネットワークにリンクされ、ドメスティックネットワークにリンクされる電気ネットワークをフィルタリングし、補償し、保護するための対妨害デバイスを統合する。対妨害デバイスは、電力処理ステージ内に分配される、ドメスティックレベルの電圧及び周波数に適応するためのアダプターのセットに結合され、アダプターの上記セットは、1次ネットワークとドメスティックネットワークとの間に中性ラインスプリッターを同様に統合する。
【0020】
好ましい実施形態によれば、
- アダプターの各セットは、上流処理ステージにおいて、1次電力伝送バスを介して対妨害デバイスに下流でリンクする周波数変調器を、また、下流処理ステージにおいて、電力伝送キャビンバスを介して対妨害デバイスに上流でリンクする電圧変換器を備え、
- ガルバニック絶縁変圧器は、電圧アダプター及び周波数アダプターを結合し、一方の1次バスの中性ラインと、他方のキャビンバスの中性ラインとの間のスプリッターとして働き、中性ラインは、1次ネットワークのアビオニクス中性点及びドメスティックネットワークの浮動中性点にそれぞれ接続され、
- 有利には、各ガルバニック絶縁変圧器は、対応する変換器ユニットについての自己給電を保証し、ドメスティックネットワークの中性点は浮動であり、
- ドメスティックネットワークの電源を共有するための調節手段は、
・各変換器ユニット内に統合され、かつ、上記変換器ユニットの測定センサ及び電力伝送バスにサーボ制御ループで接続される、ローカルデータ処理と調節制御ユニットとの間の相互接続、
・全ての変換器ユニットの測定センサに接続される集中化データ処理及び調節制御ユニット、及び、
・対応する変換器ユニットの測定センサにリンクされる各ローカルデータ処理及び調節制御ユニットによるローカル管理、
の間で選択され、
- 各対妨害デバイスは、誘導性及び/または容量性タイプのフィルタ及び少なくとも1つの力率補正器を備え、
- 調節手段は、対応するバスにわたって各変換器ユニットの上流及び下流に分配される接触子、ならびに、各変換器ユニットの対妨害デバイスの回路遮断器を制御し、
- 上流処理ステージにおいて、アダプターは、特に、10kHzから1MHzの間の周波数変調器であり、下流処理ステージにおいて、アダプターは電圧変換器であり、
- 発電機と変換器ユニットとの間のリンクはバスによって形成され、キャビンドメスティックネットワークはドメスティックバスの周りに構築される。
【0021】
本文書全体を通して、用語「ドメスティック(domestic)」は、飛行管理にとって重要でないキャビンネットワークの機器に関係する。修飾語「上流(upstream)」及び「下流(downstream)」は電力接続の電気伝搬の方向に関係する。
【0022】
本発明のさらなる情報、特徴、及び利点は、添付図を参照して以下の非制限的な説明を読むと明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明による、変換器ユニットを介して1次発電ネットワークによって航空機キャビン上に設置されるドメスティックネットワークに電力供給するためのネットワークアーキテクチャの一実施形態の機能ブロック図である。
【
図2】
図1によるアーキテクチャの例の変換器ユニットの機能ブロック図である。
【
図3】1つの1次ネットワークについて2つの変換器ユニットを有する
図1のアーキテクチャの変形のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下の説明において、同一の参照符号は、同じ要素に関係し、上記要素を述べる本文の一節(複数の節)を参照する。
【0025】
図1のネットワークアーキテクチャのブロック図を参照すると、示すアーキテクチャ10は、配電のための2つの1次ネットワーク11及び12を備え、各1次ネットワーク11、12は、ツインエンジン航空機の推進エンジン(図示せず)に結合された発電機21、22によって電力供給される。発電機は、例えば、400Hzで115ボルトの3相電圧でアビオニクス電力を供給する。
【0026】
このアーキテクチャ10において、1次ネットワーク11、12は、電圧及び周波数変換器ユニット41及び42を介して、旅客キャビン内のドメスティック機器ソケット31に電力供給することが意図される単一キャビンドメスティックネットワーク3に並列に接続される。
【0027】
各発電機21、22と対応する各変換器ユニット41、42との間のリンクは、「1次バス(primary bus)」と呼ぶ3相交流(alternating three-phase current)のための1次伝送バスB1、B2によって提供される。さらに、変換器ユニット41、42とドメスティックネットワーク3との間のリンクは、「キャビンバス(cabin bus)」と呼ぶ、キャビンに向かう伝送バスB3及びB4によってそれぞれ実装され、伝送バスB3及びB4は、ドメスティックキャビンネットワーク3に電力供給するために一端で変換器ユニット41、42に、他端でドメスティックバスB5に接続される。
【0028】
変換器ユニット41、42は、こうして並列化されて、ドメスティックネットワークバスB5に並列に直接電力供給する。そのため、ドメスティックバスB5は、ドメスティックレベル交流で、例では50Hzで230ボルトの電圧を有する単相で、ドメスティックキャビンネットワーク3に電力供給して、キャビンのドメスティック機器、この例ではIFE機器に電力を分配する。変換器ユニット41、42は、1次ネットワーク11、12のアビオニクス電力をドメスティック電圧及び周波数に変換するように設計される。変換器ユニットの例は
図2を参照して以降で述べられる。
【0029】
さらに、変換器ユニット41及び42は、2方向データ伝送リンクT1によって相互接続されて、伝送バスB1及びB2における電力の可用性に従って1次ネットワーク11と12との間で電源を共有するための調節を形成する。変換器ユニット41、42内に分配されるそのような調節は、
図2を参照して同様に説明される。変形として、1次ネットワーク11と12との間での電源の共有は、2方向伝送リンクT2によって各変換器ユニット41、42に接続される集中化データ処理及び制御ユニット6によって調節される。
【0030】
有利には、最大抽出可能強度電流設定点IMは、各1次発電機21、22上で検出される利用可能電力データから各変換器ユニット41、42に供給される。概して、各発電機21、22上で利用可能な電力は、アビオニクス管理ユニット1Aによって供給され、アビオニクス管理ユニット1Aは、全ての飛行データを管理し、設定点IMの値を評価する。
【0031】
設定点IMは、その後、リンクT3を介して、各変換器ユニット41、42に、または、集中化データ処理及び調節制御の場合、ユニット6に送信される。最大電流設定点の送信は、航空機がデグレードモード(degraded mode)で運行する場合に特に有用である。
【0032】
図2の機能ブロック図を参照すると、
図1のアーキテクチャ10の例の変換器ユニット41及び42のいずれか一方を示す変換器ユニット40が詳細に示される。変換器ユニット40は、2つの電力処理ステージ、上流入力ステージE1及び下流出力ステージE2を備える。処理ステージE1及びE2はそれぞれ、対妨害デバイスD1、D2を統合して、それぞれ、対応するバスB1、B2を介して1次ネットワーク11、12に上流でリンクされ、対応するバスB3、B4を介してドメスティックネットワーク3に下流でリンクされる電気ネットワークをフィルタリングし、レベル補償し、保護する。デバイスD1、D2は、知られている方法で、誘導性及び容量性フィルタ、回路遮断器、接触子、及び力率補正器を統合する。そのようなデバイスは、上流または下流ネットワークの品質基準:低い高調波歪率、周波数レベルの維持、または電圧の維持に適合することを意図される。
【0033】
対妨害デバイスD1、D2は、上流1次バスB1、B2及び下流キャビンバスB3、B4を介して電圧及び周波数アダプター71及び72のセット7に結合される。アダプター71及び72はそれぞれ、上流電力処理ステージE1及び下流電力処理ステージE2内に統合され、ガルバニック絶縁変圧器73に共に結合される。
【0034】
この変圧器73は、中性ラインNP及びNCを分割し、したがって、1次ネットワーク11、12のアビオニクス中性点10Aをドメスティックネットワーク3の浮動中性点10Fから分割する。1次ネットワーク11、12及びドメスティックネットワーク3の中性点のこの分割は、ドメスティックネットワーク3に対する1次ネットワーク11、12の確実な分割を可能にするため、1次ネットワーク11、12上のフォールトはドメスティックネットワーク3に影響を及ぼさない、また、逆も同様である。さらに、ガルバニック絶縁変圧器73は、有利には、上記変圧器を統合する対応する変換器ユニット41、42の自己給電を保証する。
【0035】
示す実施形態において、アダプター71は、対妨害デバイスD1に下流でリンクする、10kHz~1MHz範囲内の高周波変調器であり、アダプター72は、対妨害デバイスD2に上流でリンクし、キャビンドメスティックネットワーク3のための電流源として動作する電圧変換器である。そのため、変換器72の電圧、周波数、及び位相は、実施形態においてドメスティックバスB5、230V/50Hzの基準電圧に従属する。
【0036】
電圧、電流強度、周波数、及び力率を測定するためのセンサ80は、各変換器ユニット40の下流出力に、示す実施形態において対妨害デバイスD2の下流出力に配置される。測定値は、サーボ制御ループリンクL1によって、測定データを処理し、調節制御するためにローカルユニット9に送信される。
【0037】
各変換器ユニット40のローカルユニット9は、2方向データ伝送リンクT1によって相互接続されて、電力源の可用性に従って、1次ネットワーク11、12の間の電力源の共有の非集中化調節を形成する。ローカルユニット9は、各変換器ユニット40、対妨害デバイスD1及びD2の回路遮断器8c、ならびに電圧及び周波数アダプター71、72の上流及び下流に配置される接触子8a、8bの開放/閉鎖を制御する。データ伝送リンクL1は、ローカルユニット9の制御リンクL2であって、接触子8a、8b、回路遮断器8c、ならびに電圧及び周波数アダプター71、72を有する、制御リンクL2、ならびに、バスB1、B2及びB3、B4によって形成される電力リンクと共にサーボ制御ループを形成する。
【0038】
変形として、ローカルユニット9は、
図1の集中化ユニット6のように、集中化データ処理及び制御ユニットに基づくことができ、接触子8a、8b及び回路遮断器8cを制御する。代替的に、データを処理し、調節制御するための各ローカルユニット9は、対応する変換器ユニット40の測定センサ80と連携して、ローカルな独立管理を実施する。
【0039】
図3のブロック図は、各1次ネットワーク11、12のために2つの変換器ユニット41A、41B及び42A、42Bを有する
図1のアーキテクチャの変形100を示す。アーキテクチャ10の基本構造を使用するアーキテクチャ100において、各1次バスB1、B2は、バスカプラーK1及びK2によって2つの2次バスB11、B12及びB21、B22に分割される。変換器ユニット41A、41B、42A、42Bとドメスティックネットワーク3との間のリンクはそれぞれ、キャビンドメスティックネットワーク3のバスB5に電力供給する、伝送キャビンバス、B31、B32、B41、及びB42によってそれぞれ実装される。
【0040】
この実施形態において、各変換器ユニット41A、41B、42A、42Bは、2方向データ伝送リンクT1によって別の変換器ユニットに相互接続される。リンクT1を介して共有されるデータに基づいて、1次ネットワーク11及び12の間の電源共有の調節は、1次ネットワーク11及び12の電力可用性に従って、
図1を参照してアーキテクチャ10の分配調節と同様な方法で変換器ユニット41A、41B及び42A、42Bにおいて分配される。変形として、1次ネットワーク11及び12の間の電源共有は、集中化ユニットによって、または代替的に、
図2を参照して上述したようにローカルユニットによって調節される。
【0041】
本発明は、述べられ示される実施形態に限定されない。そのため、補助電流源、特に、燃料電池、太陽熱収集器、電池が、電流源であると同様に考えられる変換器ユニットに並列に搭載されて、1次ソースの可用性に従って、ドメスティックネットワークに電力を提供し得る。
【0042】
さらに、運行中、このアーキテクチャは、発電機によって同様に電力供給される単一ドメスティックネットワークに電力供給することを可能にする変換器ユニットの並列化によって、(例えば、発電機の喪失中の)飛行機ネットワークの再構成中に、一貫性のある電力サービス機能がキャビン内で提供されることを可能にする。ネットワークの再構成は、航空機の運航フェーズ(地上にいる、離陸、飛行、着陸)、または、飛行中に起こり得るネットワークの内因性要因に関連し得る。種々の故障事例(1次ネットワークの重度フォールト、変換器の制御の喪失など)が、レギュレータのデータ処理手段において予想されるため、これらの処理手段は、故障であると考えられる検出状況に従って適切な接触子の開放を制御する。
【0043】
さらに、認証に関連する飛行機システムの負荷の間の分離及びキャビンの機能に関連する分離は、1つの飛行機タイプについて1回実施されるだけである。
【0044】
ガルバニック絶縁変圧器に関して、上記変圧器は、電圧レベルを変換する役割を同様に果たし得る。
【0045】
対妨害デバイスに関して、補償手段は、電圧降下の場合に負荷を自動的に減らすための手段を備え得る。
【0046】
さらに、ドメスティック負荷のための電源は、対応するバスからの交流または直流電圧の変換、または、上述した2つの変換の組み合わせから得られ得る。
【0047】
有利には、航空機が2つの利用可能な交流(例えば、400Hzで115V)及び直流(例えば、28V)電圧レベルを有する状態で、本発明の場合と同様に交流電圧から、または、DC/AC変換インバーターを使用して直流電圧から、ドメスティック交流、例えば、50Hzの230Vを得ることが可能である。
【0048】
測定センサに関して、測定センサは、電圧降下を考慮するために、変換器ユニットの出力にまたはドメスティックネットワークの端に位置し得る。各変換器ユニットによる独立した自己調節の場合、センサは、これらのユニットのそれぞれの近傍に位置する。