(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】射出成形機
(51)【国際特許分類】
B29C 45/76 20060101AFI20231017BHJP
B29C 45/06 20060101ALI20231017BHJP
B29C 45/42 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
B29C45/76
B29C45/06
B29C45/42
(21)【出願番号】P 2020012513
(22)【出願日】2020-01-29
【審査請求日】2022-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000222587
【氏名又は名称】東洋機械金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002608
【氏名又は名称】弁理士法人オーパス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下谷 祥子
(72)【発明者】
【氏名】関口 裕士
(72)【発明者】
【氏名】相澤 充
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-142600(JP,A)
【文献】特開2008-105301(JP,A)
【文献】特開2009-126093(JP,A)
【文献】特開2010-099865(JP,A)
【文献】特開平08-187761(JP,A)
【文献】特開2000-167874(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00-45/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の金型が設置されるロータリーテーブルを有する射出成形機であって、
前記ロータリーテーブルを回転させる回転駆動機構と、
前記金型に樹脂材料を射出する射出装置と、
前記金型から成形品を取り出す成形品取出装置と、
前記回転駆動機構、前記射出装置および前記成形品取出装置を制御する制御装置と、を有し、
前記制御装置が、成形動作において、
前記ロータリーテーブルに設置された前記複数の金型を射出位置および成形品取出位置に移動するように前記回転駆動機構を制御し、
前記金型に射出する樹脂材料を可塑化するとともに当該金型が前記射出位置に移動してきたときに射出するように前記射出装置を制御し、
前記成形品取出位置にある前記金型から成形品を取りだすように前記成形品取出装置を制御し、
前記複数の金型が、前記射出位置に順に移動される金型A、金型Bおよび金型Cを含み、
前記制御装置が、
前記
複数の金型を用いて前記成形動作を実行する場合(以下、「通常成形モード
」という。)に、
前記金型Aが前記射出位置にあるとき、前記金型Aに樹脂材料を射出し、前記金型Bに射出する樹脂材料を可塑化するように前記射出装置を制御し、
前記金型Bが前記射出位置にあるとき、前記金型Bに樹脂材料を射出し、前記金型Cに射出する樹脂材料を可塑化するように前記射出装置を制御し、
前記
複数の金型の中から前記金型Bを除いた残りの金型を用いて前記成形動作を実行する場合(以下、「飛ばし成形モード
」という。)に、
前記金型Aが前記射出位置にあるとき、前記金型Aに樹脂材料を射出し、樹脂材料を可塑化しないように前記射出装置を制御し、
前記ロータリーテーブルにおける前記金型Bの設置箇所が前記射出位置にあるとき、樹脂材料を射出せず、前記金型Cに射出する樹脂材料を可塑化するように前記射出装置を制御する、
ことを特徴とする射出成形機。
【請求項2】
前記通常成形モードから前記飛ばし成形モードへの切換操作を入力する入力装置を有している、請求項1に記載の射出成形機。
【請求項3】
前記飛ばし成形モードにおいて、前記制御装置が、前記金型Aを前記射出位置に移動したときから少なくとも前記金型Aの金型最低停止時間を経過したのち、前記金型Aを前記射出位置から移動するように前記回転駆動機構を制御する、請求項
1または請求項2に記載の射出成形機。
【請求項4】
前記飛ばし成形モードにおいて、前記制御装置が、前記金型Bの設置箇所を前記射出位置に移動したときから少なくとも前記金型Bの金型最低停止時間を経過したのち、前記金型Bの設置箇所を前記射出位置から移動するように前記回転駆動機構を制御する、請求項
1~請求項3のいずれか一項に記載の射出成形機。
【請求項5】
前記金型最低停止時間が、前記通常成形モードにおいて、当該金型最低停止時間に対応する前記金型が前記射出位置に移動したときから前記射出位置から移動するときまでの時間に基づいて設定されている、請求項
3または請求項
4に記載の射出成形機。
【請求項6】
前記飛ばし成形モードにおいて、前記制御装置が、前記金型Bの設置箇所を前記射出位置に移動したときから前記金型Cの可塑化待ち時間を経過したのち、前記金型Cに射出する樹脂材料を可塑化するように前記射出装置を制御する、請求項
1~請求項
5のいずれか一項に記載の射出成形機。
【請求項7】
前記金型Cの可塑化待ち時間が、前記通常成形モードにおいて前記金型Bが前記射出位置に移動したときから前記金型Cに射出する樹脂材料を可塑化するときまでの時間に基づいて設定されている、請求項
6に記載の射出成形機。
【請求項8】
複数の金型が設置されるロータリーテーブルを有する射出成形機であって、
前記ロータリーテーブルを回転させる回転駆動機構と、
前記金型に樹脂材料を射出する射出装置と、
前記金型から成形品を取り出す成形品取出装置と、
前記回転駆動機構、前記射出装置および前記成形品取出装置を制御する制御装置と、を有し、
前記制御装置が、成形動作において、
前記ロータリーテーブルに設置された前記複数の金型を射出位置および成形品取出位置に移動するように前記回転駆動機構を制御し、
前記金型に射出する樹脂材料を可塑化するとともに当該金型が前記射出位置に移動してきたときに射出するように前記射出装置を制御し、
前記成形品取出位置にある前記金型から成形品を取りだすように前記成形品取出装置を制御し、
前記複数の金型が、前記射出位置に順に移動される金型A、金型Bおよび金型Cを含み、
前記制御装置が、
前記
複数の金型を用いて前記成形動作を実行する場合(以下、「通常成形モード
」という。)に、
前記金型Aが前記射出位置にあるとき、前記金型Aに樹脂材料を射出し、前記金型Bに射出する樹脂材料を可塑化するように前記射出装置を制御し、
前記金型Bが前記射出位置にあるとき、前記金型Bに樹脂材料を射出し、前記金型Cに射出する樹脂材料を可塑化するように前記射出装置を制御し、
前記金型Aが前記成形品取出位置にあるとき、前記金型Aから成形品を取り出すように前記成形品取出装置を制御し、
前記金型Bが前記成形品取出位置にあるとき、前記金型Bから成形品を取り出すように前記成形品取出装置を制御し、
前記
複数の金型の中から前記金型Bを除いた残りの金型を用いて前記成形動作を実行する場合(以下、「飛ばし成形モード
」という。)に、
前記金型Aが前記射出位置にあるとき、前記金型Aに樹脂材料を射出し、前記金型Bに射出する樹脂材料を可塑化するように前記射出装置を制御し、
前記金型Bが前記射出位置にあるとき、前記金型Bに樹脂材料を射出し、前記金型Cに射出する樹脂材料を可塑化するように前記射出装置を制御し、
前記金型Aが前記成形品取出位置にあるとき、前記金型Aから成形品を取り出すように前記成形品取出装置を制御し、
前記金型Bが前記成形品取出位置にあるとき、前記金型Bに射出した樹脂材料を廃棄するように前記成形品取出装置を制御する、
ことを特徴とする射出成形機。
【請求項9】
前記飛ばし成形モードにおいて、前記ロータリーテーブルに前記金型Bに代えて金型代替装置が設置される、請求項
8に記載の射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の金型を射出位置に順次移動させて射出成形を行う射出成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の射出成形機の一例が、特許文献1に開示されている。特許文献1の射出成形機は、ロータリーテーブルに4つの金型が設置され、これら金型が時計回りに移動される。この射出成形機は、金型に樹脂材料を射出するための射出ステーションを0時の位置としたとき、3時および6時の位置が樹脂を冷却するための冷却ステーションとなり、9時の位置が、金型から成形品を取り出す成形品取出ステーションとなる。
【0003】
この射出成形機は、ロータリーテーブルを回転させることにより、各金型を射出ステーション、2つの冷却ステーションおよび成形品取出ステーションに順に移動させる。そして、射出成形機は、各ステーションにおいて、射出動作、冷却動作および成形品取出動作を実行して、成形品の成形を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した射出成形機は、複数の金型を用いて成形品を繰り返し成形する通常の成形動作を実行する。通常の成形動作を実行しているときに、複数の金型のうちの1つの金型について、例えば、不具合が生じたり、所定の成形数量に達したりする場合がある。このような場合、射出成形機は、当該1つの金型の順番を飛ばして引き続き残りの金型で成形を行う飛ばし成形動作を実行する。しかしながら、上述した射出成形機において通常の成形動作から飛ばし成形動作に切り換えるためには、樹脂材料の可塑化のタイミングや、成形品の取出動作の有無などの設定を変更しなければならない。そのため、上述した射出成形機では、飛ばし成形動作への切り換え作業が煩雑であった。
【0006】
そこで、本発明は、通常成形動作から飛ばし成形動作への切り換えを容易に行うことができる射出成形機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る射出成形機は、ロータリーテーブルを有する射出成形機であって、前記ロータリーテーブルに設置された複数の金型を用いて成形動作を実行する通常成形モードと、前記通常成形モードで用いた前記複数の金型の中から1つ以上の金型を除いた残りの金型を用いて成形動作を実行する飛ばし成形モードと、を有していることを特徴とする。
【0008】
本発明において、前記通常成形モードから前記飛ばし成形モードへの切換操作が入力される入力装置を有していることが好ましい。
【0009】
本発明において、前記ロータリーテーブルを回転させる回転駆動機構と、前記金型に樹脂材料を射出する射出装置と、前記金型から成形品を取り出す成形品取出装置と、前記回転駆動機構、前記射出装置および前記成形品取出装置を制御する制御装置と、を有し、前記制御装置が、前記成形動作において、前記ロータリーテーブルに設置された前記複数の金型を射出位置および成形品取出位置に移動するように前記回転駆動機構を制御し、前記金型に射出する樹脂材料を可塑化するとともに当該金型が前記射出位置に移動してきたときに射出するように前記射出装置を制御し、前記成形品取出位置にある前記金型から成形品を取りだすように前記成形品取出装置を制御することが好ましい。
【0010】
本発明において、前記複数の金型が、前記射出位置に順に移動される金型A、金型Bおよび金型Cを含み、前記制御装置が、前記通常成形モードにおいて、前記金型Aが前記射出位置にあるとき、前記金型Aに樹脂材料を射出し、前記金型Bに射出する樹脂材料を可塑化するように前記射出装置を制御し、前記金型Bが前記射出位置にあるとき、前記金型Bに樹脂材料を射出し、前記金型Cに射出する樹脂材料を可塑化するように前記射出装置を制御し、前記飛ばし成形モードにおいて、前記金型Bを除いて前記成形動作を実行する場合に、前記金型Aが前記射出位置にあるとき、前記金型Aに樹脂材料を射出し、樹脂材料を可塑化しないように前記射出装置を制御し、前記ロータリーテーブルにおける前記金型Bの設置箇所が前記射出位置にあるとき、樹脂材料を射出せず、前記金型Cに射出する樹脂材料を可塑化するように前記射出装置を制御することが好ましい。
【0011】
本発明において、前記飛ばし成形モードにおいて、前記制御装置が、前記金型Aを前記射出位置に移動したときから少なくとも前記金型Aの金型最低停止時間を経過したのち、前記金型Aを前記射出位置から移動するように前記回転駆動機構を制御することが好ましい。
【0012】
本発明において、前記飛ばし成形モードにおいて、前記制御装置が、前記金型Bの設置箇所を前記射出位置に移動したときから少なくとも前記金型Bの金型最低停止時間を経過したのち、前記金型Bの設置箇所を前記射出位置から移動するように前記回転駆動機構を制御することが好ましい。
【0013】
本発明において、前記金型最低停止時間が、前記通常成形モードにおいて、当該金型最低停止時間に対応する前記金型が前記射出位置に移動したときから前記射出位置から移動するときまでの時間に基づいて設定されていることが好ましい。
【0014】
本発明において、前記飛ばし成形モードにおいて、前記制御装置が、前記金型Bの設置箇所を前記射出位置に移動したときから前記金型Cの可塑化待ち時間を経過したのち、前記金型Cに射出する樹脂材料を可塑化するように前記射出装置を制御することが好ましい。
【0015】
本発明において、前記金型Cの可塑化待ち時間が、前記通常成形モードにおいて前記金型Bが前記射出位置に移動したときから前記金型Cに射出する樹脂材料を可塑化するときまでの時間に基づいて設定されていることが好ましい。
【0016】
前記複数の金型が、前記射出位置に順に移動される金型A、金型Bおよび金型Cを含み、前記制御装置が、前記通常成形モードにおいて、前記金型Aが前記射出位置にあるとき、前記金型Aに樹脂材料を射出し、前記金型Bに射出する樹脂材料を可塑化するように前記射出装置を制御し、前記金型Bが前記射出位置にあるとき、前記金型Bに樹脂材料を射出し、前記金型Cに射出する樹脂材料を可塑化するように前記射出装置を制御し、前記金型Aが前記成形品取出位置にあるとき、前記金型Aから成形品を取り出すように前記成形品取出装置を制御し、前記金型Bが前記成形品取出位置にあるとき、前記金型Bから成形品を取り出すように前記成形品取出装置を制御し、前記飛ばし成形モードにおいて、前記金型Bを除いて前記成形動作を実行する場合に、前記金型Aが前記射出位置にあるとき、前記金型Aに樹脂材料を射出し、前記金型Bに射出する樹脂材料を可塑化するように前記射出装置を制御し、前記金型Bが前記射出位置にあるとき、前記金型Bに樹脂材料を射出し、前記金型Cに射出する樹脂材料を可塑化するように前記射出装置を制御し、前記金型Aが前記成形品取出位置にあるとき、前記金型Aから成形品を取り出すように前記成形品取出装置を制御し、前記金型Bが前記成形品取出位置にあるとき、前記金型Bに射出した樹脂材料を廃棄するように前記成形品取出装置を制御することが好ましい。
【0017】
本発明において、前記飛ばし成形モードにおいて、前記ロータリーテーブルに前記金型Bに代えて金型代替装置が設置されることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ロータリーテーブルに設置された複数の金型を用いて成形動作を実行する通常成形モードと、通常成形モードで用いた複数の金型の中から1つ以上の金型を除いた残りの金型を用いて成形動作を実行する飛ばし成形モードと、を有している。そのため、通常成形モードから飛ばし成形モードに切り換えることで容易に飛ばし成形動作を実行することができる。
【0019】
また、通常成形モードから飛ばし成形モードへの切換操作が入力される入力装置をさらに有していることで、より容易に飛ばし成形を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る射出成形機の正面図である。
【
図2】
図1の射出成形機が有する型締装置およびその近傍の平面図である。
【
図3】
図1の射出成形機の機能ブロックを説明する図である。
【
図4】
図1の射出成形機の型締装置およびその近傍の断面図である。
【
図5】
図1の射出成形機の通常成形モードを説明する図である。
【
図6】
図1の射出成形機の飛ばし成形モードを説明する図である。
【
図7】本発明の第2実施形態の係る射出成形機の飛ばし成形モードを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係る射出成形機の構成について、
図1~
図4を参照して説明する。
【0022】
図1は、本発明の第1実施形態に係る射出成形機の正面図である。
図2は、
図1の射出成形機が有する型締装置およびその近傍の平面図である。
図3は、
図1の射出成形機の機能ブロックを説明する図である。
図4は、
図1の射出成形機の型締装置およびその近傍の断面図である。
【0023】
本実施形態の射出成形機1は、上側金型81および下側金型82を有する金型80のキャビティ84に、可塑化した樹脂材料を射出充填し、冷却固化することで成形品を得るものである。なお、本実施形態は、加熱シリンダが上下方向(鉛直方向)に沿って配置された射出成形機に本発明を適用した構成の一例を示すものであるが、加熱シリンダが水平方向に沿って配置された射出成形機に本発明を適用してもよい。
【0024】
射出成形機1は、キャビティ84の形状が異なる複数種類の金型80をロータリーテーブル11に設置可能な構成を有する。なお、ロータリーテーブル11には、キャビティ84の形状が同一となる同一種類の金型80が複数設置されていてもよい。
【0025】
射出成形機1は、各図に示すように、金型80を型締する型締装置10と、樹脂材料を射出する射出装置20と、金型80から成形品を取り出す成形品取出装置40と、表示入力装置60と、制御装置70と、を有している。
【0026】
型締装置10は、円板状のロータリーテーブル11と、三角形平板状の可動ダイプレート12と、を有している。また、型締装置10は、ロータリーテーブル11を中心周りに時計方向に回転するように駆動する回転駆動機構13と、上側金型81および下側金型82を上下方向に締め付けて型締力を発生させる型締駆動機構14と、を有している。
【0027】
ロータリーテーブル11の上面11aには、複数の金型80が設置される設置箇所15a、15b、15c、15dが設けられている。複数の金型80は、4つの金型80で構成されている。4つの金型80をそれぞれ区別して説明する場合は、金型80A、80B、80C、80Dと示し、それぞれの上側金型81、下側金型82およびキャビティ84を末尾にA~Dの符号を付して示す。金型80A、80B、80C、80Dは、順に設置箇所15a、15b、15c、15dに設置されている。複数の金型80は、ロータリーテーブル11によって移動されて、射出ステーションP1、第1冷却ステーションP2、第2冷却ステーションP3および成形品取出ステーションP4の4つの作業ステーションに位置づけられる。
【0028】
射出ステーションP1は、金型80を型締して可塑化した樹脂材料を射出する射出位置である。第1冷却ステーションP2および第2冷却ステーションP3は、平面視で射出ステーションP1を0時の位置としたときに3時および6時の位置にあり、金型80に射出した樹脂材料を冷却する冷却位置である。成形品取出ステーションP4は、射出ステーションを0時の位置としたときに9時の位置にあり、金型80を開いて成形品を取り出す成形品取出位置である。
【0029】
このような構成以外にも、例えば、第1冷却ステーションP2および第2冷却ステーションP3を省略して、0時の位置に射出ステーションP1を有し、6時の位置に成形品取出ステーションP4を有する構成としてもよい。または、第2冷却ステーションP3を省略して、0時の位置に射出ステーションP1を有し、4時の位置に第1冷却ステーションP2を有し、8時の位置に成形品取出ステーションP4を有する構成としてもよい。ロータリーテーブル11は、金型80を少なくとも射出ステーションP1および成形品取出ステーションP4に移動するものであればよい。
【0030】
可動ダイプレート12は、射出ステーションP1に対応する位置においてロータリーテーブル11と上下方向に間隔をあけて対向して設けられている。ロータリーテーブル11および可動ダイプレート12は、射出ステーションP1にある金型80を閉める。型締駆動機構14は、ロータリーテーブル11と可動ダイプレート12とで閉められた金型80に型締力を発生させる。回転駆動機構13は、例えば、電動モータおよびその回転力をロータリーテーブル11に伝達する伝達機構などで構成されている。型締駆動機構14は、電動モータ、ボールねじ機構およびトグルリンク機構などで構成されている。回転駆動機構13および型締駆動機構14は、制御装置70に接続されており、制御装置70からの制御信号に従って動作する。
【0031】
射出装置20は、可動ダイプレート12の上方に配置されている。射出装置20は、下方を向くノズル21aが先端に設けられた加熱シリンダ21と、加熱シリンダ21に回転可能かつ前後進可能に収容されたスクリュー22と、を有している。また、射出装置20を上下方向に移動させる射出装置駆動機構23、および、加熱シリンダ21内でスクリュー22を回転および前後進させるスクリュー駆動機構24を有している。スクリュー22が加熱シリンダ21のノズル21a側に移動することを前進といい、ノズル21aと反対側に移動することを後退という。射出装置駆動機構23およびスクリュー駆動機構24は、制御装置70に接続されており、制御装置70からの制御信号に従って動作する。射出装置駆動機構23およびスクリュー駆動機構24は、例えば、電動モータやその回転力を伝達する伝達機構、その回転力を直線運動に変換する変換機構などで構成されている。
【0032】
制御装置70が射出装置駆動機構23を制御して射出装置20を下方に移動させると、加熱シリンダ21のノズル21aが、可動ダイプレート12に設けられた貫通孔12aを通り、金型80の上側金型81にタッチする。この状態において、ノズル21aはランナーやスプール、ゲートなどを有する樹脂流路85を介してキャビティ84に通じている。そして、制御装置70は、スクリュー駆動機構24を制御し、スクリュー22を回転させて樹脂材料を可塑化するとともに、金型80のキャビティ84に応じた量の樹脂材料を計量する。そして、制御装置70は、スクリュー駆動機構24を制御してスクリュー22を前進させて、樹脂材料をキャビティ84内に射出する。
【0033】
成形品取出装置40は、成形品取出ステーションP4に対応する位置に配置されている。成形品取出装置40は、金型開閉装置41と、エジェクタ装置42と、取出機43と、を有している。金型開閉装置41は、例えば、エアシリンダを有しており、下側金型82に対して上側金型81を上下方向に移動させる。エジェクタ装置42は、下側金型82に設けられた図示しないエジェクタピンをキャビティ84内に突出させて、キャビティ84から成形品を押し出す。取出機43は、キャビティ84から押し出された成形品を所定の場所に移動する。
【0034】
表示入力装置60は、射出成形機1に係る情報を表示する表示装置61と、操作を入力する入力装置62と、を有している。表示装置61および入力装置62は、制御装置70に接続されている。表示装置61は、表示領域に各種画面を表示する。入力装置62は、入力キーを備えており、各入力キーに応じた信号を制御装置70に送信する。表示入力装置60は、入力装置62としてタッチパネルを備え、表示装置61の表示領域に重ねられたタッチパネルと当該表示領域に表示したアイコンとを組み合わせて構成したソフトウェアスイッチを有している。
【0035】
制御装置70は、射出成形機1全体の動作を司る。制御装置70は、マイクロコンピュータを有して構成されている。
【0036】
制御装置70は、型締装置10の回転駆動機構13および型締駆動機構14、射出装置20の射出装置駆動機構23およびスクリュー駆動機構24、ならびに、成形品取出装置40の金型開閉装置41、エジェクタ装置42および取出機43などの各駆動機構の動作を制御する。
【0037】
具体的には、制御装置70は、成形動作において、
(1)ロータリーテーブル11に設置された複数の金型80を射出ステーションP1、第1冷却ステーションP2、第2冷却ステーションP3および成形品取出ステーションP4に移動するように回転駆動機構13を制御し、
(2)金型80に射出する樹脂材料を可塑化するとともに当該金型80が射出ステーションP1に移動してきたときに射出するように型締駆動機構14、射出装置駆動機構23およびスクリュー駆動機構24を制御し、
(3)成形品取出ステーションP4にある金型80から成形品を取り出すように金型開閉装置41、エジェクタ装置42および取出機43を制御する。
【0038】
射出成形機1は、成形動作を実行する動作モードとして、通常成形モードと飛ばし成形モードとを有している。射出成形機1のメモリには、通常成形モードおよび飛ばし成形モードにおいて成形動作を実行するためのプログラムや各種設定が記憶されている。
【0039】
通常成形モードでは、ロータリーテーブル11に設置された複数の金型80を用いて成形動作を実行する。飛ばし成形モードでは、通常成形モードで用いた複数の金型80の中から1つ以上の金型を除いた残りの金型を用いて成形動作を実行する。本実施形態において、射出成形機1は、入力装置62に所定の操作が入力されることにより、通常成形モードから飛ばし成形モードへの切り換えが行われる。この所定の操作は、例えば、動作モードの切り換え処理が割り当てられた操作キーを押下する操作である。または、複数の金型80のうちの1つの金型において所定数の成形動作が完了した場合、当該1つの金型を除いた残りの金型を用いて成形動作を行うように、自動的に飛ばし成形モードへの切り換えが行われるようにしてもよい。
【0040】
次に、上述した本実施形態の射出成形機1における本発明に係る動作の一例について、
図5、
図6を参照して説明する。
【0041】
図5(a)~(d)は、通常成形モードにおける成形動作を示している。
【0042】
図5の上部の図は、金型80A~80Dの位置を模式的に示す平面図である。
図5の上部の図において、A~Dは、金型80A~80Dを示す。
図5の下部の図は、射出動作(「射出」)、可塑化動作(「可塑化」)、成形品取出動作(「取出」)および金型移動動作(「移動」)の動作タイミングを模式的に示すタイミングチャートである。このタイミングチャートにおいて、「ON」が動作中を示し、「OFF」が非動作中を示す。また、タイミングチャートにおいて、A~Dは、金型80A~80Dに関する動作であることを示す。
【0043】
射出成形機1(具体的には制御装置70)は、ロータリーテーブル11を回転させ、射出ステーションP1に金型80Aを移動させる(金型移動動作)。この状態において、
図5(a)に示すように、射出ステーションP1に金型80Aがあり、第1冷却ステーションP2に金型80Dがあり、第2冷却ステーションP3に金型80Cがあり、成形品取出ステーションP4に金型80Bがある。
【0044】
図5(a)に示す状態において、射出成形機1は、金型80Aを型締し、射出装置20を下方に移動させて加熱シリンダ21のノズル21aを金型80Aの上側金型81Aにタッチさせ、金型80Aのためにすでに可塑化してある樹脂材料を金型80Aに射出する(射出動作)。射出動作を終えると、射出成形機1は、金型80Bに射出する樹脂材料を可塑化する(可塑化動作)。そして、射出成形機1は、射出装置20を上方に移動させて加熱シリンダ21のノズル21aを金型80Aの上側金型81Aから離し、型締を解除する。
【0045】
上記射出動作および可塑化動作と並行して、射出成形機1は、成形品取出ステーションP4にある金型80Bの上側金型81Bを上方に移動して金型80Bを開き、エジェクタ装置42によりキャビティ84Bから成形品を押し出す。そして、射出成形機1は、取出機43により成形品を図示しないコンベアや収納容器などの成形品搬送装置に移動させる(成形品取出動作)。また、金型80Dおよび金型80Cについては、第1冷却ステーションP2および第2冷却ステーションP3において冷却される。
【0046】
射出成形機1は、
図5(a)に示す状態において射出動作、可塑化動作および成形品取出動作を終えると、ロータリーテーブル11を回転させ、射出ステーションP1に金型80Bを移動させる(金型移動動作)。この状態において、
図5(b)に示すように、射出ステーションP1に金型80Bがあり、第1冷却ステーションP2に金型80Aがあり、第2冷却ステーションP3に金型80Dがあり、成形品取出ステーションP4に金型80Cがある。
【0047】
図5(b)に示す状態において、射出成形機1は、金型80Bを型締し、射出装置20を下方に移動させて加熱シリンダ21のノズル21aを金型80Bの上側金型81Bにタッチさせ、金型80Bのためにすでに可塑化してある樹脂材料を金型80Bに射出する(射出動作)。射出動作を終えると、射出成形機1は、金型80Cに射出する樹脂材料を可塑化する(可塑化動作)。そして、射出成形機1は、射出装置20を上方に移動させて加熱シリンダ21のノズル21aを金型80Bの上側金型81Bから離し、型締を解除する。
【0048】
上記射出動作および可塑化動作と並行して、射出成形機1は、成形品取出ステーションP4にある金型80Cの上側金型81Cを上方に移動して金型80Cを開き、エジェクタ装置42によりキャビティ84Cから成形品を押し出す。そして、射出成形機1は、取出機43により成形品を図示しないコンベアや収納容器などの成形品搬送部に移動させる(成形品取出動作)。また、金型80Aおよび金型80Dについては、第1冷却ステーションP2および第2冷却ステーションP3において冷却される。
【0049】
射出成形機1は、
図5(b)に示す状態において射出動作、可塑化動作および成形品取出動作を終えると、ロータリーテーブル11を回転させ、射出ステーションP1に金型80Cを移動させる(金型移動動作)。この状態において、
図5(c)に示すように、射出ステーションP1に金型80Cがあり、第1冷却ステーションP2に金型80Bがあり、第2冷却ステーションP3に金型80Aがあり、成形品取出ステーションP4に金型80Dがある。
図5(c)に示す状態において、上記
図5(a)、(b)に示す状態と同様に、金型80Cに対する射出動作および金型80Dのための可塑化動作を行い、金型80Dに対する成形品取出動作を行う。
【0050】
射出成形機1は、
図5(c)に示す状態において射出動作、可塑化動作および成形品取出動作を終えると、ロータリーテーブル11を回転させ、射出ステーションP1に金型80Dを移動させる(金型移動動作)。この状態において、
図5(d)に示すように、射出ステーションP1に金型80Dがあり、第1冷却ステーションP2に金型80Cがあり、第2冷却ステーションP3に金型80Bがあり、成形品取出ステーションP4に金型80Aがある。
図5(d)に示す状態において、
図5(a)~(c)に示す状態と同様に、金型80Dに対する射出動作および金型80Aのための可塑化動作を行い、金型80Aに対する成形品取出動作を行う。
【0051】
射出成形機1は、
図5(d)に示す状態において射出動作、可塑化動作および成形品取出動作を終えると、ロータリーテーブル11を回転させ、射出ステーションP1に金型80Aを移動させて、
図5(a)に示す状態に戻る。以降は、上記動作を繰り返し実行する。
【0052】
射出成形機1は、通常成形モードにおいて、金型80Aを射出ステーションP1に移動したときから射出ステーションP1から移動するときまでの時間taを計測する。そして、時間taに基づいて、金型80Aについての金型最低停止時間Taを設定する。金型最低停止時間Taには、操作キーの押下などの所定の時間取込み操作が入力装置62に入力されたときに、その直前に計測された時間taが設定される。これ以外にも、金型最低停止時間Taには、例えば、直近の複数回(例えば5回)の時間taの平均値を設定してもよい。金型最低停止時間Taは、ユーザーが経験等に基づいて任意の値を設定してもよい。金型80B、80C、80Dについても、同様に時間tb、tc、tdを計測し、それぞれについての金型最低停止時間Tb、Tc、Tdを設定する。
【0053】
また、射出成形機1は、通常成形モードにおいて、金型80Aを射出ステーションP1に移動したときから金型80Bに射出する樹脂材料を可塑化するときまでの時間sbを計測する。そして、時間sbに基づいて、金型80Bについての可塑化待ち時間Sbを設定する。可塑化待ち時間Sbには、上述した時間取込み操作が入力装置62に入力されたときに、その直前に計測された時間sbが設定される。これ以外にも、可塑化待ち時間Sbには、例えば、直近の複数回(例えば5回)の時間sbの平均値を設定してもよい。可塑化待ち時間Sbは、ユーザーが経験等に基づいて任意の値を設定してもよい。金型80C、80D、80Aに付いても、同様に時間sc、sd、saを計測し、それぞれについての可塑化待ち時間Sc、Sd、Saを設定する。
【0054】
図6(a)~(d)は、飛ばし成形モードにおける成形動作を示している。
【0055】
以下に、一例として説明する飛ばし成形モードでは、通常成形モードで用いた金型80A~80Dのうち金型80Bを除いた残りの金型80A、80C、80Dを用いて成形動作を実行する。以下の説明では、金型80Bが設置箇所15bから外されている場合について述べているが、設置箇所15bに金型80Bが設置されていてもよい。もちろん、飛ばし成形モードでは、金型80B以外の他の金型80を除いて成形動作を実行してもよい。また、2つ以上の金型80を除いて成形動作を実行してもよい。
【0056】
図6の上部の図は、金型80A、80C、80Dの位置、および、金型80Bの設置箇所15bの位置を模式的に示す平面図である。
図6の上部の図において、A、C、Dは、金型80A、80C、80Dを示し、Bは、金型80Bの設置箇所15bを示す。
図6の下部の図は、射出動作(「射出」)、可塑化動作(「可塑化」)、成形品取出動作(「取出」)および金型移動動作(「移動」)の動作タイミングを模式的に示すタイミングチャートである。
【0057】
射出成形機1(具体的には制御装置70)は、ロータリーテーブル11を回転させ、射出ステーションP1に金型80Aを移動させる(金型移動動作)。この状態において、
図6(a)に示すように、射出ステーションP1に金型80Aがあり、第1冷却ステーションP2に金型80Dがあり、第2冷却ステーションP3に金型80Cがあり、成形品取出ステーションP4に金型80Bの設置箇所15bがある。
【0058】
図6(a)に示す状態において、射出成形機1は、金型80Aを型締し、射出装置20を下方に移動させて加熱シリンダ21のノズル21aを金型80Aの上側金型81Aにタッチさせ、金型80Aのためにすでに可塑化してある樹脂材料を金型80Aに射出する(射出動作)。射出動作を終えると、射出成形機1は、樹脂材料を可塑化せずに、射出装置20を上方に移動させて加熱シリンダ21のノズル21aを金型80Aの上側金型81Aから離し、型締を解除する。
【0059】
射出成形機1は、
図6(a)に示す状態において、成形品取出動作を行わない。また、金型80Dおよび金型80Cについては、第1冷却ステーションP2および第2冷却ステーションP3において冷却される。
【0060】
射出成形機1は、
図6(a)に示す状態において射出動作を終えかつ金型80Aを射出ステーションP1に移動したときから金型80Aの金型最低停止時間Taを経過したのち、ロータリーテーブル11を回転させ、射出ステーションP1に金型80Bの設置箇所15bを移動させる(金型移動動作)。この状態において、
図6(b)に示すように、射出ステーションP1に金型80Bの設置箇所15bがあり、第1冷却ステーションP2に金型80Aがあり、第2冷却ステーションP3に金型80Dがあり、成形品取出ステーションP4に金型80Cがある。
【0061】
図6(b)に示す状態において、射出成形機1は、金型80Bが射出ステーションP1にある場合と同様に、型締を行い(実際には型締する金型80Bはない)、射出装置20を下方に移動させる。そして、金型80Bの設置箇所15bが射出ステーションP1に移動したときから金型80Cの可塑化待ち時間Scを経過したのち、金型80Cに射出する樹脂材料を可塑化する(可塑化動作)。そして、射出成形機1は、射出装置20を上方に移動させ、型締を終了する。
【0062】
上記可塑化動作と並行して、射出成形機1は、成形品取出ステーションP4にある金型80Cの上側金型81Cを上方に移動して金型80Cを開き、キャビティ84Cからエジェクタ装置42により成形品を押し出す。そして、射出成形機1は、取出機43により成形品を図示しないコンベアや収納容器などの成形品搬送装置に移動させる(成形品取出動作)。また、金型80Aおよび金型80Dについては、第1冷却ステーションP2および第2冷却ステーションP3において冷却される。
【0063】
射出成形機1は、
図6(b)に示す状態において可塑化動作を終えかつ金型80の設置箇所15bを射出ステーションP1に移動したときから金型80Bの金型最低停止時間Tbを経過したのち、ロータリーテーブル11を回転させ、射出ステーションP1に金型80Cを移動させる(金型移動動作)。この状態において、
図6(c)に示すように、射出ステーションP1に金型80Cがあり、第1冷却ステーションP2に金型80Bの設置箇所15bがあり、第2冷却ステーションP3に金型80Aがあり、成形品取出ステーションP4に金型80Dがある。
図6(c)に示す状態において、
図5(c)に示す状態と同様に、金型80Cに対する射出動作および金型80Dのための可塑化動作を行い、金型80Dに対する成形品取出動作を行う。
【0064】
射出成形機1は、
図6(c)に示す状態において射出動作、可塑化動作および成形品取出動作を終えると、ロータリーテーブル11を回転させ、射出ステーションP1に金型80Cを移動させる(金型移動動作)。この状態において、
図6(d)に示すように、射出ステーションP1に金型80Dがあり、第1冷却ステーションP2に金型80Cがあり、第2冷却ステーションP3に金型80Bの設置箇所15bがあり、成形品取出ステーションP4に金型80Aがある。
図6(d)に示す状態において、
図5(d)に示す状態と同様に、金型80Dに対する射出動作および金型80Aのための可塑化動作を行い、金型80Aに対する成形品取出動作を行う。
【0065】
射出成形機1は、
図6(d)に示す状態において射出動作、可塑化動作および成形品取出動作を終えると、ロータリーテーブル11を回転させ、射出ステーションP1に金型80Aを移動させて、
図6(a)に示す状態に戻る。以降は、上記動作を繰り返し実行する。
【0066】
以上より、本実施形態の射出成形機1によれば、ロータリーテーブル11に設置された複数の金型80を用いて成形動作を実行する通常成形モードと、通常成形モードで用いた複数の金型80の中から1つの金型80を除いた残りの金型80を用いて成形動作を実行する飛ばし成形モードと、を有している。そのため、通常成形モードから飛ばし成形モードに切り換えることで容易に飛ばし成形動作を行うことができる。
【0067】
また、通常成形モードから飛ばし成形モードへの切換操作が入力される入力装置62を有している。そのため、より容易に飛ばし成形を行うことができる。
【0068】
また、ロータリーテーブル11を回転させる回転駆動機構13と、金型80に樹脂材料を射出する射出装置20と、金型80から成形品を取り出す成形品取出装置40と、回転駆動機構13、射出装置20(射出装置駆動機構23、スクリュー駆動機構24)、および、成形品取出装置40(金型開閉装置41、エジェクタ装置42、取出機43)を制御する制御装置70と、を有している。制御装置70は、成形動作において、ロータリーテーブル11に設置された複数の金型80を射出ステーションP1、第1冷却ステーションP2、第2冷却ステーションP3および成形品取出ステーションP4に移動するように回転駆動機構13を制御する。制御装置70は、金型80に射出する樹脂材料を可塑化するとともに当該金型80が射出ステーションP1に移動してきたときに射出するように射出装置20を制御する。そして、制御装置70は、成形品取出ステーションP4にある金型80から成形品を取りだすように成形品取出装置40を制御する。そのため、制御装置70は、各駆動機構を連動させて効率よく成形動作を実行することができる。
【0069】
また、複数の金型80が、射出ステーションP1に順に移動される金型80A、金型80Bおよび金型80Cを含む。制御装置70は、通常成形モードにおいて、(i)金型80Aが射出ステーションP1にあるとき、金型80Aに樹脂材料を射出し、金型80Bに射出する樹脂材料を可塑化するように射出装置20を制御し、(ii)金型80Bが射出ステーションP1にあるとき、金型80Bに樹脂材料を射出し、金型80Cに射出する樹脂材料を可塑化するように射出装置20を制御する。制御装置70は、飛ばし成形モードにおいて、金型80Bを除いて成形動作を実行する場合に、(iii)金型80Aが射出ステーションP1にあるとき、金型80Aに樹脂材料を射出し、樹脂材料を可塑化しないように射出装置20を制御し、(iv)ロータリーテーブル11における金型80Bの設置箇所15bが射出ステーションP1にあるとき、樹脂材料を射出せず、金型80Cに射出する樹脂材料を可塑化するように射出装置20を制御する。このようにすることで、金型80Bを除いた飛ばし成形モードにおいて、通常成形モードと同じタイミングまたは近いタイミングで金型80Cの樹脂材料を可塑化することができる。そのため、通常成形モードと飛ばし成形モードにおいて、可塑化のタイミングの違いによる樹脂材料の熱履歴の差異を小さくすることができる。
【0070】
また、飛ばし成形モードにおいて、制御装置70が、金型80Aを射出ステーションP1に移動したときから少なくとも金型80Aの金型最低停止時間Taを経過したのち、金型80Aを射出位置から移動するように回転駆動機構13を制御する。このようにすることで、金型最低停止時間Taを適切に設定することにより、金型80Aが射出ステーションP1に停止している時間を通常成形モードと飛ばし成形モードとで同じ時間または近い時間にすることができる。そのため、可塑化のタイミングの違いによる樹脂材料の熱履歴の差異を小さくすることができる。
【0071】
また、飛ばし成形モードにおいて、制御装置70が、金型80Bの設置箇所15bを射出ステーションP1に移動したときから少なくとも金型80Bの金型最低停止時間Tbを経過したのち、金型80Bの設置箇所15bを射出ステーションP1から移動するように回転駆動機構13を制御する。このようにすることで、金型最低停止時間Tbを適切に設定することにより、金型80の設置箇所15bが射出ステーションP1に停止している時間を通常成形モードと飛ばし成形モードとで同じ時間または近い時間にすることができる。そのため、可塑化のタイミングの違いによる樹脂材料の熱履歴の差異をより小さくすることができる。
【0072】
また、金型最低停止時間Taが、通常成形モードにおいて、金型最低停止時間Taに対応する金型80Aが射出ステーションP1に移動したときから射出ステーションP1から移動するときまでの時間taに基づいて設定されている。そのため、実際の時間taに基づいて、より適切な金型最低停止時間Taを設定することができる。金型最低停止時間Tb、Tc、Tdについても同様である。
【0073】
また、飛ばし成形モードにおいて、制御装置70が、金型80Bの設置箇所15bを射出ステーションP1に移動したときから金型80Cの可塑化待ち時間Scを経過したのち、金型80Cに射出する樹脂材料を可塑化するように射出装置20を制御する。このようにすることで、可塑化待ち時間Scを適切に設定することにより、金型80Bの設置箇所15bが射出ステーションP1に移動したときから金型80Cに射出する樹脂材料を可塑化するときまでの時間を通常成形モードと飛ばし成形モードとで同じ時間または近い時間にすることができる。そのため、可塑化のタイミングの違いによる樹脂材料の熱履歴の差異を小さくすることができる。
【0074】
また、可塑化待ち時間Scが、通常成形モードにおいて金型80Bが射出ステーションP1に移動したときから金型80Cに射出する樹脂材料を可塑化するときまでの時間scに基づいて設定されている。そのため、実際の時間scに基づいて、より適切な可塑化待ち時間Sbを設定することができる。可塑化待ち時間Sa、Sc、Sdについても同様である。
【0075】
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態に係る射出成形機について、
図7を参照して説明する。
【0076】
第2実施形態に係る射出成形機は、上述した第1実施形態に係る射出成形機1と同一のハードウェア構成を有している。
【0077】
本実施形態の射出成形機における本発明に係る動作の一例について、
図5、
図7を参照して説明する。
【0078】
本実施形態の射出成形機の通常成形モードにおける成形動作は、上述した第1実施形態の射出成形機1の通常成形モード(
図5)と同じである。
【0079】
図7(a)~(d)は、飛ばし成形モードにおける成形動作を示している。
【0080】
以下に、一例として説明する飛ばし成形モードでは、通常成形モードで用いた金型80A~80Dのうち金型80Bを除いた残りの金型80A、80C、80Dを用いて成形動作を実行する。以下の説明では、金型80Bに代えて金型代替装置86が設置箇所15bに設置されている場合について述べているが、設置箇所15bに金型80Bが設置されていてもよい。金型代替装置86は、例えば、射出装置20によって射出される樹脂材料を受け止める容器などで構成されている。もちろん、飛ばし成形モードでは、金型80B以外の他の金型を除いて成形動作を実行してもよい。
【0081】
図7の上部の図は、金型80A、80C、80Dの位置、および、金型代替装置86の位置を模式的に示す平面図である。
図7の上部の図において、A、C、Dは、金型80A、80C、80Dを示し、Bは、金型代替装置86を示す。
図7の下部の図は、射出動作(「射出」)、可塑化動作(「可塑化」)、成形品取出動作(「取出」)および金型移動動作(「移動」)の動作タイミングを模式的に示すタイミングチャートである。
【0082】
射出成形機1(具体的には制御装置70)は、ロータリーテーブル11を回転させ、射出ステーションP1に金型80Aを移動させる(金型移動動作)。この状態において、
図7(a)に示すように、射出ステーションP1に金型80Aがあり、第1冷却ステーションP2に金型80Dがあり、第2冷却ステーションP3に金型80Cがあり、成形品取出ステーションP4に金型代替装置86がある。
【0083】
図7(a)に示す状態において、射出成形機1は、
図5(a)に示す状態のときと同様に、金型80Aに対する射出動作および金型80Bのために行う可塑化動作と同じ条件の可塑化動作を行う。
【0084】
上記射出動作および可塑化動作と並行して、射出成形機1は、成形品取出ステーションP4にある金型代替装置86から樹脂材料を取り出して、廃棄樹脂収容容器などの成形品廃棄部に移動させる(成形品廃棄動作)。また、金型80Dおよび金型80Cについては、第1冷却ステーションP2および第2冷却ステーションP3において冷却される。
【0085】
射出成形機1は、
図7(a)に示す状態において射出動作、可塑化動作および成形品廃棄動作を終えると、ロータリーテーブル11を回転させ、射出ステーションP1に金型代替装置86を移動させる(金型移動動作)。この状態において、
図7(b)に示すように、射出ステーションP1に金型代替装置86があり、第1冷却ステーションP2に金型80Aがあり、第2冷却ステーションP3に金型80Dがあり、成形品取出ステーションP4に金型80Cがある。
【0086】
図7(b)に示す状態において、射出成形機1は、
図5(b)に示す状態のときと同様に、金型代替装置86に対する射出動作および金型80Cのための可塑化動作を実行し、金型80Cに対する成形品取出動作を行う。この射出動作では、金型代替装置86に樹脂材料が射出され、いわゆる「捨て打ち」動作となる。
【0087】
射出成形機1は、
図7(b)に示す状態において射出動作、可塑化動作および成形品取出動作を終えると、ロータリーテーブル11を回転させ、射出ステーションP1に金型80Cを移動させる(金型移動動作)。この状態において、
図7(c)に示すように、射出ステーションP1に金型80Cがあり、第1冷却ステーションP2に金型代替装置86があり、第2冷却ステーションP3に金型80Aがあり、成形品取出ステーションP4に金型80Dがある。
図7(c)に示す状態において、
図5(c)に示す状態と同様に、金型80Cに対する射出動作および金型80Dのための可塑化動作を行い、金型80Dに対する成形品取出動作を行う。
【0088】
射出成形機1は、
図7(c)に示す状態において射出動作、可塑化動作および成形品取出動作を終えると、ロータリーテーブル11を回転させ、射出ステーションP1に金型80Dを移動させる(金型移動動作)。この状態において、
図7(d)に示すように、射出ステーションP1に金型80Dがあり、第1冷却ステーションP2に金型80Cがあり、第2冷却ステーションP3に金型代替装置86があり、成形品取出ステーションP4に金型80Aがある。
図7(d)に示す状態において、
図5(d)に示す状態と同様に、金型80Dに対する射出動作および金型80Aのための可塑化動作を行い、金型80Aに対する成形品取出動作を行う。
【0089】
射出成形機1は、
図7(d)に示す状態において射出動作、可塑化動作および成形品取出動作を終えると、ロータリーテーブル11を回転させ、射出ステーションP1に金型80Aを移動させて、
図7(a)に示す状態に戻る。以降は、上記動作を繰り返し実行する。
【0090】
本実施形態の射出成形機は、上述した第1実施形態の射出成形機1と同様の作用効果を奏する。
【0091】
上述した各実施形態では、可塑化動作より成形品取出動作の方が早く終わる構成であったが、これに限定されるものではなく、可塑化動作より成形品取出動作の方が遅く終わる構成であってもよい。このような構成の場合、金型最低停止時間は成形品取出動作の終了に応じた時間となる。
【0092】
上記に本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。前述の実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、実施形態の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の趣旨に反しない限り、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0093】
1…射出成形機、10…型締装置、11…ロータリーテーブル、11a…上面、12…可動ダイプレート、12a…貫通孔、13…回転駆動機構、14…型締駆動機構、15a、15b、15c、15d…設置箇所、20…射出装置、21…加熱シリンダ、21a…ノズル、22…スクリュー、23…射出装置駆動機構、24…スクリュー駆動機構、40…成形品取出装置、41…金型開閉装置、42…エジェクタ装置、43…取出機、60…表示入力装置、61…表示装置、62…入力装置、70…制御装置、80、80A、80B、80C、80D…金型、81…上側金型、82…下側金型、84…キャビティ、85…樹脂流路、86…金型代替装置、P1…射出ステーション、P2…第1冷却ステーション、P3…第2冷却ステーション、P4…成形品取出ステーション、Sa、Sb、Sc、Sc…可塑化待ち時間、Ta、Tb、Tc、Td…金型最低停止時間