(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】物品管理装置および物品管理システム
(51)【国際特許分類】
E05B 19/00 20060101AFI20231017BHJP
【FI】
E05B19/00 E
(21)【出願番号】P 2020093106
(22)【出願日】2020-05-28
【審査請求日】2022-10-20
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 展示会名 GLORY PRESENTATION FAIR 2019(GPF2019)開催日 令和1年11月14日及び15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501079875
【氏名又は名称】グローリーAZシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】野々下 享
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開昭56-119081(JP,A)
【文献】特開2010-265604(JP,A)
【文献】特開2003-184362(JP,A)
【文献】特開2019-044403(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00 - 85/28
A47G 29/08 - 29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品が収容される収容部を備えた収納部材と、
前記収納部材を着脱可能に収納する収納部と、
を備え
、
前記収納部材は、前記収容部を着脱可能とし、前記収容部と、前記収容部とは異なる物品連結用の連結部とを交換可能に構成されている
ことを特徴とする物品管理装置。
【請求項2】
前記収納部は、前記物品が収容される前記収容部を備えた前記収納部材と、前記収容部とは異なる物品連結用の連結部を備えた収納部材とのいずれについても着脱可能に収納する
ことを特徴とする請求項1記載の物品管理装置
。
【請求項3】
前記収納部材に対する前記収容部と前記連結部の交換を行う交換部をさらに備え、
前記収納部材の前記収容部と前記連結部との交換は、前記交換部における所定の交換処理にて実行可能とされている
ことを特徴とする請求項
1または2記載の物品管理装置。
【請求項4】
前記収納部に収納された前記収納部材が前記収容部と前記連結部のどちらを備えているかを検知する検知部をさらに備える
ことを特徴とする請求項
1ないし3いずれか一記載の物品管理装置。
【請求項5】
前記検知部により前記収納部に収納された前記収納部材が前記収容部を備えていることを検知した場合、管理対象の前記物品に関する情報を報知する報知部をさらに備える
ことを特徴とする請求項
4記載の物品管理装置。
【請求項6】
前記収容部は、前記物品を収容および取り出す開口部を備え、
前記開口部は、前記収納部材が前記収納部に収納されている状態で閉塞され、前記収納部材が前記収納部から取り出された状態で開放可能に構成されている
ことを特徴とする請求項1ないし
5いずれか一記載の物品管理装置。
【請求項7】
前記収容部は、前記開口部を開閉する開閉部を備え、
前記開閉部は、前記収納部材が前記収納部に収納されている状態で開くことが不可能であり、前記収納部材が前記収納部から取り出された状態で開くことが可能に構成されている
ことを特徴とする請求項
6記載の物品管理装置。
【請求項8】
前記開閉部は、前記収納部材が前記収納部に収納されている状態では、前記開閉部の開放領域が前記収納部側に重なることにより前記収納部材が前記収納部に収納されている状態で開くことが不可能に構成されている
ことを特徴とする請求項
7記載の物品管理装置。
【請求項9】
前記収容部は、外部から内部を視認可能とする視認部を備えている
ことを特徴とする請求項1ないし
8いずれか一記載の物品管理装置。
【請求項10】
物品を管理する物品管理システムであって、
前記物品が収容される収容部を備えた収納部材と、
前記収納部材を着脱可能に収納する収納部と、
を備え
、
前記収納部材は、前記収容部を着脱可能とし、前記収容部と、前記収容部とは異なる物品連結用の連結部とを交換可能に構成されている
ことを特徴とする物品管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を管理する物品管理装置および物品管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、管理用の部材を用いて物品を管理する物品管理装置が知られている。例えば特許文献1では、管理用の部材にリングを介して物品を連結する物品管理装置が知られている。この物品管理装置では、リングに通す孔を備えた物品が管理対象とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した物品管理装置では、リングに連結できる物品しか管理することができないため、リングに連結できない物品でも管理できることが望まれている。
【0005】
本発明は、多種の物品を柔軟に管理できる物品管理装置および物品管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の物品管理装置は、物品が収容される収容部を備えた収納部材と、前記収納部材を着脱可能に収納する収納部と、を備え、前記収納部材は、前記収容部を着脱可能とし、前記収容部と、前記収容部とは異なる物品連結用の連結部とを交換可能に構成されているものである。
【0007】
また、前記収納部は、前記物品が収容される前記収容部を備えた前記収納部材と、前記収容部とは異なる物品連結用の連結部を備えた収納部材とのいずれについても着脱可能に収納するものである。
【0008】
また、前記収納部材に対する前記収容部と前記連結部の交換を行う交換部をさらに備え、前記収納部材の前記収容部と前記連結部との交換は、前記交換部における所定の交換処理にて実行可能とされているものである。
【0009】
また、前記収納部に収納された前記収納部材が前記収容部と前記連結部のどちらを備えているかを検知する検知部をさらに備えるものである。
【0010】
また、前記検知部により前記収納部に収納された前記収納部材が前記収容部を備えていることを検知した場合、管理対象の前記物品に関する情報を報知する報知部をさらに備えるものである。
【0011】
また、前記収容部は、前記物品を収容および取り出す開口部を備え、前記開口部は、前記収納部材が前記収納部に収納されている状態で閉塞され、前記収納部材が前記収納部から取り出された状態で開放可能に構成されているものである。
【0012】
また、前記収容部は、前記開口部を開閉する開閉部を備え、前記開閉部は、前記収納部材が前記収納部に収納されている状態で開くことが不可能であり、前記収納部材が前記収納部から取り出された状態で開くことが可能に構成されているものである。
【0013】
また、前記開閉部は、前記収納部材が前記収納部に収納されている状態では、前記開閉部の開放領域が前記収納部側に重なることにより前記収納部材が前記収納部に収納されている状態で開くことが不可能に構成されているものである。
【0014】
また、前記収容部は、外部から内部を視認可能とする視認部を備えているものである。
【0015】
本発明の物品管理システムは、物品を管理する物品管理システムであって、前記物品が収容される収容部を備えた収納部材と、前記収納部材を着脱可能に収納する収納部を備え、前記収納部材は、前記収容部を着脱可能とし、前記収容部と、前記収容部とは異なる物品連結用の連結部とを交換可能に構成されているものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、多種の物品を柔軟に管理できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施の形態を示す物品管理システムの物品管理装置の斜視図である。
【
図2】同上物品管理装置の収納部材の斜視図を示し、(a)は連結部を備えた収納部材、(b)は収容部を備えた収納部材である。
【
図4】同上収容部を備えた収納部材に物品を収納する状態の斜視図である。
【
図5】同上収容部を備えた収納部材に物品を収納した状態の斜視図である。
【
図6】同上収容部を備えた収納部材を収納部に収納した状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0019】
図1に物品管理システム10の物品管理装置11を示す。物品管理システム10では、例えば、鍵、判子、メモリ媒体(USBメモリ、メモリカード等)、カード(認証カード等)、あるいは情報端末(携帯電話、スマートフォン等)等の重要物を含む物品12を管理する。物品管理システム10は、物品12を連結可能とする連結部13または物品12を収容可能とする収容部14を備えた収納部材15を用い、この収納部材15を用いて物品12を管理する鍵管理機でもある物品管理装置11を備えている。
【0020】
そして、物品管理装置11は、本体17、この本体17の前面側を開閉する表扉18、本体17の上部に設けられた表示操作部19、および本体17の側部に配設されたプリンタ部20等を備えている。
【0021】
本体17は、この本体17の前面側に、物品12を保管して管理する物品管理部22を備えている。物品管理部22には、収納部材15を着脱可能に収納する複数の収納部23が設けられている。収納部23は、物品管理部22の前面側に、上下方向に複数段に設けられているとともに、各段の左右方向に複数列に並んで設けられている。収納部23は、物品管理部22の前面側に開口する孔状に設けられ、前方から収納部材15を挿入または抜き取り可能とする。収納部23には、収納された収納部材15を施解錠する錠機構24(
図3参照)、収納部23に対して収納部材15の挿入(収納)および抜き取りを検知する第1検知部25(
図3参照)、収納部23に収納された収納部材15が連結部13と収容部14のどちらを備えているかを検知する検知部である第2検知部26(
図3参照)等が設けられている。
【0022】
第2検知部26は、収納部材15が記憶部であるICタグを有する場合、ICタグに収納部材15が連結部13と収容部14とのどちらを備えているかが予め記憶されていることにより、収納部23に収納される収納部材15のICタグから情報を読み出し、収納部材15が連結部13と収容部14のどちらを備えているかを検知する。この場合、第2検知部26は、ICタグから情報を読み出すことができる情報読み出し部であるICタグ用リーダまたは読み書きできる情報読み書き部であるICタグ用リーダライタが用いられる。あるいは、第2検知部26は、収納部23に収納された収納部材15の収容部14を物理的に検知するようにし、収容部14を検知するか否かにより、収納部材15が連結部13と収容部14のどちらを備えているかを検知するようにしてもよい。
【0023】
さらに、物品管理部22には、所定の交換処理にて、収納部材15に対して連結部13に連結される物品12の交換、追加または削減や、収納部材15に対する連結部13と収容部14の交換を行うための交換部27が設けられている。交換部27は、開閉可能とするカバーで覆われ、内部に収納部材15を挿入する交換孔が設けられている。そして、交換部27は、所定の権限を有する管理者による所定の操作に基づき、交換部27の交換孔に挿入された収納部材15に対して交換処理を実行可能な状態とする。なお、交換部27は、収納部材15がICタグを有する場合、交換部27に挿入される収納部材15のICタグに情報を書き込むことができるICタグ用ライタまたは読み書きできるICタグ用リーダライタを備えていてもよい。この場合、収納部材15のICタグに、収納部材15の情報、物品12の情報、連結部13と収容部14のどちらを備えるかの情報等を読み取り、書き込み、または書き換えるようにしてもよい。
【0024】
また、表扉18は、本体17の前面側の物品管理部22を開閉可能で、物品管理部22の閉鎖時には本体17に対して施錠可能とし、物品管理部22の開放時にはプリンタ部20とは反対側となる本体17の側部に折り畳んで配置可能とする。
【0025】
また、表示操作部19は、タッチパネルディスプレイが用いられている。表示操作部19は、使用者に対して操作案内等の情報を表示する表示部、および使用者からの各種操作の入力を受け付ける入力部である。
【0026】
また、プリンタ部20は、収納部材15の抜き取り履歴および返却履歴、各種の履歴等をロール紙等の用紙に印字する。印字された用紙は、プリンタ部20内の巻き取り部に巻き取られるか、プリンタ部20の前面側から導出される。なお、プリンタ20は物品管理装置11に必須の構成ではない。
【0027】
【0028】
収納部材15は、前後方向を長手方向とする長尺な略四角柱形状に形成されている。収納部材15は、収納部23に挿入される挿入部30と、この挿入部30との間に連結部13または収容部14を着脱可能に装着する装着部31とを備えている。収納部材15の後端側に挿入部30が設けられ、この挿入部30の前端側に装着部31が設けられている。
【0029】
挿入部30の後端側の左右両側には、収納部23に挿入されて収納された状態で錠機構24が係脱される係止部32が設けられている。挿入部30は、収納部23に挿入されて収納された状態で錠機構24により施錠、解錠され、施錠時に収納部23から抜き取り不可とされる。また、挿入部30の前端側の左右両側には、連結部13または収容部14の一部が挿通される挿通部である溝部33が設けられている。溝部33は、挿入部30の前端側に開口されており、挿入部30の前端側に設けられる装着部31によって開閉可能とされている。
【0030】
装着部31は、挿入部30に対して前後方向に移動可能に設けられている。装着部31は、挿入部30の溝部33の前端側を閉塞する閉塞位置で挿入部30の内部に設けられる係止構造により着脱可能に係止される。装着部31は、交換部27において実行される収納部材15の所定の交換処理にて挿入部30の内部に設けられている係止構造による係止が解除され、挿入部30から前方の開放位置へ移動可能となる。装着部31が挿入部30から前方の開放位置に移動すると、連結部13または収容部14の着脱が可能となって、連結部13に対する物品12の交換、追加または削減、あるいは連結部13と収容部14との交換が可能となる。
【0031】
収納部材15は、例えばRFIDタグなどのICタグを備えている。ICタグには、収納部材15の情報、収納部材15が備える物品12の情報、収納部材15が連結部13と収容部14のどちらを備えるかの情報等の少なくともいずれかが記憶される。収納部材15のICタグへの情報の記憶は、収納部23または交換部27が備えるICタグ用ライタまたはICタグ用リーダライタで実行可能とする。
【0032】
また、連結部13は、金属製の線材により、一部が分離されたリング状に形成されている。連結部13は、分離部分の一端から物品12を通し、物品12を連結する。連結対象とする物品12には、連結部13が挿通可能な孔のある例えば鍵等が含まれる。連結部13の分離部分の両端部は、装着部31が開放位置に移動した状態で挿入部30の溝部33に着脱可能に装着され、装着部31が閉塞位置に移動した状態で溝部33内に回動可能に保持される。連結部13の両端部は、例えば略L字状に折曲されており、収納部材15に装着された状態で溝部33から取り外せない状態となる。
【0033】
また、収容部14は、物品12を着脱可能に収容する容器35を備えている。容器35は、容器本体36と、この容器本体36に開閉可能に設けられたカバーである開閉部37とを備えている。収容部14が収容対象とする物品12は、例えば、判子、メモリ媒体(USBメモリ、メモリカード等)、カード、あるいは孔のない鍵(孔のある鍵でもよい)等が含まれる。これらのうちUSBメモリには孔があるものもあるので、連結部13に連結して管理することも可能であるが、その場合、USBメモリのコネクタが露出可能であるため、セキュリティ的に好ましくないので、収容部14にて管理する方がよい。本実施形態に示す収容部14は、判子やUSBメモリ等の柱状形状の物品12の収容に適した形状に形成されている。
【0034】
容器本体36は、前面部39、両側の側面部40、上面部41および下面部42(
図4参照)を備え、背面側に開口部43を有する箱状に形成されている。容器本体36は、例えば金属製で、前面部39の両側、上側および下側のそれぞれから、後側に向けて側面部40、上面部41および下面部42が折曲されて一体に形成されている。
【0035】
容器本体36の両側の側面部40は、側面部40の前後方向の後側位置から上方に突出する突出部44を有している。両側の側面部40(突出部44を含む)の内側間隔は収納部材15の幅よりも広く、両側の突出部44が収納部材15の両側に配置可能とされている。両側の突出部44には、収納部材15の溝部33に挿通配置される連結軸45が設けられている。連結軸45は、収納部材15の装着部31が開放位置に移動した状態で挿入部30の溝部33に着脱可能に装着され、装着部31が閉塞位置に移動した状態で溝部33内に回動可能に保持されるとともに外れなくなる。また、上面部41は、側面部40よりも後方への長さが短く、上面部41の後方に収納部材15が配置可能となっている。これにより、容器本体36は、連結軸45を中心として収納部材15に対して所定の範囲で回動可能に連結されている。
【0036】
開閉部37は、
図4に示すように、背面部47、両側の側面部48、上面部49および下側の軸受部50を有している。開閉部37は、例えば金属製で、背面部47の両側、上側および下側のそれぞれから、前側に向けて側面部48、上面部49および軸受部50が折曲されて一体に形成されている。
【0037】
開閉部37は、軸受部50を挿通する回動軸51により容器本体36の下部側に回動可能に連結されている。軸受部50は、筒状に屈曲され、容器本体36の両側の側面部40間に配置され、両側の側面部40を通じて回動軸51が回動可能に挿通されている。そして、開閉部37は、回動軸51を中心として、容器本体36の背面側の開口部43を開放する開放位置と、開口部43を閉塞する閉塞位置との間で回動可能とされている。
【0038】
開閉部37の背面部47には、収納部材15の挿入部30が挿通可能とする挿通口52が形成されている。挿通口52は、回動軸51から離反した開閉部37の回動先端側に設けられている。
【0039】
開閉部37の両側の側面部48の内側間隔は容器本体36の両側の側面部40の外側間隔よりも広く、開閉部37の閉塞位置では両側の側面部48が容器本体36の両側の側面部40の外側に重なって配置される。開閉部37の背面部47および両側の側面部48の上部側と上面部49は、開閉部37の閉塞位置では、容器本体36および連結軸45よりも上方に配置され、上面部49が開閉部37の挿通口52に挿通された収納部材15の上側に配置される。
【0040】
さらに、収容部14は、外部から内部を視認可能とする視認部53を備えている。視認部53は、収容部14に開口された孔部54である。孔部54は、収容する物品12が通過しない開口寸法形状に設けられている。孔部54は、容器本体36の前面部39および側面部40、および開閉部37の背面部47の各面に設けられている。孔部54は、各面に横長に形成されているとともに、上下方向に複数設けられている。また、孔部54は、このような形態に限らず、縦長や、斜めに形成されていてもよく、あるいはパンチングメタルのような複数の丸孔であってもよい。
【0041】
なお、収容部14は、視認部53として、孔部54の代わりに、収容部14の少なくとも一部に外部から内部を透過可能とする透過部を備えていてもよい。透過部は、例えば樹脂等の透明な部材で構成され、容器本体36の一部に窓状に設けられてもよいし、容器本体36自体が透明な部材で設けられていてもよく、同様に、開閉部37にも設けられていてもよい。
【0042】
【0043】
物品管理装置11は、使用者とこの使用者に対して使用が許可される特定の物品12とを関連付けて予め登録しておき、使用者を認証して物品管理装置11にログインする形で、使用者による特定の物品12の抜き取りまたは返却を可能としている。
【0044】
物品管理装置11は、物品管理装置11を制御する制御部61を有している。制御部61には、表示部および入力部である表示操作部19と、各収納部23の錠機構24、第1検知部25および第2検知部26と、交換部27と、各種の情報を記憶する記憶部62と、報知をするための報知部63とが接続されている。報知部63は、表示操作部19での表示による報知や、スピーカ等を用いた音や音声等による報知が含まれる。
【0045】
制御部61は、物品管理装置11のログイン時に、使用者を認証する認証部の機能を備えている。認証部は、使用者の生体情報で認証してもよく、あるいはカードリーダを用いて使用者のIDカードにより認証したり、表示操作部19でのID番号やパスワードの入力により認証してもよい。
【0046】
次に、物品管理装置11の全体の処理について説明する。
【0047】
図1には、物品管理装置11の中段および下段の複数の収納部23にて、連結部13を備えた複数の収納部材15を収納して物品12を管理し、また、上段の収納部23にて、収容部14を備えた複数の収納部材15を収納して物品12を管理する例を示す。
【0048】
物品管理装置11で管理されている物品12を使用するために収納部材15を抜き取る場合、使用者により表示操作部19で抜き取りが操作されることにより、物品管理装置11は使用者の認証処理を実行する。認証により使用者が特定されると、使用者に対して使用が許可されている特定の物品12に対応する収納部材15を収納する収納部23の錠機構24を解錠する。使用者は、解錠された収納部材15を収納部23から抜き取る。収納部材15の抜き取りを第1検知部25で検知すると、使用者の情報、抜き取られた収納部材15や物品12の情報等を含む抜き取り履歴を記憶部62に記憶する。そして、使用者は、抜き取った収納部材15が備える物品12を使用する。
【0049】
一方、収納部材15を返却する場合には、認証有の場合と、認証無の場合とがある。認証有の場合、使用者により表示操作部19で返却が操作されることにより、物品管理装置11は使用者の認証処理を実行する。認証により使用者が特定された後、収納部材15が対応する収納部23に挿入されることにより、第1検知部25で収納部材15の返却を検知し、収納部材15の返却を受け付け、収納部材15を収納部23の錠機構24で施錠する。また、認証無の場合には、収納部材15が対応する収納部23に挿入されることにより、第1検知部25で収納部材15の返却を検知し、収納部材15の返却を受け付け、収納部材15を収納部23の錠機構24で施錠する。なお、認証無の場合、使用者により表示操作部19で返却が操作されることにより、収納部材15を対応する収納部23に収納可能としてもよい。また、収納部材15の返却を受け付けると、使用者の情報(認証有の場合)、返却された収納部材15や物品12の情報等を含む返却履歴を記憶部62に記憶する。
【0050】
これら収納部材15の抜き取りおよび返却は、連結部13を有する収納部材15および収容部14を有する収納部材15とも同様の処理にて行われる。
【0051】
次に、
図4ないし
図6において、収容部14を備えた収納部材15を用いた物品12の管理について説明する。
【0052】
図4には収納部材15が収納部23から抜き取られている状態を示す。
図4、
図5および
図6の順に、上述した収納部材15の返却時の処理状態を示す。
【0053】
開閉部37が容器本体36に閉じている場合には、開閉部37を容器本体36から開く。物品12を開口部43から容器本体36に収容する。
図4に示す物品12としては例えば判子の例を示す。
【0054】
物品12を容器本体36に収容した後、開閉部37を容器本体36に閉じる。このとき、
図4に示すように、収納部材15の前後方向と容器本体36の上下方向とが略直交する状態にある場合であって、例えば
図5および
図6に示すように収納部材15と容器本体36の位置関係が開閉部37を容器本体36に閉じた状態と同じ状態にある場合、回動軸51を中心として開閉部37を閉じる方向に回動させたとしても、開閉部37の回動先端側の上面部49が収納部材15の挿入部30の後端側や下面側に当接し、開閉部37を容器本体36に閉じることができない。この場合、収納部材15に対して連結軸45を中心として
図4左方向であって容器本体36の下部側が収納部材15の後端側に近付く方向に容器本体36を回動させながら、回動軸51を中心として閉じる方向に開閉部37を回動させることにより、開閉部37の挿通口52に収納部材15の挿入部30を通すことができる。開閉部37の挿通口52に収納部材15の挿入部30を通したら、収納部材15に対して連結軸45を中心として上記とは反対方向であって容器本体36の下部側が収納部材15の後端側から離れる方向に容器本体36を回動させながら、開閉部37の回動先端側を収納部材15の前端側に向けて移動させ、
図5に示すように、開閉部37を容器本体36に閉じる。
【0055】
開閉部37を容器本体36に閉じた状態では、開閉部37が容器本体36の開口部43を閉塞し、開閉部37の両側の側面部48が容器本体36の両側に重なって配置されるとともに、開閉部37の上面部49が収納部材15の上側に配置される。なお、この状態では、開閉部37を容器本体36に閉じただけで、開閉部37は容器本体36に係止されていないが、例えば爪構造等により閉じた開閉部37が容器本体36に仮止め状態に係止されるようにしてもよい。
【0056】
図5および
図6の順に示すように、収納部材15の挿入部30を所定の収納部23に挿入し、収納する。
【0057】
収納部材15が収納部23に収納された際、第2検知部26で収納部23に収納された収納部材15が連結部13と収容部14のどちらを備えているかを検知する。そして、収容部14を備えている場合には、報知部63により管理対象の物品12に関する情報を報知する。例えば、報知部63は、「物品が間違いなく収容されていることを確認してください」、「管理番号〇番のUSBメモリが収容されていることを確認してください」等の物品12に関する情報を表示操作部19の表示や音声出力により報知する。この報知を受けた使用者は、収容部14の内部を確認し、物品12の収容し忘れや収容間違いに気付きやすくできる。このとき、収納部材15が収納部23に収納された状態では、収容部14に設けられている孔部54を通じて収容部14の外部から内部を視認できるため、収容部14に物品12が収容されているか否か、収容されている場合にはどのような物品12が収容されているかを確認することができる。
【0058】
そして、収納部23に収納された収納部材15の返却を受け付けると、収納部23に収納された収納部材15が収納部23の錠機構24により施錠される。
図6に示すように、収納部23に収納した収納部材15が施錠された状態では、開閉部37の開放領域が収納部23側である物品管理部22の前面側に重なることにより、開閉部37を容器本体36から開く方向に回動させることはできない。そのため、容器本体36の開口部43は開閉部37で閉塞された状態に保持され、収容部14に収容された物品12は取り出すことができない。また、仮に、収容部14の下部側を前方に回動させようとした場合でも、連結軸45よりも上方に位置する開閉部37の上部側が物品管理部22の前面側に当接するため、収容部14を回動させることはできず、物品12を取り出すことはできない。
【0059】
一方、上述した収納部材15の抜き取り時においては、認証後に、
図6および
図5の順に示すように、収納部材15が収納部23から抜き取られる。
【0060】
収納部23から抜き取られた収納部材15は、開閉部37が容器本体36に閉じており、収納部材15の前後方向と容器本体36の上下方向とが略直交する状態にあるため、回動軸51を中心として開閉部37が開く方向に回動しようとしても、開閉部37の上部側の上面部49が収納部材15の上面側に引っ掛かり、開閉部37が不用意に開くことがない。そのため、収納部23から抜き取った収納部材15を持ち運ぶ際等に、開閉部37が不用意に開くことによる物品12の落下や、それに伴う物品12の紛失を防止することができる。
【0061】
開閉部37を容器本体36から開くには、収納部材15に対して連結軸45を中心として
図5左方向であって容器本体36の下部側が収納部材15の後端側に近付く方向に容器本体36を回動させながら、開閉部37の回動先端側を収納部材15の後端側に向けて移動させつつ、回動軸51を中心として開く方向に開閉部37を回動させ、開閉部37の挿通口52を挿入部30の後端側から抜き取る。これにより、
図4に示すように、開閉部37を開放し、容器本体36から物品12を取り出すことができる。
【0062】
また、所定の交換処理の実行にて、収納部材15の連結部13に連結される物品12の交換、追加または削減が可能となっている。
【0063】
所定の交換処理では、所定の権限を有する管理者が認証後に交換を指示し、交換部27のカバーを開け、収納部材15を交換部27の交換孔に挿入することにより、交換部27にて収納部材15に対して交換処理を実行可能な状態とする。すなわち、挿入部30の内部に設けられている係止構造による装着部31の係止を解除する。
【0064】
交換処理を実行可能な状態となった収納部材15の装着部31を挿入部30から前方へ移動させ、挿入部30の溝部33の前端側を開放し、連結部13を溝部33から外し、連結部13に連結する物品12を交換、追加または削減した後、連結部13を溝部33に戻し、装着部31を後方に移動させて挿入部30に係止させる。
【0065】
連結部13に連結される物品12の交換、追加または削減に伴い、管理者により、収納部材15と物品12との関連付けや使用者の権限等の設定を変更する。
【0066】
また、物品管理装置11で管理する物品12の種類や種類毎の個数等の状況に応じ、所定の交換処理の実行にて、収納部材15に対して連結部13と収容部14を交換することが可能となっている。
【0067】
所定の交換処理では、所定の権限を有する管理者が認証後に交換を指示し、交換部27のカバーを開け、収納部材15を交換部27の交換孔に挿入することにより、交換部27にて収納部材15に対して交換処理を実行可能な状態とする。すなわち、挿入部30の内部に設けられている係止構造による装着部31の係止を解除する。
【0068】
収納部材15に対して連結部13から収容部14に交換する場合、交換処理を実行可能な状態となった収納部材15の装着部31を挿入部30から前方へ移動させ、挿入部30の溝部33の前端側を開放し、連結部13を溝部33から外した後、収容部14の連結軸45を挿入部30の溝部33に配置し、装着部31を後方に移動させて挿入部30に係止させる。なお、収納部材15に対して収容部14から連結部13に交換する場合も同様に行われる。
【0069】
収納部材15に対して連結部13と収容部14を交換するのに伴い、管理者により、収納部材15と物品12との関連付け、収納部材15と連結部13または収容部14との関連付け、使用者の権限等の設定を変更する。
【0070】
なお、
図1に示す物品管理装置11では、連結部13を備えた収納部材15と、収容部14を備えた収納部材15とが混在している例を示すが、収容部14を備えた収納部材15のみで物品12を管理してもよい。
【0071】
そして、以上のように構成された物品管理装置11では、物品12が収容される収容部14を備えた収納部材15を用いるため、連結部13を利用することができない物品12でも収容部14に収容して管理することが可能となり、より多種の物品12を柔軟に管理できる。
【0072】
また、収納部材15は、連結部13と収容部14とを交換可能に構成されているため、収納部材15を共用できるうえに、物品管理装置11で管理する物品12の種類や種類毎の個数等の状況に応じて柔軟に対応できる。
【0073】
この収納部材15の連結部13と収容部14との交換は、収納部材15に対して連結部13に連結される物品12の交換、追加または削減のために備えている交換部27を利用し、交換部27での所定の交換処理にて実行可能とするため、交換手段を別途用いずとも、容易に交換ができる。
【0074】
また、第2検知部26により収納部材15が連結部13と収容部14のどちらを備えているかを検知するため、それぞれに適した対応が可能となる。例えば、収容部14を備えている場合、報知部63により、収容部14に収納されるべき物品12に関する情報を報知し、物品12の収容忘れや収容間違いを防止することができる。
【0075】
また、収納部材15が収納部23に収納された状態で収容部14の開閉部37は開くことが不可能な状態となり、収納部材15が収納部23から抜き取られた状態で収容部14の開閉部37は開くことが可能な状態となるため、収納部材15を収納部23に対する着脱に応じて、物品12の取り出し不可状態と取り出し可能状態とを自動的に切り換えることができ、収容部14を簡単かつ安価に構成できる。
【0076】
この場合、収納部材15が収納部23に収納された状態では、収容部14の開閉部37の開放領域が収納部23側である物品管理部22の前面側に重なることにより、開閉部37を開くことが不可能な状態に構成できる。
【0077】
なお、収容部14は、容器本体36を備えていれば、開閉部37を備えていなくてもよい。この場合、収納部材15が収納部23に収納された状態で収容部14の開口部43が閉塞され、収納部材15が収納部23から抜き取られた状態で収容部14の開口部43が開放可能となるため、収納部材15を収納部23に対する着脱に応じて、物品12の取り出し不可状態と取出可能状態とを自動的に切り換えることができ、収容部14を簡単かつ安価に構成できる。この場合、容器本体36の側面部40が連結軸45よりも上下方向に突出する突出量を確保しておくことにより、収納部材15が収納部23に収納された状態で、容器本体36が連結軸45を中心として上方および下方に回動しないように規制でき、容器本体36内の物品12の取り出しを防止できる。
【0078】
また、収容部14が内部を視認可能とする視認部53を備えることにより、収容部14の内部に物品12が収容されているか否か、収容されている場合にはどのような物品12が収納されているかを確認することができる。しかも、収納部14が視認部53として孔部54を備える場合、収容部14を軽量化でき、収容部14を備える収納部材15の取扱性を良好にできる。
【0079】
なお、収容部14の形状、寸法、材質、色等は、物品12の特性や用途に応じて柔軟に変えてもよい。例えば、セキュリティ性を重視して、収容部14は外部から内部の物品12を視認することができないように、不透明な部材で構成してもよい。逆に、便利さを重視して、収容部14は透明な部材で構成してもよい。
【0080】
物品12が例えば自動車用のスマートキー等の場合、スマートキーが発する電波を増幅して中継することによる自動車の解錠、エンジンスタートを行うリレーアタック対策として、収容部14は電波を通さないあるいは通し難い材質および構造で構成してもよい。
【0081】
物品12が比較的大きく、この物品12の大きさに対応して収容部14も大きくなり、収納部材15を収納部23に収納した際に収容部14が他の収納部23に干渉をする場合は、干渉する他の収納部23は無効にしてもよい。
【0082】
また、収納部材15は、連結部13と収容部14を交換可能としたが、交換不可なものでもよい。この場合、連結部13を一体的に設けた収納部材15と、収容部14を一体的に設けた収納部材(連結用収納部材)15とを用い、これら収納部材15のいずれについても収納部23に着脱可能に収納できるようにすればよい。
【0083】
また、物品12に例えばRFIDタグなどのICタグを設け、収納部23に設けた検知部(例えば第2検知部26)で物品12のICタグを検知、認識することにより、物品12が実際に返却されているか否か検知してもよい。この場合、収納部材15の返却時において、物品12の実際の返却が検知できないと、収納部材15の返却処理を完了できないようにしてもよい。なお、物品12がスマートキー等の電波を発する物品12の場合、収納部23に設けた検知部(例えば第2検知部26)で物品12が発する電波を検知し、物品12が実際に返却されているか否か検知してもよい。
【0084】
以上、本発明の実施の形態およびその変形例について説明したが、種々の構成の組み合わせ、一部の省略、置き換えおよび変更も可能である。
【符号の説明】
【0085】
10 物品管理システム
11 物品管理装置
12 物品
13 連結部
14 収容部
15 収納部材
23 収納部
26 検知部である第2検知部
27 交換部
37 開閉部
43 開口部
53 視認部
63 報知部