(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】窓安定化機構
(51)【国際特許分類】
B60J 1/00 20060101AFI20231017BHJP
E05F 7/04 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
B60J1/00 F
E05F7/04
(21)【出願番号】P 2020131702
(22)【出願日】2020-08-03
【審査請求日】2022-12-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100142871
【氏名又は名称】和田 哲昌
(74)【代理人】
【識別番号】100094743
【氏名又は名称】森 昌康
(74)【代理人】
【識別番号】100175628
【氏名又は名称】仁野 裕一
(72)【発明者】
【氏名】村上 淳一
(72)【発明者】
【氏名】葉田 祐介
(72)【発明者】
【氏名】増井 航平
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-207287(JP,A)
【文献】特開2007-170114(JP,A)
【文献】特開2000-291323(JP,A)
【文献】特開平05-310040(JP,A)
【文献】特開平07-076218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 1/00
E05F 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業車両のキャビンの窓の一方側に設けられた第1キャビンフレーム上に設けられ、第1端と、前記レールの長さ方向において前記第1端と反対の第2端と、を有するレールと、
前記窓に設けられ、前記窓の開閉に応じて前記レール上を摺動し前記窓を案内するように構成され、前記窓が開けられたときに前記第1端に位置し、前記窓が閉じられたときに第2端に位置する摺動部材と、
前記窓が閉じられたときに前記窓を前記第1キャビンフレームに対して係止するように構成されたロック機構と、
前記窓が閉じられたときに前記窓と当接し、前記窓が前記ロック機構によって係止されたとき
に斜め方向に前記窓を押圧する窓支持部材と、
を備え
、
前記斜め方向は、前記窓支持部材から前記レールに向かい、且つ、前記窓支持部材から前記ロック機構へ向かう方向である、窓安定化機構。
【請求項2】
前記窓の前記一方側の反対の他方側に前記第1キャビンフレームに対向するように設けられた第2キャビンフレーム上に設けられ、第3端と、前記レールの長さ方向において前記第3端と反対の第4端と、を有する追加レールと、
前記窓に設けられ、前記窓の開閉に応じて前記追加レール上を摺動し前記窓を案内するように構成され、前記窓が開けられたときに前記第3端に位置し、前記窓が閉じられたときに第4端に位置する追加摺動部材と、
前記窓が閉じられたときに前記窓を前記第2キャビンフレームに対して係止するように構成された追加ロック機構と、
前記窓が閉じられたときに前記窓と当接し、前記窓が前記ロック機構によって係止されたとき
に追加斜め方向に前記窓を押圧する追加窓支持部材と、
を備え
、
前記追加斜め方向は、前記追加窓支持部材から前記追加レールに向かい、且つ前記追加窓支持部材から前記追加ロック機構へ向かう方向である、請求項1に記載の窓安定化機構。
【請求項3】
作業車両のキャビンの窓の一方側に設けられた第1キャビンフレーム上に設けられ、第1端と、前記レールの長さ方向において前記第1端と反対の第2端と、を有するレールと、
前記窓に設けられ、前記窓の開閉に応じて前記レール上を摺動し前記窓を案内するように構成され、前記窓が開けられたときに前記第1端に位置し、前記窓が閉じられたときに第2端に位置する摺動部材と、
前記窓が閉じられたときに前記窓を前記第1キャビンフレームに対して係止するように構成されたロック機構と、
前記窓が閉じられたときに前記窓と当接し、前記窓が前記ロック機構によって係止されたときに、前記窓から前記レールに向かい、且つ、前記第2端から前記第1端へ向かう斜め方向に前記窓を押圧する窓支持部材と、
を備え、
前記窓支持部材は、
前記窓と当接するための弾性体の当接部材と、
前記第1キャビンフレームと前記第2キャビンフレームとを接続する第3キャビンフレームと前記当接部材とを接続するピンと、
を含む
、窓安定化機構。
【請求項4】
前記窓支持部材は、前記ピンに接続し、前記ピンの長さ方向における前記当接部材と前記第3キャビンフレームとの距離を調整するように構成された調整部材をさらに有する、請求項3に記載の窓安定化機構。
【請求項5】
前記窓に設けられ、前記斜め方向において前記当接部材と当接するように構成された受け部材をさらに備える、
請求項3または4に記載の窓安定化機構。
【請求項6】
前記ロック機構は前記窓が閉じられたときに前記レールの前記第1端の近傍に位置し、
前記窓支持部材は前記レールの前記第2端の近傍に設けられる、
請求項1に記載の窓安定化機構。
【請求項7】
前記追加ロック機構は前記窓が閉じられたときに前記追加レールの前記第3端の近傍に位置し、
前記追加窓支持部材は前記追加レールの前記第4端の近傍に設けられる、
請求項2に記載の窓安定化機構。
【請求項8】
前記窓は、前記キャビンの前窓である、
請求項1から7のいずれかに記載の窓安定化機構。
【請求項9】
作業車両のキャビンの窓の一方側に設けられた第1キャビンフレーム上に取り付けられたレールと、
前記窓に設けられ、前記窓の開閉に応じて前記レール上を摺動し前記窓を案内するように構成された摺動部材と、
前記第1キャビンフレームに取り付けられ、前記窓が閉じられたときに前記第1キャビンフレームと前記窓との間の隙間を密閉するシール機構と、
前記窓が閉じられたときに前記窓を前記第1キャビンフレームに対して係止するように構成されたロック機構と、を備え、
前記シール機構は、
内部空間を有する弾性体のシール枠体と、
前記内部空間に設けられた第1付加弾性体と、を備え、
前記内部空間のうち、前記窓が閉じられたときに前記ロック機構の近傍に位置する部分には、前記第1付加弾性体が設けられていない、窓安定化機構。
【請求項10】
前記作業車両の前後方向の前記シール枠体の弾性率は、前記前後方向の前記第1付加弾性体を含む前記シール枠体の弾性率よりも小さい、
請求項9に記載の窓安定化機構。
【請求項11】
前記レール及び前記第1キャビンフレームは前記作業車両の高さに沿う高さ方向に延びる、請求項9または10に記載の窓安定化機構。
【請求項12】
前記ロック機構は、前記窓が閉じられたときに前記レールの前記高さ方向の上端の近傍に位置する、
請求項11に記載のスライド機構。
【請求項13】
前記高さ方向の前記シール枠体の上端から前記シール枠体の高さの15%の範囲内の前記内部空間には、前記第1付加弾性体が設けられていない、
請求項12に記載の窓安定化機構。
【請求項14】
前記窓の前記一方側の反対の他方側に前記第1キャビンフレームに対向するように設けられた第2キャビンフレーム上に取り付けられた追加レールと、
前記窓に設けられ、前記窓の開閉に応じて前記追加レール上を摺動し前記窓を案内するように構成された追加摺動部材と、
前記第2キャビンフレームに取り付けられ、前記窓が閉じられたときに前記第2キャビンフレームと前記窓との間の隙間を密閉する追加シール機構と、
前記窓が閉じられたときに前記窓を前記第2キャビンフレームに対して係止するように構成された追加ロック機構と、をさらに備え、
前記追加シール機構は、
追加内部空間を有する弾性体の追加シール枠体と、
前記追加内部空間に設けられた第2付加弾性体と、を備え、
前記追加シール枠体の前記追加内部空間のうち、前記窓が閉じられたときに前記追加ロック機構の近傍に位置する部分には、前記第2付加弾性体が設けられていない、
請求項9から13のいずれかに記載の窓安定化機構。
【請求項15】
前記窓は、前記キャビンの前窓である、
請求項9から14のいずれかに記載の窓安定化機構。
【請求項16】
前記第1付加弾性体が設けられた前記内部空間には、空隙を有する、請求項9から15のいずれかに記載の窓安定化機構。
【請求項17】
前記第2付加弾性体が設けられた前記追加内部空間には、空隙を有する、請求項14に記載の窓安定化機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓安定化機構に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、作業車両のキャビンの開閉自在の前窓を示している。当該前窓には、開閉を規制するロック手段が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業車両は走行時に振動するため、特許文献1の前窓においてロック手段から離れた部分のガタツキを抑止することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1態様に係る窓安定化機構は、レールと、摺動部材と、シール機構と、ロック機構と、を備える。レールは、作業車両のキャビンの窓の一方側に設けられた第1キャビンフレーム上に取り付けられる。摺動部材は、窓に設けられ、窓の開閉に応じてレール上を摺動し窓を案内するように構成される。シール機構は、第1キャビンフレーム上に取り付けられ、窓が閉じられたときに第1キャビンフレームと窓との間の隙間を密閉する。ロック機構は、窓が閉じられたときに窓を第1キャビンフレームに対して係止するように構成される。シール機構は、シール枠体と、第1付加弾性体とを備える。シール枠体は、弾性体であって、内部空間を有する。第1付加弾性体は、内部空間に設けられる。シール枠体の内部空間のうち、窓が閉じられたときにロック機構の近傍に位置する部分には、第1付加弾性体が設けられていない。
【0006】
本開示の第2態様に係る窓安定化機構は、レールと、摺動部材と、ロック機構と、窓支持部材と、を備える。レールは、作業車両のキャビンの窓の一方側に設けられた第1キャビンフレーム上に設けられ、第1端と、前記レールの長さ方向において前記第1端と反対の第2端と、を有する。摺動部材は、窓に設けられ、窓の開閉に応じてレール上を摺動し窓を案内するように構成される。摺動部材は、窓が開けられたときに第1端に位置し、窓が閉じられたときに第2端に位置する。ロック機構は、窓が閉じられたときに窓を第1キャビンフレームに対して係止するように構成される。窓支持部材は、窓が閉じられたときに窓と当接し、窓がロック機構によって係止されたときに、窓から前記レールに向かい、且つ、第2端から第1端へ向かう斜め方向に窓を押圧する。
【発明の効果】
【0007】
本願に開示される技術によれば、例えば、ロック手段から離れた部分のガタツキを抑止することが可能なキャビンの窓安定化機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】
図4は、キャビンの窓が閉じられているときに窓をキャビン内部から見た図である。
【
図5】
図5は、窓が閉じられているときのロック機構付近の拡大図である。
【
図6】
図6は、窓が閉じられているときの追加ロック機構付近の拡大図である。
【
図7】
図7は、キャビンの右側フレームを表示した図である。
【
図8】
図8は、キャビンの左側フレームを表示した図である。
【
図9】
図9は、窓が開けられているときの
図7のIX-IX'切断線による断面図である。
【
図10】
図10は、窓が開けられているときの
図7のX-X'切断線による断面図である。
【
図11】
図11は、窓が閉じられているときの
図7のXI-XI'切断線による断面図である。
【
図12】
図12は、窓が閉じられているときの
図7のXII-XII'切断線による断面図である。
【
図13】
図13は、窓が閉じられているときの幅方向に見た窓支持部材付近の拡大図である。
【
図15】
図15は、窓が閉じられているときの窓支持部材周辺の拡大斜視図である。
【
図16】
図16は、窓が閉じられているときの幅方向に見た追加窓支持部材付近の拡大図である。
【
図18】
図18は、窓が閉じられているときの追加窓支持部材周辺の拡大図である。
【
図19】
図19は、第1付加弾性体、第2付加弾性体が設けられない領域の別例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。なお、図中において同じ符号は、対応するまたは実質的に同一の構成を示している。
<実施形態>
<全体構成>
【0010】
図1及び
図2を参照すると、作業車両1、例えばコンパクトトラックローダは、車体フレーム2と、走行装置3と、作業装置4と、キャビン5とを備えている。車体フレーム2は、走行装置3、作業装置4、及び、キャビン5を支持する。図示の実施形態では、走行装置3は、履帯式の走行装置である。このため、走行装置3は、駆動輪31、従動輪32、33、及び、転輪34を含む。ただし、走行装置3は、履帯式走行装置に限定されない。走行装置3は、例えば、前輪/後輪走行装置であってもよいし、前輪と後部クローラとを有する走行装置であってもよい。作業装置4は、作業装置4の末端(distal end)に器具(work equipment)(バケット)41を含む。作業装置4の基端(proximal end)は、車体フレーム2の後部に取り付けられている。作業装置4は、バケットピボット軸43を介してバケット41を回転可能に支持するための一対のアーム機構42を含む。一対のアーム機構42のそれぞれは、リンク44とアーム45を含む。
【0011】
リンク44は、支点軸(fulcrum shaft)46の周りで車体フレーム2に対して回転可能である。アーム45は、ジョイント軸(joint shaft)47の周りでリンク44に対して回転可能である。作業装置4は、複数のアームシリンダ48と少なくとも1つの器具シリンダ(equipment cylinder)49とをさらに含む。複数のアームシリンダ48のそれぞれは、車体フレーム2およびアーム45に回転可能に接続され、リンク44およびアーム45を移動させて、バケット41を昇降させる。少なくとも1つの器具シリンダ49は、バケット41を傾けるように構成される。キャビン5は、車体フレーム2の前部に取り付けられている。作業車両1は、キャビン5の前方に窓51を備え、キャビン5内に運転席52および操作装置(図示せず)を備えている。窓51は、キャビン5の前窓である。キャビン5は、キャビンフレーム7によって定義される。
図2に示されるように、キャビンフレーム7は、車体フレーム2上の回動軸(rotational shaft)RSL及びRSR周りに回転可能である。
図1及び
図2では、回動軸RSL及びRSRによって規定される共通の回転軸線(rotational axis)A
XCを図示している。
【0012】
なお、本願に係る実施形態において、前後方向DFB(前方向DF/後方向DB)とは、キャビン5の運転席52に着座したオペレータから見て前後方向(前方向/後方向)を意味する。左方向DL、右方向DR、幅方向DWとは、当該オペレータから見てそれぞれ、左方向、右方向、左右方向を意味する。上方向DU、下方向DD、高さ方向DHとは、当該オペレータから見て上方向、下方向、高さ方向を意味する。作業車両1の前後/左右(幅)/上下(高さ)方向とは、それぞれ、当該オペレータから見た前後/左右(幅)/上下(高さ)方向と一致するものとする。
【0013】
図1は、作業車両1の左側を示している。
図2に示すように、車体フレーム2は、車体中央面Mに対して概ね面対称であり、一対のアーム機構42のうち、車体中央面Mに対して左側に設けられるアーム機構42が第1アーム機構42Lとして、車体中央面Mに対して右側に設けられるアーム機構42が第2アーム機構42Rとして示されている。車体中央面Mに対して左側に設けられるリンク44が第1リンク44Lとして示されている。車体中央面Mに対して左側に設けられるアーム45が第1アーム45Lとして、車体中央面Mに対して右側に設けられるアーム45が第2アーム45Rとして示されている。車体中央面Mに対して左側に設けられる支点軸46が第1支点軸46Lとして、車体中央面Mに対して右側に設けられる支点軸46が第2支点軸46Rとして示されている。車体中央面Mに対して左側に設けられるジョイント軸47が第1ジョイント軸47Lとして、車体中央面Mに対して右側に設けられるジョイント軸47が第2ジョイント軸47Rとして示されている。
【0014】
図1及び
図2を参照すると、作業車両1は、車体フレーム2の後部に設けられたエンジン6をさらに備える。エンジン6は、走行装置3および作業装置4に駆動力を提供するように構成されている。エンジン6は、作業車両1の幅方向D
Wにおいて、一対のアーム機構42の間に設けられている。作業車両1は、エンジン6を覆うためのカバー8をさらに備える。作業車両1は、車体フレーム2の後端に設けられているボンネットカバー9をさらに備える。ボンネットカバー9は、開閉可能であり、保守員がエンジン6などの保守作業を行うことができる。
【0015】
図3は、キャビン5を前方D
Fから見た図である。
図1~3を参照すると、作業車両1は、バケット41上と一対のアーム機構42を連結する連結フレーム42C上に、それぞれステップST1、ST2を備える。運転者は、ステップST1、ST2に乗り、窓51に設けられた取っ手53、54を持って、窓51を上方にスライドさせて窓51を開け、キャビン5に乗り込むことができる。
図4は、キャビン5の窓51が閉じられているときに窓51をキャビン5内部から前方D
Fに見た図である。
図4では、キャビン5内部から直接視認できない、窓51の周辺のキャビンフレーム7も併せて表示している。
【0016】
キャビンフレーム7は、第1キャビンフレーム70と、第2キャビンフレーム71と、第3キャビンフレーム72とを含む。第1キャビンフレーム70と、第2キャビンフレーム71とは、作業車両1の高さに沿う高さ方向DHに延びる。第1キャビンフレーム70は、作業車両1のキャビン5の窓51の一方側(右方向DRの側)に構成される。第2キャビンフレーム71は、窓51の当該一方側の反対の他方側(左方向DLの側)に第1キャビンフレーム70に対向するように構成される。第2キャビンフレーム71は、第1キャビンフレーム70と幅方向DWにおいて対向する。第1キャビンフレーム70は、キャビン5の右側を覆う外装フレームを含む。第2キャビンフレーム71とは、キャビン5の左側を覆う外装フレームを含む。
【0017】
窓51は、ガラスなどの透明部材51Wと、透明部材51Wの後方DBにおいて透明部材51Wを支持する窓枠フレーム51TF、51BF、51LF、51RFを含む。窓枠フレーム51TFは、透明部材51Wの上端を支持する。窓枠フレーム51BFは、透明部材51Wの下端を支持する。窓枠フレーム51LFは、透明部材51Wの左端を支持する。窓枠フレーム51RFは、透明部材51Wの右端を支持する。窓51は、窓枠フレーム51LF、51RFに、それぞれ、接続する複数の取っ手55L、55Rを有する。複数の取っ手55L、55Rは、窓51を閉じた時に高さ方向DHにおいて取っ手53と取っ手54との間に位置する。
【0018】
窓51の上端近傍には、窓51が閉じられたときに窓51の移動を規制するロック機構11及び追加ロック機構12が設けられる。ロック機構11は、第1キャビンフレーム70と窓51とに設けられる。追加ロック機構12は、第2キャビンフレーム71と窓51とに設けられる。
図5は、窓51が閉じられているときのロック機構11付近の拡大図である。ロック機構11は、第1キャビンフレーム70に固定されたピン11Pに掛け止めするように構成されたフック11Fを有する。窓51が閉じられたときにピン11Pがフック11Fに掛けられ、その際、ロック機構11は、フック11Fに掛け金(latch)11Lを掛けてロックすることによって窓51の移動を規制する。つまり、ロック機構11は、窓51が閉じられたときに窓51を第1キャビンフレーム70に対して係止するように構成されている。
図4と
図5を参照すると、ロック機構11の下方D
D及び取っ手55Rの右隣りには、ロック機構11のロックを解除するための操作機構56Rが設けられる。操作機構56Rは操作レバー57Rと操作ロッド58Rとを有し、操作レバー57Rが運転者によって回動されることによって操作ロッド58Rがロック機構11の掛け金を外すように動作する。これによって、ロック機構11のロックが解除される。
【0019】
図6は、窓51が閉じられているときの追加ロック機構12付近の拡大図である。追加ロック機構12は、第2キャビンフレーム71に固定されたピン12Pに掛け止めするように構成されたフック12Fを有する。窓51が閉じられたときにピン12Pがフック12Fに掛けられ、その際、追加ロック機構12は、フック12Fに掛け金12Lを掛けてロックすることによって窓51の移動を規制する。つまり、追加ロック機構12は、窓51が閉じられたときに窓51を第2キャビンフレーム71に対して係止するように構成されている。
図4及び
図6を参照すると、追加ロック機構12の下方D
D及び取っ手55Lの左隣りには、追加ロック機構12のロックを解除するための操作機構56Lが設けられる。操作機構56Lは操作レバー57Lと操作ロッド58Lとを有し、操作レバー57Lが運転者によって回動されることによって操作ロッド58Lが追加ロック機構12の掛け金を外すように動作する。これによって、追加ロック機構12のロックが解除される。
図4を参照すると、取っ手54の裏側には、操作ケーブル59R、59Lを介して操作機構56R、56Lを操作するための操作機構56Bがさらに設けられ、
図3を参照すると、取っ手54には、操作機構56R、56Lを外部から操作ケーブル59R、59Lを介して操作するための操作機構56Fとがさらに設けられる。
【0020】
図5及び
図6を参照すると、操作機構56R、56Lのそれぞれに、ウィンドウリンク50R、50Lが接続される。ウィンドウリンク50R、50Lは、共通の回動軸線A
XL周りに回動可能である。
図7は、キャビン5の左側のフレームを表示した図である。
図8は、キャビン5の左側のフレームを表示した図である。
図7及び
図8では、閉じられた窓51が窓51Aとして点線で図示され、開けられた窓51が窓51Bとして二点鎖線で図示されている。窓51は上方にスライドすることを前述したが、
図7及び
図8に示されるように、窓51が上方にスライドされる際には、ウィンドウリンク50L及びウィンドウリンク50Rによって上方且つ後方にスライドされることによって窓51Bのようにスライドされる。以上に挙げられたロック機構11、追加ロック機構12、操作機構56R、56L、56F、56B、及びウィンドウリンク50R、50L及びそれらに接続される機構は、日本国特許第5275281号及び米国特許第8303026号に開示されており、参照による引用によってその開示の全体を本明細書に取り入れることができる。
【0021】
さらに、
図7を参照すると、第1キャビンフレーム70は、作業車両1の高さ方向D
Hに延びると前述したが、より詳細には、第1キャビンフレーム70は、高さ方向D
Hから僅かに後方D
Bに傾いて延びる。以降の説明において、第1キャビンフレーム70の延伸方向を第1延伸方向D
E1と呼ぶ。さらに、
図8を参照すると、第2キャビンフレーム71は、作業車両1の高さ方向D
Hに延びると前述したが、より詳細には、第2キャビンフレーム71は、高さ方向D
Hから僅かに後方D
Bに傾いて延びる。第2キャビンフレーム71は、上述する第1延伸方向D
E1に延びる。
【0022】
作業車両1は、窓51が閉じられたときに窓51を安定化させる(窓51のガタツキを抑止する)窓安定化機構10を備える。
図4及び
図7を参照すると、窓安定化機構10は、上述するロック機構11と、レール13と、摺動部材15と、シール機構17とを備える。レール13は、第1キャビンフレーム70上に取り付けられる。レール13は、作業車両1の高さに沿う高さ方向D
Hに延びる。より詳細には、レール13は、レール上部13Tと、レール中央部13Mと、レール下部13Bとを含む。レール中央部13Mは、第1延伸方向D
E1に延びる。レール上部13Tは、レール中央部13Mに接続され、第1延伸方向D
E1から後方D
Bに傾いた方向に延びる。レール下部13Bは、レール中央部13Mに接続され、第1延伸方向D
E1から前方D
Fに傾いた方向に延びる。
【0023】
図7を参照すると、ロック機構11は、窓51が閉じられたときにレール13の高さ方向D
Hの上端13UEの近傍に位置する。なお、レール13の上端13UEは、レール13の長さ方向の一端に位置するので、上端13UEは第1端と呼称されてもよい。また、レール13の下端13BEは、レール13の長さ方向の第1端の反対の第2端に位置するので、第2端と呼称されてもよい。
図5は、レール13の上端13UEを点線で図示している。
図5を参照すると、ロック機構11は、高さ方向D
Hに対して垂直な水平方向から見てレール13の上端13UEと重畳する。さらに具体的には、ロック機構11は、幅方向D
Wから見てレール13の上端13UEと重畳する。
【0024】
摺動部材15は、窓51に設けられ、窓51の開閉に応じてレール13上を摺動し窓51を案内するように構成される。
図4及び
図7では、摺動部材15は、コロが図示されているが、それに限定されない。摺動部材15は、回動可能な角型の摺動部材であってもよい。
図7では、閉じられた窓51Aに対応する摺動部材15が摺動部材15Aとして図示されている。開けられた窓51Bに対応する摺動部材15が摺動部材15Bとして図示されている。
図7で示されるように、摺動部材15は、窓51が開けられたときにレール13の上端(第1端)13UEに位置し、窓51が閉じられたときにレール13の下端(第2端)13BEに位置する。
【0025】
シール機構17は、レール13に沿って設けられ、窓51が閉じられたときに第1キャビンフレーム70と窓51との間の隙間を密閉する。より詳細には、シール機構17は、第1キャビンフレーム70に取り付けられ、第1延伸方向DE1に延びる。レール下部13Bは第1延伸方向DE1から前方DFに傾いた方向に延びるため、窓51が閉じられるときに摺動部材15がシール機構17に近づき、窓51がシール機構17に密着される。これにより、第1キャビンフレーム70と窓51との間の隙間が密閉される。
【0026】
図4及び
図8を参照すると、窓安定化機構10は、上述する追加ロック機構12と、追加レール14と、追加摺動部材16と、追加シール機構18とをさらに備える。追加レール14は、第2キャビンフレーム71上に取り付けられる。追加レール14は、作業車両1の高さに沿う高さ方向D
Hに延びる。より詳細には、追加レール14は、追加レール上部14Tと、追加レール中央部14Mと、追加レール下部14Bとを含む。追加レール中央部14Mは、第1延伸方向D
E1に延びる。追加レール上部14Tは、追加レール中央部14Mに接続され、第1延伸方向D
E1から後方D
Bに傾いた方向に延びる。追加レール下部14Bは、追加レール中央部14Mに接続され、第1延伸方向D
E1から前方D
Fに傾いた方向に延びる。
【0027】
図8を参照すると、追加ロック機構12は、窓51が閉じられたときに追加レール14の高さ方向D
Hの上端14UEの近傍に位置する。なお、追加レール14の上端14UEは、追加レール14の長さ方向の一端に位置するので、上端14UEは第3端と呼称されてもよい。また、追加レール14の下端14BEは、追加レール14の長さ方向の第3端の反対の第4端に位置するので、第4端と呼称されてもよい。
図6は、追加レール14の上端14UEを点線で図示している。
図6を参照すると、追加ロック機構12は、高さ方向D
Hに対して垂直な水平方向から見て追加レール14の上端14UEと重畳する。さらに具体的には、追加ロック機構12は、幅方向D
Wから見て追加レール14の上端14UEと重畳する。
【0028】
追加摺動部材16は、窓51に設けられ、窓51の開閉に応じて追加レール14上を摺動し窓51を案内するように構成される。
図4及び
図8では、追加摺動部材16は、コロが図示されているが、それに限定されない。追加摺動部材16は、回動可能な角型の摺動部材であってもよい。
図8では、閉じられた窓51Aに対応する追加摺動部材16が追加摺動部材16Aとして図示されている。開けられた窓51Bに対応する追加摺動部材16が摺動部材16Bとして図示されている。
図8に示されるように、追加摺動部材16は、窓51が開けられたときに追加レール14の上端(第3端)14UEに位置し、窓51が閉じられたときに追加レール14の下端(第4端)14BEに位置する。
【0029】
追加シール機構18は、追加レール14に沿って設けられ、窓51が閉じられたときに第2キャビンフレーム71と窓51との間の隙間を密閉する。より詳細には、追加シール機構18は、第2キャビンフレーム71に取り付けられ、第1延伸方向DE1に延びる。追加レール下部14Bは第1延伸方向DE1から前方DFに傾いた方向に延びるため、窓51が閉じられるときに追加摺動部材16が追加シール機構18に近づき、窓51が追加シール機構18に密着される。これにより、第2キャビンフレーム71と窓51との間の隙間が密閉される。
【0030】
図9は、窓51が開けられているとき(窓51が窓51Bの位置にあるとき)の
図7のIX-IX'切断線による断面図である。
図10は、窓が開けられているとき(窓51が窓51Bの位置にあるとき)の
図7のX-X'切断線による断面図である。
図7及び
図9を参照すると、シール機構17は、内部空間17ISを有する弾性体のシール枠体17Fを備える。
図7及び
図10を参照すると、シール機構17は、内部空間17ISに設けられた第1付加弾性体17Aを備える。第1付加弾性体17Aが設けられた内部空間17ISには空隙17Gを有する。第1付加弾性体17Aは、例えば、ウレタンゴムである。シール枠体17Fの弾性体は、第1付加弾性体17Aの弾性体と同一であっても異なっていてもよい。ただし、第1付加弾性体17Aが内部空間17ISに設けられることにより、第1付加弾性体17Aを含むシール枠体17Fを前後方向D
FBに変形させるためには、第1付加弾性体17Aを含まないシール枠体17Fに比べてより大きな力が必要となることから、作業車両1の前後方向D
FBのシール枠体17Fの弾性率は、前後方向D
FBの第1付加弾性体17Aを含むシール枠体17Fの弾性率よりも小さいと言える。
【0031】
図3に示されるように、第1付加弾性体17Aは、窓51が閉じられたときのロック機構11の位置から離れた領域R1に設けられている。つまり、
図3及び
図7に示されるように、高さ方向D
Hのシール枠体17Fの上端17UEからの領域R2内の上述する内部空間17ISには第1付加弾性体17Aが設けられていない。シール枠体17Fの高さLに対する領域R2の割合は、15%以上である。したがって、高さ方向D
Hのシール枠体17Fの上端17UEからシール枠体17Fの高さLの15%の範囲内の内部空間17ISには、第1付加弾性体17Aが設けられていない。つまり、シール枠体17Fの内部空間17ISのうち、窓51が閉じられたときにロック機構11の近傍に位置する部分には、第1付加弾性体17Aが設けられていない。
【0032】
図11は、窓51が閉じられているとき(窓51が窓51Aの位置にあるとき)の
図7のXI-XI'切断線による断面図である。
図12は、窓が閉じられているとき(窓51が窓51Aの位置にあるとき)の
図7のXII-XII'切断線による断面図である。
図11及び
図12を参照すると、いずれの場所でもシール枠体17Fは窓51と密着している。しかし、
図11を参照すると、第1付加弾性体17Aが内部空間17ISに設けられない場所では、シール枠体17Fの前後方向D
FBの基端部17FBと末端部17FDの間に内部空間17ISによる空隙が設けられるのに対し、
図12を参照すると、第1付加弾性体17Aが内部空間17ISに設けられる場所では、第1付加弾性体17Aが前後方向D
FBにおいて基端部17FBと末端部17FDとに挟まれ、第1付加弾性体17Aが変形することによる前後方向D
FBへの圧力が窓51に加わる。このため、ロック機構11から離れた領域R1においてシール機構17が窓51の前後方向D
FBへのガタツキを抑止することができる。一方、ロック機構11に近い領域R2においてシール機構17が窓51を前後方向D
FBに強く押し付けないため、窓51が閉じられたときに、ロック機構11によるロックがスムーズとなる。
【0033】
追加シール機構18は、シール機構17の内部構造と同じ内部構造を有する。したがって、
図8に概略的に示されるように、追加シール機構18は、追加内部空間18ISを有する弾性体の追加シール枠体18Fを備える。追加シール機構18は、追加内部空間18ISに設けられた第2付加弾性体18Aを備える。第2付加弾性体18Aが設けられた追加内部空間18ISには空隙18Gを有する。第2付加弾性体18Aは、例えば、ウレタンゴムである。追加シール枠体18Fの弾性体は、第2付加弾性体18Aの弾性体と同一であっても異なっていてもよい。ただし、第2付加弾性体18Aが追加内部空間18ISに設けられることにより、第2付加弾性体18Aを含む追加シール枠体18Fを前後方向D
Fに変形させるためには、第2付加弾性体18Aを含まない追加シール枠体18Fに比べてより大きな力が必要となることから、作業車両1の前後方向D
FBの追加シール枠体18Fの弾性率は、前後方向D
FBの第2付加弾性体18Aを含む追加シール枠体18Fの弾性率よりも小さいと言える。
【0034】
第2付加弾性体18Aは、窓51が閉じられたときのロック機構11の位置から離れた、
図3に示される領域R1に設けられている。つまり、高さ方向D
Hの追加シール枠体18Fの上端18UEからの領域R2内の上述する追加内部空間18ISには第2付加弾性体18Aが設けられていない。追加シール枠体18Fの高さLに対する領域R2の割合は、15%以上である。したがって、高さ方向D
Hの追加シール枠体18Fの上端18UEから追加シール枠体18Fの高さLの15%の範囲内の追加内部空間18ISには、第2付加弾性体18Aが設けられていない。つまり、追加シール枠体18Fの追加内部空間18ISのうち、窓51が閉じられたときに追加ロック機構12の近傍に位置する部分には、第2付加弾性体18Aが設けられていない。
【0035】
追加シール機構18は、シール機構17の内部構造と同じ内部構造を有するため、上述するシール機構17と同じ効果を生じる。なお、ロック機構11、追加ロック機構12、シール機構17、及び、追加シール機構18は、窓51の右上隅、左上隅、右下隅、左下隅の移動を規制するため、これらの機構により窓51のガタツキがさらに効果的に抑止される。
【0036】
図4をさらに参照すると、窓安定化機構10は、窓支持部材19と追加窓支持部材20とをさらに備える。窓支持部材19は、レール13の下端(第2端)13BEの近傍に設けられる。
図13は、窓51が閉じられているときの幅方向D
W(左方向D
L)に見た窓支持部材19付近の拡大図である。
図13は、レール13を点線で図示している。
図13を参照すると、窓支持部材19は、高さ方向D
Hに対して垂直な水平方向から見てレール13の下端(第2端)13BEと重畳する。さらに具体的には、窓支持部材19は、幅方向D
Wから見てレール13の下端(第2端)13BEと重畳する。
図14は、
図4の窓支持部材19周辺の拡大図である。
図14を参照すると、窓支持部材19は、窓51が閉じられたときに窓51と当接し、窓51がロック機構11によって係止されたときに、窓51からレール13に向かい、且つ、レール13の下端(第2端)13BEからレール13の上端(第1端)13UEへ向かう斜め方向D
I1に窓51を押圧する。この斜め方向D
I1は右方向D
R且つ上方向D
Uである。
【0037】
図15は、窓51が閉じられているときの窓支持部材19周辺の拡大斜視図である。
図13~15を参照すると、窓支持部材19は、当接部材19Cと、ピン19Pと、調整部材19Aとを含む。当接部材19Cは、窓51と当接するように構成されている。より具体的には、窓安定化機構10は、窓51に設けられ、斜め方向D
I1において当接部材19Cと当接するように設けられた受け部材51RRをさらに備え、当接部材19Cは、受け部材51RRと当接するように構成されている。
図15を参照すると、受け部材51RRは、窓枠フレーム51RFに接続されている。
【0038】
ピン19Pは、第3キャビンフレーム72と当接部材19Cとを接続する。より具体的には、第3キャビンフレーム72は、幅方向D
Wに延びる第3キャビンフレーム本体72MBと、第3キャビンフレーム本体72MBから右方D
R且つ下方D
Dに傾く接続部材73とを含む。ピン19Pは、当接部材19Cと接続部材73とを接続する。接続部材73は、斜め方向D
I1に対して垂直な方向に延びる。調整部材19Aは、ピン19Pに接続する。
図14に示されるように、調整部材19Aは、ピン19Pの長さ方向(斜め方向D
I1)における当接部材19Cと第3キャビンフレーム72との距離D1を調整するように構成されている。具体的には、ピン19Pは、ねじ山を有する棒状部材である。
図15に示されるように、接続部材73は、ねじ孔73Hを有しており、ピン19Pは、ねじ孔73Hに螺合される。調整部材19Aは、そのねじ山と螺合するように構成されるナットである。当該ナットの直径は、ねじ孔73Hの直径よりも大きい。調整部材19Aは、ピン19Pと螺合する位置を調整することによって、距離D1を調整することができる。
【0039】
追加窓支持部材20は、追加レール14の下端(第4端)14BEの近傍に設けられる。
図16は、窓51が閉じられているときの幅方向D
W(左方向D
L)に見た追加窓支持部材20周辺の拡大図である。
図16は、追加レール14を点線で図示している。
図16を参照すると、追加窓支持部材20は、高さ方向D
Hに対して垂直な水平方向から見て追加レール14の下端(第4端)14BEと重畳する。さらに具体的には、追加窓支持部材20は、幅方向D
Wから見て追加レール14の下端(第4端)14BEと重畳する。
図17は、
図4の追加窓支持部材20周辺の拡大図である。
図17を参照すると、追加窓支持部材20は、窓51が閉じられたときに窓51と当接し、窓51が追加ロック機構12によって係止されたときに、窓51から追加レール14に向かい、且つ、追加レール14の下端(第4端)14BEから追加レール14の上端(第3端)14UEへ向かう追加斜め方向D
I2に窓51を押圧する。この追加斜め方向D
I2は左方向D
L且つ上方向D
Uである。
【0040】
図18は、窓51が閉じられているときの追加窓支持部材20周辺の拡大斜視図である。
図16~18を参照すると、追加窓支持部材20は、追加当接部材20Cと、追加ピン20Pと、追加調整部材20Aとを含む。追加当接部材20Cは、窓51と当接するように構成されている。より具体的には、窓安定化機構10は、窓51に設けられ、追加斜め方向D
I2において追加当接部材20Cと当接するように設けられた追加受け部材51RLをさらに備え、追加当接部材20Cは、追加受け部材51RLと当接するように構成されている。
図18を参照すると、追加受け部材51RLは、窓枠フレーム51LFに接続されている。
【0041】
追加ピン20Pは、第3キャビンフレーム72と追加当接部材20Cとを接続する。より具体的には、第3キャビンフレーム72は、幅方向D
Wに延びる第3キャビンフレーム本体72MBと、第3キャビンフレーム本体72MBから左方D
L且つ下方D
Dに傾く追加接続部材74とを含む。追加ピン20Pは、追加当接部材20Cと追加接続部材74とを接続する。追加接続部材74は、斜め方向D
I2に対して垂直な方向に延びる。追加調整部材20Aは、追加ピン20Pに接続する。
図17に示されるように、追加調整部材20Aは、追加ピン20Pの長さ方向(斜め方向D
I1)における追加当接部材20Cと第3キャビンフレーム72との距離D2を調整するように構成されている。具体的には、追加ピン20Pは、ねじ山を有する棒状部材である。
図18に示されるように追加接続部材74は、ねじ孔74Hを有しており、追加ピン20Pは、ねじ孔74Hに螺合される。追加調整部材20Aは、そのねじ山と螺合するように構成されるナットである。当該ナットの直径は、ねじ孔74Hの直径よりも大きい。追加調整部材20Aは、追加ピン20Pと螺合する位置を調整することによって、距離D2を調整することができる。
<実施形態の作用及び効果>
【0042】
本実施形態では、窓安定化機構10は、ロック機構11と、レール13と、摺動部材15と、シール機構17とを備える。シール機構17は、内部空間17ISに設けられた第1付加弾性体17Aを備えるが、シール枠体17Fの内部空間17ISのうち、窓51が閉じられたときにロック機構11の近傍に位置する部分には、第1付加弾性体17Aが設けられていない。このため、ロック機構11から離れた領域R1においてシール機構17が窓51の前後方向DFBへのガタツキを抑止することができるとともに、ロック機構11に近い領域R2においてシール機構17が窓51を前後方向DFBに強く押し付けないため、窓51が閉じられたときにロック機構11によるロックがスムーズとなる。
【0043】
さらに、窓安定化機構10は、ロック機構11と、レール13と、摺動部材15と、窓支持部材19とを備える。窓支持部材19は、窓51が閉じられたときに窓51と当接し、窓51がロック機構11によって係止されたときに、窓51からレール13に向かい、且つ、レール13の下端(第2端)13BEからレール13の上端(第1端)13UEへ向かう斜め方向DI1に窓51を押圧する。したがって、窓支持部材19は、窓51の幅方向DWの移動を規制するため、窓51の幅方向DWへのガタツキを抑止することができる。
【0044】
さらに、窓安定化機構10は、追加ロック機構12と、追加レール14と、追加摺動部材16と、追加窓支持部材20とを備える。レール13は、キャビン5の一方側(右方向DRの側)に設けられた第1キャビンフレーム70上に設けられ、追加レール14は、キャビン5の他方側(左方向DLの側)に設けられた第2キャビンフレーム71上に設けられる。追加窓支持部材20は、窓51が閉じられたときに窓51と当接し、窓51が追加ロック機構12によって係止されたときに、窓51から追加レール14に向かい、且つ、追加レール14の下端(第4端)14BEから追加レール14の上端(第3端)14UEへ向かう追加斜め方向DI2に窓51を押圧する。このため、窓支持部材19と追加窓支持部材20とが、窓51の幅方向DWの外側に向かって反対方向に押圧する。したがって、レール13と追加レール14とは無関係に、窓51が閉じられたときに、窓51の幅方向DWへのガタツキを抑止することができる。これは、窓51の外部から窓51の内側に向かって押圧することによって窓51の幅方向DWへのガタツキを抑止する機構に比べて、摺動部材15及び追加摺動部材16の摺動性能に影響を及ぼさないという意味でさらに好ましい。
<実施形態の変形例>
【0045】
上述の実施形態においては、窓安定化機構10は、窓支持部材19及び追加窓支持部材20を備えなくてもよい。あるいは、窓安定化機構10は、シール機構17及び追加シール機構18を備えなくてもよい。上述の実施形態においては、ロック機構11、レール13、摺動部材15、シール機構17、窓支持部材19、及び、受け部材51RRは、窓51の右側に設けられ、追加ロック機構12、追加レール14、追加摺動部材16、追加シール機構18、追加窓支持部材20、及び、追加受け部材51RLは、窓51の左側に設けられているが、ロック機構11、レール13、摺動部材15、シール機構17、窓支持部材19、及び、受け部材51RRは、窓51の左側に設けられ、追加ロック機構12、追加レール14、追加摺動部材16、追加シール機構18、追加窓支持部材20、及び、追加受け部材51RLは、窓51の右側に設けられていてもよい。
【0046】
また、レール13及び追加レール14が高さ方向DHに延びるものに限らず、任意方向に延びる窓51のスライド機構においても、本実施形態の窓安定化機構10が適用可能である。また、シール枠体17Fの断面形状、追加シール枠体18Fの断面形状、第1付加弾性体17Aの断面形状、及び、第2付加弾性体18Aの断面形状は実施形態に示された形状に限らず、本実施形態で示された機能が果たされる範囲で変更可能である。
【0047】
なお、内部空間17ISに第1付加弾性体17Aが設けられていないシール枠体17Fの領域は、上述の領域R2に限らず、より狭い領域に設定されてもよい。例えば、
図19に示されるように、窓51が閉じられたときに、窓枠フレーム51TF、51BF、51LF、51RFのいずれも経由せずに透明部材51Wと接続する部分75、ロック機構11と窓枠フレーム51RFとを接続するブラケット77、及び、ロック機構11と窓枠フレーム51TFとを接続するブラケット79が、シール機構17及び追加シール機構18と当接する、透明部材51Wの表面の法線方向D
Nから見てシール機構17と重畳する部分R3を、ロック機構11の近傍として、そのシール枠体17Fの内部空間ISにおいて第1付加弾性体17Aが設けられないとしてもよい。それ以外の領域において、シール枠体17Fの内部空間17ISにおいて第1付加弾性体17Aが設けられるとしてもよい。
【0048】
同様に、追加内部空間18ISに第2付加弾性体18Aが設けられていない追加シール枠体18Fの領域は、上述の領域R2に限らず、より狭い領域に設定されてもよい。例えば、
図19に示されるように、窓51が閉じられたときに、窓枠フレーム51TF、51BF、51LF、51RFのいずれも経由せずに透明部材51Wと接続する部分76、追加ロック機構12と窓枠フレーム51LFとを接続するブラケット78、及び、追加ロック機構12と窓枠フレーム51TFとを接続するブラケット80が、上記法線方向D
Nから見て追加シール機構18と重畳する部分R4を、追加ロック機構12の近傍として、その追加シール枠体18Fの追加内部空間18ISにおいて第2付加弾性体18Aが設けられないとしてもよい。それ以外の領域において、追加シール枠体18Fの追加内部空間18ISにおいて第1付加弾性体17Aが設けられるとしてもよい。
【0049】
本願においては、「備える」およびその派生語は、構成要素の存在を説明する非制限用語であり、記載されていない他の構成要素の存在を排除しない。これは、「有する」、「含む」およびそれらの派生語にも適用される。
【0050】
「~部材」、「~部」、「~要素」、「~体」、および「~構造」という文言は、単一の部分や複数の部分といった複数の意味を有し得る。
【0051】
「第1」や「第2」などの序数は、単に構成を識別するための用語であって、他の意味(例えば特定の順序など)は有していない。例えば、「第1要素」があるからといって「第2要素」が存在することを暗に意味するわけではなく、また「第2要素」があるからといって「第1要素」が存在することを暗に意味するわけではない。
【0052】
程度を表す「実質的に」、「約」、および「およそ」などの文言は、実施形態に特段の説明がない限りにおいて、最終結果が大きく変わらないような合理的なずれ量を意味し得る。本願に記載される全ての数値は、「実質的に」、「約」、および「およそ」などの文言を含むように解釈され得る。
【0053】
本願において「A及びBの少なくとも一方」という文言は、Aだけ、Bだけ、及びAとBの両方を含むように解釈されるべきである。
【0054】
上記の開示内容から考えて、本発明の種々の変更や修正が可能であることは明らかである。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、本願の具体的な開示内容とは別の方法で本発明が実施されてもよい。