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特許7368356三輪または四輪の傾斜原動機付き車両、および三輪または四輪の傾斜原動機付き車両の傾斜運動を安全に妨げる方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】三輪または四輪の傾斜原動機付き車両、および三輪または四輪の傾斜原動機付き車両の傾斜運動を安全に妨げる方法
(51)【国際特許分類】
   B62K 5/10 20130101AFI20231017BHJP
   B62J 45/00 20200101ALI20231017BHJP
【FI】
B62K5/10
B62J45/00
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2020532989
(86)(22)【出願日】2018-12-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 IB2018059819
(87)【国際公開番号】W WO2019123092
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-11-08
(31)【優先権主張番号】102017000148125
(32)【優先日】2017-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512185877
【氏名又は名称】ピアッジオ・エ・チ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】PIAGGIO & C. S.P.A.
【住所又は居所原語表記】Viale Rinaldo Piaggio, 25, I-56025 Pontedera, PI,Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア・ラッファエッリ
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/146680(WO,A1)
【文献】実開昭59-104885(JP,U)
【文献】特開2012-111336(JP,A)
【文献】特開昭58-036787(JP,A)
【文献】特開2017-065379(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62K 5/10
B62J 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つの前輪(10’、10”)及び一つの後輪(14)を有する三輪の傾斜する原動機付き車両であって、前記原動機付き車両は、
前記原動機付き車両(1)の傾斜ブロックシステム(100)と、
前記傾斜ブロックシステム(100)の介入を制御するのに適し、所定の介入論理によって確立された前記原動機付き車両の一つ以上の走行状態が発生すると前記傾斜ブロックシステム(100)を制御する電子制御ユニット(200)と、
前記電子制御ユニット(200)に接続され、前記一つ以上の走行状態が満たされた場合に前記傾斜ブロックシステム(100)の介入を要求するために運転手(P)によって作動され得る指示装置(300)とを備え、
前記一つ以上の走行状態は、傾斜角度および/または移動速度および/またはスロットル開度および/または乗っている前記運転手の存在に関して定められ、
前記指示装置(300)は、停止位置と作動位置の少なくとも二つの位置を有する指示であり、前記指示装置(300)に加えられる外力がある限り前記作動位置を維持するように構成され、前記電子制御ユニット(200)は、前記指示装置(300)が前記作動位置にあるときのみ前記原動機付き車両(1)の傾斜を妨げるように前記傾斜ブロックシステム(100)を作動させるように構成されている、原動機付き車両。
【請求項2】
前記指示装置(300)は、両方の足を使用するのみで前記運転手(P)が操作できる踏み板から成る、請求項1に記載の原動機付き車両。
【請求項3】
前記指示装置(300)は、それぞれ一方または両方の足を使用して前記運転手(P)によって操作可能であるように一つまたは二つのペダルから成る、請求項1に記載の原動機付き車両。
【請求項4】
前記指示装置(300)は、少なくとも一つのボタン(300a;300b)から成る、請求項1に記載の原動機付き車両。
【請求項5】
前記少なくとも一つのボタンは、前記原動機付き車両のダッシュボードに配置されている、請求項4に記載の原動機付き車両。
【請求項6】
前記少なくとも一つのボタンは、前記原動機付き車両のカウンタシールド(40)に配置されている、請求項4に記載の原動機付き車両。
【請求項7】
前記少なくとも一つのボタン(300a;300b)は、前記原動機付き車両のハンドルバー(31)に配置されている、請求項4または請求項5に記載の原動機付き車両。
【請求項8】
前記指示装置(300)が前記運転手(P)によって両方の手を使用するのみで作動され得るように、前記指示装置(300)は、前記原動機付き車両のハンドルバー(31)に配置された二つのボタン(300a;300b)によって構成される、請求項1に記載の原動機付き車両。
【請求項9】
前記二つのボタン(300a;300b)のそれぞれは、前記ハンドルバー(31)のハンドル(32)の一つの近くに配置されている、請求項8に記載の原動機付き車両。
【請求項10】
前記指示装置(300)は、少なくとも一つのレバーから成る、請求項1に記載の原動機付き車両。
【請求項11】
前記少なくとも一つのレバーは、前記原動機付き車両のハンドルバー(31)のブレーキレバーの近くに配置される、請求項10に記載の原動機付き車両。
【請求項12】
前記少なくとも一つのレバーは、前記ブレーキレバーに対して下側に角度をつけた位置に配置される、請求項11に記載の原動機付き車両。
【請求項13】
前記角度をつけた位置は、前記ブレーキレバーに対して少なくとも60°である、請求項12に記載の原動機付き車両。
【請求項14】
前記角度をつけた位置は、前記ブレーキレバーに対して少なくとも90°である、請求項13に記載の原動機付き車両。
【請求項15】
前記指示装置(300)は、二つのレバーから成り、前記二つのレバーのそれぞれは、前記原動機付き車両のハンドルバー(31)の二つのブレーキレバーの一つの近くに配置される、請求項1に記載の原動機付き車両。
【請求項16】
前記二つのレバーのそれぞれは、前記二つのブレーキレバーの一つに対して下側に角度をつけた位置に配置される、請求項15に記載の原動機付き車両。
【請求項17】
前記角度をつけた位置は、前記二つのブレーキレバーの一つに対して少なくとも60°である、請求項16に記載の原動機付き車両。
【請求項18】
前記角度をつけた位置は、前記二つのブレーキレバーの一つに対して少なくとも90°である、請求項17に記載の原動機付き車両。
【請求項19】
前方キャリッジ(8)から後部(12)へと延びるフレーム(6)を備え、前記前方キャリッジ(8)は、一対の前輪(10’、10”)を支持し、前記後部(12)は、一つの後輪(14)を支持し、前記前方キャリッジ(8)は、
前方キャリッジフレーム(16)と、
同期して傾斜および/または操舵するのを保証する傾斜運動学的機構(20)を用いて互いにおよび前記前方キャリッジフレーム(16)に運動学的に連結された前記一対の前輪(10’、10”)とを備え、
前記原動機付き車両の前記傾斜ブロックシステム(100)は、前記傾斜運動学的機構に直接または間接的に作用するように構成されている、請求項1から請求項18のいずれか一項に記載の原動機付き車両。
【請求項20】
傾斜ブロックシステム(100)と、前記傾斜ブロックシステム(100)の介入を制御するのに適し、所定の介入論理によって確立された原動機付き車両の一つ以上の走行状態が発生すると前記傾斜ブロックシステム(100)を制御する電子制御ユニット(200)と、前記電子制御ユニット(200)に接続され、前記一つ以上の走行状態が満たされた場合に前記傾斜ブロックシステム(100)の介入を要求するために運転手(P)によって作動可能な指示装置(300)とを備えた、二つの前輪(10’、10”)及び一つの後輪(14)を有する三輪の原動機付き車両の傾斜運動を安全に妨げる方法であって、前記一つ以上の走行状態は、傾斜角度および/または移動速度および/またはスロットル開度および/または乗っている前記運転手の存在に関して定められ、前記方法は、以下の操作ステップ
a)指示装置(300)に外力を加えて指示装置(300)を作動位置に維持するステップと、
b)前記原動機付き車両(1)の傾斜を妨げるように、前記指示装置(300)が前記作動位置にあるとき、前記電子制御ユニット(200)を用いて前記傾斜ブロックシステム(100)を作動させるステップとを含む、方法。
【請求項21】
前記外力は、前記原動機付き車両の前記運転手(P)によってもたらされ、前記原動機付き車両の前記指示装置(300)を継続的に作動させる、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三つまたは四つの車輪を備える原動機付き車両、および三つまたは四つの車輪を備える傾斜車両の傾斜運動を安全に妨げる方法に関する。
【0002】
具体的には、本発明による原動機付き車両は、前部に二つの傾斜操舵輪および後部に固定車軸駆動輪を設けられた原動機付き車両であってもよい。
【0003】
原動機付き車両の分野において、「ハイブリッド」車両の供給がますます拡大している。ハイブリッド車両は、操作性に関して、原動機付き車両の特徴と四輪車両の安定性とを兼ね備える。
【0004】
そのようなモデルは、例えば、二つの操舵前輪を備えた三輪の原動機付き車両、および四輪バイク(クアッド)として知られている四輪の原動機付き車両がある。
【0005】
より詳細には、上述の三輪原動機付き車両は、前部に二つの傾斜(または傾く)および操舵車輪を、後部に固定車軸駆動輪を設けられ得る。後輪は、トルクを提供する目的を有し、したがって地面に対する駆動(トラクション)を可能にする。一方、一対の前輪は、車両に方向性を与える目的を有する。前方キャリッジにおける一対の車輪は、操舵することに加えて、傾斜および傾くことができる。この解決策により、三つの車輪を有し、そのうちの二つが後部にある原動機付き車両に対して、前方キャリッジに二つの車輪を備える原動機付き車両は、モータサイクルと同様にカーブで傾斜することができるため、実際のモータサイクルと同等である。しかしながら、二つの車輪のみを備えるモータサイクルに対して、前方キャリッジに対となった二つの車輪を備えるそのような車両は、自動車によって提供されるものと同様の、前輪の地面に対する二重の支持によって保証されたより良好な安定性を有する。
【0006】
前輪は、例えば関節接合された四辺形の介在によって、同期し且つ酷似するようにして傾斜および/または操舵することができる、運動学的機構を用いて互いに運動学的に連結されている。また、そのような原動機付き車両は、二つの独立した懸架装置を備え、二つの前輪のそれぞれに一つずつ取り付けられる。懸架装置は、ショックアブソーバを備え、ショックアブソーバもまた、独立している。
【0007】
そのため、三輪を有する傾斜原動機付き車両は、使用者に二輪の原動機付き車両の操作性を保証し、同時に、四輪の原動機付き車両の安定性および安全性を保証することを目的としている。
【0008】
当該類いの三輪の傾斜原動機付き車両は、例えば、本願と同一の出願人による伊国特許出願第2003MIA001108号に記載されている。
【0009】
構造的な特性に起因して、当該類いの原動機付き車両は、特定の走行状態(例えば、非常に低速のとき、または動いていない若しくは停止しているとき)において、制御されていないおよび/または不慮の傾斜運動の結果、倒れる可能性がある。
【0010】
そのような欠点には、前述の車両に傾斜ブロックシステムを備えることで取り組まれてきた。当該システムは、使用者によって手動で、および/または自動的な制御システムによって作動され得る。
【0011】
一般的に、自動制御システムは、原動機付き車両の傾斜角および移動速度が所定の閾値を下回ったときのみブロックシステムを作動することを含む、傾斜ブロックシステムの動作論理に従う。それによって、傾斜ブロックシステムの作動は、低速時(すなわち、原動機付き車両がほぼ停止しているとき)、且つ傾斜角がわずかなとき(すなわち、原動機付き車両の中心線平面が実質的に垂直なとき)のみ許可される。それによって、原動機付き車両の安定性に関する潜在的な危険状態を排除する。また、そのような自動的なシステムは、運転手がスロットルを開くことで傾斜ブロックシステムを解除できるように提供されてもよい。
【0012】
そのような原動機付き車両用の傾斜防止システムは、例えば、本願と同一の出願人による伊国特許出願第EP1561612A1号で記載されている。
【0013】
一般に、三輪傾斜車両の静的な安定性は、二つの前輪の間の距離を意味する、原動機付き車両自体のトラックと関連している。静的安定性は、傾斜ブロックが作動している状態での安定性を意味する。トラックが広ければ広いほど、原動機付き車両の安定性はより高くなる。また、これは、トラックが大きくなるにつれて潜在的に危険性が低くなる、不慮のまたは制御されていない傾斜運動にも当てはまる。
【0014】
操作上、傾斜ブロックは、原動機付き車両の安全性を向上させるように機能する。それによって、特に非常に低速の走行の状態または停止している場合に制御されていないおよび/または不慮の傾斜運動によって車両が転倒するのを防ぐ。
【0015】
しかしながら、傾斜を妨げることは、原動機付き車両の自由度を低減し、運転手による介入の可能性を制限する介入であり、したがって、安全性関連のリスクを伴って原動機付き車両の操縦性に影響を与える場合がある介入である。一般に、これらの理由から、上述しているように、傾斜を妨げることは、非常に低速時または車両が停止しているときのみ可能である。
【0016】
トラックが狭い原動機付き車両に関して、傾斜を妨げることは、水平方向に完全には安定でない原動機付き車両で動作される場合、非常に低速時または車両が停止しているときであっても、適切ではない場合がある。したがって、そのような状況において、傾斜を妨げると、運転手が効果的に対比できないような、および原動機付き車両を倒し得るような、原動機付き車両の不安定を誘発させ得る。
【0017】
トラックが広い原動機付き車両に関して、原動機付き車両は本質的に安定した平衡を有するため、そのような問題は感じられない。したがって、作動されているとき、傾斜ブロックは、運転手の安全性について全く悪い効果を発生させない。
【0018】
本明細書は、下記のように解釈され得る構造の用語を提供する。
【0019】
三輪の原動機付き車両は、一対の前輪と後輪とでいわゆる「支持三角形」を定める。すなわち、三角形形状支持面が定められ、前輪の対と後輪とを互いに結ぶ三つの外周線による幾何学的な連結として生成される。
【0020】
したがって、前方キャリッジのトラック、すなわち、一対の前輪の間の距離(ホイールベースは同じである)、が大きくなれば大きくなるほど、支持面によって定められる領域は大きくなる。支持面を分割する中央平面は、母線を定める。
【0021】
三輪車両において、支持面は、原動機付き車両の平衡の予測を提供する。具体的には、傾斜ブロックが作動されている原動機付き車両が強く傾斜したとき、車両およびドライバシステムの重心の地面に対する垂線が支持面内に収まるまで自身の平衡状態を維持する。母線に対する逸脱が支持面の外側になると、原動機付き車両は、平衡状態を失う。
【0022】
そのような理由のため、トラックを減少させることで、母線に対して可能な逸脱は、非常に小さくまたは実質的にゼロである。
【0023】
したがって、トラックが狭い原動機付き車両に傾斜ブロックを適用すると、場合によっては、平衡を維持するために運転手を補助するのではなく、彼または彼女の邪魔をする代わりに、柔軟でない傾斜を生じさせ、したがって安全性の低下を引き起こす一因となる場合がある。
【0024】
現在、上記されているように、運転手による傾斜ブロックシステムの停止は、スロットルの開放、そして原動機付き車両の加速を必要とする。原動機付き車両の平衡の初期喪失が生じた場合、そのような停止操縦(スロットルを開放)は、運転手にとって本能的ではない場合がある。したがって、これにより、ブロックシステムの停止が遅れ、したがって、平衡状態の喪失の悪化につながる場合がある。また、そのような操縦は、わずかではあるが原動機付き車両の加速を決定するものであり、場合によっては、運転手が原動機付き車両の平衡状態を回復させるのに役立たない場合があることに留意すべきである。
【0025】
上記を考慮すると、したがって、上記されているような狭いトラックの傾斜原動機付き車両で、制御できていないおよび/または不慮の傾斜運動によって発生する原動機付き車両の停止時または低速時での不安定状態のリスクを低減する、従来の傾斜ブロックシステムに類似する傾斜ブロックであって、同時に、原動機付き車両の平衡状態の初期喪失が生じると、スロットルの開放の要求を必要とすることなく運転手が完全に自由に行動できるようにすぐに停止できる傾斜ブロックを実行する必要性が感じられる。
【0026】
また、構造的に単純に実行される傾斜ブロックの必要性が感じられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【文献】伊国特許出願第2003MIA001108号
【文献】欧州特許出願第1561612A1号
【発明の概要】
【0028】
したがって、従来技術に対する上記された欠点および制限を解決する必要性が感じられる。
【0029】
そのような必要性は、請求項1に記載の三つまたは四つの車輪を備える傾斜原動機付き車両によって、および請求項16に記載の三つまたは四つの車輪を備える傾斜原動機付き車両の傾斜運動を安全に妨げる方法によって満たされる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明のさらなる特徴および利点が、非限定的な例のために与えられている好ましい実施形態の以下の記載からより明らかになるだろう。
【0031】
図1図1は、本発明の実施形態による三輪または四輪を備える傾斜原動機付き車両の斜視図である。
図2図2は、本発明の実施形態による三輪または四輪を備える傾斜原動機付き車両のダッシュボードの図である。
【0032】
以下に記載されている実施形態で共通の要素または部品は、同じ符号を用いて示されている。
【発明を実施するための形態】
【0033】
上述の図面に関して、符号1は全体的に、本発明による三輪または四輪を備える傾斜原動機付き車両を示す。
【0034】
本発明に関して、注目すべき点は、語句「原動機付き車両」は、広い意味で考えられなければならず、少なくとも三つの車輪(すなわち、以下でより詳細に説明されているような、二つの前輪と、少なくとも一つの後輪)を有するあらゆるモータサイクルを含むことである。したがって、前方キャリッジに二つの車輪と、後部に二つの車輪とを有する、いわゆる四輪車(クワドリシクル)がまた、原動機付き車両の定義内に含まれる。
【0035】
一般的な実施形態によると、三つまたは四つの車輪を備える傾斜車両1は、少なくとも二つの前輪10’、10”を有する。
【0036】
原動機付き車両1は、
-原動機付き車両1の傾斜ブロックシステム100と、
-傾斜ブロックシステム100の介入を制御するのに適し、所定の介入論理によって確立された原動機付き車両の一つ以上の走行状態が発生すると傾斜ブロックシステム100を制御する電子制御ユニット200と、
-電子制御ユニット200と接続され、傾斜ブロックシステム100の介入を要求するために運転手Pによって起動され得る指示装置300とを備える。
【0037】
好ましい実施形態によると、原動機付き車両1は、前方キャリッジ8から後部12へと延びるフレーム6を備える。前方キャリッジ8は、少なくとも二つの前輪10を支持し、後部12は、一つ以上の後輪14を支持する。
【0038】
左側前輪10’と右側前輪10”とに区別することができ、左右の車輪10’、10”の定義は、単なる従来のものであり、車両の運転手に対して意味されている。すなわち、車輪は、車両自体の運転手の視点に対して、原動機付き車両の中心平面M-Mの左側と右側に位置している。
【0039】
本発明に関して、原動機付き車両のフレーム6は、あらゆる形状または大きさのものであってもよい。例えば、トレリス(格子)、ボックス、シングルクレードルまたはダブルクレードルタイプなどのものであってもよい。原動機付き車両のフレーム6は、単一の部品または(例えば、原動機付き車両のフレーム6が後部フレーム13と相互連結する)複数の部品であってもよい。これは、一つ以上の後部駆動輪14を支持する後部スイングアーム(図示せず)を含んでもよい。前述の後部スイングアームは、ヒンジ連結によって直接、またはてこ装置および/若しくは中間フレームの介在によってフレーム6と連結されてもよい。
【0040】
具体的には、原動機付き車両1の前方キャリッジ8は、前方キャリッジフレーム16および一対の前輪10’、10”を備えてもよい。一対の前輪は、好ましく傾斜させる傾斜機構20を用いて運動学的に互いにおよび前方キャリッジのフレーム16に連結されている。
【0041】
添付図面において、傾斜運動学的機構は、円20によって図式的に示されている。
【0042】
前述の傾斜運動学的機構20は、あらゆる構成を有してもよく、同期し且つ実質的に酷似するように前輪を傾斜させるように機能するように設けられると好ましい。傾斜運動学的機構20は、関節接合された四辺形システムであると好ましい。
【0043】
原動機付き車両の傾斜ブロックシステム(図において円100によって図式的に示されている)は、原動機付き車両の傾斜を妨げるように機能するあらゆる構成を想定することができる。具体的には、原動機付き車両の傾斜ブロックシステム100は、傾斜運動学的機構に直接または間接的に作用するように構成される。
【0044】
傾斜運動学的機構に直接作用するように構成されている傾斜ブロックシステムの例は、本願と同一の出願人による欧州特許出願第1561612A1号に記載されている。
【0045】
傾斜運動学的機構に、および具体的には前輪の車軸ジャーナルに、間接的に作用するように構成されている傾斜ブロックシステムのいくつかの例は、本願と同一の出願人による国際出願公開第2017/115297A1号、第2017/115294A1号、および第2017/115296A1号に記載されている。
【0046】
好ましくは、原動機付き車両の運転状態は、電子制御ユニット200が所定の介入論理に応じて傾斜ブロックシステム100の介入を決定したとき、傾斜角度および/または移動速度および/またはスロットル開度および/または乗っている運転手の存在の観点から定められてもよい。
【0047】
非常に好ましい実施形態によると、電子制御ユニット200に従う介入論理は、原動機付き車両の傾斜角度が所定の閾値より大きくなく(具体的には、トラック、重量および重心の高さに応じて12°以下、好ましくは10°以下)、また、移動速度が所定の閾値より大きくない(具体的には、3~5km/h以下)ときに認められる傾斜ブロックシステム100の介入を提供する。したがって、傾斜ブロックシステム100の介入は、低速時(すなわち、原動機付き車両がほとんど停止しているとき)、且つ傾斜角度がわずかなとき(すなわち、原動機付き車両が実質的に垂直な中心線平面を備えるとき)のみ認められる。それによって車両の安定性に関する潜在的な危険状態を排除する。
【0048】
具体的な実施形態によると、電子制御ユニット200による介入論理は、また、所定の傾斜角度および移動速度の状態の発生時に加えて、乗っている運転手の存在がまた、検出されたとき、および/または車両のスロットルの閉鎖がまた、検出されたときのみ認められる、傾斜ブロックシステム100の介入を提供する。第1の場合(乗っている運転手の存在)において、運転手が駐車操作を行っている間およびもはや運転手が乗っていないときに、停止している車両に対して傾斜ブロックシステムの不慮の介入を避けることを目的としている。第2の場合(スロットルの閉鎖)において、原動機付き車両が加速しているときの傾斜ブロックシステムの介入を排除すること、および同時に(先行技術ですでに提供されているように)ブロックシステムを停止するための緊急操作(スロットル開放)の利用可能性を運転手に提供することを目的としている。
【0049】
好ましくは、当該目的のために、電子制御ユニット200は、傾斜角度を検出するように調整された少なくとも適切なセンサ(例えば、傾斜計、具体的には容量タイプのもの;具体的な実施形態において、傾斜計は一軸、または多軸の加速度計と組み合わせて使用することができる)および速度検出器に加えて、選択的に、乗っている運転手の存在を特定するためのセンサおよび/またはスロットルの開放状態を検出するためのセンサに接続されている。そのような一つ以上のセンサは、図において四角201によって図式的に示されている。
【0050】
本発明によると、前述の指示装置300は、少なくとも二つの位置、すなわち、停止位置と作動位置、を有する制御装置であり、外力が指示装置300に加えられる限り、当該位置を維持するように構成されている。
【0051】
さらに、本発明によると、前述の電子制御ユニット200は、前述の指示装置300が作動位置にあるときのみ、原動機付き車両1の傾斜を妨げるように傾斜ブロックシステム100を動作させるように構成されている。
【0052】
そのため、傾斜ブロックシステム100の作動は、指示装置300へ外力が付与され続けることを条件としている。操作上、そのような外力は、運転手Pによって付与可能である。したがって、運転手Pは、電子制御ユニット200によって補助されている傾斜ブロックシステム100の作動および停止を継続的に制御できる。
【0053】
したがって、以下は本発明のおかげで得ることができる。
【0054】
傾斜ブロックシステム100の作動、および原動機付き車両の傾斜運動のブロックは、所定の介入論理によって確立された原動機付き車両の一つ以上の運転状態が発生し、かつ運転手Pによる継続した作動補助が同時に存在する場合のみ行われる。したがって、ブロックシステム100を動作させるための承諾は、電子制御ユニットを用いた所定の安全条件の自動検査だけでなく、運転手Pの評価によることも条件である。
【0055】
傾斜ブロックシステム100の停止、および原動機付き車両の傾斜の非ブロックは、所定の介入論理によって確立された原動機付き車両の一つ以上の運転状態が満足されなくなったとき、または運転手Pによる継続した作動補助がない場合、行われる。ブロックシステム100の停止は、自動的に電子制御ユニットによることと、運転手によることの両方で独立して操作され得る。
【0056】
すなわち、本発明によると、傾斜ブロックシステム100の作動および停止は、二つの独立した入力を有する制御装置によって管理される。当該入力の一つは、所定の制御論理に応じて電子制御ユニット200によって自動的に管理される。もう一つの入力は、指示装置300を用いて運転手Pによって管理される。
【0057】
傾斜ブロックシステムを停止するための指示としてスロットルを用いることを含む、従来技術により提供されているものとは異なり、本発明のおかげで、ブロックシステム100の作動および停止専用の指示が運転手Pに提供される。したがって、伝統的な傾斜ブロックシステムと同じように、制御されていないおよび/または不慮の傾斜運動によって生じる原動機付き車両の停止状態または低速時での不安定な状態のリスクを低減するが、同時に、原動機付き車両の平衡状態の初期喪失が生じた場合、スロットルの開放を要求する必要なく運転手に完全に自由に行動させるように、すぐに停止され得る、傾斜ブロックを実行することが可能である。これにより、トラックが狭い原動機付き車両であっても傾斜ブロックシステムを用いると安全性が向上する。
【0058】
前述の指示装置300は、運転中の原動機付き車両1の運転手Pにとって人間工学的位置に配置されると好ましい。そのような人間工学的位置は、原動機付き車両自体の平衡の初期喪失が発生したときに運転手Pが指示装置300を本能的に解放するような位置である。それによって、指示装置300は、停止位置に戻り、原動機付き車両の傾斜ブロックシステム100は、電子制御ユニット200によって停止される。いくつかの実施例は、以下の明細書で提供されている。
【0059】
「人工工学的位置」は、運転手Pの手および/または足によって直感的かつ容易に到達可能な位置を意味する。
【0060】
好適には、このようにして、傾斜ブロックシステム100の停止は、原動機付き車両の平衡の初期喪失の状態が発生したとき、運転手Pによる指示装置300の解放に起因して、本能的に、したがって、基本的により素早く且つほとんど無意識に、生じさせることができる。これによりさらに、三輪または四輪を備える傾斜原動機付き車両においても傾斜ブロックシステムを使用したときに安全性が向上する。
【0061】
代替的にまたは本能的に解放可能な人間工学的位置における指示装置の位置と組み合わせて、前述の指示装置300は、原動機付き車両の平衡の初期喪失状態が発生したときに運転手P自身によって当然に操作が中止されるような、心地よくない姿勢で運転手によって操作可能なように構成され得る。それによって、原動機付き車両の平衡の初期喪失状態が発生したとき、当該構成に、そして運転手Pの結果としての自然な反応に起因して、指示装置300は、解放され、停止位置に戻り、原動機付き車両の傾斜ブロックシステム100は、電子制御ユニット200によって停止される。いくつかの実施例は、以下の明細書で提供されている。
【0062】
同様に、このような場合、運転手Pによる指示装置300の解放に起因する傾斜ブロックシステム100の停止は、原動機付き車両の平衡の初期喪失状態の発生に対して、本能的に、したがって、基本的により素早く、不随意反応として発生し得る。これによりさらに、三輪または四輪を備える傾斜原動機付き車両においても傾斜ブロックシステムの使用時に、安全性が向上する。
【0063】
本発明の実施形態によると(添付図面には示されていない)、前述の指示装置300は、運転手Pによって両方の足を使用するのみで操作できる踏み板から成ってもよい。この場合、指示装置300は、運転手Pの足によって直感的かつ容易に到達可能であるため、運転手Pに対する人工工学的位置に配置されている。さらに、踏み板の形状でのそのような指示装置300は、原動機付き車両の平衡の初期喪失状態が高まったとき、運転手Pによって本能的に解放可能である。実際、そのような状態において、運転手は、一般的に、転倒を防止するために彼らの足を地面に置く傾向がある。
【0064】
踏み板に対する代替案として、前述の指示装置300は、運転手Pが両方の足を使用することで操作できるように、二つに分割されたペダルから成ってもよい。
【0065】
踏み板または二つのペダルの代替案として、前述の指示装置300は、運転手Pが片方の足のみを使用して操作できる単一のペダルから成ってもよい。操作効果は、踏み板または二つのペダルで得られるものと同様である。原動機付き車両の平衡の初期喪失状態が発生したとき、運転手は、転倒を防止するために彼らの足を地面に置く傾向があり、指示装置300を構成するペダルを本能的に解放する。
【0066】
本発明の代替的な実施形態によると、前述の指示装置300は、少なくとも一つのボタンから成ってもよい。上記少なくとも一つのボタンは、運転手Pが彼または彼女の手を使用することで操作可能であるように位置されると好ましい。しかしながら、当該事例は、運転手Pが彼または彼女の足を使用することで操作され得るそのような少なくとも一つのボタンを含んでもよい。
【0067】
具体的には、前述の少なくとも一つのボタンは、原動機付き車両1のダッシュボード30に配置され得る。
【0068】
代替的に、前述の少なくとも一つのボタンは、原動機付き車両1のカウンタシールド40に配置され得る。「カウンタシールド」は、原動機付き車両の長軸に関して、原動機付き車両の前部部品41(「シールド」と呼ばれる)とは反対側にあり、運転手Pの収容領域に向けられている、原動機付き車両の前方キャリッジの部品を意味する。
【0069】
代替的に、前述の少なくとも一つのボタンは、原動機付き車両1のハンドルバー31に配置され得る。
【0070】
具体的には、前述の指示装置300は、二つのボタン300aおよび300bから成ってもよく、これらは原動機付き車両1のハンドルバー31において互いに対して反対側に配置される。好ましくは、図2に示すように、二つのボタン300aおよび300bのそれぞれは、ハンドルバー31のハンドル32の一つの近くに配置され、それによって指示装置300は、運転手Pによって両方の手を使用するだけで作動され得る。この場合、指示装置300は、運転手に対して人間工学的位置に配置されている。運転手Pの手で直感的かつ容易に到達可能であり、同時に、指示装置300は、運転手P自身が当然に操作を中止するような、心地よくない姿勢モードで運転手によって操作可能であるように構成されているためである。実際、原動機付き車両の平衡の初期喪失状態が生じたときに運転手が当然に操作を中止するように、指示装置300を操作するために運転手Pは不快なまたは少なくとも不自然な姿勢となるように両手の親指Tを使用することを基本的に強いられる。実際、そのような状態において、運転手Pの直感的かつ自然な反応は、彼または彼女の手でハンドルバーのハンドルを握り、おそらくブレーキレバーに手を配置することである。当該操縦において、親指は、握りを確実にするためにハンドルに配置される傾向があり、それによって二つのボタン300aおよび300bを解放する。
【0071】
本発明の実施形態により(添付図面には示されていない)、前述の指示装置300は、少なくとも一つのレバーから成ってもよく、これは、運転手Pによって手で好ましく作動され得る。
【0072】
具体的には、前述の少なくとも一つのレバーは、原動機付き車両1のハンドルバー31におけるブレーキレバーの近くに、具体的にはそのようなレバーに対して下側に角度をつけた位置に、配置され得る。そのような角度がついた位置は、運転手Pに不快な姿勢または少なくとも不自然な位置で握っていると思わせるために、ブレーキレバーに対して少なくとも60°の位置であると好ましく、少なくとも90°の位置であるとより好ましい。
【0073】
また、この場合、指示装置300は、人工工学的位置に配置されている。運転手Pの手で直感的かつ容易に到達可能であり、同時に、指示装置300は、運転手P自身が当然に手を離すような、心地よくない姿勢で運転手によって操作可能であるように構成されているためである。実際、指示装置300を操作するために、レバーの位置に起因して、運転手Pは、彼または彼女の手を心地よくないように、または少なくとも不自然に、配置することを強いられる。すなわち、運転手P自身は、原動機付き車両の平衡の初期喪失状態が生じたときに当然に操作を中止せざるをえない。実際、そのような状態において、運転手Pの直感的かつ自然な反応は、彼または彼女の手でハンドルバーのハンドルを握り、おそらくブレーキレバーに手を配置することである。当該操縦において、手は、握りを確実にするためにハンドルに戻される傾向があり、それによってレバーを解放する。
【0074】
一つのレバーの代わりに、二つのレバーから成る前述の指示装置300を提供することが可能である。二つのレバーのそれぞれは、上述しているように、原動機付き車両のハンドルバーの二つのブレーキレバーの一方の近くに、レバーに対して下側に角度をつけた位置に配置される。同じ検討事項が単一のレバーの場合に適用できる。
【0075】
好適には、指示装置300は、電子制御ユニット200に接続され、傾斜ブロックシステムの介入を要求するために運転手Pによって作動され得るが、電子制御ユニット200に接続される電気スイッチから成ってもよく、または代替的に傾斜ブロックシステム100を作動するアクチュエータを直接構成してもよい。
【0076】
後者の場合、ブロックシステムを作動するアクチュエータの作用は、電子制御ユニット200の介入によって調整される。しかしながら、指示装置300が運転手Pによって解放された(すなわち、停止された)とき、傾斜ブロックシステム100を操作するために必要な電力の供給が自動的に遮断されるという利点を有する。これはブロックシステム100の停止の管理を単純化し、それによって電気的指示から解放する。
【0077】
三輪または四輪を備える傾斜原動機付き車両の傾斜運動を安全に妨げる方法を記載する。
【0078】
そのような方法は、傾斜ブロックシステム100と、傾斜ブロックシステム100の介入を制御するのに適し、所定の介入論理によって確立された原動機付き車両の一つ以上の走行状態が発生すると傾斜ブロックシステム100を制御する電子制御ユニット200と、前述の電子制御ユニット200に接続され、傾斜ブロックシステム100の介入を要求するために運転手Pによって作動され得る指示装置300とを有する三輪または四輪を備える原動機付き車両に適用される。
【0079】
具体的には、方法は、本発明による三つまたは四つの車輪を備える傾斜原動機付き車両1に適用でき、具体的には上述されている。
【0080】
より具体的には、方法は、以下の操作ステップ
a)指示300に外力を加えることで指示装置300を作動位置に維持するステップと、
b)原動機付き車両1の傾斜を妨げるように指示装置300が作動位置にあるとき、電子制御ユニット200を用いて傾斜ブロックシステム100を作動するステップと、
を含む。
【0081】
好適には、前述の外力は、指示装置300を継続的に作動させることで原動機付き車両1の運転手Pによって加えられる。
【0082】
方法はさらに、運転手Pが原動機付き車両1の平衡の初期喪失状態を感じたときに傾斜ブロックシステム100を停止させるために指示装置300を解放するステップを含む。
【0083】
本発明による三つまたは四つの車輪を備える傾斜原動機付き車両1を記載したときにすでに述べているように、傾斜ブロックシステム100の作動は、指示装置300への外力の継続的な付与を条件付けられている。操作上、そのような外力は、運転手Pによって付与可能である。したがって、運転手Pは、電子制御ユニット200によって補助を受け、傾斜ブロックシステム100の作動および停止を継続的に制御できる。
【0084】
同じ検討事項がすでに原動機付き車両1に対して為されており、簡略化のために再度の説明はしないが、これについても適用できる。
【0085】
前述の指示装置300は、運転中の原動機付き車両1の運転手Pに対して人間工学的位置に配置されると好ましい。そのような位置は、運転手Pが原動機付き車両自体の平衡の初期喪失状態を感じたとき、指示装置を解放するステップがそのような初期平衡喪失状態の発生時に実行されるように、彼/彼女が指示装置300を本能的に解放するような位置である。
【0086】
代替的に、または指示装置を本能的に解放可能な人工工学的位置に配置することと組み合わせて、前述の指示装置300は、運転手Pが原動機付き車両の平衡の初期喪失状態を感じたときに運転手P自身によって当然に操作が中止されるように、心地よくない姿勢で運転手によって操作され得るように構成されてもよい。それによって、そのような初期平衡喪失状態が生じたときに指示装置を解放するステップが実行される。
【0087】
また、この場合、同じ検討事項が原動機付き車両1に対して為されており、簡略化のために再度の説明はしないが、これについても適用できる。
【0088】
上記から分かるように、本発明は、先行技術に存在する欠点を克服できる。
【0089】
偶発的な特別の要求を満たすために、当業者は、三つまた四つの車輪を備える傾斜原動機付き車両に対して、および上記されている三つまた四つの車輪を備える傾斜原動機付き車両の傾斜運動を安全に妨げる方法に対して、複数の変更および変化をさせることができるが、全て添付の特許請求の範囲によって定められる本発明の範囲に含まれる。
図1
図2