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特許7368389インピーダンス制御式に急速充電するための方法、充電システム用の制御装置、エネルギー貯蔵装置、及び駆動装置
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  • 特許-インピーダンス制御式に急速充電するための方法、充電システム用の制御装置、エネルギー貯蔵装置、及び駆動装置 図1
  • 特許-インピーダンス制御式に急速充電するための方法、充電システム用の制御装置、エネルギー貯蔵装置、及び駆動装置 図2
  • 特許-インピーダンス制御式に急速充電するための方法、充電システム用の制御装置、エネルギー貯蔵装置、及び駆動装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】インピーダンス制御式に急速充電するための方法、充電システム用の制御装置、エネルギー貯蔵装置、及び駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/10 20060101AFI20231017BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20231017BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20231017BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20231017BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20231017BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20231017BHJP
   B60L 58/25 20190101ALI20231017BHJP
   B60L 53/62 20190101ALI20231017BHJP
   B60L 58/18 20190101ALI20231017BHJP
   B60L 58/27 20190101ALI20231017BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20231017BHJP
【FI】
H02J7/10 H
H02J7/00 P
H01M10/44 Q
H01M10/48 P
B60L50/60
B60L53/14
B60L58/25
B60L53/62
B60L58/18
B60L58/27
B60L3/00 S
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020569164
(86)(22)【出願日】2019-05-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-11
(86)【国際出願番号】 EP2019062348
(87)【国際公開番号】W WO2019238337
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】102018209461.6
(32)【優先日】2018-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】398037767
【氏名又は名称】バイエリシエ・モトーレンウエルケ・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】ニュルンベルガー・ジーモン
(72)【発明者】
【氏名】バウアー・クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ・ダーフェ
(72)【発明者】
【氏名】シュミット・ヤン・フィリップ
【審査官】早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-518807(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0149430(US,A1)
【文献】特表2016-538683(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02894706(EP,A2)
【文献】独国特許出願公開第102013206612(DE,A1)
【文献】特開2011-239578(JP,A)
【文献】特開2014-068527(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0276843(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
H01M10/42-10/48
B60L1/00-3/12
B60L7/00-13/00
B60L15/00-58/40
G01R31/36-31/396
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(1′)の駆動装置(1)の電気エネルギー貯蔵装置(20)インピーダンス制御式に急速充電するための方法において、
-前記電気エネルギー貯蔵装置(20)のインピーダンスに固有の変数が検出され、
-前記電気エネルギー貯蔵装置(20)を充電するための実際の充電電流が、前記インピーダンスに固有の変数に依存して調整され、
-抵抗負荷(30)を前記電気エネルギー貯蔵装置(20)に接続し給電することによって、前記実際の充電電流が20A/sよりも大きい急峻な勾配で一時的に減少され、
-当該急峻な勾配に対する前記電気エネルギー貯蔵装置(20)の電圧応答が、この電気エネルギー貯蔵装置(20)の前記インピーダンスに固有の変数として検出され、前記実際の充電電流を調整するための基準とされる当該方法。
【請求項2】
加熱装置(40)が、抵抗負荷(30)として使用され、前記実際の充電電流を減少させるために、この加熱装置(40)を稼働させるための前記電気エネルギー貯蔵装置(20)に接続される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電気エネルギー貯蔵装置(20)に固有の加熱装置、又はバッテリーに固有の又はセルに固有の加熱装置が、加熱装置(40)としてこの電気エネルギー貯蔵装置(20)で又はこの電気エネルギー貯蔵装置(20)内で、又はバッテリー若しくはセルで又はバッテリー若しくはセル内で、又は加熱シートの形態で使用される請求項2に記載の方法。
【請求項4】
基準となる前記駆動装置(1)の発電機(50)又は電動機が、負荷抵抗(30)として、又は能動的な短絡の状態で使用される請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
充電すべき別の電気エネルギー貯蔵装置(60)が、抵抗負荷(30)として、又は基礎となる前記電気エネルギー貯蔵装置(20)にDC/DC結合した状態で使用される請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
複数の電気エネルギー貯蔵装置(20)の充電が、
-基礎となる前記電気エネルギー貯蔵装置(20)に対して局所的に及び/又は分散的に制御又は調整され、又は
-複数の電気エネルギー貯蔵装置に対して集中的に且つ基礎となる前記電気エネルギー貯蔵装置(20)と一緒に制御又は調整される請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
複数の電気エネルギー貯蔵装置の充電が制御又は調整され、
-基礎となる1つの電気エネルギー貯蔵装置(20)又はそれぞれの電気エネルギー貯蔵装置(20)の電圧応答が、局所的に及び/又は分散的に検出され、
-複数の電気エネルギー貯蔵装置(20)の複数の電圧応答が、集中的に解析及び/又は評価され、及び/又は
-複数の電気エネルギー貯蔵装置(20)に対して共通の1つの充電方法が、全ての電気エネルギー貯蔵装置(20)のうちで最も小さいインピーダンスを有する電気エネルギー貯蔵装置(20)に基づいて選択されることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記充電電流の一時的な減少は、
診断の目的のために、約0.1Hz~約10Hzの範囲内の周波数で、又は放電パルスの形態で、又は約1秒の期間を成す低周波成分におけるパルス期間で、又は5ミリ秒の放電で、又は995ミリ秒間に減衰する充電電流に対する制御によって、又は約5ミリ秒~約10ミリ秒の範囲内の高周波成分におけるパルス期間で実行される請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
充電システム(100)用の制御装置(10)であって、この制御装置(10)は、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法を、基準となる充電システム(100)内で実行し、進行させ及び/又は制御するように構成されていて、この制御装置(10)は、
-制御チップ及び/又はASICとして、基準となる電気エネルギー貯蔵装置(20)、又はバッテリーセル、モジュール、モジュールハウジングに若しくは基準となる電気エネルギー貯蔵装置(20)、又はバッテリーセル、モジュール、モジュールハウジング内に構成されていて、又はバッテリーセル、モジュール若しくはモジュールハウジングの領域に若しくはバッテリーセル、モジュール若しくはモジュールハウジングの領域内に構成されていて、
-集中的に構成されていて、
-分散的に構成されていて、又は
-1つ又は複数の電気エネルギー貯蔵装置(20)、バッテリーセル又はモジュール用に構成されていて、又は
-局所的に若しくは集中的に測定するために構成されていて、又は
-局所的に若しくは集中的に評価し及び/又は制御するために構成されている当該制御装置(10)。
【請求項10】
車両(1′)の駆動装置(1)の電気エネルギー貯蔵装置(20)インピーダンス制御式に急速充電するための充電システム(100)において、
前記充電システム(100)は、請求項1~8のいずれか1項に記載のインピーダンス制御式に急速充電するための方法を用いて又は当該方法のために使用され、稼働され又は制御されるように構成されていて、及び/又は、前記充電システム(100)は請求項9に記載の制御装置(10)を有して構成されている当該充電システム(100)。
【請求項11】
請求項9に記載の制御装置(10)有する電気エネルギー貯蔵装置(20)
【請求項12】
電気エネルギー貯蔵装置(20)と制御装置(10)とを備えるか、又は制御装置(10)を有する電気エネルギー貯蔵装置(20)を備える駆動装置(1)において、
-前記電気エネルギー貯蔵装置(20)は、請求項11にしたがって構成されていて、及び/又は
-それぞれの制御装置(10)が、請求項9にしたがって構成されている当該駆動装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置の電気エネルギー貯蔵装置をインピーダンス制御式に急速充電するための方法、充電システム用の制御装置、エネルギー貯蔵装置、及び駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば電気自動車若しくはBEVだけを対象とした、又はハイブリッドシステムの形態の駆動装置、特に車両が、電気エネルギー貯蔵装置によって益々稼働されつつある。この場合、一般に、エネルギー貯蔵装置を単に急速充電するために構成されているにすぎず、例えば電気車両又はハイブリッド車両用の充電スタンドとして構成されている充電スタンドが、駆動装置のエネルギー貯蔵装置を充電するために使用される。このような充電スタンドは、充電パルスを生成し出力して、当該充電パルスに基づいてインピーダンス又はエネルギー貯蔵装置の内部抵抗に固有の変数を導き出し、充電電流をインピーダンスに依存して調整することができない点が、当該充電スタンドの問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、基準となる充電スタンドの不足に関係なく、基準となる電気エネルギー貯蔵装置のインピーダンス制御式の急速充電が簡単な手段で可能である、電気エネルギー貯蔵装置をインピーダンス制御式に急速充電するための方法並びに充電システム用の制御装置、エネルギー貯蔵装置及び駆動装置、特に車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、インピーダンス制御式に急速充電するための本発明の方法では、独立請求項1に記載の特徴によって解決され、本発明の制御装置では、請求項9に記載の特徴によって解決され、本発明の充電システムでは、請求項10に記載の特徴によって解決され、本発明のエネルギー貯蔵装置では、請求項11に記載の特徴によって解決され、本発明の駆動装置では、請求項12に記載の特徴によって解決される。好適なその他の構成は、それぞれの従属請求項に記載されている。
【0005】
本発明の第1の観点によれば、駆動装置の電気エネルギー貯蔵装置、特に車両の車両エネルギー貯蔵装置をインピーダンス制御式に急速充電するための方法が提供される。当該方法の場合、
(i)当該エネルギー貯蔵装置のインピーダンスに固有の変数が検出され、
(ii)当該電気エネルギー貯蔵装置を充電するための実際の充電電流が、当該インピーダンスに固有の変数に依存して調整され、
(iii)抵抗負荷を当該エネルギー貯蔵装置に接続し給電することによって、当該実際の充電電流が、特に20A/sよりも大きい、特に約1A/ms~約50A/msの範囲内の急峻な勾配で一時的に減少され、
(iv)当該急峻な勾配に対する当該エネルギー貯蔵装置の電圧応答が、このエネルギー貯蔵装置の当該インピーダンスに固有の変数として検出され、当該実際の充電電流を調整するための基準とされる。
【0006】
充電スタンドの性能に関係なく、エネルギー貯蔵装置のインピーダンスに固有の変数を検出して、当該検出によって充電工程をインピーダンスに依存して制御又は調整することが、当該対策によって可能である。
【0007】
加熱装置が、抵抗負荷として使用され、当該実際の充電電流を減少させるために、この加熱装置を稼働させるための当該エネルギー貯蔵装置に接続されるときに、本発明の方法は、特に有益である。この場合、実際の充電電流を減少させるために消費されるエネルギーが、熱量の生成によって有益に変換され得る。
【0008】
当該エネルギー貯蔵装置に固有の加熱装置、バッテリーに固有の又はセルに固有の加熱装置が、加熱装置としてこのエネルギー貯蔵装置で又はこのエネルギー貯蔵装置内で、特にバッテリー若しくはセルで又はバッテリー若しくはセル内で、特に加熱シートの形態で使用されるときに、本発明の方法は、特に有益である。この場合、したがって、当該加熱装置は、当該エネルギー貯蔵装置に対して空間的に近くに存在する。その結果、発生した熱量が、このエネルギー貯蔵装置に供給される。こうして、例えば、当該エネルギー貯蔵装置の適切な動作温度に到達され得るか、又は、当該動作温度が取得され得る。
【0009】
しかしながら、全ての抵抗負荷又は別の負荷が、エネルギー貯蔵装置のインピーダンスに固有の変数を決定するために実際の充電電流の一時的な減少を可能にする限り、基本的には、当該全ての抵抗負荷又は別の負荷も使用可能である。
【0010】
したがって、代わりに又はさらに、基準となる当該駆動装置の発電機又は電動機が、負荷抵抗として、特に能動的な短絡の状態で使用されることが考えられる。
【0011】
充電すべき別のエネルギー貯蔵装置が、抵抗負荷として、特に基礎となる当該エネルギー貯蔵装置にDC/DC結合した状態で使用されるときに、特に優れた対策が得られる。
【0012】
本発明によれば、当該エネルギー貯蔵装置の充電は、基準となる当該エネルギー貯蔵装置に対して局所的に及び/又は分散的に実行され得る。
【0013】
代わりに又はさらに、当該エネルギー貯蔵装置の充電が、複数のエネルギー貯蔵装置に対して集中的に且つ基礎となる当該エネルギー貯蔵装置と一緒に制御又は調整されることが考えられる。
【0014】
本発明の方法の別の好適な実施の形態にしたがって、複数のエネルギー貯蔵装置の充電が制御又は調整されるときに、特に顕著な柔軟性が得られる。この場合、
-基礎となる1つのエネルギー貯蔵装置又はそれぞれのエネルギー貯蔵装置の電圧応答が、局所的に及び/又は分散的に検出され、
-複数のエネルギー貯蔵装置の複数の電圧応答が、集中的に解析及び/又は評価され、及び/又は
-複数のエネルギー貯蔵装置に対して共通の1つの充電方法が、全てのエネルギー貯蔵装置のうちで最も小さいインピーダンスを有するエネルギー貯蔵装置に基づいて選択される。
【0015】
さらに、当該充電電流は、
-特に診断の目的のために、約0.1Hz~約10Hzの範囲内の周波数で、放電パルスの形態で、約1秒の期間を成す低周波成分におけるパルス期間で、5ミリ秒の放電で、995ミリ秒間に減衰する充電電流に対する制御によって、及び/又は約5ミリ秒~約10ミリ秒の範囲内の高周波成分におけるパルス期間で一時的に減少され、及び/又は
-特に均一化されたインターカレーションのために、約50Hz~約200Hzの範囲内の周波数で、及び/又は10%のサンプリングレートで一時的に減少されることが考えられる。
【0016】
本発明の別の観点によれば、充電システム用の制御装置も提供される。この制御装置は、電気エネルギー貯蔵装置をインピーダンス制御式に急速充電するための本発明の方法を、基準となる充電システム内で実行し、進行させ及び/又は制御するように構成されている。
【0017】
本発明の制御装置の好適な実施の形態の場合、当該制御装置は、制御チップ及び/又はASICとして、基準となるエネルギー貯蔵装置、特にバッテリーセル、モジュール、モジュールハウジングに若しくは基準となるエネルギー貯蔵装置、特にバッテリーセル、モジュール、モジュールハウジング内に構成されていて、又はバッテリーセル、モジュール若しくはモジュールハウジングの領域に若しくはバッテリーセル、モジュール若しくはモジュールハウジングの領域内に構成されている。
【0018】
さらに、本発明の制御装置は、集中的に構成されていて、分散的に構成されていて、1つ若しくは複数のエネルギー貯蔵装置、当該1つ若しくは複数のエネルギー貯蔵装置のうちの一部のエネルギー貯蔵装置、1つ若しくは複数のバッテリーセル、当該1つ若しくは複数のバッテリーセルのうちの一部のバッテリーセル、1つ若しくは複数のモジュール、又は当該1つ若しくは複数のモジュールのうちの一部のモジュール用に構成されていて、局所的に若しくは集中的に測定するために構成されていて、及び/又は局所的に若しくは集中的に評価し及び/又は制御するために構成されている。
【0019】
さらに、本発明は、駆動装置の電気エネルギー貯蔵装置、特に車両の車両エネルギー貯蔵装置をインピーダンス制御式に急速充電するための充電システムも提供する。
【0020】
本発明の充電システムは、本発明にしたがってインピーダンス制御式に急速充電するための方法を用いて又は当該方法のために使用され、稼働され又は制御されるように構成されている。
【0021】
好ましくは、本発明の充電システムは、本発明の方法にしたがう制御装置を有して構成されている。
【0022】
本発明の別の観点は、本発明にしたがって構成された制御装置又は本発明にしたがって構成された制御装置に対する端子を有するエネルギー貯蔵装置、特に車両エネルギー貯蔵装置を提供することにある。
【0023】
この場合、本発明のエネルギー貯蔵装置は、例えば、抵抗負荷又は抵抗負荷に対して制御可能に切り換え可能に接続するための端子を有する。
【0024】
本発明の別の思想によれば、エネルギー貯蔵装置と制御装置とを備える駆動装置が提供される。
【0025】
当該制御装置及び/又はエネルギー貯蔵装置は、本発明にしたがって構成され得る。
【0026】
代わりに又はこれに加えて、当該エネルギー貯蔵装置は、本発明にしたがって構成された制御装置を有し得る。
【0027】
本発明のさらなる詳細、特徴及び利点は、以下の説明及び図面に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明にしたがって構成された駆動装置を有する本発明の充電システムの実施の形態の構成を概略的なブロック線図に基づいて示す。
図2】特にセルとして本発明にしたがって構成されたエネルギー貯蔵装置の実施の形態を展開された透視図に基づいて示す。
図3】本発明の方法の実施の形態によって実行可能な充電方式の実施の形態をグラフに基づいて示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明の実施の形態及び技術背景を図1~3を参照して詳しく説明する。同じ構成要素及び同等な構成要素並びに同じに作用する構成要素及び同等に作用する構成要素は、同じ符号で付記される。いずれにしても、図示された構成要素及び構成部品の動作は詳しく説明しない。
【0030】
当該図示された特徴及びさらなる特性は、本発明の要部から外れることなしに互いに任意に独立していてもよく、互いに任意に組み合わされてもよい。
【0031】
図1は、本発明にしたがって構成された駆動装置1を有する本発明の充電システム100の実施の形態の構成を概略的なブロック線図に基づいて示す。
【0032】
図1による充電システム100は、駆動装置1を、例えば車両1′として有する。エネルギーを稼働中に駆動装置1の機器に供給するため、車両1′は、電気エネルギー貯蔵装置20を(ここでは、車両エネルギー貯蔵装置20′として)有して構成されている。さらに、当該エネルギー貯蔵装置の端子23及び24に制御可能に接続可能である充電装置80が、エネルギー貯蔵装置20を充電するために構成されている。
【0033】
充電工程を制御するため、制御装置10が、特に本発明にしたがって提唱されている方式で設けられている。この制御装置10は、構成部品としてエネルギー貯蔵装置20に又はエネルギー貯蔵装置20内に構成され得る。しかしながら、図1に示された場合では、当該制御装置は、エネルギー貯蔵装置20に対して独立して配置されている。
【0034】
制御装置10は、エネルギー貯蔵装置20をインピーダンス制御式に急速充電するための本発明の方法を起動し、実行し及び/又は制御するように構成されている。
【0035】
このため、制御装置10は、設けられている抵抗負荷30をエネルギー貯蔵装置20に接続している間に、充電電流が、エネルギー貯蔵装置20へ向かって減少するように、充電工程中に当該負荷30又は一般的な負荷を当該エネルギー貯蔵装置20に一時的に接続することができる。この場合、当該減少は、20A/sよりも大きい比較的急峻な勾配で発生する。その結果、この急峻な減少は、インピーダンス解析等のために利用され得る、すなわちエネルギー貯蔵装置20の対応する電圧応答を検出することによって、場合によっては評価することによって利用され得る。
【0036】
図1に示された実施の形態では、異なる複数の負荷30、すなわちエネルギー貯蔵装置20に対して空間的にすぐ近くに、例えば加熱シートとして配置された加熱装置40と、基準となるエネルギー貯蔵装置20にDC/DC結合部を介して電気接続可能である別のエネルギー貯蔵装置60と、能動的な短絡回路動作時に同様に負荷30として機能し得る発電機50とが示されている。
【0037】
図2は、特にセルとして本発明にしたがって構成された、車両エネルギー貯蔵装置20′としてのエネルギー貯蔵装置20の実施の形態を展開された透視図に基づいて示す。
【0038】
車両エネルギー貯蔵装置20′としてのエネルギー貯蔵装置20のこの実施の形態の場合、加熱装置40が、ハウジング21が、加熱シートとしてハウジング21内に配置されていて、且つ複数の電極スタック22間に配置されている。対応する切換装置を有する制御装置10が、エネルギー貯蔵装置20の端子23及び24の領域内に形成されている。しかしながら、この配置は、必須ではなくて、例示にすぎない。
【0039】
図3は、本発明の方法の実施の形態によって生成可能な充電方式を充電曲線93を有するグラフ90に基づいて示す。
【0040】
時間が、グラフ90の横座標91上に記入されていて、実際の充電電流I(t)が、縦座標92上に記入されている。
【0041】
充電曲線93には、充電電流I(t)の比較的高く且つ一定の値を呈する対応する複数の充電区間又は複数の充電パルス93-1を有する高充電段階91-1があることが認識できる。中間放電区間93-2又は移行充電段階が続く。この中間放電区間93-2又は移行充電段階では、充電電流I(t)の比較的低く且つ一定の値を呈する低充電段階91-3に移行させるため、充電電流I(t)の値が、-特に必ずしも線形ではないが-時間と共に低下される。
【0042】
一時的で且つ充電区間93-1に比べて短期間の、充電電流I(t)の値の推移に対して急峻に低下する勾配を有する複数の放電パルス又は複数の放電区間93-2が、個々の充電区間93-1又は充電パルスの間に存在する。急峻に減少する勾配を有するこれらの放電パルス93-2は、例えば、これらの放電パルス93-2から発生するエネルギー貯蔵装置20の電圧応答を検出し評価するために、すなわちエネルギー貯蔵装置20のインピーダンスに固有の変数を導き出すために使用され得る。最も簡単な場合、当該変数は、当該エネルギー貯蔵装置を通じた対応する電圧降下を直接に示す変数であり得る。
【0043】
当該勾配のそれぞれの推移が、縦座標92の充電状態92-1から値零を超えて放電状態92-2に達する。しかしながら、本発明の思想を実現するためには、当該推移は必須ではなく、むしろ充電状態92-1内で推移する減少で十分である。
【0044】
本発明のこれらの特徴及びその他の特徴並びに特性を以下の記載に基づいてさらに説明する。
【0045】
リチウムイオン電池だけを有する移動端末機器では、CCCV方式(定電流定電圧:constant current constant voltage)又は多段方式(多段定電流:multi step constant current)によるエネルギー貯蔵装置の急速充電が、インピーダンス制御方式で可能である。この場合、インピーダンスの変化を検出するため、電流の変化が、-例えば数十Hz又は数百Hz~数kHzの範囲内で-例えば数ミリ秒未満の範囲内のパルス幅で、例えば1ミリ秒~10ミリ秒で-及び/又は充電と放電とを交互に記録され、電圧応答が測定される。
【0046】
-駆動装置1とみなされる-電気車両1′又はハイブリッド車両では、このような電流の変化は、充電装置80とみなされる充電スタンドによっては発生し得ない。何故なら、このような充電スタンドは、対応する車両のエネルギー貯蔵装置を充電できるだけであって、放電はできないからである。
【0047】
このため、充電スタンド80によって生成可能な電流ランプ又は電流勾配が、20A/sの値に制限されている。当該値は、エネルギー貯蔵装置20のインピーダンスに固有の変数を導き出すためには十分でない。
【0048】
1つ又は複数の加熱シート40又は一般的な抵抗負荷30を本発明にしたがって使用することによって、特に当該加熱シート40又は当該負荷抵抗30を駆動装置1、特に車両1′のエネルギー貯蔵装置のセルに組み込むことによって、進行する急速充電工程中に、当該負荷30に接続することによって、放電も、当該セルを通じて実行され得る。当該抵抗負荷30の接続によって、放電電流が生成され、及び/又は、電力が、必要な範囲で減少する。
【0049】
場合によっては使用される切換要素が、特に数十Hz又は数百Hz~数kHzの範囲内で、例えば数ミリ秒未満の範囲内のパルス幅で、例えば1ミリ秒~10ミリ秒で十分に速く切り換り得る。また、当該切り換えは、可能な限りセルごとに実行でき、又はモジュールごとに若しくは高電圧バッテリごとに実現可能である。また、当該切換要素は、対応する電流負荷容量で設計される必要がある。
【0050】
しかしながら、本発明の対策を使用することで、-本発明の制御装置10とみなされる-例えばチップ又はASICによるインピーダンスの測定が、セルの近くで又は通常はエネルギー貯蔵装置20で可能である。
【0051】
当該チップ又はASICは、制御装置10として必要なスイッチを制御でき、このスイッチを含み得るか又は構成し得る。
【0052】
上記の放電パルスは、短い期間によるものであるので、抵抗負荷30中、特に加熱シート40中の入熱量は、比較的僅かである。
【0053】
同時の充電時に、及び抵抗負荷30、特に加熱シート40の起動時に、エネルギー貯蔵装置20としてのセルが放電もするように、セル抵抗に対する抵抗負荷30のオーミック抵抗の値が設計され得る。
【0054】
当該セルの所定の温度限界を超えないように、インピーダンスによる制御は、急速充電時に電流による熱劣化を考慮して実行される。このため、最大電流又はピーク電流の値が、セル電圧に依存して決定される。
【0055】
放電パルスを生成するため、純粋な抵抗の負荷の代わりに、第2のエネルギー貯蔵装置60が、負荷として駆動装置1又は車両1′内に設けられてもよい。この場合、エネルギー貯蔵装置20,20′及び60は、DC/DC結合部70を介して互いに接続される。
【0056】
高周波の放電パルスを充電中に提供するため、例えば抵抗負荷としての加熱シート40を充電すべきセルの内部又は外部で負荷として使用することによって、インピーダンス制御式の急速充電が、適切な放電パルスを提供できない充電スタンド及び全ての充電装置80でも可能である。
【0057】
さらに、さらなる利点が、当該放電パルスによって奏される:
-電極の二重層の過充電が回避され得る。
-拡散によらないで限定された領域が得られる。
-効率的なより小さい抵抗が、より少ない廃熱に寄与する。
-陽極電位が、より高いレベルに維持され得る。
-金属リチウムの析出の危険が、本発明にしたがってより減少する。
-したがって、エネルギー貯蔵装置の寿命がより長くなる。
-さらに、より短い充電時間が実現され得る。
-また、より高い充電出力が可能である。
【0058】
加熱シート40を通じた通電によって、又は一般的には負荷抵抗30のオーミック抵抗を通じた通電によって、-エネルギー貯蔵装置20とみなされる-セルがさらに加熱される。これは、急速充電に有益であり、寿命も改善し、金属リチウムの析出の危険をより少なくし、特に陽極電位の上昇時に抵抗を減少させる。
【0059】
電流が、高いセル電圧時に減少され、又は、陽極電位が、決して過度に低下しないように、本発明のインピーダンス制御式の急速充電は、制御され得て且つ実行され得る。その結果、析出も回避される。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下の構成も包含し得る:
1.
駆動装置(1)の電気エネルギー貯蔵装置(20)、特に車両(1′)の車両エネルギー貯蔵装置(20′)をインピーダンス制御式に急速充電するための方法において、
-前記エネルギー貯蔵装置(20)のインピーダンスに固有の変数が検出され、
-前記電気エネルギー貯蔵装置(20)を充電するための実際の充電電流が、前記インピーダンスに固有の変数に依存して調整され、
-抵抗負荷(30)を前記エネルギー貯蔵装置(20)に接続し給電することによって、前記実際の充電電流が、特に20A/sよりも大きい急峻な勾配で一時的に減少され、
-当該急峻な勾配に対する前記エネルギー貯蔵装置(20)の電圧応答が、このエネルギー貯蔵装置(20)の前記インピーダンスに固有の変数として検出され、前記実際の充電電流を調整するための基準とされる当該方法。
2.
加熱装置(40)が、抵抗負荷(30)として使用され、前記実際の充電電流を減少させるために、この加熱装置(40)を稼働させるための前記エネルギー貯蔵装置(20)に接続される上記1に記載の方法。
3.
前記エネルギー貯蔵装置(20)に固有の加熱装置、特にバッテリーに固有の又はセルに固有の加熱装置が、加熱装置(40)としてこのエネルギー貯蔵装置(20)で又はこのエネルギー貯蔵装置(20)内で、特にバッテリー若しくはセルで又はバッテリー若しくはセル内で、特に加熱シートの形態で使用される上記2に記載の方法。
4.
基準となる前記駆動装置(1)の発電機(50)又は電動機が、負荷抵抗(30)として、特に能動的な短絡の状態で使用される上記1~3のいずれか1つに記載の方法。
5.
充電すべき別のエネルギー貯蔵装置(60)が、抵抗負荷(30)として、特に基礎となる前記エネルギー貯蔵装置(20)にDC/DC結合した状態で使用される上記1~4のいずれか1つに記載の方法。
6.
前記エネルギー貯蔵装置(20)の充電が、
-基礎となる前記エネルギー貯蔵装置(20)に対して局所的に及び/又は分散的に制御又は調整され、又は
-複数のエネルギー貯蔵装置に対して集中的に且つ基礎となる前記エネルギー貯蔵装置(20)と一緒に制御又は調整される上記1~5のいずれか1つに記載の方法。
7.
複数のエネルギー貯蔵装置の充電が制御又は調整され、
-基礎となる1つのエネルギー貯蔵装置(20)又はそれぞれのエネルギー貯蔵装置(20)の電圧応答が、局所的に及び/又は分散的に検出され、
-複数のエネルギー貯蔵装置(20)の複数の電圧応答が、集中的に解析及び/又は評価され、及び/又は
-複数のエネルギー貯蔵装置(20)に対して共通の1つの充電方法が、全てのエネルギー貯蔵装置(20)のうちで最も小さいインピーダンスを有するエネルギー貯蔵装置(20)に基づいて選択されることを特徴とする上記1~6のいずれか1つに記載の方法。
8.
前記充電電流は、
-特に診断の目的のために、約0.1Hz~約10Hzの範囲内の周波数で、放電パルスの形態で、約1秒の期間を成す低周波成分におけるパルス期間で、5ミリ秒の放電で、995ミリ秒間に減衰する充電電流に対する制御によって、及び/又は約5ミリ秒~約10ミリ秒の範囲内の高周波成分におけるパルス期間で一時的に減少され、及び/又は
-特に均一化されたインターカレーションのために、約50Hz~約200Hzの範囲内の周波数で、及び/又は10%のサンプリングレートで一時的に減少される上記1~7のいずれか1つに記載の方法。
9.
充電システム(100)用の制御装置(10)であって、この制御装置(10)は、上記1~8のいずれか1つに記載の方法を、基準となる充電システム(100)内で実行し、進行させ及び/又は制御するように構成されていて、特に、
-制御チップ及び/又はASICとして、基準となるエネルギー貯蔵装置(20)、特にバッテリーセル、モジュール、モジュールハウジングに若しくは基準となるエネルギー貯蔵装置(20)、特にバッテリーセル、モジュール、モジュールハウジング内に構成されていて、又はバッテリーセル、モジュール若しくはモジュールハウジングの領域に若しくはバッテリーセル、モジュール若しくはモジュールハウジングの領域内に構成されていて、
-集中的に構成されていて、
-分散的に構成されていて、
-1つ又は複数のエネルギー貯蔵装置(20)、バッテリーセル又はモジュール用に構成されていて、
-局所的に若しくは集中的に測定するために構成されていて、及び/又は
-局所的に若しくは集中的に評価し及び/又は制御するために構成されている当該制御装置(10)。
10.
駆動装置(1)の電気エネルギー貯蔵装置(20)、特に車両(1′)の車両エネルギー貯蔵装置(20′)をインピーダンス制御式に急速充電するための充電システム(100)において、
前記充電システム(100)は、上記1~8のいずれか1つに記載のインピーダンス制御式に急速充電するための方法を用いて又は当該方法のために使用され、稼働され又は制御されるように構成されていて、及び/又は、前記充電システム(100)は、特に上記9に記載の制御装置(10)を有して構成されている当該充電システム(100)。
11.
上記9に記載の制御装置(10)又は上記9に記載の制御装置(10)に対する端子、特に抵抗負荷(30)又は抵抗負荷(30)に対して制御可能に切り換え可能に接続するための端子を有するエネルギー貯蔵装置(20)及び特に車両エネルギー貯蔵装置(20′)。
12.
エネルギー貯蔵装置(20)と制御装置(10)とを備えるか、又は制御装置(10)を有するエネルギー貯蔵装置(20)を備える駆動装置(1)において、
-前記エネルギー貯蔵装置(20)は、上記11にしたがって構成されていて、及び/又は
-それぞれの制御装置(10)が、上記9にしたがって構成されている当該駆動装置(1)。
【符号の説明】
【0060】
1 駆動装置
1′ 車両
10 制御装置
20 エネルギー貯蔵装置、電気エネルギー用貯蔵装置
20′ 車両エネルギー貯蔵装置
21 ハウジング
22 電極装置/電極スタック
23 端子
24 端子
30 抵抗負荷
40 加熱装置
50 発電機
60 (別の)エネルギー貯蔵装置
70 DC/DC結合部
80 充電装置
90 グラフ
91 横座標
91-1 高充電段階
91-2 移行充電段階
91-3 低充電段階
92 縦座標
92-1 充電状態
92-2 放電状態
93 推移
93-1 充電区間、充電パルス
93-2 放電区間、放電パルス
100 充電システム
図1
図2
図3