(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】エアロゾル発生物品
(51)【国際特許分類】
A24F 40/42 20200101AFI20231017BHJP
A24F 40/465 20200101ALI20231017BHJP
【FI】
A24F40/42
A24F40/465
(21)【出願番号】P 2020571705
(86)(22)【出願日】2019-07-05
(86)【国際出願番号】 EP2019068104
(87)【国際公開番号】W WO2020020604
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-04-13
(32)【優先日】2018-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100188329
【氏名又は名称】田村 義行
(74)【代理人】
【識別番号】100210398
【氏名又は名称】横尾 太郎
(72)【発明者】
【氏名】ローガン,アンドリュー・ロバート・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ギル,マーク
(72)【発明者】
【氏名】秋山 健
(72)【発明者】
【氏名】松坂 圭祐
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-526381(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0055574(US,A1)
【文献】特表2018-502587(JP,A)
【文献】特開平11-178562(JP,A)
【文献】国際公開第2017/001352(WO,A2)
【文献】国際公開第2017/036959(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/42
A24F 40/465
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物ベースのエアロゾル発生材料及び少なくとも1つの誘導加熱可能サセプタ要素を収容する実質的に円筒形のカップであって、
前記カップが開放端部及び底壁を備え、
前記カップが、自立する成形形態を有し、前記開放端部にあるフランジと前記フランジに取り付けられたクロージャとを備え、
前記クロージャ及び/又は底壁が、多孔質であるか、又は1つ若しくは複数の開口部を備える、
実質的に円筒形のカップ
を備
え、
前記カップが、前記誘導加熱可能サセプタ要素若しくはそれぞれの誘導加熱可能サセプタ要素を、前記底壁及び前記カップの前記開放端部から所定の距離に配置するための、並びに/又は複数の誘導加熱可能サセプタ要素を、互いから所定の距離に配置するための1つ又は複数の位置決め部材を備える、
エアロゾル発生物品。
【請求項2】
前記底壁が複数の開口部を備える、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項3】
前記複数の開口部が、0.5mm~5m
mの直径を有する、
請求項2に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項4】
前記クロージャが、多孔質紙、不織布、又はポリマーシートのうちの1つ又は複数を含む多孔質材料を含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項5】
前記カップが、紙、セルロースファイバ及びバインダ、綿、絹、多糖類ポリマー、デンプン、又は堆肥化可能なポリエステルのうちの1つ又は複数を含む、
請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項6】
前記カップ及び/又は前記クロージャの材料がタバコ及び/又はフレーバーを含む、
請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項7】
前記エアロゾル発生物品が、前記カップの軸方向に互いに間隔を空けて配置され、且つ前記底壁と前記カップの前記開放端部にある前記クロージャとから間隔を空けて配置された少なくとも2
つの実質的に平面の誘導加熱可能サセプタ要素を備える、
請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項8】
前記誘導加熱可能サセプタ要素の少なくとも一
部が、前記カップの半径方向に平面である、
請求項7に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項9】
前記誘導加熱可能サセプタ要素が、互いに等しい間隔を空けて配置される、
請求項7又は8に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項10】
植物ベースのエアロゾル発生材料の層が、隣接する誘導加熱可能サセプタ要素の間に配置される、
請求項6~9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項11】
前記植物ベースのエアロゾル発生材料が、粉末又は砕かれた材料の混合物を含有する、
請求項1~10のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項12】
前記植物ベースのエアロゾル発生材料が、タバコ材料とエアロゾルフォーマとを0.2:1~4:
1に含まれる重量比で含む、
請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項13】
前記植物ベースのエアロゾル発生材料が、2mm未
満のふるいにかけられた粒子サイズを有する、
請求項1~12のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項14】
前記カップ内の前記植物ベースのエアロゾル発生材料の密度が、300g/l~450g/
lである、
請求項1~13のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項15】
前記誘導加熱可能サセプタ要素又はそれぞれの誘導加熱可能サセプタ要素が、アルミニウム又はアルミニウム合金を含む、
請求項1~14のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項16】
前記誘導加熱可能サセプタ要素又はそれぞれの誘導加熱可能サセプタ要素が、円盤状又はリング状のサセプタ要素を含む、
請求項1~15のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項17】
前記リング状のサセプタ要素又はそれぞれのリング状のサセプタ要素が、6mm~10m
mの外径を有し、1mm~5m
mの内径を有し、30μm~100μ
mの厚さを有する、
請求項16に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項18】
前記カップが、0.3mm~1m
mの壁厚を有する、
請求項1~17のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項19】
前記カップが実質的に円筒形の内部空洞を有する、
請求項1~18のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項20】
前記カップが、9mm~10mmの高さ、10mm~11mmの本体の直径、13mm~15mmのフランジの直径を有する、
請求項19に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項21】
前記位置決め部材又はそれぞれの位置決め部材が、周方向の段、又は複数の周方向に不連続な放射状セグメント、又は前記カップに取り付けられた、若しくは前記カップに一体にされた複数の周方向に不連続な放射状セグメントを備える、
請求項
1~20のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項22】
前記カップが、
側壁と、前記側壁から半径方向に内側の方向に延び
、前記誘導加熱可能サセプタ要素を前記カップ内で半径方向に配置するためのストッパ
とを備える、
請求項1~
21のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項23】
前記周方向の段が、前記ストッパ及び前記位置決め部材を備える、
請求項
21を引用する請求項22に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項24】
前記クロージャが、スナップフィット接続によって前記フランジに取り付けられる、
請求項1~
23のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項25】
前記スナップフィット接続が、前記フランジと協働する前記クロージャの周縁に連続的に延びる周方向のフックを備える、
請求項
24に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項26】
前記スナップフィット接続が、前記フランジと協働する前記クロージャの周縁に複数の周方向に間隔を空けて配置されたフック部材を備える、
請求項
24に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項27】
前記フランジが、陥凹部を間に画定する内側に突出する上部フランジ部分及び下部フランジ部分を備え、前記クロージャの周縁が、前記スナップフィット接続を提供するために前記陥凹部に配置可能である、
請求項
24に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項28】
前記上部フランジ部分及び下部フランジ部分が連続する周方向のフランジ部分であり、前記陥凹部が連続する周方向の陥凹部である、
請求項
27に記載のエアロゾル発生物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、エアロゾル発生物品に関し、より具体的には、エアロゾル発生物品を加熱してユーザが吸入するためのエアロゾルを発生させるためのエアロゾル発生デバイスと共に使用するためのエアロゾル発生物品に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、エアロゾル発生材料を燃やすのではなく加熱して吸入用のエアロゾルを生成するデバイスが、消費者に人気になってきている。
【0003】
そのようなデバイスは、いくつかの異なる手法のうちの1つを使用して、エアロゾル発生材料に熱を供給することができる。そのような手法の1つは、誘導加熱システムを用いるエアロゾル発生デバイスを提供することであり、このエアロゾル発生デバイスには、エアロゾル発生材料を含むエアロゾル発生物品をユーザが着脱可能に挿入することができる。そのようなデバイスでは、誘導コイルがデバイスに設けられ、誘導加熱可能サセプタがエアロゾル発生物品に通常設けられる。ユーザがデバイスを作動させると、電気エネルギーが誘導コイルに供給され、これにより交流電磁場が発生する。サセプタがこの電磁場と結合して熱を発生し、この熱が、例えば伝導によって、エアロゾル発生材料に伝達され、エアロゾル発生材料が加熱されると蒸気又はエアロゾルが発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エアロゾル発生デバイスが発生するエアロゾルの特性はいくつかの要因に依存し、これには、エアロゾル発生デバイスで使用されるエアロゾル発生物品の構成が含まれる。したがって、物品の使用中に発生するエアロゾルの特性の改善を可能にするエアロゾル発生物品を提供することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の態様によれば、
植物ベースのエアロゾル発生材料及び少なくとも1つの誘導加熱可能サセプタ要素を収容する実質的に円筒形のカップであって、カップが開放端部及び底壁を備え、
カップが、自立する成形形態を有し、開放端部にあるフランジとフランジに取り付けられたクロージャとを備え、
クロージャ及び/又は底壁が、多孔質であるか、又は1つ若しくは複数の開口部を備える、実質的に円筒形のカップ
を備える、エアロゾル発生物品が提供される。
【0006】
エアロゾル発生物品は、植物ベースのエアロゾル発生材料を燃やすことなくエアロゾル発生材料を加熱して、植物ベースのエアロゾル発生材料の少なくとも1種の成分を揮発させ、それにより、冷却され凝縮してエアロゾル発生デバイスのユーザが吸入するためのエアロゾルを形成する蒸気を発生させるためのエアロゾル発生デバイスで使用するためのものである。
【0007】
一般論として、蒸気とは、その臨界温度よりも低い温度で気相である物質であり、これは、温度を下げることなく圧力を高めることにより、蒸気を液体に凝縮させ得ることを意味する一方、エアロゾルとは、空気中又は別のガス中の微細な固体粒子又は液滴の浮遊物である。ただし、本明細書では、「エアロゾル」及び「蒸気」という用語は、特に、ユーザによる吸入のために発生される吸入可能媒体の形態に関して交換可能に使用され得ることに留意されたい。
【0008】
少なくとも1つの誘導加熱可能サセプタ要素を使用することにより、植物ベースのエアロゾル発生材料を加熱するための便利で効果的且つエネルギー効率の良い仕方が提供される。エアロゾル発生物品がエアロゾル発生デバイスに配置され、交流の電磁場に曝露されると、エネルギーが電磁エネルギーから熱エネルギーに変換される渦電流及び磁気ヒステリシス損失により、誘導加熱可能サセプタ要素で熱が発生する。誘導加熱可能サセプタ要素で発生した熱は植物ベースのエアロゾル発生材料に伝達され、そこで加熱されて蒸気が発生し、蒸気が冷却され凝縮して、所望の特性を備えたエアロゾルを形成する。
【0009】
カップは実質的に円筒形の側壁を備え得る。底壁は実質的に円形であり得る。クロージャは実質的に円形であり得る。結果として得られるエアロゾル発生物品の円筒形の形態は、実質的に円形の断面と併せて、複数のエアロゾル発生物品の包装を容易にし得る、及び/又はエアロゾル発生デバイスの対応する形状の加熱区画へのエアロゾル発生物品の挿入を容易にし得る。
【0010】
フランジは側壁から外側に、例えば半径方向に外側の方向に延び得る。よって、フランジはカップの開放端部を横切って延びず、それにより、エアロゾル発生デバイスでのエアロゾル発生物品の使用中に、カップを通る流体(例えば、空気及び/又は蒸気及び/又はエアロゾル)の流れを促進する。側壁が実質的に円筒形である実施形態では、フランジは実質的に円形のリップを備え得る。
【0011】
底壁は、複数の開口部を備え得る。換言すれば、底壁は穿孔され得る。開口部は、実質的に円形であり得、0.5mm~5mm、好ましくは1.0mm~2.5mmの直径を有し得る。いくつかの実施形態では、底壁は、1.2mm~2.5mmの直径を有し得る第1の開口部と、中央開口部を中心として配置され得る複数の第2の開口部とを備え得る。第1の開口部は、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生デバイスに配置されているときに、温度センサを挿入するように構成され得る。第1の開口部は中央開口部であり得、第2の開口部は周辺開口部であり得る。第1の開口部は省略されてもよい。底壁は、5~10個の上記第2の開口部すなわち周辺開口部を備え得る。第2の開口部すなわち周辺開口部は、実質的に円形であり得、0.5mm~1mmの直径を有し得る。第2の開口部は、通常、第1の開口部よりも小さい。
【0012】
空気及び/又はフレーバーの流路を形成するように意図されている開口部、すなわち第2の開口部は、好ましくは、植物ベースのエアロゾル発生材料の粒子サイズ(D90)よりも小さくなるようにサイズ決めされる。その結果、カップの底壁を介した材料の目立った損失は観察されない。体積での粒子サイズ(D90)は、Malvern Mastersizer 3000を使用したサンプルの乾式分散及びレーザ屈折率測定によって測定される。
【0013】
底壁は、空気が底壁を通して流れることを可能にする多孔質である材料を含み得る。底壁は、耐空気性である材料、例えば非多孔質の壁構造を有するが、制御されたサイズの開口部を通って空気が流れることを可能にするために穿孔された材料を含み得る。底壁は、上記開口部のうちの1つ又は複数を備え得る。好ましくは、側壁及び底壁を備えるカップ本体は、耐空気性である材料を含む。フランジはまた、そのような材料を含み得る。開口部は、空気が底壁を通して流れることを可能にするために必要とされる。通気性の底壁により、エアロゾル発生物品を通る空気の流れが促進され、それにより、エアロゾルを発生して、例えばエアロゾル発生デバイスのマウスピースを介して、ユーザに運ぶことが最適化される。
【0014】
クロージャは、空気が底壁を通して流れることを可能にする多孔質である材料を含み得る、及び/又は開口部を備え得る。クロージャは、多孔質紙、不織布、ポリマーシート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される多孔質材料を含み得る。クロージャは、1つ又は複数の穿孔を備え得る。空気(並びに蒸気及びエアロゾルを含む他の流体)がクロージャを通って流れることを可能にするために開口部又は穿孔が必要とされるように、クロージャは、それ自体が空気に耐性がある材料を含み得る。植物ベースのエアロゾル発生材料をカップに保持することに加えて、通気性のクロージャにより、好都合なことに、エアロゾル発生物品を通る空気の流れが促進され、それにより、エアロゾルを発生して、例えばエアロゾル発生デバイスのマウスピースを介して、ユーザに運ぶことが最適化される。クロージャは、底壁と同じ材料を含み得る。
【0015】
「耐空気性」とは、保管中に必ずしも酸素に対してバリアである必要はないが、使用中に少なくとも空気及び蒸気を流さない材料を意味する。
【0016】
カップは、紙、セルロースファイバ及びバインダ、綿、絹、多糖類ポリマー、デンプン、又は堆肥化可能なポリエステル(EN13432に準拠)のうちの1つ又は複数を含み得る。これらの材料は、それらの組成によって、又は表面コーティング若しくはラミネーションなどによって耐空気性にでき、穿孔又は開口部によって通気性にできる。カップは製造が安価且つ容易であり、高温での使用でも安全である。カップの自立する成形形態により、カップがその形状を保持することが可能になり、例えば製造中及び/又はユーザによるエアロゾル発生物品の取り扱いが容易になる。
【0017】
カップ及び/又はクロージャは、タバコ及び/又はフレーバーをさらに含有し得る。タバコ及び/又はフレーバーは、包装の成分、例えば紙の風味を改善又はマスクして、より心地よい風味を与える。フレーバーは、タバコ、果物、植物、ナッツ、花などとすることができる。タバコ及び/又はフレーバーは、紙の成分として含有されてもよい。タバコは、紙に埋め込まれてもよいし、コーティング又は層状化などによってその上に塗布されてもよい。タバコは、粒子、フレーク、葉の断片、条片、層、及びそれらの組み合わせの形態とすることができる。
【0018】
エアロゾル発生物品は、カップの軸方向に、すなわち底壁と開放端部との間に延びるカップ軸に沿って互いに間隔を空けて配置され得る少なくとも2つ、好ましくは3つ以上の実質的に平面の誘導加熱可能サセプタ要素を備え得る。少なくとも2つの実質的に平面の誘導加熱可能サセプタ要素は、底壁及びカップの開放端部にあるクロージャから間隔を空けて配置され得る。このような構成により、エアロゾル発生デバイスでのエアロゾル発生物品の使用中に誘導加熱可能サセプタ要素から植物ベースのエアロゾル発生材料への熱の最大限の伝達が実現される。
【0019】
いくつかの実施形態では、誘導加熱可能サセプタ要素の少なくとも一部、好ましくはすべてが平面であり、好ましくはカップの半径方向に環状である。これにより、複数の誘導加熱可能サセプタ要素をカップ内に配置できる。
【0020】
誘導加熱可能サセプタ要素は、互いに等しい間隔を空けて配置され得る。誘導加熱可能サセプタ要素の間が等間隔であることにより、エアロゾル発生デバイスでのエアロゾル発生物品の使用中に植物ベースのエアロゾル発生材料が均一に加熱されることが確保される。
【0021】
植物ベースのエアロゾル発生材料の層が、隣接する誘導加熱可能サセプタ要素の間に配置され得る。隣接する誘導加熱可能サセプタ要素の間に植物ベースのエアロゾル発生材料の層を配置することにより、エアロゾル発生デバイスでのエアロゾル発生物品の使用中に、誘導加熱可能サセプタ要素からエアロゾル発生材料に最大量の熱が伝達されることが確保される。これにより、十分な量のエアロゾルが確実に発生される。
【0022】
植物ベースのエアロゾル発生材料は、任意のタイプの固体又は半固体の材料であり得る。例えば、植物ベースのエアロゾル発生材料は、通常、粉末又は砕かれた材料の混合物を含有する。他の例示的なタイプのエアロゾル発生固形物としては、顆粒、ペレット、細片、ストランド、粒子、ゲル、条片、ルーズリーフ、カットリーフ、カットフィラー、多孔質材料、発泡材料、又はシートが挙げられる。植物ベースのエアロゾル発生材料はタバコを含み得る。好都合には、再構成されたタバコを含み得る。
【0023】
発泡材料は、複数の微粒子(例えば、タバコ粒子)を含み得る。タバコ粒子は、50~180μm、好ましくは60~140μm、さらに好ましくは65~125μm、よりさらに好ましくは70~110μm、特に好ましくは75~90μmの粒子サイズ(D90)を有することができ、例えば、約80μmの粒子サイズ(D90)を有し得る。発泡材料は、プロピレングリコール、グリセリン、又はそれらの組み合わせなどのエアロゾル形成剤をさらに含み得る。エアロゾル形成剤は、水をさらに含むことができる。しかしながら、特定の実施形態によれば、エアロゾル形態の水はユーザの口を火傷させる可能性があるため、水は含まれていない。水は、発泡材料の重量の0~15重量%、例えば5~10重量%の量で含まれ得る。発泡材料は、発泡材料の総重量に基づいて、最大15重量%、好ましくは最大5重量%の量の溶媒及び/又は酸及び/又はエステルをさらに含み得る。発泡材料は、発泡剤をさらに含み得る。発泡剤は、タンパク質を含まない多糖類であってもよい。発泡剤は、寒天、ジェランガム、レシチン、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、及び/又はそれらの混合物からなる群から選択され得るが、これらに限定されない。好ましい発泡剤はジェランガムである。発泡材料は、発泡安定剤を含み得る。発泡安定剤は、セルロースガム、ヒドロキシアルキル化炭水化物、それらの誘導体、例えばそれらの塩、好ましくはそのアルカリ金属塩、例えばそれらのナトリウム及び/又はカリウム塩、並びにそれらの混合物を含み得る。セルロースガムとヒドロキシアルキル化炭水化物との両方は、特に制限されていない。特定の好ましい実施形態によれば、発泡安定剤は、セルロースガム、特にカルボキシメチルセルロース、又はその誘導体である。本発明で使用され得る例示的な好ましいセルロースガムは、CEKOL(登録商標)2000及び/又はCeroga 4550C(C.E.Roeper GmbH)であり、それぞれ精製されたカルボキシメチルセルロースナトリウムである。別のクラスの適切な発泡安定剤は、ヒドロキシアルキル化炭水化物であり、より好ましくは、セルロースエーテル及びその誘導体である。使用され得るセルロースエーテル又はその誘導体は、メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、及びヒドロキシプロピル基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基を有し得る。さらに、1~20個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖の置換又は非置換アルキルラジカル又は7~20個の炭素原子を有するアラルキルラジカルで置換されてもよい。このようなラジカルは、好ましくは、エーテル結合によって結合される。適切な置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、1~4個の炭素原子を有するカルボキシ基などが挙げられる。特定の実施形態によれば、セルロースエーテルは、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、水、及び/又は保湿剤などの水分添加剤からなる群から選択される。発泡材料は、開気孔性の多孔質であってよく、発泡材料を通る空気及び/又は蒸気の流れを可能にし得る。発泡材料は、発泡材料の総体積に基づいて、少なくとも4体積%の空気混和、好ましくは少なくとも5体積%の空気混和、例えば5~7体積%の空気混和を有し得る。第1の例では、発泡材料は、16重量%のタバコ粉末、28重量%のプロピレングリコール(PG)、42重量%のグリセリン(G)、2重量%の精製水、4重量%のジェランガム、8重量%のCeroga 4550Cを含有する。第2の例では、発泡材料は、33重量%のタバコ粉末、16重量%のプロピレングリコール、24重量%のグリセリン、4重量%の精製水、7重量%のジェランガム、16重量%のCeroga 4550Cを含有する。
【0024】
植物ベースのエアロゾル発生材料は、タバコ材料とエアロゾルフォーマとを0.2:1~4:1、好ましくは0.52:1~2:1に含まれる重量比で含み得る。保湿剤として機能するエアロゾルフォーマとしては、グリセリン又はプロピレングリコールなどの多価アルコール及びその混合物が挙げられる。通常、植物ベースのエアロゾル発生材料は、乾燥重量ベースで約5%~約50%のエアロゾルフォーマ含有率を含み得る。
【0025】
加熱されると、植物ベースのエアロゾル発生材料は揮発性化合物を放出し得る。揮発性化合物は、ニコチン又はタバコ香味料などのフレーバー化合物を含み得る。
【0026】
植物ベースのエアロゾル発生材料は、2mm未満、好ましくは1.7mm未満の粒子サイズ、例えばふるいにかけられた粒子サイズを有し得る。カップ内の植物ベースのエアロゾル発生材料の密度は、300g/l~450g/l、好ましくは350g/l~400g/l、最も好ましくは約380g/lであり得る。この構成により、エアロゾル発生物品のエアロゾル発生デバイスでの使用中に、良好な特性のエアロゾルが発生され得る。好ましくは、エアロゾル発生物品は、約150~250mg、好ましくは約200mgの植物ベースのエアロゾル発生材料を収容する。
【0027】
その誘導加熱可能サセプタ要素又はそれぞれの誘導加熱可能サセプタ要素は、アルミニウム、鉄、ニッケル、ステンレス鋼及びそれらの合金、例えばニッケルクロム又はニッケル銅などのうちの1種又は複数種を含み得るが、これらに限定されない。
【0028】
その誘導加熱可能サセプタ要素又はそれぞれの誘導加熱可能サセプタ要素は、円盤状又はリング状のサセプタ要素を含み得る。リング状のサセプタ要素を使用することは、サセプタ要素の中央開口部が、エアロゾル発生デバイスでのエアロゾル発生物品の使用中にエアロゾル発生物品を通る流体(すなわち、空気及び/又は蒸気及び/又はエアロゾル)の流れを容易にするため有利である。
【0029】
そのリング状のサセプタ要素又はそれぞれのリング状のサセプタ要素は、6mm~10mm、好ましくは約8mmの外径を有することができ、1mm~5mm、好ましくは約3mmの内径を有することができ、30μm~100μm、好ましくは約50μmの厚さを有することができる。
【0030】
カップは、0.3mm~1mm、好ましくは0.4mm~0.6mm、最も好ましくは約0.5mmの壁厚を有し得る。
【0031】
カップは実質的に円筒形の内部空洞を有し得る。円筒形の内部空洞を使用することは、円盤状又はリング状のサセプタ要素を収容するのに特に適している。
【0032】
カップは、9mm~10mmの高さ、10mm~11mmの本体の直径、13mm~15mmのフランジの直径を有し得る。
【0033】
カップは、その誘導加熱可能サセプタ要素若しくはそれぞれの誘導加熱可能サセプタ要素を、底壁及びカップの開放端部から所定の距離に配置するように、並びに/又は複数の誘導加熱可能サセプタ要素を、互いから所定の距離に配置するように構成された1つ又は複数の位置決め部材を備え得る。誘導加熱可能サセプタ要素は、カップ内のエアロゾル発生材料に対して所定の位置に容易且つ確実に配置でき、それにより、エアロゾル発生材料の均一な加熱を確実に達成できる。位置決め部材を使用することはまた、エアロゾル発生物品のエアロゾル発生デバイス装置での使用中に、誘導加熱可能サセプタ要素が電磁場と結合するように正しく配置されることを確保し、それにより、最大の発熱量が誘導加熱可能サセプタ要素で達成されることが確保されるのに役立つ。
【0034】
位置決め部材は、カップの内壁の周方向に連続的に延び得る保持面を備え得る。この構成により、誘導加熱可能サセプタ要素はその周辺で確実に支持される。位置決め部材は、カップ内の周方向に間隔を空けて配置された位置に、少なくとも2つ、好ましくは3つ以上の別々の保持面を備え得る。この構成により、誘導加熱可能サセプタ要素の周辺は個別の周縁位置で支持され、それによりエアロゾル発生材料と誘導加熱可能サセプタ要素とのその周辺での接触面積が増加し、エアロゾル発生材料への熱伝達量が最大になる。
【0035】
その位置決め部材又はそれぞれの位置決め部材は、周方向の段、又は複数の周方向に不連続な放射状セグメント、又はカップに取り付けられた、若しくはカップに一体にされた複数の周方向に不連続な放射状セグメントを備え得る。誘導加熱可能サセプタ要素をカップに確実に配置することは、位置決め部材によって確保されている。
【0036】
カップは、開放端部と底壁との間に延びるカップ軸を備えることができ、上記位置決め部材のうちの少なくとも2つがカップ軸に沿って異なる位置にある。カップ軸に沿って開放端部の最も近くに配置された位置決め部材は、他方の位置決め部材よりもカップの内壁に近くなり得る。位置決め部材により、誘導加熱可能サセプタ要素が植物ベースのエアロゾル発生材料全体に均一に分布することが確保され、そして、エアロゾル発生デバイスでのエアロゾル発生物品の使用中に誘導加熱可能サセプタ要素から植物ベースのエアロゾル発生材料への熱の均一な伝達が確保される。
【0037】
カップは、側壁から半径方向に内側方向に延びるストッパをさらに備え得る。ストッパにより、カップ内の誘導加熱可能サセプタ要素をカップ軸に直交する方向、例えば半径方向に確実且つ正確に位置決めすることが容易になる。
【0038】
周方向の段又は上記不連続な放射状セグメントのそれぞれは、ストッパ及び位置決め部材を備え得る。これにより、簡素且つ堅牢な構造が提供される。
【0039】
一態様では、クロージャは、スナップフィット接続によってフランジに取り付けられ得る。代替的又は追加的に、クロージャは、フランジに接着され得る。例えば、クロージャはフランジに接着又は溶接され得る。それにより、クロージャをフランジにしっかりと確実に取り付けることができ、エアロゾル発生材料及び誘導加熱可能サセプタ要素がカップに確実に保持される。
【0040】
スナップフィット接続は、フランジと協働するクロージャの周縁に連続的に延びる周方向のフックを備え得る。或いは、スナップフィット接続は、フランジと協働するクロージャの周縁に複数の周方向に間隔を空けて配置されたフック部材を備え得る。或いは、スナップフィット接続は、クロージャと協働するカップの周縁、例えばフランジに連続的に延びる周方向のフックを備え得る。或いは、スナップフィット接続は、クロージャと協働するカップの周縁、例えばフランジに複数の周方向に間隔を空けて配置されたフック部材を備え得る。
【0041】
フランジは、カップの開放端部を横切って内側に突出し得、陥凹部を間に画定し得る上部フランジ部分及び下部フランジ部分を備え得る。クロージャの周縁は、スナップフィット接続を提供するために陥凹部に配置可能であり得る。上部フランジ部分及び下部フランジ部分は連続した周方向のフランジ部分であり得、陥凹部は連続した周方向の陥凹部であり、クロージャの周縁はスナップフィット接続を提供するために配置可能であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】植物ベースのエアロゾル発生材料と複数のリング状の誘導加熱可能サセプタ要素とを備えるカップの第1の例を含むエアロゾル発生物品の概略的な断面側面図である。
【
図2】リング状の誘導加熱可能サセプタ要素のうちの1つの平面図である。
【
図4a】カップとクロージャとの間のスナップフィット接続の第1の例を示す、
図1に示したものと同様のエアロゾル発生物品の概略的な断面側面図である。
【
図4b】カップとクロージャとの間のスナップフィット接続の第1の例を示す、
図1に示したものと同様のエアロゾル発生物品の概略的な断面側面図である。
【
図5a】
図4a及び
図4bのスナップフィット接続の第1の例で使用するための代替的なクロージャの概略的な斜視図である。
【
図5b】それぞれ、
図5aのクロージャの反対側から見た図である。
【
図5c】それぞれ、
図5aのクロージャの反対側から見た図である。
【
図6a】
図4a及び
図4bのスナップフィット接続の第1の例で使用するための別の代替的なクロージャの概略的な斜視図である。
【
図6b】それぞれ、
図6aのクロージャの反対側から見た図である。
【
図6c】それぞれ、
図6aのクロージャの反対側から見た図である。
【
図7a】カップとクロージャとの間のスナップフィット接続の第2の例を示す、
図1に示したものと同様のエアロゾル発生物品の概略的な断面側面図である。
【
図7b】カップとクロージャとの間のスナップフィット接続の第2の例を示す、
図1に示したものと同様のエアロゾル発生物品の概略的な断面側面図である。
【
図8a】それぞれ、カップの側壁の内面の周りに連続的に延びる位置決め部材を備えるカップの概略的な断面側面図及び概略的な平面図である。
【
図8b】それぞれ、カップの側壁の内面の周りに連続的に延びる位置決め部材を備えるカップの概略的な断面側面図及び概略的な平面図である。
【
図8c】
図8a及び
図8bのカップを備えるエアロゾル発生物品の概略的な断面側面図である。
【
図9a】カップの側壁の内面の周りの個別の周方向の位置にある位置決め部材を備えるカップの概略的な平面図である。
【
図9b】植物ベースのエアロゾル発生材料及び誘導加熱可能サセプタ要素でカップを満たした後の、それぞれ
図9aの線A-A及び線B-Bに沿った概略的な断面図である。
【
図9c】植物ベースのエアロゾル発生材料及び誘導加熱可能サセプタ要素でカップを満たした後の、それぞれ
図9aの線A-A及び線B-Bに沿った概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、例示のみを目的として、添付図面を参照しながら本開示の実施形態を説明する。
【0044】
始めに
図1及び
図2を参照すると、電磁場発生器(例えば、誘導コイルを備える誘導加熱システム)を備えるエアロゾル発生デバイスと共に使用するためのエアロゾル発生物品1の第1の例が示されている。エアロゾル発生物品1は、実質的に円形の底壁12と、実質的に円筒形の側壁14と、カップ10の開放端部16にあるフランジ20に取り付けられた実質的に円形のクロージャ18によって密閉された実質的に円形の開放端部16とを有する円筒形カップ10の第1の例を含む。
【0045】
円筒形カップ10は、通常、紙製カップであり、例えば自立する成形形態を有する成形紙製カップである。底壁12は、通気性であり、図示の実施形態では、複数の開口部又は穿孔22を備える。いくつかの実施形態では、カップ10が製造される紙(又は他の材料)は、開口部又は穿孔22を必要とせずに空気が底壁12を通して流れることを可能にする多孔質構造を有し得る。
【0046】
カップ10は、植物ベースのエアロゾル発生材料24、例えば、1.7mm未満のふるい分けされた粒子サイズを有する粉末又は砕かれた形態を有し得る固体又は半固体の材料を収容する。植物ベースのエアロゾル発生材料24はまた、保湿剤として機能するグリセリン又はプロピレングリコールなどのエアロゾルフォーマを含む。通常、植物ベースのエアロゾル発生材料24は、乾燥重量ベースで約30%~約50%のエアロゾルフォーマ含有率、場合により乾燥重量ベースで約40%を含み得る。加熱されると、植物ベースのエアロゾル発生材料24は、場合によりニコチン又はタバコ香味料などのフレーバー化合物を含む揮発性化合物を放出する。
【0047】
カップ10はまた、複数のリング状の誘導加熱可能サセプタ要素26を収容する。誘導加熱可能サセプタ要素26は、底壁12と開放端部16との間に延び、円筒形カップ10の内側にカップ軸に対して同軸に配置され、カップ軸に沿って軸方向に間隔を空けて配置される。エアロゾル発生デバイスにおいて物品1の使用中に、誘導加熱可能サセプタ要素26の近傍に交流の電磁場が印加されると、渦電流及び磁気ヒステリシス損失によって電磁誘導加熱可能サセプタ要素26において熱が発生し、この熱は電磁誘導加熱可能サセプタ要素26から隣接する植物ベースのエアロゾル発生材料24に伝達されて、植物ベースのエアロゾル発生材料24を燃やすことなく加熱し、それにより、冷却されて凝縮する蒸気が発生して、ユーザによる吸入用のエアロゾルが形成される。誘導加熱可能サセプタ要素26は、実質的にその全面にわたって、植物ベースのエアロゾル発生材料24と接触し、これにより、誘導加熱可能サセプタ要素26から植物ベースのエアロゾル発生材料24に直接的に、したがって効率的に、熱を伝達することが可能になる。
【0048】
開放端部16にあるクロージャ18は、植物ベースのエアロゾル発生材料24及び誘導加熱可能サセプタ要素26をカップ10の内部に保持する。エアロゾル発生デバイスでのエアロゾル発生物品1の使用中に植物ベースのエアロゾル発生材料24の加熱により発生した蒸気又はエアロゾルが円筒形のカップ10から流出できるように、クロージャ18は通気性である必要があることが当業者には理解されよう。
図1に示す例では、クロージャ18は、空気及び蒸気が流れて通ることができる多孔質材料を含む。フランジ20は、外向きに延びる円形リップ28を備え、クロージャ18は、接着剤又は溶接によって、例えば超音波溶接技法又はホットプレスを使用して、円形リップ28に取り付けられる。
【0049】
次に
図3a~
図3dを参照すると、
図1に関連して上で説明したカップ10と同様の円筒形のカップ110の第2の例が示されており、対応する要素は同じ参照番号を使用して示されている。
【0050】
図3a及び
図3bから最もよく分かるように、底壁12は、中央開口部32の形態の第1の開口部と、中央開口部32を中心として配置された周方向に間隔を空けて配置された周辺開口部30の形態の複数の第2の開口部とを備える。周辺開口部30は実質的に円形であり、直径は通常0.5mm~1mmである。中央開口部32もまた実質的に円形であり、周辺開口部30よりも大きな直径を有し、通常1.2mm~2.5mmである。
【0051】
次に
図4a及び
図4bを参照すると、
図1及び
図2に関連して上で説明したエアロゾル発生物品1と同様のエアロゾル発生物品2の第2の例が示されており、対応する要素は同じ参照番号を使用して示されている。植物ベースのエアロゾル発生材料24及び誘導加熱可能サセプタ要素26は、
図4a及び
図4bには示されていないことに留意されたい。
【0052】
エアロゾル発生物品2は、スナップフィット接続34を有するクロージャ18を備える。スナップフィット接続34は、周方向に延びるフック36を備え、フランジ20が
図4bに示すようにしっかりと配置され得る周方向の連続して延びる陥凹部38を形成する。フック36は、クロージャ18がカップ軸の方向に、
図4aに示される位置から
図4bに示される位置に移動されるときにフランジ20を越えて摺動することを可能にするテーパー面40を備える。開放端部16及び/又はフック36に近接するカップ10の側壁14は、クロージャ18がフランジ20に押し付けられるときに曲がった後に一方又は両方の構成要素が元の位置に戻り、それにより、フランジ20が、
図4bに示すように、周方向の陥凹部38に収容され、しっかりと保持され得ることが当業者には理解されよう。
【0053】
図5a~
図5cは、上記のカップ10と共に使用され得るスナップフィット接続34を有する代替的なクロージャ18を示している。スナップフィット接続34は、クロージャ18を上から見たときに(
図5bを参照)クロージャ18の周縁94が滑らかな縁部輪郭を有するように、クロージャ18の下面92から下向きに延びる複数の周方向に間隔を空けて配置されたフック部材90を備える。各フック部材90は、
図4bに関連して上で説明したのと同じようにフランジ20が配置され得る陥凹部を形成する。クロージャ18がフランジ20に押し付けられると、フック部材90は個別に屈曲した後にフック部材90が元の位置に戻り、それにより、フランジ20が陥凹部に収容され、しっかりと保持されるようになる。
【0054】
図6a~
図6cは、上記のカップ10と共に使用され得るスナップフィット接続34を有する代替的なクロージャ18を示している。スナップフィット接続34は、クロージャ18を上から見たときに(
図6bを参照)刻み目のある縁部輪郭を提供するように、クロージャ18の周縁94から下向きに延びる複数の周方向に間隔を空けて配置されたフック部材90を備える。各フック部材90は、
図4bに関連して上で説明したのと同じようにフランジ20が配置され得る陥凹部を形成する。クロージャ18がフランジ20に押し付けられると、フック部材90は個別に屈曲した後にフック部材90が元の位置に戻り、それにより、フランジ20が陥凹部に収容され、しっかりと保持されるようになる。
【0055】
図5及び
図6に示すクロージャ18は、空気及び蒸気がクロージャ18を通して流れることを可能にする複数の周方向に配置された開口部98を備えることに留意されたい。しかしながら、開口部98は、クロージャ18が空気及び蒸気がそこを通って流れることを可能にするのに十分な多孔質構造を有する場合、省略され得る。
【0056】
次に
図7a及び
図7bを参照すると、上述のエアロゾル発生物品1、2と同様のエアロゾル発生物品3の第3の例が示されており、対応する要素は同じ参照番号を使用して示されている。植物ベースのエアロゾル発生材料24及び誘導加熱可能サセプタ要素26は、
図7a及び
図7bには示されていないことにここでも留意されたい。
【0057】
エアロゾル発生物品3は、半径方向に内側の方向に突出し、スナップフィット接続42を形成するフランジ20を有するカップ210を備える。より詳細には、スナップフィット接続42は、連続的に延びる上部周方向フランジ部分44及び連続的に延びる下部周方向フランジ部分46を備え、これらは、
図7bに示すようにクロージャ18の周囲がしっかりと保持され得る連続的に延びる周方向の陥凹部48をそれらの間に画定する。上部周方向フランジ部分44は、クロージャ18が
図7aに示す位置から
図7bに示す周方向の陥凹部48内に移動することを容易にするテーパー面50を備える。特に、開放端部16に近接するカップ210の側壁14が、クロージャ18がテーパー面50に押し付けられるときに、半径方向外側に曲がるようにされ得ることと、上部周方向フランジ部分44もまた、外側及び/又は下側に変形された後に両方の構成要素が元の位置に戻り、それにより、クロージャ18の周辺が、
図7bに示すように周方向の陥凹部48に収容されることを可能にし得ることとが当業者には理解されよう。
【0058】
次に
図8a~
図8cを参照すると、側壁14が、複数の段54a~cを備える階段状の内面52を有するカップ310の例が示されている。
【0059】
段54a~cは、カップ310の内壁58の周方向に連続的に延びる複数の半径方向に延びる保持面56a~cを画定する。保持面56a~cは、
図8cから最もよく分かるように、誘導加熱可能サセプタ要素26をカップ310内で、カップ軸に沿って軸方向に配置するための位置決め部材56として機能する。内面52の階段状の構成により、カップ軸に沿って開放端部16の最も近くに配置された保持面56cは、その下方にある保持面56a、56bよりも側壁14に近い。同様に、保持面56bは、その下方にある保持面56aよりも側壁14に近い。一実施形態では、保持面56a~cは、均一な距離で間隔を空けて配置される。
【0060】
段54a~cはまた、カップ310の内壁58の周方向に連続的に延びる複数の軸方向に延びる当接面60a~cを画定する。当接面60a~cは、
図8cから最もよく分かるように、誘導加熱可能サセプタ要素26をカップ310内で、例えばカップ軸に同軸となるように、半径方向に配置するためのストッパ60として機能する。内面52の階段状の構成により、カップ軸に沿って開放端部16の最も近くに配置された当接面60cは、その下方にある当接面60a、60bよりも側壁14に近い。同様に、当接面60bは、その下方にある当接面60aよりも側壁14に近い。
【0061】
次に
図9a~
図9cを参照すると、カップ内部の周方向に間隔を空けて配置された位置に複数の階段状セグメント62を備えるカップ410の例が示されている。各階段状セグメント62は、複数の段64a~cを備える。
【0062】
段64a~cは、
図8a~
図8cに関連して上で説明したように、また
図9b及び
図9cに示すように、誘導加熱可能サセプタ要素26をカップ410内でカップ軸に沿って軸方向に配置するための位置決め部材66として機能する、複数の半径方向に延びる保持面66a~cを画定する。段64a~cはまた、
図8a~
図8cに関連して上で説明したように、また
図9b及び
図9cに示すように、誘導加熱可能サセプタ要素26をカップ410内に半径方向に配置するためのストッパ68として機能する複数の軸方向に延びる当接面68a~cを画定する。
【0063】
以上の段落では例示的な実施形態について説明してきたが、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、これらの実施形態に対する様々な修正がなされ得ることを理解されたい。したがって、特許請求の範囲は、上述した例示的な実施形態に限定されるべきではない。
【0064】
本明細書で特段の断りのない限り又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、すべての可能な変形形態における上述した特徴の任意の組み合わせが本開示によって包含される。
【0065】
文脈上、明らかに別段の要請のない限り、本明細書及び特許請求の範囲全体を通じて、「含む」、「含んでいる」などの語は、排他的意味又は網羅的意味とは反対に、包括的に、すなわち「含むが、限定されない」という意味で解釈されたい。