(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】粒状洗剤組成物
(51)【国際特許分類】
C11D 17/06 20060101AFI20231017BHJP
C11D 3/04 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
C11D17/06
C11D3/04
(21)【出願番号】P 2021001232
(22)【出願日】2021-01-07
【審査請求日】2022-12-15
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 重人
(72)【発明者】
【氏名】小坂 卓也
(72)【発明者】
【氏名】清水 健太
【審査官】井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-065973(JP,A)
【文献】国際公開第2016/047788(WO,A1)
【文献】特開2010-254768(JP,A)
【文献】特開2006-016440(JP,A)
【文献】特開2014-005367(JP,A)
【文献】特開2013-249407(JP,A)
【文献】国際公開第2004/094313(WO,A1)
【文献】国際公開第2006/003988(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00- 19/00
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
界面活性剤含有粒子と、水溶性無機粒子とを含有する粒状洗剤組成物であって、
前記水溶性無機粒子は、粒子径が30μm以下の微粒子成分を含み、且つ前記粒状洗剤組成物において、前記微粒子成分の含有量が前記界面活性剤含有粒子の含有量に対して3.0質量%以上であり、
前記粒状洗剤組成物における前記界面活性剤含有粒子の含有量が50質量%以上95質量%以下であり、
前記界面活性剤含有粒子における界面活性剤の含有量が10質量%以上50質量%以下であり、
前記界面活性剤含有粒子の平均粒子径が100μm以上600μm以下であり、
前記水溶性無機粒子における前記微粒子成分の含有量が4質量%以上100質量%以下であり、
温度30℃及び相対湿度70%RHの雰囲気下に1週間保存した後、目開きが4760μmのふるいに通したときのふるい透過率が60%以上である粒状洗剤組成物。
【請求項2】
前記水溶性無機粒子が水溶性無機物質の粉砕物である請求項1に記載された粒状洗剤組成物。
【請求項3】
前記水溶性無機粒子は、温度30℃及び相対湿度70%RHの雰囲気下に1週間保存したときの質量増加率が、前記水溶性無機粒子の保存開始時の含水量によらず、20質量%以下である請求項1又は2に記載された粒状洗剤組成物。
【請求項4】
前記水溶性無機粒子を形成する水溶性無機物質が硫酸ナトリウムを含む請求項1乃至3のいずれかに記載された粒状洗剤組成物。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載された粒状洗剤組成物の製造方法であって、
前記界面活性剤含有粒子と、前記水溶性無機粒子とを混合し、
前記水溶性無機粒子は、粒子径が30μm以下の微粒子成分を含み、且つ前記粒状洗剤組成物において、前記微粒子成分の含有量が前記界面活性剤含有粒子の含有量に対して3.0質量%以上である粒状洗剤組成物の製造方法。
【請求項6】
前記水溶性無機粒子を、水溶性無機物質を粉砕することにより調製する請求項5に記載された粒状洗剤組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状洗剤組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
界面活性剤含有粒子の表面に無機粒子を付着させて表面改質した粒状洗剤組成物が知られている。例えば、特許文献1には、無機粒子として、ゼオライト等の水不溶性無機粉体を用いることが開示されている。特許文献2には、無機粒子として、表面処理した炭酸ナトリウム等の水溶性アルカリ無機塩核粒子を用いることが開示されている。特許文献3には、無機粒子として、酸化亜鉛粒子を用いることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-195892号公報
【文献】特開2006-143986号公報
【文献】特開2006-182862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、保存安定性が優れる粒状洗剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、界面活性剤含有粒子と、水溶性無機粒子とを含有する粒状洗剤組成物であって、前記水溶性無機粒子は、粒子径が30μm以下の微粒子成分を含み、且つ前記粒状洗剤組成物において、前記微粒子成分の含有量が前記界面活性剤含有粒子の含有量に対して3.0質量%以上である。
【0006】
本発明は、界面活性剤含有粒子と、水溶性無機粒子とを含有する粒状洗剤組成物の製造方法であって、前記界面活性剤含有粒子と、前記水溶性無機粒子とを混合し、前記水溶性無機粒子は、粒子径が30μm以下の微粒子成分を含み、且つ前記粒状洗剤組成物において、前記微粒子成分の含有量が前記界面活性剤含有粒子の含有量に対して3.0質量%以上である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、水溶性無機粒子が、粒子径が30μm以下の微粒子成分を含み、且つ粒状洗剤組成物における微粒子成分の含有量が界面活性剤含有粒子の含有量に対して3.0質量%以上であることにより、優れた保存安定性を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について詳細に説明する。
【0009】
実施形態に係る粒状洗剤組成物は、界面活性剤含有粒子と、水溶性無機粒子とを含有する。そして、水溶性無機粒子は、粒子径が30μm以下の微粒子成分を含み、且つ実施形態に係る粒状洗剤組成物において、その微粒子成分の含有量b’が界面活性剤含有粒子の含有量Aに対して3.0質量%以上である。ここで、本願における「水溶性」とは、20℃の水100gに溶解する質量が5g以上であることをいう。
【0010】
実施形態に係る粒状洗剤組成物によれば、水溶性無機粒子が、粒子径が30μm以下の微粒子成分を含み、且つ実施形態に係る粒状洗剤組成物における微粒子成分の含有量b’が界面活性剤含有粒子の含有量Aに対して3.0質量%以上であることにより、優れた保存安定性を得ることができる。
【0011】
これは、実施形態に係る粒状洗剤組成物において、水溶性無機粒子の微粒子成分の含有量b’が、界面活性剤含有粒子の含有量Aに対して3.0質量%以上であることに加え、その微粒子成分の粒子径が30μm以下であることから、微粒子成分が、ファン・デル・ワールス力の作用により、界面活性剤含有粒子の表面に十分に付着して表面改質するので、例えば高温・高湿の雰囲気下においても、界面活性剤含有粒子の表面での粘着性の発現が規制されるためであると考えられる。
【0012】
<界面活性剤含有粒子>
界面活性剤含有粒子は、界面活性剤、ビルダー、再汚染防止剤、柔軟化剤、蛍光増白剤、抑泡剤、酵素、酵素安定化剤、着色剤、香料、及び水等を含有する。
【0013】
界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、及び非イオン界面活性剤が挙げられる。陰イオン界面活性剤としては、例えば、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸エステルナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、脂肪酸石ケン、アルキルエーテルカルボン酸塩等が挙げられる。陽イオン界面活性剤としては、例えば、脂肪族アミン塩、脂肪族四級アンモニウム塩等が挙げられる。非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等が挙げられる。両性界面活性剤としては、例えば、カルボキシベタイン型化合物、アミノカルボン酸塩等が挙げられる。界面活性剤は、これらのうちの1種のみを含んでいても、2種以上を組み合わせて含んでいても、どちらでもよい。界面活性剤含有粒子における界面活性剤の含有量は、例えば10質量%以上50質量%以下である。
【0014】
ビルダーとしては、無機ビルダー及び有機ビルダーが挙げられる。無機ビルダーとしては、例えば、水酸化ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、結晶性アルミノ珪酸塩、非晶質アルミノ珪酸塩等の水溶性無機塩類が挙げられる。有機ビルダーとしては、例えば、ニトリロトリ酢酸塩、エチレンジアミンテトラ酢酸塩等の水溶性有機酸塩類が挙げられる。界面活性剤含有粒子におけるビルダーの含有量は、例えば40質量%以上80質量%以下である。
【0015】
再汚染防止剤としては、例えば、ポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。柔軟化剤としては、例えば、シリコーン類、粘土鉱物等が挙げられる。蛍光増白剤としては、例えば、ジモルホリノ型蛍光増白剤、ヒドロキシエチルアミノ型蛍光増白剤等が挙げられる。抑泡剤としては、例えば、石鹸、シリコーン等が挙げられる。酵素としては、例えば、プロテアーゼ、セルラーゼ等が挙げられる。酵素安定化剤としては、例えば、ホウ素化合物、カルシウムイオン供給化合物等が挙げられる。着色剤としては、例えば、無機顔料、有機顔料等が挙げられる。香料としては、例えば、メントール、ワニリン等が挙げられる。
【0016】
実施形態に係る粒状洗剤組成物における界面活性剤含有粒子の含有量Aは、優れた洗浄性を得る観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上であり、粒状洗剤組成物の優れた保存安定性を得る観点から、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。
【0017】
界面活性剤含有粒子の平均粒径Dは、粉立ちを抑制するとともに流動性を向上させる観点から、好ましくは100μm以上、より好ましくは150μm以上であり、分級を抑制するとともに溶解性を向上させる観点から、好ましくは600μm以下、より好ましくは500μm以下である。この界面活性剤含有粒子の平均粒径Dは、JIS K 8801の標準篩(目開き45μm、63μm、90μm、125μm、180μm、250μm、355μm、500μm、710μm、1000μm、1410μm、2000μm)を用いて5分間振動させた後、篩目のサイズによる重量分率から体積基準平均粒径を算出する、ふるい分け法で測定される。
【0018】
界面活性剤含有粒子における粒子径が1000μm以上の質量割合である粗粒率は、分級を抑制するとともに溶解性を向上させる観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。界面活性剤含有粒子における粒子径が125μm未満の質量割合である微粉率は、粉立ちを抑制するとともに流動性を向上させる観点から、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
【0019】
界面活性剤含有粒子の粗粒率及び微粉率は、以下のようにして求められる。JIS Z8801-1:2019に記載された目開きが45μm、63μm、90μm、125μm、180μm、250μm、355μm、500μm、710μm、1000μm、1410μm、2000μmの12個のふるいを準備する。この12個のふるいを、受け皿上に、下から上に順に目開きが大きくなるように積み重ねる。最上位の目開きが2000μmのふるいの上に100gの界面活性剤含有粒子を投下した後、12個のふるいを5分間振動させる。各ふるい及び受け皿上の界面活性剤含有粒子の質量を測定する。そして、目開きが1000μm、1410μm、及び2000μmの3個のふるい上の界面活性剤含有粒子の質量を合算し、最初に投入した100gに対する、その質量割合を粗粒率とする。また、受け皿上、並びに目開きが45μm、63μm、及び90μmの3個のふるい上の界面活性剤含有粒子の質量を合算し、最初に投入した100gに対する、その質量割合を微粉率とする。
【0020】
界面活性剤含有粒子の嵩密度は、良好な使用感を得るとともに溶解性を向上させる観点から、好ましくは250g/L以上、より好ましくは300g/L以上であり、良好な使用感を得る観点から、好ましくは700g/L以下、より好ましくは600g/L以下である。この界面活性剤含有粒子の嵩密度は、JIS K3362:2008に基づいて見掛け密度として測定される。
【0021】
JIS K3362:2008に記載された見掛け密度測定用のホッパーから、100mLの界面活性剤含有粒子が流出するのに要する時間を界面活性剤含有粒子の流動性としたとき、界面活性剤含有粒子の流動性は、良好な取り扱い性を得る観点から、好ましくは4秒以上、より好ましくは5秒以上であり、同様の観点から、好ましくは20秒以下、より好ましくは12秒以下、更に好ましくは8秒以下である。
【0022】
界面活性剤含有粒子は、例えば、噴霧乾燥法、ドライ中和法、乾燥造粒法、ドライブレンド法、流動層乾燥法、薄膜乾燥法、押出し造粒法、転動造粒法、攪拌造粒法、圧密造粒法、界面活性剤担持法、又は、これらを組み合わせた方法により調製することができる。なかでも、噴霧乾燥法により調製することが好ましい。
【0023】
<水溶性無機粒子>
水溶性無機粒子を形成する水溶性無機物質としては、例えば、硫酸ナトリウム(芒硝)、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム(重曹)等の無機塩が挙げられる。水溶性無機粒子を形成する水溶性無機物質は、これらのうちの1種又は2種以上を含むことが好ましく、硫酸ナトリウムを含むことがより好ましい。
【0024】
水溶性無機粒子は、粒状洗剤組成物の優れた保存安定性を得る観点から、水溶性無機物質の粉砕物であることが好ましい。水溶性無機粒子の粉砕物は、水溶性無機物質を粉砕することにより調製することができる。水溶性無機粒子の粉砕方法は、例えば、ロールミル、ジェットミル、高速回転式ミル等を用いる乾式粉砕法が好ましい。
【0025】
実施形態に係る粒状洗剤組成物における水溶性無機粒子の含有量Bは、粒状洗剤組成物の優れた保存安定性を得る観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、粉立ちを抑制するとともに流動性を向上させる観点から、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。
【0026】
実施形態に係る粒状洗剤組成物における水溶性無機粒子の含有量Bは、粒状洗剤組成物の優れた保存安定性を得る観点から、界面活性剤含有粒子の含有量Aに対し、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。
【0027】
水溶性無機粒子の平均粒径dは、好ましくは100μm以下であり、粒状洗剤組成物の優れた保存安定性を得る観点から、より好ましくは40μm以下、更に好ましくは30μm以下、更に好ましくは24μm以下、更に好ましくは20μm以下である。この水溶性無機粒子の平均粒径dは、体積基準平均粒径であって、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(例えば、堀場製作所社製のLA-920)を用いたレーザー回折散乱法により測定される。
【0028】
界面活性剤含有粒子の平均粒径Dに対する水溶性無機粒子の平均粒径dの比(d/D)は、粒状洗剤組成物の優れた保存安定性を得る観点から、好ましくは0.17以下、より好ましくは0.085以下である。
【0029】
水溶性無機粒子は、粒子径が30μm以下の微粒子成分を含む。水溶性無機粒子における微粒子成分の含有量bは、粒状洗剤組成物の優れた保存安定性を得る観点から、好ましくは4質量%以上、より好ましくは13質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、更に好ましくは70質量%以上であり、好ましくは100質量%以下、より好ましくは98質量%以下である。水溶性無機粒子における微粒子成分の含有量bは、例えばレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(例えば、堀場製作所社製のLA-920)を用いたレーザー回折散乱法により得られる粒度分布から求められる。
【0030】
実施形態に係る粒状洗剤組成物における水溶性無機粒子の微粒子成分の含有量b’は、界面活性剤含有粒子の含有量Aに対して3.0質量%以上であるが、粒状洗剤組成物の優れた保存安定性を得る観点から、好ましくは3.5質量%以上、より好ましくは4.0質量%以上、更に好ましくは5.0質量%以上、更に好ましくは7.0質量%以上、更に好ましくは7.5質量%以上であり、粉立ちを抑制するとともに流動性を向上させる観点から、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である。
【0031】
水溶性無機粒子を、温度30℃及び相対湿度70%RHの雰囲気下に1週間保存したときの質量増加率は、優れた保存安定性を得る観点から、水溶性無機粒子の保存開始時の含水量によらず、好ましくは20質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下であり、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。
【0032】
<粒状洗剤組成物>
実施形態に係る粒状洗剤組成物は、界面活性剤含有粒子及び水溶性無機粒子以外の洗剤成分を含有していてもよい。
【0033】
実施形態に係る粒状洗剤組成物の平均粒径は、粉立ちを抑制するとともに流動性を向上させる観点から、好ましくは100μm以上、より好ましくは150μm以上であり、分級を抑制するとともに溶解性を向上させる観点から、好ましくは600μm以下、より好ましくは500μm以下である。この粒状洗剤組成物の平均粒径も、体積基準平均粒径であって、界面活性剤含有粒子の平均粒径Dと同様の方法により測定される。
【0034】
実施形態に係る粒状洗剤組成物における粒子径が1000μm以上の質量割合である粗粒率は、分級を抑制するとともに溶解性を向上させる観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。実施形態に係る粒状洗剤組成物における粒子径が125μm未満の質量割合である微粉率は、粉立ちを抑制するとともに流動性を向上させる観点から、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。実施形態に係る粒状洗剤組成物の粗粒率及び微粉率は、界面活性剤含有粒子の粗粒率及び微粉率と同様の方法により測定される。
【0035】
実施形態に係る粒状洗剤組成物の嵩密度は、良好な使用感を得るとともに溶解性を向上させる観点から、好ましくは250g/L以上、より好ましくは300g/L以上であり、良好な使用感を得る観点から、好ましくは700g/L以下、より好ましくは600g/L以下である。実施形態に係る粒状洗剤組成物の嵩密度は、界面活性剤含有粒子の嵩密度と同様の方法により測定される。
【0036】
実施形態に係る粒状洗剤組成物の流動性は、良好な取り扱い性を得る観点から、好ましくは4秒以上であり、同様の観点から、好ましくは20秒以下、より好ましくは12秒以下である。実施形態に係る粒状洗剤組成物の流動性は、界面活性剤含有粒子の流動性と同様の方法により測定される。
【0037】
実施形態に係る粒状洗剤組成物は、例えば噴霧乾燥法により界面活性剤含有粒子を調製するとともに、水溶性無機物質を乾式粉砕することにより水溶性無機粒子を調製した後、それらの界面活性剤含有粒子と水溶性無機粒子とを混合することにより製造することができる。
【0038】
界面活性剤含有粒子と水溶性無機粒子とを混合する混合機としては、例えば、解砕機構を有する縦型造粒機、解砕機構を有する横型造粒機、ブレードを有する容器回転型混合機(ドラム型混合機、パン型混合機)等が挙げられる。混合機は、回分式であっても、連続式であっても、どちらでもよい。
【実施例】
【0039】
(界面活性剤含有粒子)
以下の界面活性剤含有粒子を調製した。その構成は表1にも示す。
【0040】
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS-Na)、ラウリル硫酸ナトリウム(AS-Na)、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(ES-Na)、水酸化ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、重量平均分子量が1万であるポリエチレングリコール (PEG)、重量平均分子量が1万であるポリアクリル酸ナトリウムの40質量%水溶液、及び蛍光増白剤を含有するとともに、残部を水とするスラリーを作製し、これを噴霧乾燥させて界面活性剤含有粒子を得た。
【0041】
得られた界面活性剤含有粒子における各成分の含有量は表1に示す通りである。
【0042】
界面活性剤含有粒子の平均粒径Dは289μmであった。この平均粒径Dは、ふるい分け法により測定した。
【0043】
界面活性剤含有粒子の粗粒率は0.3質量%であった。微粉率は2.5質量%であった。嵩密度は413g/Lであった。流動性は5.95秒であった。これらの粗粒率、微粉率、嵩密度、及び流動性は、上記実施形態に記載の方法で測定した。
【0044】
界面活性剤含有粒子を、温度30℃及び相対湿度70%RHの雰囲気下に1週間保存したときの質量増加率は5.4質量%であった。
【0045】
【0046】
(水溶性無機粒子)
硫酸ナトリウムを、4水準の粉砕度で乾式粉砕して4種の粉砕物を調製した。それらの4種の粉砕物を粉砕度の高い順に水溶性無機粒子1乃至4とした。それぞれの構成は表2にも示す。
【0047】
得られた水溶性無機粒子1乃至4の平均粒径dは、それぞれ18μm、23μm、25μm、及び51μmであった。水溶性無機粒子1乃至4における粒子径が30μm以下の微粒子成分の含有量bは、それぞれ94質量%、79質量%、67質量%、及び12質量%であった。これらの平均粒径d及び微粒子成分の含有量bは、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(LA-920 堀場製作所社製)を用いたレーザー回折散乱法により求めた。
【0048】
水溶性無機粒子1乃至4を、温度30℃及び相対湿度70%RHの雰囲気下に1週間保存したときの質量増加率は、それぞれ0.25質量%、0.25質量%、0.25質量%、及び0.25質量%であった。
【0049】
【0050】
(粒状洗剤組成物)
以下の実施例1乃至5及び比較例の粒状洗剤組成物を作製した。それぞれの構成は表3にも示す。
【0051】
<実施例1>
容器回転式粉体混合機に、上記界面活性剤含有粒子及び水溶性無機粒子1を、それぞれの量の割合が90.9質量%(A)及び9.1質量%(B)となるように投入した。つまり、水溶性無機粒子1の投入量を界面活性剤含有粒子の投入量の10質量%とした。容器回転式粉体混合機を稼働させて界面活性剤含有粒子と水溶性無機粒子1とを混合して粒状洗剤組成物を得た。得られた粒状洗剤組成物を実施例1とした。
【0052】
実施例1の粒状洗剤組成物では、水溶性無機粒子1の微粒子成分の含有量b’は、8.6質量%であって、界面活性剤含有粒子の含有量Aに対して9.5質量%である。界面活性剤含有粒子の平均粒径Dに対する水溶性無機粒子1の平均粒径dの比(d/D)は0.06である。
【0053】
実施例1の粒状洗剤組成物を、温度30℃及び相対湿度70%RHの雰囲気下に1週間保存したときの質量増加率は6.59質量%であった。
【0054】
<実施例2>
水溶性無機粒子1に代えて水溶性無機粒子2を用いたことを除いて実施例1と同様にして得た粒状洗剤組成物を実施例2とした。
【0055】
実施例2の粒状洗剤組成物では、水溶性無機粒子2の微粒子成分の含有量b’は、7.2質量%であって、界面活性剤含有粒子の含有量Aに対して7.9質量%である。界面活性剤含有粒子の平均粒径Dに対する水溶性無機粒子2の平均粒径dの比(d/D)は0.08である。
【0056】
実施例2の粒状洗剤組成物を、温度30℃及び相対湿度70%RHの雰囲気下に1週間保存したときの質量増加率は6.64質量%であった。
【0057】
<実施例3>
水溶性無機粒子1に代えて水溶性無機粒子3を用いたことを除いて実施例1と同様にして得た粒状洗剤組成物を実施例3とした。
【0058】
実施例3の粒状洗剤組成物では、水溶性無機粒子3の微粒子成分の含有量b’は、6.1質量%であって、界面活性剤含有粒子の含有量Aに対して6.7質量%である。界面活性剤含有粒子の平均粒径Dに対する水溶性無機粒子3の平均粒径dの比(d/D)は0.09である。
【0059】
実施例3の粒状洗剤組成物の平均粒径は289μmであった。この平均粒径は、ふるい分け法により測定した(以下の実施例4及び5並びに比較例も同様)。
【0060】
実施例3の粒状洗剤組成物の粗粒率は0.4質量%であった。微粉率は5.8質量%であった。嵩密度は411g/Lであった。流動性は7.93秒であった。これらの粗粒率、微粉率、嵩密度、及び流動性は、上記実施形態に記載の方法で測定した(以下の実施例4及び5並びに比較例も同様)。
【0061】
実施例3の粒状洗剤組成物を、温度30℃及び相対湿度70%RHの雰囲気下に1週間保存したときの質量増加率は7.03質量%であった。
【0062】
<実施例4>
上記界面活性剤含有粒子及び水溶性無機粒子3の量の割合を、それぞれ87.0質量%(A)及び13.0質量%(B)としたことを除いて実施例3と同様にして得た粒状洗剤組成物を実施例4とした。つまり、水溶性無機粒子3の投入量を界面活性剤含有粒子の投入量の15質量%とした。
【0063】
実施例4の粒状洗剤組成物では、水溶性無機粒子3の微粒子成分の含有量b’は、8.7質量%であって、界面活性剤含有粒子の含有量Aに対して10.0質量%である。
【0064】
実施例4の粒状洗剤組成物の平均粒径は283μmであった。粗粒率は0.4質量%であった。微粉率は9.0質量%であった。嵩密度は427g/Lであった。流動性は8.88秒であった。
【0065】
実施例4の粒状洗剤組成物を、温度30℃及び相対湿度70%RHの雰囲気下に1週間保存したときの質量増加率は6.46質量%であった。
【0066】
<実施例5>
上記界面活性剤含有粒子及び水溶性無機粒子3の量の割合を、それぞれ83.3質量%(A)及び16.7質量%(B)としたことを除いて実施例3と同様にして得た粒状洗剤組成物を実施例5とした。つまり、水溶性無機粒子3の投入量を界面活性剤含有粒子の投入量の20質量%とした。
【0067】
実施例5の粒状洗剤組成物では、水溶性無機粒子3の微粒子成分の含有量b’は、11.2質量%であって、界面活性剤含有粒子の含有量Aに対して13.4質量%である。
【0068】
実施例5の粒状洗剤組成物の平均粒径は279μmであった。粗粒率は0.2質量%であった。微粉率は11.8質量%であった。嵩密度は429g/Lであった。流動性は9.18秒であった。
【0069】
実施例5の粒状洗剤組成物を、温度30℃及び相対湿度70%RHの雰囲気下に1週間保存したときの質量増加率は6.16質量%であった。
【0070】
<比較例>
水溶性無機粒子3に代えて水溶性無機粒子4を用いたことを除いて実施例5と同様にして得た粒状洗剤組成物を比較例とした。
【0071】
比較例の粒状洗剤組成物では、水溶性無機粒子4の微粒子成分の含有量b’は、2.0質量%であって、界面活性剤含有粒子の含有量Aに対して2.4質量%である。界面活性剤含有粒子の平均粒径Dに対する水溶性無機粒子4の平均粒径dの比(d/D)は0.18である。
【0072】
比較例の粒状洗剤組成物の平均粒径は271μmであった。粗粒率は0.3質量%であった。微粉率は17.9質量%であった。嵩密度は447g/Lであった。流動性は7.44秒であった。
【0073】
比較例の粒状洗剤組成物を、温度30℃及び相対湿度70%RHの雰囲気下に1週間保存したときの質量増加率は5.57質量%であった。
【0074】
【0075】
(保存安定性試験)
濾紙(ADVANTEC社製、No.2)で長さ15cm×幅9cm×高さ6cmの天部のない箱を作り、四隅をステープラーでとめる。実施例1乃至5及び比較例のそれぞれの粒状洗剤組成物を箱に200g入れ、温度30℃及び相対湿度70%RHの雰囲気下に1週間保存した。その後、目開きが4760μmのふるいに通し、そのケーキングレベルを次のように評価した。
【0076】
SA:塊無し(ふるい透過率=100%)
A:小さな塊有り(80%≦ふるい透過率<100%)
B:塊有るが、容易に崩れる(60%≦ふるい透過率<80%)
C: 大きな塊有り、崩れない(ふるい透過率<60%)
【0077】
結果を表3に示す。表3の結果によれば、実施例1乃至5は、比較例よりも、ふるい透過率が高い、つまり、表面粘着による経時的な大粒径化が抑制されており、そのため保存安定性が優れることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、粒状洗剤組成物及びその製造方法の技術分野について有用である。