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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】発光表示装置
(51)【国際特許分類】
   H10K 59/122 20230101AFI20231017BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20231017BHJP
   H10K 50/16 20230101ALI20231017BHJP
   H10K 50/17 20230101ALI20231017BHJP
   H10K 50/88 20230101ALI20231017BHJP
   H10K 59/124 20230101ALI20231017BHJP
   H10K 59/131 20230101ALI20231017BHJP
【FI】
H10K59/122
G09F9/30 309
G09F9/30 365
H10K50/16
H10K50/17
H10K50/88
H10K59/124
H10K59/131
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021186472
(22)【出願日】2021-11-16
(65)【公開番号】P2022105269
(43)【公開日】2022-07-13
【審査請求日】2021-11-17
(31)【優先権主張番号】10-2020-0190050
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ハン, キュ イル
(72)【発明者】
【氏名】キム, ミ ソー
(72)【発明者】
【氏名】シン, ファ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】リー, ジ ヒョン
【審査官】辻本 寛司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/069042(WO,A1)
【文献】特開2007-157374(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0194520(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0278910(US,A1)
【文献】国際公開第2013/069041(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 59/122
G09F 9/30
H10K 50/16
H10K 50/17
H10K 50/88
H10K 59/124
H10K 59/131
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域及び前記表示領域を囲む非表示領域を有する基板であって、前記非表示領域は、前記表示領域と前記基板のエッジの間に位置する、基板と、
前記表示領域内のサブ画素に備えられた発光素子と、
前記基板の表示領域の縁部に沿って前記非表示領域内に備えられた電圧ラインと、
前記表示領域内の複数の第1ホールを通して前記発光素子の複数の発光部を露出させ、前記非表示領域内の第2ホールを通して前記電圧ラインを露出させるバンクと
前記電圧ラインと前記バンクとの間に第1及び第2平坦化膜とを含み、
前記発光素子の電子注入層が前記表示領域全体に備えられ、前記非表示領域に延びて第2ホール内に備えられ、
前記電子注入層は、前記第1及び第2平坦化膜のエンドラインよりも外側に位置する、前記基板のエッジに近い前記バンクのエンドラインを覆う、発光表示装置。
【請求項2】
前記発光素子は、順に積層された、アノード、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、前記電子注入層及びカソードを含む、請求項1に記載の発光表示装置。
【請求項3】
前記カソードは前記非表示領域内で前記電子注入層上に備えられ、
前記第2ホール内で、前記電圧ラインは前記カソードと前記電子注入層を挟んで接続される、請求項2に記載の発光表示装置。
【請求項4】
前記第2ホールは、前記基板のパッド部を除いて、前記非表示領域において前記基板のエッジに沿って連続的に設けられている、請求項1に記載の発光表示装置。
【請求項5】
前記基板の少なくとも4個のコーナー部のエッジは屈曲を有し、隣接コーナー部の間のエッジは直線領域を有し、
前記第2ホールは前記基板の屈曲に平行な領域に第1幅を有し、前記基板の直線領域に平行な領域に前記第1幅より小さい第2幅を有し、前記バンクのエッジが前記基板のエッジより内側に位置する、請求項4に記載の発光表示装置。
【請求項6】
前記第1幅は100μm以下である、請求項5に記載の発光表示装置。
【請求項7】
前記電子注入層は前記第2ホールを介して前記電圧ラインと接続され、前記非表示領域内で前記第2ホールの側部及び上部で前記バンクと接する、請求項1に記載の発光表示装置。
【請求項8】
前記非表示領域内で、前記電子注入層のエンドラインが前記第2ホールより外側に位置する、請求項1に記載の発光表示装置。
【請求項9】
前記電子注入層は金属又は金属化合物のみ含んでなり、前記電子注入層の厚さは9Å以上20Å以下である、請求項1に記載の発光表示装置。
【請求項10】
前記電子注入層は、LiF、Yb、Ag及びMgのうち少なくとも1つを含む、請求項9に記載の発光表示装置。
【請求項11】
前記アノードと同じ層に、前記第2ホールと重畳して連結パターンをさらに含み、前記連結パターンは、下部で前記電圧ラインと接続され、上部で前記電子注入層と接続される、請求項2に記載の発光表示装置。
【請求項12】
記第1及び第2平坦化膜は、前記第2ホールと重畳し、前記第2ホールの幅より小さい幅のトレンチホールを含む、請求項11に記載の発光表示装置。
【請求項13】
前記第1平坦化膜と第2平坦化膜は異なる幅の第1及び第2トレンチホールをそれぞれ有し、前記第2ホールは、前記第1トレンチホール及び第2トレンチホールの少なくとも一つより前記表示領域から遠い位置で開いているように形成される、請求項12に記載の発光表示装置。
【請求項14】
前記第1トレンチホールと前記第1平坦化膜上とで連続した連結金属パターンを含み、
前記連結金属パターンは下部で前記電圧ラインと電気的に接続され、前記第1トレンチホール内で前記連結金属パターン下部の前記電圧ラインと前記連結金属パターン上部の前記連結パターンとが積層した構造をなす、請求項13に記載の発光表示装置。
【請求項15】
前記電子注入層のエンドラインと前記カソードのエンドラインとが同一である、請求項2に記載の発光表示装置。
【請求項16】
前記第2ホールは前記第1ホールから離隔する、請求項1に記載の発光表示装置。
【請求項17】
前記発光素子の電子注入層は前記第2ホールと重畳して前記第2ホールの内部を覆う、請求項1に記載の発光表示装置。
【請求項18】
前記発光素子は、前記電子注入層上に配置されたカソードを含み、前記電子注入層は前記カソードと同じ幅を有し、前記カソードより小さい厚さを有するように形成され、
前記カソードの下部に位置する前記電子注入層が前記バンクの第2ホールの側部で前記バンクと直接接触する、請求項1に記載の発光表示装置。
【請求項19】
前記第2ホールは前記連結パターンに対して対称であるように形成される、請求項11に記載の発光表示装置。
【請求項20】
前記電圧ラインと前記バンクとの間に、前記電圧ラインに接続された連結金属パターンと、連結パターンとさらに含み、
前記第1平坦化膜は第1トレンチホールを有し、前記第2平坦化膜は第2トレンチホールを有し、
前記第2トレンチホールは、前記第2平坦化膜の位置を介して形成され、前記第1トレンチホールと一部重畳して前記連結金属パターンを露出させ、
前記連結金属パターンは前記第2ホールと重畳しない部位で前記第2トレンチホールを介して前記連結パターンに電気的に連結される、請求項1に記載の発光表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置に関するもので、特に、表示領域の外郭構造の変更によって画素の収縮を防止し、装置の信頼性を改善した発光表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、別途の光源を要求しなく、装置のコンパクト化及び鮮明なカラー表示のための自発光表示装置が競争力あるアプリケーション(application)として考慮されている。
【0003】
このような自発光表示装置は、各サブ画素別に独立的に駆動する発光素子を備える。発光素子に含まれた材料によって有機発光素子又は無機発光素子に区分されることができる。
【0004】
一方、有機発光素子を備えた表示装置は、内部有機層が水分などに弱くて透湿による信頼性が低下するか寿命が縮まる問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は水分などに弱い発光表示装置の特性を改善するためのものであり、表示領域の外郭領域でバンク構造及び素子内部構造を変更して、画素の収縮を防止し、信頼性を改善した発光表示装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の発光表示装置は、カソードに電源電圧信号を印加するために電源電圧ラインに対応して備えられるバンクホールと、表示領域外部の発光素子の各層の延長部との構成を変更することにより、バンクホールを通じての水分浸透を防止することができる。
【0007】
本発明の発光表示装置は、表示領域及び非表示領域を有する基板と、前記表示領域の複数のサブ画素にそれぞれ備えられた発光素子と、前記基板の表示領域の縁部に沿って前記非表示領域に備えられた第1電圧ラインと、前記表示領域内の複数の第1ホールを通して前記発光素子のそれぞれの発光部を露出させ、前記非表示領域内の第2ホールを通して前記第1電圧ラインを露出させるバンクとを含み、前記発光素子のカソードは前記第2ホールを介して前記第1電圧ラインと接続されることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の発光表示装置は次のような効果を有する。
【0009】
薄膜トランジスタアレイの形成の際に一緒に形成される電源電圧ラインと発光素子カソードを接続するために、基板の表示領域の外側に備えられるバンクホールの幅を一定値以下にして、バンクホールを通して水分が浸透することを防止することにより、基板のエッジに近くに位置するサブ画素の発光部が縮小する画素収縮(pixel shrinkage)現象を防止することができる。
【0010】
発光素子の共通層の中でカソードとともに形成される電子注入層を金属成分を含む金属又は金属化合物から形成し、電子注入層がバンクホールと重畳して非表示領域に延びるように形成し、バンクホールで電子注入層が電源電圧ラインと接続されるようにする。これにより、金属成分の電子注入層がバンクホールの内側をカバーして水分に対するバリアとして作用することができ、非表示領域で有機物成分の側部露出を防止して装置の信頼性を改善することができる。
【0011】
非表示領域に備えられるバンクホールの幅は屈曲部と直線部で異なることができるが、相対的にバンクホールの幅が大きい屈曲部でも100μm以下にして水分の伝達経路を減らし、バンクホールの内側及び下部有機膜の内側を電極及び金属成分がカバーするようにして、表示装置の熱及び水分に対する耐性を向上させて表示装置の信頼性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の発光表示装置を平面図である。
図2】I~I’線についての断面図である。
図3A-B】図2のA領域及びB領域を示す断面図である。
図4A-B】本発明の発光表示装置の他の実施例による図2のA領域及びB領域を示す断面図である。
図5】本発明の一実施例による発光表示装置の各サブ画素の回路図である。
図6図1の幅cを有する直線部の断面図である。
図7】本発明の発光表示装置の変形例を示す断面図である。
図8】本発明の発光表示装置の変形例を示す断面図である。
図9図1の第2ホールが第3幅を有する領域を横切る領域の一例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面に基づいて本発明の好適な実施例を説明する。明細書全般にわたって同じ参照番号は実質的に同一である構成要素を意味する。以下の説明で、本発明に関連した技術又は構成についての具体的な説明が本発明の要旨を不必要にあいまいにする可能性があると判断される場合、その詳細な説明を省略する。また、以下の説明で使われる構成要素の名称は容易な明細書作成を考慮して選択されたものであり、実際製品の部品の名称と異なることがある。
【0014】
本発明の多様な実施例を説明するための図面に開示された形状、サイズ、比率、角度、個数などは例示的なものなので、本発明が図面に示された事項に限定されるものではない。本明細書全般にわたって同じ図面符号は同じ構成要素を指称する。また、本発明の説明において、関連した公知技術についての具体的な説明が本発明の要旨を不必要にあいまいにする可能性があると判断される場合、その詳細な説明は省略する。本明細書上で言及する‘含む’、‘有する’、‘なる’などを使う場合、‘~のみ’を使わない限り、他の部分を付加することができる。構成要素を単数で表現する場合、特に明示的な記載事項がない限り、複数を含む場合を含む。
【0015】
本発明の多様な実施例に含まれる構成要素を解釈するに当たり、別途の明示的な記載がなくても誤差範囲を含むものに解釈する。
【0016】
本発明の多様な実施例を説明するに当たり、位置関係について説明する場合、例えば、‘~上に’、‘~の上部に’、‘~の下部に’、‘~のそばに’などによって二つの部分の位置関係を説明する場合、‘すぐ’又は‘直接’を使わない限り、二つの部分の間に一つ以上の他の部分が位置することもできる。
【0017】
本発明の多様な実施例を説明するに当たり、時間関係について説明する場合、例えば、‘~の後に’、‘~に引き続き’、‘~の次に’、’~の前に’などで時間的先後関係を説明する場合、‘すぐ’又は‘直接’を使わない限り、連続的ではない場合も含むことができる。
【0018】
本発明の多様な実施例を説明するに当たり、‘第1~’、‘第2~’などを多様な構成要素を敍述するために使うことができるが、このような用語は互いに同一乃至類似の構成要素を区別するために使うだけである。よって、本明細書で、‘第1~’で修飾する構成要素は別途の言及がない限り、本発明の技術的思想内で‘第2~’で修飾する構成要素と同一であることができる。
【0019】
本発明の多様な実施例のそれぞれの特徴が部分的に又は全体的に互いに結合又は組合せ可能であり、技術的に多様な連動及び駆動が可能であり、多様な実施例が互いに対して独立的に実施されることもでき、連関関係で一緒に実施されることもできる。
【0020】
以下、図面に基づいて本発明の発光表示装置を説明する。
【0021】
図1は本発明の発光表示装置の平面図、図2はI~I’線についての断面図である。図3A及び図3B図2のA領域及びB領域を示す断面図である。
【0022】
図1図2に示すように、本発明の発光表示装置1000は、表示領域AA及び非表示領域NAを有する基板100と、前記表示領域AAの複数サブ画素にそれぞれ備えられた発光素子OLEDと、前記基板100の表示領域の縁部に沿って前記非表示領域に備えられた第1電源電圧ライン106cと、前記表示領域AA内の複数の第1ホールEMPを通して前記発光素子OLEDのそれぞれの発光部を露出させ、前記非表示領域NA内の第2ホールBCTを通して前記第1電源電圧ライン106cを露出させるバンク120とを含み、前記発光素子の電子注入層EILは表示領域AAから延びて少なくとも前記非表示領域NAの前記第2ホールBCTに備えられることができる。
【0023】
すなわち、前記電子注入層EILがバンク120が第2ホールBCTから除去されて露出されたバンク120の側部に直接接するように形成されることにより、外部からの水分又は冷却時の第2ホールBCTに残った湿気がバンク120を通して透湿する現象を防止することができる。前記電子注入層EILは第2ホールBCTと重畳して形成されることにより、第2ホールBCT及び周辺領域を保護する。
【0024】
前記電子注入層EILは前記第2ホールBCTの側部だけではなく第2ホールBCTの周辺のバンク120の上側にも形成されてバンク120の上部表面も保護することができる。例えば、電子注入層EILは、非表示領域NAで、バンク120の第2ホールBCTの側部及びバンク120の上部と接することができる。
【0025】
前記電子注入層EILは発光素子OLEDのカソード(CAT)200と同じチャンバー及び/又はマスクによって形成されることができるものであり、電子注入層EILの上部にはカソード200が備えられる。
【0026】
実質的に前記第2ホールBCTはカソード200が前記第1電源電圧ライン106cと重畳して接続されるように備えられるものであり、第2ホールBCTで前記第1電圧ライン106cは前記カソード200と前記電子注入層EILを挟んで接続されることができる。電気的接続のために、電子注入層EILは無機物又は無機化合物成分を含む成分である。例えば、電子注入層EILは、LiF、Yb、Ag及びMgの少なくとも1種を含むことができ、その他にもカソード200の成分を一部含むこともできる。一方、前記電子注入層EILはカソード200から発光素子OLEDの内部有機層OSに電子が容易に注入されるようにする主機能を有するものであり、このために有機層OSとの界面抵抗が低く仕事関数が小さい金属を含むことができる。また、電子注入層EILはあまり厚くないように形成して、上部のカソード200と下部の第1電源電圧ライン106cとの電気的接続抵抗を高めないようにする。
【0027】
本発明の発光表示装置において前記電子注入層EILの機能を簡略に説明する。
【0028】
例えば、前記電子注入層EILがイッテルビウム(Yb)を含んでなるとき、水分が第2ホールBCT側に流入すれば、式1のように、イッテルビウム(Yb)と水酸化基が反応し、水素分子を外部に放出し、水分による影響を防止することができる。
【0029】
また、前記電子注入層EILがLiFを含んでなるとき、リチウム(Li)とフッ素(F)が分離され、リチウム(Li)と水酸化基が反応し、フッ化水素(HF)を外部に放出することができ、水分による影響を防止することができる。
【0030】
[数1]
2Yb+6HO→2Yb(OH)+3H
【0031】
[数2]
LiF+HO→LiOH+HF
【0032】
すなわち、本発明の発光表示装置で、第2ホールBCTをカバーするように形成された電子注入層EILは外部から透湿する湿気が冷却時に発生する水分と反応して水素又はフッ化水素などの成分として放出させることにより、水分による影響を防止し、水分が内部サブ画素の発光部を収縮させる現象を防止することができる。
【0033】
図1は発光表示装置のバンク120の形状を示す図である。バンク120は、図1に示すように、一体型に形成されることができ、内側領域に互いに離隔した第1ホールEMP及び第2ホールBCTを有する。バンク120は絶縁性有機物質からなり、基板100のエッジから一定幅だけ内側に入ってエンドラインBELを有する。前記バンク120のエンドラインが基板100のエッジから離隔している理由は、有機物質からなるバンク120のエッジの側部が外気に直接接触することを防止し、水分浸透の原因になることを防止するためである。また、バンク120のパッド部PADに対応しては第2ホールBCTを有しない。パッド部PADのパッド電極(図示せず)と駆動IC(Integrated Circuit)又は駆動ICを含むフレキシブルプリント基板(FPC:Flexible Printed Circuit)との接続のためにパッド部PADを有しない他の辺より内側にエンドラインを有することもできる。この場合、パッド部PADではバンクの除去された基板100上のパッド電極と第1電源電圧ラインが接続されることができる。
【0034】
バンク120の第1ホールEMPは表示領域AAにある発光部に対応するものであり、第1ホールEMPはそれぞれが離隔しており、表示領域AAには第1ホールEMPを除いた領域にバンク120が備えられ、発光素子OLEDから光が第1ホールEMPを通して出射される。バンク120が第1ホールEMPを取り囲み、その高低差によって発光部と非発光部を区分することができる。第1ホールEMPのサイズはサブ画素が発光しようとする色別に異なることができる。例えば、青色サブ画素が緑色サブ画素や赤色サブ画素に比べて第1ホールEMPのサイズが大きいことができる。それぞれの発光素子OLEDの発光効率、所要駆動電圧及び人間による認知感度を考慮して前記第1ホールEMPのサイズはサブ画素別に調整されることができる。
【0035】
前記第2ホールBCTは前記パッド部PADを除いた前記非表示領域に一体型に備えられるものであり、第2ホールBCTの下側に第1電源電圧ライン106cが配置され、第2ホールBCTの上側に発光素子OLEDのカソード200が接続されて電気的接続関係を成す。前記第1電源電圧ライン106cはパッド部に延び、パッド部と連結される駆動部を介して信号を受けることができる。
【0036】
前記第1電源電圧ライン106cに印加される信号は接地電圧又は低電圧信号であり、カソード200に接地信号を印加するか一定した低電圧信号を印加することによりカソード200を一定電位に維持するものである。
【0037】
発光素子OLEDはサブ画素別にパターニングされたアノード110と接続された薄膜トランジスタTFTを介して電気的信号を受けて選択的に動作し、当該サブ画素を発光させる。
【0038】
一例として、薄膜トランジスタは、図2のように、ゲート電極102と、前記ゲート電極102と重畳する半導体層104と、前記半導体層104の両側と接続されたソース電極106a及びドレイン電極106bとを含む。
【0039】
前記ゲート電極102と半導体層104との間にはゲート絶縁膜103が備えられ、前記半導体層104のチャネル上部にはチャネル保護層105が備えられ、これは半導体層104とソース電極106a及びドレイン電極106bとの接続の際に半導体層104のチャネルを保護する。
【0040】
前記半導体層104は酸化物半導体層、ポリシリコン層及び非晶質シリコン層の少なくとも一つを含むことができ、場合によっては同じか異なる材料から二層以上備えて形成されることもできる。
【0041】
前記薄膜トランジスタTFTを保護するように第1平坦化膜107が備えられることができる。前記第1平坦化膜107には第1コンタクトホールCT1が備えられ、前記薄膜トランジスタTFTのソース電極106aを露出させることができる。
【0042】
そして、前記第1コンタクトホールCT1を介して前記ソース電極106aと接続される第1連結金属パターン109が備えられることができる。
【0043】
また、前記第1連結金属パターン109を覆うように第2平坦化膜108がさらに備えられ、前記第2平坦化膜108を通して第1連結金属パターン109を露出させる第2コンタクトホールCT2を有することができる。
【0044】
前記第2コンタクトホールCT2及び第1コンタクトホールCT1を介して前記第1連結金属パターン109と接続されたアノード110が備えられる。
【0045】
ここで、発光素子OLED、すなわちアノード110の下側構成を全部含めて薄膜トランジスタアレイ基板500と言う。薄膜トランジスタアレイ基板500には、層状構成の薄膜トランジスタTFT、前記薄膜トランジスタTFTの電極の間に備えられるゲート絶縁膜103、第1及び第2平坦化膜107、108及び第1連結金属パターン109を含むことができる。
【0046】
一方、前記薄膜トランジスタアレイ基板500の形成の際、ゲート電極102及びソース/ドレイン電極106a、106bと同一層に信号ライン102a及び第1電源電圧ライン106cがさらに備えられることができる。
【0047】
図2には第1電源電圧ライン106cが一つとして示されているが、これは発明の特徴のうちカソード200と接続されるラインを重点的に示すためのものであり、第1電源電圧ライン106cの他にも低電圧又は接地電圧と違う電圧として、例えば高電源電圧又は基準電圧を伝達する電源電圧ラインがさらに備えられることができる。
【0048】
第1電源電圧ライン106cは、図示のように、ソース/ドレイン電極106a、106bと同一層に備えられることもできるが、前記ゲート電極102と同一層に備えられることができる。
【0049】
信号ライン102aは表示領域AAに備えられたゲートラインと連結されるか表示領域AAの両側に位置する非表示領域NAに備えられるゲート駆動部GIPと連結されることもできる。
【0050】
前記薄膜トランジスタTFTは発光素子OLEDと接続されるもので、実質的に駆動薄膜トランジスタであり、駆動薄膜トランジスタの他にもスイッチング薄膜トランジスタなどの他の薄膜トランジスタがさらに形成されることができる。そして、駆動薄膜トランジスタとスイッチング薄膜トランジスタは互いに異なる機能性のために少なくとも一つの電極が他の層に位置することができる。例えば、第1平坦化膜107上に位置する第1連結金属パターン109と同一層に形成された金属パターンが駆動薄膜トランジスタと違う薄膜トランジスタの電極に用いられることもできる。場合によって、第1連結金属パターン109は省略され、アノード110は前記ソース電極106aと直接的に接続されることができる。
【0051】
前記第1連結金属パターン109と同一層に前記第1電源電圧ライン106cと接続される第2連結金属パターン109cがさらに備えられることができる。第2連結金属パターン109cは、前記第1電源電圧ライン106cを露出させる第1トレンチホールTRT1を介して前記第1トレンチホールTRT1の側面及び底面と前記第1トレンチホールTRT1の周辺の第1平坦化膜107上に位置する。第2連結金属パターン109cは第1トレンチホールTRT1の内部と前記第1平坦化膜107上に連続的に形成されることができる。前記第1トレンチホールTRT1の内部で下部の第1電源電圧ライン106c及び第2連結金属パターン109cは積層構造を有することができる。場合によって、前記第2連結金属パターン109cは省略され、連結パターン110aが直接第1電源電圧ライン106cと接続されることができる。
【0052】
第2平坦化膜108には前記第1トレンチホールTRT1と重畳する部位に第2連結金属パターン109cを露出させる第2トレンチホールTRT2が備えられ、前記第2トレンチホールTRT2の側壁及び前記第1トレンチホールTRT1内の第2連結金属パターン109c上に連結パターン110aが備えられる。
【0053】
前記連結パターン110aはアノード110及びアノードダミーパターン110bと同じ工程で形成されるものである。連結パターン110aは第1電源電圧ライン106cとの電気的接続のために備えられ、アノードダミーパターン110bは表示領域AAの周辺検査のためのパターンであるかその他の信号との接続のために備えられることができる。
【0054】
基板100は、図1に示すように、少なくとも4個のコーナーを有することができる。コーナーは、図示のように、屈曲を有することもでき、又は2個の互いに交差する直線が互いに会う形状を有することもできる。屈曲を有するコーナーの間は直線部を有することができる。図1のように、基板100のエッジがコーナーで屈曲を有するとき、内側構成も基板100のエッジの屈曲を有することができる。
【0055】
一方、第2ホールBCTはパッド部PADを除いて一体型に形成されているが、その幅は、図1のように、領域別に異なることができる。すなわち、前記第2ホールBCTは、パッド部PADと対向する非表示領域では第1幅aを有し、第1幅aと連結される両側のコーナー部では第2幅bを有し、前記第2幅bと連結され、パッド部PADを基準に基板100の両辺に対応する非表示領域では第3幅cを有し、前記第3幅cと連結され、パッド部PADに最も隣接したコーナー部では第4幅dを有する。
【0056】
コーナー部の第2幅bと第4幅dは直線部に位置する第1及び第3幅a、cより大きい幅を有する。これは、コーナー部でバンク120の第2ホールBCT及び第1及び第2トレンチホールTRT1、TRT2と重畳して第1電源電圧ライン106cと連結パターン110aの電気的接続を複数の有機膜120、108、107で貫通形状として直接的に有するためである。前記第1及び第2トレンチホールTRT1、TRT2は互いに異なる幅を有し、それぞれ前記第2ホールBCTより小さい幅を有することができる。また、前記コーナー部では、基板100に内蔵されたゲート駆動部GIPに隣接して第1及び第2トレンチホールTRT1、TRT2が第1及び第2平坦化膜107、108での水分放出通路として用いられることができ、水分放出通路として用いられた部位で第1及び第2トレンチホールTRT1、TRT2の第2ホールBCTの十分な重畳のために相対的に直線部の第2ホールBCTよりコーナー部で第2ホールの幅が大きいものである。
【0057】
前記第2ホールBCTの各幅の関係は、直線部でもa<c、コーナー部でもb<dの関係を有することができる。しかし、これに限られなく、直線部は互いに同じ幅を有することができ、コーナー部は互いに異なる幅を有することができる。
【0058】
また、本発明の発光表示装置では、前記第2ホールBCTは最大幅(b又はd)を有するコーナー部でも100μmを超えないので、基板100のエッジに近くにある第2ホールBCTを通して水分が浸透することを防止することができる。後述する実験に基づいて第2ホールBCTが有する幅の意味について説明する。
【0059】
図3Aのように、発光素子OLEDは互いに対向するアノード110とカソード200との間に有機層OSを含む。有機層OSには、正孔注入層HIL、正孔輸送層HTL、発光層EML及び電子輸送層ETLを含むことができる。
【0060】
カソード200はその下側に無機物又は無機化合物の薄い電子注入層EILを含む。すなわち、カソード200は電子注入層EILと同じチャンバーで形成されることができる。この場合、カソード200を形成するマスクは表示領域全体と非表示領域に延び、少なくとも第2ホールBCTを含む領域に開口部を有するものであり、この開口部を通して物質を供給して電子注入層EILとカソード200を形成する。この場合、カソード200を形成するチャンバー内にカソード200の金属物質供給部の他に電子注入物質を供給する供給部をさらに備え、電子注入物質供給部から電子注入物質を基板上に先に蒸着し、ついでカソード金属物質を蒸着して順に電子注入層EIL及びカソード200を形成する。
【0061】
カソード金属物質は、例えばMg、Mg合金、Ag又はAg合金であり、アノード110との反射共振が可能であり、最適共振で透過可能な反射透過性金属であれば列挙した金属に制限されない。そして、電子注入物質は、例えばLiF、Yb、Ag及びMg又はこれらの中で1種以上含む化合物であることができる。紫外線遮断効果又は/及び電子注入効果を向上させるために、他の無機物をさらに含むことができる。
【0062】
本発明が電子注入層EILはカソード200と同じチャンバー及び同じマスクで形成されて同じエンドラインを有することができる。
【0063】
また、本発明の発光表示装置は、カソード200と同じ幅の電子注入層EILを有する。よって、図3Bのように、カソード200とともに形成される電子注入層EILを前記第2ホールBCTを覆うように非表示領域NAに延ばして形成することにより、電子注入層EILが第2ホールBCTの内部及びその下側の第1及び第2トレンチホールTRT1、TRT2の側部構成を保護するようにする。
【0064】
一方、図3Aの発光素子OLEDの構成と比較して、図3Bの非表示領域NAを見ると、第1電源電圧ライン106cと連結パターン110aの接続の際に電気抵抗を防止するために共通層として用いられる正孔注入層HIL、正孔輸送層HTL及び電子輸送層ETLは第2ホールBCTに対応して備えられない。
【0065】
電子注入層EILは、50Å~300Åの厚さを有するように形成されるカソード200に比べ、前段階で薄く形成されるものであり、およそカソード200の下側に20Å以下の厚さを有するように形成される。そして、電子注入層EILはカソード200と同じチャンバー及び同じマスクで形成されるから、同じ幅又は同じサイズを有する。よって、カソード200の下側の電子注入層EILは第2ホールBCTの側部のバンク120に直接接し、バンク120の側部が第2ホールBCTから露出されて水分浸透の原因になる現象を防止することができる。例えば、大きい幅を有する第2ホールに水分が浸透すれば、大きい幅を有する第2ホールに隣接した表示領域内のサブ画素の発光部が収縮し、これにより寿命が縮まる問題があるが、本発明の発光表示装置は、水分透湿の原因になることができる第2ホールBCTの幅を一定幅以下にし、第2ホールBCTにカソード下側の電子注入層が対応するようにすることにより、第2ホールBCTの保護をはかることができる。
【0066】
一方、前記カソード200の下側の電子注入層EILは第2ホールBCTの下側でも第2トレンチホールTRT2及び第1トレンチホールTRT1の側部に前記連結パターン110a及び第2連結金属パターン109cの上部にあり、第2ホールBCTの下側の第1及び第2平坦化膜の露出を防止し、外部透湿から保護することができる。
【0067】
以下では、高温高湿加速実験(HAST:High Acceleration Stress Test)を参照して、第2ホールBCTの幅と電子注入層EILの厚さの意味を説明する。
【0068】
高温高湿加速条件実験は、発光表示装置を温度110℃、湿度85%、気圧1.2atmの苛酷条件で一定時間積置するものであり、実験では48時間及び96時間で遂行した。
【0069】
【表1】
【0070】
表1のように、第2ホールBCTの幅が102μm以上の場合、電子注入層EILの厚さに関係なく、高温高湿加速条件(HAST)48時間で全部不良が発生したことが観測される。
【0071】
参考までに、表1は各条件で30回の実験を遂行して不良有無を判断し、不良が現れた回数を記録したものである。
【0072】
そして、第2ホールBCTの幅が80μmの場合、電子注入層EILの厚さに関係なく、高温高湿加速条件(HAST)48時間でいずれも不良が発生しなかったし、高温高湿加速条件(HAST)96時間では、電子注入層EILの厚さが9Å以下の場合には一部の不良が発生したが、電子注入層の厚さが9Åを超える場合、不良が観測されないことを確認することができる。
【0073】
一方、高温高湿加速条件の実験は、出荷後に発光表示装置が置かれる苛酷条件を想定して加速実験したものであり、製品別にHAST48時間テストを満たす場合にも当該発光表示装置は適正の信頼性を有すると判断することもできる。
【0074】
前記表1の結果は、第2ホールBCTのホールを減らすほど、かつ電子注入層EILの厚さが9Åを超えるか一部同じ場合、高温高湿状況でも信頼性を有することが分かる。上述した結果によれば、第2ホールBCTの幅が102μm以上の場合、高温高湿加速条件で正常に現れにくいことが分かる。
【0075】
以下では、第2ホールBCTの幅を同一の100μmにし、表2のように、第1~第7実験例で電子注入層EILの厚さのみを異にして高温高湿加速条件実験を遂行した結果を調べる。
【0076】
【表2】
【0077】
表2によれば、電子注入層EILの厚さが9Å以上の第3実験例~第7実験例で、高温高湿加速実験(HAST)48時間及び96時間実施の際、いずれも不良がないことを確認することができる。参考までに、表2は各条件で30回の実験を遂行しながら不良有無を判断し、不良が現れた回数を記録したものである。
【0078】
第1及び第2実験例で電子注入層EILの厚さを9Å未満にする場合、不良が発生する原因は次にようであると考慮される。
【0079】
すなわち、電子注入層EILが9Å未満の厚さを有するとき、第2ホールBCTの内側に電子注入層が正常に積層しにくい。この場合、外部湿気又は冷却時に発生した水分が前記第2ホールBCTの側部を通して隣接したバンク120を経由して表示領域AAの縁部の有機層OSに損傷を与えて有機層OSを劣化させ、これは発光部の収縮として観察される。
【0080】
上述した結果によれば、本発明の発光表示装置は、前記電子注入層EILの厚さを9Å以上20Å以下にすることができる。すなわち、本発明の発光表示装置は、バンク120が露出される第2ホールBCTで電子注入層EILの厚さを9Å以上にして高温高湿の状況でも信頼性を確保することができ、電子注入層EILの厚さを20Å以下にして、バンクの第2ホールBCTで電子注入層EILの上部カソード200と第1電源電圧ライン106cの電気的接続において抵抗を大きく増やさないためである。
【0081】
一方、前記カソード200の上部には発光素子保護及び光抽出の効果を向上させるためにキャッピング層をさらに含むことができる。
【0082】
そして、前記カソード200の上部には内部発光素子OELDの保護のために封止構造300をさらに含むことができる。
【0083】
前記封止構造300は、一例として無機封止層310、330と有機封止層320が交互に備えられることができる。そして、無機封止層310、330は、相対的に側部水分の透湿を効果的に防止するために、有機封止層320よりは基板100のエッジに近くに又はエッジまで形成されることができる。
【0084】
本発明の発光表示装置1000は、電子注入層EILを第1電源電圧ラインに対応して位置するバンクの第2ホールBCTに入るようにすることにより、露出されたバンク120の表面を外部湿気から保護することができる。
【0085】
また、本発明の発光表示装置1000は、薄膜トランジスタアレイの形成の際に一緒に形成される電源電圧ラインと発光素子カソードを接続するために、基板の表示領域の外側に備えられるバンクホールの幅を一定幅以下にして、バンクホールを通して水分が浸透することを防止することにより、基板のエッジに近くに位置するサブ画素の発光部が減る画素収縮(pixel shrinkage)現象を防止することができる。
【0086】
また、本発明の発光表示装置1000は、発光素子共通層のうちカソードとともに形成される電子注入層を金属成分を含む金属又は金属化合物で形成し、電子注入層がバンクホールと重畳して非表示領域に延びるように形成して、バンクホールで電子注入層が電源電圧ラインと接続されるようにする。これにより、金属成分の電子注入層がバンクホールの内側をカバーして水分に対するバリアとして作用することができ、非表示領域で有機物成分の側部露出を防止して装置の信頼性を改善することができる。
【0087】
また、本発明の発光表示装置1000は、非表示領域に備えられるバンクホールBCTの幅が屈曲部と直線部で異なることができるが、相対的にバンクホールの幅が大きい屈曲部でも100μm以下にして水分の伝達経路を減らし、バンクホールの内側及び下部有機膜の内側を電極及び金属成分がカバーするようにして表示装置の熱及び水分に対する耐性を向上させて表示装置の信頼性を向上させる。
【0088】
一方、本発明の発光表示装置は発光素子を上述した単一スタック構造に限定せず、複数のスタックを備えて形成することができる。
【0089】
図4A及び図4Bは本発明の発光表示装置の他の実施例による図2のA領域及びB領域を示す断面図である。
【0090】
図4Aのように、本発明の他の実施例による発光表示装置において、サブ画素に備えられた発光素子OLEDは2スタックS1、S2以上を各スタックの間に電荷生成層CGLを備えて形成することもできる。
【0091】
前記スタックS1、S2の中でアノード(Anode)110に近い第1スタックS1は、正孔注入層HIL、第1共通層CML1、第1発光層EML1及び第2共通層CML2を含むことができる。
【0092】
カソード200に近い第2スタックS2は、第3共通層CML3、第2発光層EML2、第4共通層CML4及び電子注入層EILを含むことができる。
【0093】
第1共通層CML1及び第3共通層CML3は正孔輸送に関与する層であり、正孔輸送層、電子阻止層などを一つ以上含むことができ、第2共通層CML2及び第4共通層CML4は電子輸送に関与する層であり、正孔阻止層、電子輸送層などを一つ以上含むことができる。
【0094】
場合によって、スタックは図4Aに示したスタック以上で追加されることができ、例えば、スタックは、正孔輸送層、発光層及び電子輸送層の構成を含むことができる。スタックが2個以上備えられるとき、電極から遠いスタックに正孔及び電子を供給するためにスタックとスタックとの間に電荷生成層をさらに含むことができる。
【0095】
一方、図4Bのように、本発明の他の実施例による発光表示装置においても、有機物成分の他の構成S1、S2、CGLは第2ホールBCTに備えない。第2ホールBCTは無機物又は無機化合物成分の電子注入層EILとカソード(Cathode)200がアノード成分の第1連結パターン110a上にすぐ積層されている。よって、相対的に電気抵抗が高い正孔輸送層及び電子輸送層が第2ホールBCTに備えられないので、第1電源電圧ライン106aからカソード(Cathode)200への電気信号の伝達が大きな抵抗を受けない。
【0096】
一方、表示領域AAに備えられる発光素子OLEDは、全体サブ画素に一体型の白色発光素子を形成し、出射側にカラーフィルターを形成することにより、サブ画素別に色表現を異にすることもでき、あるいはサブ画素別に異なる色を発光する発光層を備えてサブ画素別に区分して色表現を行うこともできる。
【0097】
以下では、各サブ画素の回路図を参照し、サブ画素の動作とカソード200に印加される接地信号及び低電圧信号の意味を説明する。
【0098】
図5は本発明の一実施例による発光表示装置の各サブ画素の回路図である。
【0099】
本発明の発光表示装置の各サブ画素は、例えば、図5のように、発光素子OLED、駆動薄膜トランジスタDR-T、スイッチング薄膜トランジスタSW-T、センシング薄膜トランジスタSS-T、及びストレージキャパシタCstを含むことができる。
【0100】
構造的に、本発明の発光表示装置は、発光素子OLEDの下部に駆動薄膜トランジスタDR-T、スイッチング薄膜トランジスタSW-T、センシング薄膜トランジスタSS-T及びストレージキャパシタCstが位置する。
【0101】
発光素子OLEDは駆動薄膜トランジスタDR-Tを介して供給される電流によって発光する。発光素子OLEDのアノードは第1電極(駆動薄膜トランジスタDR-T(図2のTFT)のソース電極(図2の106a))に接続され、発光素子カソードは第1電源電圧が供給される第1電源電圧ラインVSSLに接続されることができる。第1電源電圧ラインVSSLは低電位電源電圧が供給される低電位電圧ライン又は接地電圧ラインであることができる。
【0102】
発光素子OLEDは、アノード(図2の110)、有機層(図2のOS)及びカソード(図2の200)を含む。発光素子OLEDは、アノードとカソードに電圧が印加されれば、正孔と電子がそれぞれ発光層に移動し、発光層で互いに結合して発光する。
【0103】
駆動薄膜トランジスタDR-Tは第2電源電圧が供給される第2電源電圧ラインVDDLと発光素子OLEDとの間に配置される。第2電極(駆動薄膜トランジスタのドレイン電極)が前記第2電源電圧ラインVDDLと接続されることができる。駆動薄膜トランジスタDR-Tは、ゲート電極とソース電極との間の電圧差によって、第2電源電圧ラインVDDLから発光素子OLEDに流れる電流を調整する。駆動薄膜トランジスタDR-Tのゲート電極は第3電極(スイッチング薄膜トランジスタSW-Tのソース電極)に接続され、第2電極(駆動薄膜トランジスタのドレイン電極)は第2電源電圧ラインVDDLに接続され、第1電極(駆動薄膜トランジスタのソース電極)は発光素子OLEDのアノードに接続されることができる。第2電源電圧ラインVDDLは高電位電源電圧が供給される高電位電圧ラインであることができる。
【0104】
スイッチング薄膜トランジスタSW-TはスイッチングラインSLのゲート信号に応じてターンオンされてデータラインDLの電圧を駆動薄膜トランジスタDR-Tのゲート電極に供給する。スイッチング薄膜トランジスタSW-Tのゲート電極はスイッチングラインSLに接続され、第3電極(スイッチング薄膜トランジスタのソース電極)は駆動薄膜トランジスタDR-Tのゲート電極に接続され、第4電極(スイッチング薄膜トランジスタのドレイン電極)はデータラインDLに接続されることができる。
【0105】
センシング薄膜トランジスタSS-TはセンシングラインSSLの初期化信号に応じてターンオンされて基準電圧ラインRLを駆動薄膜トランジスタDR-Tのドレイン電極に接続させる。センシング薄膜トランジスタSS-Tのゲート電極はセンシングラインSSLに接続され、第6電極(センシング薄膜トランジスタのドレイン電極)は基準電圧ラインRLに接続され、第5電極(センシング薄膜トランジスタのソース電極)は第1電極(駆動薄膜トランジスタDR-Tのソース電極)に接続されることができる。
【0106】
ストレージキャパシタCstは駆動薄膜トランジスタDR-Tのゲート電極とソース電極との間に形成される。ストレージキャパシタCstは駆動薄膜トランジスタDR-Tのゲート電圧とソース電圧との間の差電圧を貯蔵する。
【0107】
ストレージキャパシタCstの一側電極は駆動薄膜トランジスタDR-Tのゲート電極及び第3電極(スイッチング薄膜トランジスタSW-Tのソース電極)に接続され、他側電極は第1電極(駆動薄膜トランジスタDR-Tのソース電極)、第5電極(センシング薄膜トランジスタSS-Tのソース電極)及び発光素子OLEDのアノードに接続されることができる。
【0108】
サブ画素のそれぞれの駆動薄膜トランジスタDR-T、スイッチング薄膜トランジスタSW-T及びセンシング薄膜トランジスタSS-Tは基板上に薄膜トランジスタ(thin film transistor)として形成されることができる。また、図3にはサブ画素のそれぞれの駆動薄膜トランジスタDR-T、スイッチング薄膜トランジスタSW-T及びセンシング薄膜トランジスタSS-TがN型半導体特性を有するN型半導体トランジスタとして形成されたものを例示したが、本明細書の実施例はこれに限定されない。すなわち、画素のそれぞれの駆動薄膜トランジスタDR-T、スイッチング薄膜トランジスタSW-T及びセンシング薄膜トランジスタSS-TはP型半導体特性を有するP型半導体トランジスタとして形成されることができる。P型半導体トランジスタの場合、N型半導体トランジスタとソース電極及びドレイン電極の方向が反対であることができる。例えば、駆動薄膜トランジスタDR-Tのドレイン電極が発光素子OLEDのドレイン電極に接続されることもできる。本発明の発光表示装置は、薄膜トランジスタがN型又はP型に制限されるものではない。
【0109】
本発明の発光表示装置において、各サブ画素は上述した図5の回路を含むことができ、場合によってセンシング薄膜トランジスタを省略した2T1C構造を適用することもでき、あるいは補償機能などを加えるようにトランジスタをさらに追加することもできる。本発明の発光表示装置は表示領域の外郭の構造を変更して画素の収縮を防止するのに効果があるものであり、画素の内部構造に制限されない。
【0110】
図6図1の幅cを有する直線部の断面図である。
【0111】
図6のように、本発明の発光表示装置において、パッド部に対応しない表示領域の両側部は前記バンクの第2ホールBCTが図1の幅cを有する直線部であり、小さい幅を有することができる。
【0112】
以下、本発明の発光表示装置の変形例を説明する。
【0113】
図7及び8は本発明の発光表示装置の変形例を示す断面図である。
【0114】
図7の変形例による本発明の発光表示装置は、バンクの第2ホールBCTが前記連結パターン110aに対して左右対称に形成されることもできる。この場合にも、カソード200の下側に電子注入層EILが備えられることにより、第2ホールBCTの側壁に水分が浸透することを防止することができる。
【0115】
図8の変形例による本発明の発光表示装置は、基板100のコーナー部に対応して、基板100の直線部と同様に、前記第1電源電圧ライン106aに対応するバンクの第2ホールBCTの幅を減らしたものである。この場合、図1を基準にパッド部を除いた基板100の各辺のバンクの第2ホールBCTをいずれも100μm以下にし、領域に区分なしにいずれも同一又は類似の幅を有するように第2ホールBCTを備えることができる。この場合、第2ホールBCTには電子注入層EILがカソード200の下部に位置して露出されたバンク120の側部及び上部を覆っているので、有機物であるバンク120が水分浸透の原因になることを防止することができる。
【0116】
図8は他の実施例による発光表示装置を示すもので、第2ホールBCTがトレンチホールTRT1、TRT2より表示領域から遠い側でもっとオープンするように形成されたものである。この場合にも、第2ホールBCTの幅を100μm以下にし、第2ホールBCTの側壁及び領域を区分せずにいずれも同一又は類似の幅を有するように連結パターン110aの上面に電子注入層EILが位置するようにすることにより、バンク120を通しての水分浸透を防止し、表示領域AAに水分が伝達されることを遮断することができる。
【0117】
図9図1の第2ホールが第3幅を有する領域を横切る領域の一例の断面図である。
【0118】
一方、図9のように、第1電源電圧ライン106a及びこれと接続された第2連結金属パターン109cは、バンクホールBCTの一部領域、例えばバンクホールBCTの幅が小さい領域では電子注入層EIL又はカソード200との直接的な接続を有しないこともできる。この場合、第2連結金属パターン109cは、第2ホールBCTと重畳しない部位で、第2平坦化膜108に備えられた第2トレンチホールを介して連結パターン110aと電気的接続を有することができる。すなわち、バンクの第2ホールBCTと第2トレンチホールは互いに重畳しないこともできる。
【0119】
図9の構造による発光表示装置にもカソード200の下部には電子注入層EILが備えられ、電子注入層EILが第2ホールBCT及びその周辺によってバンク120の側部及び上部を保護し、外部の水分浸透を防止する機能を有することができる。
【0120】
図8及び図9の発光表示装置は、一例として、カソード200の上部構造を示していない。図8及び図9の発光表示装置のカソード200の上部に、図2のように、有無機封止膜が交互になった構造の封止構造をさらに適用することもでき、あるいは封止基板と封止基板との間にフェースシール又はエッジシールなどを適用して基板100又は薄膜トランジスタアレイ基板500と合着することもできる。
【0121】
このための本発明の発光表示装置は、表示領域及び非表示領域を有する基板と、前記表示領域内のサブ画素に備えられた発光素子と、前記基板の表示領域の縁部に沿って前記非表示領域に備えられた電圧ラインと、前記表示領域内の複数の第1ホールを通して前記発光素子の複数の発光部を露出し、前記非表示領域内の第2ホールを通して前記電圧ラインを露出させるバンクとを含み、前記発光素子の電子注入層は前記表示領域全体に備えられ、前記非表示領域から延びて第2ホールに備えられることができる。
【0122】
前記発光素子は、アノード、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、前記電子注入層及びカソードを順に含むことができる。
【0123】
前記カソードは、前記非表示領域で、前記電子注入層上に備えられ、前記第2ホールで、前記電圧ラインは前記カソードと前記電子注入層を挟んで接続されることができる。
【0124】
前記第2ホールは、前記パッド部を除いて前記非表示領域で一体型であることができる。
【0125】
前記基板の少なくとも4個のコーナー部のエッジは屈曲を有し、前記コーナー部の間のエッジは直線形であり、前記第2ホールは前記屈曲に平行に第1幅を有し、前記直線形に平行に前記第1幅より小さい第2幅を有し、前記バンクのエッジは前記基板のエッジより内側に位置することができる。
【0126】
前記第1幅は100μm以下であってもよい。
【0127】
前記電子注入層は前記第2ホールを介して前記電圧ラインと接続され、前記非表示領域の前記第2ホールの側部及び上部で前記バンクと接することができる。
【0128】
前記非表示領域で、前記電子注入層のエンドラインは前記第2ホールより外側にあることができる。
【0129】
前記電子注入層は金属又は金属化合物のみ含んでなり、前記電子注入層の厚さは9Å以上20Å以下であることができる。
【0130】
前記電子注入層は、LiF、Yb、Ag及びMgの少なくとも1種を含むことができる。
【0131】
前記アノードと同じ層に、前記第2ホールと重畳して連結パターンをさらに含み、
前記連結パターンは、下部が前記電圧ラインと接続され、上部が前記電子注入層と接続されることができる。
【0132】
前記電圧ラインと前記バンクとの間に第1及び第2平坦化膜をさらに含み、前記第1及び第2平坦化膜は前記第2ホールと重畳し、前記第2ホールの幅より小さい幅のトレンチホールをさらに含むことができる。
【0133】
前記第1平坦化膜と第2平坦化膜とはそれぞれ第1及び第2トレンチホールを有してもよく、前記第1トレンチホール及び第2トレンチホールは異なる幅を有してもよく、また、前記第2ホールは前記第1トレンチホール及び第2トレンチホールのうちの少なくとも一つより前記表示領域より遠い位置で開いているように形成されてもよい。
【0134】
前記第1トレンチホールと前記第1平坦化膜上で連続した連結金属パターンを含み、前記連結金属パターンは下部が前記電圧ラインと電気的に接続され、前記第1トレンチホールで前記電圧ラインと積層した構造を有することができる。
【0135】
前記電子注入層と前記カソードのエンドラインは同一であることができる。
【0136】
前記第2ホールは前記第1ホールから離隔することができる。
【0137】
一方、以上で説明した本発明は上述した実施例及び添付図面に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範疇内でさまざまな置換、変形及び変更が可能であるというのは本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に明らかであろう。
【符号の説明】
【0138】
100: 基板
TFT: 薄膜トランジスタ
102: ゲート電極
102a: 信号ライン
104: 半導体層
106a: ソース電極
106b: ドレイン電極
107: 第1平坦化膜
108: 第2平坦化膜
109: 第1連結金属パターン
109c: 第2連結金属パターン
110: アノード
120: バンク
200: カソード
AA: 表示領域
NA: 非表示領域
OS: 有機層
HIL: 正孔注入層
HTL: 正孔輸送層
EML: 発光層
ETL: 電子輸送層
EIL: 電子注入層
EMP: 第1ホール
BCT: 第2ホール
CT1、CT2: コンタクトホール
TRT1、TRT2: トレンチホール
図1
図2
図3A-B】
図4A-B】
図5
図6
図7
図8
図9