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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】ピンリフトデバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20231017BHJP
【FI】
H01L21/68 A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021514350
(86)(22)【出願日】2019-09-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-06
(86)【国際出願番号】 EP2019074610
(87)【国際公開番号】W WO2020058150
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-05-18
(31)【優先権主張番号】102018007307.7
(32)【優先日】2018-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】593030945
【氏名又は名称】バット ホールディング アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ドゥア,ミハエル
(72)【発明者】
【氏名】ローナー,リコ
(72)【発明者】
【氏名】エッシェンモーザー,アードリアン
(72)【発明者】
【氏名】アポローニ,マルコ
【審査官】渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-028248(JP,A)
【文献】特表2012-516563(JP,A)
【文献】特開2007-273685(JP,A)
【文献】特開2008-270721(JP,A)
【文献】特開2008-112801(JP,A)
【文献】特開2010-034208(JP,A)
【文献】米国特許第06646857(US,B2)
【文献】特開2007-250796(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2008-0018923(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第101178502(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空プロセスチャンバ(4)によって提供され得るプロセス雰囲気領域(P)内で、処理される基板(1)、特に、ウェーハを移動及び配置するように設計されたピンリフトデバイス(10)であって、調整軸(A)に沿って延びるハウジング(31)と、前記ハウジング(31)の第1の端部領域に配列され、ハウジング開口部(34)を有する前部ハウジング端部(33)と、前記ハウジング(31)の第2の端部領域に配列される駆動部(11)と、前記調整軸(A)の方向に前記ハウジング内で可動な部分(21)を有する調整デバイス(15)と、前記前部ハウジング端部(33)における第1のストップ(17a)とそこから離れた第2のストップ(17b)との間に前記ハウジング(31)の内部に形成された前記調整デバイス(15)のガイドセクション(17)と、支持ピン(59)を運ぶように前記調整デバイス(15)から前記ハウジング開口部(34)を通って導くカップリング(32)と、を有し、
緊密接続デバイス(55)は、前記ハウジング(31)の内側の前記前部ハウジング端部(33)と前記調整デバイス(15)との間に形成され、
前部緊密接続デバイス(55)は、前記ハウジング開口部(34)を介したアクセスが、前記緊密接続デバイス(55)及び前記調整デバイス(15)によって閉鎖される第1の内部領域にのみ通じる方法で、形成され、前記前部ハウジング端部(33)及び前記調整デバイス(15)に固定され、
接続チャネル(18)は、前記ガイドセクション(17)において前記第1のストップ(17a)から前記第2のストップ(17b)まで延び、前記ハウジング(31)、前記前部ハウジング端部(33)、前記緊密接続デバイス(55)、前記調整デバイス(15)、及び前記駆動部(11)の間の第2の内部領域での接続を確保することを特徴とする、ピンリフトデバイス(10)。
【請求項2】
前記調整デバイス(15)が、ガイドスリーブ(16)によって前記ガイドセクション(17)上で調整可能に案内されることを特徴とする、
請求項1に記載のピンリフトデバイス(10)。
【請求項3】
前記ガイドスリーブ(16)及び前記ガイドセクション(17)が円柱状の接触領域を有することを特徴とする、
請求項2に記載のピンリフトデバイス(10)。
【請求項4】
前記緊密接続デバイス(55)が、ベローズ形のシール要素を含むことを特徴とする、
請求項1から3のいずれか一項に記載のピンリフトデバイス(10)。
【請求項5】
接続チャネル(18)が、前記ハウジング(31)の内側に長手方向の溝として形成されることを特徴とする、
請求項1から4のいずれか一項に記載のピンリフトデバイス(10)。
【請求項6】
長手方向の溝に案内されるフェザーキー(38)が可動部分(21)上に配列され、前記フェザーキーが前記接続チャネル(18)の前記長手方向の溝内の通路を空けることを特徴とする、
請求項5に記載のピンリフトデバイス(10)。
【請求項7】
補償開口部(35)が、隣接する第2の内部領域に近接していることを特徴とする、
請求項1から6のいずれか一項に記載のピンリフトデバイス(10)。
【請求項8】
前記補償開口部(35)が、前記接続チャネル(18)に近接していることを特徴とする、
請求項7に記載のピンリフトデバイス(10)。
【請求項9】
フィルタ(36)が前記補償開口部(35)に配置され、粒子の環境への漏出を低減することを特徴とする、
請求項7又は8に記載のピンリフトデバイス(10)。
【請求項10】
前記補償開口部(35)が、好ましくは調整可能な弁(V)を介して、補償コンテナ(37)又は真空ポンプ(P)に接続されていることを特徴とする、
請求項7から9のいずれか一項に記載のピンリフトデバイス(10)。
【請求項11】
前記駆動部(11)がねじ付きロッド(13)を含み、前記調整デバイス(15)がスライド(14)を含み、前記スライド(14)が、前記ねじ付きロッド(13)に結合され、前記ねじ付きロッド(13)に沿って直線的に可動であることを特徴とする、
請求項1から10のいずれか一項に記載のピンリフトデバイス(10)。
【請求項12】
前記駆動部(11)が、前記ねじ付きロッド(13)に結合され、動作中に前記ねじ付きロッド(13)の回転を提供する制御可能な電気モーターを有することを特徴とする、
請求項11に記載のピンリフトデバイス(10)。
【請求項13】
前記駆動部(11)が、前記調整デバイス(15)に結合された駆動シリンダを含むことを特徴とする、
請求項1から12のいずれか一項に記載のピンリフトデバイス(10)。
【請求項14】
前記緊密接続デバイス(55)が、特に気密の方法で、前記第1の内部領域を前記第2の内部領域から分離することを特徴とする、
請求項1から13のいずれか一項に記載のピンリフトデバイス(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景技術
本発明は、少なくとも1つの支持ピンによってプロセスチャンバ内で基板を移動及び配置するピンリフトデバイスに関する。
【0002】
ピンリフターとしても公知のピンリフトデバイスは、通常、プロセスチャンバで処理される基板の受け入れ及び定義された位置決めのために設計及び提供される。これらは、特にIC、半導体、フラットパネル、又は基板製造の分野の真空チャンバシステムに使用され、これらは、汚染粒子の存在なしに保護された雰囲気で行われる必要がある。
【0003】
そのような真空チャンバシステムは、特に、処理又は製造される半導体素子又は基板を受け入れるために提供され、そこを通って半導体素子又は他の基板が真空チャンバの中又は外に案内され得る少なくとも1つの真空チャンバ開口部を有する少なくとも1つの真空可能な真空チャンバを含む。例えば、半導体ウェーハ又は液晶基板の製造プラントでは、高感度の半導体又は液晶要素が、プロセス真空チャンバ内に配置された部品がそれぞれ処理デバイスによって処理されるいくつかのプロセス真空チャンバを順次通過する。
【0004】
そのようなプロセスチャンバは、断面が基板及びロボットに適合され、それを通して基板を真空チャンバに導入し、必要に応じて、意図された処理後に除去することができる少なくとも1つの移送弁を有することが多い。あるいは、第2の移送弁が、例えば、処理された基板がチャンバから除去されるために提供され得る。
【0005】
基板、例えば、ウェーハは、例えば、適切に設計及び制御されたロボットアームによって導かれ、これは、移送弁によって提供されるプロセスチャンバの開口部を通過することができる。次に、ロボットアームで基板をつかみ、基板をプロセスチャンバに配置し、定義された方法で基板をチャンバ内に堆積させることによって、プロセスチャンバに負荷をかける。プロセスチャンバはそれに応じて空になる。
【0006】
基板を置き、チャンバ内に基板を正確に配置するには、基板の比較的高い精度及び可動性を確保する必要がある。この目的のために、基板に複数の支持点を提供し、したがって基板全体にわたる負荷分散(基板の自重による)を提供するピンリフトシステムが使用される。
【0007】
例えば、基板はロボットによってリフトデバイスの支持ピンの上方に配置され、ピン上に置かれる。ロボットが離れた後、キャリア、例えば、潜在的なプレート又はチャック(機械加工プロセス中に基板を堅固に固定するためのデバイス(クランプ手段))のピンを下げることによって基板が堆積され、及び通常は基板を運ぶロボットアームが、例えば、ピンを下げる前に、チャンバの外に移動する。ピンは、基板を堆積した後に更に下げることができ、次にそれから分離され、すなわち、ピンと基板との間に接触はない。あるいは、支持ピンは基板と接触したままにすることができる。ロボットアームを取り外し、チャンバを閉じた(及びプロセスガスを導入したり、又は排気した)後、処理ステップが実行される。
【0008】
同時に、処理される基板の可能な限り穏やかで注意深い処理と可能な限り短い処理時間を提供する必要がある。これは、基板をチャンバ内で定義された状態(ロード及びアンロード位置と処理位置)にできるだけ早く移行できることを意味する。
【0009】
半導体ウェーハの処理中の不要な衝撃を回避するために、例えば、米国特許第6,481,723(B1)号は、ピンリフターのハードモーションストップの代わりに特別なストップデバイスの使用を提案している。ここで、硬質プラスチックストップは、よりソフトな設計のストップパーツとハードストップとの組み合わせに置き換えられ、最初にソフトストップ部分と接触して動きを制限し、次にハードストップをソフトストップ部分と対応して減衰する方法で接触させる。
【0010】
米国特許第6,646,857(B2)号は、検出された発生力によるリフト動作の調節を提案している。リフトピンは、受信した力信号の関数として移動できるため、リフトピンでのリフト力は常に適切に適用され、ウェーハ上で制御される。
【0011】
各処理サイクルで、ピンリフトデバイス(ピンリフター)の支持ピン(ピン)が基板に接触し、基板からピックアップ及びリリースされる。この場合、支持ピンは、ハウジングの第1の面端領域に配列されたハウジング端部のハウジング開口部を通して、ハウジング上に配列された駆動デバイスによって、ハウジングに対して外側及び内側に移動される。
【0012】
動きに適合したベアリング及び潤滑剤を使用して、支持ピンの動きと、可動部分を長期間保持するピンリフトデバイスの可動部分の動きとを確実にする。ハウジング内の可動部分の動きは、ハウジングの自由内部空間の変化をもたらし、ここで、可動部分の両側に配設された2つの部分空間の自由体積が、動きの方向に変化する。閉じたハウジングでの体積変化は、支持ピンの正確な動き又は位置に影響を与える可能性のある圧力変化をもたらす。ハウジングが堅固に密閉されていない場合、体積変化により、空気又はガスがハウジングの内外に移動する。粒子、特に潤滑剤の粒子は、ハウジングから漏出し、近くのプロセスチャンバに到達する可能性があり得る。
【発明の概要】
【0013】
したがって、本発明の目的は、上記の不利な点を低減又は回避する改良されたピンリフトデバイスを提供することである。
【0014】
特に、本発明の目的は、支持ピンの動きが可能な限り妨害されずに実行され、そこから粒子がプロセスチャンバに入ることができない、改良されたピンリフトデバイスを提供することである。
【0015】
これらの目的は、請求項1の特徴的な特徴の実現によって解決される。代替の又は有利な方法で本発明を更に発展させる特徴は、従属請求項に見出すことができる。
【0016】
本発明によるピンリフトデバイスは、真空プロセスチャンバによって提供されるプロセス雰囲気領域内で処理される基板を移動及び配置するように設計されている。ピンリフトデバイスは、調整軸に沿って延びるハウジングと、ハウジングの第1の端部領域に配列され、ハウジング開口部を有する前部ハウジング端部と、ハウジングの第2の端部領域に配列された駆動部と、調整軸の方向にハウジング内で可動な部分を有する調整デバイスと、前部ハウジング端部における第1のストップとそこから離れた第2のストップとの間にハウジングに形成された調整デバイスの内部ガイドセクションと、支持ピンを運ぶように調整デバイスからハウジング開口部を通って導くカップリングと、を含む。ハウジングの内側の前部ハウジング端部と調整デバイスとの間に形成された緊密接続デバイスは、ハウジング開口部を介したアクセスが、緊密接続デバイス及び調整デバイスによって閉鎖される第1の内部領域にのみ通じる方法で、形成され、ハウジング端部及び調整デバイスに固定される。接続チャネルは、ガイドセクションの第1のストップから第2のストップまで延び、それによって、ハウジング、ハウジング端部、接続デバイス、調整デバイス、及び駆動部との間の第2の内部領域での接続を確実にする。
【0017】
密閉された接続デバイスは、粒子がプロセスチャンバに入ることができないようにする。隣接する第2の内部領域は、可動部分の動き中であっても、この第2の内部領域の体積の最小限の変化をもたらし、支持ピンの動きが本質的に邪魔されずに実行され得ることを保証する。
【0018】
ハウジングに取り付けられ、調整軸の方向に移動可能な調整デバイスは、ハウジング内に可動部分を含む。可動部分は、好ましくはスリーブ形状のセクションを含み、その外側の形状は、ハウジングの内側の形状へのガイドセクションとして適合されている。調整軸の方向にスリーブ形状のセクションの両側に形成された端面は、第1及び第2のストップでハウジングの関連するストップ面と接触している。
【0019】
ピンリフトデバイスのハウジング開口部はプロセスチャンバに開口し、プロセスチャンバは堅固に密閉可能でなければならないため、ハウジング開口部と支持ピンに接続された調整デバイスの間の緊密接続デバイスが挿入される。調整デバイスでは、緊密接続デバイスが可動部分、好ましくはスリーブ形状のセクションに固定されている。特に好適な接続デバイスは、ハウジング開口部及び調整デバイス、特に調整デバイスの可動部分に堅固に接続され、支持ピンの所望の動きを可能にするベローズ形のシール要素を含む。
【0020】
接続デバイスは、ハウジングの開口部を通して、接続デバイス及び可動部分によって囲まれた領域にのみアクセスできるように設計されている。ハウジングの残りの内部は、接続デバイスによってこの第1の内部からしっかりと分離される。調整デバイスの可動部分は、ハウジング内に変位可能に取り付けられ、ハウジング、接続デバイス、及び可動部分によって境界付けられる第2の内部領域を2つの区画に分割する。これら2つのセクション間の接続チャネルは、圧力変動と関連する外乱を低減する。
【0021】
好ましい実施形態では、接続デバイスは、第1の内部領域を第2の内部領域から気密に分離し、第2の内部領域は、それを取り囲む要素によって気密に環境から分離され、第2の内部領域は、任意選択で、均等化開口部を含む。
【0022】
有利な実施形態では、ピンリフトデバイスは、第2の内部領域の均等化開口部に配列されたブロッキングデバイスを有し、これは、少なくとも粒子の環境への漏出を制限する。
【0023】
ブロッキングデバイスの第1の実施形態では、これは、第2の内部領域から環境への均等化開口部と、この均等化開口部において、フィルタとを含み、均等化開口部を通る出口が、通路を介してフィルタを通過することによってのみ可能である。この目的のために、フィルタの少なくとも1つの延長部は、フィルタの受容領域の対応する延長部に適合され、その結果、フィルタを通る流れに関して、受容領域とフィルタとの間の緊密な接続が保証される。任意選択で、シールは、受容領域と、通路領域の周りにつながるリング領域のフィルタとの間に挿入される。
【0024】
適切なフィルタを選択することにより、本質的に粒子、特に潤滑剤の固体画分が第2の内部領域から環境に漏出することができないことを保証できる。フィルタは、単純な多孔質要素として、好ましくは焼結フィルタとして設計することができる。特に、フィルタは焼結によって製造される。金属、セラミック、又はPTFEでできていることが好ましい。
【0025】
ブロッキングデバイスの別の実施形態では、それは、第2の内部部分から補償容器に接続されたパイプへの均等化開口部を含む。したがって、可動部分を備えた第2の内部領域に位置するガスは、常に環境に対して密閉された気密空間にある。したがって、この実施形態では、フィルタを省くことができる。任意選択で、補償容器は、可動部分が移動するときに、粒子と共にハウジングから逃げるガスが、大きな過圧を蓄積することなく補償容器に吸収され、又はハウジングに入るガスが大きな減圧なしで補償容器から逆流することができるように柔軟に設計される。
【0026】
ブロッキングデバイスの更なる実施形態では、それは、第2の内部領域から、所望の圧力、好ましくは真空が第2の内部領域に構築され得るラインへの均等化開口部を含む。ポンプ又は真空源を使用して、所望の真空を実現できる。必要に応じて、保護ガスがラインを介して2番目の内部領域に導入される。
【0027】
好ましい実施形態では、弁が均等化開口部に接続され、これにより、補償容器、真空ポンプ、又は保護ガス源への接続が調整可能になる。任意選択で、弁は補償容器又はフィルタで終端された環境への接続のいずれかに接続できる。
【0028】
ハウジング上のブロッキングデバイスの配列は、可動部分を備えた第2の内部領域と、不要な粒子及び/又はガスのためのピンリフトデバイスの周囲との間の交換を分離する。このピンリフトデバイスは、クリーンルームでも問題なく使用できる。
【0029】
好ましい実施形態では、スライドは、駆動ユニットのねじ付きロッドに結合され、ねじ付きロッドに沿って直線的に移動することができる可動部分に割り当てられる。
【0030】
別の実施形態では、調整デバイスは、リフトシリンダのプッシュロッドによって動かされる。
【0031】
駆動ユニットはまた、ねじ付きロッドに結合され、動作中、特に調整軸の周りでねじ付きロッドの回転を提供する制御可能な電気モーターを有することができる。したがって、ピンリフトデバイスは、メカトロニクスピンリフトデバイスとして実現することができる。
【0032】
ねじ付きロッドの回転が電気モーターによって提供される場合、スライド、可動部分、したがって支持ピンの直線運動は、ねじ付きロッドとスライドとの相互作用を介して行うことができる。
【0033】
スライドを用いた実施形態により、可動部分の数及び移動する質量を比較的少なく保つことができる。したがって、ピンリフトデバイスは、比較的迅速かつ効率的に操作することができ、すなわち、ウェーハを迅速かつ正確に同時に上昇又は下降させることができる。
【0034】
スライドは、好ましくは、ねじ付きロッドのねじ山に対応するめねじを有する。更に、スライドは、例えば、それが線形ガイド(例えば、溝)によって回転不可能に取り付けられ、したがって、動きの並進自由度のみを有するような方法で、ピンリフトデバイスに提供することができる。スライドの自由度を制限することにより、ねじ付きロッドを回転させることにより、スライドを直線的に移動させ、高精度に配置することができる。そのような設計はまた、駆動の方向に調整軸に平行に作用する比較的大きな力、例えば、処理される基板の自重による力を吸収し、打ち消すことができる。
【0035】
有利な実施形態では、線形ガイドは、長手方向の溝と、長手方向の溝内に立つ係合要素とを含む。長手方向の溝と係合要素との相互作用は、可動部分の動きを、ハウジング内の可動部分のねじれのない長手方向の変位に低減する。長手方向の溝はまた、調整デバイスの可動部分によって互いに分離された、ハウジング内側の区画間の接続チャネルとして使用され得る。長手方向の溝は、好ましくは、ハウジングの内側に形成され、フェザーキーが可動部分に挿入され、これは、長手方向の溝に案内され、それによってねじれからの保護を確実にする。フェザーキーは溝方向の通路を完全に閉じないため、長手方向の溝は、第1のストップと第2のストップとの間、つまり区画間の接続チャネルとしても使用でき、フェザーキーに使用できるチャネル断面はわずかに削減される。
【0036】
別の実施形態では、駆動ユニットは、調整デバイスに結合された空気圧駆動シリンダを有することができる。空気圧駆動シリンダは、調整デバイスの直線運動を引き起こすことができ、好ましくは、プッシュ要素、例えば、プッシュロッドに接続することができる。
【0037】
本発明によるデバイスは、図面に概略的に示される具体的な実施形態の例によって、以下の例として単により詳細に説明され、本発明の更なる利点もまた説明され、図は詳細に示される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1図1は、ピンリフトデバイスを備えたウェーハ用の真空処理デバイスの一実施形態の概略図を示す。
図2図2は、ピンリフトデバイスの斜視図を示す。
図3図3は、ピンリフトデバイスの分解図を示す。
図4図4は、ピンが引っ込められた位置にあるピンリフトデバイスを通る長手方向断面を示す。
図5図5は、ピンを分解した位置にあるピンリフトデバイスを通る長手方向断面を示す。
図6図6は、弁、補償容器、及びポンプを備えたピンリフトデバイスを通る長手方向断面の断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、真空条件下で半導体ウェーハ1を処理するためのプロセスセットアップを概略的に示す。ウェーハ1は、第1の真空移送弁5aを介して第1のロボットアーム2によって真空チャンバ4(プロセス雰囲気領域P)に挿入され、本発明によるピンリフトデバイスの支持ピン7によって所定の位置にもたらされる。次に、ウェーハ1は、支持ピン7によってピックアップ又は堆積され、ロボットアーム2が離される。ウェーハ1は、通常、ロボットアーム若しくはロボットアーム2、3に設けられた支持デバイス上に置かれるか、又は特定の支持デバイスによって保持される。ウェーハ1がピン7によってピックアップされた後、ロボットアームがチャンバ4から案内され、移送弁5aが閉じられ、ピン7が下げられる。これは、それぞれのピン7に結合されたピンリフトデバイスの駆動6によって行われる。これにより、ウェーハ1は、示される4つの支持要素8上に配置される。
【0040】
この状態では、ウェーハ7の計画された処理(例えば、コーティング)は、真空条件下で、特に定義された雰囲気下で(すなわち、特定のプロセスガス及び定義された圧力の下で)行われる。チャンバ4は、真空ポンプ、好ましくはチャンバ圧力を制御するための真空制御弁(図示せず)と結合されている。
【0041】
処理後、ウェーハ1は、ピンリフトデバイスによって再び除去位置にリフトされる。続いて、第2のロボットアーム3を用いて、ウェーハ1が第2の移送弁5bを通して除去される。あるいは、プロセスは1つのロボットアームのみで設計でき、ロードとアンロードは単一の移送弁を介して行われる。
【0042】
図2から図5は、本発明によるピンリフトデバイス10の実施形態を示している。ピンリフトデバイス10は、概略的にのみ示されている下部駆動部11を有し、これは、好ましくは、電気モーターとして設計された駆動ユニットを含む。示される実施形態では、モーターは、ねじ付きロッド13を駆動する。ねじ付きロッド13は、それに応じてモーターを作動させることにより、その軸の周りを回転させることができる。
【0043】
スライド14は、ねじ付きロッド13と相互作用し、ねじ付きロッド13を回転させることにより、中央調整軸Aに沿って直線的に移動することができる。スライド14は、ねじ付きロッド13のねじ山に対応するめねじを有する。スライド14及びガイドスリーブ16は、調整デバイス15に属し、調整デバイス15は、ピンリフトデバイス10自体に対して回転することができないように取り付けられているが、調整軸Aと平行な移動方向にのみ移動することができる。
【0044】
調整デバイス15は、駆動部11に対して可動部分21を含む。この可動部分21は、スライド14によって直線的に移動及び配置されることができる。特別な実施形態では、可動部分21は、導電性を提供することができないように製造されている。特に、可動部分21は、非導電性材料、例えば、プラスチック、又は非導電性材料でコーティングされている材料でできている。
【0045】
駆動部11は、調整軸Aに沿って延びるピンリフトデバイス10のハウジング31に堅固に接続されている。駆動部11から離れたハウジング31の端部には、端面にハウジング端部33がある。ハウジング31の内側で、ガイドセクション17は、それに適合された調整デバイス15のガイドスリーブ16のために設計されている。有利な実施形態では、ガイドスリーブ16及びガイドセクション17は、円柱状の接触領域を有する。
【0046】
ガイドセクション17は、ハウジング端部33の前端にある第1のストップ17aから、それとは反対側を向いている駆動部11にある第2のストップ17bまで延びる。したがって、ガイドスリーブ16は、2つのストップ17aと17bとの間で案内され、その結果、ガイドスリーブ16は、調整軸Aの方向に変位されることができる。
【0047】
ハウジング開口部34は、ハウジング端部33の端面に形成され、これを通して、可動部分21に取り付けられたカップリング32の自由端がハウジング31から出てくることができる。支持ピン59は、カップリング32の自由端で使用することができる。ハウジング端部33と調整デバイス15との間のハウジング31内に形成された密封接続デバイス55は、ハウジング端部33及び調整デバイス15にそのように形成されて固定され、ハウジング開口部34とカップリング32の自由端との間でハウジング31にアクセスし、密封された接続デバイス55及び調整デバイス15から完全に遮断された第1の内部領域にのみ通じている。接続デバイス55は、ハウジング端部33に対する調整デバイス15の動きが損なわれないように設計されている。この目的のために異なる長さをとらなければならないので、それは好ましくは少なくとも1つのベローズ形の領域を含む。
【0048】
接続チャネル18は、調整デバイス15又はガイドスリーブ16とハウジング31との間のガイドセクション17の第1のストップ17aから第2のストップ17bまで延びる。接続チャネル18は、ガイドセクション17とガイドスリーブ16との間にシールガイダンスがあっても、ハウジング31、ハウジング端部33、接続デバイス55、調整デバイス15、及び駆動ユニット11の間の第2の内部領域での接続を確実にする。有利な実施形態では、接続チャネル18は、ハウジング31の内側の長手方向の溝として設計される。
【0049】
接続デバイス55は、特に気密の方法で、第1の内部領域を第2の内部領域から分離する。
【0050】
ガイドスリーブ16が第1のストップ17aにある場合、第2の内部領域は、本質的に、調整デバイス15と駆動ユニット11との間の第1の区画19aからなる。ガイドスリーブ16が第2のストップ17bにある場合、第2の内部領域は、本質的に、接続デバイス55とハウジング31との間の第2の区画19bからなる。ガイドスリーブ16が2つのストップ17aと17bとの間の位置にある場合、2つの既存の区画19a及び19bは、接続チャネル18を介して互いに接続される。この接続は、調整デバイス15の動きによって引き起こされる、接続された第2の内部領域の体積変化を低減する。
【0051】
接続デバイス55の直径が減少し、ガイドスリーブ16の壁の厚さが増加することにより、調整デバイス15の動きに起因する体積変化を低減することができる。2つのストップ17aと17bとの間の移動中の体積変化が小さい場合、隣接する第2の内部領域は、環境に対して、特に気密に閉じることができる。次に、駆動ユニット11から、及び/又は調整デバイス15のガイドスリーブ16と共にガイドセクション17からこの第2の内部領域に入る潤滑剤は、閉じた内部領域に吸収され、環境に入ることができない。
【0052】
あるいは、特に、2つのストップ17aと17bとの間の移動中の体積の変化が大きい場合、隣接する第2の内部領域は、補償開口部35を介して環境に接続することができ、次に、フィルタ36は、補償開口部35に又は補償開口部35中に配列され、実質的に粒子が環境に漏出することができないようにする。補償開口部35は、好ましくは、接続チャネル18に接続する。
【0053】
図6は、隣接する第2の内部領域が、補償開口部35を介して補償容器37又は真空ポンプPに接続され得る実施形態を示す。任意選択で、これらの2つの変形のうちの1つだけが提供されるが、好ましくは、弁Vが2つの変形のうちの1つを調整するために使用される。補償容器37への接続にはフィルタ36は必要ない。真空ポンプに接続する場合、真空ポンプに接続する際にフィルタ36を挿入することが有利な場合がある。
【0054】
調整デバイス15は、支持ピン59を収容するために一方の自由端で設計された可動カップリング32を有する。示されている例では、カップリング32は本質的に調整軸Aに沿って延びる。カップリング32は可動部分21に接続されている。この目的のために、カップリング32は、可動部分21が受け入れられ、例えば、接着剤又はねじ接続により、固定される内部凹部を有する。
【0055】
スライド14、可動部分21、及びカップリング32との間の接続は、カップリング32がモーターによって制御可能に移動されることを可能にし、したがって、カップリング32に収容された支持ピン59を提供する。
【0056】
接続チャネル18は、好ましくは、ハウジング31の内側の長手方向の溝として設計される。フェザーキー38は、ガイドスリーブ16上に配列され、好ましくは受容ボアに挿入される。フェザーキー38は、長手方向の溝に案内され、ねじれからの保護を確実にする。フェザーキー38は接続チャネル18の長手方向の溝の通路を開けておくので、長手方向の溝は、第1のストップ17aと第2のストップ17bとの間、つまり区画19aと区画19bと間の接続チャネル18としても使用でき、フェザーキー38の利用可能なチャネル断面はわずかに削減される。
【0057】
図4は、支持ピン59が好ましくは処理される基板と接触していない、下げられた通常の位置にあるピンリフトデバイス10のカップリング32を示している。
【0058】
図5は、拡張支持位置にあるピンリフトデバイス10のカップリング32を示しており、ピン59は、基板を拾い上げ、移動し、及び/又は利用可能にするという意図された効果を提供する。
【0059】
延ばされた支持位置に到達するために、それに応じてモーターを作動させることができる。この目的のために、例えば、スライド14の所望の位置を設定するために、モーターの実行時間又はねじ付きロッド13に対して実行される回転数を記憶することができる。特に、エンコーダは、モーター軸の動きを監視及び制御可能にするためにモーターに結合されている。
【0060】
示される実施形態における可動部分21は、スリーブ形状であり、ねじ付きロッド13の一端領域を受け入れるための凹部を含む。
【0061】
示される図は、可能な実施形態の例を概略的に表すだけであることが理解される。異なるアプローチは、本発明によれば、互いに、並びに真空プロセスチャンバ内の基板移動のためのデバイス、特に先行技術のピンリフトデバイス10と組み合わせることができる。
図1
図2
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図4
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図6