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特許7368468シリコアルミノリン酸塩分子篩、その調製、およびその用途
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  • 特許-シリコアルミノリン酸塩分子篩、その調製、およびその用途 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】シリコアルミノリン酸塩分子篩、その調製、およびその用途
(51)【国際特許分類】
   C01B 39/54 20060101AFI20231017BHJP
   B01J 29/85 20060101ALI20231017BHJP
   C01B 37/08 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
C01B39/54
B01J29/85 Z
C01B37/08
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021523050
(86)(22)【出願日】2019-09-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 CN2019106608
(87)【国際公開番号】W WO2020082943
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2022-03-16
(31)【優先権主張番号】201811250864.3
(32)【優先日】2018-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】509128052
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司上海石油化工研究院
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI RESEARCH INSTITUTE OF PETROCHEMICAL TECHNOLOGY SINOPEC
【住所又は居所原語表記】NO.1658 PUDONG BEI ROAD,PUDONG NEW AREA,SHANGHAI 201208,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】楊為民
(72)【発明者】
【氏名】袁志慶
(72)【発明者】
【氏名】滕加偉
(72)【発明者】
【氏名】付文華
(72)【発明者】
【氏名】劉松霖
【審査官】小野 久子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0232006(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0090390(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0108857(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02085360(EP,A1)
【文献】中国特許出願公開第106608632(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 37/00-39/54
B01J 29/85
B01J 29/00-29/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モル基準で表すとmSiO・Al・nPの化学組成式を有するシリコアルミノリン酸塩分子篩であって、
式中、mは、Alに対するSiOのモル比を表し、0.005~0.15の範囲であり、nは、Alに対するPのモル比を表し、0.7~1.1の範囲であり、
前記分子篩は、以下の表に示す相対強度プロファイルを示すX線回折パターンを有し、
【表1】

表中、Mは20~40を表し、VSは60超えを表し、W-Mは40未満を表し、M-Sは20~60を表す、
シリコアルミノリン酸塩分子篩。
【請求項2】
前記分子篩は、以下の表に示す相対強度プロファイルを示すX線回折パターンを有し、
【表2】

表中、Mは20~40を表し、VSは60超えを表し、W-Mは40未満を表し、M-Sは20~60を表す、
請求項1に記載のシリコアルミノリン酸塩分子篩。
【請求項3】
前記分子篩は、以下の表に示す相対強度プロファイルを示すX線回折パターンを有し、
【表3】

表中、Wは20未満を表し、Mは20~40を表し、VSは60超えを表し、W-Mは40未満を表し、M-Sは20~60を表す、
請求項2に記載のシリコアルミノリン酸塩分子篩。
【請求項4】
前記分子篩は、0.01~0.10の範囲のシリカ対アルミナ比、すなわちmを有する;および/または、
前記分子篩は、0.8~1.0の範囲の五酸化リン対アルミナ比、すなわちnを有する、
請求項1~3のいずれか1項に記載のシリコアルミノリン酸塩分子篩。
【請求項5】
シリコアルミノリン酸塩分子篩を調製するための方法であって、以下の工程:
i)シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体を準備する工程であって、前記前駆体は、以下の表に示す相対強度プロファイルを示すX線回折パターンを有し、
【表4】

表中、Mは20~40を表し、VSは60超えを表し、M-Sは20~60を表し、S-VSは40超えを表す、
工程;および、
ii)前記シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体を焼成して、前記シリコアルミノリン酸塩分子篩を得る工程;
を含む、方法。
【請求項6】
前記シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体は、以下の表に示す相対強度プロファイルを示すX線回折パターンを有し、
【表5】

表中、Mは20~40を表し、VSは60超えを表し、W-Mは40未満を表し、M-Sは20~60を表し、S-VSは40超えを表す、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体は、以下の表に示す相対強度プロファイルを示すX線回折パターンを有し、
【表6】

表中、Wは20未満を表し、Mは20~40を表し、VSは60超えを表し、W-Mは40未満を表し、M-Sは20~60を表し、S-VSは40超えを表す、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記工程i)は、
ia)シリコン源、アルミニウム源、リン源、有機材料R、および水を、前記シリコン源(SiOとして計算):前記アルミニウム源(Alとして計算):前記リン源(Pとして計算):R:HOのモル比を(0.01~0.3):1:(1.0~3.0):(3.0~6.0):(50~500)として混合して、合成母液を得る工程;および、
ib)前記合成母液を結晶化に供し、前記シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体を得る工程;
をさらに含み、
ここで、前記有機材料Rは、以下の式を有する水酸化アンモニウムであり、
【化1】

式中、
基R1~R12は、互いに同一であっても異なっていてもよく、独立して、HおよびC1-6アルキル基から選択され;
基R13およびR14は、互いに同一であっても異なっていてもよく、独立して、C1-6アルキル基から選択される;
請求項5~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
基R1~R12は、互いに同一であっても異なっていてもよく、独立して、HおよびC1-3アルキル基から選択され;
基R13およびR14は、互いに同一であっても異なっていてもよく、独立して、C1-3アルキル基から選択される;
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
工程ia)において、前記シリコン源、前記アルミニウム源、前記リン源、前記有機材料R、および水は、前記シリコン源(SiOとして計算):前記アルミニウム源(Alとして計算):前記リン源(Pとして計算):R:HOのモル比を(0.01~0.2):1:(1.0~2.0):(3.6~4.8):(100~300)として、混合される、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記有機材料Rは、1,1-[1,4-フェニレンビス(メチレン)]ビス-1-メチルピロリジニウムジヒドロキシドである、請求項8~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記工程ib)は、以下の条件:
密閉した反応容器、140~200℃の結晶化温度、および、48~160時間の結晶化時間;
の下で行われる、
請求項8~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記アルミニウム源は、擬ベーマイト、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムゾル、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、および酸化アルミニウムからなる群から選択される1つ以上であり;
前記リン源は、リン酸、オルト亜リン酸、および五酸化リンからなる群から選択される1つ以上であり;および/または、
前記シリコン源は、シリカゾル、ホワイトカーボンブラック、およびオルトケイ酸テトラエチルからなる群から選択される1つ以上である;
請求項8~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体は、Alとして計算したアルミニウムに対する、Pとして計算したリンのモル比(すなわち、P/Al)が0.7~1.1の範囲であり、Alとして計算したアルミニウムに対する、SiOとして計算したケイ素のモル比(すなわち、SiO/Al)が0.005~0.15の範囲であり、
記シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体は、前記シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体の重量基準で、10重量%~40重量%の有機材料を含む、
請求項5~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1~4のいずれか1項に記載のシリコアルミノリン酸塩分子篩、ならびにバインダーを含む分子篩組成物。
【請求項16】
吸着剤、触媒、または触媒担体としての、請求項1~4のいずれか1項に記載のシリコアルミノリン酸塩分子篩、または請求項15に記載の分子篩組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本出願は、分子篩の技術分野に関し、特に、シリコアルミノリン酸塩分子篩、その調製、および用途に関する。
【0002】
〔背景技術〕
分子篩は、多孔質で結晶性材料のファミリーであり、これまでに、既知の構造を有する250種類以上の分子篩が発見されている。ほとんどの分子篩は、大きな内部比表面積と、反応部位として働き、金属、金属酸化物、有機分子、および水分子などゲスト分子を保持する開放した内部空間とを有する。分子篩は、均一で規則的な細孔チャネルを有し、細孔チャネルの大きさは分子の大きさと同程度であるため、分子の出入りを選択することができ、したがって形状選択効果を得ることができる。上記のような特徴のため、分子篩は、触媒、触媒担体、吸着剤、および洗浄剤などとして広く使用されており、石油化学産業、環境保護、吸着、および分離の分野で広く用いられている。
【0003】
分子篩の骨格は、典型的には、共通の頂点(通常は酸素原子)で結合している配位四面体(TO)で構成されている。アルミノリン酸塩分子篩に関して、この種の分子篩の骨格は、AlO 四面体とPO 四面体とを結合することによって形成される。その結果、分子篩の骨格全体は、電気的に中性に見える。もちろん、ゼオライトと同様に、アルミノリン酸塩分子篩中のアルミニウムまたはリンは、他の元素、最も一般的にはケイ素(得られる分子篩はSAPOと呼ばれる)および遷移金属元素(得られる分子篩はMAPOと呼ばれる)、によって置換することができる。これらの元素の導入によって、アルミノリン酸塩分子篩に、固体酸性または酸化還元特性などの新しい特徴が付与される。アルミノリン酸塩分子篩の人工的合成の研究は、ゼオライト分子篩と比較して、比較的遅れている。
【0004】
1971年、Flanigenらは、アルミノリン酸塩分子篩の合成を報告した[Flanigen E. M. and Grose R. W., Phosphorus Substitution in Zeolite Frameworks. in Molecular Sieve Zeolites-I, 1970, P76-P98, ACS, Washingtom D.C]。当該合成は、水熱合成条件下でアルミニウム、ケイ素、およびリンの酸化物を混合することを含み、シリコアルミノリン酸塩分子篩を生成する。当該シリコアルミノリン酸塩分子篩は、リン含有量が5~25%(Pとして計算)であるアナルサイム、チャバザイト、フィリップサイト-ハーモトーム、ゼオライトL、A、およびBなどと同じ結晶構造を有するが、ゼオライトの構造とは異なる構造は見られない。
【0005】
米国特許第4,310,440号は、鋳型として有機アミンまたは第四級アンモニウムカチオンを使用する一連のアルミノリン酸塩分子篩の水熱合成を記載している。一連のアルミノリン酸塩分子篩には、AlPO-5、AlPO-8、AlPO-9、AlPO-11、AlPO-12、AlPO-14、AlPO-16、AlPO-17、AlPO-18、AlPO-20、AlPO-21、AlPO-22、AlPO-23、AlPO-25、AlPO-26、AlPO-28、AlPO-31などが含まれる。使用される鋳型には、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリプロピルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、ピペリジンおよびその誘導体、シクロヘキシルアミン、DABCO、キヌクリジンなどが含まれる。
【0006】
米国特許第4,440,871号は、SAPO-5、SAPO-11、SAPO-16、SAPO-17、SAPO-20、SAPO-31、SAPO-34、SAPO-35、SAPO-37、SAPO-40、SAPO-41、SAPO-42、SAPO-44等を含むケイ素含有アルミノリン酸塩分子篩の合成を記載している。
【0007】
米国特許第4,752,651号は、チタン含有TiAPSO、マグネシウム含有MgAPSO、マンガン含有MnAPSO、コバルト含有CoAPSO、亜鉛含有ZnAPSO、鉄含有FeAPSOなどを含む一連の金属含有シリコアルミノリン酸塩分子篩の合成を記載している。
【0008】
アルミノリン酸塩分子篩の合成に関して、有機鋳型は得られる分子篩の構造を決定する主要な因子であり、新しい分子篩はしばしば、新しい鋳型を使用することによって得られる。これまでのところ、有機アミンおよび第四級アンモニウムタイプの有機化合物が、アルミノリン酸塩分子篩の合成において最も広く使用されている鋳型である。
【0009】
〔発明の概要〕
本出願の目的は、新規なシリコアルミノリン酸塩分子篩、その調製、およびその用途を提供することである。当該シリコアルミノリン酸塩分子篩は、独特のX線回折パターンを有し、吸着剤、触媒、または触媒担体として使用することができる。
【0010】
一態様において、本出願は、モル基準で表すとmSiO・Al・nPの化学組成式を有するシリコアルミノリン酸塩分子篩であって、式中、mは、Alに対するSiOのモル比を表し、約0.005~約0.15の範囲であり、nは、Alに対するPのモル比を表し、約0.7~約1.1の範囲であり、前記分子篩は、以下の表に示す相対強度プロファイルを示すX線回折パターンを有する、
【0011】
【表1】
【0012】
シリコアルミノリン酸塩分子篩を提供する。
【0013】
別の態様において、シリコアルミノリン酸塩分子篩を調製するための方法であって、以下の工程:
i)シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体を準備する工程であって、前記前駆体は、以下の表に示す相対強度プロファイルを示すX線回折パターンを有する、
【0014】
【表2】
【0015】
工程;および、
ii)前記シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体を焼成して、前記シリコアルミノリン酸塩分子篩を得る工程;
を含む、方法を提供する。
【0016】
好ましくは、前記工程i)は、
ia)シリコン源、アルミニウム源、リン源、有機材料R、および水を、前記シリコン源(SiOとして計算):前記アルミニウム源(Alとして計算):前記リン源(Pとして計算):R:HOのモル比を約(0.01~0.3):1:(1.0~3.0):(3.0~6.0):(50~500)として混合して、合成母液を得る工程;および、
ib)前記合成母液を結晶化に供し、前記分子篩前駆体を得る工程;
をさらに含み、
ここで、前記有機材料Rは、以下の式を有する水酸化アンモニウムであり、
【0017】
【化1】
【0018】
式中、
基R1~R12は、互いに同一であっても異なっていてもよく、独立して、HおよびC1-6アルキル基から選択され、好ましくはHおよびC1-3アルキル基から選択され、より好ましくはHである;
基R13およびR14は、互いに同一であっても異なっていてもよく、独立して、C1-6アルキル基から選択され、好ましくはC1-3アルキル基から選択され、より好ましくはメチルから選択される。
【0019】
また別の態様において、本出願は、本明細書に開示される方法によって得られたシリコアルミノリン酸塩分子篩を提供する。
【0020】
また別の態様において、本出願は、本出願に係るシリコアルミノリン酸塩分子篩、または本出願に係る方法によって得られたシリコアルミノリン酸塩分子篩、およびバインダーを含む分子篩組成物を提供する。
【0021】
さらなる一態様において、本出願は、吸着剤、触媒、または触媒担体としての、本出願に係るシリコアルミノリン酸塩分子篩、本出願に係る方法によって得られたシリコアルミノリン酸塩分子篩、または本出願に係る分子篩組成物の使用を提供する。
【0022】
本出願に係るシリコアルミノリン酸塩分子篩は、開放した骨格を有しており、ゆえに、本出願の方法によって得られたシリコアルミノリン酸塩分子篩の細孔容積は、約0.09~0.25ml/gに達し得、その比表面積は、約150~450m/gに達し得る。したがって、シリコアルミノリン酸塩分子篩は、小有機分子および水分子のための吸着剤などの吸着剤として使用することができる。メタノールから軽質オレフィンを調製するための反応などのいくつかの特定の反応において、分子篩はまた、触媒の活性成分として直接使用することもできる。
【0023】
〔図面の簡単な説明〕
図1は、実施例1で得られたシリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体のXRDパターンを示す。
【0024】
図2は、実施例1で得られたシリコアルミノリン酸塩分子篩のXRDパターンを示す。
【0025】
本出願は、以下の実施例を参照してさらに説明されるが、これらは限定することを意図するものではない。
【0026】
〔発明の詳細な説明〕
以下、本出願の実施の形態について詳細に説明する。しかしながら、本出願の範囲は、実施形態によって限定されることを意図するものではなく、添付の特許請求の範囲によって定義されることに留意されたい。
【0027】
本明細書中で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。別段の定義がない限り、本明細書中で使用されるすべての技術用語および科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。矛盾する場合には、本明細書中に提供される定義が支配的である。
【0028】
材料、物質、方法、工程、装置、構成要素などが、本明細書中で「当業者に公知である」、「先行技術」などとして記載される場合、それらは、出願時に当技術分野で一般的に使用されるもの、および、現在一般的には使用されていないが、類似の目的に有用であるとして当技術分野で公知になるものを包含することが意図される。
【0029】
本出願の文脈において、「Alに対するSiOのモル比」または「シリカ対アルミナ比」という用語は、Alとして計算されたアルミニウムに対する、SiOとして計算されたケイ素のモル比を指す。
【0030】
本出願の文脈において、「Alに対するPのモル比」または「五酸化リン対アルミナ比」という用語は、Alとして計算されたアルミニウムに対する、Pとして計算されたリンのモル比を指す。
【0031】
本出願の文脈において、用語「比表面積」は、内部表面積および外部表面積を含む、単位質量当たりのサンプルの総面積を指す。ポルトランドセメント、いくつかの粘土鉱物粒子などの非多孔質サンプルは、外部表面積のみを有する。アスベスト繊維、珪藻土、分子篩などの多孔質サンプルは、外部表面積および内部表面積の両方を有する。多孔質サンプル中の2nm未満の孔径を有する孔の表面積は、内部表面積と呼ばれる。内部表面積を除く表面積は、外部表面積と呼ばれる。サンプルの単位質量当たりの外部表面積は、外部比表面積と呼ばれる。
【0032】
本出願の文脈において、用語「細孔容積」は、分子篩の単位質量当たりの細孔の容積を指す。用語「全細孔容積」は、分子篩の質量当たりのすべての細孔(典型的には50nm未満の孔径を有する細孔のみを含む)の容積を指す。用語「ミクロ細孔容積」は、分子篩の単位質量当たりのすべてのミクロ細孔(典型的には2nm未満の孔径を有する細孔を含む)の容積を指す。
【0033】
本出願の文脈において、シリコアルミノリン酸塩分子篩/分子篩前駆体の化学組成式は、分子篩/分子篩前駆体の骨格の化学組成を指す。化学組成は、分子篩/分子篩前駆体の骨格におけるケイ素(SiOとして計算)、リン(Pとして計算)、およびアルミニウム(Alとして計算)などの元素のモル比を模式的にのみ示すが、それぞれの元素の正確な形態は、厳密に限定されず、誘導結合プラズマ原子発光分光(ICP)法によって、一般に決定することができる。
【0034】
本出願の文脈において、分子篩の構造は、X線粉末回折計を使用して決定されたX線回折(XRD)パターンに従って決定される。当該X線粉末回折計は、Kα1波長(λ=1.5405980オングストローム(Å))のCu-Kα線源を備えており、Kα2線はモノクロメータを使用して除去される。
【0035】
本出願の文脈において、分子篩のXRDデータにおいて、W、M、S、VS、W-M、M-S、およびS-VSなどは、回折ピーク面積に基づいて計算された最も強い回折ピーク(すなわち、最大面積を有する回折ピーク)に対する、対応する回折ピークの相対強度I/Iを表す。Iは、対応する回折ピークのピーク面積を表す。Iは、最も強い回折ピークのピーク面積を表す。Wは、弱を意味する。Mは、中間を意味する。Sは、強を意味する。VSは、非常に強を意味する。W-Mは、弱から中間を意味する。M-Sは、中間から強を意味する。S-VSは、強から非常に強を意味する。このような表現は、当業者に公知である。一般に、Wは20未満を表し、Mは20~40を表し、Sは40~60を表し、VSは60超えを表し、W-Mは40未満を表し、M-Sは20~60を表し、S-VSは40超えを表す。
【0036】
本出願の文脈において、「焼成後」、「焼成形態」または「焼成分子篩」という用語は、焼成後の分子篩の状態を指す。焼成後の状態は例えば、合成したままの分子篩の細孔内に存在し得る有機材料(特に、有機鋳型)および水が、焼成によりさらに除去された分子篩の状態であってもよい。
【0037】
本明細書中に開示される態様(または実施形態)のうちの2つ以上は、任意の組合せで互いに組み合わせることができ、こうして得られた技術的解決策(例えば、方法またはシステム)は、元々の開示の一部として含まれ、本出願の範囲内であることに留意されたい。
【0038】
特に断らない限り、本出願において言及されるすべてのパーセンテージ、部、比などは、そのような計算が当業者の従来の理解と矛盾しない限り、モル基準で計算される。
【0039】
第1の態様において、本出願は、シリコアルミノリン酸塩分子篩を提供する。当該シリコアルミノリン酸塩分子篩は、モル基準で表すとmSiO・Al・nPの化学組成式を有し、式中、mは、Alに対するSiOのモル比を表し、約0.005~約0.15の範囲であり、nは、Alに対するPのモル比を表し、約0.7~約1.1の範囲であり、分子篩は、以下の表に示す相対強度プロファイルを示すX線回折パターンを有する。
【0040】
【表3】
【0041】
好ましい一実施形態において、分子篩は、以下の表に示す相対強度プロファイルを示すX線回折パターンを有する。
【0042】
【表4】
【0043】
さらに好ましい一実施形態において、分子篩は、以下の表に示す相対強度プロファイルを示すX線回折パターンを有する。
【0044】
【表5】
【0045】
いくつかの好ましい実施形態において、分子篩は、以下の表に示す相対強度プロファイルを示すX線回折パターンを有する。
【0046】
【表6】
【0047】
さらに好ましい一実施形態において、分子篩は、以下の表に示す相対強度プロファイルを示すX線回折パターンを有する。
【0048】
【表7】
【0049】
またさらに好ましい一実施形態において、分子篩は、以下の表に示す相対強度プロファイルを示すX線回折パターンを有する。
【0050】
【表8】
【0051】
好ましい実施形態において、シリコアルミノリン酸塩分子篩は、約0.01~約0.10の範囲のシリカ対アルミナ比、すなわちmを有し、および/または、約0.8~約1.0の範囲の五酸化リン対アルミナ比、すなわちnを有する。
【0052】
好ましい一実施形態において、シリコアルミノリン酸塩分子篩は、約0.09mL/g~約0.25mL/gの細孔容積を有し、好ましくは約0.15mL/g~約0.25mL/gの細孔容積を有し、そして、約150~450m/gの比表面積を有し、好ましくは約200~400m/gの比表面積を有する。
【0053】
第2の態様において、本出願は、シリコアルミノリン酸塩分子篩を調製するための方法を提供する。当該方法は、以下の工程:
i)シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体を準備する工程であって、前駆体は、以下の表に示す相対強度プロファイルを示すX線回折パターンを有する、
【0054】
【表9】
【0055】
工程;および、
ii)シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体を焼成して、シリコアルミノリン酸塩分子篩を得る工程;
を含む。
【0056】
好ましい一実施形態において、シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体は、以下の表に示す相対強度プロファイルを示すX線回折パターンを有する。
【0057】
【表10】
【0058】
さらに好ましい一実施形態において、シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体は、以下の表に示す相対強度プロファイルを示すX線回折パターンを有する。
【0059】
【表11】
【0060】
いくつかの好ましい実施形態において、シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体は、以下の表に示す相対強度プロファイルを示すX線回折パターンを有する。
【0061】
【表12】
【0062】
さらに好ましい一実施形態において、シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体は、以下の表に示す相対強度プロファイルを示すX線回折パターンを有する。
【0063】
【表13】
【0064】
またさらに好ましい一実施形態において、シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体は、以下の表に示す相対強度プロファイルを示すX線回折パターンを有する。
【0065】
【表14】
【0066】
いくつかの好ましい実施形態において、シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体の骨格は、モル基準で表すとmSiO・Al・nPの化学組成式を有する。式中、mは、Alに対するSiOのモル比を表し、約0.005~約0.15の範囲であり、nは、Alに対するPのモル比を表し、約0.7~約1.1の範囲である。
【0067】
好ましい一実施形態において、工程i)は、
ia)シリコン源、アルミニウム源、リン源、有機材料R、および水を、シリコン源(SiOとして計算):アルミニウム源(Alとして計算):リン源(Pとして計算):R:HOのモル比を約(0.01~0.3):1:(1.0~3.0):(3.0~6.0):(50~500)として混合して、合成母液を得る工程;および、
ib)合成母液を結晶化に供し、分子篩前駆体を得る工程;
をさらに含み、
ここで、有機材料Rは、以下の式を有する水酸化アンモニウムであり、
【0068】
【化2】
【0069】
式中、
基R1~R12は、互いに同一であっても異なっていてもよく、独立して、HおよびC1-6アルキル基から選択され、好ましくはHおよびC1-3アルキル基から選択され、より好ましくはHである;
基R13およびR14は、互いに同一であっても異なっていてもよく、独立して、C1-6アルキル基から選択され、好ましくはC1-3アルキル基から選択され、より好ましくはメチルから選択される。
【0070】
本出願に係る方法において、アルミニウム源は、特に限定されず、例えば、アルミニウム含有分子篩の製造のために一般的に用いられるものであってもよい。好ましい一実施形態において、アルミニウム源は、擬ベーマイト、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムゾル、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、および酸化アルミニウムからなる群から選択される1つ以上であり、好ましくは、擬ベーマイトおよびアルミニウムイソプロポキシドからなる群から選択される1つ以上である。
【0071】
本出願に係る方法において、リン源は、特に限定されず、例えば、リン含有分子篩の製造のために一般的に用いられるものであってもよい。好ましい一実施形態において、リン源は、リン酸、オルト亜リン酸、および五酸化リンからなる群から選択される1つ以上であり、好ましくは、リン酸である。
【0072】
本出願に係る方法において、シリコン源は、特に限定されず、例えば、ケイ素含有分子篩の製造のために一般的に用いられるものであってもよい。好ましい一実施形態において、シリコン源は、シリカゾル、シリカホワイト、およびオルトケイ酸テトラエチルからなる群から選択される1つ以上であり、好ましくは、オルトケイ酸テトラエチルである。
【0073】
好ましい一実施形態において、工程ia)において、シリコン源、アルミニウム源、リン源、有機材料R、および水は、シリコン源(SiOとして計算):アルミニウム源(Alとして計算):リン源(Pとして計算):R:HOのモル比を約(0.01~0.2):1:(1.0~2.0):(3.6~4.8):(100~300)として、混合される。
【0074】
好ましい一実施形態において、有機材料Rは、1,1-[1,4-フェニレンビス(メチレン)]ビス-1-メチルピロリジニウムジヒドロキシドであり、これは次式で表すことができる。
【0075】
【化3】
【0076】
好ましい一実施形態において、工程ib)は、以下の条件:密閉した反応容器、約140~200℃の結晶化温度、および、約48~160時間の結晶化時間;の下で行われる。より好ましくは、結晶化温度は約150~190℃であり、結晶化時間は約60~120時間である。
【0077】
さらに好ましくは、工程ib)は、得られた分子篩前駆体を洗浄および乾燥することをさらに含む。洗浄および乾燥の手順は、本出願において特に限定されず、従来の様式で行ってもよい。例えば、洗浄は、脱イオン水を用いて行うことができ、使用済み洗浄溶液がほぼ電気的に中性になるまで、吸引濾過または遠心分離などの方法を適用することができる;乾燥は、例えば、約100~250℃で約1~48時間、オーブン中で乾燥することであってもよい。
【0078】
いくつかの好ましい実施形態において、工程ib)で得られる分子篩前駆体において、Alとして計算したアルミニウムに対する、Pとして計算したリンのモル比(すなわち、P/Al)は、約0.7~約1.1の範囲であり、Alとして計算したアルミニウムに対する、SiOとして計算したケイ素のモル比(すなわち、SiO/Al)は、約0.005~約0.15の範囲であり、有機材料の含有量は、分子篩前駆体の重量基準で、約10重量%~約40重量%の範囲である。
【0079】
本出願の工程ib)で得られるシリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体は、安定な結晶構造を有し、従来の方法によって焼成することができるが、当該焼成は、本出願において特に限定されない。例えば、焼成は、大気雰囲気下にて約500~750℃で行うことができ、焼成時間は、例えば、約1~10時間とすることができる。特に、焼成は、大気雰囲気下にて約550℃で約6時間、行うことができる。焼成条件に応じて、得られるシリコアルミノリン酸塩分子篩は、特定の量の残留炭素質材料を含有する可能性がある。しかしながら、このような残留炭素質材料は、分子篩の化学組成において、考慮されない。
【0080】
好ましい一実施形態において、工程ii)で得られるシリコアルミノリン酸塩分子篩は、以下の表に示す相対強度プロファイルを示すX線回折パターンを有する。
【0081】
【表15】
【0082】
さらに好ましい一実施形態において、工程ii)で得られるシリコアルミノリン酸塩分子篩は、以下の表に示す相対強度プロファイルを示すX線回折パターンを有する。
【0083】
【表16】
【0084】
またさらに好ましい一実施形態において、工程ii)で得られるシリコアルミノリン酸塩分子篩は、以下の表に示す相対強度プロファイルを示す。
【0085】
【表17】
【0086】
いくつかの好ましい実施形態において、工程ii)で得られるシリコアルミノリン酸塩分子篩は、以下の表に示す相対強度プロファイルを示すX線回折パターンを有する。
【0087】
【表18】
【0088】
さらに好ましい一実施形態において、工程ii)で得られるシリコアルミノリン酸塩分子篩は、以下の表に示す相対強度プロファイルを示すX線回折パターンを有する。
【0089】
【表19】
【0090】
またさらに好ましい一実施形態において、工程ii)で得られるシリコアルミノリン酸塩分子篩は、以下の表に示す相対強度プロファイルを示す。
【0091】
【表20】
【0092】
本出願に係る方法において、シリコン源、アルミニウム源、リン源、および有機材料Rの組み合わせ効果の下、特定のX線回折パターンを有する本出願に係るシリコアルミノリン酸塩分子篩は、出発材料の供給比率を制御することによって、指向性をもって調製することができる。
【0093】
第3の態様において、本出願は、本出願の方法によって得られたシリコアルミノリン酸塩分子篩を提供する。
【0094】
第4の態様において、本出願は、本出願に係るシリコアルミノリン酸塩分子篩、または本出願に係る方法によって得られたシリコアルミノリン酸塩分子篩、およびバインダーを含む分子篩組成物を提供する。
【0095】
分子篩組成物は、粉末、顆粒、または成形品(例えば、棒状、三裂状など)のような任意の物理的形態であってよい。これらの物理的形態は、当技術分野で一般に知られている任意の様式で得ることができ、特に限定されない。
【0096】
本出願において、バインダーは、特に限定されない。例えば、粘土、カルクレイト、酸化ケイ素、シリカゲル、アルミナ、酸化亜鉛、またはこれらの混合物を含むがこれらに限定されない、吸着剤または触媒を調製するために一般的に使用されるものを使用してもよい。
【0097】
第5の態様において、本出願は、吸着剤、触媒、または触媒担体としての、本出願に係るシリコアルミノリン酸塩分子篩、本出願に係る方法によって得られたシリコアルミノリン酸塩分子篩、または本出願に係る分子篩組成物の使用を提供する。
【0098】
吸着剤の例としては、例えば、少量の水を含む、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、およびイソブチルケトンなどの有機溶媒から水を除去するために有用なもの、ならびに、少量の水分を含む天然ガスから水分を吸着除去するために有用なものが挙げられる。
【0099】
触媒の例としては、例えば、メタノールからエチレングリコールやプロピレンなどの軽質オレフィンを製造するのに有用な触媒が挙げられる。
【0100】
いくつかの好ましい実施形態において、本出願は、以下の技術的解決策を提供する。
【0101】
項目1:水分を除いて、モル比で表すと(SiAl)Oの化学組成を有するシリコアルミノリン酸塩分子篩であって、式中、0<x≦0.2、y≧0.2、z≧0.2、および、x+y+z=1であり、分子篩は、以下の表に示す相対強度プロファイルを示すX線回折パターンを有する、シリコアルミノリン酸塩分子篩。
【0102】
【表21】
【0103】
項目2:水分を除いて、モル比で表すと(SiAl)Oの化学組成を有し、式中、0<x≦0.1、y≧0.3、z≧0.3、および、x+y+z=1であることを特徴とする、項目1に記載のシリコアルミノリン酸塩分子篩。
【0104】
項目3:以下の工程:
a)シリコン源、アルミニウム源、リン源、有機材料R、および水を、(0.01~0.3)SiO:Al:(1.0~3.0)P:(3.0~6.0)R:(50~500)HOの比率にて、均一に混合して、合成母液を得る工程;
b)密閉した反応容器中で合成母液を結晶化に供する工程;
c)工程b)で得られた生成物を洗浄および乾燥して、シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体を得る工程;および、
d)シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体を焼成して、シリコアルミノリン酸塩分子篩を得る工程;
を含む、項目1に記載のシリコアルミノリン酸塩分子篩を調製するための方法。
【0105】
項目4:シリコン源、アルミニウム源、リン源、有機材料R、および水は、(0.01~0.2)SiO:Al:(1.0~2.0)P:(3.6~4.8)R:(100~300)HOの比率にて、均一に混合されて、合成母液を得ることを特徴とする、項目3に記載のシリコアルミノリン酸塩分子篩を調製するための方法。
【0106】
項目5:有機材料Rは、1,1-[1,4-フェニレンビス(メチレン)]ビス-1-メチルピロリジニウムジヒドロキシドである、項目3に記載のシリコアルミノリン酸塩分子篩を調製するための方法。
【0107】
項目6:結晶化温度は140℃~200℃であり、結晶化時間は48~160時間であることを特徴とする、項目3に記載のシリコアルミノリン酸塩分子篩を調製するための方法。
【0108】
項目7:アルミニウム源は、擬ベーマイト、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムゾル、水酸化アルミニウム、または酸化アルミニウムのうちの少なくとも1つであることを特徴とする、項目3に記載のシリコアルミノリン酸塩分子篩を調製するための方法。
【0109】
項目8:リン源は、リン酸、オルト亜リン酸、または五酸化リンから選択される1つ以上である、項目3に記載のシリコアルミノリン酸塩分子篩を調製するための方法。
【0110】
項目9:シリコン源は、シリカゾル、シリカホワイト、またはオルトケイ酸テトラエチルのうちの1つであることを特徴とする、項目3に記載のシリコアルミノリン酸塩分子篩を調製するための方法。
【0111】
項目10:シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体は、以下のX線回折パターンを有する、項目3に記載のシリコアルミノリン酸塩分子篩を調製するための方法。
【0112】
【表22】
【0113】
〔実施例〕
本出願は、以下の実施例を参照してさらに説明されるが、これらの実施例は限定することを意図するものではない。
【0114】
〔出発物質〕
以下の実施例において、使用される出発物質である1,1-[1,4-フェニレンビス(メチレン)]ビス-1-メチルピロリジニウムジヒドロキシドは、SACHEM companyから市販されており、質量濃度20.75%(水溶液)を有する化学的に純粋なものである:擬ベーマイトは、Shandong Ying Lang Chemicals Co.,Ltd.から市販されており、Alとして計算すると72重量%の含有量を有する純粋な化学薬品である;リン酸は、Sinopharm Chemical Reagent Co.,Ltd.から市販されており、質量濃度85%(水溶液)を有する分析的に純粋なものである;アルミニウムイソプロポキシドは、Sinopharm Chemical Reagent Co.,Ltd.から市販されており、Alとして計算すると24.7重量%の含有量を有する化学的に純粋なものである。
【0115】
特に明記しない限り、以下の実施例において使用される化学試薬は、市販の化学的に純粋な製品である。
【0116】
〔分析装置および方法〕
実施例において、分子篩のXRDパターンは、PANalytical X’Pert PRO X線粉末回折計を使用して、決定された。当該X線粉末回折計は、Kα1波長(λ=1.5405980オングストローム(Å))のCu-Kα線源を備えており、Kα2線は、Ge(111)モノクロメータを用いて除去される。動作電流および電圧は、それぞれ40ミリアンペアおよび40キロボルトであり、走査ステップサイズは2θ=0.02°、走査速度は6°/分である。
【0117】
分子篩の化学組成は、Kontronが提供しているモデルS-35を使用した誘導結合プラズマ原子発光分光法(ICP)によって、決定された。固体分子篩サンプルは、HFを用いて溶解し、試験前に溶液を作製した。
【0118】
分子篩の比表面積および細孔容積は、Quantachromeが提供しているQUADRASORB evo Gas Sorption Surface Area and Pore Size Analyzerを使用したN物理吸着脱離法によって、測定された。測定温度は77Kであり、測定前にサンプルは573Kにて6時間、真空前処理された。BET式を使用して比表面積を計算し、t-プロット法によって細孔容積を計算した。
【0119】
分子篩前駆体中の有機材料の含有量は、NETZSCHが提供しているSTA449F3熱重量分析計を使用した熱重量分析法により決定された。空気流量は30ml/分、加熱速度は10℃/分であり、250℃~550℃の間の重量損失率を有機材料の含有量とした。
【0120】
〔実施例1〕
27.6gの20.75% 1,1-[1,4-フェニレンビス(メチレン)]ビス-1-メチルピロリジニウムジヒドロキシド(以下、Rという)溶液を秤量し、0.698gの擬ベーマイトおよび0.026gのオルトケイ酸テトラエチルを撹拌しながら添加し、次いで2.30gの85%リン酸溶液をゆっくり滴下し、均一に撹拌して、モル比で表すと以下の組成を有する合成母液を得た(ここで、SiOはSiOとして計算したシリコン源、AlはAlとして計算したアルミニウム源、PはPとして計算したリン源を表す。以下、同様である):
0.03SiO:1.0Al:2.4P:4.8R:190H
密閉した反応容器中で、結晶化温度190℃にて60時間、合成母液を結晶化させ、得られた結晶化生成物を洗浄および乾燥して、シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体を得た。前駆体は、Alとして計算したアルミニウムに対する、Pとして計算したリンのモル比(すなわち、P/Al)が0.98であり、Alとして計算したアルミニウムに対する、SiOとして計算したケイ素のモル比(すなわち、SiO/Al)が0.026であり、有機材料の重量含有量が18.9%であり、図1に示すXRDパターンおよび表1Aに示すXRDデータを有した。シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体を550℃にて5時間、焼成し、シリコアルミノリン酸塩分子篩を得た。生成物である分子篩は、誘導結合プラズマ原子発光分光法(ICP)によって決定されたシリカ対アルミナ比がSiO/Al=0.026であり、五酸化リン対アルミナ比がP/Al=0.98であり(すなわち、0.026SiO・Al・0.98Pの化学組成式)、比表面積は240m/gであり、ミクロ細孔容積は0.19ml/gであり、図2に示すXRDパターンおよび表1Bに示す対応するXRDデータを有した。
【0121】
【表23】
【0122】
【表24】
【0123】
〔実施例2〕
27.6gの20.75% 1,1-[1,4-フェニレンビス(メチレン)]ビス-1-メチルピロリジニウムジヒドロキシド(以下、Rという)溶液を秤量し、0.698gの擬ベーマイトおよび0.026gのオルトケイ酸テトラエチルを撹拌しながら添加し、次いで2.30gの85%リン酸溶液をゆっくり滴下し、均一に撹拌して、モル比で表すと以下の組成を有する合成母液を得た:
0.03SiO:1.0Al:2.4P:4.8R:190H
密閉した反応容器中で、結晶化温度170℃にて60時間、合成母液を結晶化させ、得られた結晶化生成物を洗浄および乾燥して、シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体を得た。前駆体は、Alとして計算したアルミニウムに対する、Pとして計算したリンのモル比(すなわち、P/Al)が0.97であり、Alとして計算したアルミニウムに対する、SiOとして計算したケイ素のモル比(すなわち、SiO/Al)が0.028であり、有機材料の重量含有量が21.4%であり、表2Aに示すXRDデータを有した。シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体を550℃にて5時間、焼成し、シリコアルミノリン酸塩分子篩を得た。生成物である分子篩は、誘導結合プラズマ原子発光分光法(ICP)によって決定されたシリカ対アルミナ比がSiO/Al=0.028であり、五酸化リン対アルミナ比がP/Al=0.97であり(すなわち、0.028SiO・Al・0.97Pの化学組成式)、比表面積は347m/gであり、ミクロ細孔容積は0.23ml/gであり、表2Bに示す対応するXRDデータを有した。
【0124】
【表25】
【0125】
【表26】
【0126】
〔実施例3〕
27.6gの20.75% 1,1-[1,4-フェニレンビス(メチレン)]ビス-1-メチルピロリジニウムジヒドロキシド(以下、Rという)溶液を秤量し、0.698gの擬ベーマイトおよび0.026gのオルトケイ酸テトラエチルを撹拌しながら添加し、次いで2.30gの85%リン酸溶液をゆっくり滴下し、均一に撹拌して、モル比で表すと以下の組成を有する合成母液を得た:
0.03SiO:1.0Al:2.4P:4.8R:190H
密閉した反応容器中で、結晶化温度150℃にて60時間、合成母液を結晶化させ、得られた結晶化生成物を洗浄および乾燥して、シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体を得た。前駆体は、Alとして計算したアルミニウムに対する、Pとして計算したリンのモル比(すなわち、P/Al)が0.98であり、Alとして計算したアルミニウムに対する、SiOとして計算したケイ素のモル比(すなわち、SiO/Al)が0.029であり、有機材料の重量含有量が30.0%であり、表3Aに示すXRDデータを有した。シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体を550℃にて5時間、焼成し、シリコアルミノリン酸塩分子篩を得た。生成物である分子篩は、誘導結合プラズマ原子発光分光法(ICP)によって決定されたシリカ対アルミナ比がSiO/Al=0.029であり、五酸化リン対アルミナ比がP/Al=0.98であり(すなわち、0.029SiO・Al・0.98Pの化学組成式)、比表面積は229m/gであり、ミクロ細孔容積は0.20ml/gであり、表3Bに示すXRDデータを有した。
【0127】
【表27】
【0128】
【表28】
【0129】
〔実施例4〕
27.6gの20.75% 1,1-[1,4-フェニレンビス(メチレン)]ビス-1-メチルピロリジニウムジヒドロキシド(以下、Rという)溶液を秤量し、0.698gの擬ベーマイトおよび0.026gのオルトケイ酸テトラエチルを撹拌しながら添加し、次いで2.30gの85%リン酸溶液をゆっくり滴下し、均一に撹拌して、モル比で表すと以下の組成を有する合成母液を得た:
0.03SiO:1.0Al:2.4P:4.8R:190H
密閉した反応容器中で、結晶化温度200℃にて48時間、合成母液を結晶化させ、得られた結晶化生成物を洗浄および乾燥して、シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体を得た。前駆体は、Alとして計算したアルミニウムに対する、Pとして計算したリンのモル比(すなわち、P/Al)が0.97であり、Alとして計算したアルミニウムに対する、SiOとして計算したケイ素のモル比(すなわち、SiO/Al)が0.031であり、有機材料の重量含有量が21.5%であり、表4Aに示すXRDデータを有した。シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体を550℃にて5時間、焼成し、シリコアルミノリン酸塩分子篩を得た。生成物である分子篩は、誘導結合プラズマ原子発光分光法(ICP)によって決定されたシリカ対アルミナ比がSiO/Al=0.031であり、五酸化リン対アルミナ比がP/Al=0.97であり(すなわち、0.031SiO・Al・0.97Pの化学組成式)、比表面積は350m/gであり、ミクロ細孔容積は0.24ml/gであり、表4Bに示すXRDデータを有した。
【0130】
【表29】
【0131】
【表30】
【0132】
〔実施例5〕
27.6gの20.75% 1,1-[1,4-フェニレンビス(メチレン)]ビス-1-メチルピロリジニウムジヒドロキシド(以下、Rという)溶液を秤量し、0.698gの擬ベーマイトおよび0.017gのオルトケイ酸テトラエチルを撹拌しながら添加し、次いで2.30gの85%リン酸溶液をゆっくり滴下し、均一に撹拌して、モル比で表すと以下の組成を有する合成母液を得た:
0.02SiO:1.0Al:2.4P:4.8R:190H
密閉した反応容器中で、結晶化温度190℃にて60時間、合成母液を結晶化させ、得られた結晶化生成物を洗浄および乾燥して、シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体を得た。前駆体は、Alとして計算したアルミニウムに対する、Pとして計算したリンのモル比(すなわち、P/Al)が0.99であり、Alとして計算したアルミニウムに対する、SiOとして計算したケイ素のモル比(すなわち、SiO/Al)が0.021であり、有機材料の重量含有量が18.7%であり、表5Aに示すXRDデータを有した。シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体を550℃にて5時間、焼成し、シリコアルミノリン酸塩分子篩を得た。生成物である分子篩は、誘導結合プラズマ原子発光分光法(ICP)によって決定されたシリカ対アルミナ比がSiO/Al=0.021であり、五酸化リン対アルミナ比がP/Al=0.99であり(すなわち、0.021SiO・Al・0.99Pの化学組成式)、比表面積は290m/gであり、ミクロ細孔容積は0.18ml/gであり、表5Bに示すXRDデータを有した。
【0133】
【表31】
【0134】
【表32】
【0135】
〔実施例6〕
27.6gの20.75% 1,1-[1,4-フェニレンビス(メチレン)]ビス-1-メチルピロリジニウムジヒドロキシド(以下、Rという)溶液を秤量し、0.698gの擬ベーマイトおよび0.009gのオルトケイ酸テトラエチルを撹拌しながら添加し、次いで2.30gの85%リン酸溶液をゆっくり滴下し、均一に撹拌して、モル比で表すと以下の組成を有する合成母液を得た:
0.01SiO:1.0Al:2.4P:4.8R:190H
密閉した反応容器中で、結晶化温度190℃にて60時間、合成母液を結晶化させ、得られた結晶化生成物を洗浄および乾燥して、シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体を得た。前駆体は、Alとして計算したアルミニウムに対する、Pとして計算したリンのモル比(すなわち、P/Al)が0.98であり、Alとして計算したアルミニウムに対する、SiOとして計算したケイ素のモル比(すなわち、SiO/Al)が0.012であり、有機材料の重量含有量が25.9%であり、表6Aに示すXRDデータを有した。シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体を550℃にて5時間、焼成し、シリコアルミノリン酸塩分子篩を得た。生成物である分子篩は、誘導結合プラズマ原子発光分光法(ICP)によって決定されたシリカ対アルミナ比がSiO/Al=0.012であり、五酸化リン対アルミナ比がP/Al=0.98であり(すなわち、0.012SiO・Al・0.98Pの化学組成式)、比表面積は249m/gであり、ミクロ細孔容積は0.20ml/gであり、表6Bに示すXRDデータを有した。
【0136】
【表33】
【0137】
【表34】
【0138】
〔実施例7〕
27.6gの20.75% 1,1-[1,4-フェニレンビス(メチレン)]ビス-1-メチルピロリジニウムジヒドロキシド(以下、Rという)溶液を秤量し、0.698gの擬ベーマイトおよび0.043gのオルトケイ酸テトラエチルを撹拌しながら添加し、次いで2.30gの85%リン酸溶液をゆっくり滴下し、均一に撹拌して、モル比で表すと以下の組成を有する合成母液を得た:
0.05SiO:1.0Al:2.4P:4.8R:190H
密閉した反応容器中で、結晶化温度190℃にて60時間、合成母液を結晶化させ、得られた結晶化生成物を洗浄および乾燥して、シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体を得た。前駆体は、Alとして計算したアルミニウムに対する、Pとして計算したリンのモル比(すなわち、P/Al)が0.97であり、Alとして計算したアルミニウムに対する、SiOとして計算したケイ素のモル比(すなわち、SiO/Al)が0.047であり、有機材料の重量含有量が33.4%であり、表7Aに示すXRDデータを有した。シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体を550℃にて5時間、焼成し、シリコアルミノリン酸塩分子篩を得た。生成物である分子篩は、誘導結合プラズマ原子発光分光法(ICP)によって決定されたシリカ対アルミナ比がSiO/Al=0.047であり、五酸化リン対アルミナ比がP/Al=0.97であり(すなわち、0.047SiO・Al・0.97Pの化学組成式)、比表面積は270m/gであり、ミクロ細孔容積は0.21ml/gであり、表7Bに示すXRDデータを有した。
【0139】
【表35】
【0140】
【表36】
【0141】
〔実施例8〕
27.6gの20.75% 1,1-[1,4-フェニレンビス(メチレン)]ビス-1-メチルピロリジニウムジヒドロキシド(以下、Rという)溶液を秤量し、0.698gの擬ベーマイトおよび0.069gのオルトケイ酸テトラエチルを撹拌しながら添加し、次いで2.30gの85%リン酸溶液をゆっくり滴下し、均一に撹拌して、モル比で表すと以下の組成を有する合成母液を得た:
0.08SiO:1.0Al:2.4P:4.8R:190H
密閉した反応容器中で、結晶化温度190℃にて60時間、合成母液を結晶化させ、得られた結晶化生成物を洗浄および乾燥して、シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体を得た。前駆体は、Alとして計算したアルミニウムに対する、Pとして計算したリンのモル比(すなわち、P/Al)が0.96であり、Alとして計算したアルミニウムに対する、SiOとして計算したケイ素のモル比(すなわち、SiO/Al)が0.078であり、有機材料の重量含有量が15.2%であり、表8Aに示すXRDデータを有した。シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体を550℃にて5時間、焼成し、シリコアルミノリン酸塩分子篩を得た。生成物である分子篩は、誘導結合プラズマ原子発光分光法(ICP)によって決定されたシリカ対アルミナ比がSiO/Al=0.078であり、五酸化リン対アルミナ比がP/Al=0.96であり(すなわち、0.078SiO・Al・0.96Pの化学組成式)、比表面積は302m/gであり、ミクロ細孔容積は0.20ml/gであり、表8Bに示すXRDデータを有した。
【0142】
【表37】
【0143】
【表38】
【0144】
〔実施例9〕
27.6gの20.75% 1,1-[1,4-フェニレンビス(メチレン)]ビス-1-メチルピロリジニウムジヒドロキシド(以下、Rという)溶液を秤量し、0.698gの擬ベーマイトおよび0.087gのオルトケイ酸テトラエチルを撹拌しながら添加し、次いで2.30gの85%リン酸溶液をゆっくり滴下し、均一に撹拌して、モル比で表すと以下の組成を有する合成母液を得た:
0.1SiO:1.0Al:2.4P:4.8R:190H
密閉した反応容器中で、結晶化温度190℃にて60時間、合成母液を結晶化させ、得られた結晶化生成物を洗浄および乾燥して、シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体を得た。前駆体は、Alとして計算したアルミニウムに対する、Pとして計算したリンのモル比(すなわち、P/Al)が0.96であり、Alとして計算したアルミニウムに対する、SiOとして計算したケイ素のモル比(すなわち、SiO/Al)が0.089であり、有機材料の重量含有量が29.4%であり、表9Aに示すXRDデータを有した。シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体を550℃にて5時間、焼成し、シリコアルミノリン酸塩分子篩を得た。生成物である分子篩は、誘導結合プラズマ原子発光分光法(ICP)によって決定されたシリカ対アルミナ比がSiO/Al=0.089であり、五酸化リン対アルミナ比がP/Al=0.96であり(すなわち、0.089SiO・Al・0.96Pの化学組成式)、比表面積は310m/gであり、ミクロ細孔容積は0.21ml/gであり、表9Bに示すXRDデータを有した。
【0145】
【表39】
【0146】
【表40】
【0147】
〔実施例10〕
20.7gの20.75% 1,1-[1,4-フェニレンビス(メチレン)]ビス-1-メチルピロリジニウムジヒドロキシド(以下、Rという)溶液を秤量し、0.698gの擬ベーマイトおよび0.026gのオルトケイ酸テトラエチルを撹拌しながら添加し、次いで2.30gの85%リン酸溶液をゆっくり滴下し、均一に撹拌して、モル比で表すと以下の組成を有する合成母液を得た:
0.03SiO:1.0Al:2.4P:3.6R:150H
密閉した反応容器中で、結晶化温度190℃にて48時間、合成母液を結晶化させ、得られた結晶化生成物を洗浄および乾燥して、シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体を得た。前駆体は、Alとして計算したアルミニウムに対する、Pとして計算したリンのモル比(すなわち、P/Al)が0.99であり、Alとして計算したアルミニウムに対する、SiOとして計算したケイ素のモル比(すなわち、SiO/Al)が0.028であり、有機材料の重量含有量が20.5%であり、表10Aに示すXRDデータを有した。シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体を550℃にて5時間、焼成し、シリコアルミノリン酸塩分子篩を得た。生成物である分子篩は、誘導結合プラズマ原子発光分光法(ICP)によって決定されたシリカ対アルミナ比がSiO/Al=0.028であり、五酸化リン対アルミナ比がP/Al=0.99であり(すなわち、0.028SiO・Al・0.99Pの化学組成式)、比表面積は280m/gであり、ミクロ細孔容積は0.19ml/gであり、表10Bに示すXRDデータを有した。
【0148】
【表41】
【0149】
【表42】
【0150】
〔実施例11〕
20.7gの20.75% 1,1-[1,4-フェニレンビス(メチレン)]ビス-1-メチルピロリジニウムジヒドロキシド(以下、Rという)溶液を秤量し、0.698gの擬ベーマイトおよび0.069gのオルトケイ酸テトラエチルを撹拌しながら添加し、次いで2.30gの85%リン酸溶液をゆっくり滴下し、均一に撹拌して、モル比で表すと以下の組成を有する合成母液を得た:
0.08SiO:1.0Al:2.4P:3.6R:150H
密閉した反応容器中で、結晶化温度190℃にて60時間、合成母液を結晶化させ、得られた結晶化生成物を洗浄および乾燥して、シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体を得た。前駆体は、Alとして計算したアルミニウムに対する、Pとして計算したリンのモル比(すなわち、P/Al)が0.97であり、Alとして計算したアルミニウムに対する、SiOとして計算したケイ素のモル比(すなわち、SiO/Al)が0.079であり、有機材料の重量含有量が24.2%であり、表11Aに示すXRDデータを有した。シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体を550℃にて5時間、焼成し、シリコアルミノリン酸塩分子篩を得た。生成物である分子篩は、誘導結合プラズマ原子発光分光法(ICP)によって決定されたシリカ対アルミナ比がSiO/Al=0.079であり、五酸化リン対アルミナ比がP/Al=0.97であり(すなわち、0.079SiO・Al・0.97Pの化学組成式)、比表面積は380m/gであり、ミクロ細孔容積は0.17ml/gであり、表11Bに示すXRDデータを有した。
【0151】
【表43】
【0152】
【表44】
【0153】
〔実施例12〕
34.5gの20.75% 1,1-[1,4-フェニレンビス(メチレン)]ビス-1-メチルピロリジニウムジヒドロキシド(以下、Rという)溶液を秤量し、0.698gの擬ベーマイトおよび0.026gのオルトケイ酸テトラエチルを撹拌しながら添加し、次いで2.30gの85%リン酸溶液をゆっくり滴下し、均一に撹拌して、モル比で表すと以下の組成を有する合成母液を得た:
0.03SiO:1.0Al:2.4P:6.0R:260H
密閉した反応容器中で、結晶化温度190℃にて48時間、合成母液を結晶化させ、得られた結晶化生成物を洗浄および乾燥して、シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体を得た。前駆体は、Alとして計算したアルミニウムに対する、Pとして計算したリンのモル比(すなわち、P/Al)が0.99であり、Alとして計算したアルミニウムに対する、SiOとして計算したケイ素のモル比(すなわち、SiO/Al)が0.026であり、有機材料の重量含有量が27.2%であり、表12Aに示すXRDデータを有した。シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体を550℃にて5時間、焼成し、シリコアルミノリン酸塩分子篩を得た。生成物である分子篩は、誘導結合プラズマ原子発光分光法(ICP)によって決定されたシリカ対アルミナ比がSiO/Al=0.026であり、五酸化リン対アルミナ比がP/Al=0.99であり(すなわち、0.026SiO・Al・0.99Pの化学組成式)、比表面積は315m/gであり、ミクロ細孔容積は0.18ml/gであり、表12Bに示すXRDデータを有した。
【0154】
【表45】
【0155】
【表46】
【0156】
〔実施例13〕
34.5gの20.75% 1,1-[1,4-フェニレンビス(メチレン)]ビス-1-メチルピロリジニウムジヒドロキシド(以下、Rという)溶液を秤量し、0.698gの擬ベーマイトおよび0.043gのオルトケイ酸テトラエチルを撹拌しながら添加し、次いで2.30gの85%リン酸溶液をゆっくり滴下し、均一に撹拌して、モル比で表すと以下の組成を有する合成母液を得た:
0.05SiO:1.0Al:2.4P:6.0R:260H
密閉した反応容器中で、結晶化温度190℃にて48時間、合成母液を結晶化させ、得られた結晶化生成物を洗浄および乾燥して、シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体を得た。前駆体は、Alとして計算したアルミニウムに対する、Pとして計算したリンのモル比(すなわち、P/Al)が0.98であり、Alとして計算したアルミニウムに対する、SiOとして計算したケイ素のモル比(すなわち、SiO/Al)が0.045であり、有機材料の重量含有量が21.3%であり、表13Aに示すXRDデータを有した。シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体を550℃にて5時間、焼成し、シリコアルミノリン酸塩分子篩を得た。生成物である分子篩は、誘導結合プラズマ原子発光分光法(ICP)によって決定されたシリカ対アルミナ比がSiO/Al=0.045であり、五酸化リン対アルミナ比がP/Al=0.98であり(すなわち、0.045SiO・Al・0.98Pの化学組成式)、比表面積は268m/gであり、ミクロ細孔容積は0.20ml/gであり、表13Bに示すXRDデータを有した。
【0157】
【表47】
【0158】
【表48】
【0159】
〔実施例14〕
27.6gの20.75% 1,1-[1,4-フェニレンビス(メチレン)]ビス-1-メチルピロリジニウムジヒドロキシド(以下、Rという)溶液を秤量し、0.86gのアルミニウムイソプロポキシドおよび0.026gのオルトケイ酸テトラエチルを撹拌しながら添加し、次いで2.30gの85%リン酸溶液をゆっくり滴下し、均一に撹拌して、モル比で表すと以下の組成を有する合成母液を得た:
0.03SiO:1.0Al:2.4P:4.8R:190H
密閉した反応容器中で、結晶化温度190℃にて60時間、合成母液を結晶化させ、得られた結晶化生成物を洗浄および乾燥して、シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体を得た。前駆体は、Alとして計算したアルミニウムに対する、Pとして計算したリンのモル比(すなわち、P/Al)が0.99であり、Alとして計算したアルミニウムに対する、SiOとして計算したケイ素のモル比(すなわち、SiO/Al)が0.030であり、有機材料の重量含有量が34.1%であり、表14Aに示すXRDデータを有した。シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体を550℃にて5時間、焼成し、シリコアルミノリン酸塩分子篩を得た。生成物である分子篩は、誘導結合プラズマ原子発光分光法(ICP)によって決定されたシリカ対アルミナ比がSiO/Al=0.03であり、五酸化リン対アルミナ比がP/Al=0.99であり(すなわち、0.03SiO・Al・0.99Pの化学組成式)、比表面積は310m/gであり、ミクロ細孔容積は0.17ml/gであり、表14Bに示すXRDデータを有した。
【0160】
【表49】
【0161】
【表50】
【0162】
〔実施例15〕
27.6gの20.75% 1,1-[1,4-フェニレンビス(メチレン)]ビス-1-メチルピロリジニウムジヒドロキシド(以下、Rという)溶液を秤量し、0.86gのアルミニウムイソプロポキシドおよび0.026gのオルトケイ酸テトラエチルを撹拌しながら添加し、次いで2.30gの85%リン酸溶液をゆっくり滴下し、均一に撹拌して、モル比で表すと以下の組成を有する合成母液を得た:
0.03SiO:1.0Al:2.4P:4.8R:190H
密閉した反応容器中で、結晶化温度150℃にて84時間、上記合成母液を結晶化させ、得られた結晶化生成物を洗浄および乾燥して、シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体を得た。前駆体は、Alとして計算したアルミニウムに対する、Pとして計算したリンのモル比(すなわち、P/Al)が0.98であり、Alとして計算したアルミニウムに対する、SiOとして計算したケイ素のモル比(すなわち、SiO/Al)が0.032であり、有機材料の重量含有量が28.8%であり、表15Aに示すXRDデータを有した。シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体を550℃にて5時間、焼成し、シリコアルミノリン酸塩分子篩を得た。生成物である分子篩は、誘導結合プラズマ原子発光分光法(ICP)によって決定されたシリカ対アルミナ比がSiO/Al=0.032であり、五酸化リン対アルミナ比がP/Al=0.98であり(すなわち、0.032SiO・Al・0.98Pの化学組成式)、比表面積は212m/gであり、ミクロ細孔容積は0.15ml/gであり、表15Bに示すXRDデータである。
【0163】
【表51】
【0164】
【表52】
【0165】
〔実施例16〕
27.6gの20.75% 1,1-[1,4-フェニレンビス(メチレン)]ビス-1-メチルピロリジニウムジヒドロキシド(以下、Rという)溶液を秤量し、0.86gのアルミニウムイソプロポキシドおよび0.021mlの30% Ludox LS-30溶液を撹拌しながら添加し、次いで2.30gの85%リン酸溶液をゆっくり滴下し、均一に撹拌して、モル比で表すと以下の組成を有する合成母液を得た:
0.03SiO:1.0Al:2.4P:4.8R:190H
密閉した反応容器中で、結晶化温度190℃にて60時間、合成母液を結晶化させ、得られた結晶化生成物を洗浄および乾燥して、シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体を得た。前駆体は、Alとして計算したアルミニウムに対する、Pとして計算したリンのモル比(すなわち、P/Al)が1.0であり、Alとして計算したアルミニウムに対する、SiOとして計算したケイ素のモル比(すなわち、SiO/Al)が0.030であり、有機材料の重量含有量が25.2%であり、表16Aに示すXRDデータを有した。シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体を550℃にて5時間、焼成し、シリコアルミノリン酸塩分子篩を得た。生成物である分子篩は、誘導結合プラズマ原子発光分光法(ICP)によって決定されたシリカ対アルミナ比がSiO/Al=0.030であり、五酸化リン対アルミナ比がP/Al=1.00であり(すなわち、0.030SiO・Al・1.00Pの化学組成式)、比表面積は336m/gであり、ミクロ細孔容積は0.20ml/gであり、表16Bに示すXRDデータを有した。
【0166】
【表53】
【0167】
【表54】
【0168】
〔実施例17〕
27.6gの20.75% 1,1-[1,4-フェニレンビス(メチレン)]ビス-1-メチルピロリジニウムジヒドロキシド(以下、Rという)溶液を秤量し、0.86gのアルミニウムイソプロポキシドおよび0.021mlの30% Ludox LS-30溶液を撹拌しながら添加し、次いで2.30gの85%リン酸溶液をゆっくり滴下し、均一に撹拌して、モル比で表すと以下の組成を有する合成母液を得た:
0.03SiO:1.0Al:2.4P:4.8R:190H
密閉した反応容器中で、結晶化温度150℃にて120時間、合成母液を結晶化させ、得られた結晶化生成物を洗浄および乾燥して、シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体を得た。前駆体は、Alとして計算したアルミニウムに対する、Pとして計算したリンのモル比(すなわち、P/Al)が0.99であり、Alとして計算したアルミニウムに対する、SiOとして計算したケイ素のモル比(すなわち、SiO/Al)が0.029であり、有機材料の重量含有量が20.6%であり、表17Aに示すXRDデータを有した。シリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体を550℃にて5時間、焼成し、シリコアルミノリン酸塩分子篩を得た。生成物である分子篩は、誘導結合プラズマ原子発光分光法(ICP)によって決定されたシリカ対アルミナ比がSiO/Al=0.029であり、五酸化リン対アルミナ比がP/Al=0.99であり(すなわち、0.029SiO・Al・0.99Pの化学組成式)、比表面積は290m/gであり、ミクロ細孔容積は0.17ml/gであり、表17Bに示す対応するXRDデータを有した。
【0169】
【表55】
【0170】
【表56】
【0171】
〔実施例18〕
実施例2において得られた粉末のサンプル2gをアルミナ3gおよびセスバニア粉末0.2gと十分に混合した後、5重量%の硝酸5mlを加えて混練し、φ1.6×2mmの棒状に押出した。棒状物を110℃にて乾燥し、大気雰囲気中で550にて8時間、焼成し、分子篩組成物を得た。分子篩組成物は、吸着剤または触媒として使用することができる。
【0172】
〔実施例19〕
実施例18において得られた分子篩組成物を粉砕し、篩い分けし、20~40メッシュの粒子1gを固定床反応器に装填し、窒素雰囲気中で500℃にて1時間、活性化し、次いで冷却し、460℃にて反応させた。メタノールを0.125ml/分の流速で導入し、窒素を10ml/分の流速で導入した。メタノールを変換反応のために分子篩組成物床に通し、反応後に得られた混合物を分析のためにガスクロマトグラフィーに直接送った。60分間の反応後、エチレン収率は51.44%であり、プロピレン収率は22.59%であり、C4およびC5の全収率は11.4%であり、メタノールの転化率は100%であった。
【0173】
〔比較例1〕
SAPO-34分子篩2gをアルミナ3gおよびセスバニア粉末0.2gと十分に混合した後、5重量%の硝酸5mlを加えて混練し、φ1.6×2mmの棒状に押出した。棒状物を110℃にて乾燥し、大気雰囲気中で550にて8時間、焼成し、分子篩組成物を得た。
【0174】
得られた分子篩組成物を粉砕し、篩い分けし、20~40メッシュの粒子1gを固定床反応器に装填し、窒素雰囲気中で500℃にて1時間、活性化し、次いで冷却し、460℃にて反応させた。メタノールを0.125ml/分の流速で導入し、窒素を10ml/分の流速で導入した。メタノールを変換反応のために分子篩組成物床に通し、反応後に得られた混合物を分析のためにガスクロマトグラフィーに直接送った。60分間の反応後、エチレン収率は48.83%であり、プロピレン収率は31.56%であり、C4およびC5の全収率は9.9%であり、メタノールの転化率は100%であった。
【0175】
実施例19と比較例1との比較からわかるように、本出願の分子篩/分子篩組成物は、メタノールのエチレンへの変換を触媒する際に使用される場合、エチレンの収率を有意に改善することができる。
【0176】
本出願は、好ましい実施形態を参照して上記に詳細に説明されているが、これらの実施形態に限定されることを意図していない。本出願の発明思想に従って種々の変更をしてもよく、これらの変更は本出願の範囲内である。
【0177】
なお、上記実施形態で説明した種々の技術的特徴は、矛盾することなく適宜に組み合わせてもよい。不必要な繰り返しを避けるために、本出願では種々の可能な組み合わせを記載していないが、その組み合わせもまた本出願の範囲内である。
【0178】
さらに、当該組み合わせが本出願の精神から逸脱しない限り、本出願の種々の実施形態を任意に組み合わせることができ、そのような組み合わせた実施形態は、本出願の開示としてみなすべきである。
【図面の簡単な説明】
【0179】
図1図1は、実施例1で得られたシリコアルミノリン酸塩分子篩前駆体のXRDパターンを示す。
図2図2は、実施例1で得られたシリコアルミノリン酸塩分子篩のXRDパターンを示す。
図1
図2