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特許7368485折り畳まれたバルーンアセンブリを有する止血デバイスの製造方法、および止血デバイスのためのバルーンアセンブリを製造する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】折り畳まれたバルーンアセンブリを有する止血デバイスの製造方法、および止血デバイスのためのバルーンアセンブリを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/135 20060101AFI20231017BHJP
【FI】
A61B17/135
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2021549783
(86)(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-20
(86)【国際出願番号】 US2020020500
(87)【国際公開番号】W WO2020180731
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】62/812,436
(32)【優先日】2019-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】オブライエン,ヴィクトリア,ムーア
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】硲 健一
(72)【発明者】
【氏名】ヴァラモ,ニコラス
【審査官】羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0042615(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0263634(US,A1)
【文献】国際公開第2018/008600(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0310944(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0015100(US,A1)
【文献】米国特許第09393027(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
止血デバイスの製造方法であって、
部材の上層と、部材の下層と、部材の少なくとも一つの中間層を周縁において一緒に接続することによって、第1のチャンバの少なくとも一部を形成するバルーンアセンブリの形成工程を有し、
前記第1のチャンバは拡張可能であり、
少なくとも一つの前記中間層は、前記周縁に隣接させて部材の前記上層と部材の前記下層の間に隙間を作り、
当該方法は、患者の身体の一部の周りに取り付け可能な可撓性を備えるバンドに前記バルーンアセンブリを接続する接続工程をさらに有し、
前記形成工程は、
部材の前記上層と、部材の前記下層と、部材の少なくとも一つの前記中間層を、前記周縁において一緒に接続することによって、前記第1のチャンバの少なくとも一部と、第2のチャンバの少なくとも一部と、少なくとも一つのチャネルの少なくとも一部を形成することをさらに含み、
少なくとも一つの前記チャネルは、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバの間を流体連通し、
前記第1のチャンバ、前記第2のチャンバ、及び少なくとも一つの前記チャネルは、隣接したチャンバを形成し、
当該方法は、少なくとも一つの前記チャネルが折り畳まれ、かつ前記第1のチャンバの少なくとも一部で前記第2のチャンバの少なくとも一部が覆われるように、前記第1のチャンバを配置する配置工程をさらに有する、ことを特徴とする止血デバイスの製造方法。
【請求項2】
前記配置工程は、少なくとも一つの前記チャネルの第1の部分が少なくとも一つの前記チャネルの第2の部分を覆うように、少なくとも一つの前記チャネルを折り畳むことをさらに有する、ことを特徴とする請求項に記載の止血デバイスの製造方法。
【請求項3】
前記形成工程は、前記周縁に少なくとも一つの空間が残されるように、部材の前記上層と、部材の前記下層と、部材の少なくとも一つの前記中間層を前記周縁において一緒に接続し、
当該方法は、少なくとも一つのポートを介して流体が前記第1のチャンバ内へ導流されるように、少なくとも一つの前記空間を介して少なくとも一つの前記ポートを接続する工程をさらに有する、ことを特徴とする請求項1に記載の止血デバイスの製造方法。
【請求項4】
前記形成工程が完了する前に、前記バルーンアセンブリが折り畳まれているときに少なくとも一つの前記チャネルが密封されることを防止するための二次部材の少なくとも一つのピースを少なくとも一つの前記チャネル内に配置する工程をさらに有する、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の止血デバイスの製造方法。
【請求項5】
前記二次部材の少なくとも一つのピースを少なくとも一つの前記チャネル内に配置する工程は、ガス透過性の前記二次部材の少なくとも一つのピースを少なくとも一つの前記チャネル内に配置する工程を含む、ことを特徴とする請求項に記載の止血デバイスの製造方法。
【請求項6】
前記二次部材の少なくとも一つのピースを少なくとも一つの前記チャネル内に配置する工程は、ガス不透過性の前記二次部材の少なくとも一つのピースを少なくとも一つの前記チャネル内に配置する工程を含む、ことを特徴とする請求項に記載の止血デバイスの製造方法。
【請求項7】
前記バルーンアセンブリが折り畳まれているときに少なくとも一つの前記チャネルが密封されることを防止するための二次部材の少なくとも一つのピースを少なくとも一つの前記チャネル内に配置する工程は、前記二次部材の少なくとも一つのピースを少なくとも一つの円形断面形状を備える前記チャネル内に配置する工程を含む、ことを特徴とする請求項に記載の止血デバイスの製造方法。
【請求項8】
前記配置工程は、少なくとも一つの前記チャネルを半分に折り畳むことを含む、ことを特徴とする請求項に記載の止血デバイスの製造方法。
【請求項9】
前記形成工程は、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバの間に、互いに異なる位置で前記第1のチャンバと前記第2のチャンバの間を流体連通する一対の第1の空気チャネルと第2の空気チャネルを形成することをさらに含む、ことを特徴とする請求項に記載の止血デバイスの製造方法。
【請求項10】
前記形成工程は、部材の前記上層と、部材の前記下層と、部材の少なくとも一つの前記中間層を前記周縁において一緒に接続することによって外周を形成する工程をさらに含み、
当該方法は、少なくとも部材の前記上層と部材の前記下層を一緒に接続することによって内周を形成する工程をさらに含み、
前記内周は、前記外周よりも内側に配置される、ことを特徴とする請求項に記載の止血デバイスの製造方法。
【請求項11】
前記内周の内側に位置する部材の前記上層の少なくとも一部と前記内周の内側に位置する部材の前記下層の少なくとも一部を切断及び除去する工程をさらに有する、ことを特徴とする請求項10に記載の止血デバイスの製造方法。
【請求項12】
少なくとも部材の前記上層と部材の前記下層を一緒に接続することによって内周を形成する前記工程は、前記内周の内側に位置する部材の前記上層の少なくとも一部と前記内周の内側に位置する部材の前記下層の少なくとも一部を省く工程をさらに有する、ことを特徴とする請求項10に記載の止血デバイスの製造方法。
【請求項13】
前記形成工程は、前記周縁が前記第1のチャンバと、前記第2のチャンバと、少なくとも一つの前記チャネルを画定するように、部材の前記上層と部材の前記下層を前記周縁において接続する工程をさらに有する、ことを特徴とする請求項に記載の止血デバイスの製造方法。
【請求項14】
前記形成工程は、レーザー溶接によって実施される、ことを特徴とする請求項1~13のいずれか1項に記載の止血デバイスの製造方法。
【請求項15】
前記形成工程は、高周波溶接によって実施される、ことを特徴とする請求項1~13のいずれか1項に記載の止血デバイスの製造方法。
【請求項16】
前記形成工程は、接着又は溶接によって実施される、ことを特徴とする請求項1~13のいずれか1項に記載の止血デバイスの製造方法。
【請求項17】
部材の上層と、部材の下層と、部材の少なくとも一つの中間層を周縁において一緒に接続することによって、第1のチャンバの少なくとも一部を形成する前記バルーンアセンブリの前記形成工程は、部材の前記上層、部材の前記下層、及び部材の少なくとも一つの中間層のそれぞれに同一の材料で形成された部材を使用することをさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の止血デバイスの製造方法。
【請求項18】
部材の上層と、部材の下層と、部材の少なくとも一つの中間層を周縁において一緒に接続することによって、第1のチャンバの少なくとも一部を形成する前記バルーンアセンブリの前記形成工程は、部材の前記上層と部材の前記下層のそれぞれに同一の材料で形成された部材を使用し、部材の少なくとも一つの中間層には部材の前記上層と部材の前記下層とは異なる材料で形成された部材を使用することをさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の止血デバイスの製造方法。
【請求項19】
止血デバイスのためのバルーンアセンブリを製造する方法であって、
部材の第1の層の上に接着剤の第1の層を配置する工程と、
前記接着剤の第1の層を硬化させることによって、第1のチャンバの輪郭の少なくとも一部と、第2のチャンバの輪郭の少なくとも一部と、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバの間で接続された少なくとも一つのチャネルの輪郭の少なくとも一部と、を形成する周縁を形成する工程と、
前記周縁の外側に位置する部材の前記第1の層の上に接着剤の第2の層を配置する工程と、
前記接着剤の第2の層の上部と部材の前記第1の層の上部に部材の第2の層を配置する工程と、
前記接着剤の第2の層を硬化させて、部材の前記第2の層を部材の前記第1の層に接続することによって、前記第1のチャンバと、前記第2のチャンバと、少なくとも一つの前記チャネルを備える隣接したチャンバを形成する工程と、を有し、
当該方法は、少なくとも一つの前記チャネルが折り畳まれ、かつ前記第1のチャンバの少なくとも一部で前記第2のチャンバの少なくとも一部が覆われるように、前記第1のチャンバを配置する配置工程をさらに有する、ことを特徴とするバルーンアセンブリの製造方法。
【請求項20】
接続チューブのピースの第2の端部を前記隣接するチャンバの外側に配置しつつ、前記接続チューブの前記ピースの第1の端部を前記隣接するチャンバの内側に挿入する工程をさらに有する、ことを特徴とする請求項19に記載のバルーンアセンブリの製造方法。
【請求項21】
前記配置工程は、少なくとも一つの前記チャネルの第1の部分が少なくとも一つの前記チャネルの第2の部分を覆うように、少なくとも一つの前記チャネルを折り畳むことをさらに有する、ことを特徴とする請求項19に記載のバルーンアセンブリの製造方法。
【請求項22】
止血デバイスのためのバルーンアセンブリを製造する方法であって、
第1のチャンバの少なくとも一部と、第2のチャンバの少なくとも一部と、少なくとも一つのチャネルの少なくとも一部と、を形成する周縁において、部材の第1の層を部材の第2の層に接続する接続工程を有し、
少なくとも一つの前記チャネルは、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバの間で流体連通され、
前記第1のチャンバと、前記第2のチャンバと、少なくとも一つの前記チャネルは、隣接するチャンバを形成し、
当該方法は、少なくとも一つの前記チャネルが折り畳まれ、かつ前記第1のチャンバの少なくとも一部で前記第2のチャンバの少なくとも一部が覆われるように、前記第1のチャンバを配置する配置工程をさらに有する、ことを特徴とするバルーンアセンブリの製造方法。
【請求項23】
前記配置工程は、少なくとも一つの前記チャネルの第1の部分が少なくとも一つの前記チャネルの第2の部分を覆うように、少なくとも一つの前記チャネルを折り畳むことをさらに有する、ことを特徴とする請求項22に記載のバルーンアセンブリの製造方法。
【請求項24】
前記接続工程は、前記周縁に少なくとも一つの隙間が残されるように、部材の前記第1の層と部材の前記第2の層を前記周縁において接続し、
当該方法は、少なくとも一つのポートを介して流体が前記隣接するチャンバ内へ導流されるように、少なくとも一つの前記隙間を介して少なくとも一つの前記ポートを接続する工程をさらに有する、ことを特徴とする請求項23に記載のバルーンアセンブリの製造方法。
【請求項25】
前記接続工程が完了する前に、前記バルーンアセンブリが折り畳まれているときに少なくとも一つの前記チャネルが密封されることを防止するための二次部材の少なくとも一つのピースを少なくとも一つの前記チャネル内に配置する工程をさらに有する、ことを特徴とする請求項22~24のいずれか1項に記載のバルーンアセンブリの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の参照>
本出願は、2019年3月1日に出願された米国仮特許出願第62/812,436号の優先権を主張しており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、外科的アクセス部位における止血を促進するための圧迫デバイスとして機能するように適合される止血デバイス(例えば、バンド)の製造方法に関し、より詳細には、折り畳まれたバルーンアセンブリを備える止血デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
動脈又は静脈へのアクセスを伴う外科的処置の後、止血を促進するために、血管へのアクセス部位に対して圧力を加えることが望ましいことがあったり、又は必要とされ得る。いくつかの既存の止血デバイスでは、アクセス部位に圧力を加えるために1つ以上の拡張可能なバルーンを使用する。場合によっては、これらのバルーンは破損をしてしまうこともあった。また、いくつかの既存の止血デバイスの製造方法は、組み立てるのに時間が掛かり、費用が掛かる場合もある。したがって、従来技術のこれらの欠点及び他の欠点に対処する製造方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本開示の一態様は、止血デバイスの製造方法であって、部材の上層と、部材の下層と、部材の少なくとも一つの中間層を周縁において一緒に接続することによって、第1のチャンバの少なくとも一部を形成するバルーンアセンブリの形成工程を有し、前記第1のチャンバは拡張可能であり、少なくとも一つの前記中間層は、前記周縁に隣接させて部材の前記上層と部材の前記下層の間に隙間を作り、当該方法は、患者の身体の一部の周りに取り付け可能な可撓性を備えるバンドに前記バルーンアセンブリを接続する接続工程をさらに有する、ことを特徴とする。
【0005】
本開示のその他の一態様は、止血デバイスのためのバルーンアセンブリを製造する方法であって、部材の第1の層の上に接着剤の第1の層を配置する工程と、前記接着剤の第1の層を硬化させることによって、第1のチャンバの輪郭の少なくとも一部と、第2のチャンバの輪郭の少なくとも一部と、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバの間で接続された少なくとも一つのチャネルの輪郭の少なくとも一部と、を形成する周縁を形成する工程と、前記周縁の外側に位置する部材の前記第1の層の上に接着剤の第2の層を配置する工程と、前記接着剤の第2の層の上部と部材の前記第1の層の上部に部材の第2の層を配置する工程と、前記接着剤の第2の層を硬化させて、部材の前記第2の層を部材の前記第1の層に接続することによって、前記第1のチャンバと、前記第2のチャンバと、少なくとも一つの前記チャネルを備える隣接したチャンバを形成する工程と、を有することを特徴とする。
【0006】
本開示のその他の一態様は、止血デバイスのためのバルーンアセンブリを製造する方法であって、第1のチャンバの少なくとも一部と、第2のチャンバの少なくとも一部と、少なくとも一つのチャネルの少なくとも一部と、を形成する周縁において、部材の第1の層を部材の第2の層に接続する接続工程を有し、少なくとも一つの前記チャネルは、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバの間で流体連通され、前記第1のチャンバと、前記第2のチャンバと、少なくとも一つの前記チャネルは、隣接するチャンバを形成し、当該方法は、少なくとも一つの前記チャネルが折り畳まれ、かつ前記第1のチャンバの少なくとも一部で前記第2のチャンバの少なくとも一部が覆われるように、前記第1のチャンバを配置する配置工程をさらに有する、ことを特徴とする。
【0007】
<さらにその他の発明のコンセプト>
本発明の一態様はさらに、以下の態様を含む。
【0008】
第1の態様:止血デバイスの製造方法であって、部材の上層と、部材の下層と、部材の少なくとも一つの中間層を周縁において一緒に接続することによって、第1のチャンバの少なくとも一部を形成するバルーンアセンブリの形成工程を有し、前記第1のチャンバは拡張可能であり、少なくとも一つの前記中間層は、前記周縁に隣接させて部材の前記上層と部材の前記下層の間に隙間を作り、当該方法は、患者の身体の一部の周りに取り付け可能な可撓性を備えるバンドに前記バルーンアセンブリを接続する接続工程をさらに有する、ことを特徴とする止血デバイスの製造方法。
【0009】
第2の態様:前記形成工程は、部材の前記上層と、部材の前記下層と、部材の少なくとも一つの前記中間層を、前記周縁において一緒に接続することによって、第1のチャンバの少なくとも一部と、第2のチャンバの少なくとも一部と、少なくとも一つのチャネルの少なくとも一部を形成することをさらに含み、少なくとも一つの前記チャネルは、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバの間を流体連通し、前記第1のチャンバ、前記第2のチャンバ、及び少なくとも一つの前記チャネルは、隣接したチャンバを形成し、当該方法は、少なくとも一つの前記チャネルが折り畳まれ、かつ前記第1のチャンバの少なくとも一部で前記第2のチャンバの少なくとも一部が覆われるように、前記第1のチャンバを配置する配置工程をさらに有する、ことを特徴とする第1の態様に記載の止血デバイスの製造方法。
【0010】
第3の態様:前記配置工程は、少なくとも一つの前記チャネルの第1の部分が少なくとも一つの前記チャネルの第2の部分を覆うように、少なくとも一つの前記チャネルを折り畳むことをさらに有する、ことを特徴とする第2の態様に記載の止血デバイスの製造方法。
【0011】
第4の態様:前記形成工程は、前記周縁に少なくとも一つの空間が残されるように、部材の前記上層と、部材の前記下層と、部材の少なくとも一つの前記中間層を前記周縁において一緒に接続し、当該方法は、少なくとも一つのポートを介して流体が前記第1のチャンバ内へ導流されるように、少なくとも一つの前記空間を介して少なくとも一つの前記ポートを接続する工程をさらに有する、ことを特徴とする第1の態様又は第2の態様に記載の止血デバイスの製造方法。
【0012】
第5の態様:前記形成工程が完了する前に、二次部材の少なくとも一つのピースを少なくとも一つの前記チャネル内に配置する工程をさらに有する、ことを特徴とする第2~第4の態様のいずれかに記載の止血デバイスの製造方法。
【0013】
第6の態様:二次部材の少なくとも一つのピースを少なくとも一つの前記チャネル内に配置する工程は、ガス透過性の二次部材の少なくとも一つのピースを少なくとも一つの前記チャネル内に配置する工程を含む、ことを特徴とする第5の態様に記載の止血デバイスの製造方法。
【0014】
第7の態様:二次部材の少なくとも一つのピースを少なくとも一つの前記チャネル内に配置する工程は、ガス不透過性の二次部材の少なくとも一つのピースを少なくとも一つの前記チャネル内に配置する工程を含む、ことを特徴とする第5の態様に記載の止血デバイスの製造方法。
【0015】
第8の態様:二次部材の少なくとも一つのピースを少なくとも一つの前記チャネル内に配置する工程は、二次部材の少なくとも一つのピースを少なくとも一つの円形断面形状を備える前記チャネル内に配置する工程を含む、ことを特徴とする第5の態様に記載の止血デバイスの製造方法。
【0016】
第9の態様:前記配置工程は、少なくとも一つの前記チャネルを半分に折り畳むことを含む、ことを特徴とする第2~第8の態様のいずれかに記載の止血デバイスの製造方法。
【0017】
第10の態様:前記形成工程は、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバの間に、第1の空気チャネルと第2の空気チャネルを形成することをさらに含む、ことを特徴とする第2~第8の態様のいずれかに記載の止血デバイスの製造方法。
【0018】
第11の態様:前記形成工程は、部材の前記上層と、部材の前記下層と、部材の少なくとも一つの前記中間層を前記周縁において一緒に接続することによって外周を形成する工程をさらに含み、当該方法は、少なくとも部材の前記上層と部材の前記下層を一緒に接続することによって内周を形成する工程をさらに含み、前記内周は、前記外周よりも内側に配置される、ことを特徴とする第2~第8の態様のいずれかに記載の止血デバイスの製造方法。
【0019】
第12の態様:前記内周の内側に位置する部材の前記上層の少なくとも一部と前記内周の内側に位置する部材の前記下層の少なくとも一部を切断及び除去する工程をさらに有する、ことを特徴とする第11の態様に記載の止血デバイスの製造方法。
【0020】
第13の態様:少なくとも部材の前記上層と部材の前記下層を一緒に接続することによって内周を形成する前記工程は、前記内周の内側に位置する部材の前記上層の少なくとも一部と前記内周の内側に位置する部材の前記下層の少なくとも一部を省く工程をさらに有する、ことを特徴とする第11の態様又は第12の態様に記載の止血デバイスの製造方法。
【0021】
第14の態様:前記形成工程は、前記周縁が前記第1のチャンバと、前記第2のチャンバと、少なくとも一つの前記チャネルを画定するように、部材の前記上層と部材の前記下層を前記周縁において接続する工程をさらに有する、ことを特徴とする第2~第13の態様のいずれかに記載の止血デバイスの製造方法。
【0022】
第15の態様:前記形成工程は、レーザー溶接によって実施される、ことを特徴とする第1~第14のいずれかの態様に記載の止血デバイスの製造方法。
【0023】
第16の態様:前記形成工程は、高周波溶接によって実施される、ことを特徴とする第1~第14のいずれかの態様に記載の止血デバイスの製造方法。
【0024】
第17の態様:前記形成工程は、接着又はボンディングによって実施される、ことを特徴とする第1~第14のいずれかの態様に記載の止血デバイスの製造方法。
【0025】
第18の態様:部材の上層と、部材の下層と、部材の少なくとも一つの中間層を周縁において一緒に接続することによって、第1のチャンバの少なくとも一部を形成する前記バルーンアセンブリの前記形成工程は、部材の前記上層、部材の前記下層、及び部材の少なくとも一つの中間層に同様のタイプの部材を使用することをさらに含む、ことを特徴とする第1~第17のいずれかの態様に記載の止血デバイスの製造方法。
【0026】
第19の態様:部材の上層と、部材の下層と、部材の少なくとも一つの中間層を周縁において一緒に接続することによって、第1のチャンバの少なくとも一部を形成する前記バルーンアセンブリの前記形成工程は、部材の前記上層と部材の前記下層に同様のタイプの部材を使用し、部材の少なくとも一つの中間層には異なるタイプの部材を使用することをさらに含む、ことを特徴とする第1~第18のいずれかの態様に記載の止血デバイスの製造方法。
【0027】
第20の態様:止血デバイスのためのバルーンアセンブリを製造する方法であって、部材の第1の層の上に接着剤の第1の層を配置する工程と、前記接着剤の第1の層を硬化させることによって、第1のチャンバの輪郭の少なくとも一部と、第2のチャンバの輪郭の少なくとも一部と、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバの間で接続された少なくとも一つのチャネルの輪郭の少なくとも一部と、を形成する周縁を形成する工程と、前記周縁の外側に位置する部材の前記第1の層の上に接着剤の第2の層を配置する工程と、前記接着剤の第2の層の上部と部材の前記第1の層の上部に部材の第2の層を配置する工程と、前記接着剤の第2の層を硬化させて、部材の前記第2の層を部材の前記第1の層に接続することによって、前記第1のチャンバと、前記第2のチャンバと、少なくとも一つの前記チャネルを備える隣接したチャンバを形成する工程と、を有することを特徴とするバルーンアセンブリの製造方法。
【0028】
第21の態様:接続チューブのピースの第2の端部を前記隣接するチャンバの外側に配置しつつ、前記接続チューブの前記ピースの第1の端部を前記隣接するチャンバの内側に挿入する工程をさらに有する、ことを特徴とする第20の態様に記載のバルーンアセンブリの製造方法。
【0029】
第22の態様:少なくとも一つの前記チャネルが折り畳まれ、かつ前記第1のチャンバの少なくとも一部で前記第2のチャンバの少なくとも一部が覆われるように、前記第1のチャンバを配置する配置工程をさらに有する、ことを特徴とする第20の態様又は第21の態様に記載のバルーンアセンブリの製造方法。
【0030】
第23の態様:前記配置工程は、少なくとも一つの前記チャネルの第1の部分が少なくとも一つの前記チャネルの第2の部分を覆うように、少なくとも一つの前記チャネルを折り畳むことをさらに有する、ことを特徴とする第22の態様に記載のバルーンアセンブリの製造方法。
【0031】
第24の態様:止血デバイスのためのバルーンアセンブリを製造する方法であって、第1のチャンバの少なくとも一部と、第2のチャンバの少なくとも一部と、少なくとも一つのチャネルの少なくとも一部と、を形成する周縁において、部材の第1の層を部材の第2の層に接続する接続工程を有し、少なくとも一つの前記チャネルは、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバの間で流体連通され、前記第1のチャンバと、前記第2のチャンバと、少なくとも一つの前記チャネルは、隣接するチャンバを形成し、当該方法は、少なくとも一つの前記チャネルが折り畳まれ、かつ前記第1のチャンバの少なくとも一部で前記第2のチャンバの少なくとも一部が覆われるように、前記第1のチャンバを配置する配置工程をさらに有する、ことを特徴とするバルーンアセンブリの製造方法。
【0032】
第25の態様:前記配置工程は、少なくとも一つの前記チャネルの第1の部分が少なくとも一つの前記チャネルの第2の部分を覆うように、少なくとも一つの前記チャネルを折り畳むことをさらに有する、ことを特徴とする第24の態様に記載のバルーンアセンブリの製造方法。
【0033】
第26の態様:前記接続工程は、前記周縁に少なくとも一つの隙間が残されるように、部材の前記第1の層と部材の前記第2の層を前記周縁において接続し、当該方法は、少なくとも一つのポートを介して流体が前記隣接するチャンバ内へ導流されるように、少なくとも一つの前記隙間を介して少なくとも一つの前記ポートを接続する工程をさらに有する、ことを特徴とする第24の態様又は第25の態様に記載のバルーンアセンブリの製造方法。
【0034】
第27の態様:前記接続工程が完了する前に、二次部材の少なくとも一つのピースを少なくとも一つの前記チャネル内に配置する工程をさらに有する、ことを特徴とする第24~第26の態様のいずれかに記載のバルーンアセンブリの製造方法。
【0035】
以下、添付の図面を参照して本開示を説明する。同様の符号は同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1は、本開示による方法を使用して製造されたバルーンアセンブリの概略上面図であり、拡張していない状態で、かつ展開された状態を示されている。
図2図2は、拡張していない状態で、かつ折り畳まれた状態の商業的な実施形態の上面斜視図である。
図3図3は、図2による折り畳まれたバルーンアセンブリを含む例示的な止血デバイスの上面斜視図であり、折り畳まれたバルーンアセンブリは、非拡張状態で示されている。
図4図4は、図2のバルーンアセンブリの上面斜視図であり、折り畳まれ、かつ拡張した状態のバルーンアセンブリが示されている。
図5図5は、図2のバルーンアセンブリの斜視側面図である。
図6A】本開示による折り畳まれたバルーンアセンブリを製造する方法の工程を示す。
図6B】本開示による折り畳まれたバルーンアセンブリを製造する方法の工程を示す。
図6C】本開示による折り畳まれたバルーンアセンブリを製造する方法の工程を示す。
図7A】本開示による折り畳まれたバルーンアセンブリを製造する他の方法の工程を示す。
図7B】本開示による折り畳まれたバルーンアセンブリを製造する他の方法の工程を示す。
図7C】本開示による折り畳まれたバルーンアセンブリを製造する他の方法の工程を示す。
図7D】本開示による折り畳まれたバルーンアセンブリを製造する他の方法の工程を示す。
図7E】本開示による折り畳まれたバルーンアセンブリを製造する他の方法の工程を示す。
図7F】本開示による折り畳まれたバルーンアセンブリを製造する他の方法の工程を示す。
図7G】本開示による折り畳まれたバルーンアセンブリを製造する他の方法の工程を示す。
図7H】本開示による折り畳まれたバルーンアセンブリを製造する他の方法の工程を示す。
図7I】本開示による折り畳まれたバルーンアセンブリを製造する他の方法の工程を示す。
図7J】本開示による折り畳まれたバルーンアセンブリを製造する他の方法の工程を示す。
図7K】本開示による折り畳まれたバルーンアセンブリを製造する他の方法の工程を示す。
図7L】本開示による折り畳まれたバルーンアセンブリを製造する他の方法の工程を示す。
図8図8A~8Cは、本開示による折り畳まれたバルーンアセンブリを製造するさらに他の方法の工程を示す。
図9図9A~9Hは、本開示による折り畳まれたバルーンアセンブリを含む止血デバイスを製造する方法の工程を示す。
図10図10は、従来技術の方法によって製造されたバルーンアセンブリの断面図である。
図11図11は、本開示の方法によって製造されたバルーンアセンブリの断面図である。
図12】本開示の方法によって製造された種々のバルーンアセンブリの概略断面図であり、図5の仮想線X-Xに沿った断面図である。
図13】本開示の方法によって製造された種々のバルーンアセンブリの概略断面図であり、図5の仮想線X-Xに沿った断面図である。
図14】本開示の方法によって製造された種々のバルーンアセンブリの概略断面図であり、図5の仮想線X-Xに沿った断面図である。
図15】本開示の方法によって製造された種々のバルーンアセンブリの概略断面図であり、図5の仮想線X-Xに沿った断面図である。
図16】本開示の方法によって製造された種々のバルーンアセンブリの概略断面図であり、図5の仮想線X-Xに沿った断面図である。
図17】本開示の方法によって製造された種々のバルーンアセンブリの概略断面図であり、図5の仮想線X-Xに沿った断面図である。
図18】本開示の方法によって製造されたバルーンアセンブリの概略図である。
図19】本開示の方法によって製造されたバルーンアセンブリの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下の詳細な説明は例示的な実施形態のみを示しており、発明の範囲、適用性、又は構成を限定することを意図していない。例示的な実施形態を示す以下の詳細な説明は、これらの実施形態を実施可能とするための説明を当業者に提供し得る。添付の特許請求の範囲に記載されているように、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、実施形態の要素の機能及び配置には様々な変更を加えることができることが理解される。
【0038】
本明細書では、方向に関する用語(例えば、上、下、左、右など)を使用することができる。これらの方向を示す用語は、単に、実施形態を開示し、本発明について特許を請求することを補助する意図でなされたものであり、特許請求される本発明をいかなる形でも限定することを意図したものではない。さらに、図面に関連して本明細書に導入される参照番号は、他の特徴のための説明を提供するために、本明細書内での追加の説明をせずに、1つ又は複数の後続の図面において繰り返され得る。特定されない限り、任意の方法クレームにおいて列挙される工程の特定の順序は、当該クレームを限定しない。
【0039】
末梢血管のインターベンションは、血管の経路から閉塞物を除去し、又は外科的にステントを導入しようとする際に一般的に用いられる。例えば、患者の手首の橈骨動脈を介した順行性アプローチは一般的であり、患者の膝下から上方への様々な逆行性アプローチも確立された手法となっている。これらのような処置の後、血管(すなわち、動脈又は静脈のいずれか)のアクセス部位は、通常、止血を促進するために、圧力を付与することで閉じられる。
【0040】
患者の肢体の止血される部位の周りに巻き付けられ、かつ、血管へのアクセス部位に対して目標圧力を付与する1つ以上の拡張可能なバルーン又は袋部を含む止血デバイスは、当該技術分野において公知である。そのような止血デバイスの複数の実施形態、及びそのようなデバイスを使用する方法は、米国特許第7,498,477号に記載されており、その内容の全体は本明細書に記載されているのと実質的に同様に、参照により本明細書に組み込むことができる。このような止血デバイスのさらなる実施形態及びその使用方法は、米国特許出願第16/288,303号(2019年2月28日出願)に記載されており、その内容の全体は本明細書に記載されているのと実質的に同様に参照して援用される。本明細書で説明される装置及び方法は、本段落において挙げた参考文献で説明される止血デバイスのいずれかとともに使用するために、使用又は適合させることができるものと理解される。
【0041】
上記の’477特許に記載されるように、このような止血デバイスは一般に、剛性部材(例えば、バンドに挿入された湾曲板)、及び少なくとも1つの拡張可能なバルーンを含む。このバルーンは、拡張した際、剛性部材から離れる方向に拡張する。そして、患者の肢体又は他の身体部分上の標的位置を押圧し、それによって止血を促進する。これらのデバイスの多くは、2つのバルーンのチャンバを流体連通可能に接続する接続ポートを含むデュアルバルーンデザインを有する。そのため、一方のバルーンが拡張すると、流体(例えば、空気)が接続ポートを通って流れ、他方のバルーンに満たされる。これらの接続ポートは、典型的には、高周波(「RF」)溶接又は隣接するバルーンの面間の接着を介して形成される。場合によっては、これらの接続ポートが故障する可能性がある。そのような場合、止血デバイスのバルーンアセンブリが適切に拡張しなくなる。また、接続ポートの設計では、複数の製造工程と、製造プロセスにおいて構成要素を手作業で配置するため、高価で時間のかかる作業を必要とする。したがって、改善されたバルーンアセンブリの構造及びその製造方法が必要とされている。
【0042】
本開示は改善されたバルーンアセンブリを製造する種々の方法を記載し、その各々によりバルーン間の接続ポートを省略することができる。本明細書に記載される方法のいくつかは、2つ以上のバルーンチャンバと、部材(例えば、ビニール又はPVC)の2つ以上の層を単一の接合された周縁の周りに一体的に接続することを介して接続用空気チャネルと、を形成する工程と、次いで、折り畳み線の周りで構造体を折り畳むことによって大バルーンの上に位置する小バルーンを含むバルーンアセンブリを形成し、折り畳まれて一体化した空気チャネルを2つのバルーンの間に通す工程と、を含む。言い換えれば、2つ以上のバルーンチャンバとバルーンチャンバ間を接続する空気チャネルを形成する工程は、複数のバルーンと、複数のバルーンを互いに接続する空気チャネルと、を含む連続した空気チャンバを形成するように、単一の接合又は形成工程を介して行われる。本開示による代替の実施形態では、複数のバルーンが別々に形成されており、適切な数の排出用接続チューブに分割された拡張チューブとともに形成された1つの空気入口を備える複数の出力コネクタ(例えば、1つの入力及び2つの出口を有する”Y”-字型コネクター)を有し、それぞれの排出用接続チューブが複数のバルーンのうちの1つに対して個別に経路指定される。いずれのアプローチにおいても、必要とされる製造工程は非常に少なく、バルーンアセンブリの構成要素の配置はより単純かつより自動化可能となるうえに、比較的弱い接続ポートを省略することが可能になる。
【0043】
ここで図1~5には、後述する本開示による方法で製造されたバルーンアセンブリ116の一の実施形態を示す。図に示される止血デバイスは、当業者によって理解されるように、一般に、橈骨動脈の止血を促進するために、手首の近くで患者の腕の周りの適切な箇所に巻き付けられ、そして固定されるように設計することができる。しかしながら、本開示で説明される概念は、患者の身体上の他の部位、例えば、任意の肢体、胴体、首、又は頭の任意の部分に使用することもでき、かつ動脈又は静脈の止血用途のいずれに使用してもよく、他の止血デバイスへの適用性を有することも理解されるべきである。さらに、本開示によるバルーンアセンブリは、血管のアクセス部位の可視化を可能にするために(配置及び合併症の監視の両方のために)、実質的に透明であることが一般的に望ましいが、代替の実施形態では、これらのバルーンアセンブリが部分的に又は完全に不透明であってもよい。
【0044】
図1及び図2は、本開示による方法で製造されたバルーンアセンブリ116の様々な図を示し、図3~5は、例示の止血デバイス110に取り付けられたバルーンアセンブリ116を示す。図1図5は、一対の空気チャネル134a、134bが形成された単一の接合された外周126と、単一の接合された内周128と、を有するバルーンアセンブリ116を形成する”逆方向端部折り畳み”デザインを示す。この実施形態では両方の周縁126、128は、部材の層を一緒にレーザ溶接することによって形成される。ただし、バルーンアセンブリ116の部材の層を接続するための他の方法は、例えば、高周波溶接や接着も可能であり、またこれらに限定されることもない。この実施形態では、チャネル134a、134bが切り欠き130の反対側に位置する別個の部分であるように形成された後、切り欠き130が内周128に形成される。代替的に、切り欠き130の形成を省略し、内周128が2層以上の部材の全接合領域を取り囲むようにしてもよい。本実施形態では、バルーンアセンブリ116には、チャネル134a、134bを含む折り畳み部138が形成される。小バルーン120は、大バルーン122の上に位置するように折り畳み線136の周りに折り畳まれることによって、その全体が構成される。本開示によるこの実施形態及び他の実施形態では、バルーンアセンブリ116を、そのような折り畳み構成で配置することによって、チャネル134aの第1の部分をチャネル134aの第2の部分の上に整列させ、チャネル134bの第1の部分をチャネル134bの第2の部分の上に整列させる。
【0045】
本実施形態の折り畳みバルーンアセンブリ116は、2つの周縁126、128を形成する単一の接合工程を介して、小バルーン120、大バルーン122、及びバルーン120、122を接続する統合された空気チャネル134a、134bを備えるデュアルバルーン構造が形成される。それによって、製造プロセスの工程数を減らしつつ、従来技術のデバイスが備える弱く接合された接続ポートの省略を実現することができる。小バルーン120、大バルーン122、及び統合された空気チャネル134a、134bは、集合的に配置された隣接する空気チャンバ160を含む。それらの各構成要素は、単一の接合工程によって少なくとも部分的に形成される。より詳細には、小バルーン120は周縁121を有し、大バルーン122は周縁123を有し、それぞれの空気チャネル134a、134bはそれぞれ周縁135a、135bを有しており、各周縁121、123、135a、135bの少なくとも一部、具体的には、各周縁121、123、135a、135bのそれぞれの外縁は外周126によって形成される。
【0046】
図1~5に示す実施形態では、バルーンアセンブリ116は、その外周126の周りに3層の部材を含み、その内周128の周りに2層の部材を含む(図8A図8Cに示す方法400で製造されたバルーンアセンブリを参照)。代替の実施形態では、バルーンアセンブリ116は、当業者によって理解されるように、異なる組み合わせで、外周126及び内周128の一方又は両方の周りに任意の複数の部材の層を一緒に取り付けて形成されてもよい。
【0047】
図1~5の実施形態に戻ると、バルーンアセンブリ116は2つの別個の取り付けヒンジ140、142を介して止血デバイス110に取り付けられるが、代替の実施形態では、逆方向端部折り畳みバルーンアセンブリデザインは、バルーンアセンブリを止血デバイスに取り付ける単一かつ共有の取り付けヒンジを有していてもよい。さらに、本実施形態では、2つの空気チャネル134a、134bが形成されているが、このタイプのバルーンアセンブリデザインは、バルーン120、122の間に任意の数の空気チャネルを形成することができる。
【0048】
本実施形態では、バルーンアセンブリ116の拡張前、拡張中、又は拡張後に、臨床医が止血デバイス110を患者の身体部分(すなわち、血管のアクセス部位に隣接して、又は血管のアクセス部位の上)に適切に配置するのを補助するために使用されるインジケータ124を含む。インジケータ124は、大バルーン122上に位置する。バルーンアセンブリ116から溶接された接続ポートが省略されていることにより、インジケータ124及びその下にある血管のアクセス部位の視認性が向上する。それによって、臨床医が止血デバイスをより正確に使用することが可能となる期待が増加するさらなる利点が提供される。代替の実施形態では、インジケータ124はバルーンアセンブリ116上の他の場所に配置されてもよく、また止血デバイス110上の他の場所(例えば、バンド又は剛性を備える挿入プレート上)に配置されてもよく、さらに完全に省略されてもよい。
【0049】
図3~5は、米国特許出願第16/288,303号の開示による止血デバイス110を示す。止血デバイス110は、バンド112に取り付けられたバルーンアセンブリ116を備える。止血デバイス110は拡張したバルーンアセンブリ116の力を血管のアクセス部位に向けるように作用する剛性を備える挿入プレート115と、バンド112上に配置され、患者の身体の一部の周りにバンド112を閉じて固定するために使用される相補的なファスナパッチ(例えば、他のファスナタイプも可能であるが、フックアンドループタイプを使用できる)113、114と、をさらに備える。この実施形態では、バルーンアセンブリ116は、所定のコネクタ及びバルーンアセンブリ116の入口118に接続可能であり、かつ接続チューブ144を介してバルーンアセンブリ116内に空気を導入するバルブアセンブリを介して拡張可能である。
【0050】
上述の実施形態はデュアルバルーン構造として設計されているが、本明細書で説明される本発明のコンセプト及び方法に従って、任意の数のバルーン又は別個の空気チャンバを有するバルーンアセンブリを形成するために、追加の折り畳み又は分岐した空気ラインを使用することができる。さらに、本明細書で説明する実施形態、構造、コンセプト、又は方法のいずれかによれば、バルーン間のチャネル(複数のチャネル)又は空気チャネルは任意の数であってよく、任意の非線形形状(例えば、角度付き、ジグザグ、湾曲)であってもよく、及び/又は分割された、組み合わされた、又はその両方であってもよい。代替の実施形態では、任意の接続チューブを”煙突ポート”又はホースバーブに置き換えることができる。
【0051】
本開示によるいくつかの実施形態では、バルーンアセンブリがその意図された構成で止血デバイスのバンドに取り付けられた際に、本開示による方法で製造されたバルーンアセンブリの折り畳まれたチャネル(複数のチャネル)にしっかりと折り目が付けられると、気体の流れの全て又は一部がバルーン間でねじられる可能性がある。本明細書に記載される様々な実施形態では、チャネルを開いた状態に保持するのを助けるために、1つ又は複数の2次部材を各チャネル内に含めることができる。これらの”通気ストリップ”は、チャネル内に含まれる1つ以上の追加の部材のピースであってもよく、空気透過性の材料や空気不透過性の材料のいずれかで構成されてもよく、また任意の適切な形状でよい(例えば、円形又は楕円形の断面)。代替的に、又は、さらに、チャネル(複数のチャネル)は、バルーンアセンブリ構造の1つ以上の周縁に沿う高さが形成されることによって、その周縁(それらの周縁)に沿って部分的に開いた状態に保持され得る。高さは、部材の1つ以上の追加の層(複数の層)、接着ライン、及び/又は高周波溶接の過程で生じる隆起したビードや接合ラインなどの1つ以上の周縁に沿って形成されるものを使用することができる。通気ストリップの有無に関わらず、空気チャネルを構成する様々な例が図11~17に示されており、以下に詳細に説明される。
【0052】
二つの層を備えるバルーンアセンブリの既存の製造方法の別の欠点として、バルーンの上層及び下層が他のものと接着してしまい、バルーン(複数のバルーン)を拡張させるために適切に分離した状態とならず、バルーンが別のものと隣接した状態でバルーンを拡張させることができないことが長期間の間維持された後(すなわち、バルーンが拡張していない長期間の後)に引き起こされる拡張状態の欠陥又は故障がある。ここで図10には、従来技術の方法に従って製造されたバルーンアセンブリ610の断面図が非拡張状態で示されており、その上層612及び下層614は、層612、614の間に隙間又は空間がない状態で互いに隣接して示されている。この従来技術の実施形態では、2つの層612、614の全体が互いに隣接しており、2つの層612、614の間に隙間又は空間がなく、空気がバルーンアセンブリ610に導入されるときに2つの層612、614の分離が補助される。
【0053】
本開示によるいくつかの実施形態では、この拡張不良がバルーンの上層と下層との間にスペーサー(複数のスペーサー)、ストリップ(複数のストリップ)、及び/又は追加の部材層(複数の層)を含めることによって、又は部材層間に空間(複数の空間)を形成することによって対処することができる。形成された空気チャネル(複数の空気チャネル)内に部材を加えることにより、バルーンアセンブリが折り畳まれているときに、これらの空気チャネル(複数の空気チャネル)が密封されることを防止できる。このような”通気ストリップ”には、フェルト、糸、紙、及び多孔質プラスチックが含まれる。ただし、これらに限定されない通気性材料から形成することもできる。代替の実施形態では、非透過性材料によって開放された空気チャネルを支えることができる。それにより、空気が部材に隣接したチャネルを通過可能となるように構成することができる。適切な非透過性材料としては、チューブ、ステッカー(粘着性の裏紙)、バルーンの可撓性シートの材料と類似又は異なる材料の可撓性シート、及び/又は硬化性の接着剤が含まれるが、これらに限定されない。以下の図11~15の例に示すように、非透過性材料を介して縁部で開いた状態に保持されたチャネル(複数のチャネル)は、空気チャネル(複数の空気チャネル)を形成するために、バルーン(複数のバルーン)の層の間に空気透過性の”通気ストリップ”を挿入した場合と同様の効果を発揮することができる。これらの空間(複数の空間)は、空気をバルーンに注入する際、空気がバルーンに流れ続けるときに層間の接着を剥がすことを補助するトリガーとして役立つようにするために、空気注入ポートの近傍に配置してもよい。通気ストリップは円形、楕円形、又は長方形を含むが、これらに限定されず、任意の適切な断面形状であってもよい。
【0054】
図11は非拡張状態の本開示による方法で製造されたバルーンアセンブリ710の断面図を示し、その上層812及び下層814は大部分が他のものと隣接して示されている。さらに、バルーンアセンブリ710は、バルーンアセンブリ710の側縁(内周)に沿ったスペーサー716、720を含む。スペーサー716、720によってスペーサー716、720に隣接して形成された空気用の隙間718、722は、バルーンアセンブリ710の上層712と下層714の間に空気が導入される際、バルーンアセンブリ710の適切な拡張を促進する空気流路として機能し、2つの層712、714間のどのような付着も解決し得る。この実施形態ではスペーサー716、720は上層712と下層714との間に配置され、溶接又は接着される部材の1つ又は複数の中間層から形成される。
【0055】
バルーンアセンブリの層の間に適切な空間を作り出して拡張不良を防止するために、多くの部材及び方法を使用することができる。上記の図6A~6Cに示されるように、縁部の周りに適切な空間を含む2層のバルーンアセンブリを製造するための一つの方法200は、(1)空気入口212(図6Aを参照)を形成する空間206を残しつつ、下シート202上に接着剤の第1の層(内側ライン)を配置する工程と、(2)接着剤204の第1の層(内側ライン)を硬化させて周縁(図6Aを参照)を形成する工程と、(3)接着剤208の第2の層(外側ライン)を、下シート202の上であって接着剤204の第1の層(内側ライン)のすぐ外側に配置する工程(図6Bを参照)と、(4)接着剤208の未硬化の第2の層(外側ライン)が接着剤204の第1の層(内側ライン)から外側へ広がるように、上シート210を第1及び第2の接着剤の層204、208の上部と下シート202上に配置する工程(図6Bを参照)と、(5)接続チューブ214のピースを、形成された入口212に挿入する工程(図6Cを参照)と、(6)接続チューブ214の外周の周りに接着剤を広げる工程と、(7)接着剤208の第2の層(外側ライン)を硬化させて、配置された周縁及び入口212の周囲で部材の二つの層をともに完全にシールする工程(図6Cを参照)と、(8)シート202、210を切断して、折り畳まれていないバルーンアセンブリを形成する工程(図6Cを参照)と、を有する。したがって、この方法によれば、接着剤204の第1の層(内側ライン)は、下シート202と上シート210とを離間させる空間として機能し、拡張不良を防止する。図6Cに示すように、次に、製造されたバルーンアセンブリを折り畳み線216に沿って折り畳むことにより、単一の接合された周縁を有し、かつバルーン間に接続ポートを有さない二つのチャンバ型のバルーンアセンブリを形成することができる。図6Cに示すように、この方法200によれば、第1のチャンバ220と、第2のチャンバ222と、第1及び第2のチャンバ220、222を一緒に流体流連した状態で接続するチャネル234と、を含むバルーンアセンブリが形成される。
【0056】
バルーンアセンブリの層の間に適切な空間を作り出す他の方法として、バルーンの上層と下層の間のスペーサーに1つ又は複数の中間層を使用することができる。そのような方法300及びそれによって製造されるデバイスの1つが、図7A図7Lに示されている。図7Aに示す工程では、その上に接着剤の層が配置される輪郭304を含む中間シート302が切断されており、かつ作業面上に配置される。各図において、中間シート302は、左下から右上に45度の角度を持つ「上向き」の対角線からなるフィルパターンによって概略的に示されている。図7Bに示されている工程において、中間シート302は、下シート306(各図において、左上から右下に45度の角度を持つ「下向き」の対角線からなるフィルパターンによって概略的に示されている。)の上に配置されている。図7Cに示す工程では、次に、第1の接着剤の層308(例えば、UV接着剤)を中間シート302に塗布し、輪郭304に追従させて空間310を残す。図7Cでは、第1の接着剤の層308内の点線の塗りつぶしは、第1の接着剤の層308がこの工程中では未硬化であることを示す。図7Dに示す工程では、第1の接着剤の層308が硬化される(硬化された第1の接着剤の層308’を示すために、図7D~7Lではソリッドフィルパターンが使用される)。図7Eに示す工程では、中間シート302が切断され、空間310の位置に対応する入口312の一部が残される。図7Fに示す工程では、第2の接着剤の層314(例えば、UV接着剤)が入口312の開口部の周囲を含む切断された中間シート302の周縁に塗布される。図7F~7Jに示される点線の塗りつぶしは、第2の接着剤の層314がこれらの工程の間では未硬化であることを示すために使用される。図7Gに示す工程では、接続チューブ318を入口312内に挿入し、図7Hに示す工程では接続チューブ318を一方又は両方の回転方向320に回転させて、第2の接着剤の層314の未硬化の接着剤を接続チューブ318の周りに沿うように円周方向に完全に塗布する。図7Iに示す工程では、上シート316が中間シート302の上に重ねられる。上シート316は水平線からなるフィルパターンを介して概略的に図示されている。図7Jに示す工程では、バルーンアセンブリの一部をひっくり返して、第2の接着剤の層314の接着剤を上シート316に適切に塗布し、図7Kに示す工程では、第2の接着剤の層314を硬化させる(硬化した第2の接着剤の層を図7Kでは314’で示し、図7K及び図7Lでは中実のフィルパターンで示す)。必要であれば、図7A~7Lに示す工程のいずれかで、例えば、図7Bに示す工程では中間シート302を下シート306の上の適所に保持し、図7Iに示す工程ではUV接着剤の硬化前に、接続チューブ318を入口312内の適所に保持するために、両面テープを使用することができる。
【0057】
図7Lは、上述の方法300によって製造された折り畳まれていない状態のバルーンアセンブリ322の概略図である。図7Lは、接続チューブ318を介して入口312に空気を導入することによって両方のバルーン324、326を拡張させるように、空気チャネル328を介して互いに接続された小バルーン324及び大バルーン326が形成された様子を明確に示す。この実施形態では、折り畳まれていない状態のバルーンアセンブリ322は、タブ330、332を備える。タブ330、332は、バルーンアセンブリ322が折り畳み線334に沿って一旦折り畳まれると、バルーンアセンブリの最終的な組み立てを可能にする。これらのタブ330、332は完成したバルーンアセンブリを止血デバイス(例えば、バンド又は他の閉鎖用デバイス)に接続するための1つ以上の取り付けヒンジ(複数の取り付けヒンジ)として機能し得る。
【0058】
図18及び19は、上層と下層の間でそれらのスペーサー(複数のスペーサー)として機能する1つ(又は複数)の中間層(複数の中間層)を有する本開示の他の実施形態による方法で製造されたバルーンアセンブリ910を概略的に示す。図18は、折り畳まれていない状態のバルーンアセンブリ910を概略的に示す。バルーンアセンブリ910は、バルーンアセンブリ910の外周縁の周りに配置された接合ライン912とバルーンアセンブリ910の内周縁の周りに配置された接合ライン914を介して接着又はレーザー溶接されて一体化された上層922、中間層924、下層926によって構成されている。上層922と下層926は、周縁にある外側接合ライン912を介して溶接(又は接着)により一体化されており(空気入口のための空間918を残して)、中間層924は、上層922と下層926の両方に対して、それらの間でスペーサーとして機能する接合ライン914を介して溶接(又は接着)されている(図19の中間層924から上方及び下方に突出する正方形は、それぞれの層922、926への溶接/接着位置を示す)。接合ライン914は、その両側に一対のチャネル916a、916bを形成し、バルーンアセンブリ910が折り畳み線920の周りに折り畳まれて完成したバルーンを形成した状態において、2つの形成されたバルーンのチャンバの間のチャネル916a、916bを通って空気が移動することを可能にする。本実施形態のバルーンアセンブリ910は、2層の部分及び3層の部分の両方を有しており、3層の部分はバルーンアセンブリ910の残りの部分における拡張不良を防止するように作用する。本実施形態では、バルーンアセンブリ910を適切に機能させるために必要なことではないが、一度折り畳むことにより、中央の溶接された領域の内側の領域(接合ライン914の内側の領域)を切り出すことができる。この方法によって、図1~5のバルーンアセンブリ116と同様の”端部折り畳み”バルーンアセンブリが構成される。
【0059】
図8A~8Cは、本開示によるバルーンアセンブリを製造するさらに他の方法400の工程を示す。方法400の工程は、図8A~8Cに概略的に示されており、構造の特定の部分(例えば、取り付けタブ又はヒンジ)は簡略化のために、これらの図から省略されていることを理解されたい。
【0060】
図8Aは、積み重ねる工程及び接合工程の前の状態で構成されるバルーンアセンブリ416の3つの別個のシート又は層を示す。この実施形態では、これらの層が下シート402、中間シート404、及び上シート410で構成される。下シート402は、止血が行われる血管へのアクセス部位に対して臨床医がバルーンアセンブリ416を適切に配置することを補助するために使用される印刷されたインジケータ403を含み、中間シート404は、部材の外周及び中央の隙間を形成する第1の切り欠き406と、バルーンアセンブリの入口418の一部を形成するために使用される第2の切り欠き408と、を含む。
【0061】
図8Bは、切断する前に、3つのシート402、404、410を積み重ねて、かつ外周420及び内周422で一緒に接合することによって接合シート412を形成する方法400の工程を示す。図8Cに示される工程において、(折り畳まれていない状態の)バルーンアセンブリ416は、入口418のための開口部を残しつつ、外周(接合ライン)420のすぐ外側で3枚のシートを切断することによって形成されている。また、この実施形態では、バルーンアセンブリ416は、バルーンアセンブリ116の実施形態のように、内周(接合ライン)422のすぐ内側で切断された内側の切り欠き424を形成しているが、この工程は方法400の代替の実施形態では省略することができる。
【0062】
図9A~9Hは、本開示による、折り畳まれたバルーンアセンブリを含む止血デバイスを製造する方法500の工程を示す。図9Aに示す工程では、インジケータがバルーンアセンブリ516(図9Cを参照)をなす下層502上に印刷される。図9Bに示す工程では、インジケータ504がバルーンアセンブリ516の周縁をなす部分の内側に位置するように、1つ以上の追加の部材の層(複数の部材の層)が下層502の上にレーザー溶接されることによって、小バルーン520、小バルーン520に隣接する取り付けタブ542、大バルーン522、大バルーン522に隣接する取り付けタブ540、及び小バルーン520と大バルーン522をともに接続する一対のチャネル534a、534bが形成される。図9Cに示す工程では、折り畳まれていないバルーンアセンブリ516を形成する部材の2つ以上の接合された層を接合ラインの周囲でダイカットすることにより、図示の分離可能な折り畳まれていないバルーンアセンブリ516を形成する。図9Dに示す工程では、小バルーン520に接続された取り付けタブ542が止血デバイスのバンド512をなす部材の層にレーザー溶接される。図9Eに示される工程では、大バルーン522が小バルーン520の上に配置され(例えば、大バルーン522が小バルーン520を覆うように)、チャネル534aの第1の部分がチャネル534aの第2の部分の上に配置され、チャネル534bの第1の部分がチャネル534bの第2の部分の上に配置されるように、バルーンアセンブリ516が折り畳み線536に沿って折り畳まれる。図9Fに示される工程において、大バルーン522に接続される取り付けタブ540は、バンド512にレーザー溶接される。図9Gに示される工程では、相補的なファスナーパッチ(例えば、フックアンドループパッチ)513、514はバンド512の両端にインパルス溶着される。最後に、図9Hに示される工程では、任意の快適性を向上させる特徴(例えば、スカラップ状又は他の方法で遮るように構成された縁部を含む)を含む最終的な形状にバンド512がダイカットされる。当業者には理解されるように、上述の各工程による代替方法は、本開示の範囲内で可能であり、製造方法の工程又はその順序は変更され得ることを理解されたい。
【0063】
上述のように、本開示によれば、接合不良のリスクを低減するための通気ストリップ又は他の隙間を形成するための構造を含むバルーンアセンブリ、又はその空気チャネルを形成する様々な方法が実現され得る。図12~17の各々は、本開示の方法によって製造された種々のバルーンアセンブリの図5の仮想線X-Xに沿って切断された概略断面図を示す。したがって、説明の目的のためのチャネルの部材の断面を示す。
【0064】
図12は、通気ストリップを備えず、かつ接着又はレーザー溶接された3層構造のバルーンアセンブリ、又は空気チャネルの断面図を示す。この実施形態では、バルーンアセンブリ又は空気チャネルは、上層802と、中間層804と、接着又はレーザー溶接の工程によって中間層804の内周縁に形成された溶接ライン又は接着ラインの形態である一対のスペーサー806、808と、を備える。スペーサー806、808の各々は空気が流れることを可能にする上層802と下層810との間にそれぞれの隙間812、814を形成する。したがって、接合不良の可能性が低減する。同様に、図13は、通気ストリップを含む3層構造の接着又はレーザ溶接されたバルーンアセンブリ、又は空気チャネルの断面図を示す。この実施形態では、バルーンアセンブリ又は空気チャネルは、上層818と、中間層820と、接着又はレーザー溶接の工程によって中間層820の内周縁に形成された溶接ライン又は接着ラインの形態である一対のスペーサー822、824と、を備える。スペーサー822、824の各々は空気が流れることを可能にする上層818と下層826との間にそれぞれの隙間828、834を形成する。したがって、接合不良の可能性が低減する。さらに、この実施形態では、通気ストリップ836が空気チャネル内に含まれる。したがって、通気ストリップ836の両側に位置する追加の隙間830、832が作り出され、接合が破損する可能性をより一層低減させることができる。
【0065】
図14は、通気ストリップを備えず、かつ高周波溶接の工程を介して形成された2層構造のバルーンアセンブリ、又は空気チャネルの断面図を示す。この実施形態では、バルーンアセンブリ又は空気チャネルが上層838及び下層844を備える。最上層838を最下層844に取り付けるために使用される高周波溶接の工程は、一対の溶接ライン840、842を形成する。その各々に隣接して、空気を流すことを可能にする各々の隙間846、848が最上層838と最下層844との間に形成される。したがって、接合不良の可能性が低減される。同様に、図15は、高周波溶接の工程を介して形成されており、かつ通気ストリップを含む2層構造のバルーンアセンブリ、又は空気流路の断面図を示す。この実施形態では、バルーンアセンブリ又は空気チャネルが上層852及び下層858を備える。最上層852を最下層858に取り付けるために使用される高周波溶接の工程は、一対の溶接ライン840、842を形成する。その各々に隣接して、空気を流すことを可能にする各々の隙間860、862が最上層852と最下層858との間に形成される。したがって、接合不良の可能性が低減される。さらに、この実施形態では、通気ストリップ864が空気チャネル内に含まれる。したがって、通気ストリップ864の両側に位置する追加の隙間861、863が作り出され、接合が破損する可能性をより一層低減させることができる。
【0066】
図16は、通気ストリップを備えず、かつレーザー溶接の工程によって形成された2層構造のバルーンアセンブリ、又は空気チャネルの断面図を示す。この実施形態では、バルーンアセンブリ又は空気チャネルは、上層868と下層870を備える。バルーンアセンブリ又は空気チャネルは、2つの層868、870間に、2つの層868、870の接合が破損するリスクを低減する隙間を備えていない。従来技術によるいくつかのバルーンアセンブリは、このように構成される。他方、図17はレーザ溶接の工程によって形成された2層構造のバルーンアセンブリ又は空気チャネルの断面図を示すが、この構造の上層874と下層876との間には通気ストリップ882が含まれる。したがって、通気ストリップ882の両側に位置する隙間878、880が形成され、接合が破損するリスクの低減が補助される。
【0067】
特許請求される本発明の原理を特定の実施形態に関連させて説明したが、この説明は例としてのみなされ、添付の特許請求の範囲に記載されるような本発明の範囲を限定するものではないことが明確に理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図7H
図7I
図7J
図7K
図7L
図8
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図18
図19