(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】止血クリップの短縮化システム
(51)【国際特許分類】
A61B 17/128 20060101AFI20231017BHJP
A61B 17/122 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
A61B17/128
A61B17/122
(21)【出願番号】P 2021551836
(86)(22)【出願日】2020-06-10
(86)【国際出願番号】 US2020037037
(87)【国際公開番号】W WO2020257024
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2021-08-31
(32)【優先日】2019-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ソラーノ モンテネグロ、エステバン
(72)【発明者】
【氏名】マタ バランテス、ダニエル エドゥアルド
(72)【発明者】
【氏名】ヌニェス コレーラ、ホセ パブロ
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-524793(JP,A)
【文献】特表2007-507307(JP,A)
【文献】特開2004-073646(JP,A)
【文献】特開2011-206488(JP,A)
【文献】特開2013-063108(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0123818(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0152753(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0143767(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0245855(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0173768(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0072945(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/122
17/128
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織を治療するための装置であって、
クリップを備え、該クリップはカプセルを備え、該カプセルは、基端部から先端部まで長手方向に延びるとともに該カプセルを貫通して延びるチャネルを含み、
第1及び第2のクリップアームを備え、該第1及び第2のクリップアームは、開放形態と閉鎖形態との間で互いに対して可動となるように当該第1及び第2のクリップアームの基端部
分が前記チャネル内に受け入れられ、
第1のクリップアームと第2のクリップアームとが、当該第1のクリップアームの先端部から曲がり部に沿って当該第2のクリップアームの先端部に延びる単一部材で形成され、前記第1のクリップアームの基端部分と前記第2のクリップアームの基端部分とは、前記曲がり部のところで繋がっており、
留置メカニズムを備え、該留置メカニズムは、前記第1及び第2のクリップアームの基端部に接続された引張部材と、前記引張部材に解放自在に結合されるとともに前記第1及び第2のクリップアームを前記開放形態と前記閉鎖形態との間で動かすために前記カプセルに対して長手方向に可動であるヨークとを含み、前記引張部材及び前記ヨークは、前記引張部材に対する予め決められた基端方向の力に応答して、本装置の基端部分から前記クリップを解放して、互いに分離するように構成され、
ロッキングメカニズムを備え、該ロッキングメカニズムは、前記留置メカニズムに結合されるとともに一対のロッキングフィンガを含み、前記一対のロッキングフィンガは、前記ヨークが前記引張部材から分離された場合に対応するロッキング機構に係合可能であり、前記第1及び第2のクリップアームを前記閉鎖形態にロックするように、前記カプセルの対応する
前記ロッキング機構に係合するように構成され、
前記カプセルは、7.5mmから8.5mmまでの範囲の長さを有する、装置。
【請求項2】
前記第1及び第2のクリップアームの
前記曲がり部が、前記第1のクリップアームの長さが前記第2のクリップアームの長さと対応するように、前記第1及び第2のクリップアームを形成する
前記単一部材の中間点に形成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
引張部材の先端部は、ピンによって前記クリップアームの前記基端部に接続され、該ピンは、前記引張部材の前記先端部を直径方向に横切るとともに前記曲がり部によって前記クリップアームの前記基端部に形成された丸みを帯びた空間を通って延びる、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ロッキングメカニズムは、前記ピンによって前記引張部材の前記先端部に結合されたリングを含み、前記一対のロッキングフィンガは、前記リングから基端方向に延びる、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記ロッキングフィンガは、半径方向外向きに付勢されるとともにその基端部から延びるロッキング構造体を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記ヨークは一対のオーバーハングを含み、該一対のオーバーハングは、前記ヨークに対して前記ロッキングフィンガの前記基端部を拘束するとともに前記ヨークが前記引張部材から分離されるまでは、前記ロッキング構造体が前記カプセルの前記ロッキング機構と係合するのを防止する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第1及び第2のクリップアームは、前記開放形態の方へ付勢され、それによって、前記第1及び第2のクリップアームが前記カプセル内に基端方向に引き入れられた場合に、前記第1及び第2のクリップアームが前記閉鎖形態に拘束されるとともに、前記第1及び第2のクリップアームが前記カプセルから出て先端方向に動かされた場合に、前記第1及び第2のクリップアームが、それらの付勢された開放形態に戻ることができる、請求項1~6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
クリップを備え、該クリップはカプセルを含み、該カプセルは基端部から先端部まで長手方向に延びるとともに該カプセルを貫通して延びるチャネルを含み、第1及び第2のクリップアームの基端部
分は、当該第1及び第2のクリップアームを開放形態と閉鎖形態との間で互いに対して動かすために、前記カプセルの前記チャネル内に摺動自在に受け入れられ、
第1のクリップアームと第2のクリップアームとが、当該第1のクリップアームの先端部から曲がり部に沿って当該第2のクリップアームの先端部に延びる単一部材で形成され、前記第1のクリップアームの基端部分と前記第2のクリップアームの基端部分とは、前記曲がり部のところで繋がっており、
留置メカニズムを備え、該留置メカニズムは、前記第1及び第2のクリップアームの基端部に接続された引張部材と、前記引張部材に解放自在に結合されるとともに制御部材に結合可能なヨークとを含み、該ヨークは、前記第1及び第2のクリップアームを前記開放形態と前記閉鎖形態との間で動かすように、前記カプセルに対して可動であり、前記引張部材及び前記ヨークは、前記引張部材に対する予め決められた基端方向の力に応答して、分離するように構成され、
前記カプセルは、7.5mmから8.5mmまでの範囲の長さを有し、
ロッキングメカニズムを備え、該ロッキングメカニズムは、前記留置メカニズムに結合されるとともに前記ヨークが前記引張部材から分離された場合に対応するロッキング機構に係合可能であり、前記第1及び第2のクリップアームを前記閉鎖形態にロックするように、前記カプセルの対応する
前記ロッキング機構にそれぞれ係合するように構成された一対のロッキングフィンガを含み、
基端部分を備え、該基端部分は、前記カプセルの前記基端部に解放自在に結合され、それによって、前記ヨークが前記引張部材から分離すると、前記クリップが前記基端部分から解放されるとともに体内において標的組織に被さって留置される、
クリップ装置。
【請求項9】
前記第1及び第2のクリップアームの曲がり部が、前記第1のクリップアームの長さが前記第2のクリップアームの長さと対応するように、前記第1及び第2のクリップアームを形成する単一部材の中間点に形成される、請求項8に記載のクリップ装置。
【請求項10】
引張部材の先端部は、ピンによって前記クリップアームの前記基端部に接続され、該ピンは、前記引張部材の前記先端部を直径方向に横切るとともに前記曲がり部によって前記クリップアームの前記基端部に形成された丸みを帯びた空間を通って延びる、請求項9に記載のクリップ装置。
【請求項11】
前記ロッキングメカニズムは、前記ピンによって前記引張部材の前記先端部に結合されたリングを含み、前記一対のロッキングフィンガは、前記リングから基端方向に延びる、請求項10に記載のクリップ装置。
【請求項12】
前記ロッキングフィンガのそれぞれは、半径方向外向きに付勢されるとともにその基端部から延びるロッキング構造体を含む、請求項8~10のいずれか1項に記載のクリップ装置。
【請求項13】
前記ヨークは一対のオーバーハングを含み、該一対のオーバーハングは、前記ヨークに対して前記ロッキングフィンガの前記基端部を拘束するとともに前記ヨークが前記引張部材から分離されるまでは、前記ロッキング構造体が前記カプセルの前記ロッキング機構と係合するのを防止する、請求項12に記載のクリップ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡装置に関し、特に、胃腸管に沿って組織を治療するための内視鏡用クリップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡的な胃腸(GI)の処置の最中、患者は、GI管壁の穿孔のリスクがある場合や、又は処置の一部としてGI管壁を塞ぐ必要がある場合がある。止血クリップは、例えば、管腔の穿孔を塞ぐことと共に、粘膜/粘膜下欠損、出血性潰瘍、動脈、ポリープ、憩室の止血に使用され得る。欠損の大きさに応じて、複数のクリップが必要とされ得る。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、カプセルを備え、該カプセルは、基端部から先端部まで長手方向に延びるとともに該カプセルを貫通して延びるチャネルを、第1及び第2のクリップアームと共に含み、該第1及び第2のクリップアームの基端部は、第1及び第2のクリップアームが開放形態と閉鎖形態との間で互いに対して可動であるように、チャネル内に受け入れられる、組織を治療するための装置に関する。留置メカニズムは、第1及び第2のクリップアームの基端部に接続された引張部材と、引張部材に解放自在に結合されるとともに第1及び第2のクリップアームを開放形態と閉鎖形態との間で動かすためにカプセルに対して長手方向に可動であるヨークとを含む。引張部材及びヨークは、引張部材に対する予め決められた基端方向の力に応答して、互いに分離して、装置をその基端部分から解放するように構成される。留置メカニズムにはロッキングメカニズムが結合され、ロッキングメカニズムは、ヨークが引張部材から分離された場合に、第1及び第2のクリップアームを閉鎖形態にロックするために、カプセルの対応するロッキング機構に係合するように構成された一対のロッキングフィンガを含む。
【0004】
ある実施形態において、第1及び第2のクリップアームは、第1の端部から第2の端部まで延びるとともにその一部分に沿って曲がり部を含むワンピースクリップ要素によって形成され得、曲がり部は、第1及び第2のクリップアームの長さは概ね一致するように、ワンピースクリップ要素の中間点に沿って延びる。
【0005】
ある実施形態において、引張部材の先端部は、ピンによってクリップアームの基端部に接続され得る。該ピンは、引張部材の先端部を直径方向に横切るとともにワンピースクリップ要素に沿った曲がり部によってクリップアームの基端部に形成された概ね丸みを帯びた空間を通って延びる。
【0006】
ある実施形態において、ロッキングメカニズムは、ピンによって引張部材の先端部に結合されたリングを含み得、一対のロッキングフィンガは、リングから基端方向に延びる。
ある実施形態において、ロッキングフィンガは、半径方向外向きに付勢されるとともにその基端部から延びるロッキング構造体を含み得る。
【0007】
ある実施形態において、ヨークは一対のオーバーハングを含み得、この一対のオーバーハングは、ヨークに対してロッキングフィンガの基端部を拘束するとともにヨークが引張部材から分離されるまでは、ロッキング構造体がカプセルのロッキング機構と係合するのを防止する。
【0008】
ある実施形態において、カプセルの長さは、約7.5mmから8.5mmに及び得る。
ある実施形態において、第1及び第2のクリップアームは、開放形態の方へ付勢され得、それによって、第1及び第2のクリップアームが基端方向にカプセル内に引き入れられた場合に、第1及び第2のクリップアームが閉鎖形態に拘束されるとともに、第1及び第2のクリップアームがカプセルから出て先端方向に動かされた場合に、第1及び第2のクリップアームはそれらの付勢した開放形態へ戻ることができる。
【0009】
本発明はまた、クリップを備え、該クリップは、カプセルを含み、該カプセルは基端部から先端部まで長手方向に延びるとともに該カプセルを貫通して延びるチャネルを含む、クリップ装置に関する。第1及び第2のクリップアームの基端部は、第1及び第2のクリップアームを開放形態と閉鎖形態との間で互いに対して動かすために、カプセルのチャネル内に摺動自在に受け入れられるようにされる。留置メカニズムは、第1及び第2のクリップアームの基端部に接続された引張部材を含む。ヨークは、引張部材に解放自在に結合されるとともに制御部材に結合可能であり、このヨークは、第1及び第2のクリップアームを開放形態と閉鎖形態との間で動かすように、カプセルに対して可動である。引張部材及びヨークは、引張部材に対する予め決められた基端方向の力に応答して、分離するように構成される。ロッキングメカニズムが留置メカニズムに結合される。該ロッキングメカニズムは、一対のロッキングフィンガを含む。ロッキングフィンガは、ヨークが引張部材から分離された場合に、ともに第1及び第2のクリップアームを閉鎖形態にロックするために、カプセルの対応するロッキング機構にそれぞれ係合するように構成される。基端部分は、カプセルの基端部に基端部分が解放自在に結合され、それによって、ヨークが引張部材から分離された場合に、クリップが基端部分から解放されるとともに体内において前記標的組織に被さって留置される。
【0010】
ある実施形態において、第1及び第2のクリップアームは、第1の端部から第2の端部まで延びるとともにその一部分に沿って曲がり部を含むワンピースクリップ要素によって形成され得、曲がり部は、第1及び第2のクリップアームの長さが概ね一致するように、ワンピースクリップ要素の中間点に沿って延びる。
【0011】
ある実施形態において、引張部材の先端部は、引張部材の先端部を直径方向に横切るとともにワンピースクリップ要素に沿った曲がり部によってクリップアームの基端部に形成された概ね丸みを帯びた空間を通って延びるピンによって、クリップアームの基端部に接続され得る。
【0012】
ある実施形態において、ロッキングメカニズムは、ピンによって引張部材の先端部に結合されたリングを含み得、対のロッキングフィンガは、リングから基端方向に延びる。
ある実施形態において、ロッキングフィンガのそれぞれは、半径方向外向きに付勢されるとともにその基端部から延びるロッキング構造体を含み得る。
【0013】
ある実施形態において、ヨークは、一対のオーバーハングを含み得、この一対のオーバーハングは、ヨークに対してロッキングフィンガの基端部を拘束するとともにヨークが引張部材から分離されるまでは、ロッキング構造体がカプセルのロッキング機構と係合するのを防止する。
【0014】
ある実施形態において、カプセルの長さは、約7.5mmから8.5mmに及び得る。
本発明はまた、標的組織を治療するための方法に関する。クリップ装置は、体内の標的部位まで、クリップ装置のクリップが作業チャネルの先端部を通り越して先端方向に延びるまで、内視鏡の作業チャネルを通って、挿入される。クリップ装置は、カプセルと、一対のクリップアームとを含み、それらクリップアームの基端部が、カプセル内に摺動自在に受け入れられる。クリップ装置は、選択した標的組織がワンピースクリップ要素の第1の端部と第2の端部との間に掴まれるまで、開放形態と閉鎖形態との間で動かされ、第1及び第2のクリップアームは、第1及び第2のクリップアームに接続された引張部材に解放自在に結合されるヨークに結合された制御ワイヤによって、開放形態と閉鎖形態との間で動かされる。ひとたび標的組織が望み通りに掴まれると、予め決められた基端方向の力を制御部材に沿って加えてヨークを引張部材から分離し、それにより、ロッキングメカニズムのロッキングフィンガがカプセルの対応するロッキング機構に係合できるようにすることによって、クリップ装置は閉鎖形態にロックされる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の例示的な実施形態による装置の長手方向側面図。
【
図2】
図1の装置によるクリップの長手方向側面の部分的な透視図。
【
図3】開放形態にある、
図2のクリップの別の長手方向側面の部分的な透視図。
【
図4】長手方向軸の周りで90度回転されるとともに開放形態にある、
図2のクリップの別の長手方向側面の部分的な透視図。
【
図5】
図2のクリップの留置メカニズム、ロッキングメカニズム及びクリップアームの斜視図。
【
図6】
図2のクリップの留置メカニズム及びロッキングメカニズムの斜視図。
【
図7】
図2のクリップの留置メカニズム及びクリップアームの長手方向側面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、以下の説明及び添付図面を参照することにより、さらに理解され得、同様の要素には同じ参照符号が付される。本発明は、内部組織の穿孔、欠損及び/又は出血を治療するための内視鏡用クリップ装置に関する。いくつかの実施形態において、複数のクリップを配置するときに、標的部位をより見やすくし、かつ、より良好な操作性を可能にするために、留置されたクリップがより短いことが好ましい場合がある。本発明の例示的な実施形態は、ワンピース要素によって形成されたクリップアームを含むクリップを説明している。該ワンピース要素はカプセル内で摺動自在であり、要望通りにクリップを開放形態と標的組織をクリップ留めする閉鎖形態との間で動かす。ワンピース要素は、別個の留置メカニズム及びロッキングメカニズムに接続されて、留置されたクリップの長さを、カプセルを含む他の従来のクリップ設計と比べて、短くする。当業者には、本明細書では用語基端及び先端は、装置のユーザの方へ向かう方向及びユーザから離れる方向をそれぞれ指すことを意図することが理解されるであろう。
【0017】
図1~7に示すように、本発明の例示的な実施形態によるクリップ装置100は、クリップ101を備え、該クリップ101はワンピース要素102を含み、該ワンピース要素102は、カプセル106内に受け入れられる一対のクリップアーム104を形成し、クリップアーム104は、当該クリップアーム104の先端部108が互いに分離される開放形態と、先端部108が、互いの方に引き寄せられて組織を掴むようにする閉鎖形態との間で動く。複数の実施形態において、ワンピース要素102は、第1の端部110から第2の端部112まで延び、かつ、例えば、接点すなわち中間点114において曲がって、クリップアーム104を規定する。中間点114は、カプセル106内に摺動自在に受け入れられる引張部材118及びヨーク120を含む留置メカニズム116に接続されて、開放形態と閉鎖形態との間でクリップアーム104を動かす。
【0018】
クリップ101が体内において前記標的組織に被さって留置された場合にクリップ101が閉鎖形態にロックされるように、ロッキングメカニズム122は、ワンピース要素102及び留置メカニズム116に結合される。一実施形態において、
図1に示すように、クリップ101は装置100の長尺状の基端部分160に解放自在に結合され、該装置は、内視鏡の作業チャネルを通して体内の標的部位までのクリップ101の挿入を容易にする一方、基端部がユーザにとってアクセス可能な体外に留まるような大きさにされる。基端部分160は、例えば、ハンドル部材162を含み得る。該ハンドル部材162はユーザがクリップ101の動き及び留置を制御できるようにするアクチュエータ164と、ハンドル部材162からクリップ101まで先端方向に延びる可撓性シャフト166とを含む。可撓性シャフト166の先端部168は、例えばブシュ172を介して、クリップ101に解放自在に結合される。ユーザは、アクチュエータ164を操作し、ハンドル部材162から可撓性シャフト166を通って延びてクリップアーム104に接続する制御部材170を動かして、クリップアーム104の開放形態と閉鎖形態との間の動きを制御するようにする。
【0019】
カプセル106は、基端部124から先端部126まで延び、かつ、それを貫通して延びるチャネル128を含む。一実施形態において、基端部124は、カプセル106の基端部124にあるタブ130を介して装置の基端部分に解放自在に結合されるように構成されており、このタブは、基端部分の対応する部分に係合するように半径方向内向きに縁を圧着され得る。カプセル106はまた、下記で詳細に説明されるように、例えば、カプセル壁に形成されたロッキング機構、例えば、ロッキングメカニズム122の一部分に係合するように、カプセル壁を貫通して横方向に延びるロッキング窓132などを含む。
【0020】
一実施形態において、カプセル106の長さは、7.5mmから8.55mmに及び得る。この実施形態のカプセル106は、12.5mmから13.5mmまでの範囲である長さを有し得る従来の一部のクリップのカプセル長さよりも概ね短い。当業者には、下記で詳細に説明されるクリップアーム104と別個のロッキングメカニズム122とのワンピース設計は、カプセル106の長さを、クリップアーム104の開き幅を犠牲にすることなく、いくつかの既存のクリップと比べて短縮化することができるようにすることが理解されるであろう。
【0021】
上述した通り、クリップアーム104はワンピース要素102から形成され、該ワンピース要素102は長さに沿って第1の端部110から第2の端部112まで延びるとともに、当該クリップアーム104が中間点114の両側から、例えば第1及び第2の端部110、112に最も近接したところまでの長さの部分に沿って延びるように、例えば、中間点114において曲げられる。このように、ワンピース要素102の第1及び第2の端部110、112は、クリップアーム104の先端部108に対応する。中間点114は、カプセル106のチャネル128内に摺動自在に受け入れられる留置メカニズム116に接続され、それによって、クリップアーム104は、開放形態と閉鎖形態との間で可動である。
【0022】
一実施形態において、クリップアーム104は、開放形態に向けて付勢され、それによって、カプセル106から出て先端方向に進められるとき、クリップアーム104は、それらの自然な付勢下で、開放形態へと互いに離れるように動く。アーム104がカプセル106内へと基端方向に引き入れられた場合に、クリップアーム104は、カプセル106の壁によって拘束されるとともに一緒に閉鎖位置へと引き寄せられて、先端部108が互いに隣接する状態になる。当業者は、クリップアーム104を開閉するための任意の数の他のメカニズムが用いられてもよいことを理解する。当業者には、例示的な実施形態は、クリップアーム104を形成するような曲がり部を含むワンピース要素102を示して説明しているが、代替的な実施形態において、基端部が引張部材118に接続可能となるようにクリップアームの基端部は互いに取り付けられ得ることも理解される。
【0023】
この実施形態のクリップアーム104はまた、そこから延び、かつ、カプセル106の一部分に係合するように構成された係合機構134を含み、それによって、係合機構134がカプセル106に係合すると、クリップアーム104は、カプセル106へとさらに基端方向に動かされないようになる。一実施形態において、係合機構134は、クリップアーム104の各部分から横方向外向きに延び、それによって、係合機構134の先端方向にあるクリップアーム104の部分は、係合機構134の基端方向にあるクリップアーム104の部分よりも幅が広い。係合機構134の基端方向に延びるクリップアーム104の部分は、クリップアーム104のこれらの部分をカプセル106内へと基端方向に引き寄せることができるようにする大きさにされる。
【0024】
クリップアーム104の基端部分がカプセル106へと基端方向に引き寄せられ、それによって、係合機構134は、カプセル106の先端面127の一部分に当接し、クリップアーム104がカプセル106内にさらに基端方向に引き寄せられないようにする。係合機構134は、クリップアーム104の長さに沿って位置決めされ、それによって、係合機構134がカプセル106に係合している箇所で、クリップアーム104がカプセル106内へと十分に基端方向に引き入れられて、クリップアーム104を一緒に閉鎖形態へと引き寄せる。一例では、これら係合機構134は、クリップアーム104の長手方向縁からそれぞれ横方向に延びるウィングとして構成される。
【0025】
引張部材118は、ヨーク120に解放自在に結合されるように構成された基端部136から、例えばピン140によってワンピース要素102の中間点114に取り付けられた先端部138まで延びる。一実施形態において、先端部138は、中間点114を越えて延び、先端部138を直径方向に横切って延びるピン140が、クリップアーム104の基端部158にある概ね丸みを帯びた空間内に受け入れられるようにし、この空間は、中間点114のワンピース要素102の曲がり部によって規定される。換言すると、ピン140は、当該ピン140が中間点114の曲がり部に沿ったワンピース要素102の内面に沿って一対のアーム104間に延びるように、中間点114の先端方向の近い位置で延びる。引張部材118及びピン140はワンピース要素102に接続されて、カプセル106に対する引張部材118の長手方向の動きに対応して、カプセル106に対してクリップアーム104を動かすようにする。引張部材118の基端部136は、ヨーク120の対応する大きさ及び形状の部分に係合するような大きさ及び形状にされる。一実施形態において、基端部136は、概ねC字形状の突起を含む。
【0026】
ヨーク120は、例えばプルワイヤなどの制御部材に接続されるように構成された基端部142から、引張部材118の基端部136に解放自在に係合するように構成された先端部144まで延びる。一実施形態において、先端部144は、基端部136のC字形状の突起を受け入れるような大きさ及び形状にされた概ねC字形状の凹部146を含む。下記でより詳細に説明するように、引張部材118の基端部136及びヨーク120の先端部144は、予め決められた力を受けると、互いに係合解除するように構成される。
【0027】
一実施形態において、ヨーク120がカプセル106の基端部124内に配置された場合、ヨーク120がタブ130に係合してタブ130を半径方向外向きに動かし、装置の基端部分との係合から外れるように、ヨーク120の少なくとも一部分に沿った幅は、カプセル106のチャネル128の幅(例えば、直径)と概ね一致する。ヨーク120はまた、その一部分から先端方向に延びる一対のオーバーハング148を含む。下記で詳細に説明されるように、オーバーハング148は、クリップ101が標的組織に被さって留置されるまでロッキングアーム154がカプセル106のロッキング機構134との係合を防止されるように、ロッキングメカニズム122のロッキングアーム152の基端部154を拘束するように構成される。
【0028】
ロッキングメカニズム122は、引張部材118に取り付けられ、かつ、上述の通り、クリップ101が留置されるまでヨーク120によって拘束されるロッキングアーム152を含む。一実施形態において、ロッキングメカニズム122は、リング150と、リング150から基端方向に延びる一対のロッキングアーム152とを含む。リング150は、引張部材118をクリップアーム104に接続するのと同じピン140によって引張部材118に取り付けられる。特に、ピン140は、リング150が引張部材118の先端部138及びクリップアーム104の基端部158の双方の周りに延びるように、リング150を直径方向に横切って延びる。
【0029】
ロッキングアーム152は、リング150の対向する側から基端部154までそれぞれ基端方向に延び、及び、一実施形態において、半径方向外向きに付勢される。ロッキングアーム152が引張部材118の対向する側に沿って延びてヨーク120のオーバーハング148によって拘束されるように、リング150は引張部材118に接続される。基端部154がそれらの付勢形態に戻ることが許容される場合に、ロッキング構造体156がカプセル106のロッキング機構132に係合するように、ロッキングアーム152の基端部154は、その基端部から延びるロッキング構造体156を含む。一実施形態において、ロッキング構造体156は、基端部154から延びるロッキングタブとして構成され、基端部154がオーバーハング148から解放された場合に、カプセル106のロッキング窓132に係合する。下記で詳細に説明されるように、予め決められた力がヨーク120に加えられてヨーク120を引張部材118から分離すると、基端部154は解放されて、それらの半径方向外向きの付勢形態に戻ることができる。
【0030】
例示的な方法によれば、クリップ装置100のクリップ101は、例えば内視鏡の作業チャネルを経由して、体内の標的部位に挿入される。クリップアーム104が作業チャネルの内部を損傷することはないように、クリップ101は、閉鎖形態で作業チャネルを通って挿入される。クリップ101が標的部位に到達したら、標的組織がクリップアーム104間に受け入れられ得るように、クリップアーム104は、カプセル106に対して相対的に先端方向に動かされて、クリップアーム104の先端部分をそれぞれカプセル106から延出させ、かつ、当該クリップアーム104の自然な付勢下でクリップアーム104が自由になって開放形態の方へ向けて動くようにする。クリップ101は、組織の標的部分が望み通りにクリップアーム104間に位置決めされるまで、開放形態と閉鎖形態との間で繰り返し動かされ得る。その後、ユーザは、クリップアーム104を基端方向にカプセル106内へと引き、クリップアーム104がカプセル106に引き入れられるにつれて、クリップアーム104が互いの方に向かって引き寄せられ、クリップアーム104の先端部108間に標的組織を掴む。上述した通り、クリップ101は、例えば、ヨーク120に結合された制御部材170の動きによって、開放形態と閉鎖形態との間で動かされ得る。
【0031】
クリップ101が標的組織を掴んでいる所望の位置にあることにユーザが満足した場合、当該ヨーク120と引張部材118とが互いに係合解除されるように、ユーザは、上述の通り係合機構134がカプセル106に係合した後、予め設定された力で引張部材118からヨーク120を基端方向に離れるまで、基端方向に向かう制御部材170に加える力を増大させ続ける。ヨーク120が引張部材118から分離された場合に、クリップアーム104のロッキングメカニズム122のそれぞれの基端部154は、ヨーク120のオーバーハング148から解放され、ロッキングタブ156がカプセル106のロッキング窓132にそれぞれ係合するまで、これら基端部154が自由になって、それらの半径方向外向きの付勢形態の方へ勢いよく外れるようにし、それにより、クリップ101を閉鎖形態にロックする。
【0032】
その後、ヨーク120は、カプセル106のチャネル128に対応する幅を有するヨーク120の部分がカプセル106の基端部124内に配置されるまで、カプセル106に対して(例えば、それに接続された制御部材によって)相対的にさらに基端方向に引かれ、半径方向内向きに縁を曲げられたタブ130を強制的に半径方向外向きになるようにして、例えば、装置100の基端部分160のブシュ172との係合から外し、クリップ101を基端部分160から分離し得る。このように、クリップ101は、基端部分160が体から取り出し得る間、標的組織に被さってクリップ留めされたままとなる。一実施形態において、基端部分160からクリップ101が分離すると、タブ130は、それらの半径方向内向きに縁が曲げられた形態に戻り、ヨーク120は、引張部材118から分離されるものの、カプセル106の基端部124に取り付けられたままになる。
【0033】
この実施形態において、制御部材170に加えられるさらなる基端方向の力が、制御部材をヨーク120から分離し、クリップ101を体内に残し、かつ、制御部材170を含めて装置100の基端部分160が、そこから取り出されることができるようにする。別の実施形態によれば、カプセル106が基端部分160から分離すると、クリップ101が体内に留まり、標的組織の上側にクリップ留めされる一方で、基端部分160及びヨーク120は体から取り出され得るように、ヨーク120は、カプセル106から出て基端方向に引かれ得る。
【0034】
当業者には、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明において様々な修正例がなされ得ることが認識される。