IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヤマハ発動機株式会社の特許一覧

特許7368506回転規制機構用回転体及びアクチュエータ
<>
  • 特許-回転規制機構用回転体及びアクチュエータ 図1
  • 特許-回転規制機構用回転体及びアクチュエータ 図2
  • 特許-回転規制機構用回転体及びアクチュエータ 図3
  • 特許-回転規制機構用回転体及びアクチュエータ 図4
  • 特許-回転規制機構用回転体及びアクチュエータ 図5
  • 特許-回転規制機構用回転体及びアクチュエータ 図6
  • 特許-回転規制機構用回転体及びアクチュエータ 図7
  • 特許-回転規制機構用回転体及びアクチュエータ 図8
  • 特許-回転規制機構用回転体及びアクチュエータ 図9
  • 特許-回転規制機構用回転体及びアクチュエータ 図10
  • 特許-回転規制機構用回転体及びアクチュエータ 図11
  • 特許-回転規制機構用回転体及びアクチュエータ 図12
  • 特許-回転規制機構用回転体及びアクチュエータ 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】回転規制機構用回転体及びアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/10 20060101AFI20231017BHJP
   B25J 17/00 20060101ALI20231017BHJP
   F16D 65/12 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
H02K7/10 Z
B25J17/00 E
F16D65/12 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021571280
(86)(22)【出願日】2021-01-18
(86)【国際出願番号】 JP2021001431
(87)【国際公開番号】W WO2021145457
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2022-07-15
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2020/001529
(32)【優先日】2020-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142022
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一晃
(74)【代理人】
【識別番号】100085213
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100196623
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 計介
(72)【発明者】
【氏名】篠原 功次
(72)【発明者】
【氏名】平野 拓実
【審査官】三島木 英宏
(56)【参考文献】
【文献】英国特許出願公開第2396671(GB,A)
【文献】特開2019-190520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 7/10
B25J 17/00
F16D 65/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸線を中心として回転体と一体で回転し、固定規制部材が前記回転軸線の軸線方向に移動して係合することにより、回転が規制される回転規制機構用回転体であって、
径方向に放射状に延びて、前記回転体と一体で回転するように径方向の内方向に位置する内端部が前記回転体に接続される複数の梁状の径方向支持部と、
隣り合う前記径方向支持部の前記内端部同士を連結する複数の梁状の第1周方向連結部と、
隣り合う前記径方向支持部において径方向の外方向に位置する外端部同士を連結することにより多角形状を構成する複数の梁状の第2周方向連結部と、
前記複数の径方向支持部の外端部からそれぞれ径方向の外方向に延びる複数の係合突起部と、を備え、
前記複数の係合突起部のうち周方向に隣り合う係合突起部の間隔は、前記軸線方向に対して直交する方向に見て、前記固定規制部材が前記係合突起部に重なる位置に位置している状態で、前記固定規制部材が前記隣り合う係合突起部の間で周方向に相対移動可能な距離を有する、回転規制機構用回転体。
【請求項2】
請求項1に記載の回転規制機構用回転体において、
前記複数の梁状の第2周方向連結部は、隣り合う前記径方向支持部の前記外端部同士を連結することにより3角形から6角形の多角形状を構成する、回転規制機構用回転体。
【請求項3】
請求項1または2に記載の回転規制機構用回転体において、
前記隣り合う係合突起部の間隔は、前記固定規制部材を前記軸線方向に見て前記固定規制部材における前記周方向の最大寸法と、前記係合突起部の周方向の幅との合計よりも大きい、回転規制機構用回転体。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の回転規制機構用回転体において、
前記複数の係合突起部は、前記複数の径方向支持部の外端部から前記軸線方向に延びるように形成されている、回転規制機構用回転体。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の回転規制機構用回転体において、
前記第1周方向連結部及び前記第2周方向連結部は、前記第1周方向連結部及び前記第2周方向連結部の径方向の幅が前記径方向における前記第1周方向連結部と前記第2周方向連結部との間隔よりも小さくなるように形成されている、回転規制機構用回転体。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の回転規制機構用回転体を備えたアクチュエータであって、
前記回転体と、
前記回転規制機構用回転体の係合突起部と係合する前記固定規制部材としての係合ピンと、
前記係合ピンを前記回転規制機構用回転体に対して前記軸線方向に移動させる係合ピン移動装置と、
前記複数の係合突起部のうち少なくとも一つの係合突起部の位置を検出する係合突起位置検出部と、
を備え、
前記係合ピン移動装置は、前記係合突起位置検出部によって検出された前記係合突起部の位置に応じて前記係合ピンを前記回転規制機構用回転体に対して前記軸線方向に移動させる、アクチュエータ。
【請求項7】
請求項1からのいずれか一項に記載の回転規制機構用回転体を備えたアクチュエータであって、
前記回転体と、
前記回転規制機構用回転体の係合突起部と係合する前記固定規制部材としての係合ピンと、
を備え、
前記係合ピンは、前記係合突起部と接触した際の衝撃を低減する衝撃低減部を含み、
前記回転規制機構用回転体が前記回転体の回転軸に接続され、
前記係合突起部と前記係合ピンとの係合によって前記回転軸の回転が規制される、アクチュエータ。
【請求項8】
請求項1からのいずれか一項に記載の回転規制機構用回転体を備えたアクチュエータであって、
前記回転体と、
前記回転規制機構用回転体の係合突起部と係合する前記固定規制部材としての係合ピンと、
を備え、
前記回転規制機構用回転体は、前記係合ピンと接触した際の衝撃を低減する回転衝撃低減部を含み、
前記回転規制機構用回転体が前記回転体の回転軸に接続され、
前記係合突起部と前記係合ピンとの係合によって前記回転軸の回転が規制される、アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、回転規制機構用回転体及びアクチュエータに関する。
【技術分野】
【0002】
従来、アクチュエータは、モータと、停止している前記モータの回転を規制する回転規制機構とを備えている。例えば特許文献1に開示されている前記回転規制機構は、停止している前記モータのロータを停止位置で保持する機構である。前記回転規制機構は、前記ロータに固定される平板状かつ略円状の回転規制部材と、前記回転規制部材と係合することにより前記ロータの周方向における前記回転規制部材の移動を規制する固定規制部材と、を備えている。前記回転規制部材は、前記回転規制部材の厚さ方向と上下方向とが一致するように前記モータの回転軸の端部に固定されている。前記回転規制部材は、円状に形成された円部分の円周部に、径方向の外方向に向かって突出する複数の突起を有する。
【0003】
前記固定規制部材は、上端にフランジ部を有する円柱状に形成されており、前記固定規制部材の軸方向と上下方向とが一致するように配置されている。前記固定規制部材は、前記フランジ部が前記回転規制部材の突起の先端面を結ぶ仮想円に軸方向視で重複するように、前記回転規制部材の外周に配置されている。円状の前記回転規制部材の円周部に設けられた前記複数の突起が前記固定規制部材の前記フランジ部と係合することにより、前記回転規制部材の回転が規制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2017/169580号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の回転規制機構では、前記モータが停止している状態において、前記回転規制部材の突起と前記固定規制部材のフランジ部とが係合することにより、前記回転規制部材の回転が規制される。つまり、前記回転規制機構では、停止している前記モータに回転方向の外力が作用した場合、前記モータのロータに固定されている前記回転規制部材の突起に前記固定規制部材が接触することにより、モータの回転を規制する。
【0006】
ところで、前記回転規制機構は、回転している前記回転規制部材と前記固定規制部材との係合を想定して構成されていない。このため、前記回転規制部材の突起は、前記回転規制部材の円部分に比べて剛性が低い。よって、前記回転規制部材と前記固定規制部とが係合した際に、前記回転規制部材における前記円盤部分と前記突起との境界部分に応力が集中し易い。従って、前記回転規制機構では、前記回転規制部材に発生する応力が許容応力以下になるように、前記回転規制部材が停止している状態、又は停止に近い回転速度で回転している場合に前記回転規制部材と前記固定規制部材とが係合するように限定されている。
【0007】
これに対し、上述のように突起の係合で回転を規制する回転規制機構において、前記回転規制部材が回転している状態や、前記回転規制部材に、より大きな応力が発生する状態でも動作可能な構成が望まれている。
【0008】
本発明は、固定規制部材と係合突起部との係合によって回転体の回転を規制する回転規制機構の使用環境を拡大可能な回転規制機構用回転体、及び、該回転規制機構用回転体を有する回転規制機構を備えたアクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、固定規制部材と係合突起部との係合によって回転体の回転を規制する回転規制機構の使用環境を拡大するために、回転規制機構用回転体の構成について検討した。鋭意検討の結果、本発明者は、以下のような構成に想到した。
【0010】
本発明の一実施形態に係る回転規制機構の回転規制機構用回転体は、回転軸線を中心として回転体と一体で回転し、固定規制部材が前記回転軸線の軸線方向に移動して係合することにより、回転が規制される回転規制機構用回転体である。径方向に放射状に延びて、前記回転体と一体で回転するように径方向の内方向に位置する内端部が前記回転体に接続される複数の梁状の径方向支持部と、隣り合う前記径方向支持部の前記内端部同士を連結する複数の梁状の第1周方向連結部と、隣り合う前記径方向支持部において径方向の外方向に位置する外端部同士を連結することにより多角形状を構成する複数の梁状の第2周方向連結部と、前記複数の径方向支持部の外端部からそれぞれ径方向の外方向に延びる複数の係合突起部と、を備える。前記複数の係合突起部のうち周方向に隣り合う係合突起部の間隔は、前記軸線方向に対して直交する方向に見て、前記固定規制部材が前記係合突起部に重なる位置に位置している状態で、前記固定規制部材が前記隣り合う係合突起部の間で周方向に相対移動可能な距離を有する。
【0011】
上述の構成では、前記回転規制機構用回転体は、放射状に延びる前記複数の梁状の径方向支持部と、隣り合う前記径方向支持部の前記内端部を連結する前記複数の梁状の第1周方向連結部と、隣り合う前記径方向支持部の外端部を連結する前記複数の梁状の第2周方向連結部と、前記径方向支持部の外端部から径方向外方向に延びる係合突起部と、を備える。これにより、放射状に延びる複数の前記径方向支持部のうち隣り合う前記径方向支持部同士は、前記第1周方向連結部と前記第2周方向連結部とによって連結される。
【0012】
上述のように、隣り合う前記径方向支持部同士が前記第1周方向連結部及び前記第2周方向連結部によって連結されることにより、前記径方向支持部の剛性を向上させることができる。また、前記回転規制機構用回転体は、複数の前記径方向支持部の内端部及び外端部のみが周方向連結部によって連結されているので、前記係合突起部に外力が加わった際に、隣り合う前記径方向支持部同士の内端部を連結する複数の前記第1周方向連結部に対して、隣り合う前記径方向支持部同士の外端部を連結する複数の前記第2周方向連結部が変形する。これにより、前記回転規制機構用回転体の前記径方向支持部は、周方向に弾性変形を生じ易い。
【0013】
このように構成される前記回転規制機構用回転体では、係合突起部に加わった外力が、前記係合突起部を支持する径方向支持部に連結されている前記第1周方向連結部、前記第2周方向連結部及び前記径方向支持部と隣り合う径方向支持部に伝達される。これにより、前記回転規制機構用回転体では、前記係合突起部に外力が加わった際に、集中して応力が生じることなく、前記回転規制機構用回転体の各部に分散して応力が生じる。このように、前記係合突起部に外力が加わった際に、前記係合突起部の基端部に生じる応力集中が緩和されるため、前記回転規制機構用回転体は塑性変形を生じにくい。
【0014】
また、前記回転規制機構用回転体では、前記一つの径方向支持部に作用する力を、前記第1周方向連結部、前記第2周方向連結部及び隣り合う前記径方向支持部によって分散して受け止める。前記回転規制機構用回転体は、前記第1周方向連結部、前記第2周方向連結部及び隣り合う前記径方向支持部に弾性変形が生じる。これにより、前記回転規制機構用回転体は、前記係合突起部に外力が加わった際の衝撃力を、前記第1周方向連結部、前記第2周方向連結部及び隣り合う前記径方向支持部の弾性変形によって低減させる。
【0015】
また、前記回転規制機構用回転体は、隣り合う梁状の前記径方向支持部が梁状の前記第1周方向連結部及び梁状の前記第2周方向連結部によって連結されている。従って、前記径方向支持部、前記第1周方向連結部及び前記第2周方向連結部に囲まれた部分は、回転規制機構用回転体の材料が存在しない中空状態となる。従って、前記回転規制機構用回転体は、中実の円板状に形成された回転規制機構用回転体に比べて軽量化されている。すなわち、前記回転規制機構用回転体は、中実の円板状に形成された回転規制機構用回転体に比べて慣性モーメントが小さい。これにより、前記回転規制機構用回転体の係合突起部に前記固定規制部材が係合した場合の衝撃力は、中実の円板状に形成された回転規制機構用回転体よりも抑制することができる。
【0016】
さらに、複数の梁状の第2周方向連結部は、隣り合う前記径方向支持部の外端部同士を連結することにより多角形状を構成する。前記回転規制機構用回転体の前記係合突起部と前記固定規制部材とが係合した際に、前記回転機構用回転体において前記係合突起部の周辺部分に最大応力が生じる。前記回転規制機構用回転体における前記係合突起部の周辺部分の強度に影響を与えにくい部分において、上述のように複数の梁状の第2周方向連結部によって多角形状を構成することにより、前記回転規制機構用回転体の強度低下を抑制しつつ前記回転規制機構用回転体を軽量化できる。よって、前記回転規制機構用回転体の慣性モーメントを低減して、前記回転規制機構用回転体が前記固定規制部材に係合する際に生じる衝撃力を低減できる。
【0017】
また、上述の構成では、周方向に隣り合う係合突起部の間隔が、前記固定規制部材が前記隣り合う係合突起部の間で周方向に相対移動可能な距離を有する。これにより、前記回転規制機構用回転体が回転している状態で、前記固定規制部材が係合突起部に係合する際に、周方向に隣り合う係合突起部間の距離が小さい場合に比べて、前記固定規制部材が前記係合突起部にオフセット衝突する可能性を低減できる。よって、前記固定規制部材及び前記係合突起部を高寿命化することができる。なお、オフセット衝突とは、前記固定規制部材が前記係合突起部における突出方向の途中部分に接触する状態のことを意味する。
【0018】
以上の構成により、前記回転規制機構用回転体は、例えば、回転規制機構を、より強い力が作用する部位で使用したり、回転体が停止していない状態で固定規制部材と係合させたりすることができる。これにより、前記回転規制機構用回転体は、係合突起部と固定規制部材との係合によって回転を規制する回転規制機構の使用環境を拡大することができる。
【0019】
他の観点によれば、本発明の前記回転規制機構用回転体は、以下の構成を含むことが好ましい。前記複数の梁状の第2周方向連結部は、隣り合う前記径方向支持部の前記外端部同士を連結することにより3角形から6角形の多角形状を構成する。
【0020】
これにより、回転規制機構用回転体をより軽量化できるため、前記回転規制機構用回転体の慣性モーメントをより低減して、前記回転規制機構用回転体が前記固定規制部材に係合する際に生じる衝撃力をより低減できる。
【0021】
しかも、前記複数の梁状の第2周方向連結部が3角形から6角形の多角形状を構成することにより、7角形以上の多角形状の場合に比べて周方向に隣り合う係合突起部の間隔を広げることができる。よって、上述のオフセット衝突が発生する可能性をより低減できる。
【0022】
他の観点によれば、本発明の前記回転規制機構用回転体は、以下の構成を含むことが好ましい。前記隣り合う係合突起部の間隔は、前記固定規制部材を前記軸線方向に見て前記固定規制部材における前記周方向の最大寸法と、前記係合突起部の周方向の幅との合計よりも大きい。
【0023】
これにより、回転規制機構用回転体の慣性モーメントを低減し、且つ、周方向に隣り合う係合突起部の間隔を大きくすることができる。よって、前記回転規制機構用回転体が前記固定規制部材に係合する際に生じる衝撃力をより低減できるとともに、上述のオフセット衝突が発生する可能性をより低減できる。
【0024】
他の観点によれば、本発明の前記回転規制機構用回転体は、以下の構成を含むことが好ましい。前記複数の係合突起部は、前記複数の径方向支持部の外端部から前記軸線方向に延びるように形成されている。
【0025】
上述のように、前記複数の係合突起部が軸線方向に延びているので、前記回転規制機構用回転体の半径を小さくすることができる。また、前記回転規制機構において、前記係合突起部に係合させる固定規制部材の設計自由度を向上させることができる。これにより、前記回転規制機構用回転体は、係合突起部の係合によって回転を規制する回転規制機構の使用環境を拡大することができる。
【0026】
他の観点によれば、本発明の前記回転規制機構用回転体は、以下の構成を含むことが好ましい。前記第1周方向連結部及び前記第2周方向連結部は、前記第1周方向連結部及び前記第2周方向連結部の径方向の幅が前記径方向における前記第1周方向連結部と前記第2周方向連結部との間隔よりも小さくなるように形成されている。
【0027】
上述のように、前記回転規制機構用回転体には、前記径方向支持部、前記第1周方向連結部及び前記第2周方向連結部によって、各周方向連結部の径方向の幅よりも径方向に大きい中空部分が形成されている。
【0028】
これにより、前記回転規制機構用回転体は、係合突起部に外力が加わった場合、前記第1周方向連結部、前記第2周方向連結部及び隣り合う前記径方向支持部に弾性変形が生じる。この際、前記径方向支持部において前記第1周方向連結部、前記第2周方向連結部が連結されていない部分の剛性は、前記第1周方向連結部、前記第2周方向連結部が連結されている部分の剛性よりも低い。従って、前記径方向支持部では、前記第1周方向連結部、前記第2周方向連結部が連結されていない部分に前記第1周方向連結部、前記第2周方向連結部が連結されている部分よりも大きな弾性変形が生じる。
【0029】
前記回転規制機構用回転体では、係合突起部に作用する外力が前記第1周方向連結部、前記第2周方向連結部及び隣り合う前記径方向支持部に分散される。さらに、前記径方向支持部では、前記第1周方向連結部及び前記第2周方向連結部が連結されていない部分の弾性変形により、前記第1周方向連結部及び前記第2周方向連結部が連結されている部分の応力集中が緩和される。よって、前記回転規制機構用回転体は、前記回転規制機構用回転体の各部の応力値が低減されるので塑性変形を生じにくい。従って、前記回転規制機構用回転体は、係合突起部の係合によって回転を規制する回転規制機構の使用環境を拡大することができる。
【0030】
他の観点によれば、本発明のアクチュエータは、以下の構成を含むことが好ましい。前記アクチュエータは、前記回転体と、前記回転規制機構用回転体の係合突起部と係合する前記固定規制部材としての係合ピンと、前記係合ピンを前記回転規制機構用回転体に対して前記軸線方向に移動させる係合ピン移動装置と、前記複数の係合突起部のうち少なくとも一つの係合突起部の位置を検出する係合突起位置検出部と、を備える。前記係合ピン移動装置は、前記係合突起位置検出部によって検出された前記係合突起部の位置に応じて前記係合ピンを前記回転規制機構用回転体に対して前記軸線方向に移動させる。
【0031】
これにより、前記固定規制部材と前記係合突起部とをより確実に係合させることができる。よって、前記固定規制部材が前記係合突起部にオフセット衝突する可能性を低減できる。
【0032】
他の観点によれば、本発明のアクチュエータは、以下の構成を含むことが好ましい。前記アクチュエータは、前記回転体と、前記回転規制機構用回転体の係合突起部と係合する前記固定規制部材としての係合ピンと、を備え、前記係合ピンは、前記係合突起部と接触した際の衝撃を低減する衝撃低減部を含み、前記回転規制機構用回転体が前記回転体の回転軸に接続され、前記係合突起部と前記係合ピンとの係合によって前記回転軸の回転が規制される。
【0033】
上述のように、前記アクチュエータは、前記係合突起部に前記衝撃低減部を含む前記係合ピンを接触させることによって前記回転規制機構用回転体の回転を規制するように構成されている。これにより、前記アクチュエータは、前記係合ピンが前記回転規制機構用回転体の前記係合突起部に接触した際、前記係合突起部に発生する衝撃を前記衝撃低減部によって低減させる。前記回転規制機構用回転体は、前記係合ピンが前記衝撃低減部を含むことにより、前記係合ピンが接触した前記係合突起部に生じる応力が小さくなる。従って、前記アクチュエータは、前記係合突起部の係合によって回転を規制する回転規制機構の使用環境を拡大することができる。
【0034】
他の観点によれば、本発明のアクチュエータは、以下の構成を含むことが好ましい。前記アクチュエータは、前記回転体と、前記回転規制機構用回転体の係合突起部と係合する前記固定規制部材としての係合ピンと、を備え、前記回転規制機構用回転体は、前記係合ピンと接触した際の衝撃を低減する回転衝撃低減部を含み、前記回転規制機構用回転体が前記回転体の回転軸に接続され、前記係合突起部と前記係合ピンとの係合によって前記回転軸の回転が規制される。
【0035】
上述のように、前記アクチュエータは、前記回転衝撃低減部を含む前記回転規制機構用回転体に前記係合ピンを接触させることによって前記回転規制機構用回転体の回転を規制するように構成されている。これにより、前記アクチュエータは、前記係合ピンが前記回転規制機構用回転体の前記係合突起部に接触した際、前記係合突起部に発生する衝撃を前記回転衝撃低減部によって低減させる。前記回転規制機構用回転体は、前記回転衝撃低減部を含むことにより、前記係合ピンが接触した前記係合突起部に生じる応力が小さくなる。従って、前記アクチュエータは、前記係合突起部の係合によって回転を規制する回転規制機構の使用環境を拡大することができる。
【0036】
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施例のみを定義する目的で使用されるのであって、前記専門用語によって発明を制限する意図はない。
【0037】
本明細書で使用される「及び/または」は、一つまたは複数の関連して列挙された構成物のすべての組み合わせを含む。
【0038】
本明細書において、「含む、備える(including)」「含む、備える(comprising)」または「有する(having)」及びそれらの変形の使用は、記載された特徴、工程、要素、成分、及び/または、それらの等価物の存在を特定するが、ステップ、動作、要素、コンポーネント、及び/または、それらのグループのうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0039】
本明細書において、「取り付けられた」、「接続された」、「結合された」、及び/または、それらの等価物は、広義の意味で使用され、“直接的及び間接的な”取り付け、接続及び結合の両方を包含する。さらに、「接続された」及び「結合された」は、物理的または機械的な接続または結合に限定されず、直接的または間接的な接続または結合を含むことができる。
【0040】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。
【0041】
一般的に使用される辞書に定義された用語は、関連する技術及び本開示の文脈における意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されていない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されることはない。
【0042】
本発明の説明においては、いくつもの技術および工程が開示されていると理解される。これらの各々は、個別の利益を有し、他に開示された技術の1つ以上、または、場合によっては全てと共に使用することもできる。
【0043】
したがって、明確にするために、本発明の説明では、不要に個々のステップの可能な組み合わせをすべて繰り返すことを控える。しかしながら、本明細書及び特許請求の範囲は、そのような組み合わせがすべて本発明の範囲内であることを理解して読まれるべきである。
【0044】
本明細書では、本発明に係る回転規制機構用回転体及び該回転規制機構用回転体を有する回転規制機構を備えたアクチュエータの実施形態について説明する。
【0045】
以下の説明では、本発明の完全な理解を提供するために多数の具体的な例を述べる。しかしながら、当業者は、これらの具体的な例がなくても本発明を実施できることが明らかである。
【0046】
よって、以下の開示は、本発明の例示として考慮されるべきであり、本発明を以下の図面または説明によって示される特定の実施形態に限定することを意図するものではない。
【0047】
[多関節ロボットアーム]
本明細書において、多関節ロボットアームとは、複数のリンクを連結する関節部を複数有するロボットアームを意味する。前記多関節ロボットアームは、垂直多関節ロボットアームを含む。具体的には、前記垂直多関節ロボットアームは、リンクが1自由度の回転関節または直動関節によって根元から先端まで直列に連結されたシリアルリンク機構のロボットアームである。前記垂直多関節ロボットアームは、複数の関節部を有する。
【0048】
[回転規制機構]
本明細書において、回転規制機構とは、モータ等の回転体の回転を規制する機構を意味する。前記回転規制機構は、前記回転体に固定されている回転規制部材と固定部材に固定されている固定規制部材とを含む。前記回転規制機構は、前記固定規制部材によって前記回転規制部材の回転を規制するように構成されている。
【0049】
[回転規制機構用回転体]
本明細書において、回転規制機構用回転体とは、前記回転規制機構に含まれる前記回転規制部材である。前記回転規制機構用回転体は、前記回転体に固定され、前記回転体と一体で回転する。
【0050】
[放射中心]
本明細書において、放射中心とは、放射状に配置された複数の部材を延伸させた場合に交わる1点をいう。
【0051】
[使用環境]
本明細書において、使用環境とは、前記回転規制機構が前記回転体の回転を規制する際の周囲の状態、前記回転規制機構の状態を意味する。具体的には、前記使用環境は、前記回転規制機構が配置される空間、前記回転規制機構の構造、前記回転規制機構によって回転が規制される前記回転体の速度、前記回転体の加速度及び前記回転体の質量を含む。また、前記使用環境は、前記回転規制機構用回転体に加わる外力の状態、前記回転規制機構用回転体に発生する応力の状態を含む。
【0052】
[隣り合う係合突起部の間隔]
本明細書において、隣り合う係合突起部の間隔とは、例えば、周方向に隣り合う係合突起部において突出方向の先端部同士の間隔を意味する。前記間隔は、例えば、周方向に隣り合う係合突起部において突出方向の基端部同士の間隔でもよい。前記間隔は、例えば、周方向に隣り合う係合突起部において突出方向の中央部同士の間隔でもよい。
【0053】
[固定規制部材における周方向の最大寸法]
本明細書において、固定規制部材における周方向の最大寸法とは、前記固定規制部材を回転規制機構用回転体の回転軸線の軸線方向に見て、前記固定規制部材における前記回転規制機構用回転体の周方向の最大寸法を意味する。
【0054】
[係合突起部の周方向の幅]
本明細書において、係合突起部の周方向の幅とは、例えば、前記係合突起部における突出方向の先端部分の周方向の幅を意味する。前記係合突起部の周方向の幅は、例えば、前記係合突起部における突出方向の基端部分の周方向の幅でもよい。前記係合突起部の周方向の幅は、例えば、前記係合突起部における突出方向の中央部分の周方向の幅でもよい。
【発明の効果】
【0055】
本発明の一実施形態によれば、固定規制部材と係合突起部との係合によって回転体の回転を規制する回転規制機構の使用環境を拡大することができる回転規制機構用回転体、及び、該回転規制機構用回転体を有する回転規制機構を備えたアクチュエータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1】本発明の実施形態1に係る回転規制機構の側面図を示す。
図2】本発明の実施形態1に係る回転規制機構用回転体の平面図を示す。
図3】本発明の実施形態1に係る回転規制機構用回転体に係合ピンが接触した際の弾性変形状態を表す平面図を示す。
図4】(a)周方向に隣り合う係合突起部の間隔が狭い場合、(b)周方向に隣り合う係合突起部の間隔が広い場合に、それぞれ、隣り合う係合突起部の間に係合ピンが進入する様子を表す模式図を示す。
図5】本発明の実施形態2に係る多関節ロボットアーム装置の模式図を示す。
図6】本発明の実施形態2に係る多関節ロボットアームに係るS軸回転関節の模式図を示す。
図7】本発明の実施形態3に係る回転規制機構用回転体の平面図を示す。
図8】本発明の実施形態4に係る回転規制機構の側面図を示す。
図9】本発明の実施形態4に係る回転規制機構用回転体の平面図を示す。
図10】本発明の実施形態4の変形例に係る回転規制機構用回転体の平面図を示す。
図11】本発明の実施形態5に係る回転規制機構を備えるアクチュエータの側面図を示す。
図12】本発明の実施形態5に係るアクチュエータの回転規制機構用回転体と係合ピンとが接触した際の係合ピンの弾性変形状態を表す平面図を示す。
図13】本発明の実施形態6に係るアクチュエータの回転規制機構用回転体と係合ピンとが接触した際の回転衝撃低減部の弾性変形状態を表す平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下で、各実施形態について、図面を参照しながら説明する。各図において、同一部分には同一の符号を付して、その同一部分の説明は繰り返さない。なお、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0058】
[実施形態1]
<回転規制機構1の全体構成>
図1図2とを用いて本発明の実施形態1に係る回転規制機構1の全体構成について説明する。図1は、本発明の実施形態1に係る回転規制機構1の側面図である。図2は、本発明の実施形態1に係る回転規制機構用回転体2の平面図である。
【0059】
図1に示すように、回転規制機構1は、回転体であるモータ27に電流が供給されていない場合、又はモータ27がトルクを出力していない場合に、モータ27の回転を規制するブレーキ機構である。回転規制機構1は、回転規制部材である回転規制機構用回転体2と、固定規制部材である係合ピン8と、ソレノイド10と、回転規制機構制御装置100とを含む。回転規制機構1は、モータ27の回転軸27aと一体で回転する回転規制機構用回転体2に係合ピン8が係合することにより、モータ27の回転軸27aの回転を規制する。
【0060】
図2に示すように、回転規制機構用回転体2は、モータ27の回転軸27aと一体で回転する枠状部材である。回転規制機構用回転体2は、回転軸27aの軸線方向(以下、単に軸線方向ともいう)に見て、多角形状(図2の例では6角形)である。後述するように回転規制機構用回転体2の係合突起部7と係合ピンとが係合した際に、回転機構用回転体2において係合突起部7の周辺部分に最大応力が生じる。回転規制機構用回転体2における係合突起部7の周辺部分の強度に影響を与えにくい部分を多角形状にすることにより、回転規制機構用回転体2の強度低下を抑制しつつ、回転規制機構用回転体2を軽量化することができる。このように回転規制機構用回転体2を軽量化することにより、回転規制機構用回転体2の慣性モーメントを低減して、回転規制機構用回転体2が係合ピン8に係合する際に生じる衝撃力を低減できる。
【0061】
回転規制機構用回転体2は、例えば防錆性を有するステンレス鋼によって構成されている。回転規制機構用回転体2は、一端部を出力軸とするモータ27の回転軸27aにおける他端部に設けられている。回転規制機構用回転体2は、複数の径方向支持部3と、複数の第1周方向連結部5と、複数の第2周方向連結部6と、回転規制部材である複数の係合突起部7と、を備える。
【0062】
複数の径方向支持部3は、それぞれ、係合突起部7を支持する。複数の径方向支持部3は、枠状に形成されている。複数の径方向支持部3は、回転軸27aの軸心である回転軸線Rを放射中心Cとする放射状に配置されている。つまり、複数の径方向支持部3は、放射中心Cに向かって延伸すると、全ての径方向支持部3が放射中心Cで交わるように配置されている。また、複数の径方向支持部3は、隣り合う径方向支持部3のなす中心角度θが全て等しくなるように配置されている。複数の径方向支持部3の長手方向は、回転規制機構用回転体2の径方向と一致している。
【0063】
本実施形態の回転規制機構用回転体2は、例えば、隣り合う径方向支持部3がなす中心角度θが60度になるように配置された6つの径方向支持部3を有する。複数の径方向支持部3は、周方向の一方向に順に並んだ、第1の径方向支持部3a、第2の径方向支持部3b、第3の径方向支持部3c、第4の径方向支持部3d、第5の径方向支持部3e及び第6の径方向支持部3fを含む。
【0064】
複数の径方向支持部3は、それぞれ、長手方向(回転規制機構用回転体2の径方向)の長さ、短手方向(回転規制機構用回転体2の周方向)の幅及び板状部材の厚さが同一である。このように、同一の形状を有する複数の径方向支持部3は、同一の剛性及び強度を有している。
【0065】
複数の第1周方向連結部5は、複数の径方向支持部3のうち隣り合う径方向支持部3を連結する。複数の第1周方向連結部5は、枠状に形成されている。また、複数の第1周方向連結部5は、それぞれ、長手方向(回転規制機構用回転体2の周方向)の長さ、短手方向(回転規制機構用回転体2の径方向)の幅及び板状部材の厚さが同一である。
【0066】
複数の第1周方向連結部5は、多角形状(本実施形態では、6角形)を構成するように、隣り合う径方向支持部3の内端部同士を連結している。本実施形態において、複数の第1周方向連結部5は、周方向の一方向に順に並んだ、第1の第1周方向連結部5a、第2の第1周方向連結部5b、第3の第1周方向連結部5c、第4の第1周方向連結部5d、第5の第1周方向連結部5e及び第6の第1周方向連結部5fを含む。
【0067】
第1の第1周方向連結部5aは、第1の径方向支持部3aの内端部と、第2の径方向支持部3bの内端部とを連結する。同様に、第2の第1周方向連結部5bは、第2の径方向支持部3bの内端部と、第3の径方向支持部3cの内端部とを連結する。同様に、第3の第1周方向連結部5cは、第3の径方向支持部3cの内端部と、第4の径方向支持部3dの内端部とを連結する。同様に、第4の第1周方向連結部5dは、第4の径方向支持部3dの内端部と、第5の径方向支持部3eの内端部とを連結する。同様に、第5の第1周方向連結部5eは、第5の径方向支持部3eの内端部と、第6の径方向支持部3fの内端部とを連結する。同様に、第6の第1周方向連結部5fは、第6の径方向支持部3fの内端部と、第1の径方向支持部3aの内端部とを連結する。このように、複数の第1周方向連結部5は、隣り合う径方向支持部3の内端部同士を順に連結することにより、複数の径方向支持部3を繋ぐ多角形状の枠状部材を構成する。
【0068】
また、複数の第1周方向連結部5には、モータ27の回転軸27aに連結される複数の固定部4が設けられている。複数の固定部4がモータ27の回転軸27aに相対回転不能に固定されることにより、複数の第1周方向連結部5によって連結されている複数の径方向支持部3は、モータ27の回転軸27aにより強固に固定される。これにより、径方向支持部3に加わる外力を、モータ27の回転軸27aに伝達できる。複数の固定部4がモータ27の回転軸27aに相対回転不能に固定されている場合、径方向支持部3に外力が加わった際に発生する撓みや応力は、全ての径方向支持部3で等しく発生する。
【0069】
複数の第2周方向連結部6は、複数の径方向支持部3のうち隣り合う径方向支持部3を連結する枠状の部材である。また、複数の第2周方向連結部6は、それぞれ、長手方向(回転規制機構用回転体2の周方向)の長さ、短手方向(回転規制機構用回転体2の径方向)の幅及び板状部材の厚さが同一である。
【0070】
複数の第2周方向連結部6は、隣り合う径方向支持部3を連結している。複数の第2周方向連結部6は、多角形状(本実施形態では、6角形)を構成するように、回転規制機構用回転体2の径方向において最も外方向に位置する径方向支持部3の端部である外端部同士を連結している。つまり、複数の第2周方向連結部6は、径方向支持部3に対して、複数の第1周方向連結部5と異なる径方向の位置で連結されている。
【0071】
複数の第2周方向連結部6は、隣り合う径方向支持部3の前記外端部同士を連結することにより3角形から6角形の多角形状を構成するのが好ましい。これにより、回転規制機構用回転体2をより軽量化できるため、回転規制機構用回転体2の慣性モーメントをより低減して、回転規制機構用回転体2が係合ピン8に係合する際に生じる衝撃力をより低減できる。
【0072】
しかも、複数の第2周方向連結部6が3角形から6角形の多角形状を構成することにより、7角形以上の多角形状の場合に比べて周方向に隣り合う係合突起部7の間隔を広げることができる。よって、係合ピン8と係合突起部7とがオフセット衝突する可能性をより低減できる。なお、前記オフセット衝突とは、係合ピン8が係合突起部7における突出方向の途中部分に接触する状態のことを意味する。
【0073】
本実施形態において、複数の第2周方向連結部6は、周方向の一方向に順に並んだ、第1の第2周方向連結部6a、第2の第2周方向連結部6b、第3の第2周方向連結部6c、第4の第2周方向連結部6d、第5の第2周方向連結部6e及び第6の第2周方向連結部6fを含む。
【0074】
第1の第2周方向連結部6aは、第1の径方向支持部3aの外端部と、第2の径方向支持部3bの外端部とを連結する。同様に、第2の第2周方向連結部6bは、第2の径方向支持部3bの外端部と、第3の径方向支持部3cの外端部とを連結する。同様に、第3の第2周方向連結部6cは、第3の径方向支持部3cの外端部と、第4の径方向支持部3dの外端部とを連結する。同様に、第4の第2周方向連結部6dは、第4の径方向支持部3dの外端部と、第5の径方向支持部3eの外端部とを連結する。同様に、第5の第2周方向連結部6eは、第5の径方向支持部3eの外端部と、第6の径方向支持部3fの外端部とを連結する。同様に、第6の第2周方向連結部6fは、第6の径方向支持部3fの外端部と、第1の径方向支持部3aの外端部とを連結する。このように、複数の第2周方向連結部6は、隣り合う径方向支持部3の外端部同士を順に連結することにより、複数の径方向支持部3を繋ぐ多角形状の枠状部材を構成する。
【0075】
複数の固定部4がモータ27の回転軸27aに固定されている場合、径方向支持部3に連結されている第2周方向連結部6は、径方向支持部3に外力が加わると、径方向支持部3と隣り合う他の二つの径方向支持部3に外力を伝達する。
【0076】
複数の係合突起部7は、係合ピン8と係合可能なように、各径方向支持部3から径方向の外方向に延びている。すなわち、複数の係合突起部7は、複数の径方向支持部3の外端部から径方向の外方向に延びるように形成されている。よって、複数の係合突起部7は、回転規制機構用回転体2に、周方向に等間隔に設けられている。また、複数の係合突起部7は、複数の第2周方向連結部6における径方向の外方向の縁、すなわち、回転規制機構用回転体2の径方向における外方向の縁(以下、単に「外縁」と記す)から径方向の外方向に延びるように形成されている。複数の係合突起部7は、複数の径方向支持部3と複数の第2周方向連結部6とによって支持されている。複数の係合突起部7は、係合ピン8と係合することにより、回転規制機構用回転体2の回転を規制することができる。
【0077】
本実施形態において、複数の係合突起部7は、周方向の一方向に順に並んだ、第1の係合突起部7a、第2の係合突起部7b、第3の係合突起部7c、第4の係合突起部7d、第5の係合突起部7e及び第6の係合突起部7fを含む。これにより、回転規制機構用回転体2には、隣り合う複数の係合突起部7によって、それぞれ、区切られた複数のセクションが形成されている。例えば、第1の係合突起部7aと第2の係合突起部7bとによって区切られたセクションは、第1セクションS1である。第2の係合突起部7bと第3の係合突起部7cとによって区切られたセクションは、第2セクションS2である。第3の係合突起部7cと第4の係合突起部7dとによって区切られたセクションは、第3セクションS3である。第4の係合突起部7dと第5の係合突起部7eとによって区切られたセクションは、第4セクションS4である。第5の係合突起部7eと第6の係合突起部7fとによって区切られたセクションは、第5セクションS5である。第6の係合突起部7fと第1の係合突起部7aとによって区切られたセクションは、第6セクションS6である。
【0078】
本実施形態において、図2に示すように、複数の係合突起部7のうち隣り合う係合突起部7の間隔Lsは、軸線方向に延びる円柱状の係合ピン8を前記軸線方向に見た係合ピン8の直径D(周方向の最大寸法)と、係合突起部7の周方向の幅Wとの合計よりも大きい。図2に示す例では、隣り合う係合突起部7の間隔Lsは、隣り合う係合突起部7において突出方向の先端部同士の間隔である。
【0079】
上述のように隣り合う係合突起部7の間隔Lsを決めることにより、回転規制機構用回転体の慣性モーメントを低減し、且つ、周方向に隣り合う係合突起部の間隔を大きくすることができる。よって、前記回転規制機構用回転体が前記固定規制部材に係合する際に生じる衝撃力をより低減できるとともに、係合ピン8が係合突起部7に対してオフセット衝突する可能性をより低減できる。
【0080】
また、上述のように隣り合う係合突起部7の間隔Lsを決めることにより、係合突起部7の強度を確保することができる。したがって、上述の構成により、係合突起部7の強度確保とオフセット衝突頻度低減とを両立できる。
【0081】
複数の固定部4がモータ27の回転軸27aに固定されている場合、径方向支持部3に連結されている係合突起部7に外力が加わると、径方向支持部3と、該径方向支持部3に連結されている二つの第2周方向連結部6とに外力が伝達される。
【0082】
このように構成される回転規制機構用回転体2は、複数の固定部4がモータ27の回転軸27aに固定されている。この際、回転規制機構用回転体2は、放射中心Cがモータ27の回転軸27aの軸心である回転軸線Rと一致するように固定されている。これにより、回転規制機構用回転体2は、モータ27の回転軸27aの回転軸線Rを回転中心として、モータ27の回転軸27aと一体で回転するように構成されている。
【0083】
図1に示すように、係合ピン8は、回転規制機構用回転体2の回転を規制する部材である。係合ピン8は、モータ27のハウジング等、モータ27及び回転規制機構用回転体2と連動して回転しない部分に支持されている。係合ピン8は、例えば、防錆性を有するステンレス鋼によって構成されている。係合ピン8には、回転規制機構用回転体2の係合突起部7と接触する接触部8aが設けられている。係合ピン8は、係合ピン8の軸線方向に移動可能に構成されている。係合ピン8の軸線は、回転規制機構用回転体2の回転軸線Rと平行である。つまり、係合ピン8は、回転規制機構用回転体2の回転軸線方向への移動によって回転規制機構用回転体2の係合突起部7に係合するように構成されている。
【0084】
このように係合ピン8が回転規制機構用回転体2の回転軸線方向に移動することにより、係合ピンが回転規制機構用回転体2の径方向に移動する場合に比べて、回転規制機構用回転体2を径方向に小型化することができる。これにより、回転規制機構用回転体2の慣性モーメントを小さくすることができるため、回転規制機構用回転体2が係合ピン8と係合した際に生じる衝撃力を低減できる。
【0085】
また、上述のように係合ピン8が回転規制機構用回転体2の回転軸線方向に移動することにより、係合ピンが回転規制機構用回転体2の径方向に移動する場合に比べて、係合ピンが係合する回転規制機構用回転体2の厚みを小さくすることができる。これにより、回転規制機構1を回転規制機構用回転体2の回転軸線方向に小型化することができる。
【0086】
係合ピン8は、ソレノイド10によって、接触部8aが回転規制機構用回転体2の係合突起部7に接触する規制位置(二点鎖線図)と、接触部8aが係合突起部7に接触しない開放位置(実線図)とのいずれか一方に切り替えられる。また、係合ピン8には、ばね9によって規制位置に保持されるよう力が加えられている。
【0087】
ソレノイド10は、係合ピン8を移動させる駆動力を生じる。ソレノイド10は、モータ27のハウジング等、回転規制機構用回転体2と連動して回転しない部分に支持されている。ソレノイド10は、オン状態で、規制位置に保持されている係合ピン8を開放位置に移動させるように構成されている。
【0088】
このように構成される回転規制機構1は、ソレノイド10によって係合ピン8の位置を前記開放位置から前記規制位置に切り替えることにより、回転規制機構用回転体2が回転可能な角度範囲である回転角度範囲を規制するように構成されている。係合ピン8は、前記規制位置に切り替えられることにより、係合ピン8の接触部8aが回転規制機構用回転体2の第1セクションS1から第6セクションS6のいずれか一つのセクション内に位置付けられる(図2参照)。
【0089】
回転規制機構1は、或るセクション内に位置付けられた係合ピン8によって、回転規制機構用回転体2の回転角度範囲を、前記或るセクションを区画する一方の係合突起部7が係合ピン8の接触部8aに接触する回転角度から、前記或るセクションを区画する他方の係合突起部7が係合ピン8の接触部8aに接触する回転角度までの範囲に規制する。
【0090】
すなわち、回転規制機構1は、或るセクション内に係合ピン8が位置付けられた状態で、回転規制機構用回転体2が、前記或るセクションを区画する隣り合う係合突起部7同士の間で、係合ピン8に対して周方向に移動可能である。さらに換言すれば、回転規制機構用回転体2において周方向に隣り合う係合突起部7の間隔は、回転規制機構用回転体2を軸線方向に対して直交する方向に見て、係合ピン8が係合突起部7に重なる位置に位置している状態で、係合ピン8が前記隣り合う係合突起部7の間で周方向に相対移動可能な距離を有する。
【0091】
これにより、回転規制機構用回転体2が回転している状態で、係合ピン8が係合突起部7に係合する際に、周方向に隣り合う係合突起部間の距離が小さい場合に比べて、係合ピン8が係合突起部7にオフセット衝突する可能性を低減できる。すなわち、例えば、図4に示すように、係合突起部7同士の間隔が係合ピン8との係合を考慮した余裕分しかない構成(図4(a)参照)に比べて、上述のように隣り合う係合突起部7が、それらの間で係合ピン8が周方向に相対移動可能な間隔を有する構成(図4(b)参照)では、係合ピン8が係合突起部7にオフセット衝突する可能性が低い。よって、係合ピン8及び係合突起部7を高寿命化することができる。なお、図4では、回転規制機構用回転体200,2を、回転軸線Rに直交する方向に見ている。また、図4において、実線矢印は、回転規制機構用回転体200,2の回転方向を示し、白抜き矢印は、係合ピン8の移動方向を示す。
【0092】
また、例えば、回転規制機構1を、後述の実施形態2に記載されたアクチュエータにおけるモータの回転軸の回転を規制するために用いた場合、前記モータの停止時に、前記アクチュエータに含まれるアブソリュートエンコーダが機械角360度以内の回転角度を検出することができる。すなわち、前記モータの停止時に、前記アブソリュートエンコーダと一体で回転する回転規制機構用回転体2を、係合ピン8が隣り合う係合突起部7の間で周方向に相対移動するように回転させることにより、前記アブソリュートエンコーダは、Z相信号を検出して、機械角の原点を検出することができる。なお、前記アブソリュートエンコーダの代わりに、他のエンコーダを用いてもよい。
【0093】
なお、前記隣り合う係合突起部7の間隔は、本実施形態の回転規制機構用回転体2において前記隣り合う径方向支持部3がなす中心角度θの60度よりも小さいのが好ましい。
【0094】
(モータ27の回転規制時の回転規制機構用回転体2の状態)
次に、図3を用いて、係合ピン8の位置を前記規制位置に切り替えた際の回転規制機構用回転体2の状態について説明する。
【0095】
回転規制機構1は、例えば回転規制機構用回転体2の第1セクションS1において、係合ピン8が規制位置に切り替えられた場合、回転規制機構用回転体2の回転角度範囲を、第1の係合突起部7aが係合ピン8の接触部8aに接触する角度から第2の係合突起部7bが係合ピン8の接触部8aに接触する角度までの範囲に規制する。
【0096】
(外力の伝達)
周方向の一方向(実線矢印参照)にモータ27の回転軸27aが回転している場合、回転規制機構用回転体2の第1の係合突起部7aが係合ピン8に接触する。係合ピン8に接触した第1の係合突起部7aには、係合ピン8から、反力として周方向の他方向に外力(黒塗矢印A0参照)が加わる(以下、単に、「他方向外力」と記す)。第1の係合突起部7aに加わった他方向外力は、第1の径方向支持部3aと、第1の径方向支持部3aの外端部に対して周方向の一方に連結されている第1の第2周方向連結部6aと、第1の径方向支持部3aの外端部に対して周方向の他方に連結されている第6の第2周方向連結部6fとに伝達される(ハッチング矢印A1、ハッチング矢印A2、ハッチング矢印A3参照)。
【0097】
(第1の径方向支持部3aに生じる応力)
第1の径方向支持部3aには、第1の係合突起部7aに加わる他方向外力によって、周方向の他方向に曲げられる弾性変形が生じる。この際、第1の径方向支持部3aと第1の第1周方向連結部5aとの連結部分、及び第1の径方向支持部3aと第6の第1周方向連結部5fとの連結部分には、前記弾性変形によって応力が生じている(領域S1参照)。また、第1の径方向支持部3aと第1の第2周方向連結部6aとの連結部分、及び第1の径方向支持部3aと第6の第2周方向連結部6fとの連結部分には、前記弾性変形によって応力が生じている(領域S2参照)。
【0098】
(第2の径方向支持部3bに生じる応力)
第1の径方向支持部3aの周方向の一方に連結されている第1の第2周方向連結部6aは、他方向外力によって周方向の他方向に伸長される弾性変形が生じる。さらに、第1の第2周方向連結部6aが連結されている第2の径方向支持部3bの外端部には、第1の第2周方向連結部6aの弾性変形による他方向外力が加わる(ハッチング矢印A2参照)。
【0099】
第2の径方向支持部3bには、第1の第2周方向連結部6aからの他方向外力によって、外端部から周方向の他方向に曲げられる弾性変形が生じる。この際、第2の径方向支持部3bと第1の第1周方向連結部5aとの連結部分、及び第2の径方向支持部3bと第2の第1周方向連結部5bの連結部分には、前記弾性変形によって応力が生じている(領域S3参照)。また、第2の径方向支持部3bと第1の第2周方向連結部6aとの連結部分、及び第2の径方向支持部3bと第2の第2周方向連結部6bとの連結部分には、前記弾性変形によって応力が生じている(領域S4参照)。
【0100】
(第6の径方向支持部3fに生じる応力)
第1の径方向支持部3aの周方向の他方に連結されている第6の第2周方向連結部6fには、第1の係合突起部7aからの他方向外力によって周方向の他方向に圧縮される弾性変形が生じる。さらに、第6の第2周方向連結部6fが連結されている第6の径方向支持部3fの外端部には、第6の第2周方向連結部6fの弾性変形による他方向外力が加わる(ハッチング矢印A3参照)。
【0101】
第6の径方向支持部3fには、第6の第2周方向連結部6fからの他方向外力によって外端部から周方向の他方向に曲げられる弾性変形が生じる。この際、第6の径方向支持部3fと第6の第1周方向連結部5fとの連結部分、及び第6の径方向支持部3fと第5の第1周方向連結部5eとの連結部分には、前記弾性変形よって応力が生じている(領域S5参照)。また、第6の径方向支持部3fと第6の第2周方向連結部6fとの連結部分、及び第6の径方向支持部3fと第5の第2周方向連結部6eとの連結部分には、前記弾性変形によって応力が生じている(領域S6参照)。
【0102】
係合ピン8から第1の係合突起部7aに加わった他方向外力は、主に、第1の径方向支持部3a、第1の第2周方向連結部6a、第2の径方向支持部3b、第6の第2周方向連結部6f及び第6の径方向支持部3fに分散されて伝達される。第1の径方向支持部3a、第1の第2周方向連結部6a、第2の径方向支持部3b、第6の第2周方向連結部6f及び第6の径方向支持部3fは、それぞれの剛性、固定位置、他の部材との連結位置、他方向外力の大きさ、他方向外力が加わる位置等に基づいて弾性変形を生じる。この結果、係合ピン8が第1の係合突起部7aに係合したことにより回転規制機構用回転体2に生じる応力は、第1の径方向支持部3a(領域S1、領域S2参照)、第2の径方向支持部3b(領域S3、領域S4参照)及び第6の径方向支持部3f(領域S5、領域S6)に分散される。
【0103】
このように、放射状に配置された複数の径方向支持部3は、内端部が複数の第1周方向連結部5に連結されるとともに、外端部が複数の第2周方向連結部6に連結されている。これにより、回転規制機構用回転体2では、複数の第1周方向連結部5及び第2周方向連結部6によって、複数の前記径方向支持部3の剛性が向上している。
【0104】
また、回転規制機構用回転体2は、複数の径方向支持部3、複数の第1周方向連結部5及び複数の第2周方向連結部6によって囲まれた中空部分を有する。このため、回転規制機構用回転体2は、外力が加わった際に、第1周方向連結部5、第2周方向連結部6及び径方向支持部3のそれぞれで剛性に応じた弾性変形が生じる。回転規制機構用回転体2は、隣り合う径方向支持部3の内端部同士を連結している複数の第1周方向連結部5に対して、隣り合う径方向支持部3の外端部同士を連結している複数の前記第2周方向連結部6が変形する。このように、回転規制機構用回転体2は、係合突起部7に外力が加わった際の衝撃力を第1周方向連結部5、第2周方向連結部6及び径方向支持部3の弾性変形により吸収する。
【0105】
また、回転規制機構用回転体2は、複数の径方向支持部3、複数の第1周方向連結部5及び複数の第2周方向連結部6によって囲まれた中空部分を有する。このため、回転規制機構用回転体2における複数の係合突起部7の剛性と、複数の係合突起部7に連結されている複数の径方向支持部3及び複数の第2周方向連結部6の剛性との差は、回転規制機構用回転体を中実の円板状に形成した場合の複数の係合突起部の剛性と中実の円板状部分の剛性との差よりも小さくなる。
【0106】
回転規制機構用回転体2は、上述のように中空部分を有することにより、係合突起部7に外力が加わった際の衝撃力を第1周方向連結部5、第2周方向連結部6及び径方向支持部3の弾性変形により吸収する。よって、係合ピン8との接触によって回転規制機構用回転体2に発生する衝撃力は、弾性変形量が大きいほど小さくなる。従って、回転規制機構用回転体2の係合突起部7に外力が加わった際に、係合突起部7に生じる応力集中が緩和される。これにより、回転規制機構用回転体2には、回転規制機構用回転体を中実の円板状に形成した場合よりも許容限度応力を上回ることによる塑性変形が生じにくい。
【0107】
また、回転規制機構用回転体2の重量は、回転規制機構用回転体を中実の円板状に形成した場合の重量よりも軽い。つまり、中空部分を有する回転規制機構用回転体2の慣性モーメントは、中実の円板からなる回転規制機構用回転体の慣性モーメントよりも小さい。これにより、回転規制機構用回転体2では、回転規制機構用回転体を中実の円板状に形成した場合よりも係合突起部7に外力が加わった際の衝撃力を抑制することができる。
【0108】
上述のように構成される回転規制機構用回転体2を備える回転規制機構1は、より強い力が作用する部位で使用したり、回転規制機構用回転体2が連結されているモータ27の回転が停止していない状態で係合ピン8を係合させたりすることができる。これにより、回転規制機構用回転体2は、複数の係合突起部7と係合ピン8との係合によって回転を規制する回転規制機構1の使用環境を拡大することができる。
【0109】
回転規制機構制御装置100は、係合突起位置検出部110と、係合ピン移動制御部120とを有する。
【0110】
係合突起位置検出部110は、回転規制機構用回転体2が回転軸線Rを中心として回転している際に、位置検出センサ111からの出力に基づいて回転規制機構用回転体2の係合突起部7の位置を検出する。なお、係合突起位置検出部は、エンコーダの機能によって実現されてもよい。
【0111】
係合ピン移動制御部120は、係合ピン8を軸線方向に移動させる。係合ピン移動制御部120は、係合突起位置検出部110によって係合突起部7の位置が検出された際に、係合ピン8を軸線方向に移動させる。係合ピン移動制御部120は、例えば、ソレノイド10の電流をオフにすることにより、係合ピン8をばね9の力によって前記軸線方向に移動させる。これにより、係合ピン8は、回転規制機構用回転体2の係合突起部7に接触する規制位置に移動する。
【0112】
係合ピン移動制御部120は、例えば、係合突起位置検出部110によって、回転規制機構用回転体2の係合突起部7が係合ピン8と同じ周方向位置に位置していると検出された場合には、ソレノイド10の電流をオフにする。なお、係合ピン移動制御部120と、ソレノイド10と、ばね9とによって、係合ピン移動装置130が構成される。係合ピン移動装置は、係合ピン8を前記軸線方向に移動可能であれば、ソレノイド及びばね以外の構成を有していてもよい。また、係合ピン移動制御部は、回転規制機構用回転体2の係合突起部7に対して係合ピン8が係合可能なタイミングであれば、他のタイミングで係合ピン8を前記軸線方向に移動させてもよい。
【0113】
上述のように、係合ピン移動装置130は、係合突起位置検出部110によって検出された係合突起部7の位置に応じて係合ピン8を回転規制機構用回転体2に対して前記軸線方向に移動させる。
【0114】
[実施形態2]
<多関節ロボットアーム装置11>
図5及び図6を用いて、本発明の実施形態2に係る多関節ロボットアーム装置11の全体構成について説明する。なお、以下の実施形態において、既に説明した実施形態と同様の点に関してはその具体的説明を省略し、相違する部分を中心に説明する。
【0115】
多関節ロボットアーム装置11は、本発明の実施形態1に係る回転規制機構用回転体2を含む回転規制機構1を有する。図5は、本発明の実施形態2に係る多関節ロボットアーム装置11の模式図である。図6は、本発明の実施形態2に係る多関節ロボットアーム12のS軸回転関節14の模式図である。
【0116】
(多関節ロボットアーム12)
図5に示すように、多関節ロボットアーム装置11は、多関節ロボットアーム12及び多関節ロボットアーム制御装置30を含む。多関節ロボットアーム12は、本実施形態において、リンクが1自由度の回転関節によって基端から先端まで直列に連結されたシリアルリンク機構のロボットアームである。多関節ロボットアーム12は、例えば6軸の垂直多関節ロボットアームである。多関節ロボットアーム12は、例えば製造装置の基台や遠隔操作可能な遠隔操作車両に設けられている。
【0117】
多関節ロボットアーム12では、基端部から順に、S軸回転関節14、L軸回転関節16、U軸回転関節18、R軸回転関節20、B軸回転関節22及びT軸回転関節24が、それぞれ、筐体及びリンクによって、直列に連結されている。各軸は、減速機25及びアクチュエータ26によって回転可能に構成されている。S軸回転関節14、L軸回転関節16、U軸回転関節18、R軸回転関節20、B軸回転関節22及びT軸回転関節24は、それぞれ、減速機25及びアクチュエータ26を有する(図6参照)。
【0118】
多関節ロボットアーム12は、多関節ロボットアーム制御装置30によって制御される。多関節ロボットアーム12は、多関節ロボットアーム制御装置30から出力される制御信号を各軸のアクチュエータ26に含まれる駆動装置29によって取得する。また、多関節ロボットアーム12は、各軸のアクチュエータ26の出力に関する情報及びアブソリュートエンコーダ28からの情報を、多関節ロボットアーム制御装置30に送信する。
【0119】
図6に示すように、S軸回転関節14は、多関節ロボットアーム12全体を旋回させる回転関節である。S軸回転関節14は、多関節ロボットアーム12のSL軸用の筐体15に設けられている。S軸回転関節14の出力軸には、ベース部材13が固定されている。ベース部材13は、多関節ロボットアーム12の設置面に固定されている。S軸回転関節14は、多関節ロボットアーム12の設置面に対して垂直な方向にS軸回転関節14の軸線が延びるように配置されている。
【0120】
図5に示すように、L軸回転関節16は、下リンク17を揺動させる回転関節である。L軸回転関節16は、SL軸用の筐体15に設けられている。L軸回転関節16は、S軸回転関節14の軸線に対して垂直な方向にL軸回転関節16の軸線が延びるように配置されている。L軸回転関節16の出力軸には、下リンク17の一端部が固定されている。
【0121】
U軸回転関節18は、上腕リンク21を揺動させる回転関節である。U軸回転関節18は、多関節ロボットアーム12のUR軸用の筐体19に設けられている。U軸回転関節18の出力軸は、下リンク17の他端部に固定されている。U軸回転関節18は、L軸回転関節16の軸線に対して平行な方向にU軸回転関節18の軸線が延びるように配置されている。
【0122】
R軸回転関節20は、上腕リンク21を回転させる回転関節である。R軸回転関節20は、UR軸用の筐体19に設けられている。R軸回転関節20は、U軸回転関節18の軸線に対して垂直な方向にR軸回転関節20の軸線が延びるように配置されている。R軸回転関節20の出力軸には、上腕リンク21の一端部が固定されている。
【0123】
B軸回転関節22は、T軸回転関節24を揺動させる回転関節である。B軸回転関節22は、多関節ロボットアーム12のBT軸用の筐体23に設けられている。B軸回転関節22の出力軸は、上腕リンク21の他端部に固定されている。B軸回転関節22は、R軸回転関節20の軸線に対して垂直な方向にB軸回転関節22の軸線が延びるように配置されている。
【0124】
T軸回転関節24は、図示しないエンドエフェクタを回転させる回転関節である。T軸回転関節24は、BT軸用の筐体23に設けられている。T軸回転関節24は、B軸回転関節22の軸線に対して垂直な方向にT軸回転関節24の軸線が延びるように配置されている。T軸回転関節24の出力軸は、エンドエフェクタ取り付け部を有している。
【0125】
このように構成される多関節ロボットアーム12は、各軸の減速機25及びアクチュエータ26によってX軸、Y軸、Z軸方向の併進3自由度とX軸、Y軸、Z軸まわりの回転3自由度の合計6自由度を有する。従って、多関節ロボットアーム12は、多関節ロボットアーム12の可動空間内において、T軸回転関節24の出力軸を任意の位置に移動させることができるとともに任意の姿勢にすることができる。
【0126】
(アクチュエータ)
図5図6に示すように、S軸、L軸、U軸、R軸、B軸、T軸の減速機25及びアクチュエータ26は、それぞれ、多関節ロボットアーム制御装置30からの制御信号に従って、出力軸を回転させる駆動装置である。多関節ロボットアーム12の筐体15,筐体19,筐体23(図5参照)の内部には、減速機25及びアクチュエータ26が配置されている。なお、各軸の減速機25及びアクチュエータ26は同一の構成を有するため、以下では、S軸回転関節14について説明を行う。
【0127】
図6に示すように、S軸回転関節14の減速機25は、出力軸を入力軸の回転速度に対して減速した状態で回転させるとともに、前記出力軸の出力トルクとして前記減速に反比例した出力トルクを生成する装置である。減速機25は、多関節ロボットアーム12の筐体15内に設けられている。減速機25のハウジングは、多関節ロボットアーム12の筐体15の内部に固定されている。減速機25の出力軸は、ベース部材13に固定されている。
【0128】
S軸回転関節14のアクチュエータ26は、減速機25と、モータ27と、回転規制機構1と、アブソリュートエンコーダ28と、モータ27を制御するコンピュータである駆動装置29とを含む。多関節ロボットアーム12の筐体15内には、減速機25、モータ27、回転規制機構1、アブソリュートエンコーダ28及び駆動装置29が配置されている。
【0129】
アクチュエータ26に含まれるモータ27は、動力の発生源である。本実施形態では、モータ27は、筒状のステータ内に、ロータが回転可能に配置された、いわゆるインナーロータ型のモータ27である。ロータには、軸心に沿って延びる回転軸27aが軸方向に貫通した状態で固定されている。モータ27は、減速機25のケースにおいて動力が入力される一端部に固定されている。回転軸27aの一端部は、モータ27の出力軸として減速機25の入力軸に連結されている。
【0130】
アクチュエータ26に含まれる回転規制機構1は、モータ27における回転軸27aの回転を規制する。本実施形態では、回転規制機構1は、回転軸27aの他端部に設けられている。回転規制機構1は、機械的な係合によってモータ27の回転軸27aの回転を制限する。なお、回転規制機構1は、回転軸27aの一端部に設けられていてもよい。
【0131】
(回転規制機構1)
回転規制機構1は、回転規制機構用回転体2(図2参照)と、係合ピン8と、ソレノイド10とを含む。回転規制機構1は、モータ27(図1参照)の回転軸27aと一体で回転する回転規制機構用回転体2に係合ピン8が係合することにより、回転軸27aの回転を規制する。
【0132】
アクチュエータ26に含まれるアブソリュートエンコーダ28は、モータ27における回転軸27aの機械角360度以内の回転角度を検出する。アブソリュートエンコーダ28は、機械角360度以内の回転角度を検出するためのA/B相信号と機械角の原点を検出するためのZ相信号とを、駆動装置29と多関節ロボットアーム制御装置30(図2参照)とに送信する。アブソリュートエンコーダ28は、モータ27における回転軸27aの他端部に設けられている。つまり、回転規制機構1とアブソリュートエンコーダ28とは、モータ27の回転軸27aと一体に回転する。
【0133】
アクチュエータ26に含まれる駆動装置29は、モータ27に供給する駆動電流を制御する。駆動装置29は、例えば、コンピュータである。駆動装置29は、多関節ロボットアーム12の筐体15内に設けられている。駆動装置29は、多関節ロボットアーム制御装置30からの制御信号に応じた電流をモータ27に供給する。また、駆動装置29は、アブソリュートエンコーダ28のA/B相信号とZ相信号とをフィードバックパルスとして取得する。駆動装置29は、指令パルスに対するフィードバックパルスの差分に応じた電流をモータ27に供給するフィードバック制御によって、モータ27を制御する。また、駆動装置29は、回転規制機構1のソレノイド10を制御する。
【0134】
このように構成されるS軸回転関節14は、減速機25、モータ27、回転規制機構1及びアブソリュートエンコーダ28が一体に構成されている。また、多関節ロボットアーム12は、減速機25、アクチュエータ26及び駆動装置29が多関節ロボットアーム12の筐体15内に配置された機電一体構造として構成されている。S軸回転関節14では、モータ27の回転によって減速機25の出力軸が回転することにより、多関節ロボットアーム12の筐体15とアクチュエータ26とを一体に回転させる。
【0135】
図5に示すように、多関節ロボットアーム制御装置30は、多関節ロボットアーム12を制御する装置である。多関節ロボットアーム制御装置30は、実体的には、CPU、ROM、RAM、HDD等がバスによって接続された構成であってもよく、あるいはワンチップのLSI等からなる構成であってもよい。多関節ロボットアーム制御装置30には、多関節ロボットアーム12の動作を制御するために種々のプログラムやデータが格納されている。
【0136】
多関節ロボットアーム制御装置30は、S軸回転関節14、L軸回転関節16、U軸回転関節18、R軸回転関節20、B軸回転関節22及びT軸回転関節24に含まれる駆動装置29にそれぞれ接続されている。多関節ロボットアーム制御装置30は、各軸の駆動装置29に制御信号を送信することができる。また、多関節ロボットアーム制御装置30は、各軸のアクチュエータ26及び駆動装置29からモータ27の回転位置情報を取得することができる。
【0137】
上述のように中空部分を有する回転規制機構用回転体2は、中実の円板状に形成された回転規制機構用回転体よりも係合突起部7の塑性変形が生じ難い。従って、回転規制機構用回転体2は、多関節ロボットアーム装置11において、各軸の回転関節の中で最も強い力が作用するS軸回転関節14のアクチュエータ26の回転の規制に使用することができる。また、多関節ロボットアーム装置11は、回転規制機構用回転体2を使用することで、電源消失等によるモータ27の回転が停止していない状態でモータ27の回転を規制することができる。これにより、回転規制機構用回転体2は、複数の係合突起部7と係合ピン8との係合によって回転を規制する回転規制機構1の使用環境を拡大することができる。
【0138】
なお、回転規制機構1の動作は、例えば、次の3通りが考えられる。すなわち、回転規制機構1の動作は、第1動作と、第2動作と、第3動作とを含む。前記第1動作は、モータ27が有する回生ブレーキ(図示省略)によって回転軸27aの回転を停止させた後に係合ピン8を回転規制機構用回転体2の係合突起部7に係合させる動作である。前記第2動作は、図示しないショートブレーキによって回転規制機構用回転体2を含む回転体のエネルギーを熱に変換した後、回転規制機構用回転体2が回転している状態で、係合ピン8を回転規制機構用回転体2の係合突起部7に係合させる動作である。前記第3動作は、回転規制機構用回転体2が回転している状態で、係合ピン8を回転規制機構用回転体2の係合突起部7に係合させる動作である。回転規制機構1が動作する場合には、例えば多関節ロボットアーム装置11の機能の状態に応じて、上述の第1動作、第2動作または第3動作のいずれかを行う。
【0139】
[実施形態3]
<第1周方向連結部5と第2周方向連結部6との幅を制限した回転規制機構用回転体2B>
次に、図7を用いて、本発明の実施形態3に係る回転規制機構1Bについて説明する。図7は、本発明の実施形態3に係る回転規制機構用回転体2Bの平面図である。
【0140】
(回転規制機構1B)
図7に示すように、回転規制機構1Bは、回転規制機構用回転体2B、係合ピン8及びソレノイド10(図1参照)を含む。回転規制機構1Bは、モータ27(図1参照)の回転軸27aと一体で回転する回転規制機構用回転体2Bに係合ピン8が係合することにより、回転軸27aの回転を規制する。
【0141】
回転規制機構用回転体2Bは、モータ27の回転軸27aと一体で回転する枠状部材である。回転規制機構用回転体2Bは、回転軸27aの軸線方向に見て、多角形状(図7の例では6角形)である。回転規制機構用回転体2Bは、複数の梁状の径方向支持部3と、複数の梁状の第1周方向連結部5と、複数の梁状の第2周方向連結部6と、複数の係合突起部7と、を備える。
【0142】
複数の径方向支持部3は、回転軸27aの軸心である回転軸線Rを放射中心Cとする放射状に配置されている。また、複数の径方向支持部3は、隣り合う径方向支持部3のなす中心角度θが全て等しくなるように配置されている。複数の径方向支持部3の長手方向は、回転規制機構用回転体2の径方向と一致している。
【0143】
複数の第1周方向連結部5は、短手方向(回転規制機構用回転体2Bの径方向)の幅が幅W1である梁状に形成されている。複数の第1周方向連結部5は、隣り合う径方向支持部3に対し、それらの内端から長手方向に幅W1の範囲で連結されている。
【0144】
複数の第2周方向連結部6は、短手方向(回転規制機構用回転体2Bの径方向)の幅が幅W2である梁状に形成されている。複数の第2周方向連結部6は、隣り合う径方向支持部3に対し、それらの外端から長手方向に幅W2の範囲で連結されている。
【0145】
複数の第1周方向連結部5の幅W1及び複数の第2周方向連結部6の幅W2は、第1周方向連結部5の外縁から、第2周方向連結部6の内縁までの間隔W3よりも小さくなるように形成されている。つまり、複数の径方向支持部3の内端部には、径方向支持部3において何も連結されていない径方向の間隔W3の範囲よりも小さい幅W1の範囲に、第1周方向連結部5が連結されている。また、複数の径方向支持部3の外端部には、前記径方向の間隔W3の範囲よりも小さい幅W2の範囲に、第2周方向連結部6が連結されている。
【0146】
このように構成される複数の径方向支持部3では、第1周方向連結部5が連結されている幅W1の範囲の剛性と第2周方向連結部6が連結されている幅W2の範囲の剛性よりも、前記径方向の間隔W3の範囲の剛性が低い。従って、複数の径方向支持部3は、幅W1及び幅W2よりも間隔W3の範囲が大きくなるほど、間隔W3の範囲で弾性変形が生じやすい。これにより、径方向支持部3は、幅W1の範囲及び幅W2の範囲において弾性変形によって生じる応力が低減される。
【0147】
(モータ27の回転規制時の回転規制機構用回転体2Bの状態)
周方向の一方向(実線矢印参照)にモータ27の回転軸27aが回転している場合、係合ピン8の位置が前記規制位置に切り替えられると、回転規制機構用回転体2Bの係合突起部7は、一方向に回転しながら係合ピン8に接触する。係合ピン8に接触した係合突起部7には、係合ピン8から他方向外力が加わる(図3の黒塗矢印参照)。
【0148】
前記係合突起部7に加わった他方向外力は、径方向支持部3と、径方向支持部3の外端部に対して周方向の一方に連結されている第2周方向連結部6と、径方向支持部3の外端部に対して周方向の他方に連結されている第2周方向連結部6とに伝達される(図3のハッチング矢印A1、ハッチング矢印A2、ハッチング矢印A3参照)。
【0149】
径方向支持部3には、他方向外力によって外端部から周方向の他方向に曲げられる弾性変形が生じる。径方向支持部3には、内端部における幅W1の範囲及び外端部における幅W2の範囲よりも剛性が低く且つ幅W1の範囲及び幅W2の範囲よりも大きい間隔W3の範囲に、幅W1の範囲及び幅W2の範囲よりも大きい弾性変形が生じる。
【0150】
前記径方向支持部3の幅W1の範囲、幅W2の範囲及び間隔W3の範囲には、弾性変形によって応力が生じる。この際、幅W1の範囲及び幅W2の範囲で生じる応力は、間隔W3の範囲に生じる弾性変形により低減される。つまり、径方向支持部3に生じる応力は、幅W1の範囲、幅W2の範囲及び間隔W3の範囲に分散される。また、幅W1の範囲及び幅W2の範囲に生じる応力集中は、間隔W3の範囲に生じる弾性変形により緩和される。これにより、幅W1の範囲及び幅W2の範囲に生じる応力値が低減される。よって、回転規制機構用回転体2Bに塑性変形が生じにくい。従って、前記回転規制機構用回転体2Bは、複数の係合突起部7の係合によって回転を規制する回転規制機構1Bの使用環境を拡大することができる。
【0151】
[実施形態4]
<係合突起部31が軸方向に延びている回転規制機構用回転体2C>
次に、図8図9を用いて、本発明の実施形態4に係る回転規制機構1Cについて説明する。図8は、本発明の実施形態4に係る回転規制機構1Cの側面図である。図9は、本発明の実施形態4に係る回転規制機構用回転体2Cの平面図である。
【0152】
図8に示すように、回転規制機構1Cは、回転規制機構用回転体2Cと、係合ピン8と、ソレノイド10とを含む。回転規制機構1Cは、モータ27の回転軸27aと一体で回転する回転規制機構用回転体2Cに係合ピン8が係合することにより、モータ27の回転軸27aの回転を規制する。
【0153】
図8図9とに示すように、回転規制機構用回転体2Cは、モータ27の回転軸27aと一体で回転する状部材である。回転規制機構用回転体2は、回転軸27aの軸線方向に見て、多角形状(図9の例では6角形)である。回転規制機構用回転体2Cは、複数の梁状の径方向支持部3と、複数の梁状の第1周方向連結部5と、複数の梁状の第2周方向連結部6と、複数の係合突起部31と、を備える。
【0154】
複数の係合突起部31は、係合ピン8と係合可能なように各径方向支持部3から回転規制機構用回転体2Cの回転軸線Rの軸線方向に延びている。具体的には、複数の係合突起部31は、複数の径方向支持部3の外端部から回転軸線Rと軸心が一致しているモータ27の回転軸27aの他端方向に延びるように形成されている。よって、複数の係合突起部31は、回転規制機構用回転体2Cに、周方向に等間隔に設けられている。
【0155】
本実施形態において、複数の係合突起部31は、それぞれ、モータ27の回転軸27aの他端方向に屈曲している。また、複数の係合突起部31は、複数の第2周方向連結部6の外縁から回転規制機構用回転体2Cの回転軸線Rの軸線方向に延びるように形成されている。係合突起部31は、係合ピン8と係合し、回転規制機構用回転体2Cの回転を規制可能なように回転軸線Rの方向に延びている。
【0156】
上述のように複数の係合突起部31が回転規制機構用回転体2Cの回転軸線Rの軸線方向に延びることにより、回転規制機構用回転体2Cの最大半径は、回転規制機構用回転体2Cの回転軸線Rから複数の第2周方向連結部6の外縁までの距離である。これにより、回転規制機構用回転体2Cの最大半径は、複数の係合突起部が径方向に延びる構成に比べて小さい。
【0157】
上述のように、複数の係合突起部31が回転軸線Rの軸線方向に延びることにより、回転規制機構用回転体2Cの最大半径を小さくすることができる。また、回転規制機構用回転体2Cは、複数の係合突起部31に係合させる係合ピン8の設計自由度を向上させることができる。これにより、回転規制機構用回転体2Cによって、複数の係合突起部31の係合によって回転を規制する回転規制機構1Cの使用環境を拡大することができる。
【0158】
また、上述のように、複数の係合突起部31が回転規制機構用回転体2Cの回転軸線Rの軸線方向に延びることにより、係合突起部が回転規制機構用回転体の径方向に延びている構成に比べて、回転規制機構用回転体2Cの厚みを小さくしつつ、回転規制機構用回転体2Cにおいて係合ピン8と接触する接触面を大きくすることができる。これにより、回転規制機構用回転体2Cと係合ピン8とが係合した際に回転規制機構用回転体2Cに生じる応力集中を低減できる。
【0159】
なお、回転規制機構用回転体2Cにおける係合突起部31以外の構成は、実施形態1の回転規制機構用回転体2と同様の構成である。よって、回転規制機構用回転体2Cにおける係合突起部31以外の構成により、実施形態1の回転規制機構用回転体2と同様の作用効果が得られる。
【0160】
<実施形態4の変形例における回転規制機構用回転体2D>
実施形態4の回転規制機構用回転体2では、複数の径方向支持部3が回転規制機構用回転体2の回転軸線Rの軸線方向に屈曲されることにより、複数の係合突起部31が形成されている。しかしながら、回転規制機構用回転体の構成は、上述の構成に限定されない。
【0161】
図10は、本発明の実施形態4の変形例に係る回転規制機構用回転体2Dの平面図である。図10に示すように、回転規制機構1Dの回転規制機構用回転体2Dは、例えば複数の径方向支持部3の外端部に、係合突起部として複数の円柱状の回転係合ピン32を有する。複数の回転係合ピン32は、複数の径方向支持部3の外端部から回転規制機構用回転体2Dの回転軸線Rにおける一方向又は他方向に延びるように設けられている。複数の回転係合ピン32は、回転規制機構用回転体2Dに、周方向に等間隔に設けられている。
【0162】
これにより、上述の実施形態4と同様の作用効果を得ることができる。
【0163】
[実施形態5]
<衝撃低減部33bを有する係合ピン33を備えるアクチュエータ26A>
図11図12とを用いて、本発明の実施形態5に係る回転規制機構1Eを備えたアクチュエータ26Aについて説明する。図11は、本発明の実施形態5に係る回転規制機構1Eを備えるアクチュエータの側面図である。図12は、本発明の実施形態5に係るアクチュエータ26Aの回転規制機構用回転体2と係合ピン33とが接触した際の係合ピン33の弾性変形状態を表す平面図である。回転規制機構用回転体2の構成は、実施形態1における回転規制機構用回転体2の構成と同様である。
【0164】
図11に示すように、アクチュエータ26Aは、モータ27と、回転規制機構1Eと、アブソリュートエンコーダと、モータ27を制御するコンピュータである駆動装置とを含む。なお、アブソリュートエンコーダ及び駆動装置の構成は、図6に示す構成と同様である。
【0165】
回転規制機構1Eは、モータ27の回転軸27aの回転を規制する。回転規制機構1Eは、機械的な係合によってモータ27の回転軸27aの回転を制限する。回転規制機構1Eは、回転規制機構用回転体2、係合ピン33及びソレノイド10を備える。回転規制機構1Eは、モータ27の回転軸27aと一体で回転する回転規制機構用回転体2に係合ピン33が係合することにより、モータ27の回転軸27aの回転を規制する。
【0166】
係合ピン33は、回転規制機構用回転体2の回転を規制する部材である。係合ピン33は、モータ27のハウジング等、モータ27及び回転規制機構用回転体2と連動して回転しない部分に支持されている。係合ピン33は、基部33a、衝撃低減部33b及び接触部33cを有する。
【0167】
基部33aは、衝撃低減部33b及び接触部33cを支持する部材である。基部33aは、例えば円柱状に形成されている。基部33aは、軸方向の一端部にソレノイド10が配置される。また、基部33aは、軸方向の他端部にばね9が配置されている。基部33aは、軸線方向に移動可能に構成されている。基部33aは、軸線が回転規制機構用回転体2の回転軸線Rと平行になるように配置されている。
【0168】
衝撃低減部33bは、接触部33cを介して伝達される衝撃力を吸収する部材である。衝撃低減部33bは、弾性体である合成ゴム等によって構成されている。衝撃低減部33bは、例えば、基部33aが挿入可能な中空円筒状に形成されている。衝撃低減部33bは、基部33aの外周面上に設けられている。衝撃低減部33bは、接触部33cに係合突起部7が接触することにより加わる衝撃力をある程度吸収可能な厚さに形成されている。
【0169】
接触部33cは、回転規制機構用回転体2の複数の係合突起部7と接触する部材である。接触部33cは、例えば、衝撃低減部33bが挿入可能な中空円筒状に形成されている。接触部33cは、衝撃低減部33bの外周面を覆うように設けられている。つまり、接触部33cは、衝撃低減部33bに係合突起部7が直接接触しないようにすることにより、衝撃低減部33bを保護している。
【0170】
このように構成される係合ピン33は、ソレノイド10及びばね9によって、基部33aと衝撃低減部33bと接触部33cとが一体で軸線方向に移動可能に構成されている。係合ピン33は、ソレノイド10によって、接触部33cが回転規制機構用回転体2の複数の係合突起部7に接触する規制位置(二点鎖線図)と、接触部33cが係合突起部7に接触しない開放位置(実線図)とのいずれか一方に切り替えられる。また、係合ピン33には、ばね9によって規制位置に保持されるように軸線方向に力が加えられている。
【0171】
図12に示すように、回転規制機構1Eは、係合ピン33の位置が前記規制位置に切り替えられた場合、回転規制機構用回転体2の回転角度範囲を、係合突起部7が係合ピン33の接触部33cに接触する角度から前記係合突起部7と隣り合う他の係合突起部7が接触部33cに接触する角度までの範囲に規制する。
【0172】
周方向の一方向(実線矢印参照)に回転する回転規制機構用回転体2の第1セクションS1内において、係合ピン33が規制位置に切り替えられた場合、係合ピン33の接触部33cは、回転規制機構用回転体2の第1の係合突起部7aに接触する。これにより、接触部33cには、第1の係合突起部7aから衝撃力が加わる。この際、係合ピン33では、基部33aと接触部33cとの間で衝撃低減部33bが弾性変形する(黒塗矢印参照)。係合ピン33は、第1の係合突起部7aから受ける衝撃力を吸収するとともに、第1の係合突起部7aの弾性変形量を、衝撃低減部33bを有しない場合に比べて低減させる。これにより、回転規制機構1Eは、衝撃低減部33bを有する係合ピン33によって、回転規制機構用回転体2と係合ピン33とに生じる応力を抑制する。
【0173】
回転規制機構1Eを備えるアクチュエータ26Aでは、回転規制機構1Eの回転規制機構用回転体2の回転を規制することによって、回転規制機構用回転体2が接続されている回転軸27aの回転が規制される。この際に係合ピン33及び回転規制機構用回転体2に生じる応力が抑制される。従って、アクチュエータ26Aは、例えば多関節ロボットアーム装置11において、各軸の回転関節の中で最も強い力が作用するS軸回転関節14のアクチュエータとして使用することができる。これにより、アクチュエータ26Aは、複数の係合突起部7の係合によって回転を規制する回転規制機構1Eの使用環境を拡大することができる。
【0174】
また、本実施形態のように係合ピン33において接触部33cと基部33aとの間に衝撃低減部33bが設けられていることにより、回転規制機構用回転体2と係合ピン33との係合によって発生する騒音及び振動を低減できる。
【0175】
なお、本実施形態においても、実施形態1と同様、複数の係合突起部7のうち隣り合う係合突起部7の間隔は、軸線方向に延びる円柱状の係合ピン33を前記軸線方向に見た係合ピン33の直径(周方向の最大寸法)と、係合突起部7の周方向の幅との合計よりも大きい。
【0176】
[実施形態6]
<回転衝撃低減部34aを有する回転規制機構用回転体2Fを備えるアクチュエータ26B>
図13を用いて本発明の実施形態6に係る回転規制機構1Fを備えたアクチュエータ26Bについて説明する。図13は、発明の実施形態6に係るアクチュエータの回転規制機構用回転体2Fと係合ピン8とが接触した際の回転接触部34bの弾性変形状態を表す平面図である。
【0177】
図13に示すように、アクチュエータ26Bは、モータと、回転規制機構1Fと、アブソリュートエンコーダと、モータ27を制御するコンピュータである駆動装置とを含む。なお、モータ、アブソリュートエンコーダ及び駆動装置の各構成は、図6に示す構成と同様である。
【0178】
回転規制機構1Fは、モータ27における回転軸27aの回転を規制する。本実施形態では、回転規制機構1Fは、回転規制機構用回転体2Fと、係合ピン8と、ソレノイドとを含む。なお、ソレノイドの構成は、図6に示す構成と同様である。
【0179】
回転規制機構用回転体2Fの複数の係合突起部7は、複数の回転衝撃低減部34aと、複数の回転接触部34bとを有する。
【0180】
複数の回転衝撃低減部34aは、回転接触部34bから伝達される衝撃力を吸収する部材である。複数の回転衝撃低減部34aは、弾性体である合成ゴム等によって構成されている。複数の回転衝撃低減部34aは、複数の係合突起部7にそれぞれ設けられている。複数の回転衝撃低減部34aは、複数の係合突起部7を覆うように設けられている。複数の回転衝撃低減部34aは、係合ピン8によって加わる衝撃力をある程度吸収可能な厚さに形成されている。
【0181】
複数の回転接触部34bは、係合ピン8と接触する。複数の回転接触部34bは、複数の回転衝撃低減部34aを覆うように設けられている。つまり、回転接触部34bは、回転衝撃低減部34aに係合ピン8が接触しないようにして回転衝撃低減部34aを保護している。
【0182】
周方向の一方向(実線矢印参照)に回転する回転規制機構用回転体2Fの第1セクションS1内において、係合ピン8が規制位置に切り替えられた場合、第1の係合突起部7aに設けられた回転接触部34bには、係合ピン8が接触する。回転接触部34bには、係合ピン8から衝撃力が加わる。この際、第1の係合突起部7は、回転衝撃低減部34aが弾性変形することにより(黒塗矢印方向)、係合ピン8から加わる衝撃力が低減される。これにより、回転規制機構1Fは、回転衝撃低減部34aによって、回転規制機構用回転体2Fと係合ピン8とに生じる応力を抑制する。
【0183】
回転規制機構1Fを備えるアクチュエータ26Bでは、係合ピン8及び回転規制機構用回転体2Fに生じる応力が抑制される。よって、アクチュエータ26Bにおいて、係合突起部7の係合によって回転を規制する回転規制機構1Fの使用環境を拡大することができる。
【0184】
また、本実施形態のように回転規制機構用回転体2Fの係合突起部7を覆うように回転衝撃低減部34aが設けられていることにより、回転規制機構用回転体2Fと係合ピン8との係合によって発生する騒音及び振動を低減できる。
【0185】
なお、回転規制機構用回転体2Fにおける回転衝撃低減34a及び回転接触部34b以外の構成は、実施形態1の回転規制機構用回転体2と同様の構成である。よって、回転規制機構用回転体2Fにおける回転衝撃低減34a及び回転接触部34b以外の構成により、実施形態1の回転規制機構用回転体2と同様の作用効果が得られる。
【0186】
(その他の実施形態)
なお、上述の実施形態2において、6軸の垂直多関節ロボットアームである多関節ロボットアーム12は、一例としてS軸回転関節14、L軸回転関節16、U軸回転関節18、R軸回転関節20、B軸回転関節22及びT軸回転関節24がそれぞれリンクによって直列に連結されているが、これに限定されない。各軸の連結数、各軸のモータユニットMの連結順、連結される際の軸線方向等は、多関節ロボットアームとして成立する構造であれば、上述の実施形態2以外の構成であってもよい。多関節ロボットアームは、例えば、7軸の垂直多関節ロボットアームでもよい。
【0187】
また、上述の実施形態2において、アクチュエータ26は、多関節ロボットアーム12の各軸の回転関節として用いられている。しかしながら、アクチュエータ26の構成は、上述の実施形態の構成に限定されない。例えば、アクチュエータ26は、XYテーブルや垂直搬送装置等、位置制御が必要な装置等に適用してもよい。また、アクチュエータ26は、減速機25を含まなくてもよい。
【0188】
また、上述の実施形態2において、アクチュエータ26は、モータ27、減速機25、アブソリュートエンコーダ28及び駆動装置29が多関節ロボットアーム12の筐体15、筐体19、筐体23内にそれぞれ設けられている機電一体構造として構成されている。しかしながら、アクチュエータ26の構成は、上述の実施形態2の構成に限定されない。例えば、アクチュエータは、駆動装置が多関節ロボットアームの筐体の外に配置されていてもよい。
【0189】
また、上述の全ての実施形態において、回転規制機構用回転体2、回転規制機構用回転体2B、回転規制機構用回転体2C、回転規制機構用回転体2D、回転規制機構用回転体2F(以下、単に「各回転規制機構用回転体」と記す)は、ステンレス鋼によって構成されている。しかしながら、各回転規制機構用回転体は、防錆処理が施された鉄、アルミニウム合金、セラミックス、炭素繊維強化プラスチック及びガラス繊維強化プラスチック等、防錆性を有し且つ係合ピン8から受ける衝撃力に耐えうる材料であれば、他の材料であってもよい。
【0190】
また、上述の全ての実施形態において、各回転規制機構用回転体は、回転軸27aの軸線方向に見て、6角形状を有する。しかしながら、各回転規制機構用回転体は、多角形であれば、他の形状を有していてもよい。
【0191】
また、上述の全ての実施形態において、各回転規制機構用回転体には、係合部突起部7,31及び回転係合ピン32が周方向に等間隔に6ケ所形成されている。しかしながら、各回転規制機構用回転体の構成は、上述の実施形態の構成に限定されない。例えば、係合突起部及び回転係合ピンの数は、6以外であってもよい。また、複数の係合突起部及び複数の回転係合ピンは、周方向に等間隔に形成されていなくてもよい。
【0192】
また、上述の全ての実施形態において、各回転規制機構用回転体は、第1周方向連結部5と第2周方向連結部6とによって隣り合う径方向支持部3同士が連結されている。しかしながら、各回転規制機構用回転体の構成は、上述の構成に限定されない。例えば、各回転規制機構用回転体は、3つ以上の周方向連結部において隣り合う径方向支持部3同士が連結されていてもよい。
【0193】
また、上述の全ての実施形態において、各回転規制機構用回転体は、複数の径方向支持部3が、1つの点を放射中心Cとする放射状に配置されている。しかしながら、各回転規制機構用回転体の構成は、上述の構成に限定されない。例えば、各回転規制機構用回転体は、複数の径方向支持部が複数のグループに分かれて、グループ毎に異なる点を放射中心とする放射状に配置されていてもよい。
【0194】
また、上述の全ての実施形態において、各回転規制機構用回転体では、6つの径方向支持部3が隣り合う径方向支持部3の間の中心角度θを60度として放射状に配置されている。しかしながら、各回転規制機構用回転体の構成は、上述の構成に限定されない。例えば、複数の径方向支持部が放射状に配置されていれば、隣り合う径方向支持部の間の中心角度は60度に限定されない。
【0195】
また、上述の全ての実施形態において、各回転規制機構用回転体では、第1周方向連結部5が多角形状を構成するように、隣り合う径方向支持部3を連結している。しかしながら、第1周方向連結部は、円環状になるように、隣り合う径方向支持部を連結していてもよい。
【0196】
また、上述の全ての実施形態において、回転規制機構1、回転規制機構1B、回転規制機構1C、回転規制機構1D、回転規制機構1E、回転規制機構1F(以下、単に「各回転規制機構」と記す)は、係合ピン8、33が各回転規制機構用回転体の係合突起部7に係合するように構成されている。しかしながら、各回転規制機構の構成は、上述の構成に限定されない。例えば、各回転規制機構は、複数の第1周方向連結部5と複数の第2周方向連結部6との間の複数の径方向支持部3に係合ピン8、33が係合してもよい。
【0197】
また、上述の全ての実施形態において、係合ピン8、33は、ステンレス鋼によって構成されている。しかしながら、係合ピン8、33の構成は、上述の実施形態の構成に限定されない。例えば、係合ピン8、33は、防錆処理が施された鉄、アルミニウム合金、セラミックス、炭素繊維強化樹脂及びガラス繊維強化樹脂等、防錆性を有し、各回転規制機構用回転体との接触による衝撃力に耐えうる材料であれば、他の材料であってもよい。
【0198】
また、上述の全ての実施形態において、係合ピン8、33は、軸線が回転規制機構用回転体の回転軸線と平行な方向に移動するように配置されている。しかしながら、係合ピン8、33の構成は、上述の実施形態の構成に限定されない。係合ピン8、33は、回転規制機構用回転体の厚み方向に移動する構成であればよい。例えば、係合ピン8、33は、軸線が回転規制機構用回転体の回転軸線に対して斜めに移動するように構成されていてもよい。
【0199】
また、上述の全ての実施形態において、複数の係合突起部7のうち隣り合う係合突起部7の間隔Lsは、係合ピン8,33を前記軸線方向に見た係合ピン8、33の直径Dと、係合突起部7の周方向の幅Wとの合計よりも大きい。しかしながら、隣り合う係合突起部の間隔は、係合ピン8,33の直径Dと、係合突起部7の周方向の幅Wとの合計と同じであってもよいし、前記合計よりも小さくてもよい。
【0200】
また、上述の全ての実施形態において、係合ピン8,33は、円柱状である。しかしながら、係合ピンは、四角柱状などの多角柱状であってもよいし、球状や多面体形状などの柱状以外の形状であってもよい。この場合には、上述の関係において、係合ピンの直径の代わりに、係合ピンを軸線方向に見て前記係合ピンにおける前記周方向の最大寸法を用いればよい。
【0201】
また、上述の実施形態5、6において、衝撃低減部33b及び回転衝撃低減部34aは、合成ゴムによって構成されている。しかしながら、衝撃低減部33b及び回転衝撃低減部34aの構成は、上述の実施形態5、6の構成に限定されない。例えば、衝撃低減部33b及び回転衝撃低減部34aは、弾性を有する樹脂等によって構成されてもよい。また。衝撃低減部33b及び回転衝撃低減部34aの構成は、板ばね等の弾性を有する構成であってもよい。
【0202】
また、上述の実施形態5において、回転規制機構1Eでは、係合ピン33に衝撃低減部33bが設けられている。また、上述の実施形態6において、回転規制機構1Fでは、回転規制機構用回転体2Fの複数の係合突起部7に回転衝撃低減部34aが設けられている。しかしながら、回転規制機構1E,1Fは、上述の実施形態の構成に限定されない。例えば、回転規制機構1Eでは、回転規制機構用回転体2の複数の係合突起部7と係合ピン33との両方に衝撃低減部が設けられていてもよい。また、回転規制機構1Fでは、回転規制機構用回転体2Fの複数の係合突起部7と係合ピン8との両方に衝撃低減部が設けられていてもよい。
【0203】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0204】
本発明は、回転規制機構用回転体及び回転規制機構用回転体を有する回転規制機構を備えたアクチュエータに利用可能である。
【符号の説明】
【0205】
1、1B、1C、1D、1E、1F 回転規制機構
2、2B、2C、2D、2F、200 回転規制機構用回転体
3 径方向支持部
4 固定部
5 第1周方向連結部
6 第2周方向連結部
7、31 係合突起部
8、33 係合ピン(固定規制部材)
33a 基部
33b 衝撃低減部
33c 接触部
34a 回転衝撃低減部
34b 回転接触部
9 ばね
10 ソレノイド
11 多関節ロボットアーム装置
26、26A、26B アクチュエータ
27 モータ
27a 回転軸
100 回転規制機構制御装置
110 係合突起位置検出部
120 係合ピン移動制御部
130 係合ピン移動装置
R 回転軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13