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特許7368532補助ディーゼルエンジンのための可動式排出ガス制御システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】補助ディーゼルエンジンのための可動式排出ガス制御システム
(51)【国際特許分類】
   B63H 21/32 20060101AFI20231017BHJP
   B01D 53/92 20060101ALI20231017BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20231017BHJP
   F01N 3/022 20060101ALI20231017BHJP
   B63B 17/06 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
B63H21/32 Z
B01D53/92 225
B01D53/92 ZAB
B01D53/94 212
B01D53/94 222
B01D53/94 228
B01D53/94 241
B01D53/94 270
B01D53/92 213
B01D53/92 270
B01D53/92 350
B01D53/92 360
F01N3/022 B
B63B17/06
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022061838
(22)【出願日】2022-04-01
(62)【分割の表示】P 2020573561の分割
【原出願日】2019-05-08
(65)【公開番号】P2022093355
(43)【公開日】2022-06-23
【審査請求日】2022-05-02
(31)【優先権主張番号】15/990,344
(32)【優先日】2018-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520462610
【氏名又は名称】クリーン エアー - エンジニアリング - マリタイム、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トンシック、ニコラス、ジー.
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-204023(JP,A)
【文献】特開2013-55750(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0342883(US,A1)
【文献】特開2004-331323(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106231249(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0106173(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0244318(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0265449(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0090379(US,A1)
【文献】特開2014-117066(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63H 21/32
B01D 53/92
B01D 53/94
F01N 3/022
B63B 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
停泊中の船の排気からの排出ガスを削減する排出ガス削減システムであって、
(a)ハウジング内に配置された排出ガス制御システムであって、前記船の排気を受け入れるための排気入口と、排出ガスが低減された排気を排出するための排気出口とを有する、排出ガス制御システムと、
(b)前記船の排気を捕捉して処理するためのダクトを有する排出ガス捕捉システム、及び
(c)無人搬送車であって、前記排出ガス制御システム及び前記排出ガス捕捉システムが前記無人搬送車に取り付けられており、前記無人搬送車は電源を含み、前記電源は前記無人搬送車及び前記排出ガス制御システムの間で共有されている、無人搬送車
を備える、排出ガス削減システム。
【請求項2】
前記ダクトが2つの端部を有し、前記ダクトの一端が前記船まで延在して前記船の排気を捕捉し、前記ダクトの他端が前記排出ガス制御システムに接続する、請求項1に記載の排出ガス削減システム。
【請求項3】
前記ダクトが、伸長及び収縮する伸縮式ダクトである、請求項2に記載の排出ガス削減システム。
【請求項4】
前記無人搬送車が、タワーであって、前記タワーに取り付けられた伸縮式クレーンを有するタワーを含み、前記タワーが、前記伸縮式ダクトを前記船まで伸長して、前記船の排気を捕捉し、前記排出ガス制御システムを通して排気を濾過する、請求項3に記載の排出ガス削減システム。
【請求項5】
前記排出ガス制御システムが、セラミックフィルタを有するフィルタハウジングを含む、請求項1に記載の排出ガス削減システム。
【請求項6】
停泊中の船の排気を濾過するための排出ガス制御システムを運搬する陸上で操作可能な無人搬送車であって、前記無人搬送車は、前記排出ガス制御システムを収容するように設計されたシャーシを備え、前記排出ガス制御システムは、前記船の排気を受け入れるための排気入口と、排出ガスが低減された排気を排出するための排気出口とを有し、前記無人搬送車は、さらに、前記シャーシに取り付けられた可動式タワーであって、伸縮式クレーン又はブームを支持する可動式タワーを備え、前記無人搬送車は、電源を備え、前記電源は、前記無人搬送車及び前記可動式タワーの間で共有されている、無人搬送車。
【請求項7】
排出ガス制御システムが前記無人搬送車のシャーシに取り付けられている、請求項6に記載の無人搬送車。
【請求項8】
前記電源が、前記無人搬送車及び前記排出ガス制御システムによって共有される、請求項7に記載の無人搬送車。
【請求項9】
前記クレーンが伸縮式である、請求項6に記載の無人搬送車。
【請求項10】
縮式ダクトが、前記排出ガス制御システムに取り付けられ、前記無人搬送車の前記クレーンによって支持されている、請求項7に記載の無人搬送車。
【請求項11】
前記クレーンが、前記タワーに枢動可能に取り付けられている、請求項6に記載の無人搬送車。
【請求項12】
停泊中の船からの排気を濾過する排出ガス削減システムであって、
無人搬送車であって、シャーシ、前記シャーシに取り付けられたタワー、前記無人搬送車に電力を供給するための電源、及び前記タワーによって支持されたクレーン又はブームを有する無人搬送車、
前記無人搬送車の前記シャーシに取り付けられた排出ガス制御システムであって、前記船の排気を受け入れるための排気入口と、排出ガスが低減された排気を排出するための排気出口とを有する、排出ガス制御システムと、
伸縮式ダクトを有する排出ガス捕捉システムであって、前記伸縮式ダクトが、第1の端部で前記排出ガス制御システムの前記排気入口に直接取り付けられており、前記クレーン又はブームが前記船の近くに前記伸縮式ダクトの第2の端部を配置し、前記船の排気を捕捉して前記排出ガス制御システムで濾過することができるように、前記無人搬送車の前記クレーン又はブームによって支持されている、排出ガス捕捉システム
を備え、
前記無人搬送車の前記電源は、前記クレーン又はブームにも電力を供給する、排出ガス削減システム。
【請求項13】
前記無人搬送車が、前記無人搬送車の移動を制御するための電源を含み、前記排出ガス制御システムも前記電源によって電力を供給される、請求項12に記載の排出ガス制御システム。
【請求項14】
前記無人搬送車の移動及び前記クレーンの移動の両方が遠隔制御される、請求項12に記載の排出ガス制御システム。
【請求項15】
前記クレーン又はブームが伸縮式である、請求項12に記載の排出ガス制御システム。
【請求項16】
前記排出ガス制御システムが、セラミックフィルタを有するフィルタハウジングを含む、請求項12に記載の排出ガス制御システム。
【請求項17】
排出ガス制御システムを運搬する無人搬送車であって、前記無人搬送車は、シャーシと、前記シャーシに取り付けられたタワー、及び前記タワーによって支持されたクレーン又はブームを備え、前記無人搬送車及びクレーンが遠隔操作され得、前記無人搬送車は電源を含み、前記電源が前記無人搬送車及び前記排出ガス制御システムの間で共有される、無人搬送車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2018年5月25日に出願された「補助ディーゼルエンジンのための可動式排出ガス制御システム」という名称の米国特許出願第15/990,344号の優先権を主張し;これは、2017年6月9日に出願された「補助ディーゼルエンジンのための可動式排出ガス制御システム」という名称の米国特許出願第15/619,197号の一部係属出願であり、この出願は、2016年9月29日に出願された「補助ディーゼルエンジンのための可動式排出ガス制御システム」という名称の米国仮特許出願第62/401,753の優先権を主張し;また、2016年8月8日に出願された「補助ディーゼルエンジンのための排出ガス制御システム」という名称の米国特許出願第15/231,071号の一部継続出願であり、その優先権を主張し、この出願は、2015年8月6日に出願された「補助ディーゼルエンジンのための排出ガス制御システム」という名称の米国仮特許出願第62/201,925号の優先権を主張し;上記のすべての出願は、参照によりその全体がこの出願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、可動式排出ガス削減システム、特に、停泊中の外航船(又は船舶)で動作する補助ディーゼルエンジンのための可動式空中有害排出ガス削減システムに関する。
【背景技術】
【0003】
カリフォルニア州大気資源局(「CARB」)は、一般に停泊規制と呼ばれる規制を採用しており、この規制の目的は、規制が定めるカリフォルニア州の港(ロサンゼルス、ロングビーチ、オークランド、サンフランシスコ、及びワイニーミの港)に停泊している間の、コンテナ船、旅客船、及び冷凍貨物船のディーゼル補助エンジンからの排出ガスを削減することである。他の管轄区域では、同様の規制を有するか、又は採用を検討している。停泊規制は、規制対象の港を訪れる船団の操縦士に、補助エンジンからの停泊時の排出ガスを削減するための2つの選択肢、すなわち(1)補助エンジンをオフにし、船舶を他の電源、おそらくグリッドベースの陸上電力に接続すること、又は(2)同等の排出ガス削減を達成する代替制御技術を使用することを提供する。
【0004】
代替電源に接続するための現在の選択肢は、多くの場合、面倒で高価であり、以下の理由、(i)船が陸上電力用に配線されていない、(ii)船会社が、陸上電力への転換費用を望まない、(iii)ターミナルに利用可能な陸上電力がない、又は(iv)陸上電力に過度の応力がかかり、追加の需要を提供できない、などの1つ以上を含むいくつかの理由で利用できない場合がある。
【0005】
現在、同等の排出ガス削減を達成する代替の制御技術はほとんど、又はまったく利用できない。したがって、陸上電力接続の手頃な代替手段が必要とされている。このような経済的な解決策がなければ、一部の船舶は主要な港(カリフォルニア州の港など)に入れず、荷送人のビジネスに悪影響を及ぼす。さらに、CARBの停泊規制、又はその他の同様の制限の対象となる港も悪影響を受ける。つまり、適用される制限又は規制に準拠していない、又は準拠できない船によるビジネスを失うだけでなく、同様の非準拠のドックに船を引き付けることにより、ビジネスの拡大が妨げられる。
【発明の概要】
【0006】
停泊中の船が補助ディーゼルエンジン又はエンジンを排出ガスを削減して動作できるようにする可動式排出ガス削減システムが提供される。このように、排出ガス削減システムは、CARB規制、又は他の同様の制限又は規制などの排出ガスに関する適用される規制及び/又は制限に準拠することを可能にする。本発明は、陸上電力を使用できない、又は使用しないことを選択する外航船のために、陸上電力に代わる効率的で経済的かつ規制に準拠した代替物(すなわち、代替海上電力同等物)を提供する。さらに、本発明は、船が陸上電力について規制されていないが、環境への影響を最小限に抑えて運航したい場合でも有用である。本発明は、船の補助ディーゼルエンジンのスタックに直接結合され、排出ガス捕捉システム及び排出ガス制御システムの2つの重要な要素を含む。
【0007】
本発明の一例では、ディーゼルエンジンの排気は、排出ガス捕捉システムによって捕捉され、排出ガス捕捉システムは、一端で船の補助ディーゼルエンジンのスタックに取り付けられ、他端で排出ガス制御システムに取り付けられる。排出ガス捕捉システムは、伸縮式クレーンによって操作され得る伸縮式ダクトを備える。任意選択的に、ダクトは、関節式クレーンによって操作され得る関節式ダクトであり得る。
【0008】
クレーンは、トラック又は独立型移動式ユニットのいずれかに配置して移動可能にするか、又は固定タワーに取り付けることができる。次に、排出ガス捕捉システムによって捕捉された排気は、排出ガスを制御することができる排出ガス制御システムに供給される。排出ガス制御システムは、シャーシに取り付けられたハウジング内に配置されており、取り付け及び取り外しを可能にするために、シャーシは車両(トラクタなど)によって停泊中の船に横付けして移動できるようになっている。排出ガス制御システムは、ディーゼルエンジンの排気を受け入れる排気入口と、清浄な空気のための排気出口とを有する。あるいは、排出ガス削減システムは、陸上の車両ではなく、船の横に浮かぶバージに取り付けることができる。
【0009】
実施の別の例では、停泊中の船からの排気を濾過する排出ガス削減システムは、シャーシ、シャーシに取り付けられたタワー、及びタワーによって支持されたクレーン又はブームを有する無人搬送車(AGV)を含み得る。次に、排出ガス制御システムは、無人搬送車のシャーシに取り付けられ、排出ガス捕捉システムに接続される。排出ガス捕捉システムは、ダクトを有し、ダクトは、第1の端部で排出ガス制御システムに取り付けられており、クレーン又はブームが船の近くにダクトの第2の端部を配置し、船の排気を捕捉して排出ガス制御システムで濾過できるように、無人搬送車のクレーン又はブームによって支持されている。クレーン及び無人搬送車の両方の移動を遠隔制御することができる。クレーン又はブームはさらに伸縮式であることができ、ダクトも伸縮式である。排出ガス制御システムは、独立して電力を供給されてもよく、クレーン、無人搬送車、又はその両方と電力を共有してもよい。
【0010】
停泊中の船が同等の排出ガス削減を達成する代替の制御技術を使用できるようにする方法がさらに提供される。この方法は、停泊中の船に横付けして牽引又は浮動され、ディーゼルエンジンの排気出口に接続することができる可動式シャーシ又はバージに排出ガス制御システムを組み込むステップを含む。次に、排気捕捉システムを船舶の排気に取り付けて、船舶のディーゼル排気を捕捉することができる。次に、捕捉システムは、排出ガス制御システムに排気を提供し、排気を処理して、排出ガス制御システムに配置された排気出口から規制に準拠した空気を排出する。
【0011】
あるいは、この方法は、クレーン又はブームが取り付けられたAGVに排出ガス制御システムを組み込むか又は取り付けるステップと、排出ガス捕捉システムを介して船のディーゼルエンジンのスタックと通信するように排出ガス制御システムを配置するステップとを含み、これにより、ディーゼルエンジンからの排気が排出ガス制御システムを通過し、船が停泊しているときに船の排気出口から規制に準拠した空気を排出することができる。AGV上のクレーン又はブームは、排出ガス捕捉システムを支持し、排出ガス捕捉システムを、船の排気出口と排出ガス制御システムとの間に配置して、排出ガス制御システムを通して船の排気を濾過することができる。
【0012】
本発明の他のデバイス、装置、システム、方法、特徴、及び利点は、以下の図面及び詳細な説明を検討することにより、当業者には明らかであるか、又は明らかになるであろう。そのようなすべての追加のシステム、方法、特徴及び利点は、この説明に含まれ、本発明の範囲内にあり、付随する特許請求の範囲によって保護されることが意図される。
【0013】
以下の図面を参照することにより、本発明をよりよく理解することができる。図中の構成要素は必ずしも一定の縮尺である必要はなく、代わりに本発明の原理を説明することに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の排出ガス削減システムの流れ図である。
図2】排出ガス制御システムが移動式トレーラに取り付けられており、排出ガス捕捉システムが伸縮式クレーンである、本発明の排出ガス削減システムの実施の一例の側面図である。
図3】伸縮式ダクト及び伸縮式クレーンが収縮されている、伸縮式クローラクレーンに取り付けられた本発明の排出ガス削減システムの実施の一例の側面図である。
図4図3の排出ガス削減システムの別の側面図であり、伸長された伸縮式ダクト及び伸縮式クレーンを示す。
図5】ハウジングが取り外され、トラクタに取り付けられたシャーシに取り付けられた、本発明の排出ガス制御システムの一例の側面図である。
図6】ハウジングが取り外された本発明の排出ガス制御システムの一例の平面概略図である。
図7】ハウジングが取り外され、トラクタに取り付けられたシャーシに取り付けられた、本発明の排出ガス制御システムの一例の別の平面概略図である。
図8】ハウジングが取り外され、シャーシに取り付けられた、本発明の実施の一例によって構成される排出ガス制御システムの一例の背面概略図である。
図9】セラミックフィルタをフィルタハウジングに配置する方法の例を示す。
図10図10のセラミックフィルタ要素を通過するガスの流れ及び粒子の除去の例を示す。
図11】触媒が埋め込まれたセラミックフィルタ要素の一例の断面図である。
図12】本発明の一例の捕捉効率を示すチャートである。
図13】本発明の一例の粒子除去性能を示すチャートである。
図14】本発明の一例の窒素酸化物除去性能を示すチャートである。
図15】低温プラズマを使用した排出ガスの二酸化炭素削減を示すチャートである。
図16】藻類プロセスを使用して排出ガス中の二酸化炭素を削減するシステムの概略図である。
図17図16の藻類プロセスがどのように機能して排出ガス中の二酸化炭素を削減するかを示す。
図18】排出ガス制御システム及び排出ガス捕捉システムの両方が無人搬送車と統合されている、本発明の排出ガス削減システムの実施の一例の側面図である。
図19】伸縮式ダクト及び伸縮式クレーンが収縮されている、無人搬送車と統合された本発明の排出ガス削減システムの実施の一例の側面図である。
図20図19の排出ガス削減システムの別の側面図であり、伸長された伸縮式ダクト及び伸縮式クレーンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1図10に示すように、本発明は、CARB規制の要件など、排出ガスを管理する適用される規制への準拠を可能にするためにエンジンからの排出ガスを削減することができる排出ガス削減システム100に関する。図1及び図2に示すように、排出ガス削減システム100は、排出ガス捕捉システム102及び排出ガス制御システム104の両方を備える。
【0016】
図1に示すように、排出ガス捕捉システム102は、補助ディーゼルエンジン105からの排気を捕捉するためにクレーン又はブーム118を使用して船の排気スタック103上に延びるユーティリティダクト106を備え得る。ユーティリティダクト106は、ユーティリティダクト106を船の排気に接続するコネクタ及び/又はスタックアダプタ108を含み得る。ダクト106は、移動式又は固定式のクレーン又はブーム118を使用して、船の排気スタック103上に延びることができる。さらに、図2図5に示すように、ユーティリティダクト106及びクレーン/ブーム118の両方は、伸縮式であり得る。当業者であれば、さらに、本発明の範囲から逸脱することなく、排出ガス制御システム104によって処理されると、排気が規制に準拠するように、十分な量の排出ガスを捕捉することができる任意の捕捉システムを使用することができることが認識されよう。
【0017】
排出ガス制御システム104は、ユーティリティダクト106からの処理のために、船の補助ディーゼルエンジン105からの排気を受け取る。排出ガス制御システム104は、実質的にハウジング120内に含むことができ(図2を参照)、ユーティリティダクトアセンブリ138を介してシステムを通って移動することができる。
【0018】
図1に示すように、再熱バーナ107を使用して、排気を再加熱することができる。また、センサ602を排気の取り入れ口の近くに配置して、粒子状物質(PM)、窒素酸化物(NO)、二酸化炭素(CO)、アンモニア(NH)、含水量及び酸素(O)、温度及び空気流を事前に監視することができる。センサ602は、ハウジング120に入る前又は後のいずれかで、ユーティリティダクト106の一部に配置することができる。以下でさらに説明するように、排気を処理するために、水性アンモニア注入ポート又は供給装置604を含めることもできる。水性アンモニアは、貯蔵タンク128を介して供給され得る。
【0019】
次に、排気は、圧縮空気156を使用してフィルタを定期的に洗浄することにより、フィルタハウジング142内で濾過され得る。システム104は、発電機162によって電力を供給され得る。廃棄物が収集され148、処理された排気は、排出ガス制御システムの排気スタック152を通して排出される。ファン136を使用して、ユーティリティダクトアセンブリを通して排気を引き出し、排出ガス制御システムの排気スタック152から排出することができる。排出ガス制御システム104は、処理後の排気の粒子状物質(PM)、窒素酸化物(NO)、二酸化炭素(CO)、アンモニア(NH)、含水量及び酸素(O)、温度及び空気流のレベルを事前に監視するためのモニタ154をさらに含み得る。
【0020】
本発明の排出ガス削減システム100の実施の一例を図2に示すことができる。図2は、本発明の排出ガス削減システム100の実施の一例の立面図であり、排出ガス捕捉システム102は、伸縮式ブーム/クレーン118に取り付けられている(図3図5に関連してさらに説明する)。この例では、排出ガス捕捉システム102は、ユーティリティダクト106がクレーン118の伸縮部品の動きに伴って伸長及び収縮できるように、伸縮式ブーム/クレーン118上の伸縮部品と一致するサイズの伸縮式ユーティリティダクト106を備える(以下の図3図4に関連してさらに説明する)。例として、伸縮式クレーン118は、伸縮式クローラクレーン202、軌道式伸縮式クレーン、トラック、又は無人搬送車に取り付けることができる。
【0021】
伸縮式ダクト106を伸縮式クレーン118に取り付けることに加えて、ダクト106は、ダクト106を操縦することができる任意のタイプのクレーンに取り付けるか、又は固定することができることが認識される。あるいは、図示されていないが、ダクト106は、関節式であってもよく、関節式クレーンに取り付けるか、又はクレーンが取り付けられた固定式又は可動式タワーに直接取り付けてもよい。ダクト106はまた、サイズを拡大及び縮小することができる可撓性材料で作製してもよく、又は関節式クレーンの関節点に一致するように屈曲部を含んでもよい。排出ガス捕捉システム102はまた、排出ガス捕捉システムを移動可能にするためにトラックに取り付けることができ、それにより、トラックはクレーン118を含む。
【0022】
排出ガス捕捉システム102は、船204の排気スタック103と排出ガス制御システム104との間に延びることができる長さのダクト106を備え得る。ダクト106は、一端で船の補助ディーゼルエンジン105の排気スタック103に接続し、他端で排出ガス制御システム104に接続する接続部108(図1)又はスタックアダプタを含み得る。
【0023】
図1図5に示すように、ダクト106は、様々な部分が伸縮式に互いに適合することを可能にするために、異なる直径のダクトを有する伸縮式ダクト106であり得る。別の場合、ダクト106は、全体的又は部分的に可撓性であり得る。上記のように、ダクト106は、一端(排出ガス制御システム104に接続する端部)において剛性であり得る。他端では、ダクトは、接続装置108を介して船のディーゼル排気に接続することができる。
【0024】
図3図5は、伸縮式クローラクレーン300に取り付けられた伸縮式ダクト106の例を示す。特に、図3は、ダクト106及びクレーン118が収縮されて示されている伸縮式クローラクレーン上の本発明の排出ガス捕捉システム102の実施の一例の側面図である。図4は、図3の排出ガス捕捉システム102の側面図であり、ダクト106及びクレーン118が伸長されて示されている。
【0025】
図3及び図4に示すように、伸縮式クローラ300は、一般に、シャーシ302、操作キャビン304、ラフィングシリンダ306、伸縮式クレーン118を含み、伸縮式クレーン118は、伸縮式ジブ308及びフックブロック310又は他の伸長付属品を含む。伸縮式ジブ308は、前の伸縮セクション314に出入りする端部を有する複数の伸縮セクション(例えば、第1、第2、第3、第4など)を含む。
【0026】
伸縮式ダクト106はまた、ジブ308の伸縮セクション314に長さ及び配置が対応する様々な伸縮セクションを含む。この例では、ジブ308は、第1、第2、第3、及び第4の伸縮セクション332、334、336、338を有し、伸縮式ダクト106はまた、対応する第1、第2、第3及び第4の伸縮セクション316、318、320、322を有する。ダクト106の第1の伸縮セクション316は、クレーン118の伸縮式ジブ308の第1のセクション332の上に取り付けられている。次に、伸縮式ダクト106の各セクション316、318、320、及び322の端部はまた、例えば、コネクタ340によって、伸縮式ジブの対応するセクション332、334、336、及び338の端部に取り付けられている。このようにして、ダクト106の伸縮セクションは、クレーン118が伸長及び/又は収縮されるときに、クレーン118のジブ308の伸縮セクションと共に移動する。
【0027】
ダクト106はまた、関節式屈曲部を含み得るか又は船204の排気シャフト103上に取り付けられるように曲げることができる、可撓性端部324を含み得る。図2に示すように、フックブロック310などの付属品をジブ308の端部で使用して、スタック103の上方にダクト106を降ろすことができる。
【0028】
図4に示すように、ダクト106の伸縮セクションは、クレーン118のジブ308の伸縮セクションと共に移動する。ジブ308は、第1、第2、第3、及び第4の伸縮セクション332、334、336、338を有し、伸縮式ダクト106はまた、対応する第1、第2、第3及び第4の伸縮セクション316、318、320、322を有する。次に、ジブ308の各セクション332、334、336、及び338の端部はまた、伸縮式ジブ308が伸長すると、伸縮式ダクト106が伸長するように、例えば、コネクタ340によって、伸縮式ダクト106の対応するセクション316、318、320、及び322の端部に取り付けられる。
【0029】
図2図4に示すように、クレーン118のフックブロック310は、追加のダクトを収容でき、船の排気スタック103の上方でダクト106を操縦するのをよりよく支援することができる当技術分野で知られている他の任意の構成要素で置き換えることができる。構成要素又は付属品は、ダクト106のセクション324を支持することができるジブ308の第5のセクションとして機能することができる。セクション324はまた、ダクト106を船の排気スタック103に接続するためにセクション324の端部に配置され得るコネクタ又はアダプタ108を有し得る。ダクト106のセクション324は、ダクト106を船の排気スタック103上方で下向きに移動させるための関節式屈曲部を含み得る。動作中、ダクト106は、ディーゼルエンジン105の排気スタック103に接続されて、ディーゼル排気は、船204からダクト106を通って排出ガス制御システム104に引き込まれる。
【0030】
図5図8は、本発明の排出ガス制御システム104の一例を示す。図に示すように、排出ガス制御システム104は、船が停泊している間に船の補助ディーゼルエンジンの動作から生成される排気のための高温ガス濾過システムであり得る。本発明のこの実施は、排出ガスを削減し、CARB要件などの規制要件を満たすために使用することができるシステムの一例にすぎない。当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、規制に準拠するように排気を洗浄することができる任意の排出ガス制御システムをハウジング120内に配置することができることが認識されよう。
【0031】
図5は、トラクタ124に取り付けられたシャーシ122に取り付けられた、ハウジング120の側面が取り外された、本発明の排出ガス制御システム104の一例の立面図である。図5に示すように、排出ガス制御システム104は、ハウジング120内に含むことができ、ハウジングの壁は、排出ガス制御システム104の個々の構成要素を説明する目的で取り外されている。排出ガス制御システム104は、標準的なトラクタ車両124によって停泊中の船に横付けして牽引され得るシャーシ122に取り付けることができる。ハウジング120は、市販のシャーシ、トレーラ、又はバージ122に適合するサイズになっている。この図示の例では、ハウジング120は、約8.5フィート×52.5フィートの同等の設置面積を有し得る。当業者であれば、他のサイズのハウジングを使用することができることが認識されよう。しかしながら、ハウジング120は、市販のシャーシ又はバージ122に適合することが望ましい。
【0032】
船が停泊しているとき、排出ガス制御システム104は、上記の排出ガス捕捉システム102のタイプの1つによって船のディーゼル排気出口103に接続され、その結果、船のエンジン排気は、排出ガス制御システム104を通して引き出され、処理され、排出ガス制御システムの排気出口152から清浄な空気として排出される。以下でより詳細に説明するような排出ガス制御システム104を採用する排出ガス削減システム100は、船のエンジンが動作している間、連続動作を維持することができる。排出ガス削減システム100は、船の出港前に船204から切り離すことができる。
【0033】
排出ガス制御システム104は、ディーゼルエンジンの排気を取り込んで処理し、規制に準拠した、及び/又は排出ガスが低減された清浄な空気として放出する。この例では、排出ガス制御システム104は、ハウジング120内の2つの階層、すなわち、下層170及び上層180に構成されている。
【0034】
図示の例では、排出ガス制御システム104は、システム制御126によって操作され、図7に示すように、発電機162によって電力を供給され得る。ディーゼル排気は、最初に水性アンモニア(例えば、19%の水性アンモニア)及び乾燥吸着剤で処理される。水性アンモニアは、排気流が排出ガス制御システム104に引き込まれる前に排気流に注入され得るが、当業者であれば、この注入は、図10に示すように、排気が排出ガス制御システム104に入った後、セラミックフィルタハウジング142に入る前にも行われ得ることが認識されよう。水性アンモニアは、ハウジング120内で容器128に貯蔵され、ポンプ130によって、図6に示す注入ポート604を通って排気流にポンプ輸送され得る。
【0035】
排気は、排気入口ダクト132を通って排出ガス制御システム104に引き込まれる。これは、ファン136によって行われ得る(図1)。排気は、最初に、バーナガストレイン及び制御システム126によって動力を供給されるバーナ134に入り、そこで、最適な処理を可能にするために、350~950°Fの間の温度に加熱される。ユーティリティダクトアセンブリ138は、セラミックフィルタハウジング142に接続するバーナ134の出口に直接接続する。セラミックフィルタハウジング142に入る前に、乾燥吸着剤(例えば、重炭酸ナトリウム、トロナ又は石灰)が、乾燥吸着剤注入装置及び供給装置140によって注入される。
【0036】
セラミックフィルタハウジング142に入った後、排気は、図9図11に示すように、セラミックフィルタ144によってさらに処理される。フィルタハウジングの下には、複数のアクセスポート150によってアクセスされる廃棄物捕集ホッパー148がある。次に、システム104は、処理された排気を、排気出口スタック152を通して清浄な空気として排出する。この処理された排気は、図8に示すように、排気出口スタック152に配置された様々なモニタ154によって規制に準拠しているか監視することができる。アクセスラダー(図示せず)は、ハウジング120内に取り付けることができ、排出ガス制御システム104のすべての部分へのアクセスを可能にする。
【0037】
システムの他の要素には、図7に示すように、システムに圧縮空気流を提供する空気圧縮機156、燃料タンク158、制御室160及び発電機162が含まれ得る。
【0038】
図6に示すように、排出ガス制御システム104に排気が入る前に、粒子状物質(PM)、窒素酸化物(NO)、二酸化炭素(CO)、温度及び空気流を監視するセンサ602は、ダクト106の一部、並びに以下に説明するような排気を処理するために使用される水性アンモニア注入ポート604に配置される。当業者であれば、これらのセンサ及び水性アンモニア注入ポートが、ダクト106に沿った他の場所に、又は排出ガス制御システム104自体の内部に、例えば、ハウジング120内に配置されたユーティリティダクトアセンブリ138に配置され得ることが認識されよう。
【0039】
動作中、補助エンジン排気は、船の補助ディーゼルエンジン排気を捕捉し、その排気を排出ガス制御システム104に輸送するように設計された排出ガス捕捉システム102によって捕捉される。アンモニア水溶液は、ポンプ130によってアンモニア貯蔵ユニット128から引き出され、霧化され、次に排気に噴霧され、そこで排気流中のNOと混合される。上記のように、この注入は、排気流が排出ガス制御システム104に入る前、又はシステム104に入った後に行われ得る。水性アンモニアスプレーが注入された後、排気は、排気入口132を通って排出ガス制御システム104に直接引き込まれる。これは、ファン136を使用して行われ得る(図1)。排気は、最初にバーナ134によって加熱され、そこで適切な温度に加熱される。バーナ134を出た後、排気はユーティリティダクトアセンブリ138を通って移動する。排気がユーティリティダクトアセンブリ138を通って移動している間、乾燥吸着剤が、吸着剤注入器システム140によって排気に注入される。乾燥吸着剤は、ハウジング120の内部又は外部のいずれかに配置された乾燥吸着剤貯蔵容器(図示せず)に貯蔵され得る。乾燥吸着剤は、SO、SO、及びHCLと反応して、セラミックフィルタ要素144によって捕捉される固体粒子を形成する。次に、排気流は、触媒が埋め込まれたセラミックフィルタ要素144を含むセラミックフィルタハウジング142に入り、そこで、添加された吸着剤は、セラミックフィルタ要素144の壁に連続的に堆積し、PMの除去ゾーンとして機能する。フィルタ要素への低圧降下の回復は、システム104が動作している間に、圧縮機156によって提供される圧縮空気のパルスをセラミックフィルタ要素144の群に定期的に送ることによって達成される。この操作により、セラミックフィルタ上に堆積する外側の粒子層が廃棄物捕集部148に落下し、そこで除去されて廃棄物貯蔵容器(図示せず)に貯蔵される。
【0040】
NOx及びアンモニア(NH)を含む他のガスは、触媒が埋め込まれたフィルタ要素144にしみ込む。触媒表面では、NOxはNHと反応し、二原子窒素(N)と水蒸気とに還元される。次に、清浄な排気は、排気出口スタック152を通って大気中に放出される。
【0041】
図9は、収集された汚染ガスが排出ガス制御システム104によって処理されるプロセスをさらに示す。汚染ガスは、排気入口132を通ってシステム104に入り、そこで乾燥吸着剤を吸着剤注入器システム140によってダクトに注入することができ、吸着剤は、SO、SO、及びHClと直ちに反応を始めてPMを形成し、PMは、セラミックフィルタハウジング142内に配置されたセラミックフィルタ要素144によって捕捉される。水性アンモニアは、アンモニア注入器システム604によって霧化され、ダクトに噴霧され、そこでガスに変わり、NOxと混合する。この混合は、プロセスPM又は吸着剤による影響を受けない。次に、ガス流はセラミックフィルタハウジング142に入り、そこでプロセスPM及び吸着剤はセラミックフィルタ要素144の外面に捕捉される。フィルタは、フィルタハウジング142が動作中のままである間、圧縮空気ブローダウン140(図1及び図5)からの圧縮空気のバーストで定期的に洗浄される。NOxとアンモニアとの混合物は、セラミックフィルタ要素144の壁に埋め込まれたナノ触媒の大きな表面領域で反応する。
【0042】
混合物には、触媒を無効化又は毒する可能性のあるPMが含まれていないため、反応はより効率的に、はるかに広い温度範囲で生じる可能性がある。NOxは無害なN及び水蒸気に分解され、排気出口スタック152を通ってシステムから出る。
【0043】
図10は、セラミックフィルタハウジング142内に配置された本発明の一実施形態100のセラミックフィルタ要素144、並びにセラミックフィルタハウジング142を通る処理された排気ガスの流れを示す。乾燥吸着剤及び水性アンモニアが注入された排気ガスは、入口164でセラミックフィルタハウジング142に入り、そこで、セラミックフィルタハウジング142内に垂直に配置された細長い管状のセラミックフィルタ要素144と接触させられる。PM及び吸着剤は、これらのセラミックフィルタ要素144の外面に捕捉され、セラミックフィルタ要素144は、フィルタハウジングが動作中のままである間、圧縮空気マニホルド168によって制御される圧縮空気ブローダウン(図示せず)からの圧縮空気のバーストで定期的に洗浄される。NOxとアンモニアとの混合物は、セラミックフィルタ要素144の壁に埋め込まれたナノ触媒の大きな表面領域で反応する。NOxは、無害なN及び水蒸気に分解され、これらは、出口1002を通ってセラミックフィルタハウジング142の上部を通って出る。ホッパーオーガ172は、セラミックフィルタ要素144を定期的に洗浄する圧縮空気ブローダウン(図示せず)によって吹き飛ばされたPM及び吸着剤を収集し、それらを廃棄物出口174に移動させる。
【0044】
図11は、セラミックフィルタ要素144のうちの1つの断面図を示し、埋め込まれた触媒178を示す。セラミックフィルタ要素144は、慣性衝突、遮断、ブラウン拡散、及びセラミックフィルタ要素144上にダスト層1102を形成したすでに収集された粒子のふるい分けによって、PMの大部分を捕捉する。添加された吸着剤は、セラミックフィルタ要素144の壁に連続的に堆積し、PM粒子の除去ゾーンとして機能する。
【0045】
図12は、5隻の船舶で1隻あたり平均44時間実施された試験からの本発明の様々なプロトタイプの排出ガス捕捉効率を示すチャート1200である。チャートに示す性能データは、各船舶の捕捉効率が90%を超え、平均捕捉効率が91.0%であることを示し、CARBによって90%の捕捉効率が認定されている。
【0046】
図13は、6隻の船舶で1隻あたり平均50時間実施された試験からのPM除去の性能データを示すチャートである。チャートは、平均PM除去が99.5%であることを示し、CARBによって90%のPM除去が認定されている。出口PM(mg/m3)は線1302で示され、入口PM(mg/m3)は線1302で示され、PM削減(mg/m3)は図13で示されている。
【0047】
図14は、7隻の船舶で1隻あたり平均52時間実施された試験からのNO除去の性能データを示すチャートである。チャートは、平均NO除去が91.4%であることを示し、CARBによって90%の捕捉効率が認定されている。図14において、出口NO(mg/m3)は線1402で示され、アンモニアスリップ(ppm)は線1406で示され、入口NO(mg/m3)は線1408で示され、NO除去(mg/m3)は線1410で示される。
【0048】
上記の例は、トラクタ124によって牽引されるシャーシ112に取り付けられた本発明の排出ガス制御システム100を示すが、排出ガス制御システムは、陸上又はドックに直接配置してもよく、又は停泊中の船舶に横付けして牽引され得るバージに取り付けてもよい。
【0049】
本発明の範囲を制限することなく、排出ガス制御システム104は、排気ガス流から規制に準拠したレベルへのCOの削減を容易にするために、いくつかの現存する技術のいずれかと組み合わせることができる。例えば、図15に示すように、低温プラズマ法を使用することも、図16及び17に示すように、COの藻類へのプロセスを排出ガス制御システムで使用することもできる。
【0050】
図15は、低温プラズマを使用した排出ガスの二酸化炭素削減を示すチャート1500である。図15に示す例では、ソースガス1502は、凝縮器1504を通過し、次に一次反応器1506を通過する。一次反応器1508から、ガスは、膨張チャンバ1508、バッフル膨張(baffle expansion)1510、及びセルロースチャンバ(cellulose chamber)1512に送られ、次に、ESP1514に渡される。そこから、ガス1516は、LOM交換器(LOM exchanger)1516、次に第2の反応器1518に渡され、処理されたガス1520をもたらす。
【0051】
図16は、藻類プロセスを使用して排出ガス中の二酸化炭素を削減するためのシステムの一例の概略図1600である。図17は、図16の藻類プロセスがどのように機能して排出ガス中の二酸化炭素を削減するかを示す。プロセス1700は、図16及び図17の両方に示すように、4つの基本的なステップを含む。光、CO、水、及びNOを含む栄養素が与えられると、藻類の培養物は、光が換金作物の微細藻類を透過できなくなる光学濃度(OD)設定値に達するまで、煙道ガスを消費することによって成長する。ステップ2では、OD設定値で、バイオ反応器の排水弁が自動的に開き、タンクの10%が重力によって沈降タンクに流れ込む。凝集剤(coagulant/flocculent agent)を使用して、沈降タンクで培養物が脱水され、デカント水は排出、濾過され、バイオ反応器に再循環される。セット3では、持続可能な栄養素及び補給水が追加される。脱水チャンバ内の藻類スラリーは、噴霧乾燥機にポンプ輸送され、粉末に変換され、真空包装され、出荷用に保管される。この操作は90分ごとに繰り返され、温室効果ガスの排出を24時間年中無休で軽減し、1台のバイオ反応器から1日あたり40~75ポンドの藻類及び12,000立方フィートの酸素を生成する。この操作により、煙道ガス排気からのCO及びNOの排出が軽減される。
【0052】
図18は、本発明の排出ガス削減システム100の別の例であり、排出ガス制御システム1802及び排出ガス捕捉システム1804は、無人搬送車(AGV)1816に取り付けられているか、又はそれと統合されている。AGVは、機内の操縦者又は運転者なしで移動する完全自動輸送車両であることは当技術分野でよく知られている。AGVの移動は、ソフトウェアとセンサベースのガイダンスシステムとの組み合わせによって指示されてもよく、バッテリー駆動及び/又はエンジン駆動のいずれかであり得る。当業者であれば、ディーゼルハイブリッドAGV、バッテリー電気AGV、ディーゼル電気AGV、又はリフトAGVを含むがこれらに限定されない、任意のタイプのAGVが本発明に関連して使用され得ることを認識するであろう。
【0053】
排出ガス制御システム1802は、AGV1816との接続又は統合なしにAGV1816に取り付けてもよい(すなわち、排出ガス制御システム1802は、AGV1816といかなる動作要素も共有しない)が、あるいは、排出ガス制御システム1802が電源をAGV1816と共有できるように、排出ガス制御システム1802をAGV1816に取り付ける、及びAGV1816と統合してもよい。電源(図示せず)は、AGV1816のシャーシ1814内又はシャーシ1814上に配置されるか、又は排出ガス制御システム1802のハウジング1806内に配置され得る。例えば、発電機(図示せず)などの電源は、排出ガス制御システム1802とAGV1816との間で共有してもよく、その結果、1つの発電機が、排出ガス制御システム1802及びAGV1816の両方に電力を供給し得る。動作中、AGV1816は、AGV1816の電気モータ及び排出ガス制御システム1802の両方に電力を供給する発電機(AGV1816上又は排出ガス制御システム1802のハウジング1806内のいずれかに配置することができる)を駆動する小型ディーゼルエンジンを組み込むことができる。発電機を共有することの利点の1つは、排出ガス制御システム1802の設置面積を削減することである。AGV1816がバッテリー駆動である場合、AGV1816及び排出ガス制御システム1802の両方は、同じバッテリーを共有することができる。
【0054】
さらに、図18は、2つの階層、すなわち下層1820及び上層1818で構成されたハウジング1806に収容されている2つのモジュールシステムとして排出ガス制御システム1802を示しているが、排出ガス制御システム1802はまた、単層で収容されるように構成され得る。排出ガス制御システム104に組み込まれたすべての特徴及び機能は、排出ガス制御システム1802にも組み込まれ得る。ハウジング1806の下層1820及び上層1818は、およそ輸送コンテナを2つ積み重ねたサイズの単一のコンテナであり得る。
【0055】
あるいは、下層1820及び上層1818はそれぞれ、別個に出荷され、AGV上で組み立てられて排出ガス制御システム1802を形成する際に一緒に結合され得る標準的な輸送コンテナのサイズの別個のコンテナであり得る。ハウジング1806は、単一のコンテナであろうと二重に積み重ねられたコンテナであろうと、市販のAGV1816の土台に適合するサイズであり、2つの標準的な輸送コンテナと同等のサイズであり得る。図18の図示の例では、ハウジング1806の下層1820及び上層1818の両方が、標準的な輸送コンテナと同等のサイズ及び設置面積である。標準の輸送コンテナは、通常、幅8フィート、高さ8.5フィートである。輸送コンテナの長さは、約10フィート~53フィートまで様々であり、通常、コンテナの全体長さは5種類、すなわち約20、40、45、48、53フィートである。コンテナの長さは、製造元によって異なる。例えば、一部の長さは、一般的な長さごとに0.5フィート異なる。一例では、下層又は下部コンテナ1820及び上層又は上部コンテナ1818の両方は、それぞれ45フィート×8フィート×8.5フィートで、本発明の排出ガス制御システム1802として動作するように積み重ねて一緒に結合するように設計されてもよく、又は、高さが約17フィートで、設置面積が約8フィート×45フィートの単一のハウジング又はコンテナ1806であってもよい。当業者であれば、他のサイズのハウジングを使用することができることが認識されよう。しかしながら、ハウジング1806は、市販のAGV1816に適合することが望ましい。
【0056】
図18は、AGV1816と統合された、又はAGV1816に取り付けられた排出ガス制御システム1802に加えて、排出ガス捕捉システム1804を支持するためのブーム又はクレーン1810を含むようにAGV1816を変更又は設計できることも示す。特に、AGVは、伸縮式ブーム/クレーン1810を支持するためのタワー1812を備えて設計され得る。伸縮式ブーム/クレーン1810の一端は、タワー1812の上部に取り付けることができる。次に、伸縮式ブーム/クレーン1810は、排出ガス捕捉システム1804の一部を形成し、捕捉された排気を排出ガス制御システム1802に供給するために排出ガス制御システム1802のハウジング1806の上部に接続された一端を有するユーティリティダクト1808を支持し得る。タワー1812は、無人搬送車1816のシャーシ1814に組み込まれ、及び/又は取り付けられ得る。タワー1812は、当技術分野で知られている任意のAGVに取り付けることができるか、又は当技術分野で知られている任意のAGVに後付けすることができる。タワー1812の高さは、排出ガス制御システム1802のハウジング1806の高さに応じて変化し得る。図8に示すように、タワー1812の高さは、伸縮式ブーム/クレーン1810がユーティリティダクト1808を適切に収容するために、少なくともハウジング1806と同じ高さ、又はわずかに高く、例えば20フィートであり得る。排出ガス捕捉システム102に組み込まれるすべての特徴及び機能は、排出ガス捕捉システム1804にも組み込まれ得る。以下でさらに説明するように、伸縮式ブーム/クレーン1810は、タワー1812のハウジング内に配置された電源若しくはAGV1816電源、又はその両方によって独立して電力を供給され得、独立した又は統合された制御を使用して、AGV1816と同じ様式で遠隔制御され得る。
【0057】
図18はさらに、AGV1816が、例えば、遠隔制御1822、又はAGV1816と通信し、それを制御することができるハードウェア及び/又はソフトウェアを有する任意の無線通信デバイス(携帯電話、スマートフォン、タブレット、又は指定のコントローラなどの任意の電子デバイスを含むがこれらに限定されない)によって遠隔制御され得ることを示す。AGV1816を制御することに加えて、伸縮式クレーン1810も遠隔制御することができる。例えば、遠隔制御1822は、伸縮式クレーン1810を旋回させるピボットジョイント1824を制御することができ、また、伸縮式クレーン1810の伸長及び収縮を制御して、ユーティリティダクト1808の一端が船204の補助ディーゼルエンジン105の排気スタック103に接続するのを支援することができる。
【0058】
図19及び図20は、伸縮式ダクト1808及び伸縮式クレーン1810が収縮及び伸長されている、AGV1816と統合された図18の排出ガス削減システムの実施の一例の側面図を示す。
【0059】
図19及び図20に示すように、AGV1816は、シャーシ1814、タワー1812、及び伸縮式クレーン1810を含み得る。排出ガス制御システム1802は、シャーシ1814に取り付けることができ、ユーティリティダクト1808(伸縮式ダクト1808であり得る)を有する排出ガス捕捉システム1804は、タワー1812に取り付けられた伸縮式クレーン1810によって支持され得る。伸縮式クレーン1810は、伸縮式ジブ1902及びフックブロック1904又は他の伸長付属品から構成され得る。伸縮式ジブ1902は、前の伸縮セクションに出入りする端部を有する複数の伸縮セクション(例えば、第1、第2、第3、第4など)を含み得る。
【0060】
図19に示すように、ユーティリティダクト1808は、ジブ1902の伸縮セクションに長さ及び配置が対応する様々な伸縮セクションを含む伸縮式ダクトである。この例では、ジブ1902は、第1、第2、第3及び第4の伸縮セクション1906、1908、1910、1912を有し、伸縮式ダクト1808はまた、対応する第1、第2、第3及び第4の伸縮セクション1914、1916、1918、1920を有する。ダクト1808の第1の伸縮セクション1914は、クレーン1810の伸縮式ジブ1902の第1のセクション1906の上に取り付けられている。次に、伸縮式ダクト1808の各セクション1914、1916、1918、及び1920の端部は、例えば、コネクタ1922によって、伸縮式ジブの対応するセクション1906、1908、1910、及び1912の端部にも取り付けられている。このようにして、ダクト1808の伸縮セクションは、クレーン1810が伸長及び/又は収縮されるときに、クレーン1810のジブ1902の伸縮セクションと共に移動する。
【0061】
ダクト1808はまた、関節式屈曲部を含み得るか又は船204の排気シャフト103上に取り付けられるように曲げることができる、可撓性端部1924を含み得る。図18に示すように、フックブロック1904などの付属品をクレーン1810の端部で使用して、スタック103の上方にダクト1808を降ろすことができる。
【0062】
図20に示すように、ダクト1808の伸縮セクションは、クレーン1810の伸縮セクションと共に移動する。伸縮式クレーン1810及びダクト1808を伸長及び収縮させる機構は、伸縮式クレーン118及びダクト106について図3及び図4で説明したのと同じ機構であり得る。
【0063】
停泊中の外航船によって動作される補助ディーゼルエンジンからの排気を処理する方法もまた、本発明によって提供される。この方法は、船のエンジンが動作している間も連続動作を維持することができる、船に横付けして配置することができる可動式排気処理システムを提供するステップを含む。この方法は、ブーム1810が取り付けられた無人搬送車(AGV)に排出ガス制御システムを組み込むか又は取り付けるステップと、排出ガス捕捉システムを介して船のディーゼルエンジンのスタックと通信するように排出ガス制御システムを配置するステップとを含み、これにより、ディーゼルエンジンからの排気が排出ガス制御システムを通過し、船が停泊しているときに船の排気出口から規制に準拠した空気を排出することができる。AGV上のブーム1810は、排出ガス捕捉システム1804を支持し、排出ガス捕捉システムを、船の排気出口と排出ガス制御システム1802との間に配置して、排出ガス制御システムを通して船の排気を濾過することができる。
【0064】
上記の説明は船の補助エンジンでの動作で説明されているが、本システムはいかなる船のエンジンでも使用することができる。本発明の実施に関する前述の説明は、例示及び説明の目的で提示されている。この説明は網羅的ではなく、特許請求された発明を開示された正確な形式に限定するものではない。上記の説明に照らして修正及び変形が可能であるか、又は本発明を実施することから修正及び変形を取得することができる。特許請求の範囲及びそれらの同等物は、本発明の範囲を定義する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
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図11
図12
図13
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図15
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