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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】基板処理装置および方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20231017BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
H01L21/302 101B
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022081275
(22)【出願日】2022-05-18
(65)【公開番号】P2023073947
(43)【公開日】2023-05-26
【審査請求日】2022-05-18
(31)【優先権主張番号】10-2021-0158009
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】598123150
【氏名又は名称】セメス株式会社
【氏名又は名称原語表記】SEMES CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】77,4sandan 5-gil,Jiksan-eup,Seobuk-gu,Cheonan-si,Chungcheongnam-do,331-814 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ヨン ユン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ユン サン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ミン スン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジ ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ジン,ヨン ジョ
(72)【発明者】
【氏名】ホン,ジン ヒ
(72)【発明者】
【氏名】チョイ,スン ミン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ドン ヨン
【審査官】川原 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-152689(JP,A)
【文献】特表2022-516772(JP,A)
【文献】特表2022-506918(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0055654(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/302
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバ内にターゲット層を含む基板を提供し、
塩素を含む第1ガスを用いて、前記チャンバ内に第1プラズマを形成し、前記ターゲット層を第1改質し、
酸素を含む第2ガスを用いて、前記チャンバ内に第2プラズマを形成し、前記第1改質されたターゲット層を第2改質し、
前記チャンバ内にプリカーサを提供し、前記第2改質されたターゲット層と前記プリカーサを反応させ、
前記第1プラズマを形成し、前記第2プラズマを形成し、前記プリカーサを提供することを繰り返して前記ターゲット層の少なくとも一部を除去することを含み、
前記プリカーサは、ジケトン(diketone)系のガスを含み、
前記ターゲット層は、金属酸化物、シリコン酸化物、シリコン窒化物、チタン窒化物の少なくとも一つを含む、
基板処理方法。
【請求項2】
前記第1プラズマを形成する間、前記基板は第1温度に制御され、
前記第2プラズマを形成する間、前記基板は第2温度に制御され、
前記プリカーサを提供する間、前記基板は第3温度に制御される、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記第1温度と第2温度は互いに同じである、請求項2に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記第3温度は前記第1温度および前記第2温度より高い、請求項2に記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記第3温度は50℃以上400℃以下である、請求項2に記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記プリカーサはHfac(Hexafluoroacetylacetone)、Acac(Acetylacetone)およびDmac(Dimethylacetamide)を含むグループから選択された少なくとも一つである、請求項に記載の基板処理方法。
【請求項7】
前記第1ガスはCl、HCl、SiCl、CClおよびBClを含むグループから選択された少なくとも一つである、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項8】
前記第2ガスはO、HO、NOおよびOを含むグループから選択された少なくとも一つである、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項9】
前記第1プラズマを形成することと、前記第2プラズマを形成することと、前記プリカーサを提供することは、プラズマ処理と熱処理を同時に行うことができるデュアル工程チャンバで行われる、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項10】
チャンバ内に半導体装置が形成された基板を引込み、前記半導体装置は第1層間絶縁膜と、前記第1層間絶縁膜上に形成された第2層間絶縁膜と、前記第1層間絶縁膜と前記第2層間絶縁膜を貫通する半導体パターンと、前記第1層間絶縁膜の上面と前記第2層間絶縁膜の下面と前記半導体パターンの側壁に沿ってコンフォーマルに形成された電荷トラップ膜と、前記電荷トラップ膜に沿ってコンフォーマルに形成されたブロッキング膜と、前記ブロッキング膜に接するように形成された導電膜を含み、前記ブロッキング膜の一部が前記導電膜によって露出し、
塩素を含む第1ガスを用いて、前記チャンバ内に第1プラズマを形成し、
酸素を含む第2ガスを用いて、前記チャンバ内に第2プラズマを形成し、
前記チャンバ内にプリカーサを提供し、前記導電膜によって露出する前記ブロッキング膜と前記プリカーサを反応させ、
前記第1プラズマを形成し、前記第2プラズマを形成し、前記プリカーサを提供することを繰り返して前記導電膜によって露出する前記ブロッキング膜の少なくとも一部を除去することを含み
前記プリカーサは、ジケトン(diketone)系のガスを含み、
前記ブロッキング膜は、金属酸化物を含む、
基板処理方法。
【請求項11】
前記電荷トラップ膜は窒化物を含む、請求項10に記載の基板処理方法。
【請求項12】
前記第1プラズマを形成する間、前記基板は第1温度に制御され、
前記第2プラズマを形成する間、前記基板は第2温度に制御され、
前記プリカーサを提供する間、前記基板は第3温度に制御される、請求項10に記載の基板処理方法。
【請求項13】
前記第3温度は50℃以上400℃以下である、請求項12に記載の基板処理方法。
【請求項14】
チャンバ内に設けられ、基板を加熱するように構成された熱ソースと、
前記チャンバ内に、第1ガス、第2ガスおよびプリカーサを供給するように構成されたガス供給システムと、
前記チャンバ内に供給された前記第1ガスまたは第2ガスを用いてプラズマを生成するための電極システムと、
前記基板のターゲット層を原子層エッチングするように、前記熱ソース、前記ガス供給システムおよび電極システムを制御するように構成された制御器を含み、
前記原子層エッチングは、
前記チャンバ内に塩素を含む第1ガスを供給して前記第1ガスに基づいて第1プラズマを形成し、前記ターゲット層を第1改質し、
前記チャンバ内に酸素を含む第2ガスを供給して前記第2ガスに基づいて第2プラズマを形成し、前記第1改質されたターゲット層を第2改質し、
前記チャンバ内にプリカーサを提供し、前記第2改質されたターゲット層と前記プリカーサを反応させ、
前記第1プラズマを形成し、前記第2プラズマを形成し、前記プリカーサを提供することを繰り返して前記ターゲット層の少なくとも一部を除去することを含み
前記プリカーサは、ジケトン(diketone)系のガスを含み、
前記ターゲット層は、金属酸化物、シリコン酸化物、シリコン窒化物、チタン窒化物の少なくとも一つを含む、
基板処理装置。
【請求項15】
前記プリカーサは前記チャンバの側壁で供給され、前記熱ソースは前記チャンバの上面に設けられる、請求項14に記載の基板処理装置。
【請求項16】
前記プリカーサは前記チャンバの上面で供給され、前記熱ソースは前記チャンバの側壁に設けられる、請求項14に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基板処理装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置を製造する際には、エッチング、写真、アッシング、イオン注入、薄膜蒸着、洗浄など多様な工程が実施される。
【0003】
ここで、エッチング工程のうち原子層エッチング(Atomic Layer Etching;ALE)は、電気的、物理的な損傷を最小化し、かつターゲット層のエッチングの深さを原子レベルで調節できる技術である。原子層エッチングはナノメータ級の電子回路を作るための必須の技術として評価される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、アルミニウム酸化物(Al)を原子層エッチングする時、フッ素系ソース(例えば、NbF)に基づくプラズマを使用してきた。ところが、フッ素系ソースは、工程チャンバの内壁/パート(part)を腐食させたり、内壁/パートに吸着してクリーニングが容易ではない。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、工程チャンバを損傷させず安定的に原子層エッチングを行うことができる基板処理方法を提供することにある。
【0006】
本発明が解決しようとする他の課題は、前記基板処理方法を行うための基板処理装置を提供することにある。
【0007】
本発明の課題は以上で言及した課題に制限されず、言及されていないまた他の課題は以下の記載から当業者に明確に理解されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を達成するための本発明の基板処理方法の一面(aspect)は、チャンバ内にターゲット層を含む基板を提供し、塩素を含む第1ガスを用いて、前記チャンバ内に第1プラズマを形成し、前記ターゲット層を第1改質し、酸素を含む第2ガスを用いて、前記チャンバ内に第2プラズマを形成し、前記第1改質されたターゲット層を第2改質し、前記チャンバ内にプリカーサを提供し、前記第2改質されたターゲット層と前記プリカーサを反応させ、前記第1プラズマを形成し、前記第2プラズマを形成し、前記プリカーサを提供することを繰り返して前記ターゲット層の少なくとも一部を除去することを含む。
【0009】
前記課題を達成するための本発明の基板処理方法の他の面は、チャンバ内に半導体装置が形成された基板を引込み、前記半導体装置は第1層間絶縁膜と、前記第1層間絶縁膜上に形成された第2層間絶縁膜と、前記第1層間絶縁膜と前記第2層間絶縁膜を貫通する半導体パターンと、前記第1層間絶縁膜の上面と前記第2層間絶縁膜の下面と前記半導体パターンの側壁に沿ってコンフォーマルに形成された電荷トラップ膜と、前記電荷トラップ膜に沿ってコンフォーマルに形成されたブロッキング膜と、前記ブロッキング膜に接するように形成された導電膜を含み、前記ブロッキング膜の一部が前記導電膜によって露出し、塩素を含む第1ガスを用いて、前記チャンバ内に第1プラズマを形成し、酸素を含む第2ガスを用いて、前記チャンバ内に第2プラズマを形成し、前記チャンバ内にプリカーサを提供し、前記導電膜によって露出する前記ブロッキング膜と前記プリカーサを反応させ、前記第1プラズマを形成し、前記第2プラズマを形成し、前記プリカーサを提供することを繰り返して前記導電膜によって露出する前記ブロッキング膜の少なくとも一部を除去することを含む。
【0010】
前記他の課題を達成するための本発明の基板処理装置の一面は、チャンバ内に設けられ、基板を加熱するように構成された熱ソースと、前記チャンバ内に、第1ガス、第2ガスおよびプリカーサを供給するように構成されたガス供給システムと、前記チャンバ内に供給された前記第1ガスまたは第2ガスを用いてプラズマを生成するための電極システムと、前記基板のターゲット層を原子層エッチングするように、前記熱ソース、前記ガス供給システムおよび電極システムを制御するように構成された制御器を含み、前記原子層エッチングは、前記チャンバ内に塩素を含む第1ガスを供給して前記第1ガスに基づいて第1プラズマを形成し、前記ターゲット層を第1改質し、前記チャンバ内に酸素を含む第2ガスを供給して前記第2ガスに基づいて第2プラズマを形成し、前記第1改質されたターゲット層を第2改質し、前記チャンバ内にプリカーサを提供し、前記第2改質されたターゲット層と前記プリカーサを反応させ、前記第1プラズマを形成し、前記第2プラズマを形成し、前記プリカーサを提供することを繰り返して前記ターゲット層の少なくとも一部を除去することを含む。
【0011】
その他実施形態の具体的な内容は詳細な説明および図面に含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態による基板処理装置を説明するための図である。
図2】本発明のいくつかの実施形態による基板処理方法を説明するためのフローチャートである。
図3図2の基板処理方法を説明するためのタイミング図である。
図4】本発明の他の実施形態による基板処理装置を説明するための図である。
図5】本発明のまた他の実施形態による基板処理装置を説明するための図である。
図6】本発明のいくつかの実施形態による基板処理方法が適用される例を説明するための図である。
図7】本発明のいくつかの実施形態による基板処理方法が適用される例を説明するための図である。
図8】本発明のいくつかの実施形態による基板処理方法を用いた実験の結果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付する図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。本発明の利点および特徴、並びにこれらを達成する方法は添付する図面と共に詳細に後述する実施形態を参照すると明確になる。しかし、本発明は以下に開示される実施形態に限定されるものではなく互いに異なる多様な形態で実現でき、本実施形態は単に本発明の開示を完全にし、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供するものであり、本発明は請求項の範疇によってのみ定義される。明細書全体にわたって同一参照符号は同一構成要素を指すものとする。
【0014】
空間的に相対的な用語の「下(below)」、「下(beneath)」、「下部(lower)」、「上(above)」、「上部(upper)」などは図面に示されているように一つの素子または構成要素と他の素子または構成要素との相関関係を容易に記述するために使用される。空間的に相対的な用語は図面に示されている方向に加えて使用時または動作時の素子の互いに異なる方向を含む用語として理解されなければならない。例えば、図面に示されている素子をひっくり返す場合、他の素子の「下(below)」または「下(beneath)」と記述された素子は他の素子の「上(above)」に置かれ得る。したがって、例示的な用語の「下」は下と上の方向をすべて含み得る。素子は他の方向に配向されてもよく、そのため空間的に相対的な用語は配向によって解釈されることができる。
【0015】
第1、第2などが多様な素子、構成要素および/またはセクションを叙述するために使われるが、これらの素子、構成要素および/またはセクションはこれらの用語によって制限されないのはもちろんである。これらの用語は単に一つの素子、構成要素またはセクションを他の素子、構成要素またはセクションと区別するために使用する。したがって、以下で言及される第1素子、第1構成要素または第1セクションは本発明の技術的思想内で第2素子、第2構成要素または第2セクションであり得るのはもちろんである。
【0016】
以下、添付する図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明し、添付図面を参照して説明するにあたり図面符号に関係なく同一であるかまたは対応する構成要素は同じ参照番号を付与し、これに係る重複する説明は省略する。
【0017】
図1は本発明の一実施形態による基板処理装置を説明するための図である。
【0018】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による基板処理装置1は原子層エッチングを行う装置である。このような基板処理装置1はチャンバ100、熱ソース155、電極システム190、ガス供給システム200および制御器300を含む。
【0019】
基板Wにはターゲット層が形成されており、ターゲット層の少なくとも一部は後述する原子層エッチング方式によってエッチングされ得る。ターゲット層は金属酸化物(例えば、アルミニウム酸化物(Al)、ハフニウム酸化物(HfO)、ジルコニウム酸化物(ZrO))、シリコン酸化物(SiO)、シリコン窒化物(Si)、チタン窒化物(TiN)の少なくとも一つを含み得る。
【0020】
チャンバ100は内部に基板Wが処理される処理空間102を提供する。例えば、チャンバ100は円形の筒形状であり得、金属材質であり得る。チャンバ100の側壁には工程ガスが供給されるための投入口161,162が設けられる。チャンバ100の底面には処理空間102で発生した副産物を外部に排出するための排出口170が設けられる。
【0021】
チャンバ100の上面には熱ソース155が設けられる。熱ソース155はフラッシュランプ、IRランプ、RTP、レーザ、ヒータなどであり得るがこれに限定されない。熱ソース155は基板Wの温度を原子層エッチングに適した温度範囲に調節する。例えば、熱ソース155は基板Wの温度を50℃以上400℃以下に調節できるが、これに限定されない。基板支持台110はチャンバ100の処理空間102内に設けられ、基板Wは基板支持台110上に安着する。
【0022】
電極システム190は上部電極191、RF生成器199、下部電極(図示せず)などを含み得る。RF生成器199はRFバイアスを生成するRFソースと、RFバイアスのインピーダンスを調節するマッチングネットワークを含み得る。上部電極191にはインピーダンス調節されたRFバイアスが提供される。下部電極(図示せず)は基板支持台110内に埋め込まれ得、接地されることができる。
【0023】
ガス供給システム200は投入口161,162を介して、工程ガスを供給するように構成される。すなわち、ガス供給システム200は第1ガスG1、第2ガスG2およびプリカーサPCをチャンバ100内に選択的に提供する。別に図示していないが、さらにガス供給システム200は不活性ガス(例えば、Ar)をチャンバ100内に提供する。
【0024】
第1ガス貯蔵部210は第1ガスG1を貯蔵し、第1流量調節部211は制御器300の制御に応じて適切な流量をチャンバ100に提供する。第1流量調節部211は弁、MFC(Mass Flow Controller)などにより構成することができる。第1ガスG1は塩素を含むガス(すなわち、塩素系ソース)であり、例えば、Cl、HCl、SiCl、CClおよびBClを含むグループから選択された少なくとも一つであり得る。
【0025】
第2ガス貯蔵部220は第2ガスG2を貯蔵し、第2流量調節部221は制御器300の制御に応じて適切な流量をチャンバ100に提供する。第2ガスG2は酸素を含むガス(すなわち、酸素系ソース)であり、例えば、O、HO、NOおよびOを含むグループから選択された少なくとも一つであり得る。
【0026】
第3ガス貯蔵部230はプリカーサPCを貯蔵し、第3流量調節部231は制御器300の制御に応じて適切な流量をチャンバ100に提供する。プリカーサPCはジケトン(diketone)系のガスを含み得る。プリカーサPCは例えば、Hfac (Hexafluoroacetylacetone)、Acac(Acetylacetone)およびDmac(Dimethylacetamide)を含むグループから選択された少なくとも一つであり得る。
【0027】
制御器300は基板Wのターゲット層を原子層エッチングするように、熱ソース155、ガス供給システム200、電極システム190などを制御するように構成される。
【0028】
以下で図2および図3を参照して原子層エッチング方式について具体的に説明する。図2は本発明のいくつかの実施形態による基板処理方法を説明するためのフローチャートである。図3図2の基板処理方法を説明するためのタイミング図である。
【0029】
図1および図2を参照すると、以下では、基板Wに形成されたターゲット層は、アルミニウム酸化物(Al)の場合として説明する。
【0030】
基板Wに形成されたターゲット層は原子層エッチング方式によってエッチングされる。原子層エッチングはサイクル(cycle)を連続的に繰り返すことによって行われる。一回のサイクルは1秒以内(最大3秒)に行われる。一回のサイクルはナノセカンド(ns)からミリセカンド(ms)の水準で行われ得る。一回のサイクルは次の段階を含む。一回のサイクルは基板Wを前処理(S10)し、前処理された基板Wを熱的にエッチング(すなわち、t-ALE)(S20)することを含む。
【0031】
具体的には、前処理(S10)することは、2段階の連続したプラズマ処理(S12,S14)を含む。
【0032】
塩素ソースを用いて基板Wを第1プラズマ処理する(S12)。
【0033】
具体的には、チャンバ100内に塩素を含む第1ガスG1(すなわち、塩素ソース)が供給される。第1ガスG1は例えば、Cl、HCl、SiCl、CClおよびBClを含むグループから選択された少なくとも一つであり得る。以下では第1ガスG1はClの場合を例に挙げる。
【0034】
第1ガスG1に基づいて第1プラズマが形成され、第1プラズマによって下記の化学式1のようにターゲット層(すなわち、Al)が第1改質される。下記の化学式1において下付き文字(s)は固体を示す。
[化学式1]
Cl+Al3(s)→AlCl-(Al(s)
次に、酸素ソースを用いて基板Wを第1プラズマ処理する(S14)。
【0035】
具体的には、チャンバ100内に酸素を含む第2ガスG2(すなわち、酸素ソース)が供給される。第2ガスG2は例えば、O、HO、NOおよびOを含むグループから選択された少なくとも一つであり得る。以下では第2ガスG2はOの場合を例に挙げる。
【0036】
第2ガスG2に基づいて第2プラズマが形成され、第2プラズマによって下記の化学式2のように第1改質されたターゲット層(AlCl-(Al))が第2改質される。下記の化学式2において下付き文字(s)は固体を示す。
[化学式2]
+AlCl-(Al(s)→O-AlCl3(s)+(Al(s)
次に、プリカーサを供給して熱的にエッチング(t-ALE)する(S20)。
【0037】
具体的には、熱的にエッチング(S20)することは、基板Wを既に設定された温度(すなわち、第3温度)に維持しながらチャンバ100内にプリカーサPCを提供することを含む。プリカーサPCはジケトン(diketone)系のガスを含み得る。プリカーサPCは例えば、Hfac(Hexafluoroacetylacetone)、Acac(Acetylacetone)およびDmac(Dimethylacetamide)を含むグループから選択された少なくとも一つであり得る。以下ではプリカーサPCはHfacの場合を例に挙げる。
【0038】
第2改質されたターゲット層(O-AlCl)とプリカーサPCは反応して、化学式3のようにターゲット層の一部が除去される。下記の化学式3において下付き文字(s)は固体であり、下付き文字(g)は気体を示す。
[化学式3]
Hfac(g)+O-AlCl3(s)+(Al(s)
→2Al(Hfac)3(g)+AlCl3(g)+HCl(g)+H(g)+(Al(s)
一方、熱的にエッチング(S20)する間の基板Wは、既に設定された温度、すなわち50℃以上400℃以下に維持される。50℃以上400℃以下の温度範囲内で、温度が増加すると一回のサイクルでエッチングされるターゲット層の厚さは厚くなる。例えば、基板Wが150℃に維持される場合、一回のサイクルで0.01Å~0.05Åがエッチングされ得る。基板Wが250℃に維持される場合、一回のサイクルで0.1Å~0.25Åがエッチングされ得る。基板Wが350℃に維持される場合、一回のサイクルで0.85Å~2Åがエッチングされ得る。このような厚さは例示的なものであり、使用される第1ガスG1、第2ガスG2、プリカーサPCの種類、供給量などによって変わり得る。
【0039】
また、熱的にエッチング(S20)する間の基板Wの設定温度は、ターゲット層の物質の種類、ターゲット層の厚さ、エッチングされなければならない量、工程時間などによって異なるように選択することができる。すなわち、本発明のいくつかの実施形態によれば、熱的にエッチング(S20)することは低温(例えば、50℃)から高温(例えば、400℃)まで広いエッチングウィンドウ(wide etch window)を有する。
【0040】
次に、既に設定された回数だけサイクルが繰り返されたかどうかをチェックする(S30)。既に設定された回数だけサイクルが繰り返されていない場合は、前処理段階(S10)に戻る。反面、既に設定された回数だけサイクルが繰り返されると、原子層エッチングを終了する。
【0041】
一方、第1プラズマ処理(S12)する間、基板Wは第1温度に制御され、第2プラズマ処理(S14)する間、基板Wは第2温度に制御され得る。また、プリカーサを供給して熱的にエッチング(S20)する間、基板Wは第3温度に制御され得る。
【0042】
第1温度と第2温度は互いに同一であり得る。
【0043】
第3温度も第1温度および第2温度と同一に制御され得る。すなわち、第1プラズマ処理(S12)、第2プラズマ処理(S14)および熱的にエッチング(t-ALE)(S20)する間、基板Wの温度は同一に制御され得る。
【0044】
または第1温度と第2温度は互いに同一に、第3温度は第1温度および第2温度より高く制御され得る。各段階(S12,S14,S20)ごとに温度を自由に制御するために、熱ソース155をチャンバ100の側壁(図5参照)や上面(図1参照)に設けることもできる。
【0045】
フラッシュランプなどを用いた熱ソース155を用いることによって、第1プラズマ処理(S12)、第2プラズマ処理(S14)および熱的エッチング(t-ALE)(S20)の段階ごとに基板Wの温度を異なるように制御することができる。例えば、第1プラズマ処理(S12)、第2プラズマ処理(S14)で基板Wの温度は同一に維持し、熱的エッチング(S20)では基板Wの温度を高めることができる。ここで図3を参照すると、サイクル(cycle I)は時間t1~t7に対応する。第1プラズマ処理(S12)は時間t1~t3に対応し、第2プラズマ処理(S14)は時間t3~t5に対応し、熱的にエッチング(S20)することは時間t5~t7に対応する。
【0046】
時間t1~t2で、塩素を含む第1ガスG1がチャンバ100内に提供され、チャンバ100内に第1プラズマが形成される。第1ガスG1とともに、不活性ガスGC(例えば、Ar)もチャンバ100内に提供される。不活性ガスGCは第1ガスG1を運ぶキャリア(carrier)の役割をする。第1プラズマによりターゲット層が第1改質される。
【0047】
時間t2~t3で、不活性ガスGCが継続して提供される。不活性ガスGCはチャンバ100内部の副産物を排気するためのものである。
【0048】
時間t3~t4で、酸素を含む第2ガスG2がチャンバ100内に提供され、チャンバ100内に第2プラズマが形成される。第2ガスG2とともに、不活性ガスGC(例えば、Ar)もチャンバ100内に提供される。不活性ガスGCは第2ガスG2を運ぶキャリアの役割をする。第2プラズマにより、第1改質されたターゲット層が第2改質される。
【0049】
時間t4~t5で、不活性ガスGCが継続して提供される。不活性ガスGCはチャンバ100内部の副産物を排気するためのものである。
【0050】
時間t5~t6で、プリカーサPCがチャンバ100内に提供される。第2改質されたターゲット層とプリカーサPCを反応させる。時間t6~t7で、不活性ガスGCが継続して提供される。不活性ガスGCはチャンバ100内部の副産物を排気するためのものである。反応したターゲット層(すなわち、Al(hfac))はガス形態であり、不活性ガスGCとともに外部に排気する。したがって、ターゲット層が熱的にエッチングされる。
【0051】
一番目のサイクル(cycle I)が終了する。
【0052】
時間t7~t8で、2番目のサイクル(cycle II)が始まる。一番目のサイクル(cycle I)と実質的に同じ段階が繰り返される。
【0053】
整理すると、本発明のいくつかの実施形態による基板処理方法によれば、フッ素系ソースを使用せずターゲット層(Al)を原子層エッチングすることができる。すなわち、塩素ソースおよび酸素ソースを用いてターゲット層を前処理し、プリカーサを供給して熱的エッチングをすることでターゲット層を原子層エッチングする。フッ素系ソースを使用しないから、チャンバ100内パートの変性および腐食が発生しない。
【0054】
図4は本発明の他の実施形態による基板処理装置を説明するための図である。図5は本発明のまた他の実施形態による基板処理装置を説明するための図である。説明の便宜上図1ないし図3を用いて説明した内容と異なる点を中心に説明する。
【0055】
まず図4を参照すると、本発明の他の実施形態による基板処理装置2において、チャンバ100の上面に工程ガスが供給されるための投入口160が設けられる。基板支持台110内には、熱ソース150としてヒータが設けられる。
【0056】
図5を参照すると、本発明のまた他の実施形態による基板処理装置3において、チャンバ100の上面に工程ガスが供給されるための投入口160が設けられる。チャンバ100の側面には熱ソース156が設けられる。基板支持台110内にはヒータが設けられなくてもよい。熱ソース156はフラッシュランプ、IRランプ、RTP、レーザ、ヒータなどを用いることができる。
【0057】
フラッシュランプなどを用いた熱ソース156を用いることによって、第1プラズマ処理(S12)、第2プラズマ処理(S14)および熱的エッチング(t-ALE)(S20)の段階ごとに基板Wの温度を異なるように制御することができる。例えば、第1プラズマ処理(S12)、第2プラズマ処理(S14)での基板Wの温度は同一に維持し、熱的エッチング(S20)では基板Wの温度を高めることができる。
【0058】
特に、第1プラズマ処理(S12)、第2プラズマ処理(S14)および熱的エッチング(t-ALE)(S20)において、プラズマ処理と熱処理を同時に行うデュアル工程チャンバ(図1図4および図5の100参照)で行うことができる。
【0059】
図6および図7は本発明のいくつかの実施形態による基板処理方法が適用される例を説明するための図である。図6および図7では、本発明のいくつかの実施形態による基板処理方法が垂直型メモリ装置(例えば、3次元NANDフラッシュ装置)を製造するために適用された場合を例に挙げる。すなわち、垂直型メモリ装置のブロッキング膜370の一部を除去する時使用できる。
【0060】
図6を参照すると、半導体装置(すなわち、垂直型メモリ装置)が形成された基板Wはチャンバ(図1の100参照)内に引き込まれる。
【0061】
具体的には、垂直型メモリ装置は一方向(すなわち、垂直方向)に積層された多数の層間絶縁膜315a,315bを含む。多数の層間絶縁膜315a,315bを貫通する、半導体パターン420を含む。半導体パターン420は不純物がドーピングされるかまたはドーピングされていない単結晶シリコンを含み得る。半導体パターン420はチャネル領域を含む。
【0062】
隣接する層間絶縁膜(すなわち、第1層間絶縁膜315aと第2層間絶縁膜315b)の間にはセル形成空間99が位置する。
【0063】
セル形成空間99により露出した半導体パターン420には、トンネリング膜390が形成される。トンネリング膜390は例えば、シリコン酸化物のような酸化物を含み得る。
【0064】
電荷トラップ膜380は第1層間絶縁膜315aの上面と第2層間絶縁膜315bの下面とトンネリング膜390(すなわち、半導体パターン420の側壁)に沿ってコンフォーマルに形成される。電荷トラップ膜380は例えば、シリコン窒化物のような窒化物を含み得る。
【0065】
ブロッキング膜370は電荷トラップ膜380に沿ってコンフォーマルに形成できる。すなわち、ブロッキング膜370は第1層間絶縁膜315a上の電荷トラップ膜380、トンネリング膜390に接触する電荷トラップ膜380、第2層間絶縁膜315bの下の電荷トラップ膜380に沿ってコンフォーマルに形成される。ブロッキング膜370は金属酸化物(例えば、アルミニウム酸化物(Al))を含み得る。
【0066】
導電膜485はブロッキング膜370に接するように形成される。導電膜485はセル形成空間99を完全に埋めず一部のみを埋める。したがって、ブロッキング膜370の一部が導電膜485により露出している。
【0067】
特に、多数の層間絶縁膜315a,315bを貫通する貫通孔520が形成されている。貫通孔520は例えば、共通ソース線(common source line,CSL)を形成するための孔であり得る。貫通孔520と、導電膜485により埋められていないセル形成空間99は互いに連結されている。
【0068】
図7を参照すると、原子層エッチングを行って、導電膜485により露出したブロッキング膜370を除去する。
【0069】
具体的には、基板Wを前処理する。すなわち、塩素を含む第1ガスG1を用いてチャンバ100内に第1プラズマを形成し、酸素を含む第2ガスG2を用いて前記チャンバ内に第2プラズマを形成する。
【0070】
次に、チャンバ100内にプリカーサPCを提供し、導電膜485により露出するブロッキング膜370とプリカーサPCを反応させ、ブロッキング膜370を原子単位でエッチングする。
【0071】
次に、前述した第1プラズマを形成し、第2プラズマを形成し、プリカーサPCを提供することを繰り返して、導電膜485により露出するブロッキング膜370を除去する。その結果、図7に示すように、導電膜485の一面485aとブロッキング膜370の一面370aは互いにアラインされ得る。導電膜485の一面485aとブロッキング膜370の一面370aはセル形成空間99に露出する。
【0072】
以下で、図8と表1を参照して、本発明のいくつかの実施形態による基板処理方法を用いた実験の結果について説明する。図8は本発明のいくつかの実施形態による基板処理方法を用いた実験の結果を説明するための図である。
【0073】
まず表1を参照すると、ターゲット層はアルミニウム酸化物(Al)を含む。
第1プラズマ処理(図2のS12)、第2プラズマ処理(図2のS14)および熱的エッチング(図2のS20)を行う間、基板温度は200℃に維持する。
【0074】
第1プラズマ処理(図2のS12)と関連して、第1ガス(Cl)は30sccmを、不活性ガス(Ar)を500sccmでチャンバ内に供給する(図3のt1~t2に対応)。第1ガス(Cl2)を用いて第1プラズマを生成する。次に、不活性ガス(Ar)を2000sccmでチャンバ内に供給し(図3のt2~t3に対応)、チャンバ内部の副産物を排気する。
【0075】
第2プラズマ処理(図2のS14)と関連して、第2ガス(O)は30sccmを、不活性ガス(Ar)を500sccmでチャンバ内に供給する(図3のt3~t4に対応)。第2ガス(O)を用いて第2プラズマを生成する。次に、不活性ガス(Ar)を2000sccmでチャンバ内に供給し(図3のt4~t5に対応)、チャンバ内部の副産物を排気する。
【0076】
熱的エッチング(図2のS20)と関連して、プリカーサ(Hfac)と不活性ガス(Ar)を合わせて25sccmをチャンバ内に供給する(図3のt5~t6に対応)。次に、不活性ガス(Ar)を2000sccmでチャンバ内に供給し(図3のt6~t7に対応)、チャンバ内部の副産物を排気する。
【0077】
基板温度は250℃、300℃および350℃に変えながら、前述した第1プラズマ処理(S12)、第2プラズマ処理(S14)および熱的エッチング(S20)を行う。前述した実験条件を整理すると表1のとおりである。
【0078】
【表1】
【0079】
表1の実験条件による実験の結果は図8のとおりである。
【0080】
図8を参照すると、x軸は基板温度(単位:℃)を表し、y軸はエッチング量(単位:Å/cycle)を表す。
【0081】
基板温度は200℃の場合、一回のサイクル当たりエッチング量(EPC,etch amount per a cycle)は0.06Åである。基板温度は250℃の場合、一回のサイクル当たりエッチング量は0.18Åである。基板温度は300℃の場合、一回のサイクル当たりエッチング量は0.38Åである。基板温度は350℃の場合、一回のサイクル当たりエッチング量は0.92Åである。基板温度が増加するほど一回のサイクル当たりエッチング量は増加し、基板温度が減少するほど一回のサイクル当たりエッチング量は減少する。
【0082】
以上と添付する図面を参照して本発明の実施形態について説明したが、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更せず他の具体的な形態で実施できることを理解することができる。したがって、上記一実施形態はすべての面で例示的なものであり、限定的なものではないと理解しなければならない。
【符号の説明】
【0083】
100 チャンバ
102 処理空間
150、155、156 熱ソース
160、161、162 投入口
170 排出口
190 電極システム
191 上部電極
199 RF生成器
200 ガス供給システム
300 制御器
G1 第1ガス
G2 第2ガス
PC プリカーサ
GC 不活性ガス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8