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特許7368575ポリチオール化合物を含有する光学材料組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】ポリチオール化合物を含有する光学材料組成物
(51)【国際特許分類】
   G02B 1/04 20060101AFI20231017BHJP
   C08G 18/38 20060101ALI20231017BHJP
   C07C 265/14 20060101ALI20231017BHJP
   C07C 321/14 20060101ALI20231017BHJP
   G02C 7/00 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
G02B1/04
C08G18/38 076
C07C265/14
C07C321/14
G02C7/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022157200
(22)【出願日】2022-09-30
(65)【公開番号】P2023131088
(43)【公開日】2023-09-21
【審査請求日】2022-09-30
(31)【優先権主張番号】202210228070.7
(32)【優先日】2022-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522386758
【氏名又は名称】益豊新材料股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 海龍
(72)【発明者】
【氏名】▲けい▼ 瑩瑩
(72)【発明者】
【氏名】張 建林
(72)【発明者】
【氏名】曹 飛羽
(72)【発明者】
【氏名】劉 洋
(72)【発明者】
【氏名】丁 宗旺
(72)【発明者】
【氏名】高 云龍
(72)【発明者】
【氏名】張 金国
(72)【発明者】
【氏名】侯 小敏
【審査官】渡邊 吉喜
(56)【参考文献】
【文献】特開昭64-045611(JP,A)
【文献】特開2020-132773(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0238660(US,A1)
【文献】特開平09-110979(JP,A)
【文献】特開平11-352302(JP,A)
【文献】特開2001-131257(JP,A)
【文献】特開2002-122701(JP,A)
【文献】特開2021-161214(JP,A)
【文献】特開2001-330701(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 321/14
C08G 18/38
C07C 265/14
G02C 7/00
G02B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリチオール組成物を含有する光学材料組成物であって、第1のポリチオール化合物および第2のポリチオール化合物を含み、さらにエピスルフィド化合物およびポリイソシアネート化合物を含み、前記第1のポリチオール化合物の添加量は光学材料組成物全体重量の0.01~5%であり、前記第1のポリチオール化合物の構造式は以下の通りであり、
【化1】
前記第1のポリチオール化合物は、3,6-ジチオ-1,8-オクタンジチオール(式中、x=0、m=1、n=1)、または、3,6,9-トリチオウンデカン-1,11-ジチオール(式中、x=0、m=2、n=1)から選択される、ことを特徴とするポリチオール組成物を含有する光学材料組成物。
【請求項2】
前記第2のポリチオール化合物は、2,2’-チオジエタンチオール、2,3-ジチオ(2-メルカプト)-1-プロパンチオール、1,5,9,13-テトラメルカプト-3,7,11-トリチアトリデカン、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチオオクタン、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリス(3-メルカプトプロピオネート)、1,1,2,2-テトラキス(メルカプトメチルチオ)エタン、ヘキサキス(3-メルカプトプロピオン酸)ジペンタエリスリトール、およびペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)から選択される1種または複数種である、ことを特徴とする請求項1に記載のポリチオール組成物を含む光学材料組成物。
【請求項3】
前記エピスルフィド化合物は、ビス(β-エピチオプロピル)ジスルフィド、ビス(β-エピチオプロピルチオ)メタン、1,2-ビス(β-エピチオプロピルチオ)エタン、1,3-ビス(β-エピチオプロピルチオ)プロパン、1,4-ビス(β-エピチオプロピルチオ)ブタン、ビス(β-エピチオプロピル)スルフィド、ビス(β-エピチオプロピルチオエチル)スルフィド、1,3-ビス(β-エピチオプロピルチオ)シクロヘキサン、1,4-ビス(β-エピチオプロピルチオ)シクロヘキサン、1,3-ビス(β-エピチオプロピルチオメチル)シクロヘキサン、および1,4-ビス(β-エピチオプロピルチオメチル)シクロヘキサンから選択される1種または複数種である、ことを特徴とする請求項1に記載のポリチオール組成物を含む光学材料組成物。
【請求項4】
前記ポリイソシアネート化合物は、イソホロンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、p-キシリレンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、p-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス(イソシアナトメチル)ノルボルネンから選択される1種または複数種である、ことを特徴とする請求項1に記載のポリチオール組成物を含む光学材料組成物。
【請求項5】
前記光学材料組成物において、重量部で、第2のポリチオール化合物は5~30部、エピスルフィド化合物は60~90部、ポリイソシアネート化合物は3~15部、第1のポリチオール化合物の添加量は光学材料全体重量の0.01~5%である、ことを特徴とする請求項1に記載のポリチオール組成物を含む光学材料組成物。
【請求項6】
前記光学材料組成物において、重量部で、第2のポリチオール化合物は5~20部、エピスルフィド化合物は60~88部、ポリイソシアネート化合物は3~15部、第1のポリチオール化合物の添加量は、光学材料組成物全体重量の0.05~1%である、ことを特徴とする請求項に記載のポリチオール組成物を含む光学材料組成物。
【請求項7】
前記光学材料組成物には、その全重量に対して0.01~0.1%の触媒をさらに添加し、前記触媒は臭化テトラブチルホスホニウムから選択される、ことを特徴とする請求項に記載のポリチオール組成物を含む光学材料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学材料の分野に関し、具体的には光学材料組成物、より具体的にはポリチオール組成物を含む光学材料組成物を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
プラスチックレンズは、従来の高屈折率ガラスレンズに比べて軽量で強靭な点で優れている。プラスチックレンズに特に求められる特性は、低比重、高透明性、光学特性としての高屈折率、高アッベ数、また、高耐熱性及び高強度である。高屈折率によりレンズの厚みを薄くすることができ、高アッベ数によりレンズの色収差を小さくすることができる。
【0003】
近年、高屈折率、高アッベ数を達成するために硫黄原子を有する有機化合物が多数報告されており、日本特許特開平09-110979号公報には、硫黄原子を有するポリスルフィドが、屈折率とアッベ数のバランスに優れていることが開示されている。光学材料の強度向上については、日本特許特開平11-352302号公報、特開2001-131257号公報において、光学材料にチオカルバメートを添加することで目的が達成されることが報告されている。
【0004】
一方、日本特許特開2002-122701号公報では、材料の屈折率を維持するために、硫黄を導入して光学材料を調製している。しかし、硫黄やチオカルバマートを導入した素材は、製造工程での発泡や放熱ムラなどの問題があり、重合して完成品には白濁や素材の筋が現れ、レンズ製品の合格率に大きな影響を与える。
【0005】
したがって、従来技術の上記の欠点を克服し、より優れた加工性能と高い歩留りを有する光学材料をいかに得るかが、当技術分野で解決されるべき緊急の課題となっている。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、既存の硫黄含有光学材料組成物の多くの欠点に対応し、ポリチオール組成物を含む光学材料組成物を提供する。この組成物は、第1のポリチオール化合物および第2のポリチオール化合物を含み、さらにエピスルフィド化合物及びポリイソシアネート化合物を含み、前記第1のポリチオール化合物の添加量は、光学材料組成物全体重量の0.01~5%である。この組成物を用いて作製した光学材料は、靭性を向上させると同時に、発熱反応や急速硬化による白濁や材料の筋などの問題を回避し、さらに光学材料の屈折率やアッベ数をバランスよく取ることができる。
【0007】
本発明の従来技術との最大の相違点は、第1のポリチオール化合物を導入して、第2のポリチオール化合物と組成物を形成することで、光学材料の屈折率を維持しながら光学材料の強度を向上させることができる。また、化合物の構造特性により、重合プロセスは比較的穏やかで、材料の筋が発生しないため、光学レンズの歩留まりが大幅に改善される。よって、従来技術の反応発熱または急速硬化による材料の筋や白濁等の問題を克服することができる。
【0008】
本発明の具体的な技術的解決策は次のとおりである。
第1のポリチオール化合物および第2のポリチオール化合物を含むポリチオール組成物を含み、さらにエピスルフィド化合物およびポリイソシアネート化合物を含む光学材料組成物であって、前記第1のポリチオール化合物の添加量は光学材料組成物全体重量の0.01~5%であり、前記第1のポリチオール化合物の構造式は以下の通りである。
【化1】
式中、xは0または1,mは1または2,n=1,2,3,4である。
【0009】
好ましくは、前記第1のポリチオール化合物は、3,6-ジチオ-1,8-オクタンジチオール(式(1)において、x=0、m=1、n=1)または3,6,9-トリチオウンデカン-1,11-ジチオール(式(1)において、x=0、m=2、n=1)、または、ビス(2-(2-メルカプトエチル)チオエチル)ジスルフィド(式(1)において、x=1、m=2、n=1)から選択される。
【0010】
前記第2のポリチオール化合物は、2,2’-チオジエタンチオール、2,3-ジチオ(2-メルカプト)-1-プロパンチオール、1,5,9,13-テトラメルカプト-3,7,11-トリチアトリデカン、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチオオクタン、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリス(3-メルカプトプロピオネート)、1,1,2,2-テトラキス(メルカプトメチルチオ)エタン、ヘキサキス(3-メルカプトプロピオン酸)ジペンタエリスリトール、およびペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)から選択される1種または複数種である。
【0011】
前記エピスルフィド化合物は、ビス(β―エピチオプロピル)ジスルフィド、ビス(β―エピチオプロピルチオ)メタン、1,2―ビス(β―エピチオプロピルチオ)エタン、1,3―ビス(β-エピチオプロピルチオ)プロパン、1,4―ビス(β-エピチオプロピルチオ)ブタン、ビス(β-エピチオプロピル)スルフィド、ビス(β-エピチオプロピルチオエチル)スルフィド、1,3―ビス(β―エピチオプロピルチオ)シクロヘキサン、1,4―ビス(β―エピチオプロピルチオ)シクロヘキサン、1,3―ビス(β―エピチオプロピルチオメチル)シクロヘキサンおよび1,4―ビス(β-エピチオプロピルチオメチル)シクロヘキサンから選択される1種または複数種である。
【0012】
前記のポリイソシアネート化合物は、イソホロンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、p-キシリレンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、p-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス(イソシアナトメチル))ノルボルネンから選択される1種または複数種である。
【0013】
上記の代替物質に基づいて、本発明者らは、組成物中の成分の量をさらに制限し、重量部で以下のように計算される。
2のポリチオール化合物5~30部、エピスルフィド化合物60~90部、ポリイソシアネート化合物3~15部である。
より好ましくは、第2のポリチオール化合物5~20部、エピスルフィド化合物60~88部、ポリイソシアネート化合物3~15部である。
第1のポリチオール化合物の量は、光学材料組成物全体重量の0.05~1%であることが好ましい。
【0014】
上記の解決案に基づいて、前記光学材料組成物全体重量に対して、0.01~0.1%の触媒をさらに添加し、前記触媒はテトラブチルホスホニウムブロマイドから選択される。
【0015】
上記の光学材料組成物を得た本発明者らは、その調製方法も提供し、具体的には以下のステップで行う。
第1のポリチオール化合物、第2のポリチオール化合物、エピスルフィド化合物およびポリイソシアネート化合物を均一に混合した後、触媒を添加し、昇温加熱で硬化することにより目的の光学材料が得られる。
【0016】
具体的なの硬化法方法、以下に示す。
触媒を加えた混合原料を真空脱気し、モールドに流し込む。20℃で2時間保温、20~55℃、12時間、55~80℃、3時間、80℃で2時間加保温、80~60℃、1時間で加熱硬化する。その後、100℃、2時間で二次硬化を行い、光学材料製品が得られる。
【0017】
上記の方法によって調製された光学材料は、高い光学特性、高屈折率、均一な質感で透明性を有し、白濁がないため、光学材料の歩留まりが大幅に改善される。実験結果によって、本発明で提供された超高屈折率光学樹脂材料は、屈折率1.6960~1.7120、アッベ数37~40、ガラス転移温度80℃~110℃、二次硬化収率98%~100%、均一な質感で白濁のないことが確認された。
【0018】
以上のように、本発明は、特殊な組成を有するポリチオール化合物およびそれに適した光学材料系を提供し、最終的に光学材料の靭性および耐衝撃性を効果的に改善し、同時に発熱反応または急速硬化による材料の筋や白濁等の問題を回避すると同時に、屈折率とアッベ数のバランスが良好で無色透明な光学材料が得られ、収率を大幅に向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の前述の態様は、実施例の形式による具体的な実施形態によって以下にさらに詳細に説明されるが、本発明の前述の主題の範囲が以下の実施例に限定されることは理解されるべきではない。以上の本発明の内容に基づいて実現される技術はすべて本発明の範囲に属し、特に断らない限り、以下の実施形態において従来の先行技術を利用して行われるものである。
【0020】
(実施例1)
ポリチオール組成物を含む光学材料組成物の組成および調製方法は次のとおりである。
ビス(β-エピチオプロピル)スルフィド85重量部、3,6-ジチオ-1,8-オクタンジチオール(式(1)中、x=0、m=1、n=1)1重量部、2,2’-チオジエタンチオール8重量部、イソホロンジイソシアネート6重量部を十分に混合した後、触媒のテトラブチルホスホニウムブロマイド0.07重量部を加え、真空脱気し、モールドに流し込む。
【0021】
硬化手順は次のとおりである。
20℃で2時間保温、20~55℃、12時間、55~80℃、3時間、80℃で2時間加保温、80~60℃、1時間で加熱硬化する。その後、100℃、2時間で二次硬化を行い、実施例1の光学材料製品を得た。
【0022】
(実施例2)
ポリチオール組成物を含む光学材料組成物の組成および調製方法は次のとおりである。
ビス(β-エピチオプロピル)スルフィド85重量部、3,6-ジチオ-1,8-オクタンジチオール(式(1)中、x=0、m=1、n=1)0.5重量部、2,2’-チオジエタンチオール8.5重量部、イソホロンジイソシアネート6重量部を十分に混合した後、触媒のテトラブチルホスホニウムブロマイド0.07重量部を加え、真空脱気し、モールドに流し込む。
硬化手順は実施例1と同様であり、実施例2の光学材料製品を得た。
【0023】
(実施例3)
ポリチオール組成物を含む光学材料組成物の組成および調製方法は次のとおりである。
ビス(β-エピチオプロピル)スルフィド85重量部、3,6-ジチオ-1,8-オクタンジチオール(式(1)中、x=0、m=1、n=1)0.05重量部、2,2’-チオジエタンチオール8.5重量部、イソホロンジイソシアネート6.45重量部を十分に混合した後、触媒のテトラブチルホスホニウムブロマイド0.07重量部を加え、真空脱気し、モールドに流し込む。
硬化手順は実施例1と同様であり、実施例3の光学材料製品が得られる。
【0024】
(実施例4)
ポリチオール組成物を含む光学材料組成物の組成および調製方法は次のとおりである。
ビス(β-エピチオプロピル)スルフィド85重量部、3,6,9-トリチオウンデカン-1,11-ジチオール(式(1)においてx=0、m=2、n=1)1重量部、2,2’-チオジエタンチオール8重量部、イソホロンジイソシアネート6重量部を十分に混合した後、触媒のテトラブチルホスホニウムブロマイド0.07重量部を加え、真空脱気し、モールドに流し込む。
硬化手順は実施例1と同様であり、実施例4の光学材料製品を得た。
【0025】
(実施例5)
ポリチオール組成物を含む光学材料組成物の組成および調製方法は次のとおりである。
ビス(β-エピチオプロピル)スルフィド85重量部、3,6,9-トリチオウンデカン-1,11-ジチオール(式(1)においてx=0、m=2、n=1)0.5重量部、2,2’-チオジエタンチオール8.5重量部、イソホロンジイソシアネート6重量部を十分に混合した後、触媒のテトラブチルホスホニウムブロマイド0.07重量部を加え、真空脱気し、モールドに流し込む。
硬化手順は実施例1と同様であり、実施例5の光学材料製品を得た。
【0026】
(実施例6)
ポリチオール組成物を含む光学材料組成物の組成および調製方法は次のとおりである。
ビス(β-エピチオプロピル)スルフィド85重量部、3,6-ジチオ-1,8-オクタンジチオール(式(1)中、x=0、m=1、n=1)0.01重量部、2,2’-チオジエタンチオール8.99重量部、イソホロンジイソシアネート6重量部を十分に混合した後、触媒のテトラブチルホスホニウムブロマイド0.07重量部を加え、真空脱気し、モールドに流し込む。
硬化手順は実施例1と同様であり、実施例6の光学材料製品を得た。
【0027】
(実施例7)
ポリチオール組成物を含む光学材料組成物の組成および調製方法は次のとおりである。
ビス(β-エピチオプロピル)スルフィド84重量部、3,6-ジチオ-1,8-オクタンジチオール(式(1)中、x=0、m=1、n=1)3重量部、2,2’-チオジエタンチオール6重量部、イソホロンジイソシアネート7重量部を十分に混合した後、触媒のテトラブチルホスホニウムブロマイド0.07重量部を加え、真空脱気し、モールドに流し込む。
硬化手順は実施例1と同様であり、実施例7の光学材料製品を得た。
【0028】
(実施例8)
ポリチオール組成物を含む光学材料組成物の組成および調製方法は次のとおりである。
ビス(β-エピチオプロピル)スルフィド82重量部、3,6-ジチオ-1,8-オクタンジチオール(式(1)中、x=0、m=1、n=1)5重量部、2,2’-チオジエタンチオール6重量部、イソホロンジイソシアネート7重量部を十分に混合した後、触媒のテトラブチルホスホニウムブロマイド0.07重量部を加え、真空脱気し、モールドに流し込む。
硬化手順は実施例1と同様であり、実施例8の光学材料製品を得た。
【0029】
(実施例9)
ポリチオール組成物を含む光学材料組成物の組成および調製方法は次のとおりである。
ビス(β-エピチオプロピル)スルフィド84重量部、3,6-ジチオ-1,8-オクタンジチオール(式(1)中、x=0、m=1、n=1)3重量部、2,3-ジチオ(2-メルカプト)-1-プロパンチオール6重量部、イソホロンジイソシアネート7重量部を十分に混合した後、触媒のテトラブチルホスホニウムブロマイド0.07重量部を加え、真空脱気し、モールドに流し込む。
硬化手順は実施例1と同様であり、実施例9の光学材料製品を得た。
【0030】
(実施例10)
ポリチオール組成物を含む光学材料組成物の組成および調製方法は次のとおりである。
ビス(β-エピチオプロピル)スルフィド84重量部、3,6-ジチオ-1,8-オクタンジチオール(式(1)中、x=0、m=1、n=1)3重量部、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)7重量部、ヘキサメチレンジイソシアネート6重量部を十分に混合した後、触媒のテトラブチルホスホニウムブロマイド0.07重量部を加え、真空脱気し、モールドに流し込む。
硬化手順は実施例1と同様であり、実施例10の光学材料製品を得た。
【0031】
(実施例11)
ポリチオール組成物を含む光学材料組成物の組成および調製方法は次のとおりである。
ビス(β-エピチオプロピル)スルフィド84重量部、3,6-ジチオ-1,8-オクタンジチオール(式(1)中、x=0、m=1、n=1)3重量部、2,3-ジチオ(2-メルカプト)-1-プロパンチオール7重量部、ヘキサメチレンジイソシアネート6重量部を十分に混合した後、触媒のテトラブチルホスホニウムブロマイド0.07重量部を加え、真空脱気し、モールドに流し込む。
硬化手順は実施例1と同様であり、実施例11の光学材料製品を得た。
【0032】
(比較例1)
光学材料組成物の組成および調製方法は次のとおりである。
ビス(β-エピチオプロピル)スルフィド85重量部、2,2’-チオジエタンチオール9重量部、イソホロンジイソシアネート6重量部、触媒としてテトラブチルホスホニウムブロマイド0.07重量部を加え、十分に均一に混合した後、真空脱気し、モールドに流し込む。
硬化手順は実施例1と同様であり、比較例1の光学材料製品を得た。
【0033】
(比較例2)
ポリチオール組成物を含む光学材料組成物の組成および調製方法は次のとおりである。
ビス(β-エピチオプロピル)スルフィド82重量部、3,6-ジチオ-1,8-オクタンジチオール(式(1)中、x=0、m=1、n=1)6重量部、2,2’-チオジエタンチオール6重量部、イソホロンジイソシアネート6.0重量部を十分に混合した後、触媒のテトラブチルホスホニウムブロマイド0.07重量部を加え、真空脱気し、モールドに流し込む。
硬化手順は実施例1と同様であり、比較例2の光学材料製品を得た。
【0034】
(実験例)
実施例1~5および比較例で提供された光学材料に対して様々な性能測定を行った。
衝撃強度試験: 調製した光学材料組成物をレンズモールドに流し込み、ブラストオーブンにおいて昇温加熱硬化で得られたサンプルは、米国FDA基準に準拠して、異なる質量のボールを1.27メートルの高さから自由落下させレンズサンプルに衝撃を与え、レンズの中心に破損はなかった。
屈折率測定:調製した光学材料組成物をモールドに流し込み、ブラストオーブンで昇温加熱硬化させてサンプル片を得、2mm×4mm×2mmのサンプル試験片を作製し、アタゴ多波長アッベ屈折計DR-4で屈折率を繰り返し3回測定し、平均値をとった。
ガラス転移温度の測定:光学材料を厚さ3mmのサンプルに調製し、アルミニウムるつぼに入れ、10℃/minの速度で昇温し、得られた試験曲線からガラス転移温度(Tg)を求めた。測定器はMETTLER-DSC3型である。
【0035】
測定結果は次のとおりである。
【表1】
注:Tg80℃未満は不合格品とする
【0036】
上記の測定結果から、本発明の組成物の光学材料は、材料の屈折率に影響を与えないようにしながら、先行技術に対して非常に優れた強靭性と高耐衝撃性を有することが示された。
【0037】
また、比較例2によって、第1のポリチオール化合物の添加量が5%を超えて6%に達した場合、得られる光学材料の耐衝撃性は向上せず、むしろ5%添加時に比べて低下し、それと同時にTgも低下し不適合品となってしまうことがわかった。したがって、本発明者らは、第1のポリスルフィド化合物を0.05~1%の割合で添加することが好ましいと考える。
【0038】
上記で開示された実施形態により、当業者は本発明を実施または使用することができる。これらの実施形態に対する様々な変更は、当業者には明らかである。本明細書で定義される一般的な原理は、本発明の精神または範囲から逸脱することなく、他の実施形態で実施され得る。したがって、本発明は、本明細書に示される実施形態に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示される原理および新規な特徴と一致する最も広い範囲が与えられるべきである。