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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】液体用の圧力弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 17/30 20060101AFI20231017BHJP
   G05D 16/00 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
F16K17/30 A
G05D16/00 Z
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022502076
(86)(22)【出願日】2020-07-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-14
(86)【国際出願番号】 NL2020050457
(87)【国際公開番号】W WO2021010827
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2022-03-01
(31)【優先権主張番号】2023492
(32)【優先日】2019-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】522014035
【氏名又は名称】ハヘペ・インターナショナル・ベー.フェー.
【氏名又は名称原語表記】HAGEPE INTERNATIONAL B.V.
【住所又は居所原語表記】Huizermaatweg 27-2,1273 NA HUIZEN,The Netherlands
(73)【特許権者】
【識別番号】522014046
【氏名又は名称】セナジスト・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CENERGIST LIMITED
【住所又は居所原語表記】8 Bede House Tower Road NE37 2SH WASHINGTON United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ステイン・ファン・デル・ウピヴィヒ
【審査官】篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0147016(US,A1)
【文献】実開平05-019743(JP,U)
【文献】実開昭56-065272(JP,U)
【文献】実開昭49-150936(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 17/00 - 17/42
G05D 16/00 - 16/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口及び出口を有するハウジングを備え、流れ方向に沿って入口からハウジングを通って出口まで液体を導くための液体用の圧力弁であって、
前記圧力弁は可動部材を更に備え、前記可動部材は、可動部材が出口を閉鎖する閉鎖位置と、可動部材が前記流れ方向とは反対の方向において出口から離れる非閉鎖位置との間を、出口に向かって及び出口から離れるようにハウジング内を移動可能であり、前記可動部材は前記非閉鎖位置へと付勢され、
前記圧力弁は、前記可動部材の入口側から出口側に液体を向けるための少なくとも1つの流路を備え、前記少なくとも1つの流路は、前記流れ方向とは反対側の成分を持つ方向において前記可動部材に向けられた出口を有する圧力弁。
【請求項2】
前記ハウジングの前記入口及び出口は前記流れ方向に沿って実質的に整列され、前記可動部材は前記流れ方向に沿ってのみ実質的に移動可能である請求項1に記載の圧力弁。
【請求項3】
前記可動部材は前記入口と出口との間で移動可能である請求項2に記載の圧力弁。
【請求項4】
前記可動部材は、前記入口における圧力が増すと、前記閉鎖位置へ移動するように構成される請求項1~3のいずれか1項に記載の圧力弁。
【請求項5】
前記少なくとも1つの流路の出口は、前記ハウジングの出口に隣接して配置される請求項1~4いずれか1項に記載の圧力弁。
【請求項6】
前記ハウジングの出口を囲むように配置される出口を有する複数の流路が存在する請求項5に記載の圧力弁。
【請求項7】
前記ハウジングの出口は、ハウジング内に突出する管状部材を備え、前記管状部材の一端面は、前記閉鎖位置において前記可動部材を受けるように配置され、前記少なくとも1つの流路は、前記管状部材の前記一端面の位置又はその付近の位置へと液体を向けるように配置される請求項1~6のいずれか1項に記載の圧力弁。
【請求項8】
前記少なくとも1つの流路の出口は、前記管状部材の前記一端面へと延びる請求項7に記載の圧力弁。
【請求項9】
前記可動部材は少なくとも実質的に球形である請求項1~8のいずれか1項に記載の圧力弁。
【請求項10】
前記少なくとも実質的に球形の可動部材を保持するためのリング形状ホルダーを更に備え、前記リング形状ホルダーには、流体の通過のための少なくとも1つの窪みが円周面に設けられる請求項9に記載の圧力弁。
【請求項11】
前記可動部材を前記非閉鎖位置に向けて付勢するためのばねを備える請求項1~10のいずれか1項に記載の圧力弁。
【請求項12】
前記ばねはリング形状ホルダーに係合する請求項10に従属する場合の請求項11に記載の圧力弁。
【請求項13】
前記入口と出口との間に少なくとも部分的に延びる分割壁を更に備え、前記分割壁には1つ又は複数の流路が設けられる請求項1~12のいずれか1項に記載の圧力弁。
【請求項14】
前記分割壁の流路は、分割壁の入口側に開放するスロットを備える請求項13に記載の圧力弁。
【請求項15】
前記分割壁は円筒状であり、前記出口及び可動部材の周りに同軸状に配置される請求項13又は14に記載の圧力弁。
【請求項16】
円筒状の前記分割壁は、前記流れ方向に沿う可動部材の動きを制限する請求項15に記載の圧力弁。
【請求項17】
前記入口にふるいを更に備え、前記圧力弁における前記少なくとも1つの流路の直径が前記ふるいの最大孔径よりも大きい請求項1~16のいずれか1項に記載の圧力弁。
【請求項18】
流れリミッタと、前記流れリミッタと並列に配置される請求項1~17のいずれか1項に記載の圧力弁とを備える液体の流量を制限し又は一定に保つための装置。
【請求項19】
請求項1~17のいずれか1項に記載の圧力弁を製造するための方法であって、
a.前記圧力弁の閉鎖圧力を定義する工程と、
b.前記入口における圧力が前記閉鎖圧力に到達する時に前記可動部材が前記閉鎖位置に移動するように前記圧力弁における前記流路を設計する工程と、
c.前記圧力弁を製造する工程とを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体用の圧力弁に関する。本発明は更に、液体の流量を一定に制限し又は保つための装置に関する。本発明は更に、そのような装置の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
圧力弁は、入口及び出口を有するハウジングと、例えば逃し弁又は圧力逃し弁の形態で知られる、入口を閉じるための可動部材とを備える。所定の圧力レベルに達すると、ばねが取り付けられた可動部材が入口から離れるように移動し、これにより流体、気体又は液体がハウジングを通って出口へと流れることを可能にする。これらのタイプの圧力逃がし弁は所定の圧力に達すると開放する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】欧州特許出願公開第1.131.687号明細書
【文献】オランダ国特許出願公開第1010592号明細書
【文献】国際公開第2015/069114号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目標は、他の目標に次いで、液体のための改善された、効率的及び/又は容易に適合可能な圧力弁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目標はとりわけ、付随の請求項1に従う液体用の圧力弁によってかなえられる。より具体的には、この目標はとりわけ、次の流体用、特に液体用の圧力弁によってかなえられる。圧力弁は、入口及び出口を有するハウジングを備え、流れ方向に沿って入口からハウジングを通って出口まで液体を導く。前記圧力弁は可動部材を更に備え、前記可動部材は、可動部材が出口を閉鎖する閉鎖位置と、可動部材が前記流れ方向とは反対の方向において出口から離れる非閉鎖位置との間を、出口に向かって及び出口から離れるようにハウジング内を移動可能である。可動部材は、ハウジングを通る液体の流れの影響下において可動であり、可動部材は出口に向けて付勢される。そのため、出口に対して入口で比較的高い圧力がかかると、これが可動部材を閉鎖位置へと移動させる。閉鎖位置において、液体が入口から出口へとほとんど又は実質的に流れないように、出口を通る液体通路、それ故に弁が遮断される。そのため、弁は次のように構成される。すなわち、可動部材が第1(動的)入口圧力にて非閉鎖位置にあり、かつ第1圧力よりも高い第2入口圧力にて閉鎖位置に向けて移動するように弁は構成される。好ましくは、可動部材は、入口での圧力が増長すると、閉鎖位置に移動するように構成される。それ故、動的入口圧力の増長に伴って液体の流れを閉じる弁が提供される。
【0006】
入口と出口が実質的に整列される場合、効率的で信頼性の高い弁が得られる。使用中、液体は流れ方向に沿って入口から出口へと効率的に流れることができる。その場合、可動部材は、この流れ方向に沿ってのみ実質的に移動可能であることが好ましい。弁はそこに、流れ方向に沿った動きを制限するために可動部材を案内するガイドを備え得る。可動部材の入口、出口及び移動方向の中心軸線は、好ましくは平行であり、より好ましくは一致する。可動部材の位置は、それ故、ハウジングを通る液体の流れによって効率的に調節される。可動部材が入口と出口との間で移動可能である場合、(事前に定義された)より高い圧力において効率的かつ制御可能な遮断を可能にするコンパクトな構成部が得られる。
【0007】
可動部材は、可動部材の入口側と出口側の圧力比の影響下において移動可能である。可動部材の入口側において圧力が高くなると、可動部材はハウジングの出口へと移動し、その逆も同様である。圧力が実質的に等しい場合、平衡に達し、可動部材はハウジング内で実質的に静止したままであり得る。
【0008】
可動部材の出口側は、出口に対面するか又は出口に向けられる可動部材の部分として定義される。その場合、例えば流れ方向に対して見られるように、入口側は好ましくは反対側に位置する。
【0009】
出口が遮断される圧力を調整することができるように、圧力弁は、好ましくは、液体を可動部材の出口側に、好ましくは入口側から出口側に導くための少なくとも1つの流路を備える。そのため流路のサイズ及び/又は数は、可動部材の好ましくは入口側から出口側への液体の流れを決定する。それ故、可動部材の出口側における圧力が増長可能である。従って、可動部材を閉鎖位置に移動させるために、より高い入口圧力が必要である。好ましくは、少なくとも1つの流路は、液体の流れを可動部材から分かれた可動部材の出口側に向けるように構成される。少なくとも1つの流路を通る液体の流れは、一般に可動部材の動きに影響を与えない。
【0010】
少なくとも1つの流路が、流れ方向とは反対側の成分を持つ方向に向けられる出口を有することは更に好ましい。使用中、これは可動部材を流れ方向とは反対側の方向に、すなわち非閉鎖位置に向けて出口から離れるように付勢する。それ故、流路の出口が可動部材に向けられることが好ましい。その場合、出口からの液体の流れは、可動部材の出口側に向けられ、これにより可動部材を非閉鎖位置に向けて付勢する。好ましくは、出口は、流れ方向に対して110°よりも大きい角度、より好ましくは135°よりも大きい角度を有する方向において可動部材に向けられる。
【0011】
流路の出口が出口に隣接して配置される場合、特に出口が上記のように流れ方向とは反対側の成分を持つ方向において可動部材に向けられる場合、可動部材の動きは流路によって効率的に影響され得る。好ましくは、可動部材は、流路出口を閉鎖位置で遮断するように構成される。その場合、可動部材は、弁の出口及び流路の出口の両方を遮断し、そのため閉鎖位置にある弁における内部液体流れを減少させるか又は停止さえさせる。
【0012】
流れ方向に沿った可動部材のバランスのとれた動きを達成するために、流れ方向の軸線の周りに同軸状に配置される複数の位置から、より好ましくは出口の周りの複数の位置から可動部材に液体を向けるように1つ又は複数の流路が配置されることが好ましい。例えば、出口及び/又は複数の出口を囲む流路出口のようなスリットを設けることが可能である。対応する数の流路が設けられ得る。
【0013】
可動部材の入口側から出口側へと液体を効果的に導くために、出口がハウジング内に突出する管状部材を備え、管状部材の一端面が閉鎖位置において可動部材を受けるように配置されることが好ましい。その場合、可動部材を受けるための端面は、ハウジングに対して内側に、例えばその底部まで延びる。液体を可動部材の出口側に向けるために流路を効率的に構成することができる。好ましくは、流路は、管状部材の前記端面の位置又はその付近の位置へと液体を向けるように配置される。
【0014】
これにより流路出口の開口が管状部材の端面へと延びることが好ましい。その場合、流路は、管状部材の壁を通って少なくとも部分的に延びてもよい。その場合、液体は、可動部材の出口側の位置に効率的に向けられる。好ましくは、管状部材の端面は前記端面の周りに分布する複数の出口を含み、そのため出口が上述した複数の出口によって囲まれる。
【0015】
可動部材が少なくとも実質的に球形である場合、信頼できる弁部材が得られる。その場合、出口が可動部材を受けるように形作られ、可動部材を補完するように形成され得ることが好ましい。球形可動部材の実施形態では、出口は、球形可動部材を受けるために凹形状を有し得る。
【0016】
少なくとも実質的に球形の可動部材は、適切な保持部材を使用して保持され得る。使用中、この部材は、例えば、可動部材が流れ方向に沿ってのみ移動可能となるように球形部材を案内し得る。従って、弁は、球形可動部材を保持するためにリング形状ホルダーを更に備えることができる。リング形状ホルダー及び球形可動部材は一体に又は別個に形成され得る。
【0017】
追加的に又は代替的に、保持部材は、可動部材の入口側から出口側へと流れを導くのを助け得る。リング形状部材には、流体通過のために円周面に少なくとも1つの窪みが設けられてもよい。
【0018】
より低い圧力で出口を通る液体の流れを確実にするために、可動部材は非閉鎖位置へと付勢される。これは流路によって達成され、流路は液体を入口側から出口側に向け、それによって可動部材を出口から離れるように付勢する。追加的に又は代替的に、可動部材を非閉鎖位置に向けて付勢するためにばねが配置され得る。ばねは、可動部材を出口から離れるように付勢するために、可動部材と、ハウジング、例えば出口の位置との間に配置され得る。リング形状ホルダーが設けられた球形可動部材の場合、ばねがリング形状ホルダーと係合することが好ましい。
【0019】
ハウジング内の液体の流れを更に誘導するために、弁は、好ましくは、入口と出口との間に少なくとも部分的に延びる分割壁を更に備える。分割壁は、例えば、ハウジングを2つの室に分割し得る。1つの室は出口及び関連する可動部材を含み、もう1つの室はそれらから分離される。液体の流れを効率的に誘導するためには、分割壁には、好ましくは1つ又は複数の流路が設けられる。分割壁における流路が、好ましくは分割壁の入口側に開放するスロットを備える場合、液体流れの効率的な誘導が得られる。
【0020】
好ましくは、分割壁は、出口とこれに関連する可動部材とを少なくとも部分的に取り囲む。その場合、出口及び可動部材への流体の流れは、分割壁及び/又はその流路を形作ることにより制御することができる。好ましくは、分割壁は、出口を含むハウジング壁から延びる。分割壁は、出口及び可動部材の周りに延びる管状部材である。より好ましくは、分割壁は、出口及び可動部材の周りに同軸状に配置される円筒状部材である。分割壁は、好ましくは、上述した出口を形成するいかなる管状部材の周りにも同軸状に延びる。
【0021】
更に好ましいことには、管状部材又は円筒状部材が可動部材の動きを流れ方向に沿ってのみに制限する場合、分割壁は、例えば上述したリング形状ホルダーと協同で可動部材のためのガイドとして機能することができる。
【0022】
圧力弁の目詰まりを防ぐために、圧力弁が入口にふるいを更に備えることが好ましい。弁の目詰まりを防ぐために、弁における流路のサイズ又は直径は、ふるいの最大孔径よりも大きい。この場合、ふるいを通って弁に入るいかなる粒子も弁を通って流れることができる。
【0023】
圧力弁は、流れリミッタのコンテキストにおいて特に適切である。水、特にきれいな飲料水を節約するため、例えばシャワー又は入浴時の水の使用量を減らすために、水配管系統に流れリミッタとも呼ばれる流量調整装置を含めることが知られている。そこを流れる流体の流れを制限するためのそのような流れリミッタは、例えば、ハウジングを備え、ハウジングには入口、出口及び弾性板状の弁要素が設けられる。弁要素はハウジング内に配置され、弁座へと及び弁座から移動可能であり、弁要素と弁座との間に流れ開口を定義する。そのような弁要素は、そこを通って流れる流体の圧力の影響下において移動可能であり、流れが通る開口のサイズを調整するように配置される。より高い圧力は弁要素を弁座へと付勢し、これにより開口を通る流れを減少させる。その場合、出口を通る流れは、入口における圧力範囲にわたって実質的に一定である。このような流れリミッタは、欧州特許出願公開第1.131.687号明細書及びオランダ国特許出願公開第1010592号明細書に記載され、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。これらの流れ調整器/リミッタは、通常、(動的)水圧とは無関係に水の流れを実質的に一定に保つために蛇口又はシャワーヘッド又はこれらに関連する配管に組み込まれる。
【0024】
例えばホテル、クルーズ船、農業及び(石油化学)産業において、より大規模に液体の流れを制限及び/又は一定に保つために、そこを流れる流体の量を制限し又は調整するための装置を提供することが知られている。この装置は、前室及び後室を含むハウジングと、ハウジング内に配置され、2つ以上の開口が設けられる仕切りと、少なくとも一方又は両方の開口に配置される流れリミッタとを備える。このような装置は、国際公開第2015/069114号に記載され、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。装置のハウジング内の流れリミッタの数及び/又はタイプを変更することにより、装置を通る水の流れを特定のニーズに合わせて正確に調整することができる。
【0025】
これらの流れリミッタは、特定の圧力範囲において液体の流れを減らす、すなわち一定に保つように特に設計される。一般に、これらのリミッタは、より高い圧力でも流れを一定に保つことができる。しかしながら、より低圧では、流れが要求されるほど安定しないか、又は抵抗が大きすぎ、そのため流れが小さすぎるかもしれない。
【0026】
そのため、本発明の更なる態様によれば、液体の流量を制限し又は少なくとも実質的に一定に保つための装置が提供される。この装置は、流れリミッタと、流れリミッタと並列な上述した圧力弁とを備える。流れリミッタは、好ましくは、所定の圧力以上から作動するように、すなわち流れを一定に保つように構成され、他方、その場合、圧力弁は前記所定の圧力まで液体を通すように構成される。弁、例えば上述した可動部材は、第1入口圧力にて非閉鎖位置間を移動可能であり、第1入口圧力よりも高い第2入口圧力にて閉鎖位置に向けて移動する。好ましくは、流れリミッタは、この第2入口圧力以上にて実質的に一定の流量で液体を通すように構成される。そのため、液体はより低い圧力で圧力弁を通って流れる一方、より高い圧力では液体は流れリミッタを通って流れるが、液体は実質的に圧力弁を通って流れない。従って、より低い圧力においても一定の流量を与えることができる流量制限装置が提供される。
【0027】
これは、例えば作物の灌漑に使用されるようなスプリンクラーシステムの場合等、流量制限装置の出口での背圧が比較的高い場合に特に関連する。この用途では、特により低い入口圧力と組み合わせにおいて、より低い圧力でのみ液体を通過させるように構成される流れリミッタと圧力弁との組み合わせは効率的な流量制限装置につながる。
【0028】
本発明は更に、以下のステップを含む本発明に従う圧力弁を製造するための方法に関する。
a.圧力弁の閉鎖圧力を定義する。
b.入口における圧力が前記閉鎖圧力に到達する時に可動部材が閉鎖位置に移動するように圧力弁における流路を設計する。
c.圧力弁を製造する。
【発明の効果】
【0029】
上述のように、流路の数及び/又はサイズ、可動部材、そのリング形状ホルダー又は仕切り壁における任意の流路の形状及び/又はサイズを適合させることにより、圧力弁が閉じる圧力を効率的に定義することができる。
【0030】
本発明は、以下の図面によって更に説明される。図面は発明に従う圧力弁の好ましい実施形態を示し、発明の範囲をいかなる方法によっても限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は流れ制限装置を概略的に示す。
図2図2は斜視断面における圧力弁を示す。
図3図3は圧力弁を分解図で示す。
図4A】異なる作業位置での圧力弁を断面で示す。
図4B】異なる作業位置での圧力弁を断面で示す。
図4C】異なる作業位置での圧力弁を断面で示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、そこを流れる流体の量を制限又は調整するための装置100を示す。装置100は、前室103及び後室104を備えるハウジング100aと、ハウジング100a内に配置され、2つ以上の開口105aが設けられた仕切り105と、一方又は両方の開口に配置された流れリミッタ200とを備える。このような装置は国際公開第2015/069114号に記載される。
【0033】
入口管101は前室103に流れ出て、出口管102は後室104に接続される。この例では、欧州特許出願公開第1.131.687号及びオランダ国特許出願公開第1010592号明細書に記載されるように3つの流れリミッタ200が仕切り105の開口105aの3つに設けられる。流れリミッタ200は、入口管101での入力圧力が十分高い、例えばこの例において少なくとも約2バールで提供されるなら、入口管101での入力圧力とは実質的に無関係に、それらの出口側で液体の一定の流れを提供することができるように配置される。低圧でも適切な流れを提供するために、圧力弁1が他の開口105aに配置される。圧力弁1は、より低い圧力で開き、従って液体を通し、より高い圧力、この例でも約2バールで閉じるように構成される。より低い圧力でも液体の実質的に一定の流れがこのように保証される。圧力弁の断面図を図2に、分解図が図3に示される。
【0034】
圧力弁1は、入口2及び出口3を有するハウジング11を備える。出口3はこの例では入口2の反対側に位置し、軸線Aに沿って整列される。軸線Aはこの例では圧力弁1を通る流れ方向に対応する。出口3が開放するハウジング11は底部11cを備える。この例では、ハウジングは2つの部分11a、11bを備える。上部11bは円筒状であり、下部11cには底部11cが設けられる。入口2には、より大きい粒子の流入を防ぐためにふるい12が設けられる。
【0035】
出口3は管状部材33を備える。管状部材33の一端32は弁ハウジング11の底面11cに配置される。管状部材33の他端31は、可動部材としてのボール4を受けるために後述するように凸形状を有する。流れ通路62は管状部材33のこの端31で終わる。管状部材33には更にフランジ34が設けられ、フランジ34は組み立てられた状態においてハウジング11の内部11eの底部11d上の間隔d1にて延びる。
【0036】
分割壁51を有する分割部材5もハウジング11の内部11eに配置される。分割壁51は、ハウジング11を、分割壁51と壁11a、bとの間の周囲の外側部分と、前記分割壁51によって囲まれた内側部分とに分割する。出口3、特にその上端31は、この内側部分において延びる。分割壁51にはスロット53が設けられる。スロット53は、液体が入口2から外側部分に及びその逆に流れることを可能にするための流路を形成する。これらのスロット52の形状及び数を適合させることにより、この流れを調整することができる。
【0037】
分割部材5は、この例においてフランジ52を更に備える。フランジ52には複数の開口54が設けられ、これら開口54も液体用の流路を形成する。これら開口54の形状及び数は、ハウジング11の底部11d付近の下部へと流れるように許容される液体の量を規定する。この例では、分割壁51の下部は出口3のフランジ34と係合する。これにより通路61aが、ハウジング壁11aと、分割壁51及びフランジ34それぞれとの間に形成される。この通路61aは、ハウジング11のフランジ34と底部11dとの間に規定される下方通路61bに流れ出る。より詳細に後述される流路62は下部通路61bに接続される。
【0038】
出口3、特にその上部31を閉じるために、ボールの形態の可動部材4が提供される。ボール4は、対応する形状のリング41に保持される。リング41の円周面には、ここでもまた流路を形成する窪み42が設けられる。ばね43は、ボール4、特にリング41とハウジング11、この例において出口3のフランジ34との間に配置される。ばね43はボール4を入口2に向かって付勢し、この方向は矢印Iで示される。ふるい12にはこれに対してボール4を受けるためのレセプタクル12aが設けられる(特に図2参照)。
【0039】
ボール4及びリング41は、この例では分割壁51内に受け入れられ、リング41と分割壁51は、ボール4が1つの軸線Aに沿ってのみ移動可能となるように協同する。この例では同軸線Aに沿って入口2と出口3が整列し、軸線Aは主な流れ方向に対応する。リング41の窪み42はスロット53と共に、分割壁51内の空間に向かう及びそこからの液体の流れを規定する。
【0040】
圧力弁1の作動は、図4a~cを参照して更に説明される。図4aに示される位置では、ボール4は、出口3、特にその上端31から間隔d2にて延びる。そのため液体は、入口2からハウジング11を通って出口3に流れることが可能である。主な流れ方向は、図4bに破線Aで示される。液体は矢印IIで示される方向に流れる。
【0041】
入口2における圧力が増長し、従ってボール4の入口側4aの圧力が高まると、ボール4は、矢印IIで示される流れ方向Aの方向に出口3に向かって付勢される。ボール4は軸線Aに沿ってのみ移動可能であり、別の方向への移動は実質的に制限されることが理解されよう。入口側4aの圧力が十分に高い場合、ボール4は、出口3へと完全に移動し、前記出口3を閉鎖又は遮断する。これは図4cに示される。ここではボール4の形態の可動部材は閉鎖位置にあり、出口を通る液体の流れが遮断される。出口3の上端31は、出口3の効果的な閉鎖を可能にするためにボール4に対して相補的な形状とされる。
【0042】
圧力が再び低下すると、図4bを参照して、ボール4は出口3から離れる、主流方向Aとは反対側の矢印Iで示される方向に移動し得る。この際、一部の液体が出口3を通って流れる可能性がある。従って、入口圧力が高いほど、弁1を通って流れる液体は少なくなる。弁1が閉じる圧力を調整するために、流路、例えば42、53、54、特に62で示される流路が液体をボール4の出口側4bに向けるために設けられる。出口側4bはボール4の出口3に向けられた側である。
【0043】
流路62は、液体の流れを入口2すなわちボール4の入口側4aから、主流方向とは反対側の成分を持つ方向において出口側4bに向けるように構成される。そのため上部31の開口は上方に配向され、流れも実質的に上方に配向されるようにされる。これは矢印で示される。これらの流れは、ボール部材4をIで示される方向に付勢し、それ故、方向IIへのいかなる動きにも対抗する。流路62を通って流れる液体の量を調整することにより、弁1の閉鎖圧力を制御することができる。
【0044】
流路62は出口3の管状部33に配置され、フランジ34とハウジング11の底部11dとの間に規定される通路61bと相互接続される。この通路61bは、分割壁51とハウジングの壁、この例では下ハウジング部11aとの間に規定される通路61aに接続する。通路61aは、この例では、開口54が規定されるフランジ52により区切られる。従って、開口54の形状及び数は、流路62を通って流れる液体の量にも影響を与える。分割壁51内の中央空間から周囲の外側部分へと流れる液体の量は、とりわけ、分割壁51のスロット53の数及び形状により規定される。くぼみ42もこの流れに影響を与える。従って、圧力弁1における流路を調整することにより、弁の閉鎖圧力を効率的に調整することができる。
【0045】
本発明は示される実施形態に限定されず、付随の特許請求の範囲に含まれる他の実施形態にも及ぶ。例えば、流路が可動部材の押し戻しを担い得るため、圧力弁にいかなるばね部材も設けられないことが可能であることに留意されたい。圧力弁すなわち一般的に弁は、例えば気体用の流体弁として更に使用され得る。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C